JP2005060455A - 液晶性ポリエステルアミドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低融点で成形性に優れ、発生ガス、異物が少なく、接着性、ガスバリア性に優れた液晶性ポリエステルアミドおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】下記構造単位(I)および(II)を含有してなる液晶性ポリエステルアミドおよび該液晶性ポリエステルアミドを製造する方法であって、構造単位(I)および/または(II)を与えるモノマーの少なくとも1種のアミノ基が予めアシル化されたものを用い、該アシル化されているモノマーを、その他のアシル化されていないアミノ基および/または水酸基を有するモノマーのアシル化を行う際に同じ反応容器中に存在させてアシル化反応を行い、その後重縮合を行うことにより液晶性ポリエステルアミドを製造することを特徴とする液晶性ポリエステルアミドの製造方法。
【化1】
(式中Ar1、Ar2は芳香環を含む2価の残基を示す。)
【選択図】なし
【解決手段】下記構造単位(I)および(II)を含有してなる液晶性ポリエステルアミドおよび該液晶性ポリエステルアミドを製造する方法であって、構造単位(I)および/または(II)を与えるモノマーの少なくとも1種のアミノ基が予めアシル化されたものを用い、該アシル化されているモノマーを、その他のアシル化されていないアミノ基および/または水酸基を有するモノマーのアシル化を行う際に同じ反応容器中に存在させてアシル化反応を行い、その後重縮合を行うことにより液晶性ポリエステルアミドを製造することを特徴とする液晶性ポリエステルアミドの製造方法。
【化1】
(式中Ar1、Ar2は芳香環を含む2価の残基を示す。)
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発生ガス、異物などの不具合が少なく成形性に優れ、高強度であり、かつ接着性に優れ、さらに低温で溶融成形可能であるため他の熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、熱可塑性樹脂とのアロイとした際に高強度の熱可塑性樹脂組成物を与え、またガスバリア性に優れた液晶性ポリエステルアミドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性ポリマーが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、電気・電子部品用途を中心とした射出成形品用途で需要が拡大している。
【0003】
液晶性ポリマーとしてp−ヒドロキシ安息香酸と4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびテレフタル酸からなる液晶性ポリエステルが古くから知られている(特許文献1〜8参照)が、耐熱性に優れるものの成形加工温度が高過ぎるという欠点があった。また、他ポリマーとの接着性、相溶性に劣り熱可塑性樹脂とのアロイとした際に高強度の熱可塑性樹脂組成物を得ることが困難であった。
【0004】
そこで、機械的強度、耐熱性、成形性、弾性率を改善するため、アミド基を導入した液晶性ポリエステルアミドの開発が行われてきた(特許文献9〜15参照)。しかしながら、これら特許文献で具体的に得られた液晶性ポリエステルアミドは、アミド結合を与えるモノマーとして、アミノカルボン酸もしくはアミノアルコールのいずれか一方しか用いられていないために、アミド化率が低く、水素、ヘリウム、酸素、窒素や二酸化炭素などの小さな分子に対しては十分なガスバリア性を有しているとは言い難く、また他ポリマーとの接着性に劣るなどの問題があり、熱可塑性樹脂でのアロイなどでは品質に優れる成形品を安定して得ることができなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−38425号公報(第1−2頁)
【特許文献2】
特開昭63−39918号公報(第1−2頁)
【特許文献3】
特開昭63−57633号公報(第1−3頁)
【特許文献4】
特開平3−52921号公報(第1−2頁)
【特許文献5】
特開平3−501749号公報(第1−4頁)
【特許文献6】
特開平10−96839号公報(第1−2頁)
【特許文献7】
特開2001−2766号公報(第1−2頁)
【特許文献8】
特開2001−114876号公報(第1−2頁)
【特許文献9】
特表平10−501277号公報(第1−5頁)
【特許文献10】
特表2000−508002号公報(第1−7頁)
【特許文献11】
特開昭63−284221号公報(第1−2頁)
【特許文献12】
特開平2−294329号公報(第1−2頁)
【特許文献13】
特開平2−240138号公報(第1−2頁)
【特許文献14】
特開2003−128782号公報(第1−2頁)
【特許文献15】
特開2003−105082号公報(第1−2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来の技術に鑑み、発生ガス、異物が少なく、成形性に優れ、高強度であり、更にガスバリア性に優れた液晶性ポリエステルアミドおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、構造単位(I)、(II)を構成するモノマー、それぞれ単独でアミド化率を上げようとしても導入できる量には限界があったが、構造単位(I)、(II)を構成するモノマーを併用することで、単独で用いるときよりも、より多くのアミド結合を導入できることを見出した。また、特定の構造単位組成比にすることにより成形加工温度を下げることが可能となるだけでなく、アミド結合を導入することで飛躍的にガスバリア性を高め、他ポリマーとの接着性にも優れた液晶性ポリエステルアミドが得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は
(1)下記構造単位(I)および(II)を含有してなる液晶性ポリエステルアミド、
【0009】
【化7】
【0010】
(式中Ar1、Ar2は芳香環を含む2価の残基を示す。)
(2)上記構造単位(I)および(II)にさらに下記構造単位(III)を含有してなる前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミド、
【0011】
【化8】
【0012】
(ただし、構造単位(III)中の2価の残基Ar3は、
【0013】
【化9】
【0014】
から選ばれた1種以上の基を示す)
(3)上記構造単位(I) 、(II)および(III)にさらに下記構造単位(IV)および(V)から選ばれた少なくとも1種の構造単位を含有する前記(2)記載の液晶性ポリエステルアミド、
【0015】
【化10】
【0016】
(ただし、構造単位(IV)中の2価の残基Ar4は、
【0017】
【化11】
【0018】
から選ばれた1種以上の基を示し、構造単位(V)中の2価の残基Ar5は、
【0019】
【化12】
【0020】
から選ばれた1種以上の基を示す。)
(4)下記式(A)で算出されたアミド化率が6〜30%の範囲の前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミド、
【0021】
【数2】
【0022】
(5)Ar1、Ar2がそれぞれ、1,4−フェニレンであることを特徴とする前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミド、
(6)全構造単位に対して(I)の構造単位が3〜25モル%、(II)の構造単位が4〜25モル%であることを特徴とする前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミドおよび、
(7)前記(1)〜(6)いずれか記載の液晶性ポリエステルアミドを製造する方法であって、構造単位(I)および/または(II)を与えるモノマーの少なくとも1種のアミノ基が予めアシル化されたものを用い、該アシル化されているモノマーを、その他のアシル化されていないアミノ基および/または水酸基を有するモノマーのアシル化を行う際に同じ反応容器中に存在させてアシル化反応を行い、その後重縮合を行うことにより液晶性ポリエステルアミドを製造することを特徴とする液晶性ポリエステルアミドの製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、必須構造単位として下記構造単位(I)および(II)を含有してなる液晶性ポリエステルアミドである。
【0024】
【化13】
【0025】
上記構造単位(I)は芳香族アミノカルボン酸から生成した構造単位であり、(II)は芳香族アミノアルコールから生成した構造単位であり、Ar1およびAr2は芳香環を含む2価の残基を示す。好ましい残基Ar1、Ar2として、
【0026】
【化14】
【0027】
に示す構造から選ばれた1種以上のものを例示することができるが、Ar1とAr2は同じであっても異なっていてもよい。とりわけ構造単位(I)がp−アミノ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)がp−アミノフェノールから生成した構造単位(Ar1、Ar2共に1,4−フェニレン)であることが好ましい。
【0028】
構造単位(I)の含有量は全構造単位を100モル%とした際に、3〜25モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。また、構造単位(II)の含有量は全構造単位4〜25モル%が好ましく、10〜15モル%がより好ましい。
【0029】
本発明においては構造単位(I)および(II)を併用することが本発明の効果であるガスバリア性などを発揮するために重要であり、特に上記した含有量である場合には、ガス発生や異物が少なく、かつ高強度であり、接着性に優れる液晶ポリエステルアミドが得られ好ましい。構造単位(I)、(II)どちらか一方のみでは導入できるアミド結合量に限界があり、水素、ヘリウム、酸素、窒素や二酸化炭素などの小さな分子に対しては十分なガスバリア性を有しているとは言い難く、また他ポリマーとの接着性に劣るために好ましくない。
【0030】
下記式(A)から算出されるアミド化率は、特に限定されるものではないが、6〜30モル%が好ましく、より好ましくは15〜30モル%である。
【0031】
【数3】
【0032】
アミド化率が上記した範囲にあると,接着性とガスバリア性が効率良く得られ好ましい。
【0033】
本発明における液晶性ポリエステルアミドのこれら以外の共重合成分としては,特に限定されるものではないが、エステル結合を形成する構造単位としてジカルボン酸から生成した構造単位、ヒドロキシカルボン酸から生成した構造単位、ジオールから生成した構造単位を好ましく用いることができる。
【0034】
ジカルボン酸から生成した構造単位は構造単位(III)で示され、
【0035】
【化15】
【0036】
構造単位(III)におけるAr3としては
【0037】
【化16】
【0038】
が好ましく例示でき、特に1,4−フェニレン、1,3−フェニレンが好ましい。
【0039】
ヒドロキシカルボン酸から生成した構造単位は構造単位(IV)で示され、
【0040】
【化17】
【0041】
構造単位(IV)におけるAr4として以下のものが好ましく例示でき、
【0042】
【化18】
【0043】
特に1,4−フェニレンが好ましい。
【0044】
ジオールから誘導される構造単位は、構造単位(V)で示され、
【0045】
【化19】
【0046】
構造単位(V)におけるAr5として以下のものが好ましく例示でき、
【0047】
【化20】
【0048】
特に1,4−フェニレン、4,4´−ビフェニレンが好ましい。
【0049】
これらの共重合成分については、(I)、(II)の含有量が本発明の範囲であれば、特に含有量については限定されるものではないが、上記した好ましいエステル結合形成性のモノマーを共重合した場合には、低融点であり低温での成形加工性の優れる液晶ポリエステルアミドが得られるため好ましい。
【0050】
これらの共重合成分の共重合量については、(I)、(II)の含有量が本発明の範囲に入るように調整する必要があるが、具体的な組成比は特に限定されるものではなく、幅広い組成範囲において、本発明の特性である成形加工性,ガスバリア性を発揮する液晶ポリエステルアミドが得られる。
【0051】
以下に,好ましい液晶ポリエステルアミドの一例を示して説明するが、本発明の液晶ポリエステルアミドはこの組成に限定されるものではない。
【0052】
(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなる液晶性ポリエステルアミドを例に取り説明する。
【0053】
構造単位(I)と構造単位(IV)の合計は構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の合計に対して50〜70モル%が好ましく、より好ましくは50〜60モル%である。また、構造単位(II)は構造単位(II)と(V)の合計に対して30〜55モル%が好ましく、35〜50モル%がより好ましい。構造単位(II)および(VI)の合計と(III)が実質的に等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0054】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、上記した成分以外に1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸および3,3´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族、脂環式ジオールおよび1,4−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミンなどを本発明の特徴を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0055】
本発明の液晶性ポリエステルアミドの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルアミドの重縮合法に準じて製造できる。
【0056】
例えば、上記液晶性ポリエステルアミドの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。例として、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位からなる液晶性ポリエステルアミドの製造について示す。
(1)芳香族アセトキシカルボン酸、芳香族アセチルアミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物のジアセチル化物、芳香族アセチルアミノアセトキシ化合物、芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(2)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、アミノ基およびフェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アセチルアミノカルボン酸もしくは芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アセチルアミノヒドロキシ化合物もしくは芳香族アミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、アセチル化されていないアミノ基およびフェノール性水酸基をアシル化した後,脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(4)芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族アミノカルボン酸のフェニルエステル、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物および、芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(5)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸および芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
【0057】
なかでも(3)のように、構造単位(I)を与える芳香族アミノカルボン酸または構造単位(II)を与える芳香族アミノヒドロキシ化合物の両方もしくは片方、もしくは一部をアシル化したモノマーを予め用い、他のアシル化されていないアミノ基または水酸基を有するモノマーと共に反応容器に添加し、無水酢酸と反応させ、アシル化されていないアミノ基または水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合を行う方法が好ましく、具体的には芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アセチルアミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、アミノ基またはフェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法が好ましい。
【0058】
無水酢酸の使用量は、アシル化するアミノ基またはフェノール性水酸基の合計の1.10当量未満であることが好ましく、1.05当量以下であることがより好ましく、より好ましくは1.03当量以下であり、下限については0.90当量以上であることが好ましい。
【0059】
本発明の液晶性ポリエステルアミドを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルアミドの溶融温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、p−アセチルアミノフェノール、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら130〜300℃の範囲で2〜6時間反応させアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度(例えば、250〜350℃の範囲)まで昇温し、1.0mmHg(133Pa)まで減圧し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。得られたポリマーはその溶融温度で反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少なく、異物量のより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
【0060】
本発明の液晶性ポリエステルアミドを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルアミドのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルアミドの融点−5〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
【0061】
液晶性ポリエステルアミドの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
【0062】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、数平均分子量は1,000以上であり、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは20,000〜50,000の範囲である。また、分子量1,000未満の成分の含有率は1重量%以下であることが好ましい。
【0063】
溶融粘度は10mm長、0.5mmφのダイを用い、融点+10℃(せん断速度1000/s)で好ましくは10〜50Pa・s、より好ましくは20〜40Pa・sの範囲である。
【0064】
なお、本発明における融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)である。
【0065】
このようにして得られた液晶性ポリエステルアミドは成形加工性、強度に優れており、通常の射出成形、押出し成形、ブロー成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する三次元成形品、シート、容器、パイプ、フィルムなどに加工することが可能である。なかでもガス発生、異物が少ないことからブロー成形による中空ボトル、シートまたは押出成形によるシートまたはフィルム、さらには射出成形による中空容器部品などに適している。
【0066】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、特にガスバリア性や液体バリア性に優れるため、気体および/または液体バリア部品用樹脂成形体として極めて有用であり、例えば、フロン−11、フロン−12、フロン−21、フロン−22、フロン−113、フロン−114、フロン−115、フロン−134a、フロン−32、フロン−123、フロン−124、フロン−125、フロン−143a、フロン−141b、フロン−142b、フロン−225、フロン−C318、R−502、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、メチルクロロホルム、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル、ひまし油ベースのブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリリングオイル、ウインドウオッシャ液、ガソリン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタン、プロパン、天然ガス、アルゴン、ヘリウム、キセノン、医薬剤等の気体および/または液体あるいは気化ガス等の透過性が吸水時でも低く優れていることから、食品包装用多層フィルム・シート、飲料用多層ボトル、各種タンクのライナー材、燃料用タンク、オイル用タンクに付属するバルブや継手類、その他シャンプー、リンス、液体石鹸等の各種薬剤用ボトルなどの薬液保存容器および該ボトルに付属するポンプのゲージ、ケース類などの部品、各種燃料チューブ接続部品、オイルチューブ接続部品、ブレーキホース接続部品、ウインドウオッシャー液用ノズル、冷却水、冷媒等用クーラーホース接続用部品、エアコン冷媒用チューブ接続用部品、消火器および消火設備用ホース、医療用冷却機材用チューブの接続用部品およびバルブ類、その他薬液およびガス搬送用チューブ用途、薬品保存用容器等の薬液および耐ガス透過性が必要とされる用途、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類などの機械部品を始め、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品など各種用途に有効である。
【0067】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の物性測定の方法は以下の通りである。
【0068】
実施例1
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸16.6g(0.12モル)、p−アセトアミノ安息香酸14.3g (0.08モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸45.4g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに340℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は340℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0069】
この液晶性ポリエステルアミド(A−1)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、アミド化率は26.6%であった。
【0070】
以下の測定方法により物性の評価を行った。
【0071】
(1)融点
融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
【0072】
(2)ガスバリア性
JIS K7126 A法(差圧法)に準じてGTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて測定を行った。ガスとしては水素、酸素、二酸化炭素を用いた。
【0073】
(3)発生ガス量
約10mgの液晶ポリエステルアミドを秤量し、窒素ガス雰囲気下、液晶性ポリエステルアミドの融点+10℃の温度で30分保持した際の加熱減量率(%)を加熱重量減分析(TGA)により測定し、発生ガス量とした。
【0074】
(4)異物量
約2gの液晶ポリエステルアミドを融点+10℃でプレスして厚み50μmのプレスフィルムを作成し、プレスフィルム5枚を目視により観察し、異物の有無を評価した(評価:○:異物なし ×:異物あり)。
【0075】
(5)成形加工性
キャピログラフ1C型(東洋精機製)により、10mm長、0.5mmφのダイを用い、融点+10℃(せん断速度1000/s)での溶融粘度を評価した。
【0076】
(6)吸水時強度
プレス成形により、厚み1mm、幅12.7mm、長さ127mmの棒状片を成形し、脱イオン水中に23℃で1週間浸漬し、飽和吸水していることを重量変化がなくなったことで確認した。この試験片の曲げ強度を23℃、スパン50mmの三点荷重でクロスヘッド速度1mm/分で測定し、吸水処理していないものと比較し、曲げ強度の保持率を算出して評価した(保持率(%)=[吸水処理した試験片の強度/処理していない試験片の強度]×100)
(7)接着性
上記(6)で成形した試験片を半分の長さに切断し、融点+10℃の熱板上で切断面を押しあて、1mmの長さ分が溶融した時点で素早く2枚の試験片の溶融面をまっすぐ接合し、1分間そのまま保持した。完全に接着した試験片を一晩静置し、引張試験を23℃、スパン50mm、クロスヘッド速度10mm/分で行い、破断強度を測定した。(6)で作成した試験片の引張破断強度に対する接着試験片の破断強度の保持率を算出し、評価した(保持率(%)=[接着した試験片の破断強度/処理していない試験片の破断強度]×100)
(1)〜(7)の評価結果は表1に示した。
【0077】
実施例2
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸13.8g(0.10モル)、p−アミノ安息香酸13.7g (0.10モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(アミノ基およびフェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0078】
この液晶性ポリエステルアミド(A−2)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は30%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0079】
実施例3
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸24.9g(0.18モル)、p−アミノ安息香酸2.7g(0.02モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(アミノ基およびフェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0080】
この液晶性ポリエステルアミド(A−3)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は16.6%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0081】
実施例4
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸24.9g(0.18モル)、p−アミノ安息香酸2.7g (0.02モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アミノフェノール8.7g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸61.9g(アミノ基およびフェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0082】
この液晶性ポリエステルアミド(A−4)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は16.6%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0083】
実施例5
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸16.6g(0.12モル)、p−アセトアミノ安息香酸14.3g (0.08モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル19.9g(0.11モル)、ハイドロキノン5.9g(0.05モル)、p−アセチルアミノフェノール6.0g(0.04モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸49.5g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0084】
この液晶性ポリエステルアミド(A−5)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して20モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は20%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0085】
比較例1
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸27.6g(0.20モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0086】
この液晶性ポリエステルアミド(A−6)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して25モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は13.3%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0087】
比較例2
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸16.6g(0.12モル)、p−アセトアミノ安息香酸14.3g (0.08モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル24.2g(0.13モル)、ハイドロキノン7.7g(0.07モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は340℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0088】
この液晶性ポリエステルアミド(A−7)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して0モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は13.3%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示したように、本発明の液晶性ポリエステルアミドは、(I)および(II)のいずれかしか含有しない比較例に示した液晶ポリエステルアミドに比べて、発生ガス、異物が少なく、成形加工性に優れるため他の熱可塑性樹脂とのアロイに有利であり、接着性、ガスバリア性が高いために、タンクや包装フィルムなどの用途に有用であることがわかる。
【0091】
【発明の効果】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、他ポリマーとの接着性も良く成形加工温度が低温で成形性に優れ、発生ガス、異物が少なくかつガスバリア性に優れることから、燃料タンクなどの成形材料および包装フィルムなどとして好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発生ガス、異物などの不具合が少なく成形性に優れ、高強度であり、かつ接着性に優れ、さらに低温で溶融成形可能であるため他の熱可塑性樹脂との相溶性に優れ、熱可塑性樹脂とのアロイとした際に高強度の熱可塑性樹脂組成物を与え、またガスバリア性に優れた液晶性ポリエステルアミドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマーが数多く開発され市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリエステルなどの液晶性ポリマーが優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、電気・電子部品用途を中心とした射出成形品用途で需要が拡大している。
【0003】
液晶性ポリマーとしてp−ヒドロキシ安息香酸と4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよびテレフタル酸からなる液晶性ポリエステルが古くから知られている(特許文献1〜8参照)が、耐熱性に優れるものの成形加工温度が高過ぎるという欠点があった。また、他ポリマーとの接着性、相溶性に劣り熱可塑性樹脂とのアロイとした際に高強度の熱可塑性樹脂組成物を得ることが困難であった。
【0004】
そこで、機械的強度、耐熱性、成形性、弾性率を改善するため、アミド基を導入した液晶性ポリエステルアミドの開発が行われてきた(特許文献9〜15参照)。しかしながら、これら特許文献で具体的に得られた液晶性ポリエステルアミドは、アミド結合を与えるモノマーとして、アミノカルボン酸もしくはアミノアルコールのいずれか一方しか用いられていないために、アミド化率が低く、水素、ヘリウム、酸素、窒素や二酸化炭素などの小さな分子に対しては十分なガスバリア性を有しているとは言い難く、また他ポリマーとの接着性に劣るなどの問題があり、熱可塑性樹脂でのアロイなどでは品質に優れる成形品を安定して得ることができなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−38425号公報(第1−2頁)
【特許文献2】
特開昭63−39918号公報(第1−2頁)
【特許文献3】
特開昭63−57633号公報(第1−3頁)
【特許文献4】
特開平3−52921号公報(第1−2頁)
【特許文献5】
特開平3−501749号公報(第1−4頁)
【特許文献6】
特開平10−96839号公報(第1−2頁)
【特許文献7】
特開2001−2766号公報(第1−2頁)
【特許文献8】
特開2001−114876号公報(第1−2頁)
【特許文献9】
特表平10−501277号公報(第1−5頁)
【特許文献10】
特表2000−508002号公報(第1−7頁)
【特許文献11】
特開昭63−284221号公報(第1−2頁)
【特許文献12】
特開平2−294329号公報(第1−2頁)
【特許文献13】
特開平2−240138号公報(第1−2頁)
【特許文献14】
特開2003−128782号公報(第1−2頁)
【特許文献15】
特開2003−105082号公報(第1−2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来の技術に鑑み、発生ガス、異物が少なく、成形性に優れ、高強度であり、更にガスバリア性に優れた液晶性ポリエステルアミドおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、構造単位(I)、(II)を構成するモノマー、それぞれ単独でアミド化率を上げようとしても導入できる量には限界があったが、構造単位(I)、(II)を構成するモノマーを併用することで、単独で用いるときよりも、より多くのアミド結合を導入できることを見出した。また、特定の構造単位組成比にすることにより成形加工温度を下げることが可能となるだけでなく、アミド結合を導入することで飛躍的にガスバリア性を高め、他ポリマーとの接着性にも優れた液晶性ポリエステルアミドが得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は
(1)下記構造単位(I)および(II)を含有してなる液晶性ポリエステルアミド、
【0009】
【化7】
【0010】
(式中Ar1、Ar2は芳香環を含む2価の残基を示す。)
(2)上記構造単位(I)および(II)にさらに下記構造単位(III)を含有してなる前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミド、
【0011】
【化8】
【0012】
(ただし、構造単位(III)中の2価の残基Ar3は、
【0013】
【化9】
【0014】
から選ばれた1種以上の基を示す)
(3)上記構造単位(I) 、(II)および(III)にさらに下記構造単位(IV)および(V)から選ばれた少なくとも1種の構造単位を含有する前記(2)記載の液晶性ポリエステルアミド、
【0015】
【化10】
【0016】
(ただし、構造単位(IV)中の2価の残基Ar4は、
【0017】
【化11】
【0018】
から選ばれた1種以上の基を示し、構造単位(V)中の2価の残基Ar5は、
【0019】
【化12】
【0020】
から選ばれた1種以上の基を示す。)
(4)下記式(A)で算出されたアミド化率が6〜30%の範囲の前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミド、
【0021】
【数2】
【0022】
(5)Ar1、Ar2がそれぞれ、1,4−フェニレンであることを特徴とする前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミド、
(6)全構造単位に対して(I)の構造単位が3〜25モル%、(II)の構造単位が4〜25モル%であることを特徴とする前記(1)記載の液晶性ポリエステルアミドおよび、
(7)前記(1)〜(6)いずれか記載の液晶性ポリエステルアミドを製造する方法であって、構造単位(I)および/または(II)を与えるモノマーの少なくとも1種のアミノ基が予めアシル化されたものを用い、該アシル化されているモノマーを、その他のアシル化されていないアミノ基および/または水酸基を有するモノマーのアシル化を行う際に同じ反応容器中に存在させてアシル化反応を行い、その後重縮合を行うことにより液晶性ポリエステルアミドを製造することを特徴とする液晶性ポリエステルアミドの製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、必須構造単位として下記構造単位(I)および(II)を含有してなる液晶性ポリエステルアミドである。
【0024】
【化13】
【0025】
上記構造単位(I)は芳香族アミノカルボン酸から生成した構造単位であり、(II)は芳香族アミノアルコールから生成した構造単位であり、Ar1およびAr2は芳香環を含む2価の残基を示す。好ましい残基Ar1、Ar2として、
【0026】
【化14】
【0027】
に示す構造から選ばれた1種以上のものを例示することができるが、Ar1とAr2は同じであっても異なっていてもよい。とりわけ構造単位(I)がp−アミノ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)がp−アミノフェノールから生成した構造単位(Ar1、Ar2共に1,4−フェニレン)であることが好ましい。
【0028】
構造単位(I)の含有量は全構造単位を100モル%とした際に、3〜25モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。また、構造単位(II)の含有量は全構造単位4〜25モル%が好ましく、10〜15モル%がより好ましい。
【0029】
本発明においては構造単位(I)および(II)を併用することが本発明の効果であるガスバリア性などを発揮するために重要であり、特に上記した含有量である場合には、ガス発生や異物が少なく、かつ高強度であり、接着性に優れる液晶ポリエステルアミドが得られ好ましい。構造単位(I)、(II)どちらか一方のみでは導入できるアミド結合量に限界があり、水素、ヘリウム、酸素、窒素や二酸化炭素などの小さな分子に対しては十分なガスバリア性を有しているとは言い難く、また他ポリマーとの接着性に劣るために好ましくない。
【0030】
下記式(A)から算出されるアミド化率は、特に限定されるものではないが、6〜30モル%が好ましく、より好ましくは15〜30モル%である。
【0031】
【数3】
【0032】
アミド化率が上記した範囲にあると,接着性とガスバリア性が効率良く得られ好ましい。
【0033】
本発明における液晶性ポリエステルアミドのこれら以外の共重合成分としては,特に限定されるものではないが、エステル結合を形成する構造単位としてジカルボン酸から生成した構造単位、ヒドロキシカルボン酸から生成した構造単位、ジオールから生成した構造単位を好ましく用いることができる。
【0034】
ジカルボン酸から生成した構造単位は構造単位(III)で示され、
【0035】
【化15】
【0036】
構造単位(III)におけるAr3としては
【0037】
【化16】
【0038】
が好ましく例示でき、特に1,4−フェニレン、1,3−フェニレンが好ましい。
【0039】
ヒドロキシカルボン酸から生成した構造単位は構造単位(IV)で示され、
【0040】
【化17】
【0041】
構造単位(IV)におけるAr4として以下のものが好ましく例示でき、
【0042】
【化18】
【0043】
特に1,4−フェニレンが好ましい。
【0044】
ジオールから誘導される構造単位は、構造単位(V)で示され、
【0045】
【化19】
【0046】
構造単位(V)におけるAr5として以下のものが好ましく例示でき、
【0047】
【化20】
【0048】
特に1,4−フェニレン、4,4´−ビフェニレンが好ましい。
【0049】
これらの共重合成分については、(I)、(II)の含有量が本発明の範囲であれば、特に含有量については限定されるものではないが、上記した好ましいエステル結合形成性のモノマーを共重合した場合には、低融点であり低温での成形加工性の優れる液晶ポリエステルアミドが得られるため好ましい。
【0050】
これらの共重合成分の共重合量については、(I)、(II)の含有量が本発明の範囲に入るように調整する必要があるが、具体的な組成比は特に限定されるものではなく、幅広い組成範囲において、本発明の特性である成形加工性,ガスバリア性を発揮する液晶ポリエステルアミドが得られる。
【0051】
以下に,好ましい液晶ポリエステルアミドの一例を示して説明するが、本発明の液晶ポリエステルアミドはこの組成に限定されるものではない。
【0052】
(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)からなる液晶性ポリエステルアミドを例に取り説明する。
【0053】
構造単位(I)と構造単位(IV)の合計は構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)の合計に対して50〜70モル%が好ましく、より好ましくは50〜60モル%である。また、構造単位(II)は構造単位(II)と(V)の合計に対して30〜55モル%が好ましく、35〜50モル%がより好ましい。構造単位(II)および(VI)の合計と(III)が実質的に等モルであるが、ポリマーの末端基を調節するためにカルボン酸成分またはヒドロキシル成分を過剰に加えてもよい。すなわち「実質的に等モル」とは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットとしては等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0054】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、上記した成分以外に1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸および3,3´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族、脂環式ジオールおよび1,4−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノビフェニル、2,6−ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミンなどを本発明の特徴を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0055】
本発明の液晶性ポリエステルアミドの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルアミドの重縮合法に準じて製造できる。
【0056】
例えば、上記液晶性ポリエステルアミドの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。例として、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸から誘導される構造単位からなる液晶性ポリエステルアミドの製造について示す。
(1)芳香族アセトキシカルボン酸、芳香族アセチルアミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物のジアセチル化物、芳香族アセチルアミノアセトキシ化合物、芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(2)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、アミノ基およびフェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(3)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アセチルアミノカルボン酸もしくは芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アセチルアミノヒドロキシ化合物もしくは芳香族アミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、アセチル化されていないアミノ基およびフェノール性水酸基をアシル化した後,脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(4)芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族アミノカルボン酸のフェニルエステル、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物および、芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
(5)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸および芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アミノヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルアミドを製造する方法。
【0057】
なかでも(3)のように、構造単位(I)を与える芳香族アミノカルボン酸または構造単位(II)を与える芳香族アミノヒドロキシ化合物の両方もしくは片方、もしくは一部をアシル化したモノマーを予め用い、他のアシル化されていないアミノ基または水酸基を有するモノマーと共に反応容器に添加し、無水酢酸と反応させ、アシル化されていないアミノ基または水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合を行う方法が好ましく、具体的には芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ジヒドロキシ化合物、芳香族アセチルアミノヒドロキシ化合物、芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、アミノ基またはフェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルアミドを製造する方法が好ましい。
【0058】
無水酢酸の使用量は、アシル化するアミノ基またはフェノール性水酸基の合計の1.10当量未満であることが好ましく、1.05当量以下であることがより好ましく、より好ましくは1.03当量以下であり、下限については0.90当量以上であることが好ましい。
【0059】
本発明の液晶性ポリエステルアミドを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルアミドの溶融温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、p−アセチルアミノフェノール、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら130〜300℃の範囲で2〜6時間反応させアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度(例えば、250〜350℃の範囲)まで昇温し、1.0mmHg(133Pa)まで減圧し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。得られたポリマーはその溶融温度で反応容器内を2.0kg/cm2(0.2MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少なく、異物量のより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
【0060】
本発明の液晶性ポリエステルアミドを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルアミドのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルアミドの融点−5〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、重縮合反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
【0061】
液晶性ポリエステルアミドの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
【0062】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、数平均分子量は1,000以上であり、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは20,000〜50,000の範囲である。また、分子量1,000未満の成分の含有率は1重量%以下であることが好ましい。
【0063】
溶融粘度は10mm長、0.5mmφのダイを用い、融点+10℃(せん断速度1000/s)で好ましくは10〜50Pa・s、より好ましくは20〜40Pa・sの範囲である。
【0064】
なお、本発明における融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)である。
【0065】
このようにして得られた液晶性ポリエステルアミドは成形加工性、強度に優れており、通常の射出成形、押出し成形、ブロー成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する三次元成形品、シート、容器、パイプ、フィルムなどに加工することが可能である。なかでもガス発生、異物が少ないことからブロー成形による中空ボトル、シートまたは押出成形によるシートまたはフィルム、さらには射出成形による中空容器部品などに適している。
【0066】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、特にガスバリア性や液体バリア性に優れるため、気体および/または液体バリア部品用樹脂成形体として極めて有用であり、例えば、フロン−11、フロン−12、フロン−21、フロン−22、フロン−113、フロン−114、フロン−115、フロン−134a、フロン−32、フロン−123、フロン−124、フロン−125、フロン−143a、フロン−141b、フロン−142b、フロン−225、フロン−C318、R−502、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、メチルクロロホルム、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ジメチルエーテル、ひまし油ベースのブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリリングオイル、ウインドウオッシャ液、ガソリン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、窒素、酸素、水素、二酸化炭素、メタン、プロパン、天然ガス、アルゴン、ヘリウム、キセノン、医薬剤等の気体および/または液体あるいは気化ガス等の透過性が吸水時でも低く優れていることから、食品包装用多層フィルム・シート、飲料用多層ボトル、各種タンクのライナー材、燃料用タンク、オイル用タンクに付属するバルブや継手類、その他シャンプー、リンス、液体石鹸等の各種薬剤用ボトルなどの薬液保存容器および該ボトルに付属するポンプのゲージ、ケース類などの部品、各種燃料チューブ接続部品、オイルチューブ接続部品、ブレーキホース接続部品、ウインドウオッシャー液用ノズル、冷却水、冷媒等用クーラーホース接続用部品、エアコン冷媒用チューブ接続用部品、消火器および消火設備用ホース、医療用冷却機材用チューブの接続用部品およびバルブ類、その他薬液およびガス搬送用チューブ用途、薬品保存用容器等の薬液および耐ガス透過性が必要とされる用途、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類などの機械部品を始め、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品など各種用途に有効である。
【0067】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。尚、実施例中の物性測定の方法は以下の通りである。
【0068】
実施例1
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸16.6g(0.12モル)、p−アセトアミノ安息香酸14.3g (0.08モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸45.4g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに340℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は340℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0069】
この液晶性ポリエステルアミド(A−1)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなり、アミド化率は26.6%であった。
【0070】
以下の測定方法により物性の評価を行った。
【0071】
(1)融点
融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
【0072】
(2)ガスバリア性
JIS K7126 A法(差圧法)に準じてGTR−10(ヤナコ分析工業製)を用いて測定を行った。ガスとしては水素、酸素、二酸化炭素を用いた。
【0073】
(3)発生ガス量
約10mgの液晶ポリエステルアミドを秤量し、窒素ガス雰囲気下、液晶性ポリエステルアミドの融点+10℃の温度で30分保持した際の加熱減量率(%)を加熱重量減分析(TGA)により測定し、発生ガス量とした。
【0074】
(4)異物量
約2gの液晶ポリエステルアミドを融点+10℃でプレスして厚み50μmのプレスフィルムを作成し、プレスフィルム5枚を目視により観察し、異物の有無を評価した(評価:○:異物なし ×:異物あり)。
【0075】
(5)成形加工性
キャピログラフ1C型(東洋精機製)により、10mm長、0.5mmφのダイを用い、融点+10℃(せん断速度1000/s)での溶融粘度を評価した。
【0076】
(6)吸水時強度
プレス成形により、厚み1mm、幅12.7mm、長さ127mmの棒状片を成形し、脱イオン水中に23℃で1週間浸漬し、飽和吸水していることを重量変化がなくなったことで確認した。この試験片の曲げ強度を23℃、スパン50mmの三点荷重でクロスヘッド速度1mm/分で測定し、吸水処理していないものと比較し、曲げ強度の保持率を算出して評価した(保持率(%)=[吸水処理した試験片の強度/処理していない試験片の強度]×100)
(7)接着性
上記(6)で成形した試験片を半分の長さに切断し、融点+10℃の熱板上で切断面を押しあて、1mmの長さ分が溶融した時点で素早く2枚の試験片の溶融面をまっすぐ接合し、1分間そのまま保持した。完全に接着した試験片を一晩静置し、引張試験を23℃、スパン50mm、クロスヘッド速度10mm/分で行い、破断強度を測定した。(6)で作成した試験片の引張破断強度に対する接着試験片の破断強度の保持率を算出し、評価した(保持率(%)=[接着した試験片の破断強度/処理していない試験片の破断強度]×100)
(1)〜(7)の評価結果は表1に示した。
【0077】
実施例2
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸13.8g(0.10モル)、p−アミノ安息香酸13.7g (0.10モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(アミノ基およびフェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0078】
この液晶性ポリエステルアミド(A−2)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は30%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0079】
実施例3
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸24.9g(0.18モル)、p−アミノ安息香酸2.7g(0.02モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(アミノ基およびフェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0080】
この液晶性ポリエステルアミド(A−3)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は16.6%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0081】
実施例4
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸24.9g(0.18モル)、p−アミノ安息香酸2.7g (0.02モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アミノフェノール8.7g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸61.9g(アミノ基およびフェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0082】
この液晶性ポリエステルアミド(A−4)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して40モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は16.6%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0083】
実施例5
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸16.6g(0.12モル)、p−アセトアミノ安息香酸14.3g (0.08モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル19.9g(0.11モル)、ハイドロキノン5.9g(0.05モル)、p−アセチルアミノフェノール6.0g(0.04モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸49.5g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0084】
この液晶性ポリエステルアミド(A−5)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して20モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は20%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0085】
比較例1
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸27.6g(0.20モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル14.9g(0.08モル)、ハイドロキノン4.4g(0.04モル)、p−アセチルアミノフェノール12.1g(0.08モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は320℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0086】
この液晶性ポリエステルアミド(A−6)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して25モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は13.3%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0087】
比較例2
攪拌翼、留出管を備えた50mmφの試験管にp−ヒドロキシ安息香酸16.6g(0.12モル)、p−アセトアミノ安息香酸14.3g (0.08モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル24.2g(0.13モル)、ハイドロキノン7.7g(0.07モル)、テレフタル酸6.7g(0.04モル)、イソフタル酸26.6g(0.16モル)および無水酢酸53.6g(フェノール性水酸基合計の1.01当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら150℃で2時間反応させた後、200℃で1時間保持、さらに250℃で1時間保持後、280℃に昇温して1時間保持した。さらに320℃まで昇温し1時間保持した後、30分で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に30分間反応を続け重縮合を完了した。最終重合温度は340℃であった。次にドラフト内で撹拌翼を取り出し、ポリマーを水の中に吐出した。
【0088】
この液晶性ポリエステルアミド(A−7)はp−オキシベンゾエート単位とp−イミノベンゾエート単位がp−オキシベンゾエート単位、p−イミノベンゾエート単位、4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して50モル%、p−イミノオキシベンゼン単位が4,4´−ジオキシビフェニル単位、1,4−ジオキシベンゼン単位およびp−イミノオキシベンゼン単位の合計に対して0モル%、テレフタレート単位がテレフタレート単位およびイソフタレート単位の合計に対して20モル%からなっており、アミド化率は13.3%であった。評価は実施例1と同様に行った。
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示したように、本発明の液晶性ポリエステルアミドは、(I)および(II)のいずれかしか含有しない比較例に示した液晶ポリエステルアミドに比べて、発生ガス、異物が少なく、成形加工性に優れるため他の熱可塑性樹脂とのアロイに有利であり、接着性、ガスバリア性が高いために、タンクや包装フィルムなどの用途に有用であることがわかる。
【0091】
【発明の効果】
本発明の液晶性ポリエステルアミドは、他ポリマーとの接着性も良く成形加工温度が低温で成形性に優れ、発生ガス、異物が少なくかつガスバリア性に優れることから、燃料タンクなどの成形材料および包装フィルムなどとして好適である。
Claims (7)
- Ar1、Ar2がそれぞれ、1,4−フェニレンである請求項1記載の液晶性ポリエステルアミド。
- 全構造単位に対して(I)の構造単位が3〜25モル%、(II)の構造単位が4〜25モル%であることを特徴とする請求項1記載の液晶性ポリエステルアミド。
- 請求項1〜6いずれか記載の液晶性ポリエステルアミドを製造する方法であって、構造単位(I)および/または(II)を与えるモノマーの少なくとも1種のアミノ基が予めアシル化されたものを用い、該アシル化されているモノマーを、その他のアシル化されていないアミノ基および/または水酸基を有するモノマーのアシル化を行う際に同じ反応容器中に存在させてアシル化反応を行い、その後重縮合を行うことにより液晶性ポリエステルアミドを製造することを特徴とする液晶性ポリエステルアミドの製造方法。
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