JP2005050895A - セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部がポーラスで表面が緻密な外部電極を有するセラミック電子部品と、そのようなセラミック電子部品を容易に製造することができるセラミック電子部品の製造方法とを得る。
提供する。
【解決手段】電子部品素体12の端面に導電ペーストを焼き付けて、空孔20を有するポーラス電極層22を形成する。大径の玉石28と小径のメディア26とを用いて、電子部品素体12にバレル研磨を行う。ポーラス電極層22表面の空孔20にメディア26を埋め込むとともに、玉石28で空孔20を押しつぶし、ポーラス電極層22の表面に緻密層を形成する。これらのポーラス電極層22と緻密層とによって、外部電極を形成する。
【選択図】 図4
提供する。
【解決手段】電子部品素体12の端面に導電ペーストを焼き付けて、空孔20を有するポーラス電極層22を形成する。大径の玉石28と小径のメディア26とを用いて、電子部品素体12にバレル研磨を行う。ポーラス電極層22表面の空孔20にメディア26を埋め込むとともに、玉石28で空孔20を押しつぶし、ポーラス電極層22の表面に緻密層を形成する。これらのポーラス電極層22と緻密層とによって、外部電極を形成する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、セラミック電子部品およびその製造方法に関し、特にたとえば、セラミック部分を含む電子部品素体の端面に外部電極が形成されたセラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す図解図である。積層セラミックコンデンサ1は、電子部品素体2を含む。電子部品素体2は、複数の誘電体セラミック層3と内部電極層4とが交互に積層された構成を有する。隣接する内部電極層4は、電子部品素体2の対向端面に交互に引き出される。内部電極層4が引き出された電子部品素体2の端面には、外部電極5が形成される。したがって、2つの外部電極5には、それぞれ隣接する内部電極層4が接続され、これらの外部電極5間に静電容量が形成される。
【0003】
このような積層セラミックコンデンサ1において、図6に示すように、電子部品素体2側に形成されるポーラスな第1電極層5aと、その上に形成される緻密な第2電極層5bとで外部電極5を構成することが示されている。このような外部電極5を形成するために、電子部品素体2の端面に導電ペーストを焼き付けて空孔6を含む第1電極層5aが形成され、その上に別の導電ペーストを焼き付けて緻密な第2電極層5bが形成される。このとき、導電ペーストの組成を調整することにより、第1電極層5aをポーラスなものにすることができ、第2電極層5bを緻密なものにすることができる。このように、ポーラスな第1電極5aを形成することにより、電子部品素体2に加わる外部応力や、半田付け時の熱的衝撃などを緩和することができる。また、第2電極層5bを形成することにより、セラミック電子部品1の電気的特性を確保するとともに、電子部品素体2内への湿気の侵入を防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、外部電極5上にめっき被膜を形成する場合、外部電極5がポーラスな電極であると、めっき液が外部電極5内の空孔を介して電子部品素体2内に入り込む場合がある。めっき液が電子部品素体2内に入り込むと、内部電極層4が酸化したり、誘電体セラミック層3と内部電極層4との間で剥離が発生したりする。そこで、外部電極5を形成したのちに、玉石を用いたバレル研磨を行うことにより、玉石によって外部電極5の表面の空孔を押しつぶして塞ぎ、緻密な表面を有する外部電極5とすることができる。このように、外部電極5に緻密な表面を形成することにより、めっき液の侵入を防止することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−162359号公報
【特許文献2】
特開平7−192967号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポーラスな第1電極層と緻密な第2電極層とを順次焼き付ける方法では、導電ペーストを塗布して焼き付けるという工程を2回繰り返しているため、外部電極が厚くなる。また、組成の異なる導電ペーストを準備する必要があり、材料コストが高くなる。さらに、導電ペーストの塗布および焼き付けの繰り返しが必要であり、外部電極形成のための工程数が増え、労力がかかるという問題がある。
さらに、バレル研磨によってポーラスな外部電極の表面の空孔を押しつぶして塞ぐ方法では、玉石によって大きい空孔を潰しきれず、外部電極の表面を緻密にすることが困難である。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、内部がポーラスで表面が緻密な外部電極を有するセラミック電子部品と、そのようなセラミック電子部品を容易に製造することができるセラミック電子部品の製造方法とを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、セラミック部分を含む電子部品素体を準備する工程と、電子部品素体の端面に導電ペーストを焼き付けて空孔を有するポーラス電極層を形成する工程と、大径の玉石と小径のメディアとを用いてポーラス電極層が形成された電子部品素体をバレル研磨する工程とを含み、バレル研磨する工程において、大径の玉石によってポーラス電極層の空孔に小径のメディアを埋め込むとともに、大径の玉石によってポーラス電極層表面の空孔を押しつぶすことによって緻密層を形成し、ポーラス電極層と緻密層とからなる外部電極を形成することを特徴とする、セラミック電子部品の製造方法である。
このようなセラミック電子部品の製造方法において、小径のメディアの粒径は、100μm〜300μmの範囲にあることが好ましい。
また、小径のメディアとして、アルミナ粉末またはジルコニア粉末を使用することができる。
さらに、この発明は、セラミック部分を含む電子部品素体と、電子部品素体の端面に形成される空孔を有するポーラス電極層と、ポーラス電極層表面部の空孔に小径のメディアが埋め込まれて形成される緻密層とを含み、ポーラス電極層と緻密層とで外部電極が形成された、セラミック電子部品である。
【0009】
電子部品素体の端面にポーラス電極層を形成し、大径の玉石と小径のメディアとを用いてバレル研磨を行うことにより、大径の玉石によって小径のメディアがポーラス電極層の空孔に埋め込まれる。さらに、メディアが埋め込まれないような小さい空孔は、大径の玉石によって押しつぶされる。このように、小径のメディアが空孔に埋め込まれるとともに、空孔が押しつぶされることによって、ポーラス電極層表面に緻密層が形成される。これらのポーラス電極層と緻密層とによって、外部電極が形成される。
このように、ポーラス電極層の空孔にメディアを埋め込むために、メディアの粒径は100μm〜300μmの範囲にあることが好ましい。
このようなメディアの例としては、たとえばアルミナ粉末やジルコニア粉末などを用いることができる。
さらに、セラミック電子部品において、ポーラス電極層表面部の空孔に小径のメディアが埋め込まれることにより、ポーラス電極層表面に緻密層が形成された外部電極を得ることができる。この緻密層によって、外部からの湿気の侵入や、めっき処理時におけるめっき液の侵入を防止することができる。
【0010】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明のセラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて説明する。図1は積層セラミックコンデンサを示す斜視図であり、図2はその図解図である。積層セラミックコンデンサ10は、電子部品素体12を含む。電子部品素体12は、複数の誘電体セラミック層14と内部電極層16とが交互に積層された構成を有する。隣接する内部電極層16は、電子部品素体12の対向端面に交互に引き出される。内部電極層16が引き出された電子部品素体12の端面には、外部電極18が形成される。したがって、2つの外部電極18には、それぞれ隣接する内部電極層16が接続され、これらの外部電極18間に静電容量が形成される。
【0012】
外部電極18は、内部に空孔20を有するポーラス電極層22を含む。このポーラス電極層22は、15〜35%の空隙率を有するように形成されることが好ましい。このポーラス電極層22の表面部に緻密層24が形成される。緻密層24は、ポーラス電極層22の表面部の空孔20に小径のメディア26を埋め込むことによって形成される。メディア26としては、たとえばアルミナ粉末やジルコニア粉末などが用いられる。また、メディア26が入り込まないような小さい空孔20は、後述のバレル研磨において、玉石により押しつぶされる。このように、外部電極18の表面部の空孔20は、メディア26で埋められるか、または押しつぶされて、緻密層24が形成される。
【0013】
このような積層セラミックコンデンサ10を作製するために、たとえばBaTiO3を主成分とするセラミックグリーンシートが準備される。セラミックグリーンシートの厚みとしては、たとえば4μmとなるように形成される。このセラミックグリーンシート上に、Ni・Ag・Pdなどの内部電極ペーストが、たとえば1μmの厚さで印刷される。内部電極ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートが複数枚積み重ねられ、たとえば厚さ2.5mmのブロックが形成される。このブロックが所定の大きさ、たとえば3.2×2.5mmの大きさに切り分けられ、1200〜1300℃の還元雰囲気中で2時間焼成することにより、電子部品素体12が形成される。
【0014】
得られた電子部品素体12の内部電極層16が露出した端面には、外部電極18が形成される。そのために、電子部品素体12の端面に、Cu・Agなどの導電ペーストが塗布され、750〜850℃で1時間焼成される。このようにして、図3に示すように、空孔20を有するポーラス電極層22が形成される。このポーラス電極層22の空隙率は、15〜35%となるように形成される。
【0015】
ポーラス電極層22が形成された電子部品素体12に、乾式バレル研磨が行われる。バレル研磨のために、大径の玉石と小径のメディアとが用いられる。玉石としては、たとえば直径2mm程度の安定化ジルコニアが用いられる。また、小径のメディアとしては、たとえば数百μmのアルミナ粉末やジルコニア粉末などが用いられるが、好ましくは100μm〜300μmの粒径のメディアが用いられる。これらの玉石を300ccとメディアを260cc用いて、回転速度90rpmで120分間回転させてバレル研磨が行われる。
【0016】
このようなバレル研磨を行うことにより、図4に示すように、メディア26が玉石28によってポーラス電極層22側に押し付けられ、ポーラス電極層22の表面の空孔20にメディア26が埋め込まれる。また、メディア26が入らないような小さい空孔20は、玉石28が表面に押し付けられることによって押しつぶされる。このように、ポーラス電極層22の表面部の空孔20にメディア26が埋め込まれたり、空孔20が押しつぶされたりして、ポーラス電極層22の表面に緻密層24が形成される。これらのポーラス電極層22と緻密層24とによって、外部電極18が構成される。
【0017】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサ10では、外部電極18の表面が緻密層22になっているため、外部電極18内への湿気の侵入や、電解めっき処理時のめっき液の侵入を防止することができる。したがって、湿気やめっき液による内部電極層16の酸化や、誘電体セラミック層14と内部電極層16との間の剥離などの発生を防止することができる。
【0018】
さらに、外部電極18の緻密層22内はポーラス電極層22となっているため、積層セラミックコンデンサ10を回路基板などに実装する際に、半田付け時の熱的衝撃を緩和することができる。さらに、積層セラミックコンデンサ10が実装された回路基板が曲がったりしても、ポーラスな電極層22によって回路基板から加わる応力が緩和され、応力による電子部品素体12の破損を防止することができる。
【0019】
このような積層セラミックコンデンサ10を得るために、上述のように大径の玉石と小径のメディアとを用いたバレル研磨を行うことにより、ポーラス電極層22の表面に容易に緻密層22を形成することができる。つまり、この方法によれば、導電ペーストの塗布と焼き付けを2回も行う必要がなく、バレル研磨を行うだけで緻密層22を形成することができる。さらに、ポーラス電極層22表面の空孔20にメディア24を埋め込むとともに、空孔20を押しつぶすことにより、外部電極18の表面に確実に緻密層22を形成することができる。
【0020】
この発明にかかるセラミック電子部品およびその製造方法は、積層セラミックコンデンサに限らず、セラミック部分を含む電子部品素体の端面に外部電極が形成された全てのセラミック電子部品に適用することができ、これらの全てのセラミック電子部品の製造に適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、大径と玉石と小径のメディアとを用いたバレル研磨を行うことによって、電子部品素体の端面に形成されたポーラス電極層の表面に、容易に緻密層を形成することができる。したがって、複数回の導電ペーストの焼き付け工程が不要となり、容易にポーラス電極層と緻密層とからなる外部電極を得ることができる。
このような緻密層を形成することにより、湿気やめっき液が電子部品素体内に侵入することが防止され、内部電極層の酸化や、セラミック層と内部電極層との剥離などのような欠陥の発生を抑えることができる。さらに、緻密層の内側にポーラス電極層が形成されているため、回路基板などに実装されたセラミック電子部品にかかる外部応力や半田付け時における熱的衝撃が緩和される。したがって、外部応力や半田付けなどによるセラミック電子部品の破損を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のセラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す斜視図である。
【図2】図1に示す積層セラミックコンデンサの図解図である。
【図3】図1に示す積層セラミックコンデンサを作製するために電子部品素体の端面に形成されたポーラス電極層を示す図解図である。
【図4】図3に示すポーラス電極層にバレル研磨を行っている状態を示す図解図である。
【図5】セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す図解図である。
【図6】ポーラスな第1電極層の上に緻密な第2電極層を形成した従来の外部電極を示す図解図である。
【符号の説明】
10 積層セラミックコンデンサ
12 電子部品素体
14 誘電体セラミック層
16 内部電極層
18 外部電極
20 空孔
22 ポーラス電極層
24 緻密層
26 メディア
28 玉石
【発明の属する技術分野】
この発明は、セラミック電子部品およびその製造方法に関し、特にたとえば、セラミック部分を含む電子部品素体の端面に外部電極が形成されたセラミック電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す図解図である。積層セラミックコンデンサ1は、電子部品素体2を含む。電子部品素体2は、複数の誘電体セラミック層3と内部電極層4とが交互に積層された構成を有する。隣接する内部電極層4は、電子部品素体2の対向端面に交互に引き出される。内部電極層4が引き出された電子部品素体2の端面には、外部電極5が形成される。したがって、2つの外部電極5には、それぞれ隣接する内部電極層4が接続され、これらの外部電極5間に静電容量が形成される。
【0003】
このような積層セラミックコンデンサ1において、図6に示すように、電子部品素体2側に形成されるポーラスな第1電極層5aと、その上に形成される緻密な第2電極層5bとで外部電極5を構成することが示されている。このような外部電極5を形成するために、電子部品素体2の端面に導電ペーストを焼き付けて空孔6を含む第1電極層5aが形成され、その上に別の導電ペーストを焼き付けて緻密な第2電極層5bが形成される。このとき、導電ペーストの組成を調整することにより、第1電極層5aをポーラスなものにすることができ、第2電極層5bを緻密なものにすることができる。このように、ポーラスな第1電極5aを形成することにより、電子部品素体2に加わる外部応力や、半田付け時の熱的衝撃などを緩和することができる。また、第2電極層5bを形成することにより、セラミック電子部品1の電気的特性を確保するとともに、電子部品素体2内への湿気の侵入を防止することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、外部電極5上にめっき被膜を形成する場合、外部電極5がポーラスな電極であると、めっき液が外部電極5内の空孔を介して電子部品素体2内に入り込む場合がある。めっき液が電子部品素体2内に入り込むと、内部電極層4が酸化したり、誘電体セラミック層3と内部電極層4との間で剥離が発生したりする。そこで、外部電極5を形成したのちに、玉石を用いたバレル研磨を行うことにより、玉石によって外部電極5の表面の空孔を押しつぶして塞ぎ、緻密な表面を有する外部電極5とすることができる。このように、外部電極5に緻密な表面を形成することにより、めっき液の侵入を防止することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−162359号公報
【特許文献2】
特開平7−192967号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポーラスな第1電極層と緻密な第2電極層とを順次焼き付ける方法では、導電ペーストを塗布して焼き付けるという工程を2回繰り返しているため、外部電極が厚くなる。また、組成の異なる導電ペーストを準備する必要があり、材料コストが高くなる。さらに、導電ペーストの塗布および焼き付けの繰り返しが必要であり、外部電極形成のための工程数が増え、労力がかかるという問題がある。
さらに、バレル研磨によってポーラスな外部電極の表面の空孔を押しつぶして塞ぐ方法では、玉石によって大きい空孔を潰しきれず、外部電極の表面を緻密にすることが困難である。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、内部がポーラスで表面が緻密な外部電極を有するセラミック電子部品と、そのようなセラミック電子部品を容易に製造することができるセラミック電子部品の製造方法とを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、セラミック部分を含む電子部品素体を準備する工程と、電子部品素体の端面に導電ペーストを焼き付けて空孔を有するポーラス電極層を形成する工程と、大径の玉石と小径のメディアとを用いてポーラス電極層が形成された電子部品素体をバレル研磨する工程とを含み、バレル研磨する工程において、大径の玉石によってポーラス電極層の空孔に小径のメディアを埋め込むとともに、大径の玉石によってポーラス電極層表面の空孔を押しつぶすことによって緻密層を形成し、ポーラス電極層と緻密層とからなる外部電極を形成することを特徴とする、セラミック電子部品の製造方法である。
このようなセラミック電子部品の製造方法において、小径のメディアの粒径は、100μm〜300μmの範囲にあることが好ましい。
また、小径のメディアとして、アルミナ粉末またはジルコニア粉末を使用することができる。
さらに、この発明は、セラミック部分を含む電子部品素体と、電子部品素体の端面に形成される空孔を有するポーラス電極層と、ポーラス電極層表面部の空孔に小径のメディアが埋め込まれて形成される緻密層とを含み、ポーラス電極層と緻密層とで外部電極が形成された、セラミック電子部品である。
【0009】
電子部品素体の端面にポーラス電極層を形成し、大径の玉石と小径のメディアとを用いてバレル研磨を行うことにより、大径の玉石によって小径のメディアがポーラス電極層の空孔に埋め込まれる。さらに、メディアが埋め込まれないような小さい空孔は、大径の玉石によって押しつぶされる。このように、小径のメディアが空孔に埋め込まれるとともに、空孔が押しつぶされることによって、ポーラス電極層表面に緻密層が形成される。これらのポーラス電極層と緻密層とによって、外部電極が形成される。
このように、ポーラス電極層の空孔にメディアを埋め込むために、メディアの粒径は100μm〜300μmの範囲にあることが好ましい。
このようなメディアの例としては、たとえばアルミナ粉末やジルコニア粉末などを用いることができる。
さらに、セラミック電子部品において、ポーラス電極層表面部の空孔に小径のメディアが埋め込まれることにより、ポーラス電極層表面に緻密層が形成された外部電極を得ることができる。この緻密層によって、外部からの湿気の侵入や、めっき処理時におけるめっき液の侵入を防止することができる。
【0010】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明のセラミック電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて説明する。図1は積層セラミックコンデンサを示す斜視図であり、図2はその図解図である。積層セラミックコンデンサ10は、電子部品素体12を含む。電子部品素体12は、複数の誘電体セラミック層14と内部電極層16とが交互に積層された構成を有する。隣接する内部電極層16は、電子部品素体12の対向端面に交互に引き出される。内部電極層16が引き出された電子部品素体12の端面には、外部電極18が形成される。したがって、2つの外部電極18には、それぞれ隣接する内部電極層16が接続され、これらの外部電極18間に静電容量が形成される。
【0012】
外部電極18は、内部に空孔20を有するポーラス電極層22を含む。このポーラス電極層22は、15〜35%の空隙率を有するように形成されることが好ましい。このポーラス電極層22の表面部に緻密層24が形成される。緻密層24は、ポーラス電極層22の表面部の空孔20に小径のメディア26を埋め込むことによって形成される。メディア26としては、たとえばアルミナ粉末やジルコニア粉末などが用いられる。また、メディア26が入り込まないような小さい空孔20は、後述のバレル研磨において、玉石により押しつぶされる。このように、外部電極18の表面部の空孔20は、メディア26で埋められるか、または押しつぶされて、緻密層24が形成される。
【0013】
このような積層セラミックコンデンサ10を作製するために、たとえばBaTiO3を主成分とするセラミックグリーンシートが準備される。セラミックグリーンシートの厚みとしては、たとえば4μmとなるように形成される。このセラミックグリーンシート上に、Ni・Ag・Pdなどの内部電極ペーストが、たとえば1μmの厚さで印刷される。内部電極ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートが複数枚積み重ねられ、たとえば厚さ2.5mmのブロックが形成される。このブロックが所定の大きさ、たとえば3.2×2.5mmの大きさに切り分けられ、1200〜1300℃の還元雰囲気中で2時間焼成することにより、電子部品素体12が形成される。
【0014】
得られた電子部品素体12の内部電極層16が露出した端面には、外部電極18が形成される。そのために、電子部品素体12の端面に、Cu・Agなどの導電ペーストが塗布され、750〜850℃で1時間焼成される。このようにして、図3に示すように、空孔20を有するポーラス電極層22が形成される。このポーラス電極層22の空隙率は、15〜35%となるように形成される。
【0015】
ポーラス電極層22が形成された電子部品素体12に、乾式バレル研磨が行われる。バレル研磨のために、大径の玉石と小径のメディアとが用いられる。玉石としては、たとえば直径2mm程度の安定化ジルコニアが用いられる。また、小径のメディアとしては、たとえば数百μmのアルミナ粉末やジルコニア粉末などが用いられるが、好ましくは100μm〜300μmの粒径のメディアが用いられる。これらの玉石を300ccとメディアを260cc用いて、回転速度90rpmで120分間回転させてバレル研磨が行われる。
【0016】
このようなバレル研磨を行うことにより、図4に示すように、メディア26が玉石28によってポーラス電極層22側に押し付けられ、ポーラス電極層22の表面の空孔20にメディア26が埋め込まれる。また、メディア26が入らないような小さい空孔20は、玉石28が表面に押し付けられることによって押しつぶされる。このように、ポーラス電極層22の表面部の空孔20にメディア26が埋め込まれたり、空孔20が押しつぶされたりして、ポーラス電極層22の表面に緻密層24が形成される。これらのポーラス電極層22と緻密層24とによって、外部電極18が構成される。
【0017】
このようにして得られた積層セラミックコンデンサ10では、外部電極18の表面が緻密層22になっているため、外部電極18内への湿気の侵入や、電解めっき処理時のめっき液の侵入を防止することができる。したがって、湿気やめっき液による内部電極層16の酸化や、誘電体セラミック層14と内部電極層16との間の剥離などの発生を防止することができる。
【0018】
さらに、外部電極18の緻密層22内はポーラス電極層22となっているため、積層セラミックコンデンサ10を回路基板などに実装する際に、半田付け時の熱的衝撃を緩和することができる。さらに、積層セラミックコンデンサ10が実装された回路基板が曲がったりしても、ポーラスな電極層22によって回路基板から加わる応力が緩和され、応力による電子部品素体12の破損を防止することができる。
【0019】
このような積層セラミックコンデンサ10を得るために、上述のように大径の玉石と小径のメディアとを用いたバレル研磨を行うことにより、ポーラス電極層22の表面に容易に緻密層22を形成することができる。つまり、この方法によれば、導電ペーストの塗布と焼き付けを2回も行う必要がなく、バレル研磨を行うだけで緻密層22を形成することができる。さらに、ポーラス電極層22表面の空孔20にメディア24を埋め込むとともに、空孔20を押しつぶすことにより、外部電極18の表面に確実に緻密層22を形成することができる。
【0020】
この発明にかかるセラミック電子部品およびその製造方法は、積層セラミックコンデンサに限らず、セラミック部分を含む電子部品素体の端面に外部電極が形成された全てのセラミック電子部品に適用することができ、これらの全てのセラミック電子部品の製造に適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
この発明によれば、大径と玉石と小径のメディアとを用いたバレル研磨を行うことによって、電子部品素体の端面に形成されたポーラス電極層の表面に、容易に緻密層を形成することができる。したがって、複数回の導電ペーストの焼き付け工程が不要となり、容易にポーラス電極層と緻密層とからなる外部電極を得ることができる。
このような緻密層を形成することにより、湿気やめっき液が電子部品素体内に侵入することが防止され、内部電極層の酸化や、セラミック層と内部電極層との剥離などのような欠陥の発生を抑えることができる。さらに、緻密層の内側にポーラス電極層が形成されているため、回路基板などに実装されたセラミック電子部品にかかる外部応力や半田付け時における熱的衝撃が緩和される。したがって、外部応力や半田付けなどによるセラミック電子部品の破損を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のセラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す斜視図である。
【図2】図1に示す積層セラミックコンデンサの図解図である。
【図3】図1に示す積層セラミックコンデンサを作製するために電子部品素体の端面に形成されたポーラス電極層を示す図解図である。
【図4】図3に示すポーラス電極層にバレル研磨を行っている状態を示す図解図である。
【図5】セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサを示す図解図である。
【図6】ポーラスな第1電極層の上に緻密な第2電極層を形成した従来の外部電極を示す図解図である。
【符号の説明】
10 積層セラミックコンデンサ
12 電子部品素体
14 誘電体セラミック層
16 内部電極層
18 外部電極
20 空孔
22 ポーラス電極層
24 緻密層
26 メディア
28 玉石
Claims (4)
- セラミック部分を含む電子部品素体を準備する工程、
前記電子部品素体の端面に導電ペーストを焼き付けて空孔を有するポーラス電極層を形成する工程、および
大径の玉石と小径のメディアとを用いて前記ポーラス電極層が形成された前記電子部品素体をバレル研磨する工程を含み、
バレル研磨する工程において、前記大径の玉石によって前記ポーラス電極層の空孔に前記小径のメディアを埋め込むとともに、前記大径の玉石によって前記ポーラス電極層表面の空孔を押しつぶすことことによって緻密層を形成し、前記ポーラス電極層と前記緻密層とからなる外部電極を形成することを特徴とする、セラミック電子部品の製造方法。 - 前記小径のメディアの粒径は、100μm〜300μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
- 前記小径のメディアはアルミナ粉末またはジルコニア粉末である、請求項1または請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
- セラミック部分を含む電子部品素体、
前記電子部品素体の端面に形成される空孔を有するポーラス電極層、および
前記ポーラス電極層表面部の空孔に小径のメディアが埋め込まれて形成される緻密層を含み、
前記ポーラス電極層と前記緻密層とで外部電極が形成された、セラミック電子部品。
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