JP2005012726A - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】1ライン分の画像データを誤差拡散処理するための所要時間を短縮する。
【解決手段】1ライン分の多階調の画像データ100を、境界部分にオーバーラップ領域101が生じるようにして複数に分割して得た分割画像データ102、103のそれぞれに誤差拡散処理を施して、各分割画像データ102、103に対応する2値画像データ104、105を生成する。これらを結合して元の1ライン分に相当する2値画像データ106を形成する。この際、オーバーラップ領域については、分割前のラインにおいて誤差拡散処理の進行方向で上流側に位置する分割画像データ102から得た2値画像データb2を採用する。
【選択図】図1
【解決手段】1ライン分の多階調の画像データ100を、境界部分にオーバーラップ領域101が生じるようにして複数に分割して得た分割画像データ102、103のそれぞれに誤差拡散処理を施して、各分割画像データ102、103に対応する2値画像データ104、105を生成する。これらを結合して元の1ライン分に相当する2値画像データ106を形成する。この際、オーバーラップ領域については、分割前のラインにおいて誤差拡散処理の進行方向で上流側に位置する分割画像データ102から得た2値画像データb2を採用する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多階調の画像データを誤差拡散処理により中間調を表現可能な2値画像データに変換する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やスキャナ装置の読取部は、原稿に光を照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)等の光電気変換素子で受光し、光強度に応じたアナログ電気信号に変換し、これをさらにA/D変換することで原稿画像に対応するデジタル電気信号を出力するようになっている。たとえば、出力されるデジタル電気信号が各画素を10ビット(bit)で表わす場合には、画素毎に1024階調の濃淡を表現することができる。
【0003】
通常は、このデジタル電気信号に、光電変換素子の感度のばらつき補正、輝度濃度変換、MTF補正、ノイズ除去等の処理を施し、各画素を8ビット・256階調で表現した画像データに変換する。さらにこの多階調の画像データを誤差拡散処理によって2値化し、各画素を深さ1ビット(白/黒の何れか)で表現した2値画像データに変換し、これをプリンタ部やファクシミリ部に送る画像データとして利用するようになっている。
【0004】
多階調の画像データを2階調(通常、白と黒)の2値画像データに変換する場合、各画素の濃度を所定のしきい値と比較し、濃度がしきい値より大きい場合はその画素を黒に、小さい場合は白に変換する。たとえば256階調を表現可能な画像データの濃度が「200」で、しきい値が「128」の場合は、この画素を黒に判定する。このような単純な2値化方法では、元の画素の濃度が「0」から「127」まではすべて白に、「128」から「255」まではすべて黒に変換されるので、元の画像データが有していた階調性がほとんど失われてしまう。
【0005】
そこで各画素を深さ1ビットの白黒2階調で表現しつつ、離れて見れば複数の画素によって階調性を表現し得る2値化方式として誤差拡散方式が提案されている。誤差拡散方式では、ある画素を2値化した後の濃度(白または黒)と元の濃度との誤差を周囲の未処理画素に分配することで、階調性を保存するようになっている。 たとえば、図17に示すように、多階調の画像データの濃度を「0」から「255」までの256階調で表現する場合に、しきい値を「128」として2値化すると、濃度が「255」の画素901の場合には元々全黒なので誤差は「0」になる。濃度が「126」の画素902の場合には、全黒との誤差912が「126」になり、濃度が「200」の画素903の場合には全黒との誤差913が「55」になる。
【0006】
誤差拡散処理では、このように2値化の際に生じた誤差は、周囲の未処理画素に繰り越されて分配される。濃度が「200」の画素を例にとると、この画素は、2値化後の全黒(濃度255)に比べて少し白いグレー色(濃度200)なので、この少し白いという情報(濃度200と濃度255との誤差(−55))が周囲の複数の未処理画素に分配される。
【0007】
誤差拡散処理では、処理画素を2値化した際に生じる濃度の誤差をその周囲の未処理の画素に繰り越して分配するので、たとえばページの先頭から末尾へ、あるいはラインの先頭から末尾へ向かうように一定の方向に処理を順に進める必要がある。
【0008】
このような制約の下で、複数ページに分割して印刷される長尺画像に、誤差拡散処理を適切に施す画像形成装置が以下の特許文献1に開示されている。この装置では、2値化時に発生する誤差を格納する誤差データバッファをページ間で初期化しないことにより、前ページからの誤差を引き継いで、2ページ目以降のページに誤差拡散処理を施すようになっている。
【0009】
また、以下に示す特許文献2には、必要メモリ量を少なくするために、ページを複数のバンドに分割してバンド単位に誤差拡散処理を行なうとともに、誤差データバッファをバンド単位で管理することで、バンドの継ぎ目における画質劣化を防止する技術が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−158714号公報
【特許文献2】
特開2002−237952号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
スキャナ装置などからライン単位に画像データを読み取る場合において、1ライン分の多階調の画像データを誤差拡散処理するための所要時間が、このスキャナ装置におけるラインの読み取り周期より短時間であれば、スキャナの読取速度に合わせて誤差拡散処理をリアルタイムに実効することができる。
【0012】
しかしながら、読み取りながら拡大処理を施す場合のように、1ライン当たりの画素数が増加すると、誤差拡散処理がスキャナ装置の読取周期に追いつかなくなる。このような場合には、多階調の画像データをページメモリに1ページ分格納してから拡大処理や誤差拡散処理を行なう等の対策が必要であった。たとえば、A4原稿を解像度600dpiで読み取る場合に、各画素が256階調の画像データを1ページ分格納するために必要なメモリ容量は32メガバイトにもなってしまう。また、多階調の画像データを1ページ分メモリに格納し終えた後でなければ、誤差拡散処理を開始できないので、2値化された画像データを生成するまでに時間がかかり、その後の処理が滞ってしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、1ライン分の画像データを誤差拡散処理するための所要時間を短縮することのできる画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理装置であって、画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように前記複数の分割画像データのそれぞれに誤差拡散処理を施して2値化した2値画像データを出力する誤差拡散処理実行手段(31、32、33、36、38)と、前記誤差拡散処理実行手段(31、32、33、36、38)が出力する2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する画像データ結合手段(40)とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【0015】
上記発明によれば、1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、それぞれに誤差拡散処理を施して得た2値画像データ同士を結合して分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する。また分割の際には、境界部分に画像データの重複するオーバーラップ領域を設け、2値画像データ同士を結合する際には、オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから生成されたものを採用する。
【0016】
処理対象の画素(以後、処理画素という)を2値化した際に発生した誤差(元の画素の濃度と2値化後の画素との濃度差)は周辺の未処理の画素に所定の分配率で分配される。たとえば、誤差拡散処理の進行方向で次の画素に発生誤差の4分の1が分配されるものとすると、処理画素から発生した誤差は次の次の画素には16分の1が、さらにその次の画素には64分の1が分配され、その影響は次第に小さくなる。たとえば、各画素を8ビット・256階調で表し、次の画素に誤差の4分の1を分配する場合には、処理画素で生じた誤差は5画素以上先の画素にはビット落ちが生じて分配されなくなる。そこで処理画素で発生した誤差の影響が無くなる以上にオーバーラップ領域の画素数を設定すれば、オーバーラップ領域の先頭から誤差拡散処理を開始した場合でも、処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と同一の2値画像データを得ることができる。
【0017】
したがって、オーバーラップ領域については誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインで上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して各分割画像データから得た2値画像データ同士を結合すれば、ラインを分割しないで誤差拡散処理を施した場合と同一の2値画像データを取得することができる。そして、各分割画像データに対する誤差拡散処理を並列に実行すれば、ライン単位で見た場合の処理時間を短縮することができる。
【0018】
なお、1ラインの画像データを実際にメモリ上で複数の分割画像データに分けて処理してもよいし、たとえば、多階調の画像データを元の1ラインのまま連続的にメモリに格納しておき、ここからデータを読み出して誤差拡散処理を施す際の開始アドレスと終了アドレスの設定により、誤差拡散処理を施す範囲がオーバーラップするように構成してもよい。
【0019】
請求項2にかかわる発明は、前記誤差拡散処理実行手段(31、32、33、36、38)は、前記複数の分割画像データに対する誤差拡散処理を並列に実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0020】
上記発明によれば、複数の分割画像データに対する誤差拡散処理が並列に実行される。これにより1ライン分の画像データに誤差拡散処理を施すための所要時間が短縮される。
【0021】
請求項3にかかわる発明は、2値化の際に生じる処理画素の濃度と2値化後の画素濃度との誤差を誤差拡散処理によって周囲の画素に分配する際の分配率のうち誤差拡散処理の進行方向前方にある未処理の画素への分配率の最大値をD(Dは、0<D<1の範囲にある実数)としたとき、DのN乗(Nは正の整数)が2値化前の画像データで表現可能な階調数分の1以下になるNの最小値に1を加算した値以上の数に、前記オーバーラップ領域の画素数を設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置である。
【0022】
上記発明によれば、処理画素を2値化する際に生じた誤差の影響が無くなる以上の画素数をオーバーラップ領域が備えているので、オーバーラップ領域の先頭から誤差拡散処理を開始した場合でも、処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と同一の2値画像データを得ることができる。
【0023】
請求項4にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理装置であって、画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割する画像データ分割手段(31)と、前記画像データ分割手段(31)によって分割して得た分割画像データ毎に設けられ、対応する分割画像データを格納する複数の濃度データバッファ(32、33)と、前記濃度データバッファ(32、33)毎に設けられ、2値化の際に生じる元の画素濃度と2値化後の画素濃度との誤差の大きさを示す誤差データを格納する複数の誤差データバッファ(37、39)と、前記濃度データバッファ(32、33)毎に設けられ、対応する濃度データバッファ(32、33)に格納された分割画像データに誤差拡散処理を施して2値化した2値画像データを出力する複数の誤差拡散処理実行手段(36、38)であって互いに分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように誤差拡散処理を並列に実行するものと、前記複数の誤差拡散処理実行手段(36、38)から出力される2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する画像データ結合手段(40)とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【0024】
上記発明によれば、分割画像データ毎に濃度データバッファ(32、33)および誤差データバッファ(37、39)を有するので、メモリアクセスの競合を調停することなく、分割画像データ毎に誤差拡散処理を並列に実行することが可能になる。またメモリアクセスの競合による待ち時間が発生せず、処理が高速化される。
【0025】
請求項5にかかわる発明は、1ライン分の多階調の画像データを互いに同一画素数の分割画像データに分割することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の画像処理装置である。
【0026】
上記発明によれば、各分割画像データに対する誤差拡散処理の所要時間が等しくなり、並列処理が無駄なく行なわれ、全体としての処理時間が短縮される。
【0027】
請求項6にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理方法であって、画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように前記複数の分割画像データのそれぞれに誤差拡散処理を並列に施して前記分割画像データを2値化した2値画像データを取得し、前記2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成することを特徴とする画像処理方法である。
【0028】
請求項7にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理方法であって、画像の一部領域に誤差拡散処理を施す場合に、誤差拡散処理の進行方向で前記一部領域の所定量手前の位置から誤差拡散処理を開始することを特徴とする画像処理方法である。
【0029】
上記発明によれば、2値画像データを取得すべき一部領域の所定量手前から誤差拡散処理を開始するので、画像の一部領域をトリミングするような場合にも、画像全体に誤差拡散処理を施す場合と同様の2値画像データを一部領域について取得でき、画像端部での画質が向上する。ここで所定量手前とは、画像の横方向(主走査方向)手前と縦方向(副走査方向)手前のいずれかまたは双方を含む。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明にかかわる画像処理装置10の概略構成を示している。この装置は、原稿画像を読み取るスキャナ機能、原稿を読み取りその複製を記録紙上に形成して出力するコピー機能、遠隔の装置と画像データの送受信を行なうファクシミリ機能、パソコン等から入力される印字データに基づいて印刷するプリンタ機能などを備えており、一般に、デジタル複合機と称される装置である。
【0031】
画像処理装置10は、本装置の動作を統括制御するCPU(中央処理装置)11を有する。CPU11にはバスを通じて各種の装置が接続されている。このうちROM(リード・オンリ・メモリ)12は、CPU11の動作手順を表したプログラムや各種固定データを記憶した読み出し専用メモリである。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)13は、CPU11がプログラムを実行する際に必要となる各種データを一時的に記憶するほか、2値化後の画像データを1ページ分記憶するページメモリとしての機能を果たす。
【0032】
読取部20は、図示省略のプラテンガラス上に載置された原稿あるいは図示省略の自動原稿送り装置によって給紙された原稿の画像を読み取り、対応する画像データを出力する機能を果たす。プリンタ部14は、入力された画像データに対応する画像を記録紙上に形成して出力する機能を果たす。ここでは、電子写真プロセスを用いたレーザープリンタでプリンタ部14を構成してある。ファクシミリ部15は、通信回線を通じて遠隔の装置との間で画像データを送受信するファクシミリとしての機能を果たす。
【0033】
読取部20は、原稿の幅方向(主走査方向)に1ライン分の画像を読み取ることのできるラインイメージセンサとして構成されたCCD21を有し、CCD21による読み取り位置を原稿の長さ方向(副走査方向)に移動させて原稿全体を読み取るようになっている。CCD21は、原稿に照射された光の反射光を受光し、その光強度に応じたアナログ電気信号を出力する。このアナログ電気信号をA/D変換部22で深さ10ビットのデジタル電気信号に変換し、さらにシェーディング補正等をAFE(アナログ・フロント・エンド)部23で施して、各画素の濃度を256階調で表現した深さ8ビットのデジタル電気信号に変換する。
【0034】
誤差拡散処理部30は、AFE部23から出力される多階調の画像データ(デジタル電気信号)に誤差拡散処理を施して、各画素を白または黒のいずれかで表現した深さ1ビットの2値画像データに変換する。また画像に拡大処理を施す機能を有している。誤差拡散処理部30は、CCD21が1つのラインの読み取りを開始してから次のラインの読み取りを開始するまでのライン読み取り周期よりも短い時間で1つのラインに対する拡大処理および誤差拡散処理を終了させることで、CCD21の読み取り速度に合わせた逐次処理を実現する。
【0035】
誤差拡散処理の進行に伴って誤差拡散処理部30からシリアルに出力される2値画像データはS/P変換部24でバス幅に対応したパラレル信号に変換されてバス上に出力される。読取部20の出力する2値画像データは、ページメモリに記憶され、必要に応じて図示省略の回転処理部で回転処理された後、これまた図示省略の磁気ディスク装置に記憶されたり、プリンタ部14やファクシミリ部15で利用されたりする。
【0036】
図3は、誤差拡散処理部30の内部構成を示している。誤差拡散処理部30は、シーケンス制御部41により各部の動作を制御するようになっている。画像データ分割手段31は、AFE部23から順次入力される1ライン分の多階調の画像データを、その途中に画像データが重複するオーバーラップ領域を設けて2つの分割画像データに分割する機能を果たす。第1の濃度データバッファ32は、分割前のラインで先頭側にあった分割画像データを格納するメモリであり、第2の濃度データバッファ33は、分割前のラインで末尾側にあった分割画像データを格納するメモリである。
【0037】
たとえば、1ラインの先頭からラインの中央+100画素までを第1の分割画像データとして第1の濃度データバッファ32に格納し、ラインの中央−100画素からラインの末尾までを第2の分割画像データとして第2の濃度データバッファ33に格納する。これにより、境界部分に200画素のオーバーラップ領域を設けて、1ライン分の画像データが2つの分割画像データに分割される。画像データ分割手段31は、AFE部23から順次入力される画像データに対する書込信号を第1の濃度データバッファ32のみに出力するか、第1の濃度データバッファ32と第2の濃度データバッファ33の双方に出力するか、第2の濃度データバッファ33のみに出力するかを制御して、上記の分割処理を実現する。
【0038】
第1の拡大処理部34は、第1の濃度データバッファ32に格納されている第1の分割画像データに拡大処理を施す機能を果たし、第2の拡大処理部35は、第2の濃度データバッファ33に格納されている第2の分割画像データに拡大処理を施す。たとえば、主走査方向に画像を1.5倍に拡大する場合には、拡大前の画像の2画素毎に1画素を挿入する。挿入画素の濃度は、挿入画素の前後にある画素の濃度の平均値を割り当てる。
【0039】
図4は、拡大前の画像データ120と、これを主走査方向に1.5倍に拡大した画像データ121の一例を示している。濃度「80」の画素Aと濃度「100」の画素Bとの間にこれらの平均濃度「90」を備えた画素Xが生成されて挿入されている。同様に濃度「100」の画素Bと濃度「106」の画素Cとの間にこれらの平均濃度「103」を備えた画素Yが挿入され、濃度「106」の画素Cの濃度「60」の画素Dとの間にこれらの平均濃度「83」を備えた画素Zが生成され挿入されている。
【0040】
第1の拡大処理部34は、第1の濃度データバッファ32に格納されている第1の分割画像データをその先頭から順に読み出すとともに、上述したような画素の挿入処理をリアルタイムに行ないながら、拡大後の画像データを順次第1の誤差拡散処理実行手段36へ出力する。第2の拡大処理部35は第2の濃度データバッファ33に格納されている第2の分割画像データに対して同様の処理を施したものを順次第2の誤差拡散処理実行手段38へ出力するようになっている。
【0041】
第1の誤差拡散処理実行手段36は、第1の拡大処理部34から入力される多階調の画像データに誤差拡散処理を施して2値化する機能を果たし、第2の誤差拡散処理実行手段38は、第2の拡大処理部35から入力される多階調の画像データに誤差拡散処理を施して2値化する機能を果たす。
【0042】
図17に示すように、中間調の画素を白または黒の何れかに2値化すると、2値化前の画素が持つ濃度と2値化後の画素の濃度との差の分だけ濃度に誤差が生じるので、この誤差を誤差拡散処理では、周囲の未処理画素に分配する。図5は、処理画素を2値化する際に生じた誤差を周囲の7つの未処理画素に分配する場合の分配比率の一例を示している。誤差拡散処理は1つのライン内では矢印131で表した主走査方向に進行し、ライン間では矢印132で表した副走査方向に進行する。この例では、処理画素133を2値化した際に発生した誤差の16分の4を主走査方向で次に処理される画素134に分配し、さらにその次の画素135に誤差の16分の2を分配する。副走査方向で次に処理されるラインへの分配については、処理画素133の真下の画素136に誤差の16分の4が、その前後の画素137、138のそれぞれに誤差の16分の2が、さらにその前後の画素139、140のそれぞれに誤差の16分の1が分配される。
【0043】
図6は、処理画素を2値化する際に生じた誤差を周囲12個の未処理画素に分配する場合の分配比率の一例を示している。矢印151は、主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を、矢印152は、副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示している。処理画素153を2値化する際に生じた誤差は、各画素の中に示した数値が示す比率で分配される。分配比率は、処理画素133、153からの距離が遠くなるほど小さくなるように設定される。
【0044】
第1の誤差拡散処理実行手段36は、副走査方向で次のラインに分配する誤差の大きさを表した誤差データを格納する第1の誤差データバッファ37を有している。第1の誤差データバッファ37には、各画素を2値化した際に生じた誤差の大きさ示す誤差データがラインの先頭から順に1ライン分登録される。同様に第2の誤差拡散処理実行手段38は第2の誤差データバッファ39を有している。
【0045】
図7は、図5に示す態様で誤差を分配する場合における第1の誤差拡散処理実行手段36の構成を表している。第1の誤差拡散処理実行手段36は、第1の加算器51と、次次画素レジスタ52と、第2の加算器53と、次画素レジスタ54と、第3の加算器55と、比較器56と、誤差演算部57と、第1の誤差データバッファ37とから構成される。
【0046】
第1の濃度データバッファ32から入力される画素には、自身の濃度にその2つ前の画素を比較器56で2値化した際に生じた誤差の16分の2が第1の加算器51によって加算されて分配される。次に、自身の1つ前の画素を2値化した際に生じた誤差の16分の4が第2の加算器53で加算されて分配される。さらに、前のラインを2値化した際の誤差を第1の誤差データバッファ37から収集し、これが第3の加算器55で加算されて分配される。こうして周囲の画素から分配されるべきすべての誤差が加算された後の濃度が、比較器56でしきい値と比較されて2値化される。
【0047】
誤差演算部57は、2値化の際に生じた誤差の大きさを求め、その値を第1の誤差データバッファ37に登録するとともに、求めた誤差の16分の4を第2の加算器53に、誤差の16分の2を第1の加算器51にそれぞれ引き渡す機能を果たす。第1の誤差データバッファ37からの誤差の収集は、図5に示した分配率に従って行なわれる。図5では、処理画素133で生じた誤差を次のラインの前後5つの画素136〜140に分配しているが、分配される側の画素から見れば、前のラインの前後5つの画素から誤差を収集すればよいことになる。したがって、第3の加算器55には、前のラインにおいて処理画素の前後にある5つ画素から図5に示す分配率に従って収集した誤差の値が第1の誤差データバッファ37から入力され次画素レジスタ54の出力値と加算される。第2の誤差拡散処理実行手段38は第1の誤差拡散処理実行手段36と同様の構成であり、その説明は省略する。
【0048】
図3の画像データ結合手段40は、第1の誤差拡散処理実行手段36から出力される2値画像データと第2の誤差拡散処理実行手段38から出力される2値画像データとを結合して1ライン分の2値画像データを出力する機能を果たす。オーバーラップ領域に対応する2値画像データは第1の誤差拡散処理実行手段36と第2の誤差拡散処理実行手段38の双方から出力されるが、この部分については、分割前のラインにおいて誤差拡散処理の進行方向で上流側の分割画像データから取得した2値画像データを採用する。すなわち、第1の誤差拡散処理実行手段36と第2の誤差拡散処理実行手段38から出力される2値画像データを、オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして第1の誤差データバッファ37が出力する2値画像データを採用して結合し、1ライン分の2値画像データを出力するようになっている。
【0049】
図1は、誤差拡散処理部30における画像データの遷移の一例を示している。この例では、拡大処理は行なわれない。1ライン分の多階調の画像データ100は、画像データ分割手段31によって、境界部分に所定の大きさのオーバーラップ領域101を設けて第1の分割画像データ102と第2の分割画像データ103に分割される。図1の例は、1ラインが1000画素で構成されており、ラインの先頭の1画素目から550画素目までを第1の分割画像データ102(a1+a2)とし、451画素目から1000画素目までを第2の分割画像データ103(a2+a3)として分割してある。オーバーラップ領域101(a2)は451画素目から550画素目までになっている。
【0050】
画像データ分割手段31は、第1の分割画像データ102を第1の濃度データバッファ32に格納し、第2の分割画像データ103を第2の濃度データバッファ33に格納する。このような分割処理は、ラインの先頭から順次入力される1ライン分の画像データ100を第1の濃度データバッファ32およびまたは第2の濃度データバッファ33に書き込む際に行なわれる。すなわち1画素目から450画素目までを濃度データバッファに書き込む際には、第1の濃度データバッファ32のみにライト信号を出力し、451画素目から550画素目までを書き込む際には第1の濃度データバッファ32と第2の濃度データバッファ33の双方にライト信号を出力し、551画素目から1000画素目までを書き込む際には第2の濃度データバッファ33のみにライト信号を出力するようになっている。
【0051】
第1の誤差拡散処理実行手段36は第1の濃度データバッファ32に格納されている第1の分割画像データ102に誤差拡散処理を施して、分割前のラインでその先頭から550画素目までに対応する第1の2値画像データ104(b1+b2)を出力する。第2の誤差拡散処理実行手段38は第2の濃度データバッファ33に格納されている第2の分割画像データ103に誤差拡散処理を施して、分割前のラインで451画素目から1000画素目までに対応する第2の2値画像データ105(b2´+b3)を出力する。
【0052】
画像データ結合手段40は、第1の2値画像データ104と第2の2値画像データ105を結合して、分割前の1ライン分に相当する2値画像データ106を生成する。この際、オーバーラップ領域101に対応する2値画像データとして、誤差拡散処理の進行方向で上流側にある第1の分割画像データ102に基づいて生成した2値画像データ(b2)を採用する。すなわち、ラインの先頭から550画素目までは第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する第1の2値画像データ104(b1+b2)を採用し、551画素目から1000画素目までは第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する第2の2値画像データ105(b3)を採用してこれらを結合し、1ライン分の2値画像データとして出力する。
【0053】
次に、A4横原稿を解像度600dpiで読み取り、これを拡大回転して、解像度600dpiでA3縦の記録紙全体に記録して出力する場合の動作について説明する。図8に示すように、処理の流れは、A4横原稿201を多階調で読み取り、これを1.41倍に拡大しつつ誤差拡散処理を施してA3横の2値画像202を生成し、この画像を90度回転させてA3縦の2値画像203に変換し、A3縦の記録紙に記録して出力するように進行する。A4横原稿の主走査方向の長さは297ミリで画素数は7016画素になるので、これを1.41倍すると9922画素になる。しかし、ここでは説明の都合上、図9に示すように、拡大前のA4横原稿211の1ラインを6000画素とし、これを1.5倍に拡大して1ラインが9000画素のA3横原稿212に変換した後、誤差拡散処理を施すものとする。
【0054】
誤差拡散処理部30は、図10に示すように、拡大前のA4横原稿211をその境界部分にオーバーラップ領域を設けて前半と後半(ページの左半分と右半分)の2つに分割し、これらに対する処理を並列に実行する。ここでは、前半をラインの先頭画素から3100画素目までとし、後半を2901画素目から6000画素目までとして2つに分割する。2901画素目から3100画素目までが前半と後半でオーバーラップする領域になる。また1.5倍に拡大することで図11に示すようなA3横原稿212となる。すなわち、前半はラインの先頭から4650画素目までの4650画素の領域になり、後半は4351画素目から6000画素目までの4650画素の領域になり、オーバーラップ領域は4351画素目から4650画素目までの領域になる。誤差拡散処理は、この拡大後の画像212に対して施される。
【0055】
読取部20は、原稿画像を光電変換素子であるCCD21で読み取り、CCD21の出力するアナログ信号をA/D変換部22で10ビットのデジタル信号に変換し、AFE部23で各種補正を施し、各画素を256階調で表現可能な8ビットの画像データ(濃度データ)に変換する。誤差拡散処理部30の画像データ分割手段31は、図12に示すように、AFE部23から順次入力される濃度データのうちラインの先頭から2900画素目までを第1の濃度データバッファ32のみに格納し、2901画素目から3100画素目までを第1の濃度データバッファ32と第2の濃度データバッファ33の双方に格納し、3101画素目から6000画素目までを第2の濃度データバッファ33のみに格納する。
【0056】
第1の濃度データバッファ32に格納された濃度データ(第1の分割画像データ)は、第1の拡大処理部34に送られ、1.5倍になるように拡大処理が施される。第1の拡大処理部34は、図4に示すように、拡大前の2画素毎に、それらの画素間に1画素を挿入して3画素を生成する処理を行なう。挿入される画素の濃度は前後の画素の濃度の平均値を採用する。第2の拡大処理部35は、第2の濃度データバッファ33に格納された濃度データ(第2の分割画像データ)に対して上記と同様の処理を施す。第1の拡大処理部34と第2の拡大処理部35の動作は並列に実行される。
【0057】
誤差拡散処理は、第1、第2の濃度データバッファ32、33に格納された濃度データを1.5倍に拡大したものに施すので、第1の誤差データバッファ37および第2の誤差データバッファ39は、図13に示すように、それぞれ4650画素分の誤差データが格納される。すなわち、第1の誤差データバッファ37は、ラインの先頭から4650画素目までの誤差データを格納し、第2の誤差データバッファ39は、4351画素目から9000画素目までの4650画素分の誤差データを格納する。4351画素目から4650画素までの誤差データは、第1の誤差データバッファ37と第2の誤差データバッファ39の双方に格納される。
【0058】
第1の誤差拡散処理実行手段36および第2の誤差拡散処理実行手段38は、処理済みの画素から分配された誤差データを処理中の画素の濃度データに加算したものをしきい値と比較して全白または全黒のいずれかに2値化し、このとき発生した誤差を図5に示すように、周囲の7画素に分配する。7画素中の2つ画素134、135は、同一ラインにおける誤差拡散処理の進行方向で次の画素と次の次の画素なので、図7に示す次次画素レジスタ52と次画素レジスタ54に格納されている濃度データに、それぞれの分配率に従って誤差を加算する。残りの5画素136〜140は、次のラインの濃度データに繰り越される誤差なので、誤差データバッファ37、39に格納する。
【0059】
このようにして誤差拡散処理を施すことで、第1の誤差拡散処理実行手段36と第2の誤差拡散処理実行手段38のそれぞれから4650画素分の2値画像データが出力される。このうち第1の誤差拡散処理実行手段36が出力する4351画素目から4650画素目までの2値画像データと第2の誤差拡散処理実行手段38が出力する4351画素目から4650画素目までの2値画像データとは、同一の濃度データに誤差拡散処理を施して得たものである。しかしながら、第1の誤差拡散処理実行手段36が4351画素目を2値化するときは、この画素自身の濃度データにそれ以前に処理された画素から分配された誤差を加算した値をしきい値と比較する。これに対し、第2の誤差拡散処理実行手段38が4351画素目を2値化するときは、最初の画素なので、それ以前に処理された画素からの誤差の分配なしに2値化する。
【0060】
このため、第1の誤差拡散処理実行手段36が出力する4351画素目の2値画像データの値と第2の誤差拡散処理実行手段38が出力する4351画素目の2値画像データの値が相違する場合が発生する。分割前の1ラインにおける誤差拡散処理の結果としては、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する値が正しいので、オーバーラップ領域にかかわる2値画像データとして、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力するものを採用する。
【0061】
一方、オーバーラップ領域の下流側の領域では、第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する2値画像データは、分割前の1ラインをその先頭から順に誤差拡散処理した場合と同じ結果になる。これは、以下の理由による。たとえば、処理画素を2値化した際に発生した誤差の4分の1が誤差拡散処理の進行方向で次の画素に分配されるものとすると、処理画素から発生した誤差は、次の次の画素には16分の1が分配され、さらにその次の画素には64分の1が分配され、その影響が次第に小さくなる。
【0062】
各画素を8ビット・256階調で表し、誤差拡散処理の進行方向で次の画素に誤差の4分の1を分配する場合は、図14に示すように、処理画素230で発生した誤差の影響は、次の画素では4分の1になる。そして2画素先では16分の1に、3画素先では64分の1になり、4画素先では256分の1に、5画素先では1024分の1になる。したがって各画素が8ビット・256階調で表わされる場合には、取り得る最大の誤差が2値化時に発生したとしても、その誤差は5つ以上先の画素にはビット落ちが生じて一切分配されない。
【0063】
そこで処理画素から発生した誤差の影響が無くなる以上にオーバーラップ領域の画素数を設定すれば、オーバーラップ領域の先頭から誤差拡散処理を開始した場合でも、処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と同一の2値画像データを得ることができる。
【0064】
誤差の影響が完全に消滅するオーバーラップ領域の最小サイズは、誤差の分配率のうち、誤差拡散処理の進行方向前方の未処理画素への分配率の最大値をD(Dは、0<D<1の範囲にある実数)としたとき(図5の例では16分の4)、DのN乗(Nは正の整数)が2値化前の画像データで表現可能な階調数分の1以下になるNの最小値に1を加算した値になる。
【0065】
このように、誤差拡散処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では、ラインの先頭から誤差拡散処理を施した場合と同一の2値画像データを得ることができる。したがって、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する2値画像データと第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する2値画像データとを、オーバーラップ領域については第1の誤差拡散処理実行手段36の出力結果を採用して結合することで、分割せずに1ラインをその先頭から末尾まで順に誤差拡散処理を施した場合と完全に一致する1ライン分の2値画像データを得ることができる。
【0066】
すなわち、図15に示すように、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する1画素目から4650画素目までの2値画像データ(A+B)と、第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する4651画素目から9000画素目までの2値画像データ(D)を結合することで、分割前の1ラインに相当する9000画素分の2値画像データ(A+B+D)が得られる。
【0067】
図15に示すように結合された2値画像データは、ページメモリのバス幅に合わせるためにS/P変換部24でシリアル−パラレル変換された後、図示省略のメモリ制御部に送られてページメモリ13に格納される。その後、ページメモリ内で90度回転処理が施され、プリンタ部14でA3縦の記録紙に記録される。
【0068】
このように、1ラインを複数に分割してそれぞれに誤差拡散処理を並列に施し、出力される2値画像データを結合して分割前の1ライン分に相当する2値画像データを生成するので、1ラインの先頭から末尾までを連続的に処理する場合に比べて、処理時間が短縮される。これにより、拡大処理により1ラインの画素数が増大した場合でも、スキャナ装置の読み取り周期に追従して各ラインに誤差拡散処理をリアルタイムで施すことが可能になる。その結果、濃度データを1ページ分格納するための大容量のページメモリが不要になり、必要メモリ容量が低減される。また読み取りと並行して誤差拡散処理を実行するので、その後の処理(回転処理や印刷処理)をすぐに開始でき、ユーザーの待ち時間が短縮される。
【0069】
次に、画像の一部をトリミングする場合について説明する。
図16に示すように、原稿画像300の一部領域301だけをトリミングする場合に、該当する一部領域301だけに誤差拡散処理を実施すると、それ以前の画素で生じた誤差を引き継がないで2値化されるので、端部の画質が劣化する。一方、画像全体に誤差拡散処理を施して、画像全体の2値画像を得てからトリミングすると、原稿の読み取りや誤差拡散処理に長い時間を要してしまう。
【0070】
そこで、先に説明したオーバーラップ領域に相当する準備エリア302、303を、一部領域301の周囲のうち誤差拡散処理の進行方向上流側に設け、これら準備エリアを含めて誤差拡散処理を実施し、出力される2値画像データのうち一部領域301に対応する部分のみを採用する。準備エリア302は、副走査方向における誤差拡散処理の進行方向(矢印311の方向)で一部領域301の上流側(上方)に位置しており、準備エリア302の1ライン目を2値化した際に発生した誤差のうち副走査方向に分配される誤差の影響を、一部領域301に到達する前に消滅させるための領域である。準備エリア303は、主走査方向における誤差拡散処理の進行方向(矢印312の方向)で一部領域301の上流側(左側)に位置し、準備エリア303の左端の画素を2値化した際に発生した誤差のうち主走査方向に分配される誤差の影響を、一部領域301に到達する前に消滅させるための領域である。
【0071】
このように2値画像データを生成すべき一部領域301に対して誤差拡散処理の進行方向で所定量手前の位置から誤差拡散処理を開始することにより、一部領域301の端部における画質劣化を招くことなく、誤差拡散処理された2値画像データを得ることができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。たとえば実施の形態では、1ラインを2つに分割して誤差拡散処理を施したが、3つ以上に分割してもかまわない。また実施の形態では、複数の分割画像データに対して誤差拡散処理を並列に実行したが、これらの処理は同時に開始する必要はない。すなわち、原稿を読み取る際には、ラインの先頭側が末尾側より先に入力されるので、画像データの入力タイミングに合わせて、それぞれの分割画像データに対する誤差拡散処理を開始すればよい。
【0073】
さらに実施の形態では、互いに処理画素数が等しくなるように1つのラインを複数の分割画像データに分割したが、分割の態様は均等分割に限定されるものではない。またオーバーラップ領域の大きさは、誤差が消滅する画素数以上あればよく、実施の形態で例示した大きさを備える必要はない。
【0074】
また実施の形態では、入力される多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、それぞれを個別の濃度データバッファに格納にしたが、画像データを1ライン分連続させて1つの濃度データバッファに格納し、誤差拡散処理実行手段や拡大処理部がこの濃度データバッファから画像データを読み出す際に、オーバーラップ領域が生じるように読み出しの開始アドレスと終了アドレスを制御するように構成してもよい。
【0075】
【発明の効果】
本発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、1ライン分の多階調の画像データを、境界部分にオーバーラップ領域が生じるようにして複数の分割画像データに分割し、それぞれに誤差拡散処理を施して得た2値画像データ同士を結合して元の1ラインに対応する2値画像データを取得する。また結合の際にオーバーラップ領域については分割前のラインにおいて誤差拡散処理の進行方向で上流側に位置する分割画像データから取得したものを採用する。これにより、分割することなく1ラインを連続的に誤差拡散処理した場合と同一の2値画像データを得ることができ、各分割画像データに対する誤差拡散処理を並列に実行することで、ライン単位で見た場合の処理時間を短縮することができる。
【0076】
オーバーラップ領域の画素数を、その先頭画素を2値化した際に生じた誤差の影響が消滅するのに必要な画素数以上に設定したものでは、誤差拡散処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流において、分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と完全に一致する2値画像データを得ることができる。
【0077】
分割画像データ毎に濃度データバッファおよび誤差データバッファを設けたものでは、メモリアクセスの競合を調停することなく、分割画像データ毎に誤差拡散処理を並列に実行することが可能になる。またメモリアクセスの競合による待ち時間が発生せず、処理が高速化される。
【0078】
1ライン分の多階調の画像データを互いに同一画素数の分割画像データに分割するものでは、各分割画像データに対する誤差拡散処理の所要時間が等しくなり、並列処理が無駄なく行なわれ、全体としての処理時間が短縮される。
【0079】
画像の一部領域に誤差拡散処理を施す場合に、誤差拡散処理の進行方向で一部領域の所定量手前の位置から誤差拡散処理を開始させるものでは、画像の一部領域をトリミングするような場合にも、画像全体に誤差拡散処理を施した場合と同一の2値画像データを取得することができ、一部領域の端部における画質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の誤差拡散実行手段が1ライン分の画像データに誤差拡散処理を施す際の画像データの遷移を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置が有する誤差拡散処理部を示すブロック図である。
【図4】画像データを1.5倍に拡大する場合の処理内容を示す説明図である。
【図5】誤差拡散処理において周囲の7画素に処理画素で発生した誤差を分配する際の分配率の一例を示す説明図である。
【図6】誤差拡散処理において周囲の12画素に処理画素で発生した誤差を分配する際の分配率の一例を示す説明図である。
【図7】誤差拡散処理実行手段の回路構成を示すブロック図である。
【図8】A4横原稿を解像度600dpiで読み取り、これを拡大回転して、解像度600dpiでA3縦の記録紙全体に記録し出力する場合における処理の流れを示す説明図である。
【図9】A4横を6000画素とし、A3横への拡大率を1.5倍とした簡略化した場合における画像データを示す説明図である。
【図10】A4横6000画素を、境界部分に200画素のオーバーラップ領域を設けて前半の3100画素と後半の3100画素に分割する様子を示す説明図である。
【図11】図10に示したものを1.5倍に拡大した状態を示す説明図である。
【図12】6000画素から成る1ラインのうち1画素目から31000画素目までの前半3100画素を第1の濃度データバッファに、2901画素目から6000画素までの後半3100画素を第2の濃度データバッファに格納した状態を示す説明図である。
【図13】図12に示す画像データを1.5倍に拡大したものに誤差拡散処理を施す場合における誤差データバッファの状態の一例を示す説明図である。
【図14】処理画素で発生した誤差が誤差拡散処理の進行方向前方の未画素に与える影響が分配を繰り返すことで次第に減少する様子を示す説明図である。
【図15】第1の誤差拡散処理実行手段と第2の誤差拡散処理実行手段の出力する2値画像データ同士を結合する様子を示す説明図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態において画像の一部領域に誤差拡散処理を施す場合の処理範囲と一部領域との関係を示す説明図である。
【図17】中間調の画素を白または黒の何れかに2値化すると、2値化前の画素が持つも濃度と2値化後の画素の濃度との差の分だけ濃度に誤差が生じる様子を示す説明図である。
【符号の説明】
10…画像処理装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…プリンタ部
15…ファクシミリ部
20…読取部
21…CCD
22…A/D変換部
23…AFE(アナログ・フロント・エンド)部
24…S/P変換部
30…誤差拡散処理部
31…画像データ分割手段
32…第1の濃度データバッファ
33…第2の濃度データバッファ
34…第1の拡大処理部
35…第2の拡大処理部
36…第1の誤差拡散処理実行手段
37…第1の誤差データバッファ
38…第2の誤差拡散処理実行手段
39…第2の誤差データバッファ
40…画像データ結合手段
41…シーケンス制御部
51…第1の加算器
52…次次画素レジスタ
53…第2の加算器
54…次画素レジスタ
55…第3の加算器
56…比較器
57…誤差演算部
100…1ライン分の画像データ
101…オーバーラップ領域
102…第1の分割画像データ
103…第2の分割画像データ
104…第1の2値画像データ
105…第2の2値画像データ
106…1ライン分の2値画像データ
120…拡大前の画像データ
121…拡大後の画像データ
131…主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
132…副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
133…処理画素
134〜140…周囲の画素
151…主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
152…副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
153…処理画素
201…A4横原稿
202…A3横の2値画像
203…A3縦の2値画像
211…拡大前のA4横原稿
212…A3横原稿
230…処理画素
300…原稿画像
301…一部領域
302、303…準備エリア
311…副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
312…主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
【発明の属する技術分野】
本発明は、多階調の画像データを誤差拡散処理により中間調を表現可能な2値画像データに変換する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やスキャナ装置の読取部は、原稿に光を照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)等の光電気変換素子で受光し、光強度に応じたアナログ電気信号に変換し、これをさらにA/D変換することで原稿画像に対応するデジタル電気信号を出力するようになっている。たとえば、出力されるデジタル電気信号が各画素を10ビット(bit)で表わす場合には、画素毎に1024階調の濃淡を表現することができる。
【0003】
通常は、このデジタル電気信号に、光電変換素子の感度のばらつき補正、輝度濃度変換、MTF補正、ノイズ除去等の処理を施し、各画素を8ビット・256階調で表現した画像データに変換する。さらにこの多階調の画像データを誤差拡散処理によって2値化し、各画素を深さ1ビット(白/黒の何れか)で表現した2値画像データに変換し、これをプリンタ部やファクシミリ部に送る画像データとして利用するようになっている。
【0004】
多階調の画像データを2階調(通常、白と黒)の2値画像データに変換する場合、各画素の濃度を所定のしきい値と比較し、濃度がしきい値より大きい場合はその画素を黒に、小さい場合は白に変換する。たとえば256階調を表現可能な画像データの濃度が「200」で、しきい値が「128」の場合は、この画素を黒に判定する。このような単純な2値化方法では、元の画素の濃度が「0」から「127」まではすべて白に、「128」から「255」まではすべて黒に変換されるので、元の画像データが有していた階調性がほとんど失われてしまう。
【0005】
そこで各画素を深さ1ビットの白黒2階調で表現しつつ、離れて見れば複数の画素によって階調性を表現し得る2値化方式として誤差拡散方式が提案されている。誤差拡散方式では、ある画素を2値化した後の濃度(白または黒)と元の濃度との誤差を周囲の未処理画素に分配することで、階調性を保存するようになっている。 たとえば、図17に示すように、多階調の画像データの濃度を「0」から「255」までの256階調で表現する場合に、しきい値を「128」として2値化すると、濃度が「255」の画素901の場合には元々全黒なので誤差は「0」になる。濃度が「126」の画素902の場合には、全黒との誤差912が「126」になり、濃度が「200」の画素903の場合には全黒との誤差913が「55」になる。
【0006】
誤差拡散処理では、このように2値化の際に生じた誤差は、周囲の未処理画素に繰り越されて分配される。濃度が「200」の画素を例にとると、この画素は、2値化後の全黒(濃度255)に比べて少し白いグレー色(濃度200)なので、この少し白いという情報(濃度200と濃度255との誤差(−55))が周囲の複数の未処理画素に分配される。
【0007】
誤差拡散処理では、処理画素を2値化した際に生じる濃度の誤差をその周囲の未処理の画素に繰り越して分配するので、たとえばページの先頭から末尾へ、あるいはラインの先頭から末尾へ向かうように一定の方向に処理を順に進める必要がある。
【0008】
このような制約の下で、複数ページに分割して印刷される長尺画像に、誤差拡散処理を適切に施す画像形成装置が以下の特許文献1に開示されている。この装置では、2値化時に発生する誤差を格納する誤差データバッファをページ間で初期化しないことにより、前ページからの誤差を引き継いで、2ページ目以降のページに誤差拡散処理を施すようになっている。
【0009】
また、以下に示す特許文献2には、必要メモリ量を少なくするために、ページを複数のバンドに分割してバンド単位に誤差拡散処理を行なうとともに、誤差データバッファをバンド単位で管理することで、バンドの継ぎ目における画質劣化を防止する技術が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−158714号公報
【特許文献2】
特開2002−237952号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
スキャナ装置などからライン単位に画像データを読み取る場合において、1ライン分の多階調の画像データを誤差拡散処理するための所要時間が、このスキャナ装置におけるラインの読み取り周期より短時間であれば、スキャナの読取速度に合わせて誤差拡散処理をリアルタイムに実効することができる。
【0012】
しかしながら、読み取りながら拡大処理を施す場合のように、1ライン当たりの画素数が増加すると、誤差拡散処理がスキャナ装置の読取周期に追いつかなくなる。このような場合には、多階調の画像データをページメモリに1ページ分格納してから拡大処理や誤差拡散処理を行なう等の対策が必要であった。たとえば、A4原稿を解像度600dpiで読み取る場合に、各画素が256階調の画像データを1ページ分格納するために必要なメモリ容量は32メガバイトにもなってしまう。また、多階調の画像データを1ページ分メモリに格納し終えた後でなければ、誤差拡散処理を開始できないので、2値化された画像データを生成するまでに時間がかかり、その後の処理が滞ってしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、1ライン分の画像データを誤差拡散処理するための所要時間を短縮することのできる画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理装置であって、画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように前記複数の分割画像データのそれぞれに誤差拡散処理を施して2値化した2値画像データを出力する誤差拡散処理実行手段(31、32、33、36、38)と、前記誤差拡散処理実行手段(31、32、33、36、38)が出力する2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する画像データ結合手段(40)とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【0015】
上記発明によれば、1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、それぞれに誤差拡散処理を施して得た2値画像データ同士を結合して分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する。また分割の際には、境界部分に画像データの重複するオーバーラップ領域を設け、2値画像データ同士を結合する際には、オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから生成されたものを採用する。
【0016】
処理対象の画素(以後、処理画素という)を2値化した際に発生した誤差(元の画素の濃度と2値化後の画素との濃度差)は周辺の未処理の画素に所定の分配率で分配される。たとえば、誤差拡散処理の進行方向で次の画素に発生誤差の4分の1が分配されるものとすると、処理画素から発生した誤差は次の次の画素には16分の1が、さらにその次の画素には64分の1が分配され、その影響は次第に小さくなる。たとえば、各画素を8ビット・256階調で表し、次の画素に誤差の4分の1を分配する場合には、処理画素で生じた誤差は5画素以上先の画素にはビット落ちが生じて分配されなくなる。そこで処理画素で発生した誤差の影響が無くなる以上にオーバーラップ領域の画素数を設定すれば、オーバーラップ領域の先頭から誤差拡散処理を開始した場合でも、処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と同一の2値画像データを得ることができる。
【0017】
したがって、オーバーラップ領域については誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインで上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して各分割画像データから得た2値画像データ同士を結合すれば、ラインを分割しないで誤差拡散処理を施した場合と同一の2値画像データを取得することができる。そして、各分割画像データに対する誤差拡散処理を並列に実行すれば、ライン単位で見た場合の処理時間を短縮することができる。
【0018】
なお、1ラインの画像データを実際にメモリ上で複数の分割画像データに分けて処理してもよいし、たとえば、多階調の画像データを元の1ラインのまま連続的にメモリに格納しておき、ここからデータを読み出して誤差拡散処理を施す際の開始アドレスと終了アドレスの設定により、誤差拡散処理を施す範囲がオーバーラップするように構成してもよい。
【0019】
請求項2にかかわる発明は、前記誤差拡散処理実行手段(31、32、33、36、38)は、前記複数の分割画像データに対する誤差拡散処理を並列に実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0020】
上記発明によれば、複数の分割画像データに対する誤差拡散処理が並列に実行される。これにより1ライン分の画像データに誤差拡散処理を施すための所要時間が短縮される。
【0021】
請求項3にかかわる発明は、2値化の際に生じる処理画素の濃度と2値化後の画素濃度との誤差を誤差拡散処理によって周囲の画素に分配する際の分配率のうち誤差拡散処理の進行方向前方にある未処理の画素への分配率の最大値をD(Dは、0<D<1の範囲にある実数)としたとき、DのN乗(Nは正の整数)が2値化前の画像データで表現可能な階調数分の1以下になるNの最小値に1を加算した値以上の数に、前記オーバーラップ領域の画素数を設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置である。
【0022】
上記発明によれば、処理画素を2値化する際に生じた誤差の影響が無くなる以上の画素数をオーバーラップ領域が備えているので、オーバーラップ領域の先頭から誤差拡散処理を開始した場合でも、処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と同一の2値画像データを得ることができる。
【0023】
請求項4にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理装置であって、画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割する画像データ分割手段(31)と、前記画像データ分割手段(31)によって分割して得た分割画像データ毎に設けられ、対応する分割画像データを格納する複数の濃度データバッファ(32、33)と、前記濃度データバッファ(32、33)毎に設けられ、2値化の際に生じる元の画素濃度と2値化後の画素濃度との誤差の大きさを示す誤差データを格納する複数の誤差データバッファ(37、39)と、前記濃度データバッファ(32、33)毎に設けられ、対応する濃度データバッファ(32、33)に格納された分割画像データに誤差拡散処理を施して2値化した2値画像データを出力する複数の誤差拡散処理実行手段(36、38)であって互いに分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように誤差拡散処理を並列に実行するものと、前記複数の誤差拡散処理実行手段(36、38)から出力される2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する画像データ結合手段(40)とを有することを特徴とする画像処理装置である。
【0024】
上記発明によれば、分割画像データ毎に濃度データバッファ(32、33)および誤差データバッファ(37、39)を有するので、メモリアクセスの競合を調停することなく、分割画像データ毎に誤差拡散処理を並列に実行することが可能になる。またメモリアクセスの競合による待ち時間が発生せず、処理が高速化される。
【0025】
請求項5にかかわる発明は、1ライン分の多階調の画像データを互いに同一画素数の分割画像データに分割することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の画像処理装置である。
【0026】
上記発明によれば、各分割画像データに対する誤差拡散処理の所要時間が等しくなり、並列処理が無駄なく行なわれ、全体としての処理時間が短縮される。
【0027】
請求項6にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理方法であって、画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように前記複数の分割画像データのそれぞれに誤差拡散処理を並列に施して前記分割画像データを2値化した2値画像データを取得し、前記2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成することを特徴とする画像処理方法である。
【0028】
請求項7にかかわる発明は、誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理方法であって、画像の一部領域に誤差拡散処理を施す場合に、誤差拡散処理の進行方向で前記一部領域の所定量手前の位置から誤差拡散処理を開始することを特徴とする画像処理方法である。
【0029】
上記発明によれば、2値画像データを取得すべき一部領域の所定量手前から誤差拡散処理を開始するので、画像の一部領域をトリミングするような場合にも、画像全体に誤差拡散処理を施す場合と同様の2値画像データを一部領域について取得でき、画像端部での画質が向上する。ここで所定量手前とは、画像の横方向(主走査方向)手前と縦方向(副走査方向)手前のいずれかまたは双方を含む。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明にかかわる画像処理装置10の概略構成を示している。この装置は、原稿画像を読み取るスキャナ機能、原稿を読み取りその複製を記録紙上に形成して出力するコピー機能、遠隔の装置と画像データの送受信を行なうファクシミリ機能、パソコン等から入力される印字データに基づいて印刷するプリンタ機能などを備えており、一般に、デジタル複合機と称される装置である。
【0031】
画像処理装置10は、本装置の動作を統括制御するCPU(中央処理装置)11を有する。CPU11にはバスを通じて各種の装置が接続されている。このうちROM(リード・オンリ・メモリ)12は、CPU11の動作手順を表したプログラムや各種固定データを記憶した読み出し専用メモリである。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)13は、CPU11がプログラムを実行する際に必要となる各種データを一時的に記憶するほか、2値化後の画像データを1ページ分記憶するページメモリとしての機能を果たす。
【0032】
読取部20は、図示省略のプラテンガラス上に載置された原稿あるいは図示省略の自動原稿送り装置によって給紙された原稿の画像を読み取り、対応する画像データを出力する機能を果たす。プリンタ部14は、入力された画像データに対応する画像を記録紙上に形成して出力する機能を果たす。ここでは、電子写真プロセスを用いたレーザープリンタでプリンタ部14を構成してある。ファクシミリ部15は、通信回線を通じて遠隔の装置との間で画像データを送受信するファクシミリとしての機能を果たす。
【0033】
読取部20は、原稿の幅方向(主走査方向)に1ライン分の画像を読み取ることのできるラインイメージセンサとして構成されたCCD21を有し、CCD21による読み取り位置を原稿の長さ方向(副走査方向)に移動させて原稿全体を読み取るようになっている。CCD21は、原稿に照射された光の反射光を受光し、その光強度に応じたアナログ電気信号を出力する。このアナログ電気信号をA/D変換部22で深さ10ビットのデジタル電気信号に変換し、さらにシェーディング補正等をAFE(アナログ・フロント・エンド)部23で施して、各画素の濃度を256階調で表現した深さ8ビットのデジタル電気信号に変換する。
【0034】
誤差拡散処理部30は、AFE部23から出力される多階調の画像データ(デジタル電気信号)に誤差拡散処理を施して、各画素を白または黒のいずれかで表現した深さ1ビットの2値画像データに変換する。また画像に拡大処理を施す機能を有している。誤差拡散処理部30は、CCD21が1つのラインの読み取りを開始してから次のラインの読み取りを開始するまでのライン読み取り周期よりも短い時間で1つのラインに対する拡大処理および誤差拡散処理を終了させることで、CCD21の読み取り速度に合わせた逐次処理を実現する。
【0035】
誤差拡散処理の進行に伴って誤差拡散処理部30からシリアルに出力される2値画像データはS/P変換部24でバス幅に対応したパラレル信号に変換されてバス上に出力される。読取部20の出力する2値画像データは、ページメモリに記憶され、必要に応じて図示省略の回転処理部で回転処理された後、これまた図示省略の磁気ディスク装置に記憶されたり、プリンタ部14やファクシミリ部15で利用されたりする。
【0036】
図3は、誤差拡散処理部30の内部構成を示している。誤差拡散処理部30は、シーケンス制御部41により各部の動作を制御するようになっている。画像データ分割手段31は、AFE部23から順次入力される1ライン分の多階調の画像データを、その途中に画像データが重複するオーバーラップ領域を設けて2つの分割画像データに分割する機能を果たす。第1の濃度データバッファ32は、分割前のラインで先頭側にあった分割画像データを格納するメモリであり、第2の濃度データバッファ33は、分割前のラインで末尾側にあった分割画像データを格納するメモリである。
【0037】
たとえば、1ラインの先頭からラインの中央+100画素までを第1の分割画像データとして第1の濃度データバッファ32に格納し、ラインの中央−100画素からラインの末尾までを第2の分割画像データとして第2の濃度データバッファ33に格納する。これにより、境界部分に200画素のオーバーラップ領域を設けて、1ライン分の画像データが2つの分割画像データに分割される。画像データ分割手段31は、AFE部23から順次入力される画像データに対する書込信号を第1の濃度データバッファ32のみに出力するか、第1の濃度データバッファ32と第2の濃度データバッファ33の双方に出力するか、第2の濃度データバッファ33のみに出力するかを制御して、上記の分割処理を実現する。
【0038】
第1の拡大処理部34は、第1の濃度データバッファ32に格納されている第1の分割画像データに拡大処理を施す機能を果たし、第2の拡大処理部35は、第2の濃度データバッファ33に格納されている第2の分割画像データに拡大処理を施す。たとえば、主走査方向に画像を1.5倍に拡大する場合には、拡大前の画像の2画素毎に1画素を挿入する。挿入画素の濃度は、挿入画素の前後にある画素の濃度の平均値を割り当てる。
【0039】
図4は、拡大前の画像データ120と、これを主走査方向に1.5倍に拡大した画像データ121の一例を示している。濃度「80」の画素Aと濃度「100」の画素Bとの間にこれらの平均濃度「90」を備えた画素Xが生成されて挿入されている。同様に濃度「100」の画素Bと濃度「106」の画素Cとの間にこれらの平均濃度「103」を備えた画素Yが挿入され、濃度「106」の画素Cの濃度「60」の画素Dとの間にこれらの平均濃度「83」を備えた画素Zが生成され挿入されている。
【0040】
第1の拡大処理部34は、第1の濃度データバッファ32に格納されている第1の分割画像データをその先頭から順に読み出すとともに、上述したような画素の挿入処理をリアルタイムに行ないながら、拡大後の画像データを順次第1の誤差拡散処理実行手段36へ出力する。第2の拡大処理部35は第2の濃度データバッファ33に格納されている第2の分割画像データに対して同様の処理を施したものを順次第2の誤差拡散処理実行手段38へ出力するようになっている。
【0041】
第1の誤差拡散処理実行手段36は、第1の拡大処理部34から入力される多階調の画像データに誤差拡散処理を施して2値化する機能を果たし、第2の誤差拡散処理実行手段38は、第2の拡大処理部35から入力される多階調の画像データに誤差拡散処理を施して2値化する機能を果たす。
【0042】
図17に示すように、中間調の画素を白または黒の何れかに2値化すると、2値化前の画素が持つ濃度と2値化後の画素の濃度との差の分だけ濃度に誤差が生じるので、この誤差を誤差拡散処理では、周囲の未処理画素に分配する。図5は、処理画素を2値化する際に生じた誤差を周囲の7つの未処理画素に分配する場合の分配比率の一例を示している。誤差拡散処理は1つのライン内では矢印131で表した主走査方向に進行し、ライン間では矢印132で表した副走査方向に進行する。この例では、処理画素133を2値化した際に発生した誤差の16分の4を主走査方向で次に処理される画素134に分配し、さらにその次の画素135に誤差の16分の2を分配する。副走査方向で次に処理されるラインへの分配については、処理画素133の真下の画素136に誤差の16分の4が、その前後の画素137、138のそれぞれに誤差の16分の2が、さらにその前後の画素139、140のそれぞれに誤差の16分の1が分配される。
【0043】
図6は、処理画素を2値化する際に生じた誤差を周囲12個の未処理画素に分配する場合の分配比率の一例を示している。矢印151は、主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を、矢印152は、副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示している。処理画素153を2値化する際に生じた誤差は、各画素の中に示した数値が示す比率で分配される。分配比率は、処理画素133、153からの距離が遠くなるほど小さくなるように設定される。
【0044】
第1の誤差拡散処理実行手段36は、副走査方向で次のラインに分配する誤差の大きさを表した誤差データを格納する第1の誤差データバッファ37を有している。第1の誤差データバッファ37には、各画素を2値化した際に生じた誤差の大きさ示す誤差データがラインの先頭から順に1ライン分登録される。同様に第2の誤差拡散処理実行手段38は第2の誤差データバッファ39を有している。
【0045】
図7は、図5に示す態様で誤差を分配する場合における第1の誤差拡散処理実行手段36の構成を表している。第1の誤差拡散処理実行手段36は、第1の加算器51と、次次画素レジスタ52と、第2の加算器53と、次画素レジスタ54と、第3の加算器55と、比較器56と、誤差演算部57と、第1の誤差データバッファ37とから構成される。
【0046】
第1の濃度データバッファ32から入力される画素には、自身の濃度にその2つ前の画素を比較器56で2値化した際に生じた誤差の16分の2が第1の加算器51によって加算されて分配される。次に、自身の1つ前の画素を2値化した際に生じた誤差の16分の4が第2の加算器53で加算されて分配される。さらに、前のラインを2値化した際の誤差を第1の誤差データバッファ37から収集し、これが第3の加算器55で加算されて分配される。こうして周囲の画素から分配されるべきすべての誤差が加算された後の濃度が、比較器56でしきい値と比較されて2値化される。
【0047】
誤差演算部57は、2値化の際に生じた誤差の大きさを求め、その値を第1の誤差データバッファ37に登録するとともに、求めた誤差の16分の4を第2の加算器53に、誤差の16分の2を第1の加算器51にそれぞれ引き渡す機能を果たす。第1の誤差データバッファ37からの誤差の収集は、図5に示した分配率に従って行なわれる。図5では、処理画素133で生じた誤差を次のラインの前後5つの画素136〜140に分配しているが、分配される側の画素から見れば、前のラインの前後5つの画素から誤差を収集すればよいことになる。したがって、第3の加算器55には、前のラインにおいて処理画素の前後にある5つ画素から図5に示す分配率に従って収集した誤差の値が第1の誤差データバッファ37から入力され次画素レジスタ54の出力値と加算される。第2の誤差拡散処理実行手段38は第1の誤差拡散処理実行手段36と同様の構成であり、その説明は省略する。
【0048】
図3の画像データ結合手段40は、第1の誤差拡散処理実行手段36から出力される2値画像データと第2の誤差拡散処理実行手段38から出力される2値画像データとを結合して1ライン分の2値画像データを出力する機能を果たす。オーバーラップ領域に対応する2値画像データは第1の誤差拡散処理実行手段36と第2の誤差拡散処理実行手段38の双方から出力されるが、この部分については、分割前のラインにおいて誤差拡散処理の進行方向で上流側の分割画像データから取得した2値画像データを採用する。すなわち、第1の誤差拡散処理実行手段36と第2の誤差拡散処理実行手段38から出力される2値画像データを、オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして第1の誤差データバッファ37が出力する2値画像データを採用して結合し、1ライン分の2値画像データを出力するようになっている。
【0049】
図1は、誤差拡散処理部30における画像データの遷移の一例を示している。この例では、拡大処理は行なわれない。1ライン分の多階調の画像データ100は、画像データ分割手段31によって、境界部分に所定の大きさのオーバーラップ領域101を設けて第1の分割画像データ102と第2の分割画像データ103に分割される。図1の例は、1ラインが1000画素で構成されており、ラインの先頭の1画素目から550画素目までを第1の分割画像データ102(a1+a2)とし、451画素目から1000画素目までを第2の分割画像データ103(a2+a3)として分割してある。オーバーラップ領域101(a2)は451画素目から550画素目までになっている。
【0050】
画像データ分割手段31は、第1の分割画像データ102を第1の濃度データバッファ32に格納し、第2の分割画像データ103を第2の濃度データバッファ33に格納する。このような分割処理は、ラインの先頭から順次入力される1ライン分の画像データ100を第1の濃度データバッファ32およびまたは第2の濃度データバッファ33に書き込む際に行なわれる。すなわち1画素目から450画素目までを濃度データバッファに書き込む際には、第1の濃度データバッファ32のみにライト信号を出力し、451画素目から550画素目までを書き込む際には第1の濃度データバッファ32と第2の濃度データバッファ33の双方にライト信号を出力し、551画素目から1000画素目までを書き込む際には第2の濃度データバッファ33のみにライト信号を出力するようになっている。
【0051】
第1の誤差拡散処理実行手段36は第1の濃度データバッファ32に格納されている第1の分割画像データ102に誤差拡散処理を施して、分割前のラインでその先頭から550画素目までに対応する第1の2値画像データ104(b1+b2)を出力する。第2の誤差拡散処理実行手段38は第2の濃度データバッファ33に格納されている第2の分割画像データ103に誤差拡散処理を施して、分割前のラインで451画素目から1000画素目までに対応する第2の2値画像データ105(b2´+b3)を出力する。
【0052】
画像データ結合手段40は、第1の2値画像データ104と第2の2値画像データ105を結合して、分割前の1ライン分に相当する2値画像データ106を生成する。この際、オーバーラップ領域101に対応する2値画像データとして、誤差拡散処理の進行方向で上流側にある第1の分割画像データ102に基づいて生成した2値画像データ(b2)を採用する。すなわち、ラインの先頭から550画素目までは第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する第1の2値画像データ104(b1+b2)を採用し、551画素目から1000画素目までは第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する第2の2値画像データ105(b3)を採用してこれらを結合し、1ライン分の2値画像データとして出力する。
【0053】
次に、A4横原稿を解像度600dpiで読み取り、これを拡大回転して、解像度600dpiでA3縦の記録紙全体に記録して出力する場合の動作について説明する。図8に示すように、処理の流れは、A4横原稿201を多階調で読み取り、これを1.41倍に拡大しつつ誤差拡散処理を施してA3横の2値画像202を生成し、この画像を90度回転させてA3縦の2値画像203に変換し、A3縦の記録紙に記録して出力するように進行する。A4横原稿の主走査方向の長さは297ミリで画素数は7016画素になるので、これを1.41倍すると9922画素になる。しかし、ここでは説明の都合上、図9に示すように、拡大前のA4横原稿211の1ラインを6000画素とし、これを1.5倍に拡大して1ラインが9000画素のA3横原稿212に変換した後、誤差拡散処理を施すものとする。
【0054】
誤差拡散処理部30は、図10に示すように、拡大前のA4横原稿211をその境界部分にオーバーラップ領域を設けて前半と後半(ページの左半分と右半分)の2つに分割し、これらに対する処理を並列に実行する。ここでは、前半をラインの先頭画素から3100画素目までとし、後半を2901画素目から6000画素目までとして2つに分割する。2901画素目から3100画素目までが前半と後半でオーバーラップする領域になる。また1.5倍に拡大することで図11に示すようなA3横原稿212となる。すなわち、前半はラインの先頭から4650画素目までの4650画素の領域になり、後半は4351画素目から6000画素目までの4650画素の領域になり、オーバーラップ領域は4351画素目から4650画素目までの領域になる。誤差拡散処理は、この拡大後の画像212に対して施される。
【0055】
読取部20は、原稿画像を光電変換素子であるCCD21で読み取り、CCD21の出力するアナログ信号をA/D変換部22で10ビットのデジタル信号に変換し、AFE部23で各種補正を施し、各画素を256階調で表現可能な8ビットの画像データ(濃度データ)に変換する。誤差拡散処理部30の画像データ分割手段31は、図12に示すように、AFE部23から順次入力される濃度データのうちラインの先頭から2900画素目までを第1の濃度データバッファ32のみに格納し、2901画素目から3100画素目までを第1の濃度データバッファ32と第2の濃度データバッファ33の双方に格納し、3101画素目から6000画素目までを第2の濃度データバッファ33のみに格納する。
【0056】
第1の濃度データバッファ32に格納された濃度データ(第1の分割画像データ)は、第1の拡大処理部34に送られ、1.5倍になるように拡大処理が施される。第1の拡大処理部34は、図4に示すように、拡大前の2画素毎に、それらの画素間に1画素を挿入して3画素を生成する処理を行なう。挿入される画素の濃度は前後の画素の濃度の平均値を採用する。第2の拡大処理部35は、第2の濃度データバッファ33に格納された濃度データ(第2の分割画像データ)に対して上記と同様の処理を施す。第1の拡大処理部34と第2の拡大処理部35の動作は並列に実行される。
【0057】
誤差拡散処理は、第1、第2の濃度データバッファ32、33に格納された濃度データを1.5倍に拡大したものに施すので、第1の誤差データバッファ37および第2の誤差データバッファ39は、図13に示すように、それぞれ4650画素分の誤差データが格納される。すなわち、第1の誤差データバッファ37は、ラインの先頭から4650画素目までの誤差データを格納し、第2の誤差データバッファ39は、4351画素目から9000画素目までの4650画素分の誤差データを格納する。4351画素目から4650画素までの誤差データは、第1の誤差データバッファ37と第2の誤差データバッファ39の双方に格納される。
【0058】
第1の誤差拡散処理実行手段36および第2の誤差拡散処理実行手段38は、処理済みの画素から分配された誤差データを処理中の画素の濃度データに加算したものをしきい値と比較して全白または全黒のいずれかに2値化し、このとき発生した誤差を図5に示すように、周囲の7画素に分配する。7画素中の2つ画素134、135は、同一ラインにおける誤差拡散処理の進行方向で次の画素と次の次の画素なので、図7に示す次次画素レジスタ52と次画素レジスタ54に格納されている濃度データに、それぞれの分配率に従って誤差を加算する。残りの5画素136〜140は、次のラインの濃度データに繰り越される誤差なので、誤差データバッファ37、39に格納する。
【0059】
このようにして誤差拡散処理を施すことで、第1の誤差拡散処理実行手段36と第2の誤差拡散処理実行手段38のそれぞれから4650画素分の2値画像データが出力される。このうち第1の誤差拡散処理実行手段36が出力する4351画素目から4650画素目までの2値画像データと第2の誤差拡散処理実行手段38が出力する4351画素目から4650画素目までの2値画像データとは、同一の濃度データに誤差拡散処理を施して得たものである。しかしながら、第1の誤差拡散処理実行手段36が4351画素目を2値化するときは、この画素自身の濃度データにそれ以前に処理された画素から分配された誤差を加算した値をしきい値と比較する。これに対し、第2の誤差拡散処理実行手段38が4351画素目を2値化するときは、最初の画素なので、それ以前に処理された画素からの誤差の分配なしに2値化する。
【0060】
このため、第1の誤差拡散処理実行手段36が出力する4351画素目の2値画像データの値と第2の誤差拡散処理実行手段38が出力する4351画素目の2値画像データの値が相違する場合が発生する。分割前の1ラインにおける誤差拡散処理の結果としては、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する値が正しいので、オーバーラップ領域にかかわる2値画像データとして、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力するものを採用する。
【0061】
一方、オーバーラップ領域の下流側の領域では、第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する2値画像データは、分割前の1ラインをその先頭から順に誤差拡散処理した場合と同じ結果になる。これは、以下の理由による。たとえば、処理画素を2値化した際に発生した誤差の4分の1が誤差拡散処理の進行方向で次の画素に分配されるものとすると、処理画素から発生した誤差は、次の次の画素には16分の1が分配され、さらにその次の画素には64分の1が分配され、その影響が次第に小さくなる。
【0062】
各画素を8ビット・256階調で表し、誤差拡散処理の進行方向で次の画素に誤差の4分の1を分配する場合は、図14に示すように、処理画素230で発生した誤差の影響は、次の画素では4分の1になる。そして2画素先では16分の1に、3画素先では64分の1になり、4画素先では256分の1に、5画素先では1024分の1になる。したがって各画素が8ビット・256階調で表わされる場合には、取り得る最大の誤差が2値化時に発生したとしても、その誤差は5つ以上先の画素にはビット落ちが生じて一切分配されない。
【0063】
そこで処理画素から発生した誤差の影響が無くなる以上にオーバーラップ領域の画素数を設定すれば、オーバーラップ領域の先頭から誤差拡散処理を開始した場合でも、処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と同一の2値画像データを得ることができる。
【0064】
誤差の影響が完全に消滅するオーバーラップ領域の最小サイズは、誤差の分配率のうち、誤差拡散処理の進行方向前方の未処理画素への分配率の最大値をD(Dは、0<D<1の範囲にある実数)としたとき(図5の例では16分の4)、DのN乗(Nは正の整数)が2値化前の画像データで表現可能な階調数分の1以下になるNの最小値に1を加算した値になる。
【0065】
このように、誤差拡散処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流側では、ラインの先頭から誤差拡散処理を施した場合と同一の2値画像データを得ることができる。したがって、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する2値画像データと第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する2値画像データとを、オーバーラップ領域については第1の誤差拡散処理実行手段36の出力結果を採用して結合することで、分割せずに1ラインをその先頭から末尾まで順に誤差拡散処理を施した場合と完全に一致する1ライン分の2値画像データを得ることができる。
【0066】
すなわち、図15に示すように、第1の誤差拡散処理実行手段36の出力する1画素目から4650画素目までの2値画像データ(A+B)と、第2の誤差拡散処理実行手段38の出力する4651画素目から9000画素目までの2値画像データ(D)を結合することで、分割前の1ラインに相当する9000画素分の2値画像データ(A+B+D)が得られる。
【0067】
図15に示すように結合された2値画像データは、ページメモリのバス幅に合わせるためにS/P変換部24でシリアル−パラレル変換された後、図示省略のメモリ制御部に送られてページメモリ13に格納される。その後、ページメモリ内で90度回転処理が施され、プリンタ部14でA3縦の記録紙に記録される。
【0068】
このように、1ラインを複数に分割してそれぞれに誤差拡散処理を並列に施し、出力される2値画像データを結合して分割前の1ライン分に相当する2値画像データを生成するので、1ラインの先頭から末尾までを連続的に処理する場合に比べて、処理時間が短縮される。これにより、拡大処理により1ラインの画素数が増大した場合でも、スキャナ装置の読み取り周期に追従して各ラインに誤差拡散処理をリアルタイムで施すことが可能になる。その結果、濃度データを1ページ分格納するための大容量のページメモリが不要になり、必要メモリ容量が低減される。また読み取りと並行して誤差拡散処理を実行するので、その後の処理(回転処理や印刷処理)をすぐに開始でき、ユーザーの待ち時間が短縮される。
【0069】
次に、画像の一部をトリミングする場合について説明する。
図16に示すように、原稿画像300の一部領域301だけをトリミングする場合に、該当する一部領域301だけに誤差拡散処理を実施すると、それ以前の画素で生じた誤差を引き継がないで2値化されるので、端部の画質が劣化する。一方、画像全体に誤差拡散処理を施して、画像全体の2値画像を得てからトリミングすると、原稿の読み取りや誤差拡散処理に長い時間を要してしまう。
【0070】
そこで、先に説明したオーバーラップ領域に相当する準備エリア302、303を、一部領域301の周囲のうち誤差拡散処理の進行方向上流側に設け、これら準備エリアを含めて誤差拡散処理を実施し、出力される2値画像データのうち一部領域301に対応する部分のみを採用する。準備エリア302は、副走査方向における誤差拡散処理の進行方向(矢印311の方向)で一部領域301の上流側(上方)に位置しており、準備エリア302の1ライン目を2値化した際に発生した誤差のうち副走査方向に分配される誤差の影響を、一部領域301に到達する前に消滅させるための領域である。準備エリア303は、主走査方向における誤差拡散処理の進行方向(矢印312の方向)で一部領域301の上流側(左側)に位置し、準備エリア303の左端の画素を2値化した際に発生した誤差のうち主走査方向に分配される誤差の影響を、一部領域301に到達する前に消滅させるための領域である。
【0071】
このように2値画像データを生成すべき一部領域301に対して誤差拡散処理の進行方向で所定量手前の位置から誤差拡散処理を開始することにより、一部領域301の端部における画質劣化を招くことなく、誤差拡散処理された2値画像データを得ることができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。たとえば実施の形態では、1ラインを2つに分割して誤差拡散処理を施したが、3つ以上に分割してもかまわない。また実施の形態では、複数の分割画像データに対して誤差拡散処理を並列に実行したが、これらの処理は同時に開始する必要はない。すなわち、原稿を読み取る際には、ラインの先頭側が末尾側より先に入力されるので、画像データの入力タイミングに合わせて、それぞれの分割画像データに対する誤差拡散処理を開始すればよい。
【0073】
さらに実施の形態では、互いに処理画素数が等しくなるように1つのラインを複数の分割画像データに分割したが、分割の態様は均等分割に限定されるものではない。またオーバーラップ領域の大きさは、誤差が消滅する画素数以上あればよく、実施の形態で例示した大きさを備える必要はない。
【0074】
また実施の形態では、入力される多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、それぞれを個別の濃度データバッファに格納にしたが、画像データを1ライン分連続させて1つの濃度データバッファに格納し、誤差拡散処理実行手段や拡大処理部がこの濃度データバッファから画像データを読み出す際に、オーバーラップ領域が生じるように読み出しの開始アドレスと終了アドレスを制御するように構成してもよい。
【0075】
【発明の効果】
本発明に係る画像処理装置および画像処理方法によれば、1ライン分の多階調の画像データを、境界部分にオーバーラップ領域が生じるようにして複数の分割画像データに分割し、それぞれに誤差拡散処理を施して得た2値画像データ同士を結合して元の1ラインに対応する2値画像データを取得する。また結合の際にオーバーラップ領域については分割前のラインにおいて誤差拡散処理の進行方向で上流側に位置する分割画像データから取得したものを採用する。これにより、分割することなく1ラインを連続的に誤差拡散処理した場合と同一の2値画像データを得ることができ、各分割画像データに対する誤差拡散処理を並列に実行することで、ライン単位で見た場合の処理時間を短縮することができる。
【0076】
オーバーラップ領域の画素数を、その先頭画素を2値化した際に生じた誤差の影響が消滅するのに必要な画素数以上に設定したものでは、誤差拡散処理の進行方向でオーバーラップ領域の下流において、分割前のラインの先頭から誤差拡散処理を開始した場合と完全に一致する2値画像データを得ることができる。
【0077】
分割画像データ毎に濃度データバッファおよび誤差データバッファを設けたものでは、メモリアクセスの競合を調停することなく、分割画像データ毎に誤差拡散処理を並列に実行することが可能になる。またメモリアクセスの競合による待ち時間が発生せず、処理が高速化される。
【0078】
1ライン分の多階調の画像データを互いに同一画素数の分割画像データに分割するものでは、各分割画像データに対する誤差拡散処理の所要時間が等しくなり、並列処理が無駄なく行なわれ、全体としての処理時間が短縮される。
【0079】
画像の一部領域に誤差拡散処理を施す場合に、誤差拡散処理の進行方向で一部領域の所定量手前の位置から誤差拡散処理を開始させるものでは、画像の一部領域をトリミングするような場合にも、画像全体に誤差拡散処理を施した場合と同一の2値画像データを取得することができ、一部領域の端部における画質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の誤差拡散実行手段が1ライン分の画像データに誤差拡散処理を施す際の画像データの遷移を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像処理装置が有する誤差拡散処理部を示すブロック図である。
【図4】画像データを1.5倍に拡大する場合の処理内容を示す説明図である。
【図5】誤差拡散処理において周囲の7画素に処理画素で発生した誤差を分配する際の分配率の一例を示す説明図である。
【図6】誤差拡散処理において周囲の12画素に処理画素で発生した誤差を分配する際の分配率の一例を示す説明図である。
【図7】誤差拡散処理実行手段の回路構成を示すブロック図である。
【図8】A4横原稿を解像度600dpiで読み取り、これを拡大回転して、解像度600dpiでA3縦の記録紙全体に記録し出力する場合における処理の流れを示す説明図である。
【図9】A4横を6000画素とし、A3横への拡大率を1.5倍とした簡略化した場合における画像データを示す説明図である。
【図10】A4横6000画素を、境界部分に200画素のオーバーラップ領域を設けて前半の3100画素と後半の3100画素に分割する様子を示す説明図である。
【図11】図10に示したものを1.5倍に拡大した状態を示す説明図である。
【図12】6000画素から成る1ラインのうち1画素目から31000画素目までの前半3100画素を第1の濃度データバッファに、2901画素目から6000画素までの後半3100画素を第2の濃度データバッファに格納した状態を示す説明図である。
【図13】図12に示す画像データを1.5倍に拡大したものに誤差拡散処理を施す場合における誤差データバッファの状態の一例を示す説明図である。
【図14】処理画素で発生した誤差が誤差拡散処理の進行方向前方の未画素に与える影響が分配を繰り返すことで次第に減少する様子を示す説明図である。
【図15】第1の誤差拡散処理実行手段と第2の誤差拡散処理実行手段の出力する2値画像データ同士を結合する様子を示す説明図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態において画像の一部領域に誤差拡散処理を施す場合の処理範囲と一部領域との関係を示す説明図である。
【図17】中間調の画素を白または黒の何れかに2値化すると、2値化前の画素が持つも濃度と2値化後の画素の濃度との差の分だけ濃度に誤差が生じる様子を示す説明図である。
【符号の説明】
10…画像処理装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…プリンタ部
15…ファクシミリ部
20…読取部
21…CCD
22…A/D変換部
23…AFE(アナログ・フロント・エンド)部
24…S/P変換部
30…誤差拡散処理部
31…画像データ分割手段
32…第1の濃度データバッファ
33…第2の濃度データバッファ
34…第1の拡大処理部
35…第2の拡大処理部
36…第1の誤差拡散処理実行手段
37…第1の誤差データバッファ
38…第2の誤差拡散処理実行手段
39…第2の誤差データバッファ
40…画像データ結合手段
41…シーケンス制御部
51…第1の加算器
52…次次画素レジスタ
53…第2の加算器
54…次画素レジスタ
55…第3の加算器
56…比較器
57…誤差演算部
100…1ライン分の画像データ
101…オーバーラップ領域
102…第1の分割画像データ
103…第2の分割画像データ
104…第1の2値画像データ
105…第2の2値画像データ
106…1ライン分の2値画像データ
120…拡大前の画像データ
121…拡大後の画像データ
131…主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
132…副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
133…処理画素
134〜140…周囲の画素
151…主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
152…副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
153…処理画素
201…A4横原稿
202…A3横の2値画像
203…A3縦の2値画像
211…拡大前のA4横原稿
212…A3横原稿
230…処理画素
300…原稿画像
301…一部領域
302、303…準備エリア
311…副走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
312…主走査方向における誤差拡散処理の進行方向を示す矢印
Claims (7)
- 誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理装置であって、
画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように前記複数の分割画像データのそれぞれに誤差拡散処理を施して2値化した2値画像データを出力する誤差拡散処理実行手段と、
前記誤差拡散処理実行手段が出力する2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する画像データ結合手段と
を有する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記誤差拡散処理実行手段は、前記複数の分割画像データに対する誤差拡散処理を並列に実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 2値化の際に生じる処理画素の濃度と2値化後の画素濃度との誤差を誤差拡散処理によって周囲の画素に分配する際の分配率のうち誤差拡散処理の進行方向前方にある未処理の画素への分配率の最大値をD(Dは、0<D<1の範囲にある実数)としたとき、DのN乗(Nは正の整数)が2値化前の画像データで表現可能な階調数分の1以下になるNの最小値に1を加算した値以上の数に、前記オーバーラップ領域の画素数を設定した
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。 - 誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理装置であって、
画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割する画像データ分割手段と、
前記画像データ分割手段によって分割して得た分割画像データ毎に設けられ、対応する分割画像データを格納する複数の濃度データバッファと、
前記濃度データバッファ毎に設けられ、2値化の際に生じる元の画素濃度と2値化後の画素濃度との誤差の大きさを示す誤差データを格納する複数の誤差データバッファと、
前記濃度データバッファ毎に設けられ、対応する濃度データバッファに格納された分割画像データに誤差拡散処理を施して2値化した2値画像データを出力する複数の誤差拡散処理実行手段であって互いに分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように誤差拡散処理を並列に実行するものと、
前記複数の誤差拡散処理実行手段から出力される2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する画像データ結合手段と
を有する
ことを特徴とする画像処理装置。 - 1ライン分の多階調の画像データを互いに同一画素数の分割画像データに分割する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の画像処理装置。 - 誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理方法であって、
画像データが重複するオーバーラップ領域を境界部分に設けて1ライン分の多階調の画像データを複数の分割画像データに分割し、分割前のラインにおいて同一方向に処理が進むように前記複数の分割画像データのそれぞれに誤差拡散処理を並列に施して前記分割画像データを2値化した2値画像データを取得し、
前記2値画像データ同士を、前記オーバーラップ領域に対応する2値画像データとして誤差拡散処理の進行方向で分割前のラインにおいて上流側に位置する分割画像データから得たものを採用して結合することにより、分割前の1ラインに対応する2値画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理方法。 - 誤差拡散処理により多階調の画像データを2値化する画像処理方法であって、
画像の一部領域に誤差拡散処理を施す場合に、誤差拡散処理の進行方向で前記一部領域の所定量手前の位置から誤差拡散処理を開始する
ことを特徴とする画像処理方法。
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