JP2004502103A - 自動車等の流体連結装置 - Google Patents

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    • F16H45/02Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches with mechanical clutches for bridging a fluid gearing of the hydrokinetic type
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    • F16H2045/0273Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches with mechanical clutches for bridging a fluid gearing of the hydrokinetic type characterised by the type of the friction surface of the lock-up clutch
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Abstract

【解決手段】本発明は、おおむね径方向を向く壁部(36)と、可変容量チャンバ(38)を形成するために、ピストン(50)がシール状態で滑り移動するように取り付けられた中央のスリーブ(52)と、ピストン(50)をスリーブ(52)に回転連結させる連結部材(92)とを備え、連結部材(92)は、壁部(36)とピストン(50)との間に軸方向に設けられ、弾性変形可能な舌片(90)によりピストン(50)に連結され、壁部(36)の環状面(98)と対向して軸方向に固定されるように、径方向内周側へ延びる中央部(96)を備えている、自動車等の流体連結装置に関する。本発明では、連結部材(92)の前記中央部(96)に、径方向にセンタリングして、スリーブ(52)が軸方向に取り付けられている。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば国際公開第94−07058号公報に記載されているような自動車用の流体連結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
国際公開第94−07058号公報に記載されている流体連結装置は、駆動シャフトと一体回転しうるように連結され、中央に固定された案内スリーブを有する、おおむね径方向を向く壁部と、スリーブの円筒面に沿って、密着して滑り移動するようになっているピストンとを備えている。ピストンは、スリーブ及び壁部とともに、可変容量制御チャンバを構成している。可変容量制御チャンバの径方向外周側は、環状リングと2つの摩擦ディスクとにより区切られている。一方の摩擦ディスクは、ピストンと環状リングとの間に、他方の摩擦ディスクは、環状リングと壁部の後方面との間に、それぞれ軸方向に挾持されている。
【0003】
フランス国特許第702262号公報には、スリーブによりピストンを回転連結させる環状ディスクが記載されている。環状ディスクは、スリーブに対して、軸方向に回転的に連結され、かつ、弾性変形可能な舌片によりピストンに連結されており、また、径方向を向くスリーブの環状面と軸方向に対向するように、径方向内周側へ延びている。
【0004】
上述した公報に記載されているものでは、中央スリーブは、駆動ディスクの円筒の内周端と、スリーブの円筒面の軸端部とに形成された一連の相補的な歯またはスプラインにより、駆動ディスクまたは連結ディスクに固定され、また、スリーブの環状面にスプライン駆動ディスクを軸方向に固定するように、シーミングされる。
【0005】
上述した装置の欠点は、駆動ディスク及び中央スリーブがかなり複雑な形状となり、かつ機械加工しなければならないことである。また、部材を偶発的に変形させないようにするとともに、機械加工したり変形させたりしてシーミングできるように、鋼製の中央スリーブを用いる必要がある。
【0006】
上述した欠点を解消するために、フランス国特許第749632号公報では、スリーブの形状を簡略化することが提案されている。この場合、連結ディスクは、径方向内周側に延び、スリーブに溶接され、かつ、ピストンとタービン翼車との間に軸方向に挿入された中央部を備えている。
【0007】
このような形状とすることにより、連結ディスクとスリーブとを互いに連結する手段が簡略化される。しかしながら、溶接作業用の中央孔を壁部に形成するために、スリーブをセンタリングして固定する必要があるが、この点に関しては解決されていない。
【0008】
従って、カバープレートの径方向を向く壁部の形状、及び流体連結装置のシール構造が複雑となる。
【0009】
また、フランス国特許第766894号公報では、連結ディスクを、ピストンとカバープレートの径方向を向く壁部との間に設けることが提案されている。この場合、連結ディスクは、径方向内周側に延び、スリーブの対向部と、カバープレートの内面の対向部との間に軸方向に挿入された中央部を備えている。
【0010】
上記公報における種々の実施例では、フランス国特許第749632号公報におけるのと同様に、連結ディスクの中央部が、壁部またはスリーブに固定され、スリーブが、カバープレートの壁部に形成された中央スリーブ内の孔を介して溶接され、カバープレートに対してセンタリングして固定されている。
【0011】
また、フランス国特許第634849号公報では、連結ディスクを、ピストンとカバープレートの壁部との間に軸方向に設け、スプライン連結手段により、スリーブに軸方向に回転的に連結させて、溶接またはシーミングすることが提案されている。
【0012】
上述した公報のものと同様に、スリーブは、カバープレートの壁部に形成された中央孔を介して、センタリングされて軸方向に固定される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な構造で、スリーブをセンタリングして固定するための中央孔が設けられていない壁部を有するカバープレートを使用しうるようにした、連結ディスクを備える流体連結装置を提案することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は、駆動シャフトに回転的に連結されるように、おおむね径方向を向く壁部と、中央のスリーブと、スリーブの円筒面に沿って、シール状態で滑り移動するように取り付けられ、ピストンと壁部の後面との間で挾持された少なくとも1つの環状リングにより、径方向外周側が区切られた可変容量チャンバをスリーブ及び壁部とともに形成するピストンと、壁部とピストンとの間で軸方向に設けられたスリーブにピストンを回転的に連結し、かつ、壁部の環状面と直接的または間接的に軸方向に固定されるように、径方向の内方に延びる中央部を有する連結部材とを備えている、自動車等の流体連結装置において、スリーブを径方向にセンタリングするように、連結部材の前記中央部に、スリーブを軸方向に取り付けるようにしたことを特徴とする流体連結装置を提案している。
【0015】
本発明の他の特徴は次の通りである。
【0016】
−連結部材の中央部を、スリーブの径方向を向く環状の前面と、壁部の前記環状面との間に軸方向に挿入する。
−連結部材の中央部を、スリーブの前記前面に溶接または接着する。
−連結部材の中央部を、スリーブの前記前面にシーミングする。
−連結部材の中央部を、軸方向に弾性係合させて、スリーブの前記前面に固定する。
−スリーブに、連結部材の中央部をセンタリングするための環状凹溝面を設ける。
−連結部材の中央部は、可変容量チャンバへ油を供給するための調節孔を設けるために、スリーブを越えて径方向の内方へ延びている。
−連結部材の中央部を、スリーブと一体とする。
−連結ディスクの中央部は、軸方向に延びる少なくとも1つの第1の軸方向部により後方へ向かって延び、円筒面は、ピストンの滑り移動のための面を構成している。
−前記第1の軸方向部を、径方向内周側へ延びる環状の径方向部に連設し、径方向部を、壁部の環状面へ向かって前方に延びる環状の第2の軸方向部と連設する。
−前記第2の軸方向部の前方自由端は、壁部の前記環状面と軸方向に係合している。
−前記第2の軸方向部の前方自由端を、壁部の環状面に溶接する。
−連結部材の中央部は、後方へ延びるスリーブにより径方向内周側へ延び、ハブをなす環状の前方部を、スリーブの円筒面と、前記前方部の環状凹溝面を滑り移動するように取り付けられたピストンの内周縁との間に挿入する。
−連結部材の中央部を、壁部の前記環状面に溶接または接着する。
−おおむね径方向を向く可変容量チャンバへの流体供給路を、連結部材の中央部と壁部の前記環状面との間、またはスリーブの前面と連結部材の中央部との間に形成する。
−前記流体供給路を、壁部、連結部材の中央部、またはスリーブに形成されたボス、スロット、または孔とする。
−連結部材の中央部を、弾性変形可能な舌片により、ピストンに連結する。
−弾性変形可能な舌片を、連結部材のラグと一体とする。
【0017】
図面を参照して、次に行う詳細な説明により、本発明の他の特徴及び利点をよく理解しうると思う。
【0018】
【発明の実施の形態】
各図において、同一または類似する部材には、同一符号を付してある。
【0019】
詳細な説明及び特許請求の範囲の理解を容易とするために、非限定的な実施例を示す図面の左側を後方とし、右側を前方とする。
【0020】
従来公知のように、流体連結装置は、油が充填されて密閉されたハウジング(10)内に、トルクコンバータ(12)とロックアップクラッチ(14)とを設けて構成されている。
【0021】
トルクコンバータ(12)は、タービン翼車(16)、インペラー(18)及び反動ステーター(20)を備えている。
【0022】
インペラー(18)は、第1のハーフシェル(24)と一体をなすブレード(22)を有している。ハーフシェル(24)は、駆動シャフトに回転的に連結される駆動シェル(26)に密着して固定されている。
【0023】
また、タービン翼車(16)は、インペラー(18)のブレード(22)と対向するブレード(28)を有しており、かつ、ハブ(30)に、ともに回転しうるように連結されている。ハブ(30)は、径方向を向く内周部(34)の内周面に形成されたスプライン(32)を介して、流体連結装置の軸(X−X)と同軸の従動シャフト(図示しない)に、ともに回転するように連結されている。
【0024】
駆動シェル(26)は、軸(X−X)と直交して、おおむね径方向を向く壁部(36)からなっている。
【0025】
図1からわかるように、タービン翼車(16)は、前方に位置する壁部(36)と、後方に位置するインペラー(18)との間に、軸方向に取り付けられている。
【0026】
ハブ(30)を有するタービン翼車(16)からなるアッセンブリと壁部(36)との間には、軸方向のロックアップクラッチ(14)が取り付けられている。
【0027】
後方にあるハーフシェル(24)、及び前方にある駆動シェル(26)により、密閉されたハウジング(10)が構成され、駆動シェル(26)は、流体連結装置の入力部をなし、タービン翼車(16)のハブ(30)は、出力部をなしている。
【0028】
この流体連結装置を自動車に適用する場合、駆動シャフトは、車両のエンジンのクランクシャフト(図示しない)であり、従動シャフトは、車両のトランスミッションの入力シャフト(図示しない)である。
【0029】
前記従動シャフトは、ロックアップクラッチ(14)の部材、すなわち、タービン翼車(16)及びハブ(30)からなるアッセンブリと、離れた位置で回転的に結合するリング(40)により区切られた可変容量チャンバ(38)内に油圧油を供給する流路としての中心孔を有している。
【0030】
車両の始動時には、密閉されたハウジング(10)内の油は、タービン翼車(16)のブレード(28)とインペラー(18)のブレード(22)との間を流れ、タービン翼車(16)はインペラー(18)により回転駆動される。
【0031】
ロックアップクラッチ(14)が解除されると、トルクコンバータ(12)は作動する。
【0032】
タービン翼車(16)とインペラー(18)との間の滑り作用による動力の損失を防止するために、車両が始動した後、タービン翼車(16)は、ロックアップクラッチ(14)により、駆動シェル(26)に固定連結され、トルクコンバータ(12)は停止する。
【0033】
特に、国際公開第94−07058号公報には、上述した種類の流体連結装置の公知の構造及び作用が、詳細に記載されている。
【0034】
駆動シェル(26)は、金属をプレス成形してなり、その外周縁は、軸方向の後方を向く環状フランジ(42)となっている。環状フランジ(42)は、後方にあるハーフシェル(24)の一部である軸方向を向く環状のフランジ(44)と径方向に、例えば溶接シーム(46)によりシールされ、それにより、ハウジング(10)は密閉されている。
【0035】
図1からわかるように、本発明の第1の態様によれば、駆動シェル(26)の壁部(36)の中央部は連続面となっており、機械加工された孔が設けられていない。
【0036】
従って、駆動シェル(26)を、プレス加工により容易に形成することができる。また、例えば、内部の部材をハウジング(10)にリベット締めするための中心孔や周辺孔を有していないので、駆動シェル(26)は、シール状態となっている。
【0037】
図1からわかるように、壁部(36)の前方には、連結板(図示しない)により、公知のようにして、車両のエンジンのクランクシャフトに駆動シェル(26)を連結するための連結部(48)が設けられている。
【0038】
ロックアップクラッチ(14)は、中心孔を有し、径方向を向くディスク状のピストン(50)を備えている。ピストン(50)は、前後方向へ軸線方向に移動しうるように、すなわち、案内スリーブである環状のスリーブ(52)に、所定の範囲を滑り移動するように取り付けられている。ピストン(50)の軸方向の滑り移動は、シールリング(56)により案内される。
【0039】
すなわち、ピストン(50)は、軸方向を向き、かつ滑り移動しうるようになっている内周縁(54)と、スリーブ(52)の外周面に形成された環状凹溝内に挿入されたシールリング(56)とを有している。
【0040】
図1から図16に示す実施例では、スリーブ(52)は、極めて単純な構造となっており、その外周面(58)及び内周面(60)により、径方向の寸法が、また、径方向を向く2つの環状の端面、すなわち前面(62)及び後面(64)により、軸方向の寸法が定められた一体型の円筒スリーブとなっている。
【0041】
タービン翼車(16)は、スリーブ(52)の内周面(60)に、スリーブ軸受(66)が設けられたハブ(30)に、回転可能に案内されている。
【0042】
スリーブ(52)に連結されたピストン(50)と壁部(36)とにより、可変容量チャンバ(38)が形成されている。可変容量チャンバ(38)の外周側は、径方向を向くリング(40)、前方摩擦リング(68)及び後方摩擦リング(70)により区切られている。前方摩擦リング(68)は、リング(40)と壁部(36)の挾持面(72)との間に、後方摩擦リング(70)は、リング(40)とピストン(50)の挾持面(74)との間に、それぞれ挾持されている。
【0043】
各摩擦ディスク(68)(70)は、リング(40)の対向する面と、壁部(36)またはピストン(50)のうちの一方に連結されている。
【0044】
リング(40)は、ロックアップクラッチ(14)の出力部材であり、図1に示すように、ピストン(50)の外周縁(76)を越えて、径方向に延びている。
【0045】
公知の構成のように、リング(40)の外周端(78)は、タービン翼車(16)に回転的に連結された部材(82)における軸方向を向く相補部(80)に、例えば溶接されている。
【0046】
本発明の範囲においては、ロックアップクラッチ(14)の周辺に、例えば周方向に作用するばねを備える弾性制動装置を設けてもよい。
【0047】
図1に示すように、ニードルスラストベアリング(84)は、スリーブ(52)の径方向を向く環状の後面(64)とハブ(30)との間に軸方向に挿入されている。
【0048】
より詳しくいうと、ニードルスラストベアリング(84)は、スリーブ(52)の後面(64)と、ハブ(30)の径方向外周側へ延び、タービン翼車(16)が溶接された径方向部(86)との間に挿入されている。
【0049】
ニードルスラストベアリング(84)の前方リングは、径方向外周側へ延び、ピストン(50)が後方へ軸移動した時にスラストリングとして作用するリング部(88)となっている。
【0050】
ロックアップクラッチ(14)が係合すると、タービン翼車(16)は、駆動シェル(26)の壁部(36)と連結され、タービン翼車(16)とインペラー(18)とは相対移動せず、また、滑り移動した場合には、軸方向に係合したロックアップクラッチ(14)により、滑り移動が制限される。
【0051】
ロックアップクラッチ(14)が係合すると、タービン翼車(16)は、インペラー(18)により回転駆動される。
【0052】
公知のように、おおむね接線方向を向く弾性舌片(90)により軸方向に固定されたピストン(50)は、壁部(36)に回転的に結合されている。弾性舌片(90)は、駆動部材である連結部材(92)に固定され、それにより、ピストン(50)は、壁部(36)に回転的に連結され、かつ、スリーブ(52)の外周面(58)に沿って、軸方向に滑り移動することにより、壁部(36)に対して前後方向に軸移動できるようになっている。
【0053】
本実施例では、簡単化のために、「舌片」という用語は、単独で作用するもの、あるいは従来で公知のように、簡単な構成の舌片を積層したものを指すものとする。
【0054】
図面に示す各実施例では、弾性舌片(90)は、接線方向を向き、一端がピストン(50)に、他端が連結部材(92)にリベット締めされている。
【0055】
弾性舌片(90)は、所定の間隔で円周方向に、例えば6つ設けられている。
【0056】
公知の構成によれば、弾性舌片(90)を固定するために、ピストン(50)を壁部(36)へ向かって局部的に変形できるようになっている。この変形により、ピストン(50)は強固となる。
【0057】
本発明は、ピストンが弾性舌片により連結されていることに限定されるものではなく、また、駆動または連結部材を、例えば止め金具と協働させるようにしてもよい。。
【0058】
図面からわかるように、連結部材(92)は、おおむね径方向を向くディスクであり、弾性舌片(90)の端が固定されたラグ(94)を有している。
【0059】
連結部材(92)の外周側にラグ(94)を設けたことにより、ラグ(94)の間に間隙が設けられる。それにより、弾性舌片(90)をピストン(50)にリベット締めすることができるようになる。
【0060】
本発明の全ての実施例において、弾性舌片(90)及び連結部材(92)は、ピストン(50)と壁部(36)との間、すなわち、可変容量チャンバ(38)内で軸方向に設けられている。
【0061】
外周端(78)と相補部(80)とが係合しているので、リング(40)は、タービン翼車(16)に回転的に連結されるが、ピストン(50)が作動すると、軸方向に挾持されうるように、タービン翼車(16)に対して軸方向に移動できるようになっている。
【0062】
連結部材(92)の外周側で径方向を向くラグ(94)は、連結部材(92)の中央部(96)から軸方向の後方へずれている。中央部(96)は、スリーブ(52)と、壁部(36)の内周部の軸方向後方にある環状面(98)との間に、軸方向に挿入された環状リング部となっている。
【0063】
ラグ(94)は、中央部(96)と一体をなす円錐状の中間環状部(100)の外周端に設けられている。
【0064】
図1の実施例に示す本発明の特徴によれば、連結部材(92)の中央部(96)は、壁部(36)に溶接され、スリーブ(52)は、連結部材(92)の中央部(96)に溶接されている。
【0065】
より詳しく言うと、スリーブ(52)の径方向を向く環状の前面(62)は、連結部材(92)の中央部(96)の径方向を向く後面(102)に溶接され、中央部(96)の径方向を向く前面(104)は、壁部(36)の環状面(98)に溶接されている。
【0066】
より詳しく言うと、前記環状面(98)は、所定の間隔で円周方向に設けられて、内周側に延びる一連のボス(106)を備えている。ボス(106)は、後面が溶接された中央部(96)とともに、可変容量チャンバ(38)内へ油圧油を供給するために、可変容量チャンバ(38)をアッセンブリの内部と連通させるおおむね径方向を向く複数の通路を、ボス(106)の間、及び、中央部(96)と壁部(36)との間に形成している。
【0067】
中央部(96)は、例えば、蓄放電抵抗溶接により、スリーブ(52)に対して直交して溶接される。また、壁部(36)を介して、すかして溶接することもできる。
【0068】
溶接または接着により固定される領域は、ピストン(50)の径方向の内方、すなわち、図1において、ピストン(50)の内周縁(54)の下側である。
【0069】
従って、連続面となっている壁部(36)を加工することなく、連結部材(92)の中央部(96)にスリーブ(52)を固定することにより、スリーブ(52)を径方向にセンタリングして軸向きに固定できる。
【0070】
部材は、次のようにして組み立てられる。
【0071】
弾性舌片(90)をリベット締めすることにより、連結部材(92)をピストン(50)に組み付ける。次に、連結部材(92)の中央部(96)に対して、スリーブ(52)をセンタリングして固定する。
【0072】
スリーブ(52)、ピストン(50)、弾性舌片(90)、連結部材(92)及びリング(40)からなるサブアッセンブリを、前方の駆動シェル(26)に軸方向に取り付け、連結部材(92)を固定し、駆動シェル(26)の壁部(36)に回転的に連結するように溶接して、組立て完了となる。
【0073】
スリーブ(52)、中央部(96)が連設された連結部材(92)、及び中央部が簡単な構成となっている壁部(36)を有する駆動シェル(26)からなる3つの部材の簡略化された構造の他に、本発明による構造では、スリーブ(52)と壁部(36)との間に軸方向に挿入された中央部(96)のために、やや厚みがあるが、軸方向に関しては、寸法が小さくなっている。
【0074】
また、スリーブ(52)、ピストン(50)及び連結部材(92)からなるサブアッセンブリは、組み立てが容易で、かつ、リング(40)がピストン(50)と駆動シェル(26)との間に挿入されて、最終的に溶接される前、及び、2つのシェル(24)(26)が溶接されて、ハウジング(10)が最終的に組み立てられる前に、駆動シェル(26)に対して径方向にセンタリングさせて位置させることが容易である。
【0075】
スリーブ(52)と連結部材(92)との間、及び連結部材(92)と壁部(36)との間を、上述したように溶接する代わりに、接着してもよい。
【0076】
図1からわかるように、連結部材(92)の中央部(96)は、スリーブ(52)及び壁部(36)に固定された連結領域から、径方向内周側へ延びており、連結部材(92)の中央孔は、可変容量チャンバ(38)に対する油の流量や油圧を制御するように、調整可能な油供給孔となっている。
【0077】
図2〜図16に示す他の実施例を、図1の第1の実施例と比較して説明する。
【0078】
図2及び図3に示す第2の実施例では、油圧油が流れる径方向の流路が変更されているだけである。
【0079】
すなわち、壁部(36)の環状面(98)は、滑らかであり、図1のボス(106)を有していない。図3からわかるように、径方向の流路は、連結部材(92)の中央部(96)に形成され、円周方向に所定の間隔で離れた流路孔(108)となっている。
【0080】
スリーブ(52)と中央部(96)との間、及び中央部(96)と壁部(36)との間の溶接または接着領域は、中央部(96)の流路孔(108)の間に設けられている。
【0081】
図4〜図6に示す第3の実施例では、連結部材(92)の中央部(96)は、シーミングにより、スリーブ(52)に取り付けられている。
【0082】
そのため、スリーブ(52)の前面(62)には、連結部材(92)の中央部(96)の相補的なラグ(97)が嵌合される凹部または開口部(63)が設けられている。
【0083】
開口部(63)の縁にあるシーム部(112)は、連結部材(92)をスリーブ(52)に、軸方向及び周方向に固定するように、機械的につぶされている。
【0084】
図6からわかるように、開口部(63)の軸方向の深さは、弾性舌片(90)の軸方向の厚さよりも大となっており、油圧油が流れる孔または流路(110)が形成されている。
【0085】
図6には、シーム部(112)を示してある。
【0086】
また、図4からわかるように、スリーブ(52)、ピストン(50)及び連結部材(92)からなるアッセンブリは、壁部(36)の内周環状面(98)と直接接触している前面(62)を溶接することにより、最終的に溶接または接着されている。
【0087】
図7及び図8に示す第4の実施例は、油圧油の流路孔(108)が形成された連結部材(92)の中央部(96)の構造に関して、第2の実施例とおおむね同様である。
【0088】
また、連結部材(92)の中央部(96)は、シーミングにより、スリーブ(52)に軸方向に回転的に連結するように固定されている。
【0089】
そのため、スリーブ(52)は、径方向を向く内周部(114)を備えている。内周部(114)は、前面(62)とともに、中央部(96)のための保持部を形成している。中央部(96)の端部(116)には、中央部(96)を保持する面をなす円筒状の外周面(118)に形成されたスプラインと相補的なスプラインが設けられている。
【0090】
このように、スリーブ(52)は、連結部材(92)と回転的に連結され、かつ、シーム部(112)により、軸方向に取り付けられる。
【0091】
図9及び図10に示す第5の実施例は、連結部材(92)の中央部(96)を軸方向に固定し、スリーブ(52)の内周部(114)と回転結合させる手段を有しているという点を除いて、第4の実施例と類似している。
【0092】
すなわち、中央部(96)は、前方から後方へ、すなわち、図9の右側から左側へ、前面(64)と外周面(118)とにより形成された保持部に弾性的に挿入されている。図10からわかるように、中央部(96)は、所定の間隔で円周方向に離れ、面取りされた弾性的で変形可能なフック(120)により係止されている。
【0093】
図7及び図8に示すスプラインにより、または中央部(96)のシーム部(112)に形成されて、フック(120)を受けるノッチにより、回転連結可能となっている。
【0094】
図11及び図12に示す第6の実施例は、接線方向を向く弾性舌片(90)が、好ましくは、上述した実施例よりも薄い板金で形成された連結部材(92)と一体化されているという点を除いて、第1の実施例と類似している。
【0095】
また、第1の実施例で示したのと同様、溶接や接着により、スリーブ(52)、連結部材(92)の中央部(96)、壁部(36)が互いに固定連結されている。
【0096】
図13及び図14に示す第7の実施例は、第6の実施例と組み合わせたものである。弾性舌片(90)は、連結部材(92)と一体化されている。第3の実施例では、スリーブ(52)及び連結部材(92)の中央部(96)は、開口部(63)に嵌合されたラグにより固定されているが、本実施例では、シーム部(112)ではなく、溶接または接着により固定されている。
【0097】
図15及び図16に示す第8の実施例は、第7の実施例と類似しており、弾性舌片(90)は、スリーブ(52)のヘッドまたはすえ込ボス(124)により、所定位置でシーミングされている。すえ込ボス(124)は、連結部材(92)の中央部(96)の舌片に形成された相補的な孔(126)に嵌合され、リベット頭と同様に膨径されている。
【0098】
図17に示す第9の実施例は、スリーブ(52)が連結部材(92)と一体化されているという点で、上述した全ての実施例とは異なっている。
【0099】
より詳しく言うと、図1に示す第1の実施例と同様に、壁部(36)に溶接または接着された連結部材(92)の中央部(96)は、スリーブ(52)の本体を構成する環状の軸方向部によって、後方へ向かって延びている。スリーブ(52)の径方向の肉厚は、上述した実施例のものよりもかなり薄くなっている。
【0100】
このように、第9の実施例では、製造、機械加工及び組み立て工程のいくつかを省けるので、流体連結装置の構造を簡略化できるという利点を有している。
【0101】
図18に示す第10の実施例は、スリーブ(52)が連結部材(92)と一体化されているという点で、第9の実施例と類似している。
【0102】
中央部(96)は、後方へ向かって延びる、図17と同様な軸方向部(52a)、軸(X−X)方向へ向かって延びる径方向部(52b)、及び前方へ向かって延びる軸方向部(52c)により形成されている。軸方向部(52c)は、軸方向部(52a)よりも短くなっており、可変容量チャンバ(38)に油を流すことができるようになっている。
【0103】
このように、図1に示すような別個の部材からなる一体型のスリーブ(52)と同様の寸法として、中央のスリーブが形成されている。
【0104】
第9の実施例と同様に、連結部材(92)の中央部(96)のみが、ボス(106)を有する壁部(36)のラグ(94)に溶接または接着されている。溶接された領域は、上述した一連の実施例と比べて、より径方向の遠くに位置し、ピストン(50)の内周縁(54)と並んで、またはその外側に位置している。
【0105】
図19に示す第11の実施例は、軸方向部(52c)が、軸方向前方にさらに延びているという点を除いて、第10の実施例と類似している。それにより、軸方向部(52c)は、軸方向を向く内周側環状面(62c)と溶接または接着されており、スリーブ(52)と壁部(36)が、より強固に連結されている。
【0106】
そのため、孔(126)は、軸方向部(52c)に形成されており、油が流れるようになっている。
【0107】
図20に示す第12の実施例では、連結部材(92)の中央部(96)は、一体化されたスリーブ(52)をなすように、後方へ延びる軸方向部を有しているという点で、図17の第9の実施例と類似している。
【0108】
しかしながら、図17と図20とを比較すると、第12の実施例では、スリーブ(52)の円筒状の外周面(58)とピストン(50)の軸方向を向く内周縁(54)との間に、ハブ(30)の前方部(31)が挿入されている。また、スリーブ軸受(66)が、スリーブ(52)とハブ(30)の前方部(31)との間に挿入され、ピストン(50)の内周縁(54)は、前方部(31)の外周面(33)に形成された凹部を、シール状態で滑り移動するようになっている。
【0109】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではない。
【0110】
上述したように、種々の固定に関して、特に、スリーブ(52)、連結部材(92)の中央部(96)、駆動シェル(26)の壁部(36)からなる主要部材を、溶接、接着、シーミング等を組み合わせて連結固定することができる。
【0111】
上述した説明において、連結部材(92)は、環状ディスク、すなわち、おおむね環状の連続面となっている。しかしながら、本発明は上述したような構成に限定されるものではない。また、本発明の範囲内から逸脱することなく、連結されうる軸方向を向くアームにより連結部材を構成することもできる。その場合、種々の部材を連結するアームは、環状ディスクの連結部材と同様に機能する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施例による流体連結装置の主要部材の軸線半断面図である。
【図2】
第2の実施例を示す断面図である。
【図3】
図2のF3矢の方向から見た破断線図であり、スリーブと、舌片が固定される連結部材とを示している。
【図4】
第3の実施例を示す断面図である。
【図5】
第3の実施例を示す破断線図である。
【図6】
図4の6−6線における部分拡大図である。
【図7】
第4の実施例を示す断面図である。
【図8】
第4の実施例を示す破断線図である。
【図9】
第5の実施例を示す断面図である。
【図10】
第5の実施例を示す破断線図である。
【図11】
第6の実施例を示す断面図である。
【図12】
第6の実施例を示す破断線図である。
【図13】
第7の実施例を示す断面図である。
【図14】
第7の実施例を示す破断線図である。
【図15】
第8の実施例を示す断面図である。
【図16】
第8の実施例を示す破断線図である。
【図17】
連結部材とスリーブとが一体化された第9の実施例を示す断面図である。
【図18】
連結部材とスリーブとが一体化された第10の実施例を示す断面図である。
【図19】
連結部材とスリーブとが一体化された第11の実施例を示す断面図である。
【図20】
連結部材とスリーブとが一体化された第12の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 ハウジング
12 トルクコンバータ
14 ロックアップクラッチ
16 タービン翼車
18 インペラー
20 反動ステーター
22 ブレード
24 ハーフシェル
26 駆動シェル
28 ブレード
30 ハブ
31 前方部
32 スプライン
34 内周部
36 壁部
38 可変容量チャンバ
40 ディスク
42、44 環状フランジ
46 溶接シーム
48 連結部
50 ピストン
52 スリーブ
52a 軸方向部
52b 径方向部
52c 軸方向部
54 内周縁
56 シールリング
58 外周面
60 内周面
62 前面
62c 内周側環状面
63 開口部
64 後面
66 スリーブ軸受
68 前方摩擦リング
70 後方摩擦リング
72、74 挾持面
76 外周縁
78 外周端
80 相補部
82 部材
84 ニードルスラストベアリング
86 径方向部
88 リング部
90 弾性舌片
92 連結部材
94 ラグ
96 中央部
97 ラグ
98 環状面
100 中間環状部
102 後面
104 前面
106 ボス
108 流路孔
110 流路
112 シーム部
114 内周部
116 端部
118 外周面
120 フック
124 すえ込ボス
126 孔

Claims (18)

  1. 駆動シャフトに回転的に連結されるように、おおむね径方向を向く壁部(36)と、中央のスリーブ(52)と、スリーブ(52)の円筒面(58)に沿って、シール状態で滑り移動するように取り付けられ、ピストン(50)と壁部(36)の後面との間で挾持された少なくとも1つの環状リング(40)により、径方向外周側が区切られた可変容量チャンバ(38)をスリーブ(52)及び壁部(36)とともに形成するピストン(50)と、壁部(36)とピストン(50)との間で軸方向に設けられたスリーブ(52)にピストン(50)を回転的に連結し、かつ、壁部(36)の環状面(98)と直接的または間接的に軸方向に固定されるように、径方向の内方に延びる中央部(96)を有する連結部材(92)とを備えている、自動車等の流体連結装置において、
    スリーブ(52)を径方向にセンタリングするように、連結部材(92)の前記中央部(96)に、スリーブ(52)を軸方向に取り付けたことを特徴とする流体連結装置。
  2. 連結部材(92)の中央部(96)を、スリーブの径方向を向く環状の前面(62)と壁部(36)の前記環状面(98)との間に、軸方向に挿入したことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 連結部材(92)の中央部(96)を、スリーブ(52)の前記前面(62)に溶接または接着したことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
  4. 連結部材(92)の中央部(96)を、スリーブ(52)の前記前面(62)にシーミングしたことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
  5. 連結部材(92)の中央部(96)を、軸方向に弾性係合させて、スリーブ(52)の前記前面(62)に固定したことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
  6. スリーブに、連結部材(92)の中央部(96)をセンタリングするための環状凹溝面を設けたことを特徴とする、請求項4または5に記載の装置。
  7. 連結部材(92)の中央部(96)は、可変容量チャンバ(38)へ油を供給するための調節孔を設けるために、スリーブ(52)を越えて、径方向内周側へ延びていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
  8. 連結部材(92)の中央部(96)を、スリーブ(52)と一体としたことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  9. 連結部材(92)の中央部(96)は、軸方向に延びる少なくとも1つの第1の軸方向部(52a)により後方へ向かって延び、かつ円筒面(58)は、ピストン(50)の滑り移動のための面を構成していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
  10. 前記軸方向部(52a)を、径方向内周側へ延びる環状の径方向部(52b)に連設し、かつ径方向部(52b)を、壁部(36)の環状面(98)へ向かって前方へ延びる環状の第2の軸方向部(52c)と連設したことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
  11. 前記軸方向部(52c)の前方自由端は、壁部(36)の環状面(98)と軸方向に係合していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
  12. 前記軸方向部(52c)の前方自由端を、壁部(36)の環状面(98)に溶接または接着したことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の装置。
  13. 連結部材(92)の中央部(96)は、後方へ延びるスリーブ(52)により径方向内周側へ延び、かつハブ(30)をなす環状の前方部(31)を、スリーブ(52)の円筒面(58)と、前記前方部(31)の環状凹溝面を滑り移動するように取り付けられたピストン(50)の内周縁(54)との間に挿入したことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
  14. 連結部材(92)の中央部(96)を、壁部(36)の前記環状面(98)に溶接または接着したことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
  15. おおむね径方向を向く可変容量チャンバ(38)への流体供給路を、連結部材(92)の中央部(96)と壁部(36)の前記環状面(98)との間、またはスリーブ(52)の前面(62)と連結部材(92)の中央部(96)との間に形成したことを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の装置。
  16. 前記流体供給路を、壁部(36)、連結部材(92)の中央部(96)、またはスリーブ(52)に形成されたボス、スロット、または孔としたことを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の装置。
  17. 連結部材(92)の中央部(96)を、弾性変形可能な舌片(90)により、ピストン(50)に連結したことを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の装置。
  18. 弾性変形可能な舌片(90)を、連結部材(92)のラグ(94)と一体としたことを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の装置。
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