JP2004502036A - 金属を加工処理するための方法及び装置、並びに加工処理して製造された金属 - Google Patents
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Abstract
本発明は、(例えば、高純度コバルトといった)高純度金属を製造するための方法及び装置を包含し、また、そうして製造された高純度金属も包含する。本方法は、電気分解とイオン交換とを組み合わせ、続いて溶融して所望の純度のコバルトを製造することを含んでなる。本方法によれば、全金属不純物を50ppm未満含んでなる高純度コバルトを製造することができる。製造したコバルトの個々の元素状態の不純物は次の通りであることができる:Na及びK それぞれ0.5ppm未満、Fe 10ppm未満、Ni 5ppm未満、Cr 1ppm未満、Ti 3ppm未満及びO 450ppm未満。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
【0001】
発明の分野
本明細書中に説明する発明は、金属を製造するための方法及び装置に関し、またそうして製造された金属に関する。特定の側面においては、本発明の方法はコバルトを製造するために使用され、CoCl2及び/又はCoSO4の溶液を溶解させて精製し、続いて更に電気分解により精錬して析出させることを含む。電気分解に続いて、真空溶解により更にコバルトを精錬することができる。製造されたコバルトは、好ましくは、「高純度」コバルトであり、本発明に従った高純度コバルトとは、気体の不純物を除いて、全体の金属純度が99.99%(4N)か又はそれより高いものと定義される。製造された高純度コバルトは、スパッタターゲットへの使用に適しており、マイクロ電子用途に関係する。また、本コバルト材料は、例えば、コバルト約99.9%のコバルト材料といった、より純度の低いコバルトであることもできる。
【0002】
発明の背景
高純度金属は、例えば、はんだ、スパッタリングターゲット、及び半導体デバイスにおける用途といった現代の多くの処理に望まれている。例えば、高純度コバルトは、スパッタリングターゲットの形成のために望ましい。特定の用途においては、コバルトのフィルムを高純度ターゲットからケイ素製基板上にスパッタ蒸着する。次いで、フィルムを熱処理にかけて、二ケイ化コバルト(CoSi2)を形成させる。二ケイ化コバルトは固有抵抗が低く、集積回路用途において二ケイ化チタン(TiSi2)の良好な代替物と考えられている。従って、新世代チップの製造において、コバルトはチタンに部分的に取って代わる可能性がある。また、コバルトスパッタリング手法は、データ蓄積デバイス、平面パネル及び他の同様な製品の製造に適用することもできる。エレクトロニクス産業の迅速な発達を考慮すれば、4N又はそれより高い純度のコバルトターゲットについて潜在的な市場が存在すると考えられている。
【0003】
コバルトは、中央アフリカにおいて銅の副産物として、及び他の場所でのニッケルの湿式冶金精錬の副生物として、回収される。アフリカの工場においては、銅−コバルト精鉱が焙焼されて硫酸溶液中で浸出される。銅及びコバルトは、浸出液から直接電解採取により別々に回収される。ニッケルの湿式冶金精錬については、選択沈殿及び選択晶出、溶媒抽出並びにイオン交換といった種々の手法を使用して、コバルトがニッケルから分離される。次いで、コバルトは硫酸塩溶液又は塩化物溶液から電解採取される。電解採取法の他に、コバルトは、溶解性コバルト(III)アミン法(soluble cobaltic amine process)を用いて金属粉末として製造することもできる。ニッケルは、コバルトの姉妹元素(sister element)であり、これらの方法により製造されるコバルト中には常に見出される。得られるコバルト中の他の不純物には、アルカリ金属(Na、Kなど)、放射性元素(U、Thなど)、遷移金属(Ti、Cr、Cu、Feなど)及び気体不純物が含まれる(気体不純物はLECOにより測定されるものであり、O、C、S、N、Hである)。
【0004】
ニッケルは容易にはコバルトから除去できない。これは、一連の特性においてコバルトとニッケルが類似していることによるものである。コバルト及びニッケルは、熱力学的に理想的な液体及び固溶体を形成することができる。Co−Ni系の凝固はわずか数度の温度差で起こる。次の反応、
Co2++ 2e− → Co;及び
Ni2++ 2e− → Ni
の水溶液中25℃での標準電極電位は、それぞれ−0.28V及び−0.23Vである。両電位の差はわずか0.05Vである。これらの因子の全てが、コバルトとニッケルの分離を非常に困難にさせている。
【0005】
半導体産業について、スパッタ蒸着コバルトを含んでなる半導体チップに関する問題を回避するためには、コバルトスパッタリングターゲット中の不純物を最小限にすることが重要である。具体的には、アルカリ金属(Na及びKなど)、非金属(S及びCなど)、及び金属(本明細書の文脈でのPなど)は、移動性が高いと考えられており1の半導体デバイス層から別の層へ移動できることから、これらの元素は望ましくない。Feは望ましくない別の元素である。具体的には、Feは材料の磁気特性に影響を及ぼすことがあり、磁気の不一致(magnetic inconsistency)についての懸念を生ずる。更に、Fe並びにTi、Cr、Cuは、半導体デバイスインターフェースでの接続に関する問題を引き起こす可能性がある点で望ましくない。また、気体不純物(酸素など)は、半導体デバイスのコバルト及びケイ化コバルト層の電気抵抗を高める可能性があることから望ましくない。Oレベルが高くなると、メタライゼーション層を施用する間に形成される粒子も増加する。これらの粒子はケイ化コバルト層を退化させたり破壊したりする可能性がある。コバルト中のNi不純物は、Niがコバルトスパッタリングターゲットのパススルー・フラックス(pass−through flux)に影響を及ぼしうることから望ましくない。最後に、U及びThといった放射性元素は、半導体デバイスの故障を引き起こす可能性があるアルファ波を放射することから、Co中では望ましくない。
【0006】
コバルトを除いた他の金属も高純度金属としての用途(例えば、スパッタリングターゲット又ははんだとして)があるので、コバルトだけではなく他の金属にも適用することができる精製法を開発することは望ましいであろう。
【0007】
発明の要旨
本発明に従えば、高純度金属を製造するための方法及び装置が提供される。また、本発明は、そのような方法及び装置により製造することができる高純度金属も包含する。一の側面においては、本方法は、電気分解とイオン交換とを組み合わせ、続いて真空溶解して、望ましい純度のコバルトを製造する方法である。具体的には、本発明の方法は、次の工程:
(a)電気分解セルを提供する工程;
(b)コバルト材料を電解質溶液へとアノード溶解する工程;
(c)不純物を含んだ電解質溶液を、制御されたpH及び流速でキレート性イオン交換樹脂に通して、汚染物質を除去しきれいな電解質溶液を形成させる工程;及び
(d)きれいな電解質溶液を電気分解セルに移して、精製された金属をセルのカソードにおいてカソード析出させる工程
を含んでなることができる。
【0008】
本発明の方法論によれば、元素状態の不純物が最小限である高純度金属を製造することができ、例えば、高純度コバルトの形成に使用することができる。そうして製造された高純度コバルトは、コバルトが少なくとも99.99%であり、特定の態様においては、コバルトを99.9995%含んでなることができる。かかる高純度コバルトは、全不純物(気体を除く)が100ppm未満であることができ、特定の態様においては、全金属不純物を25ppm未満含んでなることができる。全金属不純物は、元素状態の不純物、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Th、U、Cl及びFの合計(検出限界にあるものを含まない)として定義される。一部の元素は典型的には金属と考えられないが、本明細書の開示及び後に添付する請求の範囲を解釈する目的のため、それらを「金属不純物」として挙げることに銘記すべきである。そのような元素は、B、Si、P、As、Se及びBrである。
【0009】
本発明に従って製造されるコバルトの個々の元素状態の不純物は、次の通りであることができる:Na及びK それぞれ0.5ppm未満、Fe 10ppm未満(特定の態様においては、8ppm未満)、Ni 5ppm未満(特定の態様においては、3ppm未満)、Cr 2ppm未満(特定の態様においては、1ppm未満であり、一部の態様においては、0.01ppm未満)、Ti 3ppm未満(特定の態様においては、1ppm未満であり、一部の態様においては、0.4ppm未満)、及びO 450ppm未満(特定の態様においては、100ppm未満)。他に明記しない限り、本明細書中に示す金属不純物を測定するために使用される化学的分析の方法は、グロー放電質量分析法(GDMS)であり、気体不純物を測定するために使用される方法はLECOである。
【0010】
発明の具体的な説明
本発明を高純度コバルトを形成するための例示的な方法に関して説明するが、本発明は、コバルト以外の金属を精製するためにも利用できることは理解すべきである。
【0011】
高純度コバルトを形成する例示的な方法において、本発明は、精製されたCoCl2及び/又はCoSO4溶液をカソード液として使用することを含んでなる。CoCl2及びCoSO4はどちらも、本発明により定義される高純度コバルトを製造できることが証明されている。しかし、CoCl2溶液は、装置を激しく腐食させる可能性があり電気分解により製造されるコバルトの汚染源ともなる腐食性のHCl蒸気を、電解処理の間に発生させうる。従って、望ましくない装置の腐食をおさえ、製造されたコバルトの汚染を少なくするためには、実際には、腐食性の少ないCoSO4を使用することが好ましい。また、カソード液としてCoCl2/CoSO4の組合せを使用することもできる。CoSO4に加えてCoCl2を含めることの利点は、CoCl2はCoSO4より導電性がすぐれているということである。
【0012】
本発明の例示的な精製系を、図1の装置10を参照しながら説明する。硫酸コバルト及び/又は塩化コバルト溶液を、1又はそれより多い陰イオン交換膜18(適する陰イオン交換膜は商標204−UZRA−412で知られているアクリル膜である)によりカソード区画14とアノード区画16とに分割された電気分解セル12に移す。膜は、コバルト、鉄、ニッケル及び銅といった金属の陽イオンが横断しないように妨げる一方で、同時に陰イオン(SO4 2−及びCl−など)を自由に横切らせる障壁を提供する。
【0013】
少なくとも1つのカソード20がカソード区画14内に提供され、少なくとも1つのアノード22がアノード区画16内に提供される。電源24はカソード20及びアノード22に電気的に接続して、電気回路の一部を形成する。膜18はアノード及びカソード間のイオン伝導を可能にし、不純物を含んだアノードからの汚染物質(Fe、Ni及びCuの陽イオンなど)を通過させることなく、電気回路を完成する。本明細書の開示及び後に添付する請求の範囲を解釈する目的のため、セル12内部の溶液を電解質溶液と定義し、その溶液中に存在する陰イオン及び陽イオンを電解質と定義する。
【0014】
少なくとも1つのポンプ26が提供され、電解質であるコバルトイオンと一緒に不純物陽イオンを、セル12のアノード区画16から硫酸塩及び/又は塩化物としてポンプで送り外部のイオン交換樹脂系30に通す。溶液出口系30はセル12に戻り、具体的には、カソード区画14へと流れる。
【0015】
例示的な装置10にはポンプが1つだけ示されているが、追加のポンプを提供できることを理解すべきである。また、イオン交換樹脂系は1つだけ示されているが、追加のイオン交換樹脂系を提供できることも理解すべきである。
【0016】
イオン交換樹脂系30は、第1の交換カラム32及び第2の交換カラム34を含んでなる。2つの交換カラム32及び34は互いに同一であることができる。1つの長いカラムの代わりに2つの交換カラムを利用する理由は、空間の利用に関して設計の柔軟性が得られるということである。2つの交換カラムが示されているが、本発明はただ1つの交換カラムを利用する他の態様(示さず)、並びに2つより多い交換カラムを利用する別の態様(示さず)も包含することを理解すべきである。また、カラム32及び34は互いに異なることもできることを理解すべきである。例えば、それらカラムは互いに異なるサイズであったり、又は異なる樹脂を詰めたりすることができる。イオン交換樹脂系30は、カラム32及び34のうち少なくとも1つの内部に少なくとも1種のイオン交換樹脂を含んでなる。本明細書の開示及び後に添付する請求の範囲を解釈する目的のため、イオン交換「樹脂」を、イオン交換性官能基を担持するあらゆる材料と定義する。かかる樹脂としては、例えば、DOWEX(商標)ビーズがある。
【0017】
不純物を含んだ電解質溶液は、イオン交換カラム32及び34内でイオン交換樹脂と接触し金属陽イオンをH+イオンと交換する。このような交換は、温度、pH、及び流速と独立であることができる。約1〜3のpHが好ましい。樹脂は、CoイオンよりもCu、Ni及びFeの不純物イオンについて高いアフィニティーを有する。しかし、特にNi2+の場合は、反応速度論は一部の陽イオンについて他のものよりはるかに遅い可能性がある。遅い速度論を補償するためには、溶液を系加熱装置に貫流させて、Ni2+の反応速度を高めることができる。約110°F〜約130°F(約43.3℃〜約54.4℃)の温度が好ましい。溶液が樹脂と接触する時間量も重要である。反応時間が長いほど、多くのH+及びCo2+イオンがNi2+イオンにより置換される。10BV/Hr(BV/Hr:ベッド容積/時)より低い流速、より典型的には、約1BV/Hrより低い流速が良好に機能することが分かっている。
【0018】
コバルトの不純物に対する相対濃度は、樹脂タンクに入る溶液よりも樹脂タンクを出る溶液において高いということを示すため、イオン交換樹脂タンクを出る溶液を「きれいな」電解質溶液と呼ぶことができる。きれいな電解質溶液はカソード区画へと流れると、カソード液と混合する。また、カソード液の一部が(膜18を越えて)アノード区画に洩れ出て戻り、区画の電解液の体積が維持され、連続法が維持される。このように漏れ出て戻ることにより、不純物がカソード液に入らないようにすることができる。
【0019】
図1の膜は任意である。従って、示した態様は膜18を含んでなるが、本発明は、セルをアノード区画とカソード区画とに分割するために膜を利用しない他の態様(示さず)も包含することを理解すべきである。特定の態様においては、イオン交換による不純物除去の速度、不純物を含んだアノードの溶解による不純物付加速度、及び系の体積の間の適切なバランスが維持されるので、電気分解セルをアノードチャンバーとカソードチャンバーとに分離することの利益は少ない。そのような態様においては、膜18を排除することができる。これまでに説明した適切なバランスは、不純物を含んだコバルトのアノード溶解により起こるバルク電解質溶液中の不純物濃度の増加を相殺するのに充分な、イオン交換ユニットを通る流速を与えることができる樹脂を用いることにより、達成できる。
【0020】
結局、カラム内の樹脂は不純物で飽和状態となる可能性がある。そのようなことが起こった場合、カラムをセル12から外して、(好ましくは、1未満又はそれに等しいpHの)酸をカラムに流し、続いて(好ましくは、約1〜約3のpHの)酸をカラムに流して樹脂のpHを電解質溶液のpHに戻すことにより、カラムを再生することができる。次いで、カラムをセル12に再接続することができる。
【0021】
電解精錬工程により、コバルト金属をアノード液(アノード液はアノードの周囲の電解液と定義する)中の溶液へと電解により溶解して、精製されたカソード液(カソード液はカソードの周囲の電解液と定義する)からコバルト金属を高純度コバルトとして析出させることができる。実験により、コバルトのNi及びFeの両方に対する電解精錬が示されているが、イオン交換系において精錬することが望ましい。このことは、樹脂を再生すれば、イオン交換により系から汚染物質を除去できるということを理由とする。対照的に、電気分解による精錬によれば、電解液中の汚染物質が濃縮される。
【0022】
装置10の電気系は、DC電源、アノード、カソードブスバ、及びカソードを含んでなることができる。カソードは、例えば、コバルト又はチタンといったいずれかの電気的に伝導性の材料から構成されることができる。他の材料(Tiなど)をカソード材料として使用することにより、最終生成物においてそれら他の材料に対応する不純物が増える可能性があることから、コバルトはカソード材料として好ましい選択である。
【0023】
特定の用途においては、カソードは、幅約15”(38cm)×長さ約18”(46cm)〜約24”(61cm)の寸法で厚さ約1/64”(0.040cm)〜約1/2”(1.3cm)の少なくとも1つの方形プレートである(カソードは典型的には非常に薄いので、実際には、プレートと言うよりホイルである)。例示的なカソードプレート50を図2に示す。プレート50は、垂直な側壁52(垂直な側壁は4つあるが、図2では2つしかみえない)、頂部表面54、及び頂部表面54と向かい合う関係にある底部表面(図2ではみえない)を含んでなる。操作時においては、頂部表面、底部表面、及び複数の側壁表面のうちの1又はそれより多くが、カソード50上でのコバルトのカソード形成(cathodic formation)の間、チャンバー14(図1)内で電解質溶液中に沈められる。理想的には、頂部表面54が電解質溶液中に沈められ、電解質溶液から析出したコバルト金属が表面54の全域に滑らかなフィルムを形成する。カソードの角や縁での電流密度が高いため、表面54の角や縁では、滑らかではないか又は樹枝状のコバルト析出物が形成される可能性がある。そのような問題は、表面54の外面の縁、並びに側壁52の上に非導電性材料を形成することにより緩和することができる。非導電性材料は、好ましくは、表面54の外側1/2”(1.3cm)を覆い、これを図2においてコーティング56として示す。コーティング56に適する例示的な材料は、塗料、ゴムコーティング、又は耐薬品性及び耐熱性テープ(例えば、AN(商標)と識別されるテープなどで、オンタリオ州(カナダ)、バーリントンのCanadian Finishing System, LTD.から入手可能)である。
【0024】
再び図1をみると、不純物を含んだコバルト材料(典型的には、3N5)がアノード22として提供され、寸法的に安定なアノード材料でできた1又はそれより多いバスケットに入れられる。説明した電気分解条件下において、寸法的に安定であるか又は不活性である限り、アノード電極として全ての材料をバスケットに使用することができる。バスケットに適する例示的な材料は、酸化イリジウムコーティングを伴うチタンである。
【0025】
アノード電流密度(ACD)は、コバルト材料のCoSO4への溶解効率に影響を及ぼしうる。ACDが余りに高いと、副反応が起こる傾向が高くなる。ACDはアノードコバルトの消耗に伴い大きく変化する可能性があり、典型的には、約10A/ft2(1.08A/m2)〜500A/ft2(538A/m2)で変化する。
【0026】
カソード電流密度(CCD)により、電流効率と析出コバルトの析出特徴とを制御することができる。CCDが余りに高いと、電解質溶液中のコバルト移動度を越えるようになり、それによりカソードでの水素生成のためにより有利な条件にすることができる。このことは、カソードの析出物における点食により、視覚的に明らかとなる。CCDは50A/ft2(53.8A/m2)までで十分に機能するが、約10A/ft2(2.16A/m2)のCCDが好ましい。
【0027】
本発明の電解精錬の速度と効率は、pH、温度及びコバルト濃度を含めた電解質溶液の幾つかの特性に依存することができる。溶液のコバルト濃度が望ましい範囲を外れている場合、析出の質と電気分解の効率が悪くなる。電解質溶液のpHが1より低く下がると、水素がカソードにおいて有意なレベルで低減し始め、析出物の点食を引き起こし、コバルト析出に関する系の電流効率を低下させる。従って、電気分解には1より大きい電解質溶液のpHが望まれる。また、電解質溶液の温度は反応速度に影響を及ぼしうる。温度が高いと、溶液中のイオンの移動性が増し、電極での電解質界面に対する反応速度が高くなる。約110°F〜約130°Fの電解質溶液温度と、約1.5〜約2の電解質溶液pHの組合せにより、約95%までの電流効率がもたらされる。
【0028】
コバルトをカソード上に形成させた後、更に溶融により処理することができる。低純度コバルト性又はチタン性の種カソード(starter cathode)を使用する場合、高純度コバルト析出物は、好ましくは、溶融の前に種カソードから剥がされる。種カソードが高純度コバルトである場合は、析出物と共に溶融することができる。溶融の方法としては、限定されないが、不活性雰囲気誘導溶解、真空誘導溶解及び電子ビーム溶解がある。電子ビーム溶解はドリップ溶解及びハース溶解の両方で行うことができる。
【0029】
酸素及び炭素の除去は、溶融工程において起こりうる。カソード材料中に溶解した酸素及び炭素は、溶融温度で反応してCOガスを形成する。COガスは溶融した材料中で溶解性ではなく、溶融物から漏れ出る。最終的なインゴット中の炭素は殆どなくなるまで低減するが、反応中に消費されない(カソードコバルト中に存在していた)過剰な酸素はインゴット中に溶解して残る。
【0030】
典型的には、これまでに説明した電気分解/イオン交換法の結果として析出するコバルトは、酸素を100〜1000ppm含んでなる。酸素のレベルを真空溶解段階の間に約14ppmまで低く低減させる2つの方法が発見された。第1の方法は、溶融物中の温度及び真空レベルを調節して、酸素を溶融物から引き抜くのに好ましい条件を作ることを包含する。高真空により、Na及びKといった揮発性金属が溶融すると引き抜かれることが知られている。しかし、酸素の除去により、溶融加熱に対して細心の注意を払う必要がある。コバルトと酸素の間の結合は、酸素と、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム又はチタンといった他の金属との間の結合ほど安定ではない。酸素含量を劇的に低減させるためには、十分に強い真空と十分に高い温度との適切な組合せが必要となりうる。良好な結果は電子ビーム炉において得られており、真空誘導炉においても良く機能するであろう。およそ5×10−5気圧より良いチャンバー真空度を、相応な溶融加熱(例示的な溶融加熱温度は約1500℃〜約2000℃である)と組み合わせると良く機能することが分かっている。電子ビーム炉においては、溶融加熱は電子ビームの電力密度の関数である。同様な真空度に曝された溶融物は、ビーム電流密度が高いほど酸素コバルト(oxygen cobalt)が低かった。妥当な範囲は1.5〜5KVA/in2(0.23〜0.78KVA/cm2)である。
【0031】
最終生成物中の酸素を低減させるための第2の方法は、微細な炭素粉末を溶融ストックと混合することである。これは、高純度カソードコバルト材料において、炭素に関して過剰な酸素を補償するために行われる。適する炭素の量は、酸素:炭素比が原子ベースで約1:1となるような量である。この量は計算することができる。カソードの化学は、一般的には、1つのロットの材料にわたって一貫しているので、計算はカソード中の酸素と炭素の1つの代表的な分析に基づくことができる。
【0032】
コバルトの精錬のための従来法は、イオン交換を電気分解と組み合わせて利用していることに銘記すべきである。例えば、米国特許第5,667,665号には、コバルト精錬電気分解処理からの電解質を、陰イオン交換樹脂の利用を含む精製にかけて、コバルトを不純物から分離する方法が記載されている。該特許には、更に、精製後にコバルトを電気分解処理に戻すことが記載されている。従来法は本発明の方法とは異なっている。従来法は、電解質からのコバルトを第1の溶液に入れ、その溶液から陰イオン交換樹脂上に負荷させることを包含する。コバルトは樹脂上に保持され、続いて、第1の溶液とは異なる第2の溶液で溶離される。本発明は、電気分解セルからの電解質溶液を、望ましい金属(コバルトなど)が樹脂上に保持されずに通過して、不純物が樹脂上に保持されて残る条件下で、該樹脂を通過せしめられる条件下で、陰イオン交換樹脂に通過させることを包含する。次いで、樹脂を通過後に、金属を電気分解セルに戻すことができる。従って、本発明は、従来の方法である2工程のバッチタイプの陰イオン交換精製(2工程とは、主題の金属をイオン交換樹脂上に負荷し、主題の金属をその樹脂から溶離させることである)を単一工程の連続法(単一工程とは、主題の金属をイオン交換樹脂に通過させることである)に低減するという点において、従来の方法よりも容易に金属の連続精製に適用することができる。本発明の方法の、米国特許第5,667,665号に例示される従来技術の方法に対する利点としては、次のことがある:
(a)本発明の方法は、従来技術の方法においてはアノード液をイオン交換樹上に負荷する前に存在しうる、アノード液希釈工程を排除できること;及び
(b)本発明の方法は、樹脂からの溶離後にコバルト塩を濃縮し(又はまさに乾燥させ)てから、それを電解質として使用する前に水に溶解させる、従来技術の方法の濃縮工程を排除できること。
【0033】
実施例
限定されるものではないが、以下の実施例により本発明を説明する。
実施例1
コバルトの電解化成
CoSO4・7H2O 1472lb(667.7kg)のサンプルを水370ガロン(1.40m3)に室温で撹拌しながら溶解する。再びかき混ぜながら、98%硫酸、ACSグレードを2.44ガロン(9.24×10−3m3)添加することにより、その硫酸コバルト溶液のpHを2に調整する。その溶液を、分離された電気分解槽に加えて122°F(50℃)まで加熱する。樹脂5立方フィート(0.14立方メートル)を含有するイオン交換槽への循環を開始し、イオン交換槽を通る流れを速度0.5GPMとする。その硫酸コバルト溶液を分析すると、CO 80〜90g/L、Fe 3〜4mg/L、及びNi 1〜2mg/Lを含有しており、pHが2であることが分かる。電気分解を300Aの一定電流で行うと、電圧は216時間の電気分解で9Vから5Vへの降下が観察される。カソードは99.95%Coのシートであり、電流密度18A/ft2(1.94A/m2)で電気分解する。コバルト約116lb(52.6kg)が採取されるが、これはカソードの電流効率74%に該当する。析出物の分析を表1に「高純度カソード」として示す。また、「高純度カソード」材料の追加の処理後に得られた分析値も表1に示す。追加の処理は、真空誘導溶解、電子ビームドリップ溶解又は電子ビームハース溶解のいずれかである。追加の処理により、気体の不純物が低減される(具体的には、それらの処理によりC、S、O及びNの濃度が低減される)。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2
CoCl2系
純度3N8(99.98%)のコバルト粉末(粉末A)及び純度2N7(99.7%)のコバルト粉末(粉末B)を、HCl中に溶解する(水中、重量基準で35〜38%)。次いで、その溶液を約10時間、撹拌しながら約80℃まで加熱する。固体のCoCl2・6H2Oを、脱イオン水2リットルを添加し、約50℃で約8時間撹拌することにより溶解する。次いで、更に脱イオン水を添加して、最終的な溶液の体積を約5リットルとする。
【0036】
一端がレデューサーに接続された内径0.953cm長さ120cmのプラスチック製チューブをイオン交換カラムとして使用する。ガラスウールをスクリーン材料として使用する。そのチューブに、平均サイズ20〜50メッシュのDowexM−4195陰イオン交換樹脂を約42.6ml充填する。負荷をかける前に、HCl溶液を2ベッド容積(BV)分、約15BV/Hrの流速で樹脂に通過させて、樹脂を順化する。HCl溶液のpH値はフィード溶液と同じである。典型的な実験は、(1)塩化コバルト溶液をポンプで送って樹脂ベッドに通すことにより樹脂に負荷をかけ;そして、(2)負荷をかけた樹脂ベッドをHCl酸溶液で溶離することを含んでなる。2工程の溶離が通常行われる:第1の工程は、コバルトを溶離するため酸性度の低い溶液を使用するが、第2の工程ではニッケルを溶離するため強い酸溶液を使用する。この例にはバッチ溶離法が記載されているが、本実施例の1又はそれより多い側面によれば、コバルトを負荷させ別の溶液で溶離することなくイオン交換樹脂を通過させる、本発明の単一工程(すなわち、バッチでない)溶離法を組み込むことができることも銘記すべきである。Cyanex272 20容量%をトルエン20容量%と混合して含んでなる有機溶液を調製し、コバルトの抽出及び精製に使用する。負荷と溶出の両方について、水対有機(A/O)比を1とした。不純物を含んだ塩化コバルト溶液、又はイオン交換樹脂で処理した溶液を、負荷をかけるためのフィード溶液として使用する。脱イオン水で希釈したpH約0.2のHCl溶液を溶出のために使用する。加熱と撹拌両方のために磁気加熱板を使用する。NaOH溶液を使用して、負荷をかけるため、不純物を含んだ塩化コバルト溶液のpHを約2に調整する。所望なpH値に到達した後、塩化コバルト溶液と有機溶液の混合物を更に10分間撹拌する。溶出については、負荷をかけた有機溶液を溶出液と10分間混合する。10分間沈降させた後、各々の相のサンプルをアッセイのために採集する。
【0037】
これまでに説明した有機抽出により、不純物を含んだコバルト溶液のうち他の不純物からコバルトを分離することができる。具体的には、コバルトは、水相がpH2である場合に、不純物を含んだコバルト溶液の水相から有機相に移動し、次いで、溶出液がpH0.2である場合に有機相から水を含む溶出液に移動する。不純物を含んだコバルト溶液中に存在する不純物は、典型的には、コバルトと共に有機相に出入りして移動することはない。
【0038】
電気分解セルは、およそ一定温度を保つため水浴の中に入れられる。イオン交換若しくは溶媒抽出のいずれかか、又はその両方により精製された塩化コバルト溶液はカソード区画及び膜区画へと導入され、アノード区画は、不純物を含んだ未処理の塩化コバルト溶液を含有する。本実施例において使用する膜は、商標204−UZRA−412で知られるアクリル膜である。不純物を含んだ純度2N8のコバルト片をアノードとして使用し、カソードは高純度チタンプレートで作られている。アノード液及びカソード液の両方をpH1.5にpH調整した後、温度50℃、電流密度200A/m2の一定電流密度で電気分解を行った。表2は、出発材料として粉末Aを用いて、電気分解及びイオン交換による処理後のコバルトについての主要な不純物(ppm)を示している。
【0039】
【表2】
【0040】
表3は、異なるコバルトサンプル(粉末Aで実験を開始)についての金属純度及び主要な不純物(ppm)の表を示している。ホイル1は、溶媒抽出により1回処理した溶液を用いて作られたカソードコバルトサンプルに相当し、ホイル2は溶媒抽出により1回処理しイオン交換により4回処理した溶液を用いて作られたカソードコバルトサンプルに相当する。
【0041】
【表3】
【0042】
表4は、コバルトサンプル(粉末Bで実験を開始)についての金属純度及び主要な不純物(ppm)の表を示している。コバルトサンプルは、溶媒抽出により1回処理しイオン交換により5回処理した溶液を用いて作られている。
【0043】
【表4】
【0044】
実施例3
Fe除去
Feはコバルト中の主要な不純物元素でありうる。Niと同様、Feはコバルトスパッタリングターゲットのパススルー・フラックスに影響を及ぼしうるので、最小限にすることが好ましい。本発明に使用する樹脂は一定量のFeを吸収する能力を有するが、原料コバルト中のFe含量が高い場合は追加のFe除去工程が望ましい。Fe除去のために異なる方法を使用することができる:1)Fe(OH)3沈殿;2)溶媒抽出;及び3)追加の選択的イオン交換;など。特定の態様においては、本発明により、Fe(OH)3沈殿をコバルト精錬法に統合して過剰なFe不純物を取り扱うことができる。
【0045】
Fe(OH)3沈殿については、空気又は酸素ガスを、不純物を含んだCoSO4又はCoCl2溶液へと撹拌しながら一定時間吹き込んで、Fe2+イオンをFe3+イオンに酸化させる。次いで、NaOHをCoSO4又はCoCl2溶液に添加して、そのpHを約4に変化させる。Fe(OH)3は溶解性が低いことからそのようなpHで晶出する。Fe(OH)3の大部分が沈降した後、固体のFe(OH)3粒子をCoSO4又はCoCl2溶液からろ過により分離する。
【0046】
例示的な態様においては、純度2N7のコバルト粉末を脱イオン水50容量%で希釈したH2SO4(98%)中に溶解する。加熱及び撹拌することにより、溶解が促進される。典型的には、5リットルビーカー中にH2SO4溶液2リットルを入れ、コバルト粉末500gを酸溶液中にゆっくり撹拌して入れる。約10時間撹拌しながら、その溶液を約80℃まで加熱する。その後、更に脱イオン水を加えて、コバルト濃度を約100g/lに到達させる。
【0047】
調製した溶液を等しい容積で2つに分け(ここでは容積A及び容積Bと呼ぶ)、それぞれ、カソードコバルトサンプルA及びBを作る。容積Aをイオン交換のみにより処理し電気分解に使用して、サンプルAを作る。
【0048】
容積Bは次の通りに処理する:
容積Bに撹拌しながら約1時間空気を吹き込んで、Fe2+イオンをFe3+イオンに酸化させる;
その溶液にNaOHを添加して、そのpHを約4に変化させる(Fe(OH)3はそのようなpHで晶出する);
約1時間沈降させた後、固体のFe(OH)3粒子をCoSO4溶液からろ過により分離する;そして、
続いて、容積Aに関してこれまでに説明したのと同じやり方で、イオン交換及び電気分解を行う。
【0049】
サンプルBについてのGDMSデータを出発粉末と直接比較して表5に挙げる。より具体的には、表5は、コバルト溶液を調製するための原材料として使用したコバルト粉末についての純度(単位:%)及び主要な不純物(単位:ppm)を示している。
【0050】
【表5】
【0051】
サンプルBはFe含量がはるかに低いことを表し、Fe(OH)3沈殿はFe不純物を低減するのに有効であることを証明している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法論において利用することができる装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の方法において使用することができるカソードの等尺図である。
発明の分野
本明細書中に説明する発明は、金属を製造するための方法及び装置に関し、またそうして製造された金属に関する。特定の側面においては、本発明の方法はコバルトを製造するために使用され、CoCl2及び/又はCoSO4の溶液を溶解させて精製し、続いて更に電気分解により精錬して析出させることを含む。電気分解に続いて、真空溶解により更にコバルトを精錬することができる。製造されたコバルトは、好ましくは、「高純度」コバルトであり、本発明に従った高純度コバルトとは、気体の不純物を除いて、全体の金属純度が99.99%(4N)か又はそれより高いものと定義される。製造された高純度コバルトは、スパッタターゲットへの使用に適しており、マイクロ電子用途に関係する。また、本コバルト材料は、例えば、コバルト約99.9%のコバルト材料といった、より純度の低いコバルトであることもできる。
【0002】
発明の背景
高純度金属は、例えば、はんだ、スパッタリングターゲット、及び半導体デバイスにおける用途といった現代の多くの処理に望まれている。例えば、高純度コバルトは、スパッタリングターゲットの形成のために望ましい。特定の用途においては、コバルトのフィルムを高純度ターゲットからケイ素製基板上にスパッタ蒸着する。次いで、フィルムを熱処理にかけて、二ケイ化コバルト(CoSi2)を形成させる。二ケイ化コバルトは固有抵抗が低く、集積回路用途において二ケイ化チタン(TiSi2)の良好な代替物と考えられている。従って、新世代チップの製造において、コバルトはチタンに部分的に取って代わる可能性がある。また、コバルトスパッタリング手法は、データ蓄積デバイス、平面パネル及び他の同様な製品の製造に適用することもできる。エレクトロニクス産業の迅速な発達を考慮すれば、4N又はそれより高い純度のコバルトターゲットについて潜在的な市場が存在すると考えられている。
【0003】
コバルトは、中央アフリカにおいて銅の副産物として、及び他の場所でのニッケルの湿式冶金精錬の副生物として、回収される。アフリカの工場においては、銅−コバルト精鉱が焙焼されて硫酸溶液中で浸出される。銅及びコバルトは、浸出液から直接電解採取により別々に回収される。ニッケルの湿式冶金精錬については、選択沈殿及び選択晶出、溶媒抽出並びにイオン交換といった種々の手法を使用して、コバルトがニッケルから分離される。次いで、コバルトは硫酸塩溶液又は塩化物溶液から電解採取される。電解採取法の他に、コバルトは、溶解性コバルト(III)アミン法(soluble cobaltic amine process)を用いて金属粉末として製造することもできる。ニッケルは、コバルトの姉妹元素(sister element)であり、これらの方法により製造されるコバルト中には常に見出される。得られるコバルト中の他の不純物には、アルカリ金属(Na、Kなど)、放射性元素(U、Thなど)、遷移金属(Ti、Cr、Cu、Feなど)及び気体不純物が含まれる(気体不純物はLECOにより測定されるものであり、O、C、S、N、Hである)。
【0004】
ニッケルは容易にはコバルトから除去できない。これは、一連の特性においてコバルトとニッケルが類似していることによるものである。コバルト及びニッケルは、熱力学的に理想的な液体及び固溶体を形成することができる。Co−Ni系の凝固はわずか数度の温度差で起こる。次の反応、
Co2++ 2e− → Co;及び
Ni2++ 2e− → Ni
の水溶液中25℃での標準電極電位は、それぞれ−0.28V及び−0.23Vである。両電位の差はわずか0.05Vである。これらの因子の全てが、コバルトとニッケルの分離を非常に困難にさせている。
【0005】
半導体産業について、スパッタ蒸着コバルトを含んでなる半導体チップに関する問題を回避するためには、コバルトスパッタリングターゲット中の不純物を最小限にすることが重要である。具体的には、アルカリ金属(Na及びKなど)、非金属(S及びCなど)、及び金属(本明細書の文脈でのPなど)は、移動性が高いと考えられており1の半導体デバイス層から別の層へ移動できることから、これらの元素は望ましくない。Feは望ましくない別の元素である。具体的には、Feは材料の磁気特性に影響を及ぼすことがあり、磁気の不一致(magnetic inconsistency)についての懸念を生ずる。更に、Fe並びにTi、Cr、Cuは、半導体デバイスインターフェースでの接続に関する問題を引き起こす可能性がある点で望ましくない。また、気体不純物(酸素など)は、半導体デバイスのコバルト及びケイ化コバルト層の電気抵抗を高める可能性があることから望ましくない。Oレベルが高くなると、メタライゼーション層を施用する間に形成される粒子も増加する。これらの粒子はケイ化コバルト層を退化させたり破壊したりする可能性がある。コバルト中のNi不純物は、Niがコバルトスパッタリングターゲットのパススルー・フラックス(pass−through flux)に影響を及ぼしうることから望ましくない。最後に、U及びThといった放射性元素は、半導体デバイスの故障を引き起こす可能性があるアルファ波を放射することから、Co中では望ましくない。
【0006】
コバルトを除いた他の金属も高純度金属としての用途(例えば、スパッタリングターゲット又ははんだとして)があるので、コバルトだけではなく他の金属にも適用することができる精製法を開発することは望ましいであろう。
【0007】
発明の要旨
本発明に従えば、高純度金属を製造するための方法及び装置が提供される。また、本発明は、そのような方法及び装置により製造することができる高純度金属も包含する。一の側面においては、本方法は、電気分解とイオン交換とを組み合わせ、続いて真空溶解して、望ましい純度のコバルトを製造する方法である。具体的には、本発明の方法は、次の工程:
(a)電気分解セルを提供する工程;
(b)コバルト材料を電解質溶液へとアノード溶解する工程;
(c)不純物を含んだ電解質溶液を、制御されたpH及び流速でキレート性イオン交換樹脂に通して、汚染物質を除去しきれいな電解質溶液を形成させる工程;及び
(d)きれいな電解質溶液を電気分解セルに移して、精製された金属をセルのカソードにおいてカソード析出させる工程
を含んでなることができる。
【0008】
本発明の方法論によれば、元素状態の不純物が最小限である高純度金属を製造することができ、例えば、高純度コバルトの形成に使用することができる。そうして製造された高純度コバルトは、コバルトが少なくとも99.99%であり、特定の態様においては、コバルトを99.9995%含んでなることができる。かかる高純度コバルトは、全不純物(気体を除く)が100ppm未満であることができ、特定の態様においては、全金属不純物を25ppm未満含んでなることができる。全金属不純物は、元素状態の不純物、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、P、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Br、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Th、U、Cl及びFの合計(検出限界にあるものを含まない)として定義される。一部の元素は典型的には金属と考えられないが、本明細書の開示及び後に添付する請求の範囲を解釈する目的のため、それらを「金属不純物」として挙げることに銘記すべきである。そのような元素は、B、Si、P、As、Se及びBrである。
【0009】
本発明に従って製造されるコバルトの個々の元素状態の不純物は、次の通りであることができる:Na及びK それぞれ0.5ppm未満、Fe 10ppm未満(特定の態様においては、8ppm未満)、Ni 5ppm未満(特定の態様においては、3ppm未満)、Cr 2ppm未満(特定の態様においては、1ppm未満であり、一部の態様においては、0.01ppm未満)、Ti 3ppm未満(特定の態様においては、1ppm未満であり、一部の態様においては、0.4ppm未満)、及びO 450ppm未満(特定の態様においては、100ppm未満)。他に明記しない限り、本明細書中に示す金属不純物を測定するために使用される化学的分析の方法は、グロー放電質量分析法(GDMS)であり、気体不純物を測定するために使用される方法はLECOである。
【0010】
発明の具体的な説明
本発明を高純度コバルトを形成するための例示的な方法に関して説明するが、本発明は、コバルト以外の金属を精製するためにも利用できることは理解すべきである。
【0011】
高純度コバルトを形成する例示的な方法において、本発明は、精製されたCoCl2及び/又はCoSO4溶液をカソード液として使用することを含んでなる。CoCl2及びCoSO4はどちらも、本発明により定義される高純度コバルトを製造できることが証明されている。しかし、CoCl2溶液は、装置を激しく腐食させる可能性があり電気分解により製造されるコバルトの汚染源ともなる腐食性のHCl蒸気を、電解処理の間に発生させうる。従って、望ましくない装置の腐食をおさえ、製造されたコバルトの汚染を少なくするためには、実際には、腐食性の少ないCoSO4を使用することが好ましい。また、カソード液としてCoCl2/CoSO4の組合せを使用することもできる。CoSO4に加えてCoCl2を含めることの利点は、CoCl2はCoSO4より導電性がすぐれているということである。
【0012】
本発明の例示的な精製系を、図1の装置10を参照しながら説明する。硫酸コバルト及び/又は塩化コバルト溶液を、1又はそれより多い陰イオン交換膜18(適する陰イオン交換膜は商標204−UZRA−412で知られているアクリル膜である)によりカソード区画14とアノード区画16とに分割された電気分解セル12に移す。膜は、コバルト、鉄、ニッケル及び銅といった金属の陽イオンが横断しないように妨げる一方で、同時に陰イオン(SO4 2−及びCl−など)を自由に横切らせる障壁を提供する。
【0013】
少なくとも1つのカソード20がカソード区画14内に提供され、少なくとも1つのアノード22がアノード区画16内に提供される。電源24はカソード20及びアノード22に電気的に接続して、電気回路の一部を形成する。膜18はアノード及びカソード間のイオン伝導を可能にし、不純物を含んだアノードからの汚染物質(Fe、Ni及びCuの陽イオンなど)を通過させることなく、電気回路を完成する。本明細書の開示及び後に添付する請求の範囲を解釈する目的のため、セル12内部の溶液を電解質溶液と定義し、その溶液中に存在する陰イオン及び陽イオンを電解質と定義する。
【0014】
少なくとも1つのポンプ26が提供され、電解質であるコバルトイオンと一緒に不純物陽イオンを、セル12のアノード区画16から硫酸塩及び/又は塩化物としてポンプで送り外部のイオン交換樹脂系30に通す。溶液出口系30はセル12に戻り、具体的には、カソード区画14へと流れる。
【0015】
例示的な装置10にはポンプが1つだけ示されているが、追加のポンプを提供できることを理解すべきである。また、イオン交換樹脂系は1つだけ示されているが、追加のイオン交換樹脂系を提供できることも理解すべきである。
【0016】
イオン交換樹脂系30は、第1の交換カラム32及び第2の交換カラム34を含んでなる。2つの交換カラム32及び34は互いに同一であることができる。1つの長いカラムの代わりに2つの交換カラムを利用する理由は、空間の利用に関して設計の柔軟性が得られるということである。2つの交換カラムが示されているが、本発明はただ1つの交換カラムを利用する他の態様(示さず)、並びに2つより多い交換カラムを利用する別の態様(示さず)も包含することを理解すべきである。また、カラム32及び34は互いに異なることもできることを理解すべきである。例えば、それらカラムは互いに異なるサイズであったり、又は異なる樹脂を詰めたりすることができる。イオン交換樹脂系30は、カラム32及び34のうち少なくとも1つの内部に少なくとも1種のイオン交換樹脂を含んでなる。本明細書の開示及び後に添付する請求の範囲を解釈する目的のため、イオン交換「樹脂」を、イオン交換性官能基を担持するあらゆる材料と定義する。かかる樹脂としては、例えば、DOWEX(商標)ビーズがある。
【0017】
不純物を含んだ電解質溶液は、イオン交換カラム32及び34内でイオン交換樹脂と接触し金属陽イオンをH+イオンと交換する。このような交換は、温度、pH、及び流速と独立であることができる。約1〜3のpHが好ましい。樹脂は、CoイオンよりもCu、Ni及びFeの不純物イオンについて高いアフィニティーを有する。しかし、特にNi2+の場合は、反応速度論は一部の陽イオンについて他のものよりはるかに遅い可能性がある。遅い速度論を補償するためには、溶液を系加熱装置に貫流させて、Ni2+の反応速度を高めることができる。約110°F〜約130°F(約43.3℃〜約54.4℃)の温度が好ましい。溶液が樹脂と接触する時間量も重要である。反応時間が長いほど、多くのH+及びCo2+イオンがNi2+イオンにより置換される。10BV/Hr(BV/Hr:ベッド容積/時)より低い流速、より典型的には、約1BV/Hrより低い流速が良好に機能することが分かっている。
【0018】
コバルトの不純物に対する相対濃度は、樹脂タンクに入る溶液よりも樹脂タンクを出る溶液において高いということを示すため、イオン交換樹脂タンクを出る溶液を「きれいな」電解質溶液と呼ぶことができる。きれいな電解質溶液はカソード区画へと流れると、カソード液と混合する。また、カソード液の一部が(膜18を越えて)アノード区画に洩れ出て戻り、区画の電解液の体積が維持され、連続法が維持される。このように漏れ出て戻ることにより、不純物がカソード液に入らないようにすることができる。
【0019】
図1の膜は任意である。従って、示した態様は膜18を含んでなるが、本発明は、セルをアノード区画とカソード区画とに分割するために膜を利用しない他の態様(示さず)も包含することを理解すべきである。特定の態様においては、イオン交換による不純物除去の速度、不純物を含んだアノードの溶解による不純物付加速度、及び系の体積の間の適切なバランスが維持されるので、電気分解セルをアノードチャンバーとカソードチャンバーとに分離することの利益は少ない。そのような態様においては、膜18を排除することができる。これまでに説明した適切なバランスは、不純物を含んだコバルトのアノード溶解により起こるバルク電解質溶液中の不純物濃度の増加を相殺するのに充分な、イオン交換ユニットを通る流速を与えることができる樹脂を用いることにより、達成できる。
【0020】
結局、カラム内の樹脂は不純物で飽和状態となる可能性がある。そのようなことが起こった場合、カラムをセル12から外して、(好ましくは、1未満又はそれに等しいpHの)酸をカラムに流し、続いて(好ましくは、約1〜約3のpHの)酸をカラムに流して樹脂のpHを電解質溶液のpHに戻すことにより、カラムを再生することができる。次いで、カラムをセル12に再接続することができる。
【0021】
電解精錬工程により、コバルト金属をアノード液(アノード液はアノードの周囲の電解液と定義する)中の溶液へと電解により溶解して、精製されたカソード液(カソード液はカソードの周囲の電解液と定義する)からコバルト金属を高純度コバルトとして析出させることができる。実験により、コバルトのNi及びFeの両方に対する電解精錬が示されているが、イオン交換系において精錬することが望ましい。このことは、樹脂を再生すれば、イオン交換により系から汚染物質を除去できるということを理由とする。対照的に、電気分解による精錬によれば、電解液中の汚染物質が濃縮される。
【0022】
装置10の電気系は、DC電源、アノード、カソードブスバ、及びカソードを含んでなることができる。カソードは、例えば、コバルト又はチタンといったいずれかの電気的に伝導性の材料から構成されることができる。他の材料(Tiなど)をカソード材料として使用することにより、最終生成物においてそれら他の材料に対応する不純物が増える可能性があることから、コバルトはカソード材料として好ましい選択である。
【0023】
特定の用途においては、カソードは、幅約15”(38cm)×長さ約18”(46cm)〜約24”(61cm)の寸法で厚さ約1/64”(0.040cm)〜約1/2”(1.3cm)の少なくとも1つの方形プレートである(カソードは典型的には非常に薄いので、実際には、プレートと言うよりホイルである)。例示的なカソードプレート50を図2に示す。プレート50は、垂直な側壁52(垂直な側壁は4つあるが、図2では2つしかみえない)、頂部表面54、及び頂部表面54と向かい合う関係にある底部表面(図2ではみえない)を含んでなる。操作時においては、頂部表面、底部表面、及び複数の側壁表面のうちの1又はそれより多くが、カソード50上でのコバルトのカソード形成(cathodic formation)の間、チャンバー14(図1)内で電解質溶液中に沈められる。理想的には、頂部表面54が電解質溶液中に沈められ、電解質溶液から析出したコバルト金属が表面54の全域に滑らかなフィルムを形成する。カソードの角や縁での電流密度が高いため、表面54の角や縁では、滑らかではないか又は樹枝状のコバルト析出物が形成される可能性がある。そのような問題は、表面54の外面の縁、並びに側壁52の上に非導電性材料を形成することにより緩和することができる。非導電性材料は、好ましくは、表面54の外側1/2”(1.3cm)を覆い、これを図2においてコーティング56として示す。コーティング56に適する例示的な材料は、塗料、ゴムコーティング、又は耐薬品性及び耐熱性テープ(例えば、AN(商標)と識別されるテープなどで、オンタリオ州(カナダ)、バーリントンのCanadian Finishing System, LTD.から入手可能)である。
【0024】
再び図1をみると、不純物を含んだコバルト材料(典型的には、3N5)がアノード22として提供され、寸法的に安定なアノード材料でできた1又はそれより多いバスケットに入れられる。説明した電気分解条件下において、寸法的に安定であるか又は不活性である限り、アノード電極として全ての材料をバスケットに使用することができる。バスケットに適する例示的な材料は、酸化イリジウムコーティングを伴うチタンである。
【0025】
アノード電流密度(ACD)は、コバルト材料のCoSO4への溶解効率に影響を及ぼしうる。ACDが余りに高いと、副反応が起こる傾向が高くなる。ACDはアノードコバルトの消耗に伴い大きく変化する可能性があり、典型的には、約10A/ft2(1.08A/m2)〜500A/ft2(538A/m2)で変化する。
【0026】
カソード電流密度(CCD)により、電流効率と析出コバルトの析出特徴とを制御することができる。CCDが余りに高いと、電解質溶液中のコバルト移動度を越えるようになり、それによりカソードでの水素生成のためにより有利な条件にすることができる。このことは、カソードの析出物における点食により、視覚的に明らかとなる。CCDは50A/ft2(53.8A/m2)までで十分に機能するが、約10A/ft2(2.16A/m2)のCCDが好ましい。
【0027】
本発明の電解精錬の速度と効率は、pH、温度及びコバルト濃度を含めた電解質溶液の幾つかの特性に依存することができる。溶液のコバルト濃度が望ましい範囲を外れている場合、析出の質と電気分解の効率が悪くなる。電解質溶液のpHが1より低く下がると、水素がカソードにおいて有意なレベルで低減し始め、析出物の点食を引き起こし、コバルト析出に関する系の電流効率を低下させる。従って、電気分解には1より大きい電解質溶液のpHが望まれる。また、電解質溶液の温度は反応速度に影響を及ぼしうる。温度が高いと、溶液中のイオンの移動性が増し、電極での電解質界面に対する反応速度が高くなる。約110°F〜約130°Fの電解質溶液温度と、約1.5〜約2の電解質溶液pHの組合せにより、約95%までの電流効率がもたらされる。
【0028】
コバルトをカソード上に形成させた後、更に溶融により処理することができる。低純度コバルト性又はチタン性の種カソード(starter cathode)を使用する場合、高純度コバルト析出物は、好ましくは、溶融の前に種カソードから剥がされる。種カソードが高純度コバルトである場合は、析出物と共に溶融することができる。溶融の方法としては、限定されないが、不活性雰囲気誘導溶解、真空誘導溶解及び電子ビーム溶解がある。電子ビーム溶解はドリップ溶解及びハース溶解の両方で行うことができる。
【0029】
酸素及び炭素の除去は、溶融工程において起こりうる。カソード材料中に溶解した酸素及び炭素は、溶融温度で反応してCOガスを形成する。COガスは溶融した材料中で溶解性ではなく、溶融物から漏れ出る。最終的なインゴット中の炭素は殆どなくなるまで低減するが、反応中に消費されない(カソードコバルト中に存在していた)過剰な酸素はインゴット中に溶解して残る。
【0030】
典型的には、これまでに説明した電気分解/イオン交換法の結果として析出するコバルトは、酸素を100〜1000ppm含んでなる。酸素のレベルを真空溶解段階の間に約14ppmまで低く低減させる2つの方法が発見された。第1の方法は、溶融物中の温度及び真空レベルを調節して、酸素を溶融物から引き抜くのに好ましい条件を作ることを包含する。高真空により、Na及びKといった揮発性金属が溶融すると引き抜かれることが知られている。しかし、酸素の除去により、溶融加熱に対して細心の注意を払う必要がある。コバルトと酸素の間の結合は、酸素と、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム又はチタンといった他の金属との間の結合ほど安定ではない。酸素含量を劇的に低減させるためには、十分に強い真空と十分に高い温度との適切な組合せが必要となりうる。良好な結果は電子ビーム炉において得られており、真空誘導炉においても良く機能するであろう。およそ5×10−5気圧より良いチャンバー真空度を、相応な溶融加熱(例示的な溶融加熱温度は約1500℃〜約2000℃である)と組み合わせると良く機能することが分かっている。電子ビーム炉においては、溶融加熱は電子ビームの電力密度の関数である。同様な真空度に曝された溶融物は、ビーム電流密度が高いほど酸素コバルト(oxygen cobalt)が低かった。妥当な範囲は1.5〜5KVA/in2(0.23〜0.78KVA/cm2)である。
【0031】
最終生成物中の酸素を低減させるための第2の方法は、微細な炭素粉末を溶融ストックと混合することである。これは、高純度カソードコバルト材料において、炭素に関して過剰な酸素を補償するために行われる。適する炭素の量は、酸素:炭素比が原子ベースで約1:1となるような量である。この量は計算することができる。カソードの化学は、一般的には、1つのロットの材料にわたって一貫しているので、計算はカソード中の酸素と炭素の1つの代表的な分析に基づくことができる。
【0032】
コバルトの精錬のための従来法は、イオン交換を電気分解と組み合わせて利用していることに銘記すべきである。例えば、米国特許第5,667,665号には、コバルト精錬電気分解処理からの電解質を、陰イオン交換樹脂の利用を含む精製にかけて、コバルトを不純物から分離する方法が記載されている。該特許には、更に、精製後にコバルトを電気分解処理に戻すことが記載されている。従来法は本発明の方法とは異なっている。従来法は、電解質からのコバルトを第1の溶液に入れ、その溶液から陰イオン交換樹脂上に負荷させることを包含する。コバルトは樹脂上に保持され、続いて、第1の溶液とは異なる第2の溶液で溶離される。本発明は、電気分解セルからの電解質溶液を、望ましい金属(コバルトなど)が樹脂上に保持されずに通過して、不純物が樹脂上に保持されて残る条件下で、該樹脂を通過せしめられる条件下で、陰イオン交換樹脂に通過させることを包含する。次いで、樹脂を通過後に、金属を電気分解セルに戻すことができる。従って、本発明は、従来の方法である2工程のバッチタイプの陰イオン交換精製(2工程とは、主題の金属をイオン交換樹脂上に負荷し、主題の金属をその樹脂から溶離させることである)を単一工程の連続法(単一工程とは、主題の金属をイオン交換樹脂に通過させることである)に低減するという点において、従来の方法よりも容易に金属の連続精製に適用することができる。本発明の方法の、米国特許第5,667,665号に例示される従来技術の方法に対する利点としては、次のことがある:
(a)本発明の方法は、従来技術の方法においてはアノード液をイオン交換樹上に負荷する前に存在しうる、アノード液希釈工程を排除できること;及び
(b)本発明の方法は、樹脂からの溶離後にコバルト塩を濃縮し(又はまさに乾燥させ)てから、それを電解質として使用する前に水に溶解させる、従来技術の方法の濃縮工程を排除できること。
【0033】
実施例
限定されるものではないが、以下の実施例により本発明を説明する。
実施例1
コバルトの電解化成
CoSO4・7H2O 1472lb(667.7kg)のサンプルを水370ガロン(1.40m3)に室温で撹拌しながら溶解する。再びかき混ぜながら、98%硫酸、ACSグレードを2.44ガロン(9.24×10−3m3)添加することにより、その硫酸コバルト溶液のpHを2に調整する。その溶液を、分離された電気分解槽に加えて122°F(50℃)まで加熱する。樹脂5立方フィート(0.14立方メートル)を含有するイオン交換槽への循環を開始し、イオン交換槽を通る流れを速度0.5GPMとする。その硫酸コバルト溶液を分析すると、CO 80〜90g/L、Fe 3〜4mg/L、及びNi 1〜2mg/Lを含有しており、pHが2であることが分かる。電気分解を300Aの一定電流で行うと、電圧は216時間の電気分解で9Vから5Vへの降下が観察される。カソードは99.95%Coのシートであり、電流密度18A/ft2(1.94A/m2)で電気分解する。コバルト約116lb(52.6kg)が採取されるが、これはカソードの電流効率74%に該当する。析出物の分析を表1に「高純度カソード」として示す。また、「高純度カソード」材料の追加の処理後に得られた分析値も表1に示す。追加の処理は、真空誘導溶解、電子ビームドリップ溶解又は電子ビームハース溶解のいずれかである。追加の処理により、気体の不純物が低減される(具体的には、それらの処理によりC、S、O及びNの濃度が低減される)。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2
CoCl2系
純度3N8(99.98%)のコバルト粉末(粉末A)及び純度2N7(99.7%)のコバルト粉末(粉末B)を、HCl中に溶解する(水中、重量基準で35〜38%)。次いで、その溶液を約10時間、撹拌しながら約80℃まで加熱する。固体のCoCl2・6H2Oを、脱イオン水2リットルを添加し、約50℃で約8時間撹拌することにより溶解する。次いで、更に脱イオン水を添加して、最終的な溶液の体積を約5リットルとする。
【0036】
一端がレデューサーに接続された内径0.953cm長さ120cmのプラスチック製チューブをイオン交換カラムとして使用する。ガラスウールをスクリーン材料として使用する。そのチューブに、平均サイズ20〜50メッシュのDowexM−4195陰イオン交換樹脂を約42.6ml充填する。負荷をかける前に、HCl溶液を2ベッド容積(BV)分、約15BV/Hrの流速で樹脂に通過させて、樹脂を順化する。HCl溶液のpH値はフィード溶液と同じである。典型的な実験は、(1)塩化コバルト溶液をポンプで送って樹脂ベッドに通すことにより樹脂に負荷をかけ;そして、(2)負荷をかけた樹脂ベッドをHCl酸溶液で溶離することを含んでなる。2工程の溶離が通常行われる:第1の工程は、コバルトを溶離するため酸性度の低い溶液を使用するが、第2の工程ではニッケルを溶離するため強い酸溶液を使用する。この例にはバッチ溶離法が記載されているが、本実施例の1又はそれより多い側面によれば、コバルトを負荷させ別の溶液で溶離することなくイオン交換樹脂を通過させる、本発明の単一工程(すなわち、バッチでない)溶離法を組み込むことができることも銘記すべきである。Cyanex272 20容量%をトルエン20容量%と混合して含んでなる有機溶液を調製し、コバルトの抽出及び精製に使用する。負荷と溶出の両方について、水対有機(A/O)比を1とした。不純物を含んだ塩化コバルト溶液、又はイオン交換樹脂で処理した溶液を、負荷をかけるためのフィード溶液として使用する。脱イオン水で希釈したpH約0.2のHCl溶液を溶出のために使用する。加熱と撹拌両方のために磁気加熱板を使用する。NaOH溶液を使用して、負荷をかけるため、不純物を含んだ塩化コバルト溶液のpHを約2に調整する。所望なpH値に到達した後、塩化コバルト溶液と有機溶液の混合物を更に10分間撹拌する。溶出については、負荷をかけた有機溶液を溶出液と10分間混合する。10分間沈降させた後、各々の相のサンプルをアッセイのために採集する。
【0037】
これまでに説明した有機抽出により、不純物を含んだコバルト溶液のうち他の不純物からコバルトを分離することができる。具体的には、コバルトは、水相がpH2である場合に、不純物を含んだコバルト溶液の水相から有機相に移動し、次いで、溶出液がpH0.2である場合に有機相から水を含む溶出液に移動する。不純物を含んだコバルト溶液中に存在する不純物は、典型的には、コバルトと共に有機相に出入りして移動することはない。
【0038】
電気分解セルは、およそ一定温度を保つため水浴の中に入れられる。イオン交換若しくは溶媒抽出のいずれかか、又はその両方により精製された塩化コバルト溶液はカソード区画及び膜区画へと導入され、アノード区画は、不純物を含んだ未処理の塩化コバルト溶液を含有する。本実施例において使用する膜は、商標204−UZRA−412で知られるアクリル膜である。不純物を含んだ純度2N8のコバルト片をアノードとして使用し、カソードは高純度チタンプレートで作られている。アノード液及びカソード液の両方をpH1.5にpH調整した後、温度50℃、電流密度200A/m2の一定電流密度で電気分解を行った。表2は、出発材料として粉末Aを用いて、電気分解及びイオン交換による処理後のコバルトについての主要な不純物(ppm)を示している。
【0039】
【表2】
【0040】
表3は、異なるコバルトサンプル(粉末Aで実験を開始)についての金属純度及び主要な不純物(ppm)の表を示している。ホイル1は、溶媒抽出により1回処理した溶液を用いて作られたカソードコバルトサンプルに相当し、ホイル2は溶媒抽出により1回処理しイオン交換により4回処理した溶液を用いて作られたカソードコバルトサンプルに相当する。
【0041】
【表3】
【0042】
表4は、コバルトサンプル(粉末Bで実験を開始)についての金属純度及び主要な不純物(ppm)の表を示している。コバルトサンプルは、溶媒抽出により1回処理しイオン交換により5回処理した溶液を用いて作られている。
【0043】
【表4】
【0044】
実施例3
Fe除去
Feはコバルト中の主要な不純物元素でありうる。Niと同様、Feはコバルトスパッタリングターゲットのパススルー・フラックスに影響を及ぼしうるので、最小限にすることが好ましい。本発明に使用する樹脂は一定量のFeを吸収する能力を有するが、原料コバルト中のFe含量が高い場合は追加のFe除去工程が望ましい。Fe除去のために異なる方法を使用することができる:1)Fe(OH)3沈殿;2)溶媒抽出;及び3)追加の選択的イオン交換;など。特定の態様においては、本発明により、Fe(OH)3沈殿をコバルト精錬法に統合して過剰なFe不純物を取り扱うことができる。
【0045】
Fe(OH)3沈殿については、空気又は酸素ガスを、不純物を含んだCoSO4又はCoCl2溶液へと撹拌しながら一定時間吹き込んで、Fe2+イオンをFe3+イオンに酸化させる。次いで、NaOHをCoSO4又はCoCl2溶液に添加して、そのpHを約4に変化させる。Fe(OH)3は溶解性が低いことからそのようなpHで晶出する。Fe(OH)3の大部分が沈降した後、固体のFe(OH)3粒子をCoSO4又はCoCl2溶液からろ過により分離する。
【0046】
例示的な態様においては、純度2N7のコバルト粉末を脱イオン水50容量%で希釈したH2SO4(98%)中に溶解する。加熱及び撹拌することにより、溶解が促進される。典型的には、5リットルビーカー中にH2SO4溶液2リットルを入れ、コバルト粉末500gを酸溶液中にゆっくり撹拌して入れる。約10時間撹拌しながら、その溶液を約80℃まで加熱する。その後、更に脱イオン水を加えて、コバルト濃度を約100g/lに到達させる。
【0047】
調製した溶液を等しい容積で2つに分け(ここでは容積A及び容積Bと呼ぶ)、それぞれ、カソードコバルトサンプルA及びBを作る。容積Aをイオン交換のみにより処理し電気分解に使用して、サンプルAを作る。
【0048】
容積Bは次の通りに処理する:
容積Bに撹拌しながら約1時間空気を吹き込んで、Fe2+イオンをFe3+イオンに酸化させる;
その溶液にNaOHを添加して、そのpHを約4に変化させる(Fe(OH)3はそのようなpHで晶出する);
約1時間沈降させた後、固体のFe(OH)3粒子をCoSO4溶液からろ過により分離する;そして、
続いて、容積Aに関してこれまでに説明したのと同じやり方で、イオン交換及び電気分解を行う。
【0049】
サンプルBについてのGDMSデータを出発粉末と直接比較して表5に挙げる。より具体的には、表5は、コバルト溶液を調製するための原材料として使用したコバルト粉末についての純度(単位:%)及び主要な不純物(単位:ppm)を示している。
【0050】
【表5】
【0051】
サンプルBはFe含量がはるかに低いことを表し、Fe(OH)3沈殿はFe不純物を低減するのに有効であることを証明している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法論において利用することができる装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の方法において使用することができるカソードの等尺図である。
Claims (49)
- 金属を精製するための方法であって:
アノード及びカソードを有する電気分解セルを提供し、ここで、該アノードは精製されるべき金属を含んでなり;
該金属を金属イオン電解質として該アノードから電解質溶液へとアノード溶解し;
該溶解後、前記電解質溶液の少なくとも一部をイオン交換樹脂に通過させて、該電解質溶液中の1種又はそれより多い不純物の濃度を、該電解質溶液中の該金属イオンの濃度に対して低減させ、その際、該電解質は、該金属イオンが該樹脂に負荷されずに該樹脂を通って流れる条件、及び1種又はそれより多い不純物が該樹脂に保持される条件下で、該樹脂に通過せしめられ;そして、
該電解質溶液の少なくとも一部を該樹脂に通過させた後、前記電解質を前記電気分解セルに戻して、該金属を該カソードにおいて該電解質の金属イオンからカソード析出させることを含んでなる方法。 - 樹脂が、少なくとも一つのカラム内に詰められたイオン交換性材料のベッドの形態である、請求項1記載の方法。
- 樹脂が、少なくとも一つのカラム内に詰められたDOWEX(商標)陰イオン交換性材料のベッドの形態である、請求項1記載の方法。
- セルが、膜によりカソード区画と隔てられたアノード区画を含んでなる、請求項1記載の方法。
- 更に、アノード区画からの電解質溶液が、アノード溶解及びカソード析出の間に、イオン交換樹脂を通って、カソード区画へと連続的に流れることを含んでなる、請求項4記載の方法。
- カソードの表面がカソード析出の間電解質に曝され、更に、該カソード析出の前に該表面の外面周囲に非導電性物質が形成されることを含んでなる、請求項1記載の方法。
- 金属がコバルトである、請求項1記載の方法。
- 電気分解セルが、陰イオン交換膜でアノードチャンバーとカソードチャンバーとに隔てられた、請求項7記載の方法。
- 電解質溶液が、Cl−及びSO4 2−のうち一方又は両方を含んでなる、請求項7記載の方法。
- アノード溶解の間のアノード電流密度が、約10A/ft2(1.08A/m2)〜約500A/ft2(538A/m2)である、請求項7記載の方法。
- カソード析出の間のカソード電流密度が、0A/ft2(0A/m2)より大きく約50A/ft2(53.8A/m2)までである、請求項7記載の方法。
- カソード析出の間のカソード電流密度が、0A/ft2(0A/m2)より大きく約20A/ft2(21.5A/m2)までである、請求項7記載の方法。
- イオン交換樹脂がベッド容積を有しており、電解質が0BV/Hrより高く、約10BV/Hrより低いか又はそれに等しい流速で該イオン交換樹脂を通過する、請求項7記載の方法。
- イオン交換樹脂がベッド容積を有しており、電解質が0BV/Hrより高く、約1BV/Hrより低いか又はそれに等しい流速で該イオン交換樹脂を通過する、請求項7記載の方法。
- 電解質溶液をイオン交換樹脂に通過させた後で、カソード析出の前に:
コバルト電解質を有機溶媒へと抽出することにより該コバルト電解質を該電解質溶液から抽出し;
該コバルト電解質を該有機溶媒から水溶液へと抽出し;そして
該コバルト電解質を電気分解セルに移すことを更に含んでなる、請求項7記載の方法。 - 電解質をイオン交換樹脂に通過させる前に、Feを電解質溶液から除去することを更に含んでなる、請求項7記載の方法。
- 電解質をイオン交換樹脂に通過させる前に、Feを電解質溶液から沈殿させることを更に含んでなる、請求項7記載の方法。
- 電解質をイオン交換樹脂に通過させた後で、コバルトをカソード析出させる前に、Feを電解質溶液から除去することを更に含んでなる、請求項7記載の方法。
- 電解質をイオン交換樹脂を通過させた後で、コバルトをカソード析出させる前に、更に、Feを電解質溶液から沈殿させることを含んでなる、請求項7記載の方法。
- 金属を精製するための装置であって:
アノード区画とカソード区画とを有し、該アノード区画及びカソード区画が互いに電解質溶液によって電気的に接続している、電気分解セル;
該電解質溶液中に伸びており、該アノード区画を該カソード区画から隔てている少なくとも1つの陰イオン交換膜であって、ここで、該カソード区画内の電解質流体が該膜を越えて該アノード区画へと流れることができるように、該カソード区画は該アノード区画より高い高さに伸び、該膜は該アノード区画と該カソード区画の高さの間の高さに伸びている、陰イオン交換膜;
該アノード区画内の、不純物を含んだ形態の該金属を含んでなるアノード;及び
該カソード区画の該電解質溶液と流体連絡しているイオン交換樹脂
を含んでなる装置。 - 精製されるべき金属がコバルトであり、アノードが不純物を含んだ形態のコバルトを含んでなる、請求項20記載の装置。
- 精製されるべき金属がコバルトであり、アノードが不純物を含んだ形態のコバルトを少なくとも1つのバスケット中に含んでなる、請求項20記載の装置。
- バスケットが酸化イリジウムコーティングを有する、請求項22記載の装置。
- アノード区画からイオン交換樹脂への流体通路;及び
該流体通路に沿っており、電解質を該アノード区画から該イオン交換樹脂に送るように配置され、更に、電解質を該イオン交換樹脂からカソード区画に送るように配置された少なくとも1つのポンプ
を更に含んでなる、請求項20記載の装置。 - 全金属不純物を50ppm未満、及びCrを0.05ppm未満含んでなる、高純度コバルト材料。
- スパッタリングターゲットの形状の請求項25記載のコバルト材料。
- 請求項26記載のスパッタリングターゲットから堆積させたコバルトフィルム。
- Crを0.01ppm未満含んでなる、請求項25記載のコバルト材料。
- 全金属不純物を25ppm未満含んでなる、請求項25記載のコバルト材料。
- 全金属不純物を25ppm未満、及びCrを0.01ppm未満含んでなる、請求項25記載のコバルト材料。
- コバルト99.99%と、Mg、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb、Mo、W及びPb全体の合計50ppm未満とを含んでなる、高純度コバルト材料。
- Thを1ppb未満含んでなり、Uを1ppb未満含んでなる、請求項31記載のコバルト材料。
- スパッタリングターゲットの形状の請求項31記載のコバルト材料。
- 請求項33記載のスパッタリングターゲットから堆積させたコバルトフィルム。
- 全体の合計が40ppm未満である、請求項31記載のコバルト材料。
- 全体の合計が30ppm未満である、請求項31記載のコバルト材料。
- 全体の合計が25ppm未満である、請求項31記載のコバルト材料。
- コバルトを99.9%より多く、並びに、Na及びKをそれぞれ0.5ppm未満、Feを8ppm未満、Niを3ppm未満、Crを1ppm未満、Tiを1ppm未満及びOを450ppm未満含んでなる、コバルト材料。
- コバルトを99.99%より多く含んでなる、請求項38記載のコバルト材料。
- スパッタリングターゲットの形状の請求項38記載のコバルト材料。
- 請求項40記載のスパッタリングターゲットから堆積させたコバルトフィルム。
- 全金属不純物を50ppm未満及びTiを3ppm含んでなる、高純度コバルト材料。
- スパッタリングターゲットの形状の請求項42記載のコバルト材料。
- 請求項43記載のスパッタリングターゲットから堆積させたコバルトフィルム。
- Tiを0.5ppm未満含んでなる、請求項42記載のコバルト材料。
- Tiを0.04ppm未満含んでなる、請求項42記載のコバルト材料。
- Crを0.01ppm未満含んでなる、請求項42記載のコバルト材料。
- Crを0.01ppm未満含んでなり、Pを1ppm未満含んでなる、請求項42記載のコバルト材料。
- Tiを0.5ppm未満含んでなり、Crを0.01ppm未満含んでなり、Pを0.08ppm未満含んでなる、請求項42記載のコバルト材料。
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