JPH0967627A - 銅電解精製における電解液中のアンチモン、ビスマスの選択的回収方法 - Google Patents

銅電解精製における電解液中のアンチモン、ビスマスの選択的回収方法

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JPH0967627A
JPH0967627A JP7240475A JP24047595A JPH0967627A JP H0967627 A JPH0967627 A JP H0967627A JP 7240475 A JP7240475 A JP 7240475A JP 24047595 A JP24047595 A JP 24047595A JP H0967627 A JPH0967627 A JP H0967627A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キレート樹脂から選択的に溶離した溶出液中
のアンチモン、ビスマスを電解採取により回収する。 【解決手段】 銅電解液をカラムに充填したキレート樹
脂と接触させてアンチモンおよびビスマスを吸着させ、
水洗後、硫酸20〜30g/l、塩化ナトリウム100
〜200g/l混合溶液を用いて、ビスマスを選択的に
溶離し、硫酸100〜250g/l、塩酸ナトリウム1
20〜180g/lの混合溶液を用いてアンチモンを溶
離後、アンチモン、ビスマスを電解採取により、陽極と
陰極の間を陽イオン交換膜で隔て、陽極側を硫酸浴にし
て、陽極から塩素ガスを発生させないようにして、金属
アンチモン、ビスマスとして回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅電解精製におい
て、電解液中のアンチモン、ビスマスをキレート樹脂に
吸着させ、溶離液に選択的に溶離させて、アンチモン、
ビスマスを回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の銅電解精製において陽極中の銅以
外に、金、銀、ニッケル、ヒ素、アンチモン、ビスマス
等数多くの金属が含まれており、そのうち、一部は銅と
共に溶出し、例えば、アンチモン、ビスマスは、一定濃
度以上電解液中に蓄積すると、銅と共に析出し、電気銅
の品質を低下させる。そのため、これらの不純物を一定
濃度以下に保つため、電解液の浄液が必要となる。
【0003】アンチモンとビスマスの分離性 通常、アンチモンとビスマスは、その化学的性質が類似
しているため、一般に、その分離は容易でない。従来、
銅電解液中のアンチモン、ビスマスを除去する方法とし
て、銅電解液を鉛などの不溶性陽極を使用して電解し、
脱銅スライムとして除去する脱銅電解法、銅電解液に炭
酸ナトリウムなどを添加する中和法、銅電解液に硫化水
素ガスを吹き込んで硫化物沈澱として除去する硫化物沈
澱法、銅電解液を濃縮して硫酸銅結晶を晶析させ、共沈
した不純物とともに除去するタンパン製造法などがあ
る。しかし、これらの方法では、除去すべき不純物より
はるかに多くの銅が除去されるため、効率が悪い。最近
では、キレート樹脂を用いた銅電解液の浄液が行われて
きた。キレート樹脂からアンチモンとビスマスを選択的
に溶離する場合では、初めにビスマスを溶離するが、そ
の分離性は、完全でなく、ビスマス溶出液に少量のアン
チモンが混入する問題がある。また、溶離が不十分であ
ると、キレート樹脂に残ったビスマスが、次のアンチモ
ンの溶離において溶離され、この溶離液よりアンチモン
を電解採取すると、得られるアンチモンの純度が低下す
る。すなわち、アンチモンとビスマスの析出電位にほと
んど差がないから、アンチモン溶出液およびビスマス溶
出液中に各々ビスマスやアンチモンが含まれると、電解
採取による回収する操作において、回収物の純度を低下
させる原因となる。
【0004】溶離液 キレート樹脂に吸着したアンチモンおよびビスマスを溶
離する溶離液は、一般に塩酸が用いられる。塩酸を用い
て溶離を行った場合、アンチモン、ビスマスを同時に除
去してしまい、これらを分離できない。そのため、アン
チモン、ビスマスを溶出液から回収する工程において、
これらを別々に回収することが困難であった。一方、希
硫酸と塩化ナトリウム混合溶液を用いた溶離において
も、溶出液中のBi/Sb濃度比で1.3と差が小さ
く、その選択性を得ることは困難であった。
【0005】Fe3+の影響 キレート樹脂に銅電解液を接触させてアンチモン、ビス
マスを吸着させ、希塩酸で溶離を行う工程において、銅
電解液中にFe3+が存在すると、これがキレート樹脂に
吸着し、希塩酸では溶離できずにキレート樹脂に蓄積
し、アンチモン、ビスマスの吸着能力が著しく低下す
る。Fe3+の吸着防止対策として、電解によって還元雰
囲気にある銅電解排液を直ちにキレート樹脂に通液する
方法があるが、融通性に欠ける。また、キレート樹脂か
らアンチモン、ビスマスを溶離する際に高濃度の塩酸
(6N以上)を用いて、吸着しているFe3+を溶離する
方法があるが、塩酸は高価なため、経済的ではなかっ
た。
【0006】電解採取における塩素発生 溶出液から、電解採取によってアンチモン、ビスマスを
回収する工程においては、通常、塩化浴で電解する場
合、陽極側での塩素の発生があり、その処理が必要とな
ってくる。
【0007】溶出液の再利用性 一般に、イオン交換樹脂による不純物除去では、吸着物
の溶離にあたって、大量の溶液が発生し、その処理、ま
たは、貯蔵に大きな設備が必要となり、初期の投資を大
きくする。希薄な塩酸と塩化ナトリウムの混合溶液や、
硫酸、塩化ナトリウムの混合溶液を用いての溶離が行わ
れているが、溶出液中に含まれるアンチモン、ビスマス
の回収においては、中和等によって回収されるため、溶
出液を最利用するのは、困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、銅電解液中に
溶存するアンチモン、ビスマスをキレート樹脂を用いて
吸着除去し、硫酸・塩化ナトリウム混合溶液を用いてア
ンチモン、ビスマスを選択的に溶離した後、電解採取に
よって金属アンチモン、ビスマスを回収する方法の確
立、および、キレート樹脂からのアンチモン、ビスマス
を溶離した溶出液からアンチモン、ビスマスを各々電解
採取した後、再び該溶出液をキレート樹脂からの溶離に
再利用することにより、金属アンチモン、ビスマスの回
収の効率化を図り、さらに、キレート樹脂からの溶離と
金属の電解採取を連続的に行うことにより、設備投資の
低減が求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるアンチモン
とビスマスを別々に回収する方法では、キレート樹脂に
吸着したアンチモンおよびビスマスを、硫酸濃度を変え
ることにより、選択的に溶離してビスマス溶出液とアン
チモン溶出液を得て、該ビスマス溶出液を好ましくは、
pH1まで中和して溶出液中に含まれる少量のアンチモ
ンを除去した後、電解採取し、そして、該アンチモン溶
出液を中和、または、加水分解してから電解採取する。
本発明の方法では、銅電解液をカラムに充填したキレー
ト樹脂に接触させる前に銅板を充填したカラムを通過さ
せて、銅電解液中に含まれるFe3+をFe2+に還元して
樹脂への吸着を防止してから、キレート樹脂と接触させ
てアンチモン、ビスマスを吸着させ、カラム上方から温
水にて洗浄した後、硫酸・塩化ナトリウム混合溶液を溶
離液として用いてカラム下方から通液して溶離し、この
とき硫酸濃度を違えて、アンチモン、ビスマスを選択的
に回収し、それぞれの溶出液から電解採取によって、金
属アンチモン、ビスマスを回収する。ビスマスの選択溶
離における、ビスマス最終濃度を0.02g/l以下と
し、アンチモン溶離におけるビスマス濃度を0.01g
/l以下とすることにより、溶出液の電解採取で、高純
度の金属アンチモンの回収が可能となる。
【0010】本発明における銅電解液からのアンチモ
ン、ビスマスの選択的回収方法は、下記工程より構成さ
れる。 (1)銅電解液を、金属銅と接触させることにより銅電
解液中に溶存する3価の鉄イオンを2価に還元する鉄還
元工程。 (2)(1)の工程より得られた還元溶液をキレート樹
脂と接触させ、電解液中のアンチモン、ビスマスをキレ
ート樹脂に吸着させる吸着工程。 (3)キレート樹脂を温水で洗浄する洗浄工程。 (4)硫酸を20〜30g/l、塩酸ナトリウムを12
0〜180g/lの割合で含む40〜60℃のビスマス
溶離液を洗浄後のキレート樹脂に接触させ、ビスマスを
溶離させてビスマス溶出液を得るビスマス溶離工程。 (5)硫酸を100〜250g/l、塩化ナトリウムを
120〜180g/lの割合で含む40〜60℃のアン
チモン溶離液をビスマス溶離後のキレート樹脂に接触さ
せ、アンチモンを溶離させアンチモン溶出液を得るアン
チモン溶離工程。
【0011】
【発明の実施の形態】図1に本発明による工程を示し
た。本発明にかかわる工程は、銅電解工程1、電解液還
元工程2、キレート樹脂吸着工程3、ビスマス電解採取
工程4、アンチモン電解採取工程5からなる。銅電解工
程1から出た銅電解廃液11は、電解液還元工程2で還
元後電解液となり、キレート樹脂吸着工程3においてキ
レート樹脂塔内でビスマス・アンチモンを吸着させ、ア
ンチモン・ビスマスを除去された吸着後電解液13は銅
電解工程1へ戻される。アンチモン・ビスマスを吸着し
たキレート樹脂塔では、キレート樹脂を水洗後、まずビ
スマスを溶離する。このとき、一態様では、ビスマスが
高濃度の溶出液16は、ビスマス電解採取工程4に送ら
れ、ビスマスが低濃度の溶出液14はキレート樹脂塔へ
戻される。キレート溶離を終了した後、アンチモンの溶
離を行う。このときも、一態様では、アンチモンが高濃
度の溶出液17はアンチモン電解工程5に送られ、アン
チモンが低濃度の溶出液15はキレート樹脂塔へ戻され
る。
【0012】別の態様では、ビスマスやアンチモンが低
濃度の溶出液も電解採取することもありうる。電解採取
によりビスマス金属粉20、アンチモン金属粉21が各
々得られる。そして、電解採取排液18、19は各々キ
レート樹脂吸着工程3へ戻される。電解液還元工程2で
は、Fe3+を還元する。すなわち、銅電解液中のアンチ
モン、ビスマスをキレート樹脂に吸着させる場合、銅電
解液中にFe3+が存在すると、これがキレート樹脂に吸
着してアンチモン、ビスマスの吸着量を著しく低下させ
る現像がみられる。また、キレート樹脂に吸着したFe
3+を溶離するには高濃度の塩酸を必要とする。従って、
キレート樹脂へのFe3+の吸着を防止する必要がある。
言い換えると、Fe2+はキレート樹脂には吸着しないの
で、銅電解液をキレート樹脂に通液する前にカラムに充
填された金属銅と接触させてFe3+をFe2+に還元して
から、キレート樹脂に通液する操作により、Fe3+の樹
脂への吸着を防止できる。
【0013】キレート樹脂の吸着後に行う水洗のための
水は、電解液との比重差により、重い電解液が常に下向
きに押し出されるようにカラム上部から通液し、電解液
を除去する。この操作により、効率的にカラム内の電解
液を除去することができる。キレート樹脂に吸着したア
ンチモン、ビスマスを溶離するための溶離液は、硫酸・
塩化ナトリウムの混合溶液を用いるため、カラム内に残
留する水よりはるかに比重が大きく、カラム上部から通
液した場合、流量が少ないとカラム内を偏って流れる現
象がある。従って、軽い水を押し上げるように溶離液を
カラム下部より通液して除去する。この操作により、効
率的にカラム内の洗浄水が溶離液と混合することが防止
される。一般に、カラムに充填されたキレート樹脂に吸
着したアンチモン、ビスマスは、SbO+、BiO+形態
で吸着していると考えられ、溶離に関しては、この吸着
しているSbO+、BiO+をSbCl4 -、BiCl4 -
ような塩化錯体の形成により脱着させ、キレート樹脂の
吸着サイトにはH+が吸着する。本発明では、キレート
樹脂からのビスマスの溶離操作において、低濃度の硫酸
を用いる。これは、アンチモンとビスマスのキレート樹
脂との結合力に差があるので、希薄な硫酸と塩化ナトリ
ウムの混合溶液を用いると、結合力の弱いビスマスを選
択的に溶離できるからである。
【0014】希薄な硫酸と塩化ナトリウムの混合溶液を
用いる本発明は、ビスマスとアンチモンの溶離の選択性
がH+ 濃度に依存していることを発見したことに基づい
ている。すなわち、硫酸と塩化ナトリウムを用いて、C
- イオンを一定として、酸濃度の調整により、実質的
に全てのアンチモンを、キレート樹脂に残留させたま
ま、ビスマスを選択的に溶離させることに成功したので
ある。例えば、硫酸濃度を20〜30g/lとした食塩
水(NaCl:120g/l)を用いれば、溶出液中の
Bi/Sb重量比は、10以上となり選択性が高い。一
方、塩化ナトリウム濃度を一定として、硫酸を60g/
lに高くした場合、Bi/Sb重量比は、4程度の溶出
液となり、その選択性は、損なわれる。また、ビスマス
の選択溶出液において、硫酸濃度が低い食塩水を用いた
場合、この溶出液のアンチモン濃度は、通液量にかかわ
らず0.2〜0.6g/l程度で一定であり、平衡状態
になっていて、これ以上アンチモンは溶離しないと考え
られる。
【0015】ビスマス溶出液をpH1まで中和するのが
好ましいが、これは、溶出液の中和により、アンチモン
を除去してから電解採取することで、回収ビスマス中の
アンチモン含有量を低下させるためである。分離が完全
でなく、少量のアンチモンの混入があると、ビスマス溶
出液からのビスマス回収工程において、そのアンチモン
が不純物となる。ビスマスの溶離操作において、ビスマ
スの濃度が0.02g/lになるまで溶離するのは、こ
の濃度まで溶離すると、その後のアンチモンの回収工程
において、ビスマスが問題とならないからである。ビス
マスの溶離が不十分だと、次のアンチモンの溶離の際
に、残ったビスマスが溶離され、アンチモン溶出液中の
ビスマス濃度が高くなってしまう。ビスマスの選択溶離
のための、通液量はBV15程度である。ビスマスの選
択溶離において、通液量がBV6〜7以降すなわち、ビ
スマス溶出液中のビスマス濃度が0.5g/l以下、S
b/Bi重量比が1以下のとき、この溶出液は、そのま
まキレート樹脂吸着工程3に繰り返すことにより、アン
チモンの溶出は、さらに抑制されることになる。
【0016】一方、ビスマスの選択溶離における前半の
溶液、通液量にしてBV6以前の溶出液については、ビ
スマス電解採取工程4において、ビスマス濃度が、0.
02g/l以下まで低下させれば、キレート樹脂吸着工
程3におけるビスマスの選択溶離の後半部分すなわち、
通液量のBV6以降の部分に繰り返すことができる。ビ
スマスの選択溶離後のアンチモンの溶離で重要な点は、
アンチモン溶出液中のビスマス濃度を0.01g/l以
下にすることである。このビスマス濃度は、基本的に
は、通液量の調整により可能であるが、通液量が増加す
れば、ビスマスの選択溶離におけるアンチモンの溶出量
の増加以外にも、処理液の増加、貯槽等の設備が大きく
なる等、経済的な不利益を生じる。本発明では、溶離液
の調整、通液速度(SV)、通液温度の最適化により、
ビスマス電解採取工程3におけるBV14〜15通液量
で、前述のようにビスマス濃度0.02g/l以下とす
れば、ビスマス選択溶離後のアンチモン溶出液のビスマ
スの最大濃度が0.01g/l以下にできることを見い
だしたのである。ビスマスの選択溶離後のアンチモンの
溶離では、硫酸濃度を200〜250g/lに増加させ
た食塩水を溶離液として用いて溶離するため、キレート
樹脂に残存するアンチモン、ビスマスを全て溶離する。
したがって、前述のように、ビスマスの選択溶離で、ビ
スマス溶出液のビスマス濃度を0.02g/l以下と
し、アンチモン溶出液におけるビスマス濃度を0.01
g/l以下とすることにより、アンチモン溶出液の電解
採取を行う場合、高純度の金属アンチモンの回収が可能
となる。
【0017】本発明では、電解採取により溶出液からア
ンチモン、ビスマスを回収する際、陽極と陰極の間を陽
イオン交換膜で隔てる。これは、陽極側を硫酸酸性液に
するためで、これにより安価な鉛を使うことができ、陽
極が腐食、溶出、さらに塩素が発生することなく、電解
を行うことが可能である。陽極と陰極を同一の塩酸酸性
液で電解する場合、DSA等の耐塩化性がある不溶性陽
極を使用する必要があり、また、発生塩素の処理が必要
となる。ビスマスの電解採取は、アンチモンの電解採取
と異なり、電解温度が高くなるに従って電流効率が上昇
する傾向が見られる。また、電流密度は、ビスマスの場
合、電析の過電圧のため、ある程度大きくする必要があ
り、好ましくは、20〜50A/m2 電流密度が適切と
考えられる。このことから、ビスマスの電解採取は高温
での定電流電解が好ましい。アンチモンの電解採取工程
においては、定電流電解では、溶出液中のアンチモン濃
度が低下しても電流に変化はないため、そのまま通電を
続けると、電解温度が高くなるに従い、電流効率を低下
させることになる。その上電解終了の判定が困難で溶出
液中のアンチモン濃度を常に監視する必要がある。定電
圧で電解を行った場合は、溶出液中のアンチモン濃度が
低下してくると、陰極からの水素発生により、電圧が上
昇して電流が流れなくなるので、電解終了の判定が容易
であり、電流効率の低下も防止できる。
【0018】アンチモンの電解採取において電流効率が
低下する傾向がみられるのは、アンチモンの溶出液は、
硫酸濃度が200〜250g/リットルと高く、析出し
たアンチモンが再溶解していることが考えられる。この
ため、低温で電解する必要があり、10℃〜25℃が好
ましいと考えられる。このことから、アンチモンの電解
採取は低温での低電圧電解が好ましい。アンチモンの溶
離において、アンチモン溶出液中のアンチモンの高濃度
側を電解採取し、低濃度側を溶離液としてキレート樹脂
へ繰り返す場合は、電解採取する電槽は1段で良い。し
かし、アンチモンを含む溶液を繰り返し、溶離液として
使用した場合、アンチモンのキレート樹脂への残留率が
増加し、吸着平衡に悪影響を及ぼすことになる。したが
って、低濃度側も電解採取する場合、電流効率の良い2
段のカスケード電解が好ましい。カスケードの第1段
は、アンチモンの濃度が高いため、比較的高い電圧で定
電圧電解を行うことができる。カスケードの第2段は、
第1段の排液と低濃度のアンチモン溶出液を装入する。
アンチモンの濃度が低いため、高い電圧で定電圧電解を
行っても、電流は低いままである。そのため、低い電圧
で定電圧電解を行うことで、効率良く電解を行うことが
望ましい。この方法により、アンチモンの溶出液は、直
接連続的に、2つの電解槽に送ることができ、第2段の
電解槽から排出される溶液は、直接溶離液に再利用でき
るため、通常のイオン交換法と比較して、保有液量が少
なくなる。
【0019】電解採取工程に使用されるビスマス電解槽
20の概略図を図2に示す。この電解槽20は、鉛の陽
極板21とニオブまたはチタンの陰極板22を有し、陽
イオン交換膜25により区分され、陽極側に硫酸溶液を
収容し、陰極側にビスマス溶出液24が収容される。H
+ イオンは、陽イオン交換膜25を通過するが、Cl-
イオンは通過できない。本発明において、陰極をニオブ
またはチタンとするのは、塩酸酸性液中で耐塩化性およ
び、耐食性に優れており、電着物を容易に剥離できるか
らである。また、これらの電極の表面酸化物が、電析に
対して触媒的な作用をすることが考えられる。
【0020】
【実施例】
[実施例1]キレート樹脂(ミヨシ油脂製エポラスMX
−2)1リットルをカラムに充填し、Sb:0.5〜
0.6g/l、Bi:0.3〜0.4g/lの濃度の銅
電解液を60℃にて、金属銅を充填したカラムを通過さ
せてFeイオンを還元し、SbおよびBiを吸着させた
樹脂から、BV3の温水で洗浄後、硫酸と塩化ナトリウ
ムの混合溶液を用いて、Biを選択的に溶離するため、
カラム上方から通液してビスマスの溶離を行った。溶離
条件と結果を表1−1および1−2に示す。表1−1お
よび1−2に見られるように、硫酸濃度が60g/l以
上になるとアンチモンが溶離されてその選択性を損ね、
ビスマスを選択的に溶離できなかった。また、硫酸濃度
が30g/lと低くても、塩化ナトリウム濃度が180
g/l程度になるとアンチモンが溶離される。溶離液の
濃度は、硫酸30g/l、塩化ナトリウム120g/l
が、最も好ましく、硫酸濃度が60g/l以下、塩化ナ
トリウム濃度が180g/lを超えない溶液で溶離する
ことでアンチモンの溶離を抑制し、ビスマスを選択的に
溶離できることがわかる。
【0021】[実施例2]実施例1と同様の操作でアン
チモンおよびビスマスを樹脂に吸着させた後、ビスマス
の溶離条件とアンチモンの溶離条件との組合せにより、
アンチモン、ビスマスをそれぞれ選択的に効率よく溶離
するため、カラム上方から硫酸と塩化ナトリウムの混合
液を通液して、ビスマスを溶離した後、アンチモンの溶
離を行った。溶離条件と結果を表2−1および2−2に
示す。表2−1および2−2に見られるように、アンチ
モンの溶離は、硫酸濃度が200g/l程度でも、塩化
ナトリウム濃度が60g/lと低いとアンチモンの溶離
量が低下する。アンチモンの溶離では、キレート樹脂中
に残存する全てのアンチモンおよびビスマスを溶離でき
る条件であればよいため、硫酸、塩化ナトリウムともに
高濃度での溶離が好ましい。しかし、それぞれの濃度
は、硫酸250g/l、塩化ナトリウム150g/lが
溶解限度であり、これ以上の濃度は、塩化ナトリウムが
飽和し析出する。アンチモン溶離の硫酸濃度は200〜
250g/lならば、塩化ナトリウム濃度は120〜1
50g/lが最も好ましく、約80%以上のアンチモン
溶離率が得られることがわかる。
【0022】[実施例3]実施例1と同様の操作にてア
ンチモンおよびビスマスを樹脂に吸着させた後、実施例
1の溶離操作において、カラム下方から硫酸30g/
l、塩化ナトリウム180g/lの濃度の溶離液を用い
て、SV1.5にてBV15まで通液してビスマスを溶
離した。図3は40℃、50℃にてカラム上方から通液
して得られた溶離曲線を示している。図4は、50℃、
60℃にてカラム下方から通液して得られた溶離曲線を
示している。表3−1および3−2に各条件でのアンチ
モンおよびビスマスの溶離率を示す。図3に見られるよ
うに、50℃にてカラム上方から通液した場合と、40
℃にて通液した場合では、曲線の高濃度部分は約5%程
度の濃度向上が見られるだけであるが、濃度ピークの位
置が50℃にて通液した場合に早くでている。従って、
高温で通液すれば、効率的に溶離できることがわかる。
表3−1および3−2に見られるように、カラム下方か
ら通液した場合、カラム上方から通液した場合に比べ
て、曲線の高濃度部分に約25%の濃度向上が見られ
る。また、BV6の通液量でビスマスはほとんど溶離さ
れており、カラム下方からの通液により、カラム上方か
ら通液する場合より、通液量を少なくでき、効率的に溶
離できることがわかる。図4に見られるように、60℃
にて通液した場合、50℃にて通液した場合より、曲線
の高濃度部分に約30%の濃度向上が見られる。このこ
とから、60℃にて通液することで効率的に溶離できる
ことがわかる。表3−1よび3−2の結果から、各条件
ともビスマスの溶離率にほとんど差は見られないが、条
件によれば、高濃度側のビスマス溶出液中のビスマス濃
度をさらに高くすることで、後述の電解採取を効率的に
行うことができる。通液温度は、高温の方が好ましく、
40℃以上の温度が適当と考えられるが、溶離液の昇温
にかかわる経済性や、容器の材質から考慮すれば、その
限界がある。また、カラム下方から高温で通液すると、
アンチモンの溶離率が増加する傾向が見られる。しかし
ながら、ビスマスの最大濃度から見ると、カラム下方か
ら、60℃にて通液した場合が、最もビスマス濃度が高
く、少ないベッドボリュームで溶離できることがわか
る。したがって、カラムへの通液量を少なくすること
で、アンチモンの溶離率を低下できると考えられる。こ
れらの結果から、ビスマスの溶離操作は、カラム下方か
ら40℃〜60℃の範囲でBV10程度の通液量で行う
ことで、効率的な溶離ができることがわかる。
【0023】[実施例4]実施例3と同様の操作でビス
マスを溶離した後、硫酸濃度を250g/l、塩化ナト
リウム濃度を150g/lの濃度の溶出液をカラムに通
液してアンチモンを溶離した。図5は、50℃、60℃
にてカラム下方から通液して得られた溶離曲線を示して
いる。表4−1および4−2は、各条件でのアンチモン
およびビスマスの溶離率を示す。図5に見られるよう
に、カラム下方から60℃にて通液した場合、曲線の高
濃度部分に50℃にて通液した場合より、約10%の濃
度向上が見られる。表4−1および4−2の結果から
も、ビスマスの溶離と同様に40℃〜60℃の範囲内で
通液することで、効率的に溶離できることがわかる。ま
た、ビスマスの溶離工程でビスマスが樹脂中に2〜5g
/R−1程度残っていると、その次のアンチモンの溶離
工程で溶離され、その選択性を損ねることがわかる。こ
のことから、ビスマス溶離工程でビスマスの最終濃度が
0.02g/l以下まで溶離すれば、アンチモン溶離工
程におけるアンチモンの溶出液中のビスマス濃度は、
0.01g/l以下になることがわかる。さらに、ビス
マスの溶離工程で、溶離後半部、すなわち通液量がBV
8以降の溶液(Bi<0.5g/l、Sb:0.20〜
0.25g/lを含有する溶液)を溶離前半部分に繰り
返し、一方、溶離後半部分には、アンチモン、ビスマス
とも0.02g/l以下の濃度の溶液を使用した場合、
ビスマスの溶離工程におけるアンチモンの残留率が上昇
することがわかる。
【0024】[実施例5]アンチモン、ビスマスを吸着
させたキレート樹脂(ミヨシ油樹脂製エポラスMX−
2)から、硫酸20g/l、塩化ナトリウム120g/
lの混合溶液を用いて、最終ビスマス濃度が0.02g
/l以下になるまでビスマスを溶離した。ついで、得ら
れた溶出液(Sb:0.24g/l、Bi:5.3g/
lの濃度)をpH1まで200g/lNaOHで中和し
て、沈澱を除去した後、図2の電解装置を用いて、電流
密度30A/m2 にて定電流電解し、ビスマスを回収し
た。得られた結果を表5−1および5−2に示す。あわ
せて、pH調整をしないで電解採取した場合を示した。
表5−1および5−2に示すように、pH1まで中和す
ることにより、アンチモンの濃度を低下させることがで
き、回収ビスマス中のアンチモン含有量を低下できるこ
とが分かる。
【0025】[実施例6]実施例5の溶離操作におい
て、ビスマスを溶離後、硫酸250g/l、塩化ナトリ
ウム150g/lの混合溶液を用いて、アンチモンを溶
離した。ついで、得られたアンチモン溶出液(Sb:
2.8g/l、Bi:0.009g/lの濃度)に、2
00g/lのNaOH溶液を添加して、pH1〜3まで
中和した。得られた結果を表6−1および6−2に示
す。あわせて、加水分解、さらに純水とNaOH溶液を
同時に添加した場合の結果を示した。表6−1および6
−2に見られるように、ビスマス溶離工程中のビスマス
の最終濃度を0.02g/l以下にすることで、アンチ
モン溶出液中にほとんどビスマスが含まれないことが分
かる。また、アンチモン溶出液中のビスマス濃度が0.
02g/l以下であれば、回収アンチモン中のビスマス
含有量も低いことが分かる。また、高純度のアンチモン
を得るには、pH1で中和または、加水分解するのが良
いが、回収物の量が少なくなる問題がある。pH3程度
で沈澱させると、回収物の量も多く得られるが、アンチ
モン溶出液中のビスマス濃度が高いと回収アンチモン中
のビスマス含有量も高くなる。このことからも、アンチ
モン溶出液中のビスマス濃度を低下させる必要がある。
【0026】[実施例7]図2に示すような電解装置に
おいて、陰極にニオブ、陽極に鉛(陰、陽極ともに65
mm×60mm)を用いて、極板間を陽イオン交換膜
(徳山曹達(株)製ネオセプタ)で隔て、膜と極板の間
の距離を30mmとし、陰極側に実施例1のビスマス溶
離で得られるビスマス溶出液、陽極側に硫酸200g/
l溶液を用いてビスマスの電解を行った。表7に、電解
温度および電流密度と電流効率の関係を示す。表7に示
すように、同じ電流密度では、電解温度が高い方が、電
流効率は向上する。また、同じ電解温度では、電流密度
が高くなるに従い、電流効率も向上する。このことか
ら、ビスマスの電解採取においては、40℃以上で、電
流密度50A/m2 程度が好ましいことがわかる。ただ
し、温度については、実施例3でも述べたように、60
℃以下が好ましい。また、この時のビスマスの純度は、
98%以上となった。
【0027】[実施例8]アンチモンの溶離に際し、ビ
スマス溶離工程の最終ビスマス濃度を0.02g/l以
下にするため、表8に示す条件にてビスマスの溶離を行
った。表8に見られるように、硫酸20g/l、塩化ナ
トリウム180g/lの濃度の液を用いて溶離すること
で、アンチモン溶出液中のビスマス濃度を0.01g/
l以下にすることができる。また、硫酸20g/l、塩
化ナトリウム120g/lの濃度の液でも、通液BVを
増加させることでビスマス濃度を0.01g/l以下に
することができる。しかしながら、通液BVを増加させ
ることは、大量の液処理が問題となってくる。さらに、
硫酸20g/l、塩化ナトリウム180g/lの濃度の
液を用いても、通液BVを増加させると、アンチモンの
溶離量を増加させるため、通液BVを少なくすることが
必要である。上記条件の溶離操作によって得られるビス
マス濃度が0.01g/l以下の溶出液を用いて、実施
例7と同様に、図2に示すような電解装置を用いて常温
で定電流電解を行った。表9にその結果を示した。表9
に示すように、ビスマス濃度が0.01g/lの溶出液
を用いることで、高電流密度で電解を行っても99.5
%以上の高純度のアンチモンが得られることがわかる。
すなわち、アンチモン溶出液のビスマス濃度を0.01
g/l以下に保持することにより、電解で高純度のアン
チモンが得られ、かつ、電解終液のアンチモン濃度を
0.05g/l以下にまで低下させることができ、この
電解終液をキレート樹脂からの溶離の後半部分に繰り返
すことができる。
【0028】[実施例9]実施例7と同様に、図2に示
すような電解装置を用いて、実施例2のアンチモン溶離
工程によって得られるSb5.1g/l、Bi0.1g
/lの濃度のアンチモン溶出液を用いて、電流密度を3
0A/m2 、電解温度をそれぞれ、10℃、25℃、4
0℃にて電解を行った。表10に、電解温度と電流効率
の関係を示す。表10に見られるように、温度が低いほ
ど電流効率が高いことがわかる。アンチモンの溶出液
は、硫酸濃度が250g/lと高いため、温度上昇によ
って析出したアンチモンの再溶解により、電流効率が低
下したと考えられる。このことから、アンチモンの電解
採取は、40℃以下が適当であり、10℃〜25℃の範
囲であれば、60%〜100%の電流効率が得られる。
【0029】[実施例10]実施例7と同様に、図2に
示すような電解装置を用いて、実施例2のアンチモン溶
離工程で得られるアンチモンの溶出液をカラムから直接
陰極側に給液することを想定し、2段のカスケード電解
を想定して、第1段の電解槽への給液として、Sb2.
08g/l、Bi0.005g/lの濃度の液を用い
て、40℃でアンチモンの定電圧電解を行った。次い
で、第1段で電解採取後、第2段への給液と想定して、
Sb0.89g/l、Bi0.0097g/lの濃度の
液を用いて、第2段の電解を40℃で定電圧で電解を行
った。得られた結果を表11−1および11−2に示し
た。比較例として電流密度30A/m2 、50A/m2
で電解採取を行った結果を合わせて示した。表11−1
および11−2に示すように第1段の電解において、定
電流電解と比較すると、定電圧電解の方が電流効率が高
い。また、第2段の電解を1.8Vで電解を行った場
合、高い電流効率を得られることがわかる。電圧を高く
するに従い、電流効率が低下することから、第2段の電
解は1.8V〜2.0Vでの電解が好ましいことがわか
る。このことから、アンチモンの電解採取では、定電圧
電解を行うことにより、効率的に電解採取できることが
わかる。
【0030】[実施例11]実施例1と同様の操作で、
アンチモン、およびビスマスを吸着させたキレート樹脂
から、硫酸20g/l、塩化ナトリウム180g/lの
溶液を用いて、カラム下方から60℃にて、SV0.5
でBV15まで通液してビスマスの溶離を行った。次い
で、硫酸250g/l、塩化ナトリウム150g/lの
溶液を用いて、カラム下方から60℃にて、SV1.5
でBV15まで通液してアンチモンの溶離を行った。ビ
スマス溶離工程で得られたビスマス溶出液の高濃度側
(Bi濃度1.74g/l、Sb濃度0.07g/l、
通液量BV2〜5)を、実施例7と同様に図2に示すよ
うな電解装置を用いて、40℃で、電流密度20A/m
2 にて電解採取を行った。また、アンチモン溶離工程で
得られたアンチモン溶出液の高濃度側(Sb濃度3.4
3g/l、Bi濃度0.01g/l、通液量BV2〜
6)を同様に、25℃で、連続的に定電圧2.2Vにて
第1段の電解槽で電解採取を行った。さらに、第1段の
定電圧電解槽の排液とアンチモン溶離工程中7〜15B
Vの溶出液とを定電圧1.8Vの第2段の電解槽に連続
的に通液して、電解採取を行った。得られた結果を表1
2−1および12−2に示す。表12−1および12−
2の結果より、ビスマス溶離工程、アンチモン溶離工程
を上記条件で溶離することにより、ビスマス溶離工程の
最終ビスマス濃度を0.02g/l以下にすることがで
き、アンチモン溶離工程の最大ビスマス濃度を0.01
g/l以下にすることができる。また、BV5〜6以降
の溶出液(低濃度側溶液)は、ビスマス溶離工程中のビ
スマスおよびアンチモン溶離工程中のアンチモンの濃度
は0.5g/l以下になっており、そのまま溶離の前半
部分に繰り返すことができる。ビスマス溶離工程で上記
条件にて得られたビスマスの溶出液の高濃度部分を用い
て電解採取を行い、電流効率50%程度で、終液ビスマ
ス濃度を0.02g/l以下まで低下させることができ
る。従って、この電解排液をビスマス溶離の後半部分に
繰り返すことができる。アンチモン溶離工程で上記条件
にて得られたアンチモンの溶出液を連続的に2段の電解
採取を行い、電流効率70%程度で、終液濃度を0.0
2g/l以下まで低下させることができる。したがっ
て、この電解排液もアンチモン溶離の後半部分に繰り返
すことができる。
【0031】[実施例12]図2に示すような電解装置
を用いて、陽極側に200g/lの硫酸溶液、陰極側に
Sb:4.3g/l、Bi:6.6g/lの濃度の硫酸
・塩化ナトリウムの混合溶液を装入して、常温で2.2
Vの定電圧電解を行った。回収物のSbは41.0%、
Biは52.6%、電流効率は57.1%であった。図
6は、通電時間と溶出液中のアンチモン、ビスマスの濃
度の関係を示している。図6に示すように、通電時間の
経過とともにアンチモンとビスマスの濃度が低下してい
ることから、陰極上に電析し、溶液中から金属として回
収されていることが分かる。アンチモンとビスマスの品
位は、電解前の溶液中の濃度によって変化する。従っ
て、溶液中のSb/Bi濃度比が1:1であれば、回収
物のSb/Bi品位も1:1となる。
【0032】 [表1−1] H2SO4 NaCl BV SV 溶離温度 (g/l) (g/l) (℃) 1 30 120 15 3.0 40 2 60 120 16 3.0 40 3 100 180 20 3.0 40 4 30 180 10 3.0 40 5 30 120 10 3.0 50 6 30 120 15 1.5 50 7 30 180 20 1.5 50 8 20 120 10 0.5 60 [表1−2] Sb Bi Sb Bi 吸着量 吸着量 溶離率 溶離率 溶離量比 (g/R−L)(g/R−L) (%) (%) 1 40.04 27.49 5.3 95.4 12.26 2 34.89 24.45 18.0 100.0 3.89 3 33.91 24.92 85.8 99.5 0.85 4 36.65 27.22 15.5 97.1 4.66 5 37.65 25.20 5.8 99.0 11.45 6 33.65 25.78 9.0 91.8 7.84 7 29.53 14.55 23.7 100.0 2.08 8 27.42 18.63 6.0 73.5 8.30
【0033】 [表2−1] H2SO4 NaCl BV SV 溶離温度 (g/l) (g/l) (℃) 11 100 180 10 3.0 40 12 200 60 10 3.0 40 13 200 120 10 3.0 50 14 200 120 15 1.5 50 15 250 150 20 1.5 50 16 250 150 15 1.5 60 [表2−2] ビスマス溶離工程 アンチモン溶離工程 Sb Bi Sb Bi 樹脂残量 樹脂残量 溶離率 溶離率 溶離量比 (g/R−L) (g/R−L) (%) (%) 11 28.62 4.85 77.9 100.0 4.60 12 30.98 0.80 15.4 100.0 5.85 13 35.47 0.24 78.0 100.0 115.30 14 30.63 2.11 100.0 25.1 57.79 15 21.80 0.11 79.0 100.0 191.6 16 25.77 4.93 83.3 16.2 26.8
【0034】 [表3−1] ビスマス溶離工程 (H2SO4 30g/l , NaCl 180g/l) Sb Bi 通液方向 通液温度 溶離率 溶離率 (℃) (%) (%) 上方通液 40 15.5 94.5 上方通液 50 23.7 96.1 下方通液 50 16.3 99.4 下方通液 60 24.0 99.5 [表3−2] 最大 平均 通液方向 Bi濃度 Sb濃度 (g/l) (g/l) 上方通液 12.4 0.20 上方通液 13.0 0.25 下方通液 16.4 0.40 下方通液 21.0 0.65
【0035】 [表4−1] ビスマス溶離工程 (SV1.5) H2SO4 30g/l , NaCl 180g/l Sb Bi 最終 通液方向 通液温度 BV 残留率 残留率 Bi濃度 (℃) (%) (%) (g/l) 上方 50 20 73.8 0.7 0.21 上方 60 10 73.6 30.0 0.65 上方(1) 60 15 82.1 5.3 0.13 下方 50 10 70.6 20.5 0.82 下方 60 15 75.6 0.6 <0.01 下方(2) 60 15 88.7 9.6 0.02 [表4−2] アンチモン溶離工程 (SV1.5) H2SO4 250g/l , NaCl 150g/l Sb Bi 最大 溶離率 溶離率 Bi濃度 通液方向 (%) (3)(%) (g/l) 上方 99.0 100.0 0.15 上方 83.0 16.2 0.82 上方(1) 94.7 100.0 0.15 下方 89.9 32.9 0.98 下方 100.0 100.0 <0.01 下方(2) 96.4 100.0 0.01 (1)Sb0.2g/lの溶出液を繰り返し使用 (2)Sb0.25g/lの溶出液を繰り返し使用 (3)ビスマス溶離工程のBi残留量を100とした時の溶離率
【0036】 [表5−1] 元 液 pH調整後 Sb(g) Bi(g) Sb(g) Bi(g) pH調整有り 0.24 5.53 0.14 5.00 pH調整なし 0.30 2.80 - - [表5−2] 電解採取後 回収物品位(%) Sb(g) Bi(g) Sb Bi O pH調整有り 0.015 0.53 2.7 87.0 6.7 中和澱物 44.6 14.2 18.0 pH調整なし 0.033 0.33 8.5 82.4 3.3
【0037】 [表6−1] 元液 処理後 液処理 pH Sb(g) Bi(g) Sb(g) Bi(g) 回収物(g) 中和 1 1.42 0.0045 0.59 0.0052 0.86 中和 2 1.42 0.0045 0.21 0.0043 1.74 中和 3 1.42 0.0045 0.13 0.0031 2.10 加水分解 1 3.00 0.010 1.86 0.0062 1.20 水+NaOH 2 3.04 0.011 0.87 0.0032 2.28 水+NaOH 3 3.04 0.011 0.16 0.0015 3.01 [表6−2] 回収物品位(%) 液処理 Sb Bi O 中和 72.1 0.04 17.0 中和 73.4 0.13 17.0 中和 74.0 0.33 17.0 加水分解 72.5 0.03 17.0 水+NaOH 73.5 0.15 17.0 水+NaOH 74.0 0.31 17.0
【0038】 [表7] 始液 終液 Bi濃度 電解温度 電流密度 Bi濃度 電流効率 (g/l) (℃) (A/m2) (g/l) (%) 5.10 10 20 0.58 57.5 5.10 10 40 0.42 59.0 5.10 10 50 0.56 67.0 1.74 10 30 0.49 39.0 1.74 25 30 0.33 45.5 1.74 40 30 0.38 44.5
【0039】 [表8] SV 0.5 最終 Sb Sb溶出液 H2SO4 NaC1 BV Bi濃度 溶離量 Bi濃度 (g/l) (g/l) (g/l)(g/R−L) (g/l) 20 120 16 0.034 2.57 0.022 20 120 10 0.12 1.64 0.074 20 180 30 0.0062 9.80 0.0065 20 180 20 0.0054 7.01 0.0064 20 180 15 0.0056 5.09 0.0039
【0040】 [表9] 終液 終液 電流密度 Sb濃度 Bi濃度 Bi含有量 Sb純度 (A/m2) (g/l) (g/l) (%) (%) 20 0.04 0.009 0.42 99.6 30 0.02 0.007 0.23 99.8 50 0.05 0.007 0.22 99.8
【0041】
【0042】 [表11−1] 平均 平均電圧 電流密度 (V) (A/m2) カスケード 定電圧2.2V - 37.5 第1段 定電流30A/m2 2.19 - 定電流50A/m2 2.22 - カスケード 定電圧1.8V - 7.1 第2段 2.0V - 15.1 2.2V - 33.0 2.5V - 65.7 [表11−2] 終液 終液 Sb濃度 Bi濃度 電流効率 (g/l) (g/l) (%) カスケード 定電圧2.2V 0.68 0.033 59.2 第1段 定電流30A/m2 0.38 0.01 34.0 定電流50A/m2 0.33 0.66 37.0 カスケード 定電圧1.8V 0.32 0.009 84.3 第2段 2.0V 0.27 0.007 41.6 2.2V 0.07 0.008 25.4 2.5V 0.04 0.005 13.1
【0043】 [表12−1] 溶 離 工 程 溶離率 低濃度側 最終 最大 Sb Bi Sb濃度 Bi濃度 Bi濃度 Bi濃度 (%) (%) (g/l) (g/l) (g/l) (g/l) 第1段 16.1 99.6 0.40 0.10 0.02 - 第2段 81.2 0.4 0.35 0.003 - 0.01 [表12−2] 電 解 採 取 工 程 終液濃度 Sb Bi 電流効率 (g/l) (g/l) (%) 第1段 0.0033 0.0054 50.9 第2段 0.02 0.007 69.6
【0044】
【発明の効果】本発明により、銅電解液中のアンチモ
ン、ビスマスを吸着したキレート樹脂から、硫酸・塩化
ナトリウムの混合液により、アンチモン、ビスマスを選
択的に回収し、それぞれ、電解により金属で回収でき
る。また、電解前のpH調整により、回収アンチモン、
ビスマスの純度を向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアンチモン、ビスマスの回収工程
のフローチャートである。
【図2】本発明の実施に使用する電解槽の概略説明図で
ある。
【図3】硫酸30%g/l、塩化ナトリウム180g/
lの混合溶液を用いて、カラム上方から40℃にて通液
した場合と50℃にて通液した場合のビスマス溶出液の
通液量BVと濃度の関係をプロットしたグラフである。
【図4】硫酸30g/l、塩化ナトリウム180g/l
の混合溶液を用いて、カラム上方から50℃にて通液し
た場合と60℃にて通液した場合のビスマス溶出液の通
液量BVと濃度の関係をプロットしたグラフである。
【図5】硫酸30g/l、塩化ナトリウム180g/l
の混合溶液を用いて、カラム上方から50℃と60℃に
てそれぞれ通液してビスマスを溶離後、硫酸250g/
l、塩化ナトリウム150g/lの混合溶液を用いて、
カラム下方から50℃にて通液した場合と60℃にて通
液した場合のアンチモン溶出液の通液量BVと濃度の関
係をプロットしたグラフである。
【図6】通電時間と溶出液中のアンチモン、ビスマスの
濃度の関係を示すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【発明の実施の形態】図1に本発明による工程を示し
た。本発明にかかわる工程は、銅電解工程1、電解液還
元工程2、キレート樹脂吸着工程3、ビスマス電解採取
工程4、アンチモン電解採取工程5からなる。銅電解工
程1から出た銅電解廃液11は、電解液還元工程2で還
元後電解液となり、キレート樹脂吸着工程3においてキ
レート樹脂塔内でビスマス・アンチモンを吸着させ、ア
ンチモン・ビスマスを除去された吸着後電解液13は銅
電解工程1へ戻される。アンチモン・ビスマスを吸着し
たキレート樹脂塔では、キレート樹脂を水洗後、まずビ
スマスを溶離する。このとき、一態様では、ビスマスが
高濃度の溶出液16は、ビスマス電解採取工程4に送ら
れ、ビスマスが低濃度の溶出液14はキレート樹脂塔へ
戻される。ビスマス溶離を終了した後、アンチモンの溶
離を行う。このときも、一態様では、アンチモンが高濃
度の溶出液17はアンチモン電解工程5に送られ、アン
チモンが低濃度の溶出液15はキレート樹脂塔へ戻され
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】ビスマス溶出液をpH1まで中和するのが
好ましいが、これは、ビスマス溶出液の中和により、ア
ンチモンを除去してから電解採取することで、回収ビス
マス中のアンチモン含有量を低下させるためである。分
離が完全でなく、少量のアンチモンの混入があると、ビ
スマス溶出液からのビスマス回収工程において、そのア
ンチモンが不純物となる。ビスマスの溶離操作におい
て、ビスマスの濃度が0.02g/l以下になるまで溶
離するのは、この濃度まで溶離すると、その後のアンチ
モンの回収工程において、ビスマスが問題とならないか
らである。ビスマスの溶離が不十分だと、次のアンチモ
ンの溶離の際に、残ったビスマスが溶離され、アンチモ
ン溶出液中のビスマス濃度が高くなってしまう。ビスマ
スの選択溶離のための、通液量はBV15程度である。
ビスマスの選択溶離において、通液量がBV6〜7以降
すなわち、ビスマス溶出液中のビスマス濃度が0.5g
/l以下、Sb/Bi重量比が1以下のとき、この溶出
液は、そのままキレート樹脂吸着工程3に繰り返すこと
により、アンチモンの溶出は、さらに抑制されることに
なる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】[実施例3]実施例1と同様の操作にてア
ンチモンおよびビスマスを樹脂に吸着させた後、実施例
1の溶離操作において、カラム下方から硫酸30g/
l、塩化ナトリウム180g/lの濃度の溶離液を用い
て、SV1.5にてBV15まで通液してビスマスを溶
離した。図3は40℃、50℃にてカラム上方から通液
して得られた溶離曲線(比較例)を示している。図4
は、50℃、60℃にてカラム下方から通液して得られ
た溶離曲線を示している。表3−1および3−2に各条
件でのアンチモンおよびビスマスの溶離率を示す。図3
に見られるように、50℃にてカラム上方から通液した
場合と、40℃にて通液した場合では、曲線の高濃度部
分は約5%程度の濃度向上が見られるだけであるが、濃
度ピークの位置が50℃にて通液した場合に早くでてい
る。従って、高温で通液すれば、効率的に溶離できるこ
とがわかる。表3−1および3−2に見られるように、
カラム下方から通液した場合、カラム上方から通液した
場合に比べて、曲線の高濃度部分に約25%の濃度向上
が見られる。また、BV6の通液量でビスマスはほとん
ど溶離されており、カラム下方からの通液により、カラ
ム上方から通液する場合より、通液量を少なくでき、効
率的に溶離できることがわかる。図4に見られるよう
に、60℃にて通液した場合、50℃にて通液した場合
より、曲線の高濃度部分に約30%の濃度向上が見られ
る。このことから、60℃にて通液することで効率的に
溶離できることがわかる。表3−1よび3−2の結果か
ら、各条件ともビスマスの溶離率にほとんど差は見られ
ないが、条件によれば、高濃度側のビスマス溶出液中の
ビスマス濃度をさらに高くすることで、後述の電解採取
を効率的に行うことができる。通液温度は、高温の方が
好ましく、40℃以上の温度が適当と考えられるが、溶
離液の昇温にかかわる経済性や、容器の材質から考慮す
れば、その限界がある。また、カラム下方から高温で通
液すると、アンチモンの溶離率が増加する傾向が見られ
る。しかしながら、ビスマスの最大濃度から見ると、カ
ラム下方から、60℃にて通液した場合が、最もビスマ
ス濃度が高く、少ないベッドボリュームで溶離できるこ
とがわかる。したがって、カラムへの通液量を少なくす
ることで、アンチモンの溶離率を低下できると考えられ
る。これらの結果から、ビスマスの溶離操作は、カラム
下方から40℃〜60℃の範囲でBV10程度の通液量
で行うことで、効率的な溶離ができることがわかる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】[実施例4]実施例3と同様の操作でビス
マスを溶離した後、硫酸濃度を250g/l、塩化ナト
リウム濃度を150g/lの濃度の溶液をカラムに通
液してアンチモンを溶離した。図5は、50℃、60℃
にてカラム下方から通液して得られた溶離曲線を示して
いる。表4−1および4−2は、各条件でのアンチモン
およびビスマスの溶離率を示す。図5に見られるよう
に、カラム下方から60℃にて通液した場合、曲線の高
濃度部分に50℃にて通液した場合より、約10%の濃
度向上が見られる。表4−1および4−2の結果から
も、ビスマスの溶離と同様に40℃〜60℃の範囲内で
通液することで、効率的に溶離できることがわかる。ま
た、ビスマスの溶離工程でビスマスが樹脂中に2〜5g
/R−1程度残っていると、その次のアンチモンの溶離
工程で溶離され、その選択性を損ねることがわかる。こ
のことから、ビスマス溶離工程でビスマスの最終濃度が
0.02g/l以下まで溶離すれば、アンチモン溶離工
程におけるアンチモンの溶出液中のビスマス濃度は、
0.01g/l以下になることがわかる。さらに、ビス
マスの溶離工程で、溶離後半部、すなわち通液量がBV
8以降の溶液(Bi<0.5g/l、Sb:0.20〜
0.25g/lを含有する溶液)を溶離前半部分に繰り
返し、一方、溶離後半部分には、アンチモン、ビスマス
とも0.02g/l以下の濃度の溶液を使用した場合、
ビスマスの溶離工程におけるアンチモンの残留率が上昇
することがわかる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】硫酸30g/l、塩化ナトリウム180g/l
の混合溶液を用いて、カラム方から50℃にて通液し
た場合と60℃にて通液した場合のビスマス溶出液の通
液量BVと濃度の関係をプロットしたグラフである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】硫酸30g/l、塩化ナトリウム180g/l
の混合溶液を用いて、カラム方から50℃と60℃に
てそれぞれ通液してビスマスを溶離後、硫酸250g/
l、塩化ナトリウム150g/lの混合溶液を用いて、
カラム下方から50℃にて通液した場合と60℃にて通
液した場合のアンチモン溶出液の通液量BVと濃度の関
係をプロットしたグラフである。

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程より構成されることを特徴とす
    る銅電解液からのアンチモン、ビスマスの選択的回収方
    法。 (1)銅電解液を、金属銅と接触させることにより銅電
    解液中に溶存する3価の鉄イオンを2価に還元する鉄還
    元工程。 (2)(1)の工程より得られた還元溶液をキレート樹
    脂と接触させ、電解液中のアンチモン、ビスマスをキレ
    ート樹脂に吸着させる吸着工程。 (3)キレート樹脂を温水で洗浄する洗浄工程。 (4)硫酸を20〜30g/l、塩酸ナトリウムを12
    0〜180g/lの割合で含む40〜60℃のビスマス
    溶離液を洗浄後のキレート樹脂に接触させ、ビスマスを
    溶離させてビスマス溶出液を得るビスマス溶離工程。 (5)硫酸を100〜250g/l、塩化ナトリウムを
    120〜180g/lの割合で含む40〜60℃のアン
    チモン溶離液をビスマス溶離後のキレート樹脂に接触さ
    せ、アンチモンを溶離させアンチモン溶出液を得るアン
    チモン溶離工程。
  2. 【請求項2】 銅電解液とキレート樹脂とを接触させる
    に際し、カラムを用いることを特徴とする請求項1に記
    載の選択的回収方法。
  3. 【請求項3】 アンチモン溶離液をカラム下部から通液
    してアンチモンを溶離する請求項1または2に記載の選
    択的回収方法。
  4. 【請求項4】 ビスマス溶離液をカラム下部から通液し
    てビスマスを溶離する請求項1または2に記載の選択的
    回収方法。
  5. 【請求項5】 ビスマス溶離工程で得られるビスマス溶
    出液中のビスマス濃度が0.5g/l以下となったビス
    マス溶出液をビスマス溶離工程のビスマス溶離工程のビ
    スマス溶離液として使用する請求項1〜3記載のいずれ
    かの選択的回収方法。
  6. 【請求項6】 ビスマス電解採取工程で得られるビスマ
    ス濃度が0.02g/l以下となった電解排液をビスマ
    ス溶離工程の後半のビスマス溶離液として使用する請求
    項1〜4記載のいずれかの選択的回収方法。
  7. 【請求項7】 アンチモン濃度が、0.02g/l以下
    となった排液をビスマス溶離工程および/またはアンチ
    モン溶離工程の後半部分に溶離液として返すことを特徴
    とする請求項1〜5記載のいずれかの分離方法。
  8. 【請求項8】 溶出液中のビスマス濃度が0.02g/
    l以下となるまで溶離液をカラムに流すことを特徴とす
    る請求項1〜6記載のいずれかの選択的回収方法。
  9. 【請求項9】 陽極と陰極の間を陽イオン交換膜で隔
    て、請求項1より得られたビスマス溶出液をビスマス電
    解液として陰極側に入れ、陽極側を硫酸浴にし、ビスマ
    ス電解液中のビスマスを金属ビスマスとして電解採取す
    る選択的回収方法。
  10. 【請求項10】 ビスマス濃度が0.5g/l以上のビ
    スマス溶出液をビスマス電解液として用い、20〜50
    A/m2 の定電流電解にて、電解液中のビスマス濃度が
    0.02g/l以下となるまで電解採取を行う請求項8
    に記載の選択的回収方法。
  11. 【請求項11】 陽極と陰極の間を陽イオン交換膜で隔
    て、請求項1より得られたアンチモン溶出液をアンチモ
    ン電解液として陰極側に入れ、陽極側を硫酸浴にし、ア
    ンチモン電解液中のアンチモンを金属アンチモンとして
    電解採取する選択的回収方法。
  12. 【請求項12】 アンチモン電解採取工程での電解液温
    を40℃以下とする請求項11に記載の選択的回収方
    法。
  13. 【請求項13】 槽電圧を2.2〜2.5Vに保持する
    第1段の電解工程と、槽電圧を1.8〜2.0Vに保持
    する第2段の電解工程とからなる請求項11〜12に記
    載の選択的回収方法。
  14. 【請求項14】 Sb/Bi濃度比が20以上のアンチ
    モン溶出液を第1段の電解工程に装入してアンチモンを
    電解採取し、廃液を第2段の電解工程に装入する請求項
    13に記載の選択的回収方法。
  15. 【請求項15】 Sb/Bi濃度比が20未満のアンチ
    モン溶出液を第2段の電解工程に装入する請求項14に
    記載の選択的回収方法。
  16. 【請求項16】 次の各工程からなる銅電解液中アンチ
    モン、ビスマスの選択的回収方法。 (1)銅電解液をカラムに充填された金属銅に接触さ
    せ、銅電解液中に溶存する3価の鉄イオンを2価に還元
    する工程。 (2)前記(1)項によって得られた銅電解液を、カラ
    ムに充填されたキレート樹脂と接触させて銅電解液中の
    アンチモン、ビスマスをキレート樹脂に吸着させ、その
    後、カラム中のキレート樹脂を温水でカラム上部から通
    液して洗浄する工程。 (3)前記(2)項によってアンチモン、ビスマスを吸
    着させたキレート樹脂から、硫酸20〜30g/l、塩
    化ナトリウム120〜180g/lの溶離液を用いて4
    0〜60℃にて通液し、ビスマスを選択的に溶離する工
    程。 (4)前記(3)項においてビスマスを溶離した後、硫
    酸100〜250g/l、塩化ナトリウム120〜18
    0g/lの溶離液を用いて40〜60℃にて通液し、キ
    レート樹脂に残ったアンチモンを溶離する選択的回収方
    法。
  17. 【請求項17】 硫酸と塩化ナトリウムを含む溶離液を
    カラム下部から通液してビスマスを溶離する請求項16
    に記載の選択的回収方法。
  18. 【請求項18】 硫酸と塩化ナトリウムを含む溶離液を
    カラム下部から通液してアンチモンを溶離する請求項1
    6に記載の選択的回収方法。
  19. 【請求項19】 請求項16によって得られたビスマス
    溶出液あるいはアンチモン溶出液を電解採取により、金
    属ビスマスあるいは金属アンチモンとして回収するに当
    たり、陽極と陰極の間を陽イオン交換膜で隔て、陰極側
    を硫酸浴にして、電解を行う選択的回収方法。
  20. 【請求項20】 請求項16において、溶出液中のビス
    マス濃度が0.5/l以下の溶出液をそのまま溶離液と
    して溶離の前半部分に繰り返す選択的回収方法。
  21. 【請求項21】 請求項16で得られる電解排液中のビ
    スマス濃度が、0.02g/l以下となったとき、この
    電解排液を請求項16で使用する溶離液として溶離の後
    半部分に繰り返すことを特徴とする選択的回収方法。
  22. 【請求項22】 請求項16で得られる電解排液中のア
    ンチモン濃度が、0.02g/l以下なったとき、この
    電解排液を請求項16のビスマスおよびアンチモン溶離
    の後半部分に溶離液として返すことを特徴とする選択的
    回収方法。
  23. 【請求項23】 請求項16において、ビスマス濃度が
    0.02g/l以下となるまで溶離液をカラムに流し、
    請求項16によって得られるアンチモン溶出液中のビス
    マス濃度を0.01g/l以下にする選択的回収方法。
  24. 【請求項24】 請求項16において得られるビスマス
    溶出液中のビスマス濃度が0.5g/l以上のとき、こ
    のビスマス溶出液を20〜50A/m2 の定電流電解に
    て、電解液中のビスマス濃度が0.02g/l以下とな
    るまで電解採取を行う回収方法。
  25. 【請求項25】 請求項23によって得られるアンチモ
    ンの溶出液を請求項19の電解装置に連続的に給液して
    アンチモンを電解採取する選択的回収方法。
  26. 【請求項26】 請求項24の電解採取に際し、液温を
    40℃以下、好ましくは20℃以下で電解することによ
    り、アンチモンの再溶解を低減させる回収方法。
  27. 【請求項27】 請求項24の電解採取に際し、槽電圧
    を2.2〜2.5Vに保持する第1段の電解槽と、槽電
    圧を1.8〜2.0Vに保持する第2段の電解槽からな
    る2段の電解槽を使用してアンチモンを電解採取する選
    択的回収方法。
  28. 【請求項28】 請求項23で発生する溶出液の液中の
    Sb/Bi濃度比が20以上の液を請求項25の第1段
    の電解槽に装入してアンチモンを電解採取し、廃液を第
    2段の電解槽に装入する選択的回収方法。
  29. 【請求項29】 請求項23で発生する溶出液の液中の
    Sb/Bi濃度比が20以下の液を第2段の電解槽に装
    入し、電解採取する選択的回収方法。
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