JP2004356257A - p型III族窒化物半導体の製造方法 - Google Patents

p型III族窒化物半導体の製造方法 Download PDF

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Yoshitaka Nakano
由崇 中野
Toru Kachi
徹 加地
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Abstract

【課題】イオン注入したp型不純物の活性化率を高くして、キャリア濃度の高いp型III族窒化物半導体を実現する。
【解決手段】本発明のp型III族窒化物半導体の製造方法は、III族窒化物半導体に、p型不純物としてベリリウム、マグネシウム、カルシウムの中から選択される少なくとも1つをイオン注入する工程と、前記III族窒化物半導体に前記イオン注入したp型不純物を活性化熱処理する工程と、前記III族窒化物半導体のうち前記イオン注入した領域に水素を導入する工程を有する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、p型III族窒化物半導体の製造方法と、p型III族窒化物半導体を有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光学デバイスや電子デバイス等の材料として、III族窒化物半導体が用いられている。III族窒化物半導体の一例である窒化ガリウム(GaN)は、バンドギャップが広いため、従来のものではアクセプタ準位が深かった。この結果、室温でのp型不純物の活性化率が約1%と低かった。活性化率が約1%であると、例えば約1020cm−3のp型不純物をドーピングしても、最高で約1018cm−3のキャリア濃度しか得られない。現実には、これよりもさらに低いキャリア濃度しか得られなかった。
【0003】
また、p型不純物のドーピング量を増加させても、そのドーピング量が所定量以上になると、キャリア濃度が逆に減少してしまう。よって、p型不純物のドーピング量を増加させても、得られるキャリア濃度には上限がある。このような背景から、ドーピングしたp型不純物の活性化率を高くすることができる技術の実現が望まれていた。このためには、アクセプタ準位を浅くすることが望まれる。
【0004】
ところで、p型III族窒化物半導体を製造する方法には、p型III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて製造する方法がある。しかし、この方法は、例えばデバイス(例えばトランジスタ)の表面部に部分的にp型領域(例えばエミッタ領域)を形成する場合には基本的には適さない。この場合は、p型不純物をイオン注入することでp型III族窒化物半導体を製造する方法が適している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオン注入したp型不純物の活性化率を高くして、キャリア濃度の高いp型III族窒化物半導体を実現することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明の1つの態様のp型III族窒化物半導体の製造方法は、III族窒化物半導体に、p型不純物としてベリリウム、マグネシウム、カルシウムの中から選択される少なくとも1つをイオン注入する工程と、前記III族窒化物半導体に前記イオン注入したp型不純物を活性化熱処理する工程と、前記III族窒化物半導体のうち前記イオン注入した領域に水素を導入する工程を有する。なお、上記した水素を導入する工程は、上記した活性化熱処理工程の前に行っても、後に行ってもよい。
【0007】
上記製造方法のような水素導入処理を行うと、前記p型不純物と水素の複合体によるアクセプタ準位が形成される。このアクセプタ準位は、前記p型不純物のみによって形成されるアクセプタ準位に比べて浅い。このように、上記製造方法のような水素導入処理を行うと、浅いアクセプタ準位を形成できるので、イオン注入したp型不純物の活性化率を高くすることができる。従って、上記製造方法のように、上記した活性化熱処理工程に加えて、上記した水素を導入する工程を行うと、従来は実現が困難であったキャリア濃度の高いp型III族窒化物半導体を実現できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態) 本発明の第1実施形態のp型III族窒化物半導体を有する半導体装置の製造方法を説明する。まず、図1に示すように、基板20上にIII族窒化物半導体22をエピタキシャル成長させる。基板20の材料としては、サファイア(Al)、炭化シリコン(SiC)、NGO(NdGaOペロブスカイト)等のIII族窒化物半導体22をヘテロエピタキシャル成長できる材料が挙げられる。また、基板20は、III族窒化物半導体系の材料からなる自立基板であってもよい。III族窒化物半導体22としては、種々の構成のものが含まれ、AlGaIn1−x−yN(x≧0、y≧0、x+y≦1)で定義されるものが含まれる。基板20上へのIII族窒化物半導体22の成長は、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)等の種々の方法によって行えばよい。
【0009】
次に、成長させたIII族窒化物半導体22に、p型不純物として、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)の中から選択される少なくとも1つを、所定の加速エネルギーで、所定のドーズ量イオン注入する。このイオン注入には、イオン照射と呼ばれるものも含まれる。なお、イオン注入する前に、III族窒化物半導体22のうちイオン注入が不要な領域は、図2に示すように、イオンが通過しにくいマスク材(例えばNi、Al等)26で予め覆っておくことが好ましい。この結果、図2に示すイオン注入された領域24aはアモルファス(非晶質)に近い状態となる。Be、Mg、Caの中でも、特にBeをイオン注入することが好ましい。Beをイオン注入した場合、後述する水素導入処理を行うことで、非常に浅いアクセプタ準位を形成できる。また、Beは軽いので、Beをイオン注入する対象であるIII族窒化物半導体22に与えるダメージを小さくすることができる。
【0010】
また、前記p型不純物(Be、Mg、Caの少なくとも1つ)に加えて、窒素(N)、酸素(O)、リン(P)、炭素(C)の中から選択される少なくとも1つをイオン注入することが好ましい。この態様によると、p型不純物であるBe、Mg、Caを、III族元素(例えばGa)の格子位置(格子サイト)に置換し易くすることができる。言い換えると、イオン注入したp型不純物のサイト制御を効果的に行うことができる。これにより、特性を安定化させることができる。この中でも、Beイオンと酸素イオン、Mgイオンと酸素イオン、Caイオンと酸素イオンのいずれかの組合せをイオン注入すると、より効果的である。
【0011】
次に、III族窒化物半導体22にイオン注入したp型不純物(Be、Mg、Caの少なくとも1つ)を活性化するために、所定温度で所定時間、熱処理を行う。この結果、イオン注入したp型不純物が活性化される。図3において、符号24bで示す領域をp型不純物が活性化された領域とする。活性化熱処理の温度は、975℃以上で1075℃以下(より好ましくは1000℃以上で1050℃以下)であることが好ましい。この温度範囲で活性化熱処理すると、イオン注入したp型不純物を効果的に活性化させることができる。活性化熱処理の時間は、1分以上で20分以下(より好ましくは3分以上で10分以下)であることが好ましい。活性化熱処理する雰囲気に特に限定はないが、例えば窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガス中で行うとよい。
【0012】
また、この活性化熱処理は、図3に示すように、III族窒化物半導体22を保護膜28で覆った状態で行うことが好ましい。保護膜28としては、シリコン酸化膜(SiO膜)が好ましい。活性化熱処理は比較的高温で行うことが要求されるが、このように保護膜28で覆った状態で熱処理を行うことで、その熱がIII族窒化物半導体に悪影響を及ぼすことを抑制できる。例えば、III族窒化物半導体22から窒素が抜けて外部に逃げてしまい、III族窒化物半導体22の特性が劣化することを抑制できる。
【0013】
次に、III族窒化物半導体22のイオン注入した領域24(活性化領域24b)に水素を導入する処理を行う。この処理は、水素パッシベーション処理ともいえる。水素導入処理は、III族窒化物半導体22の少なくともイオン注入領域24を覆う保護膜28は取除き、イオン注入領域24を露出させた状態で行うことが好ましい。但し、III族窒化物半導体22のうち水素の導入が不要な領域は、図4に示すように、水素が通過しにくいマスク材(例えばSiO膜等)30で予め覆っておくことが好ましい。この結果、イオン注入した領域24(図3の活性化領域24b)に水素が導入される。図4において、符号24cで示す領域を水素が導入された領域とする。
【0014】
このように水素を導入するためには、III族窒化物半導体22を、水素原子を構成要素として含む還元性のガス雰囲気中に配置した状態で、所定温度で所定時間、熱処理を行うことが好ましい。具体的には、アンモニア(NH)ガス中や、比較的低濃度の水素ガス中で熱処理を行うことが好ましい。この熱処理の温度は、800℃以上で950℃以下(より好ましくは850℃以上で925℃以下)であることが好ましい。この温度範囲で熱処理すると、その熱がIII族窒化物半導体に悪影響を及ぼすことを抑えながら、イオン注入領域24に水素を効率的に導入できる。水素を導入する工程での熱処理の温度は、活性化熱処理する工程での温度よりも低いことが好ましい。この態様によると、活性化熱処理する工程ではイオン注入したp型不純物を効果的に活性化できる一方、水素を導入する工程ではその工程での熱処理の熱がIII族窒化物半導体に悪影響を及ぼすことを抑制できる。熱処理の時間は、10分以上で90分以下(より好ましくは30分以上で70分以下)であることが好ましい。
【0015】
また、III族窒化物半導体22を、プラズマ化した水素を構成要素として含むガス雰囲気中に配置することで、イオン注入領域24に水素を導入するようにしてもよい。この場合は、特に熱処理を行わなくてもよいという利点がある。
【0016】
上記のような水素導入処理を行うと、p型不純物と水素の複合体によるアクセプタ準位が形成される。このアクセプタ準位は、p型不純物のみによって形成されるアクセプタ準位に比べて浅い。このように、上記のような水素導入処理を行うと、浅いアクセプタ準位を形成できるので、イオン注入したp型不純物の活性化率を高くすることができる。従って、上記製造方法によると、従来は実現が困難であったキャリア濃度の高いp型III族窒化物半導体24cを実現できる。言い換えると、p型ドーピング特性の向上したp型III族窒化物半導体24cを実現できる。
【0017】
次に、図5に示すように、p型領域である水素導入領域24c(イオン注入領域24)を含むIII族窒化物半導体22にデバイス領域32を形成する。例えば、p型領域24cをエミッタ領域とするトランジスタや、p型領域24cをソース領域とするMOSFETを形成する。以上により、第1実施形態の半導体装置が製造される。
【0018】
このように、高キャリア濃度のp型領域24cを有するIII族窒化物半導体22を使用してデバイスを形成することで、デバイスの各種特性の向上が期待できる。例えば、電子デバイス(パワーデバイス、高周波デバイス、例えばMOSFET等)では、トランジスタ特性や、耐圧特性や、オン抵抗特性の向上等が期待できる。また、光学デバイス(発光ダイオードや半導体レーザ等)では、発光特性や寿命特性の向上等が期待できる。
【0019】
(第2実施形態) 本発明の第2実施形態のp型III族窒化物半導体を有する半導体装置の製造方法を説明する。第2実施形態の製造方法は、図1〜図4を参照して説明した工程までは、第1実施形態と同様である。図4に示す工程の後、図6に示すように、III族窒化物半導体22上に、さらにIII族窒化物半導体34をMOCVD法等によってエピタキシャル成長させる。次に、図7に示すように、p型領域24cを含む下側のIII族窒化物半導体22と、上側のIII族窒化物半導体34にデバイス領域36を形成する。以上により、第2実施形態の半導体装置が製造される。
【0020】
【実施例】次に、本発明の実施例のp型GaN領域の製造方法を説明する。この実施例は、第1実施形態の図1〜図4を参照して説明した部分に対応する。
まず、図1に示すように、Al基板20上に、MOCVD法によって、アンドープのGaN膜22を2μm成長させた(ヘテロエピタキシャル成長)。この結果得られたものをサンプル1とする。サンプル1は、図1の状態に対応する。
【0021】
次に、図2に示すように、成長させたIII族窒化物半導体22に、Beのみをイオン注入した。この結果得られたものをサンプル2Aとする。また、成長させたIII族窒化物半導体22に、BeとOをイオン注入した。この結果得られたものをサンプル2Bとする。サンプル2Aと2Bは、図2の状態に対応する。なお、このイオン注入は、GaN膜22のうちイオン注入が不要な領域をマスク材(Ni)26で覆った状態で行った。Beのみイオン注入する場合も、BeとOをイオン注入する場合も、Beについては加速エネルギーを異ならせて3回イオン注入した。また、BeとOをイオン注入する場合に、Oについては加速エネルギーを異ならせて6回イオン注入した。このように同じ元素を複数回に分けてイオン注入したのは、所望の濃度分布が得られるようにするためである。具体的には、各元素について、表面から0.35μmの位置のドープ量が2×1019cm−3となるようにイオン注入した。
【0022】
次に、サンプル2Aと2Bに注入されたイオンの活性化熱処理を1050℃で5分間、窒素ガス中で行った。サンプル2A、2Bを活性化熱処理したものをそれぞれサンプル3A、3Bとする。この熱処理は、図3に示すように、III族窒化物半導体22の表面全体をSiO膜28で覆った状態で行った。サンプル3A、3Bは、図3の状態に対応する。
【0023】
図8は、サンプル2A、2B、3A、3BのBeの濃度分布を示す。図9は、サンプル2B、3Bの酸素(O)の濃度分布を示す。図8と図9の縦軸はそれぞれBeと酸素の濃度を示し、横軸はGaN膜22の表面からの深さを示す。図8と図9の濃度分布はSIMS分析(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次質量イオン分析)により得たものである。
【0024】
図8と図9の点線と実線で示すグラフは、TRIM(TRansport of Ion in Matter)によるシミュレーションで求めた計算値である。TRIMとは、注入したイオンの分布を計算するためのソフトである。点線で示す各グラフは、複数回に分けてイオン注入したときの各回のイオンの分布を示す。実線で示すグラフは、点線で示すグラフ群を合計したものである。図8のサンプル2A、2B、3A、3Bと、図9のサンプル2B、3Bのいずれの濃度分布も、GaN膜22の表面からの深さが浅い領域では、TRIMによるシミュレーションで求めた計算値と概ね一致していることがわかる。
【0025】
図10は、サンプル3Aと3Bについて、イオン注入領域のシートキャリア濃度と熱処理温度の関係を示す。このシートキャリア濃度は、電子が価電子帯からアクセプタに移動することで価電子帯に生じたホールの量を示す。図10の下側のグラフはサンプル3Aのものであり、上側のグラフはサンプル3Bのものである。なお、図10のシートキャリア濃度は、活性化熱処理後にサンプルを設置した空間の温度(以下では「設置空間温度」という)が、室温(約20℃程度)の場合の濃度である。図10の点線Mで囲った範囲(活性化熱処理の温度が975℃以上で1075℃以下の範囲)はp型化していると推定される範囲である。熱処理の温度が1000℃と1050℃のシートキャリア濃度は実験で求められており、p型化していることが確認されている。よって、少なくとも1000℃以上1050℃以下の範囲では確実にp型化しているといえる。また、サンプル3Aよりもサンプル3Bの方が、シートキャリア濃度が高くなっており、よりp型化していることがわかる。なお、熱処理の温度が950℃と1100℃の場合は、n型化していた。
【0026】
本実施例では、サンプルのアクセプタ準位の深さを調べるためにアドミッタンス法を用いた。アドミッタンス法とは、調査対象(サンプル)に角周波数ω(周波数f)の微小なAC電圧を印加したときに得られるACコンダクタンスG(ω)をωで割ったものG(ω)/ω(アドミッタンス・シグナル)と、設置空間温度Tを利用して、アクセプタ準位の深さを求める手法である。本実施例では、サンプルに金属電極を接続してショットキー接合を形成した状態で、その金属電極からAC電圧を印加した。
【0027】
図11は、サンプル3Aと3Bについて、活性化熱処理の温度を1050℃とした場合のアドミッタンス・シグナルG/ωと設置空間温度Tの関係を示す。なお、設置空間温度Tの単位はKとしている。図11の上段がサンプル3Aのものであり、下段がサンプル3Bのものである。本実施例では、印加するAC電圧の周波数fを1〜10kHzの範囲で約1kHzずつ増加させた場合のそれぞれのアドミッタンス・シグナルG/ωを求めた。
【0028】
図11の上段(サンプル3A)と下段(サンプル3B)のグラフの両方ともに、アドミッタンス・シグナルG/ωにピーク値がみられる。図11の上段と下段の符号Pは、一例として周波数が約1kHzの場合のピーク値を指している。このピーク値自体は、p型不純物の濃度と相関関係がある。また、アドミッタンス・シグナルG/ωがピーク値となる設置空間温度Tが低いほど、アクセプタ準位が浅いことを示す。図11の上段よりも下段の方が、アドミッタンス・シグナルG/ωのピーク値となる設置空間温度Tが低くなっている。このことは、サンプル3Aよりもサンプル3Bの方が、アクセプタ準位が浅いことを示す。
【0029】
図12は、ホールの熱放出速度eのアレニウス・プロットを示す。これは、図11のグラフに基づいて求めたものである。具体的には、例えば周波数fの1つ(fとする)がピーク値となる設置空間温度Tを求める。これをTとする。ホールの熱放出速度eと周波数fの間には、e=2πf/1.98という関係がある。よって、この関係を利用して図12の縦軸e/T =(2πf/1.98)/T を求める。また、横軸の1000/Tを求める。これにより、周波数fにおける図12の縦軸の値と横軸の値が求まるので、この点をプロットする。この作業を各周波数について行うことで、図12に示すような点群をプロットできる。そして、この点群を近似的に結ぶ直線を求める。この直線の傾きはアクセプタ準位(活性化エネルギー)を示す。図12に示す直線の傾きから、アクセプタ準位は、サンプル3Aについては約240meVであり、サンプル3Bについては約163meVという結果が得られた。このことから、サンプル3Aに比べてサンプル3Bの方がアクセプタ準位がだいぶ浅くなっていることがわかる。
【0030】
次に、アンモニア(NH)ガス中にサンプル3Bを配置した状態で、900℃で60分間の熱処理(水素導入処理)を行った。この熱処理は、図3に示すSiO膜28を取除いた状態で行った。但し、この熱処理は、GaN膜22のうち水素の導入が不要な領域をマスク材(SiO)30で覆った状態で行った。この結果得られたものをサンプル4Bとする。サンプル4Bは、図4の状態に対応する。
【0031】
図13は、サンプル4Bの水素の濃度分布を示す。また、図13には、先に図8に示したサンプル3BのBeの濃度分布も再度示す。図13の濃度分布はSIMS分析により得たものである。図13の範囲Wに示すように、GaN膜22の表面から比較的浅い領域であって、Beが高濃度にイオン注入された領域に、水素も高濃度に導入されていることがわかる。
【0032】
図14は、サンプル4Bのアドミッタンス・シグナルと設置空間温度の関係を示す。図14のグラフには、図11の下段(サンプル3B)のグラフに形成されていたようなピークP1に加えて、より設置空間温度が低い側にもピークP2が形成されている。このような、より設置空間温度が低い側のピークの存在は、サンプル4Bの場合には、新たに浅いアクセプタ準位が形成されたことを示している。先に述べたように、アドミッタンス・シグナルがピークとなる設置空間温度が低くなるほど、アクセプタ準位が浅くなるからである。より設置空間温度が低い側のピークは、低く緩やかなピークであるため、一見するとあまり意味がないもののようにみえるが、実際には、このようなピークが形成されたことは、非常に浅いアクセプタ準位が形成されたことを示している。
なお、図14において、設置空間温度が高い側でアドミッタンス・シグナルが非常に大きくなっているのは、ショットキー接合部で漏れ電流が生じていることを示している。
【0033】
図14のグラフから、アレニウス・プロット(図12参照)を求め、このアレニウス・プロットからサンプル4Bで新たに形成されたアクセプタ準位を求めたとすると、75〜110meVであると推定される。この新たに形成されたアクセプタ準位の深さは、GaNのアクセプタ準位としては非常に浅い。このため、p型不純物の活性化率を大幅に高くすることができる。従って、非常にキャリア濃度の高いp型III族窒化物半導体を実現できる。
【0034】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記実施形態では、活性化熱処理の後に、水素を導入する処理を行う例を示したが、水素を導入する処理の後に、活性化熱処理を行うようにしてもよい。
【0035】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の半導体装置の製造方法の説明図を示す(1)。
【図2】本発明の第1実施形態の半導体装置の製造方法の説明図を示す(2)。
【図3】本発明の第1実施形態の半導体装置の製造方法の説明図を示す(3)。
【図4】本発明の第1実施形態の半導体装置の製造方法の説明図を示す(4)。
【図5】本発明の第1実施形態の半導体装置の製造方法の説明図を示す(5)。
【図6】本発明の第2実施形態の半導体装置の製造方法の説明図を示す(1)。
【図7】本発明の第2実施形態の半導体装置の製造方法の説明図を示す(2)。
【図8】サンプル2A、2B、3A、3BのBeの濃度分布を示す。
【図9】サンプル2B、3Bの酸素の濃度分布を示す。
【図10】サンプル3Aと3Bについて、イオン注入領域のシートキャリア濃度と熱処理温度の関係を示す。
【図11】サンプル3Aと3Bについて、アドミッタンス・シグナルG/ωと熱処理後にサンプルを配置した空間の温度(設置空間温度)Tの関係を示す。
【図12】ホールの熱放出速度eのアレニウス・プロットを示す。
【図13】サンプル4Bの水素と、サンプル3BのBeの濃度分布を示す。
【図14】サンプル4Bについて、アドミッタンス・シグナルと設置空間温度の関係を示す。
【符号の説明】
20:基板
22:III族窒化物半導体
24:イオン注入領域
32:デバイス領域

Claims (10)

  1. III族窒化物半導体に、p型不純物としてベリリウム、マグネシウム、カルシウムの中から選択される少なくとも1つをイオン注入する工程と、
    前記III族窒化物半導体に前記イオン注入したp型不純物を活性化熱処理する工程と、
    前記III族窒化物半導体のうち前記イオン注入した領域に水素を導入する工程を有するp型III族窒化物半導体の製造方法。
  2. 前記イオン注入する工程では、前記p型不純物に加えて、窒素、酸素、リン、炭素の中から選択される少なくとも1つをイオン注入することを特徴とする請求項1に記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  3. 前記イオン注入する工程では、p型不純物としてベリリウムをイオン注入することを特徴とする請求項1又は2に記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  4. 前記活性化熱処理する工程での熱処理の温度は、975℃以上で1075℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  5. 前記水素を導入する工程は、前記III族窒化物半導体を、水素原子を構成要素として含むガス雰囲気中に配置した状態で熱処理する工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  6. 前記水素を導入する工程での熱処理の温度は、800℃以上で950℃以下であることを特徴とする請求項5に記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  7. 前記水素を導入する工程での熱処理の温度は、前記活性化熱処理する工程での熱処理の温度よりも低いことを特徴とする請求項5又は6に記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  8. 前記水素を導入する工程は、前記III族窒化物半導体を、プラズマ化した水素を構成要素として含むガス雰囲気中に配置する工程であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  9. 前記活性化熱処理する工程を前記III族窒化物半導体のうち前記イオン注入領域を保護膜で覆った状態で行う一方、前記水素を導入する工程を前記イオン注入領域を露出させた状態で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のp型III族窒化物半導体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法によって製造されたp型III族窒化物半導体を有する半導体装置。
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