JP2015053340A - 窒化物系化合物半導体素子、および、窒化物系化合物半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物系化合物半導体素子、および、窒化物系化合物半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた窒化物系化合物半導体素子、および、窒化物系化合物半導体素子の製造方法を提供する。【解決手段】III族原子と窒素原子とを組成原子として含む半導体層15、16と、半導体層16に接するように形成されたソース電極1S、ゲート電極1G、ドレイン電極1Dと、を備え、半導体層15、16の少なくとも一部の重水素、または、三重水素の濃度が1018cm−3以上である窒化物系化合物半導体素子10。【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物系化合物半導体素子、および、窒化物系化合物半導体素子の製造方法に関するものである。
ガリウムナイトライド(GaN)、AlGaN、InGaN、InAlGaNなどのGaN系半導体は、組成を選択することでバンドギャップを広範囲に変化させることが出来、さらに、他の組成系で実現が困難である青系統の短波長発光を得ることが出来ることから、半導体発光ダイオードや半導体レーザなどの発光素子への応用が検討されている。
また、GaN系半導体は、高温においても組成安定性に優れており、高温で動作可能なトランジスタやショットキーバリアダイオード(Schottky Barrier Diode:SBD)等の半導体材料として、さらに、シリコン系材料に代わるインバーターやコンバーター等のパワーデバイスの材料として期待されている。
GaN系半導体デバイスは、異種基板上にヘテロエピタクシャル成長して製造されることから、基板とGaNとの格子定数差や熱膨張係数差に起因するそりやクラックを抑制するため、基板と活性層との間にバッファ層が形成される。しかしながら、バッファ層による歪・応力の緩和は十分ではなく、高密度のガリウム(Ga)空孔等のIII族空孔、格子間原子、または、刃状転位等の格子欠陥を含むことになる。
ここで、これら格子欠陥や半導体の表面には、原子の未結合手であるダングリングボンドが形成される。このダングリングボンドは、キャリアを捕獲あるいは放出することがあり、電流コラプス現象の原因となる。また、ダングリングボンドは、リーク特性に影響を及ぼす。これらダングリングボンドの一部は結晶成長時の原料ガスやキャリアガスに含まれる水素で終端されていることが知られており(非特許文献1)、水素終端されたダングリングボンド(すなわち、格子欠陥等と水素との複合欠陥)は、電気特性に悪影響を及ぼすことがない不活性な状態になると考えられている。
T.Roy,Y.S.Puzyrev,B.R.Tuttle,D.M.Fleetwood,R.D.Schrimpf,D.F.Brown,U.K.Mishra and S.T.Pantelides,Applied Physics Letter 2010年 96巻,133503頁 Y.S.Puzyrev,B.R.Tuttle,R.D.Schrimpf,D.M.Fleetwood and S.T.Pantelides,Applied Physics Letter 2010年 96巻,053505頁
しかしながら、GaN系半導体を用いたパワーデバイスは、オフ状態で活性層やバッファ層に数百V、場合によっては1000Vを超える逆方向電圧がかかるため、この強電界によって、格子欠陥と水素との結合が切断され(非特許文献2)、デバイスの特性に悪影響を及ぼすダングリングボンドが再度形成される。この結果、長期通電によるデバイスの特性変動が生じるという課題がある。特性変動として、たとえば、オン抵抗の増大や、リーク電流の一時的な低下が観測される。また、ダングリングボンドによって捕獲されたキャリアは、光照射によって放出される場合がある。このため、光照射による抵抗やリーク電流の変動、いわゆる光応答が生じるという課題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた窒化物系化合物半導体素子、および、窒化物系化合物半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、III族原子と窒素原子とを組成原子として含む半導体層と、前記半導体層に接するように形成された少なくとも2つの電極と、を備え、前記半導体層の少なくとも一部の重水素、または、三重水素の濃度が1018cm−3以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、上記発明において、前記半導体層は、基板上に形成されたバッファ層と、前記バッファ層上に形成された第1窒化物系化合物半導体層と、前記第1窒化物系化合物半導体層上に形成された、該第1窒化物系化合物半導体層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2窒化物系化合物半導体層と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、上記発明において、前記第2窒化物系化合物半導体層の少なくとも一部の前記重水素、または、三重水素の濃度が1018cm−3以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、上記発明において、前記第1窒化物系化合物半導体層中であって、前記第1窒化物系化合物半導体層と、前記バッファ層との界面から500nm以内の領域の少なくとも一部において、前記重水素、または、三重水素の濃度が1018cm−3以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、上記発明において、前記半導体層中のアクセプタ準位を形成する格子欠陥が有するダングリングボンドが、前記重水素、または、三重水素で終端されていることを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、上記発明において、前記格子欠陥は、III族空孔、格子間原子、または、刃状転位のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子の製造方法は、基板上にIII族原子と窒素原子とを組成原子として含む半導体層を形成する形成工程と、素子構造形成前に、前記半導体層中のアクセプタ準位を形成する格子欠陥が有するダングリングボンドを重水素、または、三重水素で終端する終端工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子の製造方法は、上記発明において、前記素子構造形成前に、前記半導体層中の格子欠陥と軽水素との複合体を分解する分解工程をさらに含み、前記分解工程後に前記終端工程を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子の製造方法は、上記発明において、前記格子欠陥は、III族空孔、格子間原子、または、刃状転位のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする。
本発明によれば、特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた窒化物系化合物半導体素子、および、窒化物系化合物半導体素子の製造方法を実現することができる。
図1は、実施の形態1に係るHFETの模式的な断面図である。 図2は、実施の形態2に係るHFETにおけるTRIMコードを用いたモンテカルロ・シミュレーション法による重水素のプロファイルの計算結果を示す図である。 図3は、実施の形態3に係るSBDの模式的な断面図である。
以下に、図面を参照して本発明に係る窒化物系化合物半導体素子、および、窒化物系化合物半導体素子の製造方法の実施の形態を説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る窒化物系化合物半導体素子である異種接合電界効果トランジスタ(Heterojunction Field Effect Transistor:HFET)について説明する。図1は、実施の形態1に係るHFETの模式的な断面図である。図1に示すように、HFET10は、窒化物系化合物半導体とは異なる材料からなる基板である主表面が(111)面のシリコン基板11と、シリコン基板11上にエピタクシャル成長により順次形成された、AlNからなるAlNシード層12、GaN層とAlN層とを交互に積層させた第1バッファ層13、炭素(C)をドープしたGaNからなる高抵抗な第2バッファ層14、GaNからなる第1窒化物系化合物半導体層としての電子走行層15、および2次元電子ガス供給層となるAlGaNからなる第2窒化物系化合物半導体層としての電子供給層16を含む半導体層と、半導体層上に形成されたゲート電極1Gと、ソース電極1Sと、ドレイン電極1Dとを備えている。すなわち、このHFET10は、AlGaN/GaNのヘテロ接合を有するAlGaN/GaN−HFETである。電子走行層15には電子供給層16との界面近傍に、電流経路となる2次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas:2DEG)が発生している。
このHFET10は、GaN層とAlN層とを交互に積層した第1バッファ層13を備えることにとって、エピタクシャル基板にクラックが発生することを抑制し、かつエピタクシャル基板の反り量が小さくなるように制御することができる。
このHFET10は、第2バッファ層14にCをドープすることによって、リーク電流を低減して第2バッファ層14を高抵抗化しており、リーク電流を低減して耐圧を高めている。また、電子走行層15はC濃度を十分に低く設定することによって、高い電子移動度を維持している。
さらに、HFET10の表面から2DEGを含む電子走行層15の一部には、重水素濃度が1018cm−3以上となるように重水素が導入されている。これにより、深いアクセプタ準位を形成するIII族空孔、すなわち、Ga空孔、もしくは、Al空孔、格子間原子、または、刃状転位等の格子欠陥の有するダングリングボンドを重水素で終端している。これにより、電荷を持つ格子欠陥を不活性化(中性化)し、特性変動および光応答が抑制されている。
ここで、ダングリングボンドの終端が知られている水素(軽水素)は、熱振動等により容易に分解する。これにより、格子欠陥と水素との結合が切断され、ダングリングボンドが再形成されると、デバイスの特性に悪影響を与える。これに対して、重水素の結合状態は、軽水素の結合状態より安定であり、格子欠陥と重水素との複合欠陥は分解しにくい。したがって、ダングリングボンドの再結成によるデバイス特性の劣化が抑制される。
また、軽水素は質量数が1と小さいため、分解された場合、拡散し、ダングリングボンドが残されてしまう。一方、重水素の質量数は2であり、2倍重いことから、軽水素よりも拡散しにくく、分解されたとしても再びエネルギーを失ってダングリングボンドと結合する。この結果、熱・電気・光等のストレスによる複合欠陥の分解が抑制され、素子の信頼性が向上する。なお、この効果は、よりダングリングボンドとの結合が強く、質量数が3と大きい三重水素(トリチウム)で顕著である。そのため、HFET10は、重水素の代わりにトリチウムが導入されていてもよい。
また、HFET10は、表面付近に重水素が導入されているため、表面準位の起源となる表面のダングリングボンドが不活性化されている。これにより、HFET10のオフ状態におけるゲート電極1G・ドレイン電極1D間の電子供給層16表面近傍の電界集中に起因する電流コラプス現象を抑制する効果がある。
このように、本実施の形態1に係るHFET10は、特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた窒化物系化合物半導体素子である。
(製造方法)
つぎに、本実施の形態1に係るHFET10の製造方法の一例について図1を参照して説明する。なお、原材料の流量、各層の厚さ、または成長温度等は例示であり、特に限定はされない。
はじめに、半導体層を積層させる工程について説明する。CZ(チョコラルスキー)法で成長された厚さが1mmのシリコン基板11を設置した有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)装置内に、トリメチルガリウム(TMGa)とアンモニア(NH)とを、それぞれ175μmol/min、35L/minの流量で導入し、成長温度1000℃で、シリコン基板11上に層厚40nmのAlNからなるAlNシード層12をエピタクシャル成長させる。
続いて、AlNシード層12上に第1バッファ層13を形成する。第1バッファ層13は、たとえば、AlNが7nm、GaNが21nmを一対として、80対繰り返し成長させる。AlN層およびGaN層は、成長温度1050℃、成長圧力200Torrの条件で、成長時のトリメチルアルミニウム(TMAl)、TMGaおよびNHの流量は、それぞれ、195μmol/min、58μmol/minおよび12L/minである。第1バッファ層13を積層することで、エピタクシャル膜に発生するクラックを抑制し、そり量も制御可能となる。
つぎに、第1バッファ層13上にGaNからなる第2バッファ層14を100nm積層させる。第2バッファ層14は、成長温度1050℃、成長圧力50Torrの条件で、TMGaとNHとを、それぞれ58μmol/min、12L/minの流量で導入することにより成長させる。このとき、第2バッファ層14中の炭素濃度は、1×1018cm−3以上とすることができ、高抵抗化してリーク電流を低減することができる。
続いて、第2バッファ層14上にGaNからなる電子走行層15を600nm積層させる。電子走行層15は、成長温度1050℃、成長圧力200Torrの条件で、TMGaとNHとを、それぞれ19μmol/min、12L/minの流量で導入することにより成長させる。
さらに、電子走行層15上に2次元電子ガス供給層となるAlGaN層からなる電子供給層16を25nm積層させる。電子供給層16は、成長温度1050℃で、TMAlとTMGaとNHとを、それぞれ100μmol/min、19μmol/min、12L/minの流量で導入することにより成長させる。電子供給層16のアルミニウム組成は0.23である。アルミニウム組成は、たとえば、X線回折から評価できる。以上の製造工程にて、半導体層が製造される。
つぎに、製造した半導体層中に重水素を導入する工程について説明する。はじめに、基板上に形成した半導体層を重水素チャージ用のチャンバー内に導入し、10−6Torr以下の圧力まで真空排気する。そして、基板温度を400〜1000℃の範囲内で加熱する。なお、600〜800℃の間が最も好適である。続いて、チャンバー内に重水素を所定の圧力になるまで導入する。所定の圧力とは、1〜760Torrの範囲内、より好適には200〜500Torrの間である。
ここで、重水素導入口近傍には、加熱された合金フィラメントが設置されており、触媒作用により、活性化した重水素が生成され、半導体層の表面から内部へと導入される。フィラメントは、たとえば、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン等の高融点金属を主成分とする合金を用いればよい。フィラメント温度は1000〜1800℃とする。
以上の条件下において、1時間程度の熱処理を行うことにより、半導体層の表面から0.2μmの範囲に重水素を導入することができ、AlGaNからなる電子供給層16中の重水素濃度は1018cm−3以上となる。重水素濃度はIII族空孔、すなわち、Ga空孔、またはAl空孔濃度と同程度である1017〜1018cm−3以上導入することで効果があり、重水素濃度が高い程効果がある。これは、III族空孔のみならず刃状転位の持つダングリングボンドも不活性化することが好ましいからである。重水素濃度の上限は特に制限されないが、1021cm−3以下であれば、重水素の導入による重水素クラスターの形成が抑制され、重水素クラスターによる窒化物系化合物半導体素子の機械的強度の低下が抑制されるので好ましい。
つぎに、HFET10の素子を製造する工程について説明する。素子は公知の工程に従って、フォトリソグラフィ工程を用いてパターンニングを行い製造できる。
なお、電極形成については、電子供給層16上に、Ti(膜厚25nm)及びAl(膜厚300nm)をこの順に蒸着して、オーミック電極としてソース電極1S及びドレイン電極1Dとを形成する。また、当該電極間にNi(膜厚100nm)およびAu(膜厚200nm)を、この順に蒸着して、ショットキー電極としてゲート電極1Gを形成する。ソース電極1S及びドレイン電極1Dの蒸着後、700℃で30分の熱処理を行うことで、良好なオーミック特性が得られる。
HFET10の形状については、たとえば、ゲート長2μm、ゲート幅0.2mm、ソース・ドレイン間距離15μmの形状で作製すればよい。
以上の製造方法によって、特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた本実施の形態1に係るHFET10を製造することができる。この工程で製造したHFET10は、1200V以上の耐圧を有することができる。HFET10のオフ状態では、ゲート電極1G・ドレイン電極1D間の電子供給層16表面近傍に電界集中が生じるため、重水素を導入していない素子では、格子欠陥と軽水素との複合欠陥が分解されダングリングボンドが発生し、特性変動が生じた。すなわち、オン抵抗が10%程度上昇した。一方、重水素を導入した素子では、格子欠陥のつくるアクセプタ準位が終端されているため、長期通電による特性変動は起きなかった。また、表面のダングリングボンドに起因する電流コラプス現象も抑制された。
なお、ここでは、熱触媒を用いて、重水素を窒化物半導体中に導入したが、単に重水素雰囲気中で熱処理を行っても同様の効果が得られる。たとえば、600〜900℃の温度範囲の重水素雰囲気中で30〜60分の熱処理を行っても同様の効果が得られる。
また、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ装置を用いて、重水素を導入してもよい。たとえば、5×10−6Torrの真空度で20sccmの流量で重水素を導入し、マイクロ波出力を200Wとする。基板温度は250〜400℃として、30〜60分の処理を行えばよい。この方法を分子線エピタクシー法(Molecular Beam Epitaxy:MBE)装置で半導体層を積層させる場合に用いると、製造工程を一貫して真空中で行うプロセスとすることができるため、表面の酸化を抑制できるという利点がある。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る窒化物系化合物半導体素子であるHFETについて説明する。本実施の形態2に係るHFETの構造は実施の形態1と同一であり、シリコン基板上に順次形成された、AlNシード層、第1バッファ層、第2バッファ層、第1窒化物系化合物半導体層としての電子走行層、第2窒化物系化合物半導体層としての電子供給層とを含む半導体層と、半導体層上に形成されたゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極とを備えている。ただし、本実施の形態2に係るHFETは、電子走行層中であって、電子走行層と、第2バッファ層との界面から500nm以内の領域において、重水素濃度が1018cm−3以上とされている。これにより、電子走行層下部(第2バッファ層近傍)にある欠陥濃度が高い領域のダングリングボンドを効率的に終端できる効果があり、特性変動および光応答の抑制に特に有効である。
このように、本実施の形態2に係るHFETは、特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた窒化物系化合物半導体素子である。
(製造方法)
つぎに、本実施の形態2に係るHFETの製造方法の一例について説明する。なお、原材料の流量、各層の厚さ、または成長温度等は例示であり、特に限定はされない。まず、半導体層を積層させる工程は、実施の形態1と同一である。これにより、シリコン基板上に順次形成された、AlNシード層、第1バッファ層、第2バッファ層、電子走行層、電子供給層とを含む半導体層が形成される。
つぎに、実施の形態1と異なり、ここでは、重水素導入の前に軽水素の複合欠陥を分解し、軽水素を半導体層中から除去する工程を行う。まず、半導体層上に、プラズマCVDにより、表面保護膜となるSiを200nm積層する。続いて、保護膜を形成された半導体層を原子炉の照射室に導入し、熱中性子線を毎秒1012cm−2の流束で1〜4時間照射し、軽水素とIII族空孔、格子間原子、刃状転位等との複合欠陥を分解する。熱中性子線照射後、700℃で30分の熱処理を行うことで、ダングリングボンドから切り離された水素原子を半導体層外へと取り除くことが可能である。複合欠陥の分解は、熱中性子線の代わりに、シンクロトロン放射光を用いてもよい。なお、軽水素とIII族空孔、格子間原子、刃状転位等との複合欠陥が分解されたことは、EPR(Electron Paramagnetic Resonance)やODMR(Optically Detected Magnetic Resonance)、ODEPR(Optically Detected EPR)といった磁気共鳴の手法によりダングリングボンドの有無を検出することで確認することができる。
そして、イオン注入法により、第2バッファ層と電子走行層の下部(第2バッファ層に近い側)とに重水素を導入する。図2は、実施の形態2に係るHFETにおけるTRIMコードを用いたモンテカルロ・シミュレーション法による重水素のプロファイルの計算結果を示す図である。図2において、横軸は半導体層の表面からの深さを示し、縦軸はその深さにおける重水素イオンの濃度を示している。図2に示すように、電子走行層の下部が重水素濃度のピークとなるように加速エネルギーを100keVとした。また、ピーク濃度は1019cm−3とした。
イオン注入後、900〜1000℃の範囲で10〜30分の熱処理を行うことで、重水素を拡散させ、ダングリングボンドを不活性化する。このとき、重水素濃度は、電子走行層中であって、電子走行層と第2バッファ層との界面から500nmの領域で1018cm−3以上となる。ダングリングボンドの不活性化は、前述した磁気共鳴法や、赤外分光やラマン分光等の振動分光法によって確認することができる。
その後、表面保護膜をドライエッチングにより除去し、さらに、実施の形態1と同一の工程によって、素子製造プロセスを行う。
以上の製造方法によって、特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた本実施の形態2に係るHFETを製造することができる。このようにして製造したHFETは、III族空孔、格子間原子、または、刃状転位等と重水素との結合が安定であるため、長期にわたる通電後も、オン抵抗の増大やリーク電流の一時的な低下等の特性変動がみられなかった。また、電子走行層下部から第2バッファ層にかけての、半導体層の表面から深い位置にあるダングリングボンドも終端されたことにより、光照射による抵抗値の変動も抑制された。
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3に係る窒化物系化合物半導体素子である縦型のSBDについて説明する。図3は、実施の形態3に係るSBDの模式的な断面図である。図3に示すように、このSBD30は、nの導電性を持つ第1窒化物系化合物半導体層としてのn−GaN基板31と、n−GaN基板31上に形成された、n−GaNからなる第2窒化物系化合物半導体層としての電子走行層32とを含む半導体層を備える。半導体層の電子走行層32側の一部には、表面保護のためのSiOからなる保護膜33が形成されている。保護膜33は、ショットキー電極3Sを形成すべき位置に開口部を備える。そして、半導体層のn−GaN基板31側には、カソード電極としてのオーミック電極3Oが形成され、半導体層の電子走行層32側には、アノード電極としてのショットキー電極3Sが形成されている。
そして、SBD30の電子走行層32は、ショットキー電極3Sが形成された表面側の一部において重水素濃度が1018cm−3以上とされている。これにより、本実施の形態3に係るSBD30は、実施の形態1に係るHFET10と同様に、III族空孔、格子間原子、または、刃状転位等の格子欠陥が有するダングリングボンドが重水素で終端され、特性変動および光応答が抑制され、長期信頼性に優れた窒化物系化合物半導体素子である。
(製造方法)
つぎに、本実施の形態3に係るSBD30の製造方法の一例について図3を参照して説明する。なお、原材料の流量、各層の厚さ、または成長温度等は例示であり、特に限定はされない。
まず、nの導電性を持つ厚さが300μmのn−GaN基板31をMOCVD装置内に設置する。なお、n−GaN基板31のドーパントはSiであり、キャリア濃度は3〜4×1018cm−3である。
つぎに、TMGaとNHとを、それぞれ19μmol/min、12L/minの流量で導入し、n−GaN層である電子走行層32を10μmの厚さで成長する。電子走行層32のドーパントはSiであり、濃度が1×1016cm−3となるようにSiHの流量を調整する。このとき、成長温度は1050℃、成長圧力は50Torrである。
電子走行層32を積層した半導体層を原子炉の照射室に導入し、熱中性子線を毎秒1012cm−2の流束で1〜4時間照射し、軽水素とIII族空孔、格子間原子、または、刃状転位等との複合欠陥を分解する。熱中性子線照射後、700℃で30分の熱処理を行うことで、複合欠陥から切り離された水素原子を半導体層外へと取り除くことが可能である。
続いて、電子走行層32上にプラズマCVDにより、表面保護膜として働くSiO膜である保護膜33を100nm形成する。
つぎに、半導体層のn−GaN基板31側にスパッタにより、Ti(25nm)/Al(300nm)をこの順で積層し、オーミック(カソード)電極3Oを形成する。
続いて、SiO膜である保護膜33上にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ工程を用いてパターンニングを行い、弗化水素酸系溶液を用いてショットキー(アノード)電極3Sを形成すべき位置に開口部を形成する。そして、ショットキー電極3Sとしてスパッタにより、Ni(100nm)/Au(200nm)をこの順で積層する。
ここで、重水素雰囲気中で熱処理を行い、電子走行層32のアクセプタ型欠陥を重水素で終端する。この熱処理はオーミック電極3Oの合金化も兼ねている。たとえば、700℃で1〜2時間の処理を行えばよい。この工程により、電子走行層32の表面から1μmの範囲に1018cm−3の重水素を導入することができる。また、重水素は保護膜33中のSiOのダングリングボンドも終端する効果がある。
以上の製造方法によって、本実施の形態3に係るSBD30を製造することができる。製造されたSBD30は良好な整流特性を示し、耐圧は1200V程度であった。また、III族空孔、格子間原子、または、刃状転位等と重水素との結合が安定であるため、長期にわたる通電後も特性変動が見られなかった。さらに、SiO中のダングリングボンドが重水素で終端されているため、保護膜33に起因する素子の劣化が抑制された。
なお、上記実施の形態において、半導体層をエピタクシャル成長で積層させた後、半導体層中に重水素を導入している。しかしながら、エピタクシャル成長時のキャリアガスを軽水素から重水素に変えることによって、ダングリングボンドを重水素で終端することが可能であり、これにより、本発明の効果を得ることができる。
また、上記実施の形態1は、基板として異種基板であるシリコン基板を使用したが、使用する異種基板としては特に限定されず、サファイア、炭化珪素(SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、LiGaO、(Mn,Zn)Fe、β−Ga基板等を使用しても同様の効果が得られる。
また、上記実施の形態において、第1窒化物系化合物半導体層である電子走行層は、GaN層に限られない。任意の組成の窒化物系化合物半導体であればよく、たとえばAlGa1−xN(0≦x≦1)であってよい。さらに、電子走行層は、アンドープのGaN、n−GaN、または、CをドープしたGaNであってよい。
また、上記実施の形態において、第2窒化物系化合物半導体層である電子供給層は、バンドギャップが第1窒化物系化合物半導体層のバンドギャップよりも大きい組成の窒化物系化合物半導体であればよく、AlGaN層に限られない。また、電子供給層の組成は、AlGa1−xN(0<x≦1)としてもよい。アルミニウム組成xは0.5以下が好ましく、たとえば0.20〜0.25の範囲である。また、AlGaN層の層厚は20nm〜30nmとしてもよい。
また、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、HFETやSBDに限定されず様々な素子とすることができ、たとえばMOSFETでもよい。また、本発明に係る窒化物系化合物半導体は、GaNに限らず、III族原子と窒素原子とを組成原子として含む窒化物系化合物半導体であれば良く、たとえば、Al原子、インジウム(In)原子およびホウ素(B)原子から選択される1以上のIII族原子を含んでいてもよい。
また、1018cm−3以上の濃度の重水素または三重水素を含む領域は、窒化物系化合物半導体からなる領域の一部でもよい。1018cm−3以上の濃度の重水素または三重水素が含まれる領域では、当該領域に含まれるIII族空孔、格子間原子、または、刃状転位等の格子欠陥が有するダングリングボンドが、重水素、または、三重水素で終端されるので、本発明の効果を得ることができる。この時、1018cm−3以上の濃度の重水素または三重水素が含まれる領域には、必ずしもGa原子が含まれている必要はなく、少なくともIII族原子と窒素原子とが組成原子として含まれていれば、本発明の効果を得ることができる。これは、当該領域に含まれるIII族空孔等の格子欠陥が有するダングリングボンドが、重水素、または、三重水素で終端されるためである。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
10 HFET
11 シリコン基板
12 AlNシード層
13 第1バッファ層
14 第2バッファ層
15、32 電子走行層
16 電子供給層
1S ソース電極
1D ドレイン電極
1G ゲート電極
30 SBD
31 n−GaN基板
33 保護膜
3O オーミック電極
3S ショットキー電極

Claims (9)

  1. III族原子と窒素原子とを組成原子として含む半導体層と、
    前記半導体層に接するように形成された少なくとも2つの電極と、
    を備え、前記半導体層の少なくとも一部の重水素、または、三重水素の濃度が1018cm−3以上であることを特徴とする窒化物系化合物半導体素子。
  2. 前記半導体層は、基板上に形成されたバッファ層と、前記バッファ層上に形成された第1窒化物系化合物半導体層と、前記第1窒化物系化合物半導体層上に形成された、該第1窒化物系化合物半導体層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する第2窒化物系化合物半導体層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物系化合物半導体素子。
  3. 前記第2窒化物系化合物半導体層の少なくとも一部の前記重水素、または、三重水素の濃度が1018cm−3以上であることを特徴とする請求項2に記載の窒化物系化合物半導体素子。
  4. 前記第1窒化物系化合物半導体層中であって、前記第1窒化物系化合物半導体層と、前記バッファ層との界面から500nm以内の領域の少なくとも一部において、前記重水素、または、三重水素の濃度が1018cm−3以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の窒化物系化合物半導体素子。
  5. 前記半導体層中のアクセプタ準位を形成する格子欠陥が有するダングリングボンドが、前記重水素、または、三重水素で終端されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の窒化物系化合物半導体素子。
  6. 前記格子欠陥は、III族空孔、格子間原子、または、刃状転位のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の窒化物系化合物半導体素子。
  7. 基板上にIII族原子と窒素原子とを組成原子として含む半導体層を形成する形成工程と、
    素子構造形成前に、前記半導体層中のアクセプタ準位を形成する格子欠陥が有するダングリングボンドを重水素、または、三重水素で終端する終端工程と、
    を含むことを特徴とする窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
  8. 前記素子構造形成前に、前記半導体層中の格子欠陥と軽水素との複合体を分解する分解工程をさらに含み、
    前記分解工程後に前記終端工程を行うことを特徴とする請求項7に記載の窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
  9. 前記格子欠陥は、III族空孔、格子間原子、または、刃状転位のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の窒化物系化合物半導体素子の製造方法。
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