以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体基板100の製造方法を示す模式的な断面図である。半導体基板100は、基板102、バッファ層110、及び、半導体層120を備える。基板102は、サファイア基板である。基板102は、その他に、シリコン基板、シリコンカーバイド基板、及び、GaN基板であってもよい。
バッファ層110は、基板102上に窒化ガリウム系半導体で形成される。バッファ層110は、半導体層120と基板102との、格子定数および熱膨張率などの特性差による相互作用を緩衝する。したがって、バッファ層110により、半導体層120と基板102との間の接合強度が向上する。バッファ層110は、例えば、アンドープのGaNで形成される。アンドープとは、p型およびn型のいずれかの導電性を与えるドーパントを意図的に添加しないで形成された半導体膜であることを表す。
例えば、基板102として、直径が2インチ規格で、厚さが500μmのサファイア基板を用いる。バッファ層110は基板102上にエピタキシャル成長される。一例として、基板102をMOCVD装置に設置してから、TMGa(トリメチルガリウム)及びNH3(アンモニア)が、それぞれ、14μmol/min及び12L/minの流量で、MOCVD装置のチャンバーに導入されて、バッファ層110がアンドープのGaNで形成される。バッファ層110の厚さは、例えば、30nmである。バッファ層110の成長温度は例えば550℃である。
半導体層120は、基板102に窒化ガリウム系半導体で形成される。半導体層120は、例えば、アンドープのGaNでバッファ層110上に形成される。半導体層120はエピタキシャル成長される。一例として、バッファ層110が形成された基板102をMOCVD装置に設置してから、TMGa及びNH3を、それぞれ、19μmol/min及び12L/minの流量で、MOCVD装置のチャンバーに導入して、バッファ層110上にアンドープのGaNで半導体層120が形成される。半導体層120の厚さは、例えば、2000nmである。例えば、半導体層120の成長温度は1050℃で、成長圧力は50Torrである。
基板102に半導体層120が形成されてから、半導体層120に中性子線130が照射される。中性子線130とは、中性子の流れをいう。中性子線130は、例えば熱中性子の流れである。半導体層120に照射される中性子線130のエネルギーは、30meV以下であることが好ましく、25meVであることがさらに好ましい。中性子線130の照射には、例えば、独立行政法人日本原子力研究開発機構の原子炉を用いることができる。半導体層120が形成された基板102を原子炉の照射室に導入する。半導体層120に熱中性子線130が照射されて、半導体層120に含まれるガリウム原子の一部が、ゲルマニウム原子に変換される。中性子線130は、半導体層120に対して、基板102と反対側から照射される。ただし、半導体層120に対して、基板102の側から照射されてもよい。
例えば、流速1×1015cm−2の中性子線130が2000秒間、半導体層120に照射されて、半導体層120に含まれるゲルマニウム原子の濃度が1×1017cm−3となる。半導体層120に照射される中性子線130の流速を1×1015cm−2以下、あるいは、照射時間を2000秒以下として、半導体層120に含まれるゲルマニウム原子の濃度を1×1017cm−3以下としてもよい。中性子線130は半導体層120に均一に照射され、中性子線130は物質中の透過力が高いので、半導体層120におけるゲルマニウム原子の分布は、均一となる。
半導体層120に中性子線130が照射されると以下のような反応が起こる。69Ga+中性子→70Ga+γ→70Ge。71Ga+中性子→72Ga+γ→72Ge。14N+中性子→15N+γ。15N+中性子→16N+γ→16O。γは、ガンマ線を示す。ここで、69Gaの熱中性子捕獲断面積は1.68barnsであり、69Gaと中性子から70Gaが生じる。70Gaは半減期21分で70Geとなる。71Gaの熱中性子捕獲断面積は4.71barnsであり、71Gaと中性子から72Gaが生じる。72Gaは半減期14時間で72Geとなる。14Nの熱中性子捕獲断面積は0.0075barnsであり、14Nと中性子から15Nが生じる。15Nの熱中性子捕獲断面積は0.000024barnsであり、15Nと中性子から16Nが生じる。16Nは半減期21分で16Oとなる。14N及び15Nの捕獲断面積は、69Ga及び71Gaの捕獲断面積より十分小さいので、GaNに中性子線130を照射したときに起こる原子の変換は、GaからGeへの変換がほとんどである。
半導体層120に含まれるゲルマニウム原子は、半導体層120に含まれるガリウム原子の一部が原子核変換されて生じる。また、70Ga及び72Gaの半減期は、いずれも、半導体基板100の製造の時間に比較して十分に短い。そのため、半導体基板100の製造後において、半導体層120における70Geの同位体と72Geの同位体の存在比S(S=70Geの原子数/72Geの原子数)は、69Gaと71Gaの同位体の存在比をRとすると(R=69Gaの原子数/71Gaの原子数〜1.5)、S=σ1/σ2×Rとなる。ここでσ1=69Gaの熱中性子捕獲断面積であり、σ2=71Gaの熱中性子捕獲断面積であり、Sの値は0.54となる。一方、70Geと72Geの同位体の天然存在比(70Geの原子数/72Geの原子数)は0.75である。したがって、半導体層120における70Geの同位体と72Geの同位体の存在比S(S=70Geの原子数/72Geの原子数)は、天然存在比における70Geの原子数/72Geの原子数とは異なる。また、Gaから中性子線による核変換で生じるGeは、自然界に存在する73Ge、74Ge、および76Geをいずれも含まない。したがって、半導体層120は、73Ge、74Ge、および、76Geをいずれも含まない。
中性子線130を照射した後に、半導体層120を熱処理する。原子炉の照射室から取り出した基板102を加熱炉に導入する。例えば、半導体層120を、600℃〜1000℃で、30分間〜60分間、熱処理する。熱処理により、半導体層120中のゲルマニウム原子が活性化される。窒化ガリウム系半導体中で、ゲルマニウム原子はn型ドーパントとしてふるまうので、半導体層120はn型半導体層となる。例えば、半導体層120に含まれるゲルマニウム原子の濃度が1×1017cm−3のときに、熱処理後のキャリア濃度は6×1016cm−3となる。
他の例として、バッファ層110は、膜厚が5nm〜400nmのGaN層と、膜厚が1nm〜40nmのAlN層とを含む積層膜を3層〜20層を有する。さらに、バッファ層110と基板102との間に、基板102上に形成された膜厚が100nmのAlN(窒化アルミニウム)層を有してもよい。
図2は、第1の実施形態に係る半導体基板100の発光特性を示す写真である。図2には、比較用に、ドーパントガスとしてSiH4ガスを用い、MOCVD法でn型GaN層を形成した半導体基板140の発光特性の写真も示した。図2に示すのは、波長が366nmで、強度が100μW/cm2の紫外光を照射したときのルミネッセンス像である。ルミネッセンス像は、半導体基板100及び半導体基板140のキャリア濃度が高いほど、明るくなるので、図2において白く見える部分においてはキャリア濃度が高い。
半導体基板140の断面は、半導体基板100と同じ構造を有する。すなわち、サファイアで形成された基板102上に、アンドープのGaNでバッファ層110が形成される。バッファ層110上に、TMGa、NH3及びSiH4を用いてn型GaN層が形成される。当該n型GaN層におけるキャリア濃度が、半導体基板140を上面から見たときの中心で7×1016cm−3となるようにSiH4の流量を調節した。
第1の実施形態に係る半導体基板100の半導体層120では、図2で示した写真で下側に当たるオリフラの周辺部を除き、半導体基板140に比べて、上面から見たときに面内で、キャリア濃度が均一である。これは、中性子線130が半導体層120に均一に照射され、半導体層120中のガリウム原子がゲルマニウム原子に、均一な分布で核変換されるからである。これに対して半導体基板140は、上面から見たときに半導体基板140の中心部分で、周辺部分に比べてキャリア濃度が低く、半導体基板100に比べてキャリア濃度の均一性が低い。これは、半導体基板140においては、n型GaN層中のドーパント濃度が、MOCVD法による成膜中のガスの流れの不均一性、及び、n型GaN層中でのSiの偏析によって不均一になるからである。
図3の左側のグラフは、第1の実施形態に係る半導体基板100の半導体層120におけるドーパント濃度の深さ方向の分布を示す、SIMS(2次イオン質量分析)結果である。図3の右側のグラフには、比較用に、半導体基板140におけるドーパントのSIMS結果も示した。図3のグラフにおいては、横軸が半導体基板100及び半導体基板140の表面からの距離を示し、縦軸はドーパント濃度を示す。
図3の左側のグラフに示されるように、第1の実施形態に係る半導体基板100の半導体層120では、深さ方向のドーパント濃度が均一である。すなわち、第1の実施形態に係る半導体基板100においては、半導体層120に含まれるゲルマニウム原子の濃度の平均値に対する標準偏差の比が、11%以下である。これに対して、半導体基板140においては、n型GaN層中のドーパント濃度が、MOCVD法による成膜中のガスの流れの不均一性、及び、n型GaN層中でのSiの偏析によって、ドーパントの濃度がばらつく。すなわち、半導体基板140においてはゲルマニウム原子の濃度の平均値に対する標準偏差の比が112%であった。また、半導体基板140のSIMS結果に示される、半導体基板140の表面から1000nm〜1500nmにあるドーパント濃度のなだらかなピークは、転位芯へのSiの偏析による。
図4の上側に示したのは、第1の実施形態に係る半導体基板100の、半導体層120における電子のDOS(状態密度)のシミュレーション結果である。図4の下側には、比較用に、半導体基板140におけるn型GaN層の電子のDOSのシミュレーション結果も示した。シミュレーションは、Advance/PHASEを使用して、局所密度近似に基づいた第一原理電子状態計算を行った。このとき、Vanderbilt型のウルトラソフト擬ポテンシャルを用い、交換相互作用は一般化勾配近似の範囲で計算した。また、電子のスピンを考慮した。計算対象は、半導体基板100においてはゲルマニウム原子1個、半導体基板140においてはシリコン原子1個を、それぞれ含む、GaN32原子のスーパセルとした。計算条件として、カットオフエネルギーが波動函数及び電荷密度分布でそれぞれ25Ryおよび230Ry、k点サンプルが3×3×4、並びに、バンド数が98を用いた。図4に示したグラフの横軸はエネルギー(eV)を示し、縦軸は電子状態密度(states/eV)を示す。0eVの位置の点線はフェルミエネルギーに対応する。半導体基板100及び半導体基板140の電子状態のそれぞれにおいて、上側半分は上向きスピンの電子に対応し、下側半分は下向きスピンの電子に対応する。図4に示されるように、Geがドーパントである第1の実施形態に係る半導体基板100の半導体層120、及び、Siがドーパントである半導体基板140のn型GaN層のいずれも、伝導体から20meV〜30meVに浅いドナー準位を有し、n型の導電性を示す。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオードの模式的な断面図である。図5において図1と同一の符号を付した要素は、図1において説明した要素と同一の機能および構成を有してよい。横型ショットキーバリアダイオード200は、基板102、窒化珪素層202、シード層204、バッファ層110、半導体層120、コンタクト領域240、ショットキー電極242、及び、オーミック電極244を備える。バッファ層110は、GaN層210、AlN層212、GaN層214、AlN層216、GaN層218、AlN層220、GaN層222、AlN層224、GaN層226、AlN層228、GaN層230、及び、AlN層232が順次積層されて形成される。すなわち、バッファ層110は、GaN及びAlNがそれぞれ6層ずつ交互に積層されて形成される。
基板102はシリコン基板である。窒化珪素層202は、基板102上に窒化珪素で形成される。シード層204は、窒化珪素層202上に、AlNで形成される。バッファ層110がシード層204上に形成される。バッファ層110のGaN層210は、シード層204上に、GaNで形成される。バッファ層110上に半導体層120が、GaNで形成される。半導体層120に中性子線130が照射されて、半導体層120に含まれるガリウム原子の一部がゲルマニウム原子に変換される。これにより、半導体層120はn型の導電性を有するn型半導体層となる。
半導体層120とオーミック電極244との間に、窒化ガリウム系半導体で、半導体層120よりn型キャリアの濃度が高い領域が形成される。コンタクト領域240により、半導体層120とオーミック電極244との接続抵抗を小さくできる。
コンタクト領域240上にオーミック電極244が導電性の材料で形成される。オーミック電極244は、半導体層120に電気的に接続される。例えば、オーミック電極244は、コンタクト領域240を介して、半導体層120にオーミック接続される。
半導体層120上にショットキー電極242が導電性の材料で形成される。ショットキー電極242は、半導体層120に電気的に接続される。例えば、ショットキー電極242は、半導体層120にショットキー接続される。
半導体層120では、中性子線130によって核変換されたゲルマニウム原子がドーパントなので、半導体層120におけるドーパント濃度は均一となり、ドーパントの偏析が抑えられる。これにより、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の耐圧が高くなる。
図6は、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の模式的な上視図である。図6は、図5を上方から見た状態を示す。すなわち、図6のV−V断面が図5に相当する。ショットキー電極242は円形に形成される。例えば、ショットキー電極242は、直径160μmの丸形電極である。オーミック電極244は、ショットキー電極242と離間してショットキー電極242の周囲に形成される。オーミック電極244とショットキー電極242との間隔は、例えば、10μmである。
図7から、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の製造プロセスを説明する。図7は、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオードの製造プロセスにおいて、半導体層上に保護膜及びフォトレジストが形成された状態を示す模式的な断面図である。基板102は、例えば、面方位(111)を有するシリコン基板である。一例として、基板102は、CZ(チョコラルスキー)法で成長された、厚さが1mmで、直径が4インチ径の規格であるシリコン基板である。すなわち、図7には4インチ径の規格の基板の一部分の断面が示されている。基板102がMOCVD装置に設置されてから、基板102の温度を1000℃に昇温し、NH3を35L/minの流量でMOCVD装置のチャンバーに0.3分間導入して、窒化珪素層202が形成される。
次に、TMAl(トリメチルアルミ)及びNH3を、それぞれ、175μmol/min及び35L/minの流量で、MOCVD装置のチャンバーに導入して、窒化珪素層202上にAlNでシード層204が形成される。シード層204の厚さは、例えば、40nmである。シード層204の成長温度は例えば1000℃である。
シード層204上にバッファ層110が形成される。バッファ層110において、例えば、GaN層210の厚さが290nm、GaN層214の厚さが330nm、GaN層218の厚さが390nm、GaN層222の厚さが470nm、GaN層226の厚さが580nm、GaN層230の厚さが740nm、並びに、AlN層212、AlN層216、AlN層220、AlN層224、AlN層228、及び、AlN層232の厚さがいずれも50nmである。バッファ層110層が有するGaNで形成された層の厚さを、基板から半導体層120に向かって厚くしていくことによって、半導体層120のクラック、及び、横型ショットキーバリアダイオード200の反りを抑制する効果が高くなる。
GaN層210、GaN層214、GaN層218、GaN層222、GaN層226、及び、GaN層230は、TMGa及びNH3を、それぞれ、58μmol/min及び12L/minの流量で、MOCVD装置のチャンバーに導入して、アンドープのGaNで形成される。AlN層212、AlN層216、AlN層220、AlN層224、AlN層228、及び、AlN層232は、TMAl及びNH3を、それぞれ、195μmol/min及び12L/minの流量で、MOCVD装置のチャンバーに導入して、AlNで形成される。
次に、TMGa及びNH3を、それぞれ、58μmol/min及び12L/minの流量で、MOCVD装置のチャンバーに導入して、バッファ層110上にアンドープのGaNで半導体層120が形成される。半導体層120の厚さは、例えば、900nmである。バッファ層110の成長温度は例えば1050℃で、成長圧力は50Torrである。半導体層120には、p型およびn型のいずれかの導電性を与えるドーパントが意図的に添加されていないので、半導体層120がMOCVD法で形成された状態では、半導体層120におけるキャリア濃度は1×1015cm−3以下である。
半導体層120が形成された基板102を原子炉の照射室に導入して、半導体層120に25meVの中性子線130が照射される。これにより、半導体層120に含まれるガリウム原子の一部が、ゲルマニウム原子に変換される。例えば、流速1×1015cm−2の中性子線130が200秒間、半導体層120に照射されて、半導体層120に含まれるゲルマニウム原子の濃度が1×1016cm−3となる。中性子線130は半導体層120に均一に照射され、中性子線130は物質中の透過力が高いので、半導体層120におけるゲルマニウム原子の分布は、均一となる。
原子炉の照射室から取り出した基板102を加熱炉に導入して、熱処理をする。これによりゲルマニウム原子が活性化される。例えば、半導体層120を600℃〜1000℃で30分間〜60分間熱処理する。ただし、当該熱処理は省略してもよい。第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の製造プロセスでは、この後のプロセスで半導体層120のゲルマニウム原子が活性化されるからである。
半導体層120上に、保護膜250をSiO2で形成する。保護膜250は、例えば、プラズマCVD法で形成され、厚さは1000nmである。保護膜250上の全面にフォトレジスト252を形成する。
図8は、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の製造プロセスにおいて、イオン254が注入されて、コンタクト領域240が形成された状態を示す模式的な断面図である。図7に示したように保護膜250上の全面に形成されたフォトレジスト252を、露光及び現像プロセスでパターニングする。パターニングにより、フォトレジスト252は、コンタクト領域240が形成される領域の上方で、除去される。
半導体層120の上方から、イオン254が注入される。イオン254が注入されるときに保護膜250は、防護用の膜となる。イオン254は、n型ドーパントのイオンである。例えば、イオン254は、Siのイオンであり、加速電圧150keVで注入される。フォトレジスト252が除去された領域で、半導体層120にn型ドーパントがイオン注入されて、半導体層120の一部がコンタクト領域240となる。コンタクト領域240におけるキャリア濃度は、半導体層120の他の部分より高い。コンタクト領域240におけるキャリア濃度は、例えば、5×1018cm−3である。
図9は、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の製造プロセスにおいて、半導体層上にオーミック電極形成用のフォトレジストが形成された状態を示す模式的な断面図である。図8に示したイオン注入の次に、フォトレジスト252が剥離液で除去される。コンタクト領域240が熱処理され、コンタクト領域240のドーパントが活性化される。このとき、半導体層120が同時に熱処理されて、半導体層120のゲルマニウム原子が活性化されてもよい。例えば、半導体層120がRTA装置に導入されて、窒素雰囲気中で、1000℃〜1200℃でRTA処理される。保護膜250が、エッチングで除去される。例えば、保護膜250は、弗化水素酸系溶液を用いたウェットエッチングで除去される。
半導体層120上に、オーミック電極244が形成される領域に開口を有するフォトレジスト256が形成される。フォトレジスト256は、レジスト材料を半導体層120及び半導体基板140上に塗布してから、フォトリソグラフィによってパターニングして形成される。フォトレジスト256は、コンタクト領域240上に開口を有する。
図10は、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の製造プロセスにおいて、オーミック電極244が形成された状態を示す模式的な断面図である。図9に示したフォトレジスト256を用いて、コンタクト領域240上にオーミック電極244が形成される。オーミック電極244は、例えば、厚さ25nmのTi層と、厚さ300nmのAl層とが、いずれもスパッタで形成されて積層される。フォトレジスト256が、剥離液によって除去される。
図11は、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の製造プロセスにおいて、ショットキー電極242形成用のフォトレジスト258が形成された状態を示す模式的な断面図である。オーミック電極244及び半導体層120上に、ショットキー電極242が形成される領域に開口を有するフォトレジスト258が形成される。フォトレジスト258は、レジスト材料を半導体層120及びオーミック電極244上に塗布してから、フォトリソグラフィによってパターニングして形成される。
フォトレジスト258を用いて、半導体層120上にショットキー電極242が形成される。ショットキー電極242は、例えば、厚さ100nmのNi層と、厚さ200nmのAu層とが、いずれもスパッタで形成されて、積層される。フォトレジスト258が、剥離液によって除去される。
コンタクト領域240及びオーミック電極244が熱処理されて、コンタクト領域240とオーミック電極244との間のオーミック特性を改良する。熱処理は、例えば、700℃で、30分間行われる。次に、4インチ径の規格の基板を切断して、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200を得る。
図12は、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200の整流特性を示すグラフである。横軸はショットキー電極242とオーミック電極244との間の電圧(V)を示し、縦軸はショットキー電極242とオーミック電極244との間の電流(mA)を示す。閾値電圧は0.5Vとなった、順方向に1Vの電圧を印加したときの、ショットキー電極242とオーミック電極244との間に流れる電圧は15mAであった。また、逆方向の耐圧は1000Vであった。一枚の4インチ径の規格の基板から得られた横型ショットキーバリアダイオード200の耐圧のばらつきは±50Vと小さかった。これは、中性子線130が半導体層120に均一に照射され、半導体層120中のゲルマニウム原子の分布が均一になるからである。
これに対して、ドーパントガスとしてSiH4ガスを用い、MOCVD法でn型GaN層を形成して、第2の実施形態に係る横型ショットキーバリアダイオード200と同じ構造のダイオードを製造すると、一枚の4インチ径の規格の基板から得られた逆方向のダイオードの耐圧が500V〜1100Vと大きくばらついた。これは、MOCVD法による1016cm−3オーダーのドーパント濃度の制御が困難であり、また、ドーパントが偏析によって不均一になるからである。
なお、窒化珪素層202及びシード層204は省略されてもよい。例えば、基板102がGaN基板であるときには、基板102上にバッファ層110が形成されてもよい。また別の例として、基板102がサファイア基板であるときは、基板102上にシード層204が形成され、シード層204上にバッファ層110が形成されてもよい。また、コンタクト領域240は省略されてもよい。例えば、半導体層120上にオーミック電極244が形成される。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る縦型ダイオード270の模式的な断面図である。図13において、図1または図5と同一の符号を付した要素は、図1または図5において説明した要素と同一の機能および構成を有してよい。縦型ダイオード270は、基板102、半導体層120、ショットキー電極242、及び、オーミック電極244を備える。
基板102は、n型の導電性を有するGaN基板である。例えば、基板102は、n+−GaN基板である。n+とは、n型半導体より、n型キャリアの濃度が高いことを示す。基板102は、例えば、Siがドープされて、キャリア濃度が3×1018cm−3〜4×1018cm−3である。基板102上に、窒化ガリウム系半導体で半導体層120が形成される。半導体層120は、例えば、アンドープのGaNで形成される。
一例として、基板102をMOCVD装置に設置して、TMGa及びNH3を、それぞれ、19μmol/min及び12L/minの流量で、MOCVD装置のチャンバーに導入して、半導体層120が形成される。半導体層120の厚さは、例えば、10000nmである。バッファ層110の成長温度は例えば1050℃で、成長圧力は50Torrである。
半導体層120に中性子線130が照射されて、半導体層120に含まれるガリウム原子の一部がゲルマニウム原子に変換される。これにより、半導体層120はn型の導電性を有するn型半導体層となる。例えば、半導体層120が形成された基板102を原子炉の照射室に導入して、半導体層120に25meVの中性子線130が照射される。一例として、流速1×1015cm−2の中性子線130が200秒間、半導体層120に照射されて、半導体層120に含まれるゲルマニウム原子の濃度が1×1016cm−3となる。中性子線130は半導体層120に均一に照射され、中性子線130は物質中の透過力が高いので、半導体層120におけるゲルマニウム原子の分布は、均一となる。
原子炉の照射室から取り出した基板102を加熱炉に導入して、熱処理をする。これによりゲルマニウム原子が活性化される。例えば、半導体層120を600℃〜1000℃で30分間〜60分間熱処理する。ただし、当該熱処理は省略してもよい。第3の実施形態に係る縦型ダイオード270の製造プロセスでは、この後のプロセスで半導体層120のゲルマニウム原子が活性化されるからである。
半導体層120上に、SiO2で保護膜が形成される。次に、基板102の裏面にオーミック電極244が形成される。オーミック電極244は、例えば、厚さ25nmのTi層と、厚さ300nmのAl層とが積層されて形成される。Ti層及びAl層は、いずれもスパッタで形成される。ショットキー電極242が形成される領域で、半導体層120上の保護膜が除去される。すなわち、保護膜上にフォトレジストを塗布してから、フォトリソグラフィ工程を用いてフォトレジストをパターニングし、保護膜の一部が弗化水素酸溶液を用いたウェットエッチングで除去される。保護膜が除去された領域で、半導体層120上にショットキー電極242が形成される。ショットキー電極242は、例えば、厚さ100nmのNi層と、厚さ200nmのAu層とが積層されて形成される。Ni層及びAu層は、いずれもスパッタで形成される。保護膜が弗化水素酸溶液を用いたウェットエッチングで除去される。基板102及びオーミック電極244が熱処理されて、半導体層120とオーミック電極244との間のオーミック特性を改良する。熱処理は、例えば、700℃で、30分間行われる。
中性子線130が半導体層120に均一に照射され、半導体層120中のゲルマニウム原子の分布が均一になるので、縦型ダイオード270は良好な整流特性を示し、逆方向の耐圧は1200Vであった。
図14は、本発明の第4の実施形態に係るpnダイオード280の模式的な断面図である。図14において、図13と同一の符号を付した要素は、図13において説明した要素と同一の機能および構成を有してよい。pnダイオード280は、基板102、半導体層120、p型半導体層286、p型コンタクト層288、アノード電極282、及び、カソード電極284を備える。
基板102は、n+−GaN基板である。基板102上に、窒化ガリウム系半導体で半導体層120が形成される。半導体層120は、例えば、アンドープのGaNで形成される。半導体層120に中性子線130が照射されて、半導体層120に含まれるガリウム原子の一部がゲルマニウム原子に変換される。これにより、半導体層120はn型の導電性を有するn型半導体層となる。
半導体層120上に、p型半導体層286がp型の導電性を有する窒化ガリウム系半導体で形成される。p型半導体層286は、例えば、p−GaNで形成される。p型半導体層286は、p型のドーパントを有する。p型半導体層286に含まれるp型のドーパントは、例えば、Mgである。p型半導体層286におけるp型のドーパントの濃度は、例えば、1×1018cm−3である。
一例として、半導体層120が形成された基板102をMOCVD装置に設置して、TMGa、NH3、及び、Cp2Mg(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)を、MOCVD装置のチャンバーに導入して、p型半導体層286が形成される。TMGa及びNH3の流量は、例えばそれぞれ、19μmol/min及び12L/minである。Cp2Mgの流量は、例えば、p型半導体層286におけるMgの濃度が1×1018cm−3となるように調整される。p型半導体層286の厚さは、例えば、200nmである。p型半導体層286の成長温度は例えば1050℃で、成長圧力は200Torrである。
p型半導体層286上に、p型の導電性を有する窒化ガリウム系半導体で、p型コンタクト層288が形成される。p型コンタクト層288は、例えば、p+−GaNで形成される。p+とは、p型半導体層より、p型キャリアの濃度が高いことを示す。p型コンタクト層288は、p型のドーパントを有する。p型コンタクト層288におけるp型のドーパントの濃度は、p型半導体層286におけるp型のドーパントの濃度より高い。p型コンタクト層288に含まれるp型のドーパントは、例えば、Mgである。p型コンタクト層288におけるp型のドーパントの濃度は、例えば、2×1019cm−3である。
一例として、半導体層120及びp型半導体層286が形成された基板102をMOCVD装置に設置して、TMGa、NH3、及び、Cp2Mgを、MOCVD装置のチャンバーに導入して、p型コンタクト層288が形成される。TMGa及びNH3の流量は、例えばそれぞれ、19μmol/min及び12L/minである。Cp2Mgの流量は、例えば、p型コンタクト層288におけるMgの濃度が2×1019cm−3となるように調整される。p型コンタクト層288の厚さは、例えば、300nmである。バッファ層110の成長温度は例えば1050℃で、成長圧力は200Torrである。p型半導体層286及びp型コンタクト層288は、MOCVD装置の同一のチャンバーで連続的に形成されてもよい。p型コンタクト層288により、p型半導体層286とアノード電極282との接続抵抗を下げることができる。
p型コンタクト層288上に、SiO2で保護膜が形成される。次に、基板102の裏面にカソード電極284が形成される。カソード電極284は、例えば、厚さ25nmのTi層と、厚さ300nmのAl層とが積層されて形成される。Ti層及びAl層はいずれもスパッタで形成される。アノード電極282が形成される領域で、p型コンタクト層288上の保護膜が除去される。すなわち、保護膜上にフォトレジストを塗布してから、フォトリソグラフィ工程を用いてフォトレジストをパターニングし、保護膜の一部が弗化水素酸溶液を用いたウェットエッチングで除去される。
保護膜が除去された領域で、p型コンタクト層288上にアノード電極282が形成される。アノード電極282は、例えば、厚さ100nmのPt層と、厚さ300nmのAu層とが積層されて形成される。Pt層及びAu層は、いずれもスパッタで形成される。アノード電極282はこれに限られず、Ni層とAu層との積層であってもよいし、あるいは、Pd層とAu層との積層であってもよい。保護膜が弗化水素酸溶液を用いたウェットエッチングで除去される。基板102、カソード電極284、p型コンタクト層288及びアノード電極282が熱処理されて、半導体層120とカソード電極284との間、及び、p型コンタクト層288とアノード電極282との間のオーミック特性を改良する。熱処理は、例えば、700℃で、30分間行われる。
中性子線130が半導体層120に均一に照射され、半導体層120中のゲルマニウム原子の分布が均一になるので、pnダイオード280は良好な整流特性を示し、逆方向の耐圧は600Vであった。
p型半導体層286及びp型コンタクト層288に含まれるp型ドーパントは、Mgに限られない。例えば、p型半導体層286及びp型コンタクト層288に含まれるp型ドーパントは、ZnあるいはBeでもよい。
図15は、本発明の第5の実施形態に係るMOSFET300の模式的な断面図である。図15において、図13と同一の符号を付した要素は、図13において説明した要素と同一の機能および構成を有してよい。MOSFET300は、基板102、半導体層120、p層302、コンタクト領域304、絶縁層306、ゲート電極308、ソース電極310、及び、ドレイン電極312を備える。
基板102は、n+−GaN基板である。基板102上に、窒化ガリウム系半導体で半導体層120が形成される。半導体層120は、例えば、アンドープのGaNで形成される。半導体層120に中性子線130が照射されて、半導体層120に含まれるガリウム原子の一部がゲルマニウム原子に変換されている。これにより、半導体層120はn型の導電性を有するn型半導体層となっている。
半導体層120は、基板102と反対側の一部に突起を有し、基板102の突起を有さない他の一部上に、p型の導電性を有する窒化ガリウム系半導体で、p層302が形成されている。基板102の突起の側面は、p層302に接している。基板102の突起の上面と、p層302の上面とは、同一の平面内にある。したがって、p層302の厚さは、半導体層120の突起を含めた半導体層120の厚さより薄い。p層302は、例えば、p−GaNで形成される。p層302は、p型のドーパントを有する。p層302に含まれるp型のドーパントは、例えば、Mgである。p層302おけるp型のドーパントの濃度は、例えば、1×1016cm−3〜1×1017cm−3である。p層302は反転層として機能する。
p層302の基板102と反対側の上面に接する領域の一部は、n型の導電性を有する窒化ガリウム系半導体で形成されたコンタクト領域304となっている。コンタクト領域304は、例えば、n+−GaNで形成される。コンタクト領域304は、n型のドーパントを有する。コンタクト領域304が有するn型のドーパントは、例えば、Siである。コンタクト領域304におけるn型のドーパントの濃度は、例えば、5×1018cm−3である。コンタクト領域304の厚さは、p層302の厚さより薄い。コンタクト領域304は、p層302の上面から基板102側に向かって、形成される。p層302とコンタクト領域304の境界面は、基板102側に向かって凸の形状を有する。
コンタクト領域304、p層302、半導体層120上に絶縁層306が形成される。絶縁層306は、半導体層120の突起の上面を覆って形成される。絶縁層306は、コンタクト領域304の上面の一部、及び、コンタクト領域304と半導体層120の突起との間のp層302の上面を覆って形成される。
コンタクト領域304及びp層302は、半導体層120の突起の両側に、半導体層120の突起を囲んで形成される。したがって、絶縁層306は、一方のコンタクト領域304の上面の一部から、他方のコンタクト領域304の上面の一部まで形成される。
コンタクト領域304上に絶縁層306が形成されていない領域で、コンタクト領域304上に、導電性の物質でソース電極310が形成されて、ソース電極310とコンタクト領域304が電気的に接続される。ソース電極310は、p層302が絶縁層306で覆われていない領域で、p層302上に形成される。ソース電極310はコンタクト領域304にオーミック接続する。
絶縁層306上にゲート電極308が形成される。ゲート電極308は、半導体層120の突起の上方に形成される。また、ゲート電極308は、コンタクト領域304の一部、及び、コンタクト領域304と半導体層120の突起との間の領域の上方に形成される。したがって、ゲート電極308は、一方のコンタクト領域304の上面の一部から、他方のコンタクト領域304の上面の一部まで形成される。ただし、上面から見たときに絶縁層306はゲート電極308より大きく、ゲート電極308は、コンタクト領域304及びソース電極310のいずれにも接しない。
基板102の、半導体層120と反対側の面に接してドレイン電極312が、導電性の物質で形成されて、基板102とドレイン電極312が電気的に接続される。ドレイン電極312は、基板102の裏面全体を覆う。ドレイン電極312が基板102にオーミック接続する。
第5の実施形態に係るMOSFET300は、オフ状態でチャネル領域が空乏化するので、ノーマリオフとなる。ゲート電極308に電圧を印加することによって、p層302及び半導体層120のキャリア濃度を変化させて、ソース電極310とドレイン電極312との間の導電性を制御する。中性子線130が半導体層120に均一に照射され、半導体層120中のゲルマニウム原子の分布が均一になるので、耐圧が高くなる。
図16は、第5の実施形態に係るMOSFETの製造プロセスにおいて、半導体層に開口部を形成した状態を示す模式的な断面図である。n+−GaN基板で形成された基板102上への半導体層120の形成、及び、半導体層120への中性子線130が照射は、第3の実施形態に係る縦型ダイオード270と同様に行われる。
p層302が形成されない領域で、半導体層120上に酸化珪素マスク320が形成される。すなわち、半導体層120上の全面にSiO2膜が形成されてから、p層302が形成される領域でSiO2膜が除去されて、除去されずに半導体層120上に残ったSiO2膜が酸化珪素マスク320となる。SiO2膜はプラズマCVDで形成される。p層302が形成される領域でのSiO2膜の除去は、SiO2膜上にフォトレジストを形成してから、フォトリソグラフィを用いてパターニングし、弗化水素酸系溶液を用いたウェットエッチングによって行われる。これにより、半導体層120の突起となる領域で、半導体層120上に酸化珪素マスク320が形成される。
酸化珪素マスク320を用いて、p層302が形成される領域で、半導体層120が除去されて、開口部322が形成される。例えば、ドライエッチングで、p層302が形成される領域で、半導体層120が除去される。一例として、半導体層120の厚さが10000nmであり、開口部322の深さは、300nmである。したがって、半導体層120の突起がある領域では、半導体層120の厚さが10000nmであり、p層302が形成される領域では、半導体層120の厚さが9700nmである。
半導体層120の一部が除去されて形成された開口部322に、p層302がp−GaNで形成される。p層302は、酸化珪素マスク320をマスクとして用いて、選択成長で形成される。例えば、半導体層120に開口部322が形成された基板102をMOCVD装置に設置して、TMGa、NH3、及び、Cp2Mgを、MOCVD装置のチャンバーに導入して、p層302が形成される。TMGa及びNH3の流量は、例えばそれぞれ、19μmol/min及び12L/minである。Cp2Mgの流量は、例えば、p層302におけるMgの濃度が1×1016cm−3〜1×1017cm−3となるように調整される。p層302の成長温度は例えば1050℃で、成長圧力は200Torrである。p層302の厚さは、例えば、300nmであり、開口部322の深さと、p層302の厚さが同じである。p層302が形成されてから、酸化珪素マスク320が除去される。酸化珪素マスク320は、例えば、弗化水素酸系溶液を用いて除去される。
図17は、第5の実施形態に係るMOSFET300の製造プロセスにおいて、コンタクト領域304が形成された状態を示す模式的な断面図である。p層302及び半導体層120上に保護膜250がSiO2で形成される。保護膜250は、プラズマCVDで形成される。保護膜250の厚さは、例えば、1000nmである。保護膜250はイオン注入の防護用の膜となる。
保護膜250上に、コンタクト領域304が形成される領域の上方に開口を有するフォトレジスト252が形成される。例えば、保護膜250上にフォトレジストを塗布してから、フォトリソグラフィを用いてパターニングして、フォトレジスト252が形成される。フォトレジスト252の上方から、イオン254が注入される。イオン254は、n型ドーパントのイオンである。一例として、イオン254は、Siのイオンである。イオン254の加速電圧は、例えば、150keVである。イオン254が、フォトレジスト252の開口部の下側で、p層302の一部に注入されて、コンタクト領域304が形成される。コンタクト領域304におけるn型のキャリア濃度は、例えば、5×1018cm−3である。
コンタクト領域304が形成されてから、フォトレジスト252が剥離液で除去される。次に、コンタクト領域304が熱処理される。コンタクト領域304の熱処理は、例えば、1000℃〜1200℃のRTA処理である。コンタクト領域304が熱処理されるときに、半導体層120のキャリア濃度及びp層302が同時に熱処理される。したがって、当該熱処理によって、コンタクト領域304、p層302及びコンタクト領域304のドーパントが活性化される。保護膜250が除去される。保護膜250は、例えば、弗化水素酸系溶液で除去される。
図18は、第5の実施形態に係るMOSFET300の製造プロセスにおいて、絶縁層306上にゲート電極308が形成された状態を示す模式的な断面図である。半導体層120の突起上、p層302上、及び、コンタクト領域304上に絶縁層306が形成される。絶縁層306は、プラズマCVD法によりSiO2で形成される。絶縁層306の厚さは、例えば、60nm〜100nmである。絶縁層306は、半導体層120、p層302、及び、コンタクト領域304上の全面に形成され、ゲート電極308が形成された後に、フォトリソグラフィによりパターニングされる。
絶縁層306が形成されてから、絶縁層306、p層302、及び、半導体層120が熱処理される。絶縁層306、p層302、及び、半導体層120は、例えば、800℃〜1000℃で30分間熱処理される。熱処理によって、絶縁層306と、半導体層120及びp層302との界面準位密度が低減される。
絶縁層306上に、ゲート電極308が形成される領域に開口を有するマスク324が形成される。例えば、絶縁層306上にフォトレジストを塗布してから、フォトリソグラフィを用いてパターニングして、マスク324が形成される。マスク324を用いて、ゲート電極308が導電性の材料で形成される。ゲート電極308は、例えば、ポリシリコンで形成される。
基板102の、半導体層120が形成された面とは反対側の面に、ドレイン電極312が形成される。ドレイン電極312は、基板102の裏面の全面に形成される。ドレイン電極312は、例えば、スパッタで形成された、厚さ25nmのTi層と、厚さ300nmのAlとが積層されて形成される。
ソース電極310が形成される領域で、コンタクト領域304上の絶縁層306が除去される。例えば、レジスト材料を絶縁層306上に塗布してから、フォトリソグラフィによってソース電極310が形成される領域で絶縁層306を除去する。絶縁層306が除去された領域で、コンタクト領域304上にソース電極310が形成される。ソース電極310は、例えば、スパッタで形成された、厚さ25nmのTi層と、厚さ300nmのAlとが積層されて形成される。
中性子線130が半導体層120に均一に照射され、半導体層120中のゲルマニウム原子の分布が均一になるので、第5の実施形態に係るMOSFET300の耐圧が1000Vと高くなった。
p層302に含まれるp型ドーパントは、Mgに限られない。例えば、p層302及びコンタクト領域304に含まれるp型ドーパントは、ZnあるいはBeでもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。