JP2017212407A - 半導体基板と、その調整方法と、半導体装置 - Google Patents

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【課題】III族窒化物半導体基板の表面からII族元素のイオンを注入して熱処理する通常の方法では、p型の伝導領域を作ることができない。【解決手段】III族窒化物半導体の表面4cを−C面にしてイオン注入と熱処理を実施する。注入イオンが活性化する高温度に加熱しても半導体基板の表面が荒れず、良好なp型伝導領域16a,16b,16c,16dに変質する。イオン注入法によって半導体基板の表面の一部の範囲に臨む領域にp型伝導領域を形成することが可能となる。【選択図】図9

Description

本明細書では、GaN等のIII族窒化物の結晶からなる半導体基板の調整方法を開示する。さらに、新規なIII族窒化物半導体基板と、それを利用する半導体装置も開示する。
III族窒化物半導体基板の表面の一部の範囲に臨む領域を、p型伝導領域に調整したい場合がある。前記表面の全域に亘る領域をp型伝導領域に調整する場合は、p型のIII族窒化物を結晶成長させてp型伝導領域とすることができる。しかしながら、p型伝導領域の形成範囲を一部の範囲に限定するのに好適な方法が開発されていない。
特許文献1に、III族窒化物半導体基板の表面の一部の範囲に臨む領域をエッチングして凹部を作成し、その凹部にp型のIII族窒化物結晶を再成長させる技術が開示されている。特許文献2に、III族窒化物半導体基板の表面の一部の範囲からIII族窒化物半導体基板内にII族元素のイオンを注入してから熱処理する技術が開示されている。
特開2009−32873号公報 特開2015−233097号公報
特許文献1に記載の方法では、III族窒化物半導体基板のエッチング工程と、p型のIII族窒化物結晶の成長工程を実施する必要があり、処理中の基板をエッチング装置から結晶成長装置に移動しなければならない。基板をエッチング装置から結晶成長装置に移動させると、意図に反してシリコン(Si)又は酸素が基板の表面に取り込まれることを防止しきれず、p型のIII族窒化物結晶の再成長開始面にSi又は酸素が不純物となって取り込まれてしまう。例えば、n型のIII族窒化物半導体層をエッチングしてからp型のIII族窒化物結晶を再成長させる場合、両者の接合界面に意図しないSiが取り込まれ、接合界面におけるSiの濃度が、n型のIII族窒化物半導体層内の濃度よりも濃くなり、p型のIII族窒化物半導体層内の濃度よりも濃くなってしまう。pnの接合界面に、意図しない不純物であるSiの濃度ピークが現れることになり、pn接合特性が不安定となってしまう。接合界面に意図しない酸素が取り込まれ、それによってpn接合特性が不安定となる場合もある。
特許文献2が示す「注入してから熱処理する」方法では、熱処理の際にIII族窒化物半導体基板の表面から窒素が抜けてしまうという問題が生じる。換言すると、基板表面に露出しているIII族窒化物結晶が熱分解して基板表面が荒れるという問題が生じる。基板の表面が荒れると、半導体に深い準位が形成され、p型の伝導性が打ち消されて高抵抗となってしまう。特許文献2の方法では、基板表面が高抵抗化するのを防止するために、イオンを注入したIII族窒化物半導体基板の表面を保護膜で覆った状態で熱処理する。この方法では、III族窒化物半導体基板と保護膜の熱膨張率の相違等に起因して熱処理時に保護膜が部分的に欠損し、基板からの窒素抜けを十分に防止できない現象が生じる。また熱処理によって保護膜が変質し、熱処理後の保護膜を基板表面から除去できなくなるという問題が発生する。さらには保護膜を構成する元素がIII族窒化物半導体基板内に侵入するという問題が生じることもある。一般的に保護膜を構成する元素はn型の不純物となり、p型の伝導性を打ち消すように挙動する。
特許文献1〜2の技術には、克服すべき課題が多く残されている。イオン注入してから熱処理することによってp型伝導領域に変質させる方法であり、保護膜を利用しなくても窒素抜けが防止できる技術が必要とされている。
表面からIII族窒化物半導体基板内にII族元素のイオンを注入して熱処理すると窒素が抜けてしまう原因を検討した結果、下記が判明した。
p型の伝導領域に変質させるためには、II族元素を注入したIII族窒化物半導体基板を熱処理してII族元素を活性化する必要がある。III族窒化物半導体基板内でのII族元素の活性化率が低いために、熱処理温度を高くする必要がある。最低でも1000℃以上に加熱する必要がある。
III族窒化物結晶には、窒素極性面とIII族極性面が存在する。通常は、III族窒化物結晶のC面が表面を形成している基板を用いる。そのC面はIII族極性面であり、最表面にIII族元素が位置している。最表面のIII族元素は最表面から2層目の窒素に対して3本の結合手で結合しており、化学的に安定している。例えば、アルカリ溶液を用いる化学処理に対してIII族極性面は安定している。通常は、化学的に安定しているC面に対して各種の半導体加工技術を適用する。
しかるに、上記したように、III族窒化物半導体基板を熱処理してII族元素を活性化するためには1000℃以上の熱処理を必要とする。ここまで高温に加熱すると、最表面から2層目の窒素と3層目のIII族元素は1本の結合手のみで結合しているために、熱エネルギーによって結合が破れ、窒素がガスとなって離脱する(結晶が熱分解する)。その現象が生じると、元の最表面から3層目にあったIII族元素が最表面に露出し、その下にあった最表面から4層目の窒素と5層目のIII族元素の結合が破れて更なる窒素抜けが生じる。これが繰り返される結果、半導体基板の表面が荒れ、表面近傍が高抵抗化することが判明した。
本明細書に開示する技術では、上記問題に対処するために、表面が窒素極性面であるIII族窒化物半導体基板を用いる。窒素極性面の一例である−C面の場合、最表面の窒素は最表面から2層目のIII族元素に対して3本の結合手で結合しており、熱的に安定している。一般的に、窒素極性面の場合、最表面の窒素がその下にあるIII属元素に2本以上の結合手で結合しており、安定した表面となっている。−C面以外の窒素極性面の一例に(1−101)面が例示されるが、その面における最表面窒素は、その下層のIII属元素に2本又は3本の結合手で結合している。この場合、2本の結合手で結合している窒素と3本の結合手で結合している窒素が交互に出現する規則性が認められ、平均すると2.5本の結合手で結合している。窒素極性面は、−C面だけでなく、一般的に熱的な安定性が高い。III族窒化物半導体基板を1000℃以上に加熱しても、窒素極性面の最表面に位置している窒素が抜けることがない(結晶が熱分解しない)。
本明細書に開示する技術では、表面が窒素極性面であるIII族窒化物半導体基板を用意し、その表面の一部の範囲からIII族窒化物半導体基板内にII族元素のイオンを注入し、イオンを注入したIII族窒化物半導体基板を1000℃以上に加熱してイオンを注入した領域をp型の伝導領域に変質させる。
上記の方法によると、基板の表面近傍から窒素が抜けることを防止でき、p型伝導性を損ねる深い準位の形成を防止でき、良質で低抵抗なp型伝導領域を得ることができる。
III族窒化物結晶にII族元素を注入すると、III族元素とII族元素のイオン性の相違によって結晶形状が歪む。II族元素を注入する前のIII族窒化物結晶とII族元素を注入した後のIII族窒化物結晶とを比較すると、後者のa軸格子定数は前者より小さくなり、後者のc軸格子定数は前者より大きくなる。注入によって結晶形状が変化する。その状態で熱処理すると、空乏型欠陥やアンチサイト欠陥などが生成され、p型伝導性を損ねる。
その問題に対処するためには、III族窒化物半導体基板の表面から基板内に水素を導入してから熱処理するのが好ましい。水素の導入は、II族元素の注入前であってもよいし後でもよい。水素は基板に注入してもよいが、水素の原子サイズが小さいことから基板の表面を水素に晒すことでも基板内に水素を導入することができる。
III族窒化物半導体基板内にII族元素と水素が導入されると、II族イオンの余剰電荷が水素で終端され、II族元素が結晶形状を歪ませる現象が打ち消される。熱処理によって空乏型欠陥やアンチサイト欠陥などが生成される現象を抑制することができる。
水素による前記効果を十分に利用するためには、注入したII族元素より高濃度となるまで水素を導入することが好ましい。注入したII族元素が結晶形状を歪ませる現象をほぼ打ち消すことができる。
II族元素を注入したIII族窒化物半導体基板の表面が露出する状態、すなわち、II族元素を注入したIII族窒化物半導体基板の表面を保護膜で覆わない状態で熱処理することが好ましい。
前記したように、表面が窒素極性面であるIII族窒化物半導体基板を用いると、熱処理しても窒素抜けが生じない。保護膜で覆う必要がない。保護膜で覆うと、その保護膜を形成する元素がIII族窒化物半導体基板内に侵入する現象が生じえる。III族窒化物半導体基板内に意図しない元素が侵入すると、p型伝導型領域の電気的特性が侵入元素の影響を受けてしまう。例えば、保護膜にSiOを用いると、III族窒化物半導体基板内にドナーとして動作する酸素(SiOに由来する)が侵入し、p型伝導性を損なってしまう。熱処理温度を上げるとIII族窒化物半導体基板内にSi(SiOに由来する)までが侵入し、p型伝導性をさらに損なってしまう。保護膜にSiNを用いる場合、SiNとIII族窒化物の熱膨張率の相違によって熱処理時に保護膜が断続的に損傷し、III族窒化物半導体基板のIII族極性面が部分的に露出して表面が荒れる領域が発生する。熱処理後の保護膜が除去できないという問題も生じる。保護膜で覆った状態で熱処理すれば保護膜の影響が基板に現れてしまう。保護膜を必要としない方法を採用して保護膜を用いないで熱処理すれば、保護膜に由来する問題の発生を避けることができる。
本明細書で開示する技術によって、新規なIII族窒化物半導体基板が提供される。このIII族窒化物半導体基板の表面は窒素極性面であり、一般的に用いられるIII族極性面でない。このIII族窒化物半導体基板は、表面の近傍に位置する一部の領域ではp型であり、隣接領域では、n型,i型,又は低濃度(前記の一部の領域におけるp型不純物濃度よりも低濃度)のp型である。すなわち、表面の近傍に位置する一部の領域におけるII族元素の存在濃度が、隣接領域におけるII族元素の存在濃度より濃い関係にある。本技術で得られる基板の場合、II族元素の存在濃度が高濃度な領域とII族元素の存在濃度が低濃度の領域との界面に、不純物として混入しやすいSi濃度のピークも存在しなければ、酸素濃度のピークも存在しない。
特許文献1の半導体基板では、p型のIII族窒化物結晶の成長開始面に、Si又は酸素といった意図しない不純物濃度のピーク値が存在し、それが例えばpn接合面の電気的特性を低下させる。特許文献2の半導体基板は、表面がIII族極性面であり、保護膜の影響を受けている。本明細書で開示するIII族窒化物半導体基板では、表面が窒素極性面であり、特許文献2の基板と相違する。また、高濃度のp型領域と、それ以外の隣接領域(すなわち、n型領域,i型領域,又は低濃度のp型領域)の界面に、Si又は酸素といった意図しない不純物の濃度ピークが存在せず、特許文献1の基板からも相違する。高濃度のp型領域と隣接領域の界面では、注入したp型不純物の濃度がピークとなることもなければ、意図しない不純物が紛れ込んで、前記界面で高濃度となることもない。本明細書で開示するIII族窒化物半導体基板は、既知の基板のいずれとも相違し、安定した特性を提供する。
II族元素は、マグネシウムを用いることが好ましい。マグネシウムは、II族の他の元素、例えばベリリウムに比して毒性が低く、カルシウムまたはカルシウムより質量数が大きなII族元素よりもイオン注入時にIII族窒化物結晶に与える影響が小さい。
本明細書で開示する技術によって、上記構成に加えて、表面から深さ方向にとった不純物濃度のプロファイルにおいて、表面に接近するほどSi又は酸素が高濃度となるパターンが認められないという特性を持ったIII族窒化物半導体基板を実現することもできる。表面が窒素極性面である基板を熱処理することから保護膜を用いる必要がなく、保護膜を形成する元素が基板の表面から基板内に侵入することがないからである。
基板の表面を保護膜で覆った状態で熱処理すると、保護膜を形成していた元素が基板の表面から基板内に侵入する。一般的に利用される保護膜はSi又は酸素を含んでおり、保護膜で覆われている基板を熱処理すると、表面から深さ方向にとったSi(または酸素)濃度のプロファイルにおいて、表面に接近するほどSi(または酸素)が高濃度となるパターンが生じる。Si濃度が表面に接近するほど高濃度となることもなく、酸素濃度が表面に接近するほど高濃度となることもない基板であって、表面の一部の範囲に臨む領域がp型の伝導領域であるIII族窒化物半導体基板は、本明細書に開示する技術によってはじめて実現された。
p型の伝導領域に隣接する他の領域は、n型であってもよいし、p型であってもよい。前者であればpn接合を利用する半導体装置の製造が可能となり、後者であれば低濃度のp型領域を高濃度のp型コンタクト領域によって金属電極に導通させる半導体装置の製造が可能となる。
本明細書で開示する技術は、表面が−C面(マイナスC面)であって裏面がC面であるIII族窒化物半導体基板に利用することができる。その場合、表面に表面電極が形成されているとともに裏面に裏面電極が形成されている半導体装置の製造が可能となる。特表2010−509177号公報に記載の技術では、GaN層の積層途中でAlN層を積層し、その上にGaN層を積層する。AlN層の存在によってGaN層の極性が反転し、AlN層上に積層されるGaN層の表面は窒素極性面となる。この場合は、基板の表裏両面が−C面となり、厚みの中間部にAlNといった極性反転層を持っている。表裏両面が−C面である基板の場合、極性を反転させるAlN層が中間に存在し、表面電極と裏面電極を利用する縦型半導体装置の抵抗が高抵抗となってしまう。本明細書に開示する技術によると、低抵抗な縦型半導体装置の製造が可能となる。
本明細書でいう窒素極性面は、−C面((000−1)面)に限られるものでなく、例えば(1−101)面であってもよい。
実施例1の半導体装置の製造工程の第1段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第2段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第3段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第4段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第5段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第6段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第7段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第8段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第9段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第10段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第11段階を示す。 実施例1の半導体装置の製造工程の第12段階を示す。 マグネシウムに加えて水素を導入することで得られる効果を示す。 SiN膜を保護膜にして熱処理した後のSiN膜の表面を示す。 SiN膜に除去工程を施した後の基板の表面を示す。 図15の表面のオージェ電子分光法の測定結果を示す。 実施例2の半導体装置の断面を示す。 実施例3の半導体装置の断面を示す。 実施例4の半導体装置の断面を示す。 実施例5の半導体装置の断面を示す。 特性評価用の半導体装置の断面を示す。 特性評価用の半導体装置の電気的特性と、比較例の電気的特性を示す。
以下に説明する実施例の特徴を列記しておく。
(特徴1)n型のGaN層中に製造したp型伝導領域が、半導体素子の周辺に生じる電界集中を緩和するフィールドリングとして機能する。
(特徴2)n型のGaN層の表面側に形成したp型伝導型領域が、アノード領域として機能する。
(特徴3)低濃度のp型のGaN層中に製造した高濃度のp型伝導領域が、金属電極に接触して低濃度のp型のGaN層の電位と金属電極の電位を等しくするコンタクト領域として機能する。
(特徴4)p型のGaN領域(p型伝導領域)が、nチャネルMOSのウエル領域を形成する。p型のウエル領域内に、n型のソース領域とn型のドレイン領域とp型のコンタクト領域(p型伝導領域)が形成されている。
(特徴5)n型のGaN層内に、p型のソース領域(p型伝導領域)とp型のドレイン領域(p型伝導領域)とn型のコンタクト領域が形成されており、pチャネルMOSを形成している。
(特徴6)特徴4のnチャネルMOSと特徴5のpチャネルMOSがcMOSを形成している。
(特徴7)II族元素に加えて水素を導入ることで、導入前後におけるIII族窒化物結晶のa軸格子定数の変化が、0.001オングストローム以下に抑えられる。格子定数は、X線逆格子マップ法で計測する。0.001オングストロームは、最少計測精度である。
(特徴8)p型伝導領域と隣接領域の界面で、II族元素の濃度が極大になることもなければ、酸素の濃度が極大となることもなければ、Siの濃度が極大となることもない。
(特徴9)p型伝導領域の表面から深さ方向に観察したときに、酸素の濃度プロファイルにおいても、Siの濃度プロファイルにおいても、表面側ほど濃いプロファイルが存在しない。
(第1実施例)
第1実施例は、図12に示すように、本技術を半導体素子の周辺部に適用し、n型のGaN層4内の一部にp型の伝導領域16a,16b,16c,16dを形成してガードリングとした例である。以下、図1〜図12を参照して製造方法を説明する。
図1:n型のGaN基板2を用意する。GaN基板2は、裏面がC面であれば、表面が−C面となる性質を備えている。ここでは、−C面が表面2a(その後の加工をする面)となる向きとする。n型のGaN基板2は、サファイア基板、Si基板、SiC基板等の上にGaN結晶をヘテロ成長させた基板の支持基板側を研磨ないし剥離して得たものであってもよい。
図2:n型のGaN基板2の表面2a上に、MOVPE法によってn型のGaN層4を結晶成長させる。GaN層4の表面4aは−C面となる。n型のGaN層4は、pnダイオードのカソード領域に適した電気的特性のものを結晶成長させる。本実施例では、ドナー濃度を1E16cm−3とした。
図3:n型のGaN層4の表面4a上に、MOVPE法によって、p型のGaN層6を結晶成長させる。GaN層6の表面6aは−C面となる。p型のGaN層6は、pnダイオードのアノードに適した電気的特性のものを結晶成長させる。本実施例では、アクセプタ―濃度を5E19cm−3とした。p型のGaN層6とn型のGaN層4によって縦型のダイオード構造が得られる。
図4:半導体チップの中央部を覆うエッチング用保護膜8を形成する。この工程では、GaN層6の表面6a上に、プラズマCVD法によってSiO膜を形成し、半導体チップの周辺領域に相当する範囲に形成されたSiO膜を除去することによって、半導体チップの中央部のみを覆うエッチング用保護膜8を形成する。
図5:ドライエッチングし、半導体チップの周辺領域ではp型のGaN層6を除去し、n型のGaN層4を露出させる。n型のGaN層4の露出面4cは−C面となる。
図6:次に実施するイオン注入工程用のマスク膜10を形成する。この工程では、残存したp型のGaN層6の表面6a上と、露出したn型のGaN層4の露出面4c上に、プラズマCVD法でSiO膜を形成する。次に、後記するフィールドリングの形成領域ではSiO膜を除去し、イオン注入工程用のマスク膜10に開口10a,10b,10c,10d等を形成する。
図7:表面にイオン注入工程用のスルー膜12を形成する。スルー膜12には、SiNを用い、その厚みを30〜50nmとした。スルー膜12は、マスク膜10の表面を覆い、開口10a,10b,10c,10dではマスク膜10の側面を覆い、開口10a,10b,10c,10dの底面に露出するGaN層4の露出面4cを覆う。
図8:マグネシウムと水素をイオン注入する。マグネシウムは1E19cm−3のピーク濃度となるように注入し、水素は2E20cm−3のピーク濃度となるように注入する。マグネシウムより水素が多量に存在する関係とする。これによってGaN層4の結晶形状は、イオン注入の前後によって大きく変化することがない。その後に熱処理する際に欠陥が形成されるのを防止する。なお、マグネシウムの注入範囲は開口10a,10b,10c,10d等によって規制する必要があるが、水素の導入領域は少なくともマグネシウムの注入範囲を含んでいればよく、GaN層4の露出面4cの全域に注入してもよい。スルー膜12は、注入したマグネシウム濃度の深さ方向のプロファイルを、意図したものに調整する。
図13は、マグネシウムと水素の注入前のGaN層4の結晶形状と、マグネシウムのみを注入したGaN層4の結晶形状と、マグネシウムと水素の両者を注入したGaN層4の結晶形状の関係を示している。マグネシウムのみを注入すると、注入前後においてa軸定数が0.025977オングストロームも短くなるのに対し、マグネシウムと水素の両方を注入すると、注入前後においてa軸定数が0.000006オングストロームしか変化しないことがわかる。水素を併用することで結晶形状の変化を抑制できることが分かり、熱処理の際に生じる欠陥の数を減少できることが分かる。格子定数は、X線逆格子マップ法で計測することができる。その最少計測精度は0.001オングストローム程度であり、マグネシウムと水素の両方を注入した場合には結晶形状の変化が検出できないほど微小であることが分かる。
図9:イオン注入工程用のマスク膜10とスルー膜12を除去する。除去した後に、基板を1000℃以上に加熱する熱処理を実施する。本実施例では1230℃に加熱した。注入したマグネシウムが活性化し、p型の伝導領域16a,16b,16c,16dに変質する。マグネシウムを注入したGaN層4の露出面4cが露出した状態で、すなわち、露出面4cを保護膜で覆わない状態で熱処理するために、GaN層4あるいはp型の伝導領域16a,16b,16c,16dに、保護膜を形成する元素が侵入することがない。GaN層4あるいはp型伝導領域16a,16b,16c,16dの電気的特性を意図したものに調整することができる。熱処理すると、GaN層4に導入した水素の相当数はGaN層4から離脱してしまう。熱処理後の水素濃度はマグネシウム濃度よりも低下することがある。
図10:裏面電極18を形成する。GaN基板2の裏面2bにチタン層とアルミニウム層を積層し、窒素雰囲気中で600℃に5分間熱処理すると、GaN基板2の裏面2bと裏面電極18がオーミック接触する。
図11:半導体装置の表面側の必要部位に、絶縁膜20を形成する。プラズマCVD法でSiO膜を形成し、それをパターンニングすることで絶縁膜20を形成する。
図12:表面電極22を形成する。p型GaN層6の表面6aにニッケル層と金層を積層し、酸素雰囲気中で550℃に5分間熱処理すると、p型GaN層6の表面6aと表面電極22がオーミック接触する。
第1実施例では、n型GaN層4の−C面(露出面)4cにII族元素(本実施例ではマグネシウム)と水素を注入して熱処理する。熱処理の際には1000℃以上に加熱する必要があるが、−C面を用いることから窒素抜けが生じず、保護膜で覆わないで熱処理することができる。GaN層4あるいはp型の伝導領域16a,16b,16c,16dに保護膜を形成する元素が侵入することがない。元素が侵入すると、露出面4cから深さ方向にとった不純物濃度のプロファイルに、露出面4cに接近するほど不純物が高濃度となるパターンが認められはずであるが、本実施例ではそのような濃度のプロファイルが見られない。また、p型の伝導領域16a,16b,16c,16dとn型GaN層4の界面に、酸素あるいはシリコンが集中して存在することもなく、フィールドリングによる耐圧向上効果が安定している。
C面にII族元素を注入して熱処理する場合は、窒素抜けを防止するために保護膜で被覆する必要がある。この場合は、前記したように保護膜を形成する元素が基板内に侵入して特性を乱すという問題に加えて、下記の問題が生じる。
図14は、GaN基板のC面(Ga面)にSiN膜(厚み30nm)を形成した状態で1230℃に熱処理した後の表面を光学顕微鏡で観察した図面である。GaNとSiNの熱膨張率の相違によって、昇温時にSiN膜が引っ張られ、円形状の欠損が多数できてしまうことが分かる。欠損部では基板から窒素抜けが生じる。保護膜を利用する方法では、表面に沿って一様に延びるp型伝導領域を形成することが難しい。
保護膜を形成して熱処理する技術には、熱処理した保護膜を除去するのが困難であるという問題も生じる。図15は、GaN基板のC面(Ga面)にSiN膜(厚み30nm)を形成し、1230℃に熱処理し、その後にバッファ―ドフッ酸に15分以上晒した後の表面を光学顕微鏡で観察した図面である。図16は、同じ表面のオージェ電子分光法の測定結果を示す。バッファ―ドフッ酸によってSiN膜を除去する工程を実施しても除去しきれず、図16に示すように、SiNに由来するSiが面内の至るところで観測された。バッファ―ドフッ酸に15分以上晒してもSiN膜を除去しきれないことが分かる。
第1実施例では、半導体チップの中央領域にダイオードが形成される。中央領域に形成する半導体装置はダイオードに限定されない。
(特性評価装置)
図21に示すように、本技術による場合の特性を評価するために、n型GaN基板62の表面62aから、表面近傍のn型GaN基板62内に、マグネシウムと水素を注入してから熱処理することで、p型GaN層64を製造した。p型GaN層64を製造する前は、図21の62aに示す位置までn型GaN基板62が延びている。表面62aは、p型GaN層64を製造する前のn型GaN基板62の表面である。表面62aは−C面であり、裏面62bはC面である。
参照番号66は裏面電極であり、カソード電極となり、参照番号68は表面電極であり、アノード電極となる。図21の半導体装置は、pnダイオードである。
図22の横軸は、カソード電極66とアノード電極68の間の電位差であり、縦軸は、カソード電極66とアノード電極68の間を離れる電流である。
カーブ74は、図21に示すpnダイオードの計測結果であり、3ボルトで電流が立ち上がっており、理論値から予想される特性によく一致している。図21の構造によると、意図した通りのp型伝導領域64が製造できることが分かる。
カーブ72は、n型GaN層のC面(Ga面)にマグネシウムを注入して熱処理することでp型伝導領域の形成を試みた場合の計測結果であり、整流特性を示さない。窒素抜け等に起因してp型伝導領域が形成されないことが分かる。
カーブ76は、n型GaN層の−C面(窒素極性面)にマグネシウムのみを注入して熱処理することでp型伝導領域の形成した場合の計測結果であり、電流の立ち上がり電圧が高く、高抵抗である。p型伝導領域が形成されるものの、高抵抗であることが分かる。マグネシウムと水素を併用することによって、ほぼ理論通りの特性74を持つダイオードを製造することができる。
(第2実施例)
第2実施例では、図17に示すように、低濃度のp型GaN層36の表面の一部に、マグネシウムと水素を注入して熱処理することで高濃度のp型GaN領域46を形成する。金属電極44は、低濃度のp型GaN層36に対してはオーミック接触しないが、高濃度のp型GaN領域46に対してはオーミック接触する。低濃度のp型GaN層36は、高濃度のp型GaN領域46を介して金属電極44に導通し、電極44と同電位となる。
参照番号32は、n型のGaN基板であり、表面32aは−C面であり、裏面32bがC面である。n型のGaN基板32の裏面(C面)32bに、裏面電極(ドレイン電極)52が形成されている。n型のGaN基板32は、ドレイン領域となる。
参照番号34は、GaN基板32の表面(−C面)32a上にエピタキシャル成長したn型のGaN層であり、表面34aは−C面であり、裏面34bがC面である。n型のGaN層34は、ドリフト領域となる。MOVPE法によってn型のGaN層34を結晶成長させることが好ましい。ドナー濃度は1E16cm−3とした。
参照番号36は、n型のGaN層34表面(−C面)34a上にエピタキシャル成長したp型のGaN層であり、表面36aは−C面であり、裏面36bがC面である。製造工程では、n型のGaN領域38の位置と、p型のGaN領域46に位置にも、p型のGaN層36を成長させ、その後に、n型のGaN領域38とp型のGaN領域46に変化させる。n型のGaN領域38とp型のGaN領域46に変質しない範囲のp型のGaN層36はボディ領域となる。MOVPE法によってp型のGaN層36を結晶成長させることが好ましい。アクセプタ濃度は5E16cm−3とした。
参照番号38は、p型のGaN層36の表面36aの一部の範囲に臨む位置に形成されたn型のGaN領域であり、ソース領域として機能する。実際には、n型GaN領域38の形成範囲にあるp型GaN層36に、シリコンまたはゲルマニウムをイオン注入して形成する。イオン注入範囲を規制するためには、実施例1と同様に、パターニングされたSiO膜を用い、イオン注入深さを規制するためには、実施例1と同様に、SiN膜を用いる。シリコンまたはゲルマニウムを活性化させる熱処理は、後記するマグネシウムの熱処理と兼用させることが好ましい。
参照番号46は、p型のGaN層36の表面36aの一部の範囲に臨む位置に形成されたp型のGaN領域であり、ボディコンタクト領域として機能する。実際には、p型GaN領域46の形成範囲のp型GaN層36に、マグネシウムと水素をイオン注入して形成する。イオン注入範囲を規制するためには、実施例1と同様に、パターニングされたSiO膜を用い、イオン注入深さを規制するためには、実施例1と同様に、SiN膜を用いる。
型のGaN領域38の形成範囲にシリコンまたはゲルマニウムを注入し、p型のGaN領域46の形成範囲にマグネシウムと水素を注入したら、注入範囲を規制するSiO膜とイオン注入深さを規制するSiN膜を除去する。すなわち、p型のGaN層36の表面36aを露出させる。表面36aを露出させた状態で、1230℃に加熱する。この結果、シリコンまたはゲルマニウムが活性化してn型のGaN領域38が形成され、マグネシウムが活性化してp型のGaN領域46が形成される。マグネシウムに加えて水素を導入する目的は実施例1と同様であり、重複説明を省略する。
参照番号40aは、n型のGaN領域38(ソース領域)と、p型のGaN層36(ボディ領域)を貫通してn型のGaN領域34(ドレイン領域)に侵入しているトレンチゲート電極である。
製造時には、トレンチゲート電極40aの形成するためのトレンチを形成する。すなわち、n型のGaN領域38とp型のGaN領域46が形成されたp型のGaN層36の表面36aに、SiO膜を形成してエッチング用マスク膜を形成し、SiO膜を部分的に除去してトレンチ形成範囲に開口を形成し、その開口からドライエッチンして、n型のGaN領域38とp型のGaN層36を貫通してn型のGaN領域34に侵入するトレンチを形成する。
参照番号42は、そうして形成したトレンチの側面と底面と、p型のGaN層36の表面36aに形成した絶縁膜であり、SiOまたはAl等を原子堆積法などで堆積させて形成した絶縁膜である。参照番号40aは、絶縁膜42で側面等が覆われたトレンチ内に形成されたトレンチゲート電極である。参照番号40bは、ゲート電極の一部であり、トレンチ外を延びており、金属電極50とトレンチゲート電極40aを導通させる。ゲート電極40a,40bは、多結晶シリコンなどで形成する。
参照番号48は層間絶縁膜であり、必要箇所には縦方向に延びる貫通孔が形成されており、そこに金属電極50,44が入り込んでいる。金属電極50は、トレンチゲート電極40aに導通しており、金属電極44は、n型のGaN領域38(ソース領域)と、p型のGaN領域46(コンタクト領域)に導通している。金属電極44は、ソース電極であり、p型のGaN層36の電位を安定させる電極でもある。
上記の半導体装置は、ドレイン電極52を高電位に接続し、ソース電極44を接地し、電極50に加える電位を変化させる。電極50に正電位を加えると、絶縁膜42を介してトレンチゲート電極40aに対向している位置にあるp型のGaN層36がn型に反転し、反転層によってn型のGaN領域38(ソース領域)とn型のGaN領域34(ドリフト領域)が導通し、ソース電極44とドレイン電極50の間を電流が流れる。電極50に正電位を加えるのを停止すると、反転層が消失し、ソース電極44とドレイン電極50の間が高抵抗な状態となる。図17の装置は、縦型のトランジスタであることが分かる。
第2実施例では、p型のGaN層36の表面36aにII族元素を注入してから熱処理することで、p型のGaN領域46を製造する。ここで、p型のGaN層36の表面36aが−C面であることから、熱処理の際に窒素が抜けず、保護膜で被覆しない状態で熱処理することができる。実施例1で説明した利点を享受できる。
この実施例では、p型のGaN層36内にp型のGaN領域46を形成する。これに対して第1実施例では、n型のGaN層内にp型のGaN領域を形成した。後者の場合は、pn接合界面の深さと、p型イオンの注入によって生じる損傷の発生深さが一致し、pn接合界面を漏れ出るリーク電流の増大が懸念される。前者の場合は、リーク電流の増大が問題とならない。本技術は、前者に適用する場合の方が広く適用でき、後者に適用する場合はリーク電流が許容値に抑えられるか否かに関して注意を払う必要がある。
特表2010−509177号公報に、GaN層の積層途中でAlN層を積層し、その上にGaN層を積層し、その上にp型のGaN層を積層する技術が開発されている。AlN層の存在によってGaN層の極性が反転し、AlN層上に積層されるGaN層の表面は窒素極性面となる。この場合、表裏両面が−C面となる。厚みの中間部にAlNといった極性反転層を持っている。実施例1〜2のいずれでも、表面電極と裏面電極の間にAlNといった極性反転層を持たない。このために表面電極と裏面電極間の抵抗値が低い。また極性反転層を利用する場合に比して、表面(−C面)における欠陥密度が低く、イオン注入によってp型伝導性に変質させる現象を阻害する要因が少ない。実施例1〜2によって低抵抗で高特性の縦型半導体装置を得ることができる。
(第3実施例)
第1実施例では、半導体基板の中央領域にダイオードを形成する。中央領域に形成する半導体装置はダイオードに限定されない。例えば、図18に示す縦型MOSトランジスタ(または縦型MOSFET)などであってもよい。図18において、71は裏面電極であり、本実施例ではドレイン電極となる。72はn型GaN基板であり、73はn型GaN層である。n型GaN層73は、n型GaN基板72の表面にエピタキシャル成長した層であり、その表面は−C面であり、裏面はC面である。n型GaN層73が結晶成長した段階では、後にp型伝導領域74a,74bとなる領域と、後でn型伝導領域75a,75bとなる領域の表面73aまで、n型のGaN層73の表面73aである。74a,74bは、n型GaN層73の表面(−C面)73aからMgを注入して熱処理することで得られたp型伝導領域であり、本実施例ではボディ領域となる。75a,75bは、表面73aからSiを注入して熱処理することで得られたn型伝導領域であり、本実施例ではソース領域となる。76a,76bはソース電極であり、77はゲート絶縁膜であり、78はゲート電極である。図18のMOSを半導体基板の中央領域に形成し、その周囲に、図12に示したp型のガードリング構造を形成してもよい。この実施例では、n型GaN結晶層73の−C面を表面73aにし、その表面からMgを注入して熱処理することによってp型伝導領域74a,74bを形成することから、熱処理の際に窒素抜けを防止することができる。
(第4実施例)
本明細書に開示する技術は、横型MOSトランジスタ(または横型MOSFET)に適用することもできる。図19において、80は絶縁基板であり、82a,82bは絶縁壁である。81はn型GaN層であり、周囲は絶縁基板80と絶縁壁82a,82bで取り囲まれている。n型GaN層81が結晶成長した段階では、後にp型ボディ領域83になる領域と、後でn型伝導領域85になる領域と、後でn型伝導領域88になる領域の表面も、n型のGaN層81の表面81aである。83は、n型GaN層81の表面(−C面)81aからMgを注入して熱処理することで得られたp型伝導領域であり、本実施例ではボディ領域となる。85は、表面81aからSiを注入して熱処理することで得られたn型伝導領域であり、本実施例ではソース領域となる。88は、表面81aからSiを注入して熱処理することで得られたn型伝導領域であり、本実施例ではドレイン領域となる。84はソース電極であり、86はゲート絶縁膜であり、87はゲート電極であり、89はドレイン電極である。この実施例では、n型GaN結晶層81の−C面を表面81aにし、その表面からMgを注入して熱処理することによってp型伝導領域83を形成することから、基板からの窒素抜けを防止することができる。
(第5実施例)
本明細書に開示する技術は、CMOSに適用することもできる。図20において、90は絶縁基板である。91はn型GaN層であり、n型GaN層91が結晶成長した段階における表面91aは、−C面である。92は、その−C面91aからMgを注入して熱処理することで得られたp型伝導領域であり、本実施例ではp型ウエル領域となる。p型ウエル領域92内に、nチャネルMOSが形成される。94は、表面91aからSiを注入して熱処理することで得られたn型伝導領域であり、本実施例ではソース領域となる。95は、表面91aからSiを注入して熱処理することで得られたn型伝導領域であり、本実施例ではドレイン領域となる。93は、表面91aからMgを注入して熱処理することで得られたp型伝導領域であり、本実施例ではコンタクト領域となる。99はソース電極であり、101はゲート絶縁膜であり、100はゲート電極であり、102はnチャネルMOSのドレイン電極とpチャネルMOSのソース電極を兼用する電極である。ソース電極99は、接地して用いる。p型伝導領域92の電位は、p型伝導領域93を介して接地電位に維持される。
96は、表面(−C面)91aからMgを注入して熱処理することで得られたp型伝導領域であり、pチャネルMOSのソース領域となる。97は、表面91a(−C面)からMgを注入して熱処理することで得られたp型伝導領域であり、本実施例ではドレイン領域となる。98は、表面91aからSiを注入して熱処理することで得られたn型伝導領域であり、本実施例ではコンタクト領域となる。102はpチャネルMOSのソース電極(nチャネルMOSのドレインを兼用している)であり、105はゲート絶縁膜であり、104はゲート電極であり、106はドレイン電極である。ドレイン電極106には、一定の電圧VDDが印加される。pチャネルMOSのボディ領域(n型GaN層91)の電位は、VDDに維持される。nチャネルMOSのドレインとpチャネルMOSのソースを兼用している電極102は、出力端子でもあり、ゲート電極100,104に印加する電圧によって、接地電圧又はVDDのいずれかとなる。参照番号103,107は、絶縁膜である。
本実施例では、n型GaN結晶層91の−C面を表面91aにし、その表面からMgを注入して熱処理することによってp型伝導領域92、p型伝導領域93,96,97を形成することから、高温度の熱処理を必要とするMgの活性時に、基板から窒素抜けを防止することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2 :n型GaN基板
2a :表面(−C面,マイナスC面)
2b :裏面(C面)
4 :n型GaN層(エピタキシャル成長層)
4a :表面(−C面,マイナスC面)
4c :露出面(−C面,マイナスC面)
6 :p型GaN層(エピタキシャル成長層)
6a :表面(−C面,マイナスC面)
8 :Si0層(エッチング用マスク)
10 :Si0層(注入用マスク)
10a,10b,10c,10d:開口
12 :SiN層(スルー膜)
14a,14b,14c,14d:マグネシウムと水素の注入領域
16a,16b,16c,16d:p型伝導領域
18 :裏面電極
20 :Si0膜(絶縁膜)
22 :表面電極
32 :n型GaN基板(ドレイン領域)
32a:表面(−C面,マイナスC面)
32b:裏面(C面)
34 :n型GaN層(エピタキシャル成長層、ドリフト領域)
34a:表面(−C面,マイナスC面)
36 :p型GaN層(エピタキシャル成長層、ボディ領域)
36a:表面(−C面,マイナスC面)
38 :n型GaN領域(ソース領域)
40a:トレンチゲート電極
40b:ゲート電極の一部
42 :絶縁膜
44 :表面電極(ソース電極)
46 :p型GaN領域(コンタクト領域)
48 :層間絶縁膜
50 :金属電極(ゲート電極)
52 :裏面電極(ドレイン電極)
62 :n型GaN基板
62a:n型GaN基板の表面
62b:n型GaN基板の裏面
64 :p型伝導領域
66 :カソード電極
68 :アノード電極
71 :裏面電極(ドレイン電極)
72 :n型GaN基板
73 :n型GaN層
74a,74b:p型伝導領域(ボディ領域)
75a,75b:n型伝導領域(ソース領域)
76a:ソース電極
77 :ゲート絶縁膜
78 :ゲート電極
80 :絶縁基板
81 :n型GaN基板
82a,82b:絶縁壁
83 :p型伝導領域(ボディ領域)
84 :ソース電極
85 :n型伝導領域(ソース領域)
86 :ゲート絶縁膜
87 :ゲート電極
88 :n型伝導領域(ドレイン領域)
89 :ドレイン電極
90 :絶縁基板
91 :n型GaN層
92 :p型伝導領域(p型ウエル領域)
93 :p型伝導領域(p型コンタクト領域)
94 :n型伝導領域(ソース領域)
95 :n型伝導領域(ドレイン領域)
96 :p型伝導領域(ソース領域)
97 :p型伝導領域(ドレイン領域)
98 :n型伝導領域(n型コンタクト領域)
99 :ソース電極(接地して用いる)
100:ゲート電極
101:ゲート絶縁膜
102:nチャネルMOSのドレイン電極と、pチャネルMOSのソース電極
103:絶縁膜
104:ゲート電極
105:ゲート絶縁膜
106:ドレイン電極
107:絶縁膜

Claims (10)

  1. 表面が窒素極性面であるIII族窒化物半導体基板を用意し、
    前記表面の一部の範囲から前記III族窒化物半導体基板内にII族元素のイオンを注入し、
    前記イオンを注入した前記III族窒化物半導体基板を1000℃以上に加熱し、
    前記イオンを注入した領域をp型の伝導領域に変質させる、半導体基板の調整方法。
  2. 前記III族窒化物半導体基板を1000℃以上に加熱するのに先立って、前記表面から前記III族窒化物半導体基板内に水素を導入する、請求項1の調整方法。
  3. 注入したII族元素より高濃度となるまで水素を導入する、請求項2の調整方法。
  4. 前記イオンを注入した前記III族窒化物半導体基板の前記表面が露出する状態で前記III族窒化物半導体基板を1000℃以上に加熱する、請求項1〜3のいずれかの一項に記載の調整方法。
  5. III族窒化物半導体基板であり、
    表面が窒素極性面であり、
    前記表面の近傍に位置する一部の領域におけるII族元素の存在濃度が隣接領域におけるII族元素の存在濃度より濃く、
    II族元素の存在濃度が高濃度な領域とII族元素の存在濃度が低濃度の領域との界面に酸素濃度とシリコン濃度とII族元素濃度のピークが存在しない、III族窒化物半導体基板。
  6. 前記II族元素がマグネシウムである、請求項5のIII族窒化物半導体基板。
  7. 前記表面から深さ方向にとった酸素濃度とシリコン濃度のプロファイルに、表面に接近高濃度となるパターンが認められない、請求項5又は6のIII族窒化物半導体基板。
  8. II族元素の存在濃度が濃い前記領域がp型であり、前記隣接領域がn型である、請求項5〜7のいずれかの一項に記載のIII族窒化物半導体基板。
  9. II族元素の存在濃度が濃い前記領域がp型であり、前記隣接領域がp型である、請求項5〜7のいずれかの一項に記載のIII族窒化物半導体基板。
  10. 表面が−C面(マイナスC面)であって裏面がC面である請求項5〜9のいずれかの一項に記載のIII族窒化物半導体基板を利用しており、
    前記表面に表面電極が形成されているとともに前記裏面に裏面電極が形成されている半導体装置。
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