JP2004342633A - 露光装置、照明装置及び露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体光源を光源として露光装置において、高精度の露光を可能にする露光装置及びこの露光装置を用いた露光方法等を提供すること。
【解決手段】固体光源ユニット21から射出すべき照明光のピーク波長や輝度を目標値に設定してマスクMAを所望の状態で照明することができ、投影光学系6によってプレートPL上に投影される像光のピーク波長や輝度を目標値に設定することができる。さらに、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度を積極的に調節することによって、投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を適宜変更することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】固体光源ユニット21から射出すべき照明光のピーク波長や輝度を目標値に設定してマスクMAを所望の状態で照明することができ、投影光学系6によってプレートPL上に投影される像光のピーク波長や輝度を目標値に設定することができる。さらに、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度を積極的に調節することによって、投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を適宜変更することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他のマイクロデバイスの製造工程において用いられる露光装置、照明装置及び露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子や液晶基板等を製造するためのリソグラフィ工程において、レチクルあるいはフォトマスク等(以下単に「レチクル」という)のパターン像を投影光学系を介して感光基板上に露光する投影露光装置が使用されている。一般に、このような投影露光装置は、光源の光でレチクルを均一に照明するための照明光学系と、レチクルに形成された回路パターンをウェハ等の基板上に結像するための投影光学系と、基板を支持しつつ適宜移動させて位置決めするためのステージ装置とからなっている(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−154643号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述の投影露光装置の光源としては、波長約360nm程度の紫外領域においては主に水銀ランプなどが用いられていた。この水銀ランプの寿命は、概ね500h〜1000h程度であることから、定期的にランプ交換が必要となり投影露光装置のユーザには大きな負担となっていた。また、高照度確保のために高電力が必要であり、またそれに伴う発熱対策などが必要になるなど、高いランニングコストの問題や、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性を有していた。
【0004】
これに対して発光ダイオードは、水銀ランプなどに比べて発光効率が高く、そのため省電力、小発熱という特長を持ち大幅なランニングコストの低減を実現できる。また寿命も3000h程度のものもあるため、交換にかかる負担も少なく、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性もない。さらに最近では、波長365nmで100mW程度の高い光出力を達成したUV−LEDなども開発されている。
【0005】
一方で、発光ダイオードを光源として露光装置に組み込んだ場合、従来の水銀ランプの場合と同様の駆動方法を適用することは不可能であり、発光ダイオードに適合した駆動が必要になる。その際、単に発光ダイオードに適合するだけでは足りず、露光装置の光源としても適切な動作を確保する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、固体光源を光源として露光装置において、高精度の露光を可能にする露光装置及びこの露光装置を用いた露光方法等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を、投影手段の光学特性、投影手段の光学特性の変動、及び感光性基板の感光特性のうち少なくとも1つを含む投影条件に応じて制御する特性制御手段とを備える。なお、「固体光源」とは、発光ダイオード、半導体レーザ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の各種固体発光素子を含む概念である。
【0008】
上記露光装置では、特性制御手段が照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を投影条件に応じて制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。例えば投影条件として投影手段の光学特性に応じて照明装置の光射出特性を制御する場合、投影手段の光学特性の特性等を配慮してこれに適合させた照明・露光が可能になる。また、投影条件として投影手段の光学特性の変動に応じて照明装置の光射出特性を制御する場合、投影手段の光学特性の経時的変化等を配慮してこれに適合させた照明・露光が可能になる。また、投影条件として感光性基板の感光特性に応じて照明装置の光射出特性を制御する場合、感光性基板のレジストの種類等に適合した適切な露光が可能になり、感光特性の個体差、経時的変化等を配慮してこれに適合させた照明・露光が可能になる。なお、固体光源を用いた場合、長い発光寿命と高い発光効率とを達成することができる。また、可視から紫外域にかけて多様な波長の光を発生させることができるので、固体光源を用いた場合、照明光の波長の任意性を極めて高めることができる。
【0009】
第2の発明に係る露光装置は、第1の発明の露光装置において、特性制御手段が、投影手段が有している光学特性としての結像特性及び当該結像特性に関する製造誤差のうち少なくとも一方に応じて、照明装置から射出される照明光の波長及び強度の少なくとも一方を調節することを特徴とする。この装置では、投影手段の色収差等の結像特性やその製造誤差に基づいて照明光の波長や強度を調節することができるので、投影手段の結像状態に適合する高精度の露光が可能になる。
【0010】
第3の発明に係る露光装置は、第1の発明の露光装置において、特性制御手段が、投影手段が有している光学特性としての結像特性の経時的な変動に応じて、照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を調節する。この装置では、投影手段の色収差等の結像特性の経時的変動に基づいて照明光の波長や強度を調節することができるので、投影手段の結像状態の変動を相殺するような高精度の露光が可能になる。
【0011】
第4の発明に係る露光装置は、第2,3の発明の露光装置において、投影手段が有している結像特性は、色収差、フォーカス状態及びディストーションのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。この装置では、投影手段の結像に関する色収差、フォーカス状態及びディストーションを、照明装置の光射出特性の調整によって無理なく適正に補正することができる。
【0012】
第5の発明に係る露光装置は、第1の発明の露光装置において、特性制御手段が、感光性基板上に塗布されたレジストの特性である感光特性に応じて、照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を調節することを特徴とする。この装置では、レジストの特性に基づいて照明光の波長や強度を調節することができるので、レジストのタイプ若しくは種類、その変更等に適宜対応して高精度の露光が可能になる。
【0013】
第6の発明に係る露光装置は、第1〜5の発明の露光装置において、照明装置が、照明装置を構成する固体光源の温度を調節する温度調節手段を備え、特性制御手段が、温度調節手段を介して固体光源の動作温度を制御することによって当該固体光源の発光特性を制御することを特徴とする。この装置では、固体光源の温度調節によって固体光源の出力やピーク波長を安定した所望の状態に設定することができる。
【0014】
第7の発明に係る露光装置は、第6の発明の露光装置において、投影手段の光学特性を実時間で検出するセンサあるいは、前記光学特性を算出する算出手段をさらに備え、特性制御手段が、当該センサの出力あるいは、該演算手段の算出結果に基づいて、温度調節手段による固体光源の温度調節量を算出することを特徴とする。この装置では、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の光学特性をセンサによって実際に計測し、あるいは、演算手段により算出し、温度調節手段を介して固体光源の温度を調節することができるので、投影手段の光学特性の変動を適切に補正して安定した状態に維持することができる。
【0015】
第8の発明に係る露光装置は、第1〜7の発明の露光装置において、照明装置が、照明装置を構成する固体光源に供給する電力を調節する電力調節手段を備え、特性制御手段が、電力調節手段を介して固体光源への供給電力を制御することによって当該固体光源の発光特性を制御することを特徴とする。この装置では、固体光源への供給電力調節によって固体光源の出力やピーク波長を安定した所望の状態に設定することができる。
【0016】
第9の発明に係る露光装置は、第8の発明の露光装置において、投影手段の光学特性を実時間で検出するセンサあるいは、前記光学特性を算出する算出手段をさらに備え、特性制御手段が、当該センサの出力あるいは、該演算手段の算出結果に基づいて、電力調節手段よる固体光源に対する電力調節量を算出することを特徴とする。この装置では、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の光学特性をセンサによって実際に計測し、あるいは、演算手段により算出し、電力調節手段を介して固体光源への供給電力を調節することができるので、投影手段の光学特性の変動を適切に補正して安定した状態に維持することができる。
【0017】
第10の発明に係る露光装置は、第1〜9の発明の露光装置において、照明装置が、複数の固体光源を有するとともに、当該複数の固体光源の点灯数を調節する光源駆動手段をさらに備え、特性制御手段が、光源駆動手段を介して複数の固体光源の点灯または消灯を制御することによって照明装置の光射出特性を制御することを特徴とする。この装置では、固体光源の点灯数を調節することによって光射出特性を制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。
【0018】
第11の発明に係る露光装置は、第1〜10の発明の露光装置において、特性制御手段が、光源駆動手段を介して複数の固体光源の点灯数を変更することによって照明装置から射出される照明光の強度を調整するとともに、照明装置から射出される照明光の波長を調節することを特徴とする。この装置では、固体光源の点灯数を調節することによって照明光の強度や波長を制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。
【0019】
第12の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を検出する光検出手段と、光検出手段の検出結果に基づいて、投影手段の状態を調節する投影状態調節手段とを備える。
【0020】
上記露光装置では、投影状態調節手段が光検出手段の検出結果に基づいて投影手段の状態を調節するので、照明装置の光射出特性に適合するように状態を調節した投影手段によって、感光性基板の高精度な露光が可能になる。例えば照明装置の光射出特性を補償するように投影手段の状態を調節すれば、固体光源の製造誤差、個体差、変動、経時変化等の影響を補正することができるので露光精度を高めることができる。
【0021】
第13の発明に係る露光装置は、第12の発明の露光装置において、投影状態調節手段が、光検出手段の検出結果に基づいて投影手段の結像特性を調節することを特徴とする。この装置では、照明装置の光射出特性に基づいて投影手段の色収差等の結像特性やその製造誤差等を補正することができるので、照明装置の光射出特性に適合する高精度の露光が可能になる。
【0022】
第14の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を予め計測した結果を入力する入力手段と、入力手段に入力された結果に基づいて、投影手段の状態を調節する投影状態調節手段とを備える。
【0023】
上記露光装置では、投影状態調節手段が入力手段に入力された光射出特性の計測結果に基づいて投影手段の状態を調節するので、照明装置の光射出特性に適合するように状態を調節した投影手段によって、感光性基板の高精度な露光が可能になる。つまり、固体光源の製造誤差や個体差等に対応して投影手段を調節することにより露光精度を高めることができる。
【0024】
第15の発明に係る露光装置は、第14の発明の露光装置において、投影状態調節手段は、入力手段に入力された結果に基づいて、投影手段の結像特性を調節することを特徴とする。この装置では、入力された光射出特性に基づいて投影手段の色収差等の結像特性やその製造誤差等を補正することができるので、照明装置の光射出特性に適合する高精度の露光が可能になる。
【0025】
第16の発明に係る露光装置は、第13,15の発明の露光装置において、光射出特性が、照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を含み、結像特性が、色収差、フォーカス状態及びディストーションのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。この装置では、検出され或いは予め入力された照明光の波長や強度に基づいて投影手段の色収差、フォーカス状態及びディストーションを照明装置の特性に応じて適宜補正することができる。
【0026】
第17の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットを含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段とを備える。
【0027】
上記露光装置では、照明装置がマスクを照明するための照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットを含むので、直列光源ユニット単位で駆動することによって発光状態等の制御が簡易でかつ比較的精密なものとなる。また、直列光源ユニット単位でメンテナンスや交換が可能になり、メンテナンスや交換の作業性を向上させコストを低減することができる。
【0028】
第18の発明に係る露光装置は、第17の発明の露光装置において、照明装置は、当該照明装置を構成する少なくとも1つの固体光源の動作不良が発生した場合に、残存して動作する他の固体光源に供給する電力を調節する電力調節手段をさらに備える。この装置では、動作不良が発生した固体光源による光量損失を補うように残存して動作する他の固体光源を動作させることができ、波長変化も少なく抑えることができる。
【0029】
第19の発明に係る露光装置は、第18の発明の露光装置において、照明装置から射出される照明光の強度を、電力調節手段を介して一定に保持する光量制御手段をさらに備えることを特徴とする。この装置では、照明装置によるマスクの照明を一定に維持して露光精度を高めることができる。
【0030】
第20の発明に係る露光装置は、第17〜19の発明の露光装置において、複数の直列光源ユニットが、並列に接続されており、単一の電源回路から供給される電力によって動作するとともに、電力調整手段が、電源回路の出力を制御することを特徴とする。この装置では、単一の電源回路によって各直列光源ユニットを簡易に制御することができ、簡易な光源によって高精度の照明光を発生させることができる。
【0031】
第21の発明に係る露光装置は、第17〜20の発明の露光装置において、照明装置を構成する各固体光源の出力を検出するモニタ手段を備えることを特徴とする。この装置では、各固体光源の状態を個別に管理することができ、各固体光源の出力管理が容易である。
【0032】
第22の発明に係る露光装置は、第21の発明の露光装置において、モニタ手段が、各固体光源に付属して設けたフォトダイオードであることを特徴とする。この装置では、付属のフォトダイオードを利用して簡易な管理が可能である。
【0033】
第23の発明に係る露光装置は、第17〜20の発明の露光装置において、照明装置を構成する各固体光源の動作不良を検出するモニタ手段を備えるとともに、当該モニタ手段は、複数の直列光源ユニットのインピーダンス変化を検出する監視回路であることを特徴とする。この装置では、簡単な監視回路によって各固体光源の状態変化を監視することができる。
【0034】
第24の発明に係る露光装置は、第23の発明の露光装置において、監視回路は、複数の直列光源ユニットに電力を供給する際の電流変化又は応答特性または通電時の容量変化に基づいて固体光源の動作不良を検出することを特徴とする。この装置では、直列光源ユニットの動作時の電流変化や試験的な通電に対するインピーダンス応答によって照明光の強度を調節することができる。
【0035】
第25の発明に係る露光装置は、第17〜24の発明の露光装置において、各直列光源ユニットの許容最大電圧が200(V)であることを特徴とする。この装置では、直列光源ユニットに過大な電圧を印加する必要がなく、制御性、安全性を高めることができる。
【0036】
第26の発明に係る露光装置は、第17〜24の発明の露光装置において、照明装置が、直列光源ユニットをn個含み、各直列光源ユニットの許容最大電流が200/n(A)であることを特徴とする。この装置では、直列光源ユニットに過大な電流を印加する必要がなく、制御性、安全性を高めることができる。
【0037】
第27の発明に係る露光装置は、照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置から射出された照明光を絞ってステージに支持された感光性基板上に存在する所定の被露光領域に入射させる照射領域設定手段とを備えることを特徴とする。
【0038】
上記露光装置では、照射領域設定手段が固体光源を含む照明装置から射出された照明光を絞ってステージに支持された感光性基板上の所定の被露光領域に入射させるので、簡単な構造で制御が容易である固体光源によって、感光性基板の周辺露光が可能になる。なお、固体光源を用いた場合、長い発光寿命と高い発光効率とを達成することができ、照明光の波長の任意性を極めて高めることができる。
【0039】
第28の発明に係る露光装置は、第27の発明の露光装置において、照射領域設定手段が、レンズ及びマスクの少なくとも一方を含むことを特徴とする。この装置では、感光性基板上の所望領域のみを正確に露光することができる。
【0040】
第29の発明に係る露光装置は、第27,28の発明の露光装置において、照明装置が、照明光をそれぞれ発生する複数の固体光源を含むことを特徴とする。この装置では、複数の固体光源からの照明光によって所望の光量を確保することができる。
【0041】
第30の発明に係る露光装置は、第29の発明の露光装置において、照明装置が、複数の固体光源を2次元的に配列した光源ユニットからなることを特徴とする。この装置では、2次元的な擬似面光源状の光源ユニットを用いるので、十分な照明強度を確保しつつ、一様な露光が可能になる。また、光源ユニットとして取り扱い性を確保することができる。
【0042】
第31の発明に係る露光装置は、第27〜30の発明の露光装置において、照明装置は、照明光を20mW/cm2以上の照度で感光性基板上に入射させることを特徴とする。この場合、実用上十分なスループットを確保することができる。
【0043】
第32の発明に係る照明装置は、露光装置用のものであり、照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットと、複数の直列光源ユニットを並列に駆動する光源駆動回路とを備える。
【0044】
上記照明装置では、照明装置が複数の直列光源ユニットとこれらを並列に駆動する光源駆動回路とを含むので、光源を複数化した直列光源ユニット単位で駆動・制御することができ、発光状態等の制御が簡易でかつ比較的精密なものとなる。また、直列光源ユニット単位でメンテナンスや交換が可能になり、メンテナンスや交換の作業性を向上させコストを低減することができる。
【0045】
第33の発明に係る照明装置は、第32の発明の照明装置において、各光源駆動回路が、対応する直列光源ユニットを構成する複数の固体光源のうちの少なくとも1つの固体光源の動作不良が発生した場合に、残存して動作する他の固体光源に供給する電力を調節することを特徴とする。この装置では、動作不良が発生した固体光源による光量損失を補うように残存して動作する他の固体光源を動作させることができ、波長変化も少なく抑えることができる。
【0046】
第34の発明に係る照明装置は、第33の発明の照明装置において、各光源駆動回路が、各直列光源ユニットから射出される照明光の強度を一定に保持することを特徴とする。この装置では、照明装置によるマスクの照明強度を一定に維持して露光精度を高めることができる。
【0047】
第35の発明に係る露光方法は、第1〜31の露光装置を用いた露光方法において、被露光面または被露光面と光学的に共役な位置に配置されたマスクを照明装置によって照明する照明工程と、マスクのパターンを感光性基板上に転写する転写工程とを含むことを特徴とする。
【0048】
上記露光方法では、上述の露光装置を用いるので、固体光源からの十分な照明強度で露光を行うことができるとともに、照明装置の部分を長時間に亘って効率よく動作させることができる。さらに、特性制御手段が照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を投影条件に応じて制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。この露光装置10は、照明光源装置2と、照明光学系4と、マスクステージ5と、投影光学系6と、プレートステージ7と、主制御系8とを備え、プレート(感光性基板)PL上にマスクMAの像を投影することによって露光処理を行う。
【0050】
ここで、照明光源装置2は、固体光源ユニット21と、コリメートレンズ22と、光源駆動装置24と、温度調節装置26と、照明光検出部27とを備え、露光用の単色の照明光を発生する。このうち固体光源ユニット21は、コリメートレンズ22の前側焦点位置に配置されて、後述するように、光源駆動装置24から供給される駆動電流によって適当な輝度で発光する。固体光源ユニット21は、従来の高圧水銀ランプに代わるものであり、発光ダイオード(LED)のパッケージである単位固体光源をアレイ状に配列した発光ダイオードアレイにより構成され、基準光軸AX方向に垂直な方向に一定の面状の広がりを有する擬似面光源QSIを形成する。
【0051】
コリメートレンズ22は、固体光源ユニット21の擬似面光源QSIの各部から射出された照明光を、略平行光として照明光学系4のフライアイレンズ41に入射させる。
【0052】
光源駆動装置24は、主制御系8からの指示に基づいて、固体光源ユニット21を構成する各発光ダイオードアレイに適当な電流を供給し、各発光ダイオードアレイを所望の輝度で発光させる。
【0053】
図2は、固体光源ユニット21及び光源駆動装置24の回路構成の一例を説明する図である。固体光源ユニット21は、複数の直列光源ユニット21(1),21(2),…,21(n−1),21(n)からなり、各直列光源ユニット21(1),21(2),…,21(n−1),21(n)は、電圧源を含む光源駆動装置24によって並列に駆動される。これにより、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を一括してその点滅状態及び輝度を制御することができる。なお、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)ごとに光源駆動装置を設けることもできる。この場合、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)単位で、これらを構成する発光ダイオードEDの点滅状態と輝度が調節される。
【0054】
図1に戻って、温度調節手段である温度調節装置26は、例えば図2の直列光源ユニット21(1)〜21(n)ごとに設けたペルチエ素子等を含むヒータや冷却部である温調部26aと駆動回路26bとからなる。なお、温調部26aは、固体光源ユニット21全体を支持する部材に設けた単一のヒータ若しくは冷却部とすることもできる。温度調節装置26は、主制御系8からの指示に基づいて、固体光源ユニット21を構成する各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を冷却又は加熱して所望の温度に維持し、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)の発光特性を所望の状態に維持する。
【0055】
照明光検出部27は、ビームスプリッタ27aと、レンズ27bと、光センサ27cと、センサ計測処理部27dとを備える。固体光源ユニット21とコリメートレンズ22との間に配置されたビームスプリッタ27aは、照明光のうち例えば約2%をサンプリング用に反射し、レンズ27bを介して光センサ27cに入射させる。光センサ27cは、照明光の波長域で入射光の強度に応じた電気信号を発生する例えばフォトダイオード等の光電変換手段であり、その光量検出出力は、センサ計測処理部27dに出力されて照明光の光量制御に利用される。この際、主制御系8は、例えばセンサ計測処理部27dの出力に基づいて光源駆動装置24に出力制御信号を出力し、さらに、温度調節装置26に温度制御信号を出力する。光源駆動装置24は、この出力制御信号に基づいて固体光源ユニット21の駆動電力を制御し、例えば適正な照度すなわち露光量が確保されるようにする。また、温度調節装置26は、温度制御信号に基づいて固体光源ユニット21の温度を調節し、例えば適正な波長による露光が実行されるようにするとともに、適正な露光量が確保されるようにする。つまり、照明光の波長分布及び光量を目標値に保持するフィードバック制御が可能になる。
【0056】
なお、光センサ27cに代えて分光光度計を配置すれば、固体光源ユニット21が発生する照明光の波長分布を計測することができる。また、レンズ27b及び光センサ27c間に適当な特性のバンドパスフィルタ等を挿入することにより、照明光の特定波長における輝度を計測することもできる。以上の場合、照明光のピーク波長や分布特性を目標値に保持するフィードバック制御が可能になる。
【0057】
照明光学系4は、フライアイレンズ41と、開口絞り42と、ミラー43と、コンデンサーレンズ系44とを備え、マスクMAに対して波面分割重畳型のケーラー照明を可能にする。なお、この照明光学系4と上述の照明光源装置2とを組み合わせることによって照明装置が構成される。
【0058】
フライアイレンズ41は、正の屈折力を有する多数のレンズエレメントをその光軸が基準光軸AXと平行になるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。フライアイレンズ41を構成する各レンズエレメントは、マスクMA上において形成すべき照野の形状、ひいてはプレートPL上において形成すべき露光領域の形状とほぼ相似な矩形状の断面を有する。また、フライアイレンズ41を構成する各レンズエレメントの入射側の光学面は入射側に凸面を向けた球面状に形成され、射出側の光学面は射出側に凸面を向けた球面状に形成されている。
【0059】
したがって、フライアイレンズ41に入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、各レンズエレメントの後側焦点面には、固体光源ユニット21の一組の発光部(擬似面光源QSI)に対応する擬似面状の光源像がそれぞれ形成される。すなわち、フライアイレンズ41の後側焦点面には、多数の擬似面光源像を2次元的に配列した多重の面光源すなわち2次光源像が形成される。
【0060】
フライアイレンズ41の後側焦点面に形成された2次光源像からの光束は、その近傍に配置されたσ絞りとも呼ばれる開口絞り42を通過する。開口絞り42は、後述する投影光学系6の入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、2次光源像のうち照明に寄与する範囲を規定するための可変開口部を有する。この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定する重要なファクタであるσ値(投影光学系6の瞳面の開口EPの径に対するその瞳面上での2次光源像の口径の比)を所望の値に設定することができる。
【0061】
なお、フライアイレンズ41には、固体光源ユニット21からコリメートレンズ22を経た照明光が入射するが、この際、照明光を効率的にフライアイレンズ41に取り込むべく、フライアイレンズ41の入射側光学面の全体形状を照明光のビーム形状に一致させることが望ましい。
【0062】
コンデンサ光学系44は、フライアイレンズ41の各レンズエレメントの後側焦点面に形成された2次光源像から射出される照明光を、それぞれ平行光束としてマスクMA上に入射させる。つまり、フライアイレンズ41の各レンズエレメントの射出面に形成された多数の2次光源によって、マスクMA上に重畳してケーラー照明が行われるので、マスクMAが照明光によって極めて均一に照明される。
【0063】
マスクステージ5は、マスク駆動部51に駆動されて基準光軸AXに垂直な面内で2次元的に移動する。マスクステージ5の位置は、マスク駆動部51に設けたレーザ干渉計等によって計測され、主制御系8に出力される。主制御系8は、この位置情報に基づいてマスク駆動部51に設けたモータを駆動してマスクMAを目標位置に所望の速度で移動させることができる。
【0064】
投影光学系6は、屈折レンズ等の光学素子で構成されており、照明光によって照明されたマスクMAの像を適当な倍率でプレートPL上に投影する。なお、この投影光学系6の瞳面に設けた可変の開口EPは、照明光学系4に設けた開口絞り42と光学的に共役な配置となっている。
【0065】
プレートステージ7は、プレート駆動部71に駆動されて基準光軸AXに垂直な面内及び基準光軸AXに沿って3次元的に移動する。プレートステージ7の位置は、プレート駆動部71に設けたレーザ干渉計やフォーカスセンサ(不図示)等によって計測され、主制御系8に出力される。主制御系8は、この位置情報に基づいてプレート駆動部71に設けたモータを駆動してプレートPLを目標位置に所望の速度で移動させることができ、プレートPL上に投影されるマスクMAの像の結像位置や結像状態を調節することができる。
【0066】
なお、プレートステージ7の一部には、センサ72aとセンサ計測処理部72bとからなる照度検出部72が設けられている。この照度検出部72からの検出信号は、後述する照明光の輝度や露光量の制御のため主制御系8に出力される。
【0067】
また、プレートステージ7の一部には、像光検出部74が設けられている。この像光検出部74は、レンズ74aと、イメージセンサ74bと、センサ計測処理部74cとからなる。プレートステージ7を適宜移動させて、投影光学系6の下方に形成されるマスクMAの投影像すなわちパターン像の適所に像光検出部74を位置合わせすることにより、イメージセンサ74bが投影像の適当な部位の画像を取り込む。イメージセンサ74bは、CCD撮像素子等の撮像手段であり、その画像検出出力は、センサ計測処理部74cに出力され照明光の波長制御若しくは光量制御に用いられる。この際、主制御系8は、センサ計測処理部74dの出力に基づいて投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を検出する。なお、色収差の計測に際しては、レンズ74a及びイメージセンサ74b間に適当な特性のバンドパスフィルタ等を挿入することにより、検出画像の差異の比較が可能になる。以上のようにして得た投影光学系6の結像特性は、以下に詳述するが、主制御系8によって光源駆動装置24を介して固体光源ユニット21の駆動電力を制御する際に利用され、或いは、温度調節装置26を介して固体光源ユニット21の温度を制御する際に利用される。
【0068】
主制御系8は、照明光源装置2、マスクステージ5、プレートステージ7等を適当なタイミングで動作させて、プレートPL上の適所にマスクMAの像を投影するとともに投影位置を変更しながら露光を繰り返す、いわゆるステップ・アンド・リピート型の露光処理を行う。この際、主制御系8は、特性制御手段として、センサ計測処理部27d,74cの出力に基づいて光源駆動装置24及び温度調節装置26を動作させて、固体光源ユニット21の動作状態を制御する。なお、主制御系8にはハードディスク等の記憶装置が内臓されており、この記憶装置内には露光データファイルが格納されている。露光データファイルには、プレートPLの露光を行う上で必要となる処理及びその処理順が記憶されており、この処理毎に、プレートPL上に塗布されているレジストに関する情報(例えば、レジストの分光特性)、必要となる解像度、使用するマスクMA、照明光学系の補正量(照明光学特性情報)、投影光学系の補正量(投影光学特性情報)、及び基板の平坦性に関する情報等(所謂、レシピデータ)が含まれている。
【0069】
以下、図1等に示す第1実施形態に係る露光装置10の動作について説明する。固体光源ユニット21からは、発光ダイオードEDに固有の単色の照明光が出力される。固体光源ユニット21からの光束は、コリメートレンズ22によりほぼ平行な光束に変換された後、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ41に入射する。フライアイレンズ41に入射した光束は波面分割され、各レンズエレメントの後側焦点面には2次光源像が形成される。各2次光源からの光束は、その近傍に配置された開口絞り42を通過し、ミラー43を介してコンデンサ光学系44の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMAを重畳的に均一照明する。マスクMAのパターンを透過した光束は、投影光学系6を介して、感光性基板であるプレートPL上にマスクパターンの像を形成する。そして、投影光学系6の光軸すなわち基準光軸AXと直交する平面内においてプレートPLを二次元的に駆動制御しながら一括露光を行うことにより、プレートPLの各露光領域にマスクMAのパターンが逐次露光される。
【0070】
この際、主制御系8は、照度センサ72からの出力に基づいて、固体光源ユニット21の輝度及び点灯時間を制御し、適正な照度さらには露光量が確保されるようにする。
【0071】
また、主制御系8は、センサ計測処理部27d,72b,74cの出力に基づいて、光源駆動装置24及び温度調節装置26を動作させて、固体光源ユニット21の動作状態を波長や輝度に関して制御する。
【0072】
図3は、固体光源ユニット21を構成する発光ダイオードEDの動作特性を概念的に説明するグラフである。図3(a)、(b)は発光ダイオードEDの電力特性を示し、図3(c)、(d)は発光ダイオードEDの温度特性を示す。なお、図3(a)、(b)において発光ダイオードEDの温度は一定とし、図3(c)、(d)において発光ダイオードEDへの供給電力は一定としている。図3(a)から明らかなように、一定温度に保たれた発光ダイオードEDへの供給電力を増加させることによって、発光ダイオードEDの出力すなわち輝度が上昇する。また、図3(c)から明らかなように、駆動電力を一定に保った発光ダイオードEDの温度を増加させることによって、発光ダイオードEDの出力すなわち輝度が徐々に低下する。さらに、図3(d)から明らかなように、一定温度に保たれた発光ダイオードEDへの供給電力を増加させることによって、発光ダイオードEDのピーク波長が徐々に上昇する。以上をまとめると、発光ダイオードEDの温度及び駆動電力のいずれか一方を一定に保って他方を変化させれば、発光ダイオードEDの輝度を一定範囲内で任意の状態に制御することができる。さらに、発光ダイオードEDの駆動電力を一定に保って温度を変化させれば、発光ダイオードEDのピーク波長を一定範囲内で任意の状態に制御することができる。この際、発光ダイオードEDの駆動電力を適宜調節すれば、発光ダイオードEDの輝度を一定に保ったままで、発光ダイオードEDのピーク波長を一定範囲内で任意の状態に制御することができる。
【0073】
以上の説明は発光ダイオードEDについてのものであったが、これらを組み合わせた直列光源ユニット21(1)〜21(n)ひいては固体光源ユニット21ついても同様の現象が当てはまり、一般的には、発光ダイオードEDの温度を一定に保って駆動電力を変化させれば、発光ダイオードEDの輝度のみを独立して調節することができ、発光ダイオードEDの温度及び駆動電力を適当なバランスで変化させれば、発光ダイオードEDのピーク波長のみを独立して調節することができる。以上のような動作特性若しくは光射出特性は、予め固体光源ユニット21を計測すること等によって管理されており、このようなデータは、主制御系8中に固体光源ユニット21の光射出特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。
【0074】
上記の光射出特性テーブルを用いれば、固体光源ユニット21から射出すべき照明光のピーク波長や輝度(強度)を目標値に設定してマスクMAを所望の状態で照明することができ、投影光学系6によってプレートPL上に投影される像光のピーク波長や輝度を目標値に設定することができる。一方、投影光学系6によってプレートPL上に形成される投影像の結像状態は、照明光源装置2から射出される照明光のピーク波長や輝度に依存して変化することが分かっている。よって、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度を積極的に調節することによって、投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を適宜変更することができる。以上のような結像特性は、予め投影光学系6を計測すること等によって管理されており、このようなデータは、主制御系8中に投影光学系6の結像特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。
【0075】
具体的な内容について説明すると、例えば投影光学系6について、着目する第1波長と第2波長との両波長に関する標準的結像位置の差が第1波長を基準として一群のデータとして記憶されており、照明光のピーク波長や輝度を微調整することによって上記結像位置の差(結像位置の分散)がどの程度変化するかが予め記憶されている。これにより、投影光学系6が当初から、或いは照射による温度変化、経時変化等によって色収差を有する場合であっても、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させてこのような色収差を実質的に解消することができる。
【0076】
また、投影光学系6について、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度を微調整することによって結像位置がどの程度変化するかが予め記憶されている。これにより、投影光学系6が当初から、或いは照射による温度変化、経時変化等によってフォーカスズレを有する場合であっても、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させてこのようなフォーカスズレを実質的に解消することができる。
【0077】
また、投影光学系6について、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度を微調整することによってディストーションがどのように変化するかが予め記憶されている。これにより、投影光学系6が当初から、或いは照射による温度変化、経時変化等によってディストーションが増加する場合であっても、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させてこのようなディストーションの増加を実質的に解消することができる。
【0078】
以上の動作において、光源駆動装置24によって固体光源ユニット21を所望の電力で発光させつつ温度調節装置26によって固体光源ユニット21を所望の温度に調節するが、この際、センサ計測処理部27d等の出力を利用して照明光の波長及び輝度をリアルタイムで監視し、目標値にロックするフィードバック制御も可能である。
【0079】
なお、以上の説明では、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を照明光のピーク波長や輝度のみで調節するものとしてして説明したが、このような結像特性は、投影光学系6に組み込んだ調整機構によっても調整できる。さらに、固体光源ユニット21から射出される照明光のピーク波長や輝度の調整と、投影光学系6に組み込んだ調整機構との併用によっても、投影光学系6の結像特性を調節することができる。
【0080】
ところで、プレートPL上に塗布されているレジストの感光特性は、照明光源装置2から射出される照明光のピーク波長や輝度に依存して変化することが分かっている。よって、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度を積極的に調節することによって、レジストに対する露光の効果を適宜変更することができる。以上のような感光特性若しくは露光効果は、予め各種レジストを計測すること等によって調査・蓄積されており、このようなデータは、主制御系8中に投影光学系6の感光特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。
【0081】
具体的な内容について説明すると、例えば複数種のレジストについて、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度を微調整することによって現像後の残留量に相当する露光効果がどのように変化するかが予め記憶されている。これにより、レジストの種類を変更した場合に、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させて、このようなレジスト交換にともなう露光効果の差を実質的に解消して、整合性の高い高精度の露光を可能にする。
【0082】
以上の説明では、固体光源ユニット21を複数の直列光源ユニット21(1)〜21(n)で構成し、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)単位で動作を制御したが、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を構成する発光ダイオードED単位で動作を制御することもできる。この場合、光源駆動装置24は、光ダイオードED単位で動作する電源回路からなり、固体光源ユニット21を構成する発光ダイオードEDを個別に点灯又は消灯することができるので、発光ダイオードEDの点灯数を利用して固体光源ユニット21からの照明光の輝度を調節することもできる。
【0083】
〔第2実施形態〕
図4は、第2実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。この露光装置110は、照明光源装置102と、照明光学系4と、マスクステージ5と、投影光学系106と、プレートステージ7と、主制御系8とを備え、プレートPL上にマスクMAの像を投影することによって露光処理を行う。なお、第2実施形態の露光装置は、第1実施形態の露光装置を一部変更したものであり、同一部分には同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0084】
この場合、照明光源装置102は、図1に示す第1実施形態の場合と異なり、固体光源ユニット21の温度を調節するための温度調節装置26を特に設けていない。ただし、固体光源ユニット21の温度を一定に保つような温度調節装置を設けても不都合を生じるものではない。なお、固体光源ユニット21は、第1実施形態では説明しなかったが、交換可能であり、寿命が来て劣化が進んだ場合等においては、同一又は等価の固体光源ユニットに交換することができる。
【0085】
また、投影光学系106は、複数のレンズ要素L1〜Lnを内臓し、これらのレンズ要素L1〜Lnのうち特定のものには、投影状態調節手段としてレンズ制御用のアクチュエータAC(1)〜AC(k)が付属する。各アクチュエータAC(1)〜AC(k)は、ピエゾ素子等からなり、レンズ駆動回路62に駆動されて各レンズ要素L1〜Lnの光軸方向の位置や光軸に対する傾斜角を微調整することによって、投影光学系106の結像特性を微調整することができる。具体的には、レンズ駆動回路62に適当な指令信号を出力することによって、各アクチュエータAC(1)〜AC(k)を適宜動作させることができ、投影光学系106の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を適宜補正することができる。
【0086】
主制御系8は、第1実施形態では明示しなかったか、外部に入力手段である入力装置81を備えており、さらに、内部に記憶装置83を備えている。後者の記憶装置83には、固体光源ユニット21に関し、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度等の光射出特性が変動することによって、投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性がどの程度変化するかが、予め計測した結果に基づいて結像特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。さらに、記憶装置83には、投影光学系6に関し、各レンズ要素L1〜Lnが移動することによって、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性がどの程度補正されるかが、予め計測した結果に基づいて補正テーブルとして書き換え可能に保管されている。つまり、記憶装置83に保持された上記結像特性テーブル及び補正テーブルを適宜組み合わせることにより、固体光源ユニット21が発生する照明光のピーク波長や輝度の変動を相殺するために各レンズ要素L1〜Lnを移動させるべき量を算出することができる。
【0087】
以上において、照明光のピーク波長や輝度等を含む光射出特性の変動は、固体光源ユニット21の交換に際して、交換前後における一対の固体光源ユニット21の個体差によって生じる。また、照明光の光射出特性の変動は、固体光源ユニット21の出力のドリフトや経時変化によっても生じる。よって、固体光源ユニット21の交換に際して、新しい固体光源ユニット21について予め測定した光射出特性を例えば標準値からの差であるオフセット量として入力装置81を介して入力することによって、記憶装置83に保持された各種テーブルに基づいて投影光学系6を構成する各レンズ要素L1〜LnのうちアクチュエータAC(1)〜AC(k)が付属するものの駆動量を与えることができ、固体光源ユニット21の交換に伴って色収差、フォーカス状態、ディストーション等が増加することを未然に防止することができる。また、固体光源ユニット21の交換に際して、新しい固体光源ユニット21の光射出特性を光検出手段である照明光検出部27で検出することにより、記憶装置83に保持された各種テーブルに基づいて投影光学系6を構成する各レンズ要素L1〜Lnの駆動量を与えることができ、固体光源ユニット21のドリフト、経時変化に伴って色収差、フォーカス状態、ディストーション等が増加することを未然に防止することができる。
【0088】
図5は、固体光源ユニット21の光射出特性を予め計測する装置を説明する図である。この計測装置129は、露光装置110とは別に設けられており、レンズ129aと、光センサ129bと、センサ計測処理部129cと、光源駆動装置129dと、温調部129eと、駆動回路129fとを備える。固体光源ユニット21は、温調部129e及び駆動回路129fによって適当な温度に保持されるとともに光源駆動装置129dによって適当な電力が供給されて照明光を射出する。固体光源ユニット21からの射出光は、レンズ129aを経て光センサ129bに入射し、センサ計測処理部129cから照明光の輝度が出力される。この際、レンズ129a及び光センサ129b間に適当な特性のバンドパスフィルタ等を挿入することにより、照明光の特定波長における輝度を計測することができる。これにより、所望の温度及び駆動電力で動作する固体光源ユニット21から射出される照明光の輝度やピーク波長等の光射出特性が検出される。つまり、計測した固体光源ユニット21の光射出特性を標準的な固体光源ユニット21に対する個体差として計測することができる。このような個体差は、オフセット量として管理され、固体光源ユニット21の交換に際して、入力装置81を介して光射出特性のオフセット量として主制御系8に入力され記憶装置83に保存される。
【0089】
一方、固体光源ユニット21の交換に際しては、新しい固体光源ユニット21の光射出特性を図5に示す計測装置129によって計測する代わりに、照明光検出部27で直接検出することもできることは既に述べたとおりである。この場合、照明光検出部27ではなく、照度検出部72や像光検出部74によって、新しい固体光源ユニット21の光射出特性を計測することもできる。
【0090】
また、以上の説明では、固体光源ユニット21の個体差やその出力のドリフトや経時変化によって、固体光源ユニット21の光射出特性が変動し、このような変動を投影光学系6の結像特性の変動に換算してアクチュエータAC(1)〜AC(k)で結像特性の変動を補正するものとしている。しかしながら、投影光学系6の結像特性の補正は、アクチュエータAC(1)〜AC(k)のみに限らず、投影光学系6の各レンズ要素L1〜Lnに設けたスペーサ等の粗調整機構を併用して行うこともできる。
【0091】
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態に係る露光装置の要部である光源駆動装置224の回路構成を説明するブロック図である。なお、第3実施形態は、第2実施形態の露光装置110を光源駆動装置24に関して変更したものである。
【0092】
固体光源ユニット21を駆動するための光源駆動装置224は、電源回路224aと、電源制御部224bと、モニタ部224cとからなる。電源回路224aは、電源制御部224bからの制御信号に基づいて固体光源ユニット21に設けた各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に同一の一定電圧を印加してこれらを並列に駆動する。この際、電源制御部224bは、モニタ部224cの検出結果に基づいて、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加する電圧を微調整する。モニタ部224cは、コンデンサ224fと電流計224gとからなる監視回路であり、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加される電圧の変動を監視する。電源制御部224bに設けた電力調節手段である電力調節部224jは、電流計224gの出力が階段状に急変しその変動波形が発光ダイオードEDの動作不良を表す固有的なものであるか否か、すなわちインピーダンス変化に起因する過渡的現象が発生したか否かを判断する。発光ダイオードEDが動作不良が発生したと判断した場合、電力調節部224jは、動作不良発光のダイオードEDによる減光を補償するように、電源回路224aの出力を上昇させる。これにより、固体光源ユニット21から常に一定強度の照明光を射出させることができる。なお、光量制御手段である光量制御部224kは、いずれか1つの発光ダイオードEDの動作不良すなわち発光ダイオードED一個分の光量減少を補うために増加させるべき電圧をデータとして保持している。光量制御部224kは、電力調節部224jから動作不良の発生を表す警告信号を受け取った場合には、電力調節部224jに制御信号を出力して、電源回路224aの出力の目標値を所定量だけ上昇させる。電力調節部224jでは、この目標値に基づいて各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加する電圧を調節し、固体光源ユニット21から射出される照明光の輝度を一定値に保つ。つまり、実施形態の光源駆動装置224を組み込んだ照明光源装置2では、動作不良の発光ダイオードEDによる光量損失を補うように残存する他の発光ダイオードEDを動作させることができ、照明光源装置2によるマスクMAの照明を一定に維持して露光精度を高めることができる。この際、各発光ダイオードEDへの通電量が均等に微増するだけであるので、温度増加量に起因する波長変化も少なく抑えることができる。
【0093】
以上において、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加する電圧の許容値を200(V)程度に設定する。これにより、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に過大な電圧を印加する必要がなくなり、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)の制御性や動作上の安全性を高めることができる。また、固体光源ユニット21を構成する直列光源ユニット21(1)〜21(n)の数をn個とした場合、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)の許容最大電流を200/n(A)程度にすることが望ましい。これにより、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に過大な電流を印加する必要がなく、制御性、安全性を高めることができる。
【0094】
なお、モニタ部224cは、図6に例示するものに限らず様々な装置を用いることができる。例えば、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を動作させない休止期間中に、直列光源ユニット21(1)〜21(n)に試験的な通電を行ってインピーダンス変化を検出することによっても、直列光源ユニット21(1)〜21(n)の何れかで動作不良が発生していることと、その動作不良の個数とを検出することができる。
【0095】
また、図7に示すように、各発光ダイオードEDをこれに付属してモニタ用のフォトダイオードPDを個別に設けた固体光源素子SLDとするならば、直列光源ユニット21(1)〜21(n)に発生した動作不良の個数だけでなく、動作不良を生じている直列光源ユニットを具体的に特定することができる。
【0096】
さらに、固体光源ユニット21から射出される照明光の全体光量の変動をモニタする光量センサを照明光源装置2や投影光学系6の光路上若しくはその近傍に設けておけば、光量センサの出力が階段状に減少する状態を検出し計数することによって、直列光源ユニット21(1)〜21(n)の何れかで動作不良が発生していることと、その動作不良の個数とを検出することができる。さらに、固体光源ユニット21の擬似面光源の状態を検出するイメージセンサを設けておけば、直列光源ユニット21(1)〜21(n)に発生した動作不良の個数だけでなく、動作不良を生じている直列光源ユニットを具体的に特定することができる。
【0097】
〔第4実施形態〕
上述の各実施形態において、光源として、複数個の固体光源と各固体光源に対応して設けられた複数の光ファイバ等のライトガイドとを組み合わせたファイバ光源を用いても良い。この場合には、第1〜第3実施形態の露光装置に組み込まれる固体光源ユニット21がファイバ光源に変更される。
【0098】
図8は、固体光源ユニット21に代わるファイバ光源802を示す。ファイバ光源802は、固体光源21aと各固体光源21aに対応して設けられた光ファイバ21dとからなる単位光源を複数個束ね合わせた構造を有する。図8に示すファイバ光源802においては、各固体光源21aが各光ファイバ21dの入射端に対して光学的に結合されており、各固体光源21aから射出される光は、光ファイバ21dの入射端に入射して、面状に配列された光ファイバ21dの射出端21gすなわち擬似面光源から射出される。図9は、図8に示すファイバ光源802の変形例を示す。ファイバ光源902は、固体光源21aと、各固体光源21aに対応して設けられたレンズ(集光光学系)21eと、各レンズ21eに対応して設けられた光ファイバ21dとからなる単位光源を複数個束ね合わせた構造を有する。図9に示すファイバ光源902においては、各固体光源21aが各光ファイバ21dの入射端に対して光学的に結合されており、各固体光源21aから射出される光は、レンズ21eに入射して、レンズ21eにより集光されて光ファイバ21dの入射端に入射し、面状に配列された光ファイバ21dの射出端21gすなわち擬似面光源から射出される。以上のようなファイバ光源において、固体光源21aを図2等に示す発光ダイオードEDと同様に制御することによって、ファイバ光源902から所望の輝度及びピーク波長の照明光を発生させることができる。
【0099】
図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、適切な開口数を有する光ファイバ21dを用いることにより、通常楕円断面を有する固体光源21aのビームプロファイルBP0(図10(a)参照)を円形断面のビームプロファイルBP1(図10(b)及び図10(c)参照)に修正することができる。
【0100】
図11は、図9に示すファイバ光源902の単位光源、すなわち1つの固体光源21a、それに対応して設けられたレンズ21e、及び光ファイバ21dの具体的構成例を示す。このファイバ光源902においては、固体光源21aからのの発散光の内で最大の射出角度を持つ光の開口数(最大の射出角度(半角)の正弦(sin)、以下最大開口数と呼ぶこととする。)をNA1、固体光源21aの発光部の大きさ(直径)の最大値をφ、光ファイバ21dが光を取り込むことが可能な角度範囲(半角)の正弦(sin)、いわゆる光ファイバ21dの開口数をNA2、光ファイバ21dの入射端のコア直径をDとしたとき、
NA2≧(φ/D)×NA1
の条件を満足している。この条件を満足することにより、固体光源21aから射出される光を無駄なく光ファイバ21dに取り込むことができ、固体光源71から射出される光の光量を維持して、光ファイバ21dの射出端から射出させることができる。
【0101】
また、固体光源21aから射出される光を無駄なく光ファイバ21dに取り込むことができるとともに、このように取り込んだ光の光量を維持しつつ光ファイバ21d内で伝搬させて、光ファイバ21dの射出端から効率良く射出させることができる。以上において、例えば光ファイバとして石英ファイバを用いる場合、通常
0.3≧(φ/D)×NA1
の条件を満足することになる。この条件を満足することにより、固体光源21aから射出される光を無駄なく石英ファイバに取り込むことができるとともに、光ファイバ21dに取り込んだ光の光量を維持して、光ファイバ21dの射出端から射出させることができる。
【0102】
また、図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、複数個の光ファイバ21dの射出端部分を任意の形に束ね合わせることにより、光源の射出端21g(擬似面光源)の形状を最適な形状に成形することが可能である。射出端21gは、例えば図12(a)に示すような矩形状に成形することもでき、図12(b)に示すような形状に成形することもできる。また、図13に示すように、ファイバ光源802、902の光ファイバ21dの射出端21gの形状とフライアイレンズ41の1つのエレメント41aの形状とが相似形になるように、複数個の光ファイバ21dから光源の射出端21gを形成することも極めて容易となる。
【0103】
また、図14はファイバ光源802、902の射出端からフライアイレンズ41までの構成を示す図、図15はフライアイレンズ41の1つのエレメント41aにおける入射面の形状を示す図、図16はファイバ光源802,902の射出端21gの形状を示す図である。ここで、フライアイレンズ41の入射面の一方の長さをa、他方の長さをb、複数個の光ファイバ21dを束ね合わせた射出端21gの形状において一方の長さをA、他方の長さをBとする。さらに、コリメートレンズ22の焦点距離をf1、フライアイレンズ41の焦点距離をf2としたとき、
A×f2/f1≦a
及び
B×f2/f1≦b
の関係が成り立つようにする。これにより、光源の射出端21gからの照明光を各フライアイレンズ41に無駄なく取り込むことができるようになり、照明光のパワー(照明光率)を高めることができる。
【0104】
さらに、ファイバ光源がm組の光ファイバ光源802,902で構成される場合(mは自然数)、m組の光ファイバ21dから射出される光出力の総量をW、光ファイバ21dの射出端のコア直径をdとしたとき、
[m×{d(f2/f1)}2π/(4×a×b)]×W≧30(mW)
の条件を満足することが望ましい。これにより、フライアイレンズ41の1つのエレメント41aに対する光源像の充填率を最適な状態にすることができ、露光装置として実用的な照度を得ることができる。なお、この場合において、光ファイバ21dを束ねた射出端21gの形状とフライアイレンズ41の1つのエレメント41aの形状とは相似形である。
【0105】
また、図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、特定の固体光源21aについての光ファイバ21dの射出端における時間的に変化する光量の最大値をPmax、最小値をPminとしたとき、その光ファイバ72の射出端における光量の平均リップル幅ΔPは、
ΔP=(Pmax−Pmin)/(Pmax+Pmin)
により算出される。ここで、フライアイレンズ41の入射端において要求される光量のリップル幅をΔWとしたとき、固体光源21aの数nは
n≧(ΔP/ΔW)2
の条件を満たすものとできる。この条件を満足することにより、つまり、固体光源21aの数nを(ΔP/ΔW)2より多くすることにより、ファイバ光源802,902を構成する個々の固体光源21aから射出される光出力のばらつきが平均化され、その平均化効果によって安定した光出力を有するファイバ光源802,902を提供することができる。
【0106】
また、図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、それぞれの固体光源21aの波長、光量等の出力特性に固有のばらつきがある場合、それら出力特性の異なる複数個の固体光源21aをファイバ光源の光源として用いることにより光ファイバ21dを束ねた射出端21gにおいて出力特性のばらつきが均一化される。このように均一化された照明光は、さらにフライアイレンズ41により均一化される。図17は、各固体光源21aの出力特性のばらつきを均一化した状態をグラフ化した図である。それぞれ異なった出力特性を持つ固体光源21aを均一化して、グラフ化したものが波長特性AVEである。このように、出力特性の異なる複数個の固体光源21aを組み合わせたものをファイバ光源802,902に使用した場合において、均一化効果によりピーク波長に関して安定した光出力を有する照明光を得ることができる。なお、この波長特性AVEは、各固体光源21aの温度等を調節することによって波長方向にシフトさせることができ、結果的に、固体光源ユニット21から射出させる照明光のピーク波長を所望量だけ安定してシフトさせることができる。
【0107】
また、露光装置が走査型露光装置である場合に、同期ブラインドを備えてもよい。図18は、走査型露光装置の構成図である。この露光装置は、投影光学系に対して、マスクステージ及び基板ステージが移動しつつ、マスクMAのパターンをプレート上に転写する走査型露光装置であり、同期ブラインド(可動ブラインド機構)91を有する。その他の点においては、第1の実施の形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。
【0108】
図18に示すように、マスクMAの近傍には、固定ブラインドBL0と、可動ブラインド機構91とが配置されており、図19に示すように、この可動ブラインド機構91は、4枚の可動ブレードBL1,BL2,BL3,BL4からなる。可動ブレードBL1,BL2のエッジによって走査露光方向の開口APの幅が決定され、可動ブレードBL3,BL4のエッジによって非走査方向の開口APの長さが決定される。
【0109】
固定ブラインドBL0の開口と可動ブラインド機構91の開口APとを通過した照明光はマスクMAを照射する。つまり、各可動ブレードBL1〜BL4によって形成される開口APと固定ブラインドBL0の開口とが重なっている領域についてのみ、マスクMAの照明が行われることになる。通常の露光状態においては、固定ブラインドBL0の開口の像がマスクMAのパターン面に結像されるが、マスクMA上の特定走査露光領域の周辺すなわち遮光部分の近傍領域の露光が行われる場合、4枚のブレードBL1〜BL4によって遮光部分の外側に照明光が入射することが防止される。すなわち、マスクステージ5の走査に際して、照明光源装置2から射出される光束とマスクMAとの相対位置に関する情報が監視される。この監視情報に基づいて、マスクMA上の特定走査露光領域の露光開始時や露光終了時において遮光部分の近傍領域について露光が行われていると判断した場合、ブレードBL1,BL2のエッジ位置を移動させ、走査露光方向の開口APの幅を制御する。これにより、不要なパターン等がプレートに対して転写されるのを防止することができる。なお、この露光装置においては、マスクMA近傍に可動ブラインド機構91を設けているが、マスクMAと共役な位置であれば他の位置に可動ブラインド機構を設けても良い。
【0110】
また、露光装置に帯電防止手段を設けるようにしても良い。図20は、帯電防止手段を備えた露光装置の構成例である。その他の点においては、第1実施形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。この露光装置においては、照明光源装置2のうち固体光源ユニット21を収容する筐体93と、照明光学系4、投影光学系6等の露光装置本体を収容する筐体94とが別々に設けられており、両筐体93,94が互いに電気的に接続され、さらにアースされている。すなわち、筐体93と筐体94とを同電位に保たれている。また、固体光源ユニット21に電力を供給する電源部95と露光装置本体に電力を供給する電源部96とが別々に設けられており、それぞれアースされている。したがって、両電源部95,96が互いに独立して相互の干渉を防止できるだけでなく、露光装置本体側からの静電気による固体光源ユニット21の破損を防止することができる。
【0111】
また、上述の各実施形態におけるマスクに替えて、投影すべきパターンを生成する可変パターン生成装置を用いても良い。このような可変パターン生成装置は、自発光型画像表示素子と、非発光型画像表示素子とに大別される。自発光型画像表示素子としては、CRT(cathode ray tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:field emission display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)が例としてあげられる。また、非発光型画像表示素子は、空間光変調器 (Spatial Light Modulator:以下SLMと略記する)とも呼ばれ、光の振幅、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器と反射型空間光変調器とに分けられる。透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)などが例としてあげられ、反射型空間光変調器としては、DMD(Deformable Micro−mirror Device, またはDigital Micro−mirror Device)、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:ElectroPhoretic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)などが例としてあげられる。
【0112】
なお、第2実施形態の露光装置にも、同様の可動ブラインド機構91を設けることができる。
【0113】
〔第5実施形態〕
以下、本発明の第5実施形態に係る投影露光方法について説明する。この投影露光方法は、第1〜4実施形態の露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法である。この場合、ウェハ上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る。
【0114】
図21は、マイクロデバイスとしての半導体デバイスの製造方法を説明するためのフローチャートである。まず、図21のステップS40において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップS42において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布され、プレートPLである感光性基板が準備される。その後、ステップS44において、上記実施形態に係る露光装置を用いて、マスクMA上のパターンの像がその投影光学系6を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。即ち、照明光源装置2,102、照明光学系4等を用いてマスクMAを照明することで、投影光学系6を介してマスクMA上のパターンの像がウェハ上に投影され露光転写される。
【0115】
その後、ステップS46において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップS48において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0116】
〔第6実施形態〕
図22は、第1〜4実施形態の露光装置を用いて、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。この場合、ガラス基板上に所定のパターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る。
【0117】
図22のパターン形成工程(ステップS50)では、この実施の形態の露光装置を用いてマスクのパターンをプレートPLである感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程(ステップS52)へ移行する。
【0118】
次のカラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列され、或いはR、G、Bの3本からなるストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。 そして、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)の後に、セル組み立て工程(ステップS54)が実行される。このセル組み立て工程では、パターン形成工程(ステップS50)にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程(ステップS52)にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネルすなわち液晶セルを組み立てる。
【0119】
セル組み立て工程(ステップS54)では、例えば、パターン形成工程(ステップS50)にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程(ステップS52)にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネルを製造する。その後、モジュール組立工程(ステップS56)にて、組み立てられた液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0120】
〔第7実施形態〕
図23は、第7実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。この露光装置310は、照明光源装置302と、プレートステージ307と、主制御系308とを備え、プレートPLの周辺露光処理を行う。
【0121】
ここで、照明光源装置302は、4つの照明光射出部323A〜323Dと、光源駆動装置24とを備える。各照明光射出部323A〜323Dは、保持機構325に保持されてプレートステージ307に対する相対位置や相互の間隔を調整可能になっている。一対の照明光射出部323A,323Bは、固体光源ユニット21と、プレートPL上における照射領域を設定するマスクである絞り部材328aと、これらを支持するアーム328dとを備える。このうち固体光源ユニット21は、光源駆動装置24から供給される駆動電流によって適当な輝度で発光する。この固体光源ユニット21は、従来の高圧水銀ランプに代わるものであり、プレートステージ307の上面に平行なXY面内で一定の広がりを有する擬似面光源QSIを形成する発光ダイオードアレイにより構成される。残りの一対の照明光射出部323C,323Dは、固体光源ユニット21と、プレートPL上に固体光源ユニット21の像を投射するレンズ328bと、固体光源ユニット21の周囲を囲うとともにレンズ328bを支持するマスクである絞り部材328cと、これらを支持するアーム328dとを備える。
【0122】
光源駆動装置24は、主制御系308からの指示に基づいて、固体光源ユニット21を構成する各発光ダイオードアレイに適当な電流を供給し、各発光ダイオードアレイを所望の輝度で発光させる。なお、図示の例では省略しているが、各固体光源ユニット21の輝度を監視するフォトダイオード等のモニタを設けることができ、周辺露光における露光光量の制御性を高めることができる。
【0123】
図示を省略しているが、一対の照明光射出部323A,323Bの絞り部材328aについては、保持機構325に組み込まれた絞り駆動機構によって開閉動作するようになっており、かかる開閉動作によってプレートPL上に投射される照射領域のサイズを調整することができる。また、一対の照明光射出部323C,323Dのレンズ328bと固体光源ユニット21との間隔も適宜調整可能となっており、かかる間隔調整によってプレートPL上に投射される照射領域のサイズを調整することができる。
【0124】
プレートステージ307は、プレート駆動部71に駆動されてプレートステージ307の上面に平行なXY面内及びこれに垂直な方向に沿って3次元的に移動する。プレートステージ307の位置は、プレート駆動部71に設けたレーザ干渉計やフォーカスセンサ(不図示)等によって計測され、主制御系308に出力される。主制御系308は、この位置情報に基づいてプレート駆動部71に設けたモータを駆動してプレートPLを目標位置に所望の速度で移動させることができる。つまり、各照明光射出部323A〜323DによってプレートPL上に投影される照射領域を、例えばプレートPL上でY軸方向に一定速度で移動させることができる。
【0125】
主制御系308は、照明光源装置302、プレートステージ307等を適当なタイミングで動作させて、各照明光射出部323A〜323Dからの射出された照明光を、プレートPL上の適所に露光光としてそのまま入射させる。この際、主制御系308は、保持機構325等を適宜駆動して各照明光射出部323A〜323Dの位置すなわちプレートPL上における照射領域の配置やサイズを調節する。また、プレート駆動部71を適宜駆動してプレートPLを照明光源装置302に対して所望の方向に移動させる走査を行わせる。
【0126】
本実施形態の露光装置310によれば、照射領域画定手段である絞り部材328a,328cやレンズ328bが、照明装置である照明光源装置302から射出された照明光を絞ってプレートステージ307上のプレートPLに入射させるので、簡単な構造で制御が容易である発光ダイオードによって、プレートPLの迅速かつ効率的な周辺露光が可能になる。なお、図示のような装置を用いた場合、プレートPL上において例えば20mW/cm2以上の照度を確保することができ、効率的な照明が可能になる。
【0127】
図24は、プレートPLの走査による周辺露光領域の形成を説明する図である。この場合、照明光源装置302に設けた一対の照明光射出部323A,323Bを併せて表示することによって、プレートPLと両照明光射出部323A,323Bとの配置関係が図面上で明らかになるようにしている。プレートPLの走査によってプレートPL上に形成される周辺露光領域PE1〜PE4は、各照明光射出部323A〜323Dの配置及び照射スポットサイズにそれぞれ対応したものとなっている。
【0128】
図25は、周辺露光が完了した状態のプレートPLの一例を示す。周辺露光領域PEFは、パターン領域PAを避けるように形成されている。ここで、周辺露光領域PEFのうち、X軸に平行な部分は、XY面内で図23のプレートステージ307を90゜回転させることによって形成される。この際、保持機構325等を適宜駆動して一対の照明光射出部323A,323Bの間隔をプレートPLの寸法に合わせて変更するとともに、一対の照明光射出部323C,323Dに設けた固体光源ユニット21を消灯する。
【0129】
図26は、図24に示す固体光源ユニット21の変形例を説明する図である。この場合、固体光源ユニット21に代えてファイバ光源421を用いる。ファイバ光源421は、発光ダイオードである固体光源21aと、各固体光源21aに対応して設けられたレンズ21eと、各レンズ21eに対応して設けられた入射ポート部IPを有するファイバ部材421dとからなる。ファイバ部材421dは、入射ポート部IPを束ねて他端側で融着または接着した構造を有しており、各固体光源21aからの照明光を合波した状態で射出ポート部OPから射出させる構造となっている。なお、射出ポート部OPから射出する照明光は、レンズ328b等を介してプレートPL上に入射する。
【0130】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第1〜第4実施形態では、照明光源装置2,102及び照明光学系4をケーラー照明型の構成としているが、これらをクリティカル照明型の照明系とすることもできる。
【0131】
また、上記第1〜第4実施形態では、露光装置が基本的に屈折光学系で構成される場合について説明したが、照明光源装置2,102、照明光学系4、投影光学系6等は、すべて等価若しくは類似の機能を有する反射光学系或いは反射屈折光学系に置き換え得ることはいうまでもない。
【0132】
また、上記第1〜第4実施形態では、照明装置にオプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ等を用いているが、これに代えて、反射型のフライアイ・インテグレータや、ロッド型又はシリンダ型のインテグレータを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の全体の概略構成を示すブロック図である。
【図2】固体光源ユニットの回路構成の一例を説明する図である。
【図3】(a)〜(d)は、固体光源ユニットを構成する発光ダイオードの動作特性を概念的に説明するグラフである。
【図4】第2実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図5】固体光源ユニットの光射出特性を予め計測する装置を説明する図である。
【図6】第3実施形態に係る露光装置の要部である光源駆動装置の回路構成を説明するブロック図である。
【図7】各発光ダイオードに付属してモニタ用のフォトダイオードを個別に設けた固体光源素子の例を説明する図である。
【図8】固体光源ユニットに代わるファイバ光源の構造を示す図である。
【図9】図8のファイバ光源を変形したファイバ光源の構造を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、図8等に示すファイバ光源を用いた場合のビームプロファイルを説明する図である。
【図11】図9に示すファイバ光源の具体的な構造を説明する図である。
【図12】(a)、(b)は、図8及び図9に示すファイバ光源の射出端の様子を説明する図である。
【図13】ファイバ光源の射出端の外形をフライアイレンズのレンズエレメントの外形に対して相似にする場合を説明する図である。
【図14】ファイバ光源の射出端の外形とフライアイレンズのレンズエレメントの外形との関係を説明する図である。
【図15】ファイバ光源の射出端の外形とフライアイレンズのレンズエレメントの外形との関係を説明する図である。
【図16】ファイバ光源の射出端の外形とフライアイレンズのレンズエレメントの外形との関係を説明する図である。
【図17】複数の固体光源からの照明光の合波による均一化の効果を説明する図である。
【図18】可動ブラインドを用いた走査を行う露光装置について説明する図である。
【図19】可動ブラインドの構造を説明する図である。
【図20】帯電防止機能を設けた露光装置について説明する図である。
【図21】第5実施形態に係るマイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する方法のフローチャートである。
【図22】第6実施形態に係るマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【図23】第7実施形態に係る露光装置の全体の概略構成を示すブロック図である。
【図24】プレートの走査による周辺露光領域の形成を説明する図である。
【図25】プレートの周辺露光が完了した状態の一例を示す図である。
【図26】図24に示す固体光源ユニットの変形例を説明する図である。
【符号の説明】
2,102…照明光源装置、 4…照明光学系、 5…マスクステージ、 6…投影光学系、 7…プレートステージ、 8…主制御系、 10,110,310…露光装置、 21… 固体光源ユニット、 ED…発光ダイオード、 22…コリメートレンズ、 24…電源装置、 41…フライアイレンズ、 44…コンデンサ光学系、 51…マスク駆動部、 71…プレート駆動部,MA…マスク、 PL…プレート
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体素子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他のマイクロデバイスの製造工程において用いられる露光装置、照明装置及び露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子や液晶基板等を製造するためのリソグラフィ工程において、レチクルあるいはフォトマスク等(以下単に「レチクル」という)のパターン像を投影光学系を介して感光基板上に露光する投影露光装置が使用されている。一般に、このような投影露光装置は、光源の光でレチクルを均一に照明するための照明光学系と、レチクルに形成された回路パターンをウェハ等の基板上に結像するための投影光学系と、基板を支持しつつ適宜移動させて位置決めするためのステージ装置とからなっている(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−154643号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述の投影露光装置の光源としては、波長約360nm程度の紫外領域においては主に水銀ランプなどが用いられていた。この水銀ランプの寿命は、概ね500h〜1000h程度であることから、定期的にランプ交換が必要となり投影露光装置のユーザには大きな負担となっていた。また、高照度確保のために高電力が必要であり、またそれに伴う発熱対策などが必要になるなど、高いランニングコストの問題や、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性を有していた。
【0004】
これに対して発光ダイオードは、水銀ランプなどに比べて発光効率が高く、そのため省電力、小発熱という特長を持ち大幅なランニングコストの低減を実現できる。また寿命も3000h程度のものもあるため、交換にかかる負担も少なく、経時劣化などの要因に伴う破裂の危険性もない。さらに最近では、波長365nmで100mW程度の高い光出力を達成したUV−LEDなども開発されている。
【0005】
一方で、発光ダイオードを光源として露光装置に組み込んだ場合、従来の水銀ランプの場合と同様の駆動方法を適用することは不可能であり、発光ダイオードに適合した駆動が必要になる。その際、単に発光ダイオードに適合するだけでは足りず、露光装置の光源としても適切な動作を確保する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、固体光源を光源として露光装置において、高精度の露光を可能にする露光装置及びこの露光装置を用いた露光方法等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を、投影手段の光学特性、投影手段の光学特性の変動、及び感光性基板の感光特性のうち少なくとも1つを含む投影条件に応じて制御する特性制御手段とを備える。なお、「固体光源」とは、発光ダイオード、半導体レーザ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の各種固体発光素子を含む概念である。
【0008】
上記露光装置では、特性制御手段が照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を投影条件に応じて制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。例えば投影条件として投影手段の光学特性に応じて照明装置の光射出特性を制御する場合、投影手段の光学特性の特性等を配慮してこれに適合させた照明・露光が可能になる。また、投影条件として投影手段の光学特性の変動に応じて照明装置の光射出特性を制御する場合、投影手段の光学特性の経時的変化等を配慮してこれに適合させた照明・露光が可能になる。また、投影条件として感光性基板の感光特性に応じて照明装置の光射出特性を制御する場合、感光性基板のレジストの種類等に適合した適切な露光が可能になり、感光特性の個体差、経時的変化等を配慮してこれに適合させた照明・露光が可能になる。なお、固体光源を用いた場合、長い発光寿命と高い発光効率とを達成することができる。また、可視から紫外域にかけて多様な波長の光を発生させることができるので、固体光源を用いた場合、照明光の波長の任意性を極めて高めることができる。
【0009】
第2の発明に係る露光装置は、第1の発明の露光装置において、特性制御手段が、投影手段が有している光学特性としての結像特性及び当該結像特性に関する製造誤差のうち少なくとも一方に応じて、照明装置から射出される照明光の波長及び強度の少なくとも一方を調節することを特徴とする。この装置では、投影手段の色収差等の結像特性やその製造誤差に基づいて照明光の波長や強度を調節することができるので、投影手段の結像状態に適合する高精度の露光が可能になる。
【0010】
第3の発明に係る露光装置は、第1の発明の露光装置において、特性制御手段が、投影手段が有している光学特性としての結像特性の経時的な変動に応じて、照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を調節する。この装置では、投影手段の色収差等の結像特性の経時的変動に基づいて照明光の波長や強度を調節することができるので、投影手段の結像状態の変動を相殺するような高精度の露光が可能になる。
【0011】
第4の発明に係る露光装置は、第2,3の発明の露光装置において、投影手段が有している結像特性は、色収差、フォーカス状態及びディストーションのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。この装置では、投影手段の結像に関する色収差、フォーカス状態及びディストーションを、照明装置の光射出特性の調整によって無理なく適正に補正することができる。
【0012】
第5の発明に係る露光装置は、第1の発明の露光装置において、特性制御手段が、感光性基板上に塗布されたレジストの特性である感光特性に応じて、照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を調節することを特徴とする。この装置では、レジストの特性に基づいて照明光の波長や強度を調節することができるので、レジストのタイプ若しくは種類、その変更等に適宜対応して高精度の露光が可能になる。
【0013】
第6の発明に係る露光装置は、第1〜5の発明の露光装置において、照明装置が、照明装置を構成する固体光源の温度を調節する温度調節手段を備え、特性制御手段が、温度調節手段を介して固体光源の動作温度を制御することによって当該固体光源の発光特性を制御することを特徴とする。この装置では、固体光源の温度調節によって固体光源の出力やピーク波長を安定した所望の状態に設定することができる。
【0014】
第7の発明に係る露光装置は、第6の発明の露光装置において、投影手段の光学特性を実時間で検出するセンサあるいは、前記光学特性を算出する算出手段をさらに備え、特性制御手段が、当該センサの出力あるいは、該演算手段の算出結果に基づいて、温度調節手段による固体光源の温度調節量を算出することを特徴とする。この装置では、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の光学特性をセンサによって実際に計測し、あるいは、演算手段により算出し、温度調節手段を介して固体光源の温度を調節することができるので、投影手段の光学特性の変動を適切に補正して安定した状態に維持することができる。
【0015】
第8の発明に係る露光装置は、第1〜7の発明の露光装置において、照明装置が、照明装置を構成する固体光源に供給する電力を調節する電力調節手段を備え、特性制御手段が、電力調節手段を介して固体光源への供給電力を制御することによって当該固体光源の発光特性を制御することを特徴とする。この装置では、固体光源への供給電力調節によって固体光源の出力やピーク波長を安定した所望の状態に設定することができる。
【0016】
第9の発明に係る露光装置は、第8の発明の露光装置において、投影手段の光学特性を実時間で検出するセンサあるいは、前記光学特性を算出する算出手段をさらに備え、特性制御手段が、当該センサの出力あるいは、該演算手段の算出結果に基づいて、電力調節手段よる固体光源に対する電力調節量を算出することを特徴とする。この装置では、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の光学特性をセンサによって実際に計測し、あるいは、演算手段により算出し、電力調節手段を介して固体光源への供給電力を調節することができるので、投影手段の光学特性の変動を適切に補正して安定した状態に維持することができる。
【0017】
第10の発明に係る露光装置は、第1〜9の発明の露光装置において、照明装置が、複数の固体光源を有するとともに、当該複数の固体光源の点灯数を調節する光源駆動手段をさらに備え、特性制御手段が、光源駆動手段を介して複数の固体光源の点灯または消灯を制御することによって照明装置の光射出特性を制御することを特徴とする。この装置では、固体光源の点灯数を調節することによって光射出特性を制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。
【0018】
第11の発明に係る露光装置は、第1〜10の発明の露光装置において、特性制御手段が、光源駆動手段を介して複数の固体光源の点灯数を変更することによって照明装置から射出される照明光の強度を調整するとともに、照明装置から射出される照明光の波長を調節することを特徴とする。この装置では、固体光源の点灯数を調節することによって照明光の強度や波長を制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。
【0019】
第12の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を検出する光検出手段と、光検出手段の検出結果に基づいて、投影手段の状態を調節する投影状態調節手段とを備える。
【0020】
上記露光装置では、投影状態調節手段が光検出手段の検出結果に基づいて投影手段の状態を調節するので、照明装置の光射出特性に適合するように状態を調節した投影手段によって、感光性基板の高精度な露光が可能になる。例えば照明装置の光射出特性を補償するように投影手段の状態を調節すれば、固体光源の製造誤差、個体差、変動、経時変化等の影響を補正することができるので露光精度を高めることができる。
【0021】
第13の発明に係る露光装置は、第12の発明の露光装置において、投影状態調節手段が、光検出手段の検出結果に基づいて投影手段の結像特性を調節することを特徴とする。この装置では、照明装置の光射出特性に基づいて投影手段の色収差等の結像特性やその製造誤差等を補正することができるので、照明装置の光射出特性に適合する高精度の露光が可能になる。
【0022】
第14の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を予め計測した結果を入力する入力手段と、入力手段に入力された結果に基づいて、投影手段の状態を調節する投影状態調節手段とを備える。
【0023】
上記露光装置では、投影状態調節手段が入力手段に入力された光射出特性の計測結果に基づいて投影手段の状態を調節するので、照明装置の光射出特性に適合するように状態を調節した投影手段によって、感光性基板の高精度な露光が可能になる。つまり、固体光源の製造誤差や個体差等に対応して投影手段を調節することにより露光精度を高めることができる。
【0024】
第15の発明に係る露光装置は、第14の発明の露光装置において、投影状態調節手段は、入力手段に入力された結果に基づいて、投影手段の結像特性を調節することを特徴とする。この装置では、入力された光射出特性に基づいて投影手段の色収差等の結像特性やその製造誤差等を補正することができるので、照明装置の光射出特性に適合する高精度の露光が可能になる。
【0025】
第16の発明に係る露光装置は、第13,15の発明の露光装置において、光射出特性が、照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を含み、結像特性が、色収差、フォーカス状態及びディストーションのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする。この装置では、検出され或いは予め入力された照明光の波長や強度に基づいて投影手段の色収差、フォーカス状態及びディストーションを照明装置の特性に応じて適宜補正することができる。
【0026】
第17の発明に係る露光装置は、マスクを照明するための照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットを含む照明装置と、照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンをステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段とを備える。
【0027】
上記露光装置では、照明装置がマスクを照明するための照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットを含むので、直列光源ユニット単位で駆動することによって発光状態等の制御が簡易でかつ比較的精密なものとなる。また、直列光源ユニット単位でメンテナンスや交換が可能になり、メンテナンスや交換の作業性を向上させコストを低減することができる。
【0028】
第18の発明に係る露光装置は、第17の発明の露光装置において、照明装置は、当該照明装置を構成する少なくとも1つの固体光源の動作不良が発生した場合に、残存して動作する他の固体光源に供給する電力を調節する電力調節手段をさらに備える。この装置では、動作不良が発生した固体光源による光量損失を補うように残存して動作する他の固体光源を動作させることができ、波長変化も少なく抑えることができる。
【0029】
第19の発明に係る露光装置は、第18の発明の露光装置において、照明装置から射出される照明光の強度を、電力調節手段を介して一定に保持する光量制御手段をさらに備えることを特徴とする。この装置では、照明装置によるマスクの照明を一定に維持して露光精度を高めることができる。
【0030】
第20の発明に係る露光装置は、第17〜19の発明の露光装置において、複数の直列光源ユニットが、並列に接続されており、単一の電源回路から供給される電力によって動作するとともに、電力調整手段が、電源回路の出力を制御することを特徴とする。この装置では、単一の電源回路によって各直列光源ユニットを簡易に制御することができ、簡易な光源によって高精度の照明光を発生させることができる。
【0031】
第21の発明に係る露光装置は、第17〜20の発明の露光装置において、照明装置を構成する各固体光源の出力を検出するモニタ手段を備えることを特徴とする。この装置では、各固体光源の状態を個別に管理することができ、各固体光源の出力管理が容易である。
【0032】
第22の発明に係る露光装置は、第21の発明の露光装置において、モニタ手段が、各固体光源に付属して設けたフォトダイオードであることを特徴とする。この装置では、付属のフォトダイオードを利用して簡易な管理が可能である。
【0033】
第23の発明に係る露光装置は、第17〜20の発明の露光装置において、照明装置を構成する各固体光源の動作不良を検出するモニタ手段を備えるとともに、当該モニタ手段は、複数の直列光源ユニットのインピーダンス変化を検出する監視回路であることを特徴とする。この装置では、簡単な監視回路によって各固体光源の状態変化を監視することができる。
【0034】
第24の発明に係る露光装置は、第23の発明の露光装置において、監視回路は、複数の直列光源ユニットに電力を供給する際の電流変化又は応答特性または通電時の容量変化に基づいて固体光源の動作不良を検出することを特徴とする。この装置では、直列光源ユニットの動作時の電流変化や試験的な通電に対するインピーダンス応答によって照明光の強度を調節することができる。
【0035】
第25の発明に係る露光装置は、第17〜24の発明の露光装置において、各直列光源ユニットの許容最大電圧が200(V)であることを特徴とする。この装置では、直列光源ユニットに過大な電圧を印加する必要がなく、制御性、安全性を高めることができる。
【0036】
第26の発明に係る露光装置は、第17〜24の発明の露光装置において、照明装置が、直列光源ユニットをn個含み、各直列光源ユニットの許容最大電流が200/n(A)であることを特徴とする。この装置では、直列光源ユニットに過大な電流を印加する必要がなく、制御性、安全性を高めることができる。
【0037】
第27の発明に係る露光装置は、照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、照明装置から射出された照明光を絞ってステージに支持された感光性基板上に存在する所定の被露光領域に入射させる照射領域設定手段とを備えることを特徴とする。
【0038】
上記露光装置では、照射領域設定手段が固体光源を含む照明装置から射出された照明光を絞ってステージに支持された感光性基板上の所定の被露光領域に入射させるので、簡単な構造で制御が容易である固体光源によって、感光性基板の周辺露光が可能になる。なお、固体光源を用いた場合、長い発光寿命と高い発光効率とを達成することができ、照明光の波長の任意性を極めて高めることができる。
【0039】
第28の発明に係る露光装置は、第27の発明の露光装置において、照射領域設定手段が、レンズ及びマスクの少なくとも一方を含むことを特徴とする。この装置では、感光性基板上の所望領域のみを正確に露光することができる。
【0040】
第29の発明に係る露光装置は、第27,28の発明の露光装置において、照明装置が、照明光をそれぞれ発生する複数の固体光源を含むことを特徴とする。この装置では、複数の固体光源からの照明光によって所望の光量を確保することができる。
【0041】
第30の発明に係る露光装置は、第29の発明の露光装置において、照明装置が、複数の固体光源を2次元的に配列した光源ユニットからなることを特徴とする。この装置では、2次元的な擬似面光源状の光源ユニットを用いるので、十分な照明強度を確保しつつ、一様な露光が可能になる。また、光源ユニットとして取り扱い性を確保することができる。
【0042】
第31の発明に係る露光装置は、第27〜30の発明の露光装置において、照明装置は、照明光を20mW/cm2以上の照度で感光性基板上に入射させることを特徴とする。この場合、実用上十分なスループットを確保することができる。
【0043】
第32の発明に係る照明装置は、露光装置用のものであり、照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットと、複数の直列光源ユニットを並列に駆動する光源駆動回路とを備える。
【0044】
上記照明装置では、照明装置が複数の直列光源ユニットとこれらを並列に駆動する光源駆動回路とを含むので、光源を複数化した直列光源ユニット単位で駆動・制御することができ、発光状態等の制御が簡易でかつ比較的精密なものとなる。また、直列光源ユニット単位でメンテナンスや交換が可能になり、メンテナンスや交換の作業性を向上させコストを低減することができる。
【0045】
第33の発明に係る照明装置は、第32の発明の照明装置において、各光源駆動回路が、対応する直列光源ユニットを構成する複数の固体光源のうちの少なくとも1つの固体光源の動作不良が発生した場合に、残存して動作する他の固体光源に供給する電力を調節することを特徴とする。この装置では、動作不良が発生した固体光源による光量損失を補うように残存して動作する他の固体光源を動作させることができ、波長変化も少なく抑えることができる。
【0046】
第34の発明に係る照明装置は、第33の発明の照明装置において、各光源駆動回路が、各直列光源ユニットから射出される照明光の強度を一定に保持することを特徴とする。この装置では、照明装置によるマスクの照明強度を一定に維持して露光精度を高めることができる。
【0047】
第35の発明に係る露光方法は、第1〜31の露光装置を用いた露光方法において、被露光面または被露光面と光学的に共役な位置に配置されたマスクを照明装置によって照明する照明工程と、マスクのパターンを感光性基板上に転写する転写工程とを含むことを特徴とする。
【0048】
上記露光方法では、上述の露光装置を用いるので、固体光源からの十分な照明強度で露光を行うことができるとともに、照明装置の部分を長時間に亘って効率よく動作させることができる。さらに、特性制御手段が照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を投影条件に応じて制御するので、投影条件に適合するマスクの照明すなわち感光性基板の高精度な露光が可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。この露光装置10は、照明光源装置2と、照明光学系4と、マスクステージ5と、投影光学系6と、プレートステージ7と、主制御系8とを備え、プレート(感光性基板)PL上にマスクMAの像を投影することによって露光処理を行う。
【0050】
ここで、照明光源装置2は、固体光源ユニット21と、コリメートレンズ22と、光源駆動装置24と、温度調節装置26と、照明光検出部27とを備え、露光用の単色の照明光を発生する。このうち固体光源ユニット21は、コリメートレンズ22の前側焦点位置に配置されて、後述するように、光源駆動装置24から供給される駆動電流によって適当な輝度で発光する。固体光源ユニット21は、従来の高圧水銀ランプに代わるものであり、発光ダイオード(LED)のパッケージである単位固体光源をアレイ状に配列した発光ダイオードアレイにより構成され、基準光軸AX方向に垂直な方向に一定の面状の広がりを有する擬似面光源QSIを形成する。
【0051】
コリメートレンズ22は、固体光源ユニット21の擬似面光源QSIの各部から射出された照明光を、略平行光として照明光学系4のフライアイレンズ41に入射させる。
【0052】
光源駆動装置24は、主制御系8からの指示に基づいて、固体光源ユニット21を構成する各発光ダイオードアレイに適当な電流を供給し、各発光ダイオードアレイを所望の輝度で発光させる。
【0053】
図2は、固体光源ユニット21及び光源駆動装置24の回路構成の一例を説明する図である。固体光源ユニット21は、複数の直列光源ユニット21(1),21(2),…,21(n−1),21(n)からなり、各直列光源ユニット21(1),21(2),…,21(n−1),21(n)は、電圧源を含む光源駆動装置24によって並列に駆動される。これにより、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を一括してその点滅状態及び輝度を制御することができる。なお、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)ごとに光源駆動装置を設けることもできる。この場合、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)単位で、これらを構成する発光ダイオードEDの点滅状態と輝度が調節される。
【0054】
図1に戻って、温度調節手段である温度調節装置26は、例えば図2の直列光源ユニット21(1)〜21(n)ごとに設けたペルチエ素子等を含むヒータや冷却部である温調部26aと駆動回路26bとからなる。なお、温調部26aは、固体光源ユニット21全体を支持する部材に設けた単一のヒータ若しくは冷却部とすることもできる。温度調節装置26は、主制御系8からの指示に基づいて、固体光源ユニット21を構成する各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を冷却又は加熱して所望の温度に維持し、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)の発光特性を所望の状態に維持する。
【0055】
照明光検出部27は、ビームスプリッタ27aと、レンズ27bと、光センサ27cと、センサ計測処理部27dとを備える。固体光源ユニット21とコリメートレンズ22との間に配置されたビームスプリッタ27aは、照明光のうち例えば約2%をサンプリング用に反射し、レンズ27bを介して光センサ27cに入射させる。光センサ27cは、照明光の波長域で入射光の強度に応じた電気信号を発生する例えばフォトダイオード等の光電変換手段であり、その光量検出出力は、センサ計測処理部27dに出力されて照明光の光量制御に利用される。この際、主制御系8は、例えばセンサ計測処理部27dの出力に基づいて光源駆動装置24に出力制御信号を出力し、さらに、温度調節装置26に温度制御信号を出力する。光源駆動装置24は、この出力制御信号に基づいて固体光源ユニット21の駆動電力を制御し、例えば適正な照度すなわち露光量が確保されるようにする。また、温度調節装置26は、温度制御信号に基づいて固体光源ユニット21の温度を調節し、例えば適正な波長による露光が実行されるようにするとともに、適正な露光量が確保されるようにする。つまり、照明光の波長分布及び光量を目標値に保持するフィードバック制御が可能になる。
【0056】
なお、光センサ27cに代えて分光光度計を配置すれば、固体光源ユニット21が発生する照明光の波長分布を計測することができる。また、レンズ27b及び光センサ27c間に適当な特性のバンドパスフィルタ等を挿入することにより、照明光の特定波長における輝度を計測することもできる。以上の場合、照明光のピーク波長や分布特性を目標値に保持するフィードバック制御が可能になる。
【0057】
照明光学系4は、フライアイレンズ41と、開口絞り42と、ミラー43と、コンデンサーレンズ系44とを備え、マスクMAに対して波面分割重畳型のケーラー照明を可能にする。なお、この照明光学系4と上述の照明光源装置2とを組み合わせることによって照明装置が構成される。
【0058】
フライアイレンズ41は、正の屈折力を有する多数のレンズエレメントをその光軸が基準光軸AXと平行になるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。フライアイレンズ41を構成する各レンズエレメントは、マスクMA上において形成すべき照野の形状、ひいてはプレートPL上において形成すべき露光領域の形状とほぼ相似な矩形状の断面を有する。また、フライアイレンズ41を構成する各レンズエレメントの入射側の光学面は入射側に凸面を向けた球面状に形成され、射出側の光学面は射出側に凸面を向けた球面状に形成されている。
【0059】
したがって、フライアイレンズ41に入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、各レンズエレメントの後側焦点面には、固体光源ユニット21の一組の発光部(擬似面光源QSI)に対応する擬似面状の光源像がそれぞれ形成される。すなわち、フライアイレンズ41の後側焦点面には、多数の擬似面光源像を2次元的に配列した多重の面光源すなわち2次光源像が形成される。
【0060】
フライアイレンズ41の後側焦点面に形成された2次光源像からの光束は、その近傍に配置されたσ絞りとも呼ばれる開口絞り42を通過する。開口絞り42は、後述する投影光学系6の入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、2次光源像のうち照明に寄与する範囲を規定するための可変開口部を有する。この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定する重要なファクタであるσ値(投影光学系6の瞳面の開口EPの径に対するその瞳面上での2次光源像の口径の比)を所望の値に設定することができる。
【0061】
なお、フライアイレンズ41には、固体光源ユニット21からコリメートレンズ22を経た照明光が入射するが、この際、照明光を効率的にフライアイレンズ41に取り込むべく、フライアイレンズ41の入射側光学面の全体形状を照明光のビーム形状に一致させることが望ましい。
【0062】
コンデンサ光学系44は、フライアイレンズ41の各レンズエレメントの後側焦点面に形成された2次光源像から射出される照明光を、それぞれ平行光束としてマスクMA上に入射させる。つまり、フライアイレンズ41の各レンズエレメントの射出面に形成された多数の2次光源によって、マスクMA上に重畳してケーラー照明が行われるので、マスクMAが照明光によって極めて均一に照明される。
【0063】
マスクステージ5は、マスク駆動部51に駆動されて基準光軸AXに垂直な面内で2次元的に移動する。マスクステージ5の位置は、マスク駆動部51に設けたレーザ干渉計等によって計測され、主制御系8に出力される。主制御系8は、この位置情報に基づいてマスク駆動部51に設けたモータを駆動してマスクMAを目標位置に所望の速度で移動させることができる。
【0064】
投影光学系6は、屈折レンズ等の光学素子で構成されており、照明光によって照明されたマスクMAの像を適当な倍率でプレートPL上に投影する。なお、この投影光学系6の瞳面に設けた可変の開口EPは、照明光学系4に設けた開口絞り42と光学的に共役な配置となっている。
【0065】
プレートステージ7は、プレート駆動部71に駆動されて基準光軸AXに垂直な面内及び基準光軸AXに沿って3次元的に移動する。プレートステージ7の位置は、プレート駆動部71に設けたレーザ干渉計やフォーカスセンサ(不図示)等によって計測され、主制御系8に出力される。主制御系8は、この位置情報に基づいてプレート駆動部71に設けたモータを駆動してプレートPLを目標位置に所望の速度で移動させることができ、プレートPL上に投影されるマスクMAの像の結像位置や結像状態を調節することができる。
【0066】
なお、プレートステージ7の一部には、センサ72aとセンサ計測処理部72bとからなる照度検出部72が設けられている。この照度検出部72からの検出信号は、後述する照明光の輝度や露光量の制御のため主制御系8に出力される。
【0067】
また、プレートステージ7の一部には、像光検出部74が設けられている。この像光検出部74は、レンズ74aと、イメージセンサ74bと、センサ計測処理部74cとからなる。プレートステージ7を適宜移動させて、投影光学系6の下方に形成されるマスクMAの投影像すなわちパターン像の適所に像光検出部74を位置合わせすることにより、イメージセンサ74bが投影像の適当な部位の画像を取り込む。イメージセンサ74bは、CCD撮像素子等の撮像手段であり、その画像検出出力は、センサ計測処理部74cに出力され照明光の波長制御若しくは光量制御に用いられる。この際、主制御系8は、センサ計測処理部74dの出力に基づいて投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を検出する。なお、色収差の計測に際しては、レンズ74a及びイメージセンサ74b間に適当な特性のバンドパスフィルタ等を挿入することにより、検出画像の差異の比較が可能になる。以上のようにして得た投影光学系6の結像特性は、以下に詳述するが、主制御系8によって光源駆動装置24を介して固体光源ユニット21の駆動電力を制御する際に利用され、或いは、温度調節装置26を介して固体光源ユニット21の温度を制御する際に利用される。
【0068】
主制御系8は、照明光源装置2、マスクステージ5、プレートステージ7等を適当なタイミングで動作させて、プレートPL上の適所にマスクMAの像を投影するとともに投影位置を変更しながら露光を繰り返す、いわゆるステップ・アンド・リピート型の露光処理を行う。この際、主制御系8は、特性制御手段として、センサ計測処理部27d,74cの出力に基づいて光源駆動装置24及び温度調節装置26を動作させて、固体光源ユニット21の動作状態を制御する。なお、主制御系8にはハードディスク等の記憶装置が内臓されており、この記憶装置内には露光データファイルが格納されている。露光データファイルには、プレートPLの露光を行う上で必要となる処理及びその処理順が記憶されており、この処理毎に、プレートPL上に塗布されているレジストに関する情報(例えば、レジストの分光特性)、必要となる解像度、使用するマスクMA、照明光学系の補正量(照明光学特性情報)、投影光学系の補正量(投影光学特性情報)、及び基板の平坦性に関する情報等(所謂、レシピデータ)が含まれている。
【0069】
以下、図1等に示す第1実施形態に係る露光装置10の動作について説明する。固体光源ユニット21からは、発光ダイオードEDに固有の単色の照明光が出力される。固体光源ユニット21からの光束は、コリメートレンズ22によりほぼ平行な光束に変換された後、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ41に入射する。フライアイレンズ41に入射した光束は波面分割され、各レンズエレメントの後側焦点面には2次光源像が形成される。各2次光源からの光束は、その近傍に配置された開口絞り42を通過し、ミラー43を介してコンデンサ光学系44の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMAを重畳的に均一照明する。マスクMAのパターンを透過した光束は、投影光学系6を介して、感光性基板であるプレートPL上にマスクパターンの像を形成する。そして、投影光学系6の光軸すなわち基準光軸AXと直交する平面内においてプレートPLを二次元的に駆動制御しながら一括露光を行うことにより、プレートPLの各露光領域にマスクMAのパターンが逐次露光される。
【0070】
この際、主制御系8は、照度センサ72からの出力に基づいて、固体光源ユニット21の輝度及び点灯時間を制御し、適正な照度さらには露光量が確保されるようにする。
【0071】
また、主制御系8は、センサ計測処理部27d,72b,74cの出力に基づいて、光源駆動装置24及び温度調節装置26を動作させて、固体光源ユニット21の動作状態を波長や輝度に関して制御する。
【0072】
図3は、固体光源ユニット21を構成する発光ダイオードEDの動作特性を概念的に説明するグラフである。図3(a)、(b)は発光ダイオードEDの電力特性を示し、図3(c)、(d)は発光ダイオードEDの温度特性を示す。なお、図3(a)、(b)において発光ダイオードEDの温度は一定とし、図3(c)、(d)において発光ダイオードEDへの供給電力は一定としている。図3(a)から明らかなように、一定温度に保たれた発光ダイオードEDへの供給電力を増加させることによって、発光ダイオードEDの出力すなわち輝度が上昇する。また、図3(c)から明らかなように、駆動電力を一定に保った発光ダイオードEDの温度を増加させることによって、発光ダイオードEDの出力すなわち輝度が徐々に低下する。さらに、図3(d)から明らかなように、一定温度に保たれた発光ダイオードEDへの供給電力を増加させることによって、発光ダイオードEDのピーク波長が徐々に上昇する。以上をまとめると、発光ダイオードEDの温度及び駆動電力のいずれか一方を一定に保って他方を変化させれば、発光ダイオードEDの輝度を一定範囲内で任意の状態に制御することができる。さらに、発光ダイオードEDの駆動電力を一定に保って温度を変化させれば、発光ダイオードEDのピーク波長を一定範囲内で任意の状態に制御することができる。この際、発光ダイオードEDの駆動電力を適宜調節すれば、発光ダイオードEDの輝度を一定に保ったままで、発光ダイオードEDのピーク波長を一定範囲内で任意の状態に制御することができる。
【0073】
以上の説明は発光ダイオードEDについてのものであったが、これらを組み合わせた直列光源ユニット21(1)〜21(n)ひいては固体光源ユニット21ついても同様の現象が当てはまり、一般的には、発光ダイオードEDの温度を一定に保って駆動電力を変化させれば、発光ダイオードEDの輝度のみを独立して調節することができ、発光ダイオードEDの温度及び駆動電力を適当なバランスで変化させれば、発光ダイオードEDのピーク波長のみを独立して調節することができる。以上のような動作特性若しくは光射出特性は、予め固体光源ユニット21を計測すること等によって管理されており、このようなデータは、主制御系8中に固体光源ユニット21の光射出特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。
【0074】
上記の光射出特性テーブルを用いれば、固体光源ユニット21から射出すべき照明光のピーク波長や輝度(強度)を目標値に設定してマスクMAを所望の状態で照明することができ、投影光学系6によってプレートPL上に投影される像光のピーク波長や輝度を目標値に設定することができる。一方、投影光学系6によってプレートPL上に形成される投影像の結像状態は、照明光源装置2から射出される照明光のピーク波長や輝度に依存して変化することが分かっている。よって、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度を積極的に調節することによって、投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を適宜変更することができる。以上のような結像特性は、予め投影光学系6を計測すること等によって管理されており、このようなデータは、主制御系8中に投影光学系6の結像特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。
【0075】
具体的な内容について説明すると、例えば投影光学系6について、着目する第1波長と第2波長との両波長に関する標準的結像位置の差が第1波長を基準として一群のデータとして記憶されており、照明光のピーク波長や輝度を微調整することによって上記結像位置の差(結像位置の分散)がどの程度変化するかが予め記憶されている。これにより、投影光学系6が当初から、或いは照射による温度変化、経時変化等によって色収差を有する場合であっても、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させてこのような色収差を実質的に解消することができる。
【0076】
また、投影光学系6について、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度を微調整することによって結像位置がどの程度変化するかが予め記憶されている。これにより、投影光学系6が当初から、或いは照射による温度変化、経時変化等によってフォーカスズレを有する場合であっても、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させてこのようなフォーカスズレを実質的に解消することができる。
【0077】
また、投影光学系6について、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度を微調整することによってディストーションがどのように変化するかが予め記憶されている。これにより、投影光学系6が当初から、或いは照射による温度変化、経時変化等によってディストーションが増加する場合であっても、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させてこのようなディストーションの増加を実質的に解消することができる。
【0078】
以上の動作において、光源駆動装置24によって固体光源ユニット21を所望の電力で発光させつつ温度調節装置26によって固体光源ユニット21を所望の温度に調節するが、この際、センサ計測処理部27d等の出力を利用して照明光の波長及び輝度をリアルタイムで監視し、目標値にロックするフィードバック制御も可能である。
【0079】
なお、以上の説明では、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を照明光のピーク波長や輝度のみで調節するものとしてして説明したが、このような結像特性は、投影光学系6に組み込んだ調整機構によっても調整できる。さらに、固体光源ユニット21から射出される照明光のピーク波長や輝度の調整と、投影光学系6に組み込んだ調整機構との併用によっても、投影光学系6の結像特性を調節することができる。
【0080】
ところで、プレートPL上に塗布されているレジストの感光特性は、照明光源装置2から射出される照明光のピーク波長や輝度に依存して変化することが分かっている。よって、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度を積極的に調節することによって、レジストに対する露光の効果を適宜変更することができる。以上のような感光特性若しくは露光効果は、予め各種レジストを計測すること等によって調査・蓄積されており、このようなデータは、主制御系8中に投影光学系6の感光特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。
【0081】
具体的な内容について説明すると、例えば複数種のレジストについて、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度を微調整することによって現像後の残留量に相当する露光効果がどのように変化するかが予め記憶されている。これにより、レジストの種類を変更した場合に、固体光源ユニット21からの照明光のピーク波長や輝度が最適となるなるように固体光源ユニット21を動作させて、このようなレジスト交換にともなう露光効果の差を実質的に解消して、整合性の高い高精度の露光を可能にする。
【0082】
以上の説明では、固体光源ユニット21を複数の直列光源ユニット21(1)〜21(n)で構成し、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)単位で動作を制御したが、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を構成する発光ダイオードED単位で動作を制御することもできる。この場合、光源駆動装置24は、光ダイオードED単位で動作する電源回路からなり、固体光源ユニット21を構成する発光ダイオードEDを個別に点灯又は消灯することができるので、発光ダイオードEDの点灯数を利用して固体光源ユニット21からの照明光の輝度を調節することもできる。
【0083】
〔第2実施形態〕
図4は、第2実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。この露光装置110は、照明光源装置102と、照明光学系4と、マスクステージ5と、投影光学系106と、プレートステージ7と、主制御系8とを備え、プレートPL上にマスクMAの像を投影することによって露光処理を行う。なお、第2実施形態の露光装置は、第1実施形態の露光装置を一部変更したものであり、同一部分には同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0084】
この場合、照明光源装置102は、図1に示す第1実施形態の場合と異なり、固体光源ユニット21の温度を調節するための温度調節装置26を特に設けていない。ただし、固体光源ユニット21の温度を一定に保つような温度調節装置を設けても不都合を生じるものではない。なお、固体光源ユニット21は、第1実施形態では説明しなかったが、交換可能であり、寿命が来て劣化が進んだ場合等においては、同一又は等価の固体光源ユニットに交換することができる。
【0085】
また、投影光学系106は、複数のレンズ要素L1〜Lnを内臓し、これらのレンズ要素L1〜Lnのうち特定のものには、投影状態調節手段としてレンズ制御用のアクチュエータAC(1)〜AC(k)が付属する。各アクチュエータAC(1)〜AC(k)は、ピエゾ素子等からなり、レンズ駆動回路62に駆動されて各レンズ要素L1〜Lnの光軸方向の位置や光軸に対する傾斜角を微調整することによって、投影光学系106の結像特性を微調整することができる。具体的には、レンズ駆動回路62に適当な指令信号を出力することによって、各アクチュエータAC(1)〜AC(k)を適宜動作させることができ、投影光学系106の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性を適宜補正することができる。
【0086】
主制御系8は、第1実施形態では明示しなかったか、外部に入力手段である入力装置81を備えており、さらに、内部に記憶装置83を備えている。後者の記憶装置83には、固体光源ユニット21に関し、標準的ピーク波長や輝度を基準として照明光のピーク波長や輝度等の光射出特性が変動することによって、投影光学系6の色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性がどの程度変化するかが、予め計測した結果に基づいて結像特性テーブルとして書き換え可能に保管されている。さらに、記憶装置83には、投影光学系6に関し、各レンズ要素L1〜Lnが移動することによって、色収差、フォーカス状態、ディストーション等の結像特性がどの程度補正されるかが、予め計測した結果に基づいて補正テーブルとして書き換え可能に保管されている。つまり、記憶装置83に保持された上記結像特性テーブル及び補正テーブルを適宜組み合わせることにより、固体光源ユニット21が発生する照明光のピーク波長や輝度の変動を相殺するために各レンズ要素L1〜Lnを移動させるべき量を算出することができる。
【0087】
以上において、照明光のピーク波長や輝度等を含む光射出特性の変動は、固体光源ユニット21の交換に際して、交換前後における一対の固体光源ユニット21の個体差によって生じる。また、照明光の光射出特性の変動は、固体光源ユニット21の出力のドリフトや経時変化によっても生じる。よって、固体光源ユニット21の交換に際して、新しい固体光源ユニット21について予め測定した光射出特性を例えば標準値からの差であるオフセット量として入力装置81を介して入力することによって、記憶装置83に保持された各種テーブルに基づいて投影光学系6を構成する各レンズ要素L1〜LnのうちアクチュエータAC(1)〜AC(k)が付属するものの駆動量を与えることができ、固体光源ユニット21の交換に伴って色収差、フォーカス状態、ディストーション等が増加することを未然に防止することができる。また、固体光源ユニット21の交換に際して、新しい固体光源ユニット21の光射出特性を光検出手段である照明光検出部27で検出することにより、記憶装置83に保持された各種テーブルに基づいて投影光学系6を構成する各レンズ要素L1〜Lnの駆動量を与えることができ、固体光源ユニット21のドリフト、経時変化に伴って色収差、フォーカス状態、ディストーション等が増加することを未然に防止することができる。
【0088】
図5は、固体光源ユニット21の光射出特性を予め計測する装置を説明する図である。この計測装置129は、露光装置110とは別に設けられており、レンズ129aと、光センサ129bと、センサ計測処理部129cと、光源駆動装置129dと、温調部129eと、駆動回路129fとを備える。固体光源ユニット21は、温調部129e及び駆動回路129fによって適当な温度に保持されるとともに光源駆動装置129dによって適当な電力が供給されて照明光を射出する。固体光源ユニット21からの射出光は、レンズ129aを経て光センサ129bに入射し、センサ計測処理部129cから照明光の輝度が出力される。この際、レンズ129a及び光センサ129b間に適当な特性のバンドパスフィルタ等を挿入することにより、照明光の特定波長における輝度を計測することができる。これにより、所望の温度及び駆動電力で動作する固体光源ユニット21から射出される照明光の輝度やピーク波長等の光射出特性が検出される。つまり、計測した固体光源ユニット21の光射出特性を標準的な固体光源ユニット21に対する個体差として計測することができる。このような個体差は、オフセット量として管理され、固体光源ユニット21の交換に際して、入力装置81を介して光射出特性のオフセット量として主制御系8に入力され記憶装置83に保存される。
【0089】
一方、固体光源ユニット21の交換に際しては、新しい固体光源ユニット21の光射出特性を図5に示す計測装置129によって計測する代わりに、照明光検出部27で直接検出することもできることは既に述べたとおりである。この場合、照明光検出部27ではなく、照度検出部72や像光検出部74によって、新しい固体光源ユニット21の光射出特性を計測することもできる。
【0090】
また、以上の説明では、固体光源ユニット21の個体差やその出力のドリフトや経時変化によって、固体光源ユニット21の光射出特性が変動し、このような変動を投影光学系6の結像特性の変動に換算してアクチュエータAC(1)〜AC(k)で結像特性の変動を補正するものとしている。しかしながら、投影光学系6の結像特性の補正は、アクチュエータAC(1)〜AC(k)のみに限らず、投影光学系6の各レンズ要素L1〜Lnに設けたスペーサ等の粗調整機構を併用して行うこともできる。
【0091】
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態に係る露光装置の要部である光源駆動装置224の回路構成を説明するブロック図である。なお、第3実施形態は、第2実施形態の露光装置110を光源駆動装置24に関して変更したものである。
【0092】
固体光源ユニット21を駆動するための光源駆動装置224は、電源回路224aと、電源制御部224bと、モニタ部224cとからなる。電源回路224aは、電源制御部224bからの制御信号に基づいて固体光源ユニット21に設けた各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に同一の一定電圧を印加してこれらを並列に駆動する。この際、電源制御部224bは、モニタ部224cの検出結果に基づいて、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加する電圧を微調整する。モニタ部224cは、コンデンサ224fと電流計224gとからなる監視回路であり、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加される電圧の変動を監視する。電源制御部224bに設けた電力調節手段である電力調節部224jは、電流計224gの出力が階段状に急変しその変動波形が発光ダイオードEDの動作不良を表す固有的なものであるか否か、すなわちインピーダンス変化に起因する過渡的現象が発生したか否かを判断する。発光ダイオードEDが動作不良が発生したと判断した場合、電力調節部224jは、動作不良発光のダイオードEDによる減光を補償するように、電源回路224aの出力を上昇させる。これにより、固体光源ユニット21から常に一定強度の照明光を射出させることができる。なお、光量制御手段である光量制御部224kは、いずれか1つの発光ダイオードEDの動作不良すなわち発光ダイオードED一個分の光量減少を補うために増加させるべき電圧をデータとして保持している。光量制御部224kは、電力調節部224jから動作不良の発生を表す警告信号を受け取った場合には、電力調節部224jに制御信号を出力して、電源回路224aの出力の目標値を所定量だけ上昇させる。電力調節部224jでは、この目標値に基づいて各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加する電圧を調節し、固体光源ユニット21から射出される照明光の輝度を一定値に保つ。つまり、実施形態の光源駆動装置224を組み込んだ照明光源装置2では、動作不良の発光ダイオードEDによる光量損失を補うように残存する他の発光ダイオードEDを動作させることができ、照明光源装置2によるマスクMAの照明を一定に維持して露光精度を高めることができる。この際、各発光ダイオードEDへの通電量が均等に微増するだけであるので、温度増加量に起因する波長変化も少なく抑えることができる。
【0093】
以上において、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に印加する電圧の許容値を200(V)程度に設定する。これにより、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に過大な電圧を印加する必要がなくなり、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)の制御性や動作上の安全性を高めることができる。また、固体光源ユニット21を構成する直列光源ユニット21(1)〜21(n)の数をn個とした場合、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)の許容最大電流を200/n(A)程度にすることが望ましい。これにより、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)に過大な電流を印加する必要がなく、制御性、安全性を高めることができる。
【0094】
なお、モニタ部224cは、図6に例示するものに限らず様々な装置を用いることができる。例えば、各直列光源ユニット21(1)〜21(n)を動作させない休止期間中に、直列光源ユニット21(1)〜21(n)に試験的な通電を行ってインピーダンス変化を検出することによっても、直列光源ユニット21(1)〜21(n)の何れかで動作不良が発生していることと、その動作不良の個数とを検出することができる。
【0095】
また、図7に示すように、各発光ダイオードEDをこれに付属してモニタ用のフォトダイオードPDを個別に設けた固体光源素子SLDとするならば、直列光源ユニット21(1)〜21(n)に発生した動作不良の個数だけでなく、動作不良を生じている直列光源ユニットを具体的に特定することができる。
【0096】
さらに、固体光源ユニット21から射出される照明光の全体光量の変動をモニタする光量センサを照明光源装置2や投影光学系6の光路上若しくはその近傍に設けておけば、光量センサの出力が階段状に減少する状態を検出し計数することによって、直列光源ユニット21(1)〜21(n)の何れかで動作不良が発生していることと、その動作不良の個数とを検出することができる。さらに、固体光源ユニット21の擬似面光源の状態を検出するイメージセンサを設けておけば、直列光源ユニット21(1)〜21(n)に発生した動作不良の個数だけでなく、動作不良を生じている直列光源ユニットを具体的に特定することができる。
【0097】
〔第4実施形態〕
上述の各実施形態において、光源として、複数個の固体光源と各固体光源に対応して設けられた複数の光ファイバ等のライトガイドとを組み合わせたファイバ光源を用いても良い。この場合には、第1〜第3実施形態の露光装置に組み込まれる固体光源ユニット21がファイバ光源に変更される。
【0098】
図8は、固体光源ユニット21に代わるファイバ光源802を示す。ファイバ光源802は、固体光源21aと各固体光源21aに対応して設けられた光ファイバ21dとからなる単位光源を複数個束ね合わせた構造を有する。図8に示すファイバ光源802においては、各固体光源21aが各光ファイバ21dの入射端に対して光学的に結合されており、各固体光源21aから射出される光は、光ファイバ21dの入射端に入射して、面状に配列された光ファイバ21dの射出端21gすなわち擬似面光源から射出される。図9は、図8に示すファイバ光源802の変形例を示す。ファイバ光源902は、固体光源21aと、各固体光源21aに対応して設けられたレンズ(集光光学系)21eと、各レンズ21eに対応して設けられた光ファイバ21dとからなる単位光源を複数個束ね合わせた構造を有する。図9に示すファイバ光源902においては、各固体光源21aが各光ファイバ21dの入射端に対して光学的に結合されており、各固体光源21aから射出される光は、レンズ21eに入射して、レンズ21eにより集光されて光ファイバ21dの入射端に入射し、面状に配列された光ファイバ21dの射出端21gすなわち擬似面光源から射出される。以上のようなファイバ光源において、固体光源21aを図2等に示す発光ダイオードEDと同様に制御することによって、ファイバ光源902から所望の輝度及びピーク波長の照明光を発生させることができる。
【0099】
図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、適切な開口数を有する光ファイバ21dを用いることにより、通常楕円断面を有する固体光源21aのビームプロファイルBP0(図10(a)参照)を円形断面のビームプロファイルBP1(図10(b)及び図10(c)参照)に修正することができる。
【0100】
図11は、図9に示すファイバ光源902の単位光源、すなわち1つの固体光源21a、それに対応して設けられたレンズ21e、及び光ファイバ21dの具体的構成例を示す。このファイバ光源902においては、固体光源21aからのの発散光の内で最大の射出角度を持つ光の開口数(最大の射出角度(半角)の正弦(sin)、以下最大開口数と呼ぶこととする。)をNA1、固体光源21aの発光部の大きさ(直径)の最大値をφ、光ファイバ21dが光を取り込むことが可能な角度範囲(半角)の正弦(sin)、いわゆる光ファイバ21dの開口数をNA2、光ファイバ21dの入射端のコア直径をDとしたとき、
NA2≧(φ/D)×NA1
の条件を満足している。この条件を満足することにより、固体光源21aから射出される光を無駄なく光ファイバ21dに取り込むことができ、固体光源71から射出される光の光量を維持して、光ファイバ21dの射出端から射出させることができる。
【0101】
また、固体光源21aから射出される光を無駄なく光ファイバ21dに取り込むことができるとともに、このように取り込んだ光の光量を維持しつつ光ファイバ21d内で伝搬させて、光ファイバ21dの射出端から効率良く射出させることができる。以上において、例えば光ファイバとして石英ファイバを用いる場合、通常
0.3≧(φ/D)×NA1
の条件を満足することになる。この条件を満足することにより、固体光源21aから射出される光を無駄なく石英ファイバに取り込むことができるとともに、光ファイバ21dに取り込んだ光の光量を維持して、光ファイバ21dの射出端から射出させることができる。
【0102】
また、図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、複数個の光ファイバ21dの射出端部分を任意の形に束ね合わせることにより、光源の射出端21g(擬似面光源)の形状を最適な形状に成形することが可能である。射出端21gは、例えば図12(a)に示すような矩形状に成形することもでき、図12(b)に示すような形状に成形することもできる。また、図13に示すように、ファイバ光源802、902の光ファイバ21dの射出端21gの形状とフライアイレンズ41の1つのエレメント41aの形状とが相似形になるように、複数個の光ファイバ21dから光源の射出端21gを形成することも極めて容易となる。
【0103】
また、図14はファイバ光源802、902の射出端からフライアイレンズ41までの構成を示す図、図15はフライアイレンズ41の1つのエレメント41aにおける入射面の形状を示す図、図16はファイバ光源802,902の射出端21gの形状を示す図である。ここで、フライアイレンズ41の入射面の一方の長さをa、他方の長さをb、複数個の光ファイバ21dを束ね合わせた射出端21gの形状において一方の長さをA、他方の長さをBとする。さらに、コリメートレンズ22の焦点距離をf1、フライアイレンズ41の焦点距離をf2としたとき、
A×f2/f1≦a
及び
B×f2/f1≦b
の関係が成り立つようにする。これにより、光源の射出端21gからの照明光を各フライアイレンズ41に無駄なく取り込むことができるようになり、照明光のパワー(照明光率)を高めることができる。
【0104】
さらに、ファイバ光源がm組の光ファイバ光源802,902で構成される場合(mは自然数)、m組の光ファイバ21dから射出される光出力の総量をW、光ファイバ21dの射出端のコア直径をdとしたとき、
[m×{d(f2/f1)}2π/(4×a×b)]×W≧30(mW)
の条件を満足することが望ましい。これにより、フライアイレンズ41の1つのエレメント41aに対する光源像の充填率を最適な状態にすることができ、露光装置として実用的な照度を得ることができる。なお、この場合において、光ファイバ21dを束ねた射出端21gの形状とフライアイレンズ41の1つのエレメント41aの形状とは相似形である。
【0105】
また、図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、特定の固体光源21aについての光ファイバ21dの射出端における時間的に変化する光量の最大値をPmax、最小値をPminとしたとき、その光ファイバ72の射出端における光量の平均リップル幅ΔPは、
ΔP=(Pmax−Pmin)/(Pmax+Pmin)
により算出される。ここで、フライアイレンズ41の入射端において要求される光量のリップル幅をΔWとしたとき、固体光源21aの数nは
n≧(ΔP/ΔW)2
の条件を満たすものとできる。この条件を満足することにより、つまり、固体光源21aの数nを(ΔP/ΔW)2より多くすることにより、ファイバ光源802,902を構成する個々の固体光源21aから射出される光出力のばらつきが平均化され、その平均化効果によって安定した光出力を有するファイバ光源802,902を提供することができる。
【0106】
また、図8に示すファイバ光源802及び図9に示すファイバ光源902においては、それぞれの固体光源21aの波長、光量等の出力特性に固有のばらつきがある場合、それら出力特性の異なる複数個の固体光源21aをファイバ光源の光源として用いることにより光ファイバ21dを束ねた射出端21gにおいて出力特性のばらつきが均一化される。このように均一化された照明光は、さらにフライアイレンズ41により均一化される。図17は、各固体光源21aの出力特性のばらつきを均一化した状態をグラフ化した図である。それぞれ異なった出力特性を持つ固体光源21aを均一化して、グラフ化したものが波長特性AVEである。このように、出力特性の異なる複数個の固体光源21aを組み合わせたものをファイバ光源802,902に使用した場合において、均一化効果によりピーク波長に関して安定した光出力を有する照明光を得ることができる。なお、この波長特性AVEは、各固体光源21aの温度等を調節することによって波長方向にシフトさせることができ、結果的に、固体光源ユニット21から射出させる照明光のピーク波長を所望量だけ安定してシフトさせることができる。
【0107】
また、露光装置が走査型露光装置である場合に、同期ブラインドを備えてもよい。図18は、走査型露光装置の構成図である。この露光装置は、投影光学系に対して、マスクステージ及び基板ステージが移動しつつ、マスクMAのパターンをプレート上に転写する走査型露光装置であり、同期ブラインド(可動ブラインド機構)91を有する。その他の点においては、第1の実施の形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。
【0108】
図18に示すように、マスクMAの近傍には、固定ブラインドBL0と、可動ブラインド機構91とが配置されており、図19に示すように、この可動ブラインド機構91は、4枚の可動ブレードBL1,BL2,BL3,BL4からなる。可動ブレードBL1,BL2のエッジによって走査露光方向の開口APの幅が決定され、可動ブレードBL3,BL4のエッジによって非走査方向の開口APの長さが決定される。
【0109】
固定ブラインドBL0の開口と可動ブラインド機構91の開口APとを通過した照明光はマスクMAを照射する。つまり、各可動ブレードBL1〜BL4によって形成される開口APと固定ブラインドBL0の開口とが重なっている領域についてのみ、マスクMAの照明が行われることになる。通常の露光状態においては、固定ブラインドBL0の開口の像がマスクMAのパターン面に結像されるが、マスクMA上の特定走査露光領域の周辺すなわち遮光部分の近傍領域の露光が行われる場合、4枚のブレードBL1〜BL4によって遮光部分の外側に照明光が入射することが防止される。すなわち、マスクステージ5の走査に際して、照明光源装置2から射出される光束とマスクMAとの相対位置に関する情報が監視される。この監視情報に基づいて、マスクMA上の特定走査露光領域の露光開始時や露光終了時において遮光部分の近傍領域について露光が行われていると判断した場合、ブレードBL1,BL2のエッジ位置を移動させ、走査露光方向の開口APの幅を制御する。これにより、不要なパターン等がプレートに対して転写されるのを防止することができる。なお、この露光装置においては、マスクMA近傍に可動ブラインド機構91を設けているが、マスクMAと共役な位置であれば他の位置に可動ブラインド機構を設けても良い。
【0110】
また、露光装置に帯電防止手段を設けるようにしても良い。図20は、帯電防止手段を備えた露光装置の構成例である。その他の点においては、第1実施形態にかかる露光装置と同一の構成を有する。この露光装置においては、照明光源装置2のうち固体光源ユニット21を収容する筐体93と、照明光学系4、投影光学系6等の露光装置本体を収容する筐体94とが別々に設けられており、両筐体93,94が互いに電気的に接続され、さらにアースされている。すなわち、筐体93と筐体94とを同電位に保たれている。また、固体光源ユニット21に電力を供給する電源部95と露光装置本体に電力を供給する電源部96とが別々に設けられており、それぞれアースされている。したがって、両電源部95,96が互いに独立して相互の干渉を防止できるだけでなく、露光装置本体側からの静電気による固体光源ユニット21の破損を防止することができる。
【0111】
また、上述の各実施形態におけるマスクに替えて、投影すべきパターンを生成する可変パターン生成装置を用いても良い。このような可変パターン生成装置は、自発光型画像表示素子と、非発光型画像表示素子とに大別される。自発光型画像表示素子としては、CRT(cathode ray tube)、無機ELディスプレイ、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting diode)、LEDディスプレイ、LDディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED:field emission display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)が例としてあげられる。また、非発光型画像表示素子は、空間光変調器 (Spatial Light Modulator:以下SLMと略記する)とも呼ばれ、光の振幅、位相あるいは偏光の状態を空間的に変調する素子であり、透過型空間光変調器と反射型空間光変調器とに分けられる。透過型空間光変調器としては、透過型液晶表示素子(LCD:Liquid Crystal Display)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD)などが例としてあげられ、反射型空間光変調器としては、DMD(Deformable Micro−mirror Device, またはDigital Micro−mirror Device)、反射ミラーアレイ、反射型液晶表示素子、電気泳動ディスプレイ(EPD:ElectroPhoretic Display)、電子ペーパー(または電子インク)、光回折型ライトバルブ(Grating Light Valve)などが例としてあげられる。
【0112】
なお、第2実施形態の露光装置にも、同様の可動ブラインド機構91を設けることができる。
【0113】
〔第5実施形態〕
以下、本発明の第5実施形態に係る投影露光方法について説明する。この投影露光方法は、第1〜4実施形態の露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法である。この場合、ウェハ上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る。
【0114】
図21は、マイクロデバイスとしての半導体デバイスの製造方法を説明するためのフローチャートである。まず、図21のステップS40において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップS42において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布され、プレートPLである感光性基板が準備される。その後、ステップS44において、上記実施形態に係る露光装置を用いて、マスクMA上のパターンの像がその投影光学系6を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。即ち、照明光源装置2,102、照明光学系4等を用いてマスクMAを照明することで、投影光学系6を介してマスクMA上のパターンの像がウェハ上に投影され露光転写される。
【0115】
その後、ステップS46において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップS48において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0116】
〔第6実施形態〕
図22は、第1〜4実施形態の露光装置を用いて、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。この場合、ガラス基板上に所定のパターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る。
【0117】
図22のパターン形成工程(ステップS50)では、この実施の形態の露光装置を用いてマスクのパターンをプレートPLである感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程(ステップS52)へ移行する。
【0118】
次のカラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列され、或いはR、G、Bの3本からなるストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。 そして、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)の後に、セル組み立て工程(ステップS54)が実行される。このセル組み立て工程では、パターン形成工程(ステップS50)にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程(ステップS52)にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネルすなわち液晶セルを組み立てる。
【0119】
セル組み立て工程(ステップS54)では、例えば、パターン形成工程(ステップS50)にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程(ステップS52)にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネルを製造する。その後、モジュール組立工程(ステップS56)にて、組み立てられた液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0120】
〔第7実施形態〕
図23は、第7実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。この露光装置310は、照明光源装置302と、プレートステージ307と、主制御系308とを備え、プレートPLの周辺露光処理を行う。
【0121】
ここで、照明光源装置302は、4つの照明光射出部323A〜323Dと、光源駆動装置24とを備える。各照明光射出部323A〜323Dは、保持機構325に保持されてプレートステージ307に対する相対位置や相互の間隔を調整可能になっている。一対の照明光射出部323A,323Bは、固体光源ユニット21と、プレートPL上における照射領域を設定するマスクである絞り部材328aと、これらを支持するアーム328dとを備える。このうち固体光源ユニット21は、光源駆動装置24から供給される駆動電流によって適当な輝度で発光する。この固体光源ユニット21は、従来の高圧水銀ランプに代わるものであり、プレートステージ307の上面に平行なXY面内で一定の広がりを有する擬似面光源QSIを形成する発光ダイオードアレイにより構成される。残りの一対の照明光射出部323C,323Dは、固体光源ユニット21と、プレートPL上に固体光源ユニット21の像を投射するレンズ328bと、固体光源ユニット21の周囲を囲うとともにレンズ328bを支持するマスクである絞り部材328cと、これらを支持するアーム328dとを備える。
【0122】
光源駆動装置24は、主制御系308からの指示に基づいて、固体光源ユニット21を構成する各発光ダイオードアレイに適当な電流を供給し、各発光ダイオードアレイを所望の輝度で発光させる。なお、図示の例では省略しているが、各固体光源ユニット21の輝度を監視するフォトダイオード等のモニタを設けることができ、周辺露光における露光光量の制御性を高めることができる。
【0123】
図示を省略しているが、一対の照明光射出部323A,323Bの絞り部材328aについては、保持機構325に組み込まれた絞り駆動機構によって開閉動作するようになっており、かかる開閉動作によってプレートPL上に投射される照射領域のサイズを調整することができる。また、一対の照明光射出部323C,323Dのレンズ328bと固体光源ユニット21との間隔も適宜調整可能となっており、かかる間隔調整によってプレートPL上に投射される照射領域のサイズを調整することができる。
【0124】
プレートステージ307は、プレート駆動部71に駆動されてプレートステージ307の上面に平行なXY面内及びこれに垂直な方向に沿って3次元的に移動する。プレートステージ307の位置は、プレート駆動部71に設けたレーザ干渉計やフォーカスセンサ(不図示)等によって計測され、主制御系308に出力される。主制御系308は、この位置情報に基づいてプレート駆動部71に設けたモータを駆動してプレートPLを目標位置に所望の速度で移動させることができる。つまり、各照明光射出部323A〜323DによってプレートPL上に投影される照射領域を、例えばプレートPL上でY軸方向に一定速度で移動させることができる。
【0125】
主制御系308は、照明光源装置302、プレートステージ307等を適当なタイミングで動作させて、各照明光射出部323A〜323Dからの射出された照明光を、プレートPL上の適所に露光光としてそのまま入射させる。この際、主制御系308は、保持機構325等を適宜駆動して各照明光射出部323A〜323Dの位置すなわちプレートPL上における照射領域の配置やサイズを調節する。また、プレート駆動部71を適宜駆動してプレートPLを照明光源装置302に対して所望の方向に移動させる走査を行わせる。
【0126】
本実施形態の露光装置310によれば、照射領域画定手段である絞り部材328a,328cやレンズ328bが、照明装置である照明光源装置302から射出された照明光を絞ってプレートステージ307上のプレートPLに入射させるので、簡単な構造で制御が容易である発光ダイオードによって、プレートPLの迅速かつ効率的な周辺露光が可能になる。なお、図示のような装置を用いた場合、プレートPL上において例えば20mW/cm2以上の照度を確保することができ、効率的な照明が可能になる。
【0127】
図24は、プレートPLの走査による周辺露光領域の形成を説明する図である。この場合、照明光源装置302に設けた一対の照明光射出部323A,323Bを併せて表示することによって、プレートPLと両照明光射出部323A,323Bとの配置関係が図面上で明らかになるようにしている。プレートPLの走査によってプレートPL上に形成される周辺露光領域PE1〜PE4は、各照明光射出部323A〜323Dの配置及び照射スポットサイズにそれぞれ対応したものとなっている。
【0128】
図25は、周辺露光が完了した状態のプレートPLの一例を示す。周辺露光領域PEFは、パターン領域PAを避けるように形成されている。ここで、周辺露光領域PEFのうち、X軸に平行な部分は、XY面内で図23のプレートステージ307を90゜回転させることによって形成される。この際、保持機構325等を適宜駆動して一対の照明光射出部323A,323Bの間隔をプレートPLの寸法に合わせて変更するとともに、一対の照明光射出部323C,323Dに設けた固体光源ユニット21を消灯する。
【0129】
図26は、図24に示す固体光源ユニット21の変形例を説明する図である。この場合、固体光源ユニット21に代えてファイバ光源421を用いる。ファイバ光源421は、発光ダイオードである固体光源21aと、各固体光源21aに対応して設けられたレンズ21eと、各レンズ21eに対応して設けられた入射ポート部IPを有するファイバ部材421dとからなる。ファイバ部材421dは、入射ポート部IPを束ねて他端側で融着または接着した構造を有しており、各固体光源21aからの照明光を合波した状態で射出ポート部OPから射出させる構造となっている。なお、射出ポート部OPから射出する照明光は、レンズ328b等を介してプレートPL上に入射する。
【0130】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記第1〜第4実施形態では、照明光源装置2,102及び照明光学系4をケーラー照明型の構成としているが、これらをクリティカル照明型の照明系とすることもできる。
【0131】
また、上記第1〜第4実施形態では、露光装置が基本的に屈折光学系で構成される場合について説明したが、照明光源装置2,102、照明光学系4、投影光学系6等は、すべて等価若しくは類似の機能を有する反射光学系或いは反射屈折光学系に置き換え得ることはいうまでもない。
【0132】
また、上記第1〜第4実施形態では、照明装置にオプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ等を用いているが、これに代えて、反射型のフライアイ・インテグレータや、ロッド型又はシリンダ型のインテグレータを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の全体の概略構成を示すブロック図である。
【図2】固体光源ユニットの回路構成の一例を説明する図である。
【図3】(a)〜(d)は、固体光源ユニットを構成する発光ダイオードの動作特性を概念的に説明するグラフである。
【図4】第2実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図5】固体光源ユニットの光射出特性を予め計測する装置を説明する図である。
【図6】第3実施形態に係る露光装置の要部である光源駆動装置の回路構成を説明するブロック図である。
【図7】各発光ダイオードに付属してモニタ用のフォトダイオードを個別に設けた固体光源素子の例を説明する図である。
【図8】固体光源ユニットに代わるファイバ光源の構造を示す図である。
【図9】図8のファイバ光源を変形したファイバ光源の構造を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、図8等に示すファイバ光源を用いた場合のビームプロファイルを説明する図である。
【図11】図9に示すファイバ光源の具体的な構造を説明する図である。
【図12】(a)、(b)は、図8及び図9に示すファイバ光源の射出端の様子を説明する図である。
【図13】ファイバ光源の射出端の外形をフライアイレンズのレンズエレメントの外形に対して相似にする場合を説明する図である。
【図14】ファイバ光源の射出端の外形とフライアイレンズのレンズエレメントの外形との関係を説明する図である。
【図15】ファイバ光源の射出端の外形とフライアイレンズのレンズエレメントの外形との関係を説明する図である。
【図16】ファイバ光源の射出端の外形とフライアイレンズのレンズエレメントの外形との関係を説明する図である。
【図17】複数の固体光源からの照明光の合波による均一化の効果を説明する図である。
【図18】可動ブラインドを用いた走査を行う露光装置について説明する図である。
【図19】可動ブラインドの構造を説明する図である。
【図20】帯電防止機能を設けた露光装置について説明する図である。
【図21】第5実施形態に係るマイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する方法のフローチャートである。
【図22】第6実施形態に係るマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【図23】第7実施形態に係る露光装置の全体の概略構成を示すブロック図である。
【図24】プレートの走査による周辺露光領域の形成を説明する図である。
【図25】プレートの周辺露光が完了した状態の一例を示す図である。
【図26】図24に示す固体光源ユニットの変形例を説明する図である。
【符号の説明】
2,102…照明光源装置、 4…照明光学系、 5…マスクステージ、 6…投影光学系、 7…プレートステージ、 8…主制御系、 10,110,310…露光装置、 21… 固体光源ユニット、 ED…発光ダイオード、 22…コリメートレンズ、 24…電源装置、 41…フライアイレンズ、 44…コンデンサ光学系、 51…マスク駆動部、 71…プレート駆動部,MA…マスク、 PL…プレート
Claims (35)
- マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、
前記照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンを前記ステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、
前記照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を、前記投影手段の光学特性、前記投影手段の光学特性の変動、及び前記感光性基板の感光特性のうち少なくとも1つを含む投影条件に応じて制御する特性制御手段とを備える露光装置。 - 前記特性制御手段は、前記投影手段が有している前記光学特性としての結像特性及び当該結像特性に関する製造誤差のうち少なくとも一方に応じて、前記照明装置から射出される照明光の波長及び強度の少なくとも一方を調節することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
- 前記特性制御手段は、前記投影手段が有している前記光学特性としての結像特性の経時的な変動に応じて、前記照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を調節することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
- 前記投影手段が有している結像特性は、色収差、フォーカス状態及びディストーションのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2及び請求項3の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記特性制御手段は、前記感光性基板上に塗布されたレジストの特性である前記感光特性に応じて、前記照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を調節することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
- 前記照明装置は、前記照明装置を構成する固体光源の温度を調節する温度調節手段を備え、前記特性制御手段は、前記温度調節手段を介して前記固体光源の動作温度を制御することによって当該前記固体光源の発光特性を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記投影手段の前記光学特性を実時間で検出するセンサあるいは、前記光学特性を算出する算出手段をさらに備え、前記特性制御手段は、当該センサの出力あるいは、該演算手段の算出結果に基づいて、前記温度調節手段による前記固体光源の温度調節量を算出することを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
- 前記照明装置は、前記照明装置を構成する固体光源に供給する電力を調節する電力調節手段を備え、前記特性制御手段は、前記電力調節手段を介して前記固体光源への供給電力を制御することによって当該前記固体光源の発光特性を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記投影手段の前記光学特性を実時間で検出するセンサあるいは、前記光学特性を算出する算出手段をさらに備え、前記特性制御手段は、当該センサの出力あるいは、該演算手段の算出結果に基づいて、前記電力調節手段よる前記固体光源に対する電力調節量を算出することを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
- 前記照明装置は、複数の固体光源を有するとともに、当該複数の固体光源の点灯数を調節する光源駆動手段をさらに備え、前記特性制御手段は、前記光源駆動手段を介して前記複数の固体光源の点灯または消灯を制御することによって前記照明装置の光射出特性を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記特性制御手段は、前記光源駆動手段を介して前記複数の固体光源の点灯数を変更することによって前記照明装置から射出される照明光の強度を調整するとともに、前記照明装置から射出される照明光の波長を調節することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の露光装置。
- マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、
前記照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンを前記ステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、
前記照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記投影手段の状態を調節する投影状態調節手段と
を備える露光装置。 - 前記投影状態調節手段は、前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記投影手段の結像特性を調節することを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
- マスクを照明するための照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、
前記照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンを前記ステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と、
前記照明装置から射出される照明光に関する当該照明装置の光射出特性を予め計測した結果を入力する入力手段と、
前記入力手段に入力された結果に基づいて、前記投影手段の状態を調節する投影状態調節手段と
を備える露光装置。 - 前記投影状態調節手段は、前記入力手段に入力された結果に基づいて、前記投影手段の結像特性を調節することを特徴とする請求項14に記載の露光装置。
- 前記光射出特性は、前記照明装置から射出される照明光の波長及び強度のうち少なくとも一方を含み、前記結像特性は、色収差、フォーカス状態及びディストーションのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項13及び請求項15の何れか一項に記載の露光装置。
- マスクを照明するための照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットを含む照明装置と、
前記照明装置によって照明されたマスクに形成された露光パターンを前記ステージに支持された感光性基板上に投影像として投影する投影手段と
を備える露光装置。 - 前記照明装置は、当該照明装置を構成する少なくとも1つの固体光源の動作不良が発生した場合に、残存して動作する他の固体光源に供給する電力を調節する電力調節手段をさらに備える請求項17に記載の露光装置。
- 前記照明装置から射出される照明光の強度を、前記電力調節手段を介して一定に保持する光量制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の露光装置。
- 前記複数の直列光源ユニットは、並列に接続されており、単一の電源回路から供給される電力によって動作するとともに、前記電力調整手段は、前記電源回路の出力を制御することを特徴とする請求項17乃至請求項19の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記照明装置を構成する各固体光源の出力を検出するモニタ手段を備えることを特徴とする請求項17乃至請求項20の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記モニタ手段は、各固体光源に付属して設けたフォトダイオードであることを特徴とする請求項21に記載の露光装置。
- 前記照明装置を構成する各固体光源の動作不良を検出するモニタ手段を備えるとともに、当該モニタ手段は、前記複数の直列光源ユニットのインピーダンス変化を検出する監視回路であることを特徴とする請求項17乃至請求項20の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記監視回路は、前記複数の直列光源ユニットに電力を供給する際の電流変化又は応答特性に基づいて固体光源の動作不良を検出することを特徴とする請求項23に記載の露光装置。
- 各直列光源ユニットの許容最大電圧が200(V)であることを特徴とする請求項17乃至請求項24の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記照明装置は、前記直列光源ユニットをn個含み、各直列光源ユニットの許容最大電流が200/n(A)であることを特徴とする請求項17乃至請求項24の何れか一項に記載の露光装置。
- 照明光を発生する固体光源を含む照明装置と、
前記照明装置から射出された照明光を絞って前記ステージに支持された感光性基板上に存在する所定の被露光領域に入射させる照射領域設定手段と
を備えることを特徴とする露光装置。 - 前記照射領域設定手段は、レンズ及びマスクの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項27に記載の露光装置。
- 前記照明装置は、照明光をそれぞれ発生する複数の固体光源を含むことを特徴とする請求項27及び請求項28の何れか一項に記載の露光装置。
- 前記照明装置は、前記複数の固体光源を2次元的に配列した光源ユニットからなることを特徴とする請求項29に記載の露光装置。
- 前記照明装置は、前記照明光を20mW/cm2以上の照度で前記感光性基板上に入射させることを特徴とする請求項27乃至請求項30の何れか一項に記載の露光装置。
- 照明光を発生する複数の固体光源をそれぞれ直列に接続した複数の直列光源ユニットと、
前記複数の直列光源ユニットを並列に駆動する光源駆動回路と
を備える露光装置用の照明装置。 - 各光源駆動回路は、対応する直列光源ユニットを構成する前記複数の固体光源のうちの少なくとも1つの固体光源の動作不良が発生した場合に、残存して動作する他の固体光源に供給する電力を調節することを特徴とする請求項32に記載の照明装置。
- 各光源駆動回路は、各直列光源ユニットから射出される照明光の強度を一定に保持することを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
- 請求項1乃至請求項31の何れか1項に記載の露光装置を用いた露光方法において、
被露光面または被露光面と光学的に共役な位置に配置された前記マスクを前記照明装置によって照明する照明工程と、
前記マスクのパターンを前記感光性基板上に転写する転写工程と
を含むことを特徴とする露光方法。
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