JP2004323437A - 有機テルル化合物の製造方法 - Google Patents

有機テルル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】例えばリビングラジカル重合開始剤として有用な有機テルル化合物の新規な製造方法を提供する。
【解決手段】アゾ系重合開始剤と式(1)で示される化合物を反応させることを特徴とする有機テルル化合物の製造方法。
Te−TeR (1)
〔式中、R及びRは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。〕
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機テルル化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機テルル化合物は、リビングラジカル重合開始剤として使用されることが知られている。該リビングラジカル重合開始剤を使用してビニルモノマーを重合すると、温和な条件下で、精密な分子量及び分子量分布(PD=Mw/Mn)の制御を可能とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、有機テルル化合物の新規な製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アゾ系重合開始剤と式(1)で示される化合物を反応させることを特徴とする有機テルル化合物の製造方法に係る。
【0005】
Te−TeR (1)
〔式中、R及びRは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。〕
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の有機テルル化合物は、アゾ系重合開始剤と式(1)で示される化合物を反応させることにより製造される。
【0007】
本発明で使用されるアゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限はないが、例えば式(2)で示される化合物を例示することができる。
【0008】
【化1】
Figure 2004323437
【0009】
[式中、R及びRは同一又は異なってC〜C10アルキル基、カルボキシ置換C〜Cアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、同じ炭素原子に結合しているRとRとで脂肪族環を形成していても良く、Rはシアノ基、アセトキシ基、カルバモイル基、(C〜Cアルコキシ)カルボニル基を示す。]
【0010】
本発明で用いられる式(2)のアゾ化合物において、R、RのC〜C10アルキル基としては例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル基等を例示できる。またカルボキシ置換C〜Cアルキル基のC〜Cアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル基等を例示できる。同じ炭素原子に結合しているRとRとで形成される脂肪族環としては例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等を例示できる。尚、フェニル基には、例えば水酸基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、アミノ基、アセチル基、アセチルアミノ基等の置換基が置換されていてもよい。Rの(C〜Cアルコキシ)カルボニル基としては例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等を例示できる。
【0011】
式(2)のアゾ化合物は、具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボン酸メチル)等が挙げられる。
【0012】
本発明で使用する式(1)で表される化合物は、次の通りである。
Te−TeR (1)
〔式中、R及びRは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。〕
及びRで示される基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を挙げることができる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基又はブチル基が良い。
【0013】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等、置換アリール基としては置換基を有しているフェニル基、置換基を有しているナフチル基等、芳香族へテロ環基としてはピリジル基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。上記置換基を有しているアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−CORで示されるカルボニル含有基(R=C〜Cのアルキル基、アリール基、C〜Cのアルコキシ基、アリーロキシ基)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。好ましいアリール基としては、フェニル基、トリフルオロメチル置換フェニル基が良い。また、これら置換基は、1個又は2個置換しているのが良く、パラ位若しくはオルト位が好ましい。
【0014】
式(1)で示される化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−sec−ブチルジテルリド、ジ−tert−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。
【0015】
式(1)で示される化合物は、金属テルルと式(3)の化合物を反応させることにより製造することができる。
式(3)で表される化合物としては、具体的には次の通りである。
M(R)m (3)
〔式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は銅原子を示す。Mがアルカリ金属の時、mは1、Mがアルカリ土類金属の時、mは2、Mが銅原子の時、mは1または2を示す。〕
で示される基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を挙げることができる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基又はブチル基が良い。アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基としては、上記に示した通りである。
【0016】
Mで示されるものとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、銅を挙げることができる。好ましくは、リチウムが良い。
なお、Mがマグネシウムの時、化合物(3)はMg(Rでも、或いはRMgX(Xは、ハロゲン原子)で表される化合物(グリニャール試薬)でもよい。Xは、好ましくは、クロロ原子、ブロモ原子がよい。
【0017】
具体的な化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム、p−メトキシフェニルリチウム等を挙げることができる。好ましくは、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウムが良い。
【0018】
反応は具体的には例えば次のように行う。先ず金属テルルを溶媒に懸濁させる。使用できる溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒やトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ジアルキルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。好ましくは、THFが良い。有機溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、通常、金属テルル1gに対して1〜100ml、好ましくは、5〜20mlが良い。
金属テルル及び式(3)の化合物の使用割合としては、金属テルル1molに対して、式(3)の化合物を0.5〜1.5mol、好ましくは、0.8〜1.2molとするのが良い。
【0019】
上記懸濁溶液に、式(3)で表される化合物をゆっくりと滴下しその後撹拌する。反応時間は、反応温度や圧力により異なるが、通常5分〜24時間、好ましくは、10分〜2時間が良い。反応温度としては、−20℃〜80℃、好ましくは、15℃〜40℃、より好ましくは、室温が良い。圧力は、通常、常圧で行うが、加圧或いは減圧しても構わない。
【0020】
次に、この反応溶液に、水(食塩水等の中性水、塩化アンモニウム水溶液等のアルカリ性水、塩酸水等の酸性水でも良い)を加え、撹拌する。反応時間は、反応温度や圧力により異なるが、通常5分〜24時間、好ましくは、10分〜2時間が良い。反応温度としては、−20℃〜80℃、好ましくは、15℃〜40℃、より好ましくは、室温が良い。圧力は、通常、常圧で行うが、加圧或いは減圧しても構わない。
反応終了後、溶媒を濃縮し、目的化合物を単離精製する。精製方法としては、化合物により適宜選択できるが、通常、減圧蒸留や再沈殿精製等が好ましい。
【0021】
本発明の有機テルル化合物の製造方法は、具体的には次の通りである。
不活性ガスで置換した容器で、アゾ系重合開始剤と式(1)で示される化合物を混合する。次に、上記混合物を撹拌する。反応温度、反応時間は、適宜調節すればよいが、通常、40〜150℃で、0.5〜100時間撹拌する。好ましくは、60〜120℃で、1〜30時間撹拌するのが良い。この時、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。この時、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。特に好ましくは、窒素が良い。
【0022】
アゾ系重合開始剤と式(1)で示される化合物の使用量としては、通常、アゾ系重合開始剤1molに対して、式(1)で示される化合物0.01〜100mol、好ましくは0.1〜10mol、特に好ましくは0.1〜5molとするのが良い。
【0023】
反応は、無溶媒で行ってもよいが、ラジカル重合で一般に使用される有機溶媒を使用しても構わない。使用できる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、例えば、アゾ系重合開始剤1gに対して、溶媒を0.01〜50ml、好ましくは、0.05〜5mlが良い。
反応終了後、溶媒を濃縮し、目的化合物を単離精製する。精製方法としては、化合物により適宜選択できるが、通常、減圧蒸留や再沈殿精製等が好ましい。
本発明により製造される有機テルル化合物は、例えば式(4)で示される化合物である。
【0024】
【化2】
Figure 2004323437
【0025】
〔式中、RはR、R又はRとRの混合である。R〜Rは上記に同じである。〕
【0026】
具体的な有機テルル化合物としては、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−アミノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−シアノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−(メチルテラニル−メチル)ピリジン、2−(1−メチルテラニル−エチル)ピリジン、2−(2−メチルテラニル−プロピル)ピリジン、2−メチルテラニル−エタン酸メチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−エタン酸エチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸エチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メチルテラニルアセトニトリル、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリル、(フェニルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−フェニルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−フェニルテラニル−プロピル)ベンゼン等を挙げることができる。また上記において、メチルテラニル、1−メチルテラニル、2−メチルテラニルの部分がそれぞれエチルテラニル、1−エチルテラニル、2−エチルテラニル、ブチルテラニル、1−ブチルテラニル、2−ブチルテラニルと変更した化合物も全て含まれる。
【0027】
好ましくは、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリル、(エチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−エチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−エチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−エチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−エチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−エチルテラニルプロピオニトリル、(n−ブチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−n−ブチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−n−ブチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−n−ブチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−n−ブチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−n−ブチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−n−ブチルテラニルプロピオニトリルが良い。
【0028】
本発明の有機テルル化合物は、リビングラジカル重合開始剤として使用でき、優れた分子量制御及び分子量分布制御を非常に温和な条件下で行うことができる。
ビニルモノマーを上記リビングラジカル重合開始剤で重合し、得られるリビングラジカルポリマーの分子量分布(PD=Mw/Mn)は、1.05〜1.50の間で制御される。更に、分子量分布1.05〜1.30、更には1.05〜1.20、更には1.05〜1.15のより狭いPDを有するリビングラジカルポリマーを得ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。また、合成例及び実施例において、各種物性測定は以下の方法で行った。
【0030】
(1)ジテルリド化合物及び有機テルル化合物の同定
ジテルリド化合物を、H−NMR、13C−NMR、IR及びMSの測定結果から同定した。使用した測定機は以下の通りである。
H−NMR:Varian Gemini 2000(300MHz forH)、JEOL JNM−A400(400MHz for H)
13C−NMR:Varian Gemini 2000、JEOL JNM−A400
IR:Shimadzu FTIR−8200(cm−1
MS(HRMS):JEOL JMS−300
【0031】
合成例1(ジメチルジテルリド)
金属テルル〔Aldrich製、商品名:Tellurium(−40mesh)〕3.19g(25mmol)をTHF25mlに懸濁させ、メチルリチウム(関東化学株式会社製、ジエチルエーテル溶液)25ml(28.5mmol)を0℃でゆっくり加えた(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(10分間)。この反応溶液に、塩化アンモニウム溶液20mlを室温で加え、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、黒紫色油状物2.69g(9.4mmol:収率75%)を得た。
MS(HRMS)、H−NMRによりジメチルジテルリドであることを確認した。
HRMS(EI)m/z:Calcd for CTe(M), 289.8594;Found289.8593
H−NMR(300MHz,CDCl)2.67(s,6H)
【0032】
合成例2(ジ−n−ブチルジテルリド)
金属テルル(上記と同じ)3.19g(25mmol)をTHF25mlに懸濁させ、n−ブチルリチウム(Aldrich製、1.6Mヘキサン溶液)17.2ml(27.5mmol)を0℃でゆっくり加えた(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(10分間)。この反応溶液に、塩化アンモニウム溶液20mlを室温で加え、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、黒紫色油状物4.41g(11.93mmol:収率95%)を得た。
H−NMRによりジ−n−ブチルジテルリドであることを確認した。
H−NMR(300MHz,CDCl)0.93(t,J=7.3Hz,3H),1.39(m,2H),1.71(m,2H),3.11(t,J=7.6,2H,CHTe)
【0033】
合成例3(ジフェニルジテルリド)
金属テルル(上記と同じ)3.19g(25mmol)をTHF25mlに懸濁させ、フェニルリチウム〔Aldrich製、1.8Mシクロヘキサン/エーテル(70:30)溶液〕15.8ml(28.5mmol)を0℃でゆっくり加えた(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(10分間)。この反応溶液に、塩化アンモニウム溶液20mlを室温で加え、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、黒紫色油状物3.48g(8.5mmol:収率68%)を得た。
H−NMRによりジフェニルジテルリドであることを確認した。
【0034】
実施例1
窒素置換したグローブボックス内で、AIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)(0.10mmol)、合成例1で製造した化合物(0.10mmol)、トリフルオロメチルベンゼン1mlの溶液を80℃で3時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、赤色油状物(収率:17%)を得た。
IR、HRMS、H−NMR、13C−NMRにより2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオニトリルであることを確認した。
【0035】
2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオニトリル
IR(neat,cm−1)2217,1713,1458,1370,1225,1117,835
HRMS(EI)m/z:Calcd for CNTe(M),212.9797;Found 212.9799
H−NMR(300MHz,CDCl)1.91(s,6H),2.38(s,3H,TeCH
13C−NMR(75MHz,CDCl)−15.5,2.2,30.3,125.1
【0036】
実施例2〜7
窒素置換したグローブボックス内で、AIBN(上記と同じ)(0.10mmol)、表2に示した配合で式(1)で示される化合物(合成例1から合成例3で製造した化合物)、トリフルオロメチルベンゼン1mlの溶液を80℃で3時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、各種有機テルル化合物を得た。結果を表1に示す。
各有機テルル化合物は、H−NMRにより確認した。実施例2及び3は、2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオニトリル、実施例4は、2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオニトリル、実施例5〜7は、2−メチル−2−フェニルテラニル−プロピオニトリルであることを確認した。
【0037】
【表1】
Figure 2004323437
【0038】
【発明の効果】
本発明で得られる有機テルル化合物をラジカル重合開始剤を使用して、ビニルモノマーを重合すると、温和な条件下で、精密な分子量及び分子量分布(PD=Mw/Mn)の制御が可能である。

Claims (3)

  1. アゾ系重合開始剤と式(1)で示される化合物を反応させることを特徴とする有機テルル化合物の製造方法。
    Te−TeR (1)
    〔式中、R及びRは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。〕
  2. 式(1)で示される化合物が対称ジテルリド化合物(R=R)である請求項1に記載の有機テルル化合物の製造方法。
  3. 式(1)で示される化合物がジアルキルジテルリドである請求項2に記載の有機テルル化合物の製造方法。
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