JP2004278461A - 内燃機関のノッキング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することのできる内燃機関のノッキング制御装置を提供する。
【解決手段】燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わると、インジェクタの作動ノイズがノック判定期間のノックセンサの出力信号に乗るようになる。そうした状態の切り替わりから所定期間が経過するまでの間、判定結果に基づき点火時期を変更するノッキング制御の実施を禁止することで、インジェクタの作動ノイズの影響によるノック判定の誤判定に基づく不適切な点火時期の変更を好適に回避する。
【選択図】 図7
【解決手段】燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わると、インジェクタの作動ノイズがノック判定期間のノックセンサの出力信号に乗るようになる。そうした状態の切り替わりから所定期間が経過するまでの間、判定結果に基づき点火時期を変更するノッキング制御の実施を禁止することで、インジェクタの作動ノイズの影響によるノック判定の誤判定に基づく不適切な点火時期の変更を好適に回避する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように内燃機関の多くでは、ノッキング発生の有無を判定するノック判定を行い、その判定結果に応じて点火時期等の機関制御量を変更するノッキング制御が実施されている。通常、ノック判定は、シリンダブロック等に配設された振動検出センサであるノックセンサを用いて行われる。そして、各気筒の着火後に設定された所定の期間(ノック判定期間)のノックセンサの出力信号に基づいてノッキング発生の有無を判定するようにしている。
【0003】
近年、噴口が燃焼室に露出するようにインジェクタを配設して、燃料を気筒内に直接噴射する筒内噴射式内燃機関が実用されている。そうした筒内噴射式内燃機関では、機関運転状態に基づいて燃料噴射時期を吸気行程と圧縮行程との間で変更して、燃焼方式を均質燃焼と成層燃焼との間で切り替えるものがある。また吸気ポート等に配設された気流制御弁により、気筒内の気流を制御して気筒内の燃焼状態を改善するようにしたものもある。
【0004】
こうした燃焼方式の切り替えや気流制御などにより、内燃機関の燃焼形態が変更されると、気筒内での燃焼速度が変化して、燃料着火後のノッキングの発生時期も変化する。そこで従来、特許文献1にみられるように、筒内噴射式内燃機関において、燃焼形態に応じてノック判定期間を変更する技術が提案されている。この技術によれば、燃焼形態の変化に伴うノッキング発生時期の変化に拘わらず、適切なノッキング検出を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−159642号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関での燃料噴射を行うインジェクタは、電磁ソレノイドへの通電によりノズルニードルをバルブシートから離間させるように駆動することで、バルブを開いて燃料噴射を開始し、電磁ソレノイドへの通電停止によりノズルニードルをバルブシートに着座させることで燃料噴射を停止する構造となっている。
【0007】
こうしたインジェクタは、その作動に伴い、例えばノズルニードルがバルブシート等に突き当たるときの着打音などの振動を発生する。そしてその振動が、ノイズとしてノックセンサの出力信号に乗ってしまうことがある。特に筒内噴射式内燃機関では、ポート噴射式内燃機関に比して、インジェクタがノックセンサに近い位置に配設されているため、ノックセンサの出力信号に対する、インジェクタの作動に伴うノイズの影響がより大きくなる傾向にある。
【0008】
しかし従来においては、ノック判定に対するインジェクタの作動ノイズの影響を考慮することなくノッキング判定期間と燃料噴射時期とが設定されていた。そのため、ノック判定期間のノックセンサの出力信号にインジェクタの作動ノイズが乗り、実際にはノッキングが発生していなくても、ノッキングが発生していると誤判定されてしまい、誤制御が生じる虞があった。
【0009】
すなわち、ノック判定期間と燃料噴射期間とが重複していないときには、インジェクタの作動ノイズがノックセンサの検出信号に乗ることがないため、その検出信号に表れるバックグランノイズは比較的小さくなっている。ここで燃料噴射時期が切り替えられてノック判定期間と燃料噴射期間とが重複すると、インジェクタの作動ノイズがノックセンサの検出信号に乗るようになる。そうした燃料噴射時期の切り替え直後には、それまでの小さいバックグランドノイズレベルを前提にノック判定が行われる。そのため、インジェクタの作動ノイズの影響を反映した適正なバックグランドノイズレベルの学習がなされるまでは、ノックセンサの検出信号に表れたインジェクタの作動ノイズをノッキングによるものと誤判定してしまうことがある。そしてそうした誤判定に基づいて上記点火時期等の機関制御量が不適切に変更されてしまう誤制御が生じてしまうこととなる。
【0010】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することのできる内燃機関のノッキング制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複しているときには、前記ノック判定の実施を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0012】
上記構成では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複しており、インジェクタの作動ノイズによってノック判定の結果を誤る虞のあるときには、ノック判定の実施が禁止される。そのため、ノック判定期間のノックセンサの出力信号にインジェクタの作動ノイズが乗ってしまい、誤った判定結果がなされることが回避される。したがって、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することができる。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複しているときには、前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0014】
上記構成では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複しており、インジェクタの作動ノイズのため、ノック判定の結果を誤る虞のあるときには、その判定結果に基づく機関制御量の変更が禁止される。したがって、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することができる。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わったとき、その切り替わりから所定期間が経過するまでの間、前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0016】
上記構成では、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わってから所定期間が経過するまでの間、ノック判定の結果に基づく機関制御量の変更が禁止される。これにより、インジェクタの作動ノイズの影響を反映した適正なバックグランドノイズレベルの学習がなされるまで、すなわち適正なノック判定が可能となるまで、その判定結果に基づく機関制御量の変更を禁止しておくことができる。そのため、誤まったノック判定の結果に基づく不適切な機関制御量の変更が好適に回避される。
【0017】
したがって上記構成によれば、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することができる。なお、上記所定期間は、ノック判定期間と燃料噴射期間とが重複するようになってから、インジェクタの作動ノイズにより増大したバックグランドノイズレベルを適正に学習することが十分可能な期間に設定しておくことが望ましい。
【0018】
また請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記機関制御量のノック限界値を前記判定結果に基づき学習する学習手段と、前記禁止手段によって前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更が禁止されているときは、前記学習手段により学習された前記ノック限界値に基づいて、前記機関制御量をそのノック限界値よりもノッキングが発生し難い側に設定する設定手段と、を更に備えることをその要旨とする。
【0019】
上記構成では、適正にノック判定がなされている間に、その判定結果に基づいて、機関制御量のノック限界値が学習される。そして、禁止手段によってノック判定の判定結果に基づく機関制御量の変更が禁止されるようになると、すなわちインジェクタの作動ノイズの影響で適切にノック判定を行うことができない状況となると、その学習されたノック限界値に基づいて、機関制御量がそのノック限界値よりもノッキングが発生し難い側に設定される。そのため、ノック判定の判定結果に基づく機関制御量の変更が適切に行えないときにも、機関制御量は、ノッキングの発生を回避可能な値に設定されることとなる。したがって上記構成によれば、インジェクタの作動ノイズの影響でノック判定が適切に行えないようなときにも、ノッキングの発生を好適に防止することができる。
【0020】
また請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記機関制御量は、点火時期であることをその要旨とする。
点火時期は、ある程度に進角させた方が、機関出力性能等で有利であるが、点火時期を進角させ過ぎるとノッキングが発生してしまう。そのため、多くの火花着火式内燃機関では、ノック判定の判定結果に基づき、ノッキングを発生させない限度、すなわちノック限界点火時期まで点火時期を進角させるようにノッキング制御が実施されている。上記構成では、そうしたノッキング制御を実施する内燃機関において、ノッキングが発生していないのにも拘らず、インジェクタの作動ノイズの影響により、誤って点火時期が遅角されてしまい、機関出力が低下されてしまうことを回避することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施形態の適用される内燃機関10の制御系の構成を示す。この内燃機関10は、4つの気筒を備え、気筒毎に設けられたインジェクタ12から各気筒の燃焼室11内に燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関として構成されている。
【0022】
内燃機関10の機関制御は、電子制御装置20により行われている。電子制御装置20は、機関制御に係る各種処理を実施する中央演算処理装置(CPU)、制御用のプログラムや機関制御に必要な情報を記憶するメモリ、波形整形回路、インジェクタ12やイグナイタ13等の駆動回路等を備えて構成されている。
【0023】
電子制御装置20には、機関運転状態を検出する各種のセンサが接続されている。例えばNEセンサ22によっては、機関出力軸であるクランクシャフトの回転角が、ひいては機関回転速度NEが検出されている。またアクセルセンサ23によっては、アクセル操作量ACCPが検出されている。更に内燃機関10のシリンダブロック10aに配設されたノックセンサ21によっては、各気筒の燃焼室11内からシリンダブロック10aに伝達された振動が検出されている。
【0024】
これ以外にも、電子制御装置20には、吸入空気量を検出するエアフローメータや機関冷却水の温度を検出する水温センサ等、機関制御に必要なセンサの検出信号が入力されている。そして電子制御装置20は、そうしたセンサの検出信号より把握される内燃機関10の運転状況に応じて、燃料噴射制御や点火時期制御を始めとする各種機関制御を実施する。
【0025】
なおNEセンサ22の検出信号は、電子制御装置20の上記波形整形回路に入力されるようになっている。波形整形回路は、NEセンサ22の検出信号に基づき、各種制御の実施タイミングを決めるための各種信号を生成し、CPUに出力する。
【0026】
次に本実施形態での燃料噴射制御の概要を説明する。
電子制御装置20は、機関回転速度NEや機関負荷等の機関運転状態に基づいて、燃料噴射量や燃料噴射時期を算出している。また電子制御装置20は、その算出された燃料噴射量と機関回転速度NEとに基づいて、要求される量の燃料を噴射可能なインジェクタ12の噴射時間である燃料噴射時間を算出する。そして電子制御装置20は、それら算出された燃料噴射時期及び燃料噴射時間に基づいて、燃料噴射信号を気筒毎に生成され、各気筒のインジェクタ12に出力する。
【0027】
燃料噴射信号は、上記燃料噴射時期により示される時期から上記燃料噴射時間が経過するまでの間、オンとされる。燃料噴射信号がオンとなると、インジェクタ12の電磁ソレノイドへの通電が開始され、それにより発生する電磁吸引力によりノズルニードルがバルブシートから離間されるように駆動される。これにより、インジェクタ12の噴口が開かれて燃料噴射が開始される。一方、燃料噴射信号がオフとされると、電磁ソレノイドへの通電が停止され、ノズルニードルがバルブシートに着座される。これにより噴口が閉ざされ、燃料噴射が停止される。こうして燃料噴射信号がオンとされている期間、インジェクタ12からの燃料噴射が行われる。そしてこれにより、各気筒の燃焼室11には、機関運転状況に応じた適切な時期に、適切な量の燃料が噴射供給されるようになる。
【0028】
一方、電子制御装置20は、上記ノックセンサ21の検出結果に基づいて、ノッキング発生の有無を判定するノック判定を行い、その判定結果に基づき点火時期を変更するノッキング制御を実施している。
【0029】
まずここでは、本実施形態でのノック判定について説明する。
電子制御装置20に設けられた上記波形整形回路は、NEセンサ22の検出信号に基づきゲート信号を生成してCPUに出力する。ゲート信号は、ノック判定に係るノックセンサ21の出力信号のサンプリングを実施する期間を決定する信号で、ノック判定は、ゲート信号がオンとなっている期間のノックセンサ21の出力信号を参照して行われる。よってここでは、ゲート信号がオンとなっている期間が、ノックセンサ21の出力信号に基づくノック判定が行われる「ノック判定期間」となっている。
【0030】
ちなみにゲート信号のオン時期及びオフ時期は、各気筒の圧縮上死点を基準としたクランク角(ATDC)で表される。ここでは、ノック判定期間は、各気筒の圧縮上死点の10°CA後から60°CA後までの期間に設定されている。すなわちゲート信号は、各気筒のATDC10°CA後にオンとされ、ATDC60°CAにオフとされる。
【0031】
本実施形態でのノック判定は、ノック判定期間におけるノックセンサ21の出力信号のピークホールド値VKPEAK(最大値)に基づいて行われている。そしてそのピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKが正規分布を示すとの前提に基づき、今回サンプリングされた対数変換値LVPKのその分布内での位置によりノッキング発生の有無の判定を行うノック判定方式が採用されている。
【0032】
図2に、そうした「ノック判定処理」のフローチャートを示す。
ゲート信号がオンとされ、ノック判定用のゲートがオープンされると(S210:YES)、対象となる気筒のノックセンサ21の出力信号のピークホールドが開始される(S220)。すなわち、ゲート信号がオンとされてからのノックセンサ21の出力信号の最大値であるピークホールド値VKPEAKが求められる。
【0033】
ゲート信号がオフとされて同ゲートがクローズされると(S230:YES)、その時点でのピークホールド値VKPEAK、すなわちノック判定期間におけるノックセンサ21の出力信号の最大値が読み込まれる(S240)。
【0034】
そしてそのピークホールド値VKPEAKに基づいて、ノック判定レベルが更新される(S250)。ここでのノック判定レベルの更新は、以下の態様で行われる。
【0035】
まず、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKに基づき、その対数変換値LVPKの分布傾向を示す分布パラメータ、すなわち分布中央値VMED及び標準偏差値SGMの更新が行われる。ここでは、それらの更新は、下式[数1]、[数2]に基づき行われる。すなわちここでは、分布中央値VMED及び標準偏差値SGMの更新前の値を、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKとの対比に基づき増減することで、分布中央値VMED及び標準偏差値SGMが概算により求められている。
【0036】
【数1】
(LVPK>VMEDのとき)
VMED ← VMED+ΔM
(LVPK≦VMEDのとき)
VMED ← VMED−ΔM
【0037】
【数2】
(VMED−SGM<LVPK<VMEDのとき)
SGM ← SGM−2・ΔS
(LVPK≦VMED−SGM、またはLVPK≧VMEDのとき)
SGM ← SGM+ΔS
ここでは、分布中央値VMEDの更新量ΔMは、今回サンプリングされた対数変換値LVPKと更新前の分布中央値VMEDとの差を所定値n1(例えば「4」)で除算した値とされている。また標準偏差値SGMの更新量ΔSは、分布中央値VMEDの更新量ΔMを所定値n2(例えば「8」)で除算した値とされている。
【0038】
ノック判定レベルは、こうして更新された分布パラメータより求められる。ここでは次の2つのノック判定レベル、すなわち無ノック判定値P1、大ノック判定値P2が設定されている。
【0039】
「無ノック判定値P1」は、ノッキング発生の有無を判定するためのノック判定レベルで、次式[数3]より求められる。ここで「u」は、u値と呼ばれる係数で、機関回転速度NEに基づき算出される。
【0040】
【数3】
P1←VMED+u×SGM
「大ノック判定値P2」は、規模の大きいノッキングの発生の有無を判定するためのノック判定レベルで、次式[数4]より求められる。
【0041】
【数4】
P2←P1+2×SGM
そして、以上により求められたノック判定レベルと今回サンプリングされた対数変換値LVPKとの対比に基づき、ノック判定が行われる(S260)。すなわち、今回サンプリングされた対数変換値LVPKが無ノック判定値P1以下であれば、対象となる気筒での今回の燃焼では、ノッキングの発生無しと判定される。また今回サンプリングされた対数変換値LVPKが無ノック判定値P1を超え、且つ大ノック判定値P2未満であれば、対象となる気筒での今回の燃焼において、あまり規模の大きくないノッキングの発生有りと判定される。更に今回サンプリングされた対数変換値LVPKが大ノック判定値P2以上であれば、対象となる気筒での今回の燃焼において、規模の大きいノッキングの発生有りと判定される。こうした判定がなされた後は、上記ステップS210に処理が戻される。
【0042】
以上の処理は、機関始動後にノック判定の実行条件が成立したときから、電子制御装置20によって繰り返し実行される。これにより、各気筒で燃焼が行われるごとにノック判定が実施されている。
【0043】
次に本実施形態でのノッキング制御について説明する。ノッキング制御は、上記ノック判定の判定結果に基づき点火時期を変更して、点火時期の最適化を図るために行われる。ここでのノッキング制御は大きくは、点火時期の制御目標値である目標点火時期AFINを、ノック判定においてノッキングの有りと判定されたときには遅角量βだけ遅角させ、ノッキング無しと判定されたときには進角量αだけ進角させることで行われる。
【0044】
またノッキング制御では、ノッキングの発生限界となる点火時期であるノック限界点火時期を学習補正するための学習値であるKCS学習値AGKNKの更新も併せ行われている。ここでは、「ノッキング有り」と判定されているときにはKCS学習値AGKNKの値を所定量加算し、「ノッキング無し」と判定されているときにはその値を所定量減算することで、その更新がなされている。ここでのKCS学習値AGKNKの加算量及び減算量は、上記遅角量β及び進角量αに比して十分小さい値が設定されている。
【0045】
なお、目標点火時期AFINは、各気筒で点火を実施させる時期を、各気筒の圧縮上死点を基準としたクランク角(BTDC)で表したものである。電子制御装置20は、目標点火時期AFINにより示される時期にオンとなる点火信号を各気筒のイグナイタ13に出力し、点火を実施させる。
【0046】
図3に、そうしたノッキング制御処理のフローチャートを示す。
同図の処理が開始されると、まずステップS300において、上記「ノック判定処理」での判定結果が読み込まれる。そしてステップS310において、その判定結果が「ノッキング有り」を示すものであるか否かが判断される。そして「ノッキング有り」と判定されているときには(YES)、ステップS320において、KCSフィードバック補正値AKCSの値から遅角量βが減算される。またそうでないときには、すなわち「ノッキング無し」と判定されているときには(NO)、ステップS330において、KCSフィードバック補正値AKCSの値に進角量αが加算される。この進角量αは、上記遅角量βに比して十分に小さい値が設定されている。
【0047】
こうしてKCSフィードバック補正値AKCSを、ノック判定の判定結果に応じて増減させた後、ステップS340において、ノック判定の判定結果に基づき上記KCS学習値AGKNKの更新がなされる。
【0048】
続くステップS350では、上記目標点火時期AFINの算出が行われる。目標点火時期AFINの算出は、次式[数5]に基づき行われる。ここで「ABSE」は、点火時期の進角限界である「最大進角点火時期」であり、機関回転速度NE等に基づき設定される。
【0049】
【数5】
AFIN←ABSE−AGKNK+AKCS
図4に、以上説明したノッキング制御の制御態様の一例を示す。同図に示すように、上記ノッキング制御が開始されると、ノック判定においてノッキング無しと判定されている間は、目標点火時期AFINが上記進角量αずつ、徐々に進角される。一方、ノッキングが発生し、ノッキング有りとの判定結果が下されると目標点火時期AFINが上記遅角量β分だけ遅角される。これにより、目標点火時期AFINを、上記ノック限界点火時期近傍を推移させるようにしている。
【0050】
なお実際には、KCS学習値AGKNKの値は上記のように、ノック判定の判定結果に応じて更新されているが、同図ではその値が一律であるとして示している。ちなみにKCS学習値AGKNKの更新に係るその値の変化速度は、KCSフィードバック補正値AKCSの値の変化速度に比して、十分に小さいものとなっている。
【0051】
こうした更新を通じて、KCS学習値AGKNKの値は、上記最大進角点火時期ABSEに対する現状のノック限界点火時期の遅角量を表すようになる。よって、現状のノック限界点火時期は、「ABSE−AGKNK」で表されるようになる。
【0052】
以上のように本実施形態では、上記ノック判定期間のノックセンサ21の出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づき点火時期を変更するようにしている。一方、本実施形態では、機関運転状態に応じて燃料噴射時期が変更されており、機関運転状態によってノック判定期間と燃料噴射期間とが重複したり、重複しなかったりする。
【0053】
図5には、燃料噴射時期が吸気行程中期に設定されているときの燃料噴射信号、点火信号、ゲート信号、及びノックセンサ21の出力信号(ノックセンサ信号)の波形例が示されている。同図に示すように、このときの燃料噴射期間(燃料噴射信号がオンとなっている期間)は、ノック判定期間(ゲート信号がオンとなっている期間)と重複していない。そのため、ノック判定期間中のノックセンサ信号に、インジェクタ12の作動ノイズが乗ることはなく、そのバックグランドノイズレベルは、小さくなっている。
【0054】
一方、図6には、燃料噴射時期が圧縮下死点に設定されているときの上記各信号の波形例が示されている。同図に示すように、このときの燃料噴射期間は、ノック判定期間と重複するようになる。そのため、このときには、インジェクタ12の作動ノイズが、ノック判定期間のノックセンサ信号に乗るようになる。
【0055】
ここで機関運転状態に応じた燃料噴射時期の変更により、図5のようにノック判定期間と燃料噴射期間とが重複した状態から、図6のようにそれらが重複していない状態に切り替わると、その直後には、ノッキングが発生していないにも拘わらず、ノッキング有りとの誤った判定がなされる虞がある。
【0056】
すなわち、そうした切り替わりの前には、インジェクタ12の作動ノイズの影響の無い、比較的小さいバックグランドノイズレベルに基づいて、上記ノック判定に係る2つのノック判定値(無ノック判定値P1、大ノック判定値P2)が設定されている。一方、上記切り替わりの後、ノック判定期間のノックセンサ21の出力に、インジェクタ12の作動ノイズが乗った状態がしばらく続けば、上記ノック判定値にもその影響が反映されるようになる。しかし、上記切り替わりの直後には、ノック判定値は、それまでの比較的小さいバックグランドノイズレベルを前提とした値のままである。そのため、インジェクタ12の作動ノイズの影響がノック判定値に反映されるようになるまでは、ノックセンサ21の出力信号に表れたインジェクタ12の作動ノイズをノッキングによるものと誤判定してしまうことがある。そしてその誤判定に基づいて、目標点火時期AFINが不適切に変更されてしまう虞がある。
【0057】
そこで本実施形態では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態からそれらが重複した状態へと切り替わったとき、その切り替わりから所定期間が経過するまでの間、ノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更を、すなわち上記ノッキング制御処理の実施を禁止するようにしている。そしてノッキング制御処理の実施が禁止されている間は、次式[数6]に基づいて目標点火時期AFINを設定するようにしている。
【0058】
【数6】
AFIN←ABSE−AGKNK−A
すなわち、このときには、KCS学習値AGKNKより把握されるノック限界点火時期に基づいて、目標点火時期AFINをそのノック限界点火時期よりも値A(例えば3°CA)だけ遅角した値に設定するようにしている。これにより、ノッキング制御が禁止されている間にも、点火時期をノック限界点火時期よりも遅角側に確実に設定し、ノッキングの発生を好適に防止するようにしている。
【0059】
図7に、以上のようなノッキング制御の禁止・許可に係る判定、及びノッキング制御禁止中の目標点火時期AFINの設定を行う「実施判定処理」のフローチャートを示す。この処理は、機関運転中、予め設定された目標点火時期AFINの算出タイミング毎に、電子制御装置20により実施される。
【0060】
この処理が開始されると、まずステップS400において、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複した状態にあるか否かが判断される。この判断は、そのときの燃料噴射時期、燃料噴射時間の設定値に基づき行われる。
【0061】
ここでそれらが重複していない状態にあると判断されたときには(S400:NO)、ステップS410においてカウンタCcompの値を「0」に設定し、またステップS430において上記ノッキング制御処理が実施され、本処理が一旦終了される。このときには、上記ノッキング制御を通じて、ノック判定の判定結果に応じて目標点火時期AFINが設定されることとなる。
【0062】
また、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複した状態にあると判断されたときには(S410:YES)、ステップS420において上記カウンタCcompの値に「1」が加算される。そして続くステップS440において、そのカウンタCcompの値が所定の判定値γ以上であるか否かが判断される。
【0063】
ここでカウンタCcompの値が判定値γ未満であれば(S440:NO)、ステップS450にて上記ノッキング制御の実施を禁止し、ステップS460にて上式[数6]に基づき目標点火時期AFINが設定され、本処理が一旦終了される。一方、カウンタCcompの値が判定値γ以上であれば(S440:YES)、上記ステップS430において上記ノッキング制御処理が実施され、本処理が一旦終了される。これにより、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態からそれらが重複した状態に切り替わってから、カウンタCcompの値が判定値γ以上となるまでの期間、ノッキング制御処理の実施が禁止される。この判定値γは、インジェクタ12の作動ノイズの影響を反映した適正な値に上記ノック判定値が更新されるのに十分な期間、ノッキング制御処理の実施が禁止されるように、その値が設定されている。
【0064】
なおこうした本実施形態では、点火時期が、ノック判定の判定結果に基づいて変更される機関制御量に対応し、KCS学習値AGKNKに基づき把握されるノック限界点火時期(ABSE−AGKNK)がそのノック限界値に対応している。また、KCS学習値AGKNKを更新する図3のステップS340が上記学習手段の処理に対応している。更に、ノッキング制御処理の実施を禁止する図7のステップS450が上記禁止手段の処理に、ノッキング制御の禁止中に上記ノック限界点火時期に基づき目標点火時期AFINを設定する同図7のステップS460が上記設定手段の処理に、それぞれ対応している。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わったとき、その切り替わりから所定期間が経過するまでの間、ノッキング制御の実施を、すなわちノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更を、禁止するようにしている。これにより、インジェクタ12の作動ノイズの影響を反映した適正な判定値が設定され、適正なノック判定が可能となるまで、その判定結果に基づく点火時期の変更が禁止される。そのため、誤まったノック判定の結果に基づく不適切な点火時期の変更が好適に回避されるようになる。
【0066】
(2)本実施形態では、ノッキング制御が禁止されているときには、KCS学習値AGKNKより把握される現状のノック限界点火時期(ABSE−AGKNK)に基づき、そのノック限界点火時期よりも遅角側となるように目標点火時期AFINを設定するようにしている。そのため、ノッキング制御が禁止されているときにも、ノッキングを好適に防止しつつ、点火時期をノック限界点火時期の近傍に設定することができる。
【0067】
なお、上記実施形態は次のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、ノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更が禁止されている期間は、学習されたノック限界点火時期に基づいて、ノック限界点火時期よりも遅角側に目標点火時期AFINを設定していたが、そうした禁止期間中の目標点火時期AFINの設定態様は適宜変更しても良い。例えばノッキング制御の禁止期間における目標点火時期AFINを予め設定された固定値としても、それが確実にノッキングの発生を防止可能な値に設定されていれば、ノッキングの発生を防止しつつ、インジェクタ12の作動ノイズの影響による誤制御を回避することはできる。
【0068】
・図7の実施判定処理では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態に切り替わってから所定期間が経過するまでの間、ノック判定の判定結果に基づき点火時期を変更するノッキング制御の実施を禁止するようにしている。ただし、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複している期間のすべてにおいてノッキング制御の実施を禁止するようにしても、インジェクタ12の作動ノイズの影響による誤制御を防止することはできる。
【0069】
・またそうした期間、ノッキング制御の実施の禁止と共にノック判定の実施も禁止するようにしても良い。その場合にも、やはりインジェクタ12の作動ノイズの影響による誤制御を防止することはできる。
【0070】
・図3のノッキング制御処理におけるKCSフィードバック補正値AKCSやKCS学習値AGKNKの更新態様は、適宜変更しても良い。また同ノッキング制御処理における目標点火時期AFINの算出態様も適宜変更しても良い。その場合でも、目標点火時期AFINがノック判定の判定結果に基づき変更されるのであれば、上記実施形態の実施判定処理の適用により、インジェクタ12の作動ノイズの影響による目標点火時期AFINの不適切な変更を好適に防止し、誤制御を回避することができる。
【0071】
・図2のノック判定の詳細についても、設定されたノック判定期間におけるノックセンサ21の出力信号に基づきノック判定を行うのであれば、任意に変更しても良い。
【0072】
・上記実施形態では、点火時期を対象としてノッキング制御を行う場合を説明したが、点火時期以外にも、ノック判定の判定結果に基づき変更される機関制御量であれば、インジェクタ12の作動ノイズの影響により、不適切な変更がなされる虞がある。よって、そうした機関制御量を対象として、上記実施形態の実施判定処理と同様、或いはそれに準じた処理を適用しても、インジェクタ12の作動ノイズの影響に起因したその機関制御量の不適切な変更による誤制御を好適に回避することができる。
【0073】
ちなみに、そうした機関制御量についても、ノック判定の判定結果に基づきそのノック限界値を学習しているのであれば、上記禁止期間中の機関制御量を、そのノック限界値に基づき、そのノック限界値よりもノッキングが発生し難い側に設定することで、ノッキングの発生を好適に回避することができる。
【0074】
・適用される内燃機関の構成も、上述したものに限らず、任意に変更しても良い。例えばポート噴射式内燃機関にあっても、インジェクタの作動ノイズがノックセンサの出力信号に乗ることがあるのであれば、本発明は有用である。
【0075】
次に、以上説明した本発明の実施の形態から把握される技術的思想をその作用効果と共に以下に列記する。
(イ)前記機関制御量は点火時期であり、前記判定結果に基づいてノック限界点火時期を学習する学習手段と、前記禁止手段によって前記判定結果に基づく前記点火時期の変更が禁止されているときは、前記学習手段により学習された前記ノック限界点火時期に基づいて、前記点火時期をそのノック限界点火時期よりも遅角側に設定する設定手段と、を更に備える請求項2又は3に記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0076】
(ロ)前記機関制御量は点火時期であり、前記判定結果に基づいてノック限界点火時期を学習補正するための学習値を求める学習手段と、前記禁止手段によって前記判定結果に基づく前記点火時期の変更が禁止されているときは、前記学習値に基づいて、前記点火時期を前記ノック限界点火時期よりも遅角側に設定する設定手段と、を更に備える請求項3に記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0077】
上記(イ)、(ロ)に記載の構成によれば、ノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更が禁止されている間も、ノッキングの発生を好適に防止することができる。
【0078】
(ハ)前記学習手段は、前記機関制御量のノック限界値を学習補正するための学習値を前記判定結果に基づき求めることで、該ノック限界値を学習する請求項4に記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0079】
(ニ)前記ノック判定は、前回までの前記ノック判定における前記ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づき求められたバックグランドレベルと、今回の前記ノック判定における前記ノック判定期間のノックセンサの出力信号との対比に基づき行われる請求項1〜5、及び上記(イ)〜(ハ)のいずれかに記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0080】
(ホ)当該内燃機関は、筒内噴射式の内燃機関である請求項1〜5、上記(イ)〜(ニ)のいずれかに記載の内燃機関のノッキング制御装置。
筒内噴射式内燃機関では、気筒内に燃料を直接噴射する都合上、ポート噴射式の内燃機関に比して、ノックセンサにより近い位置にインジェクタが配設されるため、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に対するインジェクタの作動ノイズの影響度合いがより大きくなる。よって上記各項に記載の内燃機関のノッキング制御装置を適用することで、より顕著な効果が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す模式図。
【図2】同実施形態のノック判定処理のフローチャート。
【図3】同実施形態のノッキング制御処理のフローチャート。
【図4】同実施形態のノッキング制御態様の一例を示すタイムチャート。
【図5】燃料噴射時期が吸気行程中期に設定されているときの各種信号の波形例を示すタイムチャート。
【図6】燃料噴射時期が圧縮下死点に設定されているときの各種信号の波形例を示すタイムチャート。
【図7】同実施形態の実施判定処理のフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、10a…シリンダブロック、11…燃焼室、12…インジェクタ、13…イグナイタ、20…電子制御装置、21…ノックセンサ、22…NEセンサ、23…アクセルセンサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように内燃機関の多くでは、ノッキング発生の有無を判定するノック判定を行い、その判定結果に応じて点火時期等の機関制御量を変更するノッキング制御が実施されている。通常、ノック判定は、シリンダブロック等に配設された振動検出センサであるノックセンサを用いて行われる。そして、各気筒の着火後に設定された所定の期間(ノック判定期間)のノックセンサの出力信号に基づいてノッキング発生の有無を判定するようにしている。
【0003】
近年、噴口が燃焼室に露出するようにインジェクタを配設して、燃料を気筒内に直接噴射する筒内噴射式内燃機関が実用されている。そうした筒内噴射式内燃機関では、機関運転状態に基づいて燃料噴射時期を吸気行程と圧縮行程との間で変更して、燃焼方式を均質燃焼と成層燃焼との間で切り替えるものがある。また吸気ポート等に配設された気流制御弁により、気筒内の気流を制御して気筒内の燃焼状態を改善するようにしたものもある。
【0004】
こうした燃焼方式の切り替えや気流制御などにより、内燃機関の燃焼形態が変更されると、気筒内での燃焼速度が変化して、燃料着火後のノッキングの発生時期も変化する。そこで従来、特許文献1にみられるように、筒内噴射式内燃機関において、燃焼形態に応じてノック判定期間を変更する技術が提案されている。この技術によれば、燃焼形態の変化に伴うノッキング発生時期の変化に拘わらず、適切なノッキング検出を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−159642号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関での燃料噴射を行うインジェクタは、電磁ソレノイドへの通電によりノズルニードルをバルブシートから離間させるように駆動することで、バルブを開いて燃料噴射を開始し、電磁ソレノイドへの通電停止によりノズルニードルをバルブシートに着座させることで燃料噴射を停止する構造となっている。
【0007】
こうしたインジェクタは、その作動に伴い、例えばノズルニードルがバルブシート等に突き当たるときの着打音などの振動を発生する。そしてその振動が、ノイズとしてノックセンサの出力信号に乗ってしまうことがある。特に筒内噴射式内燃機関では、ポート噴射式内燃機関に比して、インジェクタがノックセンサに近い位置に配設されているため、ノックセンサの出力信号に対する、インジェクタの作動に伴うノイズの影響がより大きくなる傾向にある。
【0008】
しかし従来においては、ノック判定に対するインジェクタの作動ノイズの影響を考慮することなくノッキング判定期間と燃料噴射時期とが設定されていた。そのため、ノック判定期間のノックセンサの出力信号にインジェクタの作動ノイズが乗り、実際にはノッキングが発生していなくても、ノッキングが発生していると誤判定されてしまい、誤制御が生じる虞があった。
【0009】
すなわち、ノック判定期間と燃料噴射期間とが重複していないときには、インジェクタの作動ノイズがノックセンサの検出信号に乗ることがないため、その検出信号に表れるバックグランノイズは比較的小さくなっている。ここで燃料噴射時期が切り替えられてノック判定期間と燃料噴射期間とが重複すると、インジェクタの作動ノイズがノックセンサの検出信号に乗るようになる。そうした燃料噴射時期の切り替え直後には、それまでの小さいバックグランドノイズレベルを前提にノック判定が行われる。そのため、インジェクタの作動ノイズの影響を反映した適正なバックグランドノイズレベルの学習がなされるまでは、ノックセンサの検出信号に表れたインジェクタの作動ノイズをノッキングによるものと誤判定してしまうことがある。そしてそうした誤判定に基づいて上記点火時期等の機関制御量が不適切に変更されてしまう誤制御が生じてしまうこととなる。
【0010】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することのできる内燃機関のノッキング制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複しているときには、前記ノック判定の実施を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0012】
上記構成では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複しており、インジェクタの作動ノイズによってノック判定の結果を誤る虞のあるときには、ノック判定の実施が禁止される。そのため、ノック判定期間のノックセンサの出力信号にインジェクタの作動ノイズが乗ってしまい、誤った判定結果がなされることが回避される。したがって、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することができる。
【0013】
また請求項2に記載の発明は、機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複しているときには、前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0014】
上記構成では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複しており、インジェクタの作動ノイズのため、ノック判定の結果を誤る虞のあるときには、その判定結果に基づく機関制御量の変更が禁止される。したがって、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することができる。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わったとき、その切り替わりから所定期間が経過するまでの間、前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0016】
上記構成では、燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わってから所定期間が経過するまでの間、ノック判定の結果に基づく機関制御量の変更が禁止される。これにより、インジェクタの作動ノイズの影響を反映した適正なバックグランドノイズレベルの学習がなされるまで、すなわち適正なノック判定が可能となるまで、その判定結果に基づく機関制御量の変更を禁止しておくことができる。そのため、誤まったノック判定の結果に基づく不適切な機関制御量の変更が好適に回避される。
【0017】
したがって上記構成によれば、インジェクタの作動ノイズの影響による誤制御を好適に回避することができる。なお、上記所定期間は、ノック判定期間と燃料噴射期間とが重複するようになってから、インジェクタの作動ノイズにより増大したバックグランドノイズレベルを適正に学習することが十分可能な期間に設定しておくことが望ましい。
【0018】
また請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記機関制御量のノック限界値を前記判定結果に基づき学習する学習手段と、前記禁止手段によって前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更が禁止されているときは、前記学習手段により学習された前記ノック限界値に基づいて、前記機関制御量をそのノック限界値よりもノッキングが発生し難い側に設定する設定手段と、を更に備えることをその要旨とする。
【0019】
上記構成では、適正にノック判定がなされている間に、その判定結果に基づいて、機関制御量のノック限界値が学習される。そして、禁止手段によってノック判定の判定結果に基づく機関制御量の変更が禁止されるようになると、すなわちインジェクタの作動ノイズの影響で適切にノック判定を行うことができない状況となると、その学習されたノック限界値に基づいて、機関制御量がそのノック限界値よりもノッキングが発生し難い側に設定される。そのため、ノック判定の判定結果に基づく機関制御量の変更が適切に行えないときにも、機関制御量は、ノッキングの発生を回避可能な値に設定されることとなる。したがって上記構成によれば、インジェクタの作動ノイズの影響でノック判定が適切に行えないようなときにも、ノッキングの発生を好適に防止することができる。
【0020】
また請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の内燃機関のノッキング制御装置において、前記機関制御量は、点火時期であることをその要旨とする。
点火時期は、ある程度に進角させた方が、機関出力性能等で有利であるが、点火時期を進角させ過ぎるとノッキングが発生してしまう。そのため、多くの火花着火式内燃機関では、ノック判定の判定結果に基づき、ノッキングを発生させない限度、すなわちノック限界点火時期まで点火時期を進角させるようにノッキング制御が実施されている。上記構成では、そうしたノッキング制御を実施する内燃機関において、ノッキングが発生していないのにも拘らず、インジェクタの作動ノイズの影響により、誤って点火時期が遅角されてしまい、機関出力が低下されてしまうことを回避することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施形態の適用される内燃機関10の制御系の構成を示す。この内燃機関10は、4つの気筒を備え、気筒毎に設けられたインジェクタ12から各気筒の燃焼室11内に燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関として構成されている。
【0022】
内燃機関10の機関制御は、電子制御装置20により行われている。電子制御装置20は、機関制御に係る各種処理を実施する中央演算処理装置(CPU)、制御用のプログラムや機関制御に必要な情報を記憶するメモリ、波形整形回路、インジェクタ12やイグナイタ13等の駆動回路等を備えて構成されている。
【0023】
電子制御装置20には、機関運転状態を検出する各種のセンサが接続されている。例えばNEセンサ22によっては、機関出力軸であるクランクシャフトの回転角が、ひいては機関回転速度NEが検出されている。またアクセルセンサ23によっては、アクセル操作量ACCPが検出されている。更に内燃機関10のシリンダブロック10aに配設されたノックセンサ21によっては、各気筒の燃焼室11内からシリンダブロック10aに伝達された振動が検出されている。
【0024】
これ以外にも、電子制御装置20には、吸入空気量を検出するエアフローメータや機関冷却水の温度を検出する水温センサ等、機関制御に必要なセンサの検出信号が入力されている。そして電子制御装置20は、そうしたセンサの検出信号より把握される内燃機関10の運転状況に応じて、燃料噴射制御や点火時期制御を始めとする各種機関制御を実施する。
【0025】
なおNEセンサ22の検出信号は、電子制御装置20の上記波形整形回路に入力されるようになっている。波形整形回路は、NEセンサ22の検出信号に基づき、各種制御の実施タイミングを決めるための各種信号を生成し、CPUに出力する。
【0026】
次に本実施形態での燃料噴射制御の概要を説明する。
電子制御装置20は、機関回転速度NEや機関負荷等の機関運転状態に基づいて、燃料噴射量や燃料噴射時期を算出している。また電子制御装置20は、その算出された燃料噴射量と機関回転速度NEとに基づいて、要求される量の燃料を噴射可能なインジェクタ12の噴射時間である燃料噴射時間を算出する。そして電子制御装置20は、それら算出された燃料噴射時期及び燃料噴射時間に基づいて、燃料噴射信号を気筒毎に生成され、各気筒のインジェクタ12に出力する。
【0027】
燃料噴射信号は、上記燃料噴射時期により示される時期から上記燃料噴射時間が経過するまでの間、オンとされる。燃料噴射信号がオンとなると、インジェクタ12の電磁ソレノイドへの通電が開始され、それにより発生する電磁吸引力によりノズルニードルがバルブシートから離間されるように駆動される。これにより、インジェクタ12の噴口が開かれて燃料噴射が開始される。一方、燃料噴射信号がオフとされると、電磁ソレノイドへの通電が停止され、ノズルニードルがバルブシートに着座される。これにより噴口が閉ざされ、燃料噴射が停止される。こうして燃料噴射信号がオンとされている期間、インジェクタ12からの燃料噴射が行われる。そしてこれにより、各気筒の燃焼室11には、機関運転状況に応じた適切な時期に、適切な量の燃料が噴射供給されるようになる。
【0028】
一方、電子制御装置20は、上記ノックセンサ21の検出結果に基づいて、ノッキング発生の有無を判定するノック判定を行い、その判定結果に基づき点火時期を変更するノッキング制御を実施している。
【0029】
まずここでは、本実施形態でのノック判定について説明する。
電子制御装置20に設けられた上記波形整形回路は、NEセンサ22の検出信号に基づきゲート信号を生成してCPUに出力する。ゲート信号は、ノック判定に係るノックセンサ21の出力信号のサンプリングを実施する期間を決定する信号で、ノック判定は、ゲート信号がオンとなっている期間のノックセンサ21の出力信号を参照して行われる。よってここでは、ゲート信号がオンとなっている期間が、ノックセンサ21の出力信号に基づくノック判定が行われる「ノック判定期間」となっている。
【0030】
ちなみにゲート信号のオン時期及びオフ時期は、各気筒の圧縮上死点を基準としたクランク角(ATDC)で表される。ここでは、ノック判定期間は、各気筒の圧縮上死点の10°CA後から60°CA後までの期間に設定されている。すなわちゲート信号は、各気筒のATDC10°CA後にオンとされ、ATDC60°CAにオフとされる。
【0031】
本実施形態でのノック判定は、ノック判定期間におけるノックセンサ21の出力信号のピークホールド値VKPEAK(最大値)に基づいて行われている。そしてそのピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKが正規分布を示すとの前提に基づき、今回サンプリングされた対数変換値LVPKのその分布内での位置によりノッキング発生の有無の判定を行うノック判定方式が採用されている。
【0032】
図2に、そうした「ノック判定処理」のフローチャートを示す。
ゲート信号がオンとされ、ノック判定用のゲートがオープンされると(S210:YES)、対象となる気筒のノックセンサ21の出力信号のピークホールドが開始される(S220)。すなわち、ゲート信号がオンとされてからのノックセンサ21の出力信号の最大値であるピークホールド値VKPEAKが求められる。
【0033】
ゲート信号がオフとされて同ゲートがクローズされると(S230:YES)、その時点でのピークホールド値VKPEAK、すなわちノック判定期間におけるノックセンサ21の出力信号の最大値が読み込まれる(S240)。
【0034】
そしてそのピークホールド値VKPEAKに基づいて、ノック判定レベルが更新される(S250)。ここでのノック判定レベルの更新は、以下の態様で行われる。
【0035】
まず、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKに基づき、その対数変換値LVPKの分布傾向を示す分布パラメータ、すなわち分布中央値VMED及び標準偏差値SGMの更新が行われる。ここでは、それらの更新は、下式[数1]、[数2]に基づき行われる。すなわちここでは、分布中央値VMED及び標準偏差値SGMの更新前の値を、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKとの対比に基づき増減することで、分布中央値VMED及び標準偏差値SGMが概算により求められている。
【0036】
【数1】
(LVPK>VMEDのとき)
VMED ← VMED+ΔM
(LVPK≦VMEDのとき)
VMED ← VMED−ΔM
【0037】
【数2】
(VMED−SGM<LVPK<VMEDのとき)
SGM ← SGM−2・ΔS
(LVPK≦VMED−SGM、またはLVPK≧VMEDのとき)
SGM ← SGM+ΔS
ここでは、分布中央値VMEDの更新量ΔMは、今回サンプリングされた対数変換値LVPKと更新前の分布中央値VMEDとの差を所定値n1(例えば「4」)で除算した値とされている。また標準偏差値SGMの更新量ΔSは、分布中央値VMEDの更新量ΔMを所定値n2(例えば「8」)で除算した値とされている。
【0038】
ノック判定レベルは、こうして更新された分布パラメータより求められる。ここでは次の2つのノック判定レベル、すなわち無ノック判定値P1、大ノック判定値P2が設定されている。
【0039】
「無ノック判定値P1」は、ノッキング発生の有無を判定するためのノック判定レベルで、次式[数3]より求められる。ここで「u」は、u値と呼ばれる係数で、機関回転速度NEに基づき算出される。
【0040】
【数3】
P1←VMED+u×SGM
「大ノック判定値P2」は、規模の大きいノッキングの発生の有無を判定するためのノック判定レベルで、次式[数4]より求められる。
【0041】
【数4】
P2←P1+2×SGM
そして、以上により求められたノック判定レベルと今回サンプリングされた対数変換値LVPKとの対比に基づき、ノック判定が行われる(S260)。すなわち、今回サンプリングされた対数変換値LVPKが無ノック判定値P1以下であれば、対象となる気筒での今回の燃焼では、ノッキングの発生無しと判定される。また今回サンプリングされた対数変換値LVPKが無ノック判定値P1を超え、且つ大ノック判定値P2未満であれば、対象となる気筒での今回の燃焼において、あまり規模の大きくないノッキングの発生有りと判定される。更に今回サンプリングされた対数変換値LVPKが大ノック判定値P2以上であれば、対象となる気筒での今回の燃焼において、規模の大きいノッキングの発生有りと判定される。こうした判定がなされた後は、上記ステップS210に処理が戻される。
【0042】
以上の処理は、機関始動後にノック判定の実行条件が成立したときから、電子制御装置20によって繰り返し実行される。これにより、各気筒で燃焼が行われるごとにノック判定が実施されている。
【0043】
次に本実施形態でのノッキング制御について説明する。ノッキング制御は、上記ノック判定の判定結果に基づき点火時期を変更して、点火時期の最適化を図るために行われる。ここでのノッキング制御は大きくは、点火時期の制御目標値である目標点火時期AFINを、ノック判定においてノッキングの有りと判定されたときには遅角量βだけ遅角させ、ノッキング無しと判定されたときには進角量αだけ進角させることで行われる。
【0044】
またノッキング制御では、ノッキングの発生限界となる点火時期であるノック限界点火時期を学習補正するための学習値であるKCS学習値AGKNKの更新も併せ行われている。ここでは、「ノッキング有り」と判定されているときにはKCS学習値AGKNKの値を所定量加算し、「ノッキング無し」と判定されているときにはその値を所定量減算することで、その更新がなされている。ここでのKCS学習値AGKNKの加算量及び減算量は、上記遅角量β及び進角量αに比して十分小さい値が設定されている。
【0045】
なお、目標点火時期AFINは、各気筒で点火を実施させる時期を、各気筒の圧縮上死点を基準としたクランク角(BTDC)で表したものである。電子制御装置20は、目標点火時期AFINにより示される時期にオンとなる点火信号を各気筒のイグナイタ13に出力し、点火を実施させる。
【0046】
図3に、そうしたノッキング制御処理のフローチャートを示す。
同図の処理が開始されると、まずステップS300において、上記「ノック判定処理」での判定結果が読み込まれる。そしてステップS310において、その判定結果が「ノッキング有り」を示すものであるか否かが判断される。そして「ノッキング有り」と判定されているときには(YES)、ステップS320において、KCSフィードバック補正値AKCSの値から遅角量βが減算される。またそうでないときには、すなわち「ノッキング無し」と判定されているときには(NO)、ステップS330において、KCSフィードバック補正値AKCSの値に進角量αが加算される。この進角量αは、上記遅角量βに比して十分に小さい値が設定されている。
【0047】
こうしてKCSフィードバック補正値AKCSを、ノック判定の判定結果に応じて増減させた後、ステップS340において、ノック判定の判定結果に基づき上記KCS学習値AGKNKの更新がなされる。
【0048】
続くステップS350では、上記目標点火時期AFINの算出が行われる。目標点火時期AFINの算出は、次式[数5]に基づき行われる。ここで「ABSE」は、点火時期の進角限界である「最大進角点火時期」であり、機関回転速度NE等に基づき設定される。
【0049】
【数5】
AFIN←ABSE−AGKNK+AKCS
図4に、以上説明したノッキング制御の制御態様の一例を示す。同図に示すように、上記ノッキング制御が開始されると、ノック判定においてノッキング無しと判定されている間は、目標点火時期AFINが上記進角量αずつ、徐々に進角される。一方、ノッキングが発生し、ノッキング有りとの判定結果が下されると目標点火時期AFINが上記遅角量β分だけ遅角される。これにより、目標点火時期AFINを、上記ノック限界点火時期近傍を推移させるようにしている。
【0050】
なお実際には、KCS学習値AGKNKの値は上記のように、ノック判定の判定結果に応じて更新されているが、同図ではその値が一律であるとして示している。ちなみにKCS学習値AGKNKの更新に係るその値の変化速度は、KCSフィードバック補正値AKCSの値の変化速度に比して、十分に小さいものとなっている。
【0051】
こうした更新を通じて、KCS学習値AGKNKの値は、上記最大進角点火時期ABSEに対する現状のノック限界点火時期の遅角量を表すようになる。よって、現状のノック限界点火時期は、「ABSE−AGKNK」で表されるようになる。
【0052】
以上のように本実施形態では、上記ノック判定期間のノックセンサ21の出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づき点火時期を変更するようにしている。一方、本実施形態では、機関運転状態に応じて燃料噴射時期が変更されており、機関運転状態によってノック判定期間と燃料噴射期間とが重複したり、重複しなかったりする。
【0053】
図5には、燃料噴射時期が吸気行程中期に設定されているときの燃料噴射信号、点火信号、ゲート信号、及びノックセンサ21の出力信号(ノックセンサ信号)の波形例が示されている。同図に示すように、このときの燃料噴射期間(燃料噴射信号がオンとなっている期間)は、ノック判定期間(ゲート信号がオンとなっている期間)と重複していない。そのため、ノック判定期間中のノックセンサ信号に、インジェクタ12の作動ノイズが乗ることはなく、そのバックグランドノイズレベルは、小さくなっている。
【0054】
一方、図6には、燃料噴射時期が圧縮下死点に設定されているときの上記各信号の波形例が示されている。同図に示すように、このときの燃料噴射期間は、ノック判定期間と重複するようになる。そのため、このときには、インジェクタ12の作動ノイズが、ノック判定期間のノックセンサ信号に乗るようになる。
【0055】
ここで機関運転状態に応じた燃料噴射時期の変更により、図5のようにノック判定期間と燃料噴射期間とが重複した状態から、図6のようにそれらが重複していない状態に切り替わると、その直後には、ノッキングが発生していないにも拘わらず、ノッキング有りとの誤った判定がなされる虞がある。
【0056】
すなわち、そうした切り替わりの前には、インジェクタ12の作動ノイズの影響の無い、比較的小さいバックグランドノイズレベルに基づいて、上記ノック判定に係る2つのノック判定値(無ノック判定値P1、大ノック判定値P2)が設定されている。一方、上記切り替わりの後、ノック判定期間のノックセンサ21の出力に、インジェクタ12の作動ノイズが乗った状態がしばらく続けば、上記ノック判定値にもその影響が反映されるようになる。しかし、上記切り替わりの直後には、ノック判定値は、それまでの比較的小さいバックグランドノイズレベルを前提とした値のままである。そのため、インジェクタ12の作動ノイズの影響がノック判定値に反映されるようになるまでは、ノックセンサ21の出力信号に表れたインジェクタ12の作動ノイズをノッキングによるものと誤判定してしまうことがある。そしてその誤判定に基づいて、目標点火時期AFINが不適切に変更されてしまう虞がある。
【0057】
そこで本実施形態では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態からそれらが重複した状態へと切り替わったとき、その切り替わりから所定期間が経過するまでの間、ノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更を、すなわち上記ノッキング制御処理の実施を禁止するようにしている。そしてノッキング制御処理の実施が禁止されている間は、次式[数6]に基づいて目標点火時期AFINを設定するようにしている。
【0058】
【数6】
AFIN←ABSE−AGKNK−A
すなわち、このときには、KCS学習値AGKNKより把握されるノック限界点火時期に基づいて、目標点火時期AFINをそのノック限界点火時期よりも値A(例えば3°CA)だけ遅角した値に設定するようにしている。これにより、ノッキング制御が禁止されている間にも、点火時期をノック限界点火時期よりも遅角側に確実に設定し、ノッキングの発生を好適に防止するようにしている。
【0059】
図7に、以上のようなノッキング制御の禁止・許可に係る判定、及びノッキング制御禁止中の目標点火時期AFINの設定を行う「実施判定処理」のフローチャートを示す。この処理は、機関運転中、予め設定された目標点火時期AFINの算出タイミング毎に、電子制御装置20により実施される。
【0060】
この処理が開始されると、まずステップS400において、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複した状態にあるか否かが判断される。この判断は、そのときの燃料噴射時期、燃料噴射時間の設定値に基づき行われる。
【0061】
ここでそれらが重複していない状態にあると判断されたときには(S400:NO)、ステップS410においてカウンタCcompの値を「0」に設定し、またステップS430において上記ノッキング制御処理が実施され、本処理が一旦終了される。このときには、上記ノッキング制御を通じて、ノック判定の判定結果に応じて目標点火時期AFINが設定されることとなる。
【0062】
また、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複した状態にあると判断されたときには(S410:YES)、ステップS420において上記カウンタCcompの値に「1」が加算される。そして続くステップS440において、そのカウンタCcompの値が所定の判定値γ以上であるか否かが判断される。
【0063】
ここでカウンタCcompの値が判定値γ未満であれば(S440:NO)、ステップS450にて上記ノッキング制御の実施を禁止し、ステップS460にて上式[数6]に基づき目標点火時期AFINが設定され、本処理が一旦終了される。一方、カウンタCcompの値が判定値γ以上であれば(S440:YES)、上記ステップS430において上記ノッキング制御処理が実施され、本処理が一旦終了される。これにより、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態からそれらが重複した状態に切り替わってから、カウンタCcompの値が判定値γ以上となるまでの期間、ノッキング制御処理の実施が禁止される。この判定値γは、インジェクタ12の作動ノイズの影響を反映した適正な値に上記ノック判定値が更新されるのに十分な期間、ノッキング制御処理の実施が禁止されるように、その値が設定されている。
【0064】
なおこうした本実施形態では、点火時期が、ノック判定の判定結果に基づいて変更される機関制御量に対応し、KCS学習値AGKNKに基づき把握されるノック限界点火時期(ABSE−AGKNK)がそのノック限界値に対応している。また、KCS学習値AGKNKを更新する図3のステップS340が上記学習手段の処理に対応している。更に、ノッキング制御処理の実施を禁止する図7のステップS450が上記禁止手段の処理に、ノッキング制御の禁止中に上記ノック限界点火時期に基づき目標点火時期AFINを設定する同図7のステップS460が上記設定手段の処理に、それぞれ対応している。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わったとき、その切り替わりから所定期間が経過するまでの間、ノッキング制御の実施を、すなわちノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更を、禁止するようにしている。これにより、インジェクタ12の作動ノイズの影響を反映した適正な判定値が設定され、適正なノック判定が可能となるまで、その判定結果に基づく点火時期の変更が禁止される。そのため、誤まったノック判定の結果に基づく不適切な点火時期の変更が好適に回避されるようになる。
【0066】
(2)本実施形態では、ノッキング制御が禁止されているときには、KCS学習値AGKNKより把握される現状のノック限界点火時期(ABSE−AGKNK)に基づき、そのノック限界点火時期よりも遅角側となるように目標点火時期AFINを設定するようにしている。そのため、ノッキング制御が禁止されているときにも、ノッキングを好適に防止しつつ、点火時期をノック限界点火時期の近傍に設定することができる。
【0067】
なお、上記実施形態は次のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、ノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更が禁止されている期間は、学習されたノック限界点火時期に基づいて、ノック限界点火時期よりも遅角側に目標点火時期AFINを設定していたが、そうした禁止期間中の目標点火時期AFINの設定態様は適宜変更しても良い。例えばノッキング制御の禁止期間における目標点火時期AFINを予め設定された固定値としても、それが確実にノッキングの発生を防止可能な値に設定されていれば、ノッキングの発生を防止しつつ、インジェクタ12の作動ノイズの影響による誤制御を回避することはできる。
【0068】
・図7の実施判定処理では、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態に切り替わってから所定期間が経過するまでの間、ノック判定の判定結果に基づき点火時期を変更するノッキング制御の実施を禁止するようにしている。ただし、燃料噴射期間とノック判定期間とが重複している期間のすべてにおいてノッキング制御の実施を禁止するようにしても、インジェクタ12の作動ノイズの影響による誤制御を防止することはできる。
【0069】
・またそうした期間、ノッキング制御の実施の禁止と共にノック判定の実施も禁止するようにしても良い。その場合にも、やはりインジェクタ12の作動ノイズの影響による誤制御を防止することはできる。
【0070】
・図3のノッキング制御処理におけるKCSフィードバック補正値AKCSやKCS学習値AGKNKの更新態様は、適宜変更しても良い。また同ノッキング制御処理における目標点火時期AFINの算出態様も適宜変更しても良い。その場合でも、目標点火時期AFINがノック判定の判定結果に基づき変更されるのであれば、上記実施形態の実施判定処理の適用により、インジェクタ12の作動ノイズの影響による目標点火時期AFINの不適切な変更を好適に防止し、誤制御を回避することができる。
【0071】
・図2のノック判定の詳細についても、設定されたノック判定期間におけるノックセンサ21の出力信号に基づきノック判定を行うのであれば、任意に変更しても良い。
【0072】
・上記実施形態では、点火時期を対象としてノッキング制御を行う場合を説明したが、点火時期以外にも、ノック判定の判定結果に基づき変更される機関制御量であれば、インジェクタ12の作動ノイズの影響により、不適切な変更がなされる虞がある。よって、そうした機関制御量を対象として、上記実施形態の実施判定処理と同様、或いはそれに準じた処理を適用しても、インジェクタ12の作動ノイズの影響に起因したその機関制御量の不適切な変更による誤制御を好適に回避することができる。
【0073】
ちなみに、そうした機関制御量についても、ノック判定の判定結果に基づきそのノック限界値を学習しているのであれば、上記禁止期間中の機関制御量を、そのノック限界値に基づき、そのノック限界値よりもノッキングが発生し難い側に設定することで、ノッキングの発生を好適に回避することができる。
【0074】
・適用される内燃機関の構成も、上述したものに限らず、任意に変更しても良い。例えばポート噴射式内燃機関にあっても、インジェクタの作動ノイズがノックセンサの出力信号に乗ることがあるのであれば、本発明は有用である。
【0075】
次に、以上説明した本発明の実施の形態から把握される技術的思想をその作用効果と共に以下に列記する。
(イ)前記機関制御量は点火時期であり、前記判定結果に基づいてノック限界点火時期を学習する学習手段と、前記禁止手段によって前記判定結果に基づく前記点火時期の変更が禁止されているときは、前記学習手段により学習された前記ノック限界点火時期に基づいて、前記点火時期をそのノック限界点火時期よりも遅角側に設定する設定手段と、を更に備える請求項2又は3に記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0076】
(ロ)前記機関制御量は点火時期であり、前記判定結果に基づいてノック限界点火時期を学習補正するための学習値を求める学習手段と、前記禁止手段によって前記判定結果に基づく前記点火時期の変更が禁止されているときは、前記学習値に基づいて、前記点火時期を前記ノック限界点火時期よりも遅角側に設定する設定手段と、を更に備える請求項3に記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0077】
上記(イ)、(ロ)に記載の構成によれば、ノック判定の判定結果に基づく点火時期の変更が禁止されている間も、ノッキングの発生を好適に防止することができる。
【0078】
(ハ)前記学習手段は、前記機関制御量のノック限界値を学習補正するための学習値を前記判定結果に基づき求めることで、該ノック限界値を学習する請求項4に記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0079】
(ニ)前記ノック判定は、前回までの前記ノック判定における前記ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づき求められたバックグランドレベルと、今回の前記ノック判定における前記ノック判定期間のノックセンサの出力信号との対比に基づき行われる請求項1〜5、及び上記(イ)〜(ハ)のいずれかに記載の内燃機関のノッキング制御装置。
【0080】
(ホ)当該内燃機関は、筒内噴射式の内燃機関である請求項1〜5、上記(イ)〜(ニ)のいずれかに記載の内燃機関のノッキング制御装置。
筒内噴射式内燃機関では、気筒内に燃料を直接噴射する都合上、ポート噴射式の内燃機関に比して、ノックセンサにより近い位置にインジェクタが配設されるため、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に対するインジェクタの作動ノイズの影響度合いがより大きくなる。よって上記各項に記載の内燃機関のノッキング制御装置を適用することで、より顕著な効果が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構成を示す模式図。
【図2】同実施形態のノック判定処理のフローチャート。
【図3】同実施形態のノッキング制御処理のフローチャート。
【図4】同実施形態のノッキング制御態様の一例を示すタイムチャート。
【図5】燃料噴射時期が吸気行程中期に設定されているときの各種信号の波形例を示すタイムチャート。
【図6】燃料噴射時期が圧縮下死点に設定されているときの各種信号の波形例を示すタイムチャート。
【図7】同実施形態の実施判定処理のフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、10a…シリンダブロック、11…燃焼室、12…インジェクタ、13…イグナイタ、20…電子制御装置、21…ノックセンサ、22…NEセンサ、23…アクセルセンサ。
Claims (5)
- 機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、
燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複しているときには、前記ノック判定の実施を禁止する禁止手段を備える
ことを特徴とする内燃機関のノッキング制御装置。 - 機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、
燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複しているときには、前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更を禁止する禁止手段を備える
ことを特徴とする内燃機関のノッキング制御装置。 - 機関運転状態に基づき燃料噴射時期を変更する内燃機関に適用され、ノック判定期間のノックセンサの出力信号に基づきノック判定を行い、その判定結果に基づいて機関制御量を変更する内燃機関のノッキング制御装置において、
燃料噴射期間と前記ノック判定期間とが重複していない状態から重複した状態へと切り替わったとき、その切り替わりから所定期間が経過するまでの間、前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更を禁止する禁止手段を備える
ことを特徴とする内燃機関のノッキング制御装置。 - 請求項2又は3に記載の内燃機関のノッキング制御装置において、
前記機関制御量のノック限界値を前記判定結果に基づき学習する学習手段と、
前記禁止手段によって前記判定結果に基づく前記機関制御量の変更が禁止されているときは、前記学習手段により学習された前記ノック限界値に基づいて、前記機関制御量を前記ノック限界値よりもノッキングが発生し難い側に設定する設定手段と、
を更に備えることを特徴とする内燃機関のノッキング制御装置。 - 前記機関制御量は、点火時期である請求項1〜4に記載の内燃機関のノッキング制御装置。
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