JP2007023971A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノック判定レベルを学習するに際し、その学習中でのノッキング発生に起因する同ノック判定レベルの誤学習を抑えることのできる内燃機関の点火時期制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置30は、ノック判定期間内におけるノックセンサ33のバックグランドノイズに基づいて学習されるノック判定レベルとノックセンサ33の出力信号との比較を通じてノッキング発生の有無を判定する。そして、その判定結果に基づいて点火時期を補正するノッキング判定制御を実施する。また、排気再循環の実行に伴う燃料噴射時期の変更により、インジェクタ22の動作に伴う振動ノイズの発生時期がノック判定期間内に変化した場合には、機関運転状態の変化時に行われるノック判定レベルの学習に際してその学習が完了するまで、ノッキング判定を禁止するとともに、ノッキング判定制御によって設定される時期よりもさらに点火時期を遅角側に補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】電子制御装置30は、ノック判定期間内におけるノックセンサ33のバックグランドノイズに基づいて学習されるノック判定レベルとノックセンサ33の出力信号との比較を通じてノッキング発生の有無を判定する。そして、その判定結果に基づいて点火時期を補正するノッキング判定制御を実施する。また、排気再循環の実行に伴う燃料噴射時期の変更により、インジェクタ22の動作に伴う振動ノイズの発生時期がノック判定期間内に変化した場合には、機関運転状態の変化時に行われるノック判定レベルの学習に際してその学習が完了するまで、ノッキング判定を禁止するとともに、ノッキング判定制御によって設定される時期よりもさらに点火時期を遅角側に補正する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関の点火時期制御装置に関するものである。
内燃機関では、ノッキング発生の有無を判定するノッキング判定を行い、その結果、ノッキングが発生したと判定される場合には点火時期を遅角補正する一方、ノッキングが発生していないと判定される場合には点火時期を進角補正する、いわゆるノッキング制御が実施されている。
上記ノッキング判定は、シリンダブロック等に配設された振動検出センサであるノックセンサを用いて行われる。より具体的には、ノッキング発生の有無を判定する期間であるノック判定期間内でのノックセンサの出力信号(バックグランドノイズレベル)に基づき学習されるノック判定レベルと同ノック判定期間内のノックセンサの出力信号とを比較することによりノッキング発生の有無が判定される。
他方、内燃機関での燃料噴射を行うインジェクタは、電磁ソレノイドへの通電によりノズルニードルをバルブシートから離間させるように駆動することで、バルブを開いて燃料噴射を開始し、電磁ソレノイドへの通電停止によりノズルニードルをバルブシートに着座させることで燃料噴射を停止する構造となっている。
ここで、上記インジェクタでは、その動作に伴い、例えばノズルニードルのバルブシートへの着座時等において振動が発生する。こうしたインジェクタの動作に起因する振動は、ノイズとしてノックセンサの出力信号に乗ってしまうことがあり、このインジェクタの動作に起因して発生する振動ノイズ(以下、インジェクタノイズという)のレベルが大きい場合には、上記ノッキング制御においてノッキングが発生したと誤判定され、点火時期が誤遅角されてしまうおそれがある。
そこで、特許文献1に記載の装置では、ノック判定期間のノックセンサの出力信号にインジェクタノイズが乗ることを避けるように、ノック判定期間を燃料噴射時期に応じて設定したり、燃料噴射時期をノック判定期間に応じて設定したりするようにしている。
特開2004−251218号公報
ところで、インジェクタの燃料噴射時期は機関運転状態に応じて種々変更される。特に、燃焼室に燃料を直接噴射する筒内噴射用インジェクタを備える内燃機関では、吸気ポートに向けて燃料を噴射するポート噴射式の内燃機関と比較して、その燃料噴射時期の設定自由度が大きく、機関運転状態の変化に応じて燃料噴射時期を大きく変更することにより、同機関運転状態をより適切なものにすることができる。例えば、排気を吸気通路に再循環させる排気再循環を行う場合には、通常吸気行程前半において行われる燃料噴射を吸気行程末期や圧縮行程にて行うことにより、排気再循環の実行時におけるノッキングの発生や機関出力の変動等を抑えることができる。
ここで、筒内噴射式内燃機関あるいはポート噴射式内燃機関において燃料噴射時期が変更されるとインジェクタノイズの発生時期も変化するため、例えば燃料噴射時期の変更前では、ノック判定期間外にて発生していたインジェクタノイズが、燃料噴射時期の変更後では、同期間内で発生するようになるおそれがある。この逆に、燃料噴射時期の変更後において、ノック判定期間外にて発生していたインジェクタノイズが、燃料噴射時期を変更前に戻すことで、同期間内にて発生するようになるおそれもある。
こうした燃料噴射時期の変更により、それまでノック判定期間外にて発生していたインジェクタノイズが同ノック判定期間内で発生するようになる場合でも、上記文献に記載のごとく、ノック判定期間のノックセンサの出力信号にインジェクタノイズが乗ることを避けるようにすれば、同ノイズに起因する点火時期の誤遅角を抑えることはできる。しかし、同文献に記載される装置のように、ノック判定期間を燃料噴射時期に応じて設定すると、当該ノック判定期間がノッキングの発生時期からずれてしまう可能性がある。また、燃料噴射時期をノック判定期間に応じて設定すると、当該燃料噴射時期を機関運転状態に応じた時期に設定することができなくなる可能性もある。
そこで、燃料噴射時期の変更により、それまでノック判定期間外にて発生していたインジェクタノイズが同ノック判定期間内で発生するようになった場合であっても、ノック判定レベルの学習を行うようにすれば、インジェクタノイズがノックセンサのバックグランドノイズとして取り込まれる。従って、ノック判定レベルはインジェクタノイズが反映された値として学習され、同インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがない程度にノック判定レベルを大きく設定することができる。そのため、ノックセンサの出力信号にインジェクタノイズが乗っていても、同インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがなく、ノック判定期間や燃料噴射時期もそれぞれ最適な時期に設定することができるようになる。
ただし、こうしたノック判定レベルの学習が完了するまでは、インジェクタノイズに起因する点火時期の誤遅角が発生するおそれがある。そこで、その学習開始から完了までの間、上記ノッキング判定を禁止するようにすれば、そうした誤遅角も防止することができる。
しかし、こうした態様でノック判定レベルを学習するとともに、その学習が完了するまでノッキング判定を禁止する場合には、新たに以下のような不具合が発生するおそれがある。
すなわち、上記態様では、機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、インジェクタノイズがノック判定期間内で発生するようになった場合において、そのインジェクタノイズが反映されたノック判定レベルを学習する間、ノッキング判定が禁止される。従って、こうした機関運転状態の変化過渡時には、一時的にノッキングが発生しやすくなることがあるにもかかわらず、上記態様ではそうした機関運転状態の変化に起因するノッキングの発生を検出することができない。そのため、実際にノッキングが発生してもこれを抑制することができず、そのノッキングによる振動が前記ノック判定レベルに反映されてしまう。従って、ノック判定レベルが過度に大きく設定されるといった誤学習が生じ、その後ノッキングが発生してもこれを検出することができなくなるといった不都合が生じてしまう。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ノック判定レベルを学習するに際し、その学習中でのノッキング発生に起因する同ノック判定レベルの誤学習を抑えることのできる内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、ノック判定期間内におけるノックセンサのバックグランドノイズに基づいてノック判定レベルを学習するとともに、この学習されたノック判定レベルと同ノック判定期間内におけるノックセンサの出力信号との比較を通じてノッキング発生の有無を判定し、その判定結果に基づいて設定される点火時期補正量に応じて機関の点火時期を進角側または遅角側に補正するノッキング判定制御手段を備える内燃機関の点火時期制御装置において、機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズの発生時期が前記ノック判定期間内に変化した場合には、その機関運転状態の変化時に行われる前記ノック判定レベルの学習に際し、当該ノック判定レベルの学習が完了するまで、前記ノッキング判定制御手段によるノッキング判定を禁止するとともに、同ノッキング判定制御手段によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期を遅角側に補正することをその要旨とする。
請求項1に記載の発明は、ノック判定期間内におけるノックセンサのバックグランドノイズに基づいてノック判定レベルを学習するとともに、この学習されたノック判定レベルと同ノック判定期間内におけるノックセンサの出力信号との比較を通じてノッキング発生の有無を判定し、その判定結果に基づいて設定される点火時期補正量に応じて機関の点火時期を進角側または遅角側に補正するノッキング判定制御手段を備える内燃機関の点火時期制御装置において、機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズの発生時期が前記ノック判定期間内に変化した場合には、その機関運転状態の変化時に行われる前記ノック判定レベルの学習に際し、当該ノック判定レベルの学習が完了するまで、前記ノッキング判定制御手段によるノッキング判定を禁止するとともに、同ノッキング判定制御手段によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期を遅角側に補正することをその要旨とする。
同構成によれば、機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、それまでノック判定期間外にて発生していた前記振動ノイズが同ノック判定期間内で発生するようになった場合でもノック判定レベルの学習が行われ、これにより同振動ノイズがノックセンサのバックグランドノイズとして取り込まれる。従って、そのノック判定レベルは同振動ノイズが反映された値として学習され、同振動ノイズをノッキングとして誤判定することがない程度にノック判定レベルは大きく設定される。そのため、ノックセンサの出力信号に燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズが乗っていても、その振動ノイズのレベルが学習完了後のノック判定レベルを超えるようなことはない。従って、同振動ノイズをノッキングとして誤判定することがなく、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズに起因した誤遅角の発生は抑制され、ひいてはノック判定期間や燃料噴射時期をそれぞれ最適な時期に設定することができるようになる。
ただし、前記ノック判定レベルの学習が完了するまでは、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズに起因して点火時期の誤遅角が発生するおそれがある。そこで、燃料噴射弁の動作に伴って発生する振動ノイズがノック判定レベルに反映されるまで、前記ノッキング判定制御手段によるノッキング判定を禁止するようにしており、これにより振動ノイズをノッキングと判定してしまうといった誤判定の発生が防止され、もってそうした誤遅角の発生も防止することができる。
一方、同構成では、機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、振動ノイズがノック判定期間内で発生するようになった場合において、その振動ノイズが反映されたノック判定レベルを学習する間、ノッキング判定を禁止するようにしている。
従って、そうした機関運転状態の変化過渡時には、一時的にノッキングが発生しやすくなることがあるにもかかわらず、機関運転状態の変化に起因するノッキングの発生を検出することができない。そのため、実際にノッキングが発生してもこれを抑制することができず、そのノッキングによる振動が前記ノック判定レベルに反映されてしまう。従って、ノック判定レベルが過度に大きく設定されるといった誤学習が生じ、その後ノッキングが発生してもこれを検出することができなくなるといった不都合が生じてしまう。
そこで、同構成では、さらに、前記ノック判定レベルの学習が完了するまで、ノッキング判定制御手段によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期を遅角側に補正するようにしており、この遅角補正により、同ノック判定レベルの学習が完了するまでノッキングの発生を抑えることができるようになる。従って、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズが反映されたノック判定レベルを学習するに際し、その学習中でのノッキング発生に起因する同ノック判定レベルの誤学習を抑えることができるようになり、当該ノック判定レベルの学習後におけるノッキングの発生も適切に検出することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズの発生時期が前記ノック判定期間外に変化した場合には、その機関運転状態の変化時に行われる前記ノック判定レベルの学習に際し、当該ノック判定レベルの学習が完了するまで、前記ノッキング判定制御手段によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期を遅角側に補正することをその要旨とする。
前記振動ノイズの発生時期がノック判定期間外に変化した場合には、同振動ノイズがノック判定期間内のノックセンサの出力信号に乗ることがなく、その分ノックセンサのバックグランドノイズのレベルは低くなる。従って、この場合に学習されるノック判定レベルは、振動ノイズの発生時期がノック判定期間内に変化した場合に学習されるノック判定レベルよりも小さくなり、比較的規模の小さいノッキングも検出することができるようになる。
ここで、機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、前記振動ノイズの発生時期がノック判定期間外に変化した場合に、その機関運転状態の変化時においてノック判定レベルの学習が行われるときにも、その機関運転状態の変化過渡時において一時的にノッキングが発生しやすくなることがあり、上述したような不都合が発生するおそれがある。すなわち、ノック判定レベルの学習中においてノッキングが発生すると、同ノック判定レベルが過度に大きく設定されるといった誤学習が生じ、その後ノッキングが発生してもこれを検出することができなくなるといった不都合が生じるおそれがある。
そこで、同構成でも、前記ノック判定レベルの学習が完了するまで、ノッキング判定制御手段によって設定される時期よりもさらに点火時期を遅角側に補正するようにしており、この遅角補正により、同ノック判定レベルの学習が完了するまでノッキングの発生を抑えることができるようになる。従って、振動ノイズの発生時期がノック判定期間外に変化した場合にノック判定レベルを学習するに際し、その学習中でのノッキング発生に起因する同ノック判定レベルの誤学習を抑えることができるようになり、当該ノック判定レベルの学習後におけるノッキングの発生も適切に検出することができるようになる。
なお、請求項1や請求項2に記載の構成において、前記振動ノイズの発生時期がノック判定期間内の時期やノック判定期間外の時期に変化した否かは、燃料噴射弁の開弁時期や閉弁時期が前記ノック判定期間内の時期に設定されているか否かに基づいて判断することができる。また、ノック判定レベルの学習が完了したか否かは、例えば、機関運転状態が変化した時点からの点火回数がある程度の回数に達しているか否かに基づいて判断することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、当該内燃機関は、燃焼室に燃料を直接噴射する筒内噴射用燃料噴射弁を備えることをその要旨とする。
上述したように、筒内噴射用燃料噴射弁による燃料噴射は、吸気ポートに向けて燃料を噴射するポート噴射用燃料噴射弁による燃料噴射と比較して、その燃料噴射時期の設定自由度が大きく、機関運転状態の変化に応じて燃料噴射時期を大きく変更することにより、同機関運転状態をより適切なものにすることができる。ただし、筒内噴射用燃料噴射弁の燃料噴射時期が大きく変更されると前記振動ノイズの発生時期も大きく変化するため、ノック判定期間外で発生していた前記振動ノイズが、同期間内で発生するようになる可能性も高くなる。
この点、同構成では、そうした筒内噴射用燃料噴射弁を備える場合であっても、請求項1または2に記載の構成をもってノック判定レベルの学習が行われるため、同筒内噴射用燃料噴射弁を備えることによるメリットを生かしつつ、当該筒内噴射用燃料噴射弁の動作に伴って発生する振動ノイズに起因した誤遅角の発生や、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生に起因した同ノック判定レベルの誤学習を抑えることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、当該内燃機関は、排気を吸気通路に再循環させる排気再循環装置を備え、前記機関運転状態の変化とは、同排気再循環装置による排気再循環の実行直後及び停止直後の少なくとも一方であることをその要旨とする。
排気を吸気通路に再循環させる排気再循環の実行直後や停止直後といった機関運転状態の変化過渡時には、排気再循環量のばらつきに起因したノッキングが一時的に発生しやすくなることがあり、こうした排気再循環の実行直後や停止直後といった機関運転状態の変化時には、上述したようなノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生に起因した同ノック判定レベルの誤学習が生じやすくなる。この点、同構成によれば、そうした排気再循環の実行直後や停止直後において点火時期の遅角補正が行われるため、機関運転状態の変化過渡時におけるノッキングの発生に起因したノック判定レベルの誤学習を抑えることができるようになる。
ノック判定レベルの学習が完了するまで機関の点火時期を遅角側に補正する際には、請求項5に記載の発明によるように、機関運転状態に基づいて設定される基本点火時期を所定の遅角量で補正した時期を機関の点火時期として設定する、といった構成を採用することにより、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生を好適に抑えることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、前記所定の遅角量として、前記ノッキング判定制御手段により設定される前記点火時期補正量に対し予め設定された遅角量を加算した値を設定することをその要旨とする。
前記ノッキング判定制御手段によって設定される点火時期補正量は、点火時期を補正してノッキングの発生を抑えるための値となっている。従って、そうした補正量を利用して上記所定の遅角量を設定することにより、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生を確実に抑えることができる。
そこで、同構成では、ノッキング判定制御手段によって設定される点火時期補正量に対し予め設定された遅角量を加算した値を上記所定の遅角量として設定するようにしている。従って、ノック判定レベルの学習中において設定される点火時期は、前記点火時期補正量にて補正される点火時期よりもさらに遅角されるようになり、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生を確実に抑えることができるようになる。なお、同点火時期補正量としては、機関運転状態が変化する直前に設定されていた点火時期補正量を採用するとよい。
以下、この発明にかかる内燃機関の点火時期制御装置を具体化した一実施形態について、図1〜図6を併せ参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる点火時期制御装置が適用された多気筒の内燃機関11についてその概略構成を示している。
図1は、本実施形態にかかる点火時期制御装置が適用された多気筒の内燃機関11についてその概略構成を示している。
同図1に示すように、内燃機関11は、複数の気筒12(図1ではそのうちの1つのみを図示)内にピストン13を備えている。ピストン13は、内燃機関11の出力軸であるクランクシャフト15にコネクティングロッド14を介して連結され、そのコネクティングロッド14によりピストン13の往復運動がクランクシャフト15の回転運動に変換される。
上記各気筒12内にあってピストン13の上方には、燃焼室16が形成されている。この燃焼室16には、燃焼室16に燃料を直接噴射供給する筒内噴射用のインジェクタ22が各気筒12毎に取り付けられている。
このインジェクタ22は、その内部に設けられた電磁ソレノイドへの通電が開始されると、その電磁力によりノズルニードルがバルブシートから離間されるように駆動される。これにより、インジェクタ22の噴口が開かれて燃料噴射が開始される。一方、電磁ソレノイドへの通電が停止されると、ノズルニードルがバルブシートに直座される。これにより、インジェクタ22の噴口が閉じられて燃料噴射は停止される。なお、筒内噴射用のインジェクタ22による燃料噴射では、燃焼室16に燃料が直接噴射される。そのため、吸気ポートに向けて燃料を噴射するポート噴射用インジェクタによる燃料噴射と比較して、その燃料噴射時期の設定自由度が大きく、機関運転状態の変化に応じて燃料噴射時期を大きく変更することにより、同機関運転状態をより適切なものにすることができる。
上記燃焼室16には、その内部に形成される燃料と空気とからなる混合気に対して点火を行う点火プラグ18が取り付けられている。この点火プラグ18による上記混合気への点火タイミングは、同点火プラグ18の上方に設けられたイグナイタ19への制御信号に応じて調整される。
さらに、燃焼室16には、吸気ポート20a及び排気ポート21aが設けられており、吸気ポート20aは吸気弁23によって開閉され、排気ポート21aは排気弁24によって開閉される。また、吸気ポート20aは吸気通路20に、排気ポート21aは排気通路21にそれぞれ接続されている。
また、内燃機関11には、排気を吸気通路20に再循環させるための排気再循環装置が設けられている。この排気再循環装置は、排気通路21及び吸気通路20に接続されたEGR通路40や、同EGR通路40の途中に設けられたEGRバルブ41等によって構成されている。そして、排気再循環の実行及び停止は、そのEGRバルブ41の開度調整を通じて行われる。
内燃機関11の機関制御は、電子制御装置30により行われている。電子制御装置30は、機関制御に係る各種処理を実施する中央演算処理装置(CPU)、制御用のプログラムや機関制御に必要な情報を記憶するメモリ、インジェクタ22、イグナイタ19、及びEGRバルブ41等の駆動回路等を備えて構成されている。
電子制御装置30には、機関運転状態を検出する各種のセンサが接続されている。例えばクランク角センサ31によって、クランクシャフト15の回転角が、ひいては機関回転速度NEが検出される。またアクセルセンサ32によって、アクセルペダルの操作量ACCPが検出される。更に気筒12を構成するシリンダブロックに配設されたノックセンサ33によって、各気筒12の燃焼室16内からシリンダブロックに伝達された振動が検出される。
これ以外にも、電子制御装置30には、吸入空気量を検出するエアフロメータや機関冷却水の温度を検出する水温センサ等、機関制御に必要なセンサの検出信号が入力されている。そして電子制御装置30は、そうした各種センサの検出信号によって把握される内燃機関11の運転状況に応じて、燃料噴射制御、点火時期制御、及び排気再循環制御等といった各種機関制御を実施する。
次に、電子制御装置30による内燃機関11の点火時期制御について説明する。
電子制御装置30は上記ノックセンサ33の検出結果に基づいて、各気筒でのノッキング発生の有無を判定するノッキング判定を行い、その結果に応じて点火時期を調整するノッキング制御を実施している。
電子制御装置30は上記ノックセンサ33の検出結果に基づいて、各気筒でのノッキング発生の有無を判定するノッキング判定を行い、その結果に応じて点火時期を調整するノッキング制御を実施している。
詳しくは、ノッキング判定においてノッキングの発生有りとの判定がなされると、最終点火時期AOPを所定量遅角させ、ノッキングの発生無しとの判定がなされると、最終点火時期AOPを徐々に進角させる。最終点火時期AOPは、気筒で点火を実施させる時期を、気筒の圧縮上死点を基準としたクランク角(BTDC)で表したものであり、次式(1)及び次式(2)に基づいて算出される。
AOP=ABASE−AKH …(1)
AOP:最終点火時期
ABASE:基本点火時期
AKH:点火時期補正量
式(1)において、基本点火時期ABASEは、ノッキングが発生しないといった前提条件のもとで、最大機関出力が得られる点火時期であり、機関回転速度NE及び機関負荷率L等といった機関運転状態に基づいて設定される。また、点火時期補正量AKHは、ノッキングの発生限界近傍に点火時期を調整するべく、基本点火時期ABASEを補正する値である。
この点火時期補正量AKHは、次式(2)に基づいて算出される。
AKH=AKMAX−AGKNK+AKCS …(2)
AKH:点火時期補正量
AKMAX:最大遅角量
AGKNK:ノッキング学習量
AKCS:フィードバック補正量
式(2)において、最大遅角量AKMAXは、基本点火時期ABASEについてこれをノッキングの発生が確実に防止できる遅角側の時期に補正するための補正量であり、機関回転速度NE及び機関負荷率L等といった機関運転状態に基づいて設定される。
AKH=AKMAX−AGKNK+AKCS …(2)
AKH:点火時期補正量
AKMAX:最大遅角量
AGKNK:ノッキング学習量
AKCS:フィードバック補正量
式(2)において、最大遅角量AKMAXは、基本点火時期ABASEについてこれをノッキングの発生が確実に防止できる遅角側の時期に補正するための補正量であり、機関回転速度NE及び機関負荷率L等といった機関運転状態に基づいて設定される。
また、式(2)において、フィードバック補正量AKCS及びノッキング学習量AGKNKは、ノッキングの発生に応じて同ノッキングを抑制すべく最終点火時期AOPを遅角補正する補正量であって、ノッキング発生の有無に応じて増減する値である。
上記フィードバック補正量AKCSは、ノッキング発生有りのときには最終点火時期AOPを遅角側に移行させるように変更され、ノッキング発生無しのときには最終点火時期AOPを進角側に移行させるように変更される。
一方、ノッキング学習量AGKNKは、上記フィードバック補正量AKCSが予め定められた所定範囲内に収束するように変更される。そして、フィードバック補正量AKCSが上記所定範囲に対して最終点火時期AOPを遅角させる側に外れていれば、ノッキング学習量AGKNKは最終点火時期AOPを遅角側に移行させるように変更される。また、フィードバック補正量AKCSが上記所定範囲に対して最終点火時期AOPを進角させる側に外れていれば、ノッキング学習量AGKNKは最終点火時期AOPを進角側に移行させるように変更される。
電子制御装置30は、こうして算出される最終点火時期AOPにより示される時期にオンとなる点火信号を各気筒の前記イグナイタ19に出力し、点火を実施する。これにより、ノッキングの発生限界近傍に点火時期が調整される。
次に、上記ノッキング判定の処理手順を図2に示す。
このノック判定処理が開始されると、まずステップS100において、ゲート信号のオン時期及びオフ時期が設定される。ゲート信号は、ノッキング判定にかかるノックセンサ33の出力信号についてサンプリングを実施する期間を決定する信号で、ノッキング判定は、ゲート信号がオンとなっている期間のノックセンサ33の出力信号を参照して行われる。すなわち、ここでは、ゲート信号がオンとなっている期間が、ノックセンサ33の出力信号に基づいてノッキング判定が行われるノック判定期間Tkdとなっている。ちなみにゲート信号のオン時期及びオフ時期は、各気筒の圧縮上死点を基準としたクランク角(ATDC)で表される。
このノック判定処理が開始されると、まずステップS100において、ゲート信号のオン時期及びオフ時期が設定される。ゲート信号は、ノッキング判定にかかるノックセンサ33の出力信号についてサンプリングを実施する期間を決定する信号で、ノッキング判定は、ゲート信号がオンとなっている期間のノックセンサ33の出力信号を参照して行われる。すなわち、ここでは、ゲート信号がオンとなっている期間が、ノックセンサ33の出力信号に基づいてノッキング判定が行われるノック判定期間Tkdとなっている。ちなみにゲート信号のオン時期及びオフ時期は、各気筒の圧縮上死点を基準としたクランク角(ATDC)で表される。
このゲート信号のオン時期及びオフ時期の設定は、電子制御装置30のメモリに予め記憶された判定期間算出用の演算マップを参照して行われる。この判定期間算出用の演算マップは、機関回転速度NEと機関負荷率Lとの二次元マップとして設定されている。
ノック判定期間が設定されると、以下のステップS110〜ステップS160の処理を通じて、気筒毎にノッキング判定が実施される。
本実施形態では、ノック判定期間Tkd内においてサンプリングされたノックセンサ33の出力信号について、その最大値であるピークホールド値VKPEAKに基づいてノッキング判定が行われる。そして、そのピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKが図3に示すような正規分布を示すとの前提に基づき、今回サンプリングされた対数変換値LVPKのその分布内での位置により、ノッキング発生の有無の判定を行うノッキング判定方式が採用されている。
本実施形態では、ノック判定期間Tkd内においてサンプリングされたノックセンサ33の出力信号について、その最大値であるピークホールド値VKPEAKに基づいてノッキング判定が行われる。そして、そのピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVPKが図3に示すような正規分布を示すとの前提に基づき、今回サンプリングされた対数変換値LVPKのその分布内での位置により、ノッキング発生の有無の判定を行うノッキング判定方式が採用されている。
さて、ゲート信号がオンとされ、ノッキング判定用のゲートがオープンされると(ステップS110:YES)、対象となる気筒のノックセンサ33の出力信号についてそのピークホールドが開始される(ステップS120)。すなわち、ゲート信号がオンとされてからのノックセンサ33の出力信号の最大値であるピークホールド値VKPEAKが求められる。
ゲート信号がオフとされて同ゲートがクローズされると(ステップS130:YES)、その時点でのピークホールド値VKPEAK、すなわちノック判定期間Tkdにおけるノックセンサ33の出力信号の最大値が読み込まれる(ステップS140)。
そしてそのピークホールド値VKPEAKに基づいて、ノック判定レベルが更新される(ステップS150)。ここでのノック判定レベルの更新は、以下の態様で行われる。
まず、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVpkに基づき、その対数変換値LVpkの分布傾向を示す分布パラメータ、すなわち先の図3に示される分布中央値Vm及び標準偏差値SGMの更新が行われる。ここでは、それらの更新は、次式(3)〜式(6)に基づき行われる。すなわちここでは、分布中央値Vm及び標準偏差値SGMの更新前の値を、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVpkとの対比に基づき増減することで、分布中央値Vm及び標準偏差値SGMが概算により求められている。
まず、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVpkに基づき、その対数変換値LVpkの分布傾向を示す分布パラメータ、すなわち先の図3に示される分布中央値Vm及び標準偏差値SGMの更新が行われる。ここでは、それらの更新は、次式(3)〜式(6)に基づき行われる。すなわちここでは、分布中央値Vm及び標準偏差値SGMの更新前の値を、今回サンプリングされたピークホールド値VKPEAKの対数変換値LVpkとの対比に基づき増減することで、分布中央値Vm及び標準偏差値SGMが概算により求められている。
(LVpk>Vmのとき)
Vm ← Vm+ΔM …(3)
(LVpk≦Vmのとき)
Vm ← Vm−ΔM …(4)
(Vm−SGM<LVpk<Vmのとき:LVpkが図3に示す領域Aにあるとき)
SGM ← SGM−2・ΔS …(5)
(LVpk≦Vm−SGM、またはLVpk≧Vmのとき:LVpkが図3に示す領域Bにあるとき)
SGM ← SGM+ΔS …(6)
なお、分布中央値Vmの更新量ΔMは、今回サンプリングされた対数変換値LVpkと更新前の分布中央値Vmとの差を所定値n1(例えば「4」)で除算した値とされている。また標準偏差値SGMの更新量ΔSは、分布中央値Vmの更新量ΔMを所定値n2(例えば「8」)で除算した値とされている。
ノック判定レベルVkdは、こうして更新される分布中央値Vm及び標準偏差値SGMに基づき次式(7)より求められる。
Vkd=Vm+u×SGM …(7)
なお、このu値は、機関運転状態に基づいて可変設定される値であり、基本的には、上記燃焼室16内における混合気の燃焼圧力が高い状態にあるときほど大きな値が設定される。このように、ノック判定レベルVkdの値は、ノック判定期間Tkd内におけるノックセンサ33のバックグランドノイズ(ノッキングが発生していないときのノックセンサ33の出力信号)の大きさに応じて学習される値となっている。
Vkd=Vm+u×SGM …(7)
なお、このu値は、機関運転状態に基づいて可変設定される値であり、基本的には、上記燃焼室16内における混合気の燃焼圧力が高い状態にあるときほど大きな値が設定される。このように、ノック判定レベルVkdの値は、ノック判定期間Tkd内におけるノックセンサ33のバックグランドノイズ(ノッキングが発生していないときのノックセンサ33の出力信号)の大きさに応じて学習される値となっている。
そして、ノック判定レベルVkdと上記対数変換値LVpkとの比較を通じて内燃機関11におけるノッキングの発生の有無が判定される(ステップS160)。すなわち、上記対数変換値LVpkが「ノック判定レベルVkd<対数変換値LVpk」といった範囲にある場合には、内燃機関11にノッキングが発生していると判定される。これとは逆に、上記対数変換値LVpkが「ノック判定レベルVkd≧対数変換値LVpk」といった範囲にある場合には、内燃機関11にノッキングが発生していないと判定される。
他方、本実施形態では、機関のアイドル運転時や高負荷時といった機関運転状態以外では、上記排気再循環装置による排気再循環が実行される。
また、前記インジェクタ22による燃料噴射の時期は、通常、吸気行程前半などの時期に設定されているが、排気再循環の実行時にはその燃料噴射時期が吸気行程末期や圧縮行程中の時期に変更される。このように吸気行程末期や圧縮行程中に燃料噴射を行うようにすると、吸気行程前半などに燃料噴射を行う場合と比較して、燃料の気化潜熱による吸気の冷却効果を高めることができ、これにより排気再循環の実行に伴うノッキングの発生や機関出力の変動等を抑えることができる。
また、前記インジェクタ22による燃料噴射の時期は、通常、吸気行程前半などの時期に設定されているが、排気再循環の実行時にはその燃料噴射時期が吸気行程末期や圧縮行程中の時期に変更される。このように吸気行程末期や圧縮行程中に燃料噴射を行うようにすると、吸気行程前半などに燃料噴射を行う場合と比較して、燃料の気化潜熱による吸気の冷却効果を高めることができ、これにより排気再循環の実行に伴うノッキングの発生や機関出力の変動等を抑えることができる。
ところで、上記インジェクタ22では、ノズルニードルがバルブシートから離間されるように駆動され、同ニードルが最大リフトに達したとき、或いは同ニードルがバルブシートに直座したとき、すなわち燃料噴射の開始や停止の直後において、当該ノズルニードルがその動作範囲を制限するストッパやバルブシートに当たり、振動が発生する。こうしたインジェクタ22の動作に起因する振動は、ノイズとしてノックセンサ33の出力信号に乗ってしまうことがある。
例えば図4に示すように、ある気筒#Aのノッキングを検出するためのノック判定期間Tkd内において、その気筒#Aとは異なる他の気筒#Bでの噴射開始直後に発生した振動(円S内の信号)が、ノック判定期間Tkd内に発生してしまうことがある。また、同気筒#Bでの噴射終了直後に発生した振動(円F内の信号)が、ノック判定期間Tkd内に発生してしまうこともある。
このようなインジェクタ22の動作に起因して発生する振動ノイズ、すなわちインジェクタノイズのレベルが大きい場合には、上記ノッキング判定においてノッキングが発生したと誤判定され、点火時期が誤遅角されてしまうおそれがある。従って、前記ノック判定期間Tkdは、こうしたインジェクタノイズの発生時期を避けるように設定することが望ましく、本実施形態では、排気再循環の停止中におけるノック判定期間Tkdが、そうしたインジェクタノイズの発生時期を避けた期間となるように設定されている。
ここで、燃料噴射時期を変更するとその変更に伴ってインジェクタノイズの発生時期も変化する。そのため、燃料噴射時期の変更前においてノック判定期間外で発生していたインジェクタノイズが、燃料噴射時期の変更後には同期間内で発生するようになってしまうことがある。
特に、筒内噴射では、ポート噴射と比較して燃料噴射時期を大きく変更することができるため、その燃料噴射時期の変更に伴ってインジェクタノイズの発生時期も大きく変化し、排気再循環の停止時においてノック判定期間外で発生していたインジェクタノイズが、排気再循環の実行時には同期間内で発生するようになってしまう可能性も高くなる。
実際に、本実施形態では、排気再循環の実行時において燃料噴射時期を大きく変更するようにしており、排気再循環の停止時にはノック判定期間外で発生していたインジェクタノイズが、排気再循環の実行時には同期間内で発生してしまうようになっている。
このように燃料噴射時期が変更されることにより、ノック判定期間Tkd内においてインジェクタノイズが発生するようになった場合には、それまでインジェクタノイズが乗っていなかった比較的小さいバックグランドノイズに基づいて設定されたノック判定レベルVkdを、そのインジェクタノイズのレベルが超えてしまうようになる。従って、この場合には、上記ノッキング判定においてノッキングが発生したと誤判定され、点火時期が誤遅角されてしまうおそれがある。
そこで、こうした燃料噴射時期の変更後でも、インジェクタノイズの発生時期を避けてノック判定期間Tkdを設定するようにすれば、そうした誤遅角の発生を抑えることができる。しかし、実際には、排気再循環の実行に合わせて燃料噴射時期が設定されているため、その燃料噴射時期、すなわちインジェクタノイズの発生時期を変更することは困難である。また、ノッキングは燃料点火後の所定期間内で発生するため、ノック判定期間Tkdを変更するにしてもその変更量には自ずと限界がある。従って、燃料噴射時期の変更後でも、インジェクタノイズの発生時期を避けてノック判定期間Tkdを設定することは困難である。
そこで、本実施形態では、排気再循環の実行に伴う燃料噴射時期の変更により、それまでノック判定期間外にて発生していたインジェクタノイズが同ノック判定期間内で発生するようになった場合でもノック判定レベルの学習を行い、インジェクタノイズをノックセンサ33のバックグランドノイズとして取り込むようにしている。このようにすれば、上記分布中央値Vm及び標準偏差値SGMの更新、すなわちバックグランドノイズに基づくノック判定レベルの学習は、インジェクタノイズの反映された適正な学習がなされる。そして、この時に設定されるノック判定レベルVkd’は、先の図4に示すように、インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがない程度に大きく設定される。そのため、ノックセンサ33の出力信号にインジェクタノイズが乗っていても、そのインジェクタノイズのレベルが学習完了後のノック判定レベルVkd’を超えるようなことはない。従って、インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがなく、同インジェクタノイズに起因した誤遅角の発生は抑制される。ひいては、インジェクタノイズの発生時期を避けてノック判定期間Tkdを設定する必要もなく、ノック判定期間Tkdや燃料噴射時期をそれぞれ最適な時期に設定することができる。
ただし、こうしたノック判定レベルVkd’の学習が完了するまでは、インジェクタノイズに起因して点火時期の誤遅角が発生するおそれがある。そこで、本実施形態では、以下に説明する誤遅角防止処理の実行を通じてそうした誤遅角の発生を防止するようにしている。
図5に、電子制御装置30によって実行される上記誤遅角防止処理の処理手順を示す。
本処理が開始されると、まず、排気再循環の実行直後か否かが判定される(S200)。ここでは、排気再循環の実行条件が成立した場合に「ON」とされる排気再循環実行フラグについて、その状態が「OFF」から「ON」に切り替わった直後である場合に、排気再循環の実行直後である旨判定される。なお、機関のアイドル運転時や高負荷時といった運転状態以外において排気再循環を実行すべく、機関回転速度NE及び機関負荷率Lが予め設定された範囲内にあるときに、排気再循環実行フラグは「ON」とされる。
本処理が開始されると、まず、排気再循環の実行直後か否かが判定される(S200)。ここでは、排気再循環の実行条件が成立した場合に「ON」とされる排気再循環実行フラグについて、その状態が「OFF」から「ON」に切り替わった直後である場合に、排気再循環の実行直後である旨判定される。なお、機関のアイドル運転時や高負荷時といった運転状態以外において排気再循環を実行すべく、機関回転速度NE及び機関負荷率Lが予め設定された範囲内にあるときに、排気再循環実行フラグは「ON」とされる。
そして、排気再循環の実行直後でない場合には(S200:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、排気再循環の実行直後である場合には(S200:YES)、燃料噴射時期が変更されており、インジェクタノイズが前記ノック判定期間Tkd内で発生するようになっている。そこで、上述したような誤遅角の発生を防止するために、ノッキング判定が禁止される(S210)。すなわち、先の図3に示したステップS160の処理についてその実行が禁止され、これによりインジェクタノイズのレベルが学習中のノック判定レベルVkd’を超えても、ノッキングが発生したと判定されることはなく、もってインジェクタノイズに起因する点火時期の誤遅角は防止される。
一方、排気再循環の実行直後である場合には(S200:YES)、燃料噴射時期が変更されており、インジェクタノイズが前記ノック判定期間Tkd内で発生するようになっている。そこで、上述したような誤遅角の発生を防止するために、ノッキング判定が禁止される(S210)。すなわち、先の図3に示したステップS160の処理についてその実行が禁止され、これによりインジェクタノイズのレベルが学習中のノック判定レベルVkd’を超えても、ノッキングが発生したと判定されることはなく、もってインジェクタノイズに起因する点火時期の誤遅角は防止される。
次に、インジェクタノイズの反映されたノック判定レベルVkd’の学習が完了したか否かが判定される(S220)。ここでは、機関運転状態が変化した時点、すなわち排気再循環の実行が開始された時点からの点火回数がある程度の回数(例えば10回など)に達している場合に、インジェクタノイズの反映されたノック判定レベルVkd’の学習が完了していると判断される。
そして、同ノック判定レベルVkd’の学習が完了していない場合には(S220:NO)、その学習が完了するまで、このステップS220の判定処理が繰り返されるとともに、ノッキング判定の禁止が継続される。
一方、インジェクタノイズの反映されたノック判定レベルVkd’の学習が完了した場合には(S220:YES)、上記ステップS210にて禁止された、ノッキング判定が再開され(S230)、本処理は一旦終了される。
この誤遅角防止処理の実行により、排気再循環の実行直後において、インジェクタノイズがノック判定レベルVkd’に反映されるまで、ノッキング判定は禁止される。従って、同ノック判定レベルVkd’の学習が完了するまでの間に生じやすい、インジェクタノイズに起因する点火時期の誤遅角は防止される。
ところで、本実施形態では、上述したように排気再循環の実行開始に伴う燃料噴射時期の変更により、インジェクタノイズがノック判定期間Tkd内で発生するようになった場合において、そのインジェクタノイズが反映されたノック判定レベルVkd’を学習する間、ノッキング判定を禁止するようにしている。従って、そうした機関運転状態の変化過渡時、すなわち排気再循環の実行直後においては排気再循環量のばらつきに起因するノッキングが一時的に発生しやすくなることがあるにもかかわらず、そうしたノッキングの発生を検出することができない。そのため、実際にノッキングが発生してもこれを抑制することができず、そのノッキングによる振動が前記ノック判定レベルVkd’に反映されてしまう。従って、ノック判定レベルVkd’が過度に大きく設定されるといった誤学習が生じ、その後ノッキングが発生してもこれを検出することができなくなるといった不都合が生じてしまうおそれがある。
また、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間Tkd外に変化した場合には、そのインジェクタノイズがノック判定期間Tkd内のノックセンサ33の出力信号に乗ることがなく、その分ノックセンサ33のバックグランドノイズのレベルは低くなる。従って、この場合に学習されるノック判定レベルVkdは、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間Tkd内に変化した場合に学習されるノック判定レベルVkd’よりも小さくなり、比較的規模の小さいノッキングも検出することができるようになる。
ここで、排気再循環の実行停止に伴う燃料噴射時期の変更により、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間Tkd外に変化した場合に、ノック判定レベルVkdの学習を行うときにも、その機関運転状態の変化過渡時、すなわち排気再循環の停止直後においては排気再循環量のばらつきに起因するノッキングが一時的に発生しやすくなることがある。従って、この排気再循環の停止直後においても、上述したような不都合が発生するおそれがある。すなわち、ノック判定レベルVkdの学習中においてノッキングが発生すると、同ノック判定レベルVkdが過度に大きく設定されるといった誤学習が生じ、その後ノッキングが発生してもこれを検出することができなくなるといった不都合が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、以下に説明する点火時期設定処理の実行を通じて、そうしたノック判定レベルの誤学習を抑えるようにしている。
図6に、電子制御装置30によって実行される上記点火時期設定処理の処理手順を示す。
図6に、電子制御装置30によって実行される上記点火時期設定処理の処理手順を示す。
本処理が開始されるとまず、排気再循環の実行直後、または排気再循環の停止直後であるか否かが判定される(S300)。ここでは、前述した排気再循環実行フラグについて、その状態が「OFF」から「ON」に切り替わった直後である場合、または同排気再循環実行フラグについて、その状態が「ON」から「OFF」に切り替わった直後である場合に肯定判定される。
そして、排気再循環の実行直後または停止直後でない場合には(S300:NO)、前記最終点火時期AOPが前記ノッキング制御による点火時期設定を通じて、すなわち先の式(1)及び式(2)に基づいて設定され(S330)、本処理は一旦終了される。
一方、排気再循環の実行直後または停止直後である場合には(S300:YES)、ノック判定レベルの学習が完了したか否かが判定される(S310)。ここでも、排気再循環の実行が開始された時点からの点火回数がある程度の回数(例えば10回など)に達している場合に、インジェクタノイズの反映されたノック判定レベルVkd’の学習が完了していると判断される。また、排気再循環が停止された時点、すなわち機関運転状態が変化した時点からの点火回数がある程度の回数(例えば10回など)に達している場合に、インジェクタノイズが乗っていない比較的小さいバックグランドノイズに基づいて設定されるノック判定レベルVkdの学習が完了していると判断される。
そして、ノック判定レベルの学習が完了している場合には(S310:YES)、最終点火時期AOPが前記ノッキング制御による点火時期設定を通じて、すなわち先の式(1)及び式(2)に基づいて設定され(S330)、本処理は一旦終了される。
一方、ノック判定レベルの学習が完了していない場合には(S310:NO)、排気再循環量のばらつきに起因したノッキングの発生によって、同ノック判定レベルが誤学習されるおそれがあるため、そうしたノッキングの発生を確実に抑えるために以下のような態様で点火時期が設定される。
すなわち、前記ノッキング制御によって設定される最終点火時期AOPよりもさらに点火時期を遅角側に補正するべく、次式(8)及び式(9)に基づき、前記基本点火時期ABASEを所定の遅角量Rで補正した時期に最終点火時期AOPは設定され(S320)、本処理は一旦終了される。
AOP=ABASE−R …(8)
AOP:最終点火時期
ABASE:基本点火時期
R:遅角量
R=AKH’+α …(9)
AKH’:機関運転状態の変化直前における点火時期補正量AKH
α:所定量
なお、上記点火時期補正量AKH’とは、機関運転状態が変化する直前に設定されていた点火時期補正量AKHであり、排気再循環の実行直後においては、その実行直前に設定されていた点火時期補正量AKHが上記点火時期補正量AKH’として設定される。また、排気再循環の停止直後においては、その停止直前に設定されていた点火時期補正量AKHが上記点火時期補正量AKH’として設定される。そして、上記所定量αとしては、排気再循環量のばらつきに起因するノッキングの発生を確実に抑えることができる程度に最終点火時期AOPを遅角させることのできる遅角量が予め設定されている。
こうした上記式(8)及び式(9)による最終点火時期AOPの設定により、排気再循環の実行直後からノック判定レベルVkd’の学習が完了するまでの間に設定される最終点火時期AOPは、排気再循環の実行直前において設定された最終点火時期AOPよりも遅角側に補正される。同様に、排気再循環の停止直後からノック判定レベルVkdの学習が完了するまでの間に設定される最終点火時期AOPは、排気再循環の停止直前において設定された最終点火時期AOPよりも遅角側に補正される。
この点火時期設定処理の実行により、排気再循環の実行直後または停止直後において、ノック判定レベルの学習が完了するまで、機関の点火時期は、ノッキング制御によって設定される時期よりもさらに遅角側に補正される。この遅角補正により、ノック判定レベルの学習が完了するまでノッキングの発生は抑えられ、ノック判定レベルの学習中におけるノッキング発生に起因した同ノック判定レベルの誤学習も抑えることができる。従って、当該ノック判定レベルの学習後におけるノッキングの発生も適切に検出することができるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)排気再循環の実行に伴う燃料噴射時期の変更により、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間内に変化した場合には、その排気再循環の実行直後においてノック判定レベルVkd’を学習するようにしている。従って、そのノック判定レベルVkd’はインジェクタノイズの反映された値として学習され、同インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがない程度に同ノック判定レベルVkd’は大きく設定される。そのため、インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがなく、同インジェクタノイズに起因した誤遅角の発生は抑制され、ひいてはノック判定期間や燃料噴射時期をそれぞれ最適な時期に設定することができるようになる。
(1)排気再循環の実行に伴う燃料噴射時期の変更により、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間内に変化した場合には、その排気再循環の実行直後においてノック判定レベルVkd’を学習するようにしている。従って、そのノック判定レベルVkd’はインジェクタノイズの反映された値として学習され、同インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがない程度に同ノック判定レベルVkd’は大きく設定される。そのため、インジェクタノイズをノッキングとして誤判定することがなく、同インジェクタノイズに起因した誤遅角の発生は抑制され、ひいてはノック判定期間や燃料噴射時期をそれぞれ最適な時期に設定することができるようになる。
ただし、同ノック判定レベルVkd’の学習が完了するまでは、インジェクタノイズに起因した点火時期の誤遅角が発生するおそれがある。そこで、ノック判定レベルVkd’の学習が完了するまでノッキング判定を禁止するようにしている。従って、インジェクタノイズをノッキングと判定してしまうといった誤判定の発生が防止され、もってそうした誤遅角の発生も防止することができる。
また、ノック判定レベルVkd’の学習が完了するまで、ノッキング制御によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期(最終点火時期AOP)を遅角側に補正するようにしており、この遅角補正により、同ノック判定レベルVkd’の学習が完了するまでノッキングの発生を抑えることができるようになる。従って、インジェクタノイズが反映されたノック判定レベルVkd’を学習するに際し、その学習中でのノッキング発生に起因する同ノック判定レベルVkd’の誤学習を抑えることができるようになり、当該ノック判定レベルVkd’の学習後におけるノッキングの発生も適切に検出することができるようになる。
(2)排気再循環の停止に伴う燃料噴射時期の変更により、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間外に変化した場合には、その排気再循環の停止直後においてノック判定レベルVkdを学習するようにしている。従って、この場合に学習されるノック判定レベルVkdは、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間内に変化した場合に学習される上記ノック判定レベルVkd’よりも小さくなり、比較的規模の小さいノッキングも検出することができるようになる。
また、このノック判定レベルVkdの学習が完了するまで、ノッキング制御によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期(最終点火時期AOP)を遅角側に補正するようにしており、この遅角補正により、同ノック判定レベルVkdの学習が完了するまでノッキングの発生を抑えることができるようになる。従って、インジェクタノイズの発生時期がノック判定期間外に変化した場合にノック判定レベルを学習するに際し、その学習中でのノッキング発生に起因する同ノック判定レベルVkdの誤学習を抑えることができるようになり、当該ノック判定レベルVkdの学習後におけるノッキングの発生も適切に検出することができるようになる。
(3)上述したように、筒内噴射用のインジェクタ22による燃料噴射は、吸気ポートに向けて燃料を噴射するポート噴射用のインジェクタによる燃料噴射と比較して、その燃料噴射時期の設定自由度が大きく、機関運転状態の変化に応じて燃料噴射時期を大きく変更することにより、同機関運転状態をより適切なものにすることができる。ただし、筒内噴射用のインジェクタ22の燃料噴射時期が大きく変更されるとインジェクタノイズの発生時期も大きく変化するため、ノック判定期間外で発生していた同インジェクタノイズが、同期間内で発生するようになる可能性も高くなる。
この点、本実施形態では、そうした筒内噴射用のインジェクタ22を備える場合であっても、上述したような態様によってノック判定レベルの学習が行われる。そのため、筒内噴射用のインジェクタ22を備えることによるメリットを生かしつつ、そのインジェクタ22の動作に伴って発生するインジェクタノイズに起因した誤遅角の発生や、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生に起因した同ノック判定レベルの誤学習を抑えることができるようになる。
(4)排気を吸気通路に再循環させる排気再循環の実行直後や停止直後といった機関運転状態の変化過渡時には、排気再循環量のばらつきに起因したノッキングが一時的に発生しやすくなることがある。従って、こうした排気再循環の実行直後や停止直後といった機関運転状態の変化時には、上述したようなノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生に起因した同ノック判定レベルの誤学習が生じやすくなる。この点、本実施形態では、そうした排気再循環の実行直後や停止直後といった機関運転状態の変化時において、点火時期の遅角補正が行われるため、機関運転状態の変化過渡時におけるノッキングの発生に起因したノック判定レベルの誤学習を抑えることができるようになる。
(5)ノック判定レベルの学習が完了するまで最終点火時期AOPを遅角側に補正する際には、機関運転状態に基づいて設定される基本点火時期ABASEを所定の遅角量Rで補正した時期を同最終点火時期AOPとして設定するようにしている。従って、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生を好適に抑えることができるようになる。
(6)前記ノッキング制御によって設定される点火時期補正量AKHは、点火時期を補正してノッキングの発生を抑えるための値となっている。従って、そうした補正量を利用して上記所定の遅角量Rを設定することにより、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生を確実に抑えることができる。
そこで、本実施形態では、ノッキング制御によって設定された点火時期補正量AKH、より詳細には機関運転状態が変化する直前に設定されていた点火時期補正量AKHに対し、予め設定された遅角量である所定量αを加算した値を、上記所定の遅角量Rとして設定するようにしている。従って、ノック判定レベルの学習中において設定される最終点火時期AOPは、点火時期補正量AKHのみにて補正される点火時期よりもさらに遅角されるようになり、ノック判定レベルの学習中におけるノッキングの発生を確実に抑えることができるようになる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・ノック判定レベルの学習が完了したか否かを、機関運転状態が変化した時点からの経過時間に基づいて判定するようにしてもよい。
・ノック判定レベルの学習が完了したか否かを、機関運転状態が変化した時点からの経過時間に基づいて判定するようにしてもよい。
・ノック判定レベルの設定態様については、ノック判定期間内におけるノックセンサのバックグランドノイズに基づいて同ノック判定レベルを学習するものであれば任意に変更することができる。
・燃料噴射時期の変更度合によって、インジェクタノイズがノック判定期間内で発生したり、ノック判定期間外で発生したりする場合には、インジェクタの開弁時期や閉弁時期がノック判定期間内の時期に設定されているか否かを判断する。そして、インジェクタノイズがノック判定期間内で発生すると判定された場合にのみ、先の図5に示した誤遅角防止処理や図6に示した点火時期設定処理を実行するようにしてもよい。
・排気再循環の停止直後からノック判定レベルVkdの学習が完了するまで、ノッキング判定を禁止するようにしてもよい。
・先の図6に示した点火時期設定処理は、排気再循環の実行直後のみ、または排気再循環の停止直後のみに実行するようにしてもよい。
・先の図6に示した点火時期設定処理は、排気再循環の実行直後のみ、または排気再循環の停止直後のみに実行するようにしてもよい。
・また、図6に示した点火時期設定処理におけるステップS320での点火時期の遅角補正は、少なくともノック判定レベルの学習が完了するまで行うようにすればよく、例えばその学習完了後、排気再循環量のばらつきに起因するノッキングの発生が収まるまで同ステップS320での処理を通じた点火時期の遅角補正を行うようにしてもよい。
・点火時期補正量AKHを構成する最大遅角量AKMAX、ノッキング学習量AGKNK、あるいはフィードバック補正量AKCSのいずれかに前記所定量αを加算して前記遅角量Rを算出するようにしてもよい。
・先のステップS320では、ノッキング制御にて求められる点火時期補正量AKHを利用して最終点火時期AOPを設定するようにしたが、基本点火時期ABASEを適宜設定された遅角量で補正して、ノッキングの発生を抑えるようにしてもよい。
・上記実施形態では、排気再循環の停止中におけるノック判定期間Tkdが、インジェクタノイズの発生時期を避けた期間となるように設定されており、排気再循環の実行中において同インジェクタノイズが同ノック判定期間Tkd内で発生するようになっていた。この他、排気再循環の実行中におけるノック判定期間Tkdが、インジェクタノイズの発生時期を避けた期間となるように設定されており、排気再循環の停止中において同インジェクタノイズが同ノック判定期間Tkd内で発生するようになっている場合であっても、上記実機形態と同様の原理を用いて本発明は実施することができる。そして、この場合にも同実施形態と同様な効果を得ることができる。
・上記実施形態では、本発明を筒内噴射式の内燃機関に適用した場合について説明したが、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射式の内燃機関であっても、その燃料噴射時期が変更される場合には、インジェクタノイズがノック判定期間内のノックセンサの出力信号に乗ってしまう可能性がある。そこで、そうしたポート噴射式の内燃機関に本発明にかかる点火時期制御装置を適用するようにしても、上記(3)以外の効果を得ることができる。
・本発明にかかる点火時期制御装置によって実行される先の図5に示した誤遅角防止処理や、図6に示した点火時期設定処理は、排気再循環の実行直後や停止直後といった機関運転状態の変化時のみに適用されるものではない。この他に、機関運転状態の変化過渡時においてノッキングが発生しやすくなる場合においても同様に適用することができる。
11…内燃機関、12…気筒、13…ピストン、14…コネクティングロッド、15…クランクシャフト、16…燃焼室、18…点火プラグ、19…イグナイタ、20…吸気通路、20a…吸気ポート、21…排気通路、21a…排気ポート、22…インジェクタ、23…吸気弁、24…排気弁、30…電子制御装置、31…クランク角センサ、32…アクセルセンサ、33…ノックセンサ、40…EGR通路、41…EGRバルブ。
Claims (6)
- ノック判定期間内におけるノックセンサのバックグランドノイズに基づいてノック判定レベルを学習するとともに、この学習されたノック判定レベルと同ノック判定期間内におけるノックセンサの出力信号との比較を通じてノッキング発生の有無を判定し、その判定結果に基づいて設定される点火時期補正量に応じて機関の点火時期を進角側または遅角側に補正するノッキング判定制御手段を備える内燃機関の点火時期制御装置において、
機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズの発生時期が前記ノック判定期間内に変化した場合には、その機関運転状態の変化時に行われる前記ノック判定レベルの学習に際し、当該ノック判定レベルの学習が完了するまで、前記ノッキング判定制御手段によるノッキング判定を禁止するとともに、同ノッキング判定制御手段によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期を遅角側に補正する
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
機関運転状態の変化による燃料噴射時期の変更により、燃料噴射弁の動作に伴う振動ノイズの発生時期が前記ノック判定期間外に変化した場合には、その機関運転状態の変化時に行われる前記ノック判定レベルの学習に際し、当該ノック判定レベルの学習が完了するまで、前記ノッキング判定制御手段によって設定される時期よりもさらに機関の点火時期を遅角側に補正する
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
当該内燃機関は、燃焼室に燃料を直接噴射する筒内噴射用燃料噴射弁を備える
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
当該内燃機関は、排気を吸気通路に再循環させる排気再循環装置を備え、
前記機関運転状態の変化とは、同排気再循環装置による排気再循環の実行直後及び停止直後の少なくとも一方である
ことを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 前記点火時期の遅角側への補正に際しては、機関運転状態に基づいて設定される基本点火時期を所定の遅角量で補正した時期を機関の点火時期として設定する
請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の点火時期制御装置。 - 前記所定の遅角量として、前記ノッキング判定制御手段により設定される前記点火時期補正量に対し予め設定された遅角量を加算した値を設定する
請求項5に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
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DE112009005130T5 (de) | 2009-08-07 | 2012-06-21 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Brennkraftmaschine mit funkenzündung |
JP2019052631A (ja) * | 2017-09-19 | 2019-04-04 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
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2005
- 2005-07-20 JP JP2005210402A patent/JP2007023971A/ja active Pending
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