JP2009102997A - 火花点火内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関のトルク変動および未燃ガスの増加を抑止する。
【解決手段】エンジン10はピストン15、インジェクタ18、シリンダ20を有する。インジェクタ18は燃料をピストン15の上死点と下死点との間におけるシリンダ20の内壁面に向かって噴射する。ECU23は水温センサ25から水温データを取得する。ECU23は取得したデータに基づいてシリンダボア内壁温度を求める。シリンダボア内壁温度が内壁温閾値を下回るときに、吸気行程においてピストン15が噴射地点Pを通過する前にECU23は燃料を噴射させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、筒内噴射エンジンにおける燃料の噴射時期の制御に関する。
燃焼室内に直接燃料を噴射可能な筒内噴射式火花点火内燃機関が開発されている。筒内噴射式火花点火内燃機関では燃焼室内に直接燃料を供給可能なため、燃料の噴射時期の調整が可能となる(特許文献1参照)。
また、燃料を吸気とは別に燃焼室内に噴射するため、燃料の噴射方向に応じて様々な効果を発生させることが可能である。燃料の噴射方向は、所望の効果を発揮させる方向に設計される。発揮させる所望の効果によっては、ボア内壁に向かって燃料が噴射されるように噴射方向が定められることがある。
特開平7−286520号公報
ところで、噴射された燃料は点火されるまでの間に十分に気化することが求められる。しかし、冷間時などのように燃料が気化しにくい状況において、シリンダの内壁に噴射された燃料の一部が気化できずにシリンダ内壁に付着する可能性がある。
シリンダ内壁は潤滑油により覆われており、気化できなかった燃料は潤滑油に吸着される。吸着された燃料も気化されるが、点火されるまでの間に完全に気化できないことがある。そのため、サイクル毎に燃焼する燃料の量が変動し、トルク変動が生じる可能性がある。また、爆発行程後の排気行程中にも吸着された燃料の気化が続き、排気ガス中の未燃ガスを増加させるおそれがあった。
本発明は、筒内に直接燃料を噴射可能な火花点火内燃機関において、燃焼室内において燃料が十分に気化できない状況においてもトルク変動および未燃ガスの増加を抑止することを目的とする。
第1の発明に係る火花点火内燃機関は、噴射手段と、検出手段と、制御手段とを含む。噴射手段は、シリンダ内壁における上死点と下死点との間の所定の位置である噴射地点に向けて燃料を噴射する。検出手段は、噴射手段により噴射された燃料の燃焼室内における気化に影響を与える因子を検出する。制御手段は、燃焼室内における燃料の気化が促進される所定の範囲から検出された因子が閾値が外れる場合に、吸気行程中に上死点から下死点に移動するピストンが噴射地点を通過する時期より早く、噴射手段に燃料を噴射させるように制御する。
第1の発明によると、燃料が燃焼室内で十分に気化できないときに、吸気行程中のピストンが噴射地点を通過する時期より早く、燃料の噴射時期が進角される。したがって、燃料はシリンダ内壁でなくピストンに噴射されるため、燃料の気化を促進させることが可能になる。
第2の発明に係る火花点火内燃機関では、第1の発明の構成に加えて、検出手段が検出する因子は、噴射地点側のボア内壁における気化に影響を与える因子である。また、制御手段が因子に基づいて噴射手段による燃料の噴射時期の制御を行う。
第2の発明によると、サイクル毎の気化量の変動に最も影響を及ぼすボア内壁における燃料の気化に注目することにより、より的確に燃料の気化を促進させることが可能となる。
第3の発明に係る火花点火内燃機関では、第2の構成に加えて、気化に影響を与える因子は噴射地点側のボア内壁温度である。
第3の発明によると、ボア内壁における気化に最も大きな影響を与える因子として噴射地点側のボア内壁温度を用いて、噴射時期の制御を行うことにより、燃料気化の促進を効果的に行うことが可能となる。
第4の発明に係る火花点火内燃機関では、第1の構成に加えて、吸気ポートを含む。吸気ポートは燃焼室内にタンブル流を発生させるように燃焼室内に吸気を行なう。また、噴射手段が噴射地点に向けて燃料を噴射することによりタンブル流を強化するように、噴射地点が定められる。
第4の発明によれば、タンブル強化のために燃料噴射の噴流を活用するときに生じる問題点、すなわち、燃料の気化が不十分となることを防止することが可能である。
第5の発明に係る火花点火内燃機関では、第4の構成に加えて、吸気ポートは燃焼室内に順タンブル流を発生させ、噴射地点は排気側ボア内壁に定められる。
第5の発明によれば、一般的な順タンブル流を発生させるエンジンにおいて、前述のように燃料の気化が不十分となることを防止することが可能となる。
第6の発明に係る火花点火内燃機関では、第1の発明の構成に加えて、制御手段が、因子が所定の範囲外において燃料の気化を促進させる方向に変化するほど、噴射手段に燃料を早く噴射させるように制御する。
第6の発明によると、必要以上に噴射時期を進角させることを防ぎ、進角させるほど発生量が増加するスモークの増加を抑止することが可能になる。
本発明によれば、燃焼室内において燃料が十分に気化されない状況下において、トルクの変動や未燃ガスの増加を抑止することが可能である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用したエンジン(火花点火内燃機関)の概略的な構成図である。
エンジン10は、燃料タンク11、吸気通路12、および排気通路13に連結される。エンジン10には、燃料タンク11から燃料が供給される。また、エンジン10には吸気通路12を介して空気が吸入される。吸入された空気により供給された燃料が燃焼される。エンジン10において燃焼により生成した排気ガスは排気通路13を介して外部に排出される。
エンジン10は、シリンダブロック(図示せず)、シリンダヘッド14、ピストン15、吸気弁16、排気弁17、インジェクタ18、および点火プラグ19などを含んで構成される。
シリンダブロックには、複数のシリンダ20が設けられる。各々のシリンダ20にピストン15が設けられる。ピストン15はシリンダ20の円筒高さ方向に摺動自在である。シリンダ20、シリンダヘッド14、ピストン15によって囲まれる空間が、燃焼室21として形成される。
燃焼室21は、吸気通路12および排気通路13と連通する。吸気通路12および排気通路13には、それぞれ吸気弁16および排気弁17が配置される。吸気弁16を所定の時期に開くことにより、吸気通路12を介して燃焼室21に空気が吸入される。排気弁17を所定の時期に開くことにより、排気通路13を介して燃焼室21から排気ガスが排出される。
なお、吸気通路12から吸入される空気が燃焼室21内で順タンブル流(図1符合T参照)すなわち、吸気された空気が燃焼室21内の排気弁17側を下降して燃焼室21内の吸気弁16側を上昇するタンブル流を発生させる形状に、吸入ポート12aが形成される。
インジェクタ18は、燃焼室21に燃料を直接噴射するように、シリンダヘッド14に設けられる。インジェクタ18には、燃料タンク11から燃料が供給される。インジェクタ18により、燃焼室21に所定の時期に所定の量の燃料が噴射される。
なお、インジェクタ18の燃料噴射方向は、吸気ポート12aから吸入する空気により発生する順タンブル流Tを、噴射する燃料の貫徹力により強化する方向に定められる。すなわち、順タンブル流に接する方向で、順タンブル流と同じ方向が噴射方向に定められる。例えば、排気弁17側の内壁におけるピストン15の上死点と下死点との間の所定の噴射点Pに向かう方向が燃料の噴射方向に定められる。
また、インジェクタ18はスリット状の噴口を有して、比較的厚さの薄い略扇形状に燃料を噴射する。燃料噴霧の厚さ中心平面と順タンブル流Tと平行に気筒中心軸線を通る縦平面とが一致するように、インジェクタ18は取付けられる。
点火プラグ19は、燃焼室21に設けられる。燃焼室21に吸入された混合気は、点火プラグ19により所定のタイミングで着火される。着火された混合気が燃焼して排気ガスが生成され、排気通路13を介して排出される。
燃料タンク11には、燃料温度センサ22が設けられる。燃料温度センサ22により燃料タンク11に貯蔵される燃料の燃料温度が検出される。検出された燃料温度は、信号としてECU23に送信される。
吸気通路12には、吸気温度センサ24が設けられる。吸気温度センサ24により燃焼室21に吸入させる空気の吸気温度が検出される。検出された吸気温度は、信号としてECU23に送信される。
エンジン10には、水温センサ25や回転センサ26が設けられる。水温センサ25および回転センサ26により、それぞれエンジン10の冷却水温およびエンジン10の回転数が検出される。検出された冷却水温および回転数は、信号としてECU23に送信される。
ECU23は取得するデータに基づいて、エンジン10の各部位に行なわせる動作の制御を行なう。例えば、後述するように、インジェクタ18からの燃料の噴射時期が制御される。また、点火プラグ19の点火時期、インジェクタ18からの燃料の噴射量なども、ECU23によって制御される。
燃料の噴射時期を決定するために、ECU23は燃焼室21内において吸気行程中に噴射した燃料が爆発行程の始まるまでに十分に気化されるか否かの判別を行なう。判別を行なうために、一定の燃料噴射量に対してサイクル毎のトルク変動を実質的に生じさせないときのシリンダボア内壁温度が、内壁温閾値TV1として予め定められる。
シリンダボア内壁温度が高いほど、燃料の気化する速度が大きくなる。したがって、シリンダボア内壁温度が高くなる程、1サイクルにおいて燃料の気化が促進すると判別できる。なお、シリンダボア内壁温度は水温と相関性があるため、水温に基づいてシリンダボア内壁温度が算出される。
シリンダボア内壁温度が内壁温閾値TV1を上回り燃料が十分に気化すると判別されるときには、吸気行程のBDC付近が燃料噴射時期に決定される。前述のように、吸気行程において吸気ポート12aから吸気される空気により燃焼室には順タンブル流Tが発生する。発生させた順タンブル流Tは吸気行程から圧縮行程TDCに達するまでの間に減衰していくが、吸気行程BDC付近において燃料を噴射することにより順タンブル流Tが強められる。順タンブル流Tを強めることにより、圧縮行程においても順タンブル流Tは確実に持続し、圧縮行程のTDC近傍において気筒内に乱れを発生させる。この気筒内の乱れにより混合気の着火性が向上する。
シリンダボア内壁温度が内壁温閾値TV1を下回り、且つ後述するように、別の因子に基づいて燃料が十分に気化できないと判別されるときは、吸気行程においてピストン15の頂面が噴射点Pを通過する時期が燃料噴射の基準噴射時期に定められる。なお、内壁温閾値TV1以下の温度において、シリンダボア内壁温度に対する進角補正値の対応マップが予め定められており(図2参照)、基準噴射時期から進角補正される。したがって、シリンダボア内壁温度が内壁温閾値TV1を下回る状況においてシリンダボア内壁温が高くなるほど、ECU23は燃料噴射時期を進角させる。
また、ECU23における燃料の噴射時期を決定するために、一定の燃料噴射量に対してサイクル毎のトルク変動を実質的に生じさせないときの燃料温度、吸気温度、およびエンジン回転数が、燃温閾値TV2、吸気温閾値TV3、および回転数閾値TV4として予め定められる。
燃料温度および吸気温度が高いほど、燃料の気化する速度が大きくなる。したがって、燃料温度及び吸気温度が高いほど、1サイクルにおいて燃料の気化が促進すると判別できる。また、エンジン回転数が大きくなると、1サイクルにおける吸気行程および圧縮行程の時間が短くなるため、燃料が気化する量が少なくなる。したがって、エンジン回転数が大きくなるほど、1サイクルにおいて燃料が十分に気化出来なくなると判別できる。
シリンダボア内壁温度と同様に、燃料温度が燃温閾値TV2を上回り、吸気温度が吸気温閾値TV3を上回り、あるいはエンジン回転数が回転数閾値TV4を下回るときに、燃料が十分に気化すると判別される。前述のようにいずれかの要因により燃料が十分に気化すると判別されると、吸気行程のBDC付近が燃料噴射時期に決定される。
シリンダボア内壁温度と同様に、燃料温度が燃温閾値TV2を下回り、吸気温度が吸気温閾値TV3を下回り、且つエンジン回転数が回転数閾値TV4を上回るときに、吸気行程においてピストン15の頂面が噴射点Pを通過する時期が基準噴射時期に定められる。
なお、燃温閾値TV2以下の温度において、燃料温度に対する進角補正値の対応マップが予め定められており(図3参照)、基準噴射時期から進角補正される。したがって、燃料温度が燃温閾値TV2を下回る状況において燃料温度が高くなるほど、ECU23は燃料噴射時期を進角させる。
なお、吸気温閾値TV3以下の温度において、吸気温度に対する進角補正値の対応マップが予め定められており(図4参照)、基準噴射時期から進角補正される。したがって、吸気温度が吸気温閾値TV3を下回る状況において吸気温度が高くなるほど、ECU23は燃料噴射時期を進角させる。
なお、回転数閾値TV4以上の回転数において、エンジン回転数に対する進角補正値の対応マップが予め定められ、基準噴射時期から進角補正される。したがって、エンジン回転数が回転数閾値TV4を上回る状況においてエンジン回転数が低くなるほど、ECU23は燃料噴射時期を進角させる。
次に、図6のフローチャートを用いて、本実施形態にかかるシリンダボア内壁温度などに応じてECU23がエンジン10の各部位に実行させる燃料噴射時期の決定の制御について説明する。なお、燃料噴射時期決定の制御は、エンジン10が暖気されるまでステップ毎に定められた時間で各種動作が実行される。
ステップS100において、ECU23はエンジン10の水温データを取得する。次のステップS101において、ECU23は取得した水温データに基づいて排気弁17側のシリンダボア内壁温度を算出する。
次のステップS102において、算出したシリンダボア内壁温度が内壁温閾値TV1を下回るか否かが判別される。シリンダボア内壁温度が内壁温閾値TV1を上回る場合は、ステップS112に進む。シリンダボア内壁温度が内壁温閾値TV1を下回る場合は、ステップS103に進む。
ステップS103において、ECU23は燃料温度データを取得する。次のステップS104において、燃料温度が燃温閾値TV2を下回るか否かが判別される。燃料温度が燃温閾値TV2を上回る場合は、ステップS112に進む。燃料温度が燃温閾値TV2を下回る場合は、ステップS105に進む。
ステップS105において、ECU23は吸気温度データを取得する。次のステップS106において、吸気温度が吸気温閾値TV3を下回るか否かが判別される。吸気温度が吸気温閾値TV3を上回る場合は、ステップS112に進む。吸気温度が吸気温閾値TV3を下回る場合は、ステップS107に進む。
ステップS107において、ECU23はエンジン回転数データを取得する。次のステップS108において、エンジン回転数が回転数閾値TV4を上回るか否かが判別される。エンジン回転数が回転数閾値TV4を下回る場合は、ステップS112に進む。エンジン回転数が回転数閾値TV4を下回る場合は、ステップS109に進む。
ステップS109では、吸気行程においてピストン15の頂面が噴射点Pを通過する時期が基準噴射時期T1として定められる。次にステップS110に進み、ステップS101で算出したシリンダボア内壁温度に対応する進角補正値を取得する。また、ステップS103で取得した燃料温度に対応する進角補正値を読込む。また、ステップS105で取得した吸気温度に対応する進角補正値を読込む。また、ステップS107で取得したエンジン回転数に対応する進角補正値を読込む。ステップS111では、ステップS109において定めた基準噴射時期T1をステップS110において取得した各進角補正値で補正した時期を燃料噴射時期に定める。
前述のように、ステップS102においてシリンダボア内壁温度が内壁温閾値TV1を上回る場合、ステップS104において燃料温度が燃温閾値TV2を上回る場合、ステップS106において吸気温度が吸気温閾値TV3を上回る場合、またはステップS108においてエンジン回転数が回転数閾値TV4を下回る場合に、ステップS112に進み、燃料噴射時期を吸気行程BDC付近に定める。
以上のような構成の火花点火内燃機関によれば、燃焼室内において燃料が十分に気化できない状況においてトルク変動および排気ガス中の未燃ガスの増加を抑止することが可能になる。以下に、本実施形態の効果について詳細に説明する。
一般的に、均質燃焼時において燃焼速度を速めるために、燃焼室21内においてタンブルの発生およびタンブルの強化が求められている。吸気ポート12aからの吸気によって発生させたタンブルを強化するためには、BDC付近で燃料が噴射されることが望ましい。
一方、タンブルを強化させるように設計した噴射方向に向けてのBDC付近における噴射では、シリンダボア内壁に燃料が噴射される。エンジン10が暖機されたときや燃料温度などが高い状態などの通常の運転時においては、燃料がシリンダボア内壁に到達する前に十分に気化しており、あるいはシリンダボア内壁に到達した液状の燃料も爆発行程までの間に十分に気化される。しかし、燃料温度、吸気温度が低いときや、エンジンの回転数が高いときには、燃料がシリンダボア内壁に到達するまでに十分に気化できず、液状の燃料がシリンダボア内壁に付着することがある。また、シリンダボア内壁温度が低いときには付着した燃料がシリンダボア内壁において爆発行程までに十分に気化出来なくなる。
そこで、本実施形態では、このように着火時までに燃料を十分に気化できないときには、燃料の噴射時期を吸気行程のBDC付近から噴射点Pより早い時期に進角させることにより、燃料がピストン15の頂面に噴射される(図7参照)。
シリンダボア内壁は潤滑油により覆われており、噴射した燃料は潤滑油に吸収される。一方、ピストン15の頂面は潤滑油に覆われていない。一般的に潤滑油に吸収された燃料の気化速度よりピストン15の頂面に付着した燃料の気化速度の方が速い。したがって、ピストン15の頂面に付着した燃料は、点火までの間に十分に気化されるので、前述のように、サイクル毎の気化する燃料の量の変動を抑えられ、トルクの変動や未燃ガスの増加を抑止することが可能となる。
なお、ピストン15の頂面が噴射点Pを通過するときより進角させる状態において、進角量が大きくなるほど、燃料のピストン15の頂面への噴射位置は排気弁17側のシリンダボア内壁面から遠ざかる(図8参照)。従って、進角量が大きくなるほどシリンダ内壁面に到達する燃料の量は減少する。
一方、進角量が大きくなるほど、ピストン15への燃料の付着量が増加する。シリンダボア内壁温度が低い状態におけるピストン15の頂面に付着する燃料の量が増えるほど、スモークの発生量が増加する。この問題に対し、本実施形態では、壁温閾値TV1未満の範囲においてシリンダボア内壁温度が高くなるほど、噴射時期を大きく進角させている。
シリンダボア内壁温度が高くなるほどピストンに付着した燃料の気化速度が速いので、スモークの発生量は少ない。すなわち、シリンダボア内壁温度が高ければ、大きく進角させてもスモークの発生量を低く抑えることが可能である。したがって、シリンダボア内壁温度が高いときには、大きく進角させてシリンダ内壁への燃料の到達量を減らしながら、スモークの発生を抑止することが可能になる。
一方、シリンダボア内壁温度が低くなるほどピストンに付着した燃料の気化速度が遅く、スモークの発生量が増大する。そこで、シリンダボア内壁温度が低いときは、噴射点Pからの進角量を少なくしてピストン15における燃料の付着量を減少させることにより、スモークの発生を抑止することが可能になる。なお、進角量を少なくすることにより、シリンダ内壁面への燃料の到達量が増加するが、シリンダボア内壁温度が低いときは潤滑油に吸収された燃料の気化量そのものが大きく減少するためサイクル毎の気化量の変動が少なく、トルク変動や未燃ガスの増加を抑えることが可能である。
なお、燃料温度、吸気温度、エンジン回転数に応じて本実施形態のように燃料噴射時期を制御する場合も、シリンダボア内壁温度に応じた制御と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、前述のように、シリンダボア内壁温度、燃料温度、吸気温度、またはエンジン回転数に応じて進角量の調整を行う構成であるが、シリンダボア内壁温度、燃料温度、または吸気温度がそれぞれの閾値を下回るとき、あるいはエンジン回転数が回転数閾値TV4を上回るときに、進角量の調整をすること無く所定の進角量で噴射時期を早める構成であってもよい。ピストン15の頂面が噴射点Pを通過する前に噴射すれば、シリンダ20内壁に直接燃料が噴射されないため、シリンダ内壁の潤滑油に吸収される燃料の量を大きく減じられる。したがってBDC付近で噴射するときに比べてサイクル毎の気化量の変動を十分に抑止することが可能である。
また、本実施形態では、シリンダボア内壁温度、燃料温度、吸気温度、およびエンジン回転数に応じて、燃料噴射時期の吸気行程BDCからの進角を行なう構成であるが、燃焼室内における気化に影響を与えるいかなる因子に応じて噴射時期の進角を行ってもよい。
なお、他の因子に基づいて噴射時期の進角調整を行う場合は、因子が燃料の気化が促進されると判定される範囲内であるときに、吸気行程のBDC付近が燃料噴射時期に決定される。一方、因子が当該範囲から外れるときに、吸気行程においてピストン15の頂面が噴射点Pを通過するときより早い時期が燃料噴射時期に定められる。
また、本実施形態において、シリンダボア内壁温度、燃料温度、吸気温度、およびエンジンの回転数に基づいて燃料の噴射時期を決定する構成であるが、少なくとも一つの因子に基づいて噴射時期を決定してもよい。特に、シリンダボア内壁温度は、他の因子に比べて燃料の気化に大きな影響を及ぼすので、シリンダボア内壁温度のみを用いて噴射時期を決定することにより処理の簡易化を計ることも可能である。
また、本実施形態では、燃料の噴射時期が吸気行程中に一回行なわれることを前提としているが、例えば単一のサイクル中に複数回の燃料噴射が行われる場合にも適用可能である。例えば、複数回の噴射の中の少なくとも一回の燃料噴射において吸気行程BDC付近における燃料噴射を通常行なっている場合には、燃料が十分に気化できないときに噴射時期を本実施形態のように進角される。
また、本実施形態では、タンブル強化のためにインジェクタ18の噴射方向がシリンダ20内壁の方向に定められる構成であるが、タンブル強化のためだけでなく他のどのような目的のためであっても、噴射方向がピストン15の上死点から下死点の間におけるシリンダ20の内壁面を向いた方向であれば、本実施形態を適用可能である。
また、本実施形態において、燃料の燃料温度、吸入する空気の温度は温度センサにより直接検出される構成であるが、水温の検出によりシリンダボア内壁温度を検出するように、間接的に燃料温度などを検出してもよい。
本発明の一実施形態を適用したエンジンの概略的な構成を模式的に示すブロック図である。 シリンダボア内壁温度に対する進角補正値を示すグラフである。 燃料温度に対する進角補正値を示すグラフである。 吸気温度に対する進角補正値を示すグラフである。 エンジン回転数に対する進角補正値を示すグラフである。 ECUが行なう燃料噴射時期決定制御のプログラム構造を示すフローチャートである。 ピストンが噴射点を通過する前に燃料を噴射するときの噴射状態を示す図である。 噴射時期の進角量の大きさにより生じる効果を説明する図である。
符号の説明
10 エンジン
12a 吸気ポート
15 ピストン
18 インジェクタ
20 シリンダ
21 燃焼室
22 燃料温度センサ
23 ECU
24 吸気温度センサ
25 水温センサ
26 回転センサ

Claims (6)

  1. ボア内壁における上死点と下死点との間の所定の位置である噴射地点に向けて燃料を噴射する噴射手段と、
    前記噴射手段により噴射された前記燃料の燃焼室内における気化に影響を与える因子を検出する検出手段と、
    前記燃焼室内における前記燃料の気化が促進される所定の範囲から前記検出手段により検出された前記因子が外れる場合に、吸気行程中に上死点から下死点に移動するピストンが前記噴射地点を通過する時期より早く、前記噴射手段に前記燃料を噴射させるように制御する制御手段とを備える
    ことを特徴とする火花点火内燃機関。
  2. 前記検出手段は前記噴射地点側の前記ボア内壁における気化に影響を与える因子を検出し、前記制御手段は前記因子に基づいて前記噴射手段による前記燃料の噴射時期の制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載の火花点火内燃機関。
  3. 前記気化に影響を与える因子は前記噴射地点側の前記ボア内壁温度であることを特徴とする請求項2に記載の火花点火内燃機関。
  4. 前記燃焼室内にタンブル流を発生させるように、前記燃焼室に吸気を行なう吸気ポートを備え、
    前記噴射手段が前記噴射地点に向けて燃料を噴射することにより前記タンブル流を強化するように、前記噴射地点が定められることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の火花点火内燃機関。
  5. 前記吸気ポートは前記燃焼室内に順タンブル流を発生させ、前記噴射地点は排気側ボア内壁に定められることを特徴とする請求項4に記載の火花点火内燃機関。
  6. 前記制御手段は、前記因子が前記所定の範囲外において前記燃料の気化を促進させる方向に変化するほど、前記噴射手段に前記燃料を早く噴射させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の火花点火内燃機関。
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