JPH10299539A - 筒内噴射型火花点火式エンジン - Google Patents

筒内噴射型火花点火式エンジン

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JPH10299539A
JPH10299539A JP9111610A JP11161097A JPH10299539A JP H10299539 A JPH10299539 A JP H10299539A JP 9111610 A JP9111610 A JP 9111610A JP 11161097 A JP11161097 A JP 11161097A JP H10299539 A JPH10299539 A JP H10299539A
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injection
injector
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intake stroke
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謙二 樫山
Akira Kurihara
明 栗原
Yasushi Murakami
康 村上
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    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F3/00Pistons 
    • F02F3/26Pistons  having combustion chamber in piston head
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/12Other methods of operation
    • F02B2075/125Direct injection in the combustion chamber for spark ignition engines, i.e. not in pre-combustion chamber
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間時にインジェクタから燃焼室内への燃料
噴射を吸気行程で行なわれる場合にも、シリンダ壁への
燃料付着を抑制してオイルの希釈を防止するとともに、
ピストン頂面や燃焼室天井部分への燃料付着も抑制し、
エミッションや燃費を改善する。 【解決手段】 燃焼室5の周縁部に配置したインジェク
タ12をシリンダ軸線と直交する方向に対して斜め下方
45°以内に指向させるとともに、少なくともエンジン
の冷間時に吸気行程での燃料噴射を行なうことにより均
一化状態とするとともに、冷間時に吸気行程での燃料噴
射の開始時期をクランク角で上死点後30°以降とし、
かつ燃料噴射の終了時期をインジェクタ12からの噴霧
の中心線がピストン4の頂部のキャビティ6内に位置す
る範囲内のクランク角に設定している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼室の周縁部に
インジェクタを配置するとともに上記ピストンの頂部に
キャビティを設けた筒内噴射型火花点火式エンジンに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特開平7−286520
号公報に示されるように、燃焼室中央部に点火プラグを
配置するとともに、燃焼室の周縁部にインジェクタを配
置し、上記インジェクタから燃焼室に直接燃料を噴射す
るようにした筒内噴射型火花点火式エンジンは知られて
いる。
【0003】この種のエンジンでは、上記インジェクタ
が燃焼室の周縁部から斜め下方(ピストン側)に向けて
燃料を噴射するように配置されていて、このインジェク
タから圧縮行程で燃料が噴射されると、ピストン頂部で
反射された燃料が点火プラグ周りに送られることで成層
燃焼が行なわれ、また、吸気行程で燃料が噴射される
と、混合気が燃焼室全体に拡散されて均一燃焼が行なわ
れる。
【0004】そこで、運転状態に応じて燃料噴射形態を
変更し、例えば低負荷低回転領域では圧縮行程噴射によ
り成層燃焼状態とする一方、高負荷領域や高回転領域で
は吸気行程噴射により均一燃焼状態とするというような
制御が行なわれている。また、上記公報にも示されるよ
うに吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する分
割噴射が行なわれる場合もある。
【0005】なお、このようなエンジンにおいて、成層
化を促進するため、ピストンの頂部に部分的にキャビテ
ィを設け、圧縮行程噴射時にインジェクタから噴射され
た燃料が上記キャビティを経て点火プラグ付近に送られ
るようにした構造も考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような筒内噴射
型火花点火式エンジンでは、燃焼室の周縁部においてイ
ンジェクタが設置される箇所の近傍には吸気ポート等が
配設されていて、インジェクタの設置場所が制約されて
いるので、水平方向(シリンダ軸芯と直交する方向)に
対するインジェクタの設置角度を大きく取ることは困難
である。
【0007】また、上記公報の図面に示されているもの
では、インジェクタの設置方向に対して燃料噴射方向が
下向きに折れ曲がることにより、ピストンが比較的下方
にあるときにも噴霧がピストン頂面に向かうようにして
いるが、このように設置方向に対して燃料噴射方向を曲
げようとすると、噴射口等の形状が複雑になるととも
に、噴霧形状が悪化したり微粒化が阻害されたりする。
従って、良好な噴霧を得るためにはインジェクタの設置
方向と同方向に燃料を噴射させる必要があるので、イン
ジェクタの設置角度に対応してインジェクタの噴射角度
が制約され、通常、水平方向に対して下方45°以内に
設定せざるを得ない。
【0008】このような制約のもとで、特に冷間時に上
記インジェクタから吸気行程で燃料が噴射される場合、
噴射中にピストンが上死点から比較的大きく遠ざかる
と、インジェクタからの噴霧の方向がピストンの頂面か
ら外れてしまって、噴射された燃料の多くがシリンダ壁
に付着する。そして、冷間時にはシリンダ壁に付着した
燃料が蒸発せずにピストンで掻き落されて潤滑用のオイ
ルに混入することにより、オイルが希釈されるといった
問題がある。
【0009】一方、このような事態を避けるためピスト
ンが上死点に極めて近い位置にある時期から噴射を開始
すると、燃料が充分に微粒化される前にピストン頂部に
付着するとともにピストンから跳ね返った燃料が燃焼室
の天井部分に多く付着して、これらの燃料が充分燃焼さ
れずに排出されるため排気中のHC、COが増加し、エ
ミッションや燃費の悪化を招くという問題を生じる。
【0010】本発明は、上記の事情に鑑み、冷間時にイ
ンジェクタから吸気行程で燃料が噴射される場合にも、
シリンダ壁への燃料付着を抑制してオイルの希釈を防止
するとともに、ピストン頂面や燃焼室天井部分への燃料
付着も抑制し、エミッションや燃費を改善することがで
きる筒内噴射型火花点火式エンジンを提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、シリンダボア内のピストンの上方に形成
された燃焼室の略中央部に点火プラグを設け、上記燃焼
室の周縁部にインジェクタを、斜め下方に向けて燃料を
噴射するように配置するとともに、上記ピストンの頂部
にキャビティをインジェクタ側にオフセットした配置で
設け、上記インジェクタから圧縮行程で燃料を噴射して
上記キャビティを介して点火プラグ周りに混合気を偏在
させる成層化状態と、上記インジェクタから少なくとも
燃料の一部を吸気行程で噴射して混合気を燃焼室全体に
拡散させる均一化状態とに変更可能とした筒内噴射型火
花点火式エンジンにおいて、上記インジェクタをシリン
ダ軸線と直交する方向に対して斜め下方45°以内に指
向させるとともに、少なくともエンジンの冷間時に上記
均一化状態とするように上記インジェクタからの燃料噴
射を制御する制御手段を設けるとともに、少なくともエ
ンジンの冷機時において吸気行程での燃料噴射の開始時
期をクランク角で上死点後30°以降とし、かつ燃料噴
射の終了時期をインジェクタからの噴霧の中心線が上記
キャビティ内に位置する範囲内のクランク角に設定した
ものである。
【0012】この構成によると、レイアウト上の制約等
から、上記インジェクタの噴射方向がシリンダ軸線と直
交する方向に対して斜め下方45°以内となっていると
いう条件下において、吸気行程での燃料噴射の開始時期
をクランク角で上死点後30°以降としていることによ
りピストン頂面や燃焼室天井部分への燃料付着が抑制さ
れてHC排出量が低減される一方、燃料噴射の終了時期
をインジェクタからの噴霧の中心線が上記キャビティ内
に位置する範囲内のクランク角に設定していることによ
り、シリンダ壁への燃料付着が抑制され、潤滑用のオイ
ル希釈が抑制される。
【0013】この発明において、インジェクタとしては
吸気行程での噴射時の噴霧角が40°以上となる広角イ
ンジェクタを用いたことが好ましく、このようにするこ
とで燃料の微粒化等に有利となる。
【0014】また、所定の冷間時に、燃焼室全体の空燃
比を略理論空燃比としつつ上記インジェクタから吸気行
程と圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する分割噴射を行
なわせるようにしておけば、暖機促進作用が高められる
とともに、吸気行程噴射の期間が短縮されて、シリンダ
壁への燃料付着の防止等に有利となる。
【0015】圧縮行程で燃料を噴射する場合、筒内圧力
が高くて噴霧がコンパクトになることにより吸気行程噴
射と比べてシリンダ壁への燃料付着が生じ難いことか
ら、所定の冷間時において、圧縮行程での燃料噴射の開
始時期と圧縮上死点との間のクランク角を、吸気上死点
と吸気行程での燃料噴射の開始時期との間のクランク角
よりも大きく設定しておいてもよい。
【0016】さらに、所定の冷間時において、圧縮行程
での燃料噴射期間の中心と圧縮上死点との間のクランク
角を、吸気上死点と吸気行程での燃料噴射期間の中心と
の間のクランク角よりも大きく設定しておいてもよい。
【0017】また、燃焼室内にスワール成分とタンブル
成分とを含む斜めスワールを生成することが可能となる
ように吸気系を構成するとともに、少なくとも吸気行程
での燃料噴射が行なわれる冷間時に上記斜めスワールを
生成させるようにしておくことが好ましい。このように
すると、吸気行程噴射時に上記斜めスワールによって噴
霧を下方に向ける作用が得られるとともに燃料の微粒化
が促進されるため、シリンダ壁への燃料付着が抑制され
る。
【0018】本発明のエンジンにおいて、一対の吸気ポ
ートのその一方の吸気ポートに対する吸気の流通を制御
する制御弁とを設けて、この制御弁が閉じられるに応じ
てスワール比が大きくなるように吸気系を構成するとと
もに、エンジンの低負荷低回転領域ではエンジンの冷間
時にも上記制御弁を閉じるように構成しておけば、エン
ジンの冷間時にスワールによりシリンダ壁への燃料付着
抑制する作用が良好に得られる。
【0019】また、温間時に特定運転領域おいてインジ
ェクタからの燃料噴射を吸気行程でのみ行なうように制
御するとともに、この温間時における吸気行程噴射の開
始時期を冷間時における吸気行程噴射の開始時期と比べ
て遅角させるようにしておいてもよく、温間時にはシリ
ンダ壁に燃料が付着してもすぐに蒸発するので、上記の
ように噴射開始時期を遅らせてもオイルの希釈を招くこ
とはない。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。図1及び図2は筒内噴射型火花点火式エ
ンジンの構造の一例を示している。これらの図におい
て、1はエンジン本体であって、シリンダブロック2及
びシリンダヘッド3等からなり、複数のシリンダを備え
ており、その各シリンダにはピストン4が嵌挿され、こ
のピストン4の頂面とシリンダヘッド3の下面との間に
燃焼室5が形成されている。上記ピストン4の頂部には
キャビティ6が設けられている。
【0021】上記シリンダヘッド3には、燃焼室5に開
口する2つの吸気ポート7A,7Bと、2つの排気ポー
ト8A,8Bとが形成されるとともに、上記両吸気ポー
ト7A,7Bをそれぞれ開閉する2つの吸気弁9と、上
記両排気ポート8A,8Bをそれぞれ開閉する2つの排
気弁10と、点火プラグ11と、インジェクタ12とが
取付けられている。上記インジェクタ12は、燃焼室5
内に直接燃料を噴射するものであって、燃焼室5の周縁
部に、斜め下方に向けて燃料を噴射するように配置され
ている。また、上記点火プラグ11は燃焼室5の中央部
に配置されている。
【0022】これらの構造を具体的に説明すると、上記
シリンダヘッド3の下面により構成される燃焼室5の天
井部分はペントルーフ型となっており、上記ピストン4
の頂部も上記天井部分に対応して中央部が隆起したペン
トルーフ形状とされている。また、上記キャビティ6
は、図3及び図4にも示すように、ピストン4の頂部を
部分的に凹陥させてなるもので、インジェクタ12側に
オフセットした位置に設けられている。つまり、ピスト
ン4の頂部においてインジェクタ12側の周縁付近から
中央部付近にわたる範囲内でキャビティ6が形成され、
このキャビティ6の周縁部のうちのピストン中央部側の
部分と点火プラグ11とが対応するような位置関係にな
っている。
【0023】上記吸気ポート7A,7Bは互いに独立に
形成されており、その縦断面(軸線に沿った断面)の形
状としては図1に示すように、上流側がシリンダヘッド
3の一側壁上部に位置し、上流端から所定範囲の部分7
1が斜め下方に直線状に延び、その斜め方向直線状部分
71の下流側に、水平方向(シリンダ軸心と直交する方
向)に対する傾斜が最も緩やかになった区間72を有
し、この緩傾斜区間72より下流側の部分73(下流端
近傍のスロート部から下流端までの部分)は水平方向に
対する傾斜角度が次第に大きくなり、その下流端がペン
トルーフ型の燃焼室天井部分に開口している。
【0024】上記両吸気ポート7A,7Bの横断面(軸
線の直交する断面)の形状は、互いに対称であって、上
記斜め方向直線状部分71で図5に示すような異形断面
形状となっている。すなわち、図5において、両吸気ポ
ート7A,7Bの横断面形状は、シリンダヘッド下面か
ら遠い側に位置する上辺部74と、吸気ポート間側とは
反対側に位置する外側辺部75と、吸気ポート間側であ
る内側から下側にかけての斜辺部76とを有する概略三
角形状とされ、より詳細には上記上辺部74、外側辺部
75及び斜辺部76に加えて上辺部74と斜辺部76と
の間の短い内側辺部77及び外側辺部75と斜辺部76
との間の短い下辺部78を有する略五角形状とされてい
る。
【0025】そして、吸気ポート7A,7Bの横方向の
最大幅の中心で、かつ、縦方向の最大幅の中心となる位
置を軸心Oとし、この軸心Oを通って互いに直交する横
方向及び縦方向の2直線をそれぞれの方向の中心線L
x,Lyと呼び、吸気ポート7A,7Bの横方向または
縦方向の最大幅に相当する径の円を基準円C(吸気ポー
トが円形断面の場合の横断面形状に相当)と呼ぶと、ポ
ート断面は上記基準円Cと比べ、横方向中心線Lxより
上側及び横方向中心線Lyより外側で断面積が増大して
いる。つまり、上辺部74及び外側辺部75はそれぞれ
中心線Lx,Lyの両側の部分が基準円Cよりも径方向
外方に拡張されており、このようにすることで吸気ポー
トの上側及び外側を空気が多く流れ、タンブル成分及び
スワール成分を強化に有利となる。また、上記斜辺部7
6は基準円Cよりも軸心O側に入り込んでいる。
【0026】ポート形状の説明図である図6にも示すよ
うに、上記斜め方向直線状部分71では概略三角形状で
一定断面とされ、一方、吸気ポート下流側のスロート部
から燃焼室5への開口部にわたる部分73では吸気弁形
状に対応する円形断面とされ、その間の上記緩傾斜区間
72で異形断面から円形断面へ断面形状が次第に変化す
るように形成されている。
【0027】また、上記インジェクタ12は、燃料の微
粒化に有利なように、吸気行程での噴射時の噴霧角が4
0°以上の広角インジェクタにより構成され、とくに望
ましくは、螺旋状に燃料を噴射するスワールインジェク
タにより構成される。そしてこのインジェクタ12が、
燃焼室周縁部から燃焼室5内の斜め下方に向けて燃料を
噴射するように傾斜した状態で、上記両吸気ポート7
A,7Bの間の下方に設けられたインジェクタ取付孔1
3に取付けられる。この場合、両吸気ポート7A,7B
は斜め方向直線状部分71において上記のように内側か
ら下側にかけての斜辺部76が基準円Cより軸心側に入
り込んだ異形断面形状とされていることにより、この両
吸気ポート7A,7Bの間の下方にインジェクタ12の
配置スペースが確保されている。
【0028】もっとも、このようにしてもインジェクタ
設置場所は両吸気ポート7A,7Bにより制限されるの
で、水平方向に対するインジェクタ12の設置角度を4
5°以上に大きく取ることは困難であり、また、良好な
噴霧を得るためにはインジェクタの設置方向と同方向に
燃料を噴射させる必要がある。これらの制約から、イン
ジェクタ12からの噴射方向は水平方向に対して下方4
5°以内に設定されている。
【0029】また、吸気ポート7A,7Bの緩傾斜区間
72の上部壁には、吸気弁9の弁軸を摺動自在に支持す
るバルブガイド14が設けられている。
【0030】上記エンジン本体1の一側部には吸気マニ
ホールド15が連結され、この吸気マニホールド15に
は、サージタンク16の下流にシリンダ別の分岐管17
が設けられるとともに、その分岐管17に、上記両吸気
ポート7A,7Bに通じる一対の吸気通路17A,17
Bが形成されている。また、一方の吸気ポート7Aに対
する吸気の流通を制御する制御弁18が、この吸気ポー
ト7Aに通じる吸気通路17Aに設けられている。この
制御弁18はステップモータ等のアクチュエータ19に
より作動されるようになっている。
【0031】上記両吸気ポート7A,7Bと制御弁18
とにより、スワール成分とタンブル成分とを有する斜め
スワールの生成が可能で、かつ、上記スワール成分及び
タンブル成分の調節が可能な吸気系が構成されている。
【0032】すなわち、上記制御弁18が全閉もしくは
部分開(全開と全閉との間の開度)とされることによっ
て一方の吸気ポート7Aの吸気流通が制限された状態で
は他方の吸気ポート7Bに多く流れる吸気によって燃焼
室5内にスワール成分(渦流の水平方向成分)を有する
渦流が生成される。また、吸気ポート7A,7Bは斜め
方向直線状部分71及び下流端側の部分73が比較的大
きな傾斜角を有し、かつ、緩傾斜区間72が比較的短く
されることにより、吸気ポート7A,7Bから燃焼室5
に流入する吸気流がタンブル成分(渦流の垂直方向成
分)を含むように形成されている。従って、制御弁が非
全開状態(全閉もしくは部分開の状態)のときは上記ス
ワール成分とタンブル成分とを含む斜めスワールが燃焼
室5内に生成される。
【0033】そして、上記スワール成分は制御弁18が
全閉状態のときに最も強く、制御弁18の開度が大きく
なるにつれて弱くなり、制御弁18が全開のときにスワ
ール成分が略0となるが、このときにもタンブル成分は
残されるようになっている。
【0034】図7はエンジンの制御系統を示し、この図
において、マイクロコンピュータ等からなるECU(コ
ントロールユニット)20には、エンジン回転数を検出
する回転数センサ21、アクセル開度を検出するアクセ
ルセンサ22、吸入空気量を検出するエアフローメータ
23、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ24
等からの信号が入力されている。
【0035】上記ECU20は、燃料噴射制御手段2
5、空燃比制御手段26及び吸気流動制御手段27を含
んでいる。上記燃料噴射制御手段25は、後述の図8に
示すマップに基づき、エンジンの運転状態及びエンジン
温度(水温)に応じ、点火プラグ周りに混合気を偏在さ
せる成層化状態とすべく圧縮行程で燃料を噴射する圧縮
行程噴射と、燃焼室全体に混合気を拡散させる均一化状
態とすべく吸気行程で燃料を噴射する吸気行程噴射と、
点火プラグ周りに比較的リッチな混合気が存在するとと
もにその周囲に比較的リーンな混合気が存在する状態と
すべく吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する
分割噴射とに、インジェクタ12からの燃料噴射形態を
変更するようになっている。
【0036】上記空燃比制御手段26は、後述の図8に
示すマップに基づき、上記燃料噴射形態と対応して空燃
比を設定し、その空燃比が得られるように、燃料噴射制
御手段25を介してインジェクタ12からの燃料噴射量
を制御するとともに、エレキスロットル(電気的なアク
チュエータで作動されるスロットル弁)等の吸入空気量
調節手段28を制御するようになっている。
【0037】また、上記吸気流動制御手段19は、運転
状態に応じて後述のように制御弁18の開度を制御する
ようになっている。
【0038】図8は、燃料噴射形態及び空燃比につき、
温間モードと冷間通常噴射モードと冷間分割噴射モード
との3種類のモードの制御マップを示している。
【0039】同図(a)は温間モードであり、このモー
ドでは、所定負荷以下かつ所定回転数以下の領域が成層
燃焼領域Aとされ、この領域Aで圧縮行程噴射が行なわ
れるとともに空燃比が例えばA/F=40程度というよ
うに理論空燃比より大幅にリーンとされる。一方、所定
負荷より高負荷側と所定回転数より高回転側とにわたる
領域が均一燃焼領域Bとされ、この領域Bで吸気行程噴
射が行なわれる。この均一燃焼領域Bのうちで低負荷低
回転側の、成層燃焼領域Aに近い領域B1では、空燃比
が理論空燃比よりリーン(λ>1)とされ、例えばA/
F=20程度とされる。また、均一燃焼領域Bのうちで
もとくに高負荷側及び高回転側の領域B2では、空燃比
が理論空燃比もしくはこれよりリッチ(λ≦1)とさ
れ、例えばA/F=13〜14.7とされる。
【0040】同図(b)は冷間通常噴射モードであり、
このモードでは、全開負荷付近を除く大部分の運転領域
Cで、空燃比が理論空燃比(λ=1)とされつつ、吸気
行程噴射が行なわれる。全開負荷付近の高負荷域Dで
は、空燃比がA/F=13〜14.7とされつつ、吸気
行程噴射が行なわれる。
【0041】同図(c)は冷間分割噴射モードであり、
このモードでは、高負荷領域と高回転領域とを除く大部
分の運転領域Eで、空燃比が理論空燃比(λ=1)とさ
れつつ、分割噴射が行なわれる。高負荷領域を除く高回
転領域F1では、空燃比が理論空燃比(λ=1)とされ
つつ、吸気行程噴射が行なわれる。全開負荷付近の高負
荷域F2では、空燃比がA/F=13〜14.7とされ
つつ、吸気行程噴射が行なわれる。
【0042】図9(a)(b)は上記温間モードにおけ
る各運転領域でのエンジン負荷、エンジン回転数に応じ
た吸気流動制御の特性を示している。
【0043】エンジン負荷に応じた制御特性としては図
9(a)のように、成層燃焼領域Aでは、上記制御弁1
8が部分開とされるとともに、低負荷側で制御弁18の
開度が比較的大きくされ、負荷が高くなるにつれ、適度
に混合気を拡散させるべく、制御弁18の開度が小さく
されることでスワール比SRi及びタンブル比TRiが
大きくされる。均一燃焼領域Bのうちでリーン空燃比と
される領域B1では、制御弁18が全閉とされることに
より、スワール比SRi及びタンブル比TRiが最も大
きくされる。また、均一燃焼領域Bのうちで空燃比がリ
ッチとされる領域B2では、制御弁18が全開とされる
ことにより、スワール比SRiが0とされる。
【0044】エンジン回転数に応じた制御特性としては
図9(b)のように、成層燃焼領域Aでは、上記制御弁
18が部分開とされるとともに、エンジン回転数が高く
なるにつれ、吸気流速そのものが早くなる傾向に対する
調整のため、制御弁18の開度が大きくされることでス
ワール比SRi及びタンブル比TRiが小さくされる。
均一燃焼領域Bのうちの領域B1で制御弁18が全閉、
領域B2で制御弁18が全開とされるのは、図9(a)
の負荷に応じた制御の場合と同様である。
【0045】なお、冷間時は概ね温間時よりもスワール
を強める方向に制御弁18が制御される。例えば、冷間
通常噴射モードにおける領域Cや冷間分割噴射モードに
おける領域Eでは、制御弁18が全閉もしくは比較的小
さい開度に閉じられる。つまり、エンジンの低負荷低回
転領域では、エンジンの冷間時にも上記制御弁18が全
閉もしくは比較的小さい開度に閉じられる。
【0046】図10はインジェクタ12からの燃料噴射
のタイミングを、TDC(吸気上死点または圧縮上死
点)を基準にして示している。この図において、実線で
示す噴射開始時期I11及び噴射終了時期I12は吸気
行程噴射の場合、つまり、吸気行程噴射のみを行なう場
合や分割噴射おける吸気行程での噴射の場合のものであ
る。この吸気行程噴射は吸気上死点以後に行なわれる
が、その噴射開始時期がクランク角で上死点後30°以
降とされ、噴射終了時期は、インジェクタ12からの噴
霧の中心線Lc(図3)が上記キャビティ6内に位置す
る範囲内のクランク角に設定される。この噴霧中心線L
cがキャビティ6内に位置する範囲は、燃料噴射方向や
キャビティ6の形状、配置等の諸元によって変わってく
るが、図1〜図4に示すようなものでは上死点後60°
程度までである。
【0047】また、破線で示す噴射開始時期I21及び
噴射終了時期I22は圧縮行程噴射の場合、つまり、圧
縮行程噴射のみを行なう場合や分割噴射おける圧縮行程
での噴射の場合のものである。図示のように、圧縮行程
噴射は圧縮上死点より少し前に行なわれるが、その噴射
開始時期I21から圧縮上死点までのクランク角θ21
が吸気上死点から吸気行程噴射の噴射開始時期I11ま
でのクランク角θ11よりも大きくなり、かつ、圧縮行
程噴射期間の中心I20から圧縮上死点までのクランク
角θ20が吸気上死点から吸気行程噴射期間の中心I1
0までのクランク角θ10よりも大きくなるように設定
されている。
【0048】具体的に噴射タイミングの一例を示すと、
吸気行程噴射の噴射開始時期I11がATDC40°C
A、同終了時期I12がATDC54°CA、同噴射期
間の中心I10がATDC47°CAであり、一方、圧
縮行程噴射の噴射開始時期I21がBTDC60°C
A、同終了時期I22がBTDC54°CA、同噴射期
間の中心I20がBTDC57°CAである。ただし、
ATDCは上死点後、BTDCは上死点前、CAはクラ
ンク角をそれぞれ表している。
【0049】図11は上記ECUによる制御の一例を示
し、この制御がスタートすると、水温センサ24から入
力される冷却水温と第1,第2の設定温度T1 ,T2
が比較される(ステップS1,S2)。第1の設定温度
1 は例えば30°C程度とされ、第2の設定温度T2
は例えば80°C程度とされている。
【0050】冷却水温が第2の設定温度T2 以上の温間
時には、図8(a)に示した温間モードのマップに基づ
いて燃料噴射形態及び空燃比が制御されるとともに、図
9のように制御弁18が制御される(ステップS3)。
冷却水温が第1の設定温度T1 以上で第2の設定温度T
2 未満の冷間時には、図8(b)に示した冷間通常噴射
モードのマップに基づいて燃料噴射形態及び空燃比が制
御されるとともに、前述のように制御弁18が制御され
る(ステップS4)。
【0051】また、冷却水温が第1の設定温度T1 未満
の冷間時には、図8(c)に示した冷間分割噴射モード
のマップに基づいて燃料噴射形態及び空燃比が制御され
るとともに、前述のように制御弁18が制御される(ス
テップS5)。なお、このときに始動、暖機の促進を図
るため始動時増量及び暖機増量を行なってもよい。
【0052】以上のような当実施形態のエンジンによる
と、冷却水温が第2の設定温度T2以上となる温間時に
は温間モードのマップに基づく制御が行なわれる。
【0053】つまり、低負荷低回転側の成層燃焼領域A
では、燃焼室5の周縁に配置されたインジェクタ12か
ら圧縮行程で燃料が噴射されて、この燃料がキャビティ
6にトラップされてからその周縁部壁面に沿って点火プ
ラグ11方向に送られることにより、点火プラグ11周
りに混合気が偏在するように成層化され、この成層かに
よって空燃比が大幅にリーンな状態で着火、燃焼が可能
となり、燃費が改善される。また、高負荷側の領域や高
回転側の領域は均一燃焼領域Bとされ、この領域Bでは
吸気行程で燃料が噴射されて燃焼室全体に混合気が拡散
されるが、この均一燃焼領域Bのうちの低負荷側や低回
転側の領域B1では空燃比がリーンとされることによ
り、この領域B1でも燃費改善が図られる。
【0054】また、冷間時であって冷却水温が第1の設
定温度T1 以上のときは、冷間通常噴射モードのマップ
に基づく制御が行なわれ、大部分の運転領域で、理論空
燃比とされつつ、吸気行程噴射が行なわれることによ
り、冷間時の燃焼性が高められるとともに暖機が促進さ
れる。
【0055】冷間時であって冷却水温が第1の設定温度
1 より低いときは、冷間分割噴射モードのマップに基
づく制御が行なわれ、大部分の運転領域で、略理論空燃
比とされつつ、吸気行程と圧縮行程でそれぞれインジェ
クタ12から燃料を噴射する分割噴射が行なわれ、これ
により暖機促進作用が高められるととともに、エミッシ
ョンも改善される。
【0056】略理論空燃比としつつ分割噴射を行なうこ
とにより暖機促進作用等が得られることは、当出願人が
先に出願した特願平9−17196号の明細書の中で説
明している。これを簡単に説明すると、上記分割噴射に
よって点火プラグ周りに比較的リッチな混合気が形成さ
れるとともにその周囲に比較的リーンな混合気が形成さ
れ、この状態で着火が行なわれることにより、着火安定
性が確保されるとともに点火プラグ付近のリッチな混合
気が比較的早い燃焼速度で初期燃焼してから、その周囲
の比較的リーンな混合気が燃焼する主燃焼に移行する。
そして、主燃焼が緩慢燃焼となることから、点火時期を
リタードしたのと同様の作用が得られるとともに、初期
燃焼時に点火プラグ付近に生じた余剰燃料が次第にリー
ン混合気層の酸素を奪って燃焼する後燃えが生じ、これ
らの作用で排気温度を上昇させ、暖機を促進する機能が
得られる。
【0057】また、この冷間分割噴射モードでの制御時
に燃料の始動時増量、暖機増量を行なってもよく、この
場合、増量補正によって燃料噴射量は多くなるが、吸気
行程噴射と圧縮行程噴射とに分割されるので、吸気行程
噴射時間が増大しすぎることはない。
【0058】第1の設定温度T1 で分割噴射から均一噴
射に切替えているのは、理論空燃比とする場合に吸気行
程噴射のみによる均一燃焼の方が燃費的には有利だから
である。
【0059】上記のようにエンジンの冷間時の上記冷間
通常噴射モードでは吸気行程噴射が行なわれ、冷間分割
噴射モードでの分割噴射時には一部の燃料が吸気行程で
噴射されるが、これらの場合に、吸気行程噴射の噴射開
始時期がクランク角で上死点後30°以降で、かつ噴射
終了時期がインジェクタ12からの噴霧の中心線が上記
キャビティ6内に位置する範囲内のクランク角となるよ
うに設定されていることにより、HC排出量の低減、燃
費改善及びトルク向上が図られるとともに、ガソリンに
よるオイルの希釈が抑制される。
【0060】このような作用を、図12〜図14を参照
しつつ説明する。
【0061】図12は図1〜図4に示すようなエンジン
を用い、エンジンの冷却水温(油温)が50°C程度の
冷間時であって比較的燃料噴射量が多い低速高負荷運転
状態にあるという条件下で、噴射タイミングとオイル希
釈率、HC排出量、燃費及びトルクとの関係を示してお
り、横軸の噴射タイミングは噴射開始時期であり、噴射
終了時期はこれより20°CA程度後である。
【0062】この図に示すように、噴射タイミングがA
TDC30°付近よりも早い場合は、HC排出量が多く
なり、それに伴って燃費が悪化し、トルクも低くなる傾
向がある。これは、ピストン4の頂部がインジェクタ1
2及び燃焼室天井部に近すぎて、インジェクタ12から
噴射されて充分に微粒化される前の燃料がピストン4に
多く付着するとともに、ピストン4に衝突して跳ね返っ
た燃料の多くが燃焼室天井面に付着し、これらの燃料が
燃焼せずに排出されるためである。そして、噴射タイミ
ングがATDC30°以降になれば、ピストン12や燃
焼室天井部への燃料付着が低減されることにより、HC
排出量が減少し、燃費が低減され、トルクが高められ
る。
【0063】また、噴射タイミングがATDC40°程
度(噴射終了時期がATDC60°程度)まではオイル
希釈率が低く保たれるが、噴射タイミングがこれより遅
くなるとオイル希釈率が増加する傾向が生じる。これ
は、当実施形態のエンジンではインジェクタ12からの
噴霧の中心線Lcがキャビティ6内に位置する範囲の限
界がATDC60°程度であって、それ以降まで燃料が
噴射されてピストン4の下降により噴霧の中心線Lcが
キャビティ6から外れると、噴射燃料の多くが燃焼室5
の周辺に跳び散ってシリンダ壁への燃料付着が増加する
ためである。なお、シリンダ壁への燃料付着が増加する
と、ピストンが上昇時にシリンダ壁の燃料付着部分を通
過した後、下降時にシリンダ壁に付着した燃料を掻き落
とし、この燃料がオイルに混入することでオイルの希釈
を招くこととなる。
【0064】図12に示すデータから、噴射タイミング
がATDC30°以降とするとともに、インジェクタ1
2からの噴霧の中心線Lcがキャビティ6内に位置する
範囲内で噴射を終了するようにすれば、エミッション、
燃費及びトルクを良好に保つ効果とガソリンによるオイ
ルの希釈を抑制する効果の両方が満足されることとな
る。
【0065】図13は冷却水温度(潤滑油温度)とオイ
ル希釈率との関係を示し、この図のように、冷却水温度
が低いときはシリンダ壁に付着した燃料が蒸発し難いた
めにオイル希釈率が増加し易く、冷却水温度が高くなる
とシリンダ壁に燃料が付着してもすぐに蒸発するためオ
イル希釈率が低く保たれる。
【0066】つまり、エンジンの温間時には燃料噴射タ
イミングを遅らせてもオイル希釈の問題はない。そこ
で、温間モードで制御される場合において、運転状態が
均一燃焼領域にあるときの好ましい制御として、吸気行
程噴射の噴射タイミングを冷間時と比べて遅らせるよう
にしてもよい。このようにすると、燃料噴射時の燃焼室
5内の吸気流動が強くなることでミキシングを向上し、
燃焼性を高めることができる。
【0067】また、図14(a)は冷間時において噴射
開始時期をATDC60°として吸気行程噴射を行なっ
た場合(線35)と、噴射開始時期をATDC40°と
して吸気行程噴射を行なった場合(線36)と、噴射開
始時期が40°の吸気行程噴射と圧縮行程噴射とを、噴
射量の割合を2:1として行なった分割噴射の場合とに
つき、オイル希釈率の時間的変化を示している。この図
のように噴射開始時期がATDC60°と遅い場合はオ
イル希釈率が増大するのに対し、噴射開始時期をATD
C40°として吸気行程噴射を行えばオイル希釈率が小
さくなり、さらに分割噴射を行なった場合は、吸気行程
噴射の期間が短くなることでシリンダ壁への燃料付着量
が減少するためオイル希釈率がより一層小さくなる。従
って、エンジン温度が著しく低いときは、図8(c)に
示す冷間分割噴射モードを選択することがオイル希釈抑
制の面でも有利となる。
【0068】図14(b)は、冷間時において噴射開始
時期をATDC60°とした吸気行程噴射をスワールな
しの状態で行なった場合(線31)及びスワール生成状
態で行なった場合(線32)と、噴射開始時期をATD
C0°とした吸気行程噴射をスワールなしの状態で行な
った場合(線33)及びスワール生成状態で行なった場
合(線34)とにつき、オイル希釈率の時間的変化を示
している。この図のように、スワールを生成すれば、オ
イル希釈が抑制される。これは、噴射燃料がシリンダ壁
に達するまでにスワールでミキシングされて微粒化が促
進されることにより、シリンダ壁への燃料付着が抑制さ
れるためであり。特に、前述のようにタンブル成分とス
ワール成分とを有する斜めスワールを生成すれば、その
タンブル成分により噴霧が下方に向けられるため、シリ
ンダ壁への燃料付着がより一層抑制される。
【0069】従って、冷間時でも低負荷低回転側の領域
では上記制御弁18を閉じて斜めスワールを生成させる
ようにしておけばよい。
【0070】ところで、圧縮行程噴射時には筒内圧が高
くなることで噴霧がコンパクトになるため、吸気行程噴
射と比べてシリンダ壁への燃料付着は生じにくい。従っ
て、前記の図9に示すように、圧縮行程噴射から圧縮上
死点までの期間(θ21,θ20)を吸気上死点から吸
気行程噴射までの期間(θ11,θ10)より大きくし
ても差し支えなく、このようにすることで噴射期間の確
保等に有利となる。
【0071】
【発明の効果】以上のように本発明は、燃焼室の周縁部
に配置したインジェクタをシリンダ軸線と直交する方向
に対して斜め下方45°以内に指向させるとともに、少
なくともエンジンの冷間時に吸気行程での燃料噴射を行
なうことにより均一化状態とするとともに、冷間時に吸
気行程での燃料噴射の開始時期をクランク角で上死点後
30°以降とし、かつ燃料噴射の終了時期をインジェク
タからの噴霧の中心線がピストン頂部のキャビティ内に
位置する範囲内のクランク角に設定しているため、レイ
アウト上の制約等から上記インジェクタの噴射方向をあ
まり下に向けられないという条件下で、エンジンの冷間
時に、HC排出量を低減して燃費、トルク等を向上する
とともに、シリンダ壁への燃料付着を抑制し、オイルの
希釈を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による筒内噴射型火花点火
式エンジンの断面図である。
【図2】上記エンジンの燃焼室及び吸気系の概略平面図
である。
【図3】上記エンジンの燃焼室の断面図である。
【図4】ピストンの頂部の平面図である。
【図5】図1のA−A線部分での吸気ポートの断面形状
を示す図である。
【図6】ポート形状についての説明図である。
【図7】制御系のブロック図である。
【図8】(a)〜(c)は温間時、冷間時における燃料
噴射形態及び空燃比の制御マップを示す図である。
【図9】(a)(b)はエンジン負荷及びエンジン回転
数に応じた吸気流動の制御を示す図である。
【図10】吸気行程噴射及び圧縮行程噴射の噴射タイミ
ングを示す図である。
【図11】制御のフローチャートである。
【図12】噴射タイミングとオイル希釈率、HC排出
量、燃費及びトルクとの関係を示す図である。
【図13】冷却水温度とオイル希釈率との関係を示す図
である
【図14】(a)(b)は噴射開始時期等を変えた場合
のオイル希釈率の時間的変化を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体 3 シリンダヘッド 4 ピストン 5 燃焼室 6 キャビティ 7A,7B 吸気ポート 11 点火プラグ 12 インジェクタ 18 制御弁 20 ECU
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 41/34 F02D 41/34 F F02F 3/26 F02F 3/26 A F02M 61/14 310 F02M 61/14 310A 310S

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダボア内のピストンの上方に形成
    された燃焼室の略中央部に点火プラグを設け、上記燃焼
    室の周縁部にインジェクタを、斜め下方に向けて燃料を
    噴射するように配置するとともに、上記ピストンの頂部
    にキャビティをインジェクタ側にオフセットした配置で
    設け、上記インジェクタから圧縮行程で燃料を噴射して
    上記キャビティを介して点火プラグ周りに混合気を偏在
    させる成層化状態と、上記インジェクタから少なくとも
    燃料の一部を吸気行程で噴射して混合気を燃焼室全体に
    拡散させる均一化状態とに変更可能とした筒内噴射式火
    花点火式エンジンにおいて、上記インジェクタをシリン
    ダ軸線と直交する方向に対して斜め下方45°以内に指
    向させるとともに、少なくともエンジンの冷間時に上記
    均一化状態とするように上記インジェクタからの燃料噴
    射を制御する制御手段を設けるとともに、少なくともエ
    ンジンの冷機時において吸気行程での燃料噴射の開始時
    期をクランク角で上死点後30°以降とし、かつ燃料噴
    射の終了時期をインジェクタからの噴霧の中心線が上記
    キャビティ内に位置する範囲内のクランク角に設定した
    ことを特徴とする筒内噴射型火花点火式エンジン。
  2. 【請求項2】 インジェクタとして吸気行程での噴射時
    の噴霧角が40°以上となる広角インジェクタを用いた
    ことを特徴とする請求項1記載の筒内噴射型火花点火式
    エンジン。
  3. 【請求項3】 所定の冷間時に、燃焼室全体の空燃比を
    略理論空燃比としつつ上記インジェクタから吸気行程と
    圧縮行程とにそれぞれ燃料を噴射する分割噴射を行なわ
    せるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載
    の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  4. 【請求項4】 所定の冷間時において、圧縮行程での燃
    料噴射の開始時期と圧縮上死点との間のクランク角を、
    吸気上死点と吸気行程での燃料噴射の開始時期との間の
    クランク角よりも大きく設定したことを特徴とする請求
    項3記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  5. 【請求項5】 所定の冷間時において、圧縮行程での燃
    料噴射期間の中心と圧縮上死点との間のクランク角を、
    吸気上死点と吸気行程での燃料噴射期間の中心との間の
    クランク角よりも大きく設定したことを特徴とする請求
    項4記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  6. 【請求項6】 燃焼室内にスワール成分とタンブル成分
    とを含む斜めスワールを生成することが可能となるよう
    に吸気系を構成するとともに、少なくとも吸気行程での
    燃料噴射が行なわれる冷間時に上記斜めスワールを生成
    させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  7. 【請求項7】 一対の吸気ポートのその一方の吸気ポー
    トに対する吸気の流通を制御する制御弁とを設けて、こ
    の制御弁が閉じられるに応じてスワール比が大きくなる
    ように吸気系を構成するとともに、エンジンの低負荷低
    回転領域ではエンジンの冷間時にも上記制御弁を閉じる
    ように構成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    かに記載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
  8. 【請求項8】 温間時に特定運転領域おいてインジェク
    タからの燃料噴射を吸気行程でのみ行なうように制御す
    るとともに、この温間時における吸気行程噴射の開始時
    期を冷間時における吸気行程噴射の開始時期と比べて遅
    角させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記
    載の筒内噴射型火花点火式エンジン。
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