JP2929781B2 - 燃料噴射時期制御式層状燃焼内燃機関 - Google Patents

燃料噴射時期制御式層状燃焼内燃機関

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JP2929781B2 JP3185617A JP18561791A JP2929781B2 JP 2929781 B2 JP2929781 B2 JP 2929781B2 JP 3185617 A JP3185617 A JP 3185617A JP 18561791 A JP18561791 A JP 18561791A JP 2929781 B2 JP2929781 B2 JP 2929781B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸気ポートから混合気
及び空気を燃焼室内で層状のタンブル流となるように流
入させて混合気の燃焼を行なう層状燃焼内燃機関に関
し、特に、燃料噴射終了時期を機関の運転状態が全開運
転近傍あるかどうかで異なった設定を行なう燃料噴射時
期制御式層状燃焼内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の燃焼を改善する手段として、
吸気行程で例えば、図7に示すような気筒内の縦向きの
旋回流、所謂タンブル流(タンブルスワール)Fa,F
mを発生させることが有効である。
【0003】例えば、図7はかかるタンブル流Fa,F
mを発生させるようにした内燃機関の1つの気筒の構造
を示し、図において、符号22はシリンダブロック、2
4はシリンダボア、26はピストン、28はシリンダヘ
ッド、30は燃焼室である。そして、34は燃焼室30
の上壁部に形成されたペントルーフであって、40,4
2は各気筒に2つずつ設けられた吸気通路の吸気ポート
であり、各吸気ポート40,42には、それぞれ吸気弁
(図示略)が設置されている。
【0004】また、このインジェクタ66を装備した吸
気ポート42の近傍に配設されている。これにより、吸
気ポート42からの空気流にはインジェクタ66からの
噴射燃料が加わり混合気となって燃焼室30内に進入す
る。
【0005】そして、ペントルーフ34は、各吸気ポー
ト40,42からの空気,混合気を、各吸気ポート4
0,42の延長軸線上のシリンダボア24の内壁面に沿
って下方に案内しうるような斜面をそなえている。
【0006】これにより、各吸気ポート40,42から
の空気,混合気の流れは、このペントルーフ34の案内
にも助けられて、燃焼室30内で、それぞれ矢印Fa,
Fmで示すような層状のタンブル流を形成する。
【0007】この結果、混合気が完全燃焼し易くなっ
て、例えば上述の空気及び混合気の全体の空燃比が理論
空燃比よりも大きくても、つまり、全体としての混合気
がリーンであっても、混合気の燃焼が可能となって、エ
ンジンの燃費を向上できるばかりでなく、エンジンの排
気中に含まれるCOやNOX 等の有害排出物の低減や、
エンジンのノッキング防止を行なえる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような層状燃焼内燃機関では、高負荷時などの空燃比が
リッチになった時に、排気中に黒煙(スモーク)が発生
するようになるという不具合がある。かかる不具合は、
吸気2弁式の内燃機関の一方の吸気ポートのみから燃料
を噴射する時に特に発生しやすい。
【0009】このようなスモークの発生を抑制する手段
として、インジェクタからの噴射燃料が吸気ポートの内
壁に付着しないようにインジェクタにおける燃料の噴霧
広がり角を制限することが考えられるが、スモークの発
生は燃焼室内での燃料の燃焼状態に応じて発生するもの
で燃料噴射時期によってスモークの発生を抑制すること
も考えられる。
【0010】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、層状燃焼内燃機関の高負荷時におけるスモークの
発生を燃料噴射時期の制御を通じて抑制できるようにし
た、燃料噴射時期制御式層状燃焼内燃機関を提供するこ
とを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の燃料
噴射時期制御式層状燃焼内燃機関は、各気筒に2つの吸
気ポートをそなえるとともに、これらの吸気ポートのう
ちの一方の吸気ポートに吸気行程に対応して開弁制御さ
れるインジェクタをそなえ、上記の吸気ポートから混合
気及び空気を燃焼室内で層状のタンブル流となるように
流入させて混合気の燃焼を行なう層状燃焼内燃機関にお
いて、燃料噴射終了時期を設定するとともにこの燃料噴
射終了時期と必要燃料量とに基づいて燃料噴射開始時期
を設定する燃料噴射時期設定手段と、該燃料噴射時期設
定手段で設定された燃料噴射時期に応じて上記インジェ
クタを駆動するインジェクタ駆動手段と、上記機関の運
転時の運転状態が全開運転近傍にあるかどうかを判断す
る判断手段とをそなえ、上記燃料噴射時期設定手段が、
上記判断手段により機関の運転状態が全開運転近傍にあ
ると判断されるとこの時に生じやすい黒煙の発生を抑制
しうるように上記の燃料噴射終了時期を吸気行程開始後
吸気行程における所定の時期に設定するように構成さ
れていることを特徴としている。
【0012】また、上記燃料噴射時期設定手段を、上記
判断手段により機関の運転状態が全開運転近傍にあると
判断された時の燃料噴射終了時期として、吸気行程開始
におけるピストン上死点を基準にクランク角60°程度
後からクランク角120°程度後までの範囲内の所定の
一時期を設定するように構成するのが好ましい。
【0013】さらに、燃料噴射時期設定手段を、上記判
断手段により機関の運転状態が全開運転近傍にないと判
断されたら、部分負荷運転状態における上記燃料噴射終
了時期として、吸気行程開始におけるピストン上死点を
基準にクランク角60°程度前からクランク角100°
程度後までの範囲内の所定の一時期を設定するように構
成するのが好ましい。
【0014】
【作用】上述の本発明の燃料噴射時期制御式層状燃焼内
燃機関では、燃料噴射時期設定手段が、燃料噴射終了時
期を設定するとともにこの燃料噴射終了時期と必要燃料
量とに基づいて燃料噴射開始時期を設定し、インジェク
タ駆動手段が、このように設定された燃料噴射時期に応
じてインジェクタを駆動して、インジェクタによる燃料
噴射を通じて、各吸気ポートから混合気及び空気を燃焼
室内で層状のタンブル流となるように流入させて混合気
の燃焼を行なう層状燃焼が行なわれる。このとき、判断
手段により機関の運転状態が全開運転近傍にあると判断
されると、燃料噴射時期設定手段が、黒煙発生を抑制す
るように上記の燃料噴射終了時期を吸気行程開始後の
気行程における所定の時期に設定して、インジェクタが
この設定された燃料噴射終了時期に応じて駆動されるの
で、排気中の黒鉛発生が抑制される。
【0015】上記燃料噴射時期設定手段により、上記の
機関の運転状態が全開運転近傍にあるときの燃料噴射終
了時期として、吸気行程開始におけるピストン上死点を
基準にクランク角60°程度後からクランク角120°
程度後の範囲内の一時点を設定することで、上記の黒煙
発生の抑制を確実に行なえる。
【0016】上記燃料噴射時期設定手段により、機関の
運転状態が全開運転近傍にない部分負荷運転状態におけ
る燃料噴射終了時期として、吸気行程開始におけるピス
トン上死点を基準にクランク角60°程度前からクラン
ク角100°程度後までの範囲内の一時点を設定するこ
とで、部分負荷運転時の燃焼が良好に行なわれる。
【0017】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の燃料噴射時期制御式層状燃焼内燃機関について説明す
ると、図1はその1つの気筒の燃焼室回りの構成を示す
模式的な平面図、図2はその体積効率の全開運転域を示
すグラフ、図3はその燃料噴射時期制御のうちの噴射終
了時期設定に関する流れを示すフローチャート、図4は
その燃料噴射時期制御の流れを示すフローチャート、図
5,6はいずれもそのスモーク発生特性の例を示すグラ
フである。
【0018】この層状燃焼式内燃機関は、例えば自動車
等に装備され、その各気筒の全体構造は、例えば図7に
示す従来例とほぼ同様に構成されており、図1に示さな
い部分については、この図7を参照しながら説明する。
【0019】つまり、図1及び図7に示すように、内燃
機関の各気筒には、シリンダブロック22に形成された
シリンダボア24とピストン26とシリンダヘッド28
とで規定されて燃焼室30が形成され、この燃焼室30
内に、各吸気通路の吸気ポート40,42が導かれ、そ
れぞれ吸気弁56,58が設置されている。また、符号
60は排気弁、62は排気ポートである。
【0020】なお、ペントルーフ34(図5参照)は、
各吸気ポート40,42からの空気,混合気を、各吸気
ポート40,42の延長軸線上のシリンダボア24の内
壁面に沿って下方に案内しうるような斜面で構成され
る。
【0021】また、図1に示すように、インジェクタ6
6は、一方の吸気ポート42のみに設けられ、点火プラ
グ70はこのインジェクタ66を装備した吸気ポート4
2の近傍に配設されている。これにより、吸気ポート4
2からの空気流にはインジェクタ66からの噴射燃料が
加わり混合気となって燃焼室30内に進入するようにな
っている。
【0022】インジェクタ66は、インジェクタドライ
バ(インジェクタ駆動手段)72によって駆動される
が、インジェクタドライバ72は燃料噴射時期設定手段
74により設定される燃料噴射時期に基づいてインジェ
クタ66を駆動するようになっている。
【0023】燃料噴射時期設定手段74は、例えば点火
タイミング等のエンジンの種々の制御を行なう電子制御
ユニット(ECU)80等の内部に設けられて、燃料噴
射終了時期を設定するとともにこの燃料噴射終了時期と
必要燃料量とに基づいて燃料噴射開始時期を設定するよ
うになっている。
【0024】なお、必要燃料量は各燃焼サイクルでイン
ジェクタ66から噴射されるべき燃料量で、この燃料量
はインジェクタ66の駆動時間(開弁時間)によって調
整できる。そして、インジェクタ66の開弁時間は、エ
ンジン回転数Ne及び吸気量に応じて求められる。この
ため、図示しないエンジン回転数センサ及び吸気量セン
サ(エアフローセンサ)からの各検出情報がECU80
内に送られるようになっている。
【0025】ここでは、燃料噴射時期設定手段74で
は、エンジン回転数Ne及び吸気量に応じて、インジェ
クタ66の基本駆動時間を求め、この基本駆動時間に、
冷却水温に基づきエンジンの冷態時の増量補正(水温増
量補正)や始動及び始動後の増量補正やアイドル後の増
量補正などの補正を施して、インジェクタ66の駆動時
間を求める。そして、このインジェクタ66の駆動時間
をクランク角度に換算するようになっている。
【0026】また、燃料噴射時期設定手段74では、予
め設定されECU80のROM内に記憶された燃料噴射
終了時期を読み込んで、燃料噴射終了時期を設定すると
ともに、この燃料噴射終了時期とクランク角速度に換算
されたインジェクタ駆動時間から逆算して燃料噴射開始
時期を設定するようになっている。つまり、燃料噴射終
了時期よりもインジェクタ駆動時間だけ以前の時点を燃
料噴射開始時期と設定するようになっている。
【0027】燃料噴射終了時期は、通常の、つまり、パ
ーシャル時(部分負荷運転時)の燃料噴射終了時期と、
全開運転時(全開運転近傍での運転時)の燃料噴射終了
時期とが、それぞれ設定されている。
【0028】そして、パーシャル時の燃料噴射終了時期
は、吸気行程開始におけるピストン上死点を基準にクラ
ンク角60°程度前(60°BTDC)からクランク角
100°程度後(100°ATDC)までの範囲内の一
時点、例えば燃焼が完全に行なわれるような時点に設定
される。
【0029】また、全開運転時の燃料噴射終了時期は、
吸気行程開始におけるピストン上死点を基準にクランク
角60°程度後(60°ATDC)からクランク角12
0°程度後(120°ATDC)までの範囲内の一時
点、具体的には排気中の黒煙発生を抑制するような時点
に設定される。
【0030】ここでは、パーシャル時の燃料噴射終了時
期は、ピストン上死点後40°(40°ATDC)程度
に設定され、全開運転時の燃料噴射終了時期は、ピスト
ン上死点後120°(120°ATDC)程度に設定さ
れている。
【0031】また、機関の運転状態が全開運転時かパー
シャル時かの判断は、ECU80内に設けられた判断手
段76によって行なわれ、判断手段76では、体積効率
に基づいて、例えば図2に示すように、全開時体積効率
(WOT)の近傍の所定の体積効率ηV (ηV は一定
値)以上の領域を全開運転域(WOTゾーン)として、
体積効率がこの領域内にあれば全開運転時と判断して、
体積効率がこの領域に達していなければパーシャル時と
判断するようになっている。なお、体積効率は吸気量等
から求められる。
【0032】本発明の一実施例としての燃料噴射時期制
御式層状燃焼内燃機関は、上述のように構成されている
ので、各吸気ポート40,42からの空気,混合気の流
れは、燃焼室30内で矢印Fa,Fmで示すような(図
5参照)層状のタンブル流を形成して、混合気が完全燃
焼し易くなり、例えば空気及び混合気の全体の空燃比が
理論空燃比よりも大きくても(つまり、全体としての混
合気がリーンであっても)、混合気の燃焼が可能となっ
て、エンジンの燃費を向上できるばかりでなく、エンジ
ンの排気中に含まれるCOやNOX 等の有害排出物の低
減や、エンジンのノッキング防止を行なえる。
【0033】特に、燃料噴射時期設定手段74では、機
関が全開運転近傍にないパーシャル時には、燃焼が完全
に行なわれるような機関の効率向上をねらった時点を燃
料噴射終了時期(パーシャル噴射終了時期)に設定する
ので、上述の作用及び効果を確実に得ることが出来る。
【0034】一方、燃料噴射時期設定手段74では、高
負荷時などの空燃比がリッチになった時には、排気中に
黒煙(スモーク)が発生しにくいように燃料噴射終了時
期の設定を行ない、これに応じて、燃料噴射が行なわれ
るので、排気中に黒煙が発生しにくくなる。
【0035】つまり、燃料噴射時期設定手段74では、
例えば図3に示すようにして、判断手段76によって体
積効率に基づき機関がWOTゾーン(全開運転時)にあ
るかどうかを判断して(ステップa1)、WOTゾーン
にあれば、燃料噴射終了時期としてWOT噴射終了時期
(例えば120°ATDC)を設定して(ステップa
2)、WOTゾーンになければ、燃料噴射終了時期とし
てパーシャル噴射終了時期(例えば40°ATDC)を
設定する(ステップa3)。
【0036】そして、燃料噴射時期制御は、例えば図4
に示すように行なわれ、まず、エンジン回転数Neを読
み込み(ステップb1)、吸気量を読み込み(ステップ
b2)、インジェクタ66の基本駆動時間を求める(ス
テップb3)。
【0037】ついで、補正データをマップ(MAP)か
ら読み込んで(ステップb4)、この補正データから、
基本駆動時間に、水温増量補正や始動及び始動後の増量
補正やアイドル後の増量補正などの補正を施して、イン
ジェクタ66の駆動時間(ステップb5)を求める。
【0038】さらに、このインジェクタ66の駆動時間
をクランク角速度に換算する(ステップb6)。一方、
上述のように設定された燃料噴射終了時期を読み込んで
(ステップb7)、この燃料噴射終了時期から、クラン
ク角速度に換算されたインジェクタ66の駆動時間を逆
算して、燃料噴射開始時期を求める(ステップb8)。
【0039】このようにして設定された燃料噴射開始時
期及び燃料噴射終了時期に応じてインジェクタ66を駆
動して、燃料噴射を実行する。
【0040】この結果、高負荷時などの空燃比がリッチ
になった時におけるスモークの発生が抑制されて、排気
ガスの浄化に役立つ。
【0041】なお、空燃比がリッチになった時における
燃料噴射終了時期、つまり、WOT噴射終了時期は、内
燃機関の特性によって異なり、その特性に応じたものに
設定する。
【0042】例えば図5,図6はいずれもある内燃機関
のスモーク発生特性を示すもので、この図5,図6にお
いて、〇はエンジン回転数1000rpmにおけるデー
タを示し、△はエンジン回転数2000rpmにおける
データを示し、×はエンジン回転数3000rpmにお
けるデータを示しており、実線は〇のデータから得られ
る特性曲線を示し、破線は△のデータから得られる特性
曲線を示し、一点鎖線は×のデータから得られる特性曲
線を示している。また、図5では、上方のデータ(〇,
△,×)は空燃比(A/F)が11の場合のもので、下
方のデータ(〇,△,×)は空燃比(A/F)が12.
5の場合のものであり、図6のデータ(〇,△,×)は
空燃比(A/F)が11の場合のものである。
【0043】この実施例の内燃機関は、図5に示すよう
な特性を有し、燃料噴射終了時期が120°ATDC付
近でスモークが少なくなっていることがわかり、空燃比
がリッチになった時の燃料噴射終了時期を120°AT
DC付近に設定することで、排気ガス中のスモークを少
なくできることがわかる。
【0044】また、図6に示すような特性を有する内燃
機関では、燃料噴射終了時期が60°ATDC付近でス
モークが少なくなり、空燃比がリッチになった時の燃料
噴射終了時期をこのような時期(60°ATDC付近)
に設定することで、排気ガス中のスモークを少なくでき
る。
【0045】なお、このような燃料噴射終了時期の制御
に加えて、インジェクタからの噴射燃料が吸気ポートの
内壁に付着しないようにインジェクタにおける燃料の噴
霧広がり角を制限することでスモークの発生を抑制する
手段を並設することも勿論考えられ、この場合、より一
層のスモーク抑制効果が期待できる。
【0046】なお、上述の実施例では、機関の体積効率
がWOTゾーンにあるときにスモークの発生を抑制する
ための燃料噴射終了時期を設定しているが、これは、体
積効率がWOTゾーンにあるときには、混合気の空燃比
も燃料リッチになって、スモークの発生が増大しやすい
という観点から行なうものである。
【0047】このスモーク抑制の燃料噴射終了時期の設
定を、空気過剰率に基づいて行なってもよい。例えば、
空気過剰率が1.0以下をリッチ状態として、この場合
にスモーク抑制の燃料噴射終了時期に設定する。
【0048】また、上述のWOTゾーンは、この空気過
剰率が1.0以下の状態に対応したもので、WOTゾー
ンの下限を規定する体積効率ηV は、WOTの体積効率
のほぼ80%程度の値に設定される。
【0049】さらに、体積効率がWOTゾーンにあり且
つ空気過剰率が1.0以下のときにスモーク抑制の燃料
噴射終了時期に設定するようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の燃料噴射
時期制御式層状燃焼内燃機関によれば、各気筒に2つの
吸気ポートをそなえるとともに、これらの吸気ポートの
うちの一方の吸気ポートに吸気行程に対応して開弁制御
されるインジェクタをそなえ、上記の吸気ポートから混
合気及び空気を燃焼室内で層状のタンブル流となるよう
に流入させて混合気の燃焼を行なう層状燃焼内燃機関に
おいて、燃料噴射終了時期を設定するとともにこの燃料
噴射終了時期と必要燃料量とに基づいて燃料噴射開始時
期を設定する燃料噴射時期設定手段と、該燃料噴射時期
設定手段で設定された燃料噴射時期に応じて上記インジ
ェクタを駆動するインジェクタ駆動手段と、上記機関の
運転時の体積効率が全開運転近傍にあるかどうかを判断
する判断手段とをそなえ、上記燃料噴射時期設定手段
が、上記判断手段により機関の体積効率が全開運転近傍
にあると判断されるとこの時に生じやすい黒鉛の発生を
抑制しうるように上記の燃料噴射終了時期を吸気行程開
始後の吸気行程における所定の時期に設定するように構
成されることにより、層状燃焼内燃機関の高負荷時にお
けるスモークの発生を抑制できるようになり排気ガスを
浄化できる効果が得られる。
【0051】また、上記燃料噴射時期設定手段を、上記
判断手段により機関の体積効率が全開運転近傍にあると
判断された時の燃料噴射終了時期として、吸気行程開始
におけるピストン上死点を基準にクランク角60°程度
後からクランク角120°程度後までの範囲内の所定の
一時期を設定するように構成することで、スモークの発
生抑制による排気ガス浄化効果をより確実に得られる。
【0052】さらに、上記燃料噴射時期設定手段を、上
記判断手段により機関の体積効率が全開運転近傍にない
と判断されたら、部分負荷運転状態における上記燃料噴
射終了時期として、吸気行程開始におけるピストン上死
点を基準にクランク角60°程度前からクランク角10
0°程度後までの範囲内の所定の一時期を設定するよう
に構成することで、部分負荷運転時の燃焼が良好に行な
われ、機関の性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての燃料噴射時期制御式
層状燃焼内燃機関の1つの気筒の燃焼室回りの構成を示
す模式的な平面図である。
【図2】本発明の一実施例としての燃料噴射時期制御式
層状燃焼内燃機関の体積効率の全開運転域を示すグラフ
である。
【図3】本発明の一実施例としての燃料噴射時期制御式
層状燃焼内燃機関の燃料噴射時期制御のうちの噴射終了
時期設定に関する制御の流れを示すフローチャートであ
る。
【図4】本発明の一実施例としての燃料噴射時期制御式
層状燃焼内燃機関の燃料噴射時期制御の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図5】本発明の一実施例としての燃料噴射時期制御式
層状燃焼内燃機関のスモーク発生特性の一例を示すグラ
フである。
【図6】本発明の一実施例としての燃料噴射時期制御式
層状燃焼内燃機関のスモーク発生特性の他の例を示すグ
ラフである。
【図7】従来の層状燃焼内燃機関の1つの気筒の燃焼室
回りを示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
22 シリンダブロック 24 シリンダボア 26 ピストン 28 シリンダヘッド 30 燃焼室 34 ペントルーフ 40,42 吸気ポート 56,58 吸気弁 60 排気弁 62 排気ポート 66 インジェクタ 70 点火プラグ 72 インジェクタドライバ(インジェクタ駆動手段) 74 燃料噴射時期設定手段 76 判断手段 80 電子制御ユニット(ECU)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各気筒に2つの吸気ポートをそなえると
    ともに、これらの吸気ポートのうちの一方の吸気ポート
    に吸気行程に対応して開弁制御されるインジェクタをそ
    なえ、上記の吸気ポートから混合気及び空気を燃焼室内
    で層状のタンブル流となるように流入させて混合気の燃
    焼を行なう層状燃焼内燃機関において、燃料噴射終了時
    期を設定するとともにこの燃料噴射終了時期と必要燃料
    量とに基づいて燃料噴射開始時期を設定する燃料噴射時
    期設定手段と、該燃料噴射時期設定手段で設定された燃
    料噴射時期に応じて上記インジェクタを駆動するインジ
    ェクタ駆動手段と、上記機関の運転状態が全開運転近傍
    にあるかどうかを判断する判断手段とをそなえ、上記燃
    料噴射時期設定手段が、上記判断手段により機関の運転
    状態が全開運転近傍にあると判断されるとこの時に生じ
    やすい黒煙の発生を抑制しうるうように上記の燃料噴射
    終了時期を吸気行程開始後の吸気行程における所定の時
    期に設定するように構成されていることを特徴とする、
    燃料噴射時期制御式層状燃焼内燃機関。
  2. 【請求項2】 上記燃料噴射時期設定手段が、上記判断
    手段により機関の運転状態が全開運転近傍にあると判断
    された時の燃料噴射終了時期として、吸気行程開始にお
    けるピストン上死点を基準にクランク角60°程度後か
    らクランク角120°程度後までの範囲内の所定の一時
    期を設定するように構成されていることを特徴とする、
    請求項1記載の燃料噴射時期制御式層状燃焼内燃機関。
  3. 【請求項3】 上記燃料噴射時期設定手段が、上記判断
    手段により機関の運転状態が全開運転近傍にないと判断
    されたら、部分負荷運転状態における上記燃料噴射終了
    時期として、吸気行程開始におけるピストン上死点を基
    準にクランク角60°程度前からクランク角100°程
    度後までの範囲内の所定の一時期を設定するように構成
    されていることを特徴とする、請求項1記載の燃料噴射
    時期制御式層状燃焼内燃機関。
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