JP3832043B2 - 筒内噴射式エンジン - Google Patents

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    • Y02T10/40Engine management systems

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を直接燃焼室内に噴射するインジェクタを備えた筒内噴射式エンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平7−119507号公報に示されるように、エンジンの低負荷時に圧縮行程の後半から燃料の噴射を開始して成層燃焼を実行し、かつエンジンの高負荷時に吸気行程の前半から燃料の噴射を開始して均一燃焼を実行するように構成された筒内噴射エンジンにおいて、上記均一燃焼を実行するエンジンの運転領域における低回転時、つまり高負荷低回転時に、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射することにより、一回当りに噴射される燃料の噴射量を少なくしてこの燃料を効果的に霧化拡散させ、良好に均一燃焼させてスモークの発生を防止することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載されたエンジンは、高負荷低回転の運転領域で吸気行程の前半から必要燃料量の半分を噴射し、残りの半分を吸気行程の末期に噴射することにより、燃料を良好に均一燃焼させて排気ガス中にスモークが発生するのを防止することができるが、上記高負荷低回転の運転領域においてエンジンの出力を増大させるという点について考慮されておらず、燃費を改善して高出力が得られるようにする上で改良の余地がある。
【0004】
すなわち、エンジンの出力は、吸気の充填量と、混合気の均一度と、燃焼速度との影響を受けて変化することが知られている。そして、上記高負荷低回転の運転領域における吸気の充填量は、吸気の流速およびピストン等の燃焼室壁面に対する燃料の付着料に応じて変化し、図8(I)に示すように、燃料の噴射時期に応じて増減する。これは、燃料の噴射時期に応じてピストンに対する燃料の付着量に差が生じ、燃焼室内に噴射された燃料の気化熱に応じて燃焼室内における吸気の温度が変化することで吸気の充填効率が変化するためである。
【0005】
また、混合気の均一度は、燃焼室に噴射された燃料の気化時間が充分に確保され、かつピストン等の燃焼室壁面に付着する燃料が少ない領域で最適状態となり、点火プラグの周囲に形成される混合気の空燃比と、燃焼室全体の平均空燃比との比較に基づいて測定できる。この空燃比は、図8(II)に示すように、燃料の噴射時期に応じて種々に変化し、点火プラグの周囲が平均空燃比となるポイントα,βで最良となる。さらに、上記燃焼速度は、噴射時期が遅くなるのに従って燃料の乱れが残り易くなるために速くなる。つまり、図8(III)に示すように、燃料の噴射時期が遅くなるのに従って燃焼時間が短くなって出力の増大が図れることになる。
【0006】
上記のように高負荷低回転の運転領域におけるエンジン出力を決定する各要素は、それぞれ燃料の噴射時期の影響を受けるため、燃料の噴射圧力が高く、噴射時間の短い筒内噴射式エンジンの全回転領域で、上記各要素に基づいて要求される適正な噴射時期に燃料を噴射することにより、燃費を低減しつつエンジン出力を増大するように制御することは困難であった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、高負荷低回転の運転領域おいて、燃費を低減しつつエンジン出力を増大することができる筒内噴射式エンジンを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、燃料を直接燃焼室内に噴射するインジェクタを備え、エンジンが少なくとも高負荷の運転領域にあるときに、吸気行程で上記インジェクタから燃料を噴射することにより混合気を均一化して燃焼させる均一燃焼を実行するように構成された筒内噴射式エンジンにおいて、上記均一燃焼を実行する領域内で、エンジンが低回転の運転領域にあるときに、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を複数回に分割して噴射するように燃料の噴射状態を制御する燃料制御手段を設け、吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼を実行する際に、吸気の充填効率が最大となる時期と、混合気の均一度が最適となる時期とに分割して燃料を噴射するように構成したものである。
【0009】
上記構成によれば、均一燃焼を実行するエンジンの高負荷領域において、エンジン回転数が低い運転領域にある場合には、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料が複数回に分割されて噴射されることにより、吸気の充填量が充分に確保されるとともに、混合気が効果的に均一化された状態で適正に燃焼することになる。また、均一燃焼を実行するエンジンの高負荷領域において、エンジン回転数が低い運転領域にある場合には、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で、吸気の充填効率が最大となる時期と、混合気の均一度が最適となる時期とに分割されて燃料が噴射されことにより、吸気の充填量が充分に確保されるとともに、混合気が効果的に均一化された状態で適正に燃焼することになる。
【0012】
請求項に係る発明は、上記請求項記載の筒内噴射式エンジンにおいて、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射量を、総噴射量の4〜6割の範囲内に設定したものである。
【0013】
上記構成によれば、吸気行程で燃料を分割して噴射される燃料の噴射量が適度に設定され、混合気が適正に均一化された状態で燃焼することになる。
【0014】
請求項に係る発明は、上記請求項1または2記載の筒内噴射式エンジンにおいて、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射量を、後に噴射される燃料の噴射量よりも多くするように設定したものである。
【0015】
上記構成によれば、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に多くの燃料が噴射されてこの燃料の気化および霧化時間が充分に確保されることになる。
【0016】
請求項に係る発明は、燃焼室の周縁部から斜め下方に向けて燃料が噴射されるようにインジェクタが設置されされるとともに、ピストンの頂部に上記燃料が吹き付けられるキャビティが設けられ、エンジンが少なくとも高負荷の運転領域にあるときに、吸気行程で上記インジェクタから燃料を噴射することにより混合気を均一化して燃焼させる均一燃焼を実行するように構成された筒内噴射式エンジンにおいて、上記均一燃焼を実行する領域内で、エンジンが低回転の運転領域にあるときに、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を複数回に分割して噴射するように燃料の噴射状態を制御する燃料制御手段を備え、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射開始時期を、吸気トップ後のクランク角が60°以降の時期に設定したものである。
【0017】
上記構成によれば、エンジンの高負荷時に吸気行程で燃料を分割して噴射する際には、吸気トップ後にピストンが所定の位置に低下した時点で、燃焼室の周縁部から斜め下方に向けて燃料が噴射されるため、この燃料がシリンダの周壁に付着することが効果的に防止されることになる。
【0018】
請求項に係る発明は、上記請求項記載の筒内噴射式エンジンにおいて、燃料の噴射角度を水平方向に対して30°以上傾斜させたものである。
【0019】
上記構成によれば、吸気行程で燃料を分割して噴射する際に、燃焼室の周縁部から30°以上の噴射角度をもって斜め下方に燃料が噴射され、シリンダの周壁に対する燃料の付着が効果的に抑制されることになる。
【0020】
請求項に係る発明は、上記請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の筒内噴射エンジンにおいて、燃焼室に臨むように設置された点火プラグに向けて燃焼室の周縁部から燃料が噴射されるようにインジェクタを設置したものである。
【0021】
上記構成によれば、燃焼室の上部から略水平に燃料が噴射されるため、吸気行程で燃料を分割して噴射する際に、ピストンの頂部において燃料が反射することに起因したシリンダ周壁への燃料の付着が抑制されることになる。
【0022】
請求項に係る発明は、上記請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の筒内噴射エンジンにおいて、燃焼室の上部中央に臨むように点火プラグおよびインジェクタを設置するとともに、このインジェクタから噴射された燃料が吹き付けられるキャビティをピストンの頂部中央に形成したものである。
【0023】
上記構成によれば、吸気行程で燃料を分割して噴射する際に、燃焼室の上方から下方に向けて燃料が噴射されることになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明に係る筒内噴射式エンジンの実施形態を示している。このエンジンは、シリンダヘッド1およびシリンダブロック2によって構成された複数のシリンダを有し、各シリンダ内にピストン3がそれぞれ嵌挿されるとともに、その上方に燃焼室4が形成されている。上記シリンダヘッド1には、燃焼室4に連通する吸気ポート5および排気ポート6と、これらのポート5,6を開閉する吸気弁7および排気弁8と、火花を発生して燃料を燃焼させる点火プラグ9と、上記燃焼室4内に直接燃料を噴射するインジェクタ10とが設置されている。
【0025】
上記シリンダヘッド1の下面には、燃焼室4を形成するペントルーフ型の凹部が設けられ、このペントルーフ型凹部の傾斜面に上記吸気ポート5および排気ポート6がそれぞれ開口している。そして、上記吸気弁7および排気弁8が図外の動弁機構によって駆動されることにより、上記吸気ポート5および排気ポート6が所定のタイミングで開閉されるようになっている。
【0026】
図1には上記吸気ポート5および排気ポート6が1個ずつ表示されているが、これらの吸気ポート5および排気ポート6は、図1の紙面と直交する方向にそれぞれ2個ずつ並列に配設されている。そして、上記両吸気ポート5の一方には吸気の流れを制御する制御弁が設けられ、この制御弁がステップモータ等からなるアクチュエータにより駆動されて全閉または部分開放されることにより、両吸気ポート5の一方における吸気の流通が制限された状態で、両吸気ポート5の他方に多く流される吸気によって図2の破線で示すように、燃焼室4の内周面に沿ったスワール(水平方向の渦流)が生成されるようになっている。
【0027】
また、上記吸気ポート5は、その下流側部が斜め下方に伸びるように形成され、この吸気ポート5から燃焼室4内に流入する吸気によってタンブル(垂直方向の渦流)が形成されるように構成されている。したがって、上記制御弁の全閉時もしくは部分開放時には、上記スワールとタンブルとが合成されることにより、斜めスワールが燃焼室4内に生成されることになる。
【0028】
上記点火プラグ9は、燃焼室4の略中央部に配設され、そのプラグ先端が燃焼室4に臨むように取り付けられている。また、上記インジェクタ10は、吸気ポート5の設置部側に位置する燃焼室4の周縁部に取り付けられるとともに、水平面に対して所定角度θ、例えば25〜50°の範囲内で傾斜して設置されることにより、このインジェクタ10から燃焼室4内に向けて斜め下方に燃料を噴射するように構成されている。
【0029】
上記インジェクタ10は、図示を省略したニードル弁およびソレノイドを内蔵し、このソレノイドに後述する燃料制御手段から出力されたパルス信号の入力時点で、この信号のパルス幅に対応した量の燃料を、例えば40°以上に設定された比較的広い噴霧角度をもって3〜15MPaの圧力で噴射するように構成されている。
【0030】
ピストン3の頂部には、上記インジェクタ10の設置部側に位置する周縁部から、上記点火プラグ9の設置部に対向する中央部にかけてキャビティ11が形成されている。そして、ピストン3が上昇する圧縮行程の所定時期に噴射された燃料が上記キャビティ11に捕集されて点火プラグ9の周囲に運ばれるように、インジェクタ10の設置位置および傾斜角度と、キャビティ11の形成範囲と、点火プラグ9の設置位置との関係が予め設定されている。
【0031】
上記エンジンには、図3に示すように、クランク角を検出するクランク角センサ12、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサ13、吸入空気量を検出するエアフローメータ14およびエンジンの冷却水温度を検出する水温センサ15等からなる各種のセンサ類が装備され、これらのセンサ類から出力された検出信号がECU16に入力されるようになっている。このECU16には、エンジンの運転状態判定手段17と、インジェクタ10から噴射される燃料の噴射状態を制御する燃料制御手段18とが設けられている。
【0032】
上記運転状態判定手段17は、各センサ類の検出手段に応じてエンジンが図4に示す各運転領域のいずれの領域に属するかを判定し、この判定信号を上記燃料制御手段18に出力するように構成されている。上記運転領域は、エンジン回転数NeおよびエンジントルクPeに基づいて設定され、燃料の噴射量の少ない低負荷低回転の運転領域Aと、この低負荷低回転の運転領域A内で負荷および回転が比較的高い運転領域A1と、燃料噴射量が中程度である中負荷中回転領域の運転Bと、この中負荷中回転の運転領域B内で負荷および回転が比較的高い運転領域B1と、燃料の噴射量が多い高負荷の運転領域Cと、この高負荷の運転領域C内において、負荷が最大(アクセル開度全開)で回転が低い運転領域C1と、高負荷の運転領域C内において、負荷が最大で回転が中程度の運転領域C2と、高負荷の運転領域C内で、負荷および回転がそれぞれ最大である運転領域C3とに区画されている。
【0033】
燃料噴射量の少ない上記低回転低負荷の運転領域Aにおいて負荷および回転が比較的高い運転領域A1以外の領域では、図5の(I)に示すように、圧縮行程の中期から後期にかけての範囲内の所定時期、具体的にはBTDC30°〜120°CA(圧縮上死点前のクランク角30°〜120°)の範囲内における所定時期に、上記インジェクタ10から燃焼室4内に燃料を一括して噴射し、混合気をリーン状態で成層化して燃焼させる成層燃焼を上記燃料制御手段18において実行するように構成されている。上記運転領域Aにおける成層燃焼は、スロットル開度を大きくして吸気量を増大させ、理論空燃比に比べて大幅なリーン状態とすることによって実行される。
【0034】
また、上記低負荷低回転の運転領域A内において負荷および回転が比較的高い領域A1では、図5の(II)に示すように、圧縮行程の前期から中期にかけての所定範囲(BTDC60°〜180°CA)内の時期と、圧縮行程の中期から後期にかけての所定範囲(BTDC30°〜120°CA)内の時期とに分割して燃料a,bを噴射し、かつスロットル開度を大きくすることにより、混合気をリーン状態で成層化して燃焼させる成層燃焼を上記燃料制御手段18において実行するように構成されている。
【0035】
また、燃料の噴射量が中程度である上記中負荷中回転の運転領域Bにおいて負荷および回転が比較的高い運転領域B1以外の領域では、図5の(III)に示すように、吸気行程の所定範囲(BTDC200°〜360°CA)内の時期と、圧縮行程の所定範囲(BTDC30°〜120°CA)内の時期とに分割して燃料を噴射し、かつスロットル開度を大きくすることにより、混合気をリーン状態で弱成層化して燃焼させるように構成されている。
【0036】
また、上記中負荷中回転の運転領域B内で負荷および回転が比較的高い運転領域B1では、図5の(IV)に示すように、吸気行程の所定範囲(BTDC200°〜360°CA)内の時期に燃料を一括して噴射し、かつスロットル開度を大きくすることにより、混合気をリーン状態で均一化して燃焼させる均一燃焼を上記燃料制御手段18において実行するように構成されている。
【0037】
また、燃料の噴射量が多い上記高負荷の運転領域Cにおいて負荷が最大となる運転領域C1〜C3以外の領域では、上記運転領域B1と同様に、吸気行程の所定範囲内の時期に燃料を一括して噴射し、かつ空気過剰率が1である理論空燃比下で燃料を均一化して燃焼させる均一燃焼を上記燃料制御手段18において実行するように構成されている。
【0038】
さらに、高負荷の運転領域C内において、負荷が最大で回転が低い運転領域C1では、図5の(V)に示すように、吸気行程の前期から中期かけての所定範囲(BTDC220°〜360°CA)内の時期と、吸気行程の前期から中期かけての所定範囲(BTDC240°〜360°CA)内の時期とに分割して燃料a,bを噴射し、かつ混合気をエンリッチ状態で均一化して燃焼させるように構成されている。上記領域C1で燃料を分割して噴射する際には、後に噴射される燃料bの噴射量が、総噴射量の4〜6割の範囲内となるように燃料の噴射量が制御され、好ましくは先に噴射される燃料aの噴射量が後に噴射される燃料bの噴射量に比べて大きな値に設定されるようになっている。
【0039】
また、エンジンが高負荷の運転領域C内において、負荷が最大で回転が中程度の運転領域C2では、上記領域B1および領域Cと同様に、吸気行程の所定時期に燃料を一括して噴射し、かつ混合気をエンリッチ状態で均一化して燃焼させるように構成されている。
【0040】
さらに、高負荷の運転領域C内で、負荷および回転がそれぞれ最大である運転領域C3では、図5の(VI)に示すように、排気行程の後半(BTDC360°〜440°CA)の所定時期から燃料の噴射を開始し、燃料を一括して噴射するし、かつ混合気をエンリッチ状態で均一化して燃焼させる均一燃焼を上記燃料制御手段18において実行するように構成されている。
【0041】
上記燃料制御手段18において実行される制御動作を図6および図7に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まず水温センサ15によって検出されたエンジンの冷却水温度に応じ、排気通路に設けられた排気ガス浄化用の触媒が非活性化状態にある可能性が高い冷間運転状態にあるか否かを判定し(ステップS1)、YESと判定された場合には、上記触媒の暖機を促進する冷間時の燃焼制御を実行する(ステップS2)。
【0042】
すなわち、上記冷間運転状態において触媒温度が低いことが確認された場合に、燃料を吸気行程と圧縮行程とに分割して噴射し、点火プラグ9周囲の混合気を理論空燃比またはこれよりもリッチな状態とするとともに、燃焼室4の全体を略理論空燃比とすることにより、触媒による排気ガスの浄化作用が充分に得られないエンジンの冷間運転時に、HC、NOxの排出量を低減しつつ、排気ガス温度を上昇させて上記触媒の暖機を促進するように燃料の噴射状態を制御する。
【0043】
また、上記ステップS1でNOと判定され、エンジンが冷間運転状態にないことが確認された場合には、上記アクセルセンサ13の検出信号に応じてエンジンが所定の加速運転状態にあるか否かを判定し(ステップS3)、YESと判定された場合には、アクセルペダルが急激に大きく踏み込まれて吸入空気量が増大することに起因した失火の発生を防止する加速時の燃焼制御を実行する(ステップS4)。
【0044】
すなわち、吸気行程で燃料の噴射が行われる均一燃焼領域を有する筒内噴射式エンジンにおいて、燃料噴射の開始時点における前後で吸入空気量の検出値に基づく吸気充填量の演算を行い、噴射開始時点で算出された吸気充填量に応じて上記燃料の噴射量を決定するとともに、噴射前の時点で算出された吸気充填量よりも噴射後の時点で算出された吸気充填量が多い場合に、その増大分に見合う量の燃料を圧縮行程の前半中に追加噴射するように構成することにより、吸気充填量の増大に起因する空燃比の過大化を防ぎ、ひいてはエンジンの失火等を防止するように燃焼状態を制御する。
【0045】
また、上記ステップS3でNOと判定され、エンジンが通常運転状態にあることが確認された場合には、エンジン回転数とアクセル開度とをパラメータとするマップから読出されたエンジンの出力軸トルク、つまりエンジントルクPeが、予め設定された第1基準値P1よりも小さいか否かを判定することにより、燃料噴射量の少ない低負荷低回転の運転領域Aにあるか否かを判別する(ステップS5)。
【0046】
上記ステップS5でYESと判定された場合には、エンジントルクPeが、上記第1基準値P1以下の範囲内で予め設定された第2基準値P2よりも大きいか否かを判定することにより、上記低負荷低回転の運転領域Aでエンジンの負荷および回転が比較的高い運転領域A1にあるか否かを判別する(ステップS6)。上記ステップS6でNOと判定され、エンジンが低負荷低回転の運転領域A内で上記領域A1以外の運転領域にあることが確認された場合には、図5の(I)に示すように、圧縮行程の中期から後期にかけての範囲内の所定時期に、上記インジェクタ10から燃焼室4内に燃料を一括して噴射し、かつ混合気をリーン状態で成層化して燃焼させる成層燃焼を実行する(ステップS7)。
【0047】
また、上記ステップS6でYESと判定され、エンジンが低負荷低回転の運転領域A内で負荷および回転が比較的高い運転領域A1にあることが確認された場合には、図5の(II)に示すように、圧縮行程の前期から中期にかけての範囲内の所定時期と、圧縮行程の中期から後期にかけての範囲内の所定時期とに分割して燃料a,bを噴射し、かつ混合気をリーン状態で成層化して燃焼させる成層燃焼を実行する(ステップS8)。
【0048】
上記ステップS5でNOと判定され、エンジントルクPeが上記第1基準値P1よりも大きいことが確認された場合には、エンジントルクPeが、上記第1基準値P1よりも大きな値に設定された第4基準値P4よりも小さいか否かを判定することにより、燃料噴射量が中程度である中負荷中回転の運転領域Bにあるか否かを判定する(ステップS9)。
【0049】
上記ステップS9でYESと判定された場合には、エンジントルクPeが、上記第1基準値P1よりも大きく、かつ第4基準値P4よりも小さな値に予め設定された第3基準値P3よりも小さいか否かを判定することにより、エンジンが中負荷中回転の運転領域B内で負荷および回転が比較的高い運転領域B1にあるか否かを判別する(ステップS10)。上記ステップS10でNOと判定され、エンジンが中負荷中回転の運転領域Bで上記領域B1以外の運転領域にあることが確認された場合には、図5の(III)に示すように、圧縮行程の所定時期と、吸気行程の所定時期とに分割して燃料を噴射し、かつ混合気をリーン状態で弱成層化して燃焼させる弱成層化燃焼を実行する(ステップS11)。
【0050】
また、上記ステップS10でYESと判定され、エンジンが上記中負荷中回転の運転領域B内で負荷および回転が比較的高い運転領域B1にあることが確認された場合には、図5の(IV)に示すように、吸気行程の所定時期に燃料を一括して噴射し、かつ空燃比を理論空燃比よりもリーン状態とするように燃料噴射量およびスロットル開度を制御することにより、混合気をリーン状態で均一化して燃焼させる均一燃焼を上記燃料制御手段18において実行する(ステップS12)。
【0051】
また、上記ステップS9でYESと判定され、エンジントルクPeが上記第4基準値P4よりも大きい高負荷の運転領域Cにあることが確認された場合には、上記アクセルセンサ13の検出信号に応じてアクセルが全開状態にあるか否か、つまりエンジン負荷が最大領域にあるか否かを判定する(ステップS13)。このステップS13でNOと判定され、高負荷の運転領域C内においてアクセル開度が全開状態にないことが確認された場合には、吸気行程の所定時期に燃料を一括して噴射し、かつ理論空燃比とするように燃料噴射量およびスロットル開度を制御することにより、空気過剰率が1である理論空燃比下で燃料を均一化して燃焼させる均一燃焼制御を実行する(ステップS14)。
【0052】
また、上記ステップS13でYESと判定され、アクセル開度が全開状態であることが確認された場合には、エンジン回転数Neが予め設定された第1基準値N1、例えば3000rpm未満か否かを判定する(ステップS15)。このステップS15でYESと判定され、エンジンの高負荷領域C内において、負荷が最大で回転が低い運転領域C1にあることが確認された場合には、図5の(V)に示すように、吸気行程の前期から中期かけての範囲内の所定時期に燃料を分割して噴射し、かつ空燃比を理論空燃比よりもリッチ状態とするように燃料の噴射量を制御することにより、混合気をエンリッチ状態で均一化して燃焼させるように燃焼状態を制御する(ステップS16)。
【0053】
上記ステップS15でNOと判定され、エンジン回転数Neが上記第1基準値N1以上であることが確認された場合には、エンジン回転数Neが、上記第1基準値N1よりも大きな値に設定された第2基準値N2、例えば5500rpmよりも大きい高回転の運転状態にあるか否かを判定する(ステップS17)。このステップS17でNOと判定され、高負荷の運転領域C内において、負荷が最大で回転数Neが中程度の運転領域C2にあることが確認された場合には、吸気行程の所定時期に燃料を一括して噴射し、かつ空燃比を理論空燃比よりもリッチ状態とするように燃料の噴射量を制御することにより、混合気をエンリッチ状態で均一化して燃焼させるように制御する(ステップS18)。
【0054】
また、上記ステップS17でYESと判定され、高負荷の運転領域C内で、負荷および回転がそれぞれ最大である運転領域C3にあることが確認された場合には、図5の(VI)に示すように、排気行程の後半の所定時期から燃料の噴射を開始するとともに、吸気行程の前半に亘る範囲内で燃料を一括して噴射し、かつ空燃比を理論空燃比よりもリッチ状態とするように燃料の噴射量を制御することにより、混合気をエンリッチ状態で均一化して燃焼させる均一燃焼制御を上記燃料制御手段18において実行する(ステップS19)。
【0055】
上記のように燃料を直接燃焼室4内に噴射するインジェクタ10を備え、エンジンが少なくとも高負荷の運転領域Cにあるときに、吸気行程で上記インジェクタ10から燃料を噴射することにより混合気を均一化して燃焼させる均一燃焼を実行するように構成された筒内噴射式エンジンにおいて、上記均一燃焼を実行する領域C内で、エンジンが低回転の運転領域C1にあるときに、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を分割して噴射するように構成したため、上記運転領域で吸気の充填量を充分に確保するとともに、混合気を効果的に均一化させた状態で燃焼させることにより、燃費を低減しつつ、エンジン出力を増大させることができる。
【0056】
すなわち、燃料噴射量が多い上記高負荷低回転の運転領域C1において、吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化して燃焼させる場合、図8の(I)に示すように、燃料の噴射タイミングに応じて吸気の充填量が変化するとともに、これに対応して吸気の充填効率Ceが、図9の(I)に示すように変化する。また、図8の(II)に示すように、燃料の噴射タイミングに応じて混合気の均一度が変化し、この混合気の均一度が最適(平均空燃比)となる燃料の噴射時期と、上記吸気の充填量が最大となる時期とが相違しているとともに、吸気の充填効率が最大となる時期および混合気の均一度が最適となる噴射時期は、それぞれ吸気行程の前期から中期にかけての範囲内において生じる。
【0057】
このため、エンジンが上記高負荷低回転の運転領域C1にある場合には、上記吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を分割して噴射することにより、吸気の充填量が最大となる時期と、混合気の均一度が最適となる時期とに対応させてそれぞれ燃料を噴射することができ、これによって燃費を悪化させることなく、エンジン出力を効果的に増大させることができる。
【0058】
なお、上記混合気の均一度が最適となる燃料の噴射時期は、混合気が弱成層化される領域を挟む2つのポイントα,βに形成されることになるが、図8の(III)に示すように、噴射時期が遅くなる程、燃焼時間が短くなるため、エンジン出力を増大させるためには、上記両ポイントα,βのうち遅い方のポイントβに合わせて燃料を噴射することにより、図9の(II)に示すように、図示平均有効圧力を最大とし、エンジン出力を効果的に増大させることができる。上記分割噴射を行う場合、その分割回数は二回に限られず、三回以上であってもよい。
【0059】
また、上記のように吸気行程で燃料を分割して噴射することにより、一回当りにおける燃料の噴射量を減少させることができるため、噴霧内部で混合気が過度に集中するのを効果的に抑制して燃料の気化および霧化を促進させることができる。さらに、最初の噴射時点から点火時点までの時間が長くなり、混合気を充分に拡散させることができるとともに、燃料が空気と効率よく混合させることができるため、これによっても燃費の低減効果と、エンジン出力の増大効果が得られ、かつ排気ガス中のスモークおよびCO等を減少させることができるとともに、排気温度を効果的に低減することができる。
【0060】
また、吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼を実行する際に、吸気の充填効率Ceが最大(Ceベスト)となる燃料の噴射時期と、上記混合気の均一度および燃焼速度に基づいて特定されるエンジントルクPeが最大(Peベスト)となる燃料の噴射時期とは、図10に示すように、エンジン回転数Neに応じて変化する。このため、吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼を実行する際に、上記吸気の充填効率Ceが最大となる時期と、混合気の均一度が最適となってエンジントルクPeが最大となる時期とを、そのエンジン回転数Neに応じてそれぞれ設定し、これらの時期に燃料を噴射するように構成することにより、エンジン出力を、さらに効果的に増大させることができる。
【0061】
さらに、上記実施形態では、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射量を、総噴射量の4〜6割の範囲内に設定したため、いずれか一方の噴射時期に大量の燃料が噴射されるのを防止し、これにより噴霧内部で混合気が過度に集中するのを効果的に抑制して、上記燃料の気化および霧化を促進させることができる。なお、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射量aを、後に噴射される燃料の噴射量bよりも多くするように構成した場合には、先に噴射aされた燃料が点火されまでの時間を充分に確保することができるため、この燃料aを確実に分散させて混合気を効果的に均一化できるという利点がある。
【0062】
また、上記実施形態に示すように、燃焼室4の周縁部から斜め下方に向けて燃料が噴射されるようにインジェクタ10が設置されるとともに、ピストン3の頂部に上記燃料が吹き付けられるキャビティ11が設けられた筒内噴射式エンジンにおいて、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料aの噴射開始時期を、吸気トップ後のクランク角が60°(圧縮トップ前のクランク角が300°)以降の時期に設定した場合には、上記吸気行程で噴射された燃料がシリンダの周壁に付着するのを効果的に防止することができる。
【0063】
すなわち、吸気行程で燃料を分割して噴射する際には、吸気トップ後のクランク角が60°以降でピストン3が所定の位置に低下した時点で、燃焼室4の周縁部から斜め下方に向けて燃料が噴射されることになるため、ピストン3の頂部に衝突して反射する燃料が少量に抑えられ、シリンダの周壁に燃料が付着するのを効果的に防止することができる。
【0064】
しかも、上記のように燃焼室4の周縁部から斜め下方に向けて燃料が噴射されるようにインジェクタ10を設置するとともに、ピストン3の頂部に上記燃料が吹き付けられるキャビティ11を設けた場合には、エンジンが低負荷低回転の運転領域Aにあるときに、圧縮行程で上記インジェクタ10から斜め下方に噴射された燃料がピストン11のキャビティ11に吹き付けられた捕集された後、点火プラグ9の周囲に運ばれることにより、この点火プラグ9の周囲がエンリッチ状態となって混合気が効果的に成層化されることになる。したがって、燃料の着火性を損なうことなく、上記混合気の成層燃焼を適正に実行して燃費を改善することができる。
【0065】
特に、燃焼室4の周縁部から斜め下方に向けて燃料を噴射するように構成されたエンジンにおいて、水平方向に対する燃料の噴射角度θを30°以上に設定した場合には、ピストン3の頂部に衝突して反射する燃料の量を、より効果的に低減することができるため、シリンダの周壁に燃料が付着するのを顕著に低減することができる。
【0066】
上記のように燃料の噴射角度を30°以上に設定した構成によると、均一燃焼を実行する領域内で、エンジンが低回転の運転領域C1にあるときに、図11に示すように、Ceベストとなる噴射時期と、Peベストとなる噴射時期とのずれ量が大きくなる傾向がある。そして、上記運転領域C1において、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を複数回に分割して噴射することにより、吸気の充填量を充分に確保するとともに、混合気を効果的に均一化させた状態で燃焼させることができるため、上記のようにCeベストとなる噴射時期と、Peベストとなる噴射時期とが大きくずれることに起因する不都合を回避することができる。
【0067】
なお、図12に示すように、燃焼室4の周辺部から、燃焼室4の上部中央に臨むように設置された点火プラグ9に向けて燃料が噴射されるようにインジェクタ10を10〜25°の傾斜角度で設置してなるエンジンにおいて、均一燃焼を実行する運転領域C内で、エンジンが低回転の運転領域C1にあるときに、吸気行程で燃料a,bを複数回に分割して噴射するように構成してもよい。この場合には、上記インジェクタ10から20°〜40°程度の比較的狭い噴霧角度で噴霧するとともに、ピストン3の頂部において排気ポートの設置部側、つまりインジェクタ10の設置部と反対側の部位に、ピストン3の周面に燃料が付着するのを防止するためのキャビティ11を形成することが望ましい。
【0068】
上記のように燃焼室4の周辺部から点火プラグ9に向けて燃料を噴射するように構成されたエンジンでは、燃焼室4の上部から略水平に燃料が噴射されるため、吸気行程で燃料を分割して噴射する際に、ピストン3の位置に影響を受けることなく、燃料の噴射時期を設定することができる。したがって、吸気行程で燃料を分割して噴射する際に、吸気トップ後のクランク角が60°以前の時点で燃料の噴射を開始することも可能であり、燃料の噴射時期を早めることによってその霧化および気化を、さらに効果的に促進することができる。
【0069】
さらに、図13に示すように、燃焼室4の上部中央に臨むように点火プラグ9およびインジェクタ10が設置されるとともに、ピストン3の頂部中央にキャビティ11が形成されてなる中心噴射型のエンジンにおいても、本発明を適用することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、均一燃焼を実行する領域C内で、エンジンが低回転の運転領域C1にあるときに、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を複数回に分割して噴射するように燃料の噴射状態を制御するとともに、エンジンが低負荷低回転の運転領域Aにあって上記圧縮行程で燃料を噴射する領域内で、エンジンの負荷および回転が比較的高い運転領域A1にあるときに、燃料を圧縮行程で複数回に分割して噴射するように構成したため、先に噴射された燃料aを適度に拡散させてその気化および霧化を促進することにより、燃費を効果的に改善することができるとともに、後に噴射された燃料を点火プラグ9の周囲に集中させて燃焼安定性を確保することができる。これによって圧縮行程で燃料を噴射して成層燃焼させることにより、燃費を改善することができる領域を従来よりも広げることができる。
【0071】
すなわち、上記圧縮行程で燃料を噴射する運転領域A内で、エンジンの負荷および回転が比較的高い運転領域A1にある場合には、燃料の噴射量が比較的多くなるとともに、燃料の噴射時点から点火時期までの時間が短くなるため、燃料を一括して噴射するように構成すると、点火プラグ9の周囲に燃料が過度に集中して空気とのミキシング性が低下することにより、燃焼効率が悪化する傾向が生じるとともに、燃料を気化および霧化させるための時間が不足することにより、不完全燃焼が引き起こされて燃焼安定性が損なわれる傾向がある。
【0072】
これに対して上記のように圧縮行程で燃料を分割して噴射するように構成した場合には、先に噴射された燃料を適度に拡散させることができるため、点火プラグ9の周囲に燃料が過度に集中するのを防止して空気とのミキシング性を維持しつつ、燃料を気化および霧化させるための時間を適度に確保することにより、燃焼効率を効果的に改善することができる。また、後に噴射された燃料を点火プラグ9の周囲に集中させて適度の空燃比を有する混合気を形成することができるため、燃焼室4内の成層度を適正に維持することにより、燃料が不完全燃焼するのを防止して燃焼安定性を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0073】
また、上記実施形態では、均一燃焼を実行する上記高負荷の運転領域Cでエンジンが高回転の運転領域C3にあるときに、燃料の噴射開始時期を排気行程の後半に設定し、この排気行程の後半から燃料の噴射を開始するように構成したため、燃料の噴射時点から点火時点までの時間を充分に確保し、燃料を確実に気化および霧化した状態で燃焼させることにより、燃費を改善しつつ、エンジン出力を効果的に増大できるという利点がある。しかも、上記高回転の運転領域C3では、ピストン3の昇降速度が極めて早いため、排気行程の後半から燃料の噴射を開始するように構成した場合においても、インジェクタ10から噴射された燃料が排気ポート6に到達する前に、排気ポート6が排気弁8により閉止されて燃料の吹き抜けが防止されることになる。
【0074】
さらに、上記実施形態に示すように、燃焼室4の周縁の吸気ポート5側から燃焼室4内に燃料が噴射されるようにインジェクタ10を設置した場合には、エンジンの高負荷高回転運転領域C3で、排気行程の後半から噴射された燃料が排気ポート8に到達するまでの時間を充分に確保することができるため、上記燃料の吹き抜けを、さらに効果的に防止することができる。なお、上記燃料の吹き抜けを確実に防止するためには、燃料の噴射方向を水平方向に対して30°以上傾斜させるようにインジェクタ10の傾斜角度θを設定することが望ましい。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、燃料を直接燃焼室内に噴射するインジェクタを備え、エンジンが少なくとも高負荷の運転領域にあるときに、吸気行程で上記インジェクタから燃料を噴射することにより混合気を均一化して燃焼させる均一燃焼を実行するように構成された筒内噴射式エンジンにおいて、上記均一燃焼を実行する領域内で、エンジンが低回転の運転領域にあるときに、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を複数回に分割して噴射するように燃料の噴射状態を制御する燃料制御手段を設け、吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼を実行する際に、吸気の充填効率が最大となる時期と、混合気の均一度が最適となる時期とに分割して燃料を噴射するように構成したため、上記運転領域で吸気の充填量を充分に確保するとともに、混合気を効果的に均一化させた状態で燃焼させることにより、エンジン出力を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【符号の説明】
【図1】本発明に係る筒内噴射式エンジンの実施形態を示す説明図である。
【図2】上記エンジンのピストン頂部を示す平面図である。
【図3】上記エンジンの制御部を示すブロック図である。
【図4】上記エンジンの運転領域を示すマップである。
【図5】燃料の噴射時期を示すタイムチャートである。
【図6】燃料の噴射制御動作の第1行程を示すフローチャートである。
【図7】燃料の噴射制御動作の第2行程を示すフローチャートである。
【図8】吸気の充填量、空燃比および燃焼時間に変化状態を示すグラフである。
【図9】充填効率および図示平均有効圧力の変化状態を示すグラフである。
【図10】CeベストおよびPeベストの噴射タイミングの変化状態を示すグラフである。
【図11】CeベストおよびPeベストの噴射タイミングと、燃料の噴射角度との対応関係を示すグラフである。
【図12】本発明に係る筒内噴射式エンジンの別の実施形態を示す説明図である。
【図13】本発明に係る筒内噴射式エンジンのさらに別の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
3 ピストン
4 燃焼室
9 点火プラグ
10 インジェクタ
11 キャビティ
18 燃料制御手段

Claims (7)

  1. 燃料を直接燃焼室内に噴射するインジェクタを備え、エンジンが少なくとも高負荷の運転領域にあるときに、吸気行程で上記インジェクタから燃料を噴射することにより混合気を均一化して燃焼させる均一燃焼を実行するように構成された筒内噴射式エンジンにおいて、上記均一燃焼を実行する領域内で、エンジンが低回転の運転領域にあるときに、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を複数回に分割して噴射するように燃料の噴射状態を制御する燃料制御手段を備え、吸気行程で燃料を噴射して均一燃焼を実行する際に、吸気の充填効率が最大となる時期と、混合気の均一度が最適となる時期とに分割して燃料を噴射するように構成したことを特徴とする筒内噴射式エンジン。
  2. 吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射量を、総噴射量の4〜6割の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1記載の筒内噴射式エンジン。
  3. 吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射量を、後に噴射される燃料の噴射量よりも多くするように設定したことを特徴とする請求項1または2記載の筒内噴射式エンジン。
  4. 燃焼室の周縁部から斜め下方に向けて燃料が噴射されるようにインジェクタが設置されされるとともに、ピストンの頂部に上記燃料が吹き付けられるキャビティが設けられ、エンジンが少なくとも高負荷の運転領域にあるときに、吸気行程で上記インジェクタから燃料を噴射することにより混合気を均一化して燃焼させる均一燃焼を実行するように構成された筒内噴射式エンジンにおいて、上記均一燃焼を実行する領域内で、エンジンが低回転の運転領域にあるときに、吸気行程の前期から中期にかけての範囲内で燃料を複数回に分割して噴射するように燃料の噴射状態を制御する燃料制御手段を備え、吸気行程で燃料を複数回に分割して噴射する際に、先に噴射される燃料の噴射開始時期を、吸気トップ後のクランク角が60°以降の時期に設定したことを特徴とする筒内噴射式エンジン。
  5. 燃料の噴射角度を水平方向に対して30°以上傾斜させたことを特徴とする請求項記載の筒内噴射エンジン。
  6. 燃焼室に臨むように設置された点火プラグに向けて燃焼室の周縁部から燃料が噴射されるようにインジェクタを設置したことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の筒内噴射エンジン。
  7. 燃焼室の上部中央に臨むように点火プラグおよびインジェクタを設置するとともに、このインジェクタから噴射された燃料が吹き付けられるキャビティをピストンの頂部中央に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の筒内噴射式エンジン。
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