JP2010242689A - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンの燃焼室20内に燃料を直接噴射する直噴弁2と、エンジンの吸気ポート3内に燃料を噴射するポート噴射弁5と、エンジンの運転中に燃料カットを実行する燃料カット実行手段111と、燃料カット実行手段111により実行された燃料カットからの復帰時においてエンジンに生じるトルクショックを許容内に収めるために必要な復帰時燃料供給量を求める復帰時燃料供給量検出手段112と、復帰時燃料供給量検出手段112で求めた復帰時燃料供給量を、直噴弁2が噴射可能な直噴最小燃料噴射量及びポート噴射弁5が噴射可能なポート最小燃料噴射量と比較し、比較結果に応じて、直噴弁2又はポート噴射弁5を選択して作動させる噴射弁制御手段113と、を備える。
【選択図】図1
Description
この特許文献1の制御方法は、図6に示すように、筒内噴射弁と、単位開弁時間あたりの燃料噴射量が前記筒内噴射弁よりも小さいポート噴射弁とを有する内燃機関を制御するにあたり、内燃機関の運転条件に基づいて求められる全燃料噴射量TAUを求める(ステップS101)。次に、前記TAUと前記筒内噴射弁が噴射可能な最小燃料噴射量QminDとを比較する(ステップS102)。そして、全燃料噴射量TAUが前記最小燃料噴射量QminDよりも小さい場合には(ステップS102;Yes)、ポート噴射弁で全燃料噴射量TAUを噴射する(ステップS103、ステップS104)。
ここで、筒内噴射は、燃料を直噴気筒内に噴射するものであるから、燃料が噴射されてから燃焼するまでの応答性に関してはポート噴射よりも有利な点がある。しかし、応答性が有利な反面、トルクショックがポート噴射より大きくなる不利な点もある。特許文献1では、この応答性およびトルクショックの点については着目されていないので、機関のより一層の性能向上を図る上で十分とはいえない。
かかる発明では、燃料カット実行手段による燃料カットからの復帰時に、燃料供給量検出手段はエンジンに生じるトルクショックを許容内に収めるために必要な復帰時燃料供給量を求め、該復帰時燃料供給量より小さい能力を有する直噴弁又はポート噴射弁を噴射弁制御手段により選択して燃料噴射を行うので、燃料カット後の燃料噴射復帰時に生じるトルクショックを抑制できる。
なお、復帰時燃料供給量は、トルクショックを許容内に収める燃料量の最大値又はほぼ最大値とすることができる。
かかる構成によれば、復帰時燃料供給量より小さい方の燃料噴射弁を選択できるため確実にトルクショックを抑制することができる。
この場合、ポート噴射は燃料を直噴気筒内に直噴しないことから直噴よりもトルクショックの発生が起こりにくいとともに、直噴弁より細かい燃料噴射制御が可能であるため、ポート噴射弁を用いることでトルクショックを抑制し易くなる。
ポート噴射の場合、直噴に比べて噴射した燃料が気化し易く燃焼安定性を確保し易いため、低回転のエンジン回転数域では、ポート噴射を用いる。
また、高回転のエンジン回転数域では、多量の燃料を必要とするため、直噴弁を用いて燃料を直接気筒内に噴射することでエンジン出力の向上を図るとともに、ポート噴射における燃料のポート付着による燃焼までのレスポンスの悪化を改善して、燃料カット後の復帰時の応答性が向上する。
水温検出手段の検出結果が所定温度以下、具体的には吸気ポート内での燃料の気化が困難な温度以下の場合、ポート噴射弁による燃料の気化があまり進まず、吸気ポートに液体状の燃料が付着し易い傾向があるため、直噴弁によって直接燃料を気筒内に噴射することによって、この問題を回避し易くなる。
なお、吸気ポート内での燃料の気化が困難な温度とは、吸気ポートに液体状の燃料が付着し、燃料の噴霧化に支障が生じる温度とすることができる。
直噴弁2の噴射1回当たりの燃料量の下限、すなわち直噴最小燃料噴射量は、ポート噴射弁5のポート最小燃料噴射量よりも大きく設定されている。
そして、ポート噴射弁5から燃料が噴射されると、吸気弁4を介して燃料が燃焼室20内に吸い込まれる。燃料の吸込みは、ピストン22が下降して気筒内が負圧になることによって行われる。上記直噴弁2とポート噴射弁5との制御は、エンジンコントロールユニット(ECU)11の噴射弁制御手段113によって行われる。
噴射タイミングは、図2に示すように、直噴弁2の場合は、吸気行程中に行われ、ポート噴射弁5の場合は、膨張行程から排気行程に移行するときに行われる。
また、複数気筒の各気筒の直噴弁2及びポート噴射弁5には燃料分配管9A、9Bによって燃料が分配されるようになっている。また、気筒にはエンジンを冷却する冷却水Wが循環しており、この冷却水Wの温度は水温検出手段である温度センサ10Aを用いて測定される。
そして、ECU11は、当該復帰時燃料供給量検出手段112で求めた復帰時燃料供給量を、直噴弁2が噴射可能な直噴最小燃料噴射量及びポート噴射弁5が噴射可能なポート最小燃料噴射量と比較し、該比較結果に応じて、直噴弁2又はポート噴射弁5を選択して作動させる。
次いで、ステップS2において、スロットルの開度を取得する。アクセルペダルが完全に踏み込まれていればスロットル開度は100%となり、アクセルペダルが踏み込まれていなければスロットル開度は0%で全閉となる。
そして、燃料カット復帰時とは、再度、アクセルペダルを踏み込んでエンジンを加速した時をいう。この判断は、アクセルペダルの踏込み量を検知するアクセルペダルセンサ(不図示)からの信号によって、ECU11によって行う。そして、燃料カット後の燃料噴射復帰時に該当しなければ、ステップS4において通常の制御を行う。通常の制御としては、例えば、エンジン回転数とアクセルペダルの踏み込み量から必要とする燃料噴射量を算出して直噴弁2またはポート噴射弁5によって燃料噴射が制御されるものであり、公知の制御方法を用いることができる。
この復帰時許容トルクは、図4、5の燃料カット突入・復帰時許容トルクとして示されているように予め試験によってスロットル全閉ラインからの復帰時のトルクの立ち上がり時にトルクショックが許容される限界ラインとして設定されている。
そして、この復帰時燃料供給量(Pw)は、復帰時のエンジン回転数に対する前記復帰時許容トルクを基に算出される。この復帰時燃料供給量(Pw)はトルクショックを与えずに復帰するのに必要な燃料供給量である。
ステップS7において、NOの場合には、直噴最小燃料噴射量とポート最小燃料噴射量とがともに満たさない場合と、一方が満たさない場合の両方を含んでいる。
一方が満たさない場合には、満たす方の噴射弁、すなわち復帰時燃料供給量(Pw)以下の最少燃料噴射量を噴射できる噴射弁を用いることで確実にトルクショックを抑制できる。この場合は図3のフローチャートに示していない。
また、両方が満たさない場合には、ステップS8において、ポート噴射弁5によりポート噴射(MPI)が行われる。ポート噴射は燃料を直噴燃焼室20内に直噴しないことから直噴よりもトルクショックの発生が起こりにくいとともに、直噴弁2より細かい燃料噴射制御が可能であるため、ポート噴射弁5を用いることでトルクショックを抑制し易くなる。
なお、図4及び図5において全閉燃料カット域よりエンジン回転数が低い区域は、燃料のカットは行われない。
2 直噴弁
3 吸気ポート
4 吸気弁
5 ポート噴射弁
6 フィードポンプ
7 燃料タンク
8 高圧ポンプ
9A,9B 燃料分配管
10A 温度センサ
11 エンジンコントロールユニット(ECU)
111 燃料カット実行手段
112 復帰時燃料供給量検出手段
113 噴射弁制御手段
12 回転数検出手段
20 燃焼室
22 ピストン
100 点火プラグ
101 直噴弁
102 ポート噴射弁
103 燃料タンク
104 フィードポンプ
105 高圧ポンプ
B 境目
Claims (5)
- エンジンの気筒内に燃料を直接噴射する直噴弁と、
前記エンジンの吸気ポート内に燃料を噴射するポート噴射弁と、
前記エンジンの運転中に燃料カットを実行する燃料カット実行手段と、
前記燃料カット実行手段により実行された燃料カットからの復帰時において前記エンジンに生じるトルクショックを許容内に収めるために必要な復帰時燃料供給量を求める復帰時燃料供給量検出手段と、
前記復帰時燃料供給量検出手段で求めた復帰時燃料供給量を、前記直噴弁が噴射可能な直噴最小燃料噴射量及び前記ポート噴射弁が噴射可能なポート最小燃料噴射量と比較し、比較結果に応じて、前記直噴弁又は前記ポート噴射弁を選択して作動させる噴射弁制御手段と、
を備えることを特徴とするエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記噴射弁制御手段は、
前記直噴最小燃料噴射量及び前記ポート最小燃料噴射量のいずれかが前記復帰時燃料供給量よりも小さい場合、この小さい方の最小燃料噴射量を有する噴射弁を選択して作動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記直噴最小燃料噴射量が前記ポート最小燃料噴射量よりも大きく設定されており、
前記噴射弁制御手段は、
前記直噴最小燃料噴射量及び前記ポート最小燃料噴射量が共に前記復帰時燃料供給量よりも大きい場合、前記ポート噴射弁を選択して作動させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記エンジンの回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記噴射弁制御手段は、
前記直噴最小燃料噴射量及び前記ポート最小燃料噴射量が共に前記復帰時燃料供給量以下である場合、前記回転数検出手段の検出結果が所定回転数以下であれば前記ポート噴射弁を選択して作動させ、前記所定回転数より大きければ前記直噴弁を選択して作動させる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のエンジンの燃料噴射制御装置。 - 前記エンジンの冷却水の温度を検出する水温検出手段を備え、
前記噴射弁制御手段は、
前記水温検出手段の検出結果が所定温度以下である場合、前記直噴弁を選択して作動させる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
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