JP4888399B2 - フレックス燃料機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合したアルコール含有燃料を使用可能なフレックス燃料機関の制御装置に関する。
近年、CO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)等の排出量が少ないアルコールを内燃機関の燃料として使用することが注目されており、ガソリンはもとより、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合したアルコール含有燃料をも使用可能なフレックス燃料機関(例えば特許文献1参照)が注目されている。また、国や地域によってはアルコール含有燃料やそれを使用可能なフレックス燃料機関を搭載した車両等を対象にした税制上の優遇措置が設けられていることもあり、こうした国や地域にあっては特にフレックス燃料機関の使用が拡大している。
ところで、アルコールはガソリンと比較して霧化しにくいため、上記のようなフレックス燃料機関にあっては、ガソリンのみを燃料として使用する機関と比較して失火が生じやすく機関燃焼状態が不安定になる傾向がある。もっとも、こうした機関燃焼状態の不安定化は機関温度が上昇した後であればほとんど無視できるものとなる。
特開2006‐152990号公報
しかしながら、アルコール濃度の高い燃料を使用する状況、特に機関冷間始動時等、気筒内の温度が低下している状況にあっては、安定した機関燃焼状態の実現が困難となる場合がある。
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的はアルコール含有燃料を使用している場合であっても機関冷間時の燃焼を安定させることのできるフレックス燃料機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性を変更するバルブ特性変更機構と、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁とを備えるフレックス燃料機関の制御装置において、燃料のアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁と更に備え、前記アルコール濃度推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定されるときに、前記バルブ特性変更機構により前記吸気バルブの開弁時期を排気バルブの閉弁時期よりも遅角させるとともにピストンが下降中であり且つ前記吸気バルブ及び前記排気バルブがともに閉弁しているときに前記筒内噴射弁から燃料を噴射する減圧筒内噴射を実行し、前記減圧筒内噴射に際し併せて前記ポート噴射弁の燃料噴射がなされるときには、前記推定されたアルコール濃度が高いときほど前記筒内噴射弁の燃料噴射量の比率を増大させることをその要旨とする。
上記構成によれば、吸気バルブ及び排気バルブがともに閉弁した状態でピストンが下降し気筒内が減圧されているときに燃料が噴射されるようになるため、噴射される燃料の霧化が促進され、機関冷間時に霧化しにくいアルコール含有燃料を使用している場合であっても燃焼を安定させることができるようになる。但し、こうした減圧筒内噴射を実行するようにした場合には、吸気バルブの開弁時期が制限されることとなるため、吸気慣性効果を狙った最適な開弁時期の設定ができなくなり、必要以上に吸入空気量が制限されるといった懸念がある。そこで、上記請求項1に記載の発明では、アルコール濃度に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定される場合にのみ、こうした減圧筒内噴射を実行するようにしている。これにより、燃料の性状に応じて減圧筒内噴射を実行し、上記のような不都合の発生を極力抑制しつつ、機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。
また、燃料のアルコール濃度が高い場合には、同濃度が低い場合と比較して同じ機関出力を得るため必要となる燃料の量が多くなる。したがって、機関高負荷時には、多量の燃料を噴射しなければならず、筒内噴射弁のみによって燃料噴射を適切に実行することが困難になる懸念がある。この点、請求項に記載の構成では、筒内噴射弁の他、ポート噴射弁から吸気ポートに燃料を噴射することができるため、上述したようなアルコール濃度の高い燃料を使用しているときの機関高負荷時にあっても適切な量の燃料を気筒に供給することができる。
そして、筒内噴射弁とポート噴射弁とをともに備え、機関運転状態に基づいて設定される比率に基づいてこれら各燃料噴射弁の双方から燃料を噴射する内燃機関のように、筒内噴射弁とポート噴射弁とをともに備えるフレックス燃料機関にあって上述した減圧筒内噴射及びポート噴射弁によるポート噴射を実行する場合には、上記請求項に記載の発明のように、推定されたアルコール濃度が高いときほど、筒内噴射弁の燃料噴射量の比率を増大させるといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、アルコール濃度が高く噴射燃料が霧化しにくいときほど、減圧筒内噴射によって噴射する燃料の量、すなわち霧化が促進される燃料の量を増大させることができ、好適に機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。また、このように燃料のアルコール濃度が高いときほど筒内噴射弁の燃料噴射量の比率を増大させることにより、ポート噴射弁の燃料噴射量は減量されることとなり、霧化しにくい状態で噴射される燃料の量が減少するようになるため、燃焼に寄与しない燃料の量を減少させることもできる。その結果、排気に含まれる未燃燃料成分の量を低減して排気性状の悪化を抑制することができるようになる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のフレックス燃料機関の制御装置において、前記減圧筒内噴射に際し併せて前記ポート噴射弁の燃料噴射がなされるときには、前記ポート噴射弁の燃料噴射時期を前記吸気バルブの開弁時期と同期させ、同吸気バルブが開弁した以後に前記吸気ポートへの燃料噴射を開始することをその要旨とする。
また上記のように筒内噴射弁とポート噴射弁とをともに備えるフレックス燃料機関にあっては、機関冷間時に吸気バルブが開弁される前にポート噴射弁から燃料を噴射した場合には燃料が霧化することなく液状のまま吸気ポート内に滞留することがある。そしてこのように吸気ポート内に滞留した燃料が吸気バルブの開弁に伴って気筒内に吸い込まれると、これが点火プラグに液状のまま付着して失火が発生するおそれがある。そこで、上記請求項に記載の発明では、減圧筒内噴射と併せて、ポート噴射弁による燃料噴射の開始時期を吸気バルブの開弁時期と同期させて吸気バルブが開弁した以後に燃料噴射を開始するようにしている。こうした構成を採用すれば、吸気ポート内に滞留した燃料が付着することを抑制し、減圧筒内噴射による霧化の促進による効果と併せて更に好適に機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。
請求項3に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性を変更するバルブ特性変更機構と、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁とを備えるフレックス燃料機関の制御装置において、燃料のアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁とを更に備え、前記アルコール濃度推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定されるときに、前記バルブ特性変更機構により前記吸気バルブの開弁時期を排気バルブの閉弁時期よりも遅角させるとともにピストンが下降中であり且つ前記吸気バルブ及び前記排気バルブがともに閉弁しているときに前記筒内噴射弁から燃料を噴射する減圧筒内噴射を実行し、前記減圧筒内噴射に際し併せて前記ポート噴射弁の燃料噴射がなされるときには、前記ポート噴射弁の燃料噴射時期を前記吸気バルブの開弁時期と同期させ、同吸気バルブが開弁した以後に前記吸気ポートへの燃料噴射を開始することをその要旨とする。
上記構成によれば、吸気バルブ及び排気バルブがともに閉弁した状態でピストンが下降し気筒内が減圧されているときに燃料が噴射されるようになるため、噴射される燃料の霧化が促進され、機関冷間時に霧化しにくいアルコール含有燃料を使用している場合であっても燃焼を安定させることができるようになる。但し、こうした減圧筒内噴射を実行するようにした場合には、吸気バルブの開弁時期が制限されることとなるため、吸気慣性効果を狙った最適な開弁時期の設定ができなくなり、必要以上に吸入空気量が制限されるといった懸念がある。そこで、上記請求項3に記載の発明では、アルコール濃度に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定される場合にのみ、こうした減圧筒内噴射を実行するようにしている。これにより、燃料の性状に応じて減圧筒内噴射を実行し、上記のような不都合の発生を極力抑制しつつ、機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。
また、燃料のアルコール濃度が高い場合には、同濃度が低い場合と比較して同じ機関出力を得るため必要となる燃料の量が多くなる。したがって、機関高負荷時には、多量の燃料を噴射しなければならず、筒内噴射弁のみによって燃料噴射を適切に実行することが困難になる懸念がある。この点、請求項3に記載の構成では、筒内噴射弁の他、ポート噴射弁から吸気ポートに燃料を噴射することができるため、上述したようなアルコール濃度の高い燃料を使用しているときの機関高負荷時にあっても適切な量の燃料を気筒に供給することができる。
また上記のように筒内噴射弁とポート噴射弁とをともに備えるフレックス燃料機関にあっては、機関冷間時に吸気バルブが開弁される前にポート噴射弁から燃料を噴射した場合には燃料が霧化することなく液状のまま吸気ポート内に滞留することがある。そしてこのように吸気ポート内に滞留した燃料が吸気バルブの開弁に伴って気筒内に吸い込まれると、これが点火プラグに液状のまま付着して失火が発生するおそれがある。そこで、上記請求項3に記載の発明では、減圧筒内噴射と併せて、ポート噴射弁による燃料噴射の開始時期を吸気バルブの開弁時期と同期させて吸気バルブが開弁した以後に燃料噴射を開始するようにしている。こうした構成を採用すれば、吸気ポート内に滞留した燃料が付着することを抑制し、減圧筒内噴射による霧化の促進による効果と併せて更に好適に機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のフレックス燃料機関の制御装置において、前記減圧筒内噴射は前記推定されたアルコール濃度が所定濃度以上であるときに実行されることをその要旨とする。
料のアルコール濃度が高いときほど機関冷間時に噴射された燃料が霧化しにくくなるため、請求項に記載の発明のように、推定されたアルコール濃度が所定濃度以上であることに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨を推定し、減圧筒内噴射を実行するといった構成を採用することもできる。
請求項5に記載の発明は、吸気バルブの開閉特性を変更するバルブ特性変更機構と、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁とを備えるフレックス燃料機関の制御装置において、燃料のアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段を備え、前記アルコール濃度推定手段によって推定されたアルコール濃度が所定濃度以上であることに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定されるときに、前記バルブ特性変更機構により前記吸気バルブの開弁時期を排気バルブの閉弁時期よりも遅角させるとともにピストンが下降中であり且つ前記吸気バルブ及び前記排気バルブがともに閉弁しているときに前記筒内噴射弁から燃料を噴射する減圧筒内噴射を実行することをその要旨とする。
上記構成によれば、吸気バルブ及び排気バルブがともに閉弁した状態でピストンが下降し気筒内が減圧されているときに燃料が噴射されるようになるため、噴射される燃料の霧化が促進され、機関冷間時に霧化しにくいアルコール含有燃料を使用している場合であっても燃焼を安定させることができるようになる。但し、こうした減圧筒内噴射を実行するようにした場合には、吸気バルブの開弁時期が制限されることとなるため、吸気慣性効果を狙った最適な開弁時期の設定ができなくなり、必要以上に吸入空気量が制限されるといった懸念がある。そこで、上記請求項5に記載の発明では、アルコール濃度に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定される場合にのみ、こうした減圧筒内噴射を実行するようにしている。これにより、燃料の性状に応じて減圧筒内噴射を実行し、上記のような不都合の発生を極力抑制しつつ、機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。
また、燃料のアルコール濃度が高いときほど機関冷間時に噴射された燃料が霧化しにくくなるため、請求項5に記載の発明のように、推定されたアルコール濃度が所定濃度以上であることに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨を推定し、減圧筒内噴射を実行するといった構成を採用することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のフレックス燃料機関の制御装置において、前記筒内噴射弁に加え、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁を更に備えることをその要旨とする。
燃料のアルコール濃度が高い場合には、同濃度が低い場合と比較して同じ機関出力を得るため必要となる燃料の量が多くなる。したがって、機関高負荷時には、多量の燃料を噴射しなければならず、筒内噴射弁のみによって燃料噴射を適切に実行することが困難になる懸念がある。この点、請求項6に記載の構成では、筒内噴射弁の他、ポート噴射弁から吸気ポートに燃料を噴射することができるため、上述したようなアルコール濃度の高い燃料を使用しているときの機関高負荷時にあっても適切な量の燃料を気筒に供給することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフレックス燃料機関の制御装置において、前記減圧筒内噴射は機関冷却水温が所定の判定水温よりも低いときに実行されるものであり、前記推定されるアルコール濃度が高いときほど前記判定水温を高く設定する設定手段を更に備えることをその要旨とする。
噴射燃料はそのアルコール濃度が高いときほど霧化しにくく、特に機関冷間時にはこの傾向が顕著になるため燃焼が不安定になりやすい。そこで、上記請求項7に記載の発明では、減圧筒内噴射を機関冷却水温が所定の判定水温よりも低いときに実行するとともに、この判定水温を燃料のアルコール濃度が高いときほど高く設定するようにしている。こうした構成を採用すれば、燃料のアルコール濃度の違いによる燃料の霧化度合いの変化を考慮した上で判定水温を設定することができ、機関冷却水温に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨を的確に判定して減圧筒内噴射を実行することができるようになる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のフレックス燃料機関の制御装置において、前記減圧筒内噴射は機関始動時であることを条件に実行されることをその要旨とする。
機関始動時にあっては、気筒内の温度が低く、噴射燃料の霧化が促進されにくいために始動性の悪化が生じやすく、特にアルコールを含有した燃料を使用するフレックス燃料機関にあってはこうした始動性の悪化が一層発生しやすいものとなっている。
この点、請求項に記載の構成によれば、機関始動時における機関燃焼状態を改善して機関始動性の悪化を抑制することができる。
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかるフレックス燃料機関の制御装置を、フレックス燃料機関を搭載した車両を統括的に制御する電子制御装置10に具体化した第1の実施形態について図1〜5を参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる電子制御装置10と、その制御対象である内燃機関20の概略構成を示す模式図である。尚、内燃機関20は、ガソリンとエタノールとを任意の割合で混合したエタノール含有燃料を使用可能なフレックス燃料機関である。
図1に示されるように内燃機関20の気筒21には、ピストン22が往復動可能に収容されている。これにより、ピストン22の頂面と気筒21の内周面によって燃焼室23が区画形成されている。尚、内燃機関20は複数の気筒21を有する多気筒内燃機関であるが、図1にあっては複数の気筒21のうちの1つのみを図示している。
各燃焼室23の上部には、ピストン22と対向するように点火プラグ24がそれぞれ設けられているとともに、各燃焼室23に連通する吸気ポート25と排気ポート26とがそれぞれ形成されている。そして、吸気ポート25は図示しない吸気マニホールドと接続されて吸気通路の一部を構成しているとともに、排気ポート26は、図示しない排気マニホールドと接続されて排気通路の一部を構成している。
また、図1に示されるように本実施形態の内燃機関20にあっては、各吸気ポート25内に燃焼室23へ向かって燃料を噴射するポート噴射弁27が設けられているとともに、各燃焼室23には燃焼室23内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁28が設けられている。
図1に示されるように各燃焼室23の上部には、吸気ポート25と燃焼室23とを連通・遮断する吸気バルブ31と、排気ポート26と燃焼室23とを連通・遮断する排気バルブ32とが設けられている。これら各バルブ31,32は、ピストン22の往復動に伴って回動されるクランクシャフトに連結された図示しない吸気カムシャフト及び排気カムシャフトによって開閉駆動される。
また、内燃機関20は吸気バルブ31の開閉特性を変更するバルブ特性変更機構30を備えている。このバルブ特性変更機構30は、クランクシャフトに対する吸気カムシャフトの相対回転位相を変更することにより吸気バルブ31の開閉時期を変更するバルブタイミング変更機構と、吸気カムの作用角を変更することにより吸気バルブ31のリフト量及び開弁期間を変更するリフト量変更機構とを含んで構成されている。
内燃機関20にあっては、このバルブ特性変更機構30によって吸気バルブ31のバルブ特性、すなわちその開閉時期、リフト期間、リフト量を変更することができる。具体的には、バルブタイミング変更機構により、クランクシャフトの回転角であるクランク角CAに対して、吸気バルブ31の開閉時期を進角又は遅角させることができ、例えば、図2(a)に破線で示されるように吸気バルブ31の開閉時期を遅角させることができる。
また、リフト量変更機構により、吸気カムの作用に伴う吸気バルブ31のリフト量及び開弁期間、すなわち作用角を変更することができ、例えば図2(b)に破線で示されるように吸気バルブ31のリフト量及び開弁期間を減少させることができる。
これにより、これらバルブタイミング変更機構とリフト量変更機構を組み合わせたバルブ特性変更機構30によれば、吸気バルブ31の開閉時期、リフト量、開弁期間を任意に設定することができるようになる。そのため、バルブ特性変更機構30を制御して、吸気バルブ31の開閉時期を遅角させるとともに、そのリフト量及び開弁期間を減少させることにより、図2(c)に示されるように吸気バルブ31及び排気バルブ32がともに閉弁しているときにピストン22が下降し、気筒21内が減圧状態になる減圧期間を設定することもできる。
こうしたバルブ特性変更機構30を通じたバルブ特性の変更等、内燃機関20の制御は電子制御装置10によって行われる。電子制御装置10には、クランクシャフトの回転角であるクランク角CA及びクランクシャフトの回転速度である機関回転速度NEを検出するクランク角センサ40、カムシャフトの回転角CAMAを検出するカムポジションセンサ41、機関冷却水温THWを検出する水温センサ42、内燃機関20の吸入空気量GAを検出するエアフロメータ43、運転者によるアクセル操作量ACCPを検出するアクセルポジションセンサ44、燃料のエタノール濃度CEを検出するエタノール濃度センサ45等の各種センサが接続されている。
電子制御装置10は、これら各種センサから出力される信号を取り込み、各種演算処理を実行してその結果に基づいて機関各部を統括的に制御する。具体的には、クランク角センサ40及びカムポジションセンサ41からの出力信号に基づき気筒判別を実行するとともに、クランク角CAに基づいて、各気筒21に対する燃料噴射時期及び点火時期を設定する。
また、機関回転速度NE及びアクセル操作量ACCPに基づいてバルブ特性変更機構30や吸気通路に設けられたスロットルバルブを制御して吸入空気量GAを調量するとともに、吸入空気量GAに併せてポート噴射弁27及び筒内噴射弁28を制御して燃料噴射量を調量する。
また、本実施形態の内燃機関20にあっては、機関運転状態に応じてポート噴射弁27及び筒内噴射弁28の双方からそれぞれ燃料を噴射する。具体的には吸入空気量GAと機関回転速度NEとに基づいて算出される機関負荷KLと機関回転速度NEとに基づいて1回の燃料噴射行程に噴射する燃料噴射量のうち筒内噴射弁28の燃料噴射量の比率、いわゆる筒内噴射比率を設定する。そして、1回の燃料噴射行程に噴射する燃料噴射量のうち筒内噴射比率に基づく量の燃料を筒内噴射弁28から噴射し、それ以外の燃料をポート噴射弁27から噴射する。尚、このとき機関運転状態によっては、ポート噴射弁27のみ、または筒内噴射弁28のみから燃料を噴射する、すなわち筒内噴射比率が「0%」、「100%」に設定されることもある。
ところで、エタノールはガソリンと比較して霧化しにくいため、エタノール含有燃料を使用する場合にあっては、ガソリンのみを燃料として使用する場合と比較して失火がしやすく機関燃焼状態が不安定になる傾向がある。もっとも、こうした機関燃焼状態の不安定化は機関温度が上昇した後であればほとんど無視できるものとなる。
しかしながら、エタノール濃度CEの高い燃料を使用する状況、特に機関冷間始動時等、気筒21内の温度が低下している状況にあっては、安定した機関燃焼状態の実現が困難となる場合がある。
そこで、内燃機関20にあっては、エタノール濃度センサ45によって検出される燃料のエタノール濃度CEに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨を判定し、この判定に基づいて燃料噴射態様を変更することにより、安定した機関燃焼状態の確保を図るようにしている。
以下、図3を参照してエタノール濃度CEに基づく燃料噴射態様の変更にかかる制御について説明する。尚、図3はこうした燃料噴射態様の変更にかかる制御の一連の処理の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は機関始動時を含む機関運転中に電子制御装置10によって所定の周期で繰り返し実行される。
この一連の処理が開始されると、電子制御装置10は、まずステップS100において、機関冷却水温THW及び燃料のエタノール濃度CEを読み込む。そしてステップS110において、機関冷却水温THWが判定水温THWjdg未満であるか否かを判定する。尚、ここで判定水温THWjdgは、機関冷却水温THWがこの値未満であることに基づいて吸気ポート25及び気筒21の温度が低く、噴射燃料が霧化しにくい可能性が高い旨を判定することのできる値として予め行う実験等の結果に基づいて設定されている。
ステップS110において、機関冷却水温THWが判定水温THWjdg未満である旨判定された場合(ステップS110:YES)には、ステップS120へと進み、エタノール濃度CEが判定濃度CEjdgよりも高いか否かを判定する。判定濃度CEjdgは、燃料のエタノール濃度CEがこの濃度よりも高いことに基づいて噴射燃料が霧化しにくい可能性が高い旨を判定することのできる値として予め行う実験等の結果に基づいて設定されている。
ステップS120において、エタノール濃度CEが判定濃度CEjdgより高い旨判定された場合(ステップS120:YES)、すなわち機関冷却水温THWが判定水温THWjdg未満であり、且つエタノール濃度CEが判定濃度CEjdgより高い旨判定された場合には、噴射燃料が霧化しにくい旨を判定し、ステップS130へと進む。
そして、ステップS130では、エタノール濃度CEに基づいて機関負荷KL及び機関回転速度NEに基づいて設定されている筒内噴射比率を変更する。具体的には、エタノール濃度CEに基づいて筒内噴射比率の補正量を算出し、機関負荷KLと機関回転速度NEに基づいて算出されている筒内噴射比率にこの補正量を加算することによって筒内噴射比率を増大させる。
この補正量の算出は電子制御装置10に予め記憶された演算用マップを参照して実行される。この演算用マップでは、図4に示されるようにエタノール濃度CEに比例してエタノール濃度CEが高いときほど筒内噴射比率の補正量が大きな値に設定されるようになっている。そのため、ステップS130を通じて筒内噴射比率を変更することにより、エタノール濃度CEが高いときほど筒内噴射比率が増大されるようになる。
こうして増大された筒内噴射比率が新たな筒内噴射比率として設定されると、ステップS140へと進み、バルブ特性変更機構30を制御して吸気バルブ31の開弁時期を図5に示されるように排気バルブ32の閉弁時期よりも遅角させるとともに、そのリフト量及び開弁期間を減少させる。そして、吸気バルブ31及び排気バルブ32がともに閉弁しており、且つピストン22が下降している期間、すなわち上述したように気筒21内が減圧状態にある減圧期間において筒内噴射弁28の燃料噴射が開始されるように燃料噴射時期を設定する。また、これと併せて通常は吸気バルブ31の開弁時期以前に設定されているポート噴射弁27の噴射開始時期を、吸気バルブ31の開弁時期と同時になるように遅角させる。尚、図5は、クランク角CAと吸気バルブ31及び排気バルブ32のリフト量との関係、またそれらと筒内噴射弁28の燃料噴射を開始する時期とポート噴射弁27の燃料噴射を開始する時期との関係を示している。
こうして減圧期間中に筒内噴射弁28の燃料噴射を開始する減圧筒内噴射を実行するように筒内噴射弁28における燃料噴射時期を設定するとともに、吸気バルブ31の開弁と同時にポート噴射弁27の燃料噴射を開始するようにその燃料噴射時期を遅角させて燃料噴射態様を変更するとこの処理を一旦終了する。
一方、ステップS110において機関冷却水温THWが判定水温THWjdg以上である旨判定された場合(ステップS110:NO)、またステップS120においてエタノール濃度CEが判定濃度CEjdg未満である旨判定された場合(ステップS120:NO)には、噴射燃料が霧化しにくい旨の判定がなされずにステップS150へと進む。
そして、上記のような減圧筒内噴射の実行やポート噴射弁27の燃料噴射時期の遅角を行うことなく、機関負荷KLと機関回転速度NEに基づいて設定された筒内噴射比率に基づいてポート噴射弁27と筒内噴射弁28との双方により通常の燃料噴射を実行し、この処理を一旦終了する。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)吸気バルブ31及び排気バルブ32がともに閉弁した状態でピストン22が下降し気筒21内が減圧されている減圧期間中に筒内噴射弁28の燃料噴射が開始されるようになるため、噴射された燃料の霧化が促進され、機関冷間時に霧化しにくいエタノール含有燃料を使用している場合であっても燃焼を安定させることができるようになる。但し、こうした減圧筒内噴射を実行するようにした場合には、吸気バルブ31の開弁時期が制限されることとなるため、吸気慣性効果を狙った最適な開弁時期の設定ができなくなり、必要以上に吸入空気量GAが制限されるといった懸念がある。そこで、本実施形態の内燃機関20では、エタノール濃度CEが判定濃度CEjdgより高いことに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定される場合にのみ、こうした減圧筒内噴射を実行するようにしている。これにより、燃料の性状に応じて減圧筒内噴射を実行し、上記のような不都合の発生を極力抑制しつつ、機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。
(2)燃料のエタノール濃度CEが高い場合には、同濃度が低い場合と比較して同じ機関出力を得るため必要となる燃料の量が多くなる。したがって、機関高負荷時には、多量の燃料を噴射しなければならず、筒内噴射弁28のみによって燃料噴射を適切に実行することが困難になる懸念がある。
この点、上記実施形態では、筒内噴射弁28の他、ポート噴射弁27から吸気ポート25に燃料を噴射することができるため、上述したようなエタノール濃度CEの高い燃料を使用しているときの機関高負荷時にあっても適切な量の燃料を気筒21に供給することができる。
(3)上記実施形態では、エタノール濃度CEが高いときほど、筒内噴射弁28の燃料噴射量の比率である筒内噴射比率を増大させるようにしている。こうした構成によれば、エタノール濃度CEが高く噴射燃料が霧化しにくいときほど、減圧筒内噴射によって噴射する燃料の量、すなわち霧化が促進される燃料の量を増大させることができ、好適に機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。また、このように燃料のエタノール濃度CEが高いときほど筒内噴射比率を増大させることにより、ポート噴射弁27の燃料噴射量は減量されることとなり、霧化しにくい状態で噴射される燃料の量が減少するようになるため、燃焼に寄与しない燃料の量を減少させることもできる。その結果、排気に含まれる未燃燃料成分の量を低減して排気性状の悪化を抑制することができるようになる。
(4)また、機関冷間時に吸気バルブ31が開弁される前にポート噴射弁27から燃料を噴射した場合には燃料が霧化することなく液状のまま吸気ポート25内に滞留することがある。そしてこのように吸気ポート25内に滞留した燃料が吸気バルブ31の開弁に伴って気筒21内に吸い込まれると、これが点火プラグ24に液状のまま付着して失火が発生するおそれがある。これに対して上記実施形態の内燃機関20では、減圧筒内噴射と併せて、ポート噴射弁27による燃料噴射の開始時期を吸気バルブ31の開弁時期と同期させて吸気バルブ31が開弁するときにポート噴射弁27の燃料噴射を開始するようにしている。こうした構成を採用すれば、吸気ポート25内に滞留した燃料が付着することを抑制し、減圧筒内噴射による霧化の促進による効果と併せて更に好適に機関冷間時の燃焼を安定させることができるようになる。
尚、上記第1の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・ステップS130において、機関負荷KLと機関回転速度NEとに基づいて算出されている筒内噴射比率に、エタノール濃度CEに基づいて算出された補正量を加算することによって筒内噴射比率を増大させる構成を示したが、エタノール濃度CEに基づいて算出される補正係数を乗じることにより筒内噴射比率を増大させる構成を採用することもできる。すなわちエタノール濃度CEが高いときほど筒内噴射弁28の燃料噴射比率が増大するように筒内噴射比率を変更するものであれば、その変更の方法は適宜変更することができる。
・図4に示されるようにエタノール濃度CEに比例してエタノール濃度CEが高いときほど筒内噴射比率の補正量を次第に大きな値に設定する構成を示したが、エタノール濃度CEが高くなるにしたがって段階的に補正量を大きな値に設定する構成を採用することもできる。
・図6に示されるように、エタノール濃度CEに基づいて筒内噴射比率を変更する処理(図3におけるステップS130)を省略して、機関冷却水温THWが判定水温THWjdg未満であり、且つエタノール濃度CEが判定濃度CEjdgより高いときに噴射燃料が霧化しにくい旨を判定し、減圧筒内噴射と、ポート噴射弁27の燃料噴射時期の遅角とを実行するようにしてもよい。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、図7及び図8を参照して説明する。第1の実施形態では、機関冷却水温THWが予め設定された判定水温THWjdg未満であり、且つエタノール濃度CEが判定濃度CEjdgよりも高いことに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨を判定し、減圧筒内噴射とポート噴射弁27の燃料噴射時期の遅角を実行するようにした。これに対して本実施形態では、エタノール濃度CEに基づいて判定水温THWjdgを可変設定し、機関冷却水温THWがエタノール濃度CEに基づいて設定された判定水温TWHjdg未満であることに基づき、燃料性状の変化に応じた態様で減圧筒内噴射及びポート噴射弁27の燃料噴射時期の遅角を実行するようにしている。
以下、第1の実施形態と共通する点については説明を割愛し、両実施形態の相違点である燃料噴射態様の変更にかかる制御について説明する。
図7は、本実施形態における燃料噴射態様の変更にかかる制御の一連の処理の流れを示すフローチャートである。この一連の処理は、第1の実施形態と同様に機関始動時を含む機関運転中に電子制御装置10により繰り返し実行される。尚、図7にあっては第1の実施形態と同様の処理については同じ符号を付している。
この一連の処理が開始されると、電子制御装置10は、まず第1の実施形態と同様にステップS100において、機関冷却水温THWと燃料のエタノール濃度CEとを読み込む。そして、ステップS105において、エタノール濃度CEに基づいて判定水温THWjdgを設定する。
具体的には、電子制御装置10に予め記憶された演算用マップを参照してエタノール濃度CEに基づいて判定水温THWjdgを算出する。この演算用マップでは、図8に示されるようにエタノール濃度CEに比例してエタノール濃度CEが高いときほど判定水温THWjdgが大きな値に設定されるようになっている。そのため、ステップS105を通じてエタノール濃度CEが高いときほど判定水温THWjdgが高く設定されるようになる。
こうして判定水温THWjdgが設定されると、ステップS110へと進み、機関冷却水温THWがステップS105を通じて設定された判定水温THWjdg未満であるか否かを判定する。
ステップS110において、機関冷却水温THWが判定水温THWjdg未満である旨判定された場合(ステップS110:YES)には、ステップS140へと進み、第1の実施形態と同様に減圧筒内噴射を実行するとともに、ポート噴射弁27の燃料噴射開始時期が吸気バルブ31の開弁時期と同時になるように噴射時期を遅角させる。
一方、ステップS110において、機関冷却水温THWが判定水温THWjdg以上である旨判定された場合(ステップS110:NO)には、ステップS150へと進み、通常の燃料噴射を実行する。
以上説明した第2の実施形態によれば、上記(1),(3),(4)の効果に加え以下の効果が得られるようになる。
(5)噴射燃料はそのエタノール濃度CEが高いときほど霧化しにくく、特に機関冷間時にはこの傾向が顕著になるため燃焼が不安定になりやすい。そこで、上記第2の実施形態では、減圧筒内噴射を機関冷却水温THWが判定水温THWjdgよりも低いときに実行するとともに、この判定水温THWjdgを燃料のエタノール濃度CEが高いときほど高く設定するようにしている。そのため、燃料のエタノール濃度CEの違いによる燃料の霧化度合いの変化を考慮した上で判定水温THWjdgを設定することができ、機関冷却水温THWに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨を的確に判定して減圧筒内噴射を実行することができるようになる。
尚、上記第2の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・図8に示されるようにエタノール濃度CEに比例してエタノール濃度CEが高いときほど判定水温THWjdgを次第に大きな値に設定する構成を示したが、エタノール濃度CEが高くなるにしたがって段階的に判定水温THWjdgを大きな値に設定する構成を採用することもできる。
・図9に示されるように、第2の実施形態の燃料噴射態様の変更にかかる制御に、第1の実施形態におけるステップS130を追加して、エタノール濃度CEに基づいて判定水温THWjdgを設定するとともに、エタノール濃度CEに基づいて筒内噴射比率を補正する構成を採用することもできる。
尚、上記第1及び第2の実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・減圧筒内噴射は、少なくとも気筒21内が減圧状態にある減圧期間中に筒内噴射弁28から燃料を噴射するものであればよい。すなわち、減圧筒内噴射時における筒内噴射弁28からの燃料噴射期間の一部が吸気バルブ31の開弁期間に重なってもよい。
・上記第1及び第2の実施形態では、減圧筒内噴射と併せて、吸気バルブ31が開弁するのと同時にポート噴射弁27の燃料噴射を開始するようにポート噴射弁27における燃料噴射時期を遅角させる構成を示した。これに対してこうしたポート噴射弁27の噴射時期の遅角は、吸気バルブ31が閉弁している間に吸気ポート25内に燃料が噴射されることにより、吸気ポート25及び吸気バルブ31に燃料が液状のまま付着して滞留することを抑制することができるものであればよい。すなわち、吸気バルブ31の開弁時期と同時に燃料噴射を開始する構成に限らず、吸気バルブ31が開弁してから所定期間経過後に燃料噴射を開始する構成を採用することもできる。
・減圧筒内噴射を実行するとともに、吸気バルブ31の開弁と同時にポート噴射弁27による燃料噴射が開始されるようにポート噴射弁27の噴射開始時期を遅角させる構成を示したが、ポート噴射弁27による燃料噴射は、暖機完了後の通常の燃料噴射と同様に吸気バルブ31が開弁する前に開始するようにし、減圧筒内噴射のみを実行することもできる。
・上記実施形態では、機関負荷KL及び機関回転速度NEに基づいて筒内噴射弁28の燃料噴射量とポート噴射弁27の燃料噴射量との比率を変更する内燃機関20に本願発明を適用した構成を示した。これに対して本願発明は少なくとも筒内噴射弁28とポート噴射弁27とを備える内燃機関20であれば適用することができる。すなわち、通常はポート噴射弁27及び筒内噴射弁28の一方のみによって燃料を噴射する一方、機関始動時にのみ減圧筒内噴射を実行するようにした内燃機関に本願発明を適用することもできる。
・また、ポート噴射弁27を備えていなくても、少なくとも筒内噴射弁28を備える内燃機関であれば減圧筒内噴射を実行して機関冷間時の燃料を安定させることができる。
・機関始動時にあっては、気筒21及び吸気ポート25の温度が低く、噴射燃料の霧化が促進されにくいために始動性の悪化が生じやすい。そのため、特にフレックス燃料機関にあってはこうした始動性の悪化が一層発生しやすくなる。そこで、機関始動時であることを条件に減圧筒内噴射や、吸気バルブ31の開弁と同時にポート噴射弁27の燃料噴射を開始するように燃料噴射時期を遅角させる構成を採用することもできる。こうした構成によれば、機関始動時における機関燃焼状態を改善して機関始動性の悪化を抑制することができる。
・アルコール濃度推定手段として、エタノール濃度CEを直接検出するエタノール濃度センサ45を例示したが、こうした構成に換えてガソリンとアルコールとの燃料性状の違いに基づく、空燃比や、ノッキング抑制のための点火時期のフィードバック制御における補正量の違いからアルコール濃度を推定する構成を採用することもできる。
・バルブ特性変更機構30として吸気バルブ31の開閉時期を変更するバルブタイミング変更機構と、バルブのリフト量及び開弁期間を変更するリフト量変更機構とを組み合わせたものを例示した。これに対して、バルブ特性変更機構は、バルブの開閉時期及びリフト量、リフト期間を独立して変更するものの他、バルブタイミング変更機構のみ等、少なくとも吸気バルブ31の開弁時期を変更することのできるものであればよい。
・フレックス燃料機関の例としてガソリンとエタノールとを任意の割合で混合したエタノール含有燃料を使用可能な内燃機関20を例示したが、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合したアルコール含有燃料を使用可能なフレックス燃料機関であれば、その他、メタノール、ブタノール等、それ以外のアルコールを含有する燃料を使用可能なフレックス燃料機関であっても、同様の態様をもって本願発明にかかる制御を適用することができる。
この発明の第1の実施形態にかかる電子制御装置とその制御対象であるフレックス燃料機関との概略構成を示す模式図。 (a),(b),(c)は同実施形態にかかるバルブ特性変更機構による吸気バルブの開弁時期及びリフト量の変更態様を示す説明図。 同実施形態における燃料噴射態様の変更にかかる制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。 同実施形態にかかるエタノール濃度と筒内噴射比率の補正量との関係を示すグラフ。 同実施形態にかかる筒内噴射弁の燃料噴射時期及びポート噴射弁の燃料噴射時期時期とバルブの開閉時期との関係を示す説明図。 同実施形態の変更例における燃料噴射態様の変更にかかる制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。 この発明の第2の実施形態における燃料噴射態様の変更にかかる制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。 同実施形態にかかるエタノール濃度と判定水温との関係を示すグラフ。 この発明の変更例における燃料噴射態様の変更にかかる制御の一連の処理の流れを示すフローチャート。
符号の説明
10…電子制御装置、20…内燃機関、21…気筒、22…ピストン、23…燃焼室、24…点火プラグ、25…吸気ポート、26…排気ポート、27…ポート噴射弁、28…筒内噴射弁、30…バルブ特性変更機構、31…吸気バルブ、32…排気バルブ。40…クランク角センサ、41…カムポジションセンサ、42…水温センサ、43…エアフロメータ、44…アクセルポジションセンサ、45…エタノール濃度センサ。

Claims (8)

  1. 吸気バルブの開閉特性を変更するバルブ特性変更機構と、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁とを備えるフレックス燃料機関の制御装置において、
    燃料のアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁と更に備え、
    前記アルコール濃度推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定されるときに、前記バルブ特性変更機構により前記吸気バルブの開弁時期を排気バルブの閉弁時期よりも遅角させるとともにピストンが下降中であり且つ前記吸気バルブ及び前記排気バルブがともに閉弁しているときに前記筒内噴射弁から燃料を噴射する減圧筒内噴射を実行し、
    前記減圧筒内噴射に際し併せて前記ポート噴射弁の燃料噴射がなされるときには、前記推定されたアルコール濃度が高いときほど前記筒内噴射弁の燃料噴射量の比率を増大させる
    ことを特徴とするフレックス燃料機関の制御装置。
  2. 前記減圧筒内噴射に際し併せて前記ポート噴射弁の燃料噴射がなされるときには、前記ポート噴射弁の燃料噴射時期を前記吸気バルブの開弁時期と同期させ、同吸気バルブが開弁した以後に前記吸気ポートへの燃料噴射を開始する
    請求項に記載のフレックス燃料機関の制御装置。
  3. 吸気バルブの開閉特性を変更するバルブ特性変更機構と、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁とを備えるフレックス燃料機関の制御装置において、
    燃料のアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段と、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁とを更に備え、
    前記アルコール濃度推定手段によって推定されたアルコール濃度に基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定されるときに、前記バルブ特性変更機構により前記吸気バルブの開弁時期を排気バルブの閉弁時期よりも遅角させるとともにピストンが下降中であり且つ前記吸気バルブ及び前記排気バルブがともに閉弁しているときに前記筒内噴射弁から燃料を噴射する減圧筒内噴射を実行し、
    前記減圧筒内噴射に際し併せて前記ポート噴射弁の燃料噴射がなされるときには、前記ポート噴射弁の燃料噴射時期を前記吸気バルブの開弁時期と同期させ、同吸気バルブが開弁した以後に前記吸気ポートへの燃料噴射を開始する
    ことを特徴とするフレックス燃料機関の制御装置。
  4. 前記減圧筒内噴射は前記推定されたアルコール濃度が所定濃度以上であるときに実行される
    請求項1〜のいずれか一項に記載のフレックス燃料機関の制御装置。
  5. 吸気バルブの開閉特性を変更するバルブ特性変更機構と、気筒内に直接燃料を噴射する筒内噴射弁とを備えるフレックス燃料機関の制御装置において、
    燃料のアルコール濃度を推定するアルコール濃度推定手段を備え、
    前記アルコール濃度推定手段によって推定されたアルコール濃度が所定濃度以上であることに基づいて噴射燃料が霧化しにくい旨判定されるときに、前記バルブ特性変更機構により前記吸気バルブの開弁時期を排気バルブの閉弁時期よりも遅角させるとともにピストンが下降中であり且つ前記吸気バルブ及び前記排気バルブがともに閉弁しているときに前記筒内噴射弁から燃料を噴射する減圧筒内噴射を実行する
    ことを特徴とするフレックス燃料機関の制御装置。
  6. 前記筒内噴射弁に加え、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁を更に備える
    請求項に記載のフレックス燃料機関の制御装置。
  7. 前記減圧筒内噴射は機関冷却水温が所定の判定水温よりも低いときに実行されるものであり、
    前記推定されるアルコール濃度が高いときほど前記判定水温を高く設定する設定手段を更に備える
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のフレックス燃料機関の制御装置。
  8. 前記減圧筒内噴射は機関始動時であることを条件に実行される
    請求項1〜のいずれか一項に記載のフレックス燃料機関の制御装置。
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