JP2002130015A - 筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置Info
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Abstract
抑制しつつ、アイドル安定性を向上できる筒内噴射式内
燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。 【解決手段】電子制御装置40はエンジン10の運転状
態に応じ、燃料噴射弁22を制御して吸気行程において
燃焼室15内に燃料噴射を実行する吸気行程噴射モード
と、圧縮行程において燃焼室15内に燃料噴射を実行す
る圧縮行程噴射モードとを切り換える。電子制御装置4
0はエンジン10の冷間時において、エンジン10の始
動時水温が所定温度範囲内にあるときには圧縮行程噴射
モードを設定する。この圧縮行程噴射において、電子制
御装置40は燃料噴射時期を機関温度の上昇に応じて進
角側に変更する。
Description
直接噴射する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置に
関する。
1号公報に記載されるように、燃焼室内に燃料を直接噴
射し、点火プラグにより点火する筒内噴射式内燃機関が
知られている。このような筒内噴射式内燃機関におい
て、機関冷間時の燃焼室温度が低いときには、噴射され
た燃料が気化しにくく、燃焼室の内壁面への燃料の付着
量が多くなるため、点火プラグ周りに着火及び火炎伝搬
に必要な混合気の形成が不十分となり、良好な着火及び
燃焼が得られない。そこで上記文献においては、機関冷
間時の圧縮行程噴射における燃料噴射量を増量すること
が提案されている。
うに、機関温度が低いときには、燃料が気化しにくく、
キャビティ外部のピストン頂面やシリンダ壁面に付着す
る燃料量も多くなり、排気エミッションが悪化する。こ
のため、こうした付着燃料量を少なくして排気エミッシ
ョンの悪化を抑制するために、圧縮行程噴射時期を圧縮
上死点に近い遅角側の時期に設定することも考えられて
いる。しかし、上述のように圧縮行程噴射時期を設定し
た場合には、機関の運転燃焼に伴って機関温度が上昇し
てくると、アイドル安定性が低下することが確認され
た。
ものであり、その目的は、機関冷間時における排気エミ
ッションの悪化を抑制しつつ、アイドル安定性を向上す
ることができる筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置
を提供することにある。
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1に記載の発明は、燃焼室内に燃料を直接噴射し、点
火プラグにより点火する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射
制御装置において、機関冷間時に、圧縮行程において燃
料噴射を行わせるとともに、その圧縮行程噴射時期を機
関温度の上昇に応じて進角側に変更する噴射制御手段を
備えることを要旨とする。
昇してくると、最適な圧縮行程噴射時期は進角側に移行
することが判明した。これは、燃料の気化が良くなって
くるのに伴い燃料の拡散が進み、点火プラグ周りの混合
気がリーンになる。そこで、圧縮行程噴射時期を進角側
に変更することによって、拡散した燃料をより点火プラ
グ周りに集める時間を稼ぐことができ、点火プラグ周り
の混合気を十分にリッチにでき、良好な着火及び燃焼が
得られるものと推測することができる。そのため、請求
項1の構成によれば、機関冷間時の排気エミッションの
悪化を抑制しつつ、アイドル安定性を向上することがで
きる。
の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置において、前
記噴射制御手段は、機関始動時の冷却水温に応じた冷却
水温と現在の冷却水温との差に基づいて前記圧縮行程噴
射時期を設定することを要旨とする。
は、機関始動時の冷却水温に応じた冷却水温と現在の冷
却水温との差に基づいて知ることができ、圧縮行程噴射
時期を機関温度の上昇に応じて適切な時期に設定するこ
とができる。
の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置において、前
記機関始動時の冷却水温に応じた冷却水温は、圧縮行程
噴射を終了させるために機関始動時の冷却水温に応じて
設定される圧縮行程噴射終了水温であり、前記噴射制御
手段はその圧縮行程噴射終了水温と現在の冷却水温との
差が小さいほど前記圧縮行程噴射時期を進角側の値に設
定することを要旨とする。
却水温に応じて設定される圧縮行程噴射終了水温と現在
の冷却水温との差の絶対値が小さくなることにより機関
温度の上昇を知ることができ、圧縮行程噴射時期を機関
温度の上昇に応じて適切な時期に設定することができ
る。
の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置において、前
記機関始動時の冷却水温に応じた冷却水温は、機関始動
時の冷却水温そのものであり、前記噴射制御手段はその
機関始動時の冷却水温と現在の冷却水温との差が大きい
ほど前記圧縮行程噴射時期を進角側の値に設定すること
を要旨とする。
却水温と現在の冷却水温との差の絶対値が大きくなるこ
とにより機関温度の上昇を知ることができ、圧縮行程噴
射時期を機関温度の上昇に応じて適切な時期に設定する
ことができる。
形態を図面に従って説明する。図1は本実施形態にかか
る燃料噴射制御装置及び同装置が適用されるエンジン1
0の概略構成を示している。
シリンダヘッド11と、複数のシリンダ12(図1では
その一つのみを図示)が形成されたシリンダブロック1
3とを備えている。各シリンダ12内にはピストン14
が往復動可能に設けられている。このピストン14と、
シリンダ12の内壁及びシリンダヘッド11とによって
燃焼室15が形成されている。
路17が接続されている。吸気通路16において、その
上流部分にはエンジン10の吸入空気量を調整するため
のスロットルバルブ18が設けられている。このスロッ
トルバルブ18の開度は、アクセルペダル20の踏込操
作に応じてスロットル用モータ19を駆動することによ
って調節される。即ち、アクセルペダル20の踏込操作
に応じて変化するアクセル踏込量がアクセルポジション
センサ21によって検出され、この検出されるアクセル
踏込量に応じてスロットル用モータ19が制御されるこ
とによりスロットルバルブ18の開度が調節される。こ
のスロットルバルブ18の開度は図示しないスロットル
ポジションセンサによって検出される。また、吸気通路
16において、スロットルバルブ18の上流側には吸気
通路16内の温度(吸気温)を検出するための吸気温セ
ンサ(図示略)が設けられている。なお、排気通路17
の下流には排気ガスを浄化するための触媒装置が設けら
れている。
内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁22と、燃焼室15
内の混合気に点火する点火プラグ23とが、各気筒に対
応してそれぞれ設けられている。燃料噴射弁22は供給
通路35を介してデリバリパイプ34に接続されてお
り、同パイプ34から燃料が供給される。また、このデ
リバリパイプ34には燃料ポンプ36を通じて燃料タン
ク37の燃料が供給される。デリバリパイプ34には同
パイプ34内の燃料圧力を検出するための燃料圧センサ
38が設けられている。
るための各種センサが設けられている。クランクシャフ
トと同クランクシャフトと連動して回転するカムシャフ
ト(いずれも図示略)の近傍には、クランクシャフトの
回転速度(機関回転速度)とその回転位相(クランク角
CA)を検出するためのクランク角センサ30及びカム
角センサ31がそれぞれ設けられている。また、シリン
ダブロック13には、エンジン10の冷却水の温度(冷
却水温THW)を検出する水温センサ32が設けられて
いる。
ら出力される検出信号はいずれも、エンジン10の電子
制御装置40に入力される。この電子制御装置40はこ
れら各センサ21,30〜32,38を含む各種センサ
からの検出信号に基づいて各燃料噴射弁22を駆動する
ことにより燃料噴射に係る制御を実行するとともに、所
定の点火制御を実行する。また、電子制御装置40は、
こうした燃料噴射制御及び点火制御を実行するためのプ
ログラムや演算用マップ、制御の実行に際して算出され
るデータ等を記憶保持するメモリ41を備えている。
態に応じて、吸気行程において燃料噴射を実行する吸気
行程噴射モードと、圧縮行程において燃料噴射を実行す
る圧縮行程噴射モードとを切り換えるようにしている。
始動時(クランキング時)において、吸気行程噴射モー
ドを設定し、燃料噴射弁22により吸気行程噴射を行わ
せる。エンジン10の始動時に吸気行程噴射が行われる
ことによって、燃焼室15内に噴射された燃料が気化す
るための時間が確保される。その結果、安定して着火燃
焼が行われてエンジン10が確実に始動される。
電子制御装置40はエンジン10の始動時における機関
温度、すなわち始動時の冷却水温(以下、単に始動時水
温)THWSTに基づき、始動時水温THWSTが所定
温度範囲内にあるときには機関冷間時の燃料噴射モード
を圧縮行程噴射モードに設定するとともに、同機関温度
が前記所定温度範囲よりも低温域及び高温域にあるとき
には機関冷間時の燃料噴射モードを吸気行程噴射モード
に設定するようになっている。すなわち、図4に示すよ
うに、始動時水温THWSTを例えば15℃未満の第1
範囲R1、15℃以上40℃未満の第2範囲R2、及び
40℃以上暖機完了温度(例えば80℃)までの第3範
囲R3に分割し、始動時水温THWSTが所定温度範囲
としての第2範囲R2にあるときには、燃料噴射モード
を、吸気行程噴射モードから圧縮行程噴射モードに切り
換える。また、始動時水温THWSTが第1範囲R1又
は第3範囲R3にあるときには、電子制御装置40は燃
料噴射モードを、吸気行程噴射モードに維持する。
ン10の始動時水温THWSTが比較的高い場合、すな
わち始動時水温THWSTが第2範囲R2内にある場合
には、圧縮行程噴射モードにおける噴射燃料が気化しに
くいことによる未燃ガス排出への影響が小さくなる。従
って、エンジン10の始動時水温THWSTが第2範囲
R2内にある場合には、圧縮行程噴射モードの方が吸気
行程噴射モードに比べてピストン14頂面及びシリンダ
12壁面を含む燃焼室15壁面への噴射燃料の付着量が
少なくなり、未燃ガスの排出量が低減されるため、電子
制御装置40は燃料噴射モードを吸気行程噴射モードか
ら圧縮行程噴射モードに切り換えるようにしている。
囲R3内にあると、吸気行程噴射モード及び圧縮行程噴
射モードのいずれにおいても燃焼室15壁面への燃料付
着はほとんどなくなる。従って、圧縮行程噴射モードに
おける噴射燃料が気化時間が短いために気化しにくいこ
とによる未燃ガス排出への影響は小さくなるものの、圧
縮行程噴射モードにおける噴射燃料の気化しない量が吸
気行程噴射における噴射燃料の気化しない量よりも多く
なり、圧縮行程噴射モードの方が未燃ガスの排出量が多
くなる。従って、電子制御装置40は燃料噴射モードを
吸気行程噴射モードに維持するようにしている。
に吸気行程噴射モード又は圧縮行程噴射モードを行わせ
る場合には、電子制御装置40は吸気行程噴射モード及
び圧縮行程噴射モードの双方において機関空燃比が理論
空燃比となるように、すなわち、吸入空気量に対してス
トイキ噴射が行われるようにその燃料噴射量を設定する
ようになっている。なお、吸気行程噴射モード及び圧縮
行程噴射モードにおける燃料噴射量は冷却水温等に基づ
く暖機補正量等を含む。
冷間時において圧縮行程噴射を行わせる場合には、エン
ジン10の運転に伴って冷却水温が圧縮行程噴射終了水
温に達すると圧縮行程噴射を終了させるようになってい
る。圧縮行程噴射終了水温はエンジン10の始動時水温
THWSTに対してα℃を加えた値に設定されている。
なお、α>0であり、本実施形態ではα℃は例えば10
℃に設定されている。これは、エンジン10の運転に伴
って冷却水温が始動時水温THWSTからα℃以上上昇
したときには、燃焼室15壁面の温度はそれ以上に高く
なっている。このような状態になると、吸気行程噴射及
び圧縮行程噴射のいずれにおいても燃焼室15壁面への
燃料付着はほとんどなくなるが、圧縮行程噴射では噴射
燃料の気化時間が短く未燃ガスの排出量が多くなる。従
って、圧縮行程噴射が終了されて吸気行程噴射モードが
設定される。
縮行程噴射が行われる場合には、電子制御装置40はそ
の圧縮行程噴射時期を機関温度の上昇に応じて進角側に
変更するようになっている。本実施形態においては、上
記圧縮行程噴射終了水温と現在の冷却水温(以下、単に
現在水温)との水温差ΔTHに基づいて燃焼室15壁面
の温度上昇を検出するようにしている。そして、この水
温差ΔTHに基づいて図5に示す噴射時期のマップを参
照し、この水温差ΔTHが大きいほど圧縮行程噴射時期
を遅角側の値に設定し、水温差ΔTHが小さいほど圧縮
行程噴射時期を進角側の値に設定するようになってい
る。エンジン10において機関温度が上昇してくると、
最適な圧縮行程噴射時期は進角側に移行する。これは、
燃料の気化が良くなってくるのに伴い燃料の拡散が進
み、点火プラグ23周りの混合気がリーンになる。そこ
で、圧縮行程噴射時期を進角側に変更することによっ
て、拡散した燃料をより点火プラグ周りに集める時間を
稼ぐことができ、点火プラグ周りの混合気を十分にリッ
チにでき、良好な着火及び燃焼が得られるものと推測す
ることができる。
噴射モードにおいては、所要の燃焼を得ながら排気通路
17の触媒装置を暖機することが要求されることから、
電子制御装置40は圧縮行程噴射時期と点火時期(触媒
暖機遅角量)との間に所要のインターバルが設定される
ように触媒暖機遅角量を設定するようになっている。す
なわち、図5に示されるように、この触媒暖機遅角量は
上記圧縮行程噴射時期と同様に、水温差ΔTHが大きい
ほど遅角側の値に設定され、水温差ΔTHが小さいほど
進角側の値に設定されるようになっている。
装置による機関始動後における機関冷間時の燃料噴射制
御について説明する。図2,図3は、この燃料噴射制御
における処理手順を示すフローチャートである。電子制
御装置40は、機関冷間時において、このフローチャー
トに示される処理を所定のクランク角周期の割込処理と
して実行する。
射弁22による燃料噴射を行う場合に、機関始動時の冷
却水温(機関温度)に基づいて燃料噴射モードを設定
し、その燃料噴射モードに応じて燃料噴射弁22による
燃料噴射を実行するようにしている。
始動時(クランキング時)には吸気行程噴射モードが設
定され、燃料噴射弁22により吸気行程噴射モードが設
定される。エンジン10の始動時に吸気行程噴射を行う
ことによって、燃焼室15内に噴射された燃料が気化す
るための時間を確保し、安定して着火燃焼を行わせるこ
とができる。
ップ110において、始動時水温THWSTが所定温度
範囲としての第2範囲R2(15℃以上40℃未満)内
に存在するかどうかが判断される。始動時水温THWS
Tが第2範囲R2内にない場合、すなわち第1範囲R1
(15℃未満)又は第3範囲R3(40℃以上)である
場合にはステップ230に移行して吸気行程噴射モード
が設定される。始動時水温THWSTが第2範囲R2内
にある場合には、ステップ120に進む。
圧力P1以上かどうかが判断される。所定圧力P1は圧
縮行程噴射を行うために必要な圧力である。燃料圧力が
所定圧力P1未満である場合には圧縮行程噴射を行うこ
とができないため、ステップ230に移行する。燃料圧
力が所定圧力P1以上である場合には圧縮行程噴射を実
行可能なため、ステップ130に進む。
回転速度NEが所定回転速度NE1未満かどうかが判断
される。本実施形態において、所定回転速度NE1はエ
ンジン10のアイドル回転速度の上限値である。回転速
度NEが所定回転速度NE1以上である場合には噴射燃
料の気化時間が短く圧縮行程噴射を行うことができない
ため、ステップ230に移行して吸気行程噴射モードが
設定される。回転速度NEが所定回転速度NE1未満で
ある場合には圧縮行程噴射が実行可能であるため、ステ
ップ140に進む。
高負荷状態でないかどうかが、例えばアクセル開度によ
って判断される。エンジン10が高負荷状態である場合
には燃料噴射量が多く、圧縮行程噴射では点火プラグ2
3周りに形成される混合気の燃料濃度が濃くなり過ぎる
ため、ステップ230に移行して吸気行程噴射モードが
設定される。エンジン10が高負荷状態でない場合には
圧縮行程噴射が実行可能であるため、ステップ150に
進む。
よって検出された吸気温が所定温度TH0以上かどうか
が判断される。エンジン10の冷間時において圧縮行程
噴射を行った場合、吸気温が所定温度TH0未満のとき
には噴射燃料が気化するための時間が短く未燃ガスの排
出量が多くなるため、このステップ150において圧縮
行程噴射を実行してもよいかどうかが判断される。吸気
温が所定温度TH0未満である場合にはステップ230
に移行して吸気行程噴射モードが設定される。吸気温が
所定温度TH0以上である場合には圧縮行程噴射が実行
可能であるため、ステップ160に進む。
温THWST+α℃未満かどうかが判断される。エンジ
ン10の運転に伴って冷却水温が始動時水温THWST
からα℃以上上昇したときには、燃焼室15壁面の温度
はそれ以上に高くなっており、吸気行程噴射及び圧縮行
程噴射のいずれにおいても燃焼室15壁面への燃料付着
はほとんどなくなるが、圧縮行程噴射では噴射燃料の気
化時間が短く未燃ガスの排出量が多くなる。そのため、
このステップ160において現在水温が始動時水温TH
WST+α℃以上である場合にはステップ230に移行
して吸気行程噴射モードが設定される。現在水温が始動
時水温THWST+α℃未満である場合にはステップ1
70に進む。
設定される。次のステップ180では始動時水温に基づ
いて設定された圧縮行程噴射終了水温から現在水温を減
ずることにより水温差ΔTHが算出される。そして、続
くステップ190において図5に示すマップを参照する
ことにより水温差ΔTHに応じた噴射時期が算出され、
次のステップ200において図5に示すマップを参照す
ることにより水温差ΔTHに応じた触媒暖機遅角量が算
出される。
開始後の経過時間が所定時間Ts以下かどうかが判断さ
れる。この経過時間が所定時間Tsより大きい場合には
機関負荷及び冷却水温等に応じた燃料噴射量にて圧縮行
程噴射が実行され、一旦本ルーチンを終了する。
間Ts以下であると判断されると、ステップ220にて
機関負荷及び冷却水温等に応じた燃料噴射量に対して噴
射量が増量補正されて圧縮行程噴射が実行され、一旦本
ルーチンを終了する。この噴射量の増量補正値は、図6
に示すように冷却水温に応じてそれぞれ設定されてお
り、冷却水温が低いほど増量補正値が大きく、冷却水温
が高いほど増量補正値が小さく設定されている。また、
増量補正値は時間経過に応じて徐々に減少するように設
定されている。
モードが吸気行程噴射モードから圧縮行程噴射モードに
切り換えられると、ピストン14頂面に燃料が付着し、
燃焼に寄与する燃料量が一時的に減少し、トルク段差に
よるショックを招くことになる。このように燃料噴射量
を増量補正することにより、燃焼に寄与する燃料量の減
少が相殺され、トルク段差の発生が抑えられるようにな
っている。また、燃料噴射モードが吸気行程噴射モード
から圧縮行程噴射モードに切り換えられたとき、ピスト
ン14頂面の燃料の付着量は機関温度(冷却水温)によ
っても異なるため、機関温度に応じて付着する燃料量に
応じた分だけ、燃料噴射量が適切に増量補正されるよう
になっている。さらに、ピストン14頂面への燃料の付
着量は時間経過とともに減少するため、時間経過に応じ
て付着する燃料量に応じた分だけ、燃料噴射量が適切に
増量補正されるようになっている。
ードが設定される。次のステップ240では圧縮行程噴
射モード終了後の経過時間が所定時間Te以下かどうか
が判断される。この経過時間が所定時間Teより大きい
場合には機関負荷及び冷却水温等に応じた燃料噴射量に
て吸気行程噴射が実行され、一旦本ルーチンを終了す
る。
間Te以下であると判断されると、ステップ250にて
機関負荷及び冷却水温等に応じた燃料噴射量に対して噴
射量が減量補正されて吸気行程噴射が実行され、一旦本
ルーチンを終了する。この噴射量の減量補正値は、図7
に示すように冷却水温に応じてそれぞれ設定されてお
り、冷却水温が低いほど減量補正値が大きく、冷却水温
が高いほど減量補正値が小さく設定されている。また、
減量補正値は時間経過に応じて徐々に減少するように設
定されている。
モードが圧縮行程噴射モードから吸気行程噴射モードに
切り換えられると、圧縮行程噴射モードにおいてピスト
ン14頂面に付着した燃料の一部が気化して燃焼に寄与
する燃料量が一時的に増大し、トルク段差によるショッ
クを招くことになる。このように燃料噴射量を減量補正
することにより、燃焼に寄与する燃料の増大が相殺さ
れ、トルク段差の発生が抑えられるようになっている。
また、燃料噴射モードが圧縮行程噴射モードから吸気行
程噴射モードに切り換えられたとき、ピストン14頂面
の付着燃料の気化量は機関温度(冷却水温)によっても
異なるため、機関温度に応じて気化する燃料量に応じた
分だけ、燃料噴射量が適切に減量補正されるようになっ
ている。さらに、燃料噴射モードが圧縮行程噴射モード
から吸気行程噴射モードに切り換えられたとき、ピスト
ン14頂面の付着燃料の気化量は時間経過とともに減少
するため、時間経過に応じて気化する燃料量に応じた分
だけ、燃料噴射量が適切に減量補正されるようになって
いる。
料噴射制御を実行する本実施形態の燃料噴射制御装置に
よれば、以下の効果を得ることができる。 ・ 本実施形態では、エンジン10の始動時水温が所定
温度範囲(第2範囲R2)内にあるときにはエンジン1
0の冷間時の燃料噴射モードを圧縮行程噴射モードに設
定するようにしているので、エンジン10の冷間時の排
気エミッションの悪化を抑制することができる。
機関温度が上昇してくると、燃料の気化が良くなってく
るのに伴い燃料の拡散が進み、点火プラグ周りの混合気
がリーンになる。この点に関して、本実施形態ではエン
ジン10の冷間時の圧縮行程噴射モードにおいて、圧縮
行程噴射時期を機関温度の上昇に応じて進角側に変更す
るようにしている。そのため、拡散した燃料をより点火
プラグ周りに集める時間を稼ぐことができ、点火プラグ
周りの混合気を十分にリッチにでき、良好な着火及び燃
焼が得ることができ、エンジン10冷間時の排気エミッ
ションの悪化を抑制しつつ、アイドル安定性を向上する
ことができる。
エンジン10始動時の冷却水温に応じて設定される圧縮
行程噴射終了水温と現在の冷却水温との差の絶対値が小
さくなることにより知ることができ、圧縮行程噴射時期
を機関温度の上昇に応じて適切な時期に設定することが
できる。
噴射モードにおいては、所要の燃焼を得ながら排気通路
17の触媒装置を暖機することが要求される。この点に
関して、電子制御装置40は圧縮行程噴射時期と点火時
期(触媒暖機遅角量)との間に所要のインターバルが設
定されるように、その触媒暖機遅角量を機関温度の上昇
に応じて進角側に変更するようになっている。従って、
点火プラグ周りに適度な燃料濃度の混合気が形成された
ときに点火を行うことができ、燃焼状態の悪化を抑制し
つつ、触媒装置の暖機を行うことができる。
の冷間時において吸気温度が所定温度よりも低いときに
はエンジン10の始動時水温に関わらず燃料噴射モード
を吸気行程噴射モードに設定するようにしているので、
エンジン10の冷間時の排気エミッションの悪化を確実
に抑制することができる。
においてエンジン10の運転に伴って冷却水温が上昇す
ると、燃料噴射モードを圧縮行程噴射モードから吸気行
程噴射モードに再設定するようにしているため、排気エ
ミッションの悪化を適切に抑制することができる。
時に燃料噴射モードを圧縮行程噴射モードから吸気行程
噴射モードに切り換えた際に、吸気行程噴射モード切換
直後から所定時間に亘って吸気行程噴射モードの燃料噴
射量を減量補正するようにしているので、燃焼に寄与す
る燃料の増大を相殺することができ、トルク段差の発生
を抑えてドライバビリティの悪化を抑制することができ
る。
減量補正量をエンジン10の冷却水温に応じて変更する
ようにしているので、冷却水温(機関温度)に応じて気
化する燃料量に応じた分だけ、燃料噴射量を適切に減量
補正することができ、ドライバビリティの悪化をより適
切に抑制することができる。
の減量補正量を時間経過に応じて徐々に減少させるよう
にしているので、時間経過に応じて気化する燃料量に応
じた分だけ、燃料噴射量を適切に減量補正することがで
き、ドライバビリティの悪化をより適切に抑制すること
ができる。
時に燃料噴射モードを吸気行程噴射モードから圧縮行程
噴射モードに切り換えた際に、圧縮行程噴射モード切換
直後から所定時間に亘って圧縮行程噴射モードにおける
燃料噴射量を増量補正するようにしているので、燃焼に
寄与する燃料量の減少を相殺することができ、トルク段
差の発生を抑えてドライバビリティの悪化を抑制するこ
とができる。
増量補正量をエンジン10の冷却水温に応じて変更する
ようにしているので、冷却水温に応じて付着する燃料量
に応じた分だけ、燃料噴射量を適切に増量補正すること
ができ、ドライバビリティの悪化をより適切に抑制する
ことができる。
の増量補正量を時間経過に応じて徐々に減少させるよう
にしているので、時間経過に応じて付着する燃料量に応
じた分だけ、燃料噴射量を適切に増量補正することがで
き、ドライバビリティの悪化をより適切に抑制すること
ができる。
を変更して実施することもできる。 ・ 上記実施形態では、機関始動時の冷却水温に応じた
冷却水温を、圧縮行程噴射を終了させる圧縮行程噴射終
了水温とし、その圧縮行程噴射終了水温と現在水温との
差が小さいほど圧縮行程噴射時期を進角側の値に設定す
るようにしたが、機関始動時の冷却水温に応じた冷却水
温を、機関始動時の冷却水温そのものとし、その機関始
動時の冷却水温と現在水温との差が大きいほど圧縮行程
噴射時期を進角側の値に設定するようにしてもよい。
いて設定される圧縮行程噴射終了水温と現在水温との水
温差ΔTHに基づいて噴射時期及び触媒暖機遅角量を設
定するようにしたが、始動時水温から現在水温までの上
昇量に基づいて噴射時期及び触媒暖機遅角量を設定する
ようにしてもよい。
転に伴って冷却水温が始動時水温THWSTからα℃以
上上昇したかどうかに基づいて燃料噴射モードを圧縮行
程噴射モードから吸気行程噴射モードに再設定するよう
にしたが、燃焼室15壁面の温度を直接計測してその温
度が所定温度以上になったとき燃料噴射モードを圧縮行
程噴射モードから吸気行程噴射モードに再設定するよう
にしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様の作
用及び効果がある。
術的思想を、以下に記載する。 ・ 請求項1〜4のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機
関の燃料噴射制御装置において、前記圧縮行程における
燃料噴射時期と点火時期との間に所要のインターバルが
設定されるように、その圧縮行程点火時期を機関温度の
上昇に応じて進角側に変更する点火制御手段を更に備え
る筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。この構成に
よれば、点火プラグ周りに適度な燃料濃度の混合気が形
成されたときに点火を行うことができ、燃焼状態の悪化
を抑制することができる。
の概略構成図。
示すフローチャート。
示すフローチャート。
量との関係を示す線図。
触媒暖機遅角量を示すマップ。
燃料噴射量の補正量を示すマップ。
燃料噴射量の補正量を示すマップ。
ダブロック、13…シリンダ、14…ピストン、15…
燃焼室、16…吸気通路、22…燃料噴射弁、23…点
火プラグ、30…クランク角センサ、31…カム角セン
サ、32…水温センサ、34…デリバリパイプ、38…
燃料圧センサ、40…電子制御装置。
Claims (4)
- 【請求項1】燃焼室内に燃料を直接噴射し、点火プラグ
により点火する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置
において、 機関冷間時に、圧縮行程において燃料噴射を行わせると
ともに、その圧縮行程噴射時期を機関温度の上昇に応じ
て進角側に変更する噴射制御手段を備えることを特徴と
する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 【請求項2】請求項1に記載の筒内噴射式内燃機関の燃
料噴射制御装置において、 前記噴射制御手段は、機関始動時の冷却水温に応じた冷
却水温と現在の冷却水温との差に基づいて前記圧縮行程
噴射時期を設定するものである筒内噴射式内燃機関の燃
料噴射制御装置。 - 【請求項3】請求項2に記載の筒内噴射式内燃機関の燃
料噴射制御装置において、 前記機関始動時の冷却水温に応じた冷却水温は、圧縮行
程噴射を終了させるために機関始動時の冷却水温に応じ
て設定される圧縮行程噴射終了水温であり、 前記噴射制御手段はその圧縮行程噴射終了水温と現在の
冷却水温との差が小さいほど前記圧縮行程噴射時期を進
角側の値に設定するものである筒内噴射式内燃機関の燃
料噴射制御装置。 - 【請求項4】請求項2に記載の筒内噴射式内燃機関の燃
料噴射制御装置において、 前記機関始動時の冷却水温に応じた冷却水温は、機関始
動時の冷却水温そのものであり、 前記噴射制御手段はその機関始動時の冷却水温と現在の
冷却水温との差が大きいほど前記圧縮行程噴射時期を進
角側の値に設定するものである筒内噴射式内燃機関の燃
料噴射制御装置。
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