JP6395025B2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
多点噴射式燃料噴射装置を用いることで、アクセルレスポンスや燃費を向上させ、排ガスの清浄化を可能にしている。この燃料噴射装置は、低負荷低回転領域では吸気通路に燃料を噴射することで、吸気と燃料との混合特性を良くして着火性能を良くし、高負荷高回転領域では、吸気通路インジェクタからの燃料噴射と筒内インジェクタからの燃料噴射とを併用するようにしている。
車両がエンジンを停止するときは、運転を終了する場合と、再始動を前提とした一時停止の場合とがある。前者は、イグニッションキーがオフとされる。一方、後者は、車速が零となり、ブレーキの踏込みがあり、アクセル操作量が零であり、かつレバーが運転レンジに設定されている等の条件が成立する。アイドルストップ機能を有する車両では、かかる条件が成立したとき、ECUなどに内蔵されたアイドルストップ部が作動し、エンジンをストップさせる。
アイドルストップによるエンジン停止中に、吸気通路の吸気圧は大気圧に変化する。そのため、再始動時の初爆から数回の燃焼サイクルが行われる間は吸入空気量が多くなり、実際の圧縮圧力は高くなる傾向にある。これによって、吸気温度が高い場合やエンジン温度が高い場合、ノッキングが発生しやすくなり、ノッキングの発生によって、始動直後のドライバビリティやNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)が悪化するという問題がある。
そして、前記目的を達成するため、本発明の燃料噴射装置は、内燃機関の自動再始動時に第1燃料噴射手段に残留している燃料を噴射させた後にクランク軸の回転を開始させて内燃機関を自動再始動させ、所定条件が成立すると第2燃料噴射手段から燃料噴射を開始させる燃料噴射制御手段を備えている。
そして、また、内燃機関は、吸気通路の吸気圧力を計測する吸気圧センサをさらに備え、所定条件には、吸気圧センサで計測された吸気圧力の値が含まれ、吸気圧力の値が所定吸気圧力値以下である場合に所定条件が成立する。
そのため、本発明では、前記燃料噴射制御手段によって、再始動時に第1燃料噴射手段による気筒内への燃料噴射のみを行う。これによって、気筒内に供給される吸気量を抑えつつ、噴射される燃料の冷却作用で気筒内を冷却することで、気筒内の圧縮圧力の増加を抑え、ノッキングの発生をなくした迅速な再始動が可能になる。
前記所定条件には、吸気圧センサで計測された吸気圧力の値が含まれ、吸気圧力が所定吸気圧力値以下である場合に前記所定条件が成立するので、再始動時にノッキングを確実に防止でき、ドライバビリティやNVHを向上できる。さらに、燃料の多点噴射によって、少吸気量時の予混合を促進させ、再始動時の排ガス性状の悪化を防止できる。
この実施態様では、再始動時の初爆から数回の燃焼サイクルが行われるまでの間は、第1燃料噴射手段による燃料噴射を行う。これによって、再始動時のノッキングの発生を確実に防止でき、ドライバビリティ及びNVHを向上できる。
このように、燃圧センサの計測値が所定圧力値以上のときは、圧縮工程にある気筒に燃料を噴射できる。圧縮工程にある気筒に燃料噴射を行うことで、迅速な再始動が可能になる。
本発明のさらに別の一実施態様は、前記燃料噴射制御手段は、前記燃圧センサにより計測された前記残留している燃料の燃圧が所定圧力値未満の場合には、前記自動再始動の際に前記クランク角センサによって吸気行程後半又は圧縮行程前半にある気筒から前記第1燃料噴射手段から燃料噴射を開始させる。
このように、ポンプを停止させることで、ポンプ駆動フリクションを低減でき、燃費を抑制できる。
次に、本発明に係るエンジンの燃料噴射装置の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1及び図2において、車両に搭載されたガソリン駆動エンジン(以下、「エンジン」という。)10は、複数の、即ち4個の気筒12a〜12dを有した直列4気筒エンジンであり、各気筒には夫々吸気マニホールド14及び排気マニホールド16が接続され、吸気マニホールド14はサージタンク22に接続されている。吸気マニホールド14の出口には吸気弁18が設けられ、排気マニホールド16の入口には排気弁20が設けられている。サージタンク22には、吸気の圧力を計測する吸気圧センサ(MAPセンサ)24、及び吸気の温度を計測する吸気温センサ26が設けられている。
低圧燃料供給管42及び吸気通路インジェクタ46で低圧燃料系統(第2燃料噴射手段)を構成している。
低圧燃料ポンプ40によって低圧燃料供給管42に吐出された燃料は、高圧燃料ポンプ50に送られると共に、低圧燃料分配管48を介して吸気マニホールド14の各吸気通路に吸気通路インジェクタ46を介して供給される。
筒内インジェクタ44、高圧燃料ポンプ50、高圧燃料供給管53及び高圧燃料分配管54で高圧燃料系統(第1燃料噴射手段)を構成している。
アイドルストップ部・スタート68は、点火プラグ66及びスタータ34等の作動を制御し、車速が零となり、ブレーキの踏込みがあり、アクセル操作量が零であり、かつレバーが運転レンジに設定されている等のアイドルストップ条件が成立したとき、エンジン10を停止する。また、アイドルストップ条件が解除されたとき、エンジン10を再始動させる。
図3において、まず、クランク角センサ36により、各気筒12a〜12dが停止状態にあるときのクランク角を計測する(S10)。図4に、クランク角と各気筒12a〜12d(直列4気筒)の燃焼サイクル中の行程との相関関係を示す。点火順序は、12a、12c、12d、12bの順で点火される。
そして、ほとんど同時に、ECU60の指令で点火プラグ66が作動し、S18で気筒内に噴射された燃料が点火され、燃焼行程が開始される(S24)。S18からS24までの工程は極めて短時間に行われる。
一方、筒内インジェクタ44からの噴射であれば、吸気ポート等に付着する燃料を考慮しなくて良い。従って、吸気通路インジェクタ46の噴射に比べより少ない燃料量で自動再始動が可能であり、燃料消費(燃費)を抑えることができる。
また、該計測値が該閾値に達しないときは、筒内圧が低い吸気行程後半又は圧縮行程前半の気筒に燃料を噴射させることで、燃圧が低い場合でも、気筒内への燃料噴射が容易になる。
次に、本発明の第2実施形態を図6により説明する。本実施形態は、前記第1実施形態において、S24の後で、吸気温センサ26で吸気温度を計測し、この計測値に応じて、
筒内インジェクタ44から吸気通路インジェクタ46に切り換える燃焼サイクル数(行程数)を可変させている(S25)。その他の動作手順(S10〜24及びS26〜S32)は第1実施形態と同一である。また、エンジン及びECU等の装置構成及びアイドルストップ解除の他の動作手順は第1実施形態と同一である。
12a、12b、12c、12d 気筒
14 吸気マニホールド
16 排気マニホールド
18 吸気弁
20 排気弁
22 サージタンク
24 吸気圧センサ
26 吸気温センサ
28 ピストン
30 クランク室
32 クランク軸
34 スタータ
36 クランク角センサ
37 回転数センサ
38 燃料タンク
40 低圧燃料ポンプ
42 低圧燃料供給管(第2燃料噴射手段)
44 筒内インジェクタ
46 吸気通路インジェクタ
48 低圧燃料分配管(第2燃料噴射手段)
50 高圧燃料ポンプ
52 カム機構
53 高圧燃料供給管(第1燃料噴射手段)
54 高圧燃料分配管(第1燃料噴射手段)
56 燃圧センサ
58 車載バッテリ
60 ECU
62 イグニッション・スィッチ
64 リレー
66 点火プラグ
68 アイドルストップ・スタート部(自動再始動手段)
70 燃料噴射制御部
c 燃焼室
Claims (6)
- 内燃機関の気筒内に燃料を噴射する第1燃料噴射手段と、
前記内燃機関の吸気通路に燃料を噴射する第2燃料噴射手段と、
前記内燃機関を自動で再始動させる自動再始動手段と
を有する内燃機関の燃料噴射装置において、
前記内燃機関の自動再始動時に前記第1燃料噴射手段に残留している燃料を噴射させた後にクランク軸の回転を開始させて前記内燃機関を自動再始動させ、所定条件が成立すると前記第2燃料噴射手段から燃料噴射を開始させる燃料噴射制御手段を備え、
前記内燃機関は、
前記吸気通路の吸気圧力を計測する吸気圧センサをさらに備え、
前記所定条件には、前記吸気圧センサで計測された吸気圧力の値が含まれ、前記吸気圧力の値が所定吸気圧力値以下である場合に前記所定条件が成立する、
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記内燃機関は、
クランク角を計測し前記内燃機関の行程を検知するクランク角センサをさらに備え、
前記所定条件には、前記クランク角センサでクランク角を計測し、検知される前記内燃機関の行程が含まれ、前記内燃機関の再始動後、所定行程数経過したことが検知された場合に前記所定条件が成立する、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記内燃機関は、
前記吸気通路の吸気の温度を計測する吸気温センサをさらに備え、
前記燃料噴射制御手段は、前記吸気温センサで計測された吸気温度が高いほど前記所定行程数を増加させて前記第2燃料噴射手段からの燃料噴射を開始させるものであることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記内燃機関は、
前記第1燃料噴射手段に供給される燃料の圧力を計測する燃圧センサをさらに備え、
前記燃料噴射制御手段は、前記燃圧センサにより計測された前記残留している燃料の燃圧が所定圧力値以上の場合には、前記自動再始動の際に前記クランク角センサによって圧縮行程にある気筒から前記第1燃料噴射手段から燃料噴射を開始させることを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の燃料噴射装置。 - 前記燃料噴射制御手段は、前記燃圧センサにより計測された前記残留している燃料の燃圧が所定圧力値未満の場合には、前記自動再始動の際に前記クランク角センサによって吸気行程後半又は圧縮行程前半にある気筒から前記第1燃料噴射手段から燃料噴射を開始させることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
- 前記内燃機関は前記第1燃料噴射手段に燃料を供給するポンプを備え、
前記クランク軸の回転の開始とともに、前記ポンプの稼働を開始させ、
前記第2燃料噴射手段から燃料の噴射を開始させた後に、前記ポンプを停止させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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