JP2005048626A - ガソリンエンジン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】このガソリンエンジン(エンジン1)は、ポート噴射型シリンダ(第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4)と筒内噴射型シリンダ(第1シリンダC1)とを備えて構成される。MGエコランを採用した車両にエンジン1を搭載した場合、エンジン1の自動停止時にモータジェネレータを通じて第1シリンダC1のピストンを圧縮行程の所定位置で停止させるとともに、エンジン1の自動再始動の開始に応じて第1インジェクタI1による燃料噴射を行う。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガソリンエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のガソリンエンジンとして、ポート噴射型エンジンが知られている。
ポート噴射型エンジンは、通常の車両に加えてエコノミーランニングシステムを採用した車両(エコラン車両)においても広く採用されている。
【0003】
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下に示す特許文献1が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−328979号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ポート噴射型エンジンは、吸気通路内に噴射された燃料を負圧によりシリンダ内へ吸入させる燃料供給構造を有するため、エンジンの始動動作を開始してから完了させるまでに若干の時間を要することが問題となる。
【0006】
特に、ドライバビリティを維持するうえでエンジンの自動再始動の早期完了が要求されるエコラン車両においては、上記始動性に関する問題がより一層懸念される。
【0007】
こうした問題を解消するためにより高い始動性能を備えたエンジンを製造することが考えられるが、エンジンの開発には膨大なコスト及び工数がかかるため、同エンジンの製造に際しては既存のポート噴射型エンジンを流用することが望まれる。
【0008】
なお、こうした始動性に関する問題は、車両に搭載されるエンジンに限られずその他の輸送手段搭に搭載されるエンジンおいても同様のことがいえる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存のポート噴射型エンジンを流用して製造可能であるとともに早期始動の実現に適したガソリンエンジンを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、ガソリンエンジンにおいてポート噴射機構を有するポート噴射型シリンダと筒内噴射機構を有する筒内噴射型シリンダとを備えたことを要旨としている。
【0010】
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型シリンダと筒内噴射型シリンダとを備えて構成される。こうした構成のガソリンエンジンにおいては、エンジンの停止時に筒内噴射型シリンダのピストンを圧縮行程で停止させるとともにエンジンの始動動作の開始に応じて筒内噴射型シリンダへ燃料噴射を行うことにより、エンジンの早期始動を実現することができるようになる。また、ポート噴射型シリンダと筒内噴射型シリンダとを備えた構成を採用しているため、既存のポート噴射型エンジンを流用して当該ガソリンエンジンを製造することができるようになる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のガソリンエンジンにおいて、前記筒内噴射型シリンダを1つ備えたことを要旨としている。
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型シリンダと1つの筒内噴射型シリンダとを備えて構成される。これにより、既存のポート噴射型エンジンを流用して当該ガソリンエンジンを製造する際、ポート噴射型エンジンからの構成の変更を極力少なくすることができるようになる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のガソリンエンジンにおいて、前記筒内噴射型シリンダを複数備えたことを要旨としている。
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型シリンダと複数の筒内噴射型シリンダとを備えて構成される。こうした構成を採用した場合には、エンジンの停止時に複数の筒内噴射型シリンダのうち、いずれかのシリンダのピストンを圧縮行程で停止させることによりエンジンの早期始動を実現することが可能となるため、エンジンの停止にかかる時間を短くすることができるようになる。
【0013】
請求項4記載の発明は、ガソリンエンジンにおいてポート噴射機構を有するポート噴射型シリンダとポート噴射機構及び筒内噴射機構を有する複合型シリンダとを備えたことを要旨としている。
【0014】
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型シリンダと複合型シリンダとを備えて構成される。こうした構成のガソリンエンジンにおいては、エンジンの停止時に複合型シリンダのピストンを圧縮行程で停止させるとともにエンジンの始動動作の開始に応じて複合型シリンダへ燃料噴射を行うことにより、エンジンの早期始動を実現することができるようになる。また、ポート噴射型シリンダと複合型シリンダとを備えた構成を採用しているため、既存のポート噴射型エンジンを流用して当該ガソリンエンジンを製造することができるようになる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のガソリンエンジンにおいて、前記複合型シリンダを1つ備えたことを要旨としている。
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型シリンダと1つの複合型シリンダとを備えて構成される。これにより、既存のポート噴射型エンジンを流用して当該ガソリンエンジンを製造する際、ポート噴射型エンジンからの構成の変更を極力少なくすることができるようになる。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項4記載のガソリンエンジンにおいて、前記複合型シリンダを複数備えたことを要旨としている。
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型シリンダと複数の複合型シリンダとを備えて構成される。こうした構成を採用した場合には、エンジンの停止時に複数の複合型シリンダのうち、いずれかのシリンダのピストンを圧縮行程で停止させることによりエンジンの早期始動を実現することが可能となるため、エンジンの停止にかかる時間を短くすることができるようになる。
【0017】
請求項7記載の発明は、複数のシリンダを備えたポート噴射型のガソリンエンジンにおいて、前記複数のシリンダのうち、所定数のシリンダの燃料噴射機構を筒内噴射機構としたことを要旨としている。
【0018】
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型のガソリンエンジンに備えられるシリンダのうち、所定数のシリンダの燃料噴射機構を筒内噴射機構としたことにより構成される。こうした構成のガソリンエンジンにおいても、上記請求項1記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。なお、上記所定数のシリンダは、「1」から全シリンダ数未満の間で適宜変更することができる。
【0019】
請求項8記載の発明は、複数のシリンダを備えたポート噴射型のガソリンエンジンにおいて、前記複数のシリンダのうち、所定数のシリンダに燃料噴射機構として筒内噴射機構をさらに備えたことを要旨としている。
【0020】
上記構成によれば、当該ガソリンエンジンは、ポート噴射型のガソリンエンジンに備えられるシリンダのうち、所定数のシリンダに燃料噴射機構として筒内噴射機構さらに追加したことにより構成される。こうした構成のガソリンエンジンにおいても、上記請求項4記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。なお、上記所定数のシリンダは、「1」から全シリンダ数未満の間で適宜変更することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図11を参照して説明する。
【0022】
本実施形態では、エコノミーランニングシステム(エコランシステム)を採用した車両(エコラン車両)に当該ガソリンエンジンを搭載した場合を想定している。
【0023】
ちなみに、エコランシステムとしては、一般に以下の各システムが知られており、本実施形態のエコラン車両では、MGエコランシステムを採用している。
[イ]スタータモータによりエンジンの自動再始動を行うスタータエコランシステム。
[ロ]モータジェネレータ(MG)によりエンジンの自動再始動を行うMGエコランシステム。
【0024】
<エコラン車両の構成>
図1を参照して、エコラン車両の構成について説明する。
まず、エコラン車両(車両)Cの動力伝達系統を構成する各要素の機能について説明する。
【0025】
ガソリンエンジン(エンジン)1は、混合気の燃焼を通じてクランクシャフト11を駆動する。
モータジェネレータ2は、エンジン1の始動時にモータとして駆動する一方、エンジン1の運転中にはジェネレータとして駆動する。
【0026】
バッテリ3は、モータジェネレータ2がモータとして用いられる際に電力を供給する一方、モータジェネレータ2が発電機として用いられる際には発電された電力により充電される。
【0027】
トランスミッション4は、エンジン1からドライブシャフト5へ動力を伝達する。
ドライブシャフト5は、トランスミッション4からの動力により駆動輪6を回転駆動する。
【0028】
電子制御装置(ECU)7は、エンジン1をはじめとして車両Cを統括的に制御する。
イグニッションスイッチ8は、エンジン1の停止中に「START」位置へ切り替えられることによりエンジン1の運転を開始する一方で、エンジン1の運転中に「OFF」(あるいは「ACC」)へ切り替えられることによりエンジン1の運転を停止する。
【0029】
次に、エンジン1の検出系を構成する各センサについて説明する。なお、検出系を通じて検出された各データは、ECU7へ入力される。
エンジン水温センサS1は、エンジン本体12の冷却水の温度(冷却水温度THw)を検出する。
【0030】
ブレーキセンサS2は、車両Cのブレーキの操作量(ブレーキ操作量Brk)を検出する。
ブレーキ圧センサS3は、運転者を通じてブレーキへ加えられている踏力(ブレーキ踏力Bld)を検出する。
【0031】
アクセルセンサS4は、車両Cのアクセルの操作量(アクセル操作量Accl)を検出する。
車速センサS5は、車両Cの走行速度(車速Vsp)を検出する。
【0032】
回転速度センサS6は、クランクシャフト11の回転速度(エンジン回転速度Ne)を検出する。
クランクポジションセンサS7は、クランクシャフト11の回転位相(クランク角度Ca)を検出する。
【0033】
バッテリセンサS8は、バッテリ3の充電状態(充電量SOC)を検出する。
シフトポジションセンサS9は、車両Cのシフトレバーの位置(シフトポジションSp)を検出する。
【0034】
<エンジンの構成>
図2を参照して、エンジン1の構成について説明する。なお、図2は、エンジン1の本体を含めた吸排気系統の構成を模式的に示している。
【0035】
エンジン1の構成は、ポート噴射型エンジンに備えられる複数のシリンダのうち、所定数(本実施形態では「1」)のシリンダの燃料噴射機構をポート噴射機構から筒内噴射機構へ変更した構成に相当する。
【0036】
エンジン本体12は、4つのシリンダ(第1シリンダC1、第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4)を備えている。
第1シリンダC1は、燃料噴射機構として筒内噴射機構を有する。
【0037】
第2シリンダC2は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第3シリンダC3は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第4シリンダC4は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
【0038】
第1シリンダC1は、筒内噴射型シリンダに相当する。
第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4は、ポート噴射型シリンダに相当する。
【0039】
第1インジェクタI1は、第1シリンダC1へ燃料を供給する。
第2インジェクタI2は、第2シリンダC2へ燃料を供給する。
第3インジェクタI3は、第3シリンダC3へ燃料を供給する。
【0040】
第4インジェクタI4は、第4シリンダC4へ燃料を供給する。
各インジェクタによる燃料の噴射タイミング及び燃料の噴射量は、ECU7により制御される。
【0041】
エンジン1の吸排気系統の構成について説明する。
吸気通路Riは、外気をエンジン1へ吸入する。
吸気通路Riは、対応したシリンダに接続されている4つの通路(第1吸気通路Ri1、第2吸気通路Ri2、第3吸気通路Ri3、及び第4吸気通路Ri4)から構成されている。
【0042】
第1吸気通路Ri1は、第1シリンダC1へ外気を供給する。
第2吸気通路Ri2は、第2シリンダC2へ外気を供給する。
第3吸気通路Ri3は、第3シリンダC3へ外気を供給する。
【0043】
第4吸気通路Ri4は、第4シリンダC4へ外気を供給する。
排気通路Roは、各シリンダの排気をエンジン1から排出する。
排気通路Roは、対応したシリンダに接続されている4つの通路(第1排気通路Ro1、第2排気通路Ro2、第3排気通路Ro3、及び第4排気通路Ro4)から構成されている。
【0044】
第1排気通路Ro1は、第1シリンダC1の排気を排出する。
第2排気通路Ro2は、第2シリンダC2の排気を排出する。
第3排気通路Ro3は、第3シリンダC3の排気を排出する。
【0045】
第4排気通路Ro4は、第4シリンダC4の排気を排出する。
<各シリンダの燃料供給構造>
図3を参照して、第1シリンダC1の燃料供給構造について説明する。なお、図3は、第1シリンダC1の吸気及び排気ポート近傍の構成を示している。
【0046】
第1インジェクタI1は、筒内噴射機構に対応した構成を有している。この第1インジェクタI1を通じて、第1シリンダC1の燃焼室Cr内へ燃料を噴射供給することが可能となっている。
【0047】
図4を参照して、第2シリンダC2の燃料供給構造について説明する。なお、図4は、第2シリンダC2の吸気及び排気ポート近傍の構成を示している。
第2インジェクタI2は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。この第2インジェクタI2を通じて、第2シリンダC2の吸気ポートCpよりも上流側(第2吸気通路Ri2内)へ燃料を噴射供給することが可能となっている。
【0048】
なお、第3シリンダC3及び第4シリンダC4の燃料供給構造は、第2シリンダC2の燃料供給構造と同様となっている。
<エコラン制御>
次に、エンジン1の制御態様について説明する。
【0049】
車両Cにおいては、ECU7を通じて「エコラン制御」が行われる。
「エコラン制御」は、以下の各処理から構成される。
[a]車両Cの走行中にエンジン1を自動停止するための「エンジン自動停止処理」。
[b]自動停止中のエンジン1を自動再始動するための「エンジン自動再始動処理」。
【0050】
なお、エンジン1の自動停止とは、所定の停止条件が満たされたときにイグニッションスイッチ8の切替操作を介することなくエンジン1の運転を停止する処理を示す。また、エンジン1の自動再始動とは、所定の始動条件が満たされたときにイグニッションスイッチ8の切替操作を介することなくエンジン1の運転を開始する処理を示す。以下、「エンジン自動停止処理」及び「エンジン自動再始動処理」について説明する。
【0051】
<エンジン自動停止処理>
「エンジン自動停止処理」は、以下の各処理から構成される。
[1]「基幹自動停止処理」(図5)。
[2]「自動停止判定処理」(図6)。
[3]「自動停止制御処理」(図7)。
【0052】
図5〜図7を参照して、「エンジン自動停止処理」について説明する。
本処理は、エンジン1の始動にともなって開始される(図5)。
[ステップS100]エンジン1を自動停止するための条件が満たされているか否かを判定するための「自動停止判定処理」(図6)を開始する。
【0053】
[ステップS101]冷却水温度THwが所定の温度範囲内にあるか否か(冷却水温度THwが所定の下限温度THwl以上且つ所定の上限温度THwu未満か否か)を判定する。即ち、下記条件
THwu>THw≧THwl
が満たされているか否かを判定する。
【0054】
冷却水温度THwが所定の温度範囲内のときは、ステップS102の処理へ移行する。
冷却水温度THwが所定の温度範囲外のときは、ステップS107の処理へ移行する。
【0055】
[ステップS102]エンジン回転速度Neが所定の回転速度Nex未満か否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nex
が満たされているか否かを判定する。
【0056】
エンジン回転速度Neが所定の回転速度Nex未満のときは、ステップS103の処理へ移行する。
エンジン回転速度Neが所定の回転速度Nex以上のときは、ステップS107の処理へ移行する。
【0057】
[ステップS103]ブレーキ操作量Brkが所定の操作量Brkx以上か否かを判定する。即ち、下記条件
Brk≧Brkx
が満たされているか否かを判定する。
【0058】
ブレーキ操作量Brkが所定の操作量Brkx以上のときは、ステップS104の処理へ移行する。
ブレーキ操作量Brkが所定の操作量Brkx未満のときは、ステップS107の処理へ移行する。
【0059】
[ステップS104]車速Vspが「0」か否かを判定する。即ち、下記条件
Vsp=0
が満たされているか否かを判定する。
【0060】
車速が「0」のときは、ステップS105の処理へ移行する。
車速が「0」より大きいときは、ステップS107の処理へ移行する。
[ステップS105]充電量SOCが所定の充電量SOCx以上か否かを判定する。即ち、下記条件
SOC≧SOCx
が満たされているか否かを判定する。
【0061】
充電量SOCが所定の充電量SOCx以上のときは、ステップS106の処理へ移行する。
充電量SOCが所定の充電量SOCx未満のときは、ステップS107の処理へ移行する。
【0062】
[ステップS106]ステップS101〜S105の判定条件のすべてが満たされているとき、エンジン1の自動停止を許可して「基幹自動停止処理」(図5)へ復帰する。
【0063】
[ステップS107]ステップS101〜S105の判定条件のうち1つでも満たされていない条件があるとき、エンジン1の自動停止を禁止して「基幹自動停止処理」(図5)へ復帰する。
【0064】
[ステップS200]エンジン1の自動停止が許可されているか否かを判定する。
エンジン1の自動停止が許可されているときは、ステップS300の処理へ移行する。
【0065】
エンジン1の自動停止が禁止されているときは、ステップS100の処理へ移行する(「自動停止判定処理」(図6)を再度実行する)。
[ステップS300]エンジン1を自動停止するための「自動停止制御処理」(図7)を開始する。
【0066】
[ステップS301]インジェクタによる燃料噴射を停止するフューエルカット、及びイグニッションプラグによる点火を停止する点火カットを行う。
[ステップS302]第1シリンダC1のピストンを圧縮行程の所定位置に停止させるための圧縮行程停止制御(以下の[a]及び[b])を行う。
[a]クランクポジションセンサS7の検出データに基づいて、第1シリンダC1のピストンの位置を検出する。
[b]第1シリンダC1のピストンの位置が圧縮行程の所定位置(エンジン1の始動時にピストンの圧縮反力が小さくなる位置)のときにエンジン1が停止するように、モータジェネレータ2によりクランクシャフト11の回転位相を調整する。
【0067】
[ステップS303]第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているか否かを判定する。
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているときは、ステップS304の処理へ移行する。
【0068】
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止していないときは、ステップS302の処理を継続して行う。
[ステップS304]モータジェネレータ2を停止して、本処理を終了する。
【0069】
このように、「エンジン自動停止処理」によれば、エンジン1の自動停止条件が満たされているとき、第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止するようにクランクシャフト11の回転位相が調整された後、エンジン1が停止される。
【0070】
<エンジン自動再始動処理>
「エンジン自動再始動処理」は、以下の各処理から構成される。
[1]「基幹自動再始動処理」(図8)。
[2]「自動再始動判定処理」(図9)。
[3]「自動再始動制御処理」(図10)。
【0071】
図8〜図10を参照して、「エンジン自動再始動処理」について説明する。
本処理は、エンジン1の自動停止にともなって開始される(図8)。
[ステップT100]エンジン1を自動再始動するための条件が満たされているか否かを判定するための「自動再始動判定処理」(図9)を開始する。
【0072】
[ステップT101]ブレーキ踏力Bldの低下量(踏力低下量△Bld)が所定の低下量△Bldx以上か否かを判定する。即ち、下記条件
△Bld≧△Bldx
が満たされているか否かを判定する。
【0073】
ブレーキ踏力Bldの低下量(踏力低下量△Bld)が所定の低下量△Bldx以上のときは、ステップS102の処理へ移行する。
ブレーキ踏力Bldの低下量(踏力低下量△Bld)が所定の低下量△Bldx未満のときは、ステップS105の処理へ移行する。
【0074】
[ステップT102]シフトポジションSpが「N」レンジであるか否かを判定する。即ち、下記条件
Sp=「N」
が満たされているか否かを判定する。
【0075】
シフトポジションSpが「N」レンジのときは、ステップT103の処理へ移行する。
シフトポジションSpが「N」レンジ以外(走行レンジ)のときは、ステップT104の処理へ移行する。なお、シフトポジションSpが「N」レンジ及び走行レンジ以外のレンジにあるときは、ステップT105の処理へ移行する。
【0076】
[ステップT103]車速Vspが所定の車速Vspx以上か否かを判定する。即ち、下記条件
Vsp≧Vspx
が満たされているか否かを判定する。
【0077】
車速Vspが所定の車速Vspx以上のときは、ステップS104の処理へ移行する。
車速Vspが所定の車速Vspx未満のときは、ステップS105の処理へ移行する。
【0078】
[ステップT104]エンジン1の自動再始動を許可して「基幹自動再始動処理」(図8)へ復帰する。
[ステップT105]エンジン1の自動再始動を禁止して「基幹自動再始動処理」(図8)へ復帰する。
【0079】
[ステップT200]エンジン1の自動再始動が許可されているか否かを判定する。
エンジン1の自動再始動が許可されているときは、ステップT300の処理へ移行する。
【0080】
エンジン1の自動再始動が禁止されているときは、ステップT100の処理へ移行する(「自動再始動判定処理」(図9)を再度実行する)。
[ステップT300]エンジン1を自動再始動するための「自動再始動制御処理」(図10)を開始する。
【0081】
[ステップT301]モータジェネレータ2によるクランキング、及び第1インジェクタI1による第1シリンダC1内への燃料噴射を開始する。なお、モータジェネレータ2によるクランキングは、クランキングの期間が所定の期間以上となったときに終了する。
【0082】
[ステップT302]第1シリンダC1のピストンが所定の位置(点火開始位置)に達したとき、イグニッションプラグによる混合気の点火を行う。
[ステップT303]通常のエンジン制御へ移行する。
【0083】
このように、「エンジン自動再始動処理」によれば、エンジン1の自動再始動条件が満たされているとき、自動再始動の開始時に圧縮行程の状態にある第1シリンダC1から混合気の燃焼が開始される。
【0084】
<作用効果>
次に、本実施形態のガソリンエンジンを通じて奏せられる作用効果について説明する。
【0085】
〔1〕本実施形態では、ポート噴射型シリンダ及び筒内噴射型シリンダを備えたエンジン構成を採用しているため、エンジン1の製造に際して既存のポート噴射型エンジンを流用することができるようになる。
【0086】
〔2〕本実施形態では、第1シリンダC1のみに筒内噴射機構を採用しているため、既存のポート噴射型エンジンからの構成の変更を極力少なくすることができるようになる。
【0087】
〔3〕本実施形態では、エンジン1の自動停止に際して第1シリンダC1のピストンを圧縮行程で停止させるとともに、エンジン1の自動再始動の開始に応じて第1シリンダC1から混合気の燃焼を開始するようにしている。
【0088】
これにより、エンジン1の自動再始動において、モータジェネレータ2によるクランキングの期間が短縮されるため、エンジン1の自動再始動を早期に完了することができるようになる。即ち、エンジン1の自動再始動時において、混合気の燃焼が行われるまでに必要となるクランクシャフト11の回転数が1回転未満(半回転程度)となるため、エンジン1の早期自動再始動が実現されるようになる。
【0089】
〔4〕モータジェネレータは、回転速度が上昇すると駆動トルクが低下するといった特性を有するため、MGエコランを採用した車両においては、モータジェネレータによるクランキング期間が長い場合、駆動トルクの低下による始動性の悪化が懸念される。
【0090】
この点、本実施形態においては、上記[イ]及び[ロ]の構成を通じてモータジェネレータ2によるクランキングの期間が短縮されるようにしているため、こうしたモータジェネレータ2の特性に起因する懸念についてもあわせて解消することができるようになる。
【0091】
〔5〕MGエコランを採用している車両においては、スタータモータに比べて駆動トルクの小さいモータジェネレータを通じてエンジンの自動再始動が行われるため、スタータエコランを採用している車両に比べて自動再始動の遅延がより一層懸念される。
【0092】
モータジェネレータの駆動トルクを増大させる方法としては、例えば「モータジェネレータのステータを大きくする」といったことが考えられるが、この場合は、モータジェネレータの大型化をまねくため好ましい対策とは言い難い。
【0093】
この点、本実施形態においては、上記[イ]及び[ロ]の構成を採用しているため、既存のモータジェネレータを搭載した車両においてもエンジンの早期自動再始動を実現することができるようになる。
【0094】
〔6〕本実施形態においては、エンジン1の自動停止に際し、第1シリンダC1のピストンをエンジン1の始動時にピストンの圧縮反力が小さくなる位置へ停止させるようにしているため、エンジン1の自動再始動をより早期に完了することができるようになる。
【0095】
〔7〕通常のポート噴射型エンジンを搭載したエコラン車両においても、自動再始動の開始時に圧縮行程の状態にあるシリンダから混合気の燃焼を開始することにより早期自動再始動を実現することが可能となる。
【0096】
ただし、この場合には、エンジンの自動再始動に備えて、自動停止の実行中に特定のシリンダに対して予め燃料を供給しておく必要がある。
こうした構成を採用した場合、エンジンの自動停止中にイグニッションスイッチが「ON」から「OFF」(あるいは「ACC」)へ切り替えられたことにより、次回のエンジン始動時にシリンダ内の未燃燃料が排出されることも考えられるため、こうした未燃燃料への対策を講じる必要が生じる。
【0097】
この点、本実施形態においては、第1シリンダC1に筒内噴射機構を採用することにより、エンジン1の自動再始動の開始時に第1シリンダC1への燃料噴射が行われるようにしているため、上述したような問題をまねくことなくエンジン1の早期自動再始動を実現することができるようになる。
【0098】
<制御態様の一例>
次に、図11を参照して、「エコラン制御」による車両Cの制御態様の一例について説明する。
【0099】
時刻t111において、エンジン1の自動停止条件が満たされたとする(図11:〔a〕)。このとき以下の各処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグの停止」。
〔d〕「インジェクタの停止」。
〔e〕「モータジェネレータ2による第1シリンダC1のピストン停止位置の調整」。
【0100】
時刻t112において、第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔e〕「モータジェネレータ2の停止」。
【0101】
時刻t113において、エンジン1の自動再始動条件が満たされたとする(図11:〔b〕)。このとき、以下の各処理が行われる。
〔d〕「第1インジェクタI1による燃料噴射」。
〔e〕「モータジェネレータ2によるクランキング」。
【0102】
時刻t114において、第1シリンダC1のピストンが点火位置に達したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグによる第1シリンダC1内の混合気の燃焼」。
【0103】
時刻t114以降は、通常のエンジン制御が行われる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第1実施形態にかかるガソリンエンジンによれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
【0104】
(1)本実施形態では、ポート噴射型シリンダ及び筒内噴射型シリンダを備えてエンジン1を構成するようにしている。これにより、エンジン1の製造に際して既存のポート噴射型エンジンを流用することができるようになる。
【0105】
(2)また、コストの上昇を好適に抑制することができるようになる。
(3)本実施形態では、エンジン1の自動停止に際して第1シリンダC1のピストンを圧縮行程で停止させるとともに、エンジン1の自動再始動の開始に応じて第1シリンダC1から混合気の燃焼を開始するようにしている。これにより、エンジン1の自動再始動を早期に完了させることができるようになる。
【0106】
(4)また、既存のモータジェネレータを流用してエンジン1の早期自動再始動を実現することができるようになる。
(5)また、モータジェネレータ2によるクランキングの期間が短縮されることにより、モータジェネレータ2の駆動トルクの低下に起因するエンジン1の再始動性の悪化を好適に回避することができるようになる。
【0107】
(6)本実施形態では、エンジン1の自動停止に際し、第1シリンダC1のピストンをエンジン1の始動時にピストンの圧縮反力が小さくなる位置へ停止させるようにしている。これにより、エンジン1の自動再始動をより早期に完了することができるようになる。
【0108】
(7)本実施形態では、第1シリンダC1のみに筒内噴射機構を採用するようにしている。これにより、既存のポート噴射型エンジンからの構成の変更を極力少なくすることができるようになる。
【0109】
(8)また、燃料噴射機構の変更にともなシステム構成等の変更を極力抑制することができるようになる。
<変更例>
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0110】
・上記第1実施形態では、「自動停止制御処理」(図7)を通じてエンジン1の自動停止を行う構成としたが、「自動停止制御処理」としては図7にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。要するに、エンジン1の自動停止条件が満たされているとき、筒内噴射機構を有するシリンダ(第1シリンダC1)のピストンを圧縮行程の所定位置で停止させる構成であれば、「自動停止制御処理」の構成は適宜変更可能である。
【0111】
・上記第1実施形態では、「エコラン制御」の一環として「自動再始動制御処理」(図10)を行う構成としたが、「自動再始動制御処理」としては図10にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。
【0112】
・上記第1実施形態では、第1シリンダC1に筒内噴射機構を採用する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、第1シリンダC1に代えて、第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4のいずれか1つに対して筒内噴射機構を採用することもできる。
【0113】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図12〜図15を参照して説明する。
本実施形態は、先の第1実施形態と同様にエコラン車両(MGエコランを採用した車両)に当該ガソリンエンジンを搭載した場合を想定している。
【0114】
車両は、前記第1実施形態の車両(図1)と同様の構成を有する。
<エンジンの構成>
図12を参照して、エンジン1の構成について説明する。なお、図12は、エンジン1の本体を含めた吸排気系統の構成を模式的に示している。
【0115】
エンジン1の構成は、ポート噴射型エンジンに備えられる複数のシリンダのうち、所定数(本実施形態では「2」)のシリンダの燃料噴射機構をポート噴射機構から筒内噴射機構へ変更した構成に相当する。
【0116】
エンジン本体12は、4つのシリンダ(第1シリンダC1、第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4)を備えている。
第1シリンダC1は、燃料噴射機構として筒内噴射機構を有する。
【0117】
第2シリンダC2は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第3シリンダC3は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第4シリンダC4は、燃料噴射機構として筒内噴射機構を有する。
【0118】
第1シリンダC1及び第4シリンダC4は、筒内噴射型シリンダに相当する。
第2シリンダC2及び第3シリンダC3は、ポート噴射型シリンダに相当する。
【0119】
各シリンダの点火時期は、「第1シリンダC1−第3シリンダC3−第4シリンダC4−第2シリンダC2」の順に設定されている。
なお、各シリンダの点火時期は、1つめの筒内噴射型シリンダの点火時期と2つめの筒内噴射型シリンダとの点火時期が、全シリンダの点火時期において等間隔となるように設定することが望ましい(本実施形態においては、第1シリンダC1と第4シリンダC4との点火時期が等間隔となるように全シリンダの点火時期を設定している)。
【0120】
第1インジェクタI1は、筒内噴射機構に対応した構成を有している。
第2インジェクタI2は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
第3インジェクタI3は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
【0121】
第5インジェクタI5は、筒内噴射機構に対応した構成を有している。この第5インジェクタI5を通じて、第4シリンダC4の燃焼室Cr内へ燃料を噴射供給することが可能となっている。
【0122】
各インジェクタによる燃料の噴射タイミング及び燃料の噴射量は、ECU7により制御される。
次に、エコランシステムによるエンジン1の制御態様について説明する。
【0123】
車両Cにおいては、ECU7を通じて「エコラン制御」が行われる。
<エンジン自動停止処理>
「エンジン自動停止処理」は、以下の各処理から構成される。
[1]「基幹自動停止処理」(図5)。
[2]「自動停止判定処理」(図6)。
[3]「自動停止制御処理」(図13)。
【0124】
「基幹自動停止処理」について説明する。
本処理は、エンジン1の始動にともなって開始される(図5)。
ステップS100〜ステップS200までの処理は、前記第1実施形態と同様の態様をもって行われる。
【0125】
ステップS300において、エンジン1を自動停止するための「自動停止制御処理」(図13)を開始する。
[ステップU301]インジェクタによる燃料噴射を停止するフューエルカット、及びイグニッションプラグによる点火を停止する点火カットを行う。
【0126】
[ステップU302]クランクポジションセンサS7の検出データに基づいて、第1シリンダC1と第4シリンダC4とのいずれが先に圧縮行程となるかを判定する(ここでは、第4シリンダC4が先に圧縮行程となるシリンダとする)。
【0127】
[ステップU303]第4シリンダC4(「自動停止制御処理」の開始後、先に圧縮行程となるシリンダ)のピストンを圧縮行程の所定位置に停止させるための圧縮行程停止制御(以下の[a]及び[b])を行う。
[a]クランクポジションセンサS7の検出データに基づいて、第4シリンダC4のピストンの位置を検出する。
[b]第4シリンダC4のピストンの位置が圧縮行程の所定位置(エンジン1の始動時にピストンの圧縮反力が小さくなる位置)のときにエンジン1が停止するように、モータジェネレータ2によりクランクシャフト11の回転位相を調整する。
【0128】
[ステップU304]第4シリンダC4のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているか否かを判定する。
第4シリンダC4のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているときは、ステップU307の処理へ移行する。
【0129】
第4シリンダC4のピストンが圧縮行程の所定位置で停止していないときは、ステップU305の処理を継続して行う。
[ステップU305]第1シリンダC1(「自動停止制御処理」の開始後、先に圧縮行程となるシリンダの次に圧縮行程となるシリンダ)のピストンを圧縮行程の所定位置に停止させるための圧縮行程停止制御(以下の[a]及び[b])を行う。
[a]クランクポジションセンサS7の検出データに基づいて、第1シリンダC1のピストンの位置を検出する。
[b]第1シリンダC1のピストンの位置が圧縮行程の所定位置(エンジン1の始動時にピストンの圧縮反力が小さくなる位置)のときにエンジン1が停止するように、モータジェネレータ2によりクランクシャフト11の回転位相を調整する。
【0130】
[ステップU306]第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているか否かを判定する。
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているときは、ステップU307の処理へ移行する。
【0131】
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止していないときは、ステップU303の処理へ移行する。
[ステップU307]モータジェネレータ2を停止して、本処理を終了する。
【0132】
このように、「エンジン自動停止処理」によれば、エンジン1の自動停止条件が満たされているとき、第1シリンダC1あるいは第4シリンダC4のピストンが圧縮行程の所定位置で停止するようにクランクシャフト11の回転位相が調整された後、エンジン1が停止される。
【0133】
<エンジン自動再始動処理>
「エンジン自動再始動処理」は、以下の各処理から構成される。
[1]「基幹自動再始動処理」(図8)。
[2]「自動再始動判定処理」(図9)。
[3]「自動再始動制御処理」(図14)。
【0134】
「基幹自動再始動処理」について説明する。
本処理は、エンジン1の自動停止にともなって開始される(図8)。
ステップT100〜ステップT200までの処理は、前記第1実施形態と同様の態様をもって行われる。
【0135】
ステップT300において、エンジン1を自動再始動するための「自動再始動制御処理」(図14)を開始する。
[ステップV301]第1シリンダC1のピストンが圧縮行程で停止しているか否かを判定する。
【0136】
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程で停止しているとき、ステップV302の処理へ移行する。
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程で停止していないとき(第4シリンダC4のピストンが圧縮行程で停止しているとき)、ステップV304の処理へ移行する。
【0137】
[ステップV302]モータジェネレータ2によるクランキング、及び第1インジェクタI1による第1シリンダC1内への燃料噴射を開始する。なお、モータジェネレータ2によるクランキングは、クランキングの期間が所定の期間以上となったときに終了する。
【0138】
[ステップV303]第1シリンダC1のピストンが所定位置(点火開始位置)に達したとき、イグニッションプラグによる混合気の点火を行う。
[ステップV304]モータジェネレータ2によるクランキング、及び第5インジェクタI5による第4シリンダC4内への燃料噴射を開始する。なお、モータジェネレータ2によるクランキングは、クランキングの期間が所定の期間以上となったときに終了する。
【0139】
[ステップV305]第4シリンダC4のピストンが所定位置(点火開始位置)に達したとき、イグニッションプラグによる混合気の点火を行う。
[ステップV306]通常のエンジン制御へ移行する。
【0140】
このように、「エンジン自動再始動処理」によれば、エンジン1の自動再始動条件が満たされているとき、自動再始動の開始時に圧縮行程の状態にある第1シリンダC1あるいは第4シリンダC4から混合気の燃焼が開始される。
【0141】
次に、本実施形態のガソリンエンジンを通じて奏せられる作用効果について説明する。
本実施形態では、以下の構成を採用するようにしている。
[イ]筒内噴射機構を有する第1シリンダC1及び第4シリンダC4を備える。
[ロ]エンジン1の自動停止に際して第1シリンダC1及び第4シリンダC4のいずれかのピストンを圧縮行程で停止させる。
【0142】
ちなみに、第1シリンダC1のみに筒内噴射機構が採用されている場合、エンジン1の自動停止時に第1シリンダC1のピストンをそのときの圧縮行程で所定位置に停止させることができなかったとすると、次の圧縮行程までクランクシャフト11を回転させる必要が生じる。こうした場合には、エンジン1の自動停止の遅延をまねくようになる。
【0143】
この点、本実施形態においては、第1シリンダC1及び第4シリンダC4に筒内噴射機構を採用しているため、エンジン1の自動停止の遅延を好適に抑制することができるようになる。
【0144】
<制御態様の一例>
次に、図15を参照して、「エコラン制御」による車両Cの制御態様の一例について説明する。
【0145】
時刻t151において、エンジン1の自動停止条件が満たされたとする(図15:〔a〕)。このとき、以下の各処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグの停止」。
〔d〕「インジェクタの停止」。
〔e〕「モータジェネレータ2による第4シリンダC4のピストン停止位置の調整」。
【0146】
時刻t152において、第4シリンダC4のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しなかったことにより、時刻t153において、第1シリンダC1の圧縮行程が開始されたとする(図15:〔g〕〔h〕)。このとき、以下の処理が行われる。
〔e〕「モータジェネレータ2による第1シリンダC1のピストン停止位置の調整」。
【0147】
時刻t154において、第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔e〕「モータジェネレータ2の停止」。
【0148】
ちなみに、例えば第4シリンダC4のみに筒内噴射機構が採用されている場合は、第4シリンダC4が次に圧縮行程となる時刻t154aまでエンジン1の自動停止が遅延されるようになる。
【0149】
時刻t155において、エンジン1の自動再始動条件が満たされたとする(図15:〔b〕)。このとき、以下の各処理が行われる。
〔d〕「第1インジェクタI1による燃料噴射」。
〔e〕「モータジェネレータ2によるクランキング」。
【0150】
時刻t156において、第1シリンダC1のピストンが点火位置に達したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグによる第1シリンダC1内の混合気の燃焼」。
【0151】
時刻t156以降は、通常のエンジン制御が行われる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかるガソリンエンジンによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(6)の効果に準じた効果に加えて、さらに以下に示すような効果が得られるようになる。
【0152】
(9)本実施形態では、筒内噴射機構を有する第1シリンダC1及び第4シリンダC4を備えるとともに、エンジン1の自動停止に際して第1シリンダC1及び第4シリンダC4のいずれかのピストンを圧縮行程で停止させるようにしている。これにより、エンジン1の自動停止の遅延を好適に抑制することができるようになる。
【0153】
(10)本実施形態では、第1シリンダC1と第4シリンダC4との点火時期が等間隔となるように全シリンダの点火時期を設定している。これにより、エンジン1の自動停止の遅延をより好適に抑制することができるようになる。
【0154】
<変更例>
なお、上記第2実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0155】
・上記第2実施形態では、「自動停止制御処理」(図13)を通じてエンジン1の自動停止を行う構成としたが、「自動停止制御処理」としては図13にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。要するに、エンジン1の自動停止条件が満たされているときに、筒内噴射機構を有するシリンダ(第1シリンダC1あるいは第4シリンダC4)のピストンを圧縮行程の所定位置で停止させる構成であれば、「自動停止制御処理」の構成は適宜変更可能である。
【0156】
・上記第2実施形態では、「エコラン制御」の一環として「自動再始動制御処理」(図14)を行う構成としたが、「自動再始動制御処理」としては図14にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。
【0157】
・上記第2実施形態では、第1シリンダC1及び第4シリンダC4に筒内噴射機構を採用する構成としたが、筒内噴射機構を採用するシリンダの組み合わせは第1シリンダC1及び第4シリンダC4に限られず適宜の組み合わせに変更することができる。
【0158】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図16及び図17を参照して説明する。
本実施形態は、先の第1実施形態と同様にエコラン車両(MGエコランを採用した車両)に当該ガソリンエンジンを搭載した場合を想定している。
【0159】
車両は、前記第1実施形態の車両(図1)と同様の構成を有する。
<エンジンの構成>
図16を参照して、エンジン1の構成について説明する。なお、図16は、エンジン1の本体を含めた吸排気系統の構成を模式的に示している。
【0160】
エンジン1の構成は、ポート噴射型エンジンに備えられる複数のシリンダのうち、所定数(本実施形態では「1」)のシリンダに対して筒内噴射機構をさらに追加した構成に相当する。
【0161】
エンジン本体12は、4つのシリンダ(第1シリンダC1、第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4)を備えている。
第1シリンダC1は、燃料噴射機構として筒内噴射機構及びポート噴射機構を有する。
【0162】
第2シリンダC2は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第3シリンダC3は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第4シリンダC4は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
【0163】
第1シリンダC1は、複合型シリンダに相当する。
第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4は、ポート噴射型シリンダに相当する。
【0164】
第1インジェクタI1は、筒内噴射機構に対応した構成を有している。
第6インジェクタI6は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。この第6インジェクタI6を通じて、第1シリンダC1の吸気ポートCpよりも上流側へ燃料を噴射供給することが可能となっている。
【0165】
第2インジェクタI2は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
第3インジェクタI3は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
第4インジェクタI4は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
【0166】
各インジェクタによる燃料の噴射タイミング及び燃料の噴射量は、ECU7により制御される。
エンジン1の運転中、第1シリンダC1への燃料供給は、基本的には第6インジェクタI6を通じて行われる。即ち、エンジン1の運転中においては、通常のポート噴射型エンジンと同様の態様をもって各インジェクタによる燃料噴射が行われるようになる。
【0167】
次に、エコランシステムによるエンジン1の制御態様について説明する。
車両Cにおいては、ECU7を通じて「エコラン制御」が行われる。
<エンジン自動停止処理>
「エンジン自動停止処理」は、以下の各処理から構成される。なお、以下の各処理は、前記第1実施形態に準じた態様をもって行われる。
[1]「基幹自動停止処理」(図5)。
[2]「自動停止判定処理」(図6)。
[3]「自動停止制御処理」(図7)。
【0168】
<エンジン自動再始動処理>
「エンジン自動再始動処理」は、以下の各処理から構成される。なお、以下の各処理は、前記第1実施形態に準じた態様をもって行われる。
[1]「基幹自動再始動処理」(図8)。
[2]「自動再始動判定処理」(図9)。
[3]「自動再始動制御処理」(図10)。
【0169】
<制御態様の一例>
次に、図17を参照して、「エコラン制御」による車両Cの制御態様の一例について説明する。
【0170】
時刻t171において、エンジン1の自動停止条件が満たされたとする(図17:〔a〕)。このとき、以下の各処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグの停止」。
〔d〕「インジェクタの停止」。
〔e〕「モータジェネレータ2による第1シリンダC1のピストン停止位置の調整」。
【0171】
時刻t172において、第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔e〕「モータジェネレータ2の停止」。
【0172】
時刻t173において、エンジン1の自動再始動条件が満たされたとする(図17:〔b〕)。このとき、以下の各処理が行われる。
〔d〕「第1インジェクタI1による燃料噴射」。
〔e〕「モータジェネレータ2によるクランキング」。
【0173】
時刻t174において、第1シリンダC1のピストンが点火位置に達したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグによる第1シリンダC1内の混合気の燃焼」。
【0174】
時刻t174以降は、通常のエンジン制御が行われる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第3実施形態にかかるガソリンエンジンによれば、先の第1実施形態による前記(1)〜(8)の効果に準じた効果に加えて、さらに以下に示すような効果が得られるようになる。
【0175】
(11)本実施形態では、エンジン1の運転中、第6インジェクタI6を通じて第1シリンダC1における燃料噴射を行うようにしている。これにより、燃焼噴射に関するシステム構成の変更を極力少なくすることができるようになる。
【0176】
<変更例>
なお、上記第3実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0177】
・上記第3実施形態では、第1シリンダC1にポート噴射機構及び筒内噴射機構を採用する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、第1シリンダC1に代えて、第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4のいずれか1つに対してポート噴射機構及び筒内噴射機構を採用することもできる。
【0178】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図18及び図19を参照して説明する。
本実施形態は、先の第1実施形態と同様にエコラン車両(MGエコランを採用した車両)に当該ガソリンエンジンを搭載した場合を想定している。
【0179】
車両は、前記第1実施形態の車両(図1)と同様の構成を有する。
<エンジンの構成>
図18を参照して、エンジン1の構成について説明する。なお、図18は、エンジン1の本体を含めた吸排気系統の構成を模式的に示している。
【0180】
エンジン1の構成は、ポート噴射型エンジンに備えられる複数のシリンダのうち、所定数(本実施形態では「2」)のシリンダに対して筒内噴射機構をさらに追加した構成に相当する。
【0181】
エンジン本体12は、4つのシリンダ(第1シリンダC1、第2シリンダC2、第3シリンダC3、及び第4シリンダC4)を備えている。
第1シリンダC1は、燃料噴射機構として筒内噴射機構及びポート噴射機構を有する。
【0182】
第2シリンダC2は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第3シリンダC3は、燃料噴射機構としてポート噴射機構を有する。
第4シリンダC4は、燃料噴射機構として筒内噴射機構及びポート噴射機構を有する。
【0183】
第1シリンダC1及び第4シリンダC4は、複合型シリンダに相当する。
第2シリンダC2及び第3シリンダC3は、ポート噴射型シリンダに相当する。
【0184】
各シリンダの点火時期は、「第1シリンダC1−第3シリンダC3−第4シリンダC4−第2シリンダC2」の順に設定されている。
なお、各シリンダの点火時期は、1つめの複合型シリンダの点火時期と2つめの複合型シリンダとの点火時期が、全シリンダの点火時期において等間隔となるように設定することが望ましい(本実施形態においては、第1シリンダC1と第4シリンダC4との点火時期が等間隔となるように全シリンダの点火時期を設定している)。
【0185】
第1インジェクタI1は、筒内噴射機構に対応した構成を有している。
第6インジェクタI6は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
第2インジェクタI2は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
【0186】
第3インジェクタI3は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
第4インジェクタI4は、ポート噴射機構に対応した構成を有している。
第5インジェクタI5は、筒内噴射機構に対応した構成を有している。
【0187】
各インジェクタによる燃料の噴射タイミング及び燃料の噴射量は、ECU7により制御される。
エンジン1の運転中、第1シリンダC1に対する燃料供給は、基本的には第6インジェクタI6を通じて行われる。また、第4シリンダC4に対する燃料供給は、基本的には第4インジェクタI4を通じて行われる。即ち、エンジン1の運転中においては、通常のポート噴射型エンジンと同様の態様をもって各インジェクタによる燃料噴射が行われるようになる。
【0188】
次に、エコランシステムによるエンジン1の制御態様について説明する。
車両Cにおいては、ECU7を通じて「エコラン制御」が行われる。
<エンジン自動停止処理>
「エンジン自動停止処理」は、以下の各処理から構成される。なお、以下の各処理は、前記第2実施形態に準じた態様をもって行われる。
[1]「基幹自動停止処理」(図5)。
[2]「自動停止判定処理」(図6)。
[3]「自動停止制御処理」(図13)。
【0189】
<エンジン自動再始動処理>
「エンジン自動再始動処理」は、以下の各処理から構成される。なお、以下の各処理は、前記第2実施形態に準じた態様をもって行われる。
[1]「基幹自動再始動処理」(図8)。
[2]「自動再始動判定処理」(図9)。
[3]「自動再始動制御処理」(図14)。
【0190】
<制御態様の一例>
次に、図19を参照して、「エコラン制御」による車両Cの制御態様の一例について説明する。
【0191】
時刻t191において、エンジン1の自動停止条件が満たされたとする(図19:〔a〕)。このとき、以下の各処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグの停止」。
〔d〕「インジェクタの停止」。
〔e〕「モータジェネレータ2による第4シリンダC4のピストン停止位置の調整」。
【0192】
時刻t192において、第4シリンダC4のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しなかったことにより、時刻t193において、第1シリンダC1の圧縮行程が開始されたとする(図19:〔g〕〔h〕)。このとき、以下の処理が行われる。
〔e〕「モータジェネレータ2による第1シリンダC1のピストン停止位置の調整」。
【0193】
時刻t194において、第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔e〕「モータジェネレータ2の停止」。
【0194】
時刻t195において、エンジン1の自動再始動条件が満たされたとする(図19:〔b〕)。このとき、以下の各処理が行われる。
〔d〕「第1インジェクタI1による燃料噴射」。
〔e〕「モータジェネレータ2によるクランキング」。
【0195】
時刻t196において、第1シリンダC1のピストンが点火位置に達したとする。このとき、以下の処理が行われる。
〔c〕「イグニッションプラグによる第1シリンダC1内の混合気の燃焼」。
【0196】
時刻t196以降は、通常のエンジン制御が行われる。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第4実施形態にかかるガソリンエンジンによれば、先の第1〜第3実施形態による前記(1)〜(6)及び(9)〜(11)の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0197】
<変更例>
なお、上記第4実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0198】
・上記第4実施形態では、第1シリンダC1及び第4シリンダC4にポート噴射機構及び筒内噴射機構を採用する構成としたが、これら各噴射機構を採用するシリンダの組み合わせは第1シリンダC1及び第4シリンダC4に限られず適宜の組み合わせに変更することができる。
【0199】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について、図20及び図21を参照して説明する。
本実施形態は、通常の車両に当該ガソリンエンジンを搭載した場合を想定している。
【0200】
車両は、前記第1実施形態の車両(図1)において、モータジェネレータをスタータモータに変更した構成を有する。
エンジンは、前記第1実施形態のエンジン(図2)と同様の構成を有する。
【0201】
<エンジンの制御態様>
次に、エンジン1の制御態様について説明する。
本実施形態の車両Cにおいては、ECU7を通じて、エンジン1の停止するための「エンジン停止処理」(図20)及びエンジン1を始動するための「エンジン始動処理」(図21)が行われる。
【0202】
<エンジン停止処理>
図20を参照して「エンジン停止処理」について説明する。
本処理は、エンジン1の運転中に行われる。
【0203】
[ステップW100]イグニッションスイッチ8が「ON」から「OFF」(あるいは「ACC」)へ切り替えられたか否かを判定する。
イグニッションスイッチ8が「OFF」に切り替えられたときは、ステップW200の処理へ移行する。
【0204】
イグニッションスイッチ8の切替位置が「ON」のときは、所定の周期毎に上記判定処理を実行する。
[ステップW200]インジェクタによる燃料噴射を停止するフューエルカット、及びイグニッションプラグによる点火を停止する点火カットを行う。
【0205】
[ステップW300]第1シリンダC1のピストンを圧縮行程の所定位置に停止させるための圧縮行程停止制御(以下の[a]及び[b])を行う。
[a]クランクポジションセンサS7の検出データに基づいて、第1シリンダC1のピストンの位置を検出する。
[b]第1シリンダC1のピストンの位置が圧縮行程の所定位置(エンジン1の始動時にピストンの圧縮反力が小さくなる位置)のときにエンジン1が停止するように、スタータモータによりクランクシャフト11の回転位相を調整する。
【0206】
[ステップW400]第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているか否かを判定する。
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止しているときは、ステップW500の処理へ移行する。
【0207】
第1シリンダC1のピストンが圧縮行程の所定位置で停止していないときは、ステップW300の処理を継続して行う。
[ステップW500]スタータモータを停止して、本処理を終了する。
【0208】
<エンジン始動処理>
図21を参照して「エンジン始動処理」について説明する。
本処理は、エンジン1の停止中にイグニッションスイッチ8が「START」へ切り替えられたことに基づいて開始される。
【0209】
[ステップX100]スタータモータによるクランキング、及び第1インジェクタI1による第1シリンダC1内への燃料噴射を開始する。なお、スタータモータによるクランキングは、クランキングの期間が所定の期間以上となったときに終了する。
【0210】
[ステップX200]第1シリンダC1のピストンが所定の位置(点火開始位置)に達したとき、イグニッションプラグによる混合気の点火を行う。
[ステップX300]通常のエンジン制御へ移行する。
【0211】
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第5実施形態にかかるガソリンエンジンによれば、先の第1実施形態による前記(1)、(2)、(7)、及び(8)の効果に準じた効果に加えて、さらに以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0212】
(12)本実施形態では、エンジン1の自動停止に際して第1シリンダC1のピストンを圧縮行程で停止させるとともに、エンジン1の始動開始に応じて第1シリンダC1から混合気の燃焼を開始するようにしている。これにより、エンジン1の始動を早期に完了させることができるようになる。
【0213】
(13)本実施形態では、エンジン1の自動停止に際し、第1シリンダC1のピストンをエンジン1の始動時にピストンの圧縮反力が小さくなる位置へ停止させるようにしている。これにより、エンジン1の始動をより早期に完了することができるようになる。
【0214】
<変更例>
なお、上記第5実施形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
【0215】
・上記第5実施形態では、「エンジン停止処理」(図20)を通じてエンジン1を停止する構成としたが、「エンジン停止処理」としては図20にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。要するに、エンジン1の停止条件が満たされているとき、筒内噴射機構を有するシリンダ(第1シリンダC1)のピストンを圧縮行程の所定位置で停止させる構成であれば、「エンジン停止処理」の構成は適宜変更可能である。
【0216】
・上記第5実施形態では、「エンジン始動処理」(図21)を通じてエンジン1を始動する構成としたが、「エンジン始動処理」としては図21にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。
【0217】
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することが可能な要素を以下に列挙する。
【0218】
・上記第1〜第4実施形態において、以下の[イ]及び[ロ]の構成を採用することもできる。
[イ]イグニッションスイッチ8の切替操作によるエンジン1の停止時に「自動停止制御処理」に準じたエンジン制御を行う。
[ロ]イグニッションスイッチ8の切替操作によるエンジン1の始動時に「自動再始動制御処理」に準じたエンジン制御を行う。
【0219】
・上記第1〜第4実施形態では、「エコラン制御」の一環として「基幹自動停止処理」(図5)を行う構成としたが、「基幹自動停止処理」としては図5にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。
【0220】
・上記第1〜第4実施形態では、「エコラン制御」の一環として「自動停止判定処理」(図6)を行う構成としたが、「自動判定処理」としては図6にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することが可能である。即ち、エンジン1を自動停止するための条件は、「自動停止判定処理」(図6)にて例示した条件に限られず適宜の条件に変更することができる。
【0221】
・上記第1〜第4実施形態では、「エコラン制御」の一環として「基幹自動再始動処理」(図8)を行う構成としたが、「基幹自動再始動処理」としては図8にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することができる。
【0222】
・上記第1〜第4実施形態では、「エコラン制御」の一環として「自動再始動判定処理」(図9)を行う構成としたが、「自動再始動判定処理」としては図9にて例示した構成に限られず適宜の構成を採用することが可能である。即ち、エンジン1を自動再始動するための条件は、「自動再始動判定処理」(図9)にて例示した条件に限られず適宜の条件に変更することができる。
【0223】
・上記第1〜第4実施形態では、MGエコランを採用した車両を想定したが、スタータエコランを採用した車両にエンジン1を搭載することによっても上記各実施形態の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0224】
・上記第1〜第4実施形態では、エコラン車両にエンジン1を搭載する場合を想定したが、ハイブリッド車両等のようにエンジンの自動停止及び自動再始動を行う車両であれば、上記各実施形態に準じた態様をもってエンジン制御を行うことができる。
【0225】
・上記各実施形態では、エンジン1の停止時、筒内噴射型シリンダのピストンを圧縮行程の所定位置で停止させる構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、ピストンを停止させる位置を圧縮工程の任意の位置とすることもできる。
【0226】
・上記各実施形態では、図3に例示した構造の筒内噴射機構を有するシリンダを想定したが、筒内噴射機構を有するシリンダの構成は上記各実施形態にて例示した構成に限られず適宜変更可能である。
【0227】
・上記各実施形態では、図4に例示した構造のポート噴射機構を有するシリンダを想定したが、ポート噴射機構を有するシリンダの構成は上記各実施形態にて例示した構成に限られず適宜変更可能である。
【0228】
・上記各実施形態では、マルチポイントインジェクションに対応したガソリンエンジンを想定したが、エンジンの構成をシングルポイントインジェクションに対応した構成に変更することも可能である。即ち、上記各実施形態のエンジン1において、ポート噴射型シリンダに対応した各インジェクタの替わりに各吸気通路(第1吸気通路Ri1〜第4吸気通路Ri4)の集合部へ燃料噴射を行うインジェクタを備えることもできる。
【0229】
・上記各実施形態において、燃料噴射機構をポート噴射機構から筒内噴射機構へ変更するシリンダの数N(あるいはポート噴射機構に加えて筒内噴射機構を備えるシリンダの数N)は、「1≦N<全シリンダ数」の範囲内で適宜変更することができる。なお、「エコラン制御」の構成は、上記シリンダの数Nに応じて適宜変更されるものとする。
【0230】
・上記各実施形態では、直列4気筒型のガソリンエンジンとして本発明を具体化したが、本発明は直列4気筒型エンジンに限られずその他の型式のガソリンエンジンとして具体化することができる。
【0231】
・上記各実施形態では、車載エンジンとして本発明を具体化したが、その他の輸送手段に搭載するエンジンとして本発明を具体化することもできる。
・また、ガソリンエンジンとしての構成は、
[イ]ポート噴射型シリンダを備えている。
[ロ]筒内噴射型シリンダあるいは複合型シリンダを備えている。
これら[イ]及び[ロ]の条件が満たされる範囲内であれば任意の構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるガソリンエンジンを具体化した第1実施形態について、エコランシステムを採用した車両の構成を模式的に示す略図。
【図2】同実施形態のガソリンエンジンについて、その構成を模式的に示す略図。
【図3】同実施形態のガソリンエンジンについて、第1シリンダの燃料供給構造を示す断面図。
【図4】同実施形態のガソリンエンジンについて、第2シリンダの燃料供給構造を示す断面図。
【図5】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「基幹自動停止処理」を示すフローチャート。
【図6】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「自動停止判定処理」を示すフローチャート。
【図7】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「自動停止制御処理」を示すフローチャート。
【図8】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「基幹自動再始動処理」を示すフローチャート。
【図9】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「自動再始動判定処理」を示すフローチャート。
【図10】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「自動再始動制御処理」を示すフローチャート。
【図11】同実施形態の「エコラン制御」によるエンジンの制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図12】本発明にかかるガソリンエンジンを具体化した第2実施形態について、ガソリンエンジンの構成を模式的に示す略図。
【図13】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「自動停止制御処理」を示すフローチャート。
【図14】同実施形態の車両において「エコラン制御」の一環として行われる「自動再始動制御処理」を示すフローチャート。
【図15】同実施形態の「エコラン制御」によるエンジンの制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図16】本発明にかかるガソリンエンジンを具体化した第3実施形態について、ガソリンエンジンの構成を模式的に示す略図。
【図17】同実施形態の「エコラン制御」によるエンジンの制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図18】本発明にかかるガソリンエンジンを具体化した第4実施形態について、ガソリンエンジンの構成を模式的に示す略図。
【図19】同実施形態の「エコラン制御」によるエンジンの制御態様の一例を示すタイミングチャート。
【図20】本発明にかかるガソリンエンジンを具体化した第5実施形態について、同実施形態の車両において行われる「エンジン停止処理」を示すフローチャート。
【図21】同実施形態の車両において行われる「エンジン始動処理」を示すフローチャート。
【符号の説明】
C…エコラン車両(車両)、1…ガソリンエンジン(エンジン)、2…モータジェネレータ、3…バッテリ、4…トランスミッション、5…ドライブシャフト、6…駆動輪、7…電子制御装置(ECU)、8…イグニッションスイッチ、S1…エンジン水温センサ、S2…ブレーキセンサ、S3…ブレーキ圧センサ、S4…アクセルセンサ、S5…車速センサ、S6…回転速度センサ、S7…クランクポジションセンサ、S8…バッテリセンサ、S9…シフトポジションセンサ、11…クランクシャフト、12…エンジン本体、C1…第1シリンダ、C2…第2シリンダ、C3…第3シリンダ、C4…第4シリンダ、Ri…吸気通路、Ri1…第1吸気通路、Ri2…第2吸気通路、Ri3…第3吸気通路、Ri4…第4吸気通路、Ro…排気通路、Ro1…第1排気通路、Ro2…第2排気通路、Ro3…第3排気通路、Ro4…第4排気通路、I1…第1インジェクタ、I2…第2インジェクタ、I3…第3インジェクタ、I4…第4インジェクタ、I5…第5インジェクタ、I6…第6インジェクタ、Cr…燃焼室、Cp…吸気ポート。
Claims (8)
- ポート噴射機構を有するポート噴射型シリンダと
筒内噴射機構を有する筒内噴射型シリンダとを備えた
ことを特徴とするガソリンエンジン。 - 請求項1記載のガソリンエンジンにおいて、
前記筒内噴射型シリンダを1つ備えた
ことを特徴とするガソリンエンジン。 - 請求項1記載のガソリンエンジンにおいて、
前記筒内噴射型シリンダを複数備えた
ことを特徴とするガソリンエンジン。 - ポート噴射機構を有するポート噴射型シリンダと
ポート噴射機構及び筒内噴射機構を有する複合型シリンダとを備えた
ことを特徴とするガソリンエンジン。 - 請求項4記載のガソリンエンジンにおいて、
前記複合型シリンダを1つ備えた
ことを特徴とするガソリンエンジン。 - 請求項4記載のガソリンエンジンにおいて、
前記複合型シリンダを複数備えた
ことを特徴とするガソリンエンジン。 - 複数のシリンダを備えたポート噴射型のガソリンエンジンにおいて、
前記複数のシリンダのうち、所定数のシリンダの燃料噴射機構を筒内噴射機構とした
ことを特徴とするガソリンエンジン。 - 複数のシリンダを備えたポート噴射型のガソリンエンジンにおいて、
前記複数のシリンダのうち、所定数のシリンダに燃料噴射機構として筒内噴射機構をさらに備えた
ことを特徴とするガソリンエンジン。
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