JP3885724B2 - 動力出力装置及びその制御方法並びに車両 - Google Patents

動力出力装置及びその制御方法並びに車両 Download PDF

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる自動車等に搭載されて好適な動力出力装置の技術分野に属する。また、本発明はそのような動力出力装置の制御方法、及び、該動力出力装置を具備してなる例えばハイブリッド型車両等の車両の技術分野にも属する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に搭載されて好適な動力出力装置を構成するエンジンとしては、従来、該エンジンの燃焼室外において燃料と空気の混合気を作り、これを燃焼室内に送り込む技術が一般的であった。しかしながら、今日では、燃焼室内に燃料を直接に噴射しこれを燃焼させることの可能なエンジンが提供されている。このようなエンジンによれば、相対的に燃料の消費量を低減することができることにより、低燃費をよりよく達成することができる。また、燃料の消費量の低減は、排出物量の相対的減少をもたらすから、低公害性をも達成することができる。
【0003】
他方、前記動力出力装置の一種としては今日、前記の低公害性をよりよく達成するため、前記自動車等が動作中であっても、該自動車等が例えば信号待ち停車する場合に、エンジンを自動的に一端停止させる(いわゆる「アイドリングストップ」と呼ばれている。)技術も提供されるようになっている。この場合、該エンジンにおいては、自動車等が全体として動作中であるか否かにかかわらず、ある一定期間運転され、その後暫く休止期間を迎え、その後再び運転期間を迎えるなどという運用(以下、「間欠運転」ということがある。)が繰り返し行われることになる。
【0004】
このような動力出力装置においては、エンジンの始動が迅速に行われることが望ましい。というのも、上述のような間欠運転が実行されるエンジンは、比較的頻繁に前記休止期間から前記運転期間への移行、すなわちエンジン再始動を経験しなければならないが、このエンジン再始動の度にもたつきが生じると、運転者に無用な不快感を与える可能性があるからである。また、当該エンジン再始動の際に、エンジン始動の通常の態様たるスタータモータを用いた始動を実行すると、スタータモータを頻繁に用いることによる電力消費の無駄が生じるし、始動フィーリングの悪化(例えば「振動」等の発生)をもたらすこと等にも問題がある。
【0005】
そこで、従来においても、例えば特許文献1に開示されているように、エンジンの比較的迅速な始動が可能な技術が提供されている。この特許文献1では、前述した直噴型のエンジンを前提として、エンジン停止中に気筒内に供給した燃料を燃焼させることで発生する燃焼圧のみでエンジンを始動させる技術が開示されている。これによれば、前述のような不具合は有効に解消されることになる。なお、このような技術は、エンジンが従前のようにスタータモータ等の助けを借りないで始動されているという点を捉えて、該エンジンを、いわば「単独始動」させる技術であると見ることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−4985号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の特許文献1等においては、次のような問題点があった。すなわち、上述のような燃焼圧のみでエンジンを始動させる技術には、一定の不確実性が伴うことである。すなわち、エンジン始動が、前記のような方法によって常に問題なく行われるのであれば、たしかにエンジン始動の迅速性等その他の作用効果が安定的に得られるものの、実際には、様々な要因によって単独始動はうまくいかない可能性が大きいのである。
【0008】
例えば、気筒内の点火プラグに何らかの問題があれば、当該点火プラグにおける着火が行われない、或いは着火が行われても燃焼が不十分にしか生じない等の理由によって、前記燃焼圧が十分には発生しないことがしばしば見受けられる。このような状態では、いくらエンジンの単独始動を試みても、それは失敗に終わるから、前記の作用効果を有効に享受し得ないことになる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、エンジン単独始動の成功可能性を引き上げ、もって該単独始動により得られる始動迅速性、省エネルギ及び始動フィーリングの向上等の作用効果を有効に享受し得る動力出力装置及びその制御方法を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような動力出力装置を具備してなる、例えばハイブリッド型車両等の車両を提供することも課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の動力出力装置は、上記課題を解決するため、気筒、前記気筒内に燃料を供給する燃料供給手段、及び前記気筒内で前記燃料を燃焼させる燃料燃焼手段を備えたエンジンと、前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段と、該気筒状態検出手段により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、前記燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、その燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みるように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段を制御する制御手段と、前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、を備えてなり、前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、前記制御手段は、前記記憶手段が記憶する過去の前記情報により示される前記単独始動が失敗したか否かに応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更するように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御し、前記単独始動が失敗した場合、次回実施する前記単独始動に係る制御で用いる気筒を変更する。
【0011】
本発明の動力出力装置によればまず、通常、エンジン始動時において使用されているいわゆるスタータモータ(電動機)が必ずしも必要とされていない。すなわち、上述のように、エンジンの始動は、膨張工程にある気筒内に供給した燃料を燃焼させることで発生する燃焼圧を利用して行われるようになっている。この場合、エンジンの単独始動が試みられているということができる。このような単独始動が首尾よく成功すると、エンジン始動を迅速に行うことができるし、また、スタータモータを当然には用いないことにより、該スタータモータにおける電力消費が生じないから、省エネルギを達成することなどもできる。また、スタータモータの不使用により、当該動力出力装置が車両等に搭載される場合においては、該車両の運転者に与える始動フィーリングの向上(例えば、振動等を与えない等)を図ることができる。ただし、後述のように、本発明においても、エンジン始動の際において補助的に又は代替的にスタータモータを用いてよい。
【0012】
なお、エンジンの単独始動を試みる際、燃料の供給対象となる気筒は原則として膨張行程の状態にある。しかし、本発明においては、上述のように、燃料の供給対象となる気筒が圧縮工程の状態にあってもよい。このような場合であっても、まさにエンジンの再始動を行おうとする段階において、例えば気筒状態変更手段(後述参照)の一例たるモータジェネレータ等によりエンジンを回転させることで前記燃料の供給対象となった気筒を膨張行程の状態にし、そこで当該燃料の燃焼を行えば、単独始動を試みることができる。
【0013】
そして、本発明では特に、エンジンの始動態様を記憶する記憶手段と、この記憶手段が記憶する過去のエンジンの始動態様に応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更するように、燃料供給手段及び燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御する制御手段とを備えている。
【0014】
すなわち、本発明に係る動力出力装置では、まず、前述のように燃焼圧を利用したエンジンの始動態様が、その始動毎に或いは適宜に、記憶手段に記憶されていくことになる。ここで「始動態様」とは、該エンジンが問題なく単独始動した、或いは何らかの問題を抱えて始動した等の各種態様をいう。ここで更に、「何らかの問題を抱えて始動(以下、簡単のため「非単独始動」ということがある。)」とは、例えば、前記燃焼圧の不足によりエンジン単独での始動は失敗したが、スタータモータ等の援助を受けることで始動が行われた場合等における始動をいう。ちなみに、このような場合は、前記燃料燃焼手段の一例たる点火プラグにカーボンが堆積しているなどの原因により、該点火プラグにおける着火そのものが失敗する場合、或いは着火それ自体は行われたもののそれに伴う爆発が不十分な場合などに発生する。
【0015】
いずれにせよ、記憶手段は、前記の各種態様を時の経過とともに記憶していく。より具体的には、当該単独始動に係る制御で用いた気筒(の番号)、該気筒内への燃料供給量、当該単独始動の試みに伴うクランク角変位量、角速度、更には当該単独始動の試みにおけるスタータモータ利用の有無等を記憶していくことになる(これらのパラメータを適宜用いれば、「始動態様」は自ずと明らかになる。)。
【0016】
ところで、上述のような非単独始動の場合では、要するに前述したエンジン単独での始動が失敗していることになるから、前述のような始動の迅速性、或いは省エネルギを達成することができない。
【0017】
そこで、本発明に係る制御手段は、前述のように記憶手段に記憶されたエンジンの始動態様に応じて、燃焼圧の発生態様を変更する。具体的には例えば、過去のエンジンの始動態様として、前述のように「燃焼圧の不足」の状態が記憶されている、又は具体的に記憶されたパラメータから「燃焼圧の不足」が導かれるのであれば、前記燃料供給手段の一例たる燃料噴射弁による燃料の噴射量を増加(又は減少)することによって燃焼圧を上昇させる、などの処理が行われることになる。
【0018】
このように、本発明によれば、過去のエンジン始動態様をチェックしつつ燃焼圧の発生態様を変更することから、前記した非単独始動の発生頻度は、可能な限り低下していくことになる。逆にいえば、エンジン単独始動の成功可能性は引き上げられることになるのである。
本発明に係る制御手段は特に、前記始動態様が不完全である場合、前記単独始動に係る制御で用いる気筒を変更する。即ち、仮に単独始動の試みが当該気筒に依存した何らかの要因によってうまくいかなくとも、単独始動の制御対象としての気筒が変更されるので、当該単独始動を首尾よく実現させる可能性が高まることになる。なお、このように気筒を変更するということは、前記の「燃焼圧の発生態様を変更する」の一場合である。
したがって、本発明によれば、上述のエンジン始動の迅速性、或いは省エネルギ等という作用効果を可能性高く享受することができる。
【0019】
本発明の動力出力装置の一態様では、前記エンジンの始動を補助するために該エンジンに動力を伝達可能な電動機が更に備えられている。
【0020】
この態様によれば、単独始動が失敗したとしても、電動機によるエンジンに対する動力伝達が行われ(即ち、エンジンをクランキングさせ)得るから、該エンジンの始動を比較的迅速に実現することができる。
【0021】
また、着火それ自体は行われたものの、それが不完全、ないしは着火状態が悪いため、エンジンが「単独」で始動を開始したというには不十分な場合にも、前記電動機によるエンジンへの動力伝達をなせば、当該エンジンの比較的迅速な始動を実現することができる。
【0022】
さらに、以上のような電動機を用いたエンジンの始動によれば、該電動機は、エンジンの単独始動が失敗した場合におけるフェールセーフ装置として働くことが明らかである。すなわち、本態様に係る動力出力装置では、単独始動の成功・失敗にかかわらず、エンジンを好適に始動させることが可能となる。
【0023】
この態様では、前記電動機を用いて前記エンジンの始動の補助を行う場合において、前記補助は前記エンジンの回転が停止した後に実行するように構成してもよい。
【0024】
このような構成によれば、エンジンの始動を円滑に行うことができる。というのも、前述のような単独始動の試みが失敗した後においては、前記燃焼圧の作用によって、エンジンは未だ回転していることが考えられるが、この場合、前記電動機によって当該エンジンに動力を伝達しようとしても、両者の動きに齟齬が生じることで(具体的には、両者に付設される各ギアが噛み合わない等の事態が発生することで)、これを円滑に行うことができない場合が考えられる。しかるに、本態様においては、電動機によるエンジンに対する補助(即ち、動力の伝達)は、前記エンジンの回転が停止した後に実行することから、電動機によって、該補助は滞りなく行われることになり、比較的迅速にエンジンを始動させることができる。
【0025】
本発明の動力出力装置の他の態様では、気筒、前記気筒内に燃料を供給する燃料供給手段、及び前記気筒内で前記燃料を燃焼させる燃料燃焼手段を備えたエンジンと、前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段と、該気筒状態検出手段により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、前記燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、その燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みるように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段を制御する制御手段と、前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを前記単独始動の失敗の程度と共に示す情報を記憶する記憶手段と、を備えてなり、前記制御手段は、前記記憶手段が記憶する過去の前記情報に応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更するように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御し、前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、前記制御手段は、これより前記単独始動に係る制御を実施するにあたり、前記情報により示される前記失敗の程度が所定の始動性レベルを満たしていない場合には、これより実施する前記単独始動に係る制御に用いる気筒を、それ以前において実施された前記単独始動に係る制御で用いた気筒とは異なる気筒に変更すると共に前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御する。
【0026】
この態様によれば、エンジンは、例えば4気筒、6気筒、更には12気筒というように、二以上の気筒を備えている。
【0027】
このような前提の下、本態様においてはまず、制御手段は、これより単独始動に係る制御を実施するにあたり、前記始動態様が始動性レベルを満たしているか否かを判断するようになっている。ここで「始動性レベル」とは、前記単独始動に係る制御を行った結果、それが首尾よく完了したか否かを区別する指標(或いは、前記始動態様の良し悪しを区別する指標)である。具体的には、記憶手段に記憶された前述の気筒の番号、該気筒内への燃料供給量、当該単独始動におけるクランク角変位量、角速度等のパラメータ、或いはこれらを利用し一定の演算処理等を施すことにより得られる前記の各種始動態様のうち、単独始動の成功と非単独始動とを分かつ基準値として設定することができる。
【0028】
そして、本態様では次に、制御手段が、前記始動態様が始動性レベルを満たしていない場合と判断するときには、いまから行おうとする単独始動に係る制御の対象とする気筒について、それ以前において実施された単独始動に係る制御で用いた気筒とは異なる気筒を選択する。この場合、当該異なる気筒は、膨張工程の状態になければならない。そのためには、例えば後述するように、気筒状態変更手段を用いて強制的に当該異なる気筒を膨張行程の状態に設定することが可能である他、エンジン停止の際に自然に膨張行程の状態になっている気筒を当該異なる気筒として選択するなどの手法も有効である(ただし、上述のように、燃料供給時は圧縮工程の状態であっても、燃料燃焼時に膨張行程の状態にあればよい。)。
【0029】
いずれにせよ、これによると、これより行おうとする単独始動に係る制御は、前記異なる気筒につき行うことが可能となる。すなわち、上述のように膨張行程の状態にある前記「異なる気筒」内に燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、該燃焼による燃焼圧を利用してエンジンの単独始動を試みることが可能となる。したがって、本態様によれば、前回の単独始動の試みが当該気筒に依存した何らかの要因によってうまくいかなかったのであれば、単独始動の制御対象としての気筒が変更されていることにより、当該単独始動を首尾よく実現させる可能性が高まることになる。なお、このように気筒を変更するということは、前記の「燃焼圧の発生態様を変更する」の一場合である。
【0030】
したがって、本態様によれば、気筒に起因する非単独始動の発生頻度は、可能な限り低下し、エンジン単独始動の成功可能性は引き上げられることになる。
【0031】
本発明の動力出力装置の他の態様では、気筒、前記気筒内に燃料を供給する燃料供給手段、及び前記気筒内で前記燃料を燃焼させる燃料燃焼手段を備えたエンジンと、前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段と、該気筒状態検出手段により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、前記燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、その燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みるように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段を制御する制御手段と、前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを前記単独始動の失敗の程度と共に示す情報を記憶する記憶手段と、を備えてなり、前記制御手段は、前記記憶手段が記憶する過去の前記情報に応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更するように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御し、前記気筒の状態を変更させる気筒状態変更手段を更に備えてなるとともに、前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、前記制御手段は、これより前記単独始動に係る制御を実施するにあたり、前記情報により示される前記失敗の程度が所定の始動性レベルを満たしていない場合には、それ以前において実施された前記単独始動に係る制御で用いた気筒とは異なる気筒を膨張工程の状態にさせるように前記気筒状態変更手段を制御し、且つ該異なる気筒をこれより実施する前記単独始動に係る制御で用いると共に前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御する。
【0032】
この態様によれば、まず、前述したのと同様に、これより前記単独始動に係る制御を実施するにあたり、エンジンの始動態様が始動性レベルを満たしているか否かが判断される。「始動態様」、あるいは「始動性レベル」の意義については、既に述べたとおりである。
【0033】
また、本態様においては、エンジンは、例えば4気筒、6気筒、更には12気筒というように、二以上の気筒を備えているとともに、これら複数の気筒それぞれについては、例えば電動機等を含む気筒状態変更手段によって、その状態、即ちピストンの停止位置を変更させることが可能となっている。
【0034】
このような前提の下、本態様においては特に、制御手段が、前記始動態様が始動性レベルを満たしていない場合と判断するときには、前記単独始動に係る制御で用いた気筒とは異なる気筒を膨張行程の状態にさせるように、前記気筒状態変更手段を制御する。このような「異なる気筒」に関する気筒状態の制御は、例えば、動作状態にあるエンジンを停止する際におけるその停止制御に併せて実行するようにしてもよいし、又はエンジンの単独始動をまさに行おうとする直前において実行するようにしてもよい。
【0035】
そして、これによると、次回、エンジンの始動を行う際においては、前記異なる気筒につき前記単独始動に係る制御を行うことが可能となる。すなわち、上述のように膨張行程の状態にある前記「異なる気筒」内に燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、該燃焼による燃焼圧を利用してエンジンの単独始動を試みることが可能となる。したがって、本態様によれば、前回の単独始動の試みが当該気筒に依存した何らかの要因によってうまくいかなかったのであれば、単独始動の制御対象としての気筒が変更されていることにより、当該単独始動を首尾よく実現させる可能性が高まることになる。しかも、本態様によれば、気筒状態変更手段によって、任意の気筒を膨張行程の状態にあるように制御することが可能であることにより、最適と思われる気筒を選択した上で、単独始動に係る制御を実施することができる。なお、このように気筒を変更するということは、前記の「燃焼圧の発生態様を変更する」の一場合である。
【0036】
したがって、本態様によれば、気筒に起因する非単独始動の発生頻度は、可能な限り低下し、エンジン単独始動の成功可能性は引き上げられることになる。
【0037】
本発明の動力出力装置の他の態様では、前記制御手段は、これより前記単独始動に係る制御を実施するにあたり、前記情報により示される前記失敗の程度が所定の始動性レベルを満たしていない場合には、それ以前において実施された前記単独始動に係る制御で用いた前記気筒内に対する前記燃料の供給量を変更するように前記燃料供給手段を制御する。
【0038】
この態様によれば、まず、前述したのと同様に、エンジンの始動態様につき、それが始動性レベルを満たしているか否かが判断される。「始動態様」、あるいは「始動性レベル」の意義については、既に述べたとおりである。
【0039】
そして、本態様では特に、制御手段は、前記始動態様が始動性レベルを満たしていないと判断するときには、前記単独始動に係る制御において、前記気筒内に対する前記燃料の供給量を変更するように、前記燃料供給手段を制御する。これによれば、次回、エンジンの始動を行う際においては、燃料供給量が増加又は減少された上で、単独始動が試みられることになる。したがって、本態様によれば、前回の単独始動の試みが当該燃料の供給量に依存した何らかの要因によってうまくいなかった場合において、これを首尾よく実現させる可能性が高まることになる。
【0040】
とりわけ、エンジンが一旦停止されてしまうと、気筒内は大気圧に戻ってしまうことから、エンジンを始動するためには、通常の場合でさえも燃料供給量が比較的多めに必要となる。このような事情もあって、単独始動を確実に行うための燃料供給量の具体的把握は一般に困難が伴う。この点、本態様においては、例えば、燃料の供給量を漸次増大させていく、或いは漸次減少させていく等の処理も可能であるから、より的確に、単独始動を行うための燃料供給量の把握が可能となる。なお、「燃料の供給量を変更する」ということは、前記の「燃焼圧の発生態様を変更する」の一場合である。
【0041】
したがって、本態様によれば、燃料供給量に起因する非単独始動の発生頻度は、可能な限り低下し、エンジン単独始動の成功可能性は引き上げられることになる。
【0042】
なお、本態様においては、燃料の供給量を変更するだけでもって、単独始動の成功を目す場合を当然含むほか、燃料の供給量を変更することに加えて、前述のように単独始動に係る制御の対象としての気筒を変更する場合を積極的に排除しない。一般的には、二つのパラメータに関する変更を一時にもたらすことは当該事象の発生原因の追及を困難にすること等から好ましくはないが、本発明は、単独始動の失敗の原因を追求することを目的とするのではなく、結果的にであっても、単独始動がうまくいけばそれでよいのであるから、前述のように燃料供給量及び気筒の変更を同時に実施することも、場合によって行われてよいのである。
【0043】
本発明の動力出力装置の他の態様では、前記始動性レベルは、前記単独始動に係る制御における前記燃料の前記燃焼後の前記エンジンの回転速度に基づいて決定される。
【0044】
この態様によれば、前記始動性レベルは、単独始動に係る制御における燃料の燃焼後の前記エンジンの回転速度に基づいて決定される。すなわち、始動性レベルは、上述のように「単独始動に係る制御を行った結果、それが首尾よく完了したか否かを区別する指標」であるところ、このような指標は、燃料の燃焼後発生する燃焼圧によって、エンジンがどの程度の勢いで回転させられたかを確認することで、相当程度正確且つ具体的に知ることができる。例えば、ある所定の基準回転速度を「始動性レベル」たる基準値として定めておけば、エンジンの回転速度が該基準回転速度を越えれば、単独始動が成功したものとみなすことができ、始動態様は良である、或いは当該始動は始動性レベルを満たしている、と判断することができる。他方、エンジンの回転速度が該基準回転速度以下であれば、単独始動は失敗したものとみなすことができ、始動態様は不良である、或いは当該始動は始動性レベルを満たしていない、と判断することができる。
【0045】
このように、本態様によれば、始動性レベルをエンジンの回転速度に基づいて決定することから、始動態様の良し悪しを的確に判断することが可能となり、前記の単独始動に係る制御における「燃焼圧の発生態様」の変更も、これを的確に実施することができる。
【0046】
なお、本態様に係るエンジンの回転速度は、具体的には、記憶手段に記憶されるパラメータの例として示したクランク角速度等に基づいて知ることができる。また、前記の基準回転速度については、前述のように固定値として定めておくことができるほか、現実のエンジン回転速度と同様に、クランク位置、エンジン停止からの経過時間及びエンジン吸気温度等の少なくとも一つを用いて、適宜、変更することが可能である。
【0047】
本発明の動力出力装置の他の態様では、前記始動性レベルは、前記単独始動に係る制御における前記燃料の前記燃焼後の前記エンジンの回転変位量に基づいて決定される。
【0048】
この態様によれば、前記始動性レベルは、単独始動に係る制御における燃料の燃焼後の前記エンジンの回転変位量に基づいて決定される。すなわち、始動性レベルは、上述のように「単独始動に係る制御を行った結果、それが首尾よく完了したか否かを区別する指標」であるところ、このような指標は、燃料の燃焼後発生する燃焼圧によって、エンジンがどの程度の勢いで回転させられたかを確認することで、相当程度正確且つ具体的に知ることができる。例えば、ある所定の基準回転変位量を「始動性レベル」たる基準値として定めておけば、エンジンの回転変位量が該基準回転変位量を越えれば、単独始動が成功したものとみなすことができ、始動態様は良である、或いは当該始動は始動性レベルを満たしている、と判断することができる。他方、エンジンの回転変位量が該基準回転変位量以下であれば、単独始動は失敗したものとみなすことができ、始動態様は不良である、或いは当該始動は始動性レベルを満たしていない、と判断することができる。
【0049】
このように、本態様によれば、始動性レベルをエンジンの回転変位量に基づいて決定することから、始動態様の良し悪しを的確に判断することが可能となり、前記の単独始動に係る制御における「燃焼圧の発生態様」の変更も、これを的確に実施することができる。
【0050】
なお、本態様に係るエンジン回転変位量を知るためには、より具体的には、具体的には、記憶手段に記憶されるパラメータの例として示したクランク角速度等に基づいて知ることができる。
【0051】
本発明の動力出力装置の他の態様では、前記エンジンは間欠運転可能に構成されており、前記制御手段は、前記単独始動に係る制御を、前記間欠運転中の休止期間から運転期間への移行の際に実施する。
【0052】
この態様によれば、エンジンにおいて間欠運転が可能とされている(当該エンジンを搭載する車両は、いわゆる「エコラン車」と呼びうる。)。ここで、エンジンの「間欠運転」とは、該エンジンについて、該エンジンを搭載する車両等が動作中であるか否かにかかわらず、ある一定の運転期間の後、暫く休止期間(いわゆるアイドリングストップ)があり、その後再び運転期間に入るなどという運転が繰り返しなされることを意味する。この場合、前記休止期間中は、エンジンにおいて燃料消費が生ぜず、かつ、エンジンから排気ガスが排出されるということもないから、低燃費性、低公害性がよりよく実現されることになる。なお、エンジンの休止が許される場合とは、具体的には例えば、アクセル開度の程度やバッテリの充電状態等に基づいて決定される。また、実際にエンジンが休止するという状態は、例えば信号待ち停車時、あるいは低速走行時等にとられる。
【0053】
そして本態様では特に、制御手段は、前記単独始動に係る制御を、前記したような間欠運転中の休止期間から運転期間への移行の際に実施する。これによれば、間欠運転中、必然的に頻繁に行われ得ることとなるエンジン再始動を、前述したような単独始動に係る制御でもって実施することが可能となる。しかも、本態様によれば、該エンジンの単独始動の成功可能性が高められているのである。
【0054】
このように、本態様によれば、前記の迅速始動、省エネルギ及び始動フィーリングの向上等といった単独始動の作用効果を、比較的頻繁に実施され得る前記エンジン再始動時ごとに享受することが可能となる。
【0055】
本発明の動力出力装置の他の態様では、前記エンジンの出力の少なくとも一部を用いて発電可能であると共に駆動軸を介して駆動力を出力可能なモータジェネレータ装置を更に備えている。
【0056】
この態様によれば、まず、エンジンの出力により発電し、或いは駆動軸を介して駆動力を出力するモータジェネレータ装置を備えている。このうち後者の性質によれば、駆動軸の回転は、モータジェネレータ装置によって実現される他、前記エンジンによっても実現可能(パラレルハイブリッド方式)であるから、例えばエンジンの出力が仮に低くても、モータジェネレータ装置を構成するモータによるアシストにより、十分な駆動力を得ることができる。また、前者の性質(発電)によれば、エンジンの出力を借りて、バッテリの充電を実現することが可能となるから、モータジェネレータ装置を構成するモータによる駆動軸に対する駆動力の付与は、特別な充電期間を設けるなどという必要なく、比較的長期にわたって実現可能となる(シリーズハイブリッド方式)。
【0057】
いずれにせよ、排気ガスを排出するエンジンの役割を相対的に縮小化することによって、燃料消費量を抑えるとともに、いわゆる環境汚染を招くこと等のない動力出力装置を提供することが可能となる。
【0058】
そして、本態様では特に、エンジンの間欠運転は、前記のエコラン車に比べても、更に頻度高く実行される可能性があり、したがって、当該動力出力装置を搭載する車両等が動作状態にあるときに、エンジン自動停止・再始動が行われる可能性はより大きくなっているといえる。
【0059】
しかるに、本態様においても、前述の本発明の動力出力装置に係る構成を備え、したがって、その作用効果を享受しえることに変わりはない。このことから、本態様によれば、前述の本発明の動力出力装置により得られる作用効果が、より効果的に享受されうるということができる。
【0060】
尚、このようなモータジェネレータ装置が、前述した本発明の動力装置の一態様に係る、エンジンの始動を補助するために該エンジンに動力を伝達可能な電動機を兼ねるように構成することも可能である。
【0061】
本発明の動力出力装置の制御方法は、上記課題を解決するために、気筒を備えたエンジン及び前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段を備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出工程と、該気筒状態検出工程により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、燃料を供給する工程と、前記燃料を燃焼させその燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みる工程と、前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを示す情報を記憶する工程と、過去の前記情報により示される前記単独始動が失敗したか否かに応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更する工程とを含み、前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、前記発生態様を変更する工程では、前記単独始動が失敗した場合、次回実施する前記単独始動に係る制御で用いる気筒を変更する。
【0062】
本発明の動力出力装置の制御方法によれば、前述した本発明の動力出力装置を好適に運用することが可能である。
【0063】
本発明の車両は、上記課題を解決するために、前述の本発明の動力出力装置(ただし、その各種態様を含む。)と、該動力出力装置が搭載される車両本体と、該車両本体に取り付けられると共に前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪とを備えている。
【0064】
本発明の車両によれば、エンジンの単独始動の可能性が高められていることから、エンジンの迅速始動、スタータモータ等を用いないことによる省エネルギ、更には当該車両の運転者に与える始動フィーリングの向上(例えば、振動等を与えない等)等を図ることができる。
【0065】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。
【0067】
(直噴式ガソリンエンジン)
まず、本発明の実施形態に係る動力出力装置を構成する直噴式エンジンについて、図1を参照しながら詳細に説明する。
【0068】
エンジン150は、図1に示すように、燃料室内に燃料を直接噴射する、いわゆる直噴式ガソリンエンジンである。エンジン150は、EFIECU170により制御される。EFIECU170は、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、エンジン150の燃料噴射量や回転速度その他の制御を実行する。図示を適宜省略したが、これらの制御を可能とするために、EFIECU170にはエンジン150の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。また、このEFIECU170には、後に詳細に説明する「始動態様」を記憶するためのメモリ170Mが設けられている。
【0069】
このエンジン150は、シリンダブロック14を備えている。シリンダブロック14の内部には、シリンダ(気筒)16が形成されている。なお、エンジン150は、複数のシリンダを備えているが、図1には、説明の便宜上複数のシリンダのうち1つのシリンダ16を示している。
【0070】
シリンダ16の内部にはピストン18が配設されている。ピストン18は、シリンダ16の内部を、図1における上下方向に摺動することができる。このピストン18には、図示しないクランク軸が接続されており、該クランク軸にはフライホイールFWが接続されている。フライホイールFWの外周には、リングギアFW1が設けられている。このリングギアFW1には、スタータモータ(電動機)SMに付設されたピニオンギアSM1が噛み合わされている。エンジン150の通常の始動、或いは冷間始動時においては、このスタータモータSMが回転することによって発生した動力が、ピニオンギアSM1及びリングギアFW1を介して、フライホイールFW、クランク軸に伝達されることで、エンジン150はクランキングさせられることになる。
【0071】
また、上述のうちフライホイールFWにはプーリが設けられており、該プーリにはタイミングベルトTMが懸架されている。そして、このタイミングベルトTMにはモータジェネレータMGの図示しないプーリが懸架されている。これにより、モータジェネレータMGが回転することによって発生した動力は、タイミングベルトTM、フライホイールFW及びクランク軸を介してエンジン150に伝達されるようになっている。
【0072】
なお、本実施形態においては特に、このモータジェネレータMGを利用することにより、クランク軸の位置、ないしはシリンダ16内におけるピストン18の位置を任意に調整することが可能となっている。すなわち、該モータジェネレータMG及びこれに関連する前記の構成は、本発明にいう「気筒状態変更手段」の一例に該当する。
【0073】
また、クランク軸におけるフライホイールFWが接続されていない一端に、例えば図10に示すように、変速装置AT、駆動軸156及びディファレンシャルギアDF等を介して車輪TR1及びTR2を接続する構成としてよい。このような構成を採れば、前記のモータジェネレータMGからエンジン150に伝達された動力は、前記の流れに沿って最終的に車輪TR1及びTR2に伝達可能となる。加えて、該モータジェネレータMGに図示しない蓄電装置を接続すれば、前記車両の制動時、該モータジェネレータMGにいわゆる回生動作をさせることで、蓄電装置の充電を行うことができる。この場合、当該モータジェネレータMGは、本発明にいう「モータジェネレータ装置」の一例に該当する。なお、図10においては、上記の車輪TR1及びTR2を後輪とするように、前輪としての車輪TF1及びTF2を別途設ければ、いわゆる「四輪自動車」が構成されることになる。この車輪TF1及びTF2には、エンジン150からの動力が伝達されるようになっていてもよいし、なっていなくてもよい。また、該車輪TF1及びTF2に別途独立にモータジェネレータ装置が設けられていてもよい。
【0074】
図1に戻り、シリンダ16の内部において、ピストン18の上方には燃焼室20が形成されている。燃焼室20には、燃料噴射弁22の噴射口が露出している。エンジン150の運転中、燃料噴射弁22には燃料ポンプ24から燃料が圧送される。燃料噴射弁22及び燃料ポンプ24は、EFIECU170に接続されている。燃料ポンプ24は、EFIECU170から供給される制御信号に応じて燃料噴射弁22側へ燃料を圧送する。また、燃料噴射弁22は、EFIECU170から供給される制御信号に応じて燃焼室20内へ燃料を噴射する。なお、ここに述べた燃料噴射弁22、燃料ポンプ24及びEFIECU170等は、本発明にいう「燃料供給手段」の一例を構成する。
【0075】
また、燃焼室20には、本発明にいう「燃料燃焼手段」の一例に該当する点火プラグ26の先端が露出している。点火プラグ26は、EFIECU170から点火信号を供給されることにより、燃焼室20内の燃料に点火する。
【0076】
燃焼室20には、排気弁28を介して排気管30が連通している。燃焼室20には、また、吸気弁32を介して吸気マニホールド34の各枝管が連通している。吸気マニホールド34は、その上流側においてサージタンク36に連通している。サージタンク36の更に上流側には吸気管38が連通している。吸気管38には、スロットル弁40が配設されている。スロットル弁40は、スロットルモータ42に連結されている。そして、スロットルモータ42は、EFIECU170に接続されている。スロットルモータ42は、EFIECU170から供給される制御信号に応じてスロットル弁40の開度を変化させる。なお、スロットル弁40の近傍には、図示しないスロットル開度センサを配設し、該センサの発するスロットル弁40の開度に応じた電気信号をEFIECU170に向けて出力するように構成してよい。
【0077】
EFIECU170には、また、イグニッションスイッチ76(以下、IGスイッチ76と称す)が接続されている。EFIECU170は、IGスイッチ76の出力信号に基づき、IGスイッチ76のオン/オフ状態を検出する。IGスイッチ76がオン状態からオフ状態とされると、燃料噴射弁22による燃料噴射、点火プラグ26による燃料の点火、及び、フューエルポンプ24による燃料の圧送が停止され、エンジン150の運転が停止される。
【0078】
アクセルペダル78の近傍には、アクセル開度センサ80が配設されている。アクセル開度センサ80は、アクセルペダル78の踏み込み量に応じた電気信号をEFIECU170に向けて出力する。
【0079】
また、本実施形態に係るエンジン150には、それぞれEFIECU170に接続されたクランク角センサ101及びカム角センサ102が設けられている。このうちクランク角センサ101によれば、前記クランク軸の現在角度や角速度を知ることができる。一方、カム角センサ102によれば、前記排気弁28及び前記吸気弁32の動作を制御するカム軸の現在角度や角速度を知ることができる。EFIECU170は、これらの情報に基づいて、当該シリンダ16の現在状態を知ることができる。ここで本実施形態においては、前述のように、シリンダ16は複数設けられていることから、前記にいう「現在状態」は、これら複数のシリンダ16毎に知り得るようになっている。例えば、シリンダ16の数が全部で6個あるとすれば、1番目のシリンダ16は膨張工程にあり、n番目(n=2,…,6のいずれか)のシリンダは圧縮工程にあるなどということを知ることができる。本実施形態に係るエンジン150においては、このように各シリンダ16の現在状態を知ることにより、前記燃料噴射弁22等を用いた燃焼室20内への燃料噴射の時期及び前記点火プラグ26における着火時期を、適切に判断することができる。なお、以上のようなことから、前記のクランク角センサ101、カム角センサ102及びEFIECU170等からなる構成は、本発明にいう「気筒状態検出手段」の一例に該当する。
【0080】
(エンジンの単独始動を試みる制御)
以下では、本発明に係る制御手段を構成するEFIECU170により、エンジン150の単独始動を試みる制御を実施する態様について、図2乃至図4を参照しながら説明する。ここに図2は、エンジン150の単独始動を試みる処理の流れを示すフローチャートであり、図3は、図2のフローチャートに沿ってEFIECU170から発せられる各種信号等のタイミングチャートである。また、図4は、単独始動に係る制御において、点火プラグ26の着火後のクランク角速度が、時間の経過に応じてどのように変化するかを示すグラフであって、着火正常、着火異常及び失火の各場合(それぞれの意義については、後に述べる。)についてのグラフを示すものである。
【0081】
まず、図2においては、そのステップS1乃至S3に示すように、EFIECU170に付設されるメモリ170Mに記憶された「始動態様」の情報に基づいて、これより始めようとするエンジン150の単独始動の試みにおける「燃焼圧の発生態様」を適宜変更する処理を実施する。しかしながら、この点についての説明は、エンジン150の単独始動に係る制御についての具体的な説明をした後に行うことが説明上便宜であるので、以下では、まず、該単独始動に係る制御ないしはその一連の処理についての説明を行った後、図2のステップS1乃至S3に関する説明を行うこととする。
【0082】
さて、本実施形態に係るエンジン150の単独始動を試みる制御(なお、これより説明する制御は、エンジン150の単独「始動」を試みる制御であるから、当然ながら、該エンジン150は現段階において停止していることが前提とされている。)においては、まず、エンジン150の始動信号が発せられる(図2のステップS11)。これは、例えば図示しないブレーキペダルから足を離すことにより発せられるブレーキOFF信号、或いはアクセルペダル78を踏み込むことにより発せられるアクセルON信号等に基づき、EFIECU170から発せられる制御信号の一種である(図3の上から一段目参照。)。
【0083】
次に、膨張行程の状態にあるシリンダ16内に燃料を噴射する(図2のステップS12)。すなわち、まず、クランク角センサ101及びカム角センサ102を利用して、その現段階における状態が把握された各シリンダ16のうち、膨張行程の状態にあるシリンダ16が、EFIECU170によって選択されることになる。そして次に、当該シリンダ16に対して燃料を噴射するべく、EFIECU170から燃料噴射信号が発せられ(図3の上から三段目参照。)、これに応じて、燃料ポンプ24は、燃料噴射弁22側へ燃料を圧送する。続いて、燃料噴射弁22は、これを受けて燃焼室20内へ燃料を噴射する。
【0084】
次に、燃焼室20内に供給された燃料を燃焼させる(図2のステップS13)。すなわち、EFIECU170から点火信号が発せられ(図3の上から四段目参照。)、これに応じて、点火プラグ26が点火する。なお、図3において、燃料噴射信号の発せられるタイミングと、点火信号のそれとの間は、例えば2〜5〔ms〕程度の時間が設定される。この燃料の燃焼により、当該シリンダ16内では、燃焼圧が発生する。そして、この燃焼圧の発生により、当該シリンダ16内におけるピストン18の位置が変じられることになる。
【0085】
その様子は、図3の上から二段目に示されている。すなわち、この図によれば、まず、180°BTDC(Before Top Dead Center)とTDCとの間に位置するピストン18ないしクランク軸は、前記燃焼圧の力を受けて、TDCへと移行するように移動するのである。
【0086】
そして、本実施形態では、上述のようにシリンダ16内に供給された燃料の燃焼から所定時間JTが経過した時点において(図2のステップS14)、当該エンジン150の単独始動が失敗したか否かが確認されるようになっている(図2のステップS15)。本実施形態では特に、この単独始動の失敗の有無が、クランク角センサ101によって知ることのできる、時間JT経過時点におけるエンジン150の回転速度に基づいて判断される。具体的には、図2のステップS15では、該エンジン150の回転速度が、予め定められた基準回転速度Vthを越えるか否かがチェックされるようになっている。ここで、エンジン150の回転速度が基準となりうるのは、前記燃焼圧が十分な場合には、エンジン150の回転速度は十分に大きくなり、そうでない場合には小さくなることが推測されるからである(後述する図4及びその説明参照)。
【0087】
まず、前記のエンジン150の回転速度が、前記基準回転速度Vthを越えると判断されるときには、当該エンジン150に対する特別な処理は実施しない(図2のステップS15;NOから図2のステップS17へ)。この場合には、エンジン150の単独始動が完全に成功している場合だからである。つまり、この場合においては、当該シリンダ16内におけるピストン18は、図3の上から二段目に示すように、時間JTの経過前にTDCを越えており(したがって、エンジン150の回転速度も前記基準回転速度Vthを越えており)、該エンジン150は前記燃焼圧のみで始動が完了しているのである。なお、図3の上から二段目に示すように、ピストン18の位置変位は段階的に生じているが、「単独運転」についての曲線における段差は、点火プラグ26における次なる着火が行われることに基づいている。また、このように「単独始動」が成功している場合には、図3の上から五段目及び六段目に示すように、後述するスタータモータSMの起動信号等は発せられない(これらの図に示す実線及び「単独始動」という記載参照。)。
【0088】
本実施形態においては、このようなエンジン150の単独始動が実現されることにより、スタータモータSMを利用する場合に比べて、該エンジン150のより迅速な始動が実現されることになる。また、スタータモータSMが利用されていないことにより、該スタータモータSMにおける電力消費が生じないから、省エネルギを達成することもできる。さらに、このエンジン150を搭載する車両等の運転者に与える、始動フィーリングの向上(例えば、振動等を与えない等)を図ることができる。
【0089】
他方、図2のステップS15において、エンジン150の回転速度が、前記基準回転速度Vth以下であると判断されるときには、続いて、スタータモータSMの起動信号が発せられる(図2のステップS15;YESから図2のステップS16)。これにより、エンジン150には、スタータモータSMから動力が伝達されることにより、該エンジン150はクランキングさせられることになる。すなわち、エンジン150は、いわゆる通常の始動を行うことになる。図3においては、その上から二段目、五段目及び六段目に描かれた破線及び「非単独始動」という記載によって表されている。
【0090】
ここで本実施形態においては特に、このようなスタータモータSMを利用したエンジン150の始動を行う場合においては、次のような処理を行う。すなわち、第一に、エンジン150の回転が完全に停止したか否かを判断する(図2のステップS161)。第二に、エンジン150の回転が完全に停止した場合に、スタータモータSMの起動を始める(図2のステップS162)。
【0091】
このような処理によれば、スタータモータSMによるエンジン150に対する補助(即ち、動力の伝達)は、前記エンジン150の回転が停止した後に実行することから、スタータモータSMによって、該補助は滞りなく行われることになり、比較的迅速にエンジン150を始動させることができる。この点仮に、図2のステップS161の処理を省略して、いきなりスタータモータSMによるエンジン150に対する補助を実行した場合(しかも、前記時間JTを比較的短く設定した場合)には、前記燃焼圧の作用によって、エンジン150は未だ回転していることが考えられるが、この場合、スタータモータSMによって当該エンジン150に動力を伝達しようとしても、前述のピニオンギアSM1とリングギアFW1(図1参照)とが噛み合わず、これを円滑に行うことができない場合が考えられる。本実施形態においては、図2のステップS161を挿入することで、このような不具合を被らなくて済むのである。
【0092】
ただし、本発明においては、必ずしも図2のステップS161が必須というわけではない。例えば、前記時間JTが比較的長く設定されているなどの場合であれば、既にエンジン150の回転はほぼ停止しているとみなすことができるからである(図3の符号E参照)。
【0093】
ちなみに、上述のように、エンジン150の回転速度が前記基準回転速度Vthを越えずに、その単独始動が失敗した場合、言い換えればエンジン150が非単独始動した場合は、大きく二つの類型に分類することができる。すなわち、第一に、前記の点火プラグ26における着火それ自体を失敗した場合(以下、「失火」の場合ということがある。)、第二に、点火プラグ26における着火はうまくいったが、その後、エンジン150の単独始動に必要となる燃焼圧が十分に得られなかった場合(以下、「着火異常」の場合ということがある。)である。このうち後者の場合は、例えば、点火プラグ26にカーボンが堆積していたり、点火プラグ26のくすぶりが発生する等その他一般に点火プラグ26に関して生じている何らかの不都合を原因として発生する。なお、図3の上から二段目における「非単独始動」の曲線は、このような着火異常の場合を表していることは言うまでもない。いずれにせよ、これらの場合、当該状況を延々と続けていても単独始動が成功裡に終わることはない。
【0094】
これら二つの場合を、時間に応じたクランク角速度の変化の観点から見ると、図4に示すようなものとなる。すなわち、シリンダ16内で燃料の燃焼が開始された後のクランク角速度は、図4に示すように、失火の場合と着火異常の場合、更に着火正常の場合(単独始動が成功した場合)とでそれぞれ異なる曲線を描く。まず、着火正常の場合のクランク角速度は、時間の経過とともに次第に大きくなり、極大点を記録した後、次第に低下する。他方、着火異常の場合及び失火の場合のクランク角速度は、それぞれ、概ね着火正常の場合と同様な曲線を描くが、いずれの時点においても、着火正常の場合における角速度よりも小さな角速度しか記録しない。また、着火異常の場合と失火の場合とを比較すると、前者の角速度が後者のそれよりも、いずれの時点においても小さい。
【0095】
このように、着火異常の場合及び失火の場合は、それぞれ、着火正常の場合に得られるようなクランク角速度を得ることができず、やがて失速することになる。このことは、図3の上から二段目において、着火異常の場合たる「非単独始動」の曲線が、TDCの直前において飽和していることからもわかる(同図の延長線P参照)。そして、クランク角速度が足りないということは、エンジン回転速度が足りないということに略同義である(すなわち、両者は相互に相手方の存在を推定させる。)。図2のステップS15においては、このようなことに基づき、所定の時間JTの経過の時点におけるエンジン150の回転速度と基準回転速度Vthとの大小比較を行うことで、着火正常の場合と、着火異常の場合及び失火の場合とを判断するようになっているのである。
【0096】
以上述べたように、本実施形態によれば、着火異常の場合及び失火の場合のいずれかにかかわらず(よって、本明細書においては両者併せて「非単独始動」と呼ぶ。)、エンジン150の単独始動が失敗した場合には、スタータモータSMの助けを借りた通常の始動処理に移行することによって、該エンジン150の始動を比較的迅速に行うことができる。
【0097】
なお、以上述べたようなエンジン150の単独始動が失敗した場合においては、当該エンジン150を搭載する車両等の運転者にその旨を通知するための手段(例えば、警報発生装置等)を備えておいてもよい。
【0098】
さて、以上のようなエンジン150の単独始動の試みに関する一連の処理が完了すると、続いて、本実施形態においては特に、当該処理に係る始動態様を、EFIECU170に付設されるメモリ170Mに記憶する(図2のステップS17)。ここで始動態様とは、該エンジン150が問題なく単独始動した、或いは非単独始動した等の各種態様をいう。このうち「非単独始動」とは、前述のように図2のステップS16に示す処理を通過した場合における始動をいう。いずれにせよ、本実施形態に係るメモリ170Mは、前記の各種態様を、エンジン150が停止状態から始動状態を迎える度に記憶していく。この際、前記始動態様として、本実施形態においては特に、当該単独始動に係る制御で用いたシリンダ16の番号、該シリンダ16内への燃料供給量、当該単独始動の試みに伴うクランク角変位量、角速度、更には当該単独始動の試みにおけるスタータモータSM利用の有無等を記憶していくことになる(これらのパラメータを適宜用いれば、「始動態様」は自ずと明らかになる。)。
【0099】
さて、本実施形態においては、前記の始動態様の記憶処理までを含む、エンジン150の単独処理に関する一連の処理を前提として、前述において説明を後に譲った図2のステップS1乃至S3に示すような処理が実行されるようになっている。
【0100】
すなわち、本実施形態においてはまず、前記メモリ170M内に記憶されている、前回実行したエンジン150の単独始動に関する始動態様の内容が確認される(図2のステップS1)。続いて、該始動態様が、ある所定の始動性レベルを満たしているか否かが判定されるようになっている(図2のステップS2)。ここで「始動性レベル」とは、前述のような単独始動に係る制御を行った結果、それが首尾よく完了したか否かを区別する指標(或いは、始動態様の良し悪しを区別する指標)である。具体的には、メモリ170Mに記憶された前述のシリンダ16の番号、該シリンダ16内への燃料供給量、当該単独始動におけるクランク角変位量、角速度等のパラメータ、或いはこれらを利用し一定の演算処理等を施すことにより得られる前記の各種始動態様のうち、単独始動の成功と前記の非単独始動とを分かつ基準値として設定することができる。
【0101】
本実施形態においては特に、この始動性レベルは、「エンジン回転速度」に基づいて決定される。すなわち、図2のステップS1では、「始動態様の内容確認」処理に該当するものとして、前回実行したエンジン150の単独始動に係る制御において、単独始動の失敗の有無を決したエンジン回転速度(即ち、図2のステップS15で使用された、時間JT経過時点におけるエンジン回転速度)の内容が確認されることになり、図2のステップS2では、「始動態様が始動性レベルを満たしているか否か」に該当する判断として、ステップS1で確認されたエンジン回転速度が予め定められた基準回転速度Wthを越えるかどうかが判断されるようになっている。なお、この基準回転速度Wthと、前述の単独始動に係る制御の実施中において使用した基準回転速度Vthとは、同じであっても異なっていてもよい。
【0102】
そして、EFIECU170が、前記始動態様が始動性レベルを満たしていない、即ち、前記エンジン回転速度が基準回転速度Wth以下であると判断するときには、前回の単独始動に係る制御で用いたシリンダ16とは異なるシリンダ16を膨張行程の状態にさせるように、モータジェネレータMGを制御する(図2のステップS3)。すなわち、これによると、これより行うエンジン150の単独始動に係る制御においては、前回とは異なるシリンダ16が利用されることになる。
【0103】
したがって、本態様によれば、前回の単独始動の試みが当該シリンダ16及びこれに内蔵される各種要素(例えば、点火プラグ26等)に依存した何らかの要因によってうまくいかなかった場合において、これを首尾よく実現させる可能性が高まることになる。なお、本実施形態のようにシリンダ16を変更するということは、本発明にいう「燃焼圧の発生態様を変更する」の一場合である。
【0104】
他方、EFIECU170が、前記始動態様が始動性レベルを満たしている、即ち、前記エンジン回転速度が基準回転速度Wthを越えていると判断するときには、本実施形態においては、特段の処理を実施しない(図2のステップS2から図2のステップS11へ)。このようにしても、前回の単独始動に係る制御において、当該シリンダ16を用いた単独始動はうまく行えたのだから、問題が生じる可能性は低く、むしろ、これより行おうとする単独始動もまた、うまくいく可能性が高い。
【0105】
このように、本実施形態においては、エンジン150の単独始動に係る制御を実施するにあたり、前回行った単独始動に係る制御が、非単独始動と評価されるような結果に終わった場合においては、単独始動に係る制御対象としてのシリンダ16を変更することから、次回の単独始動に係る制御が成功裡に完了する可能性がより高められるということができる。したがって、本実施形態においては、前述した単独始動が実現された場合に得られる作用効果、すなわち迅速始動、省エネルギ及び始動フィーリングの向上等の各種の作用効果が享受されうる可能性が高められることになる。
【0106】
なお、上述の処理中、図2のステップS3における異なるシリンダ16を選択する処理では、当該異なるシリンダ16の選択方法について特に触れなかったが、本発明は、この選択方法について特に限定されない。すなわち、エンジン150が6個のシリンダ16をもっているとして、前回の単独始動に係る制御の対象とされたのが1番目のシリンダ16であったという場合には、前記図2のステップS3においては、2番目のシリンダ16が選択され、更に次なる単独始動に係る制御の対象としては、3番目のシリンダ16が選択されるなどというように、いわば順繰りにシリンダ16を選択していくような方法を採用してよい。もちろん一定の間隔をもって選択する方法(例えば、1番目、3番目、5番目、…等)や、ランダムに選択するなどの方法を採用してもよい。
【0107】
また、これに関連して、上述の図2のステップS3においては、次なる制御対象のシリンダ16については、必ず、該シリンダ16が膨張行程の状態にあるように調整されていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図2のステップS3の処理を実施するその時点において、膨張行程の状態が自然に実現されているシリンダ16を選択するようにしてもよい。
【0108】
さらに、上述のような処理を繰り返し行った場合において、仮に、当該エンジン150のすべてのシリンダ16において単独始動がうまくいかないということが判明した場合には、当該エンジン150を搭載する車両等の運転者にその旨を通知するための手段(例えば、警報発生装置等)を備えておいてもよい。
【0109】
加えて、上述の処理中、図2のステップS2において前回の始動態様が始動性レベルを満たしていると判断された場合においては、特別な処理を実施せず、単独始動に係る制御(図2のステップS11以降の処理)に移行するようになっていたが、本発明は、このような形態にも限定されない。例えば、前回の始動態様が始動性レベルを満たしていると判断される場合においても、当該シリンダ16が既に何度も単独始動処理に利用されているというような場合には、当該シリンダ16の受ける負担が、他のシリンダに比べて大きくなり、該シリンダ16内における点火プラグ26等の損耗を早める等の不具合が発生する可能性がある。そこで、このような事態を避けるため、例えば、図2のステップS1の後に、当該シリンダ16を対象とした単独始動に係る制御が相当程度連続(例えば、50回連続等)したか否かの判断ステップを設け、これが否定される間は図2のステップS11へ移行するが、これが肯定される場合には図2のステップS3へ移行するなどといった処理を実行してよい。
【0110】
また、上述の処理においては、シリンダ16の変更に関する処理(すなわち、当該変更に係るシリンダ16を膨張行程の状態にする処理)の実行される時点は、まさにエンジン150の単独始動を行おうとする直前において行われるようになっていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、この他にも、前述した図2のステップS17までの処理を終えた段階の後、初めて迎えるエンジン150の停止の際に、図2のステップS1乃至S3の処理を予め実施するような形態としてもよい。
【0111】
さらに、上述の処理においては、図2のステップS15における単独始動の失敗の有無に関する判断、或いは図2のステップS2における始動態様が始動性レベルを満足しているか否かに関する判断の双方について、「エンジン回転速度」に基づく処理が実施されていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、エンジン回転速度に代えて、エンジン回転変位量を用いてもよい。また、これに関連して、図2のステップS15における判断と、図2のステップS2における判断とにおいて、別々の判断基準が採用されるような形態であってもよい。とりわけ、図2のステップS2における始動態様に関する判断は、図2のステップS15における判断とは異なり、比較的長期的且つ総合的な視点に基づいて行うようにすると好ましいともいえる。ここに「長期的」な判断とは、例えば、「前回」の単独始動に係る制御における失敗のみに着目するのではなくて、前々回、或いはそれ以前に実施された当該制御の実績に着目して、始動態様が始動性レベルを満たしているかどうかを判断するなどという場合を意味する。この場合、「始動態様」についてはもとより、場合によっては「始動性レベル」についても、そのような複数回の単独始動に係る制御の実績を反映したものとなっていることが好ましいのは言うまでもない(例えば、「始動態様」としては、前三回に実施された単独始動に係る制御における「エンジン回転速度」の平均値をあてる等)。
【0112】
さらに、上述の図2のステップS3においては、シリンダ16の変更処理が行われていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、単独始動の制御対象としてのシリンダ16を変更するのではなく、当該シリンダ16に対する燃料供給量を変更するという処理を実施してもよい。これによれば、図2のステップS12において燃料噴射量が増加又は減少されることが前提とされた上で、図2のステップS11以降の処理が実施されることになるから、前回の単独始動の試みが当該燃料の供給量に依存した何らかの要因によってうまくいなかった場合において、これを首尾よく実現させる可能性が高まることになる。
【0113】
(第2実施形態)
以下では、本発明に係る制御手段を構成するEFIECU170により、エンジン150の単独始動を試みる制御を実施する上記とは別の態様について、図5及び図6を参照しながら説明する。ここに、図5及び図6はそれぞれ、図2及び図3と同趣旨の図であって、エンジン150の単独処理を試みる処理の中でモータジェネレータを活用する場合のフローチャート及びタイミングチャートである。なお、第2実施形態では、上述した「直噴式ガソリンエンジン」の構成及び作用、或いは第1実施形態として説明した主要な処理ないし制御内容等については全く同様である。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第2実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
【0114】
第2実施形態では、上記第1実施形態と比較して、図2のステップS11からステップS17までの処理において、エンジン150の単独始動を支援するため、モータジェネレータMGを活用することに相違がある。すなわち、第2実施形態では、図2のステップS13において、点火プラグ26への着火処理が行われるのと略同時に、モータジェネレータMGの作動が実行される(図5のステップS20。また、図6参照。)このモータジェネレータMGの作動により、エンジン150には、該モータジェネレータMGから動力が伝達される。これにより、該エンジン150の単独始動の実現が促進されることになる。図6においては、図3に比べて、「単独始動」の曲線が急峻に立ち上がっており、エンジン150がモータジェネレータMGの動力を受けることで、より早く回転することが示されている。ちなみに、本明細書においては、このようにモータジェネレータの力を借りてエンジンが始動する場合をも含めて、「単独始動」という用語を使用している。
【0115】
なお、モータジェネレータMGの起動信号は、点火プラグ26に対する点火信号の発信より以前の時点において発せられてもよい。また、該起動信号は、前記のエンジン150の始動信号とほぼ同時に発せられてもよい。
【0116】
また、第2実施形態の変形形態として、図7及び図8に示すような処理を実施してもよい。ここに図7及び図8はそれぞれ、図5及び図6と同趣旨の図であって、これらの図とはモータジェネレータの作動時点を異ならせる等の変更を受けたものである。
【0117】
この形態においては、図8に示すように、モータジェネレータMGは、点火プラグ26に対する点火信号の発信と同時に着火されるのではなく、それより所定の時間JT´の経過の後に、始動されるようになっている。そして、この所定の時間JT´の経過期間中においては、図7のステップS201に示すように、エンジン回転変位量が計測されるようになっている。すなわち、このようなタイミングで計測されるエンジン回転変位量は、点火プラグ26における着火後発生した燃焼圧のみで移動するピストン18に基づくものであり、モータジェネレータMGの影響を受けていないものである。
【0118】
また、この変形形態では、図7のステップS15´として示すように、上述した図2及び図5のステップS15とは異なり、単独始動の失敗の有無が、「エンジン回転速度」に基づいて判断されるのではなく、「エンジン回転変位量」に基づいて判断されるようになっている。そして、この図7のステップS15´において使用されるエンジン回転変位量は、上述の図7のステップS201で計測されたものが利用されることになる。
【0119】
具体的には、図9に示すようである。ここに図9は、図7のステップS201において計測されるクランク角変位量の時間に対する変化を示すグラフである。なお、クランク角変位量は、エンジン回転変位量とは相互に相手方の値を推定し得る関係にあるから、以下においても、「エンジン回転変位量」という言葉を使用することとする。
【0120】
この図9においては、前述の図4と同様に、着火正常の場合、着火異常の場合及び失火の場合の三類型に応じた曲線がそれぞれ描かれている。すなわち、着火正常の場合のエンジン回転変位量は、時間の経過とともに次第に増大していく。次に、着火異常の場合のそれは、着火正常の場合と略同様な曲線を描くが、いずれの時点においても、着火正常の場合におけるエンジン回転変位量よりも小さな回転変位量しか記録しない。更に、失火の場合のエンジン回転変位量は、時間が経過しても“0”のままである。これは、失火の場合では、点火プラグ26における着火それ自体が失敗しており、シリンダ16内で燃焼圧が発生しないからである。
【0121】
このような図9に基づいて、単独始動の失敗の有無を判定するためには、例えば、同図に併せて示す破線のように、ある一定の回転変位量基準値を決めておけばよい。すなわち、前記の時間JT´の期間中のある一時点において、エンジン回転変位量の値が、前記回転変位量基準値を超えていれば、単独始動は成功したものとみなし、それ以下であれば、単独始動は失敗したものとみなすことができる。図8のステップS15´においては、このような判定が行われることになる。
【0122】
このような変形形態によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、本変形形態では、エンジン150の単独始動が失敗であるか否かの判断が、図7のステップS15´のように、実際上モータジェネレータMGの作動後になされているとはいえ、図7のステップS201、図8及び図9に示すところからすると、当該判断は、実質的には、モータジェネレータMGの作動前になされているということができる。これによると、点火プラグ26における着火に起因する燃焼圧のみに基づく、エンジン150の状態を知ることができるから、より正確に単独始動の失敗の有無を判定することができることになる。
【0123】
この点、上記の図5及び図6においては、モータジェネレータMGの作動が、点火信号と同時とされていることにより、結果的に、該モータジェネレータMGの作動の影響を受けたエンジン回転速度、或いはエンジン回転変位量等に基づいて、単独始動の失敗の有無が判断されるようになっていることとは異なる。もっとも、この場合でも、当該モータジェネレータMGの作動による影響を排除するような処理を挿入しておけば、これら図5及び図6においても本変形形態と略同様な効果は得られるものと考えられる。しかしながら、そのような処理を挿入することの手間を考えれば、本変形形態は、その点について依然優位に立っているということはできる。
【0124】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う動力出力装置及びその制御方法並びに車両もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の動力出力装置によれば、過去のエンジン始動態様をチェックしつつ燃焼圧の発生態様を変更することから、前記した非単独始動の発生頻度は、可能な限り低下していき、逆に、エンジン単独始動の成功可能性は引き上げられることになる。したがって、本発明によれば、エンジン始動の迅速性、或いは省エネルギ等の作用効果を可能性高く享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンの構造の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るエンジンについて、その単独始動を試みる処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャートに沿ってEFIECUから発せられる各種信号等のタイミングチャートである。
【図4】図2に示す単独始動に係る制御において、点火プラグ着火後のクランク角速度が、時間の経過に応じてどのように変化するかを示すグラフであって、着火正常、着火異常及び失火の各場合についてのグラフを示すものである。
【図5】図2と同趣旨の図であって、エンジンの単独処理を試みる処理の中でモータジェネレータを活用する場合のフローチャートである。
【図6】図3と同趣旨の図であって、エンジンの単独処理を試みる処理の中でモータジェネレータを活用する場合のタイミングチャートである。
【図7】図5と同趣旨の図であって、該図とはモータジェネレータの作動時点を異ならせる等の変更を受けたフローチャートである。
【図8】図6と同趣旨の図であって、該図とはモータジェネレータの作動時点を異ならせる等の変更を受けたタイミングチャートである。
【図9】図7のステップS201において計測されるクランク角変位量の時間に対する変化を示すグラフであって、着火正常、着火異常及び失火の各場合についてのグラフを示すものである。
【図10】本発明の実施形態に係る車両の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
16…シリンダ
22…燃料噴射弁
24…燃料ポンプ
26…点火プラグ
28…吸気弁
32…排気弁
101…クランク角センサ
102…カム角センサ
150…エンジン
170…EFIECU
170M…メモリ
SM…スタータモータ
MG…モータジェネレータ

Claims (13)

  1. 気筒、前記気筒内に燃料を供給する燃料供給手段、及び前記気筒内で前記燃料を燃焼させる燃料燃焼手段を備えたエンジンと、
    前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段と、
    該気筒状態検出手段により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、前記燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、その燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みるように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段を制御する制御手段と、
    前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを示す情報を記憶する記憶手段と、
    を備えてなり、
    前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、
    前記制御手段は、
    前記記憶手段が記憶する過去の前記情報により示される前記単独始動が失敗したか否かに応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更するように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御し、
    前記単独始動が失敗した場合、次回実施する前記単独始動に係る制御で用いる気筒を変更することを特徴とする動力出力装置。
  2. 前記エンジンの始動を補助するために該エンジンに動力を伝達可能な電動機を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の動力出力装置。
  3. 前記電動機を用いて前記エンジンの始動の補助を行う場合において、前記補助は前記エンジンの回転が停止した後に実行することを特徴とする請求項2に記載の動力出力装置。
  4. 気筒、前記気筒内に燃料を供給する燃料供給手段、及び前記気筒内で前記燃料を燃焼させる燃料燃焼手段を備えたエンジンと、
    前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段と、
    該気筒状態検出手段により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、前記燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、その燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みるように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段を制御する制御手段と、
    前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを前記単独始動の失敗の程度と共に示す情報を記憶する記憶手段と、
    を備えてなり、
    前記制御手段は、
    前記記憶手段が記憶する過去の前記情報に応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更するように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御し、
    前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、
    前記制御手段は、これより前記単独始動に係る制御を実施するにあたり、
    前記情報により示される前記失敗の程度が所定の始動性レベルを満たしていない場合には、これより実施する前記単独始動に係る制御に用いる気筒を、それ以前において実施された前記単独始動に係る制御で用いた気筒とは異なる気筒に変更すると共に前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御することを特徴とする動力出力装置。
  5. 気筒、前記気筒内に燃料を供給する燃料供給手段、及び前記気筒内で前記燃料を燃焼させる燃料燃焼手段を備えたエンジンと、
    前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段と、
    該気筒状態検出手段により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、前記燃料を供給するとともに該燃料を燃焼させ、その燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みるように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段を制御する制御手段と、
    前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを前記単独始動の失敗の程度と共に示す情報を記憶する記憶手段と、
    を備えてなり、
    前記制御手段は、
    前記記憶手段が記憶する過去の前記情報に応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更するように前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御し、
    前記気筒の状態を変更させる気筒状態変更手段を更に備えてなるとともに、前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、
    前記制御手段は、これより前記単独始動に係る制御を実施するにあたり、
    前記情報により示される前記失敗の程度が所定の始動性レベルを満たしていない場合には、それ以前において実施された前記単独始動に係る制御で用いた気筒とは異なる気筒を膨張工程の状態にさせるように前記気筒状態変更手段を制御し、且つ該異なる気筒をこれより実施する前記単独始動に係る制御で用いると共に前記燃料供給手段及び前記燃料燃焼手段の少なくとも一つを制御することを特徴とする動力出力装置。
  6. 前記制御手段は、これより前記単独始動に係る制御を実施するにあたり、
    前記情報により示される前記失敗の程度が所定の始動性レベルを満たしていない場合には、それ以前において実施された前記単独始動に係る制御で用いた前記気筒内に対する前記燃料の供給量を変更するように前記燃料供給手段を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  7. 前記始動性レベルは、
    前記単独始動に係る制御における前記燃料の前記燃焼後の前記エンジンの回転速度に基づいて決定されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  8. 前記始動性レベルは、
    前記単独始動に係る制御における前記燃料の前記燃焼後の前記エンジンの回転変位量に基づいて決定されることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  9. 前記エンジンは間欠運転可能に構成されており、
    前記制御手段は、前記単独始動に係る制御を、前記間欠運転中の休止期間から運転期間への移行の際に実施することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  10. 前記エンジンの出力の少なくとも一部を用いて発電可能であると共に駆動軸を介して駆動力を出力可能なモータジェネレータ装置を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の動力出力装置。
  11. 気筒を備えたエンジン及び前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出手段を備えた動力出力装置を制御する動力出力装置の制御方法であって、
    前記エンジンが停止した状態における前記気筒の状態を検出する気筒状態検出工程と、
    該気筒状態検出工程により検出された膨張工程又は圧縮工程の状態にある前記気筒内に、燃料を供給する工程と、
    前記燃料を燃焼させその燃焼による燃焼圧を利用して前記エンジンの単独始動を試みる工程と、
    前記エンジンの単独始動が失敗したか否かを示す情報を記憶する工程と、
    過去の前記情報により示される前記単独始動が失敗したか否かに応じて、前記燃焼圧の発生態様を変更する工程と
    を含み、
    前記エンジンには前記気筒が二以上備えられてなり、
    前記発生態様を変更する工程では、前記単独始動が失敗した場合、次回実施する前記単独始動に係る制御で用いる気筒を変更する
    ことを特徴とする動力出力装置の制御方法。
  12. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の動力出力装置と、
    該動力出力装置が搭載される車両本体と、
    該車両本体に取り付けられると共に前記駆動軸を介して出力される前記駆動力により駆動される車輪と
    を備えたことを特徴とする車両。
  13. 前記単独始動が失敗した場合、該単独始動が失敗した回は、前記電動機を用いて前記エンジンの始動の補助を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の動力出力装置。
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