JP2004028046A - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧縮行程燃焼を発生させる際に圧縮行程分割噴射を実行して、気筒内の燃料量を徐々に増加させて気筒内の空燃比を徐々にリッチ方向に変化させ、この圧縮行程分割噴射と並行して圧縮行程多重点火を実行することで、圧縮行程分割噴射により気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になった期間を見逃すことなく確実に点火して圧縮行程燃焼を発生させる。これにより、可燃空燃比となるような燃料噴射量を精度良く算出することができない場合でも、圧縮行程燃焼を正常に発生させることができる。更に、膨張行程燃焼を発生させる際に膨張行程分割噴射と膨張行程多重点火を実行するようにしても良い。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関を始動する際に膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を回転駆動する内燃機関の始動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に搭載される内燃機関においては、燃費節減、排気エミッション低減及び低騒音化を目的として、エンジン自動停止・始動装置(いわゆるアイドリングストップ装置)を採用したものがある。このエンジン自動停止・始動装置は、例えば、運転者が車両を停車させたときにエンジンを自動的に停止し、その後、運転者が車両を発進させようとする操作(例えばアクセルペダル踏込操作等)を行ったときにスタータに通電してエンジンを自動的に再始動するようにしている。このため、停車頻度が多くなる市街地走行等では、スタータの駆動回数が多くなって、スタータやバッテリに掛かる負荷が大きくなり、スタータの故障やバッテリ上がりが発生しやすくなるおそれがある。
【0003】
この対策として、エンジンを自動始動する際に、膨張行程で停止している気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させ、この膨張行程燃焼の燃焼圧力でクランク軸を回転駆動(クランキング)することでスタータを使用せずにエンジンを始動する“スタータレス始動”又はスタータの動力を補助することが提案されている。しかし、始動開始時のクランク角(エンジン始動開始位置)によっては、単に膨張行程にある気筒で燃焼を発生させただけでは、燃焼圧力が不足して始動に必要な最低限のトルク(圧縮行程にある気筒が圧縮上死点を乗り越えるのに必要なトルク)を確保できない可能性があり、スタータレス始動が困難になる可能性がある。
【0004】
そこで、特開2002−39038号公報に示すように、膨張行程燃焼を発生させる際に、圧縮行程にある気筒に設けた排気補助弁を開弁して圧縮行程にある気筒内の圧力を低下させることで始動に必要な最低トルクレベルを下げたり、或は、高圧空気供給手段より膨張行程にある気筒に高圧空気を供給して膨張行程燃焼の燃焼圧力を増大させることで、始動(又はスタータ動力の補助)に必要な最低トルク以上のトルクを発生させることが提案されている。
【0005】
また、ドイツ特許19955857号公報に示すように、エンジンを始動する際に、まず、圧縮行程で停止している気筒で圧縮行程燃焼を発生させてクランク軸を逆回転駆動し、その後、膨張行程で膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を正回転駆動することが提案されている。この場合、圧縮行程燃焼によるクランク軸の逆回転によって膨張行程にある気筒のピストンを上死点(TDC)付近まで押し上げて当該気筒内の空気を圧縮した後に、膨張行程燃焼を発生させて膨張行程燃焼の燃焼圧力を増大させることができるので、始動(又はスタータ動力の補助)に必要な最低トルク以上のトルクを発生することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンを始動する際に上述した膨張行程燃焼や圧縮行程燃焼を発生させるには、燃焼させる気筒のその時点における燃焼室容積の空気量に対して可燃空燃比となるように燃料噴射量を設定する必要がある。そこで、始動開始時のクランク角(エンジン始動開始位置)に基づいて始動開始時の燃焼室容積を算出し、この燃焼室容積の空気量に対して可燃空燃比となるように燃料噴射量を算出して噴射することが考えられるが、このようにしても、以下に述べる理由から適正な燃料噴射量にならず、実空燃比が可燃空燃比から外れて正常な燃焼を発生させることができない可能性がある。
【0007】
一般に、クランク角を検出するクランク角センサは、クランク軸が所定クランク角(例えば30℃A)回転する毎にパルス信号を出力するため、クランク角センサでは正確なクランク角を検出することができない。
【0008】
しかも、始動開始時にクランク角センサの出力を読み込んでも、始動開始時のクランク角(エンジン始動開始位置)は検出できない。これは、クランク角センサの出力パルスのカウント値に基づいて基準クランク角(気筒判別センサのパルスが発生する位置)からの相対的な回転角が判定できるだけであるためである。
【0009】
従って、始動開始時のクランク角(エンジン始動開始位置)を必要とする場合は、前回のエンジン停止時のクランク角(エンジン停止位置)をメモリに記憶して、その記憶値を次回の始動開始時のクランク角として使用することになるが、エンジン停止時には圧縮行程ある気筒のピストンが上死点(TDC)を乗り越えられずにクランク軸が逆回転することがあるため、この逆回転が発生すると、メモリに記憶したエンジン停止時(逆回転前)のクランク角と逆回転後のクランク角(始動開始時のクランク角)との間にずれが生じる。従って、前回のエンジン停止時のクランク角の記憶値をそのまま次回の始動開始時のクランク角(エンジン始動開始位置)として用いたのでは、始動開始時の燃焼室容積を精度良く算出することができず、このような燃焼室容積に基づいて算出した燃料噴射量は可燃空燃比範囲から外れてしまう可能性がある。また、圧縮行程で停止している気筒は、気筒内の空気が圧縮されて大気圧以上の圧力になっていることが多いため、大気圧を前提条件として燃料噴射量を算出すると、燃料噴射量が不足することが多く、実空燃比がリーン方向にずれて可燃空燃比範囲から外れてしまう可能性がある。
【0010】
また、上記特開2002−39038号公報に示すように、圧縮行程にある気筒内の圧力を低下させるための排気補助弁を設けたり、膨張行程にある気筒に高圧空気を供給するための高圧空気供給手段を設けた構成にすると、構成が複雑化してコストアップするという欠点もある。
【0011】
本発明はこれらの事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、内燃機関を始動する際に可燃空燃比となるような燃料噴射量を精度良く算出することができない場合でも、正常な燃焼を発生させることができて、始動性を向上させることができると共に、低コスト化の要求も満たすことができる内燃機関の始動制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の始動当初にクランク軸を逆回転駆動するように圧縮行程燃焼制御手段によって圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで圧縮行程燃焼を発生させ、この圧縮行程燃焼によりクランク軸を逆回転させた後に該クランク軸を正回転駆動するように膨張行程燃焼制御手段によって膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させる始動制御装置において、圧縮行程燃焼を発生させる際に燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射を実行するようにしたものである。
【0013】
圧縮行程燃焼を発生させる際に分割噴射を実行すれば、気筒内の燃料量を徐々に増加させて気筒内の空燃比を徐々にリッチ方向に変化させていくことができるので、気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になったときに点火すれば、正常な燃焼を発生させることができる。このため、可燃空燃比となるような燃料噴射量を精度良く算出することができない場合でも、正常な圧縮行程燃焼を発生させることができ、始動性を向上させることができる。しかも、燃料噴射方法や点火方法を変更するだけで対応することができるので、排気補助弁、高圧空気供給手段等の新たな機構を追加する必要がなく、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0014】
この場合、請求項2のように、分割噴射の回数及び/又は積算噴射量を所定の上限ガード値で制限するようにしても良い。このようにすれば、圧縮行程気筒内に分割噴射する合計燃料噴射量を制限することができ、圧縮行程燃焼に必要な燃料噴射量を越えて過剰に燃料噴射してしまうことを防止することができる。また、圧縮行程燃焼や膨張行程燃焼を正常に発生できない場合に、スタータ始動に切り換えるときに、気筒内に残留する燃料量を制限することができ、スタータ始動時の始動性やエミッションの悪化を防止することができる。
【0015】
この場合、演算処理を簡略化するために上限ガード値を予め設定した固定値としも良いが、請求項3のように、内燃機関の温度又は冷却水温又はこれらに相関する温度情報に応じて上限ガード値を設定するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の温度に応じて気筒内壁等に付着する燃料量(ウェット量)が変化して圧縮行程燃焼に必要な燃料噴射量が変化しても、それに対応して適正な上限ガード値を設定することができる。
【0016】
ところで、分割噴射により気筒内の空燃比を徐々にリッチ方向に変化させて可燃空燃比範囲にしても、気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になっている期間に点火しなければ、正常な燃焼を発生させることができない。しかし、圧縮行程で停止している気筒の燃焼室容積は一定ではないため、分割噴射により気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になる期間を予測して点火時期を設定することは難しい。
【0017】
そこで、請求項4のように、圧縮行程燃焼を発生させる際に複数回の点火を行う多重点火を実行するようにすると良い。つまり、圧縮行程燃焼を発生させる際に分割噴射と多重点火を並行して実行すれば、分割噴射により気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になる期間を予測しなくても、可燃空燃比範囲になっている期間に点火して燃焼を発生させることが可能となる。しかも、分割噴射によって噴射燃料の霧化を促進しながら、多重点火によって点火プラグの発火部やその周囲の混合気を予熱してから点火することができ、より着火性を高めることができる。
【0018】
この場合、請求項5のように、分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で多重点火を実行するようにすると良い。このようにすれば、1回の分割噴射毎に1回以上の点火を実行することができ、分割噴射により気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になった期間を見逃すことなく確実に点火することができる。
【0019】
尚、請求項6のように、燃料の分割噴射や一括噴射に拘らず、圧縮行程燃焼を発生させる際に複数回の点火を行う多重点火を実行するようにしても良い。燃料を一括噴射する場合でも、気筒内に噴射された燃料が霧化して気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になったときに点火する必要があるので、多重点火を実行すれば、噴射燃料の霧化時間を考慮しなくても、可燃空燃比範囲になっている期間に点火して正常な燃焼を発生させることができる。しかも、前述したように、多重点火による点火プラグの発火部やその周囲の混合気の予熱効果によって、より着火性を高めることができる。
【0020】
また、内燃機関の始動当初に圧縮行程燃焼を発生させてクランク軸を逆回転させた後に、膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を正回転させるシステムでは、クランク軸が十分に逆回転する前、つまり、膨張行程で停止していた気筒内の空気が十分に圧縮される前に、膨張行程燃焼を発生させると、圧縮量が不足して膨張行程燃焼の燃焼圧力を十分に増大させることができず、始動(又はスタータ動力の補助)に必要な最低限のトルクを確保できなくなる可能性がある。
【0021】
そこで、請求項7のように、圧縮行程燃焼の発生によってクランク軸が逆回転したことを逆回転検出手段で検出し、クランク軸の逆回転開始から所定期間が経過した後又はクランク軸が所定クランク角だけ逆回転した後に膨張行程燃焼を発生させるための点火を実行するようにすると良い。このようにすれば、クランク軸が十分に逆回転して膨張行程で停止していた気筒内の空気が十分に圧縮された後に、膨張行程燃焼を発生させることができるので、膨張行程燃焼の燃焼圧力を十分に増大させることができ、始動(又はスタータ動力の補助)に必要な最低トルク以上のトルクを確実に発生することができる。
【0022】
この場合、請求項8のように、クランク角センサの出力、筒内圧力、イオン電流のうちの少なくとも1つに基づいてクランク軸が逆回転したことを検出するようにすると良い。クランク軸が逆回転すると、クランク角センサの出力が変化するので、クランク角センサの出力を監視すれば、クランク軸が逆回転したことを検出することができる。また、圧縮行程燃焼が発生すると、筒内圧力や点火プラグ等を介して検出されるイオン電流が圧縮行程燃焼状態に応じて変化するので、筒内圧力やイオン電流を監視すれば、圧縮行程燃焼によってクランク軸が逆回転したことを精度良く検出することができる。
【0023】
以上説明した請求項1〜8では、内燃機関の始動当初に圧縮行程燃焼を発生させてクランク軸を逆回転駆動するようにしたが、請求項9のように、内燃機関のクランク軸を逆回転駆動するためのモータを設け、内燃機関の始動当初に、モータによりクランク軸を逆回転させた後に、該クランク軸を正回転駆動するように膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させるようにしても良い。このようにすれば、モータによるクランク軸の逆回転によって膨張行程で停止していた気筒内の空気を確実に圧縮した後に、膨張行程燃焼を発生させて膨張行程燃焼の燃焼圧力を増大させることができるので、始動(又はスタータ動力の補助)に必要な最低トルク以上のトルクを発生することができる。
【0024】
また、上記請求項1〜6の圧縮行程燃焼に対する分割噴射や多重点火に関する技術は、膨張行程燃焼に対しても適用することができる。つまり、膨張行程燃焼を発生させる際に分割噴射を実行し(請求項10)、分割噴射の回数及び/又は積算噴射量を所定の上限ガード値で制限したり(請求項11)、その上限ガード値を内燃機関の温度又は冷却水温又はこれらに相関する温度情報に応じて設定するようにしても良い(請求項12)。また、膨張行程燃焼を発生させる際に多重点火を実行し(請求項13,15)、この多重点火を分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で実行するようにしても良い(請求項14)。このようにすれば、膨張行程燃焼に対する分割噴射や多重点火についても、前述した請求項1〜6の圧縮行程燃焼に対する分割噴射や多重点火の効果と同様の効果を得ることができる。
【0025】
尚、請求項10〜15に係る発明は、内燃機関の始動当初にモータでクランク軸を逆回転させた後に膨張行程燃焼を発生させるシステムに適用しても良い。
【0026】
ところで、内燃機関の始動開始位置(始動時のクランク角)によっては、圧縮行程燃焼や膨張行程燃焼を正常に発生させることができない場合があり、そのような場合には、未燃焼ガス(HC)が排出されて排気エミッションが悪化したり、燃焼圧力が不足してクランク軸を正常に逆回転又は正回転させることができずに内燃機関の始動に失敗するという問題が発生する。
【0027】
そこで、請求項16のように、内燃機関を始動する際に膨張行程燃焼を発生させるシステムでは、内燃機関の始動開始位置が所定クランク角範囲外にある場合に、膨張行程燃焼制御を禁止するようにしても良い。或は、請求項17のように、内燃機関の始動当初に圧縮行程燃焼を発生させた後に膨張行程燃焼を発生させるシステムでは、内燃機関の始動開始位置が所定クランク角範囲外にある場合に、圧縮行程燃焼制御及び膨張行程燃焼制御を禁止するようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の始動開始位置が圧縮行程燃焼や膨張行程燃焼を正常に発生させることができる所定クランク角範囲内にあるときのみ圧縮行程燃焼制御や膨張行程燃焼制御を実行することができ、排気エミッションや始動性の悪化を未然に防止することができる。
【0028】
この場合、請求項18のように、圧縮行程燃焼制御や膨張行程燃焼制御を許可する所定クランク角範囲は、内燃機関の始動開始時に膨張行程にある気筒が上死点後60℃A〜排気バルブ開時期(例えば上死点後130℃A)となるクランク角範囲に設定することが好ましい。
【0029】
一般に、始動後に膨張行程気筒が上死点後60℃A付近を越えるまでは吸気バルブが開弁しているため、始動開始時に膨張行程気筒が上死点後60℃Aよりも進角側にある場合(圧縮行程気筒が下死点後60℃Aよりも進角側にある場合)、圧縮行程燃焼を発生させると、吸気バルブが開弁した状態で圧縮行程燃焼が発生してしまい、その圧縮行程燃焼の火炎が吸気管側に燃え広がるバックファイヤー現象が発生するおそれがある。また、始動開始時に上死点後60℃Aよりも進角側にある膨張行程気筒のピストンを上死点付近まで逆回転させても、膨張行程気筒の筒内ガスの圧縮量が不足して膨張行程燃焼の燃焼圧力を十分に増大させることができず、膨張行程燃焼による始動に失敗する可能性がある。
【0030】
一方、始動開始時に膨張行程気筒が排気バルブ開時期(例えば上死点後130℃A)よりも遅角側にある場合(圧縮行程気筒が例えば下死点後130℃Aよりも遅角側にある場合)、圧縮行程燃焼の燃焼力が弱く、クランク軸を逆回転させることができない可能性がある。また、排気バルブ開時期(例えば上死点後130℃A)よりも遅角側にある膨張行程気筒では、排気バルブが開弁して排出ガスが気筒内に逆流している可能性があり、この排出ガスが膨張行程燃焼を不安定にする原因となる。
【0031】
従って、始動開始時の膨張行程気筒が上死点後60℃A〜排気バルブ開時期となるクランク角範囲外にある場合に、圧縮行程燃焼制御や膨張行程燃焼制御を禁止するようにすれば、上述した様々な問題を解消することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
《実施形態(1)》
以下、本発明を例えば4気筒の筒内噴射エンジンに適用した実施形態(1)を図1乃至図5に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。筒内噴射式の内燃機関である筒内噴射式エンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、ステップモータ14によって駆動されるスロットルバルブ15が設けられている。このスロットルバルブ15の開度(スロットル開度)は、スロットル開度センサ17によって検出される。
【0033】
スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク19が設けられ、このサージタンク19に、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド20が接続されている。各気筒の吸気マニホールド20内には、それぞれ第1吸気路21と第2吸気路22が仕切り形成され、これら第1吸気路21と第2吸気路22が、エンジン11の各気筒に形成された2つの吸気ポート23にそれぞれ連結されている。
【0034】
また、各気筒の第2吸気路22内には、筒内のスワール流強度やタンブル流強度を制御する気流制御弁24が配置されている。各気筒の気流制御弁24は、共通のシャフト25を介してステップモータ26に連結され、このステップモータ26に、気流制御弁24の開度を検出する気流制御弁センサ27が取り付けられている。
【0035】
エンジン11の各気筒の上部には、燃料を気筒内に直接噴射する燃料噴射弁28が取り付けられている。燃料タンク(図示せず)から燃料配管29を通して燃料デリバリパイプ30に送られてくる燃料は、各気筒の燃料噴射弁28から気筒内に直接噴射され、吸気ポート23から導入される吸入空気と混合して混合気が形成される。燃料デリバリパイプ30には、燃料圧力(燃圧)を検出する燃圧センサ31が取り付けられている。
【0036】
更に、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ(図示せず)が取り付けられ、各点火プラグの火花放電によって気筒内の混合気に着火される。また、気筒判別センサ32は、特定気筒(例えば第1気筒)が吸気上死点に達したときに出力パルスを発生し、クランク角センサ33は、エンジン11のクランク軸が一定クランク角(例えば30℃A)回転する毎に出力パルスを発生する。これらの出力パルスによって、クランク角やエンジン回転速度が検出され、気筒判別が行われる。また、エンジン11には、冷却水温を検出する水温センサ34や、クランク軸を回転駆動(クランキング)してエンジン11を始動するためのスタータ42が取り付けられている。
【0037】
一方、エンジン11の各排気ポート35から排出される排出ガスが排気マニホールド36を介して1本の排気管37に合流する。この排気管37とサージタンク19との間には、排出ガスの一部を吸気系に還流させるEGR配管38が接続され、このEGR配管38の途中に、EGR量(排出ガス還流量)を制御するEGR弁39が設けられている。また、アクセルペダル40には、アクセル開度を検出するアクセルセンサ41が設けられている。
【0038】
前述した各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)16に入力される。このECU16は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁28の燃料噴射量や点火プラグの点火時期を制御する。
【0039】
また、ECU16は、ROMに記憶された自動停止制御プログラム(図示せず)を実行することで、エンジン11の運転中に所定の自動停止条件が成立してエンジン停止要求が発生したとき(運転者が車両を停車させたとき)に、エンジン11を自動的に停止する。
【0040】
更に、ECU16は、ROMに記憶された図4及び図5に示す自動始動制御プログラムを実行することで、エンジン11の自動停止中に所定の自動始動条件が成立してエンジン始動要求が発生したとき(運転者が車両を発進させようとする操作を行ったとき)に、エンジン11を自動的に始動する。その際、ECU16は、スタータ42を使用せずにエンジン11を始動するスタータレス始動を次のようにして実行する。
【0041】
図2に示すように、まず、エンジン始動開始当初に圧縮行程にある気筒(以下「圧縮行程気筒」という)内に燃料を噴射して点火することで圧縮行程燃焼を発生させてクランク軸を逆回転駆動し、その後、膨張行程にある気筒(以下「膨張行程気筒」という)内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を正回転駆動する。これにより、圧縮行程燃焼によりクランク軸を逆回転させて膨張行程気筒のピストンを上死点付近まで押し上げて膨張行程気筒内の空気を圧縮した後に、膨張行程燃焼を発生させて膨張行程燃焼の燃焼圧力を増大させ、始動に必要な最低トルク(少なくとも圧縮上死点を乗り越えるのに必要なトルク)以上のトルクを発生させる。
【0042】
更に、図3に示すように、圧縮行程燃焼を発生させる際には、圧縮行程気筒に対して圧縮行程分割噴射と圧縮行程多重点火を実行する。圧縮行程分割噴射では、例えば、初回噴射として燃料噴射量Q1 の1/2の量を噴射した後に、燃料噴射量Q1 の1/10の量を所定の噴射周期で繰り返し噴射することで、圧縮行程気筒内の空燃比を徐々にリッチ方向に変化させていく。一方、圧縮行程多重点火では、圧縮行程分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で繰り返し点火を行う。圧縮行程分割噴射と並行して圧縮行程多重点火を実行することで、圧縮行程分割噴射により圧縮行程気筒内の空燃比が徐々にリッチ方向に変化して可燃空燃比範囲になった期間を見逃すことなく確実に点火して燃焼を発生させる。
【0043】
以下、ECU16が実行する図4及び図5に示す自動始動制御プログラムの処理内容を説明する。
【0044】
図4及び図5に示す自動始動制御プログラムは、エンジン11の自動停止中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう圧縮行程燃焼制御手段及び膨張行程燃焼制御手段としての役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、自動始動条件が成立してエンジン始動要求が発生したか否かを判定する。ここで、自動始動条件は、運転者が車両を発進させようとする操作を行うことであり、例えば、運転者がアクセルペダル40を踏み込んだとき、又は、自動変速機のシフトレンジをNレンジ(又はPレンジ)からDレンジに操作したとき等に、自動始動条件が成立する。
【0045】
もし、自動始動条件成立(エンジン始動要求有り)と判定されれば、ステップ102、103で、スタータレス始動実行条件が成立しているか否かを判定する。ここで、スタータレス始動実行条件は、例えば、次の▲1▼と▲2▼の条件を両方とも満たすことである。
▲1▼エンジン停止位置(エンジン始動開始位置)が所定クランク角範囲内(図2参照)であること(ステップ102)
▲2▼冷却水温が所定温度以上(例えば70℃以上)であること、つまり、エンジン11のクランキング抵抗が小さい暖機状態であること(ステップ103)
【0046】
ここで、▲1▼の条件について説明する。一般に、始動後に膨張行程気筒が上死点後60℃A付近を越えるまでは吸気バルブが開弁しているため、始動開始時に膨張行程気筒が上死点後60℃Aよりも進角側にある場合(圧縮行程気筒が下死点後60℃Aよりも進角側にある場合)、圧縮行程燃焼を発生させると、吸気バルブが開弁した状態で圧縮行程燃焼が発生してしまい、その圧縮行程燃焼の火炎が吸気管側に燃え広がるバックファイヤー現象が発生するおそれがある。また、始動開始時に上死点後60℃Aよりも進角側にある膨張行程気筒のピストンを上死点付近まで逆回転させても、膨張行程気筒の筒内ガスの圧縮量が不足して膨張行程燃焼の燃焼圧力を十分に増大させることができず、膨張行程燃焼による始動に失敗する可能性がある。
【0047】
一方、始動開始時に膨張行程気筒が排気バルブ開時期(例えば上死点後130℃A)よりも遅角側にある場合(圧縮行程気筒が例えば下死点後130℃Aよりも遅角側にある場合)、圧縮行程燃焼の燃焼力が弱く、クランク軸を逆回転させることができない可能性がある。また、排気バルブ開時期(例えば上死点後130℃A)よりも遅角側にある膨張行程気筒では、排気バルブが開弁して排出ガスが気筒内に逆流している可能性があり、この排出ガスが膨張行程燃焼を不安定にする原因となる。
【0048】
従って、この▲1▼の条件の判定は、所定クランク角範囲を膨張行程気筒が上死点後60℃A〜排気バルブ開時期となるクランク角範囲(図2参照)に設定して、エンジン停止中(始動開始時)の膨張行程気筒が上死点後60℃A〜排気バルブ開時期のクランク角範囲外にある場合に、スタータレス始動(圧縮行程燃焼制御及び膨張行程燃焼制御)を禁止するようにしている。このステップ102の処理が特許請求の範囲でいう禁止手段としての役割を果たす。
【0049】
上記▲1▼と▲2▼の条件を両方とも満たせば、スタータレス始動実行条件が成立するが、上記▲1▼と▲2▼の条件のうち一方でも満たさない条件があれば、スタータレス始動実行条件が不成立となる。尚、エンジン11を自動停止する際に強制的に膨張行程気筒のピストン停止位置が上記所定クランク角範囲内となるように制御しても良く、この場合には、上記▲1▼の条件を省略しても良い。
【0050】
スタータレス始動実行条件が不成立と判定された場合には、図5のステップ117に進み、スタータ42に通電してエンジン11をスタータ42の駆動力でクランキングして始動する。
【0051】
一方、上記ステップ102、103でスタータレス始動実行条件が成立していると判定された場合には、スタータレス始動を次のようにして実行する。まず、ステップ104に進み、圧縮行程気筒に噴射する燃料噴射量Q1 と膨張行程気筒に噴射する燃料噴射量Q2 を算出する。
【0052】
この場合、燃料噴射量Q1 ,Q2 の算出方法は、前回のエンジン停止時にクランク角センサ33から出力されるパルス信号から求めたエンジン停止位置(エンジン停止時のクランク角)をECU16のSRAM等の不揮発性メモリに記憶しておき、次のエンジン始動開始時に、不揮発性メモリからエンジン停止位置のデータを読み込んで、そのエンジン停止位置をエンジン始動開始位置と見なして始動開始時の圧縮行程気筒の推定燃焼室容積V1 と膨張行程気筒の推定燃焼室容積V2 を算出し、圧縮行程気筒の推定燃焼室容積V1 の空気量に対して可燃空燃比となるように燃料噴射量Q1 を算出すると共に、膨張行程気筒の推定燃焼室容積V2 の空気量に対して可燃空燃比となるように燃料噴射量Q2 を算出する。
【0053】
この後、ステップ105に進み、圧縮行程分割噴射の積算噴射量を制限するための分割噴射上限ガード値を算出する。この分割噴射上限ガード値は、冷却水温をパラメータとする分割噴射上限ガード値のマップを検索して冷却水温に応じた分割噴射上限ガード値を算出する。一般に、冷却水温はエンジン11の温度を反映するパラメータとなるため、冷却水温が高くなるほど気筒内壁等に付着する燃料量(ウェット量)が少なくなって圧縮行程燃焼に必要な燃料噴射量が少なくなる。このため、分割噴射上限ガード値のマップは、冷却水温が高くなるほど分割噴射上限ガード値が小さくなるように設定されている。尚、エンジン11の温度に相関する他のパラメータ(例えば油温等)に応じて分割噴射上限ガード値を設定するようにしても良い。
【0054】
分割噴射上限ガード値の算出後、ステップ106に進み、ECU16の不揮発性メモリに記憶されているエンジン停止位置(エンジン始動開始位置)に基づいて膨張行程気筒のピストンを上死点付近まで逆回転させるのに必要な目標逆回転クランク角を算出する。
【0055】
この後、図5のステップ107に進み、圧縮行程燃焼制御(圧縮行程多重点火及び圧縮行程分割噴射)の開始前であるか否かを判定する。圧縮行程燃焼制御の開始前であれば、ステップ108に進み、圧縮行程多重点火を開始して圧縮行程分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で点火を繰り返し実行する。この後、ステップ109に進み、圧縮行程分割噴射の初回噴射として燃料噴射量Q1 の1/2の量を噴射して圧縮行程分割噴射を開始した後、ステップ112に進む。
【0056】
一方、上記ステップ107で圧縮行程燃焼制御の開始後であると判定された場合には、ステップ110に進み、圧縮行程分割噴射の積算噴射量が前記ステップ105で算出した分割噴射上限ガード値以下であるか否かを判定する。その結果、圧縮行程分割噴射の積算噴射量が分割噴射上限ガード値以下であると判定されれば、ステップ111に進み、圧縮行程分割噴射の2回目以降の噴射として燃料噴射量Q1 の1/10の量を噴射した後、ステップ112に進む。これにより、圧縮行程燃焼制御開始時に、初回噴射として燃料噴射量Q1 の1/2の量を噴射した後に、燃料噴射量Q1 の1/10の量を所定の噴射周期(本プログラムの実行周期)で繰り返し噴射する圧縮行程分割噴射を実行して、圧縮行程気筒内の空燃比を徐々にリッチ方向に変化させる。
【0057】
これらのステップ107〜ステップ111の処理により圧縮行程分割噴射と並行して圧縮行程多重点火を実行することで、圧縮行程気筒内の空燃比が徐々にリッチ方向に変化して可燃空燃比範囲になった期間を見逃すことなく確実に点火して圧縮行程燃焼を発生させる。この圧縮行程燃焼の燃焼圧力によってクランク軸を逆回転駆動する。
【0058】
尚、上記ステップ110で、圧縮行程分割噴射の積算噴射量が分割噴射上限ガード値を越えたと判定された場合には、気筒内の燃料量を更に増加しても(つまり空燃比を更にリッチにしても)、圧縮行程燃焼は発生しないと判断して、ステップ117に進み、スタータ42に通電してエンジン11をスタータ42の駆動力で始動する。
【0059】
上記ステップ109又は111からステップ112に進むと、圧縮行程燃焼が発生してクランク軸が逆回転したか否かを、クランク角センサ33でパルス信号を検出したか否かによって判定する。尚、圧縮行程燃焼が発生すると、圧縮行程気筒の筒内圧力やイオン電流が変化するので、圧縮行程燃焼が発生してクランク軸が逆回転したか否かを、筒内圧力センサ等で検出した筒内圧力や点火プラグ等を介して検出したイオン電流の挙動に基づいて判定するようにしても良い。このステップ112の処理が特許請求の範囲でいう逆回転検出手段としての役割を果たす。
【0060】
ステップ112で、クランク軸が逆回転していない(圧縮行程燃焼が発生していない)と判定されれば、以降の処理を行うことなく、そのまま本プログラムを終了する。その後、圧縮行程燃焼が発生してクランク軸が逆回転した時点で、ステップ112からステップ113に進み、圧縮行程分割噴射と圧縮行程多重点火を終了する。
【0061】
この後、ステップ114に進み、クランク角センサ33の出力に基づいてクランク軸の逆回転開始からクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転したか否かを判定する。尚、クランク軸の逆回転開始からクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転するのに必要な所定時間が経過したか否かによってクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転したか否かを判定するようにしても良い。
【0062】
このステップ114でクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転したと判定された時点で、膨張行程気筒内の空気が十分に圧縮されたと判断して、ステップ115に進み、膨張行程燃焼制御を実行して、膨張行程気筒に対して多重点火を開始すると共に、燃料噴射量Q2 を一括噴射して膨張行程燃焼を発生させる。この膨張行程燃焼の燃焼圧力によってクランク軸を正回転駆動する。尚、膨張行程気筒に対する燃料噴射は、これよりも少し早いタイミングで実施するようにしても良い。
【0063】
この後、ステップ116に進み、膨張行程燃焼制御を開始してから所定時間以内にエンジン11が始動判定速度(例えば200rpm)以上に回転上昇したか否かを判定する。もし、所定時間以内にエンジン11が始動判定速度以上に回転上昇していなければ、スタータレス始動が失敗したと判断して、膨張行程気筒の多重点火を終了した後、ステップ117に進み、スタータ42に通電してエンジン11をスタータ42の駆動力で始動する。
【0064】
一方、所定時間以内にエンジン11が始動判定速度以上に回転上昇すれば、その時点で、スタータレス始動が正常に完了したと判断して、膨張行程気筒の多重点火を終了した後、本プログラムを終了する。
【0065】
以上説明した本実施形態(1)によれば、圧縮行程燃焼を発生させる際に圧縮行程分割噴射を実行するようにしたので、圧縮行程気筒内の燃料量を徐々に増加させて圧縮行程気筒内の空燃比を徐々にリッチ方向に変化させていくことができて、圧縮行程気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になったときに点火することで正常な燃焼を発生させることができる。このため、可燃空燃比となるような燃料噴射量を精度良く算出することができない場合でも、正常な圧縮行程燃焼を発生させることができ、始動性を向上させることができる。しかも、燃料噴射方法や点火方法を変更するだけで対応することができるので、排気補助弁、高圧空気供給手段等の新たな機構を追加する必要がなく、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0066】
また、本実施形態(1)では、圧縮行程分割噴射の積算噴射量を分割噴射上限ガード値で制限するようにしたので、圧縮行程気筒内に分割噴射する合計燃料噴射量を制限することができ、圧縮行程燃焼に必要な燃料噴射量を越えて過剰に燃料噴射してしまうことを防止することができる。また、もし、圧縮行程燃焼を発生させることができずに、通常のスタータ始動に切り換える場合に、気筒内に残留する燃料量を制限することができ、スタータ始動時の始動性やエミッションの悪化を防止することができる。
【0067】
更に、本実施形態(1)では、エンジン11の冷却水温に応じて分割噴射上限ガード値を設定するようにしたので、エンジン11の温度を反映するパラメータである冷却水温に応じて圧縮行程燃焼に必要な燃料噴射量が変化するのに対応して適正な分割噴射上限ガード値を設定することができる。
【0068】
また、本実施形態(1)では、圧縮行程燃焼を発生させる際に圧縮行程分割噴射と圧縮行程多重点火を並行して実行するようにしたので、圧縮行程分割噴射により圧縮行程気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になる期間を予測しなくても、可燃空燃比範囲になっている期間に点火して燃焼を発生させることが可能となる。しかも、分割噴射によって燃料の霧化を促進しながら、多重点火によって点火プラグの発火部やその周囲の混合気を予熱してから点火することができ、より着火性を高めることができる。
【0069】
更に、本実施形態(1)では、圧縮行程分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で圧縮行程多重点火を実行するようにしたので、1回の分割噴射毎に1回以上の点火を実行することができ、圧縮行程分割噴射により気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になった期間を見逃すことなく確実に点火することができる。
【0070】
また、本実施形態(1)では、圧縮行程燃焼によるクランク軸の逆回転開始からクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転した後(又はクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転するのに必要な所定時間が経過した後)に、膨張行程燃焼を発生させるための多重点火を実行するようにしたので、クランク軸が十分に逆回転して膨張行程気筒内の空気が十分に圧縮された後に、膨張行程燃焼を発生させることができて、膨張行程燃焼の燃焼圧力を十分に増大させることができ、始動に必要な最低トルク以上のトルクを確実に発生することができる。
【0071】
《実施形態(2)》
上記実施形態(1)では、エンジン11を始動する際に圧縮行程燃焼を発生させた後に膨張行程燃焼を発生させるシステムにおいて、圧縮行程燃焼を発生させる際に圧縮行程分割噴射と圧縮行程多重点火を実行するようにしたが、図6及び図7に示す本発明の実施形態(2)では、エンジン11を始動する際に圧縮行程燃焼を行わずに膨張行程燃焼を発生させるシステムにおいて、膨張行程燃焼を発生させる際に膨張行程分割噴射と膨張行程多重点火を実行するようにしている。
【0072】
本実施形態(2)では、ECU16が図6及び図7に示す自動始動制御プログラムを実行する。本プログラムが起動されると、まず、ステップ201で、自動始動条件が成立してエンジン始動要求が有るか否かを判定し、自動始動条件成立(エンジン始動要求有り)と判定されれば、ステップ202、203で、スタータレス始動実行条件が成立しているか否かを判定する。このスタータレス始動実行条件は、上記実施形態(1)で説明したスタータレス始動実行条件と同じであり、▲1▼エンジン停止位置(エンジン始動開始位置)が所定クランク角範囲内であり、且つ▲2▼冷却水温が所定温度以上であることである。
【0073】
尚、エンジン11を自動停止する際に強制的に膨張行程気筒のピストン停止位置が上記所定クランク角範囲内となるように制御しても良く、この場合には、上記▲1▼の条件を省略しても良い。
【0074】
スタータレス始動実行条件が不成立と判定された場合には、図7のステップ214に進み、スタータ42に通電してエンジン11をスタータ42の駆動力で始動する。
【0075】
一方、上記ステップ202、203でスタータレス始動実行条件が成立したと判定された場合には、スタータレス始動を次のようにして実行する。まず、ステップ204に進み、ECU16のSRAM等の不揮発性メモリに記憶されているエンジン停止位置(エンジン始動開始位置)に基づいて膨張行程気筒の推定燃焼室容積V2 を算出し、この推定燃焼室容積V2 の空気量に対して可燃空燃比となるように燃料噴射量Q2 を算出する。
【0076】
この後、ステップ205に進み、膨張行程分割噴射の積算噴射量を制限するための分割噴射上限ガード値を算出する。この分割噴射上限ガード値は、冷却水温をパラメータとする分割噴射上限ガード値のマップを検索して冷却水温に応じた分割噴射上限ガード値を算出する。尚、エンジン11の温度に相関する他のパラメータ(例えば油温等)に応じて分割噴射上限ガード値を設定するようにしても良い。
【0077】
この後、図7のステップ206に進み、膨張行程燃焼制御(膨張行程多重点火及び膨張行程分割噴射)の開始前であるか否かを判定する。膨張行程燃焼制御の開始前であれば、ステップ207に進み、膨張行程多重点火を開始して膨張行程分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で繰り返し点火を行う。この後、ステップ208に進み、膨張行程分割噴射の初回噴射として燃料噴射量Q2 の1/2の量を噴射して膨張行程分割噴射を開始した後、ステップ211に進む。
【0078】
一方、上記ステップ206で膨張行程燃焼制御の開始後であると判定された場合には、ステップ209に進み、膨張行程分割噴射の積算噴射量が前記ステップ205で算出した分割噴射上限ガード値以下であるか否かを判定する。その結果、膨張行程分割噴射の積算噴射量が分割噴射上限ガード値以下であると判定されれば、ステップ210に進み、膨張行程分割噴射の2回目以降の噴射として燃料噴射量Q2 の1/10の量を噴射した後、ステップ211に進む。これにより、膨張行程燃焼制御開始時に、初回噴射として燃料噴射量Q2 の1/2の量を噴射した後に、燃料噴射量Q2 の1/10の量を所定の噴射周期(本プログラムの実行周期)で繰り返し噴射する膨張行程分割噴射を実行して、膨張行程気筒内の空燃比を徐々にリッチ方向に変化させる。
【0079】
これらのステップ206〜ステップ210の処理により膨張行程分割噴射と並行して膨張行程多重点火を実行することで、膨張行程気筒内の空燃比が徐々にリッチ方向に変化して可燃空燃比範囲になった期間を見逃すことなく確実に点火して膨張行程燃焼を発生させる。
【0080】
尚、上記ステップ209で、膨張行程分割噴射の積算噴射量が分割噴射上限ガード値を越えたと判定された場合には、気筒内の燃料量を更に増加しても(つまり空燃比を更にリッチにしても)、膨張行程燃焼は発生しないと判断して、ステップ214に進み、スタータ42に通電してエンジン11をスタータ42の駆動力で始動する。
【0081】
上記ステップ208又はステップ210からステップ211に進むと、膨張行程燃焼が発生してクランク軸が回転したか否かを、クランク角センサ33でパルス信号を検出したか否かによって判定する。尚、膨張行程燃焼が発生してクランク軸が回転したか否かを、筒内圧力センサ等で検出した筒内圧力や点火プラグ等を介して検出したイオン電流の挙動に基づいて判定するようにしても良い。
【0082】
ステップ211で、クランク軸が回転していない(膨張行程燃焼が発生していない)と判定されれば、以降の処理を行うことなく、そのまま本プログラムを終了する。その後、膨張行程燃焼が発生してクランク軸が回転したと判定された時点で、ステップ211からステップ212に進み、膨張行程分割噴射と膨張行程多重点火を終了する。
【0083】
この後、ステップ213に進み、膨張行程燃焼制御を開始してから所定時間以内にエンジン11が始動判定速度(例えば200rpm)以上に回転上昇したか否かを判定する。もし、所定時間以内にエンジン11が始動判定速度以上に回転上昇していなければ、スタータレス始動が失敗したと判断して、ステップ214に進み、スタータ42に通電してエンジン11をスタータ42の駆動力で始動する。
【0084】
一方、所定時間以内にエンジン11が始動判定速度以上に回転上昇すれば、その時点で、スタータレス始動が正常に完了したと判断して、そのまま本プログラムを終了する。
【0085】
以上説明した本実施形態(2)では、膨張行程燃焼を発生させる際に膨張行程分割噴射と膨張行程多重点火を実行するようにしたので、圧縮行程燃焼に対して分割噴射と多重点火を実行した前記実施形態(1)の分割噴射と多重点火の効果と同様の効果を得ることができる。
【0086】
尚、本実施形態(2)では、エンジン11を始動する際に圧縮行程燃焼を行わずに膨張行程燃焼を発生させるシステムにおいて、膨張行程燃焼を発生させる際に膨張行程分割噴射と膨張行程多重点火を実行するようにしたが、エンジン11を始動する際に圧縮行程燃焼を発生させた後に膨張行程燃焼を発生させるシステムにおいて、膨張行程燃焼を発生させる際に膨張行程分割噴射と膨張行程多重点火を実行するようにしても良い。
【0087】
また、圧縮行程燃焼や膨張行程燃焼を発生させる際に、必ずしも分割噴射を行う必要はなく、燃料の一括噴射と多重点火を組み合わせて実行するようにしても良い。燃料を一括噴射する場合でも、気筒内に噴射された燃料が霧化して気筒内の空燃比が可燃空燃比範囲になったときに点火する必要があるので、多重点火を実行すれば、燃料の霧化時間を考慮しなくても、可燃空燃比範囲になっている期間に点火して正常な燃焼を発生させることができる。しかも、分割噴射による燃料の霧化促進効果や多重点火による予熱効果によって、より着火性を高めることができる。
【0088】
また、上記各実施形態(1),(2)では、圧縮行程分割噴射や膨張行程分割噴射の積算噴射量を制限するための分割噴射上限ガード値を冷却水温等に応じて設定するようにしたが、演算処理の簡略化するために分割噴射上限ガード値を予め設定した固定値としても良い。
【0089】
また、圧縮行程分割噴射や膨張行程分割噴射の噴射回数を上限ガード値で制限するようにしても良い。
【0090】
《実施形態(3)》
上記実施形態(1)では、エンジン11を自動始動する際に、圧縮行程燃焼を発生させてクランク軸を逆回転させた後に、膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を正回転させるようにしたが、図8及び図9に示す本発明の実施形態(3)では、エンジン11を自動始動する際に、スタータ42のモータ42aを逆回転させてクランク軸を逆回転させた後に、膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を正回転させるようにしている。
【0091】
本実施形態(3)では、図8に示すように、ECU16がスタータ42に出力する回転方向制御信号を正回転側と逆回転側との間で切り換えることで、例えば、スタータモータ42aへの通電方向を切り換えるスイッチを正方向側と逆方向側との間で切り換えるようになっている。そして、回転方向制御信号を正回転側に切り換えた状態で、スタータ駆動信号をスタータ42に出力して通電すると、スタータモータ42aが正回転する。一方、回転方向制御信号を逆回転側に切り換えた状態で、スタータ駆動信号をスタータ42に出力して通電すると、スタータモータ42aが逆回転転する。
【0092】
本実施形態(3)では、ECU16が図9に示す自動始動制御プログラムを実行する。本プログラムが起動されると、まず、ステップ301で、自動始動条件が成立してエンジン始動要求が有るか否かを判定し、自動始動条件成立(エンジン始動要求有り)と判定されれば、ステップ302、303で、セミスタータレス始動実行条件が成立しているか否かを判定する。このセミスタータレス始動実行条件は、上記実施形態(1)で説明したスタータレス始動実行条件と同じであり、▲1▼エンジン停止位置(エンジン始動開始位置)が所定クランク角範囲内であり、且つ▲2▼冷却水温が所定温度以上であることである。尚、エンジン11を自動停止する際に強制的に膨張行程気筒のピストン停止位置が上記所定クランク角範囲内となるように制御しても良く、この場合には、上記▲1▼の条件を省略しても良い。
【0093】
セミスタータレス始動実行条件が不成立と判定された場合には、ステップ310に進み、回転方向制御信号を正回転側に切り換えた状態で、スタータ駆動信号をスタータ42に出力して通電し、スタータモータ42aを正回転させる。これにより、スタータ42の駆動力でクランク軸を正回転駆動(クランキング)してエンジン11を始動する。
【0094】
一方、上記ステップ302、303でセミスタータレス始動実行条件が成立していると判定された場合には、セミスタータレス始動を次のようにして実行する。まず、ステップ304に進み、ECU16のSRAM等の不揮発性メモリに記憶されているエンジン停止位置(エンジン始動開始位置)に基づいて膨張行程気筒の推定燃焼室容積V2 を算出し、この推定燃焼室容積V2 の空気量に対して可燃空燃比となるように燃料噴射量Q2 を算出する。
【0095】
この後、ステップ305に進み、現在のクランク角停止位置に基づいて膨張行程気筒のピストンを上死点付近まで逆回転させるのに必要な目標逆回転クランク角を算出する。
【0096】
この後、ステップ306に進み、回転方向制御信号を逆回転側に切り換えた状態で、スタータ駆動信号をスタータ42に出力して通電し、スタータモータ42aを逆回転させる。これにより、スタータ42の駆動力でクランク軸を逆回転駆動する。このステップ306の処理が特許請求の範囲でいう逆回転制御手段としての役割を果たす。
【0097】
この後、ステップ307に進み、クランク軸の逆回転開始からクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転したか否かを判定する。このステップ307でクランク軸が目標逆回転クランク角だけ逆回転したと判定された時点で、膨張行程気筒内の空気が十分に圧縮されたと判断して、ステップ308に進み、膨張行程燃焼制御を実行して、膨張行程気筒に対して多重点火を開始すると共に燃料噴射量Q2 を一括噴射して膨張行程燃焼を発生させる。この膨張行程燃焼の燃焼圧力によりクランク軸を正回転駆動する。尚、膨張行程気筒に対する燃料噴射は、これよりも少し早いタイミングで実施するようにしても良い。
【0098】
この後、ステップ309に進み、膨張行程燃焼制御を開始してから所定時間以内にエンジン11が始動判定速度(例えば200rpm)以上に回転上昇したか否かを判定する。もし、所定時間以内にエンジン11が始動判定速度以上に回転上昇していなければ、セミスタータレス始動が失敗したと判断して、膨張行程気筒への多重点火を終了した後、ステップ310に進み、スタータ42の駆動力でクランク軸を正回転駆動(クランキング)してエンジン11を始動する。
【0099】
一方、所定時間以内にエンジン11が始動判定速度以上に回転上昇すれば、その時点で、セミスタータレス始動が正常に完了したと判断して、膨張行程気筒への多重点火を終了した後、本プログラムを終了する。
【0100】
以上説明した本実施形態(3)では、スタータモータ42aを逆回転させてクランク軸を逆回転駆動することによって膨張行程気筒内の空気を圧縮した後に、膨張行程燃焼を発生させて膨張行程燃焼の燃焼圧力を増大させることができるので、膨張行程燃焼により始動に必要な最低トルク以上のトルクを安定して発生することができる。
【0101】
また、本実施形態(3)では、スタータモータ42aでクランク軸を僅かなクランク角(180℃Aよりも小さいクランク角)だけ逆回転させるだけなので、スタータ42によるエンジン始動に比べてスタータ42やバッテリに掛かる負担を大幅に軽減することができる。
【0102】
尚、本実施形態(3)では、スタータモータ42aでクランク軸を逆回転駆動するようにしたが、逆回転駆動専用のモータを設けるようにしても良い。
【0103】
また、上記各実施形態(1)〜(3)では、エンジン11を自動始動する際に圧縮行程燃焼や膨張行程燃焼を発生させてエンジン11を始動するシステムに本発明を適用したが、イグニッションスイッチの操作によりエンジン11を手動始動する際に、圧縮行程燃焼や膨張行程燃焼を発生させてエンジン11を始動するシステムに本発明を適用しても良い。
【0104】
また、上記各実施形態(1)〜(3)では、始動時のクランク軸の正回転駆動(クランキング)を膨張行程燃焼の燃焼圧力のみによって行うようにしたが、始動時にスタータ等の始動装置を同時に作動させ、その始動装置のクランキング力を膨張行程燃焼の燃焼圧力によって補助するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)におけるエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】実施形態(1)のスタータレス始動制御を説明するための図
【図3】実施形態(1)の分割噴射と多重点火を説明するためのタイムチャート
【図4】実施形態(1)の自動始動制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その1)
【図5】実施形態(1)の自動始動制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その2)
【図6】実施形態(2)の自動始動制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その1)
【図7】実施形態(2)の自動始動制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その2)
【図8】実施形態(3)におけるエンジン制御システム全体の概略構成図
【図9】実施形態(3)の自動始動制御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、15…スロットルバルブ、16…ECU(圧縮行程燃焼制御手段,膨張行程燃焼制御手段,逆回転検出手段,禁止手段,逆回転制御手段)、28…燃料噴射弁、33…クランク角センサ、34…水温センサ、37…排気管、42…スタータ、42a…モータ。
Claims (18)
- 内燃機関の始動当初にクランク軸を逆回転駆動するように圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで圧縮行程燃焼を発生させる圧縮行程燃焼制御手段と、
前記圧縮行程燃焼制御手段により前記クランク軸を逆回転させた後に該クランク軸を正回転駆動するように膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させる膨張行程燃焼制御手段とを備えた内燃機関の始動制御装置において、
前記圧縮行程燃焼制御手段は、前記圧縮行程燃焼を発生させる際に燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射を実行することを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記圧縮行程燃焼制御手段は、前記分割噴射の回数及び/又は積算噴射量を所定の上限ガード値で制限することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記圧縮行程燃焼制御手段は、内燃機関の温度又は冷却水温又はこれらに相関する温度情報に基づいて前記上限ガード値を設定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記圧縮行程燃焼制御手段は、前記圧縮行程燃焼を発生させる際に複数回の点火を行う多重点火を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記圧縮行程燃焼制御手段は、前記分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で前記多重点火を実行することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 内燃機関の始動当初にクランク軸を逆回転駆動するように圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで圧縮行程燃焼を発生させる圧縮行程燃焼制御手段と、
前記圧縮行程燃焼制御手段により前記クランク軸を逆回転させた後に該クランク軸を正回転駆動するように膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させる膨張行程燃焼制御手段とを備えた内燃機関の始動制御装置において、
前記圧縮行程燃焼制御手段は、前記圧縮行程燃焼を発生させる際に複数回の点火を行う多重点火を実行することを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 内燃機関の始動当初にクランク軸を逆回転駆動するように圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで圧縮行程燃焼を発生させる圧縮行程燃焼制御手段と、
前記圧縮行程燃焼制御手段により前記クランク軸を逆回転させた後に該クランク軸を正回転駆動するように膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させる膨張行程燃焼制御手段とを備えた内燃機関の始動制御装置において、
前記圧縮行程燃焼によって前記クランク軸が逆回転したことを検出する逆回転検出手段を備え、
前記膨張行程燃焼制御手段は、前記クランク軸の逆回転開始から所定期間が経過した後又は前記クランク軸が所定クランク角だけ逆回転した後に前記膨張行程燃焼を発生させるための点火を実行することを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記逆回転検出手段は、クランク角センサの出力、筒内圧力、イオン電流のうちの少なくとも1つに基づいて前記クランク軸が逆回転したことを検出することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 内燃機関のクランク軸を逆回転駆動するためのモータと、
内燃機関の始動当初に前記クランク軸を逆回転駆動するように前記モータを制御する逆回転制御手段と、
前記逆回転制御手段により前記クランク軸を逆回転させた後に該クランク軸を正回転駆動するように膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させる膨張行程燃焼制御手段と
を備えていることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 内燃機関を始動する際に膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を回転駆動する膨張行程燃焼制御手段を備えた内燃機関の始動制御装置において、
前記膨張行程燃焼制御手段は、前記膨張行程燃焼を発生させる際に燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射を実行することを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記膨張行程燃焼制御手段は、前記分割噴射の回数及び/又は積算噴射量を所定の上限ガード値で制限することを特徴とする請求項10に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記膨張行程燃焼制御手段は、内燃機関の温度又は冷却水温又はこれらに相関する温度情報に応じて前記上限ガード値を設定することを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記膨張行程燃焼制御手段は、前記膨張行程燃焼を発生させる際に複数回の点火を行う多重点火を実行することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記膨張行程燃焼制御手段は、前記分割噴射の噴射周期よりも短い点火周期で前記多重点火を実行することを特徴とする請求項13に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 内燃機関を始動する際に膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を回転駆動する膨張行程燃焼制御手段を備えた内燃機関の始動制御装置において、
前記膨張行程燃焼制御手段は、前記膨張行程燃焼を発生させる際に複数回の点火を行う多重点火を実行することを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 内燃機関を始動する際に膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させてクランク軸を回転駆動する膨張行程燃焼制御手段を備えた内燃機関の始動制御装置において、
内燃機関の始動開始位置が所定クランク角範囲外にある場合に、前記膨張行程燃焼制御手段による膨張行程燃焼制御を禁止する禁止手段を備えていることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 内燃機関の始動当初にクランク軸を逆回転駆動するように圧縮行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで圧縮行程燃焼を発生させる圧縮行程燃焼制御手段と、
前記圧縮行程燃焼制御手段により前記クランク軸を逆回転させた後に該クランク軸を正回転駆動するように膨張行程にある気筒内に燃料を噴射して点火することで膨張行程燃焼を発生させる膨張行程燃焼制御手段とを備えた内燃機関の始動制御装置において、
内燃機関の始動開始位置が所定クランク角範囲外にある場合に、前記圧縮行程燃焼制御手段による圧縮行程燃焼制御及び前記膨張行程燃焼制御手段による膨張行程燃焼制御を禁止する禁止手段を備えていることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記所定クランク角範囲は、内燃機関の始動開始時に膨張行程にある気筒が上死点後60℃A〜排気バルブ開時期となるクランク角範囲に設定されていることを特徴とする請求項16又は17に記載の内燃機関の始動制御装置。
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