JP2002039038A - エンジン始動装置 - Google Patents
エンジン始動装置Info
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Abstract
エンジン始動装置を提供することにある。 【解決手段】コントロールユニット30は、膨張行程に
ある気筒を検出して、燃料を噴射・点火してエンジンを
再始動させる。バルブタイミング位相可変機構44は、
圧縮行程にある気筒の吸気弁の開閉タイミングを制御す
る。コントロールユニット30は、膨張行程にある気筒
の燃料噴射・点火時に、圧縮行程にある気筒の吸気弁が
開くように、バルブタイミング位相可変機構44による
吸気弁の閉時期を制御する。
Description
るエンジン始動装置に係り、特に、スタータを用いるこ
となく、エンジンを始動するエンジン始動制御装置に関
する。
信号待ちや渋滞時等で停止している際には、エンジンは
アイドリング状態で回転を続けているため、燃料消費率
の悪化,排出ガスの増加,乗り心地の悪化,騒音の増加
を招いていた。そこで、例えば、特開昭58−1855
7号公報に記載されているように、自動車が確実に停止
していると判断した場合には、エンジンを停止させるこ
とが知られている。再始動に際しては、所定の再始動条
件が整うと、スタータモータを用いてエンジンを再始動
させるようにしている。しかしながら、スタータモータ
は、元来エンジンの始動時にのみ使用することを前提と
して開発されているので、頻繁に停止・再始動を繰り返
すエンジンにあっては、スタータ使用回数の極端な増加
を招き、スタータや、その周辺部品の寿命が短くなり、
破損や消耗によりエンジン再始動ができなくなる恐れが
あった。また、スタータの使用増加に伴い、バッテリー
の充放電負荷も増加するため、バッテリーの寿命が短く
なったり、降雨時,夜間など、放電電流が多い場合には
バッテリーの放電が増加し、再始動が不可能になった
り、オルタネータの充電量、言い替えれば駆動負荷が増
加して燃費の悪化を招いたりする恐れがあった。
6号公報に記載されているように、エンジンの停止時
に、ピストンを上死点後5°〜110°の範囲に停止さ
せておき、始動時には、シリンダ内の空気量に応じた燃
料を噴射した後、点火することにより、エンジンを自己
始動させるものが知られている。これによって、従来の
始動時にスタータモータが消費していた電力を低減し、
スタータモータおよび補機類の軽量化を図ったり、ある
いはスタータを完全に廃止して、エンジンシステムの小
型軽量化とコストダウンを図ることが可能となる。
11−125136号公報に記載されている方式につい
て、本発明者らが実験を行ったところ、自己始動が不可
能であることが判明した。すなわち、多気筒エンジン,
例えば、1−3−4−2の各気筒の順で点火する4気筒
エンジンを例にとり、自己始動に用いる気筒を第1気筒
とすると、第1気筒の膨張行程時には、第3気筒の圧縮
が始まっている。そのため、第1気筒の最初の燃焼によ
って生じるトルクでは、第3気筒の圧縮を行なうことが
できず、エンジンはそのまま停止してしまい、自己始動
に失敗することが判明した。
く、自己始動の可能なエンジン始動装置を提供すること
にある。
るために、本発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する
燃料噴射手段と、エンジン停止時のクランク角を検知す
るクランク角検知手段と、シリンダ内の混合気に点火す
る点火手段と、エンジンの一時停止後に、膨張行程にあ
る気筒を検出して、燃料を噴射・点火してエンジンを再
始動させるエンジン始動装置において、再始動時に、圧
縮行程にある気筒の圧縮力を低下させる低圧圧縮制御手
段を備えるようにしたものである。かかる構成により、
膨張行程で発生したトルクを消費する圧縮力を低減し
て、スタータを用いることなく、自己始動し得るものと
なる。
上記低圧圧縮制御手段は、上記圧縮行程にある気筒の吸
気弁の開閉タイミングを制御するバルブタイミング位相
可変手段と、上記膨張行程にある気筒の燃料噴射・点火
時に、上記圧縮行程にある気筒の吸気弁が開くように、
上記バルブタイミング位相可変手段による吸気弁の閉時
期を制御する制御手段とからなるようにしたものであ
る。
上記低圧圧縮制御手段は、上記圧縮行程にある気筒の排
気側に設けられた補助排気弁と、上記膨張行程にある気
筒の燃料噴射・点火時に、上記圧縮行程にある気筒の上
記補助排気弁が開くように、上記補助排気弁を制御する
制御手段とからなるようにしたものである。
本発明は、シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料噴射手
段と、エンジン停止時のクランク角を検知するクランク
角検知手段と、シリンダ内の混合気に点火する点火手段
と、エンジンの一時停止後に、膨張行程にある気筒を検
出して、燃料を噴射・点火してエンジンを再始動させる
エンジン始動装置において、上記再始動時の膨張力を大
きくする高圧膨張制御手段を備えるようにしたものであ
る。かかる構成により、膨張行程で発生したトルクを大
きくして、スタータを用いることなく、自己始動し得る
ものとなる。
上記高圧膨張制御手段は、再始動時に、吸気行程にある
気筒の吸気弁及び排気弁の開閉タイミングを可変する可
変バルブタイミング手段と、上記膨張行程にある気筒の
燃料噴射・点火時に、上記吸気行程にある気筒の上記吸
気弁及び排気弁を閉じるように、上記可変バルブタイミ
ング手段を制御するとともに、この気筒のシリンダに燃
料を噴射し、点火する制御手段とからなるようにしたも
のである。
上記制御手段は、上記吸気行程にある気筒の膨張・排気
行程の後に、空吸気及び空排気行程を設けるようにした
ものである。
上記高圧膨張制御手段は、再始動時に、膨張行程にある
気筒に高圧空気を供給する高圧空気供給手段と、上記膨
張行程にある気筒の燃料噴射・点火時に、上記高圧空気
供給手段から高圧空気を供給するように制御する制御手
段とからなるようにしたものである。
明の第1の実施形態によるエンジン始動装置の構成につ
いて説明する。最初に、図1を用いて、本実施形態によ
るエンジン始動装置の全体構成について説明する。な
お、以下の説明において、本実施形態による多気筒エン
ジンは、例えば、1−3−4−2の各気筒の順で点火す
る4気筒エンジンとし、自己始動に用いる気筒を第1気
筒とする。図1は、本発明の第1の実施形態によるエン
ジン始動装置の全体構成を示すブロック図である。
燃料を噴射するように取付けられている。燃料噴射弁1
0から噴射される燃料量や噴射タイミングは、コントロ
ールユニット30によって制御される。シリンダ20の
上部には、吸気弁40及び排気弁50が設けられてい
る。また、シリンダ20の上部には、点火プラグ60が
設けられている。点火プラグ60による点火時期は、コ
ントロールユニット30によって制御される。
の往復運動は、コンロッド72を介して、クランクシャ
フト74に伝達され、クランクシャフト74を回転させ
る。クランクシャフト74が回転すると、リングギア7
6も同様に回転する。
を用いて、エンジンの回転速度,すなわち、クランクシ
ャフト74の回転角度を検出する。検出された信号は、
コントロールユニット30に取り込まれる。ストッパ9
0は、リングギア76と係合して、クランクシャフト7
4の回転を停止する。
タイミング位相可変機構44が取り付けられている。バ
ルブタイミング位相可変機構44は、吸気弁40の開閉
を、あらかじめ設定されたクランク角に対して進めたり
遅らせたりすることができるものであり、コントロール
ユニット30によって制御される。バルブタイミング位
相可変機構44は、4気筒のエンジンの内、第3気筒に
のみ設けられている。すなわち、自己始動に用いる第1
気筒が膨張行程にあるとき、第3気筒は圧縮行程にあ
り、この圧縮行程にある気筒にバルブタイミング位相可
変機構44を設けている。
30は、クランク角センサ80の検出信号を用いて、ク
ランク角がスタータレススタートが可能な位置で停止さ
せるように、ストッパ90を制御する。また、コントロ
ールユニット30は、燃料噴射弁10からの燃料の噴射
を停止し、さらに、点火プラグ60への点火信号の供給
を停止する。コントロールユニット30によるエンジン
停止時の制御の詳細については、図2用いて後述する。
ト30は、クランク角センサ80の検出信号を用いて、
吸気弁40と排気弁50が閉じており、かつ、ピストン
70がコンロッド72を押して下がり始めている,すな
わち、膨張行程にある気筒を検出する。そして、膨張行
程の気筒のシリンダ20内に、燃料噴射弁10から燃料
を噴射し、点火プラグ60に点火信号を供給して、シリ
ンダ20内の燃料噴霧に点火する。コントロールユニッ
ト30によるエンジン始動時の制御の詳細については、
図4を用いて後述する。
ンジン始動装置のコントロールユニットによるエンジン
自動停止時の制御内容について説明する。図2は、本発
明の第1の実施形態によるエンジン始動装置のコントロ
ールユニットによるエンジン自動停止時の制御内容を示
すフローチャートである。
ントロールユニット30は、自動車が確実に停止してい
る状態であることを確認するための処理を実行する。即
ち、ステップs100において、コントロールユニット
30は、車速ゼロであるか否かを判断する。車速がゼロ
の場合にはステップs105に進み、車速がゼロでない
場合には自動車が確実に停止していないので、ステップ
s100に戻る。
ロールユニット30は、ブレーキが踏まれているか否か
を判断する。ブレーキが踏まれている場合にはステップ
s110に進み、ブレーキが踏まれていない場合には自
動車が確実には停止していないので、ステップs100
に戻る。
ロールユニット30は、ナビゲーションシステムをチェ
ックする。ここでは、ナビゲーションシステムが右折を
指示していない場合にはステップs115に進み、ナビ
ゲーションシステムが右折を指示している場合には、こ
の後、速やかに右折をする可能性があるため、自動車が
確実には停止していないので、ステップs100に戻
る。
ロールユニット30は、ターンシグナルをチェックす
る。ここでは、ターンシグナルが右折を指示していない
場合にはステップs120に進み、ターンシグナルが右
折を指示している場合には、この後、速やかに右折をす
る可能性があり、または発進のためにターンシグナルを
点灯しているため、自動車が確実に停止していないの
で、ステップs100に戻る。
ロールユニット30は、停止状態になってから(ステッ
プs100〜s115の要件を満たしてから)一定時間
経過しているか否かを判断する。一定時間が経過してい
る場合にはステップs125に進み、一定時間が経過し
ていない場合には自動車が確実には停止していないの
で、ステップs100に戻る。
しており、自動車が確実に停止していると判断される
と、ステップs125において、コントロールユニット
30は、燃料噴射弁10からの燃料噴射を停止する。さ
らに、ステップs130において、コントロールユニッ
ト30は、点火プラグ30による点火をカットする。
ロールユニット30は、エンジンの回転数が、エンジン
停止寸前の回転数Nmin以下か否かを判断する。ここ
で、エンジン停止寸前の回転数Nminは、例えば、300
rpmとする。エンジン停止寸前の回転数Nminよりも
高い場合には、ステップs135に戻り、エンジン停止
寸前の回転数Nmin以下になるのを監視し、エンジン停
止寸前の回転数Nmin以下になると、ステップs140
に進む。
ロールユニット30は、自己始動に用いる第1気筒が膨
張行程の中盤(上死点後10°〜140°)であるか否
かを判断する。第1気筒が膨張行程の中盤(上死点後1
0°〜140°)にないときはステップs140に戻
り、中盤になるとステップs145に進む。
れると、ステップs145において、コントロールユニ
ット30は、ストッパ90を作動させてエンジンを強制
的に停止させる。
ロールユニット30は、後のスタータレス始動時に参照
できるように、最初に燃料を噴射する気筒(本実施例で
は第1気筒)の番号と、エンジン停止時のクランク角を
記憶する。
は、自己始動に用いる気筒(上述の例では、第1気筒)
を、膨張行程の中盤(上死点後10°〜140°)で強
制的に停止されるようにしている。
気筒(上述の例では、第1気筒)を停止するクランク角
を上死点後10°〜140°の範囲とする理由について
説明する。図3は、本発明の第1の実施形態によるエン
ジン始動装置のコントロールユニットによるエンジン自
動停止時のクランク角の説明図である。
が、たとえ膨張行程にある場合でも、斜線で示した領域
A,Cでは、始動させることができないものである。す
なわち、ピストン位置が圧縮上死点付近(領域A)で
は、シリンダ内の空気量が少ないため、混合気の量も少
なくなり、混合気の爆発により、クランクシャフトをエ
ンジン始動に十分な回転数まで加速することができない
ためである。また、ピストン位置が下死点付近(領域
C)では、上死点の場合と異なり、多くの混合気を得る
ことができるが、クランクの構造上十分なトルクを得る
ことができず、また排気弁が開き始めることから、クラ
ンクシャフトの回転数を十分に上げることができないた
めである。そこで、本実施形態によるスタータレススタ
ートでは、圧縮上死点を基準として、約10°〜25°
より大きく、約120°〜140°より小さい領域Bを
使うようにしている。
よるエンジン始動装置のコントロールユニットによるエ
ンジン始動時の制御内容について説明する。図4は、本
発明の第1の実施形態によるエンジン始動装置のコント
ロールユニットによるエンジン始動時の制御内容を示す
フローチャートである。
て、コントロールユニット30は、エンジン再始動時の
安全を確保する。即ち、ステップs200において、コ
ントロールユニット30は、車速ゼロであるか否かを判
断する。車速がゼロの場合はステップs205に進み、
ゼロでない場合はステップs200に戻る。
ロールユニット30は、ブレーキが踏まれているか否か
を判断する。ブレーキが踏まれている場合はステップs
210に進み、ブレーキが踏まれていない場合はステッ
プs200に戻る。
T)車の場合、ステップs210において、コントロー
ルユニット30は、クラッチペダルが踏まれているか否
かを判断する。クラッチペダルが踏まれている場合はス
テップs215に進み、クラッチペダルが踏まれていな
い場合はステップs200に戻る。
ン(AT)車の場合、ステップs215において、コン
トロールユニット30は、シフトレバーがドライブ
(D)レンジにあるか否かを判断する。Dレンジにある
場合はステップs218に進み、Dレンジにない場合は
運転者の発進意図がないと考えられるので、ステップs
200に戻る。
18において、シフトレバーがDレンジにあり、かつ、
ブレーキペダルが離されるか、その踏力が所定値以下に
弱められた場合には、運転者に発進意図があると判断さ
れるので、ステップs220に進む。ブレーキペダルが
所定値以上の踏力を保っている場合は、運転者に発進意
図がないので、ステップs200に戻る。
ロールユニット30は、水温がTmin以上か否かを判断
する。エンジン水温が低いと、摩擦の増大によりスター
タレス始動ができないので、水温信号のチェックを行な
っている。水温がTmin以上の場合はステップs230
に進み、水温がTminより低い場合はステップs225
に進む。
テップs225において、コントロールユニット30
は、スタータレス始動を中止して、スタータ始動に切り
替える。
ップs230において、コントロールユニット30は、
エンジンの停止時に記憶されている始動時のクランク角
の情報(図2のステップs150において記憶した情
報)を参照する。
ロールユニット30は、バルブタイミング位相可変機構
44を制御して、吸気側カム42の位相を遅らせて、吸
気バルブ40の閉時期を上死点前10°(TDC−10
°)に設定する。上述したように、バルブタイミング位
相可変機構44は、4気筒のエンジンの内、第3気筒に
のみ設けられており、自己始動に用いる第1気筒が膨張
行程にあるとき、第3気筒は圧縮行程にある。この第3
気筒の圧縮行程における吸気バルブ40の閉時期を上死
点前10°に設定する ここで、図5を用いて、本実施形態によるエンジン始動
装置によるエンジン始動時の第3気筒の吸気バルブリフ
ト制御の内容について説明する。図5は、本発明の第1
の実施形態によるエンジン始動装置によるエンジン始動
時の吸気バルブリフト制御の説明図である。
第3気筒の各行程(排気行程,吸気行程,圧縮行程,膨
張行程)を示している。また、縦軸は、吸気弁40及び
排気弁50のそれぞれのバルブリフト量を示している。
ブリフト量を示している。第3気筒の排気行程におい
て、BDCの少し前から排気弁50はリフトアップし始
め、TDC後に排気弁50は閉じる。また、実線Aは、
通常の吸気弁40のバルブリフト量を示している。第3
気筒の吸気行程において、TDCの少し前から吸気弁4
0はリフトアップし始め、BDC後に吸気弁40は閉じ
る。以上のように、通常の動作では、第3気筒の吸気弁
40は、BDC後に吸気弁40は閉じるように制御され
ている。
ントロールユニット30は、バルブタイミング位相可変
機構44を制御して、吸気側カム42の位相を遅らせ
て、吸気バルブ40の閉時期を上死点前10°(TDC
−10°)に設定している。即ち、図中に破線Bで示す
ように、吸気バルブ40の閉時期を上死点前10°(T
DC−10°)としている。その結果、第3気筒は圧縮
行程においても、吸気弁50が開いている状態としてい
る。
40の閉時期は、例えば、上死点前10度(TDC−1
0°)の固定値としているが、第1気筒の始動時クラン
ク角に応じた値とすることができる。例えば、第1気筒
によって多くのトルクが発生できるときには、第3気筒
の吸気弁40の閉時期を、例えば、一点鎖線Dで示すよ
うに、上死点前30°(TDC−30°)と早くして圧
縮圧力を上げるようにすることができる。また、発生ト
ルクが少ないときには、吸気弁40の閉時期を、例え
ば、二点鎖線Cで示すように、上死点前2°(TDC−
2°)遅らせて、圧縮圧力を低くするように設定するこ
ともできる。即ち、第1気筒の始動時クランク角に応じ
て、上死点前30°(TDC−30°)から上死点前2
°(TDC−2°)の範囲で可変することもできる。
コントロールユニット30は、ステップs230におい
て参照したクランク角に基づいて、第1気筒の容積,即
ち、第1気筒内の空気量を算出し、この算出された空気
量に対して所定の空燃比(A/F)となる燃料噴射量を
決定する。すなわち、ピストンが上死点に近い場合に
は、空気量が少ないため、燃料噴射も少なくし、逆にピ
ストンが下死点に近い場合には、空気量が多いので燃料
噴射量も多くなる。
ロールユニット30は、燃料噴射弁を制御して、第1気
筒のシリンダ内に、ステップs240で決定した噴射量
の燃料を噴射する。
ロールユニット30は、ステップs245による燃料噴
射後、所定時間(燃料の気化が十分に進む時間)の経過
後、第1気筒に点火信号を送り、点火プラグ60で点火
火花を飛ばして点火する。燃料噴霧に点火されることに
より、燃料が燃焼して膨張力が発生し、ピストンを押し
下げる膨張行程が第1気筒で発生する。
気弁40が開いているために圧縮圧力が下がるので、圧
縮のために要する仕事が少なくなり、第1気筒の燃焼に
よって生じた回転トルクを必要以上に落とすことなく、
第3気筒の圧縮上死点を越える。
ロールユニット30は、始動が成功したか否かを判断す
る。始動の成功は、エンジンの回転数が所定回転数(例
えば、300rpm)以上になったか否かで判断する。
なお、この時点で、エンジンは完全な回転には至ってい
ないので、リングギア76の回転速度(角速度)が、3
00rpm時の回転速度以上になったか否かで判断す
る。始動が成功すると、ステップs280に進み、始動
が成功しない場合には、ステップs260に進む。
ップs280において、コントロールユニット30は、
バルブタイミング位相可変機構44によって吸気バルブ
40の閉時期を上死点前10°(TDC−10°)に設
定していたものを、通常の設定に戻す。即ち、吸気バル
ブ40のバルブリフト量を、図5に示した破線Cの特性
から実線Aの特性に戻す。そして、ステップs285に
おいて、コントロールユニット30は、通常のエンジン
の運転制御に切り替える。
成功しなかったと判断されると、ステップs260にお
いて、コントロールユニット30は、始動に用いていな
い膨張行程中盤の適切なクランク角の気筒があるか否か
を判断する。始動に用いていない膨張行程中盤の適切な
クランク角の気筒がなれば、ステップs270に進み、
コントロールユニット30は、スタータレス始動を中止
して、スタータ始動に切り替える。始動に用いていない
膨張行程中盤の適切なクランク角の気筒があると、ステ
ップs275に進む。
場合には、ステップs275において、コントロールユ
ニット30は、現在膨張行程にある別の気筒のNoとク
ランク角を参照する。1−3−4−2の各気筒の順で点
火する4気筒エンジンとし、自己始動に用いる気筒を第
1気筒とした場合、第1気筒の次に膨張行程となるのは
第3気筒であるので、第3気筒のクランク角を参照す
る。そして、ステップs240に戻り、ステップs24
0〜s250を実行することにより、第3気筒の燃料噴
射及び点火をして、次回の燃焼を行わせる。
程にあるのは、第4気筒である。第4気筒には、バルブ
タイミング位相可変機構44は備えていないため、第3
気筒が膨張行程にあるとき、第4気筒の圧縮力は通常の
圧縮力であるが、その前の行程の第1気筒の燃焼によ
り、クランクシャフトは回転を始めているため、その慣
性力に第3気筒の膨張による回転駆動力が加わって、第
4気筒の圧縮力に打ち勝って、始動成功に導くことがで
きる。始動成功時には、ステップs280,s285の
処理を経て、通常の運転に切り替わる。
態によるスタータレススタートの各行程の相関について
説明する。図6は、本発明の第1の実施形態によるエン
ジン始動装置によるエンジン始動時の各行程の説明図で
ある。図6において、横軸は、時間(行程)を示してい
る。また、縦軸は、第1,第3,第4,第2の各気筒を
示している。
り、第3気筒が圧縮行程にある。そこで、図4のステッ
プs245,s250の処理により、第1気筒で燃料噴
霧を燃焼する。このとき、ステップs235の処理によ
り、第3気筒の吸気弁の閉じるタイミングが遅れてお
り、吸気弁が開いているため、圧縮行程であるが、その
圧縮力の小さな低圧圧縮(図6においては、通常の圧縮
行程と区別するため、(圧縮)と図示している)となっ
ている。第1行程で、始動が成功すれば、第2行程以降
は、通常の4サイクルの行程を各気筒毎に繰り返して、
通常の運転状態となる。
合でも、第2行程では、第3気筒が膨張行程となってお
り、図4のステップs245,s250の処理により、
第3気筒で燃料噴霧を燃焼する。このとき、第4気筒は
通常の圧縮行程であるが、その前の行程の第1気筒の燃
焼により、クランクシャフトは回転を始めているため、
その慣性力に第3気筒の膨張による回転駆動力が加わっ
て、第4気筒の圧縮力に打ち勝って、始動成功に導くこ
とができる。始動成功時には、通常の運転に切り替わ
る。
位相可変機構44は、第3気筒にのみ設けてあるが、第
4気筒にも設けてもよいものである。それによって、第
2行程の第4気筒の圧縮行程は、低圧圧縮行程とするこ
とができるので、始動をより確実にすることができる。
この場合、図4のステップs275の処理後、破線で示
すように、ステップs235に戻り、第4気筒の吸気バ
ルブ閉時期を、例えば、上死点前10°(TDC−10
°)とした後、ステップs240以降の処理を実行す
る。
エンジン始動装置によるエンジン始動時のエンジン回転
数及びトルクの推移について説明する。図7は、本発明
の第1の実施形態によるエンジン始動装置によるエンジ
ン始動時のエンジン回転数及びトルクの推移の説明図で
ある。図7(A)は、横軸に時間を示し、縦軸にエンジ
ン回転数を示している。図7(B)は、横軸に時間を示
し、縦軸に発生するトルク回転数を示している。なお、
実線は本実施形態による状態を示し、破線は従来例によ
る状態を示している。
筒である第1気筒の燃焼によって発生するトルクを示し
ている。一方、図7(B)において、破線G3oldは、
圧縮行程にある第3気筒によって消費されるトルクを示
している。したがって、第1気筒の燃焼によって発生す
るトルクG1は、圧縮行程にある第3気筒によってトル
クG3oldとして消費される。図7(A)において、破
線Foldは、始動気筒である第1気筒のエンジン回転数
の推移を示しているが、図示するように、エンジン回転
数は上がることなく、エンジンの始動に失敗することと
なる。
は、本実施形態によるバルブタイミング位相可変機構4
4を用いることによって、圧縮行程を定圧圧縮としたと
き、第3気筒によって消費されるトルクを示している。
本実施形態によって消費される圧縮トルクG3newは、
従来の圧縮トルクG3oldよりも小さいため、第1気筒
の燃焼によって発生するトルクG1は、圧縮行程にある
第3気筒によってトルクG3newによって完全には消費
されないものである。図7(A)において、実線Fnew
は、始動気筒である第1気筒のエンジン回転数の推移を
示しているが、図示するように、エンジン回転数は完全
に低下することなく、次の第3気筒の発生トルク(図7
(B)の実線G3new)によって再び上昇するため、エ
ンジンの始動を成功することができる。
ば、圧縮行程における圧縮力を低減できるので、スター
タを用いることなく、自己始動を可能とすることができ
る。なお、最近のエンジンでは、バルブタイミング位相
可変機構を備えているものがあり、かかるエンジンで
は、新たな機構を追加することなく、エンジンの制御の
みで、自己始動を可能にすることができる。
2の実施形態によるエンジン始動装置の構成について説
明する。本実施形態による多気筒エンジンは、第1の実
施形態と同様に、例えば、1−3−4−2の各気筒の順
で点火する4気筒エンジンとし、自己始動に用いる気筒
を第1気筒とする。最初に、本実施形態によるエンジン
始動装置の全体構成について説明する。図8は、本発明
の第2の実施形態によるエンジン始動装置の全体構成を
示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一
部分を示している。
バルブタイミング位相可変機構44を備えていたのに対
して、本実施形態では、かかるバルブタイミング位相可
変機構44は備えておらず、代わりに、排気弁50の側
に、補助排気弁100及びデコンプ機構102を備えて
いる。自己始動に用いる気筒を第1気筒とする場合、補
助排気弁100及びデコンプ機構102は、圧縮行程に
ある第3気筒に設けられている。補助排気弁100は、
排気弁50よりも小型な排気弁である。デコンプ機構1
02は、補助排気弁100を開閉するアクチュエータで
ある。
において自己始動のための燃焼を行うとき、コントロー
ルユニット30Aは、圧縮行程にある第3気筒のデコン
プ機構102を動作させて、補助排気弁100を開き、
第3気筒の圧縮力を低下させて、図1に示した実施形態
と同様に、低圧圧縮とするものである。
ンジン始動装置のコントロールユニットによるエンジン
始動時の制御内容について説明する。図9は、本発明の
第2の実施形態によるエンジン始動装置のコントロール
ユニットによるエンジン始動時の制御内容を示すフロー
チャートである。なお、図4に示したフローチャートと
同一符号は、同一処理内容を示している。
テップs200〜s220において、エンジン再始動時
の始動条件を確保し、また、運転者の発進意図を検知す
る。そして、ステップs230以降に進む。そして、ス
テップs230において、コントロールユニット30A
は、エンジンの停止時に記憶されている始動時のクラン
ク角の情報(図2のステップs150において記憶した
情報)を参照する。
トロールユニット30Aは、デコンプ機構102を動作
させて、設定したクランク角,例えば、上死点前10度
(TDC−10°)になるまで、補助排気弁100を開
き、第3気筒の圧縮圧力を逃がす。これにより、第1の
実施形態と同様に、スタータレス始動時に、圧縮行程に
ある第3気筒の圧縮力を低下させて、低圧圧縮状態とす
ることができる。
ば、上死点前10度(TDC−10°)の固定値として
いるが、第1気筒の始動時クランク角に応じた値とする
ことができる。例えば、第1気筒によって多くのトルク
が発生できるときには、第3気筒の補助排気弁100の
閉時期を、例えば、上死点前30°(TDC−30°)
と早くして圧縮圧力を上げるようにすることができる。
また、発生トルクが少ないときには、補助排気弁100
の閉時期を、例えば、上死点前2°(TDC−2°)遅
らせて、圧縮圧力を低くするように設定することもでき
る。即ち、第1気筒の始動時クランク角に応じて、上死
点前30°(TDC−30°)から上死点前2°(TD
C−2°)の範囲で可変することもできる。
4のステップs240〜285の処理を実行することに
より、第1気筒の燃料を燃焼させることにより、膨張力
を発生させる。このとき、圧縮行程にある第3気筒は、
補助排気弁100が開いているために圧縮圧力が下がる
ので、圧縮のために要する仕事が少なくなり、第1気筒
の燃焼によって生じた回転トルクを必要以上に落とすこ
となく、第3気筒の圧縮上死点を越えることにより、エ
ンジンの始動に成功する。始動成功時には、ステップs
280,s285の処理を経て、通常の運転に切り替わ
る。
及びデコンプ機構102は、第3気筒にのみ設けてある
が、第4気筒や、全ての気筒にも設けてもよいものであ
る。それによって、第2行程の第4気筒の圧縮行程は、
低圧圧縮行程とすることができるので、始動をより確実
にすることができる。
ば、圧縮行程における圧縮力を低減できるので、スター
タを用いることなく、自己始動を可能とすることができ
る。また、排気弁を開いて既燃焼ガスをシリンダ内に吸
引するため、この高温の既燃焼ガスに燃料を噴射するこ
とにより、燃料噴霧が気化しやすく、点火を確実に行う
ことができる。
第3の実施形態によるエンジン始動装置の構成について
説明する。本実施形態による多気筒エンジンは、第1の
実施形態と同様に、例えば、1−3−4−2の各気筒の
順で点火する4気筒エンジンとし、自己始動に用いる気
筒を第1気筒とする。最初に、図10を用いて、本実施
形態によるエンジン始動装置の全体構成について説明す
る。図10は、本発明の第3の実施形態によるエンジン
始動装置の全体構成を示すブロック図である。なお、図
1と同一符号は、同一部分を示している。
力を低下させる低圧圧縮としたのに対して、本実施形態
においては、膨張力を高める高圧膨張を行うようにして
いる。そのため、本実施形態においては、吸気弁40
は、可変バルブタイミング機構46を備えており、ま
た、排気弁50は、可変バルブタイミング機構56を備
えている。可変バルブタイミング機構46,56は、4
気筒エンジンの場合、全ての気筒に備えられている。可
変バルブタイミング機構46,56は、例えば、電磁力
を利用して、吸気弁40,排気弁50の開閉を制御可能
なものであり、コントロールユニット30Bからの制御
信号によって、開閉時期が制御される。
上の気筒を同時に、スタータレス始動のための膨張行程
として用いることにより、従来よりも高い膨張行程のト
ルクを発生させて、スタータレス始動を可能としてい
る。
形態によるエンジン始動装置のコントロールユニットに
よるエンジン始動時の制御内容について説明する。図1
1は、本発明の第3の実施形態によるエンジン始動装置
のコントロールユニットによるエンジン始動時の制御内
容を示すフローチャートである。なお、図1と同一符号
は、同一処理内容を示している。本実施形態では、特
に、ステップs235B,s245B,s250B,s
252,s275Bの処理内容に特徴がある。
によるエンジン始動装置によるエンジン始動時の各行程
の説明図である。図12において、横軸は、時間(行
程)を示している。また、縦軸は、第1,第3,第4,
第2の各気筒を示している。
いて、コントロールユニット30Bは、エンジン再始動
時の始動条件を確保し、また、運転者の発進意図を検知
する。その後、ステップs220において、コントロー
ルユニット30Bは、水温がTmin以上か否かを判断
し、エンジン水温が低い場合には、ステップs225に
おいて、コントロールユニット30Bは、スタータレス
始動を中止して、スタータ始動に切り替える。
ップs230Bにおいて、コントロールユニット30B
は、エンジンの停止時に記憶されている始動時のクラン
ク角の情報(図2のステップs150において記憶した
情報)を参照する。
トロールユニット30Bは、始動に用いるのが第1気筒
の場合、さらに、本来は吸気行程である第4気筒の可変
バブルタイミング機構46,56を制御して、吸気弁4
0及び排気弁50を閉じる。
ロールユニット30Bは、ステップs230Bにおいて
参照したクランク角に基づいて、第1気筒の容積,即
ち、第1気筒内の空気量を算出し、この算出された空気
量に対して所定の空燃比(A/F)となる燃料噴射量を
決定する。すなわち、ピストンが上死点に近い場合に
は、空気量が少ないため、燃料噴射も少なくし、逆にピ
ストンが下死点に近い場合には、空気量が多いので燃料
噴射量も多くなる。この燃料噴射量は、第1気筒に対す
る燃料噴射量であると同時に、第4気筒に対する燃料噴
射量ともなる。
トロールユニット30Bは、燃料噴射弁を制御して、第
1気筒及び第4気筒のシリンダ内に、ステップs240
で決定した噴射量の燃料を、それぞれ、同時に噴射す
る。
トロールユニット30Bは、ステップs245Bによる
燃料噴射後、所定時間(燃料の気化が十分に進む時間)
の経過後、第1気筒及び第4気筒にそれぞれ点火信号を
送り、点火プラグ60で点火火花を飛ばして点火する。
燃料噴霧に点火されることにより、燃料が燃焼して膨張
力が発生し、ピストンを押し下げる膨張行程が第1気筒
及び第4気筒で同時に発生する。
は、第1気筒及び第4気筒が、同時に膨張行程となる。
したがって、図6に示した例に比べて、膨張力を倍とし
て、発生するトルクを大きくすることができる。このと
き、第3気筒は通常の圧縮行程であるため、トルクが消
費されるが、発生するトルクが大きいため、自己始動を
成功させることができる。
ロールユニット30Bは、第2行程が終了したか否かを
判断する。終了していない場合には、ステップs275
Bに進み、終了すると、ステップs255に進む。
行程は終了していないため、ステップs275Bにおい
て、コントロールユニット30Bは、現在膨張行程にあ
る別の気筒のNoとクランク角を参照する。1−3−4
−2の各気筒の順で点火する4気筒エンジンとし、自己
始動に用いる気筒を第1気筒及び第4気筒とした場合、
次に膨張行程となるのは第3気筒及び第2気筒であるの
で、例えば、第3気筒のクランク角を参照する。そし
て、ステップs235Bに戻り、ステップs235B〜
s250Bを実行することにより、第3気筒及び第2気
筒のの燃料噴射及び点火をして、次回の燃焼を行わせ
る。その結果、図12に示すように、第2行程では、第
3気筒及び第2気筒が、同時に膨張行程となる。したが
って、図6に示した例に比べて、膨張力を倍として、発
生するトルクを大きくすることができる。このとき、第
1気筒及び第4気筒は排気行程であるため、トルクの消
費は殆どなく、発生するトルクが大きいため、自己始動
を成功させることができる。
において、コントロールユニット30Bは、始動が成功
したか否かを判断する。始動が成功すると、ステップs
285に進み、始動が成功しない場合には、ステップs
270に進む。
ップs285において、コントロールユニット30B
は、通常のエンジンの運転制御に切り替える。
成功しなかったと判断されると、ステップs270にお
いて、コントロールユニット30Bは、スタータレス始
動を中止して、スタータ始動に切り替える。
第4行程でクランクシャフトが1回転するが、第3行程
では、第4気筒を、燃焼に寄与しない吸気行程(以下、
「空吸気」と称する)とし、また、第4行程では、第4
気筒を、燃焼に寄与しない排気行程(以下、「空排気」
と称する)とする。同様にして、第4行程では、第2気
筒を、空吸気とし、また、第5行程では、第2気筒を、
空排気とする。これにより、合わせてシリンダ内の掃気
を行ない、次行程の燃焼効率を高めることができる。
に、第3気筒の第1行程は圧縮行程になっているが、コ
ントロールユニット30Bが、可変バルブタイミング機
構46を制御して、吸気弁40を閉じるタイミングを、
例えば上死点前10度まで遅らせることで、第1の実施
形態と同様に、第3気筒の圧縮仕事による抵抗を除き、
スタータレス始動時に、エンジン回転数をスムーズに上
昇させることができる。または、吸気弁40を遅く閉じ
る代わりに、可変バルブタイミング機構56を制御し
て、排気弁50を開けて圧縮圧力を逃がしても良いもの
である。
ば、膨張行程における膨張力を向上できるので、スター
タを用いることなく、自己始動を可能とすることができ
る。なお、可変バルブタイミング機構を備えているエン
ジンでは、新たな機構を追加することなく、エンジンの
制御のみで、自己始動を可能にすることができる。
第4の実施形態によるエンジン始動装置の構成について
説明する。本実施形態による多気筒エンジンは、第1の
実施形態と同様に、例えば、1−3−4−2の各気筒の
順で点火する4気筒エンジンとし、自己始動に用いる気
筒を第1気筒とする。最初に、図13を用いて、本実施
形態によるエンジン始動装置の全体構成について説明す
る。図13は、本発明の第4の実施形態によるエンジン
始動装置の全体構成を示すブロック図である。なお、図
1と同一符号は、同一部分を示している。
気筒を膨張行程とすることにより、膨張力を高める高圧
膨張を行うようにしているの対して、本実施形態では、
高圧空気をシリンダ内に強制的に送り込むとともに、そ
の空気量に応じた燃料を噴射することにより、高圧膨張
を行うようにしている。この高圧膨張により、従来より
も高い膨張行程のトルクを発生させて、スタータレス始
動を可能としている。
気弁110及びエアタンク120を備えている。補助吸
気弁110は、スタータレス始動の際に膨張行程にある
気筒の吸気側であって、エアタンク120の出口の位置
に設けられている。補助吸気弁110は、アクチュエー
タ112によって開閉される。アクチュエータ112
は、コントロールユニット30Cによって制御される。
プ122によって加圧されたエアが蓄積されている。エ
アタンク120の内部の圧力は、圧力センサ124によ
って検出され、コントロールユニット30Cに取り込ま
れる。圧力センサ142は、シリンダ20内に、燃焼状
態を把握するための圧力センサが取り付けられている場
合には、それで代用しても良いものである。エアポンプ
122は、例えば、車両の減速時に駆動軸に接続して作
動させる。このように構成することにより、車両の減速
エネルギーを有効活用することができる。なお、エアポ
ンプ122は、モーターによって駆動するようにしても
よいものである。さらに、過給機付きエンジンにおいて
は、エアポンプを特に設けず、正圧時の吸気管内圧力を
ワンウェイバルブ等によりエアタンク120内に蓄積す
るようにしても良いものである。また、アクチュエータ
112の作動により、車両のエンジンブレーキ時に、シ
リンダの圧縮圧力を導入することもできる。この場合に
は、エアポンプ122は作動させなくてもよいものであ
る。エアタンク120の容積は、例えば、エンジンの上
死点における燃焼室容積程度でもよく、圧力も2〜10
気圧程度としている。
形態によるエンジン始動装置のコントロールユニットに
よるエンジン始動時の制御内容について説明する。図1
4は、本発明の第4の実施形態によるエンジン始動装置
のコントロールユニットによるエンジン始動時の制御内
容を示すフローチャートである。なお、図1と同一符号
は、同一処理内容を示している。本実施形態では、特
に、ステップs232,234,240C,s277,
s279の処理内容に特徴がある。
によるエンジン始動装置によるエンジン始動時の各行程
の説明図である。図15において、横軸は、時間(行
程)を示している。また、縦軸は、第1,第3,第4,
第2の各気筒を示している。
いて、コントロールユニット30Cは、エンジン再始動
時の始動条件を確保し、また、運転者の発進意図を検知
する。その後、ステップs220において、コントロー
ルユニット30Cは、水温がTmin以上か否かを判断
し、エンジン水温が低い場合には、ステップs225に
おいて、コントロールユニット30Cは、スタータレス
始動を中止して、スタータ始動に切り替える。
ップs230において、コントロールユニット30は、
エンジンの停止時に記憶されている始動時のクランク角
の情報(図2のステップs150において記憶した情
報)を参照する。
ロールユニット30Cは、エアタンク120の内圧を圧
力センサ124によって検出し、コントロールユニット
30Cは記憶する。なお、スタータレス始動を行なう前
に、あらかじめエアタンク120の内圧は2〜10気圧
に昇圧されている。
ロールユニット30Cは、アクチュエータ112を動作
させて、補助吸気弁110を開き、シリンダ20内に圧
縮空気を導入する。
トロールユニット30Cは、ステップs230において
参照したクランク角及びステップs232で検出・記憶
したエアタンク120の内圧に基づいて、第1気筒内の
空気量を算出し、この算出された空気量に対して所定の
空燃比(A/F)となる燃料噴射量を決定する。
ロールユニット30Cは、燃料噴射弁を制御して、第1
気筒のシリンダ内に、ステップs240Cで決定した噴
射量の燃料を噴射する。
ロールユニット30Cは、ステップs245による燃料
噴射後、所定時間(燃料の気化が十分に進む時間)の経
過後、第1気筒に点火信号を送り、点火プラグ60で点
火火花を飛ばして点火する。燃料噴霧に点火されること
により、燃料が燃焼して膨張力が発生し、ピストンを押
し下げる。
は、第1気筒が膨張行程となるが、このときの膨張行程
は、高圧のエアに対して燃料を噴射しているため、通常
の膨張行程よりも膨張力が大きな高圧膨張(図15で
は、[膨張]として図示している)となり、発生するトル
クを大きくすることができる。このとき、第3気筒は通
常の圧縮行程であるため、トルクが消費されるが、第1
気筒で発生するトルクが大きいため、自己始動を成功さ
せることができる。
ロールユニット30Cは、始動が成功したか否かを判断
する。始動が成功すると、ステップs285に進み、始
動が成功しない場合には、ステップs260に進む。
ップs285において、コントロールユニット30は、
通常のエンジンの運転制御に切り替える。
成功しなかったと判断されると、ステップs260にお
いて、コントロールユニット30Cは、始動に用いてい
ない膨張行程中盤の適切なクランク角の気筒があるか否
かを判断する。始動に用いていない膨張行程中盤の適切
なクランク角の気筒がなければ、ステップs270に進
み、コントロールユニット30Cは、スタータレス始動
を中止して、スタータ始動に切り替える。始動に用いて
いない膨張行程中盤の適切なクランク角の気筒がある
と、ステップs275に進む。
場合には、ステップs275において、コントロールユ
ニット30は、現在膨張行程にある別の気筒のNoとク
ランク角を参照する。1−3−4−2の各気筒の順で点
火する4気筒エンジンとし、自己始動に用いる気筒を第
1気筒とした場合、第1気筒の次に膨張行程となるのは
第3気筒であるので、第3気筒のクランク角を参照す
る。
ロールユニット30Cは、エアタンク120の内圧が基
準値(例えば、2気圧)以上か否かを判断する。基準値
以上であれば、ステップs240Cに戻り、ステップs
240C〜s250を実行することにより、第3気筒の
燃料噴射及び点火をして、次回の燃焼を行わせ、高圧膨
張により、膨張力を得る。なお、エアタンク120及び
補助吸気弁110は、第3気筒にも設けられている。
い場合には、ステップs279において、コントロール
ユニット30Cは、エアポンプ122を動作させて、エ
アタンク120内に圧縮空気を充填する。その後、ステ
ップs240Cに戻り、ステップs240C〜s250
を実行することにより、第3気筒の燃料噴射及び点火を
して、次回の燃焼を行わせ、高圧膨張により、膨張力を
得る。
急速に空気をシリンダ20内に導入するので、シリンダ
20内の乱れを促進することができ、燃料と空気の混合
を促進して燃焼効率を向上し、使用燃料量を抑えること
もできる。
始動で最初に用いる気筒が決まっているとき、例えばそ
れが第1気筒であるときには第3気筒にのみ設ければ良
いし、最初に用いる気筒が任意のときには全気筒に設け
る必要がある。その場合でも、エアタンク120,エア
ポンプ122,圧力センサ124は1つでよく、個々の
シリンダへの配管をそれぞれ備えればよいものである。
ば、膨張行程における膨張力を向上できるので、スター
タを用いることなく、自己始動を可能とすることができ
る。
気筒エンジンの場合を記述したが、燃料をシリンダ内に
噴射する機構を備えていれば、主として2気筒以上のエ
ンジンで同様の手段を用い、効果を得ることができる。
また、説明のために第1気筒を最初に燃料噴射および点
火を行なっているが、クランク角により、他の気筒を第
1に燃料噴射および点火することはもちろん可能であ
る。
り、エンジンを機械的に止める構成としたが、上記のよ
うに最初に燃焼に用いる気筒を限定しなければ、クラン
ク角が上死点または下死点付近にある場合を除き、必ず
しもストッパ機構を用いる必要はないものである。ま
た、第2の実施形態においては、デコンプ機構102を
制御して用いることにより、さらに、第3の実施形態に
おいては、吸排気弁40,50の開閉を制御することに
より、クランク角を概略所望の位置に停止させることも
できる。
によれば、スタータを用いずにエンジンを再始動できる
ので、エンジンの自動停止・始動機能を備えながら、ス
タータモータの使用頻度を抑え、スタータの信頼性を向
上させることができる。また、スタータの使用電力を節
約し、燃費を向上させることができる。さらに、アイド
リング時のエンジン停止により、不要なアイドリングを
防止し、排出ガス量,騒音,振動を抑え、燃費を向上さ
せることができる。また、最初の気筒の燃焼時に圧縮行
程にある別の気筒の圧縮仕事により、エンジン回転数が
減少して始動に失敗する恐れがなくなり、スムーズな始
動を行なうことができる。
なく、エンジンの自己始動が可能となる。
置の全体構成を示すブロック図である。
置のコントロールユニットによるエンジン自動停止時の
制御内容を示すフローチャートである。
置のコントロールユニットによるエンジン自動停止時の
クランク角の説明図である。
置のコントロールユニットによるエンジン始動時の制御
内容を示すフローチャートである。
置によるエンジン始動時の吸気バルブリフト制御の説明
図である。
置によるエンジン始動時の各行程の説明図である。
置によるエンジン始動時のエンジン回転数及びトルクの
推移の説明図である。
置の全体構成を示すブロック図である。
置のコントロールユニットによるエンジン始動時の制御
内容を示すフローチャートである。
装置の全体構成を示すブロック図である。
装置のコントロールユニットによるエンジン始動時の制
御内容を示すフローチャートである。
装置によるエンジン始動時の各行程の説明図である。
装置の全体構成を示すブロック図である。
装置のコントロールユニットによるエンジン始動時の制
御内容を示すフローチャートである。
装置によるエンジン始動時の各行程の説明図である。
Claims (7)
- 【請求項1】シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料噴射
手段と、エンジン停止時のクランク角を検知するクラン
ク角検知手段と、シリンダ内の混合気に点火する点火手
段と、エンジンの一時停止後に、膨張行程にある気筒を
検出して、燃料を噴射・点火してエンジンを再始動させ
るエンジン始動装置において、 再始動時に、圧縮行程にある気筒の圧縮力を低下させる
低圧圧縮制御手段を備えたことを特徴とするエンジン始
動装置。 - 【請求項2】請求項1記載のエンジン始動装置におい
て、 上記低圧圧縮制御手段は、 上記圧縮行程にある気筒の吸気弁の開閉タイミングを制
御するバルブタイミング位相可変手段と、 上記膨張行程にある気筒の燃料噴射・点火時に、上記圧
縮行程にある気筒の吸気弁が開くように、上記バルブタ
イミング位相可変手段による吸気弁の閉時期を制御する
制御手段とからなることを特徴とするエンジン始動装
置。 - 【請求項3】請求項1記載のエンジン始動装置におい
て、 上記低圧圧縮制御手段は、 上記圧縮行程にある気筒の排気側に設けられた補助排気
弁と、 上記膨張行程にある気筒の燃料噴射・点火時に、上記圧
縮行程にある気筒の上記補助排気弁が開くように、上記
補助排気弁を制御する制御手段とからなることを特徴と
するエンジン始動装置。 - 【請求項4】シリンダ内に燃料を直接噴射する燃料噴射
手段と、エンジン停止時のクランク角を検知するクラン
ク角検知手段と、シリンダ内の混合気に点火する点火手
段と、エンジンの一時停止後に、膨張行程にある気筒を
検出して、燃料を噴射・点火してエンジンを再始動させ
るエンジン始動装置において、 上記再始動時の膨張力を大きくする高圧膨張制御手段を
備えたことを特徴とするエンジン始動装置。 - 【請求項5】請求項4記載のエンジン始動装置におい
て、 上記高圧膨張制御手段は、 再始動時に、吸気行程にある気筒の吸気弁及び排気弁の
開閉タイミングを可変する可変バルブタイミング手段
と、 上記膨張行程にある気筒の燃料噴射・点火時に、上記吸
気行程にある気筒の上記吸気弁及び排気弁を閉じるよう
に、上記可変バルブタイミング手段を制御するととも
に、この気筒のシリンダに燃料を噴射し、点火する制御
手段とからなることを特徴とするエンジン始動装置。 - 【請求項6】請求項5記載のエンジン始動装置におい
て、 上記制御手段は、上記吸気行程にある気筒の膨張・排気
行程の後に、空吸気及び空排気行程を設けることを特徴
とするエンジン始動装置。 - 【請求項7】請求項4記載のエンジン始動装置におい
て、 上記高圧膨張制御手段は、 再始動時に、膨張行程にある気筒に高圧空気を供給する
高圧空気供給手段と、上記膨張行程にある気筒の燃料噴
射・点火時に、上記高圧空気供給手段から高圧空気を供
給するように制御する制御手段とからなることを特徴と
するエンジン始動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000227414A JP3939905B2 (ja) | 2000-07-27 | 2000-07-27 | エンジン始動装置 |
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