JP4107126B2 - 圧縮比を変更可能な内燃機関とその制御方法 - Google Patents

圧縮比を変更可能な内燃機関とその制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮比を変更可能な内燃機関とその制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、圧縮比を変更可能な機能を有する種々の内燃機関が提案されている。圧縮比を高く設定すると効率よく動力を得ることができるが、ノッキングが発生しやすい。このため、圧縮比は、運転条件に応じて変更される。具体的には、内燃機関の負荷が低い場合には、ノッキングが発生しにくいため圧縮比は高く設定される。一方、内燃機関の負荷が高い場合には、ノッキングが発生しやすいため圧縮比は低く設定される。
【0003】
こうした従来の内燃機関(可変圧縮比エンジン)では、エンジン始動時において、圧縮比をエンジン冷却水温度に基づき変更し、始動性を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−164538号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の可変圧縮比エンジンでは、エンジンの始動を図る場合、始動時の目標とする圧縮比への変更が完了するまでエンジン始動を待機する必要がある。よって、この待機時間の分だけはエンジン始動に余分な時間が掛かるので、さらなる始動性の向上の余地があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、可変圧縮比エンジンを始動する際の始動性の向上を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1の圧縮比を変更可能な内燃機関とその制御方法では、内燃機関の停止要求を検出した場合には、圧縮比変更機構を制御して圧縮比を内燃機関の始動時の始動時目標圧縮比に変更することと、内燃機関の運転を停止することとを実行する。
【0008】
このため、内燃機関の停止要求に基づき内燃機関の運転を停止させる際に、圧縮比を、次回の内燃機関始動に先だって予め変更させておくことができ、その変更圧縮比を次回の内燃機関始動に備えた始動時目標圧縮比とすることが可能である。よって、次回始動時には圧縮比変更のための時間が不要となり、始動性が向上する。こうした始動性向上の一例として、次のような例を示すことができる。
【0009】
従来した公報の従来技術では、圧縮比は内燃機関の停止時の状態のままであり、次回の始動の際に、冷却水温度に応じて圧縮比を変更する。今、内燃機関の停止時に圧縮比が低圧縮比であったとする。停止後の内燃機関の冷却が進むにつれて冷却水温度も低下するので、上記の従来技術では、次回の始動時において、内燃機関停止時の低圧縮比から高圧縮比に変更を要し、圧縮比変更程度も大きいことからその時間も長くなる。しかし、上記の本発明によれば、内燃機関の運転停止時において、次回の始動に応じた圧縮比(高圧縮比=始動時目標圧縮比)に予め変更しておくことが可能であるので、始動性が高まる。
【0010】
上記した本発明の第1の内燃機関では、次のような態様を採ることができる。即ち、エンジン停止後にエンジンを再始動する際の目標圧縮比を、前記エンジンを停止する状況に応じて決定し、こうして定めた目標圧縮比となるよう、圧縮比をエンジンの停止状況下において予め変更する。こうすれば、圧縮比を、エンジン停止の状況で定まる次回のエンジン始動(再始動)に備え、当該エンジン始動に先立ち変更するので、やはり、次回のエンジン始動時の始動性を高めることができる。
【0011】
また、他の態様としては、内燃機関の運転中において車両の状況或いは内燃機関の運転履歴に基づき所定の自動停止条件が成立すると内燃機関の運転を自動的に停止する自動停止手段と、運転者の内燃機関停止意図に基づいて内燃機関の運転を停止する手動停止手段とを備えるものとした上で、停止要求検出手段による停止要求検出を、自動停止手段に基づく停止要求と、手動停止手段に基づく停止要求とで区別すると共に、停止時制御手段による停止時変更制御を、自動停止手段に基づく停止要求の検出時と、手動停止手段に基づく停止要求の検出時で、始動時目標圧縮比が異なるように実行することもできる。
【0012】
そして、このように異なる圧縮比(始動時目標圧縮比)となるようにするに当たっては、自動停止手段による停止要求時では、手動停止手段による停止要求時よりも始動時目標圧縮比を低い圧縮比とすること、つまり、自動停止手段による停止要求時では低圧縮比とし、手動停止手段による停止要求時では高圧縮比とすることができる。
【0013】
このように自動・手動の停止手段による停止要求に応じて目標圧縮比を変更するものであっても、圧縮比を、次回の内燃機関始動に備え、当該内燃機関始動に先立ち変更するので、やはり、次回の内燃機関始動時の始動性を高めることができる。
【0014】
また、自動・手動の停止手段による停止要求に応じて目標圧縮比を変更することで、次の利点がある。
例えば、信号や踏切等で一時的に車両を停止すると、自動停止条件が成立して自動停止手段による停止要求が出され、内燃機関は停止制御される。信号の切り替わり或いは列車通過に伴い運転者がシフト操作やアクセル操作を行うと、自動停止条件が解除されるので、内燃機関は始動制御される。よって、自動停止手段による停止要求が出されこれにより内燃機関が停止している停止期間は、比較的短時間であると予想されるので、この内燃機関停止期間で冷却水温度が大きく低下する事態は起きにくい。
【0015】
このため、自動停止手段による停止要求が出された場合には、内燃機関の冷却水温度の大きな低下が起きにくいことから、内燃機関の停止時の圧縮比を、次回の内燃機関の始動を行う以前に低圧縮比側(始動時目標圧縮比)に変更することができる。よって、次回の内燃機関始動の際には、低圧縮比側の圧縮比で内燃機関の運転を再開(始動)できるので、気筒内の内圧(圧縮比)が上がりすぎることによる始動時の振動の増大を抑制できる。この結果、自動停止手段による停止要求が出された後に行う内燃機関始動に際しては、内燃機関の始動時振動を低減できるので、運転者に違和感を与えないようにでき、好ましい。
【0016】
その一方、こうした自動停止手段ではなく手動停止手段による停止要求が出されたような状況は、例えば、運転者が内燃機関を停止して車両を降りたりするような状況であると考えられる。こうした運転者の意図による内燃機関の停止期間は、自動停止手段による場合と相違し、比較的長時間に及ぶことが予想され、内燃機関の冷却水温度は比較的大きく低下すると予想される。
【0017】
このため、手動停止手段による停止要求が出された場合には、内燃機関の冷却水温度の低下が大きいことから、内燃機関の停止時の圧縮比を次回の内燃機関の始動を行う以前に高圧縮比側(始動時目標圧縮比)に変更することができる。よって、次回の内燃機関始動の際には、暖機が不十分な内燃機関において、高圧縮比側の圧縮比であるために筒内温度を上げることができ始動性を向上させることができる。この結果、手動停止手段による停止要求が出された後に行う内燃機関始動に際しても、始動性をより高めることができ、好ましい。
【0018】
更に、上記した自動・手動の停止手段を備えるものにおいて、自動停止手段による内燃機関停止の際には、内燃機関の暖機状況を検出する暖機センサの出力に基づいて異なる始動時目標圧縮比となるようにすることもできる。
【0019】
こうすれば、自動停止手段に基づく内燃機関の停止状況下であっても、内燃機関の暖機状況に変化が起きれば、例えば、この内燃機関停止が長期間に亘るために内燃機関の暖機が不十分となれば、その際の始動時目標圧縮比を内燃機関暖機が十分である場合と異なる始動時目標圧縮比とできる。このため、自動停止手段に基づく内燃機関停止状況下でありながら内燃機関の暖機が不十分であれば、内燃機関停止時の圧縮比を次回の内燃機関始動を行う以前に高圧縮比側(始動時目標圧縮比)に変更することができる。よって、長期に亘る自動停止手段に基づく内燃機関停止の後の内燃機関始動の際には、高圧縮比側の圧縮比により燃料温度を高くして燃料を燃焼させて、内燃機関を始動できることになり、始動性をより高めることができ、好ましい。
【0020】
なお、前記停止時制御手段による停止時変更制御と機関停止制御の実行順については任意であるが、両制御をこの順に実行するようにすることができる。
こうすれば、次回の始動に備えた圧縮比変更を停止前の内燃機関の運転状況下で行うことができるので、圧縮比変更は、気筒内の内圧が燃料燃焼によって高い状態で行われる。よって、この内圧が作用する向きと同じ側に圧縮比変更機構が駆動する場合には、気筒内の高い内圧をこの圧縮比変更機構の駆動力の補助とでき、当該駆動力の低減を図ることができる。
【0021】
また、内燃機関が有する気筒内のピストン位置を検出するピストン位置検出手段と、該検出したピストン位置から内燃機関の始動時において膨張行程となる気筒を判別し、該判別した気筒に対して燃料を噴射して着火燃焼させる始動時着火手段とを備えるものとした上で、停止時変更制御を始動時目標圧縮比が高圧縮比側の圧縮比となるように実行し、内燃機関の始動に際しては、始動時着火手段を実行制御して、内燃機関を始動するようにすることもできる。
【0022】
こうすれば、次の利点がある。
内燃機関の停止の際には、ピストンは停止直前での燃料燃焼により生じる気筒内の内圧を受けることから、ピストンおよびクランクシャフトは惰性で駆動する。こうして惰性駆動するピストンおよびクランクシャフトは、気筒内の内圧に基づく力と、これに抗する力(例えば、ピストン、クランクシャフトの摩擦力)のバランスで停止する。この場合、気筒内の内圧に基づく力は惰性回転が進むほど低減しやがては消失するのに対し、上記の摩擦力はほぼ一定である等の理由から、クランクシャフトは、ピストンが上死点を越えて下死点側に降下した位置のクランク角を採りやすいことが知られている。
【0023】
上記の態様では、停止要求の検出に伴う圧縮比変更に際して、始動時目標圧縮比を高圧縮比としているので、上記の内圧は高まることから、エンジン停止の際、ピストンが上死点を越えて下死点側に降下する確率は、圧縮比が低圧縮比の場合より高まる。よって、ピストンは膨張行程の過程位置、例えば、クランク角が90゜の近傍の位置に停止しやすくなる。
【0024】
従って、内燃機関の再始動に当たっては、始動時着火手段により、膨張行程となる気筒に対して燃料を噴射して着火燃焼させるので、燃料噴射気筒では、膨張行程での燃料噴射・燃焼が起きたことになる。よって、内燃機関は、膨張行程を経てクランキングする。こうしてクランキングが起きれば、内燃機関は始動する。この結果、この態様によれば、スタータモータによるクランキングを起こすことなく始動(スタータモータレス始動)させることができる。
【0025】
こうしたスタータモータレス始動時におけるクランキングの際、圧縮比はクランキングを妨げるよう働く。よって、内燃機関の停止後から次回の内燃機関始動までに圧縮比を低圧縮比に変更するようにすれば、スタータモータレス始動時におけるクランキングを起きやすくできるので、より始動性が高まると共に、スタータモータレス始動の信頼性も高まる。
【0026】
また、始動時に膨張行程となる気筒において、ピストンが上死点と下死点の中間位置より前記下死点側に位置する場合には、前記始動時着火手段の実行制御に変えて、スタータモータを用いた内燃機関の始動を図るようにすることもできる。
【0027】
こうすれば、ピストン位置が下死点側であってもスタータモータにより支障なく内燃機関を始動できる。
【0028】
また、別の態様としては、内燃機関の始動要求があると、圧縮比変更機構を制御して圧縮比を暖機センサの出力に応じた始動時実圧縮比に変更するようにした上で、内燃機関の停止要求に基づき内燃機関の運転を停止させる際には、圧縮比を、次回の内燃機関始動に先だって予め中間圧縮比とするようにすることができる。
こうすれば、内燃機関の始動要求時には、予め変更済みの中間圧縮比から始動時実圧縮比に圧縮比を変更すれば足りるので、圧縮比変更の程度を小さくすることが可能となる。よって、内燃機関始動時における圧縮比変更に要する時間が短縮化され、その分、始動性が高まる。
【0029】
また、かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第2の圧縮比可能な内燃機関では、暖機センサの検出した内燃機関の暖機状況に応じて、内燃機関の始動時の始動時目標圧縮比を設定し、内燃機関が始動する前に、圧縮比変更機構を制御して圧縮比をこの始動時目標圧縮比に変更する。
【0030】
この本発明の第2の内燃機関によっても、圧縮比を、内燃機関の暖機の状況に応じた始動時目標圧縮比に予め変更させておくので、次回始動時には圧縮比変更のための時間が不要となる。よって、始動性が向上する。しかも、予め変更しておく圧縮比は、次回の始動時における内燃機関暖機の状況を反映したものとなることから、より始動性が向上する。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の形態を実施例に基づき説明する。図1は第1実施例に係る可変圧縮比エンジン10を含むエンジンシステムの構成を概略的に示す説明図である。
【0032】
図示するように、本実施例に係るエンジンシステムは、気筒内噴射型の可変圧縮比エンジン10と、その運転状態を制御する制御ユニット40と、可変圧縮比エンジン10の図示しないクランクシャフトと連結されたトランスミッション60およびエンジンの運転状態を検出する各種センサを備えている。可変圧縮比エンジン10は、内部に複数のシリンダ11を有するシリンダブロック12と、シリンダ11内を往復動するピストン13と、シリンダブロック12の底部に配置されたクランクケース14と、シリンダブロック12(シリンダ11)の上部に配置されたシリンダヘッド15を備えている。
【0033】
可変圧縮比エンジン10には、圧縮比を所定の範囲内において任意に設定可能な可変圧縮比機構20が備えられている。可変圧縮比機構20は、シリンダブロック12をクランクケース14に対してピストン13の運動方向(シリンダ11の軸方向)に移動させることによって圧縮比を変更する。具体的には、シリンダブロック12側に備えられたアクチュエータ21(例えば、モータ)によってシリンダブロック12の長手方向両側に配置された偏心カム(図示しない)を駆動して、シリンダブロック12をクランクケース14から離間若しくは密着させる。シリンダブロック12がクランクケース14から離間する方向へ移動させることによって圧縮比は低くなる。
【0034】
シリンダヘッド15は、各シリンダ11毎に吸気ポート16および排気ポート17を有している。各吸気ポート16には、吸気側カムICによって駆動されて吸気ポート16を開閉する吸気バルブ161が配置されており、各排気ポート17には、排気側カムECによって駆動されて排気ポート17を開閉する排気バルブ171が配置されている。
【0035】
各吸気ポート16には、吸気管18の分岐端が連結され、各排気ポート17には、排気管(排気マニホールド)19の分岐端が連結されている。吸気管18の途中には、燃焼室への流入吸気量を制御する吸気制御バルブ30が配置されている。
【0036】
本実施例における可変圧縮比エンジン10は気筒内噴射型の内燃機関であり、シリンダヘッド15の各シリンダ11に対応する位置には、燃料噴射弁IJが配置されている。各燃料噴射弁IJには、昇圧ポンプ31によって昇圧された高圧燃料が燃料デリバリパイプFDを介して供給される。昇圧ポンプ31は、例えば、機械的に駆動されるポンプまたはモータによって駆動されるポンプであり、所定の燃料圧力範囲内において燃料圧力を任意の圧力に昇圧することができる。
【0037】
シリンダヘッド15には、この他に、各シリンダ11に対応する位置に火花点火のための点火プラグ32が配置されている。
【0038】
制御ユニット40は、演算処理機能、マップ、プログラム等を格納する記憶機能を備えている。制御ユニット40には、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサ50、車両速度を検出する車速センサ51、機関回転数を検出するクランクポジションセンサ52、燃料デリバリパイプFD内の燃料圧力(燃料噴射圧力)を検出する燃圧センサ53、ブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキポジションセンサ54、トランスミッションのシフト位置を検出するシフトポジションセンサ55、エンジンの暖機状況を冷却水温度で検出するための冷却水温度センサ56といった各種センサが接続されており、可変圧縮比エンジン10の運転状態を検出する各種センサからの信号が入力される。制御ユニット40には、燃料噴射弁IJ、可変圧縮比機構20のアクチュエータ21、吸気制御バルブ30、昇圧ポンプ31、点火プラグ32が接続されている。この制御ユニット40は、上記した各センサからの入力に基づいて燃料噴射弁IJ等の各機器を駆動制御し、エンジンの運転制御を司る。
【0039】
例えば、制御ユニット40は、アクセルポジションセンサ50や車速センサ51からのセンサ出力に基づきエンジンの負荷をマップ等から演算し、その負荷に応じて圧縮比を高低変更制御する。この圧縮比変更の際には、目標となる圧縮比となるように可変圧縮比機構20のアクチュエータ21を駆動制御する。また、制御ユニット40は、アクセルポジションセンサ50、ブレーキポジションセンサ54や車速センサ51およびシフトポジションセンサ55からのセンサ出力に基づき車両の一時停止状況(例えば、信号待ちや踏切停止等)を判別し、こうした一時停止時にあってはエンジンを自動停止するエンジン制御(いわゆるエコラン制御)を行う。このエコラン制御では、制御ユニット40は、エンジン自動停止後のシフト操作やアクセル操作をシフトポジションセンサ55やアクセルポジションセンサ50からのセンサ信号で受けると、エンジンを再始動させる。なお、制御ユニット40は、こうしたエコラン制御の場合は勿論のこと、車両走行中のエンジン制御の際にあっても、上記各センサからの出力に基づいて燃料噴射時期、燃料噴射圧力、点火時期、吸入空気量等を適宜制御する。
【0040】
次に、第1実施例のエンジンシステムが行う可変圧縮比エンジン10の圧縮比制御について説明する。図2は第1実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャートである。
この圧縮比の停止時制御は、所定時間ごとに繰り返し処理されるものであり、まず、エンジン停止に先立つエンジン停止要求が出されたか否かを判定し(ステップS100)、エンジン停止要求がなければ何の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。つまり、エンジン停止時における圧縮比変更を伴う後述の処理は、エンジンの停止要求に基づきエンジンを停止する状況下において実行されることになる。このエンジン停止要求は、例えば、図示しないエコラン制御にてエンジンの自動停止を実行する所定条件の成立時に出力されたり、運転者の意図に基づく操作、例えばイグニッションスイッチのOFF操作(エンジン停止信号)等で出力されるので、その様子からエンジン停止要求の有無が判定できる。
【0041】
このステップS100でエンジン停止要求があると判定すると(即ち、エンジンを停止する状況下にあると判定すると)、今回のエンジン停止が、信号待ち等のために車両が一時停止する状況下でエンジン停止を図る既述したエコラン制御によるものか否かを判定する(ステップS105)。この判定は、エコラン制御によるエンジン自動停止の条件の成立状態を上記した各種センサからの出力に基づいて行ったり、上記のエコラン制御におけるフラグセットの状態に基づいて行うことができる。なお、運転者の停止意図に基づくエンジン停止要求は、イグニッションスイッチのOFF信号で直接的に判別できるので、エコラン制御による停止要求と運転者の停止意図に基づく停止要求は、容易に区別できる。
【0042】
ここでエコラン制御によるエンジン停止ではないと否定判定すると、制御ユニット40は、圧縮比が高圧縮比ε(始動時目標圧縮比)となるように可変圧縮比機構20のアクチュエータ21を駆動制御し、可変圧縮比エンジン10の圧縮比を高める(ステップS110)。このように圧縮比を高圧縮比εとするに当たっては、予め定めた所定の高圧縮比εHに変更することもできるほか、現状圧縮比より所定の差分だけ高めの圧縮比に変更するようにすることもできる。
【0043】
その一方、ステップS105で肯定判定した場合には、冷却水温度センサ56から入力したエンジンの冷却水温度が所定値以上であるか否かの判定を行い(ステップS120)、否定判定すれば、ステップS110に移行して圧縮比を高める。ところが、冷却水温度が所定温度以上であると肯定判定した場合は、圧縮比が低圧縮比εとなるように可変圧縮比機構20のアクチュエータ21を駆動制御し、可変圧縮比エンジン10の圧縮比を低い値のものとする(ステップS130)。このように圧縮比を低圧縮比εとするに当たっても、予め定めた所定の低圧縮比εLに変更することもできるほか、現状圧縮比より所定の差分だけ低めの圧縮比に変更するようにすることもできる。
【0044】
ステップS120に続く圧縮比変更処理(ステップS110、120)において圧縮比を変更するに当たっては、エンジン水温に応じて目標となる圧縮比(始動時目標圧縮比)の値を設定するようにすることもできる。
【0045】
こうしてステップS110、130で圧縮比を変更した後は、燃料噴射・プラグ点火の停止等を含むエンジン停止処理を行い(ステップS140)、上記処理を繰り返す。
【0046】
以上説明したように、本実施例では、可変圧縮比エンジン10を停止させるような状況下となると、圧縮比を高低変更し(ステップS110、130)、可変圧縮比エンジン10の運転を停止する(ステップS140)。このため、こうして停止した可変圧縮比エンジン10を次に始動する際には、圧縮比が変更済みであることから、始動時において圧縮比変更のために可変圧縮比機構20を駆動制御する時間が不要となる。よって、本実施例の可変圧縮比エンジン10(エンジンシステム)によれば、エンジン停止後の再始動時の始動性を高めることができる。
【0047】
また、エンジンの停止状況がエコラン制御に基づくものであるか、このエコラン制御に基づかないものであるかに応じて、上記したエンジン停止時の圧縮比の変更の様子を異なるものとした。よって、次の利点がある。
【0048】
まず、エコラン制御に基づかないエンジン停止である場合について説明する。こうしたエンジン停止の状況は、降車する等の運転者がエンジン停止の意図を持って生じる状況であると考えられる。こうした運転者の意図によるエンジン停止期間は、通常、比較的長時間に及ぶことが予想され、エンジン冷却水温度はこのエンジン停止期間で大きく低下すると予想される。
【0049】
本実施例では、こうした運転者の意図に基づくエンジン停止の状況にあっては(ステップS105否定判定)、エンジン停止時の圧縮比を次回のエンジン始動を行う以前に高圧縮比側に予め変更する(ステップS110)。よって、運転者の意図に基づくエンジン停止を経てエンジンを次回に始動する際には、可変圧縮比エンジン10の暖機が不十分であるものの、圧縮比が高圧縮比であるために燃料の温度を高めた状態で燃料を燃焼させて、エンジンを始動できる。この結果、エコラン制御に基づくのではなく運転者の意図に基づくエンジン停止の後に行うエンジン始動に際しては、始動性をより高めることができ、好ましい。
【0050】
その一方、信号待ち等の車両一時停止に基づくエコラン制御によるエンジン自動停止を行う状況下では(ステップS105肯定判断)、そのエンジン停止期間を反映した冷却水温度に応じて、圧縮比を高圧縮比か(ステップS110)、低圧縮比(ステップS130)のいずれかに変更し、その後、エンジンを停止する。このため、エコラン制御による可変圧縮比エンジン10の運転停止(車両停止)が短時間で終わって再始動する場合は、可変圧縮比エンジン10はその暖機が十分であるので、圧縮比を次回のエンジン再始動を行う以前に低圧縮比側に変更する(ステップS130)。よって、次回のエンジン再始動の際には、既に低圧縮比側の圧縮比となっている可変圧縮比エンジン10を始動できるので、始動性が高まるほか、次の利点もある。
【0051】
エンジンの暖機が十分の状況で圧縮比を高くすると、エンジン気筒内の内圧(圧縮比)上昇により燃料は高温状態で燃焼することになり、ノッキングやエンジンに不用意な振動を起こす。しかしながら、本実施例では、エコラン制御によるエンジン停止時間が短いために暖機済みであれば、圧縮比を低圧縮比に設定するので(ステップS130)、エコラン制御に基づくエンジン停止の後に行うエンジン再始動に際しては、可変圧縮比エンジン10の始動時振動を低減できるので、運転者に違和感を与えないようにでき、好ましい。
【0052】
更に、エコラン制御に基づくエンジン停止が長時間に亘ってエンジンの暖機が不十分となると(ステップS120否定判定)、エンジン停止時の圧縮比を次回のエンジン始動を行う以前に高圧縮比側に予め変更する(ステップS110)。よって、エコラン制御に基づくエンジン停止でありながら暖機が不十分であれば、その後のエンジン再始動の際に、高圧縮比にすることにより筒内温度を上げることができるので、始動性をより高めることができ、好ましい。
【0053】
また、本実施例では、次回の始動に備えた圧縮比変更(ステップS110、130)に続いてエンジン停止処理(ステップS140)を行うようにして、圧縮比変更を停止前のエンジン運転状況下で行うようにした。このため、圧縮比変更は、エンジン気筒内の内圧が燃料燃焼により高い状態でのものとなる。図1に示す構成の可変圧縮比機構20は、低圧縮比側への圧縮比変更に際してシリンダブロック12をクランクケース14から離間させるよう駆動させるので、この駆動の向きはエンジン気筒内の内圧が作用する向きと同じとある。よって、低圧縮比側への変更(ステップS130)の際には、気筒内の高い内圧を圧縮比変更機構20(アクチュエータ21)の補助とできることから、アクチュエータ21の駆動力を低減できる。
【0054】
次に、他の実施例について説明する。第2実施例のエンジンシステムは、可変圧縮比エンジン10を始めとする機器構成について第1実施例と変わるものではなく、圧縮比の停止制御の内容が相違する。図3は第2実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャート、図4はこの圧縮比の停止時制御によりエンジン停止がなされた後のエンジン再始動時の圧縮比変更制御の様子を示すフローチャートである。
【0055】
図3に示す圧縮比の停止時制御であっても、所定時間ごとに繰り返し処理されるものであり、まず、第1実施例と同様に、現時点の状況がエンジン停止要求に基づきエンジン停止を図る状況下であるか否かを判定し(ステップS200)、エンジン停止状況下でなければ何の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0056】
一方、エンジンを停止する状況下にあると判定すると、圧縮比が中間域圧縮比εとなるように可変圧縮比機構20のアクチュエータ21を駆動制御し、可変圧縮比エンジン10の圧縮比を変更する(ステップS210)。圧縮比の変更後は、燃料噴射・プラグ点火の停止等を含むエンジン停止処理を行い(ステップS220)、上記処理を繰り返す。このように圧縮比を中間圧縮比εとするに当たっては、取り得る圧縮比範囲に含まれる所定の中間域圧縮比εM(例えば、中間値)に変更することが簡便である。
【0057】
こうしてエンジンを停止した後は、何らかの始動信号、例えば運転者のイグニッションスイッチのON操作、或いはエコラン制御における始動処理で出される信号やフラグにより、可変圧縮比エンジン10は再始動される。図4のエンジン再始動時の圧縮比変更制御は、まず、現時点の状況がエンジン始動(再始動)を図る状況下であるか否かを、上記した始動信号に基づき判定する(ステップS230)。ここで、再始動の状況になければ何の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0058】
一方、エンジンを始動(再始動)する状況下にあると判定すると、冷却水温度センサ56から入力したエンジンの冷却水温度が所定値以上であるか否かの判定を行う(ステップS240)。ここで否定判定すれば、圧縮比が高圧縮比εとなるように可変圧縮比機構20のアクチュエータ21を駆動制御し、可変圧縮比エンジン10の圧縮比を高める(ステップS250)。その後、図示しないセルモータを駆動してピストンのクランキングを行い可変圧縮比エンジン10を始動し(ステップS260)、一旦本ルーチンを終了する。
【0059】
その一方、ステップS240で冷却水温度が所定温度以上であると肯定判定した場合は、当該冷却水温度でのエンジン暖機の状態の過不足を判定する(ステップS270)。ここで、暖機が十分であれば続くステップS280にて可変圧縮比エンジン10の圧縮比を低圧縮比に変更した上で、ステップS260にてエンジン始動を図る。しかしながら、暖機が不十分であればステップS260にてエンジン始動を図るので、このエンジン始動時における圧縮比は、図3のステップS210で変更された中間域の圧縮比のままである。
【0060】
以上説明した第2実施例によれば次の利点がある。
エンジンを停止する状況下では、次回のエンジン再始動に先だって、圧縮比を中間域の圧縮比に変更するので(ステップS210)、次回のエンジン始動時に圧縮比を高圧縮比或いは低圧縮比に変更する必要があっても(ステップS250、280)、当該始動時には、中間域の圧縮比からの差分だけを変更すればよい。よって、ステップS250、280で圧縮比変更に要する時間(可変圧縮比機構20の駆動時間)を短縮できるので、その分、始動性を高めることができる。
【0061】
また、本実施例では、ステップS270で否定判定した場合は、圧縮比の変更を行うことなくステップS260にてエンジン始動(再始動)を図る。このため、第1実施例で説明したように、エンジン始動の際に圧縮比変更を要しない分だけ、より始動性が高まる。更に、エンジン始動において冷却水温度が所定温度以上であれば(ステップS240肯定判定)、一律に圧縮比を低圧縮比に変更するのではなく、エンジン暖機が十分である場合に限り、低圧縮比に変更する(ステップS280)。このため、可変圧縮比エンジン10は、暖機が十分な状態で低圧縮比での始動(運転)を開始するので、この際には気筒内の内圧が上がりすぎることによる始動時の振動の増大を抑制することができる。よって、第1実施例で説明したように、可変圧縮比エンジン10の始動時振動を低減して運転者に違和感を与えないようにできる。
【0062】
次に第3実施例について説明する。第3実施例のエンジンシステムにあっても、可変圧縮比エンジン10を始めとする機器構成について第1実施例と変わるものではなく、エンジン停止時における圧縮比の制御の内容が相違する。図5は第3実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャートである。
【0063】
図5に示す圧縮比の停止時制御であっても、所定時間ごとに繰り返し処理されるものであるが、可変圧縮比エンジン10が既にその運転を停止している期間において実行される点に一つの特徴がある。図示する圧縮比の停止時制御では、まず、現時点の状況がエンジンが既に停止済みであるか否かを判定し(ステップS300)、エンジン運転中であれば何の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。つまり、圧縮比変更を伴う後述の処理は、エンジン停止済みの状況下において実行されることになる。このエンジン停止済みの状況下であるか否かは、例えば、図示しないエコラン制御にてエコランによるエンジン自動停止実行の旨を示すフラグのセット値に基づいて判定したり、運転者によるイグニッションスイッチのOFF操作(エンジン停止信号)等の有無により判定できる。或いは、これら信号と合わせ、エンジンの振動を検出しその検出出力を考慮して、エンジン停止済みと判定することもできる。
【0064】
一方、エンジンが既に停止している状況下にあると判定すると、冷却水温度センサ56から入力したエンジンの冷却水温度が所定値以上であるか否かの判定を行う(ステップS310)。ここで肯定判定した場合は、何の処理も行うことなく一旦本ルーチンを終了し、否定判定すれば、圧縮比が高圧縮比εとなるように可変圧縮比機構20のアクチュエータ21を駆動制御し、可変圧縮比エンジン10の圧縮比を高めて(ステップS320)、上記処理を繰り返す。この場合、圧縮比の変更に当たっては、エンジン水温に応じて目標となる圧縮比(始動時目標圧縮比)の値を設定するようにすることもできる。
【0065】
この第3実施例によっても、圧縮比を、エンジンが停止済みの状況下において、次回のエンジン再始動に先立って変更するので、その始動性が高まる。しかも、圧縮比変更は、エンジン暖機の状況を反映した冷却水温度に応じて行い、冷却水温度が低く暖機が不十分な場合には、高圧縮比でのエンジン再始動を行うようにしている。つまり、エンジンが停止済みの状況下であっても、エンジン停止から短時間のうちは、冷却水温度は高いままで暖機が十分であるとして高圧縮比側への圧縮比変更は行わない。このため、エンジン再始動時には、高圧縮比のままエンジンの運転を行わないようにできることから、暖機により比較的温度が高い状態とされた燃料を圧縮(高圧縮比)で更にその温度を高めてしまうような事態を抑制できる。この結果、エンジン再始動に際しては、既述したように、可変圧縮比エンジン10の始動時振動を低減できるので、運転者に違和感を与えないようにでき、好ましい。
【0066】
その一方、エンジン停止の期間が長期に亘ると、冷却水温度は低下し暖機も十分となり、こうした場合に、ステップS320にて高圧縮比側への圧縮比変更を行う。このように、停止期間が長くなれば、エンジン気筒内の内圧も大気圧に近似するまで低下するので、内圧は、ピストン13(詳しくはクランクケース14)に対してシリンダブロック12を押し上げる側には作用しない(図1参照)。ところで、圧縮比を高圧縮比とするには、可変圧縮比機構20は、シリンダブロック12およびシリンダヘッド15をクランクケース14に近づける側に駆動することになる。この圧縮比変更はアクチュエータ21をバッテリの電力で駆動することになるが、エンジン停止期間である都合上、バッテリに負荷がかかる。しかしながら、シリンダブロック12およびシリンダヘッド15の自重は、上記したこれら部材の駆動方向と一致する方向に作用するので、部材自重でアクチュエータ21の駆動力(バッテリ電力)を補助でき、バッテリの負荷を軽減することができる。
【0067】
次に第4実施例について説明する。第4実施例のエンジンシステムにあっても、可変圧縮比エンジン10を始めとする機器構成について第1実施例と変わるものではなく、エンジン停止時における圧縮比の制御の内容と、エンジン始動時における始動制御が相違する。図6は第4実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャート、図7はこの第4実施例のエンジンシステムが行う始動制御の様子を示すフローチャートである。
【0068】
図6に示す圧縮比の停止時制御であっても、所定時間ごとに繰り返し処理されるものであり、まず、第1実施例と同様に、現時点の状況がエンジン停止を図る状況下であるか否かを判定し(ステップS400)、エンジン停止状況下でなければ何の処理を行うことなく、本ルーチンを終了する。
【0069】
一方、エンジンを停止する状況下にあると判定すると、圧縮比が高圧縮比εとなるように可変圧縮比機構20のアクチュエータ21を駆動制御し、可変圧縮比エンジン10の圧縮比を高める(ステップS410)。圧縮比の変更後は、燃料噴射・プラグ点火の停止等を含むエンジン停止処理を行い(ステップS420)、この処理によるエンジンの停止を待って、圧縮比が低圧縮比εとなるように可変圧縮比エンジン10の圧縮比を変更し(ステップ420)、上記処理を繰り返す。
【0070】
こうしてエンジンを停止した後は、既述した始動信号により、可変圧縮比エンジン10は再始動される。図7のエンジン再始動時の始動制御は、この始動信号を受けて開始され、まず、クランクポジションセンサ52からの出力に基づいて、クランク角が90゜近傍(例えば、90゜±5゜)にあるか否かを判定する(ステップS460)。ここで、肯定判定すれば、図示しないスタータモータを用いない着火始動処理に移行する(ステップS460)、本ルーチンを終了する。このステップS460の着火始動処理は、エンジンの再始動に当たって燃料噴射弁IJから気筒内に燃料を噴出する工程と、その燃料を点火プラグ32の点火火花で着火させる工程を含むものであり、この際にスタータモータは駆動されない。こうしたスタータモータレス始動であっても、その際のクランク角が90゜近傍であることから、燃料噴射や火花点火および燃料燃焼は、ピストン13の膨張行程でのものとなるので、その燃料燃焼圧によりピストンは膨張行程に続く行程に推移し、エンジンのクランキングを起こす。こうして起こしたクランキングにより、エンジンの始動を図る。
【0071】
その一方、ステップS450で否定判定した場合は、膨張行程ではあってもピストンが下死点側に位置することも予想されるため、スタータモータによるクランキングと燃料噴射・火花点火を伴うスタータモータ始動処理を行って(ステップS470)、エンジンを始動させ本ルーチンを終了する。
【0072】
以上説明した第4実施例によれば、圧縮比を高圧縮比に変更した上でエンジン停止を行うので、ピストンを、既述したように高い確率でクランク角が90゜近傍の位置に停止できる。よって、スタータモータレス始動処理による始動であっても、始動の信頼性を高めることができると共に、始動に際しての圧縮比変更が不要であることから既述したように始動性も高まる。しかも、ステップS450での肯定判定の頻度を高めることができるので、上記したスタータモータレス始動処理の実行頻度を高めことができる。よって、バッテリ容量の低下を来したような場合であっても、スタータモータレス始動処理によりエンジン始動を行うことができる。また、スタータモータ始動処理に伴うスタータモータの使用頻度を少なくできることから、バッテリの小容量化、小型化を図ることができる。
【0073】
更に、本実施例では、圧縮比を高圧縮比にするものの、エンジン始動に先だって圧縮比を低圧縮とし、その後にエンジン始動を行う。このエンジン始動時のクランキングの際、圧縮比はクランキングを妨げるよう作用するが、低圧縮比であるためにクラキングを大きく阻害することはない。このため、エンジン始動時のクランキングを円滑にでき、始動性向上の点で有利である。特に、スタータモータレス始動の場合は、燃料燃焼圧によるクランキングであることから、始動の信頼性も高まり好ましい。
【0074】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0075】
例えば、可変圧縮比エンジンについては、シリンダブロック12をクランクケース14に対してピストン13の運動方向(シリンダ11の軸方向)に移動させることによって圧縮比を変更する可変圧縮比機構20を有するものとしたが、これに限られるわけではない。つまり、可変圧縮比機構は、コンロッドをピストンとクランクシャフトの間で屈曲可能とし、その屈曲程度を変えることでピストンの上下死点位置を変更して圧縮比を変更する構成等、種々の構成を採ることができる。
【0076】
また、上記の実施例では、圧縮比の停止時制御に際して、圧縮比の変更を行った後にエンジンを停止するように構成したが、エンジン停止を先に実行し、これに続いて圧縮比を変更するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例に係る可変圧縮比エンジン10を含むエンジンシステムの構成を概略的に示す説明図である。
【図2】 第1実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャートである。
【図3】 第2実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャートである。
【図4】 この圧縮比の停止時制御によりエンジン停止がなされた後のエンジン再始動時の圧縮比変更制御の様子を示すフローチャートである。
【図5】 第3実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャートである。
【図6】 第4実施例のエンジンシステムが行う圧縮比の停止時制御の様子を示すフローチャートである。
【図7】 この第4実施例のエンジンシステムが行う始動制御の様子を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…可変圧縮比エンジン
11…シリンダ
12…シリンダブロック
13…ピストン
14…クランクケース
15…シリンダヘッド
16…吸気ポート
17…排気ポート
18…吸気管
20…可変圧縮比機構
21…アクチュエータ
30…吸気制御バルブ
31…昇圧ポンプ
32…点火プラグ
40…制御ユニット
50…アクセルポジションセンサ
51…車速センサ
52…クランクポジションセンサ
53…燃圧センサ
54…ブレーキポジションセンサ
55…シフトポジションセンサ
56…冷却水温度センサ
60…トランスミッション
161…吸気バルブ
171…排気バルブ
EC…排気側カム
FD…燃料デリバリパイプ
IC…吸気側カム
IJ…燃料噴射弁

Claims (9)

  1. 圧縮比を変更する圧縮比変更機構を有する内燃機関の圧縮比を変更制御する方法であって、
    内燃機関の停止要求を検出した場合には、前記圧縮比変更機構を制御して圧縮比を内燃機関の始動時の始動時目標圧縮比に変更する停止時変更工程と、内燃機関の運転を停止する機関停止工程とを実行する、圧縮比が変更可能な内燃機関の制御方法。
  2. 圧縮比を変更可能な内燃機関であって、
    圧縮比を変更する圧縮比変更機構と、
    内燃機関の停止要求を検出する停止要求検出手段と、
    該停止要求を検出した場合には、前記圧縮比変更機構を制御して圧縮比を内燃機関の始動時の始動時目標圧縮比に変更する停止時変更制御と、内燃機関の運転を停止する機関停止制御とを実行する停止時制御手段とを備える内燃機関。
  3. 請求項2記載の内燃機関であって、
    内燃機関の運転中において車両の状況或いは内燃機関の運転履歴に基づき所定の自動停止条件が成立する場合には、内燃機関の運転を自動的に停止する自動停止手段と、
    運転者の内燃機関停止意図に基づいて、内燃機関の運転を停止する手動停止手段とを備え、
    前記停止要求検出手段は、
    前記自動停止手段に基づく停止要求を検出した場合と、前記手動停止手段に基づく停止要求を検出した場合とを区別して検出し、
    前記停止時制御手段は、
    前記自動停止手段に基づく停止要求の検出時と、前記手動停止手段に基づく停止要求の検出時で、前記始動時目標圧縮比が異なるよう前記停止時変更制御を実行する内燃機関。
  4. 請求項3記載の内燃機関であって、
    前記停止時制御手段は、
    前記自動停止手段に基づく停止要求の検出時では、前記手動停止手段に基づく停止要求の検出時の場合よりも、前記始動時目標圧縮比を低く設定する内燃機関。
  5. 請求項3記載の内燃機関であって、
    内燃機関の暖機状況を検出する暖機センサを備え、
    前記停止時制御手段は、
    前記自動停止手段に基づく停止要求の検出時における前記停止時変更制御を、前記暖機センサの出力に基づいて前記始動時目標圧縮比が異なるように実行する内燃機関。
  6. 請求項2記載の内燃機関であって、
    内燃機関が有する気筒内のピストン位置を検出するピストン位置検出手段と、
    該検出したピストン位置から内燃機関の始動時において膨張行程となる気筒を判別し、該判別した気筒に対して燃料を噴射して着火燃焼させる始動時着火手段と、
    該始動時着火手段を制御する着火制御手段とを備え、
    前記停止時制御手段は、
    前記停止時変更制御を、前記始動時目標圧縮比を高圧縮比側の圧縮比に設定して実行し、
    前記着火制御手段は、
    内燃機関の始動において前記始動時着火手段を実行制御する内燃機関。
  7. 請求項6記載の内燃機関において、
    前記着火制御手段は、
    始動時に膨張行程となる気筒において、ピストンが上死点と下死点の中間位置より前記下死点側に位置する場合には、前記始動時着火手段の実行制御に変えて、スタータモータを用いた内燃機関の始動を図る内燃機関。
  8. 請求項2記載の内燃機関において、
    内燃機関の暖機状況を検出する暖機センサと、
    内燃機関の始動要求があると、前記圧縮比変更機構を制御して圧縮比を前記暖機のセンサの出力に応じた始動時実圧縮比に変更する始動時制御手段とを備え、
    前記停止時制御手段は、
    前記停止時変更制御を、前記始動時目標圧縮比を中間圧縮比に設定して実行する内燃機関。
  9. 圧縮比を変更可能な内燃機関であって、
    圧縮比を変更する圧縮比変更機構と、
    内燃機関の暖機状況を検出する暖機センサと、
    内燃機関の始動時の始動時目標圧縮比を、前記暖機センサの出力に応じて設定する始動時圧縮比設定手段と、
    前記圧縮比変更機構を制御して、内燃機関が始動する前に、圧縮比を前記始動時目標圧縮比に変更する圧縮比制御手段とを備える内燃機関。
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