JP4743139B2 - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射量制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4743139B2
JP4743139B2 JP2007055572A JP2007055572A JP4743139B2 JP 4743139 B2 JP4743139 B2 JP 4743139B2 JP 2007055572 A JP2007055572 A JP 2007055572A JP 2007055572 A JP2007055572 A JP 2007055572A JP 4743139 B2 JP4743139 B2 JP 4743139B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
fuel injection
amount
engine
combustion chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007055572A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008215246A (ja
Inventor
孝之 大町
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2007055572A priority Critical patent/JP4743139B2/ja
Publication of JP2008215246A publication Critical patent/JP2008215246A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4743139B2 publication Critical patent/JP4743139B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は、内燃機関において燃焼室に導入される燃料の量を制御する内燃機関の燃料噴射量制御装置に関する。
従来、内燃機関においては、燃焼室に導入された燃料が、点火される前に何らかの原因により燃焼を開始するプレイグニションが発生することがある。そこで、例えば、特許文献1及び2に記載の内燃機関の制御装置では、プレイグニションが発生する虞があるときに、燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を増量することにより、プレイグニションの発生を防止するようにしている。
具体的に、特許文献1では、内燃機関において、機関回転数が低くなるほどプレイグニションの発生し得る温度が低くなるとともに、燃焼室に導入される燃料の量と空気の量との重量比である空燃比がリッチ側に変化するほどプレイグニションが発生しにくくなることが記載されている。そこで、特許文献1の制御装置は、内燃機関が高回転高負荷で燃焼室内の温度が高くなっている状態からこの高負荷の状態のままで回転数だけが急に低くなったことを検知すると、プレイグニションが発生する虞があるとして、燃料の噴射量を増加して空燃比をリッチ側に変化させるようにしている。
また、特許文献2の制御装置は、このようなプレイグニションを検知すると、まずは上記のように燃料噴射弁によって燃焼室に供給される燃料の量を増加させて燃焼室の温度低下を図り、その後にこの燃料の増量値を徐々に低減するとともに点火時期を徐々に遅角補正するようにしている。この制御装置は、燃料増量によるプレイグニションの防止から点火時期遅角による防止に徐々に置き換えることにより、プレイグニションの速やかな防止と燃費の悪化防止とを図るようにしている。
また、プレイグニションは、内燃機関の始動時においても起こる場合がある。具体的に、内燃機関の運転停止直後に燃焼室が高温となっている状態において、この停止中に例えば燃料噴射弁から燃料が漏れていたりする場合、この状態で内燃機関を再始動すると、漏れていた燃料が圧縮行程で圧縮されて高温となりプレイグニションが発生する虞がある。そこで、このような場合は、内燃機関の始動時においても、プレイグニンションを防止すべくクランキング前あるいはクランキング中に燃料噴射を行うようにしている。
特開平9−236035号公報 特開平11−50878号公報
ところで、上記特許文献1及び2に記載の内燃機関の制御装置では、運転している最中においてプレイグニションを防止するために、燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を増加するようにしている。このように燃料噴射弁によって噴射される燃料が増量されると、この燃料の増量分は燃焼されることなく未燃状態で残留し易くなり、その後の排気行程を経てもこの未燃燃料の一部が燃焼室内に残留することとなる。さらに、内燃機関の始動時にプレイグニションを防止するための燃料噴射を行う場合には、燃料に点火されない状態で燃料噴射が行われることがあり、その場合には噴射された燃料は全て未燃状態となる。
ここで、内燃機関では通常の運転時に、例えば空燃比が所望の値になるように吸入空気量によって定まる量に燃料噴射量を制御して、燃料が良好な状態で燃焼するようにしている。しかしながら、プレイグニションを防止するための燃料噴射を行った直後には、上記未燃燃料が燃焼室に残留しているため、所望の空燃比となるように吸入空気量によって定まる量に燃料噴射量を制御しても、実際の燃焼室における空燃比は所望の空燃比よりもリッチな状態となる。したがって、燃料の燃焼状態を適切な状態に保つことができなくなる虞がある。特に、内燃機関の始動時にプレイグニションを防止するための燃料噴射を行う場合には、この傾向が顕著なものとなる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレイグニションを防止するための燃料噴射を行う場合において燃焼状態を適切に保つことのできる内燃機関の燃料噴射量制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の燃焼室に導入される燃料を噴射する燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を制御する内燃機関の燃料噴射量制御装置であって、前記燃料噴射弁によって噴射される燃料の量が前記内燃機関の運転状態に基づいた要求噴射量となるように制御する第1の制御手段と、前記燃焼室においてプレイグニションが発生すると推定されるときに、前記第1の制御手段に代わって、前記燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を前記要求噴射量よりも増加させるように制御する第2の制御手段と、前記第2の制御手段による前記制御が行われた燃料噴射以降の前記燃料噴射弁による燃料噴射時に、前記第1及び第2の各制御手段に代わって、前記燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を前記要求噴射量よりも所定量だけ減少させるように制御する第3の制御手段とを備えていることを要旨とする。
上記の構成において、プレイグニションが発生すると推定されるときに、第2の制御手段によって、燃料噴射弁によって噴射される燃料の量が前記要求噴射量よりも増加させられるため、燃焼室内の温度が低下してプレイグニションの発生が防止される。そして、このように燃料噴射弁によって噴射される燃料の量が増加させられると、この燃料の増量分は燃焼されることなく未燃状態で残留し易くなり、その後に排気行程が行われてもこの未燃燃料の一部が燃焼室内に残留することとなる。そこで、前記第3の制御手段が、前記第2の制御手段による制御が行われた燃料噴射以降の燃料噴射時に、前記燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を前記要求噴射量よりも所定量だけ減少させるように制御する。これにより、燃焼室内に実際に存在する燃料の量が機関運転状態に応じた要求噴射量よりも過剰となることが抑制されるため、燃焼室内における空気量と燃料量との比である空燃比が適切な値に保たれ、これによって燃料の燃焼状態も適切に保たれる。
なお、第2の制御手段が行う燃料噴射量を増加させる制御は、要求噴射量が「0」の状態から増加させる場合、すなわち燃料噴射を通常行わない時に燃料噴射を行う場合をも含むものとする。具体的には、燃焼室が高温の状態で停止中の内燃機関が始動する場合において、例えばこの停止中に燃料噴射弁による燃料漏れが生じていると、再始動の際にこの燃料が圧縮されてプレイグニションが発生するおそれがある。そこで、内燃機関の始動時において通常は燃料噴射弁により燃料を噴射しない時であっても、プレイグニションが発生すると推定して、第2の制御手段によって燃料噴射弁が燃料を噴射するように制御してもよい。なお、プレイグニションの発生は、例えば、内燃機関の冷却水の温度や燃焼室に吸入される空気の温度に基づいて推定される。
また、第3の制御手段が要求噴射量よりも減少させる前記所定量は、一定量であっても、運転状態などに応じて適宜設定される量であってもよい。また、第3の制御手段は、第2の制御手段による前記制御が行われた燃料噴射の次の燃料噴射時のみ、燃料噴射弁によって噴射される燃料を要求噴射量よりも減少させるようにしてもよいし、以降の複数回の燃料噴射において燃料噴射弁によって噴射される燃料を要求噴射量よりも減少させるようにしてもよい。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第3の制御手段は、前記所定量を前記内燃機関の冷却水温が高いほど多くなるように導出することを要旨とする。
内燃機関を冷却する冷却水温が高いときは、燃焼室の温度が高くなっており、プレイグニション防止のために噴射された燃料のうち燃焼室に残留した未燃燃料が気化しやすくなる。そこで、上記の構成では、第3の制御手段が、気化している未燃燃料の量が多いほど、要求噴射量を減少させる前記所定量を多く導出するため、この気化している未燃燃料の量が多いほど、燃料噴射弁によって噴射される燃料の量がより少なくなるように制御することとなる。これにより、燃焼室内に気化した状態で存在する燃料の量が要求噴射量に比して過剰となることを確実に抑制することができるため、燃料の燃焼状態を適切な燃焼状態とすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第3の制御手段は、前記第2の制御手段による前記制御が行われた燃料噴射以降の燃料噴射時において、前記燃焼室での燃焼回数が増える毎に前記所定量を少なくすることを要旨とする。
前記第2の制御手段が燃料噴射量を増加させた直後は、燃焼室内に残留する未燃燃料の量は多くなっているが、この量は燃焼室において燃焼がなされる毎に漸次少なくなる。したがって、上記の構成によれば、第3の制御手段が、燃焼室内における未燃燃料の残留量が少なくなるほど、前記所定量を少なくして、燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を要求噴射量に近付けるため、この未燃燃料の残留量と燃料噴射弁によって噴射される燃料の量との合計である燃焼室に実際に存在する燃料の量が適量に保たれ、燃料の燃焼状態を適切な燃焼状態とすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記第2の制御手段は、前記内燃機関の始動時に前記燃焼室においてプレイグニションが発生すると推定されるときに、前記燃焼室での燃焼の有無に拘わらず前記燃料噴射弁が燃料を噴射するように制御することを要旨とする。
燃焼室が高温の状態で内燃機関が運転を停止している際に燃料噴射弁から燃料が漏れている場合、この状態で内燃機関が始動すると、圧縮行程において漏れていた燃料が圧縮されて高温となりプレイグニションが発生する虞がある。したがって、通常は燃焼室で燃料の燃焼が行われないときには燃料噴射がなされないが、上記の構成では、第2の制御手段が燃焼室での燃焼の有無に拘わらず燃料噴射弁によって燃料噴射が行われるように制御して、プレイグニションの発生を防止する。そして、燃焼室で燃料の燃焼が行われないときには噴射された燃料は全て未燃状態となるため、その後に排気行程を経ても、燃焼室内には未燃燃料が確実に残留している。このようにして、燃焼室に未燃燃料が確実に残留しているため、前記第3の制御手段が燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を減量させることによって得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記第2の制御手段は、前記内燃機関の始動直後に圧縮行程が行われる燃焼室においてプレイグニションが発生すると推定することを要旨とする。
上記の構成において、始動直後に圧縮行程が行われる燃焼室とは、始動時に圧縮行程中にあって圧縮行程の前半以前から圧縮を開始する燃焼室や、吸気行程中にあって吸気行程の後半以降から吸気を開始する(吸気行程が少しだけ行われて直ぐ圧縮行程が行われる)燃焼室をいう。このように内燃機関の始動直後に圧縮行程が行われると、燃焼室に導入される常温の空気によって燃焼室が冷却されることなく圧縮行程が行われるため、燃焼室の温度が高温となってプレイグニションが発生する可能性が高くなる。したがって、第2の制御手段は、このような燃焼室において、プレイグニションが発生すると推定してこれを防止すべく燃料噴射弁が燃料を噴射するように制御する。
以下、本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置を車両に搭載される内燃機関である8気筒のV型ガソリンエンジンに適用した実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
図1は、本発明が適用される8気筒のV型ガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)10を示す模式図である。この図1に示すように、エンジン10のシリンダブロック11には各気筒17が形成されている。なお、この図1には、便宜上、8つの各気筒17のうちの1つのみを図示している。上記各気筒17には、ピストン12が往復移動可能に設けられている。このピストン12は、コンロッド13を介してエンジン10の出力軸であるクランクシャフト14に連結されている。そして、ピストン12の往復移動は、コンロッド13によってクランクシャフト14の回転へと変換されるようになっている。また、シリンダブロック11には、エンジン10の冷却水温を検出するための水温センサ11bが設けられている。
上記シリンダブロック11の上端には、シリンダヘッド15が設けられている。そして、各気筒17において、シリンダヘッド15とピストン12との間には燃焼室16が設けられ、この燃焼室16には吸気通路32及び排気通路33が接続されている。
上記吸気通路32には、スロットルバルブ24が設けられている。このスロットルバルブ24は、スロットルモータ26が連結されており、このスロットルモータ26の駆動制御を通じて開度が調整されることにより、燃焼室16に導入される空気の量が調整される。具体的に、車両室内に設けられた図示しないアクセルペダルが踏込操作されると、それに応じてスロットルバルブ24の開度が調節される。なお、アクセルペダルの踏込量はアクセルポジションセンサ22によって検出される。また、上記吸気通路32において、スロットルバルブ24の上流には、該吸気通路32を通過する空気の温度を検出する吸気温センサ29とこの空気の量(吸入空気量)を検出するエアフローメータ28が順に設けられている。
上記燃焼室16には、燃料噴射弁40と点火プラグ41が配設されている。エンジン10の運転中においては、燃料噴射弁40から燃焼室16への燃料噴射が行われ、同燃焼室16内での燃料の燃焼によりピストン12が往復移動してエンジン10の出力軸であるクランクシャフト14が回転する。クランクシャフト14の回転はベルト等を介して吸気カムシャフト37及び排気カムシャフト39に伝達され、これらカムシャフト37,39の回転を通じてエンジン10の吸気バルブ18や排気バルブ19といった機関バルブの開閉駆動が行われる。具体的に、燃料噴射弁40からの燃料噴射は、原則としてエンジン10の吸気行程中に行われる。この吸気行程において、燃焼室16内に空気と燃料とからなる混合気が形成され、同混合気に対しシリンダヘッド15に設けられた点火プラグ41によって点火が行われる。燃焼室16内の混合気が点火されて燃焼すると、このときの燃焼エネルギーによりピストン12が往復移動してエンジン10が駆動される。また、燃焼室16内で燃焼した後の混合気は、排気として排気通路33に送り出されるようになる。
また、本実施形態では、こうしたエンジン10の運転時に行われる燃焼サイクルの各行程、すなわち吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程に関しては、1番気筒、8番気筒、7番気筒、3番気筒、6番気筒、5番気筒、4番気筒及び2番気筒の順で行われることとなる。なお、停止中のエンジン10の自立運転(燃焼運転)を開始する際には、クランクシャフト14に連結されたスタータ30の駆動を通じてクランクシャフト14を強制回転(クランキング)させた状態で、燃料噴射弁40から燃焼室16への燃料噴射が行われる。
次に、エンジン10のクランク角を把握するための機器について説明する。
エンジン10のクランクシャフト14には磁性体からなるロータ14aが固定されており、このロータ14aの外周部には複数の突起14bがクランクシャフト14の軸線を中心とする等角度毎に設けられている。また、ロータ14aの側方には、クランクポジションセンサ14cが設けられている。そして、クランクシャフト14が回転して、ロータ14aの各突起14bが順次クランクポジションセンサ14cの側方を通過することにより、同センサ14cからはそれら各突起14bの通過に対応したパルス状の検出信号が出力されるようになる。また、クランクポジションセンサ14cとしては、エンジン10の停止完了直前などロータ14aの回転速度が極めてゆっくりとした状態にあっても、突起14bに応じたパルス状の信号を出力することの可能なもの、例えば磁気抵抗素子(MRE)センサが用いられている。
一方、吸気カムシャフト37の側方にも、上記クランクポジションセンサ14cとほぼ同様の構成のカムポジションセンサ38が設けられている。すなわち、吸気カムシャフト37にも、図示しないロータが固定されるとともに、そのロータの外縁には複数の突起が形成されている。そして、カムシャフト37の回転とともに、カムポジションセンサ38からはロータの各突起に対応した信号が出力される。なお、このカムポジションセンサ38についても、エンジン10の停止完了直前にもパルス状の信号を出力することの可能な例えば磁気抵抗素子(MRE)センサが用いられている。
そして、上記クランクポジションセンサ14cからのパルス信号、及び上記カムポジションセンサ38からのパルス信号に基づき、エンジン10のクランク角が把握される。更に、こうしたクランク角の把握に関しては、上記各センサ14c,38としてエンジン10の停止完了直前にもパルス信号を出力可能なMREセンサを用いていることから、エンジン10の停止完了直前においても可能となる。従って、上記クランクポジションセンサ14cからのパルス信号、及びカムポジションセンサ38からのパルス信号に基づき、エンジン10の停止完了時のクランク角を把握することが可能になる。
車両には、エンジン10の運転制御を行う燃料噴射量制御装置としての電子制御装置70が搭載されている。この電子制御装置70は、機関制御にかかる各種処理を実行する中央演算処理装置、機関制御用のプログラムやその制御に必要な情報が記憶されるメモリ、外部から信号が入力される入力ポート、外部に信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。
電子制御装置70の入力ポートには、上述したクランクポジションセンサ14c、カムポジションセンサ38、アクセルポジションセンサ22及び水温センサ11b等の各種センサや、イグニションスイッチ23等が接続されている。このイグニションスイッチ23は、運転者により「オフ」、「アクセサリ」、「オン」、及び「スタート」といった四つの切換位置のいずれかに切り換え操作され、現在の切換位置に対応した信号を出力する。一方、電子制御装置70の出力ポートには、上記燃料噴射弁40、スタータ30及び図示しない冷却水を循環させる電動ウォータポンプの駆動回路などが接続されている。
電子制御装置70は、上記各センサ類から入力される検出信号より把握されるエンジン10の運転状態に応じて、上記出力ポートに接続された各機器類の駆動回路に指令信号を出力する。
また、電子制御装置70は、本発明の第1の制御手段、第2の制御手段及び第3の制御手段としての機能を備えている。具体的に、この電子制御装置70は、アクセルペダルの踏込量に基づいてスロットルバルブ24の開度を調節し、これによりエンジン10の吸入空気量が調整されると、この吸入空気量との比が所望の空燃比(例えば、理論空燃比)となる燃料の量を要求噴射量Qとして導出する。そして、第1の制御手段としての電子制御装置70は、通常の運転時においては、燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量がこの要求噴射量Qとなるように制御する。また、電子制御装置70は、エンジン10の始動時に燃焼室16においてプレイグニションが発生すると推定されるときには、第1の制御手段に代わって第2の制御手段として機能し、燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量を上記要求噴射量Qよりも増加させるように制御する。そして、電子制御装置70は、この第2の制御手段としての機能が行われた燃料噴射以降の燃料噴射時に、第1及び第2の各制御手段に代わり第3の制御手段として機能し、燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量を要求噴射量Qよりも所定量だけ減少させるように制御する。なお、本実施形態では、この所定量を予め設定した一定量とする。
このようにして、電子制御装置70により上記燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量が制御される。
次に、電子制御装置70によるエンジン10の始動及び停止について説明する。エンジン10の始動及び停止は、運転者によるイグニションスイッチ23の操作に基づく燃料噴射弁40及びスタータ30等の駆動制御を通じて行われる。
具体的に、エンジン10の運転停止中、運転者によりイグニションスイッチ23が「オフ」から「アクセサリ」、「オン」、「スタート」へと順次切り換えられると、同スイッチ23が「スタート」に切り換えられた時点でエンジン10の始動指令がなされる。この始動指令に基づきスタータ30が駆動されてエンジン10のクランキングが開始される。そして、このクランキング中に気筒判別が完全になされると、吸気行程となる気筒17に燃料噴射弁40から燃焼室16に燃料が噴射供給され、これにより、燃焼室16内で燃料を燃焼させてエンジン10を自立運転させることで、同エンジン10が始動完了することとなる。なお、この気筒判別は、クランクポジションセンサ14cから出力されるクランクポジション信号と、カムポジションセンサ38から出力されるカムポジション信号とに基づいて行われ、エンジン停止時における気筒判別の結果を踏まえてクランキング開始後に行われる。
また、エンジン10の運転中、運転者によりイグニションスイッチ23が「オン」、「アクセサリ」、「オフ」へと順次切り換えられると、同スイッチ23が「アクセサリ」に切り換えられた時点でエンジン10の停止指令がなされる。この停止指令に基づき燃焼室16内での燃料の燃焼が停止され、エンジン10が停止開始される。その後、エンジン回転速度がアイドル回転速度から「0」まで低下し、エンジン10の停止完了に至ることとなる。また、電子制御装置70においては、上記クランクポジションセンサ14c及びカムポジションセンサ38からの信号に基づき、この停止完了時のクランク角が把握される。
図2は、1番〜8番の各気筒17における燃焼サイクルの各行程の変化を示している。また、図3はエンジン10の制御状態を示し、(a)は1番〜8番の各気筒17における燃料噴射信号、(b)はスタータ信号、(c)はエンジン回転数を示している。なお、この図2及び図3(a)には、各気筒17を燃焼サイクルの各行程が行われる順に上から記載している。
この図2に示すように、前回のエンジン10の運転が、例えば一点鎖線で示すタイミングで停止したとする。すなわち、エンジン10は、1番気筒が圧縮行程の初期、8番気筒が吸気行程の後半で停止したとする。そうすると、次にエンジン10が始動されたときに、1番気筒は最初に圧縮行程を開始し、8番気筒は2番目に圧縮行程を開始する。したがって、エンジン10の停止完了後に十分な冷却期間を経ずに始動させる場合、この1番気筒及び8番気筒では、停止中に燃焼室内に存在するガスが同機関の熱によって温度上昇させられた状態で始動時の圧縮行程を迎えることとなる。
ここで、エンジン10が8気筒である場合、始動時の最初及び2番目に圧縮行程が行われる気筒では、この圧縮行程時における燃焼室16内の温度及び圧力が、通常の燃焼運転時における圧縮行程の際の温度及び圧力よりも高くなる。そのため、エンジン10の停止中に燃料噴射弁40から燃焼室16に燃料漏れが生じていると、この最初及び2番目に圧縮行程が行われる1番気筒、8番気筒の燃焼室16においてプレイグニッションが発生する虞がある。また、エンジン10の停止完了前の吸気行程において燃料噴射弁40から燃焼室16へ燃料噴射が行われる場合には、燃料噴射弁40による燃料漏れがない場合にも、プレイグニションが発生する虞がある。
なお、始動時にこれら最初及び2番目に圧縮行程を迎える気筒17において、通常の燃焼運転中よりも温度及び圧力が高くなる理由は以下の通りである。
エンジン10の停止後、次回の始動時に最初に圧縮行程となる気筒17や2番目に圧縮行程になる気筒17においては、エンジン10の停止中に各々圧縮行程初期や吸気行程後半となっており、エンジン10の停止前に燃焼室16に吸入されて、この停止中に温度上昇したガスが始動開始後に圧縮されることとなる。つまり、この始動時に最初及び2番目に行われる圧縮行程では、このように、エンジン10の停止中に温度上昇して高温となっているガスが圧縮されるために、燃焼室16内のガスの温度が高くなる。なお、この8気筒のV型ガソリンエンジン10では、始動開始後の3番目以後に圧縮行程を迎える気筒17、すなわち、7番気筒以降の気筒17では、吸気通路32から燃焼室16に吸入された冷たい空気が圧縮行程で圧縮されるため、その圧縮行程中の燃焼室内のガスの温度が高くなり過ぎることはなく、プレイグニッションの発生する可能性は低い。
また、上述したように、始動時にこれら最初及び2番目に圧縮行程を迎える気筒17では、エンジン10が停止する直前に吸気がなされている。したがって、これらの気筒17では、吸気バルブ18を開くとともにピストン12が燃焼室16を拡大させる方向に移動して燃焼室16内の圧力が大気圧よりも低い値(負圧)となり、吸気通路32から燃焼室16へ空気が吸入されて圧縮行程へ移行した直後、またはこの吸入行程が半分以上進行した状態で停止する。つまり、これらの気筒17では、燃焼室16が大気圧よりも低い圧(負圧)の状態で停止する。しかしながら、エンジン10の停止完了後にある程度の時間(例えば1,2秒)が経過すると、これらの気筒17には、機関バルブ周りやピストンリング周りから燃焼室16内にガスが侵入して、燃焼室16内の圧力が負圧の状態から大気圧まで上昇する。このような状態でエンジン10の始動が開始されて各気筒17で燃焼室16内のガスが圧縮されると、その時点で燃焼室16内の圧力が負圧の状態から大気圧まで上昇していることから、圧縮工程中の燃焼室16内の圧力がエンジン10の通常の燃焼運転時における圧力よりも高くなる。
以上のようにして、始動時に最初及び2番目の圧縮行程を迎える1番気筒及び8番気筒においては、燃焼室16が通常の運転時に比して高温かつ高圧となるために、プレイグニッションが発生するおそれがある。なお、本実施形態においては、エンジン10の始動時に、2番気筒は圧縮行程の後半から開始することなる。そのため、2番気筒では、この始動時の圧縮率はさほど大きくないものの、吸気通路32からの冷たい空気が導入されることなく圧縮が行われるため、この2番気筒においてもプレイングニションが発生する虞があると推定する。
そこで、クランキング前には、アクセルペダルの踏込量が「0」となって吸入空気量が「0」となるため、これに基づいて導出される要求噴射量Qも「0」となっているが、第2の制御手段としての電子制御装置70が、プレイグニションが発生すると推定されるこれらの気筒17において、図2の矢印F0に示すように燃料噴射を行うように制御する。
具体的に、まず、電子制御装置70に水温センサ11b及び吸気温センサ29が出力した冷却水温及び吸気温が入力され、この冷却水温が所定水温以上であり且つ吸気温が所定の吸気温度以上であると、燃焼室16が高温となっているためにプレイグニションが発生すると推定される。なお、電子制御装置70は、始動時のプレイグニションについては、冷却水温の値のみによってプレイグニションの発生を推定するようにしてもよい。そして、電子制御装置70は、前回の停止完了時のクランク角に基づいて、最初及び2番目に圧縮行程となる気筒17(1番気筒、8番気筒)、最初に圧縮行程となる気筒の直前に圧縮行程を行っている気筒17(2番気筒)を導出し、これらの気筒17においてプレイグションが発生すると推定する。
そして、電子制御装置70は、このプレイグニションの発生が推定される各気筒17おいて、要求噴射量Qは「0」であるが、燃料噴射弁40によって燃料が噴射されるように制御する。また、この燃料噴射は、図3(a)の噴射信号f0に示すように、図3(b)に示すスタータ30によるクランキングが開始される前よりも早く行われる。したがって、燃焼室16内の混合気は直ちに圧縮される状況ではなく、燃料が十分に蒸発して、且つ吸熱する時間的な余裕があるため、燃焼室16内が十分に冷却される。つまり、クランキング前に燃料噴射を行うことにより、クランキング時に燃料噴射する場合よりもプレイグニッションを生じにくくさせることができる。
そして、クランキング開始後において、クランクポジションセンサ14c及びカムポジションセンサ38から出力される信号に基づいて、図2及び図3の破線で示すように気筒判別が完全になされると、図2の矢印F1及び図3(a)の噴射信号f1に示す燃料噴射時から通常の燃料噴射が開始される。すなわち、本実施形態では、図2に示すように、6番気筒から通常の燃料噴射が行われて、燃焼室16における燃焼が行われる。
ここで、上述したように、本実施形態では、始動時に、2番気筒、1番気筒及び8番気筒の各気筒17において、クランキング前にプレイグニションを防止するための燃料噴射を行っている。そして、クランキング中の気筒判別がなされる前には、燃焼室16において燃料の燃焼が行われないため、プレイグニション防止のために噴射された燃料は全て未燃状態となり、その後に排気行程を経ても燃焼室16内にはこの未燃燃料が残留することとなる。そのため、これらの気筒17において、次の燃料噴射時に、始動時の通常の要求噴射量Qを噴射すると、空燃比が所望とする空燃比に対してリッチな状態となり、燃焼状態を良好な状態に保つことができない。
そこで、第3の制御手段としての電子制御装置70が、これらプレイグニションを防止するための燃料噴射が行われた気筒17ついては、燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量が通常の始動時の要求噴射量Qよりも所定量減少されるように制御する。図4は、電子制御装置70によって行われる燃料噴射量減少制御を示すフローチャートである。
この図4に示すように、燃料噴射量減少制御がスタートすると、まずステップS1において、始動時にプレイグニションを防止するための燃料噴射がなされたか否かが判定される。具体的に、ステップS1では、水温センサ11bよって検出される水温が所定水温以上となり、吸気温センサ29によって検出される吸気温が所定の吸気温以上であると、始動時にプレイグニションがなされたと判定されて、ステップS2に移る。なお、始動時のプレイグニションの推定を冷却水温のみに基づいて行っている場合は、このステップS1においても、プレイグニションの防止のための燃料噴射が行われたか否かを冷却水温のみによって判定する。また、このステップS1においては、吸気温や冷却水温に基づく判定に代わり、クランキング前の燃料噴射信号が出力されたか否かなどによって判定するようにしてもよい。
そして、ステップS2では、電子制御装置70が、このプレイグニションの防止のための噴射がなされた2番気筒、1番気筒、8番気筒の各気筒17において、燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量を所定量減少させるように制御する。具体的には、図2の矢印Fd及び図3に噴射信号fdで示される、2番気筒、1番気筒、8番気筒の各気筒17における始動時の初回の燃料噴射時において、燃料噴射量を減少させる。これにより、プレイグニションの防止のために噴射された燃料が未燃状態で燃焼室16に残留していても燃焼室16内に実際に存在する燃料の量が始動時の通常の要求噴射量よりも過剰となることが抑制され、燃焼室16内における空燃比が適切な値に保たれる。
また、ステップS1において、始動時にプレイグニションを防止するための燃料噴射がなされなかったと判定されると、ステップS3に移り、電子制御装置70が、全ての気筒17において、燃料噴射弁40が始動時における通常の要求噴射量Qの燃料を噴射するように制御する。つまり、図2の矢印Fd及び図3の噴射信号fdで示される、2番気筒、1番気筒、8番気筒の各気筒17における始動時の初回の燃料噴射時においても、燃料噴射弁40が始動時における通常の要求噴射量Qの燃料を噴射するように制御する。
その後、図3(b)に示すように、スタータ30によるクランキングが終了して、通常の燃焼サイクルが行われ、エンジン回転数は、図3(c)に示すように漸次上昇する。以上のように、電子制御装置70の制御によって、エンジン10においては、始動時におけるプレイグニションを防止することができるとともに、始動時の燃焼室16における空燃比が適切な値に保たれることにより燃料の燃焼状態も適切に保たれるため、このエンジン10の始動性が向上する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の電子制御装置70は、始動時におけるクランキング前にプレイグニションを防止するための燃料噴射がなされると、このプレイグニションを防止するための燃料噴射が行われた以降の燃料噴射時に、燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量を通常の噴射量よりも所定量だけ減少させるように制御するようにしている。したがって、プレイグニションの防止のために噴射された燃料は、排気行程を経ても未燃状態で燃焼室16に残留することとなるが、始動時の初回の燃料噴射時において、通常の要求噴射量Qよりも所定量だけ減少されるため、燃焼室16内に実際に存在する燃料の量が始動時の要求噴射量Qよりも過剰となることが抑制される。その結果、燃焼室16内における空気量と燃料量との比である空燃比が適切な値に保たれ、燃料の燃焼状態も適切に保たれ、エンジン10の始動性が向上する。
(2)本実施形態の電子制御装置70は、エンジン10の始動直後に圧縮行程が行われる燃焼室16ではプレイグニションが発生すると推定するようにしている。これにより、始動直後に圧縮行程が行われる燃焼室16では、冷たい吸入空気が導入されないために高温となりやすく、通常の燃焼サイクルにおける圧縮行程よりも圧力が高くなるためにプレイグニションが発生する可能性が高くなるといった点が考慮され、確実にプレイグニションの発生を防止することができる。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・上記実施形態では、運転者がイグニションスイッチ23を制御することによってエンジン10が始動する際に、燃料噴射量の制御を行うようにしている。しかしながら、例えば、燃費向上のためにエンジンが自動で停止したり、再始動したりするようにしているものにおいても、上記と同様の制御を行うようにしてもよい。具体的に、このようなエンジンでは、エンジンの運転中にエンジンの出力要求がなくなると、燃焼室内での燃料の燃焼を停止させ、エンジンを自動的に停止させる。なお、エンジンへの出力要求の有無は、例えばアクセル踏込量が「0」であり、ブレーキが踏み込まれており、車速が「0」に近い所定値未満である、といった条件が全て成立しているか否かに基づき判断される。そして、これらの条件がすべて成立したときに、エンジンへの出力要求がないとして、エンジンを自動的に停止させ、これらの条件のうち一つ以上が不成立となった場合には、エンジンを再始動するようにする。このように燃費改善のために車両の走行状態等に応じて自動的に燃焼運転が停止・再開されるエンジン10では、エンジン10の運転の停止完了後に十分な冷却期間をおかずに再始動させるという状況が生じやすい。したがって、再始動時にプレイグニッションを防止させるための燃料噴射を行い、その後の燃料噴射量を減少させるように制御してもよい。
・上記各実施形態では、エンジン10の前回の停止完了時の気筒判別を行うことにより、始動時に何れの気筒17でプレイグニションが発生する虞があるかを予め推定している。しかしながら、エンジンの始動時のクランキング開始後のみにおいて気筒判別が行われて、停止完了時の気筒判別が行われない場合には、燃焼室が高温の状態での再始動時に全ての気筒においてプレイグニションが発生すると推定し、第2の制御手段によってクランキング前に燃料噴射を行うようにしてもよい。また、その場合は、全ての気筒において、第3の制御手段によって、初回の燃料噴射量を減少させるようにする。
・上記各実施形態では、始動時においてプレイグニションが発生する虞のあるときに、第2制御手段としての電子制御装置70により、プレイグニションの発生を防止するための燃料噴射をしている。しかしながら、通常の運転時(始動から時間が十分に経過した後に)において、プレイグニションが発生する虞があると推定されるときに、第2の制御手段として、プレイグニションの発生を防止するための燃料噴射が行われるように制御し、その後に第3の制御手段として、要求噴射量よりも減少させる制御を行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、電子制御装置70が、プレイグニションの発生を防止するために燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量を増量させた後の次の燃料噴射時のみにおいて、燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量を減少させるようにしている。しかしながら、プレイグニションの防止のために燃料の噴射量を増加させた場合は、その後の複数回の燃焼時において、この噴射量を増加させたことに起因する未燃燃料が残留して燃焼状態が適切な状態に保たれないことがある。したがって、プレイグニションの防止のために燃料の噴射量を増加させた以降の複数回の燃料噴射において燃料噴射弁40によって噴射される燃料を要求噴射量Qよりも減少させるようにしてもよい。
また、このように複数回の燃料噴射において燃料の噴射量を減少させる場合は、この複数回の燃料噴射時において、要求噴射量Qから減少させる所定量を一定量としてもよいし、例えば、燃焼室での燃焼回数が増える毎にこの所定量減少させる量を少なくするようにしてもよい。つまり、プレイグニションの防止のために燃料噴射量が増加させられた直後は、燃焼室16内に残留する未燃燃料の量は多くなっているが、この量は燃焼室16において燃焼がなされる毎に漸次少なくなる。そこで、このように燃焼室16での燃焼回数が増える毎に前記所定量を減少させることにより、この未燃燃料の残留量と燃料噴射弁40によって噴射される燃料の量との合計である燃焼室16に実際に存在する燃料の量を適量に保つようにし、燃料の燃焼状態を適切な状態とするようにしてもよい。
・上記各実施形態では、電子制御装置70が、第3の制御手段として、燃料噴射量を減少させるための所定量を一定量としている。しかしながら、この所定量は運転状態などに応じて適宜変更するようにしてもよい。具体的には、エンジン10の冷却水温が高いほど燃焼室16の温度が高く、プレイグニションの防止のために噴射された燃料のうち燃焼室に残留した未燃燃料が気化しやすくなるため、この冷却水温が高いほど燃料噴射量を少なくなるようにして、燃焼室16内において気化している燃料の量を適量に保つようにしてもよい。すなわち、この場合は、冷却水温が高いほど、前記所定量を多くすることとなる。
・上記各実施形態では、電子制御装置70が、アクセルペダルの踏込量に基づく吸入空気量との比が所望の空燃比となる燃料の量を要求噴射量Qとして導出するようにしている。しかしながら、要求噴射量Qは、エンジン10の運転状態などが適宜考慮されて吸入空気量との比が所望の空燃比となる燃料の量よりも増加されたり減少されたりして適宜導出される量であってもよい。なお、この場合、第2の制御手段及び第3の制御手段によって増加及び減少されるものは除く。
・上記各実施形態では、燃料噴射量制御装置を8気筒のV型ガソリンエンジン10に適用するようにしたが、V型エンジンではなく、直列型や水平対向型のエンジンに適用するようにしてもよい。また、気筒数は8気筒に限定されない。さらに、エンジンの具体的な構成は、特に限定されない。例えば、上記各実施形態では、燃料噴射弁40が燃焼室16に燃料を直接噴射するようにしているが、燃料噴射弁40が吸気ポートに燃料を噴射するようにしてもよい。このようにポート噴射を行うエンジンでは、エンジンの運転停止中に、燃料噴射弁の燃料が燃焼室に漏れることによりプレイグニションが発生することはないが、何らかの原因によりプレイグニションが発生すると推定されるときに、上記各実施形態と同様に燃料噴射量を増加させ、その後の燃料噴射時における燃料噴射量を減少させるようにしてもよい。
本発明の燃料噴射量制御装置が適用される8気筒のV型ガソリンエンジンの模式図。 同エンジンの各気筒における燃焼サイクルの行程変化を示すタイムチャート。 同エンジンの制御状態を示すタイムチャートであり、(a)は同エンジンの各気筒における燃料噴射信号、(b)はスタータ信号、(c)はエンジン回転数を示している。 燃料噴射量制御装置としての電子制御装置による燃料噴射量減少制御を示すフローチャート。
符号の説明
10…V型ガソリンエンジン、11…シリンダブロック、11b…水温センサ、12…ピストン、13…コンロッド、14…クランクシャフト、14a…ロータ、14b…突起、14c…クランクポジションセンサ、15…シリンダヘッド、16…燃焼室、17…気筒、18…吸気バルブ、19…排気バルブ、22…アクセルポジションセンサ、23…イグニションスイッチ、24…スロットルバルブ、26…スロットルモータ、28…エアフローメータ、29…吸気温センサ、30…スタータ、32…吸気通路、33…排気通路、37…吸気カムシャフト、38…カムポジションセンサ、39…排気カムシャフト、40…燃料噴射弁、41…点火プラグ、70…電子制御装置。

Claims (5)

  1. 内燃機関の燃焼室に導入される燃料を噴射する燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を制御する内燃機関の燃料噴射量制御装置であって、
    前記燃料噴射弁によって噴射される燃料の量が前記内燃機関の運転状態に基づいた要求噴射量となるように制御する第1の制御手段と、
    前記燃焼室においてプレイグニションが発生すると推定されるときに、前記第1の制御手段に代わって、前記燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を前記要求噴射量よりも増加させるように制御する第2の制御手段と、
    前記第2の制御手段による前記制御が行われた燃料噴射以降の前記燃料噴射弁による燃料噴射時に、前記第1及び第2の各制御手段に代わって、前記燃料噴射弁によって噴射される燃料の量を前記要求噴射量よりも所定量だけ減少させるように制御する第3の制御手段とを備えている
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記第3の制御手段は、前記所定量を前記内燃機関の冷却水温が高いほど多くなるように導出する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記第3の制御手段は、前記第2の制御手段による前記制御が行われた燃料噴射以降の燃料噴射時において、前記燃焼室での燃焼回数が増える毎に前記所定量を少なくする
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  4. 請求項1〜3の何れか1項において、
    前記第2の制御手段は、前記内燃機関の始動時に前記燃焼室においてプレイグニションが発生すると推定されるときに、前記燃焼室での燃焼の有無に拘わらず前記燃料噴射弁が燃料を噴射するように制御する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装置。
  5. 請求項4において、
    前記第2の制御手段は、前記内燃機関の始動直後に圧縮行程が行われる燃焼室においてプレイグニションが発生すると推定する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射量制御装置。
JP2007055572A 2007-03-06 2007-03-06 内燃機関の燃料噴射量制御装置 Expired - Fee Related JP4743139B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007055572A JP4743139B2 (ja) 2007-03-06 2007-03-06 内燃機関の燃料噴射量制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007055572A JP4743139B2 (ja) 2007-03-06 2007-03-06 内燃機関の燃料噴射量制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008215246A JP2008215246A (ja) 2008-09-18
JP4743139B2 true JP4743139B2 (ja) 2011-08-10

Family

ID=39835575

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007055572A Expired - Fee Related JP4743139B2 (ja) 2007-03-06 2007-03-06 内燃機関の燃料噴射量制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4743139B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5325756B2 (ja) * 2009-12-14 2013-10-23 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関の燃料噴射制御装置
EP2813695B1 (en) 2012-02-06 2017-05-17 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Control device for internal combustion engine
JP6225969B2 (ja) * 2015-09-18 2017-11-08 トヨタ自動車株式会社 過給機付き内燃機関の制御装置及び制御方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06307270A (ja) * 1993-04-22 1994-11-01 Toyota Motor Corp 内燃機関の始動時燃料噴射制御装置
JPH08261129A (ja) * 1995-03-20 1996-10-08 Toyota Motor Corp 内燃機関のプレイグニッション検出装置
JP3726434B2 (ja) * 1997-07-31 2005-12-14 トヨタ自動車株式会社 内燃機関のプレイグニッション検出装置
JP3661606B2 (ja) * 2001-04-27 2005-06-15 トヨタ自動車株式会社 車輌用間歇運転式内燃機関の運転方法
JP4198011B2 (ja) * 2003-08-21 2008-12-17 株式会社デンソー 内燃機関の始動時圧縮自着火防止装置
JP4207048B2 (ja) * 2006-01-23 2009-01-14 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の始動時制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008215246A (ja) 2008-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7131413B2 (en) Start control apparatus of internal combustion engine
JP5742682B2 (ja) 内燃機関の始動制御装置
US7478625B1 (en) Engine cranking system with cylinder deactivation for a direct injection engine
JP2004036429A (ja) 内燃機関の制御装置
JP4385940B2 (ja) 内燃機関装置およびこれを搭載する自動車並びに内燃機関の運転停止方法
JP4135643B2 (ja) 直噴火花点火式内燃機関の制御装置
JP4743139B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP6395025B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射装置
JP4075666B2 (ja) エンジンの始動装置
JP5821749B2 (ja) 内燃機関の始動制御装置
US6899078B2 (en) Starting device for internal combustion engine
JP5831168B2 (ja) 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置
JP2010065569A (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP4466498B2 (ja) 内燃機関の点火時期制御装置
JP5821748B2 (ja) 内燃機関の始動制御装置
US11002163B2 (en) Valve timing controller and valve timing control method
JP2005344646A (ja) エンジンの始動装置
KR101115106B1 (ko) 내연 기관의 제어 방법
JP4363245B2 (ja) エンジンの始動装置
JP2018053732A (ja) エンジン制御装置
JP4200937B2 (ja) エンジンの始動装置
JP2013204520A (ja) 内燃機関の始動制御装置
JP2022129779A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2015183622A (ja) 内燃機関の燃料噴射装置
JP2003328789A (ja) 内燃機関のバルブタイミング可変制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090703

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110412

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110425

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140520

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees