JP3587097B2 - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切り替えるようにした内燃機関の燃焼制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、点火プラグ近傍にのみ濃い混合気層を形成する成層燃焼を行うようにした内燃機関が知られている。こうした内燃機関では、気筒内に均質な混合気層を形成する均質燃焼のみを行うようにした内燃機関と比較して、ポンプ損失や冷却損失を低減させて燃費の向上を図ることができる。また、このように成層燃焼を行う内燃機関においても、燃料噴射量が多くなる高負荷運転時には、その燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に切り替えることにより、安定した燃焼状態のもと所定の機関出力を確保するようにしている。
【0003】
ところで、内燃機関においては一般に、混合気の自己着火による異常燃焼、いわゆるノッキングが発生した場合には、点火時期を遅角させて最高燃焼圧を低く抑えることにより、このノッキングの発生を抑制する制御(以下、「ノッキング制御」という)が行われる(例えば特開平10−176570号公報参照)。
【0004】
また、こうしたノッキング制御において、点火時期の遅角量はノッキングの発生頻度に応じて可変設定される。即ち、ノッキングが頻繁に発生するような状況下では、この遅角量が大きく設定され、その発生を確実に抑制するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような成層燃焼を行う内燃機関において、こうしたノッキング制御を実行する場合には以下のような不都合も無視できないものとなる。
【0006】
即ち、成層燃焼時においては、点火プラグ近傍に所定濃度の混合気層が形成されるタイミングに合わせて点火を行う必要があることから、均質燃焼時と比較して点火時期の変更可能な範囲が大きく制限されている。このため、ノッキングの発生を抑制するために、成層燃焼時においても均質燃焼時と同様に点火時期を大きく遅角させるようにすれば、同時期が変更可能範囲から外れ、燃焼状態の悪化、最悪の場合には失火を招くこととなる。
【0007】
また一方で、成層燃焼が実行される運転領域を予めノッキングの発生し得ない領域に限定しておけば、上記のような成層燃焼時における失火の発生を回避することはできる。しかしながら、この場合には、成層燃焼が実行される運転領域が大きく制限されてしまい、燃費の大幅な悪化も避けきれないものとなる。
【0008】
本発明はこうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、成層燃焼が実行される運転領域を大きく制限することなく、ノッキング制御を通じて要求される点火時期の遅角量を好適に確保することのできる内燃機関の燃焼制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための構成及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載した発明では、機関運転状態に基づいて燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切替設定する設定手段を備えた内燃機関の燃焼制御装置において、前記内燃機関でのノッキングの発生を検出する検出手段と、該検出手段により成層燃焼時にノッキングの発生が検出されるときに燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に変更する変更手段とを備え、前記設定手段は、機関運転状態が所定の運転領域内にあるときに燃焼形態を成層燃焼に設定する一方、前記運転領域外にあるときに燃焼形態を均質燃焼に設定するものであり、前記変更手段は、前記運転領域を縮小することにより前記燃焼形態の変更を行うとともに、該縮小された運転領域を記憶保持するものであり、前記検出手段の検出結果に基づき均質燃焼時におけるノッキングの発生頻度を監視してこれを記憶保持するとともに、該記憶保持されている発生頻度に基づいて前記運転領域を縮小する際の縮小度合を設定するものであるとしている。
【0012】
こうした構成によれば、成層燃焼時にノッキングの発生が検出されると、燃焼形態が成層燃焼から、点火時期の遅角可能な範囲が成層燃焼よりも広い均質燃焼に変更されるため、成層燃焼が実行される運転領域を大きく制限することなく、ノッキング制御を通じて要求される点火時期の遅角量を確実に確保することができるようになる。
【0016】
また、変更手段による燃焼形態の変更が行われる際には、その時の機関運転状態に対応した燃焼形態が成層燃焼として設定されるように、上記運転領域が縮小され記憶保持される。このため、こうした燃焼形態の変更が一旦実行されると、その後は、この記憶保持されている運転領域に基づいて燃焼形態が設定されるようになる。即ち、ノッキングの発生状況に適合するように前記運転領域が設定し直されることとなる。従って、ノッキングの発生状況に応じて燃焼形態をその都度変更する必要が無くなり、同燃焼形態が頻繁に変更されるのを防止することができるようになる。
【0018】
さらに、内燃機関がノッキングが発生し易い状態にあるときほど、燃焼形態が成層燃焼に設定される運転領域がより大きく縮小されるとともに、その縮小分だけ燃焼形態が均質燃焼に設定される運転領域が拡大されるようになる。従って、燃焼形態が成層燃焼に設定される運転領域及び燃焼形態が均質燃焼に設定される運転領域をノッキングの発生状況に応じてより適切に設定することができるようになる。
また、請求項2に記載した発明は、機関運転状態に基づいて燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切替設定する設定手段を備えた内燃機関の燃焼制御装置において、前記内燃機関でのノッキングの発生を検出する検出手段と、該検出結果に基づいて成層燃焼時におけるノッキングの発生頻度が所定頻度以上であるか否かを判断する判断手段と、該判断手段により所定頻度以上である旨判断されるときに燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に変更する変更手段とを備え、前記設定手段は、機関運転状態が所定の運転領域内にあるときに燃焼形態を成層燃焼に設定する一方、前記運転領域外にあるときに燃焼形態を均質燃焼に設定するものであり、前記変更手段は、前記運転領域を縮小することにより前記燃焼形態の変更を行うとともに、該縮小された運転領域を記憶保持するものであり、前記検出手段の検出結果に基づき均質燃焼時におけるノッキングの発生頻度を監視してこれを記憶保持するとともに、該記憶保持されている発生頻度に基づいて前記運転領域を縮小する際の縮小度合を設定するものであるとしている。
ノッキングの発生が検出されるときに直ちに燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に変更すると、燃費の悪化は避けられないものとなる。
この点、請求項2に記載した発明の上記構成によれば、成層燃焼時におけるノッキングの発生頻度が所定頻度以上になり、ノッキング制御において点火時期の遅角要求が大きくなるときにのみ、燃焼形態が成層燃焼から均質燃焼に変更されるようになる。従って、この請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、燃焼形態として成層燃焼が選択される機会をより多く確保することができ、燃費の悪化を極力抑えることができるようになる。
【0019】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した内燃機関の燃焼制御装置において、前記変更手段は前記運転領域が縮小されていることを条件に前記記憶保持されている発生頻度に基づいて前記運転領域を拡大し、該拡大された運転領域を記憶保持するものであるとしている。
【0020】
こうした構成によれば、例えば使用燃料のオクタン価が変わることにより、内燃機関がノッキングの発生し難い状態に移行したような場合には、上記運転領域が拡大され、燃焼形態として成層燃焼が選択される機会が増大するようになる。
従って、請求項3に記載した発明によれば、請求項1又は請求項2に記載した発明の作用効果に加えて、燃費の悪化を極力抑えることができるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
【0022】
図1は本実施形態にかかる燃焼制御装置及び同装置が適用されるエンジン10の概略構成を示している。
同図1に示されるように、エンジン10はシリンダヘッド11と、複数のシリンダ12(図1ではその一つのみを図示)が形成されたシリンダブロック13とを備えている。各シリンダ12内にはピストン14が往復動可能に設けられており、このピストン14と、シリンダ12の内周壁面及びシリンダヘッド11とによって燃焼室15が区画形成されている。
【0023】
シリンダヘッド11にはこの燃焼室15内に燃料を直接噴射するインジェクタ20と同インジェクタ20から噴射される燃料の点火を行う点火プラグ21とが各シリンダ12に対応して設けられている。この点火プラグ21は点火コイル22に接続されており、同点火コイル22に内蔵されるイグナイタ23によってその点火時期が調節される。
【0024】
また、エンジン10には、機関運転状態やノッキングの発生を検出するための各種センサが設けられている。クランクシャフトと同クランクシャフトと連動して回転するカムシャフト(いずれも図示略)の近傍には、クランクシャフトの回転速度(機関回転数NE)とその回転位相(クランク角CA)を検出するためのクランク角センサ30及びカム角センサ31がそれぞれ設けられている。また、運転者により踏込操作されるアクセルペダル(図示略)の近傍には、その踏込量(アクセル開度ACCP)を検出するためのアクセルセンサ32が設けられている。更に、シリンダブロック13には、エンジン10に発生するノッキングの大きさに応じた信号(ノッキング信号KCS)を出力するノックセンサ33が設けられている。
【0025】
これら各センサ30〜33から出力される検出信号はいずれも、エンジン10の電子制御装置40に入力される。この電子制御装置40は、これら各センサ30〜33を含む各種センサからの検出信号に基づいてインジェクタ20やイグナイタ23等を駆動することにより、燃料噴射量や燃料噴射時期、或いは点火時期制御といった機関燃焼に係る制御を実行する。電子制御装置40は、こうした各種制御を実行するためのプログラムや演算用マップ、制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶保持するメモリ41を備えている。
【0026】
本実施形態のエンジン10は、上記電子制御装置40により、その燃焼形態が成層燃焼と均質燃焼との間で切替制御される。
例えば、燃焼形態が成層燃焼に切り替えられると、空燃比は理論空燃比(A/F=14.5)よりもリーン(A/F=25〜50)に設定され、燃料は圧縮行程後期に噴射されるようになる。そして、このように燃料が圧縮行程後期に噴射されることにより、ピストン14の頂面に衝突して跳ね返った燃料が点火プラグ21近傍に偏在した状態でその点火が行われるようになる。
【0027】
一方、燃焼形態が均質燃焼に切り替えられると、空燃比は理論空燃比に設定されるとともに、燃料は吸気行程中に噴射されるようになる。その結果、燃焼室15内において燃料と吸入空気とが略均質に混ざり合った状態で点火が行われるようになる。
【0028】
また、こうした燃焼形態の切り替えは、機関負荷KL及び機関回転数NEといった機関運転状態に基づいて行われる。尚、上記機関負荷KLとしては、例えばアクセル開度ACCPと機関回転数NEとに基づいて設定される一行程当たりの燃料噴射量が用いられる。
【0029】
図2は、この燃焼形態の切り替えに際して用いられるマップを示している。このマップには、現在の機関運転状態に適合する燃焼形態が成層燃焼及び均質燃焼のいずれであるかを機関負荷KLとの比較のもとに判定するための負荷判定値JKL(同図の実線)が機関回転数NEと対応して示されている。
【0030】
機関負荷KLが、そのときの機関回転数NE(例えば「NE1」)に対応する負荷判定値JKL(=JKL1)未満である場合(KL<JKL1)には、現在の機関運転状態が成層燃焼領域にあると判断され、同機関負荷KLが負荷判定値JKL以上である場合(KL≧JKL1)には、機関運転状態が均質燃焼領域にあると判断される。尚、同図2に示される負荷判定値JKLと機関回転数NEとの関係は予め実験等に基づき決定され、電子制御装置40のメモリ41に記憶されている。
【0031】
また、こうした燃焼形態の切替態様は、基本的には、上記のように機関負荷KL及び機関回転数NEといった機関運転状態に基づいて制御されるが、本実施形態では更に、後述するノッキング制御を通じて求められるノッキングの発生状況にも基づいて制御されている。
【0032】
次に、こうした本実施形態におけるノッキング制御並びに燃焼形態の切替制御の詳細について順に説明する。
図3及び図4は、このノッキング制御における処理手順を示すフローチャートである。電子制御装置40は、このフローチャートに示される処理を所定のクランク角周期の割込処理として実行する。
【0033】
この処理に際しては、まず、現在選択されている燃焼形態が均質燃焼であるか否かが判断される(図3のステップ100)。ここで燃焼形態が成層燃焼に設定されている場合(ステップ100:NO)には、処理は一旦終了される。即ち、成層燃焼中は、実質的なノッキング制御にかかる処理は実行されない。尚、この成層燃焼中における点火時期は、本ルーチンとは別の処理を通じて設定される。因みに、この点火時期は、インジェクタ20から噴射された燃料によって点火プラグ21近傍に所定濃度の混合気層が形成されるときに点火が行われるように設定される。
【0034】
一方、燃焼形態が均質燃焼に設定されている旨判断されると(ステップ100:YES)、機関負荷KL及び機関回転数NEに基づいて基本点火時期ABSE及び最大遅角値AKMAXが算出される(ステップ110)。
【0035】
ここで基本点火時期ABSEは、そのときの機関運転状態において最大の機関出力を確保することのできる点火時期であり、圧縮上死点を基準とし、同上死点前の相対的なクランク角CAとして定義されている。
【0036】
また、最大遅角値AKMAXは、この基本点火時期ABSEを遅角する際の最大量であり、そのときの機関運転状態においてノッキングの発生を確実に抑制することのできる大きさに設定されている。
【0037】
これら基本点火時期ABSE及び最大遅角値AKMAXと機関運転状態(機関負荷KL及び機関回転数NE)との関係は、予め実験等に基づいて決定され、基本点火時期ABSE及び最大遅角値AKMAXを算出するためのデータとして電子制御装置40のメモリ41に記憶されている。
【0038】
次に、メモリ41に記憶保持されているノック学習値AGKNKが読み込まれる(ステップ120)。
このノック学習値AGKNKは、上記基本点火時期ABSEを最大遅角値AKMAX分だけ遅角させた最遅角時期(ABSE−AKMAX)をノッキングの発生状況に応じて進角補正するためのものであり、本ルーチンの処理を通じて、ノックキングが頻繁に発生する傾向がある場合には徐々に小さい値に更新され、逆にノッキングの発生頻度が小さい場合には徐々に大きい値に更新される学習値である。従って、このノック学習値AGKNKは、使用燃料のオクタン価や、シリンダ12へのカーボン付着による実圧縮比の変化等々に起因した定常的なノッキングの発生頻度を反映するものとなっている。
【0039】
また、このノック学習値AGKNKは、機関回転数NEに応じて区分される複数の学習領域にそれぞれ対応した各別の値としてメモリ41に記憶保持されている。即ち、この機関回転数NEに応じて、例えば低速領域、中速領域、並び高速領域といった3つの学習領域が設定されている場合には、各学習領域にそれぞれ対応して3つのノック学習値AGKNKが存在することとなる。尚、このようにノック学習値AGKNKを各学習領域に応じて各別に有するようにしているのは、ノッキングの発生状況が機関回転数NEに応じて異なるため、この機関回転数NEによる違いを点火時期の設定に反映させてノッキングをより適切に抑制する必要があるといった理由による。
【0040】
次に、ノックセンサ33から出力されるノッキング信号KCSに基づいてエンジン10にノッキングが発生しているか否かが判定される(ステップ130)。ここでノッキングが発生していると判定されると(ステップ130:YES)、現在のノック制御値AKCSに所定値α1が加算され、その加算値(AKCS+α1)が新たなノック制御値AKCSとして設定される(ステップ140)。
【0041】
このノック制御値AKCSは、現在のノッキングの発生頻度に応じて点火時期を補正するためのものである。ノック制御値AKCSも上記ノック学習値AGKNKと同様、ノッキングの発生状況に応じて更新されるものであるが、ノック学習値AGKNKが比較的長い期間でみたノッキングの発生頻度に応じて徐々に更新されるのに対して、このノック制御値AKCSはその時々のノッキングの発生の有無に応じて頻繁に更新される点が上記ノック学習値AGKNKと異なっている。
【0042】
一方、ノッキングが発生していないと判定された場合(ステップ130:NO)、現在のノック制御値AKCSから所定値α2が減算され、その減算値(AKCS−α2)が新たなノック制御値AKCSとして設定される(ステップ145)。
【0043】
こうしてノック制御値AKCSが現在のノッキングの発生の有無に応じて更新された後、以下の演算式(1)に基づいてノック遅角反映値AKNKが算出される(ステップ150)。このノック遅角反映値AKNKは、上記基本点火時期ABSEを遅角させる際の最終的な遅角量に相当する。
【0044】
AKNK←AKMAX−AGKNK+AKCS ・・・(1)
次に、上記ノック制御値AKCSと所定値β1とが比較される(図4のステップ160)。ここでノック制御値AKCSが所定値β1より大きい旨判断された場合、即ちノッキングの発生頻度が所定頻度より大きい場合(ステップ160:YES)、現在のノック学習値AGKNKから所定値γが減算され、その減算値(AGKNK−γ)が新たなノック学習値AGKNKとして設定される(ステップ170)。
【0045】
一方、ノック制御値AKCSが所定値β1以下であると判断された場合(ステップ160:NO)、更にこのノック制御値AKCSと所定値β2とが比較される(ステップ165)。そしてここで、ノック制御値AKCSが所定値β2より小さい旨判断された場合、即ちノッキングの発生頻度が所定頻度より小さい場合(ステップ165:YES)、現在のノック学習値AGKNKに所定値γが加算され、その加算値(AGKNK+γ)が新たなノック学習値AGKNKとして設定される(ステップ175)。
【0046】
このようにしてノック学習値AGKNKがノッキングの発生頻度を反映するノック制御値AKCSの大きさに基づいて更新された後、或いはノック制御値AKCSが(β2≦AKCS≦β1)の範囲にあると判断された場合(ステップ160及びステップ165:NO)、このノック学習値AGKNKが現在の機関回転数NEに対応する学習領域での値としてメモリ41に記憶保持される(ステップ180)。
【0047】
次に、基本点火時期ABSEからノック遅角反映値AKNKが減算され、その減算値(ABSE−AKNK)が最終点火時期AOPとして設定される(ステップ190)。この処理を実行した後、本ルーチンの処理は一旦終了される。電子制御装置40は、この最終点火時期AOPに基づく点火信号をイグナイタ23に出力することにより、点火プラグ21による点火を実行する。
【0048】
次に、燃焼形態の切替制御について図5及び図6を併せ参照して説明する。
図5は、この燃焼形態を切り替える際の処理手順を示すフローチャートである。電子制御装置40は、このフローチャートに示される処理を所定のクランク角周期の割込処理として実行する。
【0049】
この処理に際しては、まず現在の機関回転数NE及び機関負荷KLが読み込まれ(ステップ200)、その後、機関回転数NEに対応する負荷判定値JKLが先の図2に示すマップを参照して設定される(ステップ210)。
【0050】
次に、次の演算式(2)に従って上記負荷判定値JKLが再設定される(ステップ220)。
JKL←JKL×(1−κ) ・・・(2)
κ:0≦κ<1.0
ここで、「κ」は、ノック学習値AGKNKの大きさに基づいて成層燃焼領域を縮小する際の縮小率である。この縮小率κが大きな値に設定されているときほど、負荷判定値JKLがより小さい値に再設定され、成層燃焼領域がより大きく縮小されるとともに、その縮小分だけ均質燃焼領域が拡大されるようになる(図2の一点鎖線参照)。尚、この縮小率κの初期値は「0」であり、成層燃焼中におけるノッキングの発生が検出されたことを条件に「0」より大きい値(但し、「1.0」未満)に設定される。この縮小率κの設定に関する詳細については後述する。
【0051】
このようにして負荷判定値JKLを再設定した後、この負荷判定値JKLと現在の機関負荷KLとを比較する(ステップ230)。ここで、機関負荷KLが負荷判定値JKL未満である旨判断された場合(ステップ230:YES)には、機関運転状態が成層燃焼領域にあると判断され、燃焼形態が成層燃焼に設定される(ステップ240)。
【0052】
次に、ノッキング信号KCSに基づきノッキングが発生しているか否かが判定される(ステップ250)。そして、ノッキングが発生していない場合には(ステップ250:NO)、本ルーチンの処理は一旦終了される。従って、成層燃焼中にノッキングが発生しなければ、上記縮小率κは初期値「0」のまま保持されることとなる。そしてこの場合には、上記演算式(2)に基づいて負荷判定値JKLがより小さい値に再設定されることはないため、成層燃焼領域の縮小は実質的に行われないことになる。
【0053】
一方、ノッキングが発生している場合には(ステップ250:YES)、現在の機関回転数NEに対応する学習領域でのノック学習値AGKNKに基づいて縮小率κが設定される(ステップ260)。
【0054】
図6は、この縮小率κとノック学習値AGKNKとの関係を示すマップである。このマップに示されるように、ノック学習値AGKNKが小さくなるほど、縮小率κは大きな値に設定される。これは次のような理由による。
【0055】
即ち、ノック学習値AGKNKが小さくなっているときには、例えば低オクタン価の燃料の使用により、エンジン10がノッキングの発生し易い状態にあると考えられる。このため、このような場合にも高負荷高速側の運転領域(例えば図2において負荷判定値JKLを示す実線の近傍の領域)で成層燃焼を実行させるようにすると、もはやノッキングの発生が避けきれないものとなる。
【0056】
また、こうしたノッキングの発生を抑制するために、成層燃焼時においても均質燃焼時と同様、前述したノッキング制御を通じて点火時期を遅角させるようにすると、点火時期を正常な燃焼を確保し得る範囲よりも更に遅角側の時期に設定せざるを得なくなり失火を招くこととなる。
【0057】
このため、本実施形態では、上記のように、ノック学習値AGKNKが小さく、従ってノッキングの発生頻度が大きいときほど、縮小率κをより大きな値に設定することにより、成層燃焼が実行される運転領域を大きく縮小させるとともに、点火時期を遅角する際の変更可能な範囲が成層燃焼よりも広い均質燃焼の実行領域をその縮小分だけ拡大するようにしている。
【0058】
また一方で、同マップに示されるように、ノック学習値AGKNKが所定値aよりも大きくなるときには、エンジン10がノッキングの発生し難い状態にあるため、縮小率κはその初期値、即ち「0」に設定される。従って、この場合には、成層燃焼領域及び均質燃焼領域は初期の状態に戻されることとなる。
【0059】
そして、このようにして設定された縮小率κは電子制御装置40のメモリ41に記憶保持される。また、このように成層燃焼中にノッキングの発生が検出されることで縮小率κが初期値以外の値に設定され、更に次の制御周期において、この縮小率κに応じて再設定された負荷判定値JKLに基づき燃焼形態が設定されると、機関運転状態が変化していない限り、燃焼形態は成層燃焼から均質燃焼に切り替えられるようになる。
【0060】
一方、先のステップ230において、機関負荷KLが負荷判定値JKL以上である旨判断された場合(ステップ230:NO)には、機関運転状態が均質燃焼領域にあると判定され、燃焼形態が均質燃焼に設定される(ステップ245)。
【0061】
そして、更に、上記縮小率κが「0」より大きいか否か、換言すれば成層燃焼領域が初期の状態よりも縮小されているか否かが判断される(ステップ246)。ここで、縮小率κが「0」より大きく、従って成層燃焼領域が縮小されていると判断された場合(ステップ246:YES)には、再び現在のノック学習値AGKNKに基づいて縮小率κが設定され、その設定後の値がメモリ41に記憶保持される(ステップ260)。
【0062】
このように縮小率κは、均質燃焼の実行中であっても、成層燃焼領域が初期の状態よりも縮小されていることを条件に絶えず更新される。従って、例えば使用される燃料が低オクタン価の燃料から高オクタン価の燃料に切り替えられることにより、ノック学習値AGKNKが増大したような場合には、その増大に伴って縮小率κはより小さい値に更新されるようになる。その結果、成層燃焼中にノッキングの発生が検出されて成層燃焼領域が一旦縮小された場合でも、その後、エンジン10がノッキングの発生し難い状態に移行すれば、再び成層燃焼領域が初期の状態に向かって拡大されるようになる。
【0063】
更に、前述したように、ノック学習値AGKNKは、機関回転数NEに応じて設定された各学習領域毎に異なる値を有しているため、機関回転数NEがこれら学習領域を跨って変化すれば、その変化に応じて縮小率κも各学習領域に対応した値に設定されることとなる。
【0064】
このようにして縮小率κが設定された後、或いは成層燃焼領域が縮小されていない(縮小率κ=0)と均質燃焼時において判断された場合(ステップ246:NO)にはいずれも、本ルーチンの処理は一旦終了される。
【0065】
以上説明したように、本実施形態にかかる燃焼制御装置によれば、
(1)エンジン10でのノッキングの発生状況に基づいて燃焼形態の切換態様を成層燃焼での運転が制限されるように制御するようにしているため、ノッキングの発生を抑制する上で点火時期を大きく遅角させる必要がある場合には、燃焼形態を点火時期の遅角可能な範囲が成層燃焼よりも広い均質燃焼に設定することができる。また、こうしたノッキングの発生状況に応じた燃焼形態の切り替えが行われることから、成層燃焼領域を予めノッキングの発生し得ない領域に限定して設定しておく必要もない。従って、成層燃焼領域を大きく制限することなく、ノッキング制御を通じて要求される点火時期の遅角量を好適に確保することができるようになる。
【0066】
(2)また、このようにノッキングの発生状況に応じて燃焼形態を切り替える上で特に、成層燃焼時にノッキングの発生が検出されたことを条件に、燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に変更するようにしているため、ノッキング制御を通じて要求される点火時期の遅角量を更に確実に確保することができるようになる。しかも、成層燃焼時にノッキングの発生が検出されなければ、成層燃焼領域が縮小されることはなく、従って燃焼形態が変更されることもないため、この点で成層燃焼が行われる機会をより多く確保して燃費の悪化を抑えることができるようになる。
【0067】
(3)更に、上記のような成層燃焼から均質燃焼への燃焼形態の変更をノック学習値AGKNKから求められる縮小率κに基づいて成層燃焼領域を縮小することによって行うとともに、この縮小率κをその後も記憶保持するようにしている。その結果、この縮小率κに基づく成層燃焼領域の縮小がその後も継続して行われるようになり、実質的に成層燃焼領域がノッキングの発生状況に適合するように設定し直されることとなる。従って、ノッキングの発生状況に応じて燃焼形態をその都度変更する必要が無くなり、同燃焼形態が頻繁に変更されるのを防止することができるようになる。
【0068】
(4)また、この縮小率κを均質燃焼中に更新されるノック学習値AGKNKに基づいて設定するようにしているため、成層燃焼領域及び均質燃焼領域をノッキングの発生状況に応じてより適切に設定することができるようになり、上記(1)に記載の作用効果を確実に奏することができるようになる。
【0069】
(5)一方、この縮小率κを、成層燃焼領域が初期の状態よりも縮小されていることを条件に、均質燃焼の実行中において絶えず更新するようにしているため、使用燃料の変更等によってノック学習値AGKNKが増大したような場合には、その増大に伴って縮小率κはより小さい値に更新されるようになる。従って、均質燃焼の実行される機会をより多く確保することができ、燃費の悪化を極力抑えることができるようになる。
【0070】
(6)また更に、上記ノック学習値AGKNKを機関回転数NEに応じて区分される複数の学習領域に対し各別に有するようにしているため、機関回転数NEがこれら学習領域を跨って変化すれば、その変化に応じて縮小率κも各学習領域に対応した値に適宜設定されることとなる。従って、ノッキングの発生状況が機関回転数NEに応じて異なっている場合でも、その機関回転数NEによる違いを縮小率κによる各燃焼領域の設定の際に反映させることができ、上記(1)に記載した作用効果を一層確実に奏することができるようになる。
等々、多くの優れた作用効果が奏せられるようになる。
【0071】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0072】
本実施形態では、成層燃焼時においても、均質燃焼時と同様、ノッキング制御を実行するとともに、このノッキング制御を通じてノック学習値AGKNKを算出するようにしている点、並びに、ノッキングの発生の有無ではなく、この成層燃焼時に求められるノック学習値AGKNKが下限値に達したことを条件に、燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に変更するようにしている点が上記第1の実施形態と相違している。
【0073】
以下、この相違点について詳細に説明する。
まず、先の図3及び図4のフローチャートに示されるノッキング制御の処理においては、燃焼形態が均質燃焼であるか否かの判断処理(ステップ100)が省略されている。従って、現在選択されている燃焼形態の如何に関わらず、ステップ110以降の一連の処理が実行されるようになる。
【0074】
次に、ステップ110では、機関負荷KL及び機関回転数NEの他、現在選択されている燃焼形態に基づいて基本点火時期ABSE及び最大遅角値AKMAXが算出される。
【0075】
更に、ステップ120では、メモリ41に記憶保持されているノック学習値AGKNKが読み込まれる。本実施形態においては、成層燃焼時においても均質燃焼時と同様に、機関回転数NEにより区分された複数の学習領域毎にノック学習値AGKNKの更新が行われ、その更新されたノック学習値AGKNKが各学習領域毎にメモリ41に記憶保持されている。従って、このステップ120におけるノック学習値AGKNKの読み込みに際しては、機関回転数NE及び現在選択されている燃焼形態が参照される。
【0076】
尚、以下において、このノック学習値AGKNKを均質燃焼時の値と成層燃焼時の値とで特に区別する必要がある場合には、均質燃焼時のノック学習値AGKNKを「AGKNKS」と、成層燃焼時のノック学習値AGKNKを「AGKNKT」とそれぞれ表記する。
【0077】
このようにして燃焼形態及び各学習領域に対応したノック学習値AGKNKが読み込まれた後、ノック制御値AKCSの大きさに基づいて、ノック学習値AGKNKが更新され(ステップ170又はステップ175)、或いは現状のまま保持された後(ステップ165:NO)、ノック学習値AGKNKが現在の燃焼形態並びに各学習領域毎にメモリ41に記憶保持される(ステップ180)。
【0078】
一方、燃焼形態の切替制御にあっては、先の図5のフローチャートに示すステップ250及びステップ260における処理内容が第1の実施形態と相違している。
【0079】
即ち、図7のフローチャートに示されるように、本実施形態にかかる燃焼形態の切替制御では、燃焼形態を成層燃焼に設定した後(図5のステップ240)、成層燃焼時におけるノック学習値AGKNKTと判定値JAGKNKとの比較が行われる(ステップ252)。
【0080】
前述したように、成層燃焼時においては、点火時期の変更可能範囲が均質燃焼時と比較して制限されており、ノック学習値AGKNKTを小さく設定して点火時期(最終点火時期AOP)を遅角するにしても限界がある。上記判定値JAGKNKは、こうした失火を回避すべくノック学習値AGKNKTを変更する際の下限値として設定されている。即ち、成層燃焼時において、ノック学習値AGKNKがこの判定値JAGKNKを上回る範囲に設定されていれば、失火を招くことなく正常な機関燃焼を継続することができるようになる。尚、電子制御装置40のメモリ41には、この判定値JAGKNKと機関運転状態(例えば機関負荷KL及び機関回転数NE)との関係を示すマップが記憶保持されており、同判定値JAGKNKはこのマップを参照して算出される。
【0081】
成層燃焼時のノック学習値AGKNKTがこの判定値JAGKNKより大きい場合(ステップ252:NO)には、本ルーチンの処理が一旦終了されるのに対し、同ノック学習値AGKNKTが判定値JAGKNK以下である旨判断された場合(ステップ252:YES)には、均質燃焼時のノック学習値AGKNKSがメモリ41から読み込まれ、そのノック学習値AGKNKSに基づいて縮小率κが設定される(ステップ262)。このように縮小率κがノック学習値AGKNKSに基づいて設定される結果、次の制御周期においては、機関運転状態が変化していない限り、燃焼形態が成層燃焼から均質燃焼に変更されるようになる。尚、ノック学習値AGKNKSと縮小率κとの関係は、先の図6に示されるものと同様の傾向を有しており、予め実験等に基づき決定されてメモリ41に記憶保持されている。
【0082】
また、ステップ246において、成層燃焼領域が初期の状態よりも縮小されていることが均質燃焼時に判断される場合も、ステップ262において均質燃焼時のノック学習値AGKNKSに基づく縮小率κの設定が行われ、同縮小率κが現在のノッキングの発生状況に応じて更新される。
【0083】
以上説明したように、本実施形態にかかる燃焼制御では、成層燃焼時でのノック学習値AGKNKTが判定値JAGKNK以下であること、換言すれば、ノッキングの発生頻度が所定頻度以上であることを条件に、成層燃焼領域が縮小されて燃焼形態が成層燃焼から均質燃焼に変更される。従って、ノッキングの発生が検出されるときには、燃焼形態を常に成層燃焼から均質燃焼に変更するようにした第1の実施形態での切替制御とは異なり、ノッキング制御において点火時期の遅角要求が大きくなり、成層燃焼時の燃焼悪化が懸念されるときのみ、燃焼形態が成層燃焼から均質燃焼に変更されるようになる。
【0084】
従って、本実施形態にかかる燃焼制御装置によれば、第1の実施形態において記載した(1)〜(6)の作用効果に加えて、
(7)成層燃焼時のノック学習値AGKNKTが下限値(判定値JAGKNK)に達したことを条件に成層燃焼の縮小設定を実行するようにしているため、燃焼形態として成層燃焼が選択される機会をより多く確保することができ、燃費の悪化を極力抑えることができる。
といった作用効果が奏せられるようになる。
【0085】
以上説明した各実施形態は以下のように構成を変更して実施することもできる。
・上記各実施形態において、例えば、図8に示されるように、燃焼形態として成層燃焼及び均質燃焼の他、成層強度を弱めた燃焼形態(以下、「弱成層燃焼」という)を選択するようにしてもよい。この弱成層燃焼は、例えば、圧縮行程後期に加え吸気行程中においても燃料噴射を実行することにより、点火プラグ21近傍とそれ以外の部分との間における燃料濃度差を減少させることで実現することができる。
【0086】
そして、成層燃焼時にノッキングが発生したこと、或いは成層燃焼時のノック学習値AGKNKTが下限値に達したことを条件に、成層燃焼領域を縮小する際に、この弱成層燃焼の領域も併せて縮小するようにする。また、このように各燃焼領域を縮小する際には、その縮小率を等しく設定する他、これを成層燃焼と弱成層燃焼とで異なる値に設定することもできる。
【0087】
・上記各実施形態では、成層燃焼領域を縮小する際に、その縮小度合を均質燃焼時のノック学習値AGKNKSに基づいて設定するようにしたが、成層燃焼領域が通常時の領域(例えば図2のマップに示す領域)よりも縮小設定されたマップを予め用意しておき、成層燃焼時にノッキングが発生したこと、或いは成層燃焼時のノック学習値AGKNKTが下限値に達したことを条件に、成層燃焼領域を縮小する際には、燃焼形態決定用のマップを通常時のマップからこのマップに切り替えるようにしてもよい。また、この場合には、均質燃焼時のノック学習値AGKNKSが所定値以上になったことを条件に、燃焼形態決定用のマップを再び通常時のマップに戻すようにする。
【0088】
・上記各実施形態では、成層燃焼領域が初期の状態よりも縮小されていることを条件に、縮小率κを均質燃焼の実行中に更新するようにしたが、この更新処理を省略するとともに、この縮小率κをエンジン10の運転が停止されたことを条件に初期値「0」にリセットするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる燃焼制御装置及びエンジンの概略構成図。
【図2】第1の実施形態におけるエンジン10の燃焼形態と機関運転状態との関係を示すマップ。
【図3】ノッキング制御における処理手順を示すフローチャート。
【図4】同じくノッキング制御における処理手順を示すフローチャート。
【図5】第1の実施形態における燃焼形態切替制御の処理手順を示すフローチャート。
【図6】成層燃焼領域の縮小率とノック学習値との関係を示すマップ。
【図7】第2の実施形態における燃焼形態切替制御の処理手順を示すフローチャート。
【図8】別の実施形態におけるエンジン10の燃焼形態と機関運転状態との関係を示すマップ
【符号の説明】
10…エンジン、11…シリンダヘッド、12…シリンダ、13…シリンダブロック、14…ピストン、15…燃焼室、20…インジェクタ、21…点火プラグ、22…点火コイル、23…イグナイタ、30…クランク角センサ、31…カム角センサ、32…アクセルセンサ、33…ノックセンサ、40…電子制御装置、41…メモリ。
Claims (3)
- 機関運転状態に基づいて燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切替設定する設定手段を備えた内燃機関の燃焼制御装置において、
前記内燃機関でのノッキングの発生を検出する検出手段と、
該検出手段により成層燃焼時にノッキングの発生が検出されるときに燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に変更する変更手段とを備え、
前記設定手段は、機関運転状態が所定の運転領域内にあるときに燃焼形態を成層燃焼に設定する一方、前記運転領域外にあるときに燃焼形態を均質燃焼に設定するものであり、
前記変更手段は、前記運転領域を縮小することにより前記燃焼形態の変更を行うとともに、該縮小された運転領域を記憶保持するものであり、前記検出手段の検出結果に基づき均質燃焼時におけるノッキングの発生頻度を監視してこれを記憶保持するとともに、該記憶保持されている発生頻度に基づいて前記運転領域を縮小する際の縮小度合を設定するものである
ことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。 - 機関運転状態に基づいて燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切替設定する設定手段を備えた内燃機関の燃焼制御装置において、
前記内燃機関でのノッキングの発生を検出する検出手段と、
該検出結果に基づいて成層燃焼時におけるノッキングの発生頻度が所定頻度以上であるか否かを判断する判断手段と、
該判断手段により所定頻度以上である旨判断されるときに燃焼形態を成層燃焼から均質燃焼に変更する変更手段とを備え、
前記設定手段は、機関運転状態が所定の運転領域内にあるときに燃焼形態を成層燃焼に設定する一方、前記運転領域外にあるときに燃焼形態を均質燃焼に設定するものであり、
前記変更手段は、前記運転領域を縮小することにより前記燃焼形態の変更を行うとともに、該縮小された運転領域を記憶保持するものであり、前記検出手段の検出結果に基づき均質燃焼時におけるノッキングの発生頻度を監視してこれを記憶保持するとともに、該記憶保持されている発生頻度に基づいて前記運転領域を縮小する際の縮小度合を設定するものである
ことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載した内燃機関の燃焼制御装置において、
前記変更手段は、前記運転領域が縮小されていることを条件に前記記憶保持されている発生頻度に基づいて前記運転領域を拡大し、該拡大された運転領域を記憶保持するものである
ことを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
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