JP2004273153A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層し巻回した電極巻回体20を電池缶の内部に備える。セパレータ23には電解液が含浸されている。電解液は、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネートなどの低粘度溶媒と、ビニルエチレンカーボネートあるいはビニレンカーボネートなどの不飽和化合物の炭酸エステルと、リチウム塩とを含有している。プロピレンカーボネートの含有量は5質量%以上20質量%以下、炭酸エステルの含有量は0.3質量%以上3質量%以下とされている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極および負極と共に電解質を備えた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話あるいはラップトップコンピュータ等の携帯型電子機器が多く登場し、その小型化および軽量化が図られている。それに伴い、これらの電子機器の携帯型電源として、リチウムイオン二次電池が注目され、その特性の向上が望まれている。
【0003】
そこで、最近では、電気化学的に安定で誘電率が高いエチレンカーボネートあるいはプロピレンカーボネート等を主溶媒として、これにジメチルカーボネート等のイオン伝導性に優れた低粘度溶媒を混合した電解質を用いることにより、特性を向上させたものが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−172162号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この電解質を用いた電池では、初期充電中に容量が劣化したり、高負荷の充放電を繰り返すと容量が劣化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、容量およびサイクル特性を向上させることができる電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、電解質は、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、150℃以下の沸点を有する低粘度溶媒と、不飽和化合物の炭酸エステルと、リチウム塩とを含有し、かつ、プロピレンカーボネートの含有量が、5質量%以上20質量%以下であり、炭酸エステルの含有量が、0.3質量%以上3質量%以下のものである。
【0008】
本発明による電池では、電解質が、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、低粘度溶媒と、不飽和化合物の炭酸エステルとを含有し、プロピレンカーボネートおよび不飽和化合物の炭酸エステルの含有量が所定の範囲内とされているので、容量およびサイクル特性が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、電極巻回体20を有している。電池缶11は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、電極巻回体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12,13がそれぞれ配置されている。
【0011】
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15Aが反転して電池蓋14と電極巻回体20との電気的接続を切断するようになっている。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものであり、例えば、チタン酸バリウム系半導体セラミックスにより構成されている。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
【0012】
図2は、図1に示した電極巻回体20のII−II線に沿った断面構成を表すものである。電極巻回体20は、帯状の正極21と帯状の負極22とをセパレータ23を介して積層し、巻回したものであり、中心にはセンターピン24が挿入されている。なお、図2においては、セパレータ23を省略している。電極巻回体20の正極21にはアルミニウム(Al)などよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
【0013】
正極21は、例えば、集電体21Aと、集電体21Aの両面あるいは片面に設けられた活物質層21Bとを有している。集電体21Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
【0014】
活物質層21Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料(以下、リチウムを吸蔵・離脱可能な正極材料という。)のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵・離脱可能な正極材料としては、例えば、リチウムと遷移金属とを含むリチウム複合酸化物が好ましい。リチウム複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、高容量化を図ることができるからである。リチウム複合酸化物としては、遷移金属として、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn),鉄(Fe),バナジウム(V)およびチタン(Ti)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、例えば、LiCoO2 ,LiNiO2 ,LiMn2 O4 ,LiNi0.5 Co0.5 O2 あるいはLiNi0.5 Co0.3 Mn0.2 O2 が挙げられる。また、この他にもLiFePO4 あるいはLiFe0.5 Mn0.5 PO4 などのリン酸化合物も挙げられる。
【0015】
負極22は、正極21と同様に、例えば、集電体22Aと、集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた活物質層22Bとを有している。集電体22Aは、例えば、銅(Cu),ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
【0016】
活物質層22Bは、例えば、負極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料(以下、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料という。)のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて正極21と同様の結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、炭素材料,金属酸化物あるいは高分子材料などが挙げられる。炭素材料としては、人造黒鉛,天然黒鉛,易黒鉛化性炭素あるいは難黒鉛化性炭素などが挙げられる。また、金属酸化物としては、酸化鉄,酸化ルテニウム,酸化モリブデンあるいは酸化タングステンなどが挙げられ、高分子材料としては、ポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0017】
リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、また、リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体,合金または化合物が挙げられる。なお、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
【0018】
リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ヒ素(As),アルミニウム,ガリウム(Ga),インジウム(In),ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),スズ(Sn),鉛(Pb),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),銀(Ag),亜鉛(Zn),ハフニウム(Hf),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y),パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式Mas Mbt Liu 、あるいは化学式Map Mcq Mdr で表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
【0019】
中でも、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0020】
このような合金あるいは化合物について具体的に例を挙げれば、LiAl,AlSb,CuMgSb,SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Mg2 Sn,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 N4 ,Si2 N2 O,SiOv (0<v≦2),SnOw (0<w≦2),SnSiO3 ,LiSiOあるいはLiSnOなどがある。
【0021】
この二次電池では、また、正極21は、活物質層21Bが設けられていない露出領域21Cと、活物質層21Bが集電体21Aの外面側のみに設けられた外面活物質領域21Dと、活物質層21Bが集電体21Aの両面に設けられた両面活物質領域21Eとを有しており、負極22は、活物質層22Bが設けられていない露出領域22Cと、活物質層22Bが集電体22Aの外面側のみに設けられた外面活物質領域22Dと、活物質層22Bが集電体22Aの両面に設けられた両面活物質領域22Eとを有している。正極21の露出領域21Cは、巻回中心側に2周以上、巻回外周側に1周以上設けられており、負極22の露出領域22Cは、巻回中心側および巻回外周側のそれぞれに1周以上設けられている。放熱性を向上させると共に、電池の外部から圧力が加わった場合に、電池の巻回中心側と巻回外周側とで選択的に短絡を生じさせて熱拡散を促進し、安全性を向上させるためである。特に、巻回中心側に露出領域21Cを露出領域22Cよりも1周以上設けるのは、正極21の内側に負極22があると正極リード25の溶接痕がセパレータ23を突き破り短絡してしまう可能性があるからである。また、外面活物質領域21Dは巻回中心側に1周近く設けられ、外面活物質領域22Dは巻回中心側に設けられている。
【0022】
なお、図3に示したように、正極21は、露出領域21Cを巻回中心側に1周以上有していれば2周以下でもよく、負極22は、露出領域22Cを巻回中心側に1周以上有している必要はない。また、正極21は、集電体21Aの内面側のみに活物質層21Bが設けられた内面活物質領域21Fを巻回中心側に有し、負極22の巻回外周側に設けられた露出領域22Cと対向するように配置されていてもよい。この場合も、放熱性が十分に向上し安全性を確保することができるからである。なお、図3においてはセパレータ23を省略している。
【0023】
セパレータ23は、例えばポリプロピレンあるいはポリエチレンなどのポリオレフィン系の材料よりなる多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0024】
このセパレータ23には液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩であるリチウム塩とを含んで構成されている。溶媒は、電解質塩を解離させるものであり、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとを含み、更にこれらに加えて、大気圧において150℃以下の沸点を有する低粘度溶媒を含んでいる。プロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートは電気化学的に安定で誘電率が高いと共に、共存することによって相互作用を及ぼし特性を向上させることができ、特にプロピレンカーボネートは融点が大気圧において約−49℃と低いため低温特性を向上させることができるが、これらだけでは低温でのイオン伝導性が低下してしまうからである。プロピレンカーボネートの電解液における含有量は、5質量%以上20質量%以下とされている。5質量%未満では、低温特性が低下してしまい、20質量%よりも多いと、後述の不飽和化合物の炭酸エステルにより形成される被膜では、初期充電中の負極22におけるプロピレンカーボネートの分解を全て抑制することができず、容量が低下してしまうからである。
【0025】
低粘度溶媒としては、エチルメチルカーボネート,ジメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートが好ましい。
【0026】
なお、溶媒は、プロピレンカーボネート,エチレンカーボネートおよび低粘度溶媒のみを含んでいてもよいが、目的に応じた特性を得るために他の溶媒を含んでいてもよい。
【0027】
他の溶媒としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステルあるいはプロピオン酸エステルなどが挙げられる。
【0028】
リチウム塩としては、LiClO4 ,LiAsF6 ,LiPF6 ,LiBF4 ,LiB(C6 H5 )4 ,LiCH3 SO3 ,LiCF3 SO3 ,LiClあるいはLiBrなどが挙げられる。リチウム塩には、いずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
この電解液は、また、添加剤として、不飽和化合物の炭酸エステルを含んでおり、その電解液における含有量は0.3質量%以上3質量%以下とされている。不飽和化合物の炭酸エステルは、初回充電時に負極22の表面に良好な被膜を形成し、電解液の分解反応を抑制するが、含有量が少ないと、この機能が十分に働かず、逆に含有量が多いと、被膜が厚くなり、電池特性を劣化させる虞があるからである。また、不飽和化合物の炭酸エステルは、上述の被膜を形成することにより、集電体22Aが電解液に溶解することを抑制する機能も有している。よって、本実施の形態では、上述したように、安全性を向上させるために、露出領域21C,22Cを設けるようにしているが、高負荷の放電を行っても、集電体22Aの電解液への溶解が抑制されるようになっている。
【0030】
不飽和化合物の炭酸エステルとしては、ビニルエチレンカーボネートあるいはビニレンカーボネートが好ましい。添加剤には、いずれか1種を用いてもよいが2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
なお、不飽和化合物の炭酸エステルは溶媒として機能することもあるが、本明細書では上述した機能に注目し、添加剤として説明している。もちろん、添加されたものの少なくとも一部が上述したような反応に寄与すればよく、反応に寄与しないものは溶媒として機能してもよい。
【0032】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0033】
まず、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な正極活材料と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。次いで、この正極合剤スラリーを集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、圧縮成型して活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
【0034】
また、例えば、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。次いで、この負極合剤スラリーを集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させたのち、圧縮成型して活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
【0035】
続いて、集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して積層して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12,13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14,安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が完成する。
【0036】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極21に吸蔵される。ここでは、電解液が、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートと低粘度溶媒と不飽和化合物の炭酸エステルとを含み、かつ、プロピレンカーボネートおよび不飽和化合物の炭酸エステルの含有量が所定範囲内とされ、化学的安定性が向上されているので、優れた容量,サイクル特性および低温特性が得られる。
【0037】
このように本実施の形態では、電解液が、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、低粘度溶媒と、不飽和化合物の炭酸エステルとを含有するようにすると共に、プロピレンカーボネートの含有量を5質量%以上20質量%以下とし、炭酸エステルの含有量を0.3質量%以上3質量%以下とするようにしたので、容量,サイクル特性および低温特性を向上させることができる。
【0038】
また、不飽和化合物の炭酸エステルにより、負極22に被膜が形成されるので、露出領域21C,22Cを1周以上設けても、良好な高負荷特性を得ることができる。
【0039】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0040】
(実施例1−1〜1−4)
実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−14として、第1の実施の形態において説明した二次電池を作製した。その際、電極巻回体20の構造は図3に示したものとし、電解液には、プロピレンカーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)と低粘度溶媒であるジメチルカーボネート(DMC)と、電解質塩であるLiPF6 と、不飽和化合物の炭酸エステルであるビニルエチレンカーボネート(VEC)とを混合したものを用いた。プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート,ジメチルカーボネート,LiPF6 およびビニルエチレンカーボネートの電解液における含有量は、実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−14で表1に示したように変化させた。
【0041】
【表1】
【0042】
作製した実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−14の二次電池について、初回容量,サイクル特性および低温特性を調べた。
【0043】
なお、初回容量およびサイクル特性は、充放電を行うことにより求めた。初回容量は、最初の充放電において得られた放電容量であり、サイクル特性としては、初回容量に対する200サイクル目の放電容量の比率として容量維持率を求めた。充放電は、23℃において電池電圧を4.2Vに設定して1Cの定電流で2時間充電を行ったのち、1Cの定電流で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、1Cとは初回容量を1時間で放電しきる電流値をいう。表1に得られた結果を示す。表1において、実施例1−1〜1−4および比較例1−2〜1−14の初回容量の値は、比較例1−1の初回容量を100とした時の相対値である。
【0044】
また、低温放電特性は、次のようにして求めた。まず、23℃において充放電を行い23℃容量を求めた。次いで、再度23℃において充電したのち、0℃において放電を行い0℃容量を求め、23℃容量に対する0℃容量の割合、すなわち(0℃容量/23℃容量)×100として算出した。なお、充放電はサイクル特性を求めたときと同じ条件で行った。得られた結果を表1に示す。
【0045】
表1から分かるように、ビニルエチレンカーボネートの含有量が0質量%の比較例1−1〜1−4および5質量%の比較例1−9〜1−12では、容量維持率が80%以下と低く、特に比較例1−9〜1−12では、(0℃容量/23℃容量)も71%以下と低かった。これに対して、ビニルエチレンカーボネートの含有量が0.3質量%以上3質量%以下の実施例1−1〜1−4では、容量維持率が92%以上、(0℃容量/23℃容量)が88%以上と共に高かった。これは、ビニルエチレンカーボネートの含有量が0.3質量%以上3質量%以下であると、初回充電時、負極22に良好な被膜が形成されるが、3質量%よりも多いと被膜が厚くなると共に、融点の低いビニルエチレンカーボネートが被膜を形成せずに電解液中に残存したためと考えられる。
【0046】
また、プロピレンカーボネートの含有量が30質量%の比較例1−4,1−6,1−8,1−12では、初回容量が95%以下と低かった。これは、ビニルエチレンカーボネートの存在下では、初期充電中に上述の理由により負極22におけるプロピレンカーボネートの分解が抑制されるが、ビニルエチレンカーボネートの含有量が5質量%程度では、プロピレンカーボネートの含有量が20質量%よりも多くなると、負極22におけるプロピレンカーボネートの分解を全て抑制することができないためと考えられる。
【0047】
一方、プロピレンカーボネートを含まない比較例1−1,1−5,1−7,1−9では容量維持率が85%以下、(0℃容量/23℃容量)が80%以下と共に低かった。(0℃容量/23℃容量)の低下の原因に関しては、融点の低いプロピレンカーボネートがないため、溶媒が有効に機能しなかったためと考えられる。
【0048】
更に、エチレンカーボネートを含まない比較例1−13では、初回容量が95%、容量維持率が68%と共に低かった。容量維持率が低いのは、プロピレンカーボネートを含まない比較例1−1,1−5,1−7,1−9においても容量維持率が低かったことから、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートの両者が共存し相互作用を及ぼすことで良好な容量維持率が得られるからと考えられる。
【0049】
加えて、ジメチルカーボネートを含まない比較例1−14でも、初回容量が50%、容量維持率が45%と共に低かった。これは、ジメチルカーボネートを用いないと電解液の粘度が高くなり電解液中のイオンの移動速度が遅くなったためと考えられる。
【0050】
すなわち、電解液が、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとビニルエチレンカーボネートとを含むようにすると共に、プロピレンカーボネートの含有量を5質量%以上20質量以下、ビニルエチレンカーボネートの含有量を0.3質量%以上3質量%以下とするようにすれば、容量,サイクル特性および低温特性のいずれについても向上させることができることが分かった。
【0051】
(実施例2−1,2−2)
ジメチルカーボネートに代えてエチルメチルカーボネート(EMC)またはジエチルカーボネート(DEC)を用いたことを除き、他は実施例1−4と同様にして二次電池を作製した。実施例2−1,2−2の二次電池についても実施例1−4と同様にして、初回容量,サイクル特性および低温特性を調べた。その結果を実施例1−4および比較例1−14の結果と共に表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表2から分かるように、エチルメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートを用いた実施例2−1,2−2によれば、ジメチルカーボネートを用いた実施例1−4と同様に、比較例1−14に比べて、初回容量および容量維持率について高い値が得られた。すなわち、他の低粘度溶媒を用いるようにしても同様の結果を得ることができることが分かった。
【0054】
(実施例3−1,3−2)
実施例3−1,3−2および比較例3−1として、ビニルエチレンカーボネートに代えてビニレンカーボネート(VC)を用いると共に、その含有量を表3に示したように変えたことを除き、他は実施例1−2,1−4と同様にして二次電池を作製した。実施例3−1,3−2および比較例3−1の二次電池についても、実施例1−2,1−4と同様にして、初回容量,サイクル特性および低温特性を調べた。その結果を実施例1−2,1−4および比較例1−11の結果と共に表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
表3から分かるように、ビニレンカーボネートを用いた実施例3−1,3−2および比較例3−1の初回容量,容量維持率および(0℃容量/23℃容量)は、ビニルエチレンカーボネートを用いた実施例1−2,1−4および比較例1−1とそれぞれ同様であった。すなわち、他の不飽和化合物の炭酸エステルを用いるようにしても同様の結果を得ることができることが分かった。
【0057】
(実施例4−1,4−2)
実施例4−1,4−2および比較例4−1,4−2として、電極巻回体20の構造を他の構造としたことを除き、他は実施例1−4および比較例1−3とそれぞれ同様にして二次電池を作製した。なお、電極巻回体20の構造は、実施例4−1および比較例4−1では、実施の形態において説明した図2に示した構造とし、実施例4−2および比較例4−2では図4に示した構造とした。図4に示した電極巻回体20は、集電体21A,22Aの巻回中心側および巻回外周側に、露出領域21C,22Cが1周以上設けられていないことを除き、他は図2に示した構造と同一である。なお、図4においては、図2および図3と同一の構成要素には同一の符号を付している。
【0058】
実施例1−3,4−1,4−2および比較例1−3,4−1,4−2の二次電池について、次のようにして過充電釘刺し試験を行い、内部短絡による発熱を調べた。まず、23℃において1Cの電流値で電池電圧が4.2V,4.3V,4.4V,4.5Vに達するまで充電して過充電状態とした。次いで、この過充電状態の電池の側面の中央部に直径3mmの釘を巻回周面に対して垂直に貫通させたのち、電池の温度が常温に達するまで放置し、その時間を調べた。その際、放置時間が5分以下であれば安全性が高いと判断し、放置時間が5分を超えると安全性が低いと判断した。その結果も表4に示す。表4においては、安全性が高い場合は○で表し、低い場合は×で表した。なお、釘刺し試験は激しい内部短絡を想定して行われるが、通常保護回路等により過充電が防止されるため4.3V程度まで安全性が確保されるように電池が構成されている。
【0059】
また、実施例1−3,4−1,4−2および比較例1−3,4−1,4−2の二次電池について、次のようにして、過放電試験を行った。まず、電池電圧が4.2Vに達するまで充電したのち、この状態で2Ωの抵抗をつけて2日間放置した。次いで、1Cの定電流で電池電圧が2.5Vに達するまで放電し、過放電後の放電容量を求めた。そして、回復率として、サイクル特性を求めたときと同じ条件で充放電を行うことにより得た初回容量に対する過放電後の放電容量の割合を求めた。その結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
表4から分かるように、実施例1−4,4−1および比較例1−3,4−1では、実施例4−2および比較例4−2に比べて釘刺し試験に対する安全性を向上させることができ、特にその効果は実施例4−1および比較例4−1で大きかった。これは、放熱性が向上されていると共に、釘刺しをした際に、電極巻回体20の巻回中心側および巻回外周側において集電体21Aと集電体22Aとが選択的に短絡することで熱拡散が促進されたためと考えられる。
【0062】
しかし、表4から分かるように、比較例1−3,4−1では回復率が劣化してしまった。この回復率の劣化は、過放電時に負極22の電位が上昇し負極の集電体が電解液に溶解するために起こったものと考えられる。これに対して、実施例4−2および比較例4−2で回復率の劣化がないのは、露出領域22Cが殆ど設けられず、集電体22Aが活物質層22Bにより覆われているので、電解液に対する集電体22Aの溶解速度が遅くなったためと考えられる。一方、実施例1−4,4−1では、比較例1−3,4−1と同様に集電体22Aの巻回中心側および巻回外周側に露出領域22Cが設けられているにもかかわらず、回復率は高かった。これは、不飽和化合物の炭酸エステルが、初回充電時、負極22に皮膜を形成し、この被膜が集電体22Aの溶解を防止したためと考えられる。
【0063】
すなわち、電解液が、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、低粘度溶媒と、不飽和化合物の炭酸エステルとを含有するようにすると共に、プロピレンカーボネートの含有量を5質量%以上20質量%以下、炭酸エステルの含有量を0.3質量%以上3質量%以下とするようにすれば、巻回中心側および巻回外周側に露出領域21C,22Cを設けるようにしても、過放電による劣化を抑制することができるので、より安全性を向上させることができることが分かった。
【0064】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、溶媒に液状の電解質である電解液を用いる場合について説明したが、電解液に代えて、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質、イオン伝導性を有する固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
【0065】
なお、ゲル状の電解質には電解液を吸収してゲル化するものであれば種々の高分子化合物を用いることができる。そのような高分子化合物としては、例えば、ポリビニリデンフルオロライドあるいはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、またはポリアクリロニトリルなどが挙げられる。特に、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が望ましい。
【0066】
固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた有機固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。このとき、高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または分子中に共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはヨウ化リチウムなどを用いることができる。
【0067】
また、上記実施の形態および実施例では、電極巻回体20の構造を具体的に例を挙げて説明したが、本発明は他の構造とした場合にも適用することができる。更に、本発明は、巻回構造を有する楕円型あるいは多角形型の二次電池、または正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、いわゆるコイン型,ボタン型あるいはカード型などの二次電池についても適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による電池によれば、電解質が、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、150℃以下の沸点を有する低粘度溶媒と、不飽和化合物の炭酸エステルとを含有するようにすると共に、プロピレンカーボネートの含有量を5質量%以上20質量%以下とし、炭酸エステルの含有量を0.3質量%以上3質量%以下とするようにしたので、容量,サイクル特性および低温特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した電極巻回体のII−II線に沿った構成を表す断面図である。
【図3】図1に示した電極巻回体のII−II線に沿った他の構成を表す断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る電極巻回体の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20…電極巻回体、21…正極、21A,22A…集電体、21B,22B…活物質層、21C,22C…露出領域、21D,22D…外面活物質領域、21E,22E…両面活物質領域、21F…内面活物質領域、22…負極、23…セパレータ、24…センターピン、25…正極リード、26…負極リード
Claims (3)
- 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記電解質は、プロピレンカーボネートと、エチレンカーボネートと、150℃以下の沸点を有する低粘度溶媒と、不飽和化合物の炭酸エステルと、リチウム塩とを含有し、かつ、前記プロピレンカーボネートの含有量が、5質量%以上20質量%以下であり、前記炭酸エステルの含有量が、0.3質量%以上3質量%以下であることを特徴とする電池。 - 前記電解質は、前記炭酸エステルとして、ビニルエチレンカーボネートおよびビニレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記正極および負極は、一対の対向面を有する集電体と、この集電体に設けられた活物質層とを有し、
前記正極と前記負極とは、前記電解質を介して積層し巻回されており、
前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方は、巻回中心側および巻回外周側のうちの少なくとも一方に、前記活物質層が設けられていない露出領域が1周以上設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の電池。
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