JP2004231828A - ポリオキシメチレン樹脂組成物 - Google Patents

ポリオキシメチレン樹脂組成物 Download PDF

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JP2004231828A
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polyoxymethylene
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English (en)
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Hiroo Karasawa
啓夫 唐澤
Toru Nishimura
西村  透
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性が優れるとともに低下の少ないポリオキシメチレン樹脂組成物を得ること。
【解決手段】線状ポリオキシメチレン0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン100〜0.001重量%とから成るポリオキシメチレン100重量部に対してポリ乳酸樹脂1〜2000重量部を含んで成るポリオキシメチレン樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械物性、特に溶融状態で長時間放置した後もクリープ特性に変化の少ないポリオキシメチレン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオキシメチレン樹脂は、エンジニアリングプラスチックスとして電気機器、機械機構部品、自動車部品等に多用されているが、金属部品と異なりクリープ性が問題になることがしばしばあり、利用の大きな制限となっていた。
【0003】
ポリオキシメチレン樹脂のクリープ性を改良する手段として、特許文献1ではポリオキシメチレン樹脂の結晶化特性に着目し、トリオキサンとエチレオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカンから選ばれた少なくとも1種の環状エーテル化合物及びグリシジルフェニルエーテル、スチレンオキシド、グリシジルナフチルエーテルから選ばれた少なくとも1種の化合物を共重合して得られるポリオキシメチレン樹脂が提案されている。
【0004】
上記の技術を核に各種の検討が加えられ、特許文献2〜7等の種々の派生技術が生まれた。これらの技術により比較的高い剛性が達成され、クリープ特性も改善が見られた。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−170526号公報(第1頁)
【0006】
【特許文献2】
特開2000−38429号公報(第1頁)
【0007】
【特許文献3】
特開2000−95829号公報(第1頁)
【0008】
【特許文献4】
特開2000−95830号公報(第1頁)
【0009】
【特許文献5】
特開2001−2885号公報(第1頁)
【0010】
【特許文献6】
特開2002−302589号公報(第1頁)
【0011】
【特許文献7】
特開2002−275227号公報(第1頁)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの技術は共通して、溶融状態で長時間放置した場合などに大きく特性が変化するという共通する問題があった。この問題は、大型の成形品を射出成形する場合や、高い寸法精度で成形品を得る必要がある場合など成型サイクルが長くなる場合に特に大きな問題となる。
【0013】
従って本発明の課題は、特に溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリオキシメチレン樹脂組成物を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定のポリオキシメチレン樹脂をポリ乳酸樹脂と組み合わせることにより、溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリオキシメチレン樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0015】
すなわち、本発明は、線状ポリオキシメチレン0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン100〜0.001重量%とから成るポリオキシメチレン100重量部に対してポリ乳酸樹脂1〜2000重量部を含んで成るポリオキシメチレン樹脂組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンは特に制限はないが、下記化学式(I)で表される少なくとも1種類の環状化合物を(共)重合して得られる(コ)ポリオキシメチレンが好ましく用いられる。
【0017】
【化3】
Figure 2004231828
【0018】
ただし、式中、tは1〜5の自然数、q、sはそれぞれ0〜5の整数、rは2〜10の自然数を表し、q、sは同時に0にならず、少なくとも1種の化合物でqは1〜5の自然数であり、R、Rは、水素原子および炭素数30以下の有機基からなる群から選ばれた、同時に全てが水素原子でない有機基を表す。
【0019】
ここで、−OCHR−単位と−O(CHR)r−単位は分子内でランダムに存在していてもよい。
【0020】
この中でより好ましいのは、下記化学式(I’)で表される少なくとも1種類の環状化合物の(共)重合体である。
【0021】
【化4】
Figure 2004231828
【0022】
ただし、式中、q、sはそれぞれ0〜5の整数で同時に0にならず、少なくとも1種の化合物でqは1〜5の自然数であり、また、少なくとも1種の化合物でsは1〜5の自然数であり、r’とr”はそれぞれ0〜9の整数でありかつ、r’+r”+1が2〜10となり、Rは炭素数30以下の有機基を表す。
【0023】
また、他の好ましい例として、下記化学式(IIA)で表される環状ホルマール、下記化学式(IIB)で表される環状ホルマールおよび下記化学式(IIC)で表される環状エーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種と前記化学式(I’)で表される少なくとも1種の環状化合物とのコポリオキシメチレンが挙げられる。
【0024】
【化5】
Figure 2004231828
【0025】
ただし、式中n’は2〜5の自然数を表す。
【0026】
化学式(IIA)で表される環状ホルマールの例としては、トリオキサン、テトラオキサンなどが挙げられ、トリオキサンが最も好ましく用いられる。
【0027】
【化6】
Figure 2004231828
【0028】
ただし、式中n’’は1〜5の自然数、mは2〜10の自然数、o’’は1〜5の自然数をそれぞれ表す。
【0029】
化学式(IIB)で、−OCH−単位と−O(CH)m−単位は分子内でランダムに存在していてもよい。化学式(IIB)で表される環状ホルマールの例としては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン等が挙げられ、1,3−ジオキソランが最も好ましく用いられる。
【0030】
【化7】
Figure 2004231828
【0031】
ただし、式中mは2〜10の自然数、o’’は1〜5の自然数をそれぞれ表す。
【0032】
化学式(IIC)で表される環状エーテルの例としては、エチレンオキサイド、オキセタンなどが挙げられ、エチレンオキサイドが最も好ましく用いられる。
【0033】
前記化学式(I’)で表される環状化合物の中で更に好ましいのは、下記化学式(IA)(IB)で表されるものである。
【0034】
【化8】
Figure 2004231828
【0035】
ただし、式中q’’は1〜5の自然数、rは2〜10の自然数、s’’は1〜5の自然数、Rは炭素数30以下の有機基をそれぞれ表す。なお、オキシメチレン単位をオキシアルキレン単位は、分子内でランダムに存在していてもよい。
【0036】
【化9】
Figure 2004231828
【0037】
ただし、式中rは2〜10の自然数、s’’は1〜5の自然数、Rは炭素数30以下の有機基をそれぞれ表す。
また、(IA)、(IB)に準じて下記(IC)も好ましく用いられる。
【0038】
【化10】
Figure 2004231828
【0039】
ただし、式中q’は2〜5の自然数、Rは炭素数30以下の有機基を表す。
【0040】
化学式(I)で表される環状化合物としてとりわけ、次の化合物群が好ましく使用できる。
【0041】
【化11】
Figure 2004231828
【0042】
ただし、Rは炭素数30以下の有機基を表す。
【0043】
上記化合物群の中で最も好ましいのは下記化学式(IV)で表される環状化合物である。
【0044】
【化12】
Figure 2004231828
【0045】
ただし、Rは炭素数30以下の有機基を表す。
【0046】
前記のとりわけ好ましく使用できる化合物群に準じて下記の化合物群も好ましく使用できる。
【0047】
【化13】
Figure 2004231828
【0048】
ただし、R、Rは炭素数30以下の有機基を表す。
【0049】
前記の各式中において、R、Rは下記の(IIIA)〜(IIIJ)が好ましい。
【0050】
【化14】
Figure 2004231828
【0051】
ただし、式中、R’は炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、クミルフェニル基より選ばれる基であり、分子中に複数個のR’が存在しうるときR’は各々同一でも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。R’’は炭素数1〜20のアルキレン基、アルキリデン基、アリーレン基から選ばれる基を表す。X、Yはそれぞれ1〜10の自然数を表す。
【0052】
(IIIA)〜(IIIJ)の中で、最も好ましいのは、R’が炭素数5〜10のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、分子中に複数個のR’が存在しうるときR’は同一であり、R’’が炭素数1〜6のアルキレン基、Xが1〜6の自然数、Yが1の場合である。
【0053】
前記化学式(IV)で表される環状化合物の具体例を以下に示す。
【0054】
【化15】
Figure 2004231828
【0055】
上記の中でとりわけ好ましいのは下記のもの
【0056】
【化16】
Figure 2004231828
【0057】
である。
【0058】
共重合の組成は、前記化学式(I)で表される環状化合物をモノマー成分として含み、オキシメチレン単位を主体とする組合せであれば特に限定されるものではないが、共重合体中オキシメチレン単位が85重量%以上を占める場合が好ましく、化学式(I)で表される環状化合物がその他の全モノマーの合計量100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましい。共重合の例としては、(IIA)で表される環状ホルマールを主モノマーとし、(I)で表される環状化合物をコモノマーとする場合、(IIA)で表される環状ホルマールを主モノマーとし、(IIB)で表される環状ホルマールおよび(I)で表される環状化合物をそれぞれコモノマーとする場合、(IIA)で表される環状ホルマールを主モノマーとし、(IIC)で表される環状ホルマールおよび(I)で表される環状環状化合物をそれぞれコモノマーとする場合が特に好ましい。具体的には、トリオキサン、1,3−ジオキソランおよび(I)で表される環状化合物との共重合体、トリオキサン、エチレンオキサイドおよび(I)で表される環状化合物との共重合体が好ましく用いられる。また、共重合体の融点は、160〜173℃のものであることが好ましい。
【0059】
(コ)ポリオキシメチレンの製造方法は必ずしも限定されるものではないが、共重合モノマーをシクロヘキサンのような有機溶媒中に溶解、あるいは懸濁した後、ルイス酸触媒を添加して重合し、不安定末端を分解除去して製造することができる。好ましくは溶媒を全く使用せずにセルフクリーニング型撹拌機を使用して塊状重合し、3級アミン化合物及び/またはフォスフィン化合物で触媒失活させた後、不安定末端を分解除去して製造する方法が挙げられる。ルイス酸触媒としては、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物および酸素または硫黄原子を有する有機化合物と三フッ化ホウ素との配位化合物が好ましく使用される。ルイス酸触媒の添加量は、モノマー100重量部に対して0.001〜0.1重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.005〜0.05重量部の範囲である。また、塊状重合反応温度は60〜120℃の範囲が好ましく、特に60〜90℃の範囲が好ましい。触媒を失活させる化合物とは具体的には、トリエチルアミンやビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン骨格を有する化合物、トリフェニルフォスフィンなどが挙げられる。その添加量は、触媒のホウ素原子1個に対して失活剤化合物中の窒素原子ないし燐原子0.1〜20個に相当する量を添加するのが好ましい。
【0060】
本発明で使用される線状ポリオキシメチレンは、分岐を有せず、網状化していないオキシメチレン単位を主体とする(共)重合体であって、オキシメチレンホモポリマーおよび/または非分岐・非網状化オキシメチレン(コ)ポリマーが好ましく用いられる。
【0061】
オキシメチレンホモポリマーの代表的な製造方法の例としては、高純度のホルムアルデヒドを有機アミン、有機あるいは無機の錫化合物、金属水酸化物のような塩基性重合触媒を含有する有機溶媒中に導入して重合し、重合体を濾別した後、無水酢酸中、酢酸ナトリウムの存在下で加熱してポリマー末端をアセチル化することにより製造する方法などが挙げられる。
【0062】
非分岐・非網状化オキシメチレンコポリマーとしては、下記化学式(II)で表される少なくとも2種類の環状化合物を共重合して得られるコポリオキシメチレンが好ましく用いられる。
【0063】
【化17】
Figure 2004231828
【0064】
ただし、式中、pは1〜5の自然数、n、oはそれぞれ0〜5の整数、mは2〜10の自然数を表し、n、oは同時に0にならず、少なくとも1種の化合物は、nが1〜5の自然数である。
【0065】
ここで、−OCH−単位と−O(CH)m−単位は分子内でランダムに存在していてもよい。
【0066】
より好ましい例としては、下記化学式(IIA)で表される環状ホルマールと下記化学式(IIB)で表される環状ホルマールのコポリオキシメチレン、下記化学式(IIA)で表される環状ホルマールと下記化学式(IIC)で表される環状エーテルのコポリオキシメチレン、下記化学式(IIA)で表される環状ホルマールと下記化学式(IIB)で表される環状ホルマールおよび下記化学式(IIC)で表される環状エーテルのコポリオキシメチレンなどが挙げられ、コポリオキシメチレン中でオキシメチレン単位が85重量%以上を占める場合が好ましい。
【0067】
【化18】
Figure 2004231828
【0068】
ただし、式中n’は2〜5の自然数を表す。
【0069】
化学式(IIA)で表される環状ホルマールの例としては、トリオキサン、テトラオキサンなどが挙げられ、トリオキサンが最も好ましく用いられる。
【0070】
【化19】
Figure 2004231828
【0071】
ただし、式中n’’は1〜5の自然数、mは2〜10の自然数、o’’は1〜5の自然数をそれぞれ表す。
【0072】
化学式(IIB)で、−OCH−単位と−O(CH)m−単位は分子内でランダムに存在していてもよい。化学式(IIB)で表される環状ホルマールの例としては、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン等が挙げられ、1,3−ジオキソランが最も好ましく用いられる。
【0073】
【化20】
Figure 2004231828
【0074】
ただし、式中mは2〜10の自然数、o’’は1〜5の自然数をそれぞれ表す。
【0075】
化学式(IIC)で表される環状エーテルの例としては、エチレンオキサイド、オキセタンなどが挙げられ、エチレンオキサイドが最も好ましく用いられる。
【0076】
共重合の組合せは、オキシメチレン単位を主体とする組合せであれば必ずしも限定されるものではないが、上述のとおり共重合体中でオキシメチレン単位が85重量%以上を占める場合が好ましく、(IIA)で表される環状ホルマールを主モノマーとし、(IIB)で表される環状ホルマールの共重合体および/または(IIC)で表される環状エーテルの共重合体、具体的には、トリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体、トリオキサンとエチレンオキサイドとの共重合体が好ましく用いられる。また、共重合体の融点は、160〜173℃のものであることが好ましい。
【0077】
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸及び/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、およびカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。
【0078】
本発明においては、相溶性の点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分の内、L体またはD体が70%以上含まれることが好ましく、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
【0079】
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法、およびラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
【0080】
ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば、特に制限されるものではないが、重量平均分子量としては、通常1万以上、好ましくは4万以上、さらに8万以上であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
【0081】
ポリ乳酸樹脂の融点については、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
【0082】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば線状ポリオキシメチレンと分岐を有するか網状化したポリオキシメチレン、ポリ乳酸樹脂および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。
【0083】
線状ポリオキシメチレン、分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン、ポリ乳酸樹脂の配合比は、線状ポリオキシメチレン0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン100〜0.001重量%とから成るポリオキシメチレン100重量部に対してポリ乳酸樹脂1〜2000重量部である。このうち、線状ポリオキシメチレンと分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンとの比は、好ましくは、線状ポリオキシメチレン70〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン30〜0.001重量%、より好ましくは、線状ポリオキシメチレン90〜99.95重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン10〜0.05重量%、最も好ましくは、線状ポリオキシメチレン99〜99.95重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン1〜0.05重量%である。また、線状ポリオキシメチレンと分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンとを合わせたポリオキシメチレン100重量部に対して、ポリ乳酸樹脂は1〜2000重量部、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは2〜50重量部である。ポリ乳酸樹脂の配合量が2000重量部を超える場合には、溶融状態で長時間放置した後もクリープ特性に変化が大きくなり好ましくない。
【0084】
なお、線状(コ)ポリオキシメチレン、分岐を有するかまたは網状化した(コ)ポリオキシメチレンを合わせて100重量部に対してポリ乳酸樹脂が100重量部以下の場合には、(コ)ポリオキシメチレンの分解が促進されることにより組成物の耐久性を損なう場合があるので、組成物自体の特性に強い影響を与える可能性の高いホルムアルデヒドの含有率は小さいことが好ましい。(コ)ポリオキシメチレンに対してホルムアルデヒドの含有量は多くとも500ppm未満にとどめておくのが好ましく、250ppm未満とするのがさらに好ましく、100ppm未満とするのが特に好ましい。上記樹脂組成物中のホルムアルデヒド含有量は、樹脂組成物を粉砕して得られる粉体1gを、水100ml中、50℃で6時間撹拌して、ホルムアルデヒドを抽出し、アセチルアセトン法で定量することにより測定することができる。
【0085】
ポリ乳酸樹脂の配合量が、線状ポリオキシメチレンと分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン合わせて100重量部に対して、100重量部を超える場合には、射出成形の後に成形品をアニーリング処理することで優れたクリープ特性を維持したまま一層優れた機械特性を得ることができる。アニーリング処理の条件は、100〜165℃、好ましくは130〜165℃であり、アニーリング時間は、10〜600分、好ましくは60〜600分である。
【0086】
本発明の組成物にさらに用途に応じて適当な添加剤を配合することにより、一層優れたポリオキシメチレン樹脂組成物を得ることができる。具体的には、酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物、ギ酸捕捉剤、耐候(光)安定剤、及び離型(潤滑)剤、補強剤、導電材、顔料0〜5重量部などを含有してもよい。
【0087】
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N、N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等がある。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。(コ)ポリオキシメチレンコポリマー100重量部に対して、0.01〜1重量部配合することが好ましい。
【0088】
ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体、または化合物の例としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12等のポリアミド樹脂、およびこれらの共重合物、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12等が挙げられる。またアクリルアミドおよびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体やアミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物を挙げることができる。アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体の例としては、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。また、アミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物の例としては、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン、N,N,N’、N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミンシアヌレート、トリグアナミンシアヌレート、アンメリン、アセトグアナミン等のトリアジン誘導体が挙げられる。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合せて用いても良い。(コ)ポリオキシメチレン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部配合される。
【0089】
ギ酸捕捉剤としては、上記のアミノ置換トリアジンやアミノ置換トリアジンとホルムアルデヒドとの共重縮合物、例えばメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物等が挙げられる。他のギ酸捕捉剤としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩、またはアルコキシドが挙げられる。例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、もしくはバリウム等の水酸化物、上記金属の炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸塩、カルボン酸塩である。カルボン酸としては、10〜36個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸は水酸基で置換されていてもよい。脂肪族カルボン酸としては、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、10−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、10−ヒドキシ−8−オクタデカン酸、dl−エリスロ−9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸等が挙げられる。中でも、炭素数12〜22の脂肪酸由来のジ脂肪酸カルシウムが好ましく、具体的な例としては、ジミリスチン酸カルシウム、ジパルミチン酸カルシウム、ジヘプタデシル酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム、(ミリスチン酸−パルミチン酸)カルシウム、(ミリスチン酸−ステアリン酸)カルシウム、(パルミチン酸−ステアリン酸)カルシウム等が挙げられ、特に好ましくは、ジパルミチン酸カルシウム、ジヘプタデシル酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウムである。本発明においては、これらを(コ)ポリオキシメチレン100重量部に対して、0.01〜0.2重量部配合することが特に有効である。
【0090】
耐候(光)安定剤は、ベンゾトリアゾール系物質、蓚酸アニリド系物質、およびヒンダードアミン系物質からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上が好ましい。
【0091】
ベンゾトリアゾール系物質の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。蓚酸アリニド系物質の例としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0092】
ヒンダードアミン系物質の例としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
中でも好ましい耐候剤は、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル]ベンゾトリアゾール、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。これらの耐候(光)安定剤は、(コ)ポリオキシメチレン100重量部に対して0.1〜1重量部配合されることが好ましい。
【0093】
離型剤としては、アルコール、脂肪酸およびそれらのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーン等が挙げられる。中でも、炭素数12〜22の脂肪酸由来のエチレングリコールジ脂肪酸エステルが好ましく、特にエチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジヘプタデシレートが好ましい。本発明においては、これら炭素数12〜22の脂肪酸由来のエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる2種以上を(コ)ポリオキシメチレン100重量部に対して、0.01〜0.9重量部配合することが特に有効である。
【0094】
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物に無機フィラー、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維等に代表される補強剤、導電性カーボンブラック、金属粉末、繊維等に代表される導電材、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂、またはこれらの変性物等に代表される熱可塑性樹脂、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等に代表される熱可塑性エラストマーを配合しても良い。
【0095】
本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物にさらに硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルー等に代表される無機顔料、縮合アゾ系、ペリノン系、フタロシアニン系、モノアゾ系等に代表される有機顔料等を配合することができる。
【0096】
顔料は本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物100重量部に対して0〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の範囲で使用される。5重量部を超えると熱安定性が低下し好ましくない。
【0097】
本発明の樹脂組成物は、機械的性質の低下や射出成形機等のシリンダー内で滞留してもクリープ特性が低下しない特性を持つ組成物であり、射出成形や押出成形、ブロー成形等の方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。射出成形する場合の金型温度としては、結晶化の観点から、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。
【0098】
本発明の樹脂組成物からなる成形品としては、射出成形品、押出成形品、およびブロー成形品等が挙げられる。これらの成形品は、電気・電子部品、建築部材、自動車部品、および日用品等各種用途に利用することができる。
【0099】
【実施例】
参考例1〜6(表1)
100mmφ、L/d=10の2軸連続型混合機(栗本鉄工所製“KRCニーダ”S−4型)に(IIA)化合物であるトリオキサン、(IIB)化合物である1,3−ジオキソラン、表1中に示した(I’)化合物、およびトリオキサンに対して100ppmの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、重合度調節剤のメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。なお、表1中の各成分の括弧内の数値は重量部を表す。重合温度は外部ジャケットに温水を通すことにより、約60℃にコントロールし、回転数は60rpmに設定した。分子量調整剤としてのメチラールは、トリオキサン中に溶解した。また、1,3−ジオキソランと触媒溶液は、ニーダーへ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。重合体は白色微粉末として得られた。
【0100】
この様にして得られた微粉末10kgに対して、27gのビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートを200mlのベンゼンに溶解した溶液を添加して触媒失活を行った後、更にステアリン酸カルシウム10g、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製“イルガノックス(Irganox)”245]50gを添加してヘンシェルミキサー中で10分間撹拌した。得られた混合物を35mmφ、L/d=30のベント付2軸押出機を使用して、シリンダー温度230℃、ベントの真空度5Torrの条件で溶融安定化を行った後、水中に吐出しカッティングを行ってペレット状の分岐を有する(コ)ポリオキシメチレンを得た。
【0101】
参考例7(表2)
(I’)成分の化合物を加えない以外は、参考例1と同様に、トリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体(線状ポリオキシメチレン:L−1)を得た。
【0102】
参考例8(表2)
またL−2として両末端アセチル化されたポリオキシメチレンホモポリマー粉末は、米国特許第2998409号に記された方法で製造した(MI=35g/10分)。
【0103】
表2において括弧内の数値は重量部を表す。
【0104】
なお、参考例1〜8で得られた(コ)ポリオキシメチレンについて、重合度の目安として、ISO1133に従い、ポリマー温度:190℃、荷重:2160グラムの条件でMI(g/10分)を測定し、結果を表1および表2に示した。
【0105】
実施例1〜10、比較例1〜3(表3)
参考例1〜8に示したポリオキシメチレン、D体の含有量が1.2%、PMMA換算の重量平均分子量が16万であるポリL乳酸樹脂、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製“イルガノックス(Irganox)”1010をポリオキシメチレン、ポリL乳酸樹脂の総量100重量部に対して0.1重量部を表3に示した割合でドライブレンドし、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数:150回転に設定した30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製“TEX”30)を用いて溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いてJIS♯4ダンベル(厚さ:1mm)を成形した。このときの成形条件として、通常条件:射出時間10秒、冷却時間10秒の場合と、滞留条件:射出時間10秒、冷却時間5分と変えて成形を行った。成形片はそれぞれギアオーブン(タバイ:High Temp Oven PHH−200)に入れ、160℃まで昇温した後、3時間保持して成形歪みを除去した。
【0106】
クリープ試験として、安田精機:クリープテスター6連型で雰囲気温度:40℃、荷重:30MPaの条件で破断までの時間を測定した。結果を合わせて表3に示す。表3から明らかなように、本発明の樹脂組成物は、破断までの時間が滞留時間に拘わらず長く、クリープ特性に優れていることが判る。
【0107】
なお、表3において、括弧内の数値はポリオキシメチレン合計量に対する重量%を、ポリ乳酸樹脂の欄の数値はポリオキシメチレン合計量100重量部に対するポリ乳酸樹脂の重量部を、破断時間は時間単位で表している。
【0108】
【表1】
Figure 2004231828
【0109】
【表2】
Figure 2004231828
【0110】
【表3】
Figure 2004231828
【0111】
【発明の効果】
発明の樹脂組成物は、破断までの時間が滞留時間に拘わらず長く、クリープ特性に優れている。

Claims (3)

  1. 線状ポリオキシメチレン0〜99.999重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン100〜0.001重量%とから成るポリオキシメチレン100重量部に対してポリ乳酸樹脂1〜2000重量部を含んで成るポリオキシメチレン樹脂組成物。
  2. 分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンが、下記化学式(I)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られる(コ)ポリオキシメチレンである請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
    Figure 2004231828
    (ただし、式中、tは1〜5の自然数、q、sはそれぞれ0〜5の整数、rは2〜10の自然数を表し、q、sは同時に0にならず、少なくとも1種の化合物でqは1〜5の自然数であり、R、Rは、水素原子および炭素数30以下の有機基からなる群から選ばれた、同時に全てが水素原子でない有機基を表す。)
  3. 線状ポリオキシメチレンが、下記化学式(II)で表される少なくとも2種類の環状化合物を重合して得られる線状コポリオキシメチレンである請求項1または2記載のポリオキシメチレン樹脂組成物。
    Figure 2004231828
    (ただし、式中、pは1〜5の自然数、n、oはそれぞれ0〜5の整数、mは2〜10の自然数を表し、n、oは同時に0にならず、少なくとも1種の化合物は、nが1〜5の自然数である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018145419A (ja) * 2017-03-08 2018-09-20 三洋化成工業株式会社 環状化合物組成物及びその製造方法

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