JP2008075032A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、成形性、機械特性に優れ、かつ成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量を著しく低減した熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン1〜20重量部、特定のカルボン酸金属塩0.0001〜1重量部を配合することにより、成形性、機械特性に優れ、かつ成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量を著しく低減した熱可塑性樹脂組成物を提供できる。
【選択図】なし
【解決手段】ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン1〜20重量部、特定のカルボン酸金属塩0.0001〜1重量部を配合することにより、成形性、機械特性に優れ、かつ成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量を著しく低減した熱可塑性樹脂組成物を提供できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、成形性、機械特性に優れ、かつ成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量を著しく低減した熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ポリ乳酸樹脂は、高い融点を持ち、また溶融成形可能であることから、実用上優れた生分解性ポリマーとして期待されている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂は結晶化速度が遅いため、結晶化させて成形品として用いるには限界があった。例えばポリ乳酸樹脂を射出成形する場合には、長い成形サイクル時間や成形後に熱処理を必要とすること、および成形時や熱処理時の変形が大きいなどの結晶化速度が遅いことに起因する実用的な問題があった。
特許文献1には、ポリアセタールに生分解性を付与する目的で、脂肪族ポリエステルと微量のホルムアルデヒドを含有させた樹脂組成物が開示され、その中で脂肪族ポリエステルとしの1例として、ポリ乳酸樹脂の使用例が開示されている。しかしながら、本方法で得られた樹脂組成物では射出成形時に変形、破壊が生じ易く、機械的特性の改善効果も未だ充分ではない。
また、特許文献2にはポリ乳酸樹脂にポリアセタール樹脂および安定剤を配合することで、成形性、機械特性に加えて耐熱性及び/または耐候性に優れた樹脂組成物を提案している。しかしながら、本方法ではポリ乳酸に対しポリアセタール樹脂の配合量が多いため、生分解性ポリマーとしての特徴が損なわれていること、成形加工時および実使用時にポリアセタール樹脂に起因したホルムアルデヒドの発生量が多いことから、各特性にバランス良く優れる材料への更なる改善が望まれていた。
特開平5−43772号公報(第2頁)
特開2003−321601号公報(第2頁)
従って本発明の課題は、成形性、機械特性に優れ、かつ成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量を著しく低減した熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、ポリ乳酸樹脂に特定のポリオキシメチレンを下記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩と組み合わせることにより、成形性、機械特性に優れ、かつ成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量を著しく低減した熱可塑性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
(ただし、式中R1、R2は水素原子および炭素数10以下の有機基から選ばれたるいずれかを表し、同一であっても異なっていてもよく、またm、nはそれぞれ0から5までの整数を表し、かつm+nが0から5までの整数である。またXは水酸基、ホルミル基、アミノ基、エステル基およびアルコキシル基から選ばれるいずれかを表す。)
すなわち、本発明は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン1〜20重量部、前記一般式(I)で表されるカルボン酸金属塩0.0001〜1重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物である。
本発明によれば、以下に説明するとおり、成形性、機械特性に優れ、かつ成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量を著しく低減した熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明に用いられるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリマーであるが、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の単量体モノマー単位としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、およびカプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類を挙げることができる。上記他の単量体の共重合量成分は、全単量体に対し、0〜30モル%であることが好ましく、0〜10モル%であることがより好ましい。
本発明においては、相溶性の点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂の総乳酸成分の内、L体が70%以上含まれるかあるいはD体が70%以上含まれることが好ましく、L体が80%以上含まれるかあるいはD体が80%以上含まれることが特に好ましく、L体が90%以上含まれるかあるいはD体が90%以上含まれることが更に好ましい。
ポリ乳酸樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、乳酸からの直接重合法およびラクチドを介する開環重合法などを挙げることができる。
ポリ乳酸樹脂の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば、特に制限されるものではないが、重量平均分子量としては、通常1万以上、好ましくは4万以上、さらに8万以上であることが望ましい。ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミテーションクロマトグラフィーで測定したポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の分子量をいう。
ポリ乳酸樹脂の融点は、特に制限されるものではないが、120℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
本発明で使用する分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンは特に制限ないが、下記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリオキシメチレンが好ましく用いられる。
(ただし式中、R3は炭素数30以下の有機基から選ばれるいずれかを表す。)
また、本発明で使用される前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリオキシメチレンとしては(a1)トリオキサン、あるいは、テトラオキサンのようなホルムアルデヒドの環状オリゴマーに対し、(a2)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン、エピクロルヒドリンなどから選ばれた少なくとも1種の化合物および(a3)前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を共重合してなるポリオキシメチレン共重合体ならびに上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーに対し、上記(a3)環状化合物を共重合してなるポリオキシメチレン共重合体などが挙げられ、これらは1種以上で用いることができる。これらポリオキシメチレン共重合体の製造方法としては、例えば上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、上記(a2)化合物および、上記(a3)環状化合物、あるいは、上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと(a3)環状化合物を三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートのようなルイス酸触媒を添加して重合し、不安定末端を分解除去して製造することができる。好ましくは溶媒を全く使用せずにセルフクリーニング型攪拌機を使用して塊状重合し、失活剤で触媒失活させたのち、不安定末端を分解することにより安定化(安定化工程)して製造する方法が挙げられる。重合触媒の失活剤としては分子量400以上のヒンダードアミン系化合物が挙げられ、特にビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
また、上記安定化工程においては、上記失活剤の他、所望により、分解助剤(脂肪酸(OH基を含んでいてもよい)金属塩(ただし一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩に相当する構造を有するものを除く)、金属水酸化物など)、後述するような酸化防止剤、ホルムアルデヒド捕捉剤などを添加して分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンを製造することもできる。
本発明において触媒の失活に失活剤を用いる場合や、上記成分を添加して安定化工程を行う場合は、これらを含めた混合物を分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールという。
また、前記の各化学式(II)〜(IX)中においてR3で表される炭素数30以下の有機基は下記の(XA)〜(XD)が好ましい。
(ただし、式中、R’は炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基およびクミルフェニル基より選ばれるいずれかであり、それぞれ、アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。R”は炭素数1〜20のアルキレン基、アルキリデン基およびアリーレン基から選ばれるいずれかを表す。X、Yはそれぞれ1〜10の自然数を表す。)
(XA)〜(XD)の中で、最も好ましいのは、R’が炭素数5〜10のアルキル基およびフェニル基から選ばれるいずれかであり、R”が炭素数1〜6のアルキレン基のいずれか、Xが1〜6の自然数、Yが1の場合である。
前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物の中でとりわけ好ましいのは前記化学式(II)で表される環状化合物である。
前記化学式(II)で表される環状化合物の具体例を以下に示す。
前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物の共重合量は(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマー100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.01〜5重量部の範囲である。0.001重量部未満では樹脂組成物の結晶速度、機械的強度や成形性が低下する傾向にある。また、10重量部を超えると樹脂組成物の衝撃強度が低下する傾向があり、また、前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリオキシメチレンの収率が悪く、生産性が低下する傾向にある。
上記共重合成分である(a2)化合物の共重合量は(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマー100重量部に対して0.01〜20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜7重量部である。0.01重量部未満では(a2)を共重合することによる熱安定化時のポリマー収率の向上効果が顕著でなく、20重量部を超えると、機械的強度の優れた樹脂組成物を得ることが困難である。
重合触媒の添加量は(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマー100重量部に対して0.001〜0.1重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.005〜0.05重量部の範囲である。
塊状重合反応温度は60〜120℃の範囲が好ましく、特に60〜90℃の範囲が好ましい。重合後は前記一般式(XI)で表されるヒンダードアミンで触媒失活させた後、不安定末端を分解除去して製造することが好ましい。
本発明で使用する前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩のカルボン酸において、Xは、水酸基、ホルミル基、アミノ基、エステル基およびアルコキシル基から選ばれるいずれかであり、具体例としては水酸基、ホルミル基、アミノ基、メチルエステル基、エチルエステル基、プロピルエステル基、ブチルエステル基、ペンチルエステル基、ヘキシルエステル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシル基、ヘキシルオキシ基が挙げられ、中でも水酸基またはアミノ基であることが好ましい。R1、R2は水素原子および炭素数10以下の有機基から選ばれるいずれかであり、これらは同一であっても異なっていてもよく、具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アミノ基、カルボキシル基が挙げられ、中でも水素原子、メチル基、アミノ基、カルボキシル基であることが好ましい。また、m、nはそれぞれ0〜5までの整数を表すが、0〜2までの整数であることが好ましい。また、m+nは、0〜5までの整数であるが、0〜4であることが好ましい。
前記一般式(I)で表されるカルボン酸金属塩を構成するカルボン酸としては、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂環族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。その中でもヒドロキシカルボン酸が好ましい。
また、脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、更に具体的には、モノヒドロキシカルボン酸、モノヒドロキシジカルボン酸、モノヒドロキシトリカルボン酸、ジヒドロキシモノカルボン酸、ジヒドロキシジカルボン酸、ジヒドロキシトリカルボン酸、トリヒドロキシモノカルボン酸、トリヒドロキシジカルボン酸、トリヒドロキシトリカルボン酸等が挙げられる。具体的な化合物を以下に例示する。
モノヒドロキシモノカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシ−n−酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ−n−吉草酸、2−ヒドロキシイソ吉草酸、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸、α−ヒドロキシ−n−カプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、2−エチル−2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルペンタン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルヘキサン酸、2−ヒドロキシ−2,4−ジメチルペンタン酸、ヒドロアクリル酸、β−ヒドロキシ酪酸、β−ヒドロキシイソ酪酸、β−ヒドロキシ−n−吉草酸、β−ヒドロキシイソ吉草酸、α−エチルヒドロアクリル酸、α−ヒドロキシアクリル酸、ビニルグリコール酸、プロペニルグリコール酸が挙げられる。
モノヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシマロン酸、イソリンゴ酸、1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジカルボン酸、1−ヒドロキシブタン−1,1−ジカルボン酸、1−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1,1−ジカルボン酸、2−ヒドロキシエタン−1,1−ジカルボン酸、2−ヒドロキシ−3−メチルプロパン−1,1−ジカルボン酸、1−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,1−ジカルボン酸、リンゴ酸、α−メチルリンゴ酸、α−ヒドロキシ−α’−メチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α’,α’−ジメチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α’−エチルコハク酸、α−ヒドロキシ−α’−メチル−α−エチルコハク酸、トリメチルリンゴ酸、α−ヒドロキシグルタル酸、β−ヒドロキシグルタル酸、β−ヒドロキシ−β−メチルグルタル酸、β−ヒドロキシ−α,α−ジメチルグルタル酸、α−ヒドロキシスベリン酸、α−ヒドロキシセバシン酸が挙げられる。
モノヒドロキシトリカルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸が挙げられる。
ジヒドロキシモノカルボン酸としては、グリセリン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチルプロピオン酸、3,4−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−(1’−メチルエチル)ブタン酸が挙げられる。
ジヒドロキシジカルボン酸としては、酒石酸、メチル酒石酸、ジメチル酒石酸、α,β−ジヒドロキシグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシ−β−メチルグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシ−β−エチル−β−メチルグルタル酸、α,γ−ジヒドロキシ−α,γ−ジメチルグルタル酸、α,δ−ジヒドロキシアジピン酸、β,γ−ジヒドロキシアジピン酸、2,5−ジヒドロキシ−5−イソプロピル−2−メチルヘキサン二酸、ジヒドロキシフマル酸、ジヒドロキシマレイン酸が挙げられる。
ジヒドロキシトリカルボン酸としては、1,2−ジヒドロキシエタン−1,2,2−トリカルボン酸、1,2−ジヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、1,3−ジヒドロキシプロパン−1,1,3−トリカルボン酸が挙げられる。
トリヒドロキシモノカルボン酸としては、トリヒドロキシ酪酸、トリヒドロキシイソ酪酸、3,4,5−トリヒドロキシヘキサン酸が挙げられる。また、トリヒドロキシジカルボン酸としては、トリヒドロキシグルタル酸が挙げられる。
前記一般式(I)で表されるカルボン酸は、特に好ましくはグリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、β−ヒドロキシイソ酪酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸であり、中でも好ましくは、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を用いることもできる。
また、前記一般式(I)で表されるカルボン酸金属塩を構成するカルボン酸は、アミノ基を有するカルボン酸であることも好ましく、その中でもアミノ酪酸、2−アミノプロピオン酸、3−アミノプロピオン酸または2−アミノ酪酸、グルタミン酸、L−アラニン、β−アラニンが好ましい。
また本発明の樹脂組成物においてカルボン酸の金属塩を構成する金属としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、マンガン、鉄、銀であることが好ましく、アルカリ金属としては、リチウム、ルビジウム、セシウム、カリウム、ナトリウム、が挙げられる。アルカリ土類金属としてはカルシウム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バリウムが挙げられ、その中でもカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムが好ましい。
本発明の樹脂組成物に使用する前記一般式(I)で表されるカルボン酸金属塩は、好ましくは脂肪族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、脂環族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属塩、およびアミノ基を有するカルボン酸の金属塩などが挙げられる。その中でも、特に脂肪族ヒドロキシカルボン酸の金属塩が好ましい。具体的には、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、リンゴ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸水素二カリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、酒石酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、および酒石酸カリウムナトリウムを好適な例として挙げる事ができる。より好ましくは乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、グリコール酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、酒石酸カルシウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、および酒石酸水素カリウムであり、特に乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、酒石酸ナトリウムを使用すると、機械的物性の低下が少なく、色調および熱安定性に優れた熱可塑性樹脂をえることができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば分岐を有するか網状化したポリオキシメチレンの安定化工程で前記カルボン酸金属塩を添加し、得られたポリオキシメチレンとポリ乳酸樹脂および必要に応じてその他添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法、ポリ乳酸樹脂、分岐を有するか網状化したポリオキシメチレン、前記カルボン酸金属塩および必要に応じてその他添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、1軸または2軸押出機で、均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。
ポリ乳酸樹脂、分岐を有するか網状化したポリオキシメチレン、前記カルボン酸金属塩の配合比は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン1〜20重量部、前記一般式(I)で表されるカルボン酸金属塩0.0001〜1重量部である。このうち、分岐を有するか網状化したポリオキシメチレンの配合量は5〜20重量部が好ましく、より好ましくは5〜15重量部である。分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンの配合量が1重量部未満では成形性の改善が不十分であり、20重量部以上では、成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量の低減が不十分である。また、前記カルボン酸金属塩の配合量は0.001〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.1重量部である。前記カルボン酸の金属塩の配合量が0.0001重量部未満では、成形加工時および実使用時のホルムアルデヒド発生量の低減が不十分であり、1重量部以上では機械特性が低下するため好ましくない。
本発明の組成物にさらに、所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、従来ポリアセタール樹脂で用いられる各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物、耐候(光)安定剤、及び離型(潤滑)剤などの添加剤の1種以上を分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン100重量部に対して0.1〜5重量部程度の範囲で含有しても良い。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N、N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等がある。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、本発明で得られる分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン100重量部に対して、0.01〜1重量部配合することが好ましい。
ホルムアルデヒド反応性窒素含有化合物の例としては、メラミンまたはその誘導体、またはヒドラジン化合物または4元共重合体ナイロンである。その例としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン12などのポリアミド樹脂、およびこれらの共重合物、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン6/6−12、ナイロン6/6−6/6−10/12などが挙げられる。またアクリルアミドおよびその誘導体、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体やアミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物を挙げることができる。アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとの共重合体の例としては、アクリルアミドおよびその誘導体と他のビニルモノマーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポリ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。また、アミノ置換基を有するホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物の例としては、グアナミン(2,4−ジアミノ−sym−トリアジン)、メラミン(2,4,6−トリアミノーsym−トリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、N−メチロールメラミン、N,N’,N’’−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジオキシ−6−アミノ−sym−トリアジン、2−オキシ−4,6−ジアミノ−sym−トリアジン、N,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン、サクシノグアナミン、エチレンジメランミン、トリグアナミン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミンシアヌレート、トリグアナミンシアヌレート、アンメリン、アセトグアナミンなどのトリアジン誘導体、カルボニルジヒドラジドなどのモノカルボン酸ジヒドラジド、ジカルボン酸モノヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジカルボン酸ジヒドラジド、ポリカルボン酸ポリヒドラジドなどのヒドラジド化合物が挙げられる。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物の中でも、メラミンおよびその誘導体、ヒドラジド化合物、ナイロン6/6−6/6−10/12四元共重合体が特に好ましい。これらホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体または化合物は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、本発明で得られる分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン100重量部に対して、0.01〜1重量部配合することが好ましい。
耐候(光)安定剤としては、ベンゾトリアゾール系物質、蓚酸アニリド系物質、およびヒンダードアミン系物質からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上が好ましい。
ベンゾトリアゾール系物質の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミルーフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
蓚酸アニリドド系物質の例としては、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドなどが挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ヒンダードアミン系物質の例としては、4−アセトキシー2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルー4−ピペリジル)−マロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セパケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン)−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−({3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物などが挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
離型剤としてはアルコール、脂肪酸およびそれらのエステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物、シリコーンなどが挙げられる。中でも炭素数12〜22の脂肪族由来のエチレングリコールジ脂肪酸エステルが好ましく、特にエチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジヘプタデシレート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジヘプタデシレートが好ましい。本発明においては、これら炭素数12〜22の脂肪酸由来のエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる2種以上を本発明で得られる分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンに対して、0.01〜1重量部配合することが特に有効である。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の熱可塑性樹脂組成物に無機フィラー(ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維などに代表される補強材、導電性カーボンブラック、金属粉末、金属繊維などに代表される導電材など)、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂、またはこれらの変性物などに代表される熱可塑性樹脂、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどに代表される熱可塑性エラストマーを配合しても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物にさらに硫化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、チタンイエロー、コバルトブルーなどに代表される無機顔料、縮合アゾ系、ペリノン系、フタロシアニン系、モノアゾ系などに代表される有機顔料を配合することができる。
顔料は本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の範囲で使用される。5重量部を超えると熱安定性が低下し好ましくない。
以下実施例を挙げて説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[参考例]
100mmφ、L/D=10の2軸連続型混合機(栗本鉄工所製“KRCニーダ”S−4型)にトリオキサン、1,3−ジオキソラン、フェニルグリシジルエーテルおよびトリオキサンに対して100ppmの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、重合度調整剤のメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。なお、表1中の括弧内の数値は重量部を表す。重合温度は外部ジャケットに温水を通すことにより、約60℃にコントロールし、回転数は60rpmに設定した。分子量調整剤としてのメチラールは、トリオキサン中に溶解した。また、1,3−ジオキソランと触媒溶液は、ニーダーへ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。重合体は白色微粉末として得られた。
100mmφ、L/D=10の2軸連続型混合機(栗本鉄工所製“KRCニーダ”S−4型)にトリオキサン、1,3−ジオキソラン、フェニルグリシジルエーテルおよびトリオキサンに対して100ppmの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、重合度調整剤のメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。なお、表1中の括弧内の数値は重量部を表す。重合温度は外部ジャケットに温水を通すことにより、約60℃にコントロールし、回転数は60rpmに設定した。分子量調整剤としてのメチラールは、トリオキサン中に溶解した。また、1,3−ジオキソランと触媒溶液は、ニーダーへ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。重合体は白色微粉末として得られた。
この様にして得られた分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンの微粉末10kg(100重量部)に対して、27g(0.27重量部)のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートを200mlのベンゼンに溶解した溶液を添加して触媒失活を行った後、更にカルボン酸の金属塩などを表1記載の量、1,6−ヘキサンジオールービスー[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート[チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製“イルガノックス245”]50g(0.5重量部)を添加してヘンシェルミキサー中で10分間攪拌した。得られた混合物を35mmφ、L/D=30のベント付2軸押出機を使用して、シリンダー温度230℃、ベントの真空度670Paの条件で溶融安定化を行った後、水中に吐出しカッティングを行ってペレット状の分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレンを得た。この操作を繰り返してポリオキシメチレンを製造し、以下の実施例で使用した。
なお、参考例1〜6で得られたポリオキシメチレンについて、重合度の目安として、ISO1133に従い、ポリマー温度:190℃、荷重:2160gの条件でMI(g/10min)を測定した結果を表1に示す。
参考例、実施例、比較例で用いたポリアセタールコポリマーおよび各添加剤の内容を下記に示す。
[ポリアセタールコポリマー]はKTP株式会社製“コセタールK300”を使用した。
[乳酸ナトリウム]、[クエン酸三カリウム]、[クエン酸カルシウム]、[水酸化カルシウム]はそれぞれ関東化学株式会社製のものを使用した。
[12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム]は大日化学社製“ダイワックスOHC”を使用した。
[実施例1〜14]
D体の含有量が1.2%、PMMA換算の重量平均分子量が16万であるポリ乳酸樹脂および参考例1〜4で製造した分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン、乳酸ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸カルシウムをそれぞれ表2に示した割合でドライブレンドし、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数150rpmに設定した30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製“TEX30”)を用いて溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いて、射出時間10秒、冷却時間10秒で、ASTM1号ダンベル、1辺80mm、厚さ1mmの角板を成形し、各種評価を行った。これらの結果と配合処方を表2に示す。
D体の含有量が1.2%、PMMA換算の重量平均分子量が16万であるポリ乳酸樹脂および参考例1〜4で製造した分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン、乳酸ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸カルシウムをそれぞれ表2に示した割合でドライブレンドし、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数150rpmに設定した30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製“TEX30”)を用いて溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いて、射出時間10秒、冷却時間10秒で、ASTM1号ダンベル、1辺80mm、厚さ1mmの角板を成形し、各種評価を行った。これらの結果と配合処方を表2に示す。
[比較例1〜12]
実施例1〜14で使用したポリ乳酸樹脂、参考例1および参考例5〜6で製造した分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン、ポリアセタールコポリマー、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、水酸化カルシウムをそれぞれ表3に示した割合でドライブレンドし、実施例1〜14と同様の方法で製造、評価を行った。これらの結果と配合処方を表3に示す。
実施例1〜14で使用したポリ乳酸樹脂、参考例1および参考例5〜6で製造した分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン、ポリアセタールコポリマー、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、水酸化カルシウムをそれぞれ表3に示した割合でドライブレンドし、実施例1〜14と同様の方法で製造、評価を行った。これらの結果と配合処方を表3に示す。
各評価項目について以下に示す。
[試験片の変形状態]
1辺80mm、厚さ1mmの角板を成形した際の、試験片の変形状態を目視にて観察した。変形量が小さいと成形性に優れる。
1辺80mm、厚さ1mmの角板を成形した際の、試験片の変形状態を目視にて観察した。変形量が小さいと成形性に優れる。
[衝撃強度]
射出成形して得られたASTM1号ダンベルより長さ65mm、幅12mm、厚さ3.2mmtの試験片を切り出し、ASTM D256に従ってノッチを入れ、ノッチ付きIzod衝撃強さを測定した。値が大きい方が衝撃強度が大きく、機械的物性に優れる。
射出成形して得られたASTM1号ダンベルより長さ65mm、幅12mm、厚さ3.2mmtの試験片を切り出し、ASTM D256に従ってノッチを入れ、ノッチ付きIzod衝撃強さを測定した。値が大きい方が衝撃強度が大きく、機械的物性に優れる。
[ホルムアルデヒド臭気(FA臭気)の評価]
射出成形して得られた80×80×1mmtの角板を室内に1時間放置した後、その成形品が1g、表面積にして16cm2になるよう切り出し精秤する。切り出した1g、表面積にして16cm2の成形品を内容量1,000mlの三角フラスコに入れ密栓した。このサンプル入り三角フラスコを80℃に設定した熱風循環オーブンで5時間熱処理した。冷却後、三角フラスコ内を光明理化学工業社製北川式ホルムアルデヒド検知管を用いてホルムアルデヒド臭気(FA臭気)を測定した。値の小さい方が臭気が少なく、低ホルムアルデヒド臭気放散性に優れる。
射出成形して得られた80×80×1mmtの角板を室内に1時間放置した後、その成形品が1g、表面積にして16cm2になるよう切り出し精秤する。切り出した1g、表面積にして16cm2の成形品を内容量1,000mlの三角フラスコに入れ密栓した。このサンプル入り三角フラスコを80℃に設定した熱風循環オーブンで5時間熱処理した。冷却後、三角フラスコ内を光明理化学工業社製北川式ホルムアルデヒド検知管を用いてホルムアルデヒド臭気(FA臭気)を測定した。値の小さい方が臭気が少なく、低ホルムアルデヒド臭気放散性に優れる。
表2〜3の結果からは次の事項が明らかである。
(1)ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、分岐を有するかまたは網状化したポリオキシメチレン1〜20重量部、カルボン酸金属塩0.0001〜1重量部を添加することで成形性、機械特性、低ホルムアルデヒド性にバランス良く優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。
(2)一方、分岐を有するか網状化したポリオキシメチレンを配合しないもしくは配合量が非常に少ないと成形性、機械特性が悪化する。
(3)また、カルボン酸の金属塩の代わりに12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムや水酸化カルシウムを配合した場合には、ホルムアルデヒド発生量が増大する。
(4)ポリアセタールコポリマーを添加すると成形性が改善されるが、配合量を多量でないと成形性、機械特性の改善が不十分であり、多量に配合するとホルムアルデヒド発生量が増大し、成形性、機械特性、低ホルムアルデヒド性にバランス良くに優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。
Claims (4)
- 前記一般式(I)で表されるカルボン酸金属塩が、式中のXが水酸基またはアミノ基であるカルボン酸金属塩である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記一般式(I)で表されるカルボン酸金属塩が、リンゴ酸、クエン酸および酒石酸から選ばれる少なくとも1種のカルボン酸金属塩である請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂組成物。
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CN115181045A (zh) * | 2022-07-18 | 2022-10-14 | 武汉工程大学 | 一种引发剂、甲醛-环氧化合物共聚物及制备方法 |
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