JP5028758B2 - ポリアセタール樹脂組成物、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明で使用する分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールは特に制限はないが、下記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリアセタールが好ましく用いられる。
また、本発明で使用される前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物を重合して得られるポリアセタールとしては、(a1)トリオキサン、あるいは、テトラオキサンのようなホルムアルデヒドの環状オリゴマーに対し、(a3)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン、エピクロルヒドリンなどから選ばれた少なくとも一種の化合物及び(a4)前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物(ただしプロピレンオキシドは除く)を共重合してなるポリアセタール共重合体ならびに上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーに対し、上記(a4)環状化合物を共重合してなるポリアセタール共重合体などが挙げられ、これらは一種以上で用いることができる。これらポリアセタール共重合体の製造方法としては、例えば、(1)上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、上記(a3)化合物及び、上記(a4)環状化合物、あるいは、(2)上記(a1)ホルムアルデヒドの環状オリゴマーと(a4)環状化合物を三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートのようなルイス酸触媒を添加して重合し、不安定末端を分解除去して製造することができる。好ましくは溶媒を全く使用せずにセルフクリーニング型撹拌機を使用して塊状重合し、失活剤で触媒失活させたのち、不安定末端を分解することにより安定化(安定化工程)して製造する方法が挙げられる。重合触媒の失活剤としては分子量400以上のヒンダードアミン系化合物が挙げられ、中でも前記一般式(XI)で表されるヒンダードアミン系化合物が好ましく、特にビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
(XA)〜(XD)の中で、最も好ましいのは、R’が炭素数5〜10のアルキル基またはフェニル基のいずれかであり、R”が炭素数1〜6のアルキレン基、Xが1〜6の自然数、Yが1の場合である。
100mmφ、L/d=10の2軸連続型混合機(栗本鉄工所製“KRCニーダ”S−4型)にトリオキサン、1,3−ジオキソラン、およびトリオキサンに対して100ppmの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、重合度調節剤のメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。なお、表1中の各成分の括弧内の数値は重量部を表す。重合温度は外部ジャケットに温水を通すことにより、約60℃にコントロールし、回転数は60rpmに設定した。分子量調整剤としてのメチラールは、トリオキサン中に溶解した。また、1,3−ジオキソランと触媒溶液は、ニーダーへ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。重合体は白色微粉末として得られた。
100mmφ、L/d=10の2軸連続型混合機(栗本鉄工所製“KRCニーダ”S−4型)にトリオキサン、表2中に示した重合成分2、表2中に示した前記化学式(II)〜(IX)で表される少なくとも1種類の環状化合物およびトリオキサンに対して100ppmの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、重合度調節剤のメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。なお、表2中の各成分の括弧内の数値は重量部を表す。重合温度は外部ジャケットに温水を通すことにより、約60℃にコントロールし、回転数は60rpmに設定した。分子量調整剤としてのメチラールは、トリオキサン中に溶解した。また、重合成分2と触媒溶液は、ニーダーへ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。重合体は白色微粉末として得られた。
・[クエン酸三カリウム(B−11)]:関東化学株式会社製のものを使用した。
・[12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム(B−16)]:大日化学”ダイワックスOHC”を使用した。
・[水酸化カルシウム(B−17)]、[乳酸(B−18)]、[リンゴ酸(B−19)]、[クエン酸(B−20)]、[酒石酸(B−21)]:それぞれ関東化学株式会社製のものを使用した。
参考例1〜3に示した線状ポリアセタールおよび参考例4〜10に示した分岐を有するかまたは網状化したポリアセタールを表3、4に示した割合でドライブレンドし、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数:150回転に設定した30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製“TEX”30)を用いて溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、シーケンシャル型ICP発光分光分析装置SPS4000(セイコーインスツルメンツ製)を用いて金属成分を定量し、その値から(B)成分由来の金属成分量を求め、(B)成分の含有量を計算した。その値よりポリアセタール樹脂100重量部に対する(B)成分の部数を計算し表3、4に示した。得られた樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いてJIS♯4ダンベル(厚さ:1mm)を成形した。このときの成形条件として、通常条件:射出時間10秒、冷却時間10秒の場合と、滞留条件:射出時間10秒、冷却時間5分と変えて成形を行った。成形片はそれぞれギアオーブン(タバイ:High Temp Oven PHH-200)に入れ、160℃まで昇温した後、3時間保持して成形歪みを除去した。
参考例2に示した線状ポリアセタール、参考例4に示した分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール、および(B)カルボン酸の金属塩等を表5に示した重量割合でドライブレンドし、シリンダー温度210℃、スクリュー回転数:150回転に設定した30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製“TEX”30)を用いて溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をシリンダー温度210℃、金型温度80℃に設定した射出成形機(東芝IS−80)を用いてJIS♯4ダンベル(厚さ:1mm)を成形した。このときの成形条件として、通常条件:射出時間10秒、冷却時間10秒の場合と、滞留条件:射出時間10秒、冷却時間5分と変えて成形を行った。成形片はそれぞれギアオーブン(タバイ:High Temp Oven PHH-200)に入れ、160℃まで昇温した後、3時間保持して成形歪みを除去した。
(1)線状ポリアセタール99〜99.5重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール10〜0.05重量%とから成るポリアセタール樹脂100重量部に対して(B)クエン酸三カリウム0.01〜2重量部を添加することで、溶融状態で長時間放置した後も、機械特性、特にクリープ特性の低下の少ないポリアセタール樹脂組成物が得られる。(実施例1〜9)
(2)一方、(B)クエン酸三カリウムの代わりにB−16、B−17を配合した場合には、溶融状態で長時間放置した後の機械特性、特にクリープ特性の低下が大きくなる。(比較例1〜4)
(3)また(B)クエン酸三カリウムの代わりにB−18〜21を配合した場合には、溶融状態で長時間放置した後だけでなく、通常条件で測定した場合でも機械特性、特にクリープ特性の低下が大きくなる。(比較例5〜8)
(4)また(B)クエン酸三カリウムが0.01重量部より少ない場合、および2重量部より多い場合も、溶融状態で長時間放置した後の機械特性、特にクリープ特性の低下が大きくなる。(比較例9〜11)
Claims (4)
- (A)線状ポリアセタール99〜99.95重量%と分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール1〜0.05重量%とから成るポリアセタール樹脂100重量部に対して(B)クエン酸三カリウム0.01〜2重量部を添加してなるポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形品。
- (A)下記一般式(XI)で表されるヒンダードアミン系化合物で重合触媒を失活した線状ポリアセタール99〜99.95重量%および、同ヒンダードアミン系化合物で重合触媒を失活した分岐を有するかまたは網状化したポリアセタール1〜0.05重量%とから成るポリアセタール100重量部を溶融状態で、(B)クエン酸三カリウム0.01〜2重量部を混合することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法。
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