JP2004143309A - ポリビニルアルコール系樹脂組成物およびそれを用いたインクジェット記録用媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐水性に優れ、変色も少ないポリビニルアルコール系樹脂組成物及び、かかる組成物を用いた時に、転写防止性能、にじみ防止性能に優れ、変色が少ないインクジェット記録用媒体を提供する。
【解決手段】側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)を含有してなるポリビニルアルコール系樹脂組成物及びかかる組成物を支持基材中または支持基材表面に有してなるインクジェット記録用媒体。
【解決手段】側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)を含有してなるポリビニルアルコール系樹脂組成物及びかかる組成物を支持基材中または支持基材表面に有してなるインクジェット記録用媒体。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性に優れ、変色の少ないポリビニルアルコール系樹脂組成物及びかかる組成物を用いた、転写防止性能、にじみ防止性能に優れ、変色の少ないインクジェット記録用媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より変性ポリビニルアルコール系樹脂はその変性基の種類を適宜選択することにより独自の機能を発揮することができるので種々の用途、特に各種成形品、紙加工剤、接着剤、コーティング剤等の用途に多用されているが、ポリビニルアルコール系樹脂の本質的な欠点である耐水性の向上を求められことが多く、耐水性に優れた変性ポリビニルアルコール系樹脂やポリビニルアルコール系組成物が検討されている。
例えば、ビニルアルコール単位と特定のアセタール系単位を有し、重合度が50〜10000のビニルアルコール系重合体が提案されており、かかる重合体と酸と汎用のポリビニルアルコール系樹脂を併用した耐水性のある塗工用組成物も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、紙加工剤用途においても、インク吸収性、耐水性を目的としてアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂とアルデヒド類、アミン類、エポキシ類から選ばれる有機化合物を含有してなる組成物を支持体とするインクジェット記録用のシートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、アニオン性水溶性染料を含有してなる水性インクから形成されるインクジェット画像の耐水堅牢度を向上させるためにアセトアセチル化ポリビニルアルコール系樹脂の架橋性ポリマー及び媒染剤を含む画像記録層を有する支持体を含んでなるインクジェット記録要素が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−231330号公報
【特許文献2】
特開昭63−176173号公報
【特許文献3】
特開2000ー177231号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示の重合体を塗工して紙加工用途に用いる時、充分な耐水性を付与するには長時間の乾燥が必要な場合があり、また、インクジェット記録用媒体等の特に高度の耐水性が必要とされる分野での使用においては必ずしもその効果が充分でなく、印字部が水と接触した時に印字がにじむという問題があった。
また、特許文献2及び3に開示のアセトアセチル化ポリビニルアルコール系樹脂は、グリオキザール等の架橋剤を併用すると耐水性の向上は望めるものの、架橋反応した時や架橋後にポリビニルアルコール系樹脂を熱処理したり、長期間放置すると変色(黄変)するという問題点がある。また、かかるアセトアセチル化ポリビニルアルコール系樹脂をインクジェット記録用媒体に適用した時には上記の印字性能はあるものの、インクジェット記録用媒体の印刷直後にプリンター内の熱で、印字が転写されたりするという問題がある。
昨今の市場からは、耐水性が良好で、熱処理したり、長期間放置しても変色のないポリビニルアルコール系樹脂組成物が求められ、かかるポリビニルアルコール系樹脂組成物の紙加工用途、特にインクジェット記録用媒体においては、長期間放置した時も変色せず、転写防止性能、にじみ防止性能に優れた物性が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と活性水素含有基を有する水溶性樹脂(B)を含有してなるポリビニルアルコール系樹脂組成物が極めて良好な耐水性を示し、しかも変色の問題がないことを見出し、更にかかる組成物を支持基材中または支持基材表面に有してなるインクジェット記録用媒体が上記の課題を解決できることを見いだして本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)〔以下ポリビニルアルコール系樹脂をPVAと略記することがある〕と活性水素含有基を有する水溶性樹脂(B)について、以下順に詳しく説明する。
【0007】
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)は、▲1▼下記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化して得るか、もしくは▲2▼下記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ触媒でケン化した共重合体ケン化物を、さらに酸性条件下で加水分解する方法のいずれかによって得られる。
【0008】
【化4】
(但し、式中R1、R2は水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、R3は炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0009】
【化5】
(但し、式中R4、R5は水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、R6、R7は各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0010】
【化6】
(但し、式中R8、R9は水素またはメチル基、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、好ましくはエチレン基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0011】
まず、▲1▼上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合物をケン化して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を得る方法について説明する。
【0012】
上記一般式(1)で表される不飽和単量体の例としては、アリリデンジアセテート、2−メタリリデンジアセテート、2−フェニルアリリデンジアセテート、クロチリデンジアセテート、シンナミリデンジアセテート、アリリデンジベンゾエート、アリリデンベンゾエートアセテート等が挙げられ、特にアリリデンジアセテートがコストや原料入手のし易さの点で好ましい。また、これらは単独で用いても併用して用いても良い。
【0013】
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、工業的な入手のし易さにより酢酸ビニルが好ましく、これらは単独で用いても併用しても良い。
【0014】
上記の単量体以外に、本発明の目的を阻害しない範囲において、更に他の単量体も共重合に利用することができ、かかる他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン等を挙げることができる。
【0015】
かかる不飽和単量体とビニルエステル系単量体の共重合に当たっては、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の重合方法を採用することができるが、通常は溶液重合法が行われる。
【0016】
重合に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができるが、好適にはメタノールが用いられる。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すれば良い。例えば、溶媒がメタノールの時は、溶媒量/上記各種単量体の合計量(重量比)は0.1〜1程度の範囲となる量で使用される。
【0017】
また、重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレイト、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシ−ジ−カーボネート類、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチラルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類などを挙げることができる。尚、必要に応じて、メルカプタン系化合物等の公知の連鎖移動剤を併用することも可能である。
【0018】
重合は、反応缶に溶媒を仕込んだ後、ビニルエステル系単量体と上記一般式(1)で表される不飽和単量体、重合開始剤を仕込み、35〜200℃程度、好ましくは40〜80℃、更には55〜75℃で重合させる。ビニルエステル系単量体と一般式(1)で表される不飽和単量体は溶媒中に初期に一括仕込みしてもよいが、HANNAの式に従って滴下仕込みすると重合が均一に進行するので好ましい。目的とする平均重合度になるように、ビニルエステル系単量体の重合率を20〜80%とした後、重合禁止剤を仕込んで重合を終了する。その後未反応の単量体を除去して上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体が得られるのである。
【0019】
次いで、かかる共重合体はケン化されるのであるが、かかるケン化も公知の方法で行うことができる。この時使用されるケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルコラートの如きアルカリ触媒、更に硫酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸触媒を挙げることができ、好ましくは水酸化ナトリウムが用いられる。
【0020】
また、かかるケン化時の溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、酢酸メチル、ベンゼン、ヘキサン等が挙げられ、好適にはメタノールが用いられる。また、残存酢酸基のブロック性の調整を目的として、これらの溶媒を任意に組合わせて誘電率をコントロールしながらケン化を行ってもよい。
【0021】
ケン化温度は特に制限はないが、10〜70℃が好ましく、更には30〜50℃、特には35〜45℃の範囲から選ばれる。
上記の如きケン化を行うに当たっては、連続式でもバッチ式でもよいが、粒子径の制御の意味から好ましくはバッチ式が採用される。かかるバッチ式のケン化装置としては、ニーダー、リボンブレンダー等を挙げることができる。
【0022】
次に、▲2▼上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体を共重合して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を製造する方法について説明する。
【0023】
上記一般式(2)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、(メタ)アクロレインジメチルアセタール、(メタ)アクロレインジエチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジメチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジエチルアセタール、3−ブテナールジメチルアセタール、3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、4−ペンテナールジメチルアセタール、4−ペンテナールジエチルアセタール、5−ヘキセナールジメチルアセタール、5−ヘキセナールジエチルアセタール、6−ヘプテナールジメチルアセタール、6−ヘプテナールジエチルアセタール、7−オクテナールジメチルアセタール、7−オクテナールジエチルアセタール等を挙げることができる。
【0024】また、上記一般式(3)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−イソプロペニル−1,3−ジオキソラン、2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、2−(3−ブテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(5−ペンテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(6−ヘキセニル)−1,3−ジオキソラン、2−(1−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
【0025】
上記の単量体を使用して目的のPVAを得る方法として具体的には、イ)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ条件下でケン化して共重合体のケン化物とし、更にそれを酸処理してアルデヒド基を生成させる方法、ロ)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体を酸性条件下で加水分解し、ビニルエステル基のケン化とアルデヒド基の生成とを同時に起こらせしめる方法が挙げられる。
【0026】
(イ)の方法の場合、共重合体の製造方法は上記一般式(1)で表される不飽和単量体を用いた重合の場合と同様に実施される。ケン化はアルカリ条件で行う必要があり、その実施にあたっては、前述のアルカリ触媒を用いて同様に実施すればよい。
酸性処理する方法は、得られた共重合体ケン化物を含む水溶液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸等の有機酸等から選ばれる少なくとも1種類の酸を添加して水溶液を酸性にすればよく、その時のpHは1〜6.5、好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜5.5の範囲に調整される。pHが1より低い場合は塗工する際の作業環境に注意が必要となる等用途での制約が多くなる場合があり、6.5より高いとアルデヒド基への生成が十分に行われない場合がある。pH調製の時の温度は特には制限されないが、通常常温で実施され、必要に応じて加温される。
【0027】
ロ)の方法の場合、共重合体に上記酸の水溶液を添加して、上記イ)の場合と同様にpH調整すればよい。
【0028】
かくして側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)が得られるのであるが、かかる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のケン化度は68モル%以上とすることが好ましく、更には75モル%以上、特には80モル%以上である。かかるケン化度が68モル%未満では、水溶性が乏しくなり塗工液とすることが難しくなることがあり好ましくない。
また、該PVA(A)のJIS K6726に準拠して測定される平均重合度は50〜5000とすることが好ましく、更には100〜4000、特には300〜3000である。かかる平均重合度が50未満では充分な耐水性が得られないことがあり、逆に5000を越えると水溶液の粘度が高くなりすぎて作業性が低下することがあり、コーティング用途等においては基材への均一な塗工が困難となることがあり好ましくない。
【0029】
得られた側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のアルデヒド基の含有量は、0.01〜40モル%が好ましく、更には0.05〜35モル%、特には0.1〜30モル%である。0.01モル%より少ないと充分な耐水性が発現しないことがあり、40モル%を越えると得られるPVA(A)中に不溶解物が発生する傾向があり好ましくない。尚、アルデヒド基の含有量は、高分子化学、第15巻、第156号、第249〜254頁(1958)に記載の方法によって調製したp−ニトロフェニルヒドラジンとアルデヒド基含有ポリビニルアルコール(完全ケン化品)との反応物を、1H−NMR(DMSO−d6,60℃)で測定して、δ=8.0〜8.1ppmのピーク強度の合計値(X)とδ=4.6〜4.0ppmのピーク強度の合計値(Y)から以下の式で算出する。
アルデヒド基の含有量(モル%)=〔0.5X/(0.5X+Y)〕×100
【0030】
また、かかるPVA(A)の1,2−グリコール量としては特に限定されないが、1〜4モル%程度が好ましい。1,2−グリコール量はNMRによって算出することができる。
さらに、かかるPVA(A)の残存酢酸基のブロック性についても特には限定されないが、ブロックキャラクター[η]の値として0.3〜0.8程度が好ましい。
尚、ここで言うブロックキャラクター[η]とは、13C−NMRの測定(内部標準物質として3−(trimethylsilyl)propionic−2,2,3,3,−d4acid,sodiumsaltを使用)により、40〜49ppmの範囲に見られるメチレン炭素部分に基づくピーク[(OH,OH)dyad=46〜49ppmの吸収、(OH,OR)dyad=43.5〜45.5ppmの吸収、(OR,OR)dyad=40〜43ppmの吸収、但し、ORはO−酢酸基を表す]の吸収強度比から求められるもので、より具体的には下記式より算出される値である。
[η]=(OH,OR)/2〔(OH)×(OR)〕
〔但し、(OH,OR)、(OH)、(OR)は、いずれもモル分率で計算するものとする。また、(OH)は13C−NMRの積分比より算出されるケン化度(モル分率)で、(OR)はその時の酢酸基のモル分率を示すものである。〕
【0031】
本発明に用いる活性水素含有基を有する水溶性樹脂(B)とは、例えば、α水素を有するケトンまたは同カルボン酸または同エステル等の官能基、水酸基、アミノ基、メルカプト基等の反応性に富む水素を含有する官能基を有する水溶性樹脂を指す。具体的には、アセト酢酸エステル基含有PVA、ジアセトンアクリルアミド変性PVA、末端メルカプト基変性PVA、アミノ基変性PVAの活性水素含有基を有するPVAやポリビニルアミン、アセト酢酸エステル基含有アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0032】
代表的な水溶性樹脂について以下に説明する。
アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(以下AA化PVAと略記する)は、後述するようにポリビニルアルコールにジケテンを反応させたり、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換したりして、ポリビニルアルコールにアセト酢酸エステル基を導入させたものであり、かかるポリビニルアルコールとしては、一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。
【0033】
かかる単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、ビニレンカーボネート類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0034】
かかるAA化PVAの原料となるポリビニルアルコールは、特に限定されないが、ケン化度は68モル%以上が好ましく、更には75モル%以上、特には80モル%以上である。かかるケン化度が68モル%未満では、水溶性が乏しくなって塗工液とすることが難しいことがあり好ましくない。
また、該ポリビニルアルコールのJIS K6726に準拠して測定される平均重合度も特に限定されないが、100〜5000が好ましく、更には200〜4500、特には300〜4000である。かかる平均重合度が100未満では、充分な耐水性が得られないことがあり、逆に5000を越えると水溶液の粘度が高くなってPVA(A)と混合する時の作業性が低下したり、組成物の基材への均一な塗工が難しくなることがあり好ましくない。
AA化PVAの原料となるポリビニルアルコールの1,2−グリコール量としては特には限定されないが1〜4モル%程度が好ましい。
【0035】
AA化PVAを得るには、上記の如きポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルを共重合させる方法等を挙げることができるが、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVAが得られる点から、ポリビニルアルコール(粉末)とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。ポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法としては、ポリビニルアルコールとガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をポリビニルアルコールに予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下で液状またはガス状のジケテンを噴霧、反応するか、またはポリビニルアルコールに有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応する等の方法が用いられる。
上記の反応を実施する際の反応装置としては、加温可能で撹拌機の付いた装置であれば十分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる。
【0036】
かくして得られたAA化PVAは原料のPVAと同じ平均重合度をもつものであり、またアセト酢酸エステル基の含有量は、0.1〜40モル%が好ましく、更には0.3〜30モル%、特には0.5〜20モル%である。かかる含有量が0.1モル%未満では、充分な耐水性が得られないことがあり、逆に40モル%を越えると塗工液とするときの水溶性が低下したり、得られた塗工液の保存安定性が低下したりすることがあり好ましくない。
【0037】
ジアセトンアクリルアミド変性PVAは、例えば特開平10−330572号公報に示されるように、ジアセトンアクリルアミドと脂肪酸エステルを共重合したものを、従来公知の手法によってケン化することによって得られる。
かかる樹脂の変性量としては0.01〜30モル%が好ましく、更には1〜20モル%、特には3〜15モル%である。かかる変性量が0.01モル%未満では充分な耐水性が発現しないことがあり、30モル%を越えると得られるPVAの中に不溶解物が発生することがあり好ましくない。
また、JIS K6726に準拠して測定される平均重合度としては、100〜4000が好ましく、更には300〜2000、特には300〜1800である。平均重合度が100未満では充分な耐水性が発現しないことがあり、4000を超えると水溶液の粘度が高くなりすぎてPVA(A)と混合する時の作業性が低下することがあり、組成物の基材への均一な塗工が困難となることがあり好ましくない。
ケン化度としては、70モル%以上が好ましく、更には80モル%以上、特には85モル%以上である。ケン化度が70モル%未満では得られるPVAの水溶性が不足することがあり好ましくない。
【0038】
アミノ基変性PVAは、例えば特開平2−11609号公報に示されるように、N−ビニルホルムアミドと脂肪酸エステルをメタノール中で共重合したものを、従来公知の手法によって完全ケン化することによって得られ、変性量としては0.01モル%以上が好ましく、更には1モル%以上、特には5モル%以上である。かかる変性量が0.01モル%未満では充分な耐水性が発現しないことがあり好ましくない。
また、JIS K6726に準拠して測定される平均重合度としては、100〜4000が好ましく、更には300〜2000、特には300〜1500である。平均重合度が100未満では充分な耐水性が発現しないことがあり、4000を超えると水溶液の粘度が高くなりすぎてPVA(A)と混合する時の作業性が低下することがあり、組成物の基材への均一な塗工が困難となることがあり好ましくない。
【0039】
末端メルカプト基含有PVAは、重合時に連鎖移動剤としてメルカプト基を有する化合物を共存させて重合した酢酸ビニル系重合体を公知一般の手法によりケン化することにより得ることができ、かかるメルカプト基を有する化合物としては、例えば、一般式R−CO−SH(R:アルキル基)で表される、チオール酢酸、チオールプロピオン酸、チオール酪酸、チオール吉草酸等を挙げることができる。
【0040】
ポリビニルアミンとしては、例えば、ポリ(N−ビニルホルムアミド)をアルカリで加水分解して製造されるもので、具体的には三菱化学社製「PVAM−0595B」等が挙げられる。
アセト酢酸エステル基含有アクリル系樹脂は、例えばアクリル系単量体と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体のアセチル化物との共重合により製造されたり、水酸基含有アクリル系樹脂にジケテンを反応させることにより製造される。かかる水酸基を有するエチレン性不飽和単量体のアセチル化物の例としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル−γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシスチレン等のアセチル化物が挙げられ、これらは単独で用いても組合わせて用いてもよい。
【0041】
これら(B)の中でも、特にアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂が好適に用いられる。
【0042】
本発明は、上記述べた側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)を含有してなるPVA組成物であり、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)および活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)の配合割合(A/B)は特に限定されないが、1/100〜100/1が好ましく、更には5/100〜100/5、特には10/100〜100/10である。1/100未満や100/1を越えると耐水性の効果がやや低下することがあり好ましくない。
【0043】
本発明の樹脂組成物には、更に耐水化剤(C)を含有させることも好ましく、かかる耐水化剤(C)はポリビニルアルコール系樹脂と架橋反応をするものであればよく、例えばホルムアルデヒド,アセトアルデヒド等のモノアルデヒド化合物、グリオキザール,グルタルアルデヒド,ジアルデヒド澱粉等の多価アルデヒド化合物などのアルデヒド化合物、メタキシレンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスアミノプロピルピペラジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジエチル−6−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン等のアミン系化合物、メチロールメラミン,ジメチロール尿素等のメチロール化合物、ヘキサメチレンテトラミン等のアンモニアとホルムアルデヒドとの反応物、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、チタン、マグネシウム、クロム、ジルコニウム等の金属の水溶性塩、ホウ酸、ホウ砂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価エポキシ化合物、各種イソシアネート系化合物などを挙げることができ、中でもアルデヒド化合物やアミン系化合物が好ましく、とりわけジアルデヒド化合物やメタキシレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミンが水溶性或いは水分散性の点で好ましい。
【0044】
耐水化剤(C)の含有量は特に限定されないが、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01〜30重量部(更には0.1〜20重量部)が好ましく、かかる含有量が0.01重量部未満では耐水性向上効果が小さく、逆に30重量部を越えると得られる樹脂組成物の水溶液の粘度安定性が低下したりして好ましくない。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、上記の如く(A)及び(B)必要に応じて(C)を含有するものであるが、本発明の目的を阻害しない範囲において、消泡剤、離型剤、定着剤、防腐剤、防虫剤、防錆剤、増粘剤等の公知の添加剤や本発明で用いられる樹脂以外の樹脂を添加することもできる。
【0046】
かかる樹脂組成物は、従来公知のPVA組成物の各種用途に適用可能であり、例えば、各種皮膜を形成させるための塗工液、繊維、フィルム、シート、パイプ、分離膜などの各種成形品、インクジェット記録用媒体、感熱記録用媒体などを含む各種印刷紙用の紙加工剤、繊維用糊剤、接着剤、エマルジョン用添加剤、エマルジョン重合用乳化安定剤、懸濁重合用分散剤、顔料分散剤、各種バインダー用途、感光性樹脂、セメントやモルタルの添加剤等などの種々の用途に有効に用いることができ、特に、インクジェット記録用媒体に用いた時、例えば保存中に熱雰囲気にさらされても転写防止性能に優れ、かつ耐水性も強いため水に接触した時のにじみ防止性能に優れ、変色の少ない点で極めて有用であり以下かかる用途について説明する。
【0047】
本発明のインクジェット記録用媒体は、上記の樹脂組成物を支持基材中または支持基材表面に有してなるもので、より具体的には、上記で述べたポリビニルアルコール系樹脂組成物を基材表面に塗工することにより、基材の表面に塗工層を形成させたり、基材に浸透させ基材中に該樹脂組成物を存在させることにより製造される。
【0048】
まず、上記インクジェット記録用媒体に用いられる支持基材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、セロファン、セルロイド等の樹脂のフィルム、シート、上質紙、中質紙、(セミ)グラシン紙、光沢紙、(樹脂)コート紙、合成紙等の紙類を挙げることができ、更には、布、金属、木材等のフィルムやシートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、インクジェット記録用媒体には、必要に応じて非ブロッキング特性や耐汚れ性を制御するための艶消剤(例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ及び架橋ポリメタクリル酸メチルまたはポリスチレン等の高分子ビーズ)、界面活性剤(例えば非イオン性炭化水素もしくはフルオロカーボン界面活性剤、第4級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤)、蛍光色素、pH調整剤、シリコン系、フッ素系、ポリエチレングリコール系等)、染料定着剤、紫外線吸収剤、媒染剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を添加してもよい。
【0049】
本発明では上記で説明したPVA組成物の層を基材の表面に形成させたり、基材中のPVA組成物を浸透させればよい。かかる具体的な手段としては、I)PVA組成物を基材面に塗工したり組成物中に基材を浸漬する方法、II)側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)のそれぞれを含有した水溶液を別々に調製して、これらを積層塗工や積層浸漬する方法が代表的である。
【0050】
上記I)やII)の方法の場合において、耐水化剤(C)を併用する場合は、塗工液のpHを6以下にすることが好ましく、さらには2〜5に調整する。pHが6を超えると塗工液の耐水性が充分に発揮できないことがあり好ましくない。pHを6以下にするには、塗工液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や酢酸、蟻酸等の有機酸等で調整すればよい。
【0051】
また、上記以外に、III)上記で述べた側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)製造時の中間体である共重合体ケン化物と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)と混合して塗工液として、該塗工液を塗工前に酸処理してから塗工したり、塗工液を支持基材に塗工後に酸処理する方法が挙げられる。
【0052】
かかる方法において調整した塗工液を塗工前に酸処理するには、塗工液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や酢酸、蟻酸等の有機酸等の酸を添加して塗工液を酸性にすればよく、その時のpHは1〜6.5、好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜5.5の範囲に調整される。pHが1より低い場合は塗工する際の作業環境に注意が必要となる場合があり、6.5より高いとアルデヒド基への再生が十分に行われない場合がある。塗工時の温度は特には制限されないが、通常常温で実施され、必要に応じて加温される。
また、塗工液を基材に塗工してから酸処理するにはpHが1〜6.5の酸水溶液を塗工液の重量の0.01〜10倍量程度スプレー塗工したり、pH1〜6.5の酸水溶液中へ基材を浸漬する等の方法をとればよい。いずれの場合も塗工層の厚みが変化したり、基材が変質しない程度に短時間で処理するのが好ましい。
【0053】
塗工にあたっては、サイズプレスコート、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、ゲートロールコーター法等の公知の任意の方法が採用されるが、塗工時の塗工液は、本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物の固形分が1〜70重量%となるように調整することが好ましく、更には2〜60重量%、特に5〜50重量%とすることが好ましい。かかる固形分が、1重量%未満では、付着量が少ないものとなり、逆に70重量%を越えると塗工液の粘度が高くなるため、塗工が困難になることがあり好ましくない。基材に塗工されるPVA組成物の塗布量は、固形分換算で0.1〜40g/m2、特に好ましくは0.5〜20g/m2程度になるようにするのが適当である。塗工後は風乾あるいは加熱乾燥を行うことによって目的とする塗工層が形成される。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を示す。
〔側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A−1)〜(A−9)とその中間体である共重合体ケン化物1及び2の製造〕
なお、上記樹脂及び共重合体ケン化物は、以下単に(A−1)〜(A−9)及び中間重合体1及び2と略記する。
【0055】
(A−1)
パドル翼を付けた3リットルのジャケット付反応缶に、酢酸ビニル1000g、アリリデンジアセテート45g及びメタノール550gを仕込み、加熱還流させた。別途、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.81gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み、重合を開始したと同時に、50%アリリデンジアセテートのメタノール溶液の仕込みを開始した。なお、アリリデンジアセテートは、酢酸ビニルと均一に重合するようにHANNAの式〔アリリデンジアセテートの反応性比(r1)=1.34、酢酸ビニルの反応性比(r2)=0.48〕に従って仕込み、酢酸ビニルの重合率が80%に到達するまでに仕込まれたアリリデンジアセテートの量は37gであった。重合率が80%に達した時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール100gに溶解したものを反応缶に仕込み、内温を30℃以下にして重合を停止し共重合体のペーストを得た。減圧蒸留により未反応のモノマーを除去した後、メタノールで希釈して共重合体のペースト2165g(樹脂分40%)を得た。
2リットルのジャケット付のケン化用反応缶に、上記で得られた共重合体ペーストを樹脂分30%となるようにメタノールで希釈して400g仕込み、ジャケットを加熱してペースト温度を35℃とした。ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液67g(共重合体の酢酸ビニル単位に対して55ミリモル%)仕込み、ケン化を開始した。ケン化触媒添加終了後ケン化物が析出し始めて、ペーストが増粘し、ケン化母液が発生し、スラリー状態となった後、酢酸の10%メタノール溶液を所定量添加してスラリーを中和して、(A−1)のスラリーを得た。得られた(A−1)を1H−NMR(300MHz、DMSO−d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は97.1モル%であった。また、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0056】
(A−2)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を91.2g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を73g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を128g(酢酸ビニル単位に対して105ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−2)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は9.8モル%、平均重合度は980であった。
【0057】
(A−3)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を8.8g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を7.6g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を18.3g(酢酸ビニル単位に対して15ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−3)を製造した。ケン化度は97.3モル%、アルデヒド基含有量は1.0モル%、平均重合度は1010であった。
【0058】
(A−4)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液70.7g(酢酸ビニル単位に対して58ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−4)を製造した。ケン化度は99.2モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0059】
(A−5)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液64.5g(酢酸ビニル単位に対して53ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−5)を製造した。ケン化度は93.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0060】
(A−6)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液63.3g(酢酸ビニル単位に対して52ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−6)を製造した。ケン化度は83.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0061】
(A−7)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むメタノールの量550gを50gに変更した以外は同様にして反応を開始し、酢酸ビニルの重合率が20%に到達するまでアリリデンジアセテートを9.1g仕込み重合率が20%になった時点で実施例1と同様に重合禁止剤を仕込んで重合を停止した後、同様に操作して(A−7)を製造した。ケン化度は97.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は2500であった。
【0062】
(A−8)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを238gに、メタノール550gを150gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを170g仕込んだ以外は同様に行って(A−8)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は25.1モル%、平均重合度は980であった。
【0063】
(A−9)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを140gに、メタノール550gを350gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを107g仕込んだ以外は同様に行って(A−9)を製造した。ケン化度は97.1モル%、アルデヒド基含有量は14.8モル%、平均重合度は1030であった。
【0064】
〔重合体ケン化物1〕
パドル翼の付いた3リットルのジャケット付反応缶に、酢酸ビニル1000g、アクロレインジメチルアセタール59.3g(酢酸ビニルに対して5モル%)、及びメタノール550gを仕込み、加熱、還流させた。別途、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.81gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み、重合を開始した。4時間後、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール100gに溶解したものを反応缶に仕込み、内温を30℃以下にして重合を停止して共重合体のペーストを得た。メタノールを添加しながら減圧蒸留により未反応のモノマーを除去して未反応の酢酸ビニルの残存しない共重合体のペーストを得た。かかるペーストのケン化は、ケン化触媒として水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液6.1g(酢酸ビニル単位に対して5ミリモル%)を用いた以外は、上記の(A−1)の製造と同様に行った。ケン化度は99.1モル%であった。
【0065】
〔重合体ケン化物2〕
酢酸ビニルと共重合させるモノマーとして、2−ビニル−1,3−ジオキソラン58.1gを使用した以外は、上記の中間重合体1の製造と同様に行った。ケン度は99.1モル%であった。
【0066】
〔活性水素含有官能基を有するPVA(B−1)〜(B−3)の製造〕
なお、上記樹脂は、以下単に(B−1)〜(B−3)と略記する。
(B−1)
平均重合度1200、ケン化度99.2モル%のポリビニルアルコール粉末200部を、撹拌器のついた反応器に仕込み、これに酢酸20部を入れて膨潤させた後、撹拌しながら60℃に昇温後ジケテン40部を4時間かけて滴下し、更に30分反応させてアセト酢酸エステル基含有量5モル%、ケン化度99.2モル%、平均重合度1200のAA化PVAを得た。
【0067】
(B−2)
メタノール中で酢酸ビニル/ジアセトンアクリルアミドをモル比95/5で共重合を行った後、上記(A−1)でのケン化方法に準じてケン化をおこない、ジアセトンアクリルアミド変性量5.0モル%、平均重合度1700のケン化度98.5モル%ジアセトンアクリルアミド変性PVAを得た。
【0068】
(B−3)
チオ酢酸を連鎖移動剤とし、重合度550を目標にしてチオ酢酸を所定量仕込み、次いで重合開始後その消費速度にあわせてチオ酢酸を連続滴下しながらメタノール中で酢酸ビニルを重合した後、上記(A−1)でのケン化方法に準じてケン化を行い、メルカプト基含有量5×10−5〔eq/g−PVA〕、ケン化度99モル%、平均重合度560の末端メルカプト基含有PVAを得た。
【0069】
上記以外に(B−4)として、ポリビニルアミン〔商品名:PVAM−0595B(三菱化学社製)〕を準備した。
【0070】
実施例1
(A−1)50部、(B−1)50部、グリオキザール(C)1.25部を含む固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、以下の項目を評価し、表1にその結果を示した。
【0071】
(耐水性)
上記で得られた水溶液に塩酸を加えてpH3に調節し、この溶液をポリエチレンテレフタレート製の枠上に流し、室温で2日間乾燥した後、110℃の熱風乾燥機中で5分間乾燥して、厚み85μmのフィルムを製造した。
【0072】
得られたフィルムから5×5cmのサイズの試験片を切り取り、95℃の熱水中で連続的な軽い振とうを行いながら1時間浸漬させた後試験片を引き上げ、110℃で3時間乾燥して得られた試験片の重量(X2)と、浸漬前の試験片の乾燥重量(X1)から以下の式で溶出率(%)を算出した。
溶出率(%)=〔(X1−X2)/X1〕×100
【0073】
(変色)
上記で得られた厚み85μmの試験片をさらに110℃で3時間熱処理した時のフィルムの着色度合いを観察して、以下の様に評価した。
○・・・変色なし
×・・・やや変色が見られる(黄色)
【0074】
実施例2
実施例1において、グリオキザール(C)を使用しなかった以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0075】
実施例3
実施例1において(A−1)に替えて(A−2)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0076】
実施例4
実施例1において(A−1)に替えて(A−3)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0077】
実施例5
実施例1において(A−1)に替えて(A−4)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0078】
実施例6
実施例1において(A−1)に替えて(A−5)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0079】
実施例7
実施例1において(A−1)に替えて(A−6)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0080】
実施例8
実施例1において(A−1)に替えて(A−7)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0081】
実施例9
実施例1において(A−1)に替えて(A−8)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0082】
実施例10
実施例1において(A−1)に替えて(A−9)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0083】
実施例11
実施例1において(B−1)に替えて(B−2)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0084】
実施例12
実施例1において(B−1)に替えて(B−3)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0085】
実施例13
実施例1において(B−1)に替えて(B−4)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0086】
実施例14
重合体ケン化物1の50部と、(B−1)50部、及びグリオキザール(C)1.25部を混合水溶液に0.5N塩酸を加えてpH=3として、固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0087】
実施例15
重合体ケン化物2の50部と、(B−1)50部、及びグリオキザール(C)1.25部を混合液に0.5N塩酸を加えてpH=3とした固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0088】
比較例1
実施例1において(B−1)の添加を省略して(A−1)100部、グリオキザール(C)1.25部を含む固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0089】
比較例2
実施例1において(A−1)の添加を省略して、(B−1)100部、グリオキザール(C)1.25部を含む固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製して、同様に評価した。
【0090】
比較例3
実施例1において、(B−1)の替りに、未変性PVA(ケン化度99.7モル%、重合度1700)50部を用いた以外は同様に行って、固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製して、実施例1と同様に評価した。
【0091】
比較例4
実施例1において、(A−1)の替りに、未変性PVA(ケン化度99.7モル%、重合度1700)50部を用いた以外は同様に行って、固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製して、実施例1と同様に評価した。
実施例1〜15、比較例1〜4の評価結果を表1に示した。
【0092】
【0093】
実施例16〜30
実施例1〜15のポリビニルアルコール系樹脂組成物を用いて以下のようにしてインクジェット記録用媒体を得た。
上記の実施例1〜15のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液1000部に、非晶質の合成シリカ(富士シリシア化学社製『サイリシア446』、形状:球形、粒子径:4.5μm)7部を加え、混合撹拌して塗工液を得て、該塗工液を坪量100g/m2の上質紙に樹脂固形分で15g/m2になるようにバーコートを行った後、円筒回転式ドライヤーにて105℃で1分間乾燥させてインクジェット記録用媒体を得た。
【0094】
得られたインクジェット記録用媒体について、以下の評価を行った。
(にじみ)
得られたインクジェット記録用媒体にインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製『PM−750C』)で、黄色及び青色のべた印刷を連続して行いその境界部分に水滴を0.2ミリリットル垂らし、10分間放置した後、境界部分にできたにじみの幅を測定した。
【0095】
(転写)
得られたインクジェット記録用媒体にインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製『PM−750C』)で、印字直後の記録シートの印字面に、未印字の記録用媒体を重ねて、50℃雰囲気中で5kg/10cm2の荷重を1分間かけた後の印字部の状況を目視観察して、以下のように評価した。
○・・・全く変化無し
△・・・かすかに転写がみられる
×・・・明らかに転写がみられる
【0096】
(変色)
得られたインクジェット記録用媒体を50℃、48時間放置した時の、印刷面の色の変化を目視で観察して以下のように評価した。
○・・・全く変化なし
△・・・かすかに黄色に変色
×・・・黄色に変色
【0097】
比較例5〜8
比較例1〜4のポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液を用いて上記と同様にインクジェット記録用媒体を得、同様に評価した。
実施例16〜30、比較例5〜8の評価結果を表1に示した。
【0098】
【0099】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物は、耐水性に優れ、変色も少なくかかる組成物を用いたインクジェット記録用媒体は、転写防止性能、にじみ防止性能に優れ、変色が少ない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐水性に優れ、変色の少ないポリビニルアルコール系樹脂組成物及びかかる組成物を用いた、転写防止性能、にじみ防止性能に優れ、変色の少ないインクジェット記録用媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より変性ポリビニルアルコール系樹脂はその変性基の種類を適宜選択することにより独自の機能を発揮することができるので種々の用途、特に各種成形品、紙加工剤、接着剤、コーティング剤等の用途に多用されているが、ポリビニルアルコール系樹脂の本質的な欠点である耐水性の向上を求められことが多く、耐水性に優れた変性ポリビニルアルコール系樹脂やポリビニルアルコール系組成物が検討されている。
例えば、ビニルアルコール単位と特定のアセタール系単位を有し、重合度が50〜10000のビニルアルコール系重合体が提案されており、かかる重合体と酸と汎用のポリビニルアルコール系樹脂を併用した耐水性のある塗工用組成物も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、紙加工剤用途においても、インク吸収性、耐水性を目的としてアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂とアルデヒド類、アミン類、エポキシ類から選ばれる有機化合物を含有してなる組成物を支持体とするインクジェット記録用のシートが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、アニオン性水溶性染料を含有してなる水性インクから形成されるインクジェット画像の耐水堅牢度を向上させるためにアセトアセチル化ポリビニルアルコール系樹脂の架橋性ポリマー及び媒染剤を含む画像記録層を有する支持体を含んでなるインクジェット記録要素が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−231330号公報
【特許文献2】
特開昭63−176173号公報
【特許文献3】
特開2000ー177231号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示の重合体を塗工して紙加工用途に用いる時、充分な耐水性を付与するには長時間の乾燥が必要な場合があり、また、インクジェット記録用媒体等の特に高度の耐水性が必要とされる分野での使用においては必ずしもその効果が充分でなく、印字部が水と接触した時に印字がにじむという問題があった。
また、特許文献2及び3に開示のアセトアセチル化ポリビニルアルコール系樹脂は、グリオキザール等の架橋剤を併用すると耐水性の向上は望めるものの、架橋反応した時や架橋後にポリビニルアルコール系樹脂を熱処理したり、長期間放置すると変色(黄変)するという問題点がある。また、かかるアセトアセチル化ポリビニルアルコール系樹脂をインクジェット記録用媒体に適用した時には上記の印字性能はあるものの、インクジェット記録用媒体の印刷直後にプリンター内の熱で、印字が転写されたりするという問題がある。
昨今の市場からは、耐水性が良好で、熱処理したり、長期間放置しても変色のないポリビニルアルコール系樹脂組成物が求められ、かかるポリビニルアルコール系樹脂組成物の紙加工用途、特にインクジェット記録用媒体においては、長期間放置した時も変色せず、転写防止性能、にじみ防止性能に優れた物性が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と活性水素含有基を有する水溶性樹脂(B)を含有してなるポリビニルアルコール系樹脂組成物が極めて良好な耐水性を示し、しかも変色の問題がないことを見出し、更にかかる組成物を支持基材中または支持基材表面に有してなるインクジェット記録用媒体が上記の課題を解決できることを見いだして本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)〔以下ポリビニルアルコール系樹脂をPVAと略記することがある〕と活性水素含有基を有する水溶性樹脂(B)について、以下順に詳しく説明する。
【0007】
本発明に用いる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)は、▲1▼下記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をケン化して得るか、もしくは▲2▼下記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ触媒でケン化した共重合体ケン化物を、さらに酸性条件下で加水分解する方法のいずれかによって得られる。
【0008】
【化4】
(但し、式中R1、R2は水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、R3は炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0009】
【化5】
(但し、式中R4、R5は水素またはメチル基またはフェニル基、好ましくは水素またはメチル基、R6、R7は各々独立して炭素数1〜8のアルキル基、好ましくはメチル基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0010】
【化6】
(但し、式中R8、R9は水素またはメチル基、R10は炭素数2〜5のアルキレン基、好ましくはエチレン基、nは0〜8、好ましくは0〜3、特には0〜1の整数)
【0011】
まず、▲1▼上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合物をケン化して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を得る方法について説明する。
【0012】
上記一般式(1)で表される不飽和単量体の例としては、アリリデンジアセテート、2−メタリリデンジアセテート、2−フェニルアリリデンジアセテート、クロチリデンジアセテート、シンナミリデンジアセテート、アリリデンジベンゾエート、アリリデンベンゾエートアセテート等が挙げられ、特にアリリデンジアセテートがコストや原料入手のし易さの点で好ましい。また、これらは単独で用いても併用して用いても良い。
【0013】
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、工業的な入手のし易さにより酢酸ビニルが好ましく、これらは単独で用いても併用しても良い。
【0014】
上記の単量体以外に、本発明の目的を阻害しない範囲において、更に他の単量体も共重合に利用することができ、かかる他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン等を挙げることができる。
【0015】
かかる不飽和単量体とビニルエステル系単量体の共重合に当たっては、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の重合方法を採用することができるが、通常は溶液重合法が行われる。
【0016】
重合に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、n−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を挙げることができるが、好適にはメタノールが用いられる。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すれば良い。例えば、溶媒がメタノールの時は、溶媒量/上記各種単量体の合計量(重量比)は0.1〜1程度の範囲となる量で使用される。
【0017】
また、重合開始剤としては、例えば2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレイト、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシ−ジ−カーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシ−ジ−カーボネート類、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチラルパーオキサイド等のジアシルパーオキシド類などを挙げることができる。尚、必要に応じて、メルカプタン系化合物等の公知の連鎖移動剤を併用することも可能である。
【0018】
重合は、反応缶に溶媒を仕込んだ後、ビニルエステル系単量体と上記一般式(1)で表される不飽和単量体、重合開始剤を仕込み、35〜200℃程度、好ましくは40〜80℃、更には55〜75℃で重合させる。ビニルエステル系単量体と一般式(1)で表される不飽和単量体は溶媒中に初期に一括仕込みしてもよいが、HANNAの式に従って滴下仕込みすると重合が均一に進行するので好ましい。目的とする平均重合度になるように、ビニルエステル系単量体の重合率を20〜80%とした後、重合禁止剤を仕込んで重合を終了する。その後未反応の単量体を除去して上記一般式(1)で表される不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体が得られるのである。
【0019】
次いで、かかる共重合体はケン化されるのであるが、かかるケン化も公知の方法で行うことができる。この時使用されるケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルコラートの如きアルカリ触媒、更に硫酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸等の酸触媒を挙げることができ、好ましくは水酸化ナトリウムが用いられる。
【0020】
また、かかるケン化時の溶媒としては、メタノール、エタノール、iso−プロパノール、酢酸メチル、ベンゼン、ヘキサン等が挙げられ、好適にはメタノールが用いられる。また、残存酢酸基のブロック性の調整を目的として、これらの溶媒を任意に組合わせて誘電率をコントロールしながらケン化を行ってもよい。
【0021】
ケン化温度は特に制限はないが、10〜70℃が好ましく、更には30〜50℃、特には35〜45℃の範囲から選ばれる。
上記の如きケン化を行うに当たっては、連続式でもバッチ式でもよいが、粒子径の制御の意味から好ましくはバッチ式が採用される。かかるバッチ式のケン化装置としては、ニーダー、リボンブレンダー等を挙げることができる。
【0022】
次に、▲2▼上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体を共重合して側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)を製造する方法について説明する。
【0023】
上記一般式(2)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、(メタ)アクロレインジメチルアセタール、(メタ)アクロレインジエチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジメチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジエチルアセタール、3−ブテナールジメチルアセタール、3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、4−ペンテナールジメチルアセタール、4−ペンテナールジエチルアセタール、5−ヘキセナールジメチルアセタール、5−ヘキセナールジエチルアセタール、6−ヘプテナールジメチルアセタール、6−ヘプテナールジエチルアセタール、7−オクテナールジメチルアセタール、7−オクテナールジエチルアセタール等を挙げることができる。
【0024】また、上記一般式(3)で表される不飽和単量体の具体的な例としては、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−イソプロペニル−1,3−ジオキソラン、2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン、2−(3−ブテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(5−ペンテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(6−ヘキセニル)−1,3−ジオキソラン、2−(1−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
【0025】
上記の単量体を使用して目的のPVAを得る方法として具体的には、イ)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体をアルカリ条件下でケン化して共重合体のケン化物とし、更にそれを酸処理してアルデヒド基を生成させる方法、ロ)上記一般式(2)及び(3)から選ばれる少なくとも1種類の不飽和単量体とビニルエステル系単量体との共重合体を酸性条件下で加水分解し、ビニルエステル基のケン化とアルデヒド基の生成とを同時に起こらせしめる方法が挙げられる。
【0026】
(イ)の方法の場合、共重合体の製造方法は上記一般式(1)で表される不飽和単量体を用いた重合の場合と同様に実施される。ケン化はアルカリ条件で行う必要があり、その実施にあたっては、前述のアルカリ触媒を用いて同様に実施すればよい。
酸性処理する方法は、得られた共重合体ケン化物を含む水溶液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸等の有機酸等から選ばれる少なくとも1種類の酸を添加して水溶液を酸性にすればよく、その時のpHは1〜6.5、好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜5.5の範囲に調整される。pHが1より低い場合は塗工する際の作業環境に注意が必要となる等用途での制約が多くなる場合があり、6.5より高いとアルデヒド基への生成が十分に行われない場合がある。pH調製の時の温度は特には制限されないが、通常常温で実施され、必要に応じて加温される。
【0027】
ロ)の方法の場合、共重合体に上記酸の水溶液を添加して、上記イ)の場合と同様にpH調整すればよい。
【0028】
かくして側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)が得られるのであるが、かかる側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のケン化度は68モル%以上とすることが好ましく、更には75モル%以上、特には80モル%以上である。かかるケン化度が68モル%未満では、水溶性が乏しくなり塗工液とすることが難しくなることがあり好ましくない。
また、該PVA(A)のJIS K6726に準拠して測定される平均重合度は50〜5000とすることが好ましく、更には100〜4000、特には300〜3000である。かかる平均重合度が50未満では充分な耐水性が得られないことがあり、逆に5000を越えると水溶液の粘度が高くなりすぎて作業性が低下することがあり、コーティング用途等においては基材への均一な塗工が困難となることがあり好ましくない。
【0029】
得られた側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)のアルデヒド基の含有量は、0.01〜40モル%が好ましく、更には0.05〜35モル%、特には0.1〜30モル%である。0.01モル%より少ないと充分な耐水性が発現しないことがあり、40モル%を越えると得られるPVA(A)中に不溶解物が発生する傾向があり好ましくない。尚、アルデヒド基の含有量は、高分子化学、第15巻、第156号、第249〜254頁(1958)に記載の方法によって調製したp−ニトロフェニルヒドラジンとアルデヒド基含有ポリビニルアルコール(完全ケン化品)との反応物を、1H−NMR(DMSO−d6,60℃)で測定して、δ=8.0〜8.1ppmのピーク強度の合計値(X)とδ=4.6〜4.0ppmのピーク強度の合計値(Y)から以下の式で算出する。
アルデヒド基の含有量(モル%)=〔0.5X/(0.5X+Y)〕×100
【0030】
また、かかるPVA(A)の1,2−グリコール量としては特に限定されないが、1〜4モル%程度が好ましい。1,2−グリコール量はNMRによって算出することができる。
さらに、かかるPVA(A)の残存酢酸基のブロック性についても特には限定されないが、ブロックキャラクター[η]の値として0.3〜0.8程度が好ましい。
尚、ここで言うブロックキャラクター[η]とは、13C−NMRの測定(内部標準物質として3−(trimethylsilyl)propionic−2,2,3,3,−d4acid,sodiumsaltを使用)により、40〜49ppmの範囲に見られるメチレン炭素部分に基づくピーク[(OH,OH)dyad=46〜49ppmの吸収、(OH,OR)dyad=43.5〜45.5ppmの吸収、(OR,OR)dyad=40〜43ppmの吸収、但し、ORはO−酢酸基を表す]の吸収強度比から求められるもので、より具体的には下記式より算出される値である。
[η]=(OH,OR)/2〔(OH)×(OR)〕
〔但し、(OH,OR)、(OH)、(OR)は、いずれもモル分率で計算するものとする。また、(OH)は13C−NMRの積分比より算出されるケン化度(モル分率)で、(OR)はその時の酢酸基のモル分率を示すものである。〕
【0031】
本発明に用いる活性水素含有基を有する水溶性樹脂(B)とは、例えば、α水素を有するケトンまたは同カルボン酸または同エステル等の官能基、水酸基、アミノ基、メルカプト基等の反応性に富む水素を含有する官能基を有する水溶性樹脂を指す。具体的には、アセト酢酸エステル基含有PVA、ジアセトンアクリルアミド変性PVA、末端メルカプト基変性PVA、アミノ基変性PVAの活性水素含有基を有するPVAやポリビニルアミン、アセト酢酸エステル基含有アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0032】
代表的な水溶性樹脂について以下に説明する。
アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(以下AA化PVAと略記する)は、後述するようにポリビニルアルコールにジケテンを反応させたり、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換したりして、ポリビニルアルコールにアセト酢酸エステル基を導入させたものであり、かかるポリビニルアルコールとしては、一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられ、更には酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。
【0033】
かかる単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、ビニレンカーボネート類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等が挙げられる。
【0034】
かかるAA化PVAの原料となるポリビニルアルコールは、特に限定されないが、ケン化度は68モル%以上が好ましく、更には75モル%以上、特には80モル%以上である。かかるケン化度が68モル%未満では、水溶性が乏しくなって塗工液とすることが難しいことがあり好ましくない。
また、該ポリビニルアルコールのJIS K6726に準拠して測定される平均重合度も特に限定されないが、100〜5000が好ましく、更には200〜4500、特には300〜4000である。かかる平均重合度が100未満では、充分な耐水性が得られないことがあり、逆に5000を越えると水溶液の粘度が高くなってPVA(A)と混合する時の作業性が低下したり、組成物の基材への均一な塗工が難しくなることがあり好ましくない。
AA化PVAの原料となるポリビニルアルコールの1,2−グリコール量としては特には限定されないが1〜4モル%程度が好ましい。
【0035】
AA化PVAを得るには、上記の如きポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法、ポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルを共重合させる方法等を挙げることができるが、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVAが得られる点から、ポリビニルアルコール(粉末)とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。ポリビニルアルコールとジケテンを反応させる方法としては、ポリビニルアルコールとガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をポリビニルアルコールに予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下で液状またはガス状のジケテンを噴霧、反応するか、またはポリビニルアルコールに有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応する等の方法が用いられる。
上記の反応を実施する際の反応装置としては、加温可能で撹拌機の付いた装置であれば十分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる。
【0036】
かくして得られたAA化PVAは原料のPVAと同じ平均重合度をもつものであり、またアセト酢酸エステル基の含有量は、0.1〜40モル%が好ましく、更には0.3〜30モル%、特には0.5〜20モル%である。かかる含有量が0.1モル%未満では、充分な耐水性が得られないことがあり、逆に40モル%を越えると塗工液とするときの水溶性が低下したり、得られた塗工液の保存安定性が低下したりすることがあり好ましくない。
【0037】
ジアセトンアクリルアミド変性PVAは、例えば特開平10−330572号公報に示されるように、ジアセトンアクリルアミドと脂肪酸エステルを共重合したものを、従来公知の手法によってケン化することによって得られる。
かかる樹脂の変性量としては0.01〜30モル%が好ましく、更には1〜20モル%、特には3〜15モル%である。かかる変性量が0.01モル%未満では充分な耐水性が発現しないことがあり、30モル%を越えると得られるPVAの中に不溶解物が発生することがあり好ましくない。
また、JIS K6726に準拠して測定される平均重合度としては、100〜4000が好ましく、更には300〜2000、特には300〜1800である。平均重合度が100未満では充分な耐水性が発現しないことがあり、4000を超えると水溶液の粘度が高くなりすぎてPVA(A)と混合する時の作業性が低下することがあり、組成物の基材への均一な塗工が困難となることがあり好ましくない。
ケン化度としては、70モル%以上が好ましく、更には80モル%以上、特には85モル%以上である。ケン化度が70モル%未満では得られるPVAの水溶性が不足することがあり好ましくない。
【0038】
アミノ基変性PVAは、例えば特開平2−11609号公報に示されるように、N−ビニルホルムアミドと脂肪酸エステルをメタノール中で共重合したものを、従来公知の手法によって完全ケン化することによって得られ、変性量としては0.01モル%以上が好ましく、更には1モル%以上、特には5モル%以上である。かかる変性量が0.01モル%未満では充分な耐水性が発現しないことがあり好ましくない。
また、JIS K6726に準拠して測定される平均重合度としては、100〜4000が好ましく、更には300〜2000、特には300〜1500である。平均重合度が100未満では充分な耐水性が発現しないことがあり、4000を超えると水溶液の粘度が高くなりすぎてPVA(A)と混合する時の作業性が低下することがあり、組成物の基材への均一な塗工が困難となることがあり好ましくない。
【0039】
末端メルカプト基含有PVAは、重合時に連鎖移動剤としてメルカプト基を有する化合物を共存させて重合した酢酸ビニル系重合体を公知一般の手法によりケン化することにより得ることができ、かかるメルカプト基を有する化合物としては、例えば、一般式R−CO−SH(R:アルキル基)で表される、チオール酢酸、チオールプロピオン酸、チオール酪酸、チオール吉草酸等を挙げることができる。
【0040】
ポリビニルアミンとしては、例えば、ポリ(N−ビニルホルムアミド)をアルカリで加水分解して製造されるもので、具体的には三菱化学社製「PVAM−0595B」等が挙げられる。
アセト酢酸エステル基含有アクリル系樹脂は、例えばアクリル系単量体と水酸基を有するエチレン性不飽和単量体のアセチル化物との共重合により製造されたり、水酸基含有アクリル系樹脂にジケテンを反応させることにより製造される。かかる水酸基を有するエチレン性不飽和単量体のアセチル化物の例としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル−γ−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシスチレン等のアセチル化物が挙げられ、これらは単独で用いても組合わせて用いてもよい。
【0041】
これら(B)の中でも、特にアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂が好適に用いられる。
【0042】
本発明は、上記述べた側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)を含有してなるPVA組成物であり、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)および活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)の配合割合(A/B)は特に限定されないが、1/100〜100/1が好ましく、更には5/100〜100/5、特には10/100〜100/10である。1/100未満や100/1を越えると耐水性の効果がやや低下することがあり好ましくない。
【0043】
本発明の樹脂組成物には、更に耐水化剤(C)を含有させることも好ましく、かかる耐水化剤(C)はポリビニルアルコール系樹脂と架橋反応をするものであればよく、例えばホルムアルデヒド,アセトアルデヒド等のモノアルデヒド化合物、グリオキザール,グルタルアルデヒド,ジアルデヒド澱粉等の多価アルデヒド化合物などのアルデヒド化合物、メタキシレンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスアミノプロピルピペラジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジエチル−6−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン等のアミン系化合物、メチロールメラミン,ジメチロール尿素等のメチロール化合物、ヘキサメチレンテトラミン等のアンモニアとホルムアルデヒドとの反応物、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、チタン、マグネシウム、クロム、ジルコニウム等の金属の水溶性塩、ホウ酸、ホウ砂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価エポキシ化合物、各種イソシアネート系化合物などを挙げることができ、中でもアルデヒド化合物やアミン系化合物が好ましく、とりわけジアルデヒド化合物やメタキシレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミンが水溶性或いは水分散性の点で好ましい。
【0044】
耐水化剤(C)の含有量は特に限定されないが、側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)の合計100重量部に対して、0.01〜30重量部(更には0.1〜20重量部)が好ましく、かかる含有量が0.01重量部未満では耐水性向上効果が小さく、逆に30重量部を越えると得られる樹脂組成物の水溶液の粘度安定性が低下したりして好ましくない。
【0045】
本発明の樹脂組成物は、上記の如く(A)及び(B)必要に応じて(C)を含有するものであるが、本発明の目的を阻害しない範囲において、消泡剤、離型剤、定着剤、防腐剤、防虫剤、防錆剤、増粘剤等の公知の添加剤や本発明で用いられる樹脂以外の樹脂を添加することもできる。
【0046】
かかる樹脂組成物は、従来公知のPVA組成物の各種用途に適用可能であり、例えば、各種皮膜を形成させるための塗工液、繊維、フィルム、シート、パイプ、分離膜などの各種成形品、インクジェット記録用媒体、感熱記録用媒体などを含む各種印刷紙用の紙加工剤、繊維用糊剤、接着剤、エマルジョン用添加剤、エマルジョン重合用乳化安定剤、懸濁重合用分散剤、顔料分散剤、各種バインダー用途、感光性樹脂、セメントやモルタルの添加剤等などの種々の用途に有効に用いることができ、特に、インクジェット記録用媒体に用いた時、例えば保存中に熱雰囲気にさらされても転写防止性能に優れ、かつ耐水性も強いため水に接触した時のにじみ防止性能に優れ、変色の少ない点で極めて有用であり以下かかる用途について説明する。
【0047】
本発明のインクジェット記録用媒体は、上記の樹脂組成物を支持基材中または支持基材表面に有してなるもので、より具体的には、上記で述べたポリビニルアルコール系樹脂組成物を基材表面に塗工することにより、基材の表面に塗工層を形成させたり、基材に浸透させ基材中に該樹脂組成物を存在させることにより製造される。
【0048】
まず、上記インクジェット記録用媒体に用いられる支持基材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、セロファン、セルロイド等の樹脂のフィルム、シート、上質紙、中質紙、(セミ)グラシン紙、光沢紙、(樹脂)コート紙、合成紙等の紙類を挙げることができ、更には、布、金属、木材等のフィルムやシートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、インクジェット記録用媒体には、必要に応じて非ブロッキング特性や耐汚れ性を制御するための艶消剤(例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ及び架橋ポリメタクリル酸メチルまたはポリスチレン等の高分子ビーズ)、界面活性剤(例えば非イオン性炭化水素もしくはフルオロカーボン界面活性剤、第4級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤)、蛍光色素、pH調整剤、シリコン系、フッ素系、ポリエチレングリコール系等)、染料定着剤、紫外線吸収剤、媒染剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤等の添加剤を添加してもよい。
【0049】
本発明では上記で説明したPVA組成物の層を基材の表面に形成させたり、基材中のPVA組成物を浸透させればよい。かかる具体的な手段としては、I)PVA組成物を基材面に塗工したり組成物中に基材を浸漬する方法、II)側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)のそれぞれを含有した水溶液を別々に調製して、これらを積層塗工や積層浸漬する方法が代表的である。
【0050】
上記I)やII)の方法の場合において、耐水化剤(C)を併用する場合は、塗工液のpHを6以下にすることが好ましく、さらには2〜5に調整する。pHが6を超えると塗工液の耐水性が充分に発揮できないことがあり好ましくない。pHを6以下にするには、塗工液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や酢酸、蟻酸等の有機酸等で調整すればよい。
【0051】
また、上記以外に、III)上記で述べた側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)製造時の中間体である共重合体ケン化物と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)と混合して塗工液として、該塗工液を塗工前に酸処理してから塗工したり、塗工液を支持基材に塗工後に酸処理する方法が挙げられる。
【0052】
かかる方法において調整した塗工液を塗工前に酸処理するには、塗工液に塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や酢酸、蟻酸等の有機酸等の酸を添加して塗工液を酸性にすればよく、その時のpHは1〜6.5、好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜5.5の範囲に調整される。pHが1より低い場合は塗工する際の作業環境に注意が必要となる場合があり、6.5より高いとアルデヒド基への再生が十分に行われない場合がある。塗工時の温度は特には制限されないが、通常常温で実施され、必要に応じて加温される。
また、塗工液を基材に塗工してから酸処理するにはpHが1〜6.5の酸水溶液を塗工液の重量の0.01〜10倍量程度スプレー塗工したり、pH1〜6.5の酸水溶液中へ基材を浸漬する等の方法をとればよい。いずれの場合も塗工層の厚みが変化したり、基材が変質しない程度に短時間で処理するのが好ましい。
【0053】
塗工にあたっては、サイズプレスコート、ロールコーター法、エヤードクター法、ブレードコーター法、ゲートロールコーター法等の公知の任意の方法が採用されるが、塗工時の塗工液は、本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物の固形分が1〜70重量%となるように調整することが好ましく、更には2〜60重量%、特に5〜50重量%とすることが好ましい。かかる固形分が、1重量%未満では、付着量が少ないものとなり、逆に70重量%を越えると塗工液の粘度が高くなるため、塗工が困難になることがあり好ましくない。基材に塗工されるPVA組成物の塗布量は、固形分換算で0.1〜40g/m2、特に好ましくは0.5〜20g/m2程度になるようにするのが適当である。塗工後は風乾あるいは加熱乾燥を行うことによって目的とする塗工層が形成される。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を示す。
〔側鎖にアルデヒド基を有するPVA(A−1)〜(A−9)とその中間体である共重合体ケン化物1及び2の製造〕
なお、上記樹脂及び共重合体ケン化物は、以下単に(A−1)〜(A−9)及び中間重合体1及び2と略記する。
【0055】
(A−1)
パドル翼を付けた3リットルのジャケット付反応缶に、酢酸ビニル1000g、アリリデンジアセテート45g及びメタノール550gを仕込み、加熱還流させた。別途、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.81gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み、重合を開始したと同時に、50%アリリデンジアセテートのメタノール溶液の仕込みを開始した。なお、アリリデンジアセテートは、酢酸ビニルと均一に重合するようにHANNAの式〔アリリデンジアセテートの反応性比(r1)=1.34、酢酸ビニルの反応性比(r2)=0.48〕に従って仕込み、酢酸ビニルの重合率が80%に到達するまでに仕込まれたアリリデンジアセテートの量は37gであった。重合率が80%に達した時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール100gに溶解したものを反応缶に仕込み、内温を30℃以下にして重合を停止し共重合体のペーストを得た。減圧蒸留により未反応のモノマーを除去した後、メタノールで希釈して共重合体のペースト2165g(樹脂分40%)を得た。
2リットルのジャケット付のケン化用反応缶に、上記で得られた共重合体ペーストを樹脂分30%となるようにメタノールで希釈して400g仕込み、ジャケットを加熱してペースト温度を35℃とした。ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液67g(共重合体の酢酸ビニル単位に対して55ミリモル%)仕込み、ケン化を開始した。ケン化触媒添加終了後ケン化物が析出し始めて、ペーストが増粘し、ケン化母液が発生し、スラリー状態となった後、酢酸の10%メタノール溶液を所定量添加してスラリーを中和して、(A−1)のスラリーを得た。得られた(A−1)を1H−NMR(300MHz、DMSO−d6溶媒)で分析したところ、ケン化度は97.1モル%であった。また、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0056】
(A−2)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を91.2g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を73g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を128g(酢酸ビニル単位に対して105ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−2)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は9.8モル%、平均重合度は980であった。
【0057】
(A−3)
上記の(A−1)の製造において、重合開始前に予め仕込んでおくアリリデンジアセテートの量を8.8g、重合率80%時点までに追加するアリリデンジアセテートの量を7.6g、ケン化に用いる水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液量を18.3g(酢酸ビニル単位に対して15ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−3)を製造した。ケン化度は97.3モル%、アルデヒド基含有量は1.0モル%、平均重合度は1010であった。
【0058】
(A−4)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液70.7g(酢酸ビニル単位に対して58ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−4)を製造した。ケン化度は99.2モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0059】
(A−5)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液64.5g(酢酸ビニル単位に対して53ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−5)を製造した。ケン化度は93.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0060】
(A−6)
上記の(A−1)の製造において、ケン化触媒として、水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液63.3g(酢酸ビニル単位に対して52ミリモル%)に変更した以外は同様に行い(A−6)を製造した。ケン化度は83.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は1000であった。
【0061】
(A−7)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むメタノールの量550gを50gに変更した以外は同様にして反応を開始し、酢酸ビニルの重合率が20%に到達するまでアリリデンジアセテートを9.1g仕込み重合率が20%になった時点で実施例1と同様に重合禁止剤を仕込んで重合を停止した後、同様に操作して(A−7)を製造した。ケン化度は97.0モル%、アルデヒド基含有量は4.9モル%、平均重合度は2500であった。
【0062】
(A−8)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを238gに、メタノール550gを150gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを170g仕込んだ以外は同様に行って(A−8)を製造した。ケン化度は97.2モル%、アルデヒド基含有量は25.1モル%、平均重合度は980であった。
【0063】
(A−9)
上記の(A−1)の製造において、最初に仕込むアリリデンジアセテート45gを140gに、メタノール550gを350gに変更し、酢酸ビニルの重合率が80%に達するまでにアリリデンジアセテートを107g仕込んだ以外は同様に行って(A−9)を製造した。ケン化度は97.1モル%、アルデヒド基含有量は14.8モル%、平均重合度は1030であった。
【0064】
〔重合体ケン化物1〕
パドル翼の付いた3リットルのジャケット付反応缶に、酢酸ビニル1000g、アクロレインジメチルアセタール59.3g(酢酸ビニルに対して5モル%)、及びメタノール550gを仕込み、加熱、還流させた。別途、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル3.81gをメタノール50gに溶解したものを用意して、上記の反応缶に仕込み、重合を開始した。4時間後、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン0.03gをメタノール100gに溶解したものを反応缶に仕込み、内温を30℃以下にして重合を停止して共重合体のペーストを得た。メタノールを添加しながら減圧蒸留により未反応のモノマーを除去して未反応の酢酸ビニルの残存しない共重合体のペーストを得た。かかるペーストのケン化は、ケン化触媒として水酸化ナトリウムの4%メタノール溶液6.1g(酢酸ビニル単位に対して5ミリモル%)を用いた以外は、上記の(A−1)の製造と同様に行った。ケン化度は99.1モル%であった。
【0065】
〔重合体ケン化物2〕
酢酸ビニルと共重合させるモノマーとして、2−ビニル−1,3−ジオキソラン58.1gを使用した以外は、上記の中間重合体1の製造と同様に行った。ケン度は99.1モル%であった。
【0066】
〔活性水素含有官能基を有するPVA(B−1)〜(B−3)の製造〕
なお、上記樹脂は、以下単に(B−1)〜(B−3)と略記する。
(B−1)
平均重合度1200、ケン化度99.2モル%のポリビニルアルコール粉末200部を、撹拌器のついた反応器に仕込み、これに酢酸20部を入れて膨潤させた後、撹拌しながら60℃に昇温後ジケテン40部を4時間かけて滴下し、更に30分反応させてアセト酢酸エステル基含有量5モル%、ケン化度99.2モル%、平均重合度1200のAA化PVAを得た。
【0067】
(B−2)
メタノール中で酢酸ビニル/ジアセトンアクリルアミドをモル比95/5で共重合を行った後、上記(A−1)でのケン化方法に準じてケン化をおこない、ジアセトンアクリルアミド変性量5.0モル%、平均重合度1700のケン化度98.5モル%ジアセトンアクリルアミド変性PVAを得た。
【0068】
(B−3)
チオ酢酸を連鎖移動剤とし、重合度550を目標にしてチオ酢酸を所定量仕込み、次いで重合開始後その消費速度にあわせてチオ酢酸を連続滴下しながらメタノール中で酢酸ビニルを重合した後、上記(A−1)でのケン化方法に準じてケン化を行い、メルカプト基含有量5×10−5〔eq/g−PVA〕、ケン化度99モル%、平均重合度560の末端メルカプト基含有PVAを得た。
【0069】
上記以外に(B−4)として、ポリビニルアミン〔商品名:PVAM−0595B(三菱化学社製)〕を準備した。
【0070】
実施例1
(A−1)50部、(B−1)50部、グリオキザール(C)1.25部を含む固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、以下の項目を評価し、表1にその結果を示した。
【0071】
(耐水性)
上記で得られた水溶液に塩酸を加えてpH3に調節し、この溶液をポリエチレンテレフタレート製の枠上に流し、室温で2日間乾燥した後、110℃の熱風乾燥機中で5分間乾燥して、厚み85μmのフィルムを製造した。
【0072】
得られたフィルムから5×5cmのサイズの試験片を切り取り、95℃の熱水中で連続的な軽い振とうを行いながら1時間浸漬させた後試験片を引き上げ、110℃で3時間乾燥して得られた試験片の重量(X2)と、浸漬前の試験片の乾燥重量(X1)から以下の式で溶出率(%)を算出した。
溶出率(%)=〔(X1−X2)/X1〕×100
【0073】
(変色)
上記で得られた厚み85μmの試験片をさらに110℃で3時間熱処理した時のフィルムの着色度合いを観察して、以下の様に評価した。
○・・・変色なし
×・・・やや変色が見られる(黄色)
【0074】
実施例2
実施例1において、グリオキザール(C)を使用しなかった以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0075】
実施例3
実施例1において(A−1)に替えて(A−2)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0076】
実施例4
実施例1において(A−1)に替えて(A−3)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0077】
実施例5
実施例1において(A−1)に替えて(A−4)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0078】
実施例6
実施例1において(A−1)に替えて(A−5)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0079】
実施例7
実施例1において(A−1)に替えて(A−6)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0080】
実施例8
実施例1において(A−1)に替えて(A−7)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0081】
実施例9
実施例1において(A−1)に替えて(A−8)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0082】
実施例10
実施例1において(A−1)に替えて(A−9)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0083】
実施例11
実施例1において(B−1)に替えて(B−2)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0084】
実施例12
実施例1において(B−1)に替えて(B−3)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0085】
実施例13
実施例1において(B−1)に替えて(B−4)を同量使用した以外は同様に行ってポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0086】
実施例14
重合体ケン化物1の50部と、(B−1)50部、及びグリオキザール(C)1.25部を混合水溶液に0.5N塩酸を加えてpH=3として、固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0087】
実施例15
重合体ケン化物2の50部と、(B−1)50部、及びグリオキザール(C)1.25部を混合液に0.5N塩酸を加えてpH=3とした固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0088】
比較例1
実施例1において(B−1)の添加を省略して(A−1)100部、グリオキザール(C)1.25部を含む固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製し、実施例1と同様に評価した。
【0089】
比較例2
実施例1において(A−1)の添加を省略して、(B−1)100部、グリオキザール(C)1.25部を含む固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製して、同様に評価した。
【0090】
比較例3
実施例1において、(B−1)の替りに、未変性PVA(ケン化度99.7モル%、重合度1700)50部を用いた以外は同様に行って、固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製して、実施例1と同様に評価した。
【0091】
比較例4
実施例1において、(A−1)の替りに、未変性PVA(ケン化度99.7モル%、重合度1700)50部を用いた以外は同様に行って、固形分濃度10%のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液を調製して、実施例1と同様に評価した。
実施例1〜15、比較例1〜4の評価結果を表1に示した。
【0092】
【0093】
実施例16〜30
実施例1〜15のポリビニルアルコール系樹脂組成物を用いて以下のようにしてインクジェット記録用媒体を得た。
上記の実施例1〜15のポリビニルアルコール系樹脂組成物水溶液1000部に、非晶質の合成シリカ(富士シリシア化学社製『サイリシア446』、形状:球形、粒子径:4.5μm)7部を加え、混合撹拌して塗工液を得て、該塗工液を坪量100g/m2の上質紙に樹脂固形分で15g/m2になるようにバーコートを行った後、円筒回転式ドライヤーにて105℃で1分間乾燥させてインクジェット記録用媒体を得た。
【0094】
得られたインクジェット記録用媒体について、以下の評価を行った。
(にじみ)
得られたインクジェット記録用媒体にインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製『PM−750C』)で、黄色及び青色のべた印刷を連続して行いその境界部分に水滴を0.2ミリリットル垂らし、10分間放置した後、境界部分にできたにじみの幅を測定した。
【0095】
(転写)
得られたインクジェット記録用媒体にインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製『PM−750C』)で、印字直後の記録シートの印字面に、未印字の記録用媒体を重ねて、50℃雰囲気中で5kg/10cm2の荷重を1分間かけた後の印字部の状況を目視観察して、以下のように評価した。
○・・・全く変化無し
△・・・かすかに転写がみられる
×・・・明らかに転写がみられる
【0096】
(変色)
得られたインクジェット記録用媒体を50℃、48時間放置した時の、印刷面の色の変化を目視で観察して以下のように評価した。
○・・・全く変化なし
△・・・かすかに黄色に変色
×・・・黄色に変色
【0097】
比較例5〜8
比較例1〜4のポリビニルアルコール系樹脂組成物の水溶液を用いて上記と同様にインクジェット記録用媒体を得、同様に評価した。
実施例16〜30、比較例5〜8の評価結果を表1に示した。
【0098】
【0099】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物は、耐水性に優れ、変色も少なくかかる組成物を用いたインクジェット記録用媒体は、転写防止性能、にじみ防止性能に優れ、変色が少ない。
Claims (8)
- 側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)を含有してなることを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂組成物。
- 側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)が0.01〜40モル%のアルデヒド基を含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
- 活性水素含有官能基を有する水溶性樹脂(B)が、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂、末端メルカプト基含有ポリビニルアルコール系樹脂、ジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
- 更に耐水化剤(C)を含有してなることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
- 耐水化剤(C)が、アルデヒド化合物及び/又はアミン系化合物であることを特徴とする請求項6記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
- 請求項1〜7いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物を支持基材中または支持基材表面に有してなることを特徴とするインクジェット記録用媒体。
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