JPWO2016013221A1 - ビニルアルコール系共重合体及びそれを含有する組成物並びに乳化重合用分散安定剤 - Google Patents

ビニルアルコール系共重合体及びそれを含有する組成物並びに乳化重合用分散安定剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、下記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)と、アルカリ金属化合物(B)とを含み、前記アルカリ金属化合物(B)の含有量(アルカリ金属換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.01〜0.55質量%であることを特徴とする樹脂組成物及び下記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)を含み、前記ビニルアルコール系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.1〜3.5であることを特徴とする耐水性組成物に関する。

Description

本発明は、特定の単量体単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)とアルカリ金属化合物(B)とを含む樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の単量体単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)とアルカリ金属化合物(B)とを含み、前記アルカリ金属化合物(B)の含有量(アルカリ金属換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.01〜0.55質量%である樹脂組成物に関する。また、本発明は、特定の構造を有するビニルアルコール系共重合体を含有し、耐水性に優れた皮膜を与える組成物に関する。
従来、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)はエチレン性不飽和単量体、特に酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系単量体の乳化重合用保護コロイドとして広く用いられており、これを保護コロイドとして用いて乳化重合して得られるビニルエステル系水性エマルジョンは紙用、木工用及びプラスチック用等の各種接着剤、含浸紙用及び不織製品用等の各種バインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工及び繊維加工等の分野で広く用いられている。このような水性エマルジョンは、PVA系重合体のけん化度を調整することにより、一般的に粘度が低く、ニュートニアン流動に近い粘性を有し、比較的耐水性の良好なものから、一般的に粘度が高く、比較的エマルジョン粘度の温度依存性が小さいものが得られることから、種々の用途に賞用されてきた。しかしながら、該水性エマルジョンのあるものは、流動性(高速塗工性)が不足している、また耐水性が悪い、エマルジョン粘度の温度依存性が大きい、低温時のエマルジョン粘度の上昇が著しい等の欠点を有している。また、従来のビニルエステル系重合体エマルジョンは耐溶剤性が十分でないため、耐溶剤性の要求される用途、例えばエマルジョンを接着剤として使用して得た集成材の表面を有機溶剤系塗料で塗布するような場合、有機溶剤のためにエマルジョンの接着性能が低下する欠点がある。
この欠点を改善するため側鎖にアルデヒド基を有するポリビニルアルコール系樹脂が提案され、耐水性が改善された(特許文献1、2)。しかしながら、アルデヒド単位を有しているPVAであるが故に、ポリビニルアルコールの水酸基と容易に架橋反応が起こり、接着剤の保存安定性が十分ではなかった。また、ポリビニルアルコール中に含まれるアルデヒド基が原因で熱処理時又は経時的に樹脂が着色し、ポリビニルアルコール系重合体を用いて得られる接着剤が着色するという欠点があった。
また、PVAの持つ優れた造膜性、界面特性及び強度特性をさらに高めるために、各種変性がなされたPVAが開発されている。変性PVAの一つとして、シリル基含有PVAが挙げられる。このシリル基含有PVAは、耐水性及び無機物に対するバインダー力が高い。しかしながら、シリル基含有PVAは、(a)水溶液を調製する際に水酸化ナトリウム等のアルカリや酸を添加しなければ、十分に溶解しにくいこと、(b)調製された水溶液の粘度安定性が低いこと、(c)無機物を含有する皮膜を形成させた場合、得られる皮膜の耐水性と無機物に対するバインダー力とを同時に満足させることが困難であること等の不都合がある(特許文献3、4)。さらに、PVAを含む組成物から得られる皮膜には、各種使用形態等に対応して、より高い耐水性(耐煮沸水性を含む)や耐ブロッキング性が求められる場合がある。そこで、これらの特性を満たす皮膜を得ることができる組成物の開発が求められている。
また、この欠点を改善するためアセタール基を有するポリビニルアルコール系樹脂が提案され、耐水性が改善された(特許文献5)。しかしながら、アルデヒド単位を有しているPVAであるが故に、ポリビニルアルコールの水酸基と容易に架橋反応が起こり、接着剤の保存安定性が十分ではなかった。また、高温水中での耐水性が不十分であった。
特開2006−52244号公報 特開2006−52245号公報 特開2004−43644号公報 特開2005−194437号公報 特開平10−231330号公報
本発明は、水溶液の粘度安定性に優れ、かつ着色が少ないビニルアルコール系樹脂組成物の提供を目的とする。また、エマルジョン重合用の安定剤として用いた際、重合安定性に優れ、粘度安定性や皮膜の耐水性に優れ、接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)に優れる水性エマルジョンを得ることを目的とする。また、本発明は、水溶液の粘度安定性に優れ、耐水性が求められる用途に適用できる変性PVAを含む耐水性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、下記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)を含有する組成物を用いることによって上記課題を解決できることを見出した。この新たな知見に基づいてさらに検討を重ねることによって、本発明者らは本発明を完成させた。
Figure 2016013221
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜8の整数である。)
Figure 2016013221
(式中、R1、R4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
本発明は、前記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)と、アルカリ金属化合物(B)とを含み、前記アルカリ金属化合物(B)の含有量(アルカリ金属換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.01〜0.55質量%である樹脂組成物を提供する。
前記式(I)で表される構成単位が、(メタ)アクロレインのアセタール化物、3−メチル−3−ブテナールのアセタール化物、3−ブテナールのアセタール化物、4−ペンテナールのアセタール化物、5−ヘキセナールのアセタール化物、6−ヘプテナールのアセタール化物、7−オクテナールのアセタール化物、1分子中に少なくとも2個のアルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するブテン酸類のアセタール化物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するマレイン酸類のアセタール化物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するイタコン酸類のアセタール化物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するペンテン類のアセタール化物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートのアセタール化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物からなる単位であってもよい。
前記樹脂組成物において、ビニルアルコール系共重合体(A)が、前記式(I)又は(II)で表される構造単位を0.1〜10モル%含有していてもよい。
前記樹脂組成物において、ビニルアルコール系共重合体(A)のけん化度が、70〜99.9モル%であってもよい。
前記樹脂組成物において、ビニルアルコール系共重合体(A)の粘度平均重合度が、100〜5000であってもよい。
前記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)を乳化重合用の分散安定剤に用いてもよい。
また、本発明は、前記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)を含み、前記ビニルアルコール系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.1〜3.5である耐水性組成物を提供する。
前記耐水性組成物において、前記ビニルアルコール系共重合体(A)が、前記式(I)又は(II)で表される構成単位を主鎖にランダムに含有していてもよい。
前記耐水性組成物が、酸触媒(C)を含んでいてもよい。
前記耐水性組成物において、前記ビニルアルコール系共重合体(A)が前記式(I)又は(II)で表される構造単位を0.1〜10モル%含有していてもよい。
前記耐水性組成物において、前記ビニルアルコール系共重合体(A)のけん化度が、70〜99.9モル%であってもよい。
前記耐水性組成物において、前記ビニルアルコール系共重合体(A)の粘度平均重合度が、100〜5000であってもよい。
さらに、本発明は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.1〜3.5であり、前記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体を提供する。
本発明によれば、水溶液の粘度安定性に優れ、着色が少ないビニルアルコール系樹脂組成物が得られる。本発明によって、重合安定性と粘度安定性に優れ、皮膜の耐水性や接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)に優れる水性エマルジョンを得ることができる。また、本発明の耐水性組成物は、特定の変性PVAを含むことで、水溶液の粘度安定性に優れ、かつ耐水性の高い皮膜を得ることができる。従って、耐水性が要求される用途への幅広い適用が期待できるようになる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)と、アルカリ金属化合物(B)とを含み、前記アルカリ金属化合物(B)の含有量(アルカリ金属換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.01〜0.55質量%であることを特徴とする。なお、この明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルの総称であり、これと類似の表現についても同様である。
(ビニルアルコール系共重合体(A))
本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A)は、下記一般式(I)又は(II)で表される構造単位を有する。
Figure 2016013221
式(I)において、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8である。
Figure 2016013221
式(II)において、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1、2又は3であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8である。
前記式(I)において、R1における炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。R2及びR3における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、これらのうち、炭素数1〜6の基が好ましく、炭素数1〜3の基がより好ましく、メチル基、エチル基又はn−プロピル基がさらに好ましい。R1及びR4におけるMで表されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、リチウム、ナトリウム又はカリウムが好ましく、ナトリウム又はカリウムがより好ましい。Xは−(CH2n−が好ましい。nは0、1、2、3、4、5又は6が好ましい。R5における炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
前記式(II)において、R1とR5のアルキル基、M及びアルカリ金属は上記式(I)と同様である。R6のmは1、2が好ましく、1がより好ましい。Xは−(CH2n−が好ましい。nは0、1、2、3、4、5又は6が好ましい。
本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A)は、前記式(I)又は(II)で表される構造単位を有することにより、ビニルアルコール系共重合体の結晶性を低下させ、溶解性や樹脂組成物の粘度安定性等の取り扱い性を向上させることができる。また、本発明のビニルアルコール系共重合体(A)をエマルジョン重合用の安定剤として用いた際、当該皮膜は単量体単位の有する疎水基構造により、耐水性を向上することができる。また、酸触媒を添加した際は、生成するアルデヒドとビニルアルコール系共重合体の水酸基とのアセタール化架橋により、さらに耐水性を向上することができる。
本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A)における、前記式(I)又は(II)で表される構造単位の含有率は、特に限定されないが、重合体中の全構造単位を100モル%として、0.1〜10モル%が好ましく、0.15〜9モル%がより好ましく、0.2〜8モル%がさらに好ましい。含有率が0.1モル%未満であると、得られるビニルアルコール系共重合体を含む樹脂組成物の水溶液の粘度安定性、及び前記樹脂組成物をフィルムにした際の耐水性が不十分となることがある。含有率が10モル%を超えると、ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂組成物の水への溶解性が極度に低下し、取り扱いが困難になる傾向がある。なお、本発明において重合体中の構造単位とは、重合体を構成する繰り返し単位のことをいう。
本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A)の粘度平均重合度(以下単に重合度と言うことがある)は、特に限定されないが、工業的な製造上の観点から、5000以下が好ましく、4500以下がより好ましく、4000以下がさらに好ましい。また、皮膜にした際に当該皮膜の耐水性が低下することを考慮して、粘度平均重合度は、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、250以上がさらに好ましい。粘度平均重合度は、JIS K 6726(1994年)に準拠して測定した値である。具体的な測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A)のけん化度(すなわち、ビニルアルコール系共重合体における水酸基とエステル結合との合計に対する水酸基のモル分率)は、特に限定されないが、水への溶解性が低下し取り扱いが困難となるため、70モル%以上が好ましく、一般に製造が難しい点から、99.9モル%以下が好ましい。けん化度は、75〜99.8モル%がより好ましく、80〜99.5モル%がさらに好ましい。けん化度は、JIS K 6726(1994年)に記載の方法により求めた値である。
本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A)の製造方法は特に限定されない。例えば、ビニルエステル系単量体と、上記式(I)又は(II)の構造単位の材料となる、下記式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体とを共重合し、得られた共重合体のビニルエステル単位をビニルアルコール単位に変換する(けん化する)方法が挙げられる。
Figure 2016013221
(式中、R1、R2、R3、R4及びXは上記と同一意味を有する。)
Figure 2016013221
(式中、R1、R4、R6及びXは上記と同一意味を有する。)
一般式(I)又は(II)で表される構造単位の材料として用いる不飽和単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる;
(メタ)アクロレインジメチルアセタール、(メタ)アクロレインジエチルアセタール、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−イソプロペニル−1,3−ジオキソラン等の(メタ)アクロレインのアセタール化物、3−メチル−3−ブテナールジメチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン等の3−メチル−3−ブテナールのアセタール化物、3−ブテナールジメチルアセタール、3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン等の3−ブテナールのアセタール化物、4−ペンテナールジメチルアセタール、4−ペンテナールジエチルアセタール、2−(3−ブテニル)−1,3−ジオキソラン等の4−ペンテナールのアセタール化物、5−ヘキセナールジメチルアセタール、5−ヘキセナールジエチルアセタール、2−(5−ペンテニル)−1,3−ジオキソラン等の5−ヘキセナールのアセタール化物、6−ヘプテナールジメチルアセタール、6−ヘプテナールジエチルアセタール、2−(6−ヘキセニル)−1,3−ジオキソラン等の6−ヘプテナールのアセタール化物、7−オクテナールジメチルアセタール、7−オクテナールジエチルアセタール、2−(1−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(6−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン等の7−オクテナールのアセタール化物等のエチレン性不飽和二重結合を有する脂肪族アルデヒドのアセタール化物;
N−(2,2−ジメトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジエトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジメトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジエトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジイソプロポキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジブトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジ−t−ブトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジメトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジエトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジイソプロポキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジブトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジ−t−ブトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジメトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジエトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物;4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するブテン酸類;5,5−ジメトキシ−3−オキソ−1−ペンテン、5,5−ジエトキシ−3−オキソ−1−ペンテン、5,5−ジイソプロポキシ−3−オキソ−1−ペンテン、5,5−ジブトキシ−3−オキソ−1−ペンテン等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するペンテン類;3−[N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[N−(2,2−ジエトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[N−(2,2−ジブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するプロペン酸系化合物;3−[N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジエトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するプロペン酸エステル系化合物;2,2−ジメトキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエトキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジイソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジブトキシエチル(メタ)アクリレート等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートのアセタール化物等;又はアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物、ブテン酸類のアセタール化物、マレイン酸類のアセタール化物、イタコン酸類のアセタール化物、ペンテン類のアセタール化物等の不飽和二重結合を有する脂肪族アルデヒドのアセタール化物。前記アルコキシ基の炭素数としては、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。前記アルキル(メタ)アクリルアミド系化合物又は1分子中に2個のアルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数としては、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。
上記の中でもアクロレインジメチルアセタール、アクロレインジエチルアセタール、が製造容易性の点で好ましく用いられる。前記式(I)又は(II)で表される構造単位の材料として用いる不飽和単量体は、前記した不飽和単量体の1種又は2種以上を使用することができる。
本発明に用いられるビニルアルコール系共重合体(A)の製造に用いられるビニルエステル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、桂皮酸ビニル、クロトン酸ビニル、デカン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、イソノナン酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、4−tert−ブチルベンゼン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルが挙げられる。経済的観点からは酢酸ビニルが好ましい。
前記一般式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体とビニルエステル系重合体とを共重合する重合方式は、回分重合、半回分重合、一槽式連続重合、二槽式連続重合、半連続重合のいずれでもよく、重合方法には塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法を適用できる。無溶媒又はアルコール等の溶媒中で重合を進行させる塊状重合法又は溶液重合法が、通常採用される。高重合度のビニルエステル系共重合体を得る場合には、乳化重合法の採用が選択肢の一つとなる。溶液重合法の溶媒は特に限定されないが、例えばアルコールである。溶液重合法の溶媒に使用されるアルコールは、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールである。重合系における溶媒の使用量は、目的とするビニルアルコール重合体の粘度平均重合度に応じて溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよく、例えば溶媒がメタノールの場合、溶媒と重合系に含まれる全単量体との質量比{=(溶媒)/(全単量体)}にして0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜3の範囲から選択される。重合槽出口の重合率は、特に限定されないが、10%以上99%以下であってもよく、15%以上95%以下が好ましい。
前記一般式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体とビニルエステル系重合体との共重合に使用される重合開始剤は、公知の重合開始剤、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤から重合方法に応じて選択される。アゾ系開始剤は、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)である。過酸化物系開始剤は、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート系化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートである。過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等を上記開始剤に組み合わせて重合開始剤としてもよい。レドックス系開始剤は、例えば上記の過酸化物系開始剤或いは酸化剤(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等)と、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤とを組み合わせた重合開始剤である。重合開始剤の使用量は、重合触媒により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて選択される。例えば重合開始剤にアゾビスイソブチロニトリルあるいは過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系単量体に対して0.01〜0.2モル%が好ましく、0.02〜0.15モル%がより好ましい。重合温度は特に限定されないが、室温〜180℃程度が適当であり、好ましくは30℃以上かつ150℃以下である。重合時に使用する溶媒の沸点以下で重合する際は減圧沸騰重合、常圧非沸騰重合のいずれの条件でも選択できる。
前記一般式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体とビニルエステル系重合体との共重合は、本発明の効果が得られる限り、連鎖移動剤の不存在下で行ってもよく、存在下で行ってもよい。連鎖移動剤は、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;2−ヒドロキシエタンチオール等のメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物等のホスフィン酸塩類等である。なかでもアルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤を使用する場合、重合系への連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とするビニルアルコール系共重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル系単量体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
前記一般式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体とビニルエステル系重合体との共重合により得られたビニルエステル系共重合体をけん化して、本発明の変性ビニルアルコール系共重合体を得ることができる。ビニルエステル系共重合体のけん化は、例えばビニルアルコール又は含水アルコールに当該共重合体が溶解した状態で行う。けん化に使用するアルコールは、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコールであり、好ましくはメタノールである。けん化に使用するアルコールは、その質量の40質量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン等の溶媒を含んでもよい。けん化に使用する触媒は、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物、ナトリウムメチラート等のアルカリ触媒である。けん化を行う温度は限定されないが、20〜60℃の範囲が好適である。けん化の進行に従ってゲル状の生成物が析出してくる場合には、生成物を粉砕した後、洗浄、乾燥して、変性ビニルアルコール系共重合体を得ることができる。けん化方法は、前述した方法に限らず公知の方法を適用できる。
本発明のビニルアルコール系共重合体(A)の製造において、得られる共重合体の特性が優れる点から、共重合反応における未反応の式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体量(以下、単に「未反応単量体量」ともいう。)を、ビニルアルコール系共重合体に対して、0.1質量%以下にするのが好ましく、0.01質量%以下にするのがより好ましく、0.005質量%以下にするのがさらに好ましく、0.001質量%以下にするのが特に好ましい。未反応単量体量の下限値については、特に限定されず、ビニルアルコール系共重合体に対して、0.000001質量%以上、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.0005質量%以上のいずれであってもよい。未反応単量体量は、上記した上限値と下限値から任意に選択した2つの値の範囲としてもよい(範囲の端点の値は含めても除いていてもよい)。このような未反応単量体量は、ビニルアルコール系共重合体の洗浄等によって調整可能である。また、未反応単量体量は下記実施例に記載されるヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる方法で測定できる。
本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A)は、本発明の効果が得られる限り、前記一般式(I)あるいは(II)で表される構造単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の構造単位をさらに有することができる。当該構造単位は、例えばビニルエステルと共重合可能でありかつ式(I)で表される構造単位に変換可能な不飽和単量体、及びビニルエステルと共重合可能なエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位である。エチレン性不飽和単量体は、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;(メタ)アクリル酸及びその塩;(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパン等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその塩又はエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A)としては、樹脂組成物が粘度安定性に優れる点等から、後記する耐水性組成物に用いる、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.1〜3.5のビニルアルコール系共重合体(A−1)を用いることが好ましい。さらに、前記一般式(I)又は(II)で表される構造単位を主鎖にランダムに含有することが好ましい。
(アルカリ金属化合物(B))
本発明の樹脂組成物が含有するアルカリ金属化合物(B)は、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)を含む限り特に限定されず、アルカリ金属イオンそのものであってもよく、アルカリ金属を含む化合物であってもよい。
アルカリ金属を含む化合物としては、具体的には、弱塩基性アルカリ金属塩(例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物塩、アルカリ金属硝酸塩)、強塩基性アルカリ金属化合物(例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド)等が挙げられる。これらのアルカリ金属化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(弱塩基性アルカリ金属塩)
弱塩基性アルカリ金属塩としては、例えば、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)、アルカリ金属カルボン酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等)、アルカリ金属硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム等)、アルカリ金属ハロゲン化物塩(塩化セシウム、ヨウ化セシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等)、アルカリ金属硝酸塩(硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム等)が挙げられる。これらのうち、樹脂組成物内が塩基性を帯びる観点から、解離時に弱酸強塩基の塩として振舞えるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩が好ましく用いられ、アルカリ金属のカルボン酸塩がより好ましい。
これらの弱塩基性アルカリ金属化合物を所定量で用いて、ビニルアルコール系共重合体(A)の有するアルデヒド基のpH緩衝作用をすることで、加熱処理においても当該樹脂組成物の黄着色を起こりにくくすることができる。
アルカリ金属化合物(B)の含有量(アルカリ金属換算)は、用いられるアルカリ金属化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、アルカリ金属化合物(B)の含有量(アルカリ金属換算)は、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して、通常0.01〜0.55質量%であり、0.01、0.02、0.03、0.05、0.07、0.08、0.10、0.11、0.13、0.14、0.15、0.17、0.20、0.22、0.25、0.28、0.30、0.33、0.35、0.38、0.40、0.42、0.45、0.48、0.50、0.53及び0.55質量%のいずれかの値、又はこれらから任意に選択した2つの値の範囲(範囲の端点の値は含めても除いていてもよい)とすることができ、樹脂組成物の着色がより少ない等の点から、0.03〜0.50質量%がより好ましく、0.04〜0.40質量%が最も好ましい。従来、例えば特開2011−178964号に記載されるように、酢酸ナトリウム等の金属は、PVAの製造工程で洗浄工程等によって取り除いていたにもかかわらず、上記した特定量をビニルアルコール系共重合体(A)と組み合わせて用いることによって、樹脂組成物の加熱処理時の着色を顕著に抑えることができ、樹脂組成物の粘度安定性にも優れる。
本発明の樹脂組成物は、ビニルアルコール系共重合体(A)に、アルカリ金属化合物(B)を樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して、上記の割合になるように混合して得ることができる。混合の方法は特に限定されず、得られる樹脂組成物の物性が均一になることから、均一に混合することが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、さらに、必要に応じて添加剤を適宜配合できる。添加剤としては、例えば、充填剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、加工安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、光安定剤、他の熱可塑性樹脂、消泡剤、剥離剤、離型剤、防腐剤、香料、消臭剤、増量剤、防錆剤等が挙げられる。または、本発明の樹脂組成物は、主成分(前記(A)及び(B)成分)以外の他の成分(例えば、前記添加剤等)は、5.0質量%未満であってもよく、1.0質量%未満であってもよく、0.5質量%未満であってもよい。
本発明の樹脂組成物として、黄色度(YI)が5.0以下のものが好ましく、3.0以下のものがより好ましく、1.5以下ものがさらに好ましく、1.0以下ものが特に好ましい。黄色度(YI)の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。また、本発明の樹脂組成物として、水溶液の表面張力が62.0mN/m以下のものが、エマルジョン重合の安定性に優れる点から、好ましい。表面張力の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明の樹脂組成物は、その特性を利用して単独で又は他の成分を添加した組成物として、成形、紡糸、エマルジョン化等の公知方法に従い、ビニルアルコール系(共)重合体が用いられる各種用途に使用可能である。例えば各種用途の界面活性剤;各種のコーティング剤;紙用内添剤及び顔料バインダー;塗料;経糸糊剤;繊維加工剤;ポリエステル等の疎水性繊維の糊剤;各種フィルム、シート、ボトル、繊維、増粘剤、凝集剤、土壌改質剤、イオン交換樹脂、イオン交換膜等に使用できる。
(水性エマルジョン)
本発明のビニルアルコール系共重合体(A)は、エチレン性不飽和単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体の(共)重合を行う際の乳化重合用安定剤として好適に用いられる。また、前記樹脂組成物を乳化重合用安定剤として使用してもよい。これにより、重合安定性、粘度安定性、耐水性にも優れる水性エマルジョンを得ることができる。上記水性エマルジョンは、当該乳化重合用安定剤を分散剤として、上記エチレン性不飽和単量体の重合体を分散質として含有する。また、本発明のビニルアルコール系共重合体(A)は、既知のポリビニルアルコールを用いて作製された水性エマルジョンに後添加することによっても、耐水性に優れる水性エマルジョンを提供することができる。
上記エチレン性不飽和単量体としては、例えば以下のものが挙げられる。
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;
塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリド等のハロゲン化オレフィン系単量体;
ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル系単量体;
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル系単量体;
アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの四級化物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩等のアクリルアミド系単量体;
エチレン性不飽和二重結合を有する脂肪族アルデヒドのアセタール化物;
スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のスチレン系単量体;
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;
その他、N−ビニルピロリドン等。
これらは単独又は2種以上を混合して重合に用いられる。上記エチレン性不飽和単量体の中でも、ビニルエステル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体及びジエン系単量体が好ましく、ビニルエステル系単量体単独、エチレンとビニルエステル系単量体との併用及びビニルエステル系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の併用がより好ましい。
(水性エマルジョンの調製)
上記水性エマルジョンは、当該乳化重合用分散安定剤を用いて、水溶液中で重合開始剤の存在下、上記エチレン性不飽和単量体を一時又は連続的に添加して、このエチレン性不飽和単量体を乳化重合することにより調製される。また、エチレン性不飽和単量体を、あらかじめ変性PVA水溶液を用いて乳化したものを、連続的に重合反応系に添加する乳化重合法も採用できる。変性PVA系重合体の使用量は特に限定されないが、分散質である重合体100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましい。
このようにして得られるエマルジョンは、そのまま、若しくは従来公知の添加剤を添加して各種の用途に利用される。例えば、各種接着剤、塗料、繊維加工剤、紙加工剤、無機物バインダー、セメント混和剤、モルタルプライマー等広範な用途に利用される。さらには、得られたエマルジョンを噴霧乾燥等により粉末化したいわゆる粉末エマルジョンとしても有効に利用される。
上記の水性エマルジョンは、木工用、紙工用等の接着用途をはじめ、塗料、繊維加工等に使用でき、中でも接着用途が好適である。上記方法で得られる水性エマルジョンをそのまま用いてもよいし、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、消泡剤、pH調整剤、溶剤、顔料、染料、防腐剤、増粘剤、架橋剤等を添加剤成分として添加して、水性エマルジョン組成物として使用してもよい。また、耐水性を向上させるために、耐水性改善成分として酸触媒(C)を添加して水性エマルジョン組成物として使用することができる。
酸触媒(C)としては、後記する耐水性組成物に使用する酸触媒(C)を使用することができる。
また、耐水性を向上させるために、上記の水性エマルジョンにヒドラジン化合物(D)を添加して水性エマルジョン組成物として使用してもよい。ヒドラジン化合物(D)としては、後記する耐水性組成物に使用するヒドラジン化合物(D)を使用することができる。一方で、上記の水性エマルジョン組成物は、酸触媒(C)以外の他の添加剤成分(例えば、ヒドラジン化合物(D)、アミン化合物、多価イソシアネート化合物、ポリエチレンイミン、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、アセトアセチル基含有化合物及びチオール化合物等)を実質的に含まないものであってもよい。
上記の水性エマルジョン組成物の皮膜の溶出率は、30.0%以下が好ましく、25.0%以下がより好ましく、20.0%以下がさらに好ましい。また、上記の水性エマルジョン組成物の皮膜の吸水率は、3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.5%以下がさらに好ましい。皮膜の溶出率及び吸水率の測定方法は、後記する実施例に記載のとおりである。
本発明のビニルアルコール系共重合体(A)又は前記共重合体を含む樹脂組成物は、水溶液の粘度安定性に優れ、フィルムの耐水性に優れるため、特にエマルジョン重合用の分散安定剤としての用途に好適である。
本発明のビニルアルコール系共重合体(A)又は前記共重合体を含む樹脂組成物を水溶液等で使用する際のpHは特に制限は無いが、pHが3〜7で使用することが好ましい。
[耐水性組成物]
本発明の耐水性組成物は、ビニルアルコール系共重合体(A)を含有し、前記ビニルアルコール系共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.1〜3.5のビニルアルコール系共重合体(A−1)である。また、当該耐水性組成物は、本発明の趣旨を損なわない限り、任意成分を含有していてもよい。
ビニルアルコール系共重合体(A)については、上述の樹脂組成物で説明したとおりである。Mw/Mnが2.1〜3.5のビニルアルコール系共重合体(A−1)においては、前記式(I)のR1のアルキル基として、メチル基が特に好ましい。本発明の耐水性組成物は、上記一般式(I)又は(II)で表される構造単位を含有し、Mw/Mnが2.1〜3.5であるビニルアルコール系共重合体(A−1)を用いることで、PVAへの変性による効果、すなわち耐水性の改善効果をより有効に奏することができる。
本発明の耐水性組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)における、一般式(I)又は(II)で表される構造単位の含有率は特に限定されないが、重合体中の全構造単位を100モル%として、好ましくは0.1〜10モル%であり、より好ましくは0.15〜9モル%、さらに好ましくは0.2〜8モル%である。含有率が0.1モル%未満であると、得られるビニルアルコール系共重合体の水溶液の粘度安定性、フィルムにした際の耐水性が不十分となることがある。一方、含有率が10モル%を超えると、ビニルアルコール系共重合体の水への溶解性が極度に低下し、取り扱いが困難になる傾向がある。なお、本発明において重合体中の構造単位とは、重合体を構成する繰り返し単位のことをいう。
本発明の耐水性組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)のJIS K 6726(1994年)に準拠して測定した粘度平均重合度(以下単に重合度と言うことがある)は特に限定されないが、工業的な製造上の観点から、5000以下が好ましく、4500以下がより好ましく、4000以下がさらに好ましい。また、皮膜にした際に当該皮膜の耐水性が低下することを考慮して、粘度平均重合度は、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、250以上がさらに好ましい。
後述するように、重合度の異なるPVA又はポリビニルエステルをブレンドする等の方法でPVA(A−1)のMw/Mnを調整する場合、各々のPVA又はポリビニルエステルの重合度も上記範囲であることが好ましい。
本発明の耐水性組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)のけん化度(すなわち、ビニルアルコール系共重合体における水酸基とエステル結合との合計に対する水酸基のモル分率)は特に限定されないが、水への溶解性が低下し取り扱い性が困難となるため、70モル%以上が好ましく、一般に製造が難しい点から、99.9モル%以下が好ましい。けん化度は、75〜99.8モル%がより好ましく、80〜99.5モル%がさらに好ましい。
本発明の耐水性組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比は、高温水中での皮膜の耐水性の観点から、Mw/Mnが2.1〜3.5であり、好ましくは2.15〜3.2であり、より好ましくは2.2〜3.0である。Mw/Mnが3.5を超えるビニルアルコール系共重合体の場合は、十分な皮膜の耐水性を得られないことがある。Mw/Mnが2.1未満のビニルアルコール系共重合体の場合は、一般に製造が難しい。
上記PVA(A−1)のMw/Mnを調整する方法には、重合度の異なるPVAをブレンドする方法;重合度の異なるポリビニルエステルをブレンドしたものをけん化する方法;ポリビニルエステルを製造する際にビニルエステル単量体の重合反応を多段式で行い、その各段階で重合度を調節して、得られたポリビニルエステルをけん化する方法;ポリビニルエステルを製造する際にビニルエステル単量体の重合反応の重合率を調整して、得られたポリビニルエステルをけん化する方法等が挙げられる。
なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ヘキサフルオロイソプロパノールを移動相に用い、示差屈折率検出器を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により、ポリメタクリル酸換算値として求めることができ、より具体的な方法としては、以下を採用することができる。
GPCカラム:東ソー社の「GMHHR(S)」2本
移動相:ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:0.2mL/分
試料濃度:0.100wt/vol%
試料注入量:10μL
検出器:示差屈折率検出器
標準物質:ポリメタクリル酸(例えば、Agilent Technologies社の「EasiVial PMMA 4mL tri−pack」)
上記の方法において、移動相として使用されるヘキサフルオロイソプロパノールには、GPCカラム充填剤への試料の吸着を抑制するために、トリフルオロ酢酸ナトリウム等の塩を添加するのが好ましい。塩の濃度としては、通常1〜100mmol/Lであり、好ましくは5〜50mmol/Lである。
本発明の耐水性組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)の製造方法は特に限定されない。別途後記する点を除いて、上記ビニルアルコール系共重合体(A)の製造方法を同様に使用できる。製造方法としては、例えば、ビニルエステル系単量体と、それと共重合可能でありかつ前記式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体とを共重合し、得られた共重合体のビニルエステル単位をビニルアルコール単位に変換する(けん化する)方法が挙げられる。一般式(I)又は(II)で表される構造単位の材料として用いる不飽和単量体は、上述したとおりである。
前記一般式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体(変性剤)とビニルエステル系重合体とを共重合する際の攪拌翼は公知のものが使用できる。重合反応液を攪拌する攪拌翼としては特に限定されるものではなく、ダブルヘリカルリボン翼、アンカー翼、ゲート翼、マックスブレンド翼等が用いられる。
前記一般式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体とビニルエステル系重合体とを共重合する際の攪拌翼の周速度は0.3m/s以上10.0m/s以下が好ましい。0.3m/s未満の場合、重合槽内の攪拌が不十分となり、分子量分布(Mw/Mn)が広くなり、変性が均一に行われない場合がある。
本発明の耐水性組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)の前記一般式(I)又は(II)で表される構造単位の主鎖中の配列については、例えば共重合の際の、重合開始剤、重合方式、モノマーの添加方法、重合時間、攪拌翼、攪拌翼の周速等を調整することによりブロック性の高い状態からランダムな状態まで制御することができるが、その中でも周速により調整する方法が望ましい。本発明に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)は、水溶液が粘度安定性に優れ、皮膜の耐水性も優れる点から、前記一般式(I)又は(II)で表される構造単位を主鎖にランダムに含有することが好ましい。
本発明の耐水性組成物に用いるポリビニルアルコール系共重合体(A−1)の主鎖中の前記一般式(I)あるいは(II)で表される構造単位の配列状態は、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)で分析できる。前記構造単位がランダムに存在する場合、残存酢酸基を除去したサンプルのNMRスペクトルにおける20−22ppmのピークが存在しない。このように構造単位がランダムに存在している場合は皮膜の耐水性に優れる。一方、前記構造単位がブロック性の高い状態で存在している場合には皮膜の耐水性が低下する場合がある。
本発明の耐水性組成物に用いるビニルアルコール系共重合体(A−1)の製造において、得られる共重合体の特性が優れる点から、共重合反応における未反応の式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体量(以下、単に「未反応単量体量」ともいう。)を、ビニルアルコール系共重合体に対して、0.1質量%以下にするのが好ましく、0.01質量%以下にするのがより好ましく、0.005質量%以下にするのがさらに好ましく、0.001質量%以下にするのが特に好ましい。未反応単量体量の下限値については、特に限定されず、ビニルアルコール系共重合体に対して、0.000001質量%以上、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.0005質量%以上のいずれかであってもよい。未反応単量体量は、上記した上限値と下限値から任意に選択した2つの値の範囲としてもよい(範囲の端点の値は含めても除いていてもよい)。このような未反応単量体量は、ビニルアルコール系共重合体の洗浄等によって調整可能である。また、未反応単量体量は下記実施例に記載されるヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる方法で測定できる。
(酸触媒(C))
本発明の耐水性組成物は、耐水性改善成分として、さらに酸触媒(C)を含むものが好ましい。酸触媒の存在によりビニルアルコール系共重合体に生成するアルデヒドとビニルアルコール系共重合体の水酸基との反応により架橋が進行し当該耐水性組成物から形成された皮膜等の耐水性をさらに向上させることができる。その結果、当該耐水性組成物は、耐水性が要求されるより多くの用途への幅広い適用が期待できるようになる。
本発明に用いる酸触媒(C)としては、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸;リンタングステン酸等のヘテロポリ酸;パラトルエンスルホン酸、尿酸、バルビツール酸、マレイン酸、シトラコン酸等の有機酸;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート(乳酸チタン)、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等の有機チタン化合物;オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロオキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩;酢酸ジルコニル、ギ酸ジルコニル等の有機酸のジルコニウム塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩等のジルコニウム化合物;塩化アルミニウム及びその水和物、硝酸アルミニウム及びその水和物、硫酸アルミニウム等のアルミニウム化合物;アンバーリスト(登録商標)、アンバーライト(登録商標)、ダウエックス(登録商標)等のスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂;スルホン化テトラフルオロエチレン樹脂等のスルホン酸型フッ素化アルキレン樹脂;モルデナイト、ゼオライト、活性白土、酸性白土等の無機固体酸等、従来知られている各種のものを用いることができ、これらの酸は単独で用いられてもよく、2種以上を併用されてもよい。これらの中でも、特に、硫酸、乳酸チタン化合物、アルミニウム化合物、無機固体酸が好ましい。
本発明の耐水性組成物において、ビニルアルコール系共重合体(A−1)に対する酸触媒(C)と質量比((C)/(A−1))としては、より有効に耐水性の改善効果を奏する点から、0.001以上25以下が好ましく、0.01以上10以下がより好ましく、0.02以上1以下がさらに好ましい。
また、耐水性を向上させるために、本発明の耐水性組成物は、他の耐水性改善成分としてヒドラジン化合物(D)を含有してもよく、実質的に含有していなくてもよい。本発明の耐水性組成物の実施態様として、例えば、(i)ビニルアルコール系共重合体(A−1)と、酸触媒(C)とを含む態様;(ii)ビニルアルコール系共重合体(A−1)と、ヒドラジン化合物(D)とを含む態様;(iii)ビニルアルコール系共重合体(A−1)と、酸触媒(C)とヒドラジン化合物(D)とを含む態様;(iv)ビニルアルコール系共重合体(A−1)と耐水性改善成分とを含み、前記耐水性改善成分として酸触媒(C)以外を実質的に含まない態様;(v)ビニルアルコール系共重合体(A−1)と耐水性改善成分とを含み、前記耐水性改善成分としてヒドラジン化合物(D)以外を実質的に含まない態様;(vi)ビニルアルコール系共重合体(A−1)と耐水性改善成分とを含み、前記耐水性改善成分として酸触媒(C)とヒドラジン化合物(D)以外を実質的に含まない態様;(vii)ビニルアルコール系共重合体(A−1)とアルカリ金属化合物(B)と酸触媒(C)とを含む態様;又は(viii)ビニルアルコール系共重合体(A−1)とアルカリ金属化合物(B)とヒドラジン化合物(D)とを含む態様;(ix)ビニルアルコール系共重合体(A−1)とアルカリ金属化合物(B)と酸触媒(C)とヒドラジン化合物(D)とを含む態様;(x)ビニルアルコール系共重合体(A−1)とアルカリ金属化合物(B)と耐水性改善成分とを含み、前記耐水性改善成分として酸触媒(C)以外を実質的に含まない態様;(xi)ビニルアルコール系共重合体(A−1)とアルカリ金属化合物(B)と耐水性改善成分とを含み、前記耐水性改善成分としてヒドラジン化合物(D)以外を実質的に含まない態様;又は(xii)ビニルアルコール系共重合体(A−1)とアルカリ金属化合物(B)と耐水性改善成分とを含み、前記耐水性改善成分として酸触媒(C)とヒドラジン化合物(D)以外を実質的に含まない態様等が挙げられる。アルカリ金属化合物(B)については、樹脂組成物で説明したとおりである。
ヒドラジン化合物(D)としては、特に制限はなく、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラード、ヒドラジンの塩酸、硫酸、硝酸、亜硫酸、リン酸、チオシアン酸、炭酸等の無機塩類及びギ酸、シュウ酸等の有機塩類等が挙げられ、さらに、ジヒドラジンとして、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等、従来知られている各種のものを用いることができる。これらの化合物は単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。これらの中でも、特に、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。一方で、本発明の耐水性組成物は、他の添加剤成分(例えば、ヒドラジン化合物、アミン化合物、多価イソシアネート化合物、ポリエチレンイミン、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、アセトアセチル基含有化合物及びチオール化合物等)を実質的に含まないものであってもよい。
(他の水溶性高分子)
当該耐水性組成物は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、当該耐水性組成物が含有する上述の変性PVA以外の公知の各種PVA、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の他の水溶性高分子を含有していてもよく、実質的に含有していなくてもよい。本明細書において、ある成分を「実質的に含まない」とは、当該対象の成分を完全に含まないこと又は本発明の効果を妨げる範囲では含まないことを意味する。例えば、ある成分を極微量含んでいても本発明の効果を妨げない限り、実質的に含まないものに含まれる。これらの他の水溶性高分子を配合する場合、その配合量は、当該耐水性組成物が含有する上記変性PVA(A−1)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
本発明の耐水性組成物には、さらに、必要に応じて添加剤を適宜配合できる。添加剤としては、例えば、充填剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、加工安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、光安定剤、他の熱可塑性樹脂、消泡剤、剥離剤、離型剤、防腐剤、香料、消臭剤、増量剤、防錆剤等が挙げられる。または、本発明の耐水性組成物は、主成分(前記(A)、(B)、(C)及び(D)成分)以外の他の成分(例えば、前記添加剤等)は、5.0質量%未満であってもよく、1.0質量%未満であってもよく、0.5質量%未満であってもよい。
当該耐水性組成物は、感温性バインダー、ゲル化剤、感温性接着剤、増粘剤等として好適に用いることができる。具体的には、例えば、紙用コーティング剤;内添サイズ剤;繊維加工剤;染料;グラスファイバーのコーティング剤;金属やガラスの表面コート剤;防曇剤等の被覆剤;木材、紙、アルミ箔、プラスチック等の接着剤;不織布バインダー;繊維状バインダー;石膏ボード及び繊維板等の建材用バインダー;各種エマルジョン系接着剤の増粘剤;尿素樹脂系接着剤の添加剤;セメント及びモルタル用添加剤;ホットメルト型接着剤;感圧接着剤等の各種接着剤;エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等の各種エチレン系不飽和単量体の乳化重合用分散剤;塗料、接着剤等の顔料分散用安定剤;塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル等の各種エチレン性不飽和単量体の懸濁重合用分散安定剤;繊維、フィルム、シート、パイプ、チューブ、水溶性繊維、暫定皮膜等の成形物;疎水性樹脂への親水性付与剤;土質改良剤;土質安定剤等を構成する成分として用いることができる。
本発明は、本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様を含む。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
[変性量]
ビニルアルコール系共重合体(A)の前記一般式(I)又は(II)の変性量については、1H−NMR(270MHz)により定量した。1H−NMR測定時のビニルアルコール系共重合体の溶媒は重水素化DMSOを用いた。
[配列状態]
ビニルアルコール系共重合体(A)の主鎖中の前記一般式(I)又は(II)で表される構造単位の配列状態については、13C−NMRにより評価した。13C−NMR測定時のビニルアルコール系共重合体の溶媒は重水素化DMSOを用いた。
[未反応単量体量の測定]
未反応単量体はクロマトグラフィー(島津製作所GC−14B)、ヘッドスペースサンプラー(島津製作所HSS−2B)を用いて定量した。密閉したバイアル管にビニルアルコール系共重合体500mgを秤量した。蒸留水10mlを加え、バイアル管を90℃に加熱しビニルアルコール系共重合体を完溶させた。バイアル管をオートサンプラーにセットし、バイアル温度80℃、カラム初期温度40℃、昇温速度20℃/分、最終温度250℃、気化室温度150℃、検出器温度250℃にて測定した。ガスクロマトグラフィーチャートの所定のリテンションタイムの式(III)又は(IV)で表される不飽和単量体に由来するピーク面積を求めた。検量線を用い、ビニルアルコール系共重合体に含まれる未反応単量体量を求めた。
ビニルアルコール系共重合体を含む樹脂組成物の水溶液状態の表面張力、粘度安定性、及び前記樹脂組成物を用いた皮膜の熱処理時の着色性を以下に示す方法で評価した。
[重合度]
実施例及び比較例で用いたPVAのけん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したビニルアルコール系(共)重合体について、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて次式により粘度平均重合度(P)を求めた。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
[けん化度]
各PVAのけん化度は、JIS K 6726(1994年)に記載の方法により求めた。
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)]
ヘキサフルオロイソプロパノールを移動相に用い、示差屈折率検出器を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により、ポリメタクリル酸メチル換算値として求めた。
GPCカラム:東ソー社の「GMHHR(S)」2本
移動相:ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:0.2mL/分
試料濃度:0.100wt/vol%
試料注入量:10μL
検出器:示差屈折率検出器(東ソー社製)
標準物質:Agilent Technologies社の「EasiVial PMMA 4mL tri−pack」)
なお、移動相として使用されるヘキサフルオロイソプロパノールには、GPCカラム充填剤への試料の吸着を抑制するために、トリフルオロ酢酸ナトリウム(20mmol/L)を添加した。
[水溶液の表面張力]
実施例及び比較例で得られたPVA樹脂組成物について、濃度0.3%水溶液を調製して、該水溶液を20℃で60分間静置した後、協和CBVP式表面張力計A3型(協和界面科学株式会社製)を用いてウィルヘルミー法(プレート法)により、該水溶液の表面張力(mN/m)を測定した。
[10%水溶液の粘度安定性]
実施例及び比較例で得られたPVA樹脂組成物について、濃度10%水溶液を調製した後、該水溶液を5℃にて静置し、静置から1時間後及び12時間後の該水溶液の粘度をB型回転粘度計(BLII型:東京計器社製)を用いて測定した。静置から1時間後の水溶液の粘度から12時間後の水溶液の粘度までの増粘倍率を求め、以下の通り評価した。
○:増粘倍率が6倍未満である。
×:増粘倍率が6倍以上である。
[PVAフィルムの着色性]
実施例及び比較例で得られたPVA樹脂組成物を2質量%水溶液となるように95℃で1時間加熱溶解し、室温まで冷却した後、PETフィルム上(20cm×20cm)にその水溶液を流延し、20℃65%RHの条件下で1週間乾燥させて前記PETフィルムから剥離し、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムをステンレス製の金属型枠(20cm×20cmで幅1cmの金属枠)にクリップで固定し、ギアオーブンにて120℃で3時間加熱処理した。スガ試験機製SMカラーコンピュータSM−T−Hを用いて得られた熱処理フィルムの黄色度(YI)を評価した。
[実施例1−1]
還流冷却器、原料供給ライン、温度計、窒素導入口、攪拌翼を備えた、槽内容量10リットルのガラス製重合容器(第1連続重合装置)と、還流冷却器、原料供給ライン、反応液取出ライン、温度計、窒素導入口、攪拌翼を備えた装置を用いた。連続重合槽には酢酸ビニル(543g/h)、メタノール(45g/h)、20%アクロレインジメチルアセタール含有メタノール溶液(36g/h)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)の1%メタノール溶液(0.5g/h)を定量ポンプを用いて連続的に供給した。重合槽内の液面が一定になるように重合槽から重合液を連続的に取り出した。重合槽出口の重合率が40.0%になるよう調整した。重合槽の滞留時間は4時間であった。攪拌翼周速は2.0m/sであった。重合槽出口の温度は63℃であった。重合槽より重合液を回収し、回収した液にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液(濃度33.5%)を得た。次に、このメタノール溶液149gにメタノール95.8gを加え、さらに、水酸化ナトリウムをメタノールに溶解させた水酸化ナトリウム溶液(濃度13.3%)を4.72g添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液の変性ポリ酢酸ビニル(PVAc)濃度20%、変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.03)。
前記水酸化ナトリウム溶液を添加後約7分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で53分間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル200質量部を加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール500gを加えて1時間加熱還流した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱水して得られた白色固体を真空乾燥機にて、40℃で24時間乾燥させ、一般式(I)で表される構造単位を含む変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−1)を得た。得られた変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−1)について、重合度は1700であり、けん化度は98.5モル%であり、変性量(すなわち、変性ビニルアルコール系共重合体における式(I)で表される構造単位の含有率)は1.0モル%であり、未反応単量体量は0.001質量%であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.7であった。また、前記変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−1)には、残存酢酸基を除去したサンプルのNMRスペクトルにおける20−22ppmのピークが存在しなかった。すなわち、前記変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−1)には、一般式(I)で表される構造単位は主鎖にランダムに含有されていた。次いで、酢酸ナトリウムの含有量(ナトリウム換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.14質量%となるように酢酸ナトリウム(ナカライテスク(株))を添加して、均一に混合した。得られた樹脂組成物の物性(黄色度、表面張力及び粘度安定性)を表1に示す。
[実施例1−2〜1−6及び1−9〜1−11]
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用するコモノマーの種類や添加量等の重合条件、けん化条件(酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比)、及び酢酸ナトリウムの含有量(ナトリウム換算)を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1−1と同様の方法により樹脂組成物を製造した。変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−2〜PVA−6)及び樹脂組成物の物性を表1に示す。
[実施例1−7]
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル2110g、メタノール288g、コモノマーとしてアクロレインジメチルアセタールを28g仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15gを添加し重合を開始した。60℃で4時間重合した後、冷却して重合を停止した。攪拌翼周速は1.8m/sであった。重合停止時の重合率は30.0%であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応のモノマーの除去を行い、変性PVAcのメタノール溶液(濃度33.5%)を得た。次に、このメタノール溶液149gにメタノール95.8gを加え、さらに、水酸化ナトリウムをメタノールに溶解させた水酸化ナトリウム溶液(濃度13.3%)を4.72g添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液の変性PVAc濃度20%、変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.03)。
前記水酸化ナトリウム溶液を添加後約7分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で53分間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル200質量部を加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール500gを加えて1時間加熱還流した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱水して得られた白色固体を真空乾燥機にて、40℃で24時間乾燥させ、一般式(I)で表される構造単位を含む変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−7)を得た。得られた変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−7)について、重合度は1500であり、けん化度は98.5モル%であり、変性量(すなわち、変性ビニルアルコール系共重合体における式(I)に表される構造単位の含有率)は1.0モル%であり、未反応単量体量は0.001質量%であった。次いで、酢酸ナトリウムの含有量(ナトリウム換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.11質量%となるように酢酸ナトリウム(ナカライテスク(株))を添加して、均一に混合した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
[実施例1−8]
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用するコモノマーの種類や添加量等の重合条件、及び酢酸ナトリウムの含有量(ナトリウム換算)を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1−7と同様の方法により樹脂組成物を作製した。変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−8)及び樹脂組成物の物性を表1に示す。
[比較例1−1〜1−4、1−7]
酢酸ビニル及びメタノールの仕込み量、重合時に使用するコモノマーの種類や添加量、攪拌翼の周速等の重合条件、及び酢酸ナトリウムの含有量(ナトリウム換算)を表1に示すように変更し、未反応単量体量が表1記載の量になるように重合時の反応温度、時間等の重合条件を変更したこと以外は、実施例1−1と同様の方法により樹脂組成物を作製した。変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−9〜PVA−12、PVA−15)及び樹脂組成物の物性を表1に示す。
[比較例1−5]
還流冷却器、原料供給ライン、温度計、窒素導入口、攪拌翼を備えた、槽内容量10リットルのガラス製重合容器(第1連続重合装置)と、還流冷却器、原料供給ライン、反応液取出ライン、温度計、窒素導入口、攪拌翼を備えた装置を用いた。連続重合槽には酢酸ビニル(407g/h)、メタノール(71g/h)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)の1%メタノール溶液(0.5g/h)を定量ポンプを用いて連続的に供給した。重合槽内の液面が一定になるように重合槽から重合液を連続的に取り出した。重合槽出口の重合率が40.0%になるよう調整した。重合槽の滞留時間は2時間であった。攪拌翼周速は1.2m/sであった。重合槽出口の温度は63℃であった。重合槽より重合液を回収し、回収した液にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液(濃度30%)を得た。次に、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液497gに、水酸化ナトリウムをメタノールに溶解させた水酸化ナトリウム溶液(濃度10.0%)を14.0g添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液のPVAc濃度20%、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.03)。
前記水酸化ナトリウム溶液を添加後約1分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で59分間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500質量部を加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて1時間加熱還流した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱水して得られた白色固体を真空乾燥機にて、40℃で24時間乾燥させ無変性のポリビニルアルコール(PVA−13)を得た。得られた無変性のPVA(PVA−13)について、重合度は1700、けん化度は98.5モル%であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.4であった。次いで、酢酸ナトリウムの含有量(ナトリウム換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.70質量%となるように酢酸ナトリウム(ナカライテスク(株))を添加して、均一に混合した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
[比較例1−6]
けん化時における変性PVAcの濃度、酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件、及び酢酸ナトリウムの含有量(ナトリウム換算)を表1に示すように変更したこと以外は、比較例1−5と同様の方法により樹脂組成物を作製した。無変性のPVA(PVA−14)及び樹脂組成物の物性を表1に示す。
Figure 2016013221
[製造実施例1]
(水性エマルジョン:Em−1の作製)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、PVA−1を19.5g仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4g及び5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比で0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9g及び5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(Em−1)が得られた。得られた水性エマルジョンの重合安定性及び粘度安定性を下記の要領で評価した。結果を表2に示す。
(エマルジョンの評価)
(1)乳化重合安定性
得られたエマルジョン500gを60メッシュの金網にてろ過し、ろ過残分を秤量することで、評価した。
(2)粘度安定性
得られたエマルジョンを5℃及び50℃に静置した場合の30日後の粘度変化を、B型回転粘度計(BLII型:東京計器社製)を用いて測定し、静置直後から30日後までの増粘倍率を求め、以下の通り評価した。
○:増粘倍率が1.5倍未満である。
×:増粘倍率が1.5倍以上である。
製造実施例1で得られた「Em−1」100質量部(固形分)に対して、触媒に硫酸を0.3質量部配合して水性エマルジョン組成物を調製した。得られた水性エマルジョン組成物の皮膜耐水性及び接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)を下記の要領で評価した。結果を表2に示す。
(エマルジョン組成物の評価)
(1)皮膜の耐水性
得られた水性エマルジョン組成物を20℃、65%RHの条件下でPETフィルム上に流延した。その後、7日間放置することで乾燥させた後、PETフィルムから剥離し、500μmの乾燥皮膜を得た。この皮膜を直径2.5cmの円形に打ち抜き、それを試料として煮沸水に4時間浸漬した後の、皮膜の溶出率(%)及び吸水率(%)を求めた。
溶出率(%):{1−(浸漬後の皮膜絶乾質量/浸漬前の皮膜絶乾質量)}×100
吸水率(%):{(浸漬後の皮膜吸水質量/浸漬前の皮膜絶乾質量)−1}×100
*浸漬前の皮膜絶乾質量:浸漬前の皮膜質量(含水)−(浸漬前の皮膜質量(含水)×皮膜含水率(%)/100)
*皮膜含水率:皮膜(20℃水に浸漬するサンプルとは別のサンプル)を、105℃、4時間で絶乾し、皮膜の含水率をあらかじめ求める。
*浸漬後の皮膜絶乾質量:浸漬後の皮膜を105℃、4時間で絶乾した後の皮膜の質量
*浸漬後の皮膜吸水質量:浸漬後の皮膜を水から引き上げた後、皮膜に付着している水をガーゼで拭き取った後の皮膜の質量
(2)耐水及び耐煮沸水接着力
ブナ材を用いた試験
得られた水性エマルジョン組成物をヨーロッパ産ブナ材(柾目)に150g/m2塗布し、はりあわせて7kg/m2の荷重で16時間圧締した。その後、解圧し、20℃、65%RHの条件下で7日間養生した後、British Standard BS EN204のD3規格(Serial number of conditioning sequenceの1、2、3)及びD4規格(Serial number of conditioning sequenceの4、5)により引張りせん断接着強度(N/mm2)を測定した。Serial number of conditioning sequenceの各試験条件を示す。
1:20℃、65%RHの条件下で7日間放置後、そのまま測定した。
2:20℃の水中に4日間浸漬し、濡れたまま測定した。
3:20℃の水中に4日間浸漬後、20℃、65%RHの条件下で7日間風乾し、測定した。
4:煮沸水中に6時間浸漬、20℃の水中に2時間浸漬し、濡れたまま測定した。
5:煮沸水中に6時間浸漬、20℃の水中に2時間浸漬後、20℃、65%RHの条件下で7日間風乾し、測定した。
[製造実施例2〜11]
製造実施例2〜11として、水性エマルジョン重合時に分散安定剤として用いるPVAの種類を表2に示すように変更したこと以外は、製造実施例1と同様の方法により水性エマルジョン(Em−2〜Em−11)を得た。得られた水性エマルジョンの重合安定性及び粘度安定性を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。さらに、前記水性エマルジョン(Em−2〜Em−11)を用いた以外は、製造実施例1と同様の方法により水性エマルジョン組成物を調製した。得られた水性エマルジョン組成物の皮膜耐水性及び接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[製造実施例12〜16]
製造実施例12〜16として、水性エマルジョンに添加する触媒の種類を表2に示すように変更したこと以外は、製造実施例1と同様の方法により水性エマルジョン組成物を得た。得られた水性エマルジョン組成物の皮膜耐水性及び接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[製造実施例17]
いかり型攪拌機を備えた内容量1.5リットルのステンレス型オートクレーブに、蒸留水、酢酸ビニル36質量部、PVA−2を3.0質量部、アスコルビン酸0.2質量部を仕込んだ。続いてオートクレーブ内の空気をエチレンで充分に置換した。攪拌下、重合温度を60℃に、エチレン圧を5.0MPaに昇圧した。続いて、過酸化水素0.1質量部を8時間かけて均一に添加すると共に、酢酸ビニル12質量部を6時間かけて均一に添加した。エチレン圧は酢酸ビニル添加終了まで5.0MPaを保った。触媒添加終了後に冷却して、消泡剤及びpH調整剤を添加し、水性エマルジョンを得た(Em−12)。得られた水性エマルジョンの重合安定性及び粘度安定性を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。さらに、前記水性エマルジョン(Em−12)を用いた以外は、製造実施例1と同様の方法により水性エマルジョン組成物を調製した。得られた水性エマルジョン組成物の皮膜耐水性及び接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[製造比較例1〜4、7]
水性エマルジョン重合時に分散安定剤に用いるPVAの種類を表2に示すように変更したこと以外は、製造実施例1と同様の方法により水性エマルジョン(Em−13〜Em−16、Em−19)を得た。得られた水性エマルジョンの重合安定性及び粘度安定性を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。さらに、前記水性エマルジョン(Em−13〜Em−16、Em−19)を用いた以外は、製造実施例1と同様の方法により水性エマルジョン組成物を調製した。得られた水性エマルジョン組成物の皮膜耐水性及び接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。ただし、比較例7については、粗大粒子となり、重合安定性が得られなかったため、水性エマルジョン組成物を調製しなかった。
[製造比較例5]
水性エマルジョン重合時に分散安定剤に用いるPVAの種類を表2に示すように変更したこと以外は、製造実施例1と同様の方法により水性エマルジョン(Em−17)を得た。得られた水性エマルジョンの重合安定性及び粘度安定性を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。前記水性エマルジョン(Em−17)には触媒を添加せず、前記水性エマルジョン(Em−17)からなる水性エマルジョン組成物について、皮膜耐水性及び接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
[製造比較例6]
水性エマルジョン重合時に分散安定剤に用いるPVAの種類を表2に示すように変更したこと以外は、製造実施例17と同様の方法により水性エマルジョン(Em−18)を得た。得られた水性エマルジョンの重合安定性及び粘度安定性を製造実施例17と同様に評価した。結果を表2に示す。前記水性エマルジョン(Em−18)には触媒を添加せず、前記水性エマルジョン(Em−18)からなる水性エマルジョン組成物について、皮膜耐水性及び接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)を製造実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2016013221
[実施例2−1]
実施例1−1で製造したPVA−1の10%水溶液を調製した。次いで、PVA−1の100質量部(乾燥質量基準)に対して、酸触媒(C)として硫酸を1質量部添加・混合し、耐水性組成物を得た。
[10%水溶液の粘度安定性]
この耐水性組成物の水溶液の40℃における粘度をB型回転粘度計(BLII型:東京計器社製)を用いて測定し、水溶液の調整直後から1週間後までの増粘倍率を求め、以下の通り評価した。
○:増粘倍率が2倍未満である。
×:増粘倍率が2倍以上である。
[皮膜の耐水性]
実施例1−1で製造したPVA−1の4%水溶液を調製した。次いで、PVA−1の100質量部(乾燥質量基準)に対して、酸触媒(C)として硫酸を5質量部添加・混合し、耐水性組成物を得た。
これを20℃で流延・乾燥し、厚み100μmの皮膜を得た。得られた皮膜を縦10cm、横10cmの大きさに切り出し、試験片を作製した。この試験片を90℃の蒸留水に2時間又は4時間浸漬した後、取り出し(回収作業)、皮膜の表面に付着した水分をガーゼで拭き取った後、水膨潤時の質量を測定した。水膨潤時の質量を測定した試験片を105℃で16時間乾燥した後、乾燥時の質量を測定した。ここで水膨潤時の質量を乾燥時の質量で除した値を求めてこれを膨潤度(倍)とし、以下の基準にしたがって判定した。
A:2.0倍未満
B:2.0倍以上5.0倍未満
C:5.0倍以上
D:浸漬した試験片の回収作業ができなかった
[実施例2−2〜2−6]
実施例1−2〜1−6と同様の方法によりPVA−2〜PVA−6を作製した。変性ビニルアルコール系共重合体の物性を表3に示す。さらに、PVAの種類と酸触媒(C)の種類を表3に示すように変更したこと以外は、実施例2−1と同様に製造した耐水性組成物の物性(粘度安定性及び皮膜の耐水性)を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−7]
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル2110g、メタノール288g、コモノマーとしてアクロレインジメチルアセタールを57g仕込み、窒素バブリングをしながら30分間系内を窒素置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.15gを添加し重合を開始した。60℃で4時間重合した後、冷却して重合を停止した。攪拌翼周速は1.8m/sであった。重合停止時の重合率は30.0%であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応のモノマーの除去を行い、変性PVAcのメタノール溶液(濃度33.5%)を得た。次に、このメタノール溶液149gにメタノール95.8gを加え、さらに、水酸化ナトリウムをメタノールに溶解させた水酸化ナトリウム溶液(濃度13.3%)を4.72g添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液の変性PVAc濃度20%、変性PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.03)。
前記水酸化ナトリウム溶液を添加後約7分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で53分間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル200質量部を加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール500gを加えて1時間加熱還流した。上記の洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱水して得られた白色固体を真空乾燥機にて、40℃で24時間乾燥させ、一般式(I)で表される構造単位を含むビニルアルコール系共重合体(PVA−7B)を得た。得られた変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−7B)について、重合度は1500であり、けん化度は98.5モル%であり、変性量(すなわち、ビニルアルコール系共重合体における式(I)で表される構造単位の含有率)は2.0モル%であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.9であった。また、前記変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−7B)には、残存酢酸基を除去したサンプルのNMRスペクトルにおける20−22ppmのピークが存在しなかった。すなわち、前記変性ビニルアルコール系共重合体(PVA−7B)には、一般式(I)で表される構造単位は主鎖にランダムに含有されていた。さらに、PVA−1をPVA−7Bに変更した以外は、実施例2−1と同様に製造した耐水性組成物の物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−8]
実施例1−8と同様の方法によりPVA−8を作製した。PVA−8の物性を表3に示す。さらに、PVA−1をPVA−8に変更し、実施例2−1と同様に製造した耐水性組成物の物性を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−9〜2−13]
耐水性組成物に添加する酸触媒の種類を表3に示すように変更したこと以外は、実施例2−1と同様の方法により耐水性組成物を得た。得られた耐水性組成物の物性を実施例2−1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
[実施例2−14]
実施例2−2のPVA−2に酸触媒を添加しない以外は、実施例2−2と同様の方法により耐水性組成物を得た。得られた耐水性組成物の物性を実施例2−1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
[比較例2−1〜2−4]
比較例1−1〜1−5と同様の方法によりPVA−9〜PVA−12を作製した。変性ビニルアルコール系共重合体の物性を表3に示す。さらに、PVA−1をPVA−9〜PVA−12に変更し、実施例2−1と同様に製造した耐水性組成物の物性を評価した。結果を表3に示す。
[比較例2−5]
還流冷却器、原料供給ライン、温度計、窒素導入口、攪拌翼を備えた、槽内容量10リットルのガラス製重合容器(第1連続重合装置)と、還流冷却器、原料供給ライン、反応液取出ライン、温度計、窒素導入口、攪拌翼を備えた装置を用いた。連続重合槽には酢酸ビニル(407g/h)、メタノール(71g/h)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)の1%メタノール溶液(0.5g/h)を定量ポンプを用いて連続的に供給した。重合槽内の液面が一定になるように重合槽から重合液を連続的に取り出した。重合槽出口の重合率が40.0%になるよう調整した。重合槽の滞留時間は2時間であった。攪拌翼周速は1.2m/sであった。重合槽出口の温度は63℃であった。重合槽より重合液を回収し、回収した液にメタノール蒸気を導入することで未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル(PVAc)のメタノール溶液(濃度30%)を得た。次に、これにメタノールを加えて調製したPVAcのメタノール溶液497gに、水酸化ナトリウムをメタノールに溶解させた水酸化ナトリウム溶液(濃度10.0%)を14.0g添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液のPVAc濃度20%、PVAc中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比0.03)。
前記水酸化ナトリウム溶液を添加後約1分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で59分間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル500質量部を加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和が終了したことを確認した後、濾別して白色固体を得、これにメタノール2000gを加えて1時間加熱還流した。上記の洗浄操作を1回繰り返した後、遠心脱水して得られた白色固体を真空乾燥機にて、40℃で24時間乾燥させ無変性のポリビニルアルコール(PVA−13)を得た。得られた無変性ビニルアルコール(PVA−13)について、重合度は1700であり、けん化度は98.5モル%であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.4であった。さらに、PVA−1をPVA−13に変更し、実施例2−1と同様に製造した耐水性組成物の物性を評価した。結果を表3に示す。
[比較例2−6]
けん化時における酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比等のけん化条件を表3に示すように変更したこと以外は、比較例2−5と同様の方法によりPVA−14を製造した。PVA−14の物性を表3に示す。さらに、PVA−1をPVA−14に変更し、実施例2−1と同様に製造した耐水性組成物の物性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2016013221
本発明のビニルアルコール系樹脂組成物は、水溶液の粘度安定性に優れ、乾燥して得られる皮膜の着色が少ない。また、本発明によって、重合安定性と粘度安定性に優れる水性エマルジョンを製造することができる。さらには、皮膜の耐水性や接着力(耐水接着力及び耐煮沸水接着力)に優れる水性エマルジョン組成物を製造することができる。

Claims (14)

  1. 下記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)と、アルカリ金属化合物(B)とを含み、前記アルカリ金属化合物(B)の含有量(アルカリ金属換算)が、樹脂組成物(固形換算)の全質量に対して0.01〜0.55質量%であることを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 2016013221
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜8の整数である。)
    Figure 2016013221
    (式中、R1、R4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
  2. 前記式(I)又は(II)で表される構成単位が、(メタ)アクロレインのアセタール化物、3−メチル−3−ブテナールのアセタール化物、3−ブテナールのアセタール化物、4−ペンテナールのアセタール化物、5−ヘキセナールのアセタール化物、6−ヘプテナールのアセタール化物、7−オクテナールのアセタール化物、1分子中に少なくとも2個のアルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するブテン酸類のアセタール化物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するペンテン類のアセタール化物、1分子中に2個のアルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートのアセタール化物からなる群から選ばれる1種以上の化合物からなる単位であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ビニルアルコール系共重合体(A)が、前記式(I)又は(II)で表される構造単位を0.1〜10モル%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ビニルアルコール系共重合体(A)のけん化度が、70〜99.9モル%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ビニルアルコール系共重合体(A)の粘度平均重合度が、100〜5000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 下記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)を含むことを特徴とする乳化重合用分散安定剤。
    Figure 2016013221
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜8の整数である。)
    Figure 2016013221
    (式中、R1、R4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
  7. 下記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有するビニルアルコール系共重合体(A)を含み、前記ビニルアルコール系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.1〜3.5であることを特徴とする耐水性組成物。
    Figure 2016013221
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜8の整数である。)
    Figure 2016013221
    (式中、R1、R4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
  8. 前記ビニルアルコール系共重合体(A)が、前記式(I)又は(II)で表される構成単位を主鎖にランダムに含有することを特徴とする請求項7に記載の耐水性組成物。
  9. さらに、酸触媒(C)を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の耐水性組成物。
  10. 前記ビニルアルコール系共重合体(A)が、前記式(I)又は(II)で表される構造単位を0.1〜10モル%含有することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の耐水性組成物。
  11. 前記ビニルアルコール系共重合体(A)のけん化度が、70〜99.9モル%であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の耐水性組成物。
  12. 前記ビニルアルコール系共重合体(A)の粘度平均重合度が、100〜5000であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の耐水性組成物。
  13. 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.1〜3.5であり、下記一般式(I)又は(II)で表される構成単位を含有することを特徴とするビニルアルコール系共重合体。
    Figure 2016013221
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜8の整数である。)
    Figure 2016013221
    (式中、R1、R4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
  14. 請求項7〜12のいずれか1項に記載の耐水性組成物を製膜してなることを特徴とする皮膜。
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