JP2016113484A - ポリビニルアルコール系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる架橋剤としては、アルデヒド化合物、アミン化合物、ヒドラジド化合物、メチロール化合物、金属化合物などが知られているが、中でも少量の使用で耐水性に優れた架橋物が得られる点や、水溶液で流通しているため、一般的に水系で用いるPVA系樹脂に適用が容易である点などから、アルデヒド化合物であるグリオキザールやヒドラジド化合物であるアジピン酸ジヒドラジドが好適に用いられてきた。
そこで、本発明では、耐水性に優れるポリビニルアルコール系樹脂組成物を得ることを目的とする。
かかる効果の発現メカニズムは、明確には解明されていないが、高重合度のAA化PVAの近傍に多量の低重合度のAA化PVAが存在することにより、低重合度のAA化PVAが高重合度のAA化PVA同士の橋渡しをし、耐水性が向上したものであると推測される。
更に、低重合度のAA化PVAは、高重合度のAA化PVAよりも分子鎖が短いため、分子の動きの自由度が高く、架橋点に移動しやすく、架橋が緻密になり、耐水性が向上すると推測される。
〔低重合度AA化PVA(A)〕
本発明に用いられる低重合度AA化PVA(A)は、PVA系樹脂の主鎖に直接、あるいは酸素原子や連結基を介してAA基が結合したもので、例えば一般式(1)で表されるAA基を有する構造単位を含むポリビニルアルコール系樹脂が上げられる。なお、かかる低重合度AA化PVA(A)は、AA基を有する構造単位以外にビニルアルコール構造単位を有し、更に未ケン化部分のビニルエステル構造単位を有する。
なお、平均重合度はJIS K 6726に準拠して測定することができる。
なお、本明細書において、低重合度AA化PVA(A)の4重量%水溶液粘度は、AA化PVA(A)の4重量%水溶液を調製し、JIS K6726に準拠して測定した20℃における粘度である。
なお、AA化度は、低重合度AA化PVA(A)の総エステル基量と酢酸エステル基量との差から求めることができる。
なお、ケン化度はJIS K 6726に準拠して測定することができるもので、PVA系樹脂中のビニルエステル構造単位以外の構造単位の含有率である。
かかる共重合モノマーの導入量は、モノマーの種類によって異なるため一概にはいえないが、通常は全構造単位の10モル%以下、特には5モル%以下である。共重合モノマーの導入量が多すぎると、水溶性が損なわれたり、架橋剤との相溶性が低下したりする傾向がある。
本発明に用いられる高重合度AA化PVA(B)は、平均重合度が2000〜4000であり、好ましくは2200〜3500、特に好ましくは2300〜3000である。
また、高重合度AA化PVA(B)の4重量%水溶液粘度は、通常40〜200mPa・sであり、好ましくは50〜180mPa・s、更に好ましくは55〜120mPa・sである。かかる粘度が低すぎると、耐水性が低下する傾向があり、高すぎると、製造が困難となる傾向がある。
本発明のポリビニルアルコール系樹脂組成物の低重合度AA化PVA(A)と低重合度AA化PVA(B)との含有比(A/B)(重量比)は、通常、99.5/0.5〜85/15であり、好ましくは99/1〜90/10、更に好ましくは95/5〜90/10である。低重合度AA化PVA(A)および高重合度AA化PVA(B)が多すぎても、または少なすぎても、耐水性が低下する傾向がある。
低重合度AA化PVA(A)と高重合度AA化PVA(B)の平均重合度の差は、通常、500〜3000、好ましくは800〜2500、更に好ましくは1000〜2000である。平均重合度が低すぎると、耐水性が低下する傾向があり、高すぎると、製造が困難となる傾向がある。
また、低重合度AA化PVA(A)と高重合度AA化PVA(B)のケン化度の差は、通常、0〜20モル%、好ましくは0〜10モル%、特に好ましくは0〜5モル%である。かかる差が大きすぎると相溶性が低下する傾向がある。
また、低重合度AA化PVA(A)と高重合度AA化PVA(B)のAA化度の差は、通常、0〜10モル%、好ましくは0〜5モル%、特に好ましくは0〜3.5モル%である。かかる差が大きすぎると耐水性が低下する傾向がある。
乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、凝析後の温風乾燥が挙げられる。
本発明のPVA系樹脂組成物は、更に、架橋剤(C)を含有していてもよい。
かかる架橋剤(C)としては、特に限定されず、例えば、AA化PVA(A)及び(B)の架橋剤として公知のものを用いることができ、クロム化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、ホウ素化合物等の無機系架橋剤や、グリオキザール、グリオキシル酸及びその金属塩、尿素樹脂、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン系化合物、ヒドラジン系化合物、イソシアネート系化合物、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、アルデヒド系化合物、N−メチロール系化合物、アクリロイル系化合物、活性ハロゲン系化合物、エチレンイミノ系化合物等の有機系架橋剤や、金属、金属錯塩を挙げることができる。
(1)成形物関係:繊維、フィルム、シート、パイプ、チューブ、防漏膜、暫定皮膜、ケミカルレース用繊維、水溶性繊維など
(2)接着剤関係:木材、紙、アルミ箔、プラスチック等の接着剤、粘着剤、再湿剤、不織布用バインダー、石膏ボードや繊維板等の各種建材用バインダー、各種粉体造粒用バインダー、セメントやモルタル用添加剤、ホットメルト型接着剤、感圧接着剤、アニオン性塗料の固着剤など
(3)被覆剤関係:紙のクリアーコーティング剤、紙の顔料コーティング剤、紙の内添サイズ剤、繊維製品用ザイズ剤、経糸糊剤、繊維加工剤、皮革仕上げ剤、塗料、防曇剤、金属腐食防止剤、亜鉛メッキ用光沢剤、帯電防止剤、導電剤、暫定塗料など
(4)疎水性樹脂用ブレンド剤関係:疎水性樹脂の帯電防止剤、及び親水性付与剤、複合繊維、フィルムその他成形物用添加剤など
(5)懸濁分散安定剤関係:塗料、墨汁、水性カラー、接着剤等の顔料分散安定剤、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等の各種ビニル化合物の懸濁重合用分散安定剤など
(6)乳化分散安定剤関係:各種アクリルモノマー、エチレン性不飽和化合物、ブタジエン性化合物の乳化重合用乳化剤、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂等疎水性樹脂、エポキシ樹脂、パラフィン、ビチューメン等の後乳化剤など
(7)増粘剤関係:各種水溶液やエマルジョンや石油掘削流体の増粘剤など
(8)凝集剤関係:水中懸濁物及び溶存物の凝集剤、パルプ、スラリーの濾水性など
(9)交換樹脂等関係:イオン交換樹脂、キレート交換樹脂、イオン交換膜など
(10)その他:土壌改良剤、感光剤、感光性レジスト樹脂など
なお、PVA系樹脂の平均重合度、ケン化度、AA化度は、以下の方法により測定した。
(a)平均重合度
JIS K6726に基づいて測定した値である。
(b)ケン化度
原料PVA系樹脂の残存酢酸エステル基の加水分解に要するアルカリ消費量から求めた値であり、JIS K6726に基づいて測定した値である。
(c)AA化度
ケン化度と同様の方法によってAA化PVAの総エステル基量(アセト酢酸エステル基+酢酸エステル基)を求め、ケン化度測定で求めた原料PVA系樹脂の酢酸エステル基量との差からAA化度(モル%)を求めた。
{AA化PVA(A)の製造}
PVA系樹脂(ケン化度99モル%、4重量%水溶液の粘度14.5mPa・s、重合度1100)を、ニーダーに100部仕込み、これに酢酸30部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン5部を3時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄した後、70℃で12時間乾燥してAA化PVA(A)を得た。かかるAA化PVA(A)のAA化度5モル%であり、ケン化度および平均重合度は用いたPVA系樹脂の通りである。
PVA系樹脂(ケン化度98.0モル%、4重量%水溶液の粘度52mPa・s、重合度2400)を、ニーダーに100部仕込み、これに酢酸30部を入れ、膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン5部を5時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄した後、70℃で12時間乾燥してAA化PVA(B)を得た。かかるAA化PVA(B)のAA化度4.5モル%であり、ケン化度および平均重合度は用いたPVA系樹脂の通りである。
該AA化PVA(A)99重量部と、AA化PVA(B)1重量部とを混合し、90℃の水に溶解させ、濃度10重量%の水溶液を得た。
かかる水溶液を室温まで冷却し、グリオキシル酸ナトリウムの10重量%水溶液を、AA化PVA(A)と(B)の合計量に対して5重量%を添加し、よく混合した後、10cm×10cmの型に流し込み、23℃、50%RHの条件下で3日間風乾し、厚さ100μmのフィルムを得た。得られたフィルムをオーブン中で70℃、5分間熱処理をした。
得られたフィルムを80℃の熱水に1時間浸漬して、フィルムの溶出率(%)を測定した。なお、溶出率(%)の算出にあたっては、熱水浸漬前のフィルムの乾燥重量(X1)および熱水浸漬後のフィルムの乾燥重量(X2)(いずれもg)を求め、下式にて溶出率(%)を算出した。その結果を表1に示した。
溶出率(%)=[(X1―X2)/X1]×100
AA化PVA(A)とAA化PVA(B)の含有比(A/B)(重量比)を95/5に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。実施例1と同様に評価して、その結果を表1に示した。
AA化PVA(A)とAA化PVA(B)の含有比(A/B)(重量比)を90/10に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。実施例1と同様に評価して、その結果を表1に示した。
AA化PVA(B)を含有させなかった以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。実施例1と同様に評価して、その結果を表1に示した。
AA化PVA(A)を含有させなかった以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。実施例1と同様に評価して、その結果を表1に示した。
AA化PVA(A)とAA化PVA(B)の含有比(A/B)(重量比)を80/20に変更した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。実施例1と同様に評価して、その結果を表1に示した。
Claims (2)
- 平均重合度300〜1500のアセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)と、平均重合度2000〜4000のアセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有する組成物であり、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)とアセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(B)の含有比(A/B)(重量比)が99.5/0.5〜85/15であることを特徴とするポリビニルアルコール系樹脂組成物。
- 更に、架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリビニルアルコール系樹脂組成物。
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