JP4859637B2 - 水性エマルジョン組成物、およびそれを用いた接着剤。 - Google Patents

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Description

本発明は水性エマルジョン組成物に関し、さらに詳しくは、アセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂を分散剤とする水性エマルジョンに架橋剤を配合してなる組成物に関するもので、耐熱水性に優れた乾燥皮膜が得られ、粘度安定性に優れた水性エマルジョン組成物を得ることを目的とするものである。
従来より、酢酸ビニルやアクリル系単量体に代表されるエチレン性不飽和単量体の乳化重合において、分散剤としてポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する)が好適に使用されている。かかるエチレン性不飽和単量体の重合体を分散質とし、PVA系樹脂を分散剤とする水性エマルジョンは、木材用・紙用接着剤、粘着剤、バインダー、セメント・モルタル混和剤、紙・繊維加工剤、塗料などの用途に広く用いられている。
しかしながら、PVA系樹脂は水溶性樹脂であり、これを分散剤とする水性エマルジョンの乾燥皮膜は、残存するPVA系樹脂部分の影響により、耐水性、特に耐熱水性に乏しいものであった。
かかる課題を解決するため、水性エマルジョン中にPVA系樹脂の架橋剤を配合し、水性液として用いた後の乾燥時あるいはその後に熱処理を施すことでPVA系樹脂を架橋させ、水性エマルジョン乾燥皮膜に耐水性を付与する方法が提案されている。特に、かかる架橋反応を効率的に行わせるため、PVA系樹脂として架橋剤との反応性に優れた官能基を側鎖に有する変性PVA系樹脂を用いることが好ましく、例えば、アセト酢酸エステル基含有PVA系樹脂(以下、AA化PVA系樹脂と略記する。)を含む酢酸ビニル樹脂系エマルジョンに、架橋剤としてグリオキザールを配合してなる、耐水性に優れた水性エマルジョン型接着剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−279509号公報
しかしながら、特許文献1に記載の水性エマルジョンは、PVA系樹脂中のアセト酢酸エステル基(以下、AA基と略記する。)と架橋剤であるグリオキザールとの反応速度が大きいため、貯蔵時あるいは高温環境での使用時に増粘しやすく、貯蔵安定性が低い、あるいは可使時間が短いという問題点を有するものであった。
すなわち、耐熱水性に優れた乾燥皮膜が得られ、さらに粘度安定性に優れた水性エマルジョン組成物およびかかる水性エマルジョン組成物に用いられる架橋剤が望まれるところである。
なお、特許文献1に記載の技術においてPVA系樹脂の架橋剤として用いられているグリオキザールは微量のホルマリンを含有し、化学物質過敏症の原因となる可能性がある点などから、その代替材料が望まれている物質のひとつである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、分散剤がAA化PVA系樹脂である水性エマルジョンに、分子内に1つ以上のジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有するアセタール化合物を配合することによって上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本発明で用いられるアセタール化合物中のジアルキルアセタール基は、水性エマルジョンの貯蔵時や使用時の環境温度である5〜40℃では安定にアセタール構造を保持するため、AA化PVA系樹脂中のAA基と反応することはなく、水性エマルジョンを各種用途に使用し、その乾燥時あるいはその後の熱処理時、例えば40〜200℃においてジアルキルアセタール基が加水分解によってアルデヒド基へと変換され、その結果、複数のアルデヒド基を有する化合物となり、これらのアルデヒド基がアセト酢酸エステル基と反応してPVA系樹脂を架橋し、水性エマルジョンの乾燥皮膜に優れた耐熱水性を付与するものと推測される。
本発明の水性エマルジョン組成物は貯蔵安定性に優れ、可使時間が長く、耐熱水性に優れた乾燥皮膜が得られるため、耐水接着剤、塗料、コーティング剤などの用途に好適であり、工業上有用である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、分散剤がAA化PVA系樹脂であり、分散質がエチレン性不飽和単量体からなる重合体である水性エマルジョンに、分子内に1つ以上のジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有する化合物を配合してなる、水性エマルジョン組成物に関するものである。
まず、本発明において、AA化PVA系樹脂の架橋剤として用いられるアセタール化合物について説明する。
本発明に用いられるアセタール化合物は分子内に下記一般式(1)で表されるジアルキルアセタール基を有し、さらにアルデヒド基を1つ有する化合物である。換言すれば、分子内に複数のアルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基を1つだけ残してジアルキルアセタール化した化合物に相当する。
Figure 0004859637
一般式(1)で表されるジアルキルアセタール基中のR1及びR2はアルキル基であって、直鎖状あるいは分鎖状のいずれであってもよく、その炭素数は通常1〜6であり、特に炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。かかる炭素数が大きすぎると、水性エマルジョン組成物を各種用途に適用した後の乾燥あるいは熱処理時に、ジアルキルアセタール基が加水分解して生成するR1OHあるいはR2OHで表されるアルコールの沸点が高くなり、乾燥皮膜から十分に揮発しない場合があるため好ましくない。かかるアルキル基として、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等を挙げることができ、中でもメチル基が好ましく用いられる。
なお、かかるR1およびR2で示されるアルキル基は同じものであっても異なっていてもよいが、通常は同じものが用いられる。また、本発明の効果を大きくを阻害しない範囲において、アルキル基中の水素原子の一部がハロゲン、水酸基、アルコキシ基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等によって置換されていてもよい。
また、分子内にジアルキルアセタール基を複数有する場合には、それらのジアルキルアセタール基は同じものであっても異なっていてもよい。
かかるアセタール化合物中のジアルキルアセタール基の数は1つ以上であれば特に限定されるものではないが、疎水基であるため、多すぎると水溶性が低下する場合があり、通常は1〜5個、好ましくは1〜3個であるものが用いられる。
また、かかるアセタール化合物中のアルデヒド基の数は1つであり、その数が2つ以上になると本発明の効果である水性エマルジョン組成物の安定性が達成されなくなるため好ましくない。これは、アルデヒド基はAA化PVA系樹脂中のAA基と室温で容易に反応するが、分子内にその数が1つだけであればPVA系樹脂を架橋させる可能性が小さいが、複数になると容易に架橋構造を形成するようになり、その結果、水性エマルジョンを増粘させるためである。
本発明で用いられるアセタール化合物における、ジアルキルアセタール基とアルデヒド基以外の部分の化学構造については特に限定されないが、ジアルキルアセタール基とアルデヒド基が直接結合したものや、直鎖状あるいは分岐状アルキレン基に両官能基が結合したものが通常用いられる。なお、かかるアセタール化合物の分子量は通常104〜300、好ましくは104〜200、特には104〜150であるものが用いられ、分子量が小さいものほど添加量に対する効果が大きく得られるため好ましく、逆にかかる分子量が大きすぎると水溶性が乏しくなったり、所望する耐水性を得るための添加量が多くなったり、十分な耐水性が得られなくなったりするため好ましくない。
かかるアセタール化合物の具体例としては、ジメトキシエタナール(ジメトキシアセトアルデヒド)、ジエトキシエタナール(ジエトキシアセトアルデヒド)、ジ−n−プロポキシエタナールなどのジアルコキシエタナール、ジメトキシプロパナール(ジメトキシプロピオンアルデヒド)、ジエトキシプロパナール(ジエトキシプロピオンアルデヒド)などのジアルコキシプロパナール、ジメトキシブタナール、ジエトキシブタナールなどのジアルコキシブタナールなどを挙げることができ、中でも分子量が小さいという点でジアルコキシエタナール、特にジメトキシエタナールが好適に用いられる。
なお、かかるジメトキシエタナールを含む市販品としてクラリアント社製『ハイリンクDM』が挙げられる。
なお、かかるアセタール化合物の製造法は特に限定されるものではなく、公知の方法によって得られたものを用いることができるが、例えば、本願の目的に対して最も好ましい化合物であるジアルコキシエタナールの製造法としては、特開平5−246926号公報に示されるような、α、β−不飽和ジアルキルアセタールをオゾン酸化した後に、そのオゾン化生成物を接触水素添加する方法などを挙げることができる。
本発明の水性エマルジョン組成物は、上記の如きアセタール化合物をAA化PVA系樹脂の架橋剤として含有してなるもので、その含有量は特に制限されるものではないが、通常、水性エマルジョン組成物中のAA化PVA系樹脂100重量部に対して0.5〜100重量部、さらには1〜50重量部、特には2〜30重量部の範囲が好適に用いられる。また、AA化PVA系樹脂中の総AA基量(X)に対するジアルキルアセタール基およびアルデヒド基の総量(Y)のモル比(Y/X)は0.1〜10、さらには0.2〜5、特には0.3〜3の範囲であることが好ましい。かかるアセタール化合物の含有量が少なすぎると得られたエマルジョン皮膜の耐水性が不十分となる場合があり、逆に多すぎるとその使用環境等によっては水性エマルジョンが増粘しやすくなり、可使時間が短くなる場合があるため好ましくない。
次に、本発明の水性エマルジョンにおいて、分散剤として用いるAA化PVA系樹脂について説明する。かかるAA化PVA系樹脂は、市販されている公知の樹脂であり、その構造及び製造法については、例えば、特開昭55−094904号公報、特開昭55−137107号公報、特開昭57−040508号公報などによって公知のものであるが、その概要について詳しく説明する。
本発明で用いるAA化PVA系樹脂はPVA系樹脂の側鎖にアセト酢酸エステル基が導入されたものであり、かかるAA化PVA系樹脂中のアセト酢酸エステル基の含有量は、通常0.1〜20モル%程度であり、残る部分は、通常のPVA系樹脂と同様、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位と若干量の酢酸ビニル構造単位からなる。
かかるAA化PVA系樹脂を得るにはPVA系樹脂とジケテンを反応させる方法、PVA系樹脂とアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルの共重合体をケン化する方法等を挙げることができるが、製造が容易で品質の良いAA化PVA系樹脂が得られることから、PVA系樹脂とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましく、かかる方法について説明するがこれに限定されるものではない。
原料となるPVA系樹脂としては一般的にはポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をアルカリや酸などのケン化触媒によってケン化したケン化物又はその誘導体が用いられ、更には本発明の目的、あるいはAA化PVA系樹脂の樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば、酢酸ビニルと共重合性を有する単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物等を用いることもできる。
かかる単量体としては例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、ビニレンカーボネート類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン等が挙げられる。
得られたポリ酢酸ビニル系樹脂のケン化は公知の方法で行うことができるが、通常はポリ酢酸ビニル系樹脂をアルコール系溶媒に溶解させたのち、アルカリ触媒または酸触媒の存在下で行われる。アルコール系溶媒としては例えばメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノールや、メタノールと酢酸メチルの混合溶媒などの各種アルコールと酢酸メチルの混合溶媒などを使用することができる。アルコール系溶媒中のポリ酢酸ビニル系樹脂の濃度は通常10〜60重量%の範囲から選ばれる。
アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラートなどのアルカリ金属の水酸化物やアルコラートのようなアルカリ触媒を用いることができる。酸触媒としては塩酸、硫酸などの無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を用いることができる。アルカリ触媒の使用量はポリ酢酸ビニル系樹脂中の酢酸ビニル構造単位1モルに対して通常1〜100ミリモル、好ましくは1〜40ミリモル、特には1〜20ミリモルである。かかるアルカリ触媒の使用量が少なすぎると、目的とするケン化度までケン化度を上げることが困難となる傾向にあり、逆に多すぎると目的とするケン化度よりも高くなり過ぎる傾向となり制御が困難になるため好ましくない。
また、ケン化を行うときの温度はとくに制限されないが、通常10〜70℃であり、20〜50℃がより好ましい。
次に、ポリ酢酸ビニル系樹脂のケン化によって得られたPVA系樹脂とジケテンを反応させるわけであるが、この場合、PVA系樹脂とガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をPVA系樹脂に予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下でガス状または液状のジケテンを噴霧、反応させるか、またはPVA系樹脂に有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応させる等の方法が用いられる。
上記の反応を実施する際の反応装置としては加温可能で撹拌機の付いた装置であれば充分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる。
かくして得られたAA化PVA系樹脂中のアセト酢酸エステル基の含有量は、通常0.1〜20モル%、好ましくは0.2〜15モル%、特には0.3〜10モル%であり、かかる含有量が少なすぎると得られたエマルジョン皮膜の耐水化という本願の効果が充分発揮されない場合があり、逆に多すぎるとAA化PVA系樹脂水溶液の透明性が低下したり、未溶解物が生じたり、さらには水性エマルジョンの重合安定性が悪くなる場合があるため、好ましくない。
かかるAA化PVA系樹脂のケン化度は、通常80〜100モル%、好ましくは85〜99.7モル%、特には90〜99.5モル%であり、かかるケン化度が低すぎるとAA化PVA系樹脂の水溶性が低下する場合があるため好ましくない。
また、該AA化PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠)は、通常150〜4000、好ましくは200〜2800、特には300〜2500であり、かかる平均重合度が小さすぎると得られたエマルジョン皮膜の耐水性や強度が不十分となる場合があり、逆に大きすぎると水性エマルジョンの粘度が高くなりすぎて、取扱いが困難となる場合があるため、好ましくない。
次に、本発明の水性エマルジョン組成物において、分散質として用いられるエチレン性不飽和単量体からなる重合体について説明する。
かかるエチレン性不飽和単量体としてはエマルジョン重合に多く用いられる単量体が主として挙げられ、代表的なものとしてはビニルエステル系単量体、アクリル酸またはそのエステル系単量体、ジエン系単量体等、オレフィン系単量体、アクリルアミド系単量体、アクリルニトリル系単量体、スチレン系単量体、ビニルエーテル系単量体、アリル系単量体等が挙げられる。
かかるビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル、1−メトキシビニルアセテート、酢酸イソプロペニル等が、アクリル酸またはそのエステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸等が、ジエン系単量体としては、ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン、1,3又は2,3−ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−1,3等をそれぞれ挙げることができる。
さらに、オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン系単量体や塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類を、アクリルアミド系単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ジアセトンアクリルアミド等を、アクリルニトリル系単量体としては、(メタ)アクリルニトリル等を、スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等を、ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等を、アリル系単量体としては、酢酸アリル、塩化アリル等をそれぞれ挙げることができる。
また、上記以外にもフマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、無水トリメット酸等のカルボキシル基含有化合物及びそのエステルやエチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン化合物、更には酢酸イソプロペニル、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
上述の単量体からなる重合体は、水性エマルジョン組成物の使用用途、目的に応じて選定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば本発明の水性エマルジョンを接着剤として用いる場合には、その分散質は酢酸ビニル系樹脂を用いることが好ましく、同様に粘着剤用途にはアクリル系樹脂が、塗料・コーティング用途にはアクリル系樹脂またはアクリル−スチレン系樹脂が、繊維処理剤向けにはアクリル系樹脂が、製紙用途にはアクリル系樹脂が、土木用途にはエチレン−酢酸ビニル系樹脂やアクリル系樹脂が好ましく用いられる。
また、上述の重合体は、それぞれ単一の単量体からなる重合体であっても、2種類以上の単量体からなる共重合体であってもよい。
次に、本発明の水性エマルジョン組成物の製造法について説明する。
本発明の水性エマルジョン組成物は、AA化PVA系樹脂が分散剤で、エチレン性不飽和単量体からなる重合体が分散質である水性エマルジョンに上記アセタール化合物を配合してなるものである。かかる水性エマルジョンを作製するにあたっては、(ア)AA化PVA系樹脂を乳化剤あるいは保護コロイドとしてエチレン性不飽和単量体を乳化重合する方法、(イ)エチレン性不飽和単量体からなる重合体の溶液あるいは溶融液をAA化PVA系樹脂の存在下で後乳化する方法、(ウ)任意の方法で得られたエチレン性不飽和単量体からなる重合体の水性エマルジョンにAA化PVA系樹脂を添加してより安定なエマルジョンを製造する方法等を挙げることができ、これらについて具体的に説明するが、これらの方法に限定されるものではない。
〔(ア)乳化重合による方法〕
水、AA化PVA系樹脂及び重合触媒の存在下にエチレン性不飽和単量体及び/又はジエン系単量体等を一時又は連続的に添加して、加熱、撹拌する如き通常の乳化重合法や、水、AA化PVA系樹脂及び重合触媒の存在下に、エチレン性不飽和単量体及び/又はジエン系単量体をAA化PVA系樹脂の水溶液に混合分散した分散液(プレエマルジョン)を一時又は連続的に添加して、加熱、撹拌する如き乳化重合法が実施し得る。
AA化PVA系樹脂の使用量としては、エマルジョンの樹脂分等によって多少異なるが、通常乳化重合反応系のモノマー全体に対して0.5〜40重量%、さらには1〜35重量%、特には3〜30重量%とすることが好ましく、かかるAA化PVA系樹脂の使用量が少なすぎるとポリマー粒子を安定な乳化状態で維持することが困難となり、逆に多すぎるとエマルジョンの粘度が上がりすぎて作業性が低下したり、エマルジョン皮膜の耐水性が低下することとなり好ましくない。
重合開始剤としては、普通過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、臭素酸カリウム等がそれぞれ単独で又は酸性亜硫酸ナトリウムと併用して、更には過酸化水素−酒石酸、過酸化水素−鉄塩、過酸化水素−アスコルビン酸−鉄塩、過酸化水素−ロンガリット、過酸化水素−ロンガリット−鉄塩水溶液等のレドックス系重合開始剤が用いられ、また、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の油溶性の重合開始剤も用いることができる。
重合開始剤の添加方法としては、特に制限はなく、初期に一括添加する方法や重合の経過に伴って連続的に添加する方法等を採用することができる。
上記の乳化重合においては、乳化分散安定剤として、水溶性高分子や非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤を併用することもできる。
水溶性高分子としては、AA化PVA系樹脂以外の、未変性PVA、カルボキシル基含有PVA、PVAのホルマール化物、アセタール化物、ブチラール化物、ウレタン化物、スルホン酸、カルボン酸等のとのエステル化物等のPVA、ビニルエステルとそれと共重合可能な単量体との共重合体ケン化物等が挙げられる。ビニルエステルと共重合可能な単量体としてはエチレン、ブチレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩類、アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また、上記のPVA以外の水溶性高分子として、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミノメチルヒドロキシプロピルセルロース、アミノエチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体類、デンプン、トラガント、ペクチン、グルー、アルギン酸又はその塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はその塩ポリメタクリル酸又はその塩、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、酢酸ビニルとマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等不飽和酸との共重合体、スチレンと上記不飽和酸との共重合体、ビニルエーテルと上記不飽和酸との共重合体及び前記共重合体の塩類又はエステル類が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン−アルキルエーテル型、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール型、ポリオキシエチレン−多価アルコールエステル型、多価アルコールと脂肪酸とのエステル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコール硫酸塩、高級脂肪酸アルカリ塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。
更に、フタル酸エステル、リン酸エステル等の可塑剤、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤等も併用され得る。
〔(イ)後乳化による方法〕
後乳化方法によりエマルジョンを製造するに当たっては、AA化PVA系樹脂を水に溶解し、これに溶液状のエチレン性不飽和単量体及び/又はジエン系単量体等からなる重合体を滴下し撹拌するか、溶液状態の該重合体中に該PVA水溶液を滴下し撹拌すればよい。エマルジョン化に当たり加熱等の必要は特にないが、必要であれば45〜85℃程度に加熱すればよい。乳化する物質としては上記の重合体が好ましいが、上記の重合体以外にもエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素−ホルマリン初期縮合物、フェノール−ホルムアルデヒド初期縮合物、アルキッド樹脂、ケテンダイマー、ロジン、シリコン樹脂、ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン、アスファルト等を挙げることができる。
AA化PVA系樹脂の使用量としては、要求されるエマルジョンの樹脂分等によって多少異なるが、通常乳化対象物に対して通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%程度の範囲から選択される。必要であれば、該樹脂と共にポリオキシエチレン−アルキルエーテル型、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール型、多価アルコールエステル型等の非イオン性活性剤、又は高級アルキルアミン塩等のカチオン性活性剤を適宜併用することもできる。又これらの活性剤は乳化対象物の方に混合しておくことも可能である。
必要であればポリオキシエチレン−アルキルエーテル型、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール型、多価アルコールエステル型等の非イオン性活性剤、又は高級アルキルアミン塩等のカチオン性活性剤を始めとし、前記した乳化重合時に使用される各種界面活性剤が何れも併用可能である。又これらの活性剤は乳化対象物の方に混合しておくことも可能である。更にフタル酸エステル、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤も併用され得る。
〔(ウ)後添加による方法〕
この方法は任意の方法で得られた合成樹脂のエマルジョンにAA化PVA系樹脂を添加するもので、対象となるエマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン系エマルジョン、シス−1,4ポリイソプレンエマルジョン、クロロプレンエマルジョン、アクリロニトリル/ブタジエンエマルジョン、ビニルピリジンエマルジョン、メチルメタクレート/ブタジエンエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン、アクリルエステル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、ポリスチレンエマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、シリコーンエマルジョン、ポリブテンエマルジョン、チオコールエマルジョンなどが挙げられ、中でもエチレン性不飽和単量体またはジエン系単量体の重合体のエマルジョンが好ましい。
エマルジョンにAA化PVA系樹脂を添加する場合、該PVAを水溶液としてから添加する時にはエマルジョンを室温にて、撹拌しながらこれに該水溶液を添加するだけでよいが、該PVAの粉末を添加する時には、エマルジョンを撹拌しながら該粉末を添加し、50〜85℃に加温すれば短時間で均一な混合が終了するので好ましい。
AA化PVA系樹脂の使用量は、エマルジョン固形分に対して通常0.5〜40重量%、更には1〜35重量%程度の範囲が好ましい。
また、水性エマルジョンは、上記のAA化PVA系樹脂が分散剤として用いられたものであってもよい。
上記で得られる水性エマルジョンは、上記の如くAA化PVA系樹脂を含有するもので、水性エマルジョン中のAA化PVA系樹脂の最終的な含有割合は、特に限定されないが、通常固形分比で0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜35重量%、特に1〜30重量%であり、かかる含有割合が少なすぎると接着剤に供したときの接着強度、耐水性が低くなり、逆に多すぎると接着剤に供したときに接着層が水で膨潤しやすく、接着強度が低下する傾向にあり好ましくない。
上記の(ア)〜(ウ)の任意の手法を用いることにより水性エマルジョンを得ることが可能であり、中でも接着剤に供したときの接着強度、耐水性、基材への浸透性の制御の自由度等を考慮すれば、(ア)の手法が特に好ましい。
かくして得られた、AA化PVA系樹脂を分散剤とし、エチレン性不飽和単量体からなる重合体を分散質とする水性エマルジョンに、上述のアセタール化合物を配合することによって、本発明の水性エマルジョン組成物が得られる。かかる水性エマルジョンへのアセタール化合物の配合方法については、特に限定されないが、通常は、水性エマルジョンにアセタール化合物の水溶液を添加、混合する方法が好ましく用いられる。
なお、本発明の水性エマルジョン組成物の固形分濃度は、その用途および目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは10〜85重量%、さらには20〜75重量%、特には30〜65重量%の範囲で用いられる。かかる固形分濃度が小さすぎると経済性に欠け、また、接着性も不十分となり、逆に大きすぎるとエマルジョンの粘度が高くなりすぎて、作業性が低下するという問題点が生じる場合があるため、好ましくない。
本発明の水性エマルジョン組成物は、AA化PVA系樹脂を分散剤とし、エチレン性不飽和単量体からなる重合体を分散質とし、さらにAA化PVA系樹脂の架橋剤としてアセタール化合物を配合してなるものであるが、かかるアセタール化合物以外の架橋剤を併用することも可能である。
かかる他の架橋剤としては、AA化PVA系樹脂の架橋剤として公知のものを使用することができ、例えば、アルデヒド化合物、メチロール化合物、アミン化合物、ヒドラジン化合物、多価金属化合物などを挙げることができるが、本発明の目的である水溶液としたときの安定性の点から、併用する架橋剤もその架橋性官能基が40℃以下の室温ではAA基と速やかに反応せず、より高温にすることによって架橋反応が進行するものが好ましい。かかる特性を有する架橋剤としては、多価金属化合物や、官能基が保護された化合物、例えばアルデヒド基がすべてアセタール化された化合物、メチロール基がエーテル化された化合物などを挙げることができる。
多価金属化合物としては、具体的に、塩化ジルコニル、塩基性塩化ジルコニル、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、酢酸ジルコニル、などのジルコニウム化合物を挙げることができる。
また、アルデヒド基がすべてアセタール化された化合物としては、具体的に、1,1,2,2−テトラメトキシエタン、1,1,2,2−テトラエトキシエタン、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン、1,1,3,3−テトラエトキシプロパン、1,1,6,6−テトラメトキシヘキサン、などのアセタール基が複数有する炭化水素化合物や、ビス−1,3−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)尿素(商品名「ハイリンクDU」、クラリアント社製)、 ビス−1,3−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン(商品名「ハイリンクDMU」、クラリアント社製)、1,1’,1’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリス[2,2−ジメトキシエタノール](商品名「ハイリンクDMM」クラリアント社製)、などの尿素あるいはメラミンにジメトキシエタナールが付加して得られた化合物などを挙げることができる。
また、本発明の水性エマルジョン組成物には、必要に応じて尿素/ホルマリン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂、フェノール/ホルマリン樹脂などの熱硬化性樹脂、クレー、カオリン、炭酸カルシウムなどの重点材、ホウ酸、チタン系化合物、ジルコニウム系化合物などの架橋剤、その他、顔料、消泡剤、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、防錆剤、などの各種添加剤を添加することができる。
かくして得られた本発明の水性エマルジョン組成物は、その使用用途に応じて、基材表面に塗布されたり、基材に含浸されたり、他の素材と混合されたりして用いられるが、本発明の目的である耐水性あるいは耐熱水性を効率よく発現させるためには、加熱処理を施すことが好ましい。かかる加熱処理の方法は特に限定されないが、本発明の水性エマルジョン組成物を水性液として適用した後、これに含まれる水分を乾燥する際に同時に行ったり、乾燥させた後、さらに熱処理を施す方法などを挙げることができ、その装置としては、熱風乾燥機や赤外線加熱、その適用された用途によっては金属ロールや熱プレスによる加熱などを用いることができる。なお、いかなる方法を採用したとしても、かかる加熱処理は、通常40〜200℃、好ましくは50〜180℃、特には60〜160℃の温度条件で行われ、かかる温度が低すぎると十分な耐水性が得られるまでに長時間が必要となる場合があり、逆に加熱処理の温度が高すぎるとPVAの分解に起因する着色が生じる場合があるため、好ましくない。
以下に、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
なお、例中「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を備えたセパラブルフラスコに酢酸ビニル10.8部、AA化PVA系樹脂(平均重合度1400、ケン化度99モル%、アセト酢酸エステル基含有量5.5モル%)の10%水溶液120部、0.6%酢酸ナトリウム水溶液10部、水37部、0.96%過硫酸アンモニウム水溶液5部を仕込み、攪拌しながらフラスコ内の温度を70℃に上げて重合を開始した。初期重合を1時間行い、さらに酢酸ビニル97.2部を3時間かけて滴下するとともに、1時間毎に0.96%過硫酸アンモニウム水溶液5部を4回添加した。酢酸ビニルの滴下終了から1時間後に1%ハイドロキノン水溶液1部を添加し、還流冷却器を外してさらに1時間の追い込み重合を行い、重合を終了させ、10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液1部、15%酢酸ナトリウム水溶液1部を添加して酢酸ビニルエマルジョンを得た。
得られた酢酸ビニル樹脂エマルジョン100部に対し、ジメトキシエタナール(商品名「ハイリンクDM」、クラリアント社製、60%水溶液)0.4部を配合した。
このときの、AA化PVA系樹脂100重量部に対するアセタール化合物の配合量は6重量部、AA化PVA系樹脂中のAA基量(Y)に対するジメトキシエタナール中のジメチルアセタール基量とアルデヒド基量の和(X)のモル比(Y/X)は0.97であった。
上記で得られた水性エマルジョン組成物について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(粘度安定性)
得られた水性エマルジョン組成物の23℃における粘度(V0)をブルックフィールド型回転粘度計(ローターNo.5、回転数20rpm)を用いて測定した。この水性エマルジョン組成物を23℃で15時間保存した後、同様にして粘度(V20)を測定し、その増粘倍率(V20/V0)を求めた。
(耐熱水性)
得られた水性エマルジョン組成物をPETフィルム上に流延し、23℃、50%RHの条件下で3日間静置した後、70℃で5分間加熱処理を行って水性エマルジョン組成物の乾燥皮膜を得た。
かかる皮膜を90℃の熱水に4時間浸漬して、皮膜の溶出率(%)を測定した。なお、溶出率(%)の算出にあたっては、熱水浸漬前の皮膜の乾燥重量(X1)および熱水浸漬後の皮膜の乾燥重量(X2)(いずれもg)を求め、下式にて溶出率(%)を算出した。
溶出率(%)=[(X1―X2)/X1]×100
実施例2
実施例1において、ジメトキシエタナールの配合量を0.8部とした以外は実施例1と同様にして水性エマルジョン組成物を得、同様に評価した。
なお、このときの、AA化PVA系樹脂100重量部に対するアセタール化合物の配合量は12重量部、AA化PVA系樹脂中のAA基量(Y)に対するジメトキシエタナール中のジメチルアセタール基量とアルデヒド基量の和(X)のモル比(Y/X)は0.49であった。
比較例1
実施例1において、アセタール化合物に代えて、グリオキザール(40%水溶液)を0.6部配合した以外は実施例1と同様に水性エマルジョン組成物を得て、同様に評価した。
なお、 このときの、AA化PVA系樹脂100重量部に対するグリオキザールの配合量は6.05重量部、AA化PVA系樹脂(A)中のAA基量(Y)に対するグリオキザール中のアルデヒド基量(X)のモル比(Y/X)は0.54であった。
[表1]
Figure 0004859637
本発明の水性エマルジョン組成物は、耐熱水性に優れた乾燥皮膜が得られ、さらに貯蔵安定性に優れ、可使時間が長いことから、木材用・紙用接着剤、粘着剤、バインダー、セメント・モルタル混和剤、紙・繊維加工剤、塗料などの用途に好適である。

Claims (4)

  1. 分散剤がアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂であり、分散質がエチレン性不飽和単量体からなる重合体である水性エマルジョンに、分子内にジアルキルアセタール基と1つのアルデヒド基を有するアセタール化合物を配合してなることを特徴とする水性エマルジョン組成物。
  2. アセタール化合物がジアルコキシエタナールであることを特徴とする請求項1記載の水性エマルジョン組成物。
  3. アセタール化合物の配合量がアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して0.5〜100重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の水性エマルジョン組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の水性エマルジョン組成物を含有することを特徴とする接着剤。
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