JP2013103990A - 樹脂組成物および、それを用いてなるフィルム、防曇用フィルム、抗菌用フィルム、並びにコーティング剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 防曇性能に優れ、かつ耐菌付着性にも優れるフィルムやコーティング剤を得るために有用な樹脂組成物の提供すること。
【解決手段】 アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)、グリオキシル酸塩(B)、およびフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)を含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物およびそれを用いてなるフィルムに関し、さらに詳しくは防曇性および菌付着防止性(耐菌付着性と称することもある。)に優れたフィルム、及びコーティング剤を得るために有用な樹脂組成物に関する。
ガラス表面の結露による曇りは視認性を阻害するものである。その対策として、ガラスを電熱線などで保温する、ガラスの表面を超親水化処理する、などの方法がとられているが、いずれもコストアップは避けられない。そこで、簡易的な手段として、ガラス表面に防曇フィルムを貼付する方法が提案され、実用化されている。
かかる防曇フィルムの防曇層には親水性と透明性に優れる高分子材料が用いられており、代表的なものとしてポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と略記する。)が挙げられる。しかしながら、PVA系樹脂は水溶性高分子であるため、本質的に耐水性に乏しく、吸湿時や水濡れ時に物性が大きく変化するという問題点を有しており、また、防曇性についても更なる改良が求められている。
かかる課題を解決するためには、PVA系樹脂を架橋させる方法が有効であり、例えば、反応性に優れるアセトアセチル基を側鎖に有する変性PVA系樹脂と架橋剤を含有する防曇層を有する防曇用シートが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−000935号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の防曇用シートは、昨今のより厳しい環境下での使用時において必要とされる防曇性能の点では更なる改善が求められるものであり、また、防曇用シートは、浴室や温泉、プール等といった恒常的に高湿度下な環境下で使用される場合が多く、このような環境下では、シートに一旦菌が付着してしまうと、シート上に付着した様々な菌が繁殖し易くなり、感染症を引き起こしてしまう恐れがあった。
そこで、本発明では、このような背景下において、防曇性能に優れ、かつ耐菌付着性にも優れるフィルムやコーティング剤を得るために有用な樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
しかるに本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、従来用いられていたアセトアセチル基を含有する変性PVA系樹脂と架橋剤とからなる防曇フィルム用樹脂組成物に、フッ素含有ノニオン系界面活性剤を配合することにより、得られるフィルムの防曇性能が向上するのみならず、耐菌付着性も向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明において、フッ素含有ノニオン系界面活性剤を配合することにより、フィルム表面の水接触角が小さくなることから、耐菌付着性にも効果を発揮するものと推察される。
即ち、本発明の要旨は、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)、グリオキシル酸塩(B)、およびフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)を含有してなることを特徴とする樹脂組成物に関するものである。
更には、本発明は、上記樹脂組成物を用いてなるフィルムおよびコーティング剤に関するものである。
本発明の樹脂組成物を用いてなるフィルムや本発明の樹脂組成物をコーティング剤として塗工された塗膜は、優れた防曇性能を有するとともに、優れた耐菌付着性も有するものである。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
まず、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)(以下、「AA化PVA系樹脂(A)」と記載することがある。)、グリオキシル酸塩(B)、およびフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)を含有してなる樹脂組成物について説明する。
〔アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)〕
本発明に用いられるAA化PVA系樹脂(A)は、側鎖にアセトアセチル基を有するPVA系樹脂である。
かかるAA化PVA系樹脂(A)の製造法としては、特に限定されるものではないが、例えば、PVA系樹脂とジケテンを反応させる方法、PVA系樹脂とアセト酢酸エステルを反応させてエステル交換する方法、酢酸ビニルとアセト酢酸ビニルの共重合体をケン化する方法等を挙げることができるが、製造工程が簡略で、品質の良いAA化PVA系樹脂(A)が得られることから、PVA系樹脂とジケテンを反応させる方法で製造するのが好ましい。以下、かかる方法について説明する。
原料となるPVA系樹脂としては、一般的にはビニルエステル系モノマーの重合体のケン化物又はその誘導体が用いられ、かかるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済性の点から酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、ビニルエステル系モノマーと該ビニルエステル系モノマーと共重合性を有するモノマーとの共重合体のケン化物等を用いることもでき、かかる共重合モノマーとしては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
なお、かかる共重合モノマーの導入量はモノマーの種類によって異なるため一概にはいえないが、通常は全構造単位の10モル%以下であり、好ましくは5モル%以下である。導入量が、多すぎると水溶性が損なわれたり、架橋剤との相溶性が低下したりする傾向がある。
また、ビニルエステル系モノマーを重合、またはビニルエステル系モノマーとその他のモノマーを共重合する際の重合温度を調整し、主として生成する1,3−結合に対する異種結合の生成量を増減して、PVA主鎖中の1,2−ジオール結合を1.0〜3.5モル%程度としたものを使用することが可能である。
上記ビニルエステル系モノマーの重合体および共重合体をケン化して得られるPVA系樹脂とジケテンとの反応によるアセトアセチル基の導入には、PVA系樹脂とガス状或いは液状のジケテンを直接反応させても良いし、有機酸をPVA系樹脂に予め吸着吸蔵せしめた後、不活性ガス雰囲気下でガス状または液状のジケテンを噴霧、反応するか、またはPVA系樹脂に有機酸と液状ジケテンの混合物を噴霧、反応する等の方法が用いられる。
上記の反応を実施する際の反応装置としては、加温可能で撹拌機の付いた装置であれば十分である。例えば、ニーダー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、その他各種ブレンダー、撹拌乾燥装置を用いることができる。
かくして得られるAA化PVA系樹脂(A)の平均重合度は、通常300〜5,000であり、好ましくは500〜2,000、特に好ましくは1,000〜1,500である。かかる平均重合度が小さすぎると、防曇層の強度が不十分となったり、十分な耐水性が得られなくなる傾向があり、逆に大きすぎると、防曇層形成用の塗工液の粘度が高くなりすぎ、作業性が低下する傾向がある。
また、本発明に用いられるAA化PVA系樹脂(A)のケン化度は、通常60モル%以上であり、好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは98モル%以上である。かかるケン化度が低すぎると、得られた防曇層と水との親和性が低下するためか、防曇性が不十分となる傾向がある。なお、平均重合度およびケン化度はJIS K6726に準じて測定される。
また、AA化PVA系樹脂(A)中のアセトアセチル基の含有割合(以下AA化度と略記する。)は、通常0.1〜20モル%であり、好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは3〜10モル%である。かかる含有割合が少なすぎると、防曇層の耐水性が不十分となる傾向があり、逆に多すぎると、防曇層と水の親和性が低下し、防曇性が不十分となる傾向がある。
本発明においては、樹脂組成物中に含まれるPVA系樹脂のすべてがAA化PVA系樹脂(A)であることが好ましいが、AA化PVA系樹脂(A)以外のPVA系樹脂が併用されていてもよく、その含有割合は、PVA系樹脂全量に対して通常20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。
かかるAA化PVA系樹脂(A)以外のPVA系樹脂の例としては、未変性のPVAや各種変性PVA系樹脂、例えば、ビニルエステル系モノマーと該ビニルエステル系モノマーと共重合性を有するモノマーとの共重合体のケン化物等を用いることができ、かかるモノマーとしては、例えばエチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
また、本発明のAA化PVA系樹脂(A)には、製造工程で使用あるいは副生した酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属の酢酸塩(主として、ケン化触媒として用いたアルカリ金属水酸化物とポリ酢酸ビニルのケン化によって生成した酢酸との反応物等に由来)、酢酸などの有機酸(PVA系樹脂にアセト酢酸エステル基を導入する際の、ジケテンとの反応時にPVAに吸蔵させた有機酸等に由来)、メタノール、酢酸メチルなどの有機溶剤(PVA系樹脂の反応溶剤、AA化PVA製造時の洗浄溶剤等に由来)が一部残存していても差し支えない。
〔グリオキシル酸塩(B)〕
本発明で用いられるグリオキシル酸塩(B)について説明する。
かかるグリオキシル酸塩(B)としては、グリオキシル酸の金属塩やアミン塩などが挙げられる。金属塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅などの遷移金属、その他の亜鉛、アルミニウムなどの金属とグリオキシル酸の金属塩が挙げられ、また、アミン塩としては、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどのアミン類とグリオキシル酸の塩が挙げられる。
これらの中でも、耐水性に優れた硬化層が得られる点で金属塩が好ましく、更には塗工液の作業性に優れる点でアルカリ金属塩が特に好ましい。
グリオキシル酸塩(B)の製造法は、公知の方法を用いることができるが、例えば、(1)グリオキシル酸の中和反応による方法、(2)グリオキシル酸と酸解離定数がグリオキシル酸より大きい酸の塩との塩交換反応による方法、(3)グリオキシル酸エステルのアルカリ加水分解による方法(例えば、特開2003−300926号公報参照。)などを挙げることができる。特に、グリオキシル酸との中和反応に用いるアルカリ性化合物の水溶性が高い場合は(1)の方法が好ましく用いられ、また得られるグリオキシル酸塩(B)の水溶性が低く、酸解離定数がグリオキシル酸より大きい酸の塩の水溶性が高い場合は(2)の方法が好ましく用いられる。
なお、(1)の方法は通常、水を媒体として行われ、グリオキシル酸とアルカリ性化合物、例えば、各種金属の水酸化物やアミン化合物を水中で反応させ、析出したグリオキシル酸塩を濾別し、乾燥して製造することができる。
また、(2)の方法も一般的に水中で行われ、(1)の方法と同様にしてグリオキシル酸塩を得ることができる。なお、(2)の方法において用いられるグリオキシル酸より解離定数が大きい酸の塩としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム等の脂肪族カルボン酸のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
なお、本発明の樹脂組成物には、グリオキシル酸塩の製造に用いられる原料や原料に含まれる不純物、製造時の副生成物等が含まれる可能性があり、例えば、グリオキシル酸、金属水酸化物、アミン化合物、脂肪族カルボン酸塩、グリオキザール、シュウ酸、またシュウ酸塩、グリコール酸またはグリコール酸塩などが含有される場合がある。
また、本発明におけるグリオキシル酸塩(B)は、そのアルデヒド基が、メタノール、エタノールなどの炭素数が3以下のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの炭素数が3以下のジオール等によってアセタール化、およびヘミアセタール化された化合物を包含するものである。かかるアセタール基、およびヘミアセタール基は、水中、あるいは高温下では容易にアルコールが脱離し、アルデヒド基と平衡状態をとるため、アルデヒド基と同様に各種基材との反応性を有するものである。
グリオキシル酸塩(B)の含有量は、AA化PVA系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.1〜30重量%であり、好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは2〜15重量%、更に好ましくは4〜10重量%である。かかる含有量が少なすぎると硬化層の耐水性が不十分となる傾向があり、逆に多すぎると、硬化層形成用の塗工液の安定性が低下する傾向がある。
なお、本発明では、AA化PVA系樹脂(A)の架橋剤としてグリオキシル酸塩(B)を用いるものであるが、本発明の効果を阻害しない範囲内でAA化PVA系樹脂(A)の架橋剤として公知のものを併用しても良い。そのような架橋剤としては、水溶性チタニウム化合物や水溶性ジルコニウムなどの多価金属化合物、エチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン化合物、メチロール化メラミンなどのメチロール基含有化合物、グリオキザールなどのアルデヒド基含有化合物、などを挙げることができる。
〔フッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)〕
本発明で用いられるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)について説明する。
本発明で用いられるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)としては、その構造内にフッ素原子を少なくとも一つ含有するノニオン系界面活性剤であればよい。
かかるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)の含有するフッ素原子の数としては、通常1〜100であり、好ましくは3〜50、特に好ましくは5〜30である。フッ素原子の数が多すぎると防曇性が低下する傾向がある。
かかるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)中のフッ素原子を含有する構造部位としては、フルオロアルキル基であることが好ましく、特に好ましくはパーフルオロアルキル基である。
かかるフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基の含有する炭素数としては、通常1〜50であり、好ましくは2〜30、特に好ましくは4〜25、更に好ましくは6〜20である。かかる炭素数が多すぎると防曇性が低下する傾向がある。
かかるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)中のノニオン構造部位としては、水酸基、アミノ基、エステル構造、アミド構造、エーテル構造等の親水性の構造部位であればよく、
好ましくはエーテル構造、特に好ましくはオキシアルキレン構造、更に好ましくはオキシエチレン構造である。
かかるオキシエチレン構造は繰り返し単位を有するものであってもよく、かかる繰り返し数としては、通常5〜100であり、好ましくは10〜80、特に好ましくは15〜50である。繰り返し単位数が少なすぎると防曇性が低下する傾向があり、多すぎると作業性が低下する傾向がある。
かかるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)の重量分子量は、通常100〜10,000、好ましくは200〜7,000、特に好ましくは300〜5,000である。
かかる重量分子量が小さすぎると防曇性が持続しない傾向があり、大きすぎると樹脂と混ざりにくい傾向がある。
かかるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)のHLBは、通常6以上であり、好ましくは8以上、特に好ましくは10以上である。
かかるHLBが低すぎると水への溶解性が低下し、塗工液に対する分散性が滴下する傾向がある。なお、HLBの上限は通常20である。
なお、上記HLB(Hydrophilie-Lipophile Balance)とは、Daviesの理論によるHLB値であり、HLB=Σ(親水基の基数)+Σ(親油基の基数)+7で表される値である。
かかるフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)として、具体的には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレン構造含有エーテル化合物のフッ素置換物、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリオキシエチレン構造含有エステル化合物のフッ素置換物が挙げられ、また商品名としては、フロラード(住友スリーエム(株)商品名)、サーフロン(旭硝子(株)商品名)、ユニダイン(ダイキン工業(株)商品名)、メガファック(大日本インキ(株)商品名)、エフトップ(トーケムプロダクツ(株)商品名)等が挙げられる。
これらの中でも、高い水溶性による作業性及びフィルムの透明性の点でパーフルオロアルキルオキシエチレンオキシドが好ましく、特に好ましくはα−ペルフルオロノネニルオキシーω―メチルポリエチレンオキシドである。
フッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)の含有量は、AA化PVA系樹脂(A)100重量部に対して、通常0.001〜20重量部であり、好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。
かかる含有量が少なすぎると防曇性と耐菌付着性が低下する傾向があり、多すぎると樹脂組成物の透明性が低下する傾向がある。
かくして、本発明の(A)〜(C)成分を含有する樹脂組成物が得られる。
本発明では、かかる樹脂組成物を架橋し硬化層とし、該硬化層と支持体とを含有するフィルムとして用いることが好ましい。
〔フィルム〕
上記フィルムは、本発明の樹脂組成物が架橋されてなる硬化層、具体的には、AA化PVA系樹脂(A)のグリオキシル酸塩(B)による架橋物とフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)を含有する硬化層が、支持体上に直接積層された層構成を有するものであることが好ましい。
かかる硬化層は、AA化PVA系樹脂(A)、グリオキシル酸塩(B)、フッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)を含有する樹脂組成物からなる塗工液を支持体に塗布、乾燥して形成される。
上記支持体の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、およびポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂などを挙げることができる。
これらの中でも、強度、耐久性、寸法安定性、透明度に優れるポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
かかるポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)はエチレングリコールとテレフタル酸を主構成成分とするものであるが、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他のジカルボン酸成分、およびグリコール成分が共重合されたものでもよい。
かかるジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などを挙げることができる。また、かかるグリコール成分としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等を挙げることができる。
かかる支持体は、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれを使用することも可能であるが、透明性や強度の点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
また、かかる支持体の厚さは、通常1〜500μmであり、好ましくは3〜250μm、特に好ましくは5〜200μmである。
かかる支持体の厚みが薄すぎると防曇フィルムや抗菌フィルムとした場合の強度が不十分となる傾向があり、厚すぎると柔軟性が損なわれる傾向がある。
上記支持体、特にPETフィルムには、通常、これに含有される各種添加剤、例えば無機微粒子、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色防止剤、紫外線吸収剤などが含有されていても良い。
また、上記支持体は、プラズマ処理されたフィルムを用いることも好ましく、特には硬化層と積層される面にプラズマ処理が施されることが硬化層との接着性の点で特に好ましい。
かかるプラズマ処理は、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電させ、雰囲気ガスをプラズマ状態とし、被処理物をこのプラズマ状態のガスに晒すことによって、その表面を活性化処理するものである。
かかる雰囲気ガスとしては、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウムなどを用いることができ、中でも安全性、排気ガスの後処理、ランニングコストなどの点から窒素が好ましく用いられる。
かかるプラズマ処理の処理強度は、通常、0.1〜100W/cmであり、特に0.2〜80W/cm、殊に0.5〜50W/cmの範囲が好ましく用いられる。かかる処理強度が弱すぎると支持体の表面処理効果が小さく、硬化層との充分な接着力が得られなくなる傾向がある。また、処理強度が強すぎると支持体の表面が劣化する可能性がある。
プラズマ処理時の雰囲気ガスの流量は、通常、プラズマ処理面の有効幅1m当り1〜5000L/分であり、特に2〜2500L/分の範囲が用いられる。かかる流量が少なすぎるとプラズマの発生量が少なくなって充分な処理効果がえられなくなる場合があり、多すぎるとガスの使用量が増え、コストの面で不利である。
更に、かかるプラズマ処理に加えて、紫外線、電子線、イオン線などのエネルギー線を照射する表面処理を併用することも可能である。特に、紫外線源としては、D2ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Xeランプ、Hg−Xeランプ、ハロゲンランプ、アーク放電、コロナ放電、無声放電による放電ランプ、あるいはエキシマレーザー、Ar+レーザー、Kr+レーザー、N2レーザー等のレーザー発振装置等が好ましく用いられる。
なお、かかるエネルギー線による表面処理は、プラズマ処理の前、後、あるいは同時のいずれでも可能である。
上記塗工液としては、(A)〜(C)成分を含有する水性塗工液とすることが好ましく、特にはAA化PVA系樹脂の良溶媒であり、環境への負荷が小さい点から水を主媒体とする水性塗工液であることが好ましい。
なお、乾燥速度の調整や、支持体との濡れ性を調整する目的で、水との混和性を有する有機溶剤、例えばメタノールやエタノールなどの炭素数が1〜3のアルコール類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類を少量配合することも可能である。
また、かかる水性塗工液には、本発明の特性を阻害しない範囲内で無機微粒子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、防黴剤、防腐剤、レベリング剤等の添加剤、などを配合しても良い。
かかる水性塗工液の濃度は、通常、1〜30重量%であり、好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%の範囲である。かかる濃度が小さすぎると、一回の塗布、乾燥で得られる塗工層の厚さが小さくなるため、所望の厚さを得るために複数回の塗工が必要となる場合がある。また、かかる濃度が大きすぎると、塗工液の粘度が高くなり、塗布時の作業性が低下したり、均一な膜厚の塗工層が得られにくくなる場合がある。
かかる水性塗工液のpHは、通常2〜10、好ましくは3〜10、特に好ましくは4〜9であり、その調整は、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、酢酸、クエン酸、酒石酸などの有機酸の添加により行うことができる。かかるpHが低すぎると、塗工液の製造、あるいは支持体への塗布に使用する装置の腐食等を招く場合があるため、その対策が必要となり、逆に高すぎると、塗工液の安定性が低下し、増粘しやすくなり、ポットライフが短くなる傾向にある。
なお、かかる水性塗工液を調製する方法は特に限定されないが、例えば、
(i)予め別々に溶解させたAA化PVA系樹脂とグリオキシル酸塩、フッ素含有ノニオン系界面活性剤を混合する方法、
(ii)AA化PVA系樹脂の水溶液に、グリオキシル酸塩とフッ素含有ノニオン系界面活性剤を添加し、混合する方法、
(iii)予め別々に溶解させたAA化PVA系樹脂とフッ素含有ノニオン系界面活性剤を、グリオキシル酸塩と混合する方法、
(iv)予め別々に溶解させたAA化PVA系樹脂とグリオキシル酸塩を、フッ素含有ノニオン系界面活性剤と混合する方法、
等が挙げられる。
かくして得られた水性塗工液を前述の支持体(プラズマ処理を施した場合にはかかるプラズマ処理を施した面)上に塗工するにあたっては、ロールコーター法、エアードクター法、ブレードコーター法、などの公知の塗工方法を用いることができる。
かかる塗工量は、塗工液の濃度によって異なるため、一概にはいえないが、通常、1〜10000g/mであり、好ましくは10〜5000g/m、特に好ましくは100〜2000g/mの範囲が好ましく用いられる。
支持体上に塗工された塗膜層は次いで乾燥されるが、かかる乾燥方法としては特に制限されず、公知の方法を用いることができ、その熱源としても、熱風、赤外線、輻射熱、あるいはそれらを組合わせたものを用いることができる。
乾燥温度としては、通常70〜150℃であり、好ましくは80〜130℃、特に好ましくは90〜120℃である。また、乾燥時間は、乾燥温度によって異なるため一概に言えないが、通常1〜20分であり、好ましくは3〜10分の範囲で行われる。
なお、工業的には上述の塗工液の塗工工程、および乾燥工程は連続で行うことが望ましい。
本発明のフィルムにおける硬化層の厚さは、通常、1〜1000μmであり、好ましくは2〜400μm、特に好ましくは3〜100μm、殊に好ましくは5〜20μmであり、かかる厚さが薄すぎると硬化層の強度が不十分となる場合があり、また、防曇性や耐菌付着性が十分に発揮されない傾向があり、厚すぎると吸湿等による厚み方向の寸法変化の差によって反りが生じる場合がある。
かくして得られる本発明のフィルムには、AA化PVA系樹脂のグリオキシル酸塩による架橋物とフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)とを含有する硬化層に加えて、さらに機能を付与するために他の層を積層させることも可能である。
例えば、支持体の硬化層が積層された面の反対面に粘着剤層を設けることにより、ガラス面への貼付を容易にすることができる。
また、硬化層上に透湿性を有する保護層を設けることにより、耐久性を向上させることが可能となる。
本発明のフィルムは、その総厚さが、通常、2〜2000μmであり、好ましくは5〜1000μm、特に好ましくは10〜100μmである。かかる厚さが薄すぎると、強度が不十分となったり、ガラス等への貼付時の取扱い性が難しくなる場合があり、逆に厚すぎると、柔軟性が不足し、取扱い性が低下する傾向がある。
かくして得られる本発明のフィルムは、防曇用フィルム、抗菌用フィルム、農業用フィルム等として有用に用いることができる。また、本発明の(A)〜(C)成分を含む樹脂組成物を含有してなるコーティング剤は、金属表面処理用コーティング液等として有用に用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
[製造例1:AA化PVA系樹脂(1)]
温度調節器付きリボンブレンダーに、未変性PVA樹脂(平均重合度1200、ケン化度99.2モル%)を、ニーダーに3600部仕込み、これに酢酸1000部加えて膨潤させ、回転数20rpmで攪拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン550部を3時間かけて滴下し、更に1時間反応させた。反応終了後、メタノールで洗浄した後、70℃で6時間乾燥してAA化PVA樹脂(1)を得た。
得られたAA化PVA系樹脂(1)のAA化度は5.3モル%、ケン化度は98.9モル%であり、平均重合度は1200であった。
[製造例2:グリオキシル酸ナトリウム]
2Lの2口反応缶中の50%グリオキシル酸水溶液456g(3.10モル)に、20%水酸化ナトリウム水溶液645g(3.22モル)を加え、生じた白色結晶をろ過、水洗した後、50℃にて1時間乾燥して、グリオキシル酸ナトリウム210g(1.84モル、収率59.5%)を得た。
フッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)として以下のものを使用した。
・α−ペルフルオロノネニルオキシーω―メチルポリエチレンオキシド(ネオス社製、商品名「フタージェント215M」:エチレンオキサイド鎖平均繰り返し数15)
・α−ペルフルオロノネニルオキシーω―メチルポリエチレンオキシド
(ネオス社製、商品名「フタージェント250」:エチレンオキサイド鎖平均繰り返し数22)
<実施例1>
PETフィルム(東レ社製「ルミラーT60」、厚さ100μm)の一方の表面に対し、下記に示す条件にてプラズマ処理を施した。
装置 :積水化学社製「常圧プラズマ表面処理装置」
処理強度:28W/cm
搬送速度:1000mm/s
窒素流量:25mL/分
次に、製造例1で得られたAA化PVA系樹脂(1)の10%水溶液100部に、製造例2で得られたグリオキシル酸ナトリウムを0.5部(AA化PVA系樹脂100部に対して5部)、フタージェント215Mを0.1部添加し、混合撹拌することで、水性塗工液を得た。
かかる塗工液を上記PETフィルムのプラズマ処理を施した面上に、100μmのアプリケーターで塗工し、105℃の熱風乾燥機中で5分間乾燥し、厚さ10μmの硬化層を有するフィルムを得た。
<実施例2>
実施例1において、フッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)として、フタージェント215Mをフタージェント250に変更した以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
<比較例1>
実施例1において、フタージェント215Mを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
<比較例2>
実施例1において、グリオキシル酸ナトリウムを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、フィルムを得た。
上記実施例1および2、比較例1および2で得られたフィルムについて、水接触角、防曇性、耐菌付着性を以下の要領で評価した。結果を表1に示す。
<水接触角>
得られたフィルムを23℃×50%RHの雰囲気にて1週間調湿した後、同雰囲気で協和界面科学製の接触角計(FAMAS)を用いて、水接触角を測定した。
<防曇性>
200mlのビーカー(旭硝子(株)社製、「PYREX(登録商標) IWAKI TE-32」、高さ9cm)に、底から4cmの高さまで60℃の温水を入れ、瓶の口の部分に得られたフィルムを硬化層が内側となるように置き、湯気によって曇るまでの時間を測定した。
(評価)
○…1時間経過後も曇らない
△…10分を超え1時間以内に曇る
×…10分以内に曇る
<菌付着性>
フィルムの硬化層に、菌濃度1.0×10cfu/mlのS. aureus液、1.0×10cfu/mlのS. aureus液(PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で調製)をそれぞれ付着させ、これを25℃で1時間保持した後、PBSで10回洗浄し、金を蒸着した塗膜表面に固着した菌を日立電子顕微鏡システム「TM1000」にて観察し、画像解析計測ソフトWinRoofを用いて菌数を計測した。
また、リファレンスとなる無加工フィルムとして、上記塗工液を塗工していないPETフィルムを用いて同様の試験を行い、以下の通り耐菌付着性を評価した。なお、使用したPBSは、2034gの純水に、NaClを160g、KClを4g、NaHPOを58g、KHPOを4g溶解したものを使用した。この溶液のpHは7.3である。
(評価)
○…付着菌数が0
△…付着菌数が0以上5未満
×…付着菌数が5以上
Figure 2013103990
上記結果から、実施例1および2のAA化PVA系樹脂、グリオキシル酸塩、フッ素系界面活性剤を含有する樹脂組成物から得られる硬化層を有するフィルムは、優れた防曇性を示すものであり、かつ、菌が付着しにくいものであることがわかる。
これは、水接触角が小さいことにより、フィルムに付着した水が濡れ広がりやすく、水滴が付着した状態で保たれにくいため、フィルムが曇りにくくなるものであり、また、フィルムに付着した菌が付着しづらく、容易に洗い流すことができるため、フィルム上での菌が繁殖しにくいものである。
一方、フッ素含有ノニオン系界面活性剤を含有しない比較例1のフィルムでは、防曇性および耐菌付着性の両方に劣るものであることがわかり、また、グリオキシル酸塩を含有しない比較例2のフィルムでは、防曇性には優れるものの、耐菌付着性に劣るものであることがわかる。
本発明のフィルムは、防曇性に優れ、ガラスやプラスチック等に貼付することで防曇性を付与することが可能であり、さらに、菌付着性が低いことから、長期間の使用においても、菌がフィルムに付着し繁殖することによる各種感染症の原因となりにくいため、例えば、建築物の窓ガラス、洗面所や浴室の鏡、食品用ショーケース、各種ディスプレーなどへの適用が考えられる。
さらに、本発明の(A)〜(C)成分を含む樹脂組成物を含有してなるコーティング剤にも有用であり、金属等の基材にコーティングすることにより、基材表面の親水化が可能であり、さらに、菌付着性が低いことから、長期間の使用においても、菌がフィルムに付着し繁殖することによる各種感染症の原因となりにくいため、例えば、エアコンのアルミのコーティング剤などへの適用が考えられる。

Claims (10)

  1. アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)、グリオキシル酸塩(B)、およびフッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)を含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
  2. グリオキシル酸塩(B)が、グリオキシル酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. グリオキシル酸塩(B)の含有量が、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. フッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)が、パーフルオロアルキル基およびオキシアルキレン構造を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の樹脂組成物。
  5. フッ素含有ノニオン系界面活性剤(C)の含有量が、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して、0.001〜20重量部であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の樹脂組成物。
  6. 支持体と、請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物が架橋されてなる硬化層とを含有することを特徴とするフィルム。
  7. 硬化層の厚さが1〜1000μmであることを特徴とする請求項6記載のフィルム。
  8. 請求項6または7記載のフィルムを防曇用途に用いることを特徴とする防曇用フィルム。
  9. 請求項6または7記載のフィルムを抗菌用途に用いることを特徴とする抗菌用フィルム。
  10. 請求項1〜5いずれか記載の樹脂組成物を含有してなることを特徴とするコーティング剤。
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