JPH0976428A - 農業用防曇性フィルム - Google Patents

農業用防曇性フィルム

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JPH0976428A
JPH0976428A JP7236893A JP23689395A JPH0976428A JP H0976428 A JPH0976428 A JP H0976428A JP 7236893 A JP7236893 A JP 7236893A JP 23689395 A JP23689395 A JP 23689395A JP H0976428 A JPH0976428 A JP H0976428A
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film
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JP7236893A
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Inventor
Kazuhiko Shimada
和彦 島田
Koji Watanabe
康二 渡辺
Yutaka Nakada
裕 中田
Yoshinori Hori
義憲 堀
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対水接触角が小さいので水の濡れがよく、初
期防曇性に優れ、曇りがないため透明性に優れ、防曇層
と基材フィルムであるエチレン−テトラフルオロエチレ
ン系共重合体からなるフッ素樹脂フィルムとの密着性を
向上させた耐久性に優れる農業用防曇性フィルムを提供
する。 【解決手段】 エチレン−テトラフルオロエチレン系共
重合体からなるフッ素樹脂フィルムの少なくとも片面
に、活性ガスの雰囲気下においてコロナ放電処理を施し
たのち防曇層を設けるに際し、該防曇層として分子内に
シリル基およびイオン性親水基を有する変性親水性高分
子化合物とシリカとを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用防曇性フィ
ルムに関する。さらに詳しくは、少なくとも片面が活性
ガスを含む雰囲気下においてコロナ放電処理されたエチ
レン−テトラフルオロエチレン系共重合体からなるフッ
素樹脂フィルムおよび該フィルムの処理面に設けられて
いる分子内にシリル基およびイオン性親水性基を有する
変性親水性高分子化合物とシリカとからなる防曇層から
なる農業用防曇性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】農業用ハウスなどに用いる農業用防曇性
フィルムは、樹脂フィルムに防曇剤を塗布して作製され
ており、そうした防曇剤として多数のものが従来より提
案されている。
【0003】たとえば(1)コロイダルシリカやアルミ
ナゾルなどの無機物とポリメチルメタアクリレートやポ
リビニルピロリドンなどの親水性バインダーとを混合し
たものが使用されており、(2)特開昭53−3934
7号公報、特開昭55−99987号公報、特開昭57
−73059号公報などでは、変性されていないポリビ
ニルアルコールと無機物(たとえばコロイダルシリカ、
珪酸ナトリウム)とを主成分とする防曇剤が提案されて
いる。
【0004】さらに、(3)特開昭59−179685
号公報では、分子内にシリル基とイオン性親水性基を有
する変性ポリビニルアルコールと無機物とからなる防曇
剤を主としてガラス板やポリエステルフィルムに適用す
ることが提案されている。
【0005】しかし、前記(1)では、初期防曇性(曇
りが生じ始めるときの防曇性)が悪いため、外気の温度
が急激に下がる朝方の冷え込み時にフィルムの内面に結
露が生じ、そのしずくが落ちてハウス内の植物に悪影響
を与えるほか光透過性も低下する。また、フィルムとそ
の表面に形成される防曇層との密着性が悪いため、長期
間にわたる持続的な防曇効果がえられない。
【0006】また、前記(2)では、表面に生ずる曇り
(水分)を防曇層が吸収したとき表面硬度が下がるた
め、ひっかき傷などが生じやすく、さらに水に対する濡
れ性も不充分であり、実用に耐えうるものではない。
【0007】さらに、(3)では、ポリエステルフィル
ムに適用するばあい、ポリエステルフィルムと防曇層と
の密着性が悪いため、予め接着剤を塗布した上に防曇剤
を適用しており、工程が複雑になるほかコスト面でも割
高になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、こう
した従来の問題点を解決しえた農業用防曇性フィルムを
提供することにあり、特定の表面処理を施したエチレン
−テトラフルオロエチレン系共重合体からなるフッ素樹
脂フィルムおよび分子内にシリル基およびイオン性親水
性基を有する変性親水性高分子化合物とシリカからなる
防曇剤を組み合わせることにより、対水接触角が小さ
く、初期防曇性に優れ、結露による曇りもなく、とくに
従来の技術では達成できなかった、該フィルムと該防曇
剤からなる防曇層との密着性を改善することにより耐久
性をもたせた農業用防曇性フィルムを提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも片
面が活性ガスを含む雰囲気下においてコロナ放電処理さ
れたエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体から
なるフッ素樹脂フィルムおよび該フィルムの処理面に設
けられている分子内にシリル基およびイオン性親水性基
を有する変性親水性高分子化合物とシリカとからなる防
曇層からなる農業用防曇性フィルムに関する。
【0010】本発明の農業用防曇性フィルムは、前記の
ように特定の表面処理を施した特定のフッ素樹脂フィル
ムおよび分子内にシリル基およびイオン性親水性基を有
する変性親水性高分子化合物とシリカとからなる防曇剤
を組み合わせることによりえられ、その構造は明らかで
はないが、たとえばつぎのようなことも考えられる。
【0011】特定の表面処理を施された特定のフッ素樹
脂フィルム表面は、活性化されているので、防曇剤中の
変性親水性高分子化合物との密着性に優れたものとな
り、また変性親水性高分子化合物中の水酸基、シラノー
ル基、シリカのシラノール基などが相互に反応して強固
な皮膜を形成する結果、吸水時においても高い表面硬度
とひっかき傷がつきにくい特性(以下、「耐ひっかき傷
性」という)が発揮されうる。
【0012】さらに、前記防曇剤から形成される防曇層
では、変性親水性高分子化合物中にシリカの粒子が均一
に分散している。防曇層の表面には、親水性の変性親水
性高分子化合物が存在し、さらにシリカの粒子表面の一
部も露出しているので多数の微細な凹凸が形成されてお
り、これら両者が相俟って水濡れ性が格段に向上してい
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において用いるフッ素樹脂
フィルムは、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重
合体フィルムである。
【0014】エチレン−テトラフルオロエチレン系共重
合体(以下、「ETFE」という)としては、たとえば
特開昭59−197411号公報に記載されているよう
なエチレン、テトラフルオロエチレンおよびこれと共重
合可能な第三成分として、含フッ素ビニルモノマーを含
んでなり、エチレンとテトラフルオロエチレンのモル比
が40:60〜60:40であり、含フッ素ビニルモノ
マーの含有量が0.1〜10モル%であるものが、成形
性、透明性、機械強度に優れるという点から好ましい。
【0015】前記含フッ素ビニルモノマーとしては、
式:CH2=CFRf(式中、Rfは炭素数2〜10の直
鎖または分岐鎖状のフルオロアルキル基を表す)で示さ
れる化合物などが好ましい。
【0016】前記式中、Rfの炭素数は、炭素数が2よ
り少ないと共重合体の改質が充分になされず、一方10
より多くなると重合反応性の点で不利になるなどの点か
ら2〜10である。このような含フッ素ビニルモノマー
としては、たとえばCH2=CFC510H、CH2=C
FC36H、CH2=CFC25などがあげられる。
【0017】また、施設園芸用の作物によっては、特定
波長光(有害紫外線)領域を抑制することが必要なもの
もあるが、そのような用途には、ETFEにあらかじめ
紫外線遮断剤を含有させたフィルムを使用してもよい。
【0018】紫外線遮断剤としては、有機系と無機系の
ものが知られているが、特開昭59−204517号公
報に記載されているようにフィルム成膜時の高温(30
0〜400℃)でも分解劣化しないという点で、無機系
のものが好ましい。
【0019】無機系の紫外線遮断剤としては、たとえば
酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セ
リウム(CeO2)、アルミナ(Al23)などがあげ
られるが、特開平6−90627号公報に記載されてい
るように紫外線遮断能、作物への影響の点からTi
2、ZnOがとくに好ましく、この二種を混ぜて使用
してもよい。前記紫外線遮断剤の添加量としては、0.
01〜10重量%が好ましいが、紫外線遮断能、透明性
の点から0.1〜5重量%がとくに好ましい。前記紫外
線遮断剤の粒径としては、0.01〜100μmが好ま
しいが、分散性、透明性の点から0.1〜10μmがと
くに好ましい。
【0020】本発明において用いる前記紫外線遮断剤
は、たとえば350nm以下の紫外線を反射して減衰す
ることにより、その30%以上、好ましくは50%以上
を遮断する働らきを有するものであり、本発明において
用いる分子内にシリル基およびイオン性親水性基を有す
る変性親水性高分子化合物およびシリカと組み合わせて
用いることにより、高防曇性のため、透明性に優れてお
り、可視光の透過性が高く、有害な紫外線の遮断能に優
れているという効果がえられる。
【0021】本発明において用いるETFEフィルムの
製造法としては、公知の成形法、たとえば押出成形法、
インフレーション成形法、カレンダー成形法などがあげ
られ、二次加工性や生産性に優れるという点から押出成
形法が好ましい。また、フィルムの厚さとしては、10
〜250μmさらに好ましくは50〜150μmであ
り、該厚さが10μm未満では破れやすく、シワになり
やすくなる傾向があり、250μmを超えると展張時の
作業性や透明性が悪くなる傾向がある。
【0022】本発明における防曇層は、分子内にシリル
基およびイオン性親水性基を有する変性親水性高分子化
合物とシリカとからなる。変性親水性高分子とは、親水
性高分子の分子内にシリル基とイオン性親水基を導入し
たものであり、親水性高分子化合物としては、たとえば
ポリアルキレングリコール、ポリヒドロキシアルキルア
クリレート、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコー
ルなどがあげられるが、製膜性、水濡れ性、基材との密
着性の点でポリビニルアルコール(PVA)が好まし
い。しかし、ポリビニルエステルを加水分解してえられ
るPVAを用いるばあい、形成される防曇層は吸水時の
表面硬度が低く、爪などによって容易に傷が発生すると
いう欠点がある。
【0023】本発明では、そうした親水性高分子化合物
の欠点を解消するため、分子内にシリル基とイオン性親
水性基を導入した変性親水性高分子化合物を用いる。イ
オン性親水性基としては、たとえばカルボキシル基、ス
ルホン酸基、リン酸基、4級アンモニウム塩などがあげ
られるが、極性溶媒中でイオンに解離しやすくイオンが
安定している点からカルボキシル基が好ましい。これら
の官能基は、防曇性や水濡れ性の向上、吸水時の表面硬
度の低下防止、フッ素樹脂フィルムとの密着性の向上な
どに寄与している。
【0024】特に好ましい変性親水性高分子化合物とし
ては、たとえば特開昭59−179685号公報に記載
されているような分子内にシリル基およびイオン性親水
性基を有する変性PVAがあげられ、たとえば該公報実
施例1に記載されているようなビニルトリメトキシシラ
ン、マレイン酸ジメチルエステルと酢酸ビニルとの共重
合体をケン化し、シリル基をビニルシラン単位として
1.0モル%、マレイン酸基単位を2モル%含有し、酢
酸ビニル単位のケン化度が99.0モル%、重合度が6
00の分子内にシリル基とカルボキシル基とを含有する
変性PVAが防曇性、耐ひっかき傷性に優れるという点
から好ましいが、本発明はこれのみに限定されない。
【0025】なお、本発明において前記変性PVAを水
へ溶解させるときに用いるアルカリとしては、たとえば
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属
水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカ
リ金属炭酸塩、エタノールアミン類、アンモニアなどが
あげられるが、本発明はこれらのみに限定されない。
【0026】本発明におけるシリカとしては、コロイダ
ルシリカなどのシリカの微粒子が透明性、分散性、粘度
安定性に優れるという点から好ましく、該シリカの微粒
子の平均粒子径としては、5〜200nm、好ましくは
5〜100nmである。前記粒子径が5nm未満では吸
水時の表面硬度が低くなる傾向があり、200nmを超
えると透明性が悪くなる傾向がある。
【0027】本発明においては、前記変性親水性高分子
化合物とシリカを溶媒中で混合して用いる。該溶媒とし
ては、たとえば水、メタノール、エタノールなどのアル
コール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケ
トン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シドなどの1種または2種以上の溶媒があげられるが、
作業時の安全性やコストの点から水が好ましい。
【0028】本発明におけるETFEフィルムは、本
来、撥水性で非粘着性であるため前記防曇層と密着しに
くいが、本発明においては、ETFEフィルムの防曇層
形成面にあらかじめ、コロナ放電処理を施すことによ
り、フィルム表面改質を行ない、防曇層との密着性を改
善した。
【0029】コロナ放電処理を施す際の雰囲気として
は、ETFEのC−F結合を解離し表面を活性化して、
他素材に対する親和性を増すような雰囲気が好ましい。
具体的には、ESCAにおける、C−F結合のF1sスペ
クトルの強度が減少し、さらに表面酸化による極性基の
生成を示すO1sスペクトルが現れるような雰囲気が好ま
しい。
【0030】このような雰囲気は活性ガスを含む雰囲気
であり、活性ガスとしては、たとえば、酸素、一酸化炭
素、二酸化炭素、一酸化二チッ素などの無機系活性ガ
ス、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、酢酸ビニル、スチレン、ヘキサン、キシレン、メチ
ルビニルケトン、アクリロニトリルなどの有機系活性ガ
スまたはこれらの2種以上の活性ガスがあげられる。
【0031】かかる活性ガスは、通常はチッ素、ヘリウ
ム、アルゴンなどの不活性ガスで希釈されて用いられ
る。その際、活性ガスの雰囲気中の濃度は、濃度が低す
ぎると表面活性化が不充分で防曇層とフィルムとの密着
性が劣る。濃度が高すぎると放電処理時に爆発する危険
があり安全性、生産性の面で好ましくない。それぞれの
活性ガスに応じた濃度で処理を行なう。たとえば酸素の
ばあい5〜80容量%の濃度で処理を行なうことができ
るが、生産性、コストの面から、空気中常温常圧下、コ
ロナ放電処理を施すことがとくに好ましい。
【0032】コロナ放電処理の条件は活性ガスの種類、
濃度、雰囲気温度や圧力などによって異なるが、雰囲気
として空気を用い、常温、常圧で行なうばあい、荷電密
度が70〜800W/m2、好ましくは90〜270W
/m2である。荷電密度が70W/m2未満ではETFE
フィルム表面の活性化が不充分で該フィルムと前記防曇
層との密着性が悪くなる傾向があり、800W/m2
超えるとフィルム表面に傷ができて外観が悪くなる傾向
がある。
【0033】コロナ放電処理を施すフィルムの面は片側
でも両側でもよい。また、雰囲気ガスを流しながらコロ
ナ放電処理してもよい。さらにまた、フィルムを移動さ
せながらコロナ放電処理してもよい。
【0034】コロナ放電処理されたフィルムは、処理後
できるだけ早くその表面に本発明の防曇層を形成するた
めの処理を施すのが好ましい。
【0035】なお、本発明においては、前記変性親水性
高分子化合物およびシリカを溶媒中で混合してえられる
防曇剤の製造過程で、またはこれを製造したのち、各種
の添加剤を配合することができる。添加剤としては、た
とえば各種消泡剤;ノニオン性、アニオン性、カチオン
性各界面活性剤;カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリ
(メタ)アクリル酸、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリル酸とヒドロキシ(メタ)アクリ
レートとの共重合体、ポリアクリルアミドなどの(メ
タ)アクリル系重合体;ポリビニルピロリドンまたはそ
の共重合体;PVA;カルボキシル基含有PVA、硫酸
基含有PVA、スルホン酸基含有PVA、リン酸基含有
PVA、第四級アンモニウム塩基含有PVA、アミノ基
含有PVAなどのPVA誘導体;エチレン−酢酸ビニル
共重合体;ビニルエステル系重合体および共重合体;ス
チレン−ブタジエン共重合体など、さらにシラン系カッ
プリング剤などがあげられる。
【0036】本発明における防曇剤を製造する好ましい
態様は、たとえばシリル基とイオン性親水性基を有する
前記変性PVAに対して2〜3%(重量%、以下同様)
の水酸化ナトリウム水溶液に、前記変性PVAを5〜1
5%になるように溶解して変性PVA水溶液をえ、該水
溶液にシリカとしてたとえばコロイダルシリカを、変性
PVA100部(重量部、以下同様)に対してシリカと
して5〜99.5部好ましくは10〜99部混合すれば
よい。前記シリカが5部未満では形成される防曇層の吸
水時の表面硬度が低くなる傾向があり、99.5部を超
えるとフィルム面との密着性および吸水時の耐ひっかき
傷性が悪くなる傾向がある。
【0037】このようにしてえられた防曇剤の固形分含
量としては、4.0〜8.0%好ましくは5.0〜7.
0%である。なお、前記変性PVA水溶液へシリカを混
合する方法としては、コロイダルシリカ水分散体に変性
PVA水溶液を混合すればよいが、本発明はこれのみに
限定されない。
【0038】つぎに本発明の農業用防曇性フィルムの製
造法を述べる。前記ETFE系共重合体フィルムのコロ
ナ放電処理された面に、前記防曇剤を、公知の塗工法た
とえばバーコーター塗工、ハケ塗工、スプレー塗工、浸
漬塗工、スピンコーティング、ダイコーティング、流し
塗り、ロール塗工、エアナイフコーティング、ブレード
コーティングなどにより塗工する。
【0039】防曇剤の塗工量としては、0.1〜2.0
g/m2(固形分)、好ましくは0.3〜1.8g/m2
であり、0.1g/m2未満であると長期にわたる防曇
性を維持できなくなる傾向があり、2.0g/m2を超
えると透明性が悪くなる傾向がある。
【0040】つぎに100〜200℃で1〜30分間、
好ましくは150〜180℃で1〜5分間熱処理を行な
って本発明の防曇性フィルムをうる。前記熱処理の温度
が100℃未満では吸水時の表面硬度が低くなる傾向が
あり、200℃を超えると防曇剤に含まれているポリマ
ー成分が分解する傾向がある。前記熱処理の時間が1分
間未満では吸水時の表面硬度が低くなる傾向があり、3
0分間を超えると生産効率が悪くなる傾向がある。ま
た、熱処理したのちの防曇層の厚さは、0.1〜2.0
μm、好ましくは0.3〜1.8μmである。前記厚さ
が0.1μm未満では長期にわたる防曇性を維持できな
くなる傾向があり、2.0μmを超えると透明性が悪く
なる傾向がある。
【0041】本発明において用いる活性ガスの種類と雰
囲気中のその濃度、活性ガスを希釈するための不活性ガ
スの種類および防曇層の組成についての好ましい組合せ
としては、たとえばつぎのようなものがあげられる。
【0042】 雰囲気 活性ガス 種類 酸素ガス 雰囲気中の濃度 5〜80容量% 不活性ガス チッ素ガス 防曇層 変性親水性高分子化合物 100重量部 シリカ 1.0〜10.0重量部 このような組合せとすることにより、フィルム表面が活
性化され、濡れ性が向上し、防曇層との密着性に優れ、
さらに前記防曇剤により初期防曇性に優れた農業用防曇
性フィルムがえられる。
【0043】より好ましくは、 雰囲気 空気 活性ガス 種類 酸素ガス 雰囲気中の濃度 約20容量% 防曇層 変性PVA 100重量部 シリカ 4.0〜8.0重量部 このような組合せとすることにより、生産性に優れ、か
つフィルム表面の水濡れ性や初期防曇性が向上し、防曇
層との密着性に優れ、さらに耐ひっかき傷性に優れた農
業用防曇性フィルムがえられる。
【0044】
【実施例】つぎに実施例に基づいて、本発明をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるも
のではない。
【0045】製造例 特開昭59−179685号公報の実施例1記載の製造
法に準じて防曇剤を製造した。すなわち、ビニルトリメ
トキシシランと酢酸ビニルとの共重合体をケン化してえ
られる、シリル基をビニルシラン単位として0.5モル
%含有し、酢酸ビニル単位のケン化度が99.0モル
%、重合度600のシリル基とカルボキシル基を有する
変性PVAをえた。変性PVAに対して1.5%の水酸
化ナトリウム水溶液に変性PVAが10%になるように
溶解させて変性PVAの水溶液をえた。この水溶液にコ
ロイダルシリカ(平均粒径20nm)を表1に示す量を
加えて撹拌して均一にし、防曇剤をえた。
【0046】実施例1 ETFE(ダイキン工業(株)製、「ネオフロンETF
E」)を330℃で押出成形し、厚さ60μmのフィル
ムを製膜した。えられたフィルムの片面に、空気中常温
常圧下、荷電密度180W/m2の条件でコロナ放電処
理を行なった。この処理面に、前記製造例でえられたシ
リル基およびカルボキシル基を含有している変性PVA
とコロイダルシリカを含有した防曇剤をバーコーターに
より、熱処理したのちの防曇層の厚さが0.5g/m2
となるように塗工し、150℃で3分間熱処理を行ない
試験片を作製した。えられた防曇層の厚さは、0.5μ
mであった。えられた試験片に関し、後述防曇層剥離試
験を行い剥離試験前の対水接触角および初期防曇性、剥
離試験後の対水接触角および初期防曇性を調べた。結果
を表1に示す。各特性はつぎの試験方法によって調べ
た。
【0047】防曇層剥離試験前対水接触角:協和界面化
学(株)製、商品名接触角計CA−DT・A型を用い
て、温度25℃、湿度22%RHで測定した。
【0048】防曇層剥離試験前初期防曇性:内径6c
m、深さ7cmのガラスびんに純水100mlを入れ、
その口を防曇性フィルムの防曇層を内側にして封止し
た。このビンを40℃のウォーターバス中に入れ、フィ
ルム面が4/10の傾斜角になるようにする。30分の
ちの防曇層表面の曇りおよび水滴の付着状態を目視によ
り観察し、以下の基準により評価した。
【0049】曇りがなく水滴が全く付着せず完全に防曇
性を有するものを5、曇りと水滴の付着の合計面積が1
0%未満であるものを4、曇りと水滴の付着の合計面積
が10%以上〜40%未満の範囲にあるものを3、曇り
と水滴の付着の合計面積が40%以上〜70%未満の範
囲にあるものを2、曇りと水滴の付着の合計面積が70
%以上で防曇性がないものを1とした。
【0050】防曇層剥離試験後対水接触角:防曇性フィ
ルムの処理面に粘着テープ(日東電工(株)製、商品名
セロハンテープ)を粘着し、上から指で5回こすって密
着させたのち、一気に前記テープを剥離したものを試験
片としたこと以外は前記防曇層剥離試験前対水接触角の
測定と同様にして行なった。
【0051】防曇層剥離試験後初期防曇性:防曇性フィ
ルムの処理面に、粘着テープ(日東電工(株)製、商品
名セロハンテープ)を粘着し、上から指で5回こすって
密着させたのち、一気に前記テープを剥離したものを試
験片としたこと以外は前記防曇層剥離試験前初期防曇性
の試験と同様にして行なった。
【0052】実施例2 実施例1と同じETFEに紫外線遮断剤(TiO2)を
0.1重量%混合してペレット化した。このペレットを
330℃で押出成形し、厚さ60μmのフィルムを製膜
した。えられたフィルムの片面に空気中で常温常圧下で
荷電密度180W/m2の条件でコロナ放電処理を行な
った。該処理面に、製造例でえた防曇剤をバーコーター
により、熱処理した後の防曇層が0.5g/m2となる
ように塗工した。150℃で3分間熱処理を行ない試験
片を作製した。えられた防曇層の厚さは、0.5μmで
あった。えられた試験片に関し、実施例1と同様にして
各特性を調べた。結果を表1に示す。
【0053】実施例3 実施例1と同じ厚さ60μmのETFEフィルムを製膜
し、このフィルムの片面に対し、酢酸ビニル蒸気を0.
5容量%含有する空気中で常温常圧下で荷電密度180
W/m2の条件でコロナ放電処理を行なった。該処理面
に、製造例でえた防曇剤をバーコーターにより、熱処理
した後の防曇層が0.5g/m2となるように塗工し
た。150℃で3分間熱処理を行ない試験片を作製し
た。えられた防曇層の厚さは、0.5μmであった。え
られた試験片に関し、実施例1と同様にして各特性を調
べた。結果を表1に示す。
【0054】実施例4 実施例1と同じ厚さ60μmのETFEフィルムを製膜
し、このフィルムの片面に対し酢酸ビニル蒸気を0.5
容量%含有するチッ素ガス雰囲気中で常温常圧下で荷電
密度180W/m2の条件でコロナ放電処理を行なっ
た。該処理面に、製造例でえた防曇剤をバーコーターに
より、熱処理した後の防曇層が0.5g/m2となるよ
うに塗工した。150℃で3分間熱処理を行ない試験片
を作製した。えられた防曇層の厚さは、0.5μmであ
った。えられた試験片に関し、実施例1と同様にして各
特性を調べた。結果を表1に示す。
【0055】比較例1 実施例1において、コロナ放電処理を行なわなかったこ
と以外は、実施例1と同様にして試験片を作製し、実施
例1と同様にして各特性を調べた。結果を表1に示す。
【0056】比較例2 テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共
重合体(FEP)を390℃で押出成形し、厚さ100
μmのフィルムを製膜した。えられたフィルムの片面に
空気中で常温常圧下で荷電密度180W/m2の条件で
コロナ放電処理を行なった。該処理面に、製造例でえた
防曇剤をバーコーターにより、熱処理した後の防曇層
が、0.5g/m2となるように塗工した。150℃で
3分間熱処理を行ない試験片を作製した。えられた防曇
層の厚さは、0.5μmであった。えられた試験片に関
し、実施例1と同様にして各特性を調べた。結果を表1
に示す。
【0057】比較例3 テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニ
ルエーテル)共重合体(PFA)を390℃で押出成形
し、厚さ50μmのフィルムを製膜した。えられたフィ
ルムの片面に空気中で常温常圧下で荷電密度180W/
2の条件でコロナ放電処理を行なった。該処理面に、
製造例でえた防曇剤をバーコーターにより、熱処理した
後の防曇層が、0.5g/m2となるように塗工した。
150℃で3分間熱処理を行ない試験片を作製した。え
られた防曇層の厚さは、0.5μmであった。えられた
試験片に関し、実施例1と同様にして各特性を調べた。
結果を表1に示す。
【0058】比較例4 実施例1において、防曇剤中の変性親水性高分子化合物
を変性していないPVAを用いたこと以外は、実施例1
と同様にして試験片を作製し、実施例1と同様にして各
特性を調べた。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明によると、対水接触角が小さいの
で水の濡れがよく、初期防曇性に優れ、曇りがないため
光線透過率が低下せず透明性に著しく優れ、防曇層と基
材フィルムとの密着性がよいため耐久性に優れる結果、
長期にわたる防曇性を維持でき、農業用防曇性フィルム
として好適であるほか、ゴーグル、ヘルメット用シール
ドなどの各種プラスチック材料と貼り合わせるためのフ
ィルム、食品包装用フィルム、さらに鏡、眼鏡、膜構造
体(屋内プールの内装など)、車両や船舶などの窓ガラ
ス、重合槽などの内容物確認などのためののぞき窓、計
器類の内面などの結露防止のために貼り合わせるための
フィルムなどとしても用いられうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 裕 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 (72)発明者 堀 義憲 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面が活性ガスを含む雰囲気
    下においてコロナ放電処理されたエチレン−テトラフル
    オロエチレン系共重合体からなるフッ素樹脂フィルムお
    よび該フィルムの処理面に設けられている分子内にシリ
    ル基およびイオン性親水性基を有する変性親水性高分子
    化合物とシリカとからなる防曇層からなる農業用防曇性
    フィルム。
  2. 【請求項2】 活性ガスが、酸素、一酸化炭素、二酸化
    炭素、一酸化二チッ素、メチルメタクリレート、グリシ
    ジルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレン、メチルビ
    ニルケトン、アクリロニトリル、ヘキサンおよびキシレ
    ンよりなる群から選ばれた少なくとも1種のガスである
    請求項1記載の農業用防曇性フィルム。
  3. 【請求項3】 活性ガスを含む雰囲気が空気である請求
    項1記載の農業用防曇性フィルム。
JP7236893A 1995-09-14 1995-09-14 農業用防曇性フィルム Pending JPH0976428A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100317189B1 (ko) * 1999-02-26 2001-12-22 박영우 농예용 합성수지 무적 필름의 제조방법 및 그 장치
US6461719B1 (en) 1998-06-23 2002-10-08 Asahi Glass Company Limited Agricultural covering material
WO2006059697A1 (ja) 2004-12-03 2006-06-08 Asahi Glass Company, Limited エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体成形物およびその製造方法

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JPWO2006059697A1 (ja) * 2004-12-03 2008-06-05 旭硝子株式会社 エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体成形物およびその製造方法

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Effective date: 20040224