JP2008280531A - 再乳化性樹脂粉末組成物、それを再乳化した水性エマルジョン、およびそれを用いた建築仕上げ塗り材 - Google Patents

再乳化性樹脂粉末組成物、それを再乳化した水性エマルジョン、およびそれを用いた建築仕上げ塗り材 Download PDF

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Abstract

【課題】塗膜の耐水性および硬度を、塗膜形成後の初期から発現でき、加えて、塗膜の耐久接着性に優れ、かつ、塗膜表面の皮張り状態を防止して、塗工後のコテ等による塗面への模様付けが可能な皮張り防止性に優れる再乳化性樹脂粉末組成物、それを再乳化した水性エマルジョン、およびそれを用いた建築仕上げ塗り材の提供を目的とする。
【解決手段】再乳化性樹脂粉末(I)と、縮合リン酸塩(II)と、架橋剤(III)とを含有する再乳化性樹脂粉末組成物であり、かつ、上記再乳化性樹脂粉末(I)が、疎水性モノマーを30重量%以上含有するエチレン性不飽和モノマー成分を重合して得られる合成樹脂エマルジョン(A)の乾燥物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、合成樹脂エマルジョンを乾燥してなる再乳化性樹脂粉末組成物に関し、さらに詳しくは、塗膜の耐水性および硬度を、塗膜形成後の初期から発現でき、加えて、塗膜の耐久接着性に優れ、かつ、塗膜表面の皮張り防止効果が高く、コテ作業性の良い再乳化性樹脂粉末組成物、それを再乳化した水性エマルジョン、およびそれを用いた建築仕上げ塗り材に関する。また、建築仕上げ塗り材用、粉末塗料用として好適に用いることができるが、セメント・石膏などの水硬性材料用混和剤用、木部あるいは木質、紙などの接着剤用などの各種用途にも用いることができる。
再乳化性樹脂粉末は、合成樹脂エマルジョンを噴霧乾燥などの方法により乾燥することにより製造されるものであり、粉末であることから、缶やドラム包装が主たる合成樹脂エマルジョンに比べて取り扱いが容易で、通常では、紙袋包装であるため製品保管、輸送コストの面でも有利である。さらに、再乳化性樹脂粉末は、一般の合成樹脂エマルジョンと比べて残存モノマーなどの揮発成分が少なく、かつ水を含まないため腐敗することがないため、防カビ・防腐剤を必要としないなど環境にやさしい製品として認められてきている。
また、この再乳化性樹脂粉末は、使用時に水に添加し撹拌するだけで水中に再乳化させることができるため、これまで主にコンクリート構造物・モルタルなどのセメント製品や石膏パテへの混入剤、さらに建築仕上げ塗り材用、粉末塗料用、接着剤用等として広く利用されている。特に、再乳化性樹脂粉末は、建築仕上げ塗り材組成物や粉末塗料組成物およびモルタル・石膏パテ等の無機水硬性組成物に予め混合させることができるため、現場で水を添加するだけでモルタルなどのセメント製品や石膏製品、建築仕上げ塗り材や塗料を形成させることができる。
しかしながら、これまで、建築仕上げ塗り材組成物や粉末塗料組成物、およびモルタルや石膏等の無機水硬性組成物に配合される再乳化性樹脂粉末は、再乳化性を強調するためにポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を、保護コロイド(分散安定化剤)とした酢酸ビニル系重合体、エチレン−酢酸ビニル系重合体、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル系重合体、酢酸ビニル−アクリル系重合体などの親水性の高い組成からなる重合体の再乳化性樹脂粉末が多く、皮膜の耐水性がほとんどないことから、特に塗膜の耐水性および硬度の初期発現性が不充分であり、外装に用いられる、建築仕上げ塗り材や粉末塗料用(以下、「建築仕上げ塗り材・粉末塗料用」と略す場合がある)の再乳化性樹脂粉末としては物性面で不充分であった。
塗膜の耐水性の初期発現の必要性は、例えば、夏場などにおいて塗工した場合、天候が急変して雨が降ってきたとしても、塗工後間もない塗面が影響を受けない程度に、塗面が仕上がっていることが求められるからである。また、塗膜硬度の初期発現の必要性は、塗工後、次の作業工程に入る場合などにおいて、塗膜表面に触れたとしても塗面が影響を受けない程度に仕上がっていることが求められるからである。このことは、例えば塗膜の乾燥が遅くなる冬場の作業等でも問題となる。それゆえに、塗膜の耐水性および硬度の初期発現性の良い建築仕上げ塗り材・粉末塗料用の再乳化性樹脂粉末が望まれていた。
しかし一方で、特に外装用建築仕上げ塗り材は、塗工後にコテ等で塗面に立体感のある模様付けをして意匠性を付与することが多く、特に夏場においては、塗工時の塗膜厚が1.5〜2mm位あっても塗膜の乾燥が進み、いわゆる塗膜表面の皮張りが生じ、塗工後30分位でコテなどによる塗面への模様付けができなくなってしまうという問題があった。模様付け方法としては、一定面積を塗工後に一括してコテ等で模様付けするのが作業効率の点からも一般的であるが、上記問題を防止するために、小面積毎に模様付けを行って意匠性付与を行う方法も提案されている。
しかし、該方法では、作業効率が悪く、場合によっては、模様のバランスが崩れる事も予想される。したがって、市場からは、塗膜の耐水性および硬度の初期発現性を保持し、一方では、塗面の乾燥を遅らせて塗工後のコテ等による塗面への模様付けを可能とする皮張り防止効果が高い、つまり、これらの相反する物性のバランスがよい、特に外装用建築仕上げ塗り材用の再乳化性樹脂粉末が望まれていた。
一般的に、水に再乳化することができる再乳化性樹脂粉末として知られているものの多くは、再乳化させる必要性から、主に重合度が低く、部分ケン化ポリビニルアルコールを保護コロイド(分散安定化剤)として使用し、主成分としては酢酸ビニルを主体とするビニルエステル系のモノマーを使用して乳化重合して得られるものである(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
また、耐水性を目的とした再乳化性樹脂粉末としては、上記の特許文献2のように、再乳化性合成樹脂エマルジョン粉末と、カルシウムまたはマグネシウムの酸化物または水酸化物を含有したエマルジョン粉末組成物や、エチレン性不飽和単量体またはジエン系単量体の少なくとも1種から構成される重合体粒子の表面に、アセト酢酸基およびメルカプト基の少なくとも一方を有し、かつブロックキャラクターが0.3〜0.6のポリビニルアルコール系樹脂が吸着した再乳化性合成樹脂粉末(例えば、特許文献3参照)、さらには、このブロックキャラクターに、さらに特定粒径に分別されたアセト酢酸エステル基含有ポリビニルアルコールの各々の平均アセト酢酸エステル化度の最大値を最小値で割った値が1.0〜3.0の水性エマルジョンからなる再乳化性合成樹脂粉末(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献1の開示技術では、皮膜の耐水性を目的としたものではなく、また、皮膜の耐水性を高めるために主にアクリル系、スチレン系、ビニル系などから選ばれた疎水性モノマーを用いて通常の不揮発分(40〜50%)を有する合成樹脂エマルジョンを製造しようとしても重合安定性が悪いものであった。
また、特許文献2〜4の開示技術では、いずれも皮膜の耐水性のある程度の向上は見られるものの、塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、加えて塗膜の耐久接着性の向上などが要求されており、まだまだ満足のいくものではなく、さらなる改良が必要であった。
さらに、場合により、特に外装用建築仕上げ塗り材においては、塗膜の耐水性および硬度を、塗膜形成後の初期から発現させるために不揮発分を高める工夫をすることもあるが、塗工後のコテ等による模様付けを可能にする時間を短縮することになる。また、模様付けを可能にする時間を長くするためには、ヒドロキシメチルセルロース等の保水剤の使用が考えられるが、これではかえって塗膜の耐水性および硬度の初期発現性が著しく低下してしまうこととなる。
したがって、特に塗膜の耐水性および硬度の初期発現性と、塗工後のコテ等による塗面への模様付け性とのバランスがよい製品が市場にないのが実状である。
特開平5−140325号公報 特開平5−179008号公報 特開2002−60406号公報 特開2005−272481号公報
そこで、本発明ではこのような背景下において、塗膜の耐水性および硬度を、塗膜形成後の初期から発現でき、加えて、塗膜の耐久接着性に優れ、かつ、塗膜表面の皮張り状態を防止して、塗工後のコテ等による塗面への模様付けが可能な皮張り防止性に優れる再乳化性樹脂粉末組成物、それを再乳化した水性エマルジョン、およびそれを用いた建築仕上げ塗り材を提供することを目的とする。
しかるに、本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、疎水性モノマーを多めに含有するエチレン性不飽和モノマー成分を調製し、これを重合させて合成樹脂エマルジョンをつくり、これを乾燥させた再乳化製樹脂粉末が有効であることを見出した。本発明者は、この知見にもとづき、さらに研究を重ねた結果、この粉末に、縮合リン酸塩および架橋剤を含有させることにより、所望の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、再乳化性樹脂粉末(I)と、縮合リン酸塩(II)と、架橋剤(III)とを含有する再乳化性樹脂粉末組成物であり、かつ、上記再乳化性樹脂粉末(I)が、疎水性モノマーを30重量%以上含有するエチレン性不飽和モノマー成分を重合して得られる合成樹脂エマルジョン(A)の乾燥物であることを特徴とする再乳化性樹脂粉末組成物に関するものである。
また、本発明は、前記再乳化性樹脂粉末組成物を再乳化してなることを特徴とする水性エマルジョンに関するものであり、さらに、前記再乳化性樹脂粉末組成物または前記水性エマルジョンを含有してなる建築仕上げ塗り材に関するものである。
本発明の再乳化性樹脂粉末組成物は、再乳化性樹脂粉末(I)と、縮合リン酸塩(II)と、架橋剤(III)とを含有する再乳化性樹脂粉末組成物であり、かつ、上記再乳化性樹脂粉末(I)が、疎水性モノマーを含有するエチレン性不飽和モノマー成分を重合して得られる合成樹脂エマルジョン(A)の乾燥物であるため、塗膜の耐水性および硬度を、塗膜形成後の初期から発現でき、加えて、塗膜の耐久接着性に優れ、かつ、塗膜表面の皮張りを防止して塗工後のコテ等による塗面への模様付けが可能な皮張り防止性に優れた効果を有する。この再乳化性樹脂粉末組成物、およびこれを水に再乳化させた水性エマルジョンは、特に建築仕上げ塗り材用、粉末塗料用として好適に用いられ、さらに、セメント・石膏などの水硬性材料用混和剤用、木部あるいは木質、紙などの接着剤用などの各種用途にも有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の再乳化性樹脂粉末組成物は、疎水性モノマーを30重量%以上含有するエチレン性不飽和モノマー成分を重合して得られる合成樹脂エマルジョン(A)の乾燥物である再乳化性樹脂粉末(I)に、縮合リン酸塩(II)および架橋剤(III)を含有させてなる再乳化性樹脂粉末組成物である。以下、この再乳化性樹脂粉末(I)、縮合リン酸塩(II)、架橋剤(III)について、それぞれ順に説明する。
なお、ここで再乳化性樹脂粉末とは、例えば、水などの水系媒体に再乳化させるとエマルジョンを生成することができる粉末のことをいう。
《1.再乳化性樹脂粉末(I)》
本発明に係る上記再乳化性樹脂粉末(I)は、上記のように、合成樹脂エマルジョン(A)の乾燥物であり、この合成樹脂エマルジョン(A)は、エチレン性不飽和モノマー成分を乳化重合して得られるものである。まず、この合成樹脂エマルジョン(A)を構成する各材料成分(構成材料)について説明する。
〈1−1.合成樹脂エマルジョンの構成材料〉
(イ.エチレン性不飽和モノマー成分について)
本発明における合成樹脂エマルジョンを構成するエチレン性不飽和モノマー成分は、全体の30重量%以上が疎水性モノマーからなる。この疎水性モノマーについて、つぎに説明する。
(i.疎水性モノマー)
本発明で対象となる疎水性モノマーとしては、エチレン性不飽和モノマー成分であって、実質的に水に不溶なモノマーである。通常、20℃の水に対する溶解度が0.3重量%以下であるモノマーが好ましく、より好ましくは0.2重量%以下であるモノマーである。この疎水性モノマーは、通常、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、ビニル系モノマーから選ばれる。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が4以上、好ましくは6〜18のアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシアクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;メタクリル酸トリフルオロエチルなどがあげられ、これらを単独で、または2種以上を併用することができる。これらの中でも、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。なお、ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味するものである。
上記モノマーにおいて、20℃の水に対する溶解度を例示すると、例えば、下記の通りである。
n−ブチルアクリレート :0.2重量%
n−ブチルメタクリレート :0.04重量%
i−ブチルメタクリレート :0.04重量%
t−ブチルメタクリレート :0.05重量%
2−エチルヘキシルアクリレート :0.01重量%
2−エチルヘキシルメタクリレート :0.01重量%以下
シクロヘキシルメタクリレート :0.01重量%以下
ラウリルメタクリレート :0.01重量%以下
ステアリルメタクリレート :0.01重量%以下
メタクリル酸トリフルオロエチル :0.04重量%
また、上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどがあげられ、これらを単独で、または2種以上を併用することができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
さらに、上記ビニル系モノマーとしては、例えば、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル(20℃の水に対する溶解度:0.1重量%以下)などがあげられ、これらを単独で、または2種以上を併用することができる。
また、再乳化性樹脂粉末の物性などに応じて、前記疎水性モノマーを単独で、もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明において、20℃の水に対する溶解度の求め方はつぎの方法による。まず、200mlの分液ロートに、対象とするモノマー20mlと水100mlとを入れ、室温(23〜25℃)で、1回10分間の撹拌を、一回の撹拌毎に10分間の間隔をおきながら、3回行い、20℃の恒温室にて垂直に立てて20時間放置する。その後、モノマーと分離した下部の水層を、分液ロートの下部にある活栓を開いて取り出し、ガスクロマトグラフィー(水素炎イオン化検出器)にて定量する。
本発明においては、塗膜形成した場合の耐水性に優れたエマルジョンを製造することが目的であるため、疎水性モノマーの含有量は比較的高いことが必要であり、前記疎水性モノマーの使用量は、全エチレン性不飽和モノマー成分に対して30重量%以上であり、40〜100重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜100重量%である。前記疎水性モノマーの使用量が少なすぎると所望の塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、塗膜の耐久接着性が不充分となる。また、早期乾燥性や塗膜の強靱性に劣る傾向がみられることもある。
ここで、塗膜の耐水性の初期発現性とは、例えば、塗工後に、天候が急変して雨が降ってきたとしても、塗工間もない塗面が、雨や湿気等の水の影響を受けない程度に塗面が仕上がっていることを示すものであり、また、塗膜硬度の初期発現性とは、塗工後、次の作業工程に入る場合などにおいて、塗膜表面に触れたとしても塗面が影響を受けない程度に仕上がっていることを示すものである。
本発明で用いられるエチレン性不飽和モノマー成分には、前記疎水性モノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(以下、「共重合性モノマー」と略す場合がある)を含有することができる。つぎに、この共重合性モノマーについて説明する。
(ii.共重合性モノマー)
上記共重合性モノマーとしては特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が3以下の(メタ)アクリル系のモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニル系モノマー;エチレンなどのオレフィン系モノマー;塩化ビニルなどのハロゲン化オレフィン系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのアクリルアミド系モノマー、(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル系モノマー;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、(メタ)アクリル酸、(無水)イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸およびこれらのエステル系モノマーなどをあげることができる。これらの中でも、アルキル基の炭素数が3以下の(メタ)アクリル系のモノマーが好ましい。
また、本発明においては、特に、外装用建築仕上げ塗り材・粉末塗料用として用いた場合に塗膜の強靭性、下地への接着性が得られる点から、乳化重合する際に、上記共重合性モノマーの中でも、特定の官能基を含有するエチレン性不飽和モノマー(以下「官能性モノマー」と略す場合がある)を共重合することが好ましい。
この官能性モノマーとしては、アリル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、加水分解性シリル基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、ビニル基含有モノマーおよびカルボニル基含有モノマーからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
上記アリル基含有モノマーとしては、例えば、トリアリルオキシエチレン、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルフタレート等のアリル基を2個以上有するモノマー、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル等があげられる。これらの中でも、下地への接着性の観点から、アリルグリシジルエーテルが好ましい。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等があげられる。これらの中でも、塗膜の耐水性、強靭性の向上の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記加水分解性シリル基含有モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等があげられる。これらの中でも、無機材料への接着性の観点から、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピルクロトナート、2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等があげられる。これらの中でも、建築仕上げ塗り材・粉末塗料の耐水性向上および下地への接着性の観点から、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ビニル基含有モノマーとしては、分子構造中にビニル基を2個以上有するモノマーであることが好ましく、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等があげられる。
上記カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、ダイアセトンアクリルアミド等があげられる。ダイアセトンアクリルアミドは建築仕上げ塗り材・粉末塗料の耐水性、強靭性などの向上および下地への接着性の観点から好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、外装用建築仕上げ塗り材・粉末塗料用として塗膜の強靭性、下地への接着性の点から、官能性モノマーとしては、加水分解性シリル基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマーおよびカルボニル基含有モノマーからなる群より選択されるモノマーが好ましく、カルボニル基含有モノマーがより好ましい。
官能性モノマーの使用量は、全エチレン性不飽和モノマー成分に対して0.05〜10重量%であることが好ましく、0.5〜7重量%であることがより好ましく、1〜5重量%であることがさらに好ましい。少なすぎると塗膜の強靭性、下地への接着性などの改善が不充分になる傾向があり、多すぎると重合不良となったり、再乳化性が低下する傾向がある。
上記エチレン性不飽和モノマー成分は乳化重合されるが、この乳化重合に際し、このエチレン性不飽和モノマー成分とともに、乳化重合の保護コロイド剤(分散安定化剤)を添加することが分散安定化の点から好ましい。つぎに、この保護コロイド剤について説明する。
(ロ.保護コロイド剤)
本発明における保護コロイド(分散安定化剤)は、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール系樹脂(a)を使用することが好ましい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂(a)としては、ポリ酢酸ビニル溶液をアルカリや酸によってケン化したケン化物またはその誘導体が用いられるが、さらに、酢酸ビニルと、酢酸ビニルと共重合することのできる単量体との共重合体をケン化したケン化物などを、本発明の目的を阻害しない範囲で用いることもできる。
上記酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、オレフィン(エチレン、プロピレン、α−ブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等)、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等)またはこれらのエステルまたは塩、不飽和多価カルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)またはこれらの部分ないし完全エステルまたは塩または無水物、不飽和スルホン酸(エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等)またはこれらの塩、アミド(アクリルアミド、メタクリルアミド等)、ニトリル(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル、ビニルケトン、塩化ビニル等があげられる。
上記ケン化は、ポリ酢酸ビニルなどの重合体をアルコールまたは含水アルコールに溶解し、アルカリ触媒または酸触媒を用いて行なわれる。このケン化に使用されるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノールなどの炭素数1〜6の飽和アルコールがあげられるが、これらの中でも、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。
また、上記ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラートなどのアルカリ金属の水酸化物、アルコラートなどのアルカリ触媒;硫酸、塩酸、硝酸、メタスルホン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂などの酸触媒があげられる。ケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度などにより適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂1モルに対して0.1〜30ミリモルであることが好ましく、より好ましくは2〜17ミリモルとすることが適当である。また、ケン化反応の反応温度は、特に限定されないが、10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂(a)としては、通常、ケン化度80モル%以上、好ましくは85モル%以上、平均重合度10〜3000、好ましくは20〜2500のものが用いられる。
なお、本発明において、ケン化度及び平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
本発明においては、上記のポリビニルアルコール系樹脂(a)の中でも、より一層の高機能化が可能な点から、各種変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができ、特に、グラフト性が向上し、保護コロイド物性が良好になる点から「活性水素を有する官能基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a1)」であることが好ましい。
(i.活性水素を有する官能基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a1))
活性水素を有する官能基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a1)の平均重合度は、20〜2500が好ましく、より好ましくは200〜800、さらに好ましくは200〜500である。平均重合度が小さすぎると保護コロイド性を有さない傾向があり、さらに、平均重合度が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を工業的に製造することは容易ではない傾向がある。また、平均重合度が大きすぎるとエマルジョンの粘度が高くなり過ぎたり、エマルジョンの重合安定性が低下したりする傾向がある。
さらに、活性水素を有する官能基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a1)のケン化度は、90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは97〜99.8モル%である。ケン化度が小さすぎるとエマルジョンの重合時の安定性が極端に低下して目的とする水性エマルジョンを得ることが困難になる傾向がある。
活性水素を有する官能基の変性量は、通常、0.01〜15モル%、特には0.01〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜5モル%、さらに好ましくは0.03〜2モル%、最も好ましくは0.03〜1モル%である。変性量が少なすぎると保護コロイド性が低下して重合安定性が低下したり、固形分が高いと反応中にゲル化するなどの傾向があり、多すぎてもエマルジョンの重合安定性が低下する傾向がある。
活性水素を有する官能基としては、例えば、アセトアセチル基、ジアセトンアクリルアミド基、アミノ基、メルカプト基などをあげることができるが、これらの中でも、重合安定性を改善できる点、樹脂粉末の再乳化性を向上できる点、合成樹脂へのグラフト率が高くなることから皮膜の耐水性を向上できる点などの理由で、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂が最も好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂にアセトアセチル基を導入する方法としては、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンを反応させる方法、ポリビニルアルコール系樹脂とアセト酢酸エステルを反応させる方法などをあげることができるが、製造工程が簡略で、かつ品質のよいアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂が得られる点から、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンを反応させる方法で製造することが好ましい。さらに、ジケテンの使用量が少なく、また、ジケテンの反応収率が向上するという利点を有する点においても、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンを反応させる方法が好ましい。
また、活性水素を有する官能基含有ポリビニルアルコール系樹脂(a1)がアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂の場合、アセトアセチル化度は0.01〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.1〜5モル%、さらに好ましくは0.3〜3モル%、殊に好ましくは0.3〜2モル%である。アセトアセチル化度が小さすぎると塗膜の耐水性や機械的強度が不足する傾向があり、大きすぎると重合安定性が低下する傾向がある。
さらに、ポリビニルアルコール分子上に存在するアセトアセチル基は分子内の一定領域にブロック状に固まって配置しているものよりも、分子内において相対的にランダムに配置されているもののほうが好ましい。
また、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、90モル%以上であることが好ましく、特には95モル%以上、さらには97〜99.8モル%であることが好ましい。ケン化度が小さすぎると安定に重合が進行しにくくなり、重合が完結したとしても合成樹脂エマルジョンの保存安定性が良好でなくなる傾向がある。また、大きすぎると、重合安定性が悪くなり、重合途中でゲル化することがあり、重合が完結したとしても再乳化し難くなる傾向がある。
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、50〜2000であることが好ましく、200〜600であることがより好ましい。平均重合度が小さすぎると乳化重合時の保護コロイド能力が不充分になり重合が安定に進行しない傾向があり、大きすぎると、重合時に増粘して反応系が不安定になり、再乳化性が低下する傾向がある。
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂の粒度としては、20〜5000μmにすることが好ましく、44〜1680μmとすることがより好ましい。粒度が小さすぎると反応熱によって粒子が融着しやすくなり、さらに洗浄、乾燥などの後処理が困難となる傾向があり、粒度が大きくなるとポリビニルアルコール系樹脂粒子とアセトアセチル化反応に用いるジケテンとの接触が不均一となり、ジケテンの反応率を低下させる傾向がある。
アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂の粒度の調節は、ポリビニルアルコール系樹脂の製造後、標準ふるいで調節したり、風力分級することにより、行うことができる。
ポリビニルアルコール系樹脂にジアセトンアクリルアミド基を導入する方法としては、ジアセトンアクリルアミドと酢酸ビニルを共重合した後にケン化することにより得ることができる。ジアセトンアクリルアミドと酢酸ビニルを共重合するにあたっては、特に限定されないが、HANNAの式(反応性比:ジアセトンアクリルアミド;r1=14.8、酢酸ビニル;r2=0.06)に従って、重合速度に応じて、ジアセトンアクリルアミドを仕込むことが好ましい。ジアセトンアクリルアミドが均一に変性されることで、アセトキシ基(CHCOO−)のブロック性が低いポリビニルアルコール系樹脂が得やすくな
る。
ついでケン化されるのであるが、ケン化にあたっては、上記のアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂の製造時と同様に行えばよい。
このようにして得られたジアセトンアクリルアミド基変性ポリビニルアルコール系樹脂のジアセトンアクリルアミド基の含有量は、0.1〜15モル%が好ましく、より好ましくは0.5〜10モル%、さらに好ましくは1〜8モル%であり、かかる含有量が少なすぎると本発明の効果が充分に得られない傾向があり、逆に多すぎるとポリビニルアルコール系樹脂の水溶性が低下したり、エマルジョンを得るときの重合安定性が低下(粗粒子が多くなったり、エマルジョン粘度が高くなりすぎる等)する傾向がある。
ポリビニルアルコール系樹脂にメルカプト基を導入する方法としては、酢酸ビニルの重合時に連鎖移動剤としてメルカプト基を有する化合物を共存させて重合した後にケン化することにより得ることができる。このメルカプト基を有する化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物があげられ、例えば、チオ酢酸、チオプロピオン酸、チオ酪酸、チオ吉草酸等の有機チオール酸をあげることができる。
−CO−SH …(1)
(式中、Rは、炭素数2〜15のアルキル基である)
上記の如きメルカプト基を有する化合物を連鎖移動剤として用いて、酢酸ビニルを重合するにあたっては、下記一般式(2)に従って、目的とする重合度に応じたメルカプト基を有する連鎖移動剤(例えば、有機チオール酸)の初期仕込み量を決めて重合を開始して、その後、連鎖移動剤の消費速度に合わせて下記一般式(3)に従って、連鎖移動剤を追加仕込みするようにすればよい。
1/P=Cm+Cs([S]/[M])+Cx([X]/[M]) …(2)
追加仕込み量=Cx([X]/[M])・Rp …(3)
(ここで、Pは重合度、Cmはモノマーに対する連鎖移動定数、Csは溶媒に対する連鎖移動定数、Cxは連鎖移動剤の連鎖移動定数、[S]は溶媒濃度(mol/L)、[M]はモノマー濃度(mol/L)、Rpは重合速度(mol/L/sec)である。
ついで、ケン化されるのであるが、ケン化にあたっては、上記のアセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂の製造時と同様に行えばよい。
また、本発明においては、上記のポリビニルアルコール系樹脂(a)の中でも、特に、エマルジョンの固形分の増加、重合性の容易さなどの点から、「側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(a2)」であることが好ましい。
(ii.側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(a2))
この側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(a2)は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化および脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化および脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(a2)のケン化度は、85モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95〜99.8モル%である。かかるケン化度が小さすぎるとエマルジョンの重合時の安定性が低下して目的とする水性エマルジョンを得ることが困難になる傾向がある。
また、このポリビニルアルコール系樹脂(a2)の側鎖の1,2−ジオール結合量は、1〜15モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜12モル%、さらに好ましくは2〜10モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。かかる1,2−ジオール結合量が少なすぎると、エマルジョンの機械安定性や皮膜の耐水性などが低下する傾向があり、多すぎると重合時の安定性が低下し、不揮発分の高い安定なエマルジョンが得られにくくなる傾向がある。
さらに、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(a2)の平均重合度は、50〜2500が好ましく、より好ましくは100〜1700、さらに好ましくは100〜1000、特に好ましくは200〜500である。かかる重合度が小さすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を工業的に製造することは困難となる傾向があり、大きすぎるとエマルジョンの粘度が高くなり過ぎたり、エマルジョンの重合安定性が低下する傾向がある。
また、本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂(a)として、「アニオン基を含むポリビニルアルコール系樹脂(a3)」を併用してもよい。アニオン基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基などをあげることができるが、これらの中でも、エマルション中のpHに関係なく、安定して強い電荷反発が得られる点から、スルホン酸基であることが好ましい。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂(a)としては、前記ポリビニルアルコール系樹脂を単独で、または2種以上を混合して用いることができるが、前記ポリビニルアルコール系樹脂以外の非変性タイプの部分または完全ケン化ポリビニルアルコールなどを、本発明の目的を阻害しない範囲において併用することができる。
本発明において、上記ポリビニルアルコール系樹脂(a)等の保護コロイド剤(分散安定化剤)の使用量は、全共重合モノマー成分100重量部に対して、3〜20重量部であることが好ましく、4〜10重量部であることがより好ましい。少なすぎると乳化重合の際の保護コロイド量が不足することとなり、重合安定性が不良となる傾向があり、多すぎると再乳化性は良好となるものの粉末中に水溶性成分が多く存在することとなり、応用用途での耐水性が低下する傾向がある。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(a)等の保護コロイド剤は、通常、水系媒体を用いて水溶液としたものが乳化重合の過程において使用される。ここで水系媒体とは、水、または水を主体とするアルコール性溶媒をいい、好ましくは水のことをいう。
この水溶液中におけるポリビニルアルコール系樹脂等の保護コロイド剤の量(不揮発分換算)については特に限定されないが、取り扱いの容易性の観点からは、5〜30重量%であることが好ましい。
さらに、本発明においては、上記保護コロイド剤の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂(a)の少なくとも一部が、合成樹脂エマルジョン(A)中の合成樹脂にグラフトしていることが、得られる乾燥前の合成樹脂エマルジョン(A)自体の貯蔵安定性や接着性測定における評価のバラツキが少なくなるなどの点から好ましい。なお、このグラフトは、ポリビニルアルコール系樹脂が含有する官能基に起因して生じるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂(a)が合成樹脂にグラフトした場合に、下記式(4)で表される値(W)が50重量%以上であることが好ましい。より好ましくは60〜95重量%であり、さらに好ましくは65〜85重量%である。かかる値は、グラフト化程度の目安になるものであり、この値が低すぎると、乳化重合時の保護コロイド作用が低下し、重合安定性が低下したり、加えてフィラー類との混和性が低下するなどの傾向がみられる。逆に、高すぎると、グラフト化の程度が高く、重合中にエマルジョンが増粘したりゲル化したりする傾向がみられる。
式(4)の値(W)は、以下のようにして算出される。即ち、対象となるエマルジョン等を、40℃×16時間乾燥して、厚さが約0.5mmの皮膜を作製し、それを23℃×65%RH下に2日間放置する。その皮膜を、沸騰水中で8時間抽出を行った後、アセトン中で8時間抽出を行い、グラフト化していない樹脂等を除去する。この場合の、抽出前の皮膜絶乾重量をw(g)、抽出後の皮膜絶乾重量をw(g)とし、下記の式より求める。
W(重量%)=(w)/(w)×100 …(4)
(w:抽出前の皮膜絶乾重量(g)、w:抽出後の皮膜絶乾重量(g))
なお、抽出前の皮膜絶乾重量(w)は、予め、抽出試験サンプルとは別のサンプルを105℃×1時間乾燥させ、その重量を算出したものであり、抽出後の皮膜絶乾重量(w)は、抽出後のサンプルを105℃×1時間乾燥させた時の重量である。そして、これらwとwの重量の算出は、それぞれ別のサンプルを用いたものであるため、同一条件下での取り扱いとすべく、両サンプルの乾燥にともなう揮発分割合により補正して、両サンプルの皮膜絶乾重量を算出した。
上記式(4)の値(W)が50重量%以上に調整する方法としては、乳化重合温度を従来よりもやや高くしたり、重合用触媒として使用する過硫酸塩に極微量の還元剤(例えば、酸性亜硫酸ソーダなど)を併用する等の方法があげられる。
本発明においては、前述のように、エチレン性不飽和モノマー成分を乳化重合することにより合成樹脂エマルジョンが得られる。そして、この重合の際には、上記エチレン性不飽和モノマー成分や、上記保護コロイド剤以外に、必要に応じて他の成分をさらに用いることができる。
(ハ.他の成分)
このような他の成分としては、再乳化性樹脂粉末(I)としての性質を低下させることがない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。他の成分としては、例えば、重合開始剤、重合調整剤、補助乳化剤、可塑剤、造膜助剤等があげられる。
(i.重合開始剤)
重合開始剤としては、通常の乳化重合に使用できるものであれば特に制限なく使用でき、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;有機過酸化物、アゾ系開始剤、過酸化水素、ブチルパーオキサイド等の過酸化物;およびこれらと酸性亜硫酸ナトリウムやL−アスコルビン酸等の還元剤とを組み合わせたレドックス重合開始剤等があげられ、これらは2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、早期乾燥性の物性に影響する架橋剤の効果に悪影響を与えず、乳化重合が容易な点で無機酸化物、特には過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムが好ましい。
(ii.重合調整剤)
重合調整剤としては、公知のものの中から適宜選択することができる。このような重合調整剤としては、例えば、連鎖移動剤、バッファーなどがあげられる。
ここで、連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;および、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類などがあげられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤を用いることにより重合を安定に行わせることができるが、合成樹脂の重合度を低下させ、その結果、得られる塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、強靭性、耐久接着性などを低下させる可能性があるため、連鎖移動剤を使用する場合には、その使用量をできる限り少なくすることが望ましい。
ここで、バッファーとしては、例えば、酢酸ソーダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダなどがあげられる。これらは、2種以上を併用してもよい。
(iii.補助乳化剤)
補助乳化剤としては、乳化重合に用いることができるものとして当業者に公知のものであれば、いずれのものでも使用可能である。したがって、補助乳化剤は、例えば、アニオン性、カチオン性、およびノニオン性の界面活性剤、ポリビニルアルコール以外の保護コロイド能を有する水溶性高分子、および水溶性オリゴマー等の公知のものの中から適宜選択することができる。
界面活性剤の好ましい具体例としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤、および、プルロニック型構造を有するものやポリオキシエチレン型構造を有するものなどのノニオン性界面活性剤があげられる。また、該界面活性剤として、構造中にラジカル重合性不飽和結合を有する反応性界面活性剤を使用することもできる。
乳化剤を使用することにより乳化重合をスムーズに進行させ、重合を容易にコントロールでき、かつ、重合中に発生する粗粒子やブロック状物の発生を抑制することができるが、これら界面活性剤を乳化剤として多く使用すると、乾燥時に粒子が凝着してしまい、再乳化性が低下する場合がある。したがって、乳化剤として界面活性剤を使用する場合には、その使用量はポリビニルアルコール系樹脂に対して補助的な量であること、すなわち、できる限り少なくすることが望ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂以外の保護コロイド能を有する水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースなどがあげられる。これらは、得られる再乳化性樹脂粉末を再乳化させて使用する際に、粘性を変化させる点で効果がある。ただし、その使用量によっては再乳化性樹脂粉末の再乳化性を低下させることがあるため、使用する場合には、再乳化性樹脂粉末の再乳化性を低下させないような量で使用することが望ましい。
水溶性オリゴマーとしては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基などの親水性基を有する重合度が10〜500程度の重合体または共重合体が好適にあげられる。
水溶性オリゴマーの具体例としては、例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体などのアミド系共重合体、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩などがあげられる。さらに、具体例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基などを有するモノマーやラジカル重合性の反応性乳化剤を予め単独または他のモノマーと共重合してなる水溶性オリゴマーなどもあげられる。
本発明においては、これらの中でも、再乳化性を付与できる点、顔料および炭酸カルシウム等のフィラーとの混和安定性の点で、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体が好ましい。水溶性オリゴマーは、乳化重合を開始する前に予め重合したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。これらは、2種以上を併用してもよい。
(iv.可塑剤および造膜助剤)
また、可塑剤としては、塗料用・接着剤用に汎用的に使用されるアジペート系可塑剤、フタル酸系可塑剤、燐酸系可塑剤などが使用できる。また、造膜助剤も使用できる。
これら他の成分の使用量は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
つぎに、本発明にかかる合成樹脂エマルジョンの製造について説明する。
〈1−2.合成樹脂エマルジョン(A)の製造〉
前述したように、本発明における合成樹脂エマルション(A)は、疎水性モノマーを30重量%以上含有するエチレン性不飽和モノマー成分を、乳化重合して得られる。この乳化重合の際、合成樹脂の分散安定化の点から、通常、保護コロイド剤、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂(a)が用いられる。
(イ.乳化重合)
乳化重合の方法としては、特に制限はなく、例えば、反応缶に、水、ポリビニルアルコール系樹脂(a)等の保護コロイド剤を仕込み、昇温してエチレン性不飽和モノマー成分と重合開始剤を滴下するモノマー滴下式乳化重合法;および、滴下するモノマーを予め保護コロイド剤と水とで分散・乳化させた後、滴下する乳化モノマー滴下式乳化重合法などがあげられるが、重合工程の管理やコントロール性等の面でモノマー滴下式乳化重合法が便利である。
通常、乳化重合は、保護コロイド剤および前記エチレン性不飽和モノマー成分以外に、重合開始剤、重合調整剤、補助乳化剤等のような前記した他の成分を必要に応じて用いて実施する。また、重合の反応条件は、特に制限はなく、エチレン性不飽和モノマー成分の種類、目的等に応じて適宜選択することができる。
乳化重合過程をさらに具体的に説明にする。ただし、これに限定されるものではない。
まず反応缶に水、保護コロイド、必要に応じて補助乳化剤を仕込み、これを昇温(例えば65〜90℃)した後、エチレン性不飽和モノマー成分の一部と重合開始剤とをこの反応缶に添加して、初期重合を実施する。ついで、残りのエチレン性不飽和モノマー成分を、一括または滴下しながら反応缶に添加し、必要に応じてさらに重合開始剤を添加しながら重合を進行させる。重合反応が完了したと判断されたところで、反応缶を冷却し、目的とする合成樹脂エマルジョン(A)を取り出すことができる。
(ロ.合成樹脂エマルジョン(A)の特性)
上記乳化重合より得られる合成樹脂エマルジョン(A)は、典型的には、均一な乳白色であって、その合成樹脂エマルジョン(A)中の合成樹脂の平均粒子径は0.2〜2.0μmであることが好ましく、0.3〜1.5μmであることがより好ましい。
ここで、合成樹脂エマルジョン(A)中の合成樹脂の平均粒子径は、慣用の方法、例えばレーザー解析/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」((株)堀場製作所製)により測定することができる。
また、合成樹脂エマルジョン(A)中の合成樹脂において、そのガラス転移温度は、建築仕上げ塗り材用、粉末塗料用としてモルタルやスレート板などの下地に対する接着力や塗膜の強靭性などの物性面から、−35〜20℃であることが好ましく、−25〜10℃であることがより好ましく、−20〜0℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が低すぎると塗膜の下地に対する接着力や塗膜の強靭性が低下する傾向があり、高すぎるとジブチルフタレートなどの可塑剤を多く添加して、エマルジョンの造膜温度を低下させることが必要になり、この結果、塗膜の下地に対する接着力や強靭性が低下する傾向がある。
なお、本発明において、上記合成樹脂におけるガラス転移温度とは、エチレン性不飽和モノマー成分に基づき、Foxの式により計算される値のことである。
(ハ.合成樹脂エマルジョンに対する添加剤)
本発明においては、上記合成樹脂エマルジョン(A)に、必要に応じて各種添加剤をさらに加えてもよい。このような添加剤としては、例えば、水溶性添加剤、有機顔料、無機顔料、顔料・フィラーなどの分散剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、撥水剤、酸化防止剤などがあげられる。なお、これらが粉体・粉末の場合には、合成樹脂エマルジョン(A)を乾燥、好ましくは噴霧乾燥して得た再乳化性樹脂粉末(I)に添加してもよい。
(i.水溶性添加剤)
水溶性添加剤としては、樹脂粉末の用途に応じて、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、澱粉誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性アルキド樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性ウレア樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性グアナミン樹脂、水溶性ナフタレンスルホン酸樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリオール樹脂、および、水溶性エポキシ樹脂などがあげられる。
液状の水溶性添加剤であれば噴霧乾燥前の合成樹脂エマルジョン(A)に添加してから噴霧乾燥して再乳化性樹脂粉末(I)を得ることが好ましく、粉末状の水溶性添加剤であれば一度溶解してから噴霧乾燥前の合成樹脂エマルジョン(A)に添加してもよいし、噴霧乾燥後に直接樹脂粉末に添加してもよい。また、これらの2種以上を併用してもよい。
また、本発明の再乳化性樹脂粉末組成物を水に分散・乳化させる際に、水への再乳化性を向上させることができる点から、前記合成樹脂エマルジョン(A)に再乳化性向上剤(B)を添加することが好ましい。
(ii.再乳化性向上剤(B))
再乳化性向上剤(B)としては、上記のような水溶性樹脂をあげることができ、水への再乳化性をより向上させることができる点から、ポリビニルアルコール系樹脂(b)が特に好ましい。
上記ポリビニルアルコール系樹脂(b)としては、乳化重合過程において保護コロイドとして使用したポリビニルアルコール系樹脂(a)と同様のものを用いても、異なったものを用いてもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂(b)のケン化度は、85モル%以上であることが好ましく、87モル%以上であることがより好ましい。また、ケン化度の上限値としては、特に限定されるものではないが、99.5モル%以下であることが好ましく、95モル%以下であることがより好ましい。ケン化度が小さすぎると耐水性が著し低下する傾向があり、大きすぎると耐水性が良くなるが、水への再乳化性を悪くする傾向がある。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(b)の平均重合度は、50〜3000であることが好ましく、200〜2000であることがより好ましく、300〜600であることがさらに好ましい。平均重合度が小さすぎると耐水性が低下する傾向があり、大きすぎると再乳化性が低下する傾向がある。
なお、上記上限値に近い平均重合度の高いポリビニルアルコール系樹脂は、重合中において、その重合安定性から使用し難いが、重合後であれば特に問題なく使用することができる。ただし、水への溶解性が容易でないものは、再乳化性に悪影響を与える場合があるので、事前に水への溶解性を確認した上で使用することが望ましい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂(b)としては、未変性ポリビニルアルコール系樹脂、変性ポリビニルアルコール系樹脂からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
上記変性ポリビニルアルコール系樹脂としては、たとえば、カルボン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂、スルホン酸変性ポリビニルアルコール系樹脂、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b1)、メルカプト基変性ポリビニルアルコール系樹脂、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(b2)、カルボニル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b3)、シラノール基変性ポリビニルアルコール系樹脂、アミノ基変性ポリビニルアルコール系樹脂、カチオン基変性ポリビニルアルコール系樹脂、アミド基変性ポリビニルアルコール系樹脂などをあげることができる。これらの中でも、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b1)、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(b2)、カルボニル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b3)が好ましい。
また、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b1)、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(b2)、カルボニル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b3)を用いる場合には、後述の架橋剤(III)としては、これらと反応可能なヒドラジッド系化合物を含有することがより好ましい。
このようなアセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b1)としては、アセトアセチル化度が0.01〜10モル%であることが好ましく、特には0.03〜6モル%が好ましい。側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(b2)としては1,2−ジオール結合の含有量が1〜15モル%であることが好ましく、特には3〜12モル%が好ましい。カルボニル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b3)としてはカルボニル基変性化度が0.5〜10モル%であることが好ましく、特には1〜5モル%が好ましい。
再乳化性向上剤(B)として水溶性樹脂を使用する場合、前述のように、通常、水溶性樹脂は、乳化重合後であって乾燥前の合成樹脂エマルジョン(A)に添加することが好ましいが、使用する水溶性樹脂の種類、添加量および用途に応じて噴霧乾燥して得た再乳化性樹脂粉末(I)に加えてもよい。
再乳化性向上剤(B)の使用量は、乾燥前の合成樹脂エマルジョン(A)の固形分100重量部に対して、2〜30重量部であることが好ましく、5〜20重量部であることがより好ましい。使用量が少なすぎると再乳化性向上が充分でない傾向があり、多すぎると再乳化性樹脂粉末の耐水性が充分でなくなる傾向がある。
つぎに、本発明にかかる再乳化性樹脂粉末(I)の製造について説明する。
〈1−3.再乳化製樹脂粉末(I)の製造〉
本発明においては、前記乳化重合により得られた合成樹脂エマルジョン(A)を乾燥、好ましくは噴霧乾燥することによって、再乳化性樹脂粉末(I)とすることができる。
合成樹脂エマルジョン(A)の乾燥方法は、特に制限はなく、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、凝析後の温風乾燥等があげられる。これらの中でも、生産コスト、省エネルギーの観点から噴霧乾燥することが好ましい。
上記噴霧乾燥の場合、その噴霧形式は、特に制限はなく、例えば、ディスク式、ノズル式などの形式により実施することができる。噴霧乾燥の熱源としては、例えば、熱風、加熱水蒸気などがあげられる。噴霧乾燥の条件としては、噴霧乾燥機の大きさ、種類、水性エマルジョンの固形分、粘度、流量等に応じて適宜選択することができる。噴霧乾燥の温度は、通常は、80〜150℃程度である。
噴霧乾燥処理をさらに具体例をあげて説明すると、まず合成樹脂エマルジョン中の固形分を調整し、これを噴霧乾燥機のノズルより連続的に供給し、霧状にしたものを温風により乾燥させて粉末化させる。場合により、調整した噴霧液を噴霧に際して予め加温してノズルより連続的に供給し、霧状にしたものを温風により乾燥させて粉末化させることも可能である。加温することで乾燥スピードが速くなり、かつ噴霧液の粘度低下に伴い噴霧液の高不揮発分化が可能で、生産コストの低減にも寄与する。
なお、本発明においては、抗粘結剤を、合成樹脂エマルジョン(A)に混合したり、噴霧乾燥後の再乳化性樹脂粉末(I)に混合したり、噴霧乾燥時に合成樹脂エマルジョン(A)と別のノズルから噴霧するなどして、併用することができる。
抗粘結剤を添加することにより、抗粘結剤で樹脂粉末をまぶすような状態にして、貯蔵中などにおいて粒子同士が粘結して凝集しブロッキングするのを防止することができる。
抗粘結剤としては、公知の不活性な無機または有機粉末があげられ、例えば、無機粉末としては炭酸カルシウム、タルク、クレー、ドロマイト、無水珪酸、アルミナホワイト等を使用することができる。これらの中でも、無水珪酸、炭酸カルシウム、クレー等が好ましい。有機粉末としては、合成樹脂のガラス転移温度が70℃以上のエマルジョンを噴霧乾燥してなる樹脂粉末も抗粘結剤として使用可能である。
抗粘結剤の使用量は、得られる再乳化性樹脂粉末(I)100重量部に対して、5〜30重量部程度であることが好ましい。また、有機粉末と無機粉末の併用も可能である。
本発明の再乳化性樹脂粉末組成物は、上記のようにして得られた再乳化性樹脂粉末(I)に、縮合リン酸塩(II)および架橋剤(III)を含有させてなるものである。これら縮合リン酸塩(II)および架橋剤(III)について順に説明する。
《2.縮合リン酸塩(II)》
本発明において、縮合リン酸塩(II)は、塗膜内部の乾燥を抑制し、また塗膜表面の、特に夏場の皮張り防止(乾燥遅延)やコテ等による模様付け性向上の目的で添加される。
ここで、コテ等による模様付け性とは、特に外装用建築仕上げ塗り材において、塗工後にコテ等で模様付けする場合に、塗工後30分前後のコテ等による塗面への模様付け性のことをいう。
このような縮合リン酸塩(II)としては、例えば、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、酸性リン酸ソーダなどのソーダ塩が使用できるが、水溶性が高く、塗料などで汎用的に使用されているなどの点でヘキサメタリン酸ソーダが特に好ましい。
縮合リン酸塩(II)の含有量としては、再乳化性樹脂粉末(I)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましく、1〜5重量部がさらに好ましい。少なすぎると塗膜表面の、特に夏場の皮張り防止(乾燥遅延)効果が低下する傾向があり、多すぎると皮張り防止(乾燥遅延)効果が向上するものの、あまりにも乾燥が遅れ、塗膜の耐水性および硬度の初期発現性が低下する傾向がある。
つぎに、架橋剤(III)について説明する。
《3.架橋剤(III)》
架橋剤(III)としては、前記の再乳化性樹脂粉末(I)に安定に混和し、水に再乳化した際に速やかに架橋が進み、塗膜表層の乾燥を促進し、目的とする塗膜が得られることなどから、多価金属塩、3級カチオン性樹脂、4級カチオン性樹脂およびヒドラジド系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の粉末・粉体・顆粒状などの架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤が液状品の場合には、粉末化して使用することも可能である。
〈3−1.多価金属塩〉
多価金属塩としては、例えば、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウムの水酸化物または酸化物、アルミニウム塩化物および硫酸化物、ジルコニウム硝酸化物などをあげることができる。中でも、カルシウムが好ましく、その中でも水酸化カルシウムが最も好ましい。水酸化カルシウムは、難溶性で水への溶解度が小さいため、再乳化性樹脂粉末組成物中に混在していても、その粉末組成物の再乳化性を阻害しないからである。しかも、この水酸化カルシウムを含有する再乳化性樹脂粉末組成物を再乳化した水性エマルジョン(再乳化液)が、乾燥して皮膜を形成するときに、ポリビニルアルコール系樹脂などの水酸基を持つ水溶性樹脂とコンプレックス(錯体)を形成し易く、不溶化することから耐水性を向上することができるからである。
〈3−2.3級または4級のカチオン性樹脂〉
3級または4級のカチオン性樹脂としては、例えば、ポリジアリルアミンおよびその変性品などをあげることができる。これらの中でも、ポリジアリルアミンの3級アミン、ポリジアリルアミンの4級アンモニウム塩およびそのアクリルアミド共重合タイプがより好ましい。これらの3級または4級カチオン性樹脂は、架橋剤としての機能のみならず、建築仕上げ塗り材や粉末塗料作製時において分散剤的機能も有し、減水的な効果も有する。したがって、建築仕上げ塗り材や粉末塗料の不揮発分の増加にもなり、乾燥性を向上することができる。
〈3−3.ヒドラジド系化合物〉
ヒドラジド系化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、ポリヒドラジド化合物、カルボヒドラジドなどをあげることができる。
これらの架橋剤(III)は必ずしも水溶性である必要はなく、使用時に容易に水に分散した状態になればよい。また、これらの架橋剤(III)は、得られる塗膜への効果などにより単独でもしくは2種以上併用してもよい。
前記の再乳化性樹脂粉末(I)が、カルボニル基およびアセトアセチル基の少なくとも一方を含有するポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン性不飽和モノマーの少なくとも一方の成分を、構成材料とするものである場合には、架橋剤としてヒドラジド系化合物を用いることが好ましく、多価金属塩、3級または4級カチオン性樹脂と併用して用いてもよい。
また、再乳化性樹脂粉末(I)が、未変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールおよびカルボニル基変性ポリビニルアルコールの一種以上を配合したものや、アセトアセチル基、カルボニル基含有モノマーを共重合してなるもの等である場合においては、これを再乳化してエマルジョン状態に戻した後、用途により、これらの架橋剤として用いられるイソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、エポキシ基含有化合物、アミン系化合物、アルデヒド系化合物、メチロールメラミン系ポリマーなどと適宜組み合わせて使用することもできる。これにより、早期に塗膜物性を立ち上げることが可能となり、例えば、工場で壁材を生産する場合等において、生産効率を向上させることができる。
架橋剤(III)の含有量としては、再乳化性樹脂粉末(I)100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましく、多価金属塩および3級または4級カチオン性樹脂の場合は、再乳化性樹脂粉末(I)100重量部に対して、0.5〜30重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましく、5〜10重量部がさらに好ましい。少なすぎると塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、冬季における早期乾燥性などの塗膜物性の向上に効果が充分に発現できない傾向があり、多すぎてもさらなる塗膜物性の向上に効果がなく、特に多価金属塩の場合は架橋が進みすぎるため、塗膜自体がもろくなる傾向がある。また、3級または4級カチオン性樹脂の場合は耐水性が低下する傾向がある。
また、ヒドラジド系化合物の場合の含有量は、これらと架橋する樹脂中のカルボニル基およびアセトアセチル基の量により適宜選択すればよいが、再乳化性樹脂粉末(I)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。少なすぎると架橋効果が充分に発現しない傾向があり、多すぎてもさらなる効果は期待出来ない傾向がある。
さらに、本発明の再乳化性樹脂粉末組成物あるいは水に再乳化させた水性エマルジョンを配合して木部・木質接着用の接着剤として使用する場合、架橋剤(III)としては、イソシアネート系化合物あるいはそのプレポリマーやエポキシ系化合物あるいはそのプレポリマーが好適に用いられる。
以上より、再乳化性樹脂粉末(I)と、縮合リン酸塩(II)と、架橋剤(III)とを配合することにより、本発明の再乳化性樹脂粉末組成物が得られる。
《再乳化性樹脂粉末組成物》
このようにして得られた本発明の再乳化性樹脂粉末組成物は、得られる塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、耐久接着性に優れ、かつ、皮張り状態を防止して塗工後のコテ等による塗面への模様付けを可能とする。特に建築仕上げ塗り材・粉末塗料用に好適に用いられ、より好ましくは外装用の建築仕上げ塗り材・粉末塗料用に用いられる。また、セメント・石膏などの水硬性材料用混和剤用(例えば、下地調整材用などのモルタル用、タイル接着剤用、パテなど)、木部あるいは木質、紙などの接着剤用などの各種用途に用いることができる。
また、本発明の再乳化性樹脂粉末組成物によると、塗膜の乾燥が早いため、一般に塗膜の乾燥が遅い冬場等の作業においても、問題なく次の工程に入ることができる。一方で、塗膜表面の乾燥が速い夏場においても、塗膜表面の皮張りを防止して塗工後のコテ等による塗面への模様付けを容易に可能とすることができる。このような早期乾燥性および皮張り防止性は、外装用の建築仕上げ塗り材に用いる場合に、特に効果を発揮するものである。
本発明の再乳化性樹脂粉末組成物には、必要に応じて、他の添加剤等を配合することができる。例えば、建築仕上げ塗り材・粉末塗料用に用いる場合としては、この種の用途に通常使用される炭酸カルシウム、クレー、タルク、ドロマイト、マイカ、酸化チタン、珪砂などの無機材料を配合することができる。ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉誘導体、無機系などの粉末増粘剤・粘性改良剤、撥水剤、粉末消泡剤、パルプ粉などのクラック発生防止剤なども配合することができる。
また、建築仕上げ塗り材・粉末塗料用として用いる際に、本発明の再乳化性樹脂粉末を、セメントや石膏などの水硬性材料に配合すると、色調などに影響を及ぼすおそれがあり、さらに塗膜の耐水性および硬度の初期発現性と、塗工後のコテ等による塗面への模様付けを可能とする皮張り防止性とのバランスが崩れる恐れもあるので、出来るだけセメントなどの水硬性材料を用いない非水硬性材料からなる建築仕上げ塗り材・粉末塗料用配合物に、本発明の再乳化性樹脂粉末組成物を含有させることが好ましい。但し、仕上がり状態として、色調などを考慮する必要がない場合や、考慮する場合であっても色調などに影響を与えない程度であれば水硬性材料も使用することもできる。
また、本発明の再乳化性樹脂粉末組成物は、用途、使用条件によっては、水に再乳化させて水性エマルジョンに戻してから使用してもよい。この水性エマルジョンも、上記再乳化性樹脂粉末組成物と同様の効果、例えば、塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、塗膜の耐久接着性、および皮張り防止性等を有する。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔合成例1〕(合成樹脂エマルジョン(A−1)の製造)
撹拌機と還流冷却器とを備えた2Lサイズのステンレス製反応缶に、670部の水と、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、ケン化度:約98モル%、平均重合度:約400、アセトアセチル化度:0.5モル%)46部を仕込み、反応缶を85℃に加熱して、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを水に溶解させた。つぎに、この反応缶の温度を80℃に保ち、ここに、予め混合しておいた混合モノマー(ブチルアクリレート165部/スチレン263部/2−エチルヘキシルアクリレート230部=25/40/35)(疎水性モノマー=100%)の66部を添加して、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部を用いて、初期重合反応を1時間行った。ついで、残りの混合モノマーを反応缶に4時間に渡って滴下して、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.1部をさらに加えながら滴下重合を進行させた。滴下終了後に同温度で1時間熟成させ、その後、平均重合度600、ケン化度88モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール(「ゴーセノールGL05」、日本合成化学工業(株)製)の20%水溶液276部をここに添加して、充分に撹拌した。これにより、不揮発分46%の合成樹脂エマルジョン(A−1)(平均粒子径0.45μm)を得た。得られた合成樹脂エマルジョン(A−1)の前記式(4)で算出される値(W)は、78重量%であった。
この主モノマー(ブチルアクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート=25/40/35)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを−52℃、100℃、−70℃とした場合、−18℃である。
〔合成例2〕(合成樹脂エマルジョン(A−2)の製造)
混合モノマーの種類と重量組成比をブチルアクリレート/スチレン/ダイアセトンアクリルアマイド=60/37/3(疎水性モノマー=97%)に変更した以外は、合成例1と同様にして、合成樹脂エマルジョン(A−2)(平均粒子径0.43μm)を製造した。得られた合成樹脂エマルジョン(A−2)の前記式(4)で算出される値(W)は、82重量%であった。
この主モノマー(ブチルアクリレート/スチレン/ダイアセトンアクリルアマイド=60/37/3)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを−52℃、100℃、65℃とした場合、−3℃である。
〔合成例3〕(合成樹脂エマルジョン(A−3)の製造)
重合時に使用したアセトアセチル基変性ポリビニルアルコールを、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール(平均重合度300、ケン化度99.1モル%、側鎖の1,2−ジオール結合の含有量8モル%、日本合成化学工業(株)製)に変更し、かつ混合モノマーの種類と重量組成比をブチルアクリレート/スチレン=46/54(疎水性モノマー=100%)に変更した以外は、合成例1と同様にして、エマルジョン(A−3)(平均粒子径0.47μm)を製造した。得られた合成樹脂エマルジョン(A−3)の前記式(4)で算出される値(W)は、69重量%であった。
この主モノマー(ブチルアクリレート/スチレン=46/54)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを−52℃、100℃とした場合、10℃である。
ただし、最低造膜温度を調整する目的で、可塑剤としてジブチルフタレートを合成樹脂エマルジョンの不揮発分(樹脂分)100重量部に対して3重量部添加した。
〔合成例4〕(合成樹脂エマルジョン(A−4)の製造)
混合モノマーの種類と重量組成比をメチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート=50/50(疎水性モノマー=50%)に変更した以外は、合成例1と同様にして、エマルジョン(A−4)(平均粒子径0.51μm)を製造した。得られた合成樹脂エマルジョン(A−4)の前記式(4)で算出される値(W)は、78重量%であった。
この主モノマー(メチルメタアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート=50/50)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを105℃、−70℃とした場合、−9℃である。
〔合成例5〕(合成樹脂エマルジョン(A−5)の製造)
重合終了後に添加するポリビニルアルコール「ゴーセノールGL05」を、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール(平均重合度300、ケン化度99.1モル%、側鎖の1,2−ジオール結合の含有量8モル%、日本合成化学工業(株)製)の20%水溶液276部に変更した以外は、合成例1と同様にして、合成樹脂エマルジョン(A−5)(平均粒子径0.45μm)を製造した。得られた合成樹脂エマルジョン(A−5)の前記式(4)で算出される値(W)は、75重量%であった。
〔合成例6〕(合成樹脂エマルジョン(A′)の製造)
混合モノマーの種類と重量組成比をメチルメタクリレート/2−メトキシエチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート=45/30/25(疎水性モノマー=25%)に変更した以外は合成例1と同様にして、合成樹脂エマルジョン(A′)(平均粒子径0.45μm)を製造した。得られた合成樹脂エマルジョン(A′)の前記式(4)で算出される値(W)は、50重量%であった。
この主モノマー(メチルメタクリレート/2−メトキシエチルアクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート=45/30/25)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを100℃、−50℃、−70℃とした場合、−8℃である。
〔製造例1〜6〕(再乳化性樹脂粉末(I)の製造)
合成例1〜6で得られた合成樹脂エマルジョン(A−1)〜(A−5)及び(A′)の不揮発分を調整し、抗粘結剤として平均粒子径約0.02μmの珪酸微粉末の存在下(再乳化性樹脂粉末(I)に対して15重量%含有)において、ノズル式の噴霧乾燥機により熱源を熱風として、150℃の温風下にて噴霧乾燥させ、樹脂粉末(I−1)〜(I−5)及び(I′)を得た。
〔実施例1〕
上記製造例1で得られた樹脂粉末(I−1)に、縮合リン酸塩(II)としてヘキサメタリン酸ソーダ(和光純薬工業(株)製の試薬)を、樹脂粉末(I−1)100部に対して2部と、下記の表2に示す架橋剤(III)8部と、下記の表1に示す増粘剤、フィラー類、消泡剤などを予め調合して、本発明の再乳化性樹脂粉末組成物を得た。これを水に分散させて、水性エマルジョンを調製し、粘度をコテ塗工に適した粘度(コテで約5mm厚みに塗工したスレート板を直ちに垂直に立て掛けて放置しても塗膜がダレないレベルの粘度)に調整し、建築仕上げ塗り材を得た。
Figure 2008280531
〔実施例2〜5〕
実施例1と同様にして、製造例2〜6で得られた樹脂粉末(I−2)〜(I−5)を用いて建築仕上げ塗り材(実施例2〜5)を得た。
〔比較例1〕
実施例1と同様にして、製造例6で得られた樹脂粉末(I′)を用いて建築仕上げ塗り材を得た。
〔比較例2〕
実施例1において、ヘキサメタリン酸ソーダ(和光純薬工業(株)製)を配合しなかった以外は同様にして、建築仕上げ塗り材を得た。
上記の各実施例および比較例で得られた建築仕上げ塗り材を用い、塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、塗膜の耐久接着性、皮張り防止性について、下記の評価方法にしたがい評価を行った。その結果を後記の表2に示す。
<評価方法>
(塗膜の耐水性および硬度の初期発現性)
実施例1〜5および比較例1で得られた建築仕上げ塗り材を、スレート板に3mmのアプリケーターで塗工し室温で乾燥した。4時間乾燥後、水に2時間浸漬して指で強く10往復回擦り、塗面の仕上がり状態を下記の基準で評価した。本試験にて塗膜の耐水性および硬度の初期発現性の代用試験とし、評価A−Bを実用上問題ないレベルとして合格とした。
A:塗膜表面が硬く、塗膜は指で擦ってもほとんど取れなく、かつエマルジョンの白い色が流れ出さない。
B:塗膜表面は硬いが、指で擦った場合少し表面が取れ、かつエマルジョンの白い色が少し流れ出す。
C:塗膜表面はやや柔らかく、指で擦った場合表面が取れ、かつエマルジョンの白い色が流れ出す。
D:塗膜は水を吸ってブヨブヨ状態で、指で擦ると下地から全面が取れ、かつエマルジョンの白い色が流れ出す。
(塗膜の耐久接着性)
実施例1〜5および比較例1で得られた建築仕上げ塗り材を、スレート板に3mmのアプリケーターで塗工し室温で乾燥した。24時間乾燥後、水に6時間浸漬して食器洗浄用スポンジにて10往復回擦り、塗面の仕上がり状態を下記の基準で評価した。さらに、スパチュラで塗膜を削り、塗膜の剥がれ方、下地に対する塗膜の接着性などを下記の基準にて目視で評価した。本試験にて塗膜の耐久接着性の代用試験とし、評価A−Bを実用上問題ないレベルとして合格とした。
A:塗膜表面が硬く、塗膜はスポンジで擦っても取れない。スパチュラで塗膜を削り取るのに非常に力が必要で下地に対して良く接着している。
B:塗膜表面が硬く、塗膜はスポンジで擦ってもほとんど取れないが、スパチュラで塗膜を削り取るのにやや力が必要である。
C:塗膜表面が硬く、塗膜はスポンジで擦ってもほとんど取れないが、塗膜が脆いためスパチュラで削り取るのにさほどの力を必要としない。
D:塗膜表面が軟らかく、塗膜はスポンジで擦るとほとんど取れる。
(皮張り防止性)
実施例1〜5および比較例1で得られた建築仕上げ塗り材をスレート板にコテでウエット厚さ3mmになるように塗工し、室温乾燥1時間後および2時間後の塗面の皮張り状態およびコテによる模様付け性の可否を下記の基準で評価した。本試験にて塗工後の皮張り防止性の代用試験とし、評価A−Bを実用上問題ないレベルとして合格とした。
A:塗面に皮張りがなく、コテによる模様付けが塗工時と同様に容易である。
B:塗面にやや皮張りが認められるが、コテによる模様付けは容易である。
C:塗面に皮張りが認められるが、コテによる模様付けはできる。
D:塗面に皮張りが認められ、コテによる模様付けは難しい。
Figure 2008280531
以上の結果より、実施例はいずれも、評価がAまたはBであって合格レベルであり、得られた塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、塗膜の耐久接着性、および皮張り防止性の全ての特性を満たすものであった。
これに対して、疎水性モノマーの含有量が本発明の規定する含有量に満たない比較例1は、塗膜はブヨブヨ状態で全くの耐水性および硬度を有さないものであり、また簡単に塗膜が剥がれてしまうもので、建築仕上げ塗り材として全く使えないものであった。また、架橋剤を添加しなかった比較例2は、皮張り防止性に劣り、模様付けをすることができないものであった。
なお、上記架橋剤である水酸化カルシウムを、3級カチオン性樹脂であるポリジアリルアミンの3級アミン、4級カチオン性樹脂であるポリジアリルアミンの4級アンモニウム塩、ヒドラジド系化合物であるアジピン酸ジヒドラジドに代えた場合であっても、実施例と同様の効果がみられた。
本発明の再乳化性樹脂粉末組成物は、得られる塗膜の耐水性および硬度の初期発現性、加えて塗膜の耐久接着性に優れ、かつ、塗膜の皮張り状態を防止して、塗工後のコテ等による塗面への模様付けを容易に可能とする優れた効果を有する。とりわけ、建築仕上げ塗り材・粉末塗料用として用いることが好ましい。しかし、この際に、セメントや石膏などの水硬性材料に配合すると色調などに影響を及ぼすおそれがあるため、セメントなどの水硬性材料を用いない非水硬性材料からなる建築仕上げ塗り材・粉末塗料用配合物に含有させることが好ましい。また一方で、セメント・石膏などの水硬性材料用混和剤用、木部あるいは木質、紙などの接着剤用などの各種用途にも有用である。特に、本発明は再乳化性樹脂粉末組成物であるため、完全既調合品として使用時に水で練るのみで目的とする製品を作ることができる。

Claims (17)

  1. 再乳化性樹脂粉末(I)と、縮合リン酸塩(II)と、架橋剤(III)とを含有する再乳化性樹脂粉末組成物であり、かつ、上記再乳化性樹脂粉末(I)が、疎水性モノマーを30重量%以上含有するエチレン性不飽和モノマー成分を重合して得られる合成樹脂エマルジョン(A)の乾燥物であることを特徴とする再乳化性樹脂粉末組成物。
  2. 上記疎水性モノマーの、20℃の水に対する溶解度が、0.3重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  3. 上記エチレン性不飽和モノマー成分が、アリル基含有エチレン性不飽和モノマー、グリシジル基含有エチレン性不飽和モノマー、加水分解性シリル基含有エチレン性不飽和モノマー、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和モノマー、ビニル基含有エチレン性不飽和モノマーおよびカルボニル基含有エチレン性不飽和モノマーからなる群より選択される1種以上の官能性エチレン性不飽和モノマーであることを特徴とする請求項1または2記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  4. 上記縮合リン酸塩(II)が、ヘキサメタリン酸ソーダであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  5. 上記縮合リン酸塩(II)の含有量が、再乳化性樹脂粉末(I)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  6. 架橋剤(III)が、多価金属塩、3級カチオン性樹脂、4級カチオン性樹脂およびヒドラジド系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  7. 上記架橋剤(III)の含有量が、再乳化性樹脂粉末(I)100重量部に対して、0.1〜30重量部であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  8. 上記合成樹脂エマルジョン(A)の合成樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂(a)により分散安定化されたものであることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  9. 上記ポリビニルアルコール系樹脂(a)が、活性水素を含有するポリビニルアルコール系樹脂(a1)であることを特徴とする請求項8記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  10. 上記活性水素を含有するポリビニルアルコール系樹脂(a1)が、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項9記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  11. 上記ポリビニルアルコール系樹脂(a)が、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(a2)であることを特徴とする請求項8記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  12. 上記再乳化性樹脂粉末(I)が、上記合成樹脂エマルジョン(A)に、さらに再乳化性向上剤(B)を含有させたエマルジョンからなることを特徴とする請求項1〜11いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  13. 上記再乳化性向上剤(B)が、ポリビニルアルコール系樹脂(b)であることを特徴とする請求項12記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  14. 上記ポリビニルアルコール系樹脂(b)が、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b1)、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂(b2)およびカルボニル基変性ポリビニルアルコール系樹脂(b3)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項13記載の再乳化性樹脂粉末組成物。
  15. 請求項1〜14いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物を再乳化してなることを特徴とする水性エマルジョン。
  16. 請求項1〜14いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物または請求項15記載の水性エマルジョンを含有してなる建築仕上げ塗り材。
  17. 非水硬性材料からなる建築仕上げ塗り材または粉末塗料用配合物に、請求項1〜14いずれか記載の再乳化性樹脂粉末組成物または請求15記載の水性エマルジョンを含有してなることを特徴とする建築仕上げ塗り材。
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