JP2009275189A - 合成樹脂エマルジョン組成物およびこれを用いた窯業系サイディングボード用塗料組成物 - Google Patents

合成樹脂エマルジョン組成物およびこれを用いた窯業系サイディングボード用塗料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
窯業系サイディングボード、特にエフロレッセンスが発生した部位に対して、優れた密着性、良好な耐透水性および耐凍害性を有する合成樹脂エマルジョン組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な不飽和単量体を重合して得られる重合体からなる合成樹脂エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対し、(B)重合リン酸塩3〜50質量部を含む合成樹脂エマルジョン組成物に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、窯業系サイディングボード、特にエフロレッセンスが発生した部位に対して、優れた密着性を有し、かつ良好な耐透水性および耐凍害性等を付与する事が出来る合成樹脂エマルジョン組成物およびこれを用いた窯業系サイディングボード用塗料組成物である。
内外装用壁材として用いられる窯業系サイディングボードには、化粧・保護を目的として、通常その表面に上塗り塗料が塗装されている。そして、この上塗り塗料の付着性の向上や仕上がり外観の向上等のために、下地処理のためにシーラーが塗装される。
この様なシーラーに要求される主な性能は、基材に対する密着性が良いこと、基材への浸透性に優れ基材表面の補強効果があること、上塗り塗料に対する密着性が良い事等が挙げられる。また、窯業系サイディングボードでは、基材の原料であるセメントに由来するエフロレッセンス発生は避けられず、ボード成形後、シーラーを塗装するまでの期間があくと、発生したエフロレッセンスによりシーラーの密着性が著しく低下する現象が生じる事があり、エフロレッセンス面に対する密着性の向上が望まれている。
シーラーとしては、水系のシーラーと溶剤系のシーラーが現在広範に用いられている。水系シーラー、特に合成樹脂エマルジョン系のシーラーは、溶剤系シーラーと比較して、作業時の取り扱いおよび安全性において有利である半面、表面が緻密な窯業系サイディングボードに塗装する場合、特にエフロレッセンスが表面に発生していると、分散質である合成樹脂粒子が内部にまで浸透せず、表面に留まってしまい、十分な密着性、耐透水性および耐凍害性が得られ難いことがある。
これらの問題を解決するため、エマルジョンを微粒子化したり、水溶性樹脂を配合したり、珪酸ソーダなどの水溶性無機化合物を混合したりする手法等が検討されている。
しかしながら、エマルジョンの微粒子化には限界があり、十分な浸透性を得るまで微粒子化する事は困難である。
特開昭63−310782号公報(特許文献1)には、カルボキシル基含有アクリル酸エステル系樹脂エマルジョンに珪酸ソーダを配合する方法が提案されている。しかしながら、サイディングボードへの良好な密着性を得るためには大量の珪酸ソーダを用いる必要があり、それによる耐透水性の低下は避けられない。また、エフロレッセンスが発生している表面においては、十分な浸透効果が得られず、密着性および耐透水性において、満足の行く性能は得難い。
特開平9−328375号公報(特許文献2)には、カルボキシル基含有合成樹脂エマルジョンに珪酸ソーダおよびテトラメトキシシランオリゴマーを配合する方法が提案されている。その中で珪酸ソーダとテトラメトキシシランオリゴマーとをあらかじめ縮合させ、それにカルボキシル基含有合成樹脂エマルジョンを配合する方法が提案されている。また、特許第3814706号公報(特許文献3)には、不飽和有機酸とエチレン性不飽和単量体を共重合した水分散性樹脂、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和単量体を共重合した水溶性樹脂、およびカルボキシル基と反応する官能基を有する架橋性樹脂を配合する方法が提案されている。しかしながら、いずれの方法を用いてもサイディングボードへの密着性および耐透水性のバランスを、実用に耐え得るレベルに引き上げるのは困難である。また、エフロレッセンス面における十分な浸透効果は得難い。さらに、サイディングボードへの意匠性付与を目的に、顔料等を分散させた塗料として使用する場合、上記組成物は塗料化物の状態での長期保存安定性に大きな課題を残す。
さらに特開平11−35878号公報(特許文献4)には、第3級アミノ基含有エチレン性不飽和単量体、α,β−不飽和カルボン酸もしくはその塩、及び(メタ)アクリル酸(シクロ)アルキルエステルを必須構成単量体とする共重合体の水性分散体からなる多孔性無機質建材の表層補強用水性シーラーが提案されている。特許文献4には、水性シーラーにトリポリリン酸ナトリウムを添加しても良いことが記載されているが、添加量についての記載はなく、エフロレッセンス面における十分な密着性、耐透水性が得られるものではない。
ところで、特開平5−148446号公報(特許文献5)、特開2002−226668号公報(特許文献6)にはアクリル系重合体の水性分散液に重合リン酸塩を添加することが記載されている。しかし、サイディングボード等のシーラーに使用されるものではなく、添加量も十分でないため、エフロレッセンス面における十分な密着性、耐透水性等を確保するものではない。
特開昭63−310782号公報 特開平9−328375号公報 特許第3814706号公報 特開平11−35878号公報 特開平5−148446号公報 特開2002−226668号公報
本発明は、窯業系サイディングボード、特にエフロレッセンスが発生した部位に対して、優れた密着性、良好な耐透水性および耐凍害性を有する合成樹脂エマルジョン組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂からなる合成樹脂エマルジョンに、重合リン酸塩類を配合する事により、窯業系サイディングボード、特にエフロレッセンスが発生した部位に対して、優れた密着性を有し、かつ良好な耐透水性および耐凍害性等を付与する事が出来る事を見出した。
即ち、本発明は、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な不飽和単量体を重合して得られる重合体からなる合成樹脂エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対し、(B)重合リン酸塩3〜50質量部を含む合成樹脂エマルジョン組成物に関する。
また、前記重合体が、その単量体成分中に不飽和カルボン酸、およびグリシジル基を有する不飽和単量体を含む事により、さらに優れた性能を付与する事が出来る事を見出した。
即ち、前記重合体を構成する単量体100質量部中に不飽和カルボン酸0.5〜10質量部及びグリシジル基を有する不飽和単量体0.5〜10質量部が含まれることが好ましい。
さらに、本発明は、前記合成樹脂エマルジョン組成物を含んでなる窯業系サイディングボード用塗料組成物に関する。
本発明によれば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な不飽和単量体を重合して得られる重合体からなる合成樹脂エマルジョン(A)に重合リン酸塩(B)を配合する事により、窯業系サイディングボード、特にエフロレッセンスが発生した部位に対して、優れた密着性を有し、かつ良好な耐透水性および耐凍害性等を付与する事が出来る。また、合成樹脂エマルジョン(A)に不飽和カルボン酸、およびグリシジル基を有する不飽和単量体からなる重合体が含まれる事によって、密着性、耐透水性および耐凍害性をさらに向上する事が出来る。
以下に本発明を詳しく説明する。本発明では(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な不飽和単量体を重合して得られる重合体からなる合成樹脂エマルジョン(A)に重合リン酸塩(B)が配合されている事が必須である。重合リン酸塩とは、リン酸が複数以上結合したもので、代表的な化合物としては、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが挙げられる。従来より、塗料における顔料分散剤として、重合リン酸塩は広く用いられており、「塗料原料便覧」(社団法人日本塗料工業会編)には、水系塗料用分散剤として、ポリリン酸塩が紹介されている。しかしながら、「塗料配合便覧」(高分子刊行会)において、塗料配合の例として、トリポリリン酸カリウムが記載されているが、分散剤として重合リン酸塩を使用する場合、その使用量はバインダーとなる樹脂100質量部に対し、せいぜい0.1〜0.5質量部である。この範囲の使用量では、顔料分散には効果的であるが、サイディングボードへの良好な密着性を発現するまでには至らない。本発明で用いられる重合リン酸塩(B)としては、特にその種類は限定されるものではなく、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらは、乳化重合中および乳化重合終了後のいずれに投入してもよい。なかでも、エフロレッセンスが発生した部位に対する密着性、耐透水性、耐凍害性の点で、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムが好ましい。
また、重合リン酸塩(B)の配合量は、合成樹脂エマルジョン(A)の樹脂固形分100質量部に対し、3〜50質量部であり、好ましくは5〜30質量部である。重合リン酸塩(B)が3質量部未満では、サイディングボードへの密着性が十分ではない。また50質量部を越えると、得られた塗膜の耐水性が低下し、耐透水性や耐凍害性が低下する。
本発明の合成樹脂エマルジョン(A)は、乳化重合だけでなく、その他の方法によっても得ることができる。たとえば、溶液重合や塊状重合により得られた重合体に、界面活性剤や重合体中の親水性基を利用して水を添加しながら乳化し、合成樹脂エマルジョンとしても良い。
また、本発明では、合成樹脂エマルジョン(A)が、全単量体成分中に不飽和カルボン酸、およびグリシジル基を有する不飽和単量体からなる重合体を含むことが好ましい。
本発明で使用される不飽和カルボン酸は、一価または二価の不飽和カルボン酸であり、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。なかでも、サイディングボードへの密着性や得られた塗膜の耐水性の点で、メタアクリル酸、アクリル酸が好ましい。不飽和カルボン酸の使用量は、重合体を構成する単量体100質量部中に0.5〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。0.5質量部より少ない場合には、サイディングボードへの密着性向上に効果が少ない。また、10質量部を超える場合には、得られた塗膜の耐水性が低下し、耐透水性や耐凍害性が低下する。
さらに、本発明で使用されるグリシジル基を有する不飽和単量体としては、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。なかでも、サイディングボードへの密着性や得られた塗膜の強靭性、合成樹脂エマルジョンの重合反応性の点で、グリシジルメタアクリレートが好ましい。グリシジル基を有する不飽和単量体の使用量は、重合体を構成する単量体100質量部中に0.5〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。0.5質量部より少ない場合には、サイディングボードへの密着性向上に効果が少ない。また、10質量部を超える場合には、得られた塗膜が脆くなり、耐透水性や耐凍害性が低下する。
本発明の合成樹脂エマルジョン(A)の製造に使用できる不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、少なくとも1個の重合可能な(メタ)アクロイル基を有するものを挙げる事が出来る。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、1〜18個の炭素数の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)クリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等)が挙げられる。また、芳香族ビニル化合物(スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン等)、複素環式ビニル化合物(ビニルピロリドン等)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、ポリアルキレンレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコール(メタ)アクリレート、ブチレングリコール(メタ)アクリレート等)、アルキルアミノ(メタ)アクリレート(N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等)、ビニルエステル化合物(蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチツク酸ビニル(商品名VeoVa 10、Hexion Specialty Chemicals社製)等)、モノオレフィン化合物(エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等)、共役ジオレフィン化合物(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、α,β−不飽和モノまたはジカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等)、カルボキシル基含有ビニル化合物(フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、シュウ酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、アミンイミド基含有ビニル化合物(1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミドなど)、シアン化ビニル化合物(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、アミド基もしくは置換アミド基含有α,β−エチレン性不飽和化合物((メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、カルボニル基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ダイアセトンアクリレート、アセトニトリルアクリレート等)、スルホン酸基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(スルホン酸アリル、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等)、エチレン性不飽和基含有紫外線吸収剤(2−(2‘−ヒドロキシ−5’−メタアクロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなど)、エチレン性不飽和基含有光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなど)等の公知の重合性ビニル化合物も使用することができる。なかでも、サイディングボードへの密着性や得られた塗膜の耐水性および強靭性の点で、スチレン、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。
また、必要に応じて、架橋性モノマー(先に列挙した化合物に含まれるものがあるが)として、エポキシ基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等)、加水分解性アルコキシシリル基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、多官能ビニル化合物(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等)等を導入し、それ自身同士の架橋をさせるか、活性水素基を持つエチレン性不飽和化合物成分と組み合わせて架橋させる、もしくは、カルボニル基含有α,β−エチレン性不飽和化合物(特にケト基含有のものに限る)を導入し、ポリヒドラジン化合物(特に2つ以上のヒドラジド基を有する化合物;シュウ酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等)との組み合わせで架橋させることも可能である。
本発明の合成樹脂エマルジョン(A)の製造に使用できる界面活性剤は、乳化重合時の不飽和単量体の乳化、安定性付与のための後添加など使用方法について特に制限される事は無い。具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、セシルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルピリジニウムクロリド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルベダイン等の両性界面活性剤、その他反応性界面活性剤等が挙げられ、単独で使用しても混合して使用しても良い。
また、乳化重合において使用される重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジ塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド等の有機過酸化物類、過酸化水素等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で使用しても混合して使用しても良い。
そして、場合に応じて、乳化重合において、これら重合開始剤と共に還元剤を使用できる。このような還元剤としては、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラート金属塩等の還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられる。
更にまた、乳化重合においては、必要に応じて連鎖移動剤を使用できるが、耐候性などの物性上問題とならない様に使用量を検討すべきで、その用途仕様に応じてコントロールする範囲内で使用できる。このような連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、2−メルカプトエタノール、β−メルカプトプロピオン酸等が挙げられる。
乳化重合は、通常約5〜約100℃、好ましくは約50〜90℃の温度条件下で行われる。
乳化重合により得られた重合体は、1種またはそれ以上の酸もしくは塩基の添加によって、あるいはその系のpHを4〜10に調整することによって、エマルジョンの表面電荷を高くし、安定性を付与する事ができる。使用する一般的な酸としては、酢酸、乳酸、塩酸、燐酸、硫酸などが挙げられる。また、使用する一般的な塩基としては、トリエチルアミン、アンモニア、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール等のアミン化合物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物が挙げられる。
合成樹脂エマルジョン組成物の最低造膜温度(MFT)としては、0〜70℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。0℃より低いと、得られた塗膜の強靭性が低下し、各種物性が低下する傾向にあり、70℃より高いと、造膜性が低下して耐透水性や耐凍害性が低下する傾向にある。
また、本発明の合成樹脂エマルジョン組成物には、必要に応じて、増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防腐剤、成膜助剤などを添加する事ができる。顔料を添加して塗料化する方法としては、公知の方法が用いられる。
本発明の合成樹脂エマルジョン組成物及びこれを用いた塗料組成物の用途は特に限定されず、一般的な外装材に用いる事が出来る。例えば、窯業系サイディングボードや新生瓦等の窯業セメント系外装材、モルタル系外壁材、コンクリート系外壁材、金属系外装材、木質系外装材等に対して好適に使用できる。特に窯業系サイディングボードに対して好適に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。実施例および比較例中の「部」は質量部を示す。また、実施例および比較例における物性の評価は、以下に示す方法を用いて行った。
(1)エマルジョンの性状
不揮発分;105℃,1時間乾燥し、揮発残分を測定した。
粘度;B型粘度計を用いて23℃における粘度を測定した。
pH;pHメーターを用いて測定した。
最低造膜温度(MFT);熱勾配式最低造膜温度測定装置にて測定した。
(2)塗料の調製
ミルベースの調製;脱イオン水71.9部、増粘剤としてナトロゾール250HR(ハーキュレス社製)0.7部、中和剤としてアンモニア水0.3部、防腐剤としてアモルデンFS−14D(大和化学工業株式会社製)0.7部、分散剤としてノプコウェット50(サンノプコ株式会社製)0.1部、消泡剤としてSNデフォーマー369(サンノプコ株式会社製)0.1部、酸化チタンとしてR−630(石原産業株式会社製)58.4部、クレーとしてNCクレー(丸尾カルシウム株式会社製)47.8部を容器中でホモディスパーを用いて約2000rpmで撹拌しながら上記順に仕込み、更に約2000rpmで1時間撹拌した。その後、120メッシュのテフロン(登録商標)メッシュで濾過し、合計180部、固形分濃度59%(酸化チタンおよびクレーを固形分として計算)のミルベースを得た。
レットダウン;後述する製造例により得られる実施例1〜7、比較例1〜4のそれぞれについて、別容器に、前記ミルベース180部に、脱イオン水174部、合成樹脂エマルジョン563部(不揮発分44%の場合、それぞれの不揮発分に応じて、同量の樹脂が含まれるように添加量を設定した)、造膜助剤としてベンジルアルコール(合成樹脂エマルジョンのMFTにより添加量は調整する)を39部仕込み、ホモディスパーを用いて約2000rpmで10分間撹拌した。その後、150メッシュのテフロン(登録商標)メッシュで濾過し、合計956部、固形分濃度37.0%、重量顔料濃度30%の塗料を得た。
(3)塗板の調製
窯業系サイディングボード(木チップ含有セメント板)の表面に上記塗料を刷毛にて6g/尺角で塗布し、それを100℃で10分間乾燥させた。そして、さらにその表面に、上塗り塗料としてスチレン/アクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョンに顔料および添加剤を添加した塗料をスプレーにて6g/尺角で塗布し、100℃で10分間乾燥させ、23℃、65%RHで1日養生した。上塗り塗料は重量顔料濃度が60%で、顔料は質量比で酸化チタン/クレー=50/50で用いた。また、上塗り塗料のバインダーであるスチレン/アクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョンは、質量比でスチレン/メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート=50/25/25のものを用いた。
(4)密着性の評価
得られた塗板上の塗膜に、カッターナイフにて2mm角の碁盤目状に切り込みをいれ、セロファンテープにて強制的に塗膜を剥離させ、基材に残った塗膜の状態を目視にて下記の基準で評価した。
◎:剥離5%未満
○:剥離5%〜10%
△:剥離10〜50%
×:剥離50%以上
(5)透水性の評価
得られた塗板上の塗膜に、透水カップ(直径75mm)をシリコンシーリング剤にて取り付け、乾燥後、透水カップの25cmの高さまで水をいれ、24時間後に減量した水量を測定し、下記の基準で評価した。
◎:剥離0.5ml未満
○:減水量0.5〜1ml
△:減水量1〜5ml
×:減水量5ml以上
(6)凍害性の評価(凍結融解サイクル試験)
得られた塗板に対して、(−20℃で気中凍結×2時間) + (20℃で水中融解×1時間)を1サイクルとし、200回の凍結融解サイクルを繰り返した。200回の凍結融解サイクル実施後の塗板上の塗膜に、カッターナイフにて2mm角の碁盤目状に切り込みをいれ、セロファンテープにて強制的に塗膜を剥離させ、基材に残った塗膜の状態を目視にて下記の基準で評価した。
◎:剥離5%未満
○:剥離5%〜10%
△:剥離10〜50%
×:剥離50%以上
(7)塗料の放置安定性
塗料を70mlのマヨネーズ瓶に入れ、60℃条件下7日間静置した後の粘度を測定し、下記の基準で評価した。
○:粘度変化20%未満
×:粘度変化20%以上
合成樹脂エマルジョンの製造例(実施例1)
撹拌機、温度計、環流凝縮機を備えた重合装置中に、脱イオン水200部を入れ、昇温した。内温を75℃に保ちながら、脱イオン水190部、アデカリアソープSR−10(アニオン性反応性界面活性剤、株式会社ADEKA製)9部、スチレン291部、2−エチルヘキシルアクリレート139部、グリシジルメタクリレート14部、メタクリル酸8.5部、n−ドデシルメルカプタン2.5部をホモミキサーにて予め混合し作成した乳化物の5%を重合装置内に加えた。次いで、過硫酸カリウム0.5部、脱イオン水5部を加えて重合を開始し、80℃で15分反応させた。さらに、先の乳化物の残り95%と、過硫酸カリウム1部を溶解した過硫酸カリウム水溶液37部を内温80℃に保ちながら3時間掛けて滴下した。さらに、80℃で2時間反応し、その後室温(25℃)に冷却した。アンモニア水でpH7〜8に調整した後、重合リン酸塩としてトリポリリン酸ソーダの20%水溶液233部を投入し、調整水として脱イオン水8部を投入して合成樹脂エマルジョン組成物を得た。そして、得られた合成樹脂エマルジョン組成物の性状は、不揮発分45.0%、粘度(BM型粘度計、60rpm、23℃)30mPa・s、pH8.2、MFT44℃であった。以下、その他の実施例は表1に示される組成にて、実施例1の操作に準じて製造した。
Figure 2009275189
実施例1〜7、比較例1〜4の工程で得られた合成樹脂エマルジョン組成物の各種物性評価結果一覧を表2に示した。
Figure 2009275189
実施例1〜7と比較例1〜4の比較から、本発明の合成樹脂エマルジョン組成物を窯業系サイディングボードに使用した場合に、優れた密着性、良好な耐透水性および耐凍害性を有することがわかる。また、塗料の放置安定性についても特に問題がないことがわかる。

Claims (3)

  1. (A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能な不飽和単量体を重合して得られる重合体からなる合成樹脂エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対し、(B)重合リン酸塩3〜50質量部を含む合成樹脂エマルジョン組成物。
  2. 前記重合体を構成する単量体100質量部中に不飽和カルボン酸0.5〜10質量部及びグリシジル基を有する不飽和単量体0.5〜10質量部が含まれる、請求項1に記載の合成樹脂エマルジョン組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の合成樹脂エマルジョン組成物を含んでなる窯業系サイディングボード用塗料組成物。
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