JP2004128115A - 減圧固定用フィルム、ウエハ保護フィルム、ダイシングフィルム及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
減圧固定用フィルム、ウエハ保護フィルム、ダイシングフィルム及び半導体装置の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】半導体部品を加工、搬送する際に保持する、量産性に優れた減圧固定用フィルムと、ウエハの研削加工時に粘着テープが不要で、減圧用固定台に固定したウエハから剥離する際にウエハを破損せず容易に剥離できるウエハ保護フィルムと、ウエハの切断加工時に素子が飛散せず、かつ素子のピックアップ時に素子にダメージを与えないダイシングフィルムと、これらフィルムを使用した半導体装置の製造方法とを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂を主成分とし、複数の貫通孔が形成された網状フィルムであり、熱可塑性樹脂のビカット軟化温度が50〜150℃、通気度がガーレー値で0.001〜30秒/100ccであり、かつ室温での90度剥離力が5N/25mm以下である減圧固定用フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂を主成分とし、複数の貫通孔が形成された網状フィルムであり、熱可塑性樹脂のビカット軟化温度が50〜150℃、通気度がガーレー値で0.001〜30秒/100ccであり、かつ室温での90度剥離力が5N/25mm以下である減圧固定用フィルム。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや半導体素子等の半導体部品を加工、搬送する際に半導体部品を保持する減圧固定用フィルム、ウエハ保護フィルム、ダイシングフィルム、それらを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、半導体集積回路(以下、ICという。)を備えた半導体装置は、一般に、高純度シリコン単結晶等をスライスして半導体ウエハとした後、その表面にエッチング加工等の手段によりICを組み込み、切断によりチップ化し、さらに必要に応じて、支持部材に搭載し、電極と接続し、封止材で保護して製造される。
このような製造方法の中に、半導体ウエハの表面にICを組み込んだ後、ウエハを任意の厚さまで薄くするためにウエハ裏面(非加工面)を研削するバックグラインド工程(裏面研削工程)と、その後ダイシングソウと呼ばれる回転歯によりウエハを切断して各素子(チップ)に切断・分割するダイシング工程とがある。
【0003】
バックグラインド工程では、半導体ウエハ表面に形成された回路の保護、ウエハの破損防止、ウエハ研削加工を容易にする等の目的でウエハ表面保護用粘着テープを、その粘着層を介してウエハの表面に貼付し、保護しながら半導体ウエハ裏面を研削加工する方法が用いられている。この工程では、ウエハ裏面を研削する際に生じる研削熱の除去および発生するシリコン屑の洗い流しのため、研削水と称する液をウエハと研削石と砥石にかけながら行う。
半導体ウエハ表面保護用テープは、通常、裏面研削終了後不要となったときに剥離機と称される装置内において、剥離テープと称する強粘着力の粘着テープを半導体ウエハ表面保護用粘着テープの基材フィルム側に貼付し、該剥離テープを介して剥離する方法が採用されている。
上記の如くウエハから表面保護用粘着テープを剥離する場合、剥離テープを半導体ウエハ表面保護用テープの基材フィルムに貼付する際に、ウエハの破損が起こったり、剥離テープと表面保護用粘着フィルムの接着不良による剥がし不良等が生じたりすることがあった。また、上記のような剥離テープを用いて表面保護用粘着フィルムを剥離する装置は、機構が複雑で大がかりなものとなり、設備コストの上昇につながる。
また近年、半導体ウエハの大口径化、薄層化およびICの高性能化に伴い、半導体ウエハ表面への汚染が少なく、かつ、ウエハ裏面の研削時や粘着フィルムの剥離時にウエハを破損しない半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムおよび該フィルムを用いた裏面研削方法が望まれている。
【0004】
一方、ダイシング工程では、塩化ビニルやポリエステル等のベーステープに粘着剤が塗布されたダイシングテープ上に半導体ウエハを固定し、切断後、各素子はコレットと呼ばれる吸引治具によりピックアップされ次工程へ搬送される。このダイシングテープは切断時にはダイシングソウによる回転で各素子が飛散しない十分な粘着カが必要である一方、ピックアップ時には各素子に負荷がかからない程度の低い粘着力であるといった相反する要求を満足する必要がある。
そのため従来使用されている感圧タイプのダイシングテープの場合は粘着力の公差を小さくし、素子のサイズや加工条件に合った各種粘着力のものを多品種揃えて在庫しなければならないため在庫管理が必要であり、また工程毎に切替え作業が必要となる。
また、近年、半導体素子、特にCPUやメモリは大容量化が進み、その結果素子のサイズが大型化する傾向にある。さらに、ICカードあるいはメモリーカード等の製品では使用されるメモリの薄型化が進んでいる。これらの素子の大型化や薄型化に伴い、感圧タイプではダイシング時に固定力(高粘着力)とピックアップ時の剥離性(低粘着力)という相反する要求を満足できなくなってきている。また、UVタイプでも照射による粘着力低下にバラツキがある、あるいは低下しても数gの粘着力は残るため、ピックアップ時には下からピンで突上げる必要があり、そのため従来でも突上げピンによる素子のダメージは皆無ではなかった。
さらに、素子の大型化、薄型化が進み突上げピンによるダメージが顕著になり、その対策が重要になってきた。
【0005】
裏面研削時の半導体ウエハの固定具として、吸引又は減圧で半導体ウエハを固定するための多孔質部材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、ダイシング工程においても、本発明者らは多孔質材を固定具として用い、減圧で半導体ウエハおよび素子を固定する半導体ウエハダイシング方法を提案した(特許文献2参照。)。そして、多孔質材として、例えば、焼結フォームや、非多孔質材に穴を開けたもの等が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−217042号公報
【特許文献2】
特開2001−196448号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、多孔質材として一般的な焼結フォームは、一旦焼結ブロックを作製した後、切削加工によりフィルム状にするため長尺化が困難であったり、連続的に塗布して作製する場合においても厚みムラや気孔率のムラが発生しやすく、安定した焼結シートを作製するのが困難であったりした。また、上記のような穴開け加工して得られる多孔質材は、突き上げピンを使用せずにピックアップすることができるものの、孔径をさらに小さくしたり、孔あけの間隔を細かくしたりすることが困難で、対応できるチップサイズが限定された。
【0008】
本発明は前述の問題に鑑みなされたもので、その目的は、量産性に優れ、半導体部品を加工、搬送する際に半導体部品を減圧により保持する減圧固定用フィルムと、ウエハの研削加工時には粘着テープが不用で、減圧用ウエハ固定台に固定したウエハから剥離する際にウエハを破損することなく容易に剥離できるウエハ保護フィルムと、半導体ウエハの切断加工時に素子が飛散せず、さらに素子をピックアップにより分割するときに素子にダメージを与えないダイシングフィルムと、これらフィルムを使用した半導体装置の製造方法とを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のものに関する。
すなわち本発明は、(1)熱可塑性樹脂を主成分とし、複数の貫通孔が形成された網状フィルムであり、熱可塑性樹脂のビカット軟化温度が50〜150℃、通気度がガーレー値で0.001〜30秒/100ccであり、かつ室温での90度剥離力が5N/25mm以下である減圧固定用フィルムに関する。
【0010】
また、本発明は、(2) 前記貫通孔の平均孔径0.01〜20mm、平均線径0.03〜10mmである前記(1)記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(3) 少なくとも片面の平坦度が30%以下である前記(1)または(2)記載の減圧固定用フィルムに関する。
ただし、平坦度=フィルム凹部の深さ(Rz)÷フィルム全体の厚み×100(%)
【0011】
また、本発明は、(4) 熱可塑性樹脂の190℃、せん断速度250sec−1における溶融粘度が60〜600,000Poiseである前記(1)〜(3)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(5) 熱可塑性樹脂のメルトフローレートが0.001〜100g/10minである前記(1)〜(4)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
【0012】
また、本発明は、(6) 表面開孔率が1〜80%である前記(1)〜(5)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(7) 熱可塑性樹脂を主成分とする網状体の少なくとも片面が、加熱及び加圧の少なくとも一方により平坦化されてなる前記(1)〜(6)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
【0013】
また、本発明は、(8) 熱可塑性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体である前記(1)〜(7)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(9) 表面の摩擦係数が0.3以上である前記(1)〜(8)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(10) 両面または片面に剥離性フィルムを有する前記(1)〜(9)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
【0014】
また、本発明は、(11) 室温での90度剥離力が0.001〜5N/25mmの前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムであることを特徴とするウエハ保護フィルムに関する。
【0015】
また、本発明は、(12) 平均孔径が0.03〜10mmで平均線径が0.05〜5mmであり、熱可塑性樹脂の融点以下でウエハ表面へ貼り付け、剥離したときの異物の残渣が10個/100cm2以下である前記(11)記載のウエハ保護フィルムに関する。
【0016】
また、本発明は、(13) 室温での90度剥離力が0.2N/25mm以下の前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムであることを特徴とするダイシングフィルムに関する。
【0017】
また、本発明は、(14) 平均孔径0.03〜10mm、平均線径0.05〜2mmである前記(13)記載のダイシングフィルムに関する。
また、本発明は、(15) 通気度がガーレー値で0.001〜25秒/100ccである前記(13)または(14)記載のダイシングフィルムに関する。
【0018】
また、本発明は、(16) 表面開孔率が1〜70%、少なくとも片面の平坦度が15%以下である前記(13)〜(15)のいずれか記載のダイシングフィルムに関する。
また、本発明は、(17) 熱可塑性樹脂の融点以上で貼り付けたときの室温での90度剥離力が0.3〜10N/25mmである前記(13)〜(16)のいずれか記載のダイシングフィルムに関する。
【0019】
また、本発明は、(18) 前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムまたは(11)または(12)記載のウエハ保護フィルムを半導体ウエハの回路加工面に貼り付ける工程、減圧固定下の該ウエハの裏面に研削加工を施す工程、研削加工終了後、常圧で前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面から剥離する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、(19) 前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムまたは(13)〜(17)のいずれか記載のダイシングフィルムを半導体ウエハに貼り付ける工程、該半導体ウエハを減圧固定下で切断して半導体素子とする工程、半導体素子を常圧で前記フィルムからピックアップする工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0021】
また、本発明は、(20) 前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムまたはダイシングフィルムとウエハ固定台との間に多孔質支持体を介して減圧固定する前記(18)または(19)記載の半導体装置の製造方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
本発明において減圧固定用フィルムとは、固定の対象である被着体に加工および搬送を行う際に、減圧により被着体を直接固定し、保持及び保護しておくためのフィルムである。
本発明の減圧固定用フィルムは、被着体として半導体ウエハ等の半導体部品の研削加工または切断加工、および搬送を行う際に、減圧により半導体部品を直接固定し、保持及び非加工面の保護のために用いることができる。具体的には、ウエハのバックグラインド工程、ダイシング工程に使用すること等が挙げられる。
【0023】
本発明の減圧固定用フィルムのうち、特に研削加工工程で使用するのに適した特性を有するものを、以下、ウエハ保護フィルムという。例えば、剥離試験において0〜150℃のいずれかの温度で貼り付けた時のウエハ保護フィルムの室温での90度剥離力が0.001〜5N/25mmという特性が挙げられる。この場合、被着体への貼り付け時の温度は室温〜150℃であることが好ましく、被着体として、SUS304−BA板を使用すると特性の比較が容易である。これは以下においても同様である。
また、本発明の減圧固定用フィルムのうち、特に切断(ダイシング)加工工程で使用するのに適した特性を有するものを、以下、ダイシングフィルムという。例えば、室温での90度剥離力が0.2N/25mm以下という特性が挙げられる。
【0024】
図1に、本発明の減圧固定用フィルムを使用したウエハ加工装置(一部)の一例の断面概略図を示す。図1において、半導体ウエハ1が、網状の減圧固定用フィルム2及び多孔質支持体3を介して減圧ステージ4の上に載置されている。減圧ステージ4は、パイプ等の減圧系介在部品5を介して真空ポンプ6に連結されている。なお、図1には、研削するための研削装置、ダイシングするためのカッター装置、半導体ウエハや半導体素子の搬送装置、減圧固定用フィルムの剥離装置および半導体素子のピックアップ装置は図示されていない。減圧は、水封ポンプやツールポンプあるいは油回転ホンプ等の各種真空ポンプを用いて行うことができる。
【0025】
以上のように、本発明の減圧固定用フィルム2は、図1に示されるような加工装置において、半導体ウエハのような半導体部品を加工時に減圧固定して保護することができる。本発明の減圧固定用フィルム2はフィルムの表裏を貫通する網状の複数の孔を備える網状フィルムであることを特徴としており、半導体部品を直接減圧で固定することができるため、減圧時には研削加工時または切断加工時に半導体部品にかかる応力に耐えられる十分な減圧固定力を有している。しかし、減圧を解除した後には減圧固定力がなくなるため、半導体部品にダメージを与えることなく剥離したり、突き上げピンを用いずに素子をピックアップしたりすることが容易である。
【0026】
本発明の減圧固定用フィルム2の形状には、樹脂を線状に細長く加工し、それを組み合わせて複数の貫通孔を備えるように網状に成形したもの、さらにその網を平坦化したもの等が挙げられる。その外観の例を図2、3に示す。図2は孔が正方形である場合の正面図であり、図3は孔が円形である場合の正面図である。また、図4は減圧固定用フィルムの線部である、図2または図3のA−A面に沿って切断した場合の断面図であり、図5は、減圧固定用フィルムの孔部である、図2または図3のB−B面に沿って切断した場合の断面図である。
【0027】
本発明において孔径とは減圧固定用フィルムの孔部12の径を示す。
孔の正面形状が楕円形または長方形である場合は、孔径として、縦方向の孔径縦13と横方向の孔径横15それぞれについて測定する。孔の形状が図2のように正方形である場合には孔の一辺の長さ(図2の孔径縦13または孔径横15)を、図3のように円形である場合にはその直径(図3の孔径縦13または孔径横15)を採用する。孔の断面形状が図5のように平行でない場合には断面のうちで最も狭い径を孔径32として採用する。
平均孔径とは一枚の減圧固定用フィルムについて無作為に3カ所以上選んで孔径を測定したその算術平均を指す。孔形状が楕円形または長方形である場合は縦方向と横方向それぞれについて各々平均孔径を算出する。
【0028】
また、線径とは減圧固定用フィルムの線部11の太さを示す。
孔の正面形状が図2のように正方形である場合には、線径として、線の太さ(図2の線径縦14または線径横16)を、図3のように円形である場合は線の最も細い部分(図3の線径縦14または線径横16)を採用する。方向により線径が異なる場合は縦方向と横方向それぞれについて線径33を測定する。孔の断面形状が図5のように平行でない場合には断面のうちで最も広い線部を線径33として採用する。
平均線径とは一枚の減圧固定用フィルムについて無作為に3カ所以上選んで線径を測定したその算術平均を指す。方向により線径が異なる場合は縦方向と横方向それぞれについて、各々平均孔径を算出する。
【0029】
本発明の減圧固定用フィルムは平均孔径0.01〜20mmで平均線径0.03〜10mmの網状のフィルムであることが好ましい。平均孔径が0.01mm未満ではフィルムの形態では孔径の制御が困難になる傾向があり、平均孔径が20mmを超えると孔からの空気漏れが大きくなり、ウエハを固定するのに十分な減圧固定力を得ることが困難になる傾向がある。また、平均線径が0.03mm未満になると減圧固定用フィルムの強度が落ち、ハンドリングに難が生じるおそれが生じる。これら孔径、線径により孔のピッチ、開孔率が決定される。また、平均孔径が0.03〜10mmで平均線径が0.05〜5mmのものが好ましく、平均孔径が0.05〜2mm、平均線径が0.1〜2mmのものがさらに好ましい。
【0030】
このような減圧固定用フィルムのうち、特にバックグラインド工程に適する、本発明のウエハ保護フィルムについても同様の平均孔径及び平均線径が好ましい。一方、特にダイシング工程に適する、本発明のダイシングフィルムにおいては、平均孔径0.03〜10mmで平均線径0.05〜2mmのものが好ましい。平均孔径が0.03mm未満では網状フィルムの形態では孔径の制御が困難になる傾向があり、平均孔径が10mmより大きくなると孔からの空気漏れが大きくなり、ウエハを固定するのに十分な減圧固定力を得ることが困難になる傾向がある。また、平均線径が0.05mm未満になると網状フィルムの強度が落ちてハンドリングに難が生じるおそれがある。フルダイシングでは基材の方まで切り込みが入るため、特にこの傾向が顕著になる。平均線径が2mmより大きくなると小サイズのチップへの対応が困難になる傾向がある。これら孔径、線径により孔のピッチ、開孔率が決定される。また、平均孔径が0.03〜2mmで平均線径が0.08〜1.5mmのものが好ましく、平均孔径が0.05〜1mm、平均線径が0.1〜1mmのものがさらに好ましい。
【0031】
本発明の減圧固定用フィルムは厚み方向に貫通孔を有するため、線径、孔径により通気度が決定される。減圧固定用フィルムは減圧でウエハを固定するため、通気性が減圧時の固定力を大きく左右する。そのために通気度はガーレー値で0.001〜30秒/100ccの必要がある。30秒/100ccを超えると通気性が小さいため減圧しても十分にウエハを固定できず、加工中にウエハの位置がずれたり、著しいときはウエハの破損が発生したりする傾向がある。また、0.001秒/100cc未満では減圧しても空気の漏れが大きく、固定が不十分である。上記通気度は0.01〜20秒/100ccであることがより好ましく、0.1〜10秒/100ccであることがさらに好ましい。
本発明のウエハ保護フィルム及びダイシングフィルムの通気度についても同様であるが、特に、本発明のダイシングフィルムにおいては、通気度はガーレー値で0.001〜25秒/100ccの範囲であるのが好ましい。
上記通気度はJIS P8117に従って測定する。市販のガーレー式測定機材として、東洋精機製作所株式会社製デンソメータ(商品名)を用いることができる。
【0032】
減圧固定用フィルムの表面の凹凸を表す尺度として、平坦度が挙げられる。平坦度は、図4に示される、減圧固定用フィルム全体の厚み21に対するフィルム凹部の深さ22の比によって定義される。フィルム凹部の深さ22は、表面粗さ計を用いて測定し、十点平均値Rzの値を用いる。従って、平坦度は次の式により算出される。
平坦度=フィルム凹部の深さ(Rz)÷フィルム全体の厚み×100(%)
【0033】
本発明の減圧固定用フィルムの少なくとも片面の平坦度は30%以下であるのが好ましい。平坦度が30%を超えると基材(減圧固定用フィルム)の柔軟性が基材の凹凸を吸収しきれず、減圧時の横方向からの空気漏れが大きくなるため、減圧に十分な固定力が得られなくなる傾向がある。それにより、加工中にウエハのずれが発生して加工精度に影響を与えるだけでなく、ウエハの破損の原因となる。また、平坦度は20%以下が好ましく、さらには5%以下であることが望ましい。
本発明のウエハ保護フィルムについても同様の平坦度が好ましい。一方、本発明のダイシングフィルムにおいては、平坦度は15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。平坦度が15%を超えた場合の傾向は減圧固定用フィルムと同様である。
上記平坦度算出に用いられる十点平均値Rzは、表面粗さ測定機、例えばミツトヨ精機社製品名サーフテストSV−400を用いて測定することができる。
【0034】
本発明の減圧固定用フィルムは熱可塑性樹脂を主成分とし、その種類、組成、構成、添加物等は特に限定されない。例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体(ポリ塩化ビニリデン等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリウレタン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリル酸共重合体およびそれらの誘導体、アイオノマー樹脂などを用いることができる。これらを単独で用いてもよく、また2種類以上を混合しても構わない。
この中でも、ビカット軟化温度が50〜150℃の範囲にあることが、加工成形性の観点から必要である。軟化温度が150℃を超えるとラミネータ等による平滑加工が困難になり、量産性に欠けるため、好ましくない。また、軟化温度が50℃未満であると減圧固定用フィルムへの加工時に樹脂の融解がおこり、網状の形状を維持するのが困難になるため、好ましくない。融点は特に制限されないが、通常、60℃〜160℃である。
上記範囲の温度特性を持つ熱可塑性樹脂には、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン等が挙げられ、ホットメルト接着剤にも用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体等が特に成形性がよく、粘着剤層を改めて形成しなくても粘着性があり、加工中の搬送工程においてテープの剥離がなくなるため、より好ましい。
【0035】
上記減圧固定用フィルムをエチレン−酢酸ビニル共重合体で作製する場合の酢酸ビニル含有量は1〜50重量%の範囲が好ましい。1重量%未満では減圧固定用フィルムに加工する際に加工が困難であり、また、加工後の減圧固定用フィルムには搬送時の剥離防止の粘着性がほとんどない。また、50重量%を超えると加工自体は容易であり、減圧固定用フィルムそれ自体粘着性を有しているが、ウエハ加工後の剥離が困難となる。酢酸ビニル含有量は5〜30重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の減圧固定用フィルムは、熱可塑性樹脂からなっても良く、また、樹脂成形体に通常用いられる添加剤を、減圧固定用フィルムの特性を損なわない範囲で適宜添加しても良い。
【0037】
本発明の減圧固定用フィルムは、該減圧固定用フィルムの主成分である熱可塑性樹脂の190℃、せん断速度250s−1における溶融粘度が60〜600,000Poiseの範囲であることが好ましい。減圧固定用フィルムは弾性を有しており減圧時に変形してフィルム自体の凹凸やウエハ表面のバンプ等による凹凸を吸収し密着することにより、減圧によるウエハの固定力を維持し、加工精度の向上を図ることができる。
上記条件における溶融粘度が60Poise未満では溶融粘度が小さすぎるため、減圧固定用フィルムに加工する際に樹脂が流動しやすく開孔率等を制御することが困難になる傾向があり、また、減圧固定用フィルムの元となる網状体への加工も困難になる傾向がある。また、600,000Poiseを超えると溶融粘度が高すぎるため、減圧時に変形して凹凸を吸収する効果も期待できず、また樹脂が流動しないために減圧固定用フィルムに加工することが困難になる傾向がある。また、この溶融粘度は、600〜60,000Poiseであることがより好ましく、さらには1,000〜50,000Poiseであることがより好ましい。溶融粘度はJIS K−7117に従って測定することができる。
【0038】
本発明において表面開孔率とは減圧固定用フィルムの表面の開孔率、すなわち該減圧固定用フィルムに被着体を接触させたときの孔部、凹部を含めた非接触部分面積の、全面積(被着体が、本発明の減圧固定用フィルムと同サイズの平坦なフィルムに接触する面積)に対する割合として定義される。該減圧固定用フィルムの断面は線上で切ると図4、穴上で切ると図5のような構造になっているため、フィルム表面のうち、図4では表面の接触部分23以外の部分が非接触部分となり、図5では表面の接触部分31以外の部分が非接触部分となる。表面開孔率は、表面の接触部分の面積(表面接触面積)を測定し、次の式から算出できる。
表面開孔率=(1−表面接触面積÷全面積)×100(%)
【0039】
上記表面接触面積は、例えば、次のようにして測定し算出することができる。すなわち、光学顕微鏡を用いてシートの表面を写真撮影し、この写真をスキャナーで読み込み、接触部と非接触部を二値化し、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
本発明の減圧固定用フィルムは、表面開孔率が1〜80%のものを用いるのが好ましい。表面開孔率が80%を超えると、ウエハと該減圧固定用フィルムの密着性が下がるため、減圧による固定力が小さくなり有効にウエハを固定しておくことができなくなることがある。表面開孔率が1%未満になると通気性が小さくなりウエハを固定できなかったり、固定できる減圧度まで下がるのに時間がかかったりする。表面開孔率は3〜75%がより好ましく、5〜70%がさらに好ましい。
本発明のウエハ保護フィルムの表面開孔率についても同様であるが、ダイシングフィルムにおいては、表面開孔率が1〜70%のものが好ましく、3〜60%がより好ましく、5〜50%がさらに好ましい。
【0040】
本発明に使用される減圧固定用フィルムは、熱可塑性樹脂を主成分とする網状体を加熱または加圧により厚み方向に圧縮加工することにより作製できる。加工前の網状体は、例えば、樹脂を線状に細長く加工し、それを交差するように組み合わせて複数の貫通孔を備えるように網状に成形したものが挙げられ、防護ネットやフィルターとして市販されており、これを利用することができる。網状体の貫通孔の形状は、例えば角目状や菱目状のものが使用できる。図では角目状のものを用いて説明しているが、これは、加工後のものであり、特にこの形状を限定するものではない。また加工前の網状体の製造法は、例えば縦糸と横糸を溶融着して製造したもの、糸状プラスチックを編んだものなどが使用できるが、特に製造方法を制限するものではない。
該減圧固定用フィルムは、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とした網状体を熱ロールなどで連続的に加熱・加圧して作製する方法、また、プレスを用いて枚葉で加熱・加圧する方法等で作製することができる。加熱または加圧処理を施していればその製造方法は特に限定するものではない。加熱のみ、加圧のみ、あるいは両方の手段を用いても構わない。加熱又は加圧処理を施す際に樹脂が熱ロールやプレスに転写、融着しないように保護フィルム(例えば、後述するラミネート用フィルム等)で網状体を挟んでフィルム成型することが望ましい。また、線径、孔径を調節するために網状体の圧延などの方法を用いることもできるが必ずしも圧延する必要はなく、逆に樹脂の溶融時の収縮により元の網状体より網目のピッチが狭くなっても構わない。
【0041】
本発明の減圧固定用フィルムを構成する主成分である熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.001〜100g/10minの範囲が好ましい。減圧固定用フィルムは加工前の網状体を加熱または加圧、特に加熱を行うことにより樹脂は溶融し、表面がロール、プレスまたは保護フィルムの形状を転写して平滑に変形するが、このときの成形性は主成分である樹脂のメルトフローレートに依存する。メルトフローレートが0.001g/10min未満であると樹脂は流れにくく、加工する際に、より高温、より長時間を必要とする傾向がある。また、メルトフローレートが100g/10minを超えると流動性が高すぎて減圧固定用フィルムに加工する際に開孔率等を制御するのが困難になる傾向があり、また加工前の網状体の作製も容易ではなくなる。加工時の成形性の観点から該減圧固定用フィルムの主成分である熱可塑性樹脂のメルトフローレートが0.01〜20g/10minであることが好ましく、さらには0.1〜15g/minであることがより好ましい。
【0042】
本発明の減圧固定用フィルムはフルオートグラインダーなどで搬送中に剥がれ落ちないために、剥離試験において室温での90度剥離力が5N/25mm以下の範囲のものである。5N/25mmを超えると粘着力が大きいため加工後の剥離が困難になり、最悪の場合ウエハにひびが入ることもある。ただし、剥離力が0N/25mmでは粘着力がないために搬送中に剥離が起こるおそれがある。この特性を両立させるために、上記剥離試験において剥離力が0.001〜5N/25mmの微粘着性を有することが好ましく、0.01〜3N/25mmがより好ましく、0.01〜1N/25mmであることがさらに好ましい。剥離試験において減圧固定用フィルムを貼り付ける温度は、その材質により0℃〜150℃の間で任意に定めることができる。好ましくは室温〜150℃であるが、材質や表面開孔率によりその最適温度は異なるため、上記の剥離力の範囲に入るように任意に選択して構わない。
本発明において、室温での90度剥離力の測定は、被着体に貼付した試料の一端を挟持し、剥離角度90度、剥離速度200mm/minで剥離する際の応力を測定する。上記条件以外はJIS K6854−1に準拠する。被着体としては、5×10cmのSUS304−BA板を用い、これを予め所定温度に予熱しておき、25mm幅のフィルム試料を線圧0.1kgf/cm、10m/minの速度で貼付し、1時間放置した後、室温で剥離角度90度、剥離速度200mm/minで試料を剥離したときの平均値を剥離力として採用する。
減圧固定用フィルムを半導体部品等に貼り付ける温度も、その材質により0℃〜150℃の間で任意に定めることができる。例えば、室温で貼り付けても良いし、主成分となる熱可塑性樹脂の特性によっては軟化点あるいは融点以上に加温して融着させても良い。一般に室温〜150℃の間が好ましいが、材質や表面開孔率によりその最適温度は異なるため、任意に選択して構わない。軟化点あるいは融点まで加温しなくても貼り付けることはできる。上記剥離試験の90度剥離力を発現する温度で半導体部品にも貼り付けることが好ましい。
【0043】
また、微粘着性は摩擦係数で定義することもできる。本発明では表面の摩擦係数が0.3以上の減圧固定用フィルムが好ましく使用できる。摩擦係数が0.3未満であると搬送中に剥離してしまったり、加工中にウエハとフィルムのずれが生じたり、チップが飛散したりする可能性があり、それが原因でウエハにダメージを与えたり、加工精度に悪影響を及ぼすからである。摩擦係数は3以上であることがより好ましく、30以上であることがさらに好ましい。
【0044】
本発明の減圧固定用フィルムの片面または両面を、使用時まで被覆して保護することができる。該減圧固定用フィルムは、特に微粘着性を有していると使用前に大気中の塵や埃などが付着することにより接着力の低下を招くおそれがある。そこで、減圧固定用フィルムの表面を大気中の塵などから保護するためにフィルムでラミネートを施した状態で保管または搬送するのが好ましい。これに用いるラミネート用フィルムの種類は特に限定しない。例えば、PET、紙、ポリプロピレン、セロファン、ポリスチレン等の、可撓性フィルムが挙げられる。このような材料から、容易に剥離できること、ラミネート用フィルムの成分が減圧固定用フィルムに転着しないこと、等の特性を満足するフィルムを選定して使用すれば良い。場合により、フィルムに粘着剤を塗布しても良い。
減圧固定用フィルムを実際に使用する際にラミネート用フィルムから剥離することを考えると、易接着処理を施したラミネート用フィルムよりは該処理を施していないラミネート用フィルムが好ましく、離型処理を施したものやフッ素樹脂加工等の剥離が容易である剥離性ラミネート用フィルムがさらに好ましい。
【0045】
次に、本発明のウエハ保護フィルムについて説明する。ウエハ保護フィルムは本発明の減圧固定用フィルムのうち、被着体の研削加工に好適に用いられる特性を有したものである。例えば、半導体ウエハの裏面研削加工に適用する一例を挙げると、まず上記ウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面に貼り付ける。次いでウエハの裏面(回路加工面の反対面)に減圧固定下でグラインダー等で研削加工を施した後、ウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面から表面保護テープ剥がし機等で剥離する。ウエハ保護フィルムに予めラミネート用フィルムを積層してある場合は、ラミネート用フィルムを剥離してからウエハの回路加工面に貼り付ける。
【0046】
すなわち、本発明の第一の半導体装置の製造方法は、本発明の減圧固定用フィルムまたは本発明のウエハ保護フィルムを半導体ウエハの回路加工面に貼り付ける工程、減圧固定下の該ウエハの裏面に研削加工を施す工程、研削加工終了後、常圧で前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面から剥離する工程を含むことを特徴とする。
【0047】
本発明のウエハ保護フィルムは、本発明の減圧固定用フィルムのうち、剥離試験において、室温での90度剥離力が0.001〜5N/25mmの範囲で表面に微粘着性を有する。剥離力が0.001N/25mm未満では粘着力が小さいために搬送中に剥離が起こってしまい、好ましくない。逆に5N/25mmを超えると粘着力が大きいため加工後の剥離が困難になり、最悪の場合ウエハにひびが入ることもある。この特性を両立させるために、剥離試験において剥離力が0.01〜3N/25mmであることが好ましく、0.01〜1N/25mmであることがさらに好ましい。
【0048】
ここで、回路加工面に異物が付着すると半導体の特性に悪影響を及ぼすため歩留まりの低下を招く。そのためにはウエハ保護フィルムはウエハに貼り付け、剥離した後に、ウエハ側へ付着している残渣が少ないことが好ましい。すなわち主成分の樹脂の融点以下でウエハ表面へ貼り付け、剥離したときのウエハ表面のウエハ保護フィルムの残渣が10個/100cm2以下の範囲であるのが好ましい。また、上記残渣は7個/100cm2以下がより好ましく、5個/100cm2以下であることがさらに望ましい
主成分である樹脂の融点以上で貼り付けると樹脂が融着してしまい、ウエハ側への残渣付着が増えてしまうため、樹脂の融点以下で貼り付けることが望ましい。
【0049】
ウエハの裏面研削のために、ウエハ保護フィルムまたは減圧固定用フィルムをウエハに貼り付ける温度は、減圧固定用フィルムを半導体部品に貼り付ける温度条件と同様に選択でき、上記剥離試験の90度剥離力で規定される微粘着力を発現する温度でウエハにも貼り付けることが好ましい。
【0050】
次に、本発明のダイシングフィルムについて説明する。ダイシングフィルムは、本発明の減圧固定用フィルムのうち、被着体の切断加工に好適に用いられる特性を有したものである。半導体ウエハのダイシング加工に適用する一例を挙げると、例えば、まず半導体ウエハの研削加工を施した面すなわち裏面に貼り付け、ウエハを減圧固定下でダイシングソウ等で切断した後、切断片をピックアップする。フィルムにラミネート用フィルムを予め積層してある場合は、ラミネート用フィルムを剥離してからウエハに貼り付ける。
【0051】
すなわち、本発明の第二の半導体装置の製造方法は、本発明の減圧固定用フィルムまたは本発明のダイシングフィルムを半導体ウエハに貼り付ける工程、該半導体ウエハを減圧固定下で切断して半導体素子とする工程、半導体素子を常圧で前記減圧固定用フィルムまたはダイシングフィルムからピックアップする工程を含むことを特徴とする。
【0052】
半導体ウエハは、ダイシング時だけでなく、ダイシング装置への搬送時にも固定しておく必要がある。ダイシングにより生成される半導体素子(チップ)は、ダイシング時だけでなく、ダイシング後の次工程への搬送時にも、固定しておく必要がある。しかし、搬送工程では減圧あるいは吸引状態を維持することがコスト及びスペース等の制約から難しい。そこで、ダイシングフィルムまたは減圧固定フィルムに搭載されている半導体ウエハやチップを、搬送時に常圧にしてもチップが飛散せず、また、チップのピックアップに支障のないようにするために、半導体ウエハやチップの搭載面が弱粘着性を有することが望ましい。しかし、粘着力が大きすぎるとダイシング加工後のピックアップが困難になる。
これらの特性を満足させるために、本発明のダイシングフィルムは、剥離試験において室温での90度剥離力が0.2N/25mm以下のものである。剥離力が0.2N/25mmより大きいと減圧解除後の粘着力が大きいため突き上げピンを用いないピックアップが困難になり、最悪の場合チップが割れたり、ひびが入ったりすることもある。さらには剥離試験において90度剥離力が0.1N/25mm以下であることが好ましく0.05N/25mm以下であることがさらに好ましい。一方、搬送中に飛散しないために、剥離力が0.001N/25mm以上であるのが好ましい。
【0053】
本発明のダイシングフィルムまたは減圧固定用フィルムをウエハに貼り付ける温度は、減圧固定用フィルムを半導体部品に貼り付ける温度条件と同様に選択することができる。
【0054】
ダイシング装置への搬送、またダイシング加工後の次工程への搬送は、一般にリングと呼ばれるウエハよりも一回り大きいステンレス製の治具が支持体として用いられる。ダイシングフィルムまたは減圧固定用フィルムはウエハやチップのみならずこの支持体へ貼り付けることも考慮するのが好ましい。従って、ウエハへの貼付には低接着力であることが要求されるが、リングへの貼付は高接着力であることが要求される。そこで、ダイシングフィルムを主成分である熱可塑性樹脂の融点以上で貼り付けてリングへ樹脂を融着させ、支持体となるリングへの貼付を行うことにより上記低接着力との両立が可能となる。
【0055】
そのためには主成分である熱可塑性樹脂の融点以上でダイシングフィルムを貼り付けたときの室温での90度剥離力が0.3〜10N/25mmの範囲のものが好ましい。0.3N/25mm未満では接着力が半導体ウエハ及び半導体素子を支えきれず、ダイシングフィルムがリングから剥離してしまう。10N/25mmより大きいと搬送物の支持には十分耐えきれるが、使用後のダイシングフィルムをリングから剥離することが困難になり、無理矢理剥離すると樹脂がリング側に残ったり、リングが変形したりしてしまうことがある。リングは繰り返し利用するものであるから、接着力が大きすぎることは望ましくない。上記特性を満足させるための接着力は、90度剥離力で0.8〜8N/25mmであることがより好ましく、1.0〜5N/25mmであることがさらに好ましい。
ここで、剥離力の測定は、熱可塑性樹脂の融点以上で貼り付ける点以外は上記剥離試験の90度剥離力と同様の方法で測定される。
【0056】
本発明の半導体装置の製造方法において、減圧固定用フィルム付き半導体ウエハは、該半導体ウエハを設置するウエハ固定台に減圧あるいは吸引により固定されるが、このとき、減圧固定用フィルムとウエハ固定台との間に多孔質支持体を介して減圧固定すると設置面が均一に減圧あるいは吸引されるため、半導体ウエハや素子の破断や飛び等を防ぐことができるので好ましい。例えば、図1のように真空ラインに繋がる減圧ステージ4と減圧固定用フィルム2との間に多孔質支持体3を介在させる方法が挙げられる。
【0057】
本発明によれば、ウエハや素子等の半導体部品に対して研削または切断の加工のためグラインダーやダイシングソウによる応力がかかっているときは、半導体部品を固定する台や治具を減圧あるいは吸引し、大気圧により台や治具と密着させウエハのずれや破損・飛散防止をはかる。
そして、研削加工後にフィルムを剥離する際には、常圧(大気圧)に戻すことで固定する力は適当な範囲に小さくなっているので、剥離時の半導体部品へのダメージがない。切断・分割後の素子をピックアップする際は、搬送時の飛散等がなく、突上げピンを使用しなくても素子をハンドリングすることができ、素子にダメージを与える心配がない。また、多孔質材の介在により、半導体部品の設置面が均一に減圧あるいは吸引されるため、それらの破断や飛びといった現象を防ぐことができる。
【0058】
本発明で加工された半導体ウエハや半導体素子等の半導体部品からは、従来公知の方法により、素子を支持部材に搭載し、必要な部分を封止材で封止して半導体装置が製造される。たとえば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、封止用樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止して一般的な樹脂封止型半導体装置が製造できる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例を用いて発明をさらに詳細に説明するが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
主成分がエチレン−酢酸ビニル共重合体である熱可塑性樹脂(東ソー株式会社製品名ウルトラセン631、酢酸ビニル20重量%)を用いて、平均孔径1.0mm×1.0mm、平均線径0.5mm×0.5mmの網状体に加工した。この作製した網状体を、厚み100μmのPETフィルム2枚の間に挟み、ラミネータを用いて温度130℃、圧力0.5MPa、速度0.5m/分で圧縮して、両面が平坦な網状フィルムである減圧固定用フィルムを作製した。
【0060】
(研削加工):次に、厚さ525μmの半導体ウエハに上記減圧固定用フィルムを20℃で貼付した。真空装置を具備するディスコ社製裏面研削装置(型番DFG840)の減圧・吸引ステージ上に、上記減圧固定用フィルム付き半導体ウエハを、減圧固定用フィルムがステージに密着するように載置した。
ついで、真空装置を作動させ、減圧度が−40kPaになるまで減圧あるいは吸引し、半導体ウエハを裏面研削装置に固定した。半導体ウエハを100μmの厚みまで裏面研削した。ついで、該減圧固定用フィルムを表面保護テープ剥がし機(タカトリ株式会社製、MODEL:ATRM−2000B;使用剥がしテープ:ハイランド印フィラメントテープNo.897(住友スリーエム株式会社製))でウエハから剥離した。
【0061】
(切断加工):図1に示すように真空装置を具備する改良を施したディスコ社製ダイシング装置(DAD341)を用意し、厚さ50μmの半導体ウエハに上記減圧固定用フィルムを20℃で貼付し、ダイシング装置の減圧あるいは吸引ステージ上に多孔質支持体として目開きが約350μmのSUS製フィルタを、さらにその上に上記減圧固定用フィルム付き半導体ウエハを、減圧固定用フィルムがステージに密着するように載置した。
ついで、真空装置を作動させ、減圧度が−70kPaになるまで減圧あるいは吸引し、半導体ウエハをダイシング装置上に固定した。半導体ウエハをダイシングし、10mm角の半導体素子(チップ)に切断した。ついで、減圧固定用フィルム上のチップを東京エレクトロン株式会社製ピックアップ装置(突き上げピン無し)でピックアップした。
【0062】
(実施例2)
主成分が高密度ポリエチレンである熱可塑性樹脂(東ソー株式会社製品名ニポロン6300A)を用い、かつ網状体の圧縮温度を180℃とした以外は実施例1と同条件で加工して表面が平坦な減圧固定用フィルムを作製し、上記減圧固定用フィルムを160℃で貼り付けた以外は実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0063】
(実施例3)
圧縮する前の網状体を平均孔径11.2mm×11.2mm、平均線径6.7mm×6.7mmとし、かつ圧縮加工温度を140℃とした以外は、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0064】
(実施例4)
圧縮加工温度を80℃、圧縮加工速度を0.8m/分とし、貼付温度を130℃とした以外は実施例1と同様の方法で減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0065】
(実施例5)
溶融粘度が50Poiseである熱可塑性樹脂(東ソー株式会社製品名ウルトラセン)を用い、圧縮加工を温度100℃、圧力0.2MPaとした以外は、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0066】
(実施例6)
メルトフローレートが120g/10minであるエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製品名エバフレックスEV450)を用い、圧縮加工を温度100℃、圧力0.2MPaとした以外は、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0067】
(実施例7)
圧縮加工を温度95℃、圧力0.4MPaとし、貼付温度を130℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断を行った。
【0068】
(実施例8)
酢酸ビニル含有量が35重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製品名エバフレックス)を用い、圧縮加工温度160℃、貼付温度を10℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で切断および切断加工を行った。
【0069】
(実施例9)
圧縮加工温度を150℃、圧縮加工速度を0.3m/分、貼付温度を10℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断加工を行った。
【0070】
(比較例1)
融点が220℃である熱可塑性樹脂(ナイロン樹脂、東レ株式会社製品名アミランCM1007)を用い、圧縮温度を200℃とし、貼付温度を150℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断を行った。
【0071】
(比較例2)
圧縮加工温度180℃、圧縮加工速度0.1m/分、貼付温度を10℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断を行った。
【0072】
(比較例3:研削)
低密度ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製品名ペトロセン170)を用い、圧縮加工温度150℃であるほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工を行った。
【0073】
(比較例4:研削)
減圧固定用フィルムの代わりに感圧型バックグラインドテープ(三井化学株式会社製品名イクロステープ)を使用して実施例1と同条件で研削加工を行った。
【0074】
(比較例5:切断)
減圧固定用フィルムの代わりに感圧型ダイシングテープ(日立化成工業株式会社製品名HAE)を使用して実施例1と同条件で切断加工を行った。
【0075】
各実施例及び比較例について、表1、表2に示す項目を評価した。各項目のうち、平均孔径・平均線径、平坦度、表面開孔率、通気度の評価方法は上述の通りである。また、溶融粘度、メルトフロー、融点、軟化温度はカタログ値を採用した。
減圧固定用フィルムへの加工性(比較例4、5を除く):良好>不均一(外観の肉眼による評価)、圧縮困難(圧縮率5%以下、加工性に問題が生じる。)
研削加工時のウエハ割れ(比較例5を除く): 無し>ヒビ入り(肉眼観察)>有り(完全に割れた)
剥離時のウエハ割れ(比較例5を除く):無し>ヒビ入り(肉眼観察)>有り(完全に割れた)
ダイシング時のチップ飛び(比較例3、4を除く):なし>端部少量>端部のみ>少量
ピンレスピックアップ(比較例3、4を除く):良好>可>困難>不可
90度剥離力:表1、表2に示す各所定の貼付温度に予熱した5×10cmのSUS304−BA板の表面に減圧固定用フィルムを線圧0.1kgf/cm、10m/minの速度で貼付し、1時間放置した後、フィルムの一端を挟持し、剥離角度90度、剥離速度200mm/minで剥離する際の応力を測定した。上記条件以外はJIS K6854−1に準拠した。
実施例及び比較例の結果に対する評価結果を表1、表2に併記する。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
実施例1、2はともに、減圧固定用フィルムへの加工、研削、剥離、ダイシング、ピックアップのいずれも問題なく実施できた。
研削加工では、比較例1ではウエハの固定が不充分で、研削加工時にウエハにヒビが発生した。比較例2、3ではウエハは加工できたが、テープを剥離する際にウエハにヒビが発生した。比較例4ではテープを剥離する際にウエハが割れて破損した。
【0079】
切断加工では、実施例3では減圧固定用フィルムのピッチがダイシングするチップよりも大きく、また、実施例4では減圧固定用フィルムの平坦度が大きく、空気の漏れが大きいため十分に減圧できず、ダイシング時に端部のチップが少量飛散した。また、実施例7は表面開孔率が大きいため空気漏れが大きくて十分に減圧できず、ダイシング時に端部のチップが飛散した。実施例8は室温での90度剥離力が高くピンレスピックアップが困難であったが、ダイシング加工時にはチップの飛散がなかった。しかし、これら実施例はいずれも充分に実用可能な範囲内であった。
比較例1は樹脂の融点が高く、平坦度と開孔率が良好なフィルムが作製できなかった。これを用いてダイシング加工を行ったが、減圧不十分で加工時にチップが飛散した。比較例2は通気度が大きく通気性が小さいためダイシング加工中に十分にウエハ及びチップを固定できず、チップが飛散し、また突き上げピンレスでのピックアップ成功率が95%であった。比較例5は、ダイシング中にチップが飛散し、また突き上げピンレスでのピックアップは不可能であった。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体ウエハや素子(チップ)等の半導体部品のずれ、破損、飛散がなく、効率的にかつ安全に半導体部品の研削加工やダイシング加工、搬送を行うことができる。さらに研削後にはウエハを破損することなく容易に剥離できる。これらにより、ウエハやチップ破損による歩留まりの低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減圧固定用フィルムを使用したウエハ加工装置(一部)の一例の断面概略図である。
【図2】本発明の減圧固定用フィルムにおいて孔が正方形である例の正面図の一部である。
【図3】本発明の減圧固定用フィルムにおいて孔が円形である例の正面図の一部である。
【図4】図2または3の線部A−A面で切断した断面図の一例である。
【図5】図2または3の孔部B−B面で切断した断面図の一例である。
【符号の説明】
1 半導体ウエハ 2 減圧固定用フィルム
3 多孔質支持体 4 減圧ステージ
5 減圧介在部品 6 真空ポンプ
11 線部 12 孔部
13 孔径縦 14 線径縦
15 孔径横 16 線径横
21 フィルム全体の厚み 22 フィルム凹部の深さ
23 表面の接触部分 31 表面の接触部分
32 孔径 33 線径
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや半導体素子等の半導体部品を加工、搬送する際に半導体部品を保持する減圧固定用フィルム、ウエハ保護フィルム、ダイシングフィルム、それらを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、半導体集積回路(以下、ICという。)を備えた半導体装置は、一般に、高純度シリコン単結晶等をスライスして半導体ウエハとした後、その表面にエッチング加工等の手段によりICを組み込み、切断によりチップ化し、さらに必要に応じて、支持部材に搭載し、電極と接続し、封止材で保護して製造される。
このような製造方法の中に、半導体ウエハの表面にICを組み込んだ後、ウエハを任意の厚さまで薄くするためにウエハ裏面(非加工面)を研削するバックグラインド工程(裏面研削工程)と、その後ダイシングソウと呼ばれる回転歯によりウエハを切断して各素子(チップ)に切断・分割するダイシング工程とがある。
【0003】
バックグラインド工程では、半導体ウエハ表面に形成された回路の保護、ウエハの破損防止、ウエハ研削加工を容易にする等の目的でウエハ表面保護用粘着テープを、その粘着層を介してウエハの表面に貼付し、保護しながら半導体ウエハ裏面を研削加工する方法が用いられている。この工程では、ウエハ裏面を研削する際に生じる研削熱の除去および発生するシリコン屑の洗い流しのため、研削水と称する液をウエハと研削石と砥石にかけながら行う。
半導体ウエハ表面保護用テープは、通常、裏面研削終了後不要となったときに剥離機と称される装置内において、剥離テープと称する強粘着力の粘着テープを半導体ウエハ表面保護用粘着テープの基材フィルム側に貼付し、該剥離テープを介して剥離する方法が採用されている。
上記の如くウエハから表面保護用粘着テープを剥離する場合、剥離テープを半導体ウエハ表面保護用テープの基材フィルムに貼付する際に、ウエハの破損が起こったり、剥離テープと表面保護用粘着フィルムの接着不良による剥がし不良等が生じたりすることがあった。また、上記のような剥離テープを用いて表面保護用粘着フィルムを剥離する装置は、機構が複雑で大がかりなものとなり、設備コストの上昇につながる。
また近年、半導体ウエハの大口径化、薄層化およびICの高性能化に伴い、半導体ウエハ表面への汚染が少なく、かつ、ウエハ裏面の研削時や粘着フィルムの剥離時にウエハを破損しない半導体ウエハ裏面研削用粘着フィルムおよび該フィルムを用いた裏面研削方法が望まれている。
【0004】
一方、ダイシング工程では、塩化ビニルやポリエステル等のベーステープに粘着剤が塗布されたダイシングテープ上に半導体ウエハを固定し、切断後、各素子はコレットと呼ばれる吸引治具によりピックアップされ次工程へ搬送される。このダイシングテープは切断時にはダイシングソウによる回転で各素子が飛散しない十分な粘着カが必要である一方、ピックアップ時には各素子に負荷がかからない程度の低い粘着力であるといった相反する要求を満足する必要がある。
そのため従来使用されている感圧タイプのダイシングテープの場合は粘着力の公差を小さくし、素子のサイズや加工条件に合った各種粘着力のものを多品種揃えて在庫しなければならないため在庫管理が必要であり、また工程毎に切替え作業が必要となる。
また、近年、半導体素子、特にCPUやメモリは大容量化が進み、その結果素子のサイズが大型化する傾向にある。さらに、ICカードあるいはメモリーカード等の製品では使用されるメモリの薄型化が進んでいる。これらの素子の大型化や薄型化に伴い、感圧タイプではダイシング時に固定力(高粘着力)とピックアップ時の剥離性(低粘着力)という相反する要求を満足できなくなってきている。また、UVタイプでも照射による粘着力低下にバラツキがある、あるいは低下しても数gの粘着力は残るため、ピックアップ時には下からピンで突上げる必要があり、そのため従来でも突上げピンによる素子のダメージは皆無ではなかった。
さらに、素子の大型化、薄型化が進み突上げピンによるダメージが顕著になり、その対策が重要になってきた。
【0005】
裏面研削時の半導体ウエハの固定具として、吸引又は減圧で半導体ウエハを固定するための多孔質部材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、ダイシング工程においても、本発明者らは多孔質材を固定具として用い、減圧で半導体ウエハおよび素子を固定する半導体ウエハダイシング方法を提案した(特許文献2参照。)。そして、多孔質材として、例えば、焼結フォームや、非多孔質材に穴を開けたもの等が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−217042号公報
【特許文献2】
特開2001−196448号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、多孔質材として一般的な焼結フォームは、一旦焼結ブロックを作製した後、切削加工によりフィルム状にするため長尺化が困難であったり、連続的に塗布して作製する場合においても厚みムラや気孔率のムラが発生しやすく、安定した焼結シートを作製するのが困難であったりした。また、上記のような穴開け加工して得られる多孔質材は、突き上げピンを使用せずにピックアップすることができるものの、孔径をさらに小さくしたり、孔あけの間隔を細かくしたりすることが困難で、対応できるチップサイズが限定された。
【0008】
本発明は前述の問題に鑑みなされたもので、その目的は、量産性に優れ、半導体部品を加工、搬送する際に半導体部品を減圧により保持する減圧固定用フィルムと、ウエハの研削加工時には粘着テープが不用で、減圧用ウエハ固定台に固定したウエハから剥離する際にウエハを破損することなく容易に剥離できるウエハ保護フィルムと、半導体ウエハの切断加工時に素子が飛散せず、さらに素子をピックアップにより分割するときに素子にダメージを与えないダイシングフィルムと、これらフィルムを使用した半導体装置の製造方法とを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のものに関する。
すなわち本発明は、(1)熱可塑性樹脂を主成分とし、複数の貫通孔が形成された網状フィルムであり、熱可塑性樹脂のビカット軟化温度が50〜150℃、通気度がガーレー値で0.001〜30秒/100ccであり、かつ室温での90度剥離力が5N/25mm以下である減圧固定用フィルムに関する。
【0010】
また、本発明は、(2) 前記貫通孔の平均孔径0.01〜20mm、平均線径0.03〜10mmである前記(1)記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(3) 少なくとも片面の平坦度が30%以下である前記(1)または(2)記載の減圧固定用フィルムに関する。
ただし、平坦度=フィルム凹部の深さ(Rz)÷フィルム全体の厚み×100(%)
【0011】
また、本発明は、(4) 熱可塑性樹脂の190℃、せん断速度250sec−1における溶融粘度が60〜600,000Poiseである前記(1)〜(3)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(5) 熱可塑性樹脂のメルトフローレートが0.001〜100g/10minである前記(1)〜(4)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
【0012】
また、本発明は、(6) 表面開孔率が1〜80%である前記(1)〜(5)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(7) 熱可塑性樹脂を主成分とする網状体の少なくとも片面が、加熱及び加圧の少なくとも一方により平坦化されてなる前記(1)〜(6)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
【0013】
また、本発明は、(8) 熱可塑性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体である前記(1)〜(7)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(9) 表面の摩擦係数が0.3以上である前記(1)〜(8)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
また、本発明は、(10) 両面または片面に剥離性フィルムを有する前記(1)〜(9)のいずれか記載の減圧固定用フィルムに関する。
【0014】
また、本発明は、(11) 室温での90度剥離力が0.001〜5N/25mmの前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムであることを特徴とするウエハ保護フィルムに関する。
【0015】
また、本発明は、(12) 平均孔径が0.03〜10mmで平均線径が0.05〜5mmであり、熱可塑性樹脂の融点以下でウエハ表面へ貼り付け、剥離したときの異物の残渣が10個/100cm2以下である前記(11)記載のウエハ保護フィルムに関する。
【0016】
また、本発明は、(13) 室温での90度剥離力が0.2N/25mm以下の前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムであることを特徴とするダイシングフィルムに関する。
【0017】
また、本発明は、(14) 平均孔径0.03〜10mm、平均線径0.05〜2mmである前記(13)記載のダイシングフィルムに関する。
また、本発明は、(15) 通気度がガーレー値で0.001〜25秒/100ccである前記(13)または(14)記載のダイシングフィルムに関する。
【0018】
また、本発明は、(16) 表面開孔率が1〜70%、少なくとも片面の平坦度が15%以下である前記(13)〜(15)のいずれか記載のダイシングフィルムに関する。
また、本発明は、(17) 熱可塑性樹脂の融点以上で貼り付けたときの室温での90度剥離力が0.3〜10N/25mmである前記(13)〜(16)のいずれか記載のダイシングフィルムに関する。
【0019】
また、本発明は、(18) 前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムまたは(11)または(12)記載のウエハ保護フィルムを半導体ウエハの回路加工面に貼り付ける工程、減圧固定下の該ウエハの裏面に研削加工を施す工程、研削加工終了後、常圧で前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面から剥離する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、(19) 前記(1)〜(10)のいずれか記載の減圧固定用フィルムまたは(13)〜(17)のいずれか記載のダイシングフィルムを半導体ウエハに貼り付ける工程、該半導体ウエハを減圧固定下で切断して半導体素子とする工程、半導体素子を常圧で前記フィルムからピックアップする工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法に関する。
【0021】
また、本発明は、(20) 前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムまたはダイシングフィルムとウエハ固定台との間に多孔質支持体を介して減圧固定する前記(18)または(19)記載の半導体装置の製造方法に関する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
本発明において減圧固定用フィルムとは、固定の対象である被着体に加工および搬送を行う際に、減圧により被着体を直接固定し、保持及び保護しておくためのフィルムである。
本発明の減圧固定用フィルムは、被着体として半導体ウエハ等の半導体部品の研削加工または切断加工、および搬送を行う際に、減圧により半導体部品を直接固定し、保持及び非加工面の保護のために用いることができる。具体的には、ウエハのバックグラインド工程、ダイシング工程に使用すること等が挙げられる。
【0023】
本発明の減圧固定用フィルムのうち、特に研削加工工程で使用するのに適した特性を有するものを、以下、ウエハ保護フィルムという。例えば、剥離試験において0〜150℃のいずれかの温度で貼り付けた時のウエハ保護フィルムの室温での90度剥離力が0.001〜5N/25mmという特性が挙げられる。この場合、被着体への貼り付け時の温度は室温〜150℃であることが好ましく、被着体として、SUS304−BA板を使用すると特性の比較が容易である。これは以下においても同様である。
また、本発明の減圧固定用フィルムのうち、特に切断(ダイシング)加工工程で使用するのに適した特性を有するものを、以下、ダイシングフィルムという。例えば、室温での90度剥離力が0.2N/25mm以下という特性が挙げられる。
【0024】
図1に、本発明の減圧固定用フィルムを使用したウエハ加工装置(一部)の一例の断面概略図を示す。図1において、半導体ウエハ1が、網状の減圧固定用フィルム2及び多孔質支持体3を介して減圧ステージ4の上に載置されている。減圧ステージ4は、パイプ等の減圧系介在部品5を介して真空ポンプ6に連結されている。なお、図1には、研削するための研削装置、ダイシングするためのカッター装置、半導体ウエハや半導体素子の搬送装置、減圧固定用フィルムの剥離装置および半導体素子のピックアップ装置は図示されていない。減圧は、水封ポンプやツールポンプあるいは油回転ホンプ等の各種真空ポンプを用いて行うことができる。
【0025】
以上のように、本発明の減圧固定用フィルム2は、図1に示されるような加工装置において、半導体ウエハのような半導体部品を加工時に減圧固定して保護することができる。本発明の減圧固定用フィルム2はフィルムの表裏を貫通する網状の複数の孔を備える網状フィルムであることを特徴としており、半導体部品を直接減圧で固定することができるため、減圧時には研削加工時または切断加工時に半導体部品にかかる応力に耐えられる十分な減圧固定力を有している。しかし、減圧を解除した後には減圧固定力がなくなるため、半導体部品にダメージを与えることなく剥離したり、突き上げピンを用いずに素子をピックアップしたりすることが容易である。
【0026】
本発明の減圧固定用フィルム2の形状には、樹脂を線状に細長く加工し、それを組み合わせて複数の貫通孔を備えるように網状に成形したもの、さらにその網を平坦化したもの等が挙げられる。その外観の例を図2、3に示す。図2は孔が正方形である場合の正面図であり、図3は孔が円形である場合の正面図である。また、図4は減圧固定用フィルムの線部である、図2または図3のA−A面に沿って切断した場合の断面図であり、図5は、減圧固定用フィルムの孔部である、図2または図3のB−B面に沿って切断した場合の断面図である。
【0027】
本発明において孔径とは減圧固定用フィルムの孔部12の径を示す。
孔の正面形状が楕円形または長方形である場合は、孔径として、縦方向の孔径縦13と横方向の孔径横15それぞれについて測定する。孔の形状が図2のように正方形である場合には孔の一辺の長さ(図2の孔径縦13または孔径横15)を、図3のように円形である場合にはその直径(図3の孔径縦13または孔径横15)を採用する。孔の断面形状が図5のように平行でない場合には断面のうちで最も狭い径を孔径32として採用する。
平均孔径とは一枚の減圧固定用フィルムについて無作為に3カ所以上選んで孔径を測定したその算術平均を指す。孔形状が楕円形または長方形である場合は縦方向と横方向それぞれについて各々平均孔径を算出する。
【0028】
また、線径とは減圧固定用フィルムの線部11の太さを示す。
孔の正面形状が図2のように正方形である場合には、線径として、線の太さ(図2の線径縦14または線径横16)を、図3のように円形である場合は線の最も細い部分(図3の線径縦14または線径横16)を採用する。方向により線径が異なる場合は縦方向と横方向それぞれについて線径33を測定する。孔の断面形状が図5のように平行でない場合には断面のうちで最も広い線部を線径33として採用する。
平均線径とは一枚の減圧固定用フィルムについて無作為に3カ所以上選んで線径を測定したその算術平均を指す。方向により線径が異なる場合は縦方向と横方向それぞれについて、各々平均孔径を算出する。
【0029】
本発明の減圧固定用フィルムは平均孔径0.01〜20mmで平均線径0.03〜10mmの網状のフィルムであることが好ましい。平均孔径が0.01mm未満ではフィルムの形態では孔径の制御が困難になる傾向があり、平均孔径が20mmを超えると孔からの空気漏れが大きくなり、ウエハを固定するのに十分な減圧固定力を得ることが困難になる傾向がある。また、平均線径が0.03mm未満になると減圧固定用フィルムの強度が落ち、ハンドリングに難が生じるおそれが生じる。これら孔径、線径により孔のピッチ、開孔率が決定される。また、平均孔径が0.03〜10mmで平均線径が0.05〜5mmのものが好ましく、平均孔径が0.05〜2mm、平均線径が0.1〜2mmのものがさらに好ましい。
【0030】
このような減圧固定用フィルムのうち、特にバックグラインド工程に適する、本発明のウエハ保護フィルムについても同様の平均孔径及び平均線径が好ましい。一方、特にダイシング工程に適する、本発明のダイシングフィルムにおいては、平均孔径0.03〜10mmで平均線径0.05〜2mmのものが好ましい。平均孔径が0.03mm未満では網状フィルムの形態では孔径の制御が困難になる傾向があり、平均孔径が10mmより大きくなると孔からの空気漏れが大きくなり、ウエハを固定するのに十分な減圧固定力を得ることが困難になる傾向がある。また、平均線径が0.05mm未満になると網状フィルムの強度が落ちてハンドリングに難が生じるおそれがある。フルダイシングでは基材の方まで切り込みが入るため、特にこの傾向が顕著になる。平均線径が2mmより大きくなると小サイズのチップへの対応が困難になる傾向がある。これら孔径、線径により孔のピッチ、開孔率が決定される。また、平均孔径が0.03〜2mmで平均線径が0.08〜1.5mmのものが好ましく、平均孔径が0.05〜1mm、平均線径が0.1〜1mmのものがさらに好ましい。
【0031】
本発明の減圧固定用フィルムは厚み方向に貫通孔を有するため、線径、孔径により通気度が決定される。減圧固定用フィルムは減圧でウエハを固定するため、通気性が減圧時の固定力を大きく左右する。そのために通気度はガーレー値で0.001〜30秒/100ccの必要がある。30秒/100ccを超えると通気性が小さいため減圧しても十分にウエハを固定できず、加工中にウエハの位置がずれたり、著しいときはウエハの破損が発生したりする傾向がある。また、0.001秒/100cc未満では減圧しても空気の漏れが大きく、固定が不十分である。上記通気度は0.01〜20秒/100ccであることがより好ましく、0.1〜10秒/100ccであることがさらに好ましい。
本発明のウエハ保護フィルム及びダイシングフィルムの通気度についても同様であるが、特に、本発明のダイシングフィルムにおいては、通気度はガーレー値で0.001〜25秒/100ccの範囲であるのが好ましい。
上記通気度はJIS P8117に従って測定する。市販のガーレー式測定機材として、東洋精機製作所株式会社製デンソメータ(商品名)を用いることができる。
【0032】
減圧固定用フィルムの表面の凹凸を表す尺度として、平坦度が挙げられる。平坦度は、図4に示される、減圧固定用フィルム全体の厚み21に対するフィルム凹部の深さ22の比によって定義される。フィルム凹部の深さ22は、表面粗さ計を用いて測定し、十点平均値Rzの値を用いる。従って、平坦度は次の式により算出される。
平坦度=フィルム凹部の深さ(Rz)÷フィルム全体の厚み×100(%)
【0033】
本発明の減圧固定用フィルムの少なくとも片面の平坦度は30%以下であるのが好ましい。平坦度が30%を超えると基材(減圧固定用フィルム)の柔軟性が基材の凹凸を吸収しきれず、減圧時の横方向からの空気漏れが大きくなるため、減圧に十分な固定力が得られなくなる傾向がある。それにより、加工中にウエハのずれが発生して加工精度に影響を与えるだけでなく、ウエハの破損の原因となる。また、平坦度は20%以下が好ましく、さらには5%以下であることが望ましい。
本発明のウエハ保護フィルムについても同様の平坦度が好ましい。一方、本発明のダイシングフィルムにおいては、平坦度は15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。平坦度が15%を超えた場合の傾向は減圧固定用フィルムと同様である。
上記平坦度算出に用いられる十点平均値Rzは、表面粗さ測定機、例えばミツトヨ精機社製品名サーフテストSV−400を用いて測定することができる。
【0034】
本発明の減圧固定用フィルムは熱可塑性樹脂を主成分とし、その種類、組成、構成、添加物等は特に限定されない。例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体(ポリ塩化ビニリデン等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリウレタン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリル酸共重合体およびそれらの誘導体、アイオノマー樹脂などを用いることができる。これらを単独で用いてもよく、また2種類以上を混合しても構わない。
この中でも、ビカット軟化温度が50〜150℃の範囲にあることが、加工成形性の観点から必要である。軟化温度が150℃を超えるとラミネータ等による平滑加工が困難になり、量産性に欠けるため、好ましくない。また、軟化温度が50℃未満であると減圧固定用フィルムへの加工時に樹脂の融解がおこり、網状の形状を維持するのが困難になるため、好ましくない。融点は特に制限されないが、通常、60℃〜160℃である。
上記範囲の温度特性を持つ熱可塑性樹脂には、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン等が挙げられ、ホットメルト接着剤にも用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体等が特に成形性がよく、粘着剤層を改めて形成しなくても粘着性があり、加工中の搬送工程においてテープの剥離がなくなるため、より好ましい。
【0035】
上記減圧固定用フィルムをエチレン−酢酸ビニル共重合体で作製する場合の酢酸ビニル含有量は1〜50重量%の範囲が好ましい。1重量%未満では減圧固定用フィルムに加工する際に加工が困難であり、また、加工後の減圧固定用フィルムには搬送時の剥離防止の粘着性がほとんどない。また、50重量%を超えると加工自体は容易であり、減圧固定用フィルムそれ自体粘着性を有しているが、ウエハ加工後の剥離が困難となる。酢酸ビニル含有量は5〜30重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の減圧固定用フィルムは、熱可塑性樹脂からなっても良く、また、樹脂成形体に通常用いられる添加剤を、減圧固定用フィルムの特性を損なわない範囲で適宜添加しても良い。
【0037】
本発明の減圧固定用フィルムは、該減圧固定用フィルムの主成分である熱可塑性樹脂の190℃、せん断速度250s−1における溶融粘度が60〜600,000Poiseの範囲であることが好ましい。減圧固定用フィルムは弾性を有しており減圧時に変形してフィルム自体の凹凸やウエハ表面のバンプ等による凹凸を吸収し密着することにより、減圧によるウエハの固定力を維持し、加工精度の向上を図ることができる。
上記条件における溶融粘度が60Poise未満では溶融粘度が小さすぎるため、減圧固定用フィルムに加工する際に樹脂が流動しやすく開孔率等を制御することが困難になる傾向があり、また、減圧固定用フィルムの元となる網状体への加工も困難になる傾向がある。また、600,000Poiseを超えると溶融粘度が高すぎるため、減圧時に変形して凹凸を吸収する効果も期待できず、また樹脂が流動しないために減圧固定用フィルムに加工することが困難になる傾向がある。また、この溶融粘度は、600〜60,000Poiseであることがより好ましく、さらには1,000〜50,000Poiseであることがより好ましい。溶融粘度はJIS K−7117に従って測定することができる。
【0038】
本発明において表面開孔率とは減圧固定用フィルムの表面の開孔率、すなわち該減圧固定用フィルムに被着体を接触させたときの孔部、凹部を含めた非接触部分面積の、全面積(被着体が、本発明の減圧固定用フィルムと同サイズの平坦なフィルムに接触する面積)に対する割合として定義される。該減圧固定用フィルムの断面は線上で切ると図4、穴上で切ると図5のような構造になっているため、フィルム表面のうち、図4では表面の接触部分23以外の部分が非接触部分となり、図5では表面の接触部分31以外の部分が非接触部分となる。表面開孔率は、表面の接触部分の面積(表面接触面積)を測定し、次の式から算出できる。
表面開孔率=(1−表面接触面積÷全面積)×100(%)
【0039】
上記表面接触面積は、例えば、次のようにして測定し算出することができる。すなわち、光学顕微鏡を用いてシートの表面を写真撮影し、この写真をスキャナーで読み込み、接触部と非接触部を二値化し、画像解析ソフトを用いて算出することができる。
本発明の減圧固定用フィルムは、表面開孔率が1〜80%のものを用いるのが好ましい。表面開孔率が80%を超えると、ウエハと該減圧固定用フィルムの密着性が下がるため、減圧による固定力が小さくなり有効にウエハを固定しておくことができなくなることがある。表面開孔率が1%未満になると通気性が小さくなりウエハを固定できなかったり、固定できる減圧度まで下がるのに時間がかかったりする。表面開孔率は3〜75%がより好ましく、5〜70%がさらに好ましい。
本発明のウエハ保護フィルムの表面開孔率についても同様であるが、ダイシングフィルムにおいては、表面開孔率が1〜70%のものが好ましく、3〜60%がより好ましく、5〜50%がさらに好ましい。
【0040】
本発明に使用される減圧固定用フィルムは、熱可塑性樹脂を主成分とする網状体を加熱または加圧により厚み方向に圧縮加工することにより作製できる。加工前の網状体は、例えば、樹脂を線状に細長く加工し、それを交差するように組み合わせて複数の貫通孔を備えるように網状に成形したものが挙げられ、防護ネットやフィルターとして市販されており、これを利用することができる。網状体の貫通孔の形状は、例えば角目状や菱目状のものが使用できる。図では角目状のものを用いて説明しているが、これは、加工後のものであり、特にこの形状を限定するものではない。また加工前の網状体の製造法は、例えば縦糸と横糸を溶融着して製造したもの、糸状プラスチックを編んだものなどが使用できるが、特に製造方法を制限するものではない。
該減圧固定用フィルムは、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とした網状体を熱ロールなどで連続的に加熱・加圧して作製する方法、また、プレスを用いて枚葉で加熱・加圧する方法等で作製することができる。加熱または加圧処理を施していればその製造方法は特に限定するものではない。加熱のみ、加圧のみ、あるいは両方の手段を用いても構わない。加熱又は加圧処理を施す際に樹脂が熱ロールやプレスに転写、融着しないように保護フィルム(例えば、後述するラミネート用フィルム等)で網状体を挟んでフィルム成型することが望ましい。また、線径、孔径を調節するために網状体の圧延などの方法を用いることもできるが必ずしも圧延する必要はなく、逆に樹脂の溶融時の収縮により元の網状体より網目のピッチが狭くなっても構わない。
【0041】
本発明の減圧固定用フィルムを構成する主成分である熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.001〜100g/10minの範囲が好ましい。減圧固定用フィルムは加工前の網状体を加熱または加圧、特に加熱を行うことにより樹脂は溶融し、表面がロール、プレスまたは保護フィルムの形状を転写して平滑に変形するが、このときの成形性は主成分である樹脂のメルトフローレートに依存する。メルトフローレートが0.001g/10min未満であると樹脂は流れにくく、加工する際に、より高温、より長時間を必要とする傾向がある。また、メルトフローレートが100g/10minを超えると流動性が高すぎて減圧固定用フィルムに加工する際に開孔率等を制御するのが困難になる傾向があり、また加工前の網状体の作製も容易ではなくなる。加工時の成形性の観点から該減圧固定用フィルムの主成分である熱可塑性樹脂のメルトフローレートが0.01〜20g/10minであることが好ましく、さらには0.1〜15g/minであることがより好ましい。
【0042】
本発明の減圧固定用フィルムはフルオートグラインダーなどで搬送中に剥がれ落ちないために、剥離試験において室温での90度剥離力が5N/25mm以下の範囲のものである。5N/25mmを超えると粘着力が大きいため加工後の剥離が困難になり、最悪の場合ウエハにひびが入ることもある。ただし、剥離力が0N/25mmでは粘着力がないために搬送中に剥離が起こるおそれがある。この特性を両立させるために、上記剥離試験において剥離力が0.001〜5N/25mmの微粘着性を有することが好ましく、0.01〜3N/25mmがより好ましく、0.01〜1N/25mmであることがさらに好ましい。剥離試験において減圧固定用フィルムを貼り付ける温度は、その材質により0℃〜150℃の間で任意に定めることができる。好ましくは室温〜150℃であるが、材質や表面開孔率によりその最適温度は異なるため、上記の剥離力の範囲に入るように任意に選択して構わない。
本発明において、室温での90度剥離力の測定は、被着体に貼付した試料の一端を挟持し、剥離角度90度、剥離速度200mm/minで剥離する際の応力を測定する。上記条件以外はJIS K6854−1に準拠する。被着体としては、5×10cmのSUS304−BA板を用い、これを予め所定温度に予熱しておき、25mm幅のフィルム試料を線圧0.1kgf/cm、10m/minの速度で貼付し、1時間放置した後、室温で剥離角度90度、剥離速度200mm/minで試料を剥離したときの平均値を剥離力として採用する。
減圧固定用フィルムを半導体部品等に貼り付ける温度も、その材質により0℃〜150℃の間で任意に定めることができる。例えば、室温で貼り付けても良いし、主成分となる熱可塑性樹脂の特性によっては軟化点あるいは融点以上に加温して融着させても良い。一般に室温〜150℃の間が好ましいが、材質や表面開孔率によりその最適温度は異なるため、任意に選択して構わない。軟化点あるいは融点まで加温しなくても貼り付けることはできる。上記剥離試験の90度剥離力を発現する温度で半導体部品にも貼り付けることが好ましい。
【0043】
また、微粘着性は摩擦係数で定義することもできる。本発明では表面の摩擦係数が0.3以上の減圧固定用フィルムが好ましく使用できる。摩擦係数が0.3未満であると搬送中に剥離してしまったり、加工中にウエハとフィルムのずれが生じたり、チップが飛散したりする可能性があり、それが原因でウエハにダメージを与えたり、加工精度に悪影響を及ぼすからである。摩擦係数は3以上であることがより好ましく、30以上であることがさらに好ましい。
【0044】
本発明の減圧固定用フィルムの片面または両面を、使用時まで被覆して保護することができる。該減圧固定用フィルムは、特に微粘着性を有していると使用前に大気中の塵や埃などが付着することにより接着力の低下を招くおそれがある。そこで、減圧固定用フィルムの表面を大気中の塵などから保護するためにフィルムでラミネートを施した状態で保管または搬送するのが好ましい。これに用いるラミネート用フィルムの種類は特に限定しない。例えば、PET、紙、ポリプロピレン、セロファン、ポリスチレン等の、可撓性フィルムが挙げられる。このような材料から、容易に剥離できること、ラミネート用フィルムの成分が減圧固定用フィルムに転着しないこと、等の特性を満足するフィルムを選定して使用すれば良い。場合により、フィルムに粘着剤を塗布しても良い。
減圧固定用フィルムを実際に使用する際にラミネート用フィルムから剥離することを考えると、易接着処理を施したラミネート用フィルムよりは該処理を施していないラミネート用フィルムが好ましく、離型処理を施したものやフッ素樹脂加工等の剥離が容易である剥離性ラミネート用フィルムがさらに好ましい。
【0045】
次に、本発明のウエハ保護フィルムについて説明する。ウエハ保護フィルムは本発明の減圧固定用フィルムのうち、被着体の研削加工に好適に用いられる特性を有したものである。例えば、半導体ウエハの裏面研削加工に適用する一例を挙げると、まず上記ウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面に貼り付ける。次いでウエハの裏面(回路加工面の反対面)に減圧固定下でグラインダー等で研削加工を施した後、ウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面から表面保護テープ剥がし機等で剥離する。ウエハ保護フィルムに予めラミネート用フィルムを積層してある場合は、ラミネート用フィルムを剥離してからウエハの回路加工面に貼り付ける。
【0046】
すなわち、本発明の第一の半導体装置の製造方法は、本発明の減圧固定用フィルムまたは本発明のウエハ保護フィルムを半導体ウエハの回路加工面に貼り付ける工程、減圧固定下の該ウエハの裏面に研削加工を施す工程、研削加工終了後、常圧で前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面から剥離する工程を含むことを特徴とする。
【0047】
本発明のウエハ保護フィルムは、本発明の減圧固定用フィルムのうち、剥離試験において、室温での90度剥離力が0.001〜5N/25mmの範囲で表面に微粘着性を有する。剥離力が0.001N/25mm未満では粘着力が小さいために搬送中に剥離が起こってしまい、好ましくない。逆に5N/25mmを超えると粘着力が大きいため加工後の剥離が困難になり、最悪の場合ウエハにひびが入ることもある。この特性を両立させるために、剥離試験において剥離力が0.01〜3N/25mmであることが好ましく、0.01〜1N/25mmであることがさらに好ましい。
【0048】
ここで、回路加工面に異物が付着すると半導体の特性に悪影響を及ぼすため歩留まりの低下を招く。そのためにはウエハ保護フィルムはウエハに貼り付け、剥離した後に、ウエハ側へ付着している残渣が少ないことが好ましい。すなわち主成分の樹脂の融点以下でウエハ表面へ貼り付け、剥離したときのウエハ表面のウエハ保護フィルムの残渣が10個/100cm2以下の範囲であるのが好ましい。また、上記残渣は7個/100cm2以下がより好ましく、5個/100cm2以下であることがさらに望ましい
主成分である樹脂の融点以上で貼り付けると樹脂が融着してしまい、ウエハ側への残渣付着が増えてしまうため、樹脂の融点以下で貼り付けることが望ましい。
【0049】
ウエハの裏面研削のために、ウエハ保護フィルムまたは減圧固定用フィルムをウエハに貼り付ける温度は、減圧固定用フィルムを半導体部品に貼り付ける温度条件と同様に選択でき、上記剥離試験の90度剥離力で規定される微粘着力を発現する温度でウエハにも貼り付けることが好ましい。
【0050】
次に、本発明のダイシングフィルムについて説明する。ダイシングフィルムは、本発明の減圧固定用フィルムのうち、被着体の切断加工に好適に用いられる特性を有したものである。半導体ウエハのダイシング加工に適用する一例を挙げると、例えば、まず半導体ウエハの研削加工を施した面すなわち裏面に貼り付け、ウエハを減圧固定下でダイシングソウ等で切断した後、切断片をピックアップする。フィルムにラミネート用フィルムを予め積層してある場合は、ラミネート用フィルムを剥離してからウエハに貼り付ける。
【0051】
すなわち、本発明の第二の半導体装置の製造方法は、本発明の減圧固定用フィルムまたは本発明のダイシングフィルムを半導体ウエハに貼り付ける工程、該半導体ウエハを減圧固定下で切断して半導体素子とする工程、半導体素子を常圧で前記減圧固定用フィルムまたはダイシングフィルムからピックアップする工程を含むことを特徴とする。
【0052】
半導体ウエハは、ダイシング時だけでなく、ダイシング装置への搬送時にも固定しておく必要がある。ダイシングにより生成される半導体素子(チップ)は、ダイシング時だけでなく、ダイシング後の次工程への搬送時にも、固定しておく必要がある。しかし、搬送工程では減圧あるいは吸引状態を維持することがコスト及びスペース等の制約から難しい。そこで、ダイシングフィルムまたは減圧固定フィルムに搭載されている半導体ウエハやチップを、搬送時に常圧にしてもチップが飛散せず、また、チップのピックアップに支障のないようにするために、半導体ウエハやチップの搭載面が弱粘着性を有することが望ましい。しかし、粘着力が大きすぎるとダイシング加工後のピックアップが困難になる。
これらの特性を満足させるために、本発明のダイシングフィルムは、剥離試験において室温での90度剥離力が0.2N/25mm以下のものである。剥離力が0.2N/25mmより大きいと減圧解除後の粘着力が大きいため突き上げピンを用いないピックアップが困難になり、最悪の場合チップが割れたり、ひびが入ったりすることもある。さらには剥離試験において90度剥離力が0.1N/25mm以下であることが好ましく0.05N/25mm以下であることがさらに好ましい。一方、搬送中に飛散しないために、剥離力が0.001N/25mm以上であるのが好ましい。
【0053】
本発明のダイシングフィルムまたは減圧固定用フィルムをウエハに貼り付ける温度は、減圧固定用フィルムを半導体部品に貼り付ける温度条件と同様に選択することができる。
【0054】
ダイシング装置への搬送、またダイシング加工後の次工程への搬送は、一般にリングと呼ばれるウエハよりも一回り大きいステンレス製の治具が支持体として用いられる。ダイシングフィルムまたは減圧固定用フィルムはウエハやチップのみならずこの支持体へ貼り付けることも考慮するのが好ましい。従って、ウエハへの貼付には低接着力であることが要求されるが、リングへの貼付は高接着力であることが要求される。そこで、ダイシングフィルムを主成分である熱可塑性樹脂の融点以上で貼り付けてリングへ樹脂を融着させ、支持体となるリングへの貼付を行うことにより上記低接着力との両立が可能となる。
【0055】
そのためには主成分である熱可塑性樹脂の融点以上でダイシングフィルムを貼り付けたときの室温での90度剥離力が0.3〜10N/25mmの範囲のものが好ましい。0.3N/25mm未満では接着力が半導体ウエハ及び半導体素子を支えきれず、ダイシングフィルムがリングから剥離してしまう。10N/25mmより大きいと搬送物の支持には十分耐えきれるが、使用後のダイシングフィルムをリングから剥離することが困難になり、無理矢理剥離すると樹脂がリング側に残ったり、リングが変形したりしてしまうことがある。リングは繰り返し利用するものであるから、接着力が大きすぎることは望ましくない。上記特性を満足させるための接着力は、90度剥離力で0.8〜8N/25mmであることがより好ましく、1.0〜5N/25mmであることがさらに好ましい。
ここで、剥離力の測定は、熱可塑性樹脂の融点以上で貼り付ける点以外は上記剥離試験の90度剥離力と同様の方法で測定される。
【0056】
本発明の半導体装置の製造方法において、減圧固定用フィルム付き半導体ウエハは、該半導体ウエハを設置するウエハ固定台に減圧あるいは吸引により固定されるが、このとき、減圧固定用フィルムとウエハ固定台との間に多孔質支持体を介して減圧固定すると設置面が均一に減圧あるいは吸引されるため、半導体ウエハや素子の破断や飛び等を防ぐことができるので好ましい。例えば、図1のように真空ラインに繋がる減圧ステージ4と減圧固定用フィルム2との間に多孔質支持体3を介在させる方法が挙げられる。
【0057】
本発明によれば、ウエハや素子等の半導体部品に対して研削または切断の加工のためグラインダーやダイシングソウによる応力がかかっているときは、半導体部品を固定する台や治具を減圧あるいは吸引し、大気圧により台や治具と密着させウエハのずれや破損・飛散防止をはかる。
そして、研削加工後にフィルムを剥離する際には、常圧(大気圧)に戻すことで固定する力は適当な範囲に小さくなっているので、剥離時の半導体部品へのダメージがない。切断・分割後の素子をピックアップする際は、搬送時の飛散等がなく、突上げピンを使用しなくても素子をハンドリングすることができ、素子にダメージを与える心配がない。また、多孔質材の介在により、半導体部品の設置面が均一に減圧あるいは吸引されるため、それらの破断や飛びといった現象を防ぐことができる。
【0058】
本発明で加工された半導体ウエハや半導体素子等の半導体部品からは、従来公知の方法により、素子を支持部材に搭載し、必要な部分を封止材で封止して半導体装置が製造される。たとえば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディングやバンプで接続した後、封止用樹脂成形材料を用いてトランスファ成形等により封止して一般的な樹脂封止型半導体装置が製造できる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例を用いて発明をさらに詳細に説明するが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
主成分がエチレン−酢酸ビニル共重合体である熱可塑性樹脂(東ソー株式会社製品名ウルトラセン631、酢酸ビニル20重量%)を用いて、平均孔径1.0mm×1.0mm、平均線径0.5mm×0.5mmの網状体に加工した。この作製した網状体を、厚み100μmのPETフィルム2枚の間に挟み、ラミネータを用いて温度130℃、圧力0.5MPa、速度0.5m/分で圧縮して、両面が平坦な網状フィルムである減圧固定用フィルムを作製した。
【0060】
(研削加工):次に、厚さ525μmの半導体ウエハに上記減圧固定用フィルムを20℃で貼付した。真空装置を具備するディスコ社製裏面研削装置(型番DFG840)の減圧・吸引ステージ上に、上記減圧固定用フィルム付き半導体ウエハを、減圧固定用フィルムがステージに密着するように載置した。
ついで、真空装置を作動させ、減圧度が−40kPaになるまで減圧あるいは吸引し、半導体ウエハを裏面研削装置に固定した。半導体ウエハを100μmの厚みまで裏面研削した。ついで、該減圧固定用フィルムを表面保護テープ剥がし機(タカトリ株式会社製、MODEL:ATRM−2000B;使用剥がしテープ:ハイランド印フィラメントテープNo.897(住友スリーエム株式会社製))でウエハから剥離した。
【0061】
(切断加工):図1に示すように真空装置を具備する改良を施したディスコ社製ダイシング装置(DAD341)を用意し、厚さ50μmの半導体ウエハに上記減圧固定用フィルムを20℃で貼付し、ダイシング装置の減圧あるいは吸引ステージ上に多孔質支持体として目開きが約350μmのSUS製フィルタを、さらにその上に上記減圧固定用フィルム付き半導体ウエハを、減圧固定用フィルムがステージに密着するように載置した。
ついで、真空装置を作動させ、減圧度が−70kPaになるまで減圧あるいは吸引し、半導体ウエハをダイシング装置上に固定した。半導体ウエハをダイシングし、10mm角の半導体素子(チップ)に切断した。ついで、減圧固定用フィルム上のチップを東京エレクトロン株式会社製ピックアップ装置(突き上げピン無し)でピックアップした。
【0062】
(実施例2)
主成分が高密度ポリエチレンである熱可塑性樹脂(東ソー株式会社製品名ニポロン6300A)を用い、かつ網状体の圧縮温度を180℃とした以外は実施例1と同条件で加工して表面が平坦な減圧固定用フィルムを作製し、上記減圧固定用フィルムを160℃で貼り付けた以外は実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0063】
(実施例3)
圧縮する前の網状体を平均孔径11.2mm×11.2mm、平均線径6.7mm×6.7mmとし、かつ圧縮加工温度を140℃とした以外は、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0064】
(実施例4)
圧縮加工温度を80℃、圧縮加工速度を0.8m/分とし、貼付温度を130℃とした以外は実施例1と同様の方法で減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0065】
(実施例5)
溶融粘度が50Poiseである熱可塑性樹脂(東ソー株式会社製品名ウルトラセン)を用い、圧縮加工を温度100℃、圧力0.2MPaとした以外は、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0066】
(実施例6)
メルトフローレートが120g/10minであるエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製品名エバフレックスEV450)を用い、圧縮加工を温度100℃、圧力0.2MPaとした以外は、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工および切断加工を行った。
【0067】
(実施例7)
圧縮加工を温度95℃、圧力0.4MPaとし、貼付温度を130℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断を行った。
【0068】
(実施例8)
酢酸ビニル含有量が35重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井・デュポンポリケミカル株式会社製品名エバフレックス)を用い、圧縮加工温度160℃、貼付温度を10℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で切断および切断加工を行った。
【0069】
(実施例9)
圧縮加工温度を150℃、圧縮加工速度を0.3m/分、貼付温度を10℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断加工を行った。
【0070】
(比較例1)
融点が220℃である熱可塑性樹脂(ナイロン樹脂、東レ株式会社製品名アミランCM1007)を用い、圧縮温度を200℃とし、貼付温度を150℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断を行った。
【0071】
(比較例2)
圧縮加工温度180℃、圧縮加工速度0.1m/分、貼付温度を10℃としたほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削および切断を行った。
【0072】
(比較例3:研削)
低密度ポリエチレン樹脂(東ソー株式会社製品名ペトロセン170)を用い、圧縮加工温度150℃であるほかは、実施例1と同様に減圧固定用フィルムを作製し、実施例1と同条件で研削加工を行った。
【0073】
(比較例4:研削)
減圧固定用フィルムの代わりに感圧型バックグラインドテープ(三井化学株式会社製品名イクロステープ)を使用して実施例1と同条件で研削加工を行った。
【0074】
(比較例5:切断)
減圧固定用フィルムの代わりに感圧型ダイシングテープ(日立化成工業株式会社製品名HAE)を使用して実施例1と同条件で切断加工を行った。
【0075】
各実施例及び比較例について、表1、表2に示す項目を評価した。各項目のうち、平均孔径・平均線径、平坦度、表面開孔率、通気度の評価方法は上述の通りである。また、溶融粘度、メルトフロー、融点、軟化温度はカタログ値を採用した。
減圧固定用フィルムへの加工性(比較例4、5を除く):良好>不均一(外観の肉眼による評価)、圧縮困難(圧縮率5%以下、加工性に問題が生じる。)
研削加工時のウエハ割れ(比較例5を除く): 無し>ヒビ入り(肉眼観察)>有り(完全に割れた)
剥離時のウエハ割れ(比較例5を除く):無し>ヒビ入り(肉眼観察)>有り(完全に割れた)
ダイシング時のチップ飛び(比較例3、4を除く):なし>端部少量>端部のみ>少量
ピンレスピックアップ(比較例3、4を除く):良好>可>困難>不可
90度剥離力:表1、表2に示す各所定の貼付温度に予熱した5×10cmのSUS304−BA板の表面に減圧固定用フィルムを線圧0.1kgf/cm、10m/minの速度で貼付し、1時間放置した後、フィルムの一端を挟持し、剥離角度90度、剥離速度200mm/minで剥離する際の応力を測定した。上記条件以外はJIS K6854−1に準拠した。
実施例及び比較例の結果に対する評価結果を表1、表2に併記する。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
実施例1、2はともに、減圧固定用フィルムへの加工、研削、剥離、ダイシング、ピックアップのいずれも問題なく実施できた。
研削加工では、比較例1ではウエハの固定が不充分で、研削加工時にウエハにヒビが発生した。比較例2、3ではウエハは加工できたが、テープを剥離する際にウエハにヒビが発生した。比較例4ではテープを剥離する際にウエハが割れて破損した。
【0079】
切断加工では、実施例3では減圧固定用フィルムのピッチがダイシングするチップよりも大きく、また、実施例4では減圧固定用フィルムの平坦度が大きく、空気の漏れが大きいため十分に減圧できず、ダイシング時に端部のチップが少量飛散した。また、実施例7は表面開孔率が大きいため空気漏れが大きくて十分に減圧できず、ダイシング時に端部のチップが飛散した。実施例8は室温での90度剥離力が高くピンレスピックアップが困難であったが、ダイシング加工時にはチップの飛散がなかった。しかし、これら実施例はいずれも充分に実用可能な範囲内であった。
比較例1は樹脂の融点が高く、平坦度と開孔率が良好なフィルムが作製できなかった。これを用いてダイシング加工を行ったが、減圧不十分で加工時にチップが飛散した。比較例2は通気度が大きく通気性が小さいためダイシング加工中に十分にウエハ及びチップを固定できず、チップが飛散し、また突き上げピンレスでのピックアップ成功率が95%であった。比較例5は、ダイシング中にチップが飛散し、また突き上げピンレスでのピックアップは不可能であった。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体ウエハや素子(チップ)等の半導体部品のずれ、破損、飛散がなく、効率的にかつ安全に半導体部品の研削加工やダイシング加工、搬送を行うことができる。さらに研削後にはウエハを破損することなく容易に剥離できる。これらにより、ウエハやチップ破損による歩留まりの低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の減圧固定用フィルムを使用したウエハ加工装置(一部)の一例の断面概略図である。
【図2】本発明の減圧固定用フィルムにおいて孔が正方形である例の正面図の一部である。
【図3】本発明の減圧固定用フィルムにおいて孔が円形である例の正面図の一部である。
【図4】図2または3の線部A−A面で切断した断面図の一例である。
【図5】図2または3の孔部B−B面で切断した断面図の一例である。
【符号の説明】
1 半導体ウエハ 2 減圧固定用フィルム
3 多孔質支持体 4 減圧ステージ
5 減圧介在部品 6 真空ポンプ
11 線部 12 孔部
13 孔径縦 14 線径縦
15 孔径横 16 線径横
21 フィルム全体の厚み 22 フィルム凹部の深さ
23 表面の接触部分 31 表面の接触部分
32 孔径 33 線径
Claims (20)
- 熱可塑性樹脂を主成分とし、複数の貫通孔が形成された網状フィルムであり、熱可塑性樹脂のビカット軟化温度が50〜150℃、通気度がガーレー値で0.001〜30秒/100ccであり、かつ室温での90度剥離力が5N/25mm以下である減圧固定用フィルム。
- 前記貫通孔の平均孔径0.01〜20mm、平均線径0.03〜10mmである請求項1記載の減圧固定用フィルム。
- 少なくとも片面の平坦度が30%以下である請求項1または2記載の減圧固定用フィルム。
ただし、平坦度=フィルム凹部の深さ(Rz)÷フィルム全体の厚み×100(%) - 熱可塑性樹脂の190℃、せん断速度250sec−1における溶融粘度が60〜600,000Poiseである請求項1〜3のいずれか記載の減圧固定用フィルム。
- 熱可塑性樹脂のメルトフローレートが0.001〜100g/10minである請求項1〜4のいずれか記載の減圧固定用フィルム。
- 表面開孔率が1〜80%である請求項1〜5のいずれか記載の減圧固定用フィルム。
- 熱可塑性樹脂を主成分とする網状体の少なくとも片面が、加熱及び加圧の少なくとも一方により平坦化されてなる請求項1〜6のいずれか記載の減圧固定用フィルム。
- 熱可塑性樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項1〜7のいずれか記載の減圧固定用フィルム。
- 表面の摩擦係数が0.3以上である請求項1〜8のいずれか記載の減圧固定用フィルム。
- 両面または片面に剥離性フィルムを有する請求項1〜9のいずれか記載の減圧固定用フィルム。
- 室温での90度剥離力が0.001〜5N/25mmの請求項1〜10のいずれか記載の減圧固定用フィルムであることを特徴とするウエハ保護フィルム。
- 平均孔径が0.03〜10mmで平均線径が0.05〜5mmであり、熱可塑性樹脂の融点以下でウエハ表面へ貼り付け、剥離したときの異物の残渣が10個/100cm2以下である請求項11記載のウエハ保護フィルム。
- 室温での90度剥離力が0.2N/25mm以下の請求項1〜10のいずれか記載の減圧固定用フィルムであることを特徴とするダイシングフィルム。
- 平均孔径0.03〜10mm、平均線径0.05〜2mmである請求項13記載のダイシングフィルム。
- 通気度がガーレー値で0.001〜25秒/100ccである請求項13または14記載のダイシングフィルム。
- 表面開孔率が1〜70%、少なくとも片面の平坦度が15%以下である請求項13〜15のいずれか記載のダイシングフィルム。
- 熱可塑性樹脂の融点以上で貼り付けたときの接着力が、室温での90度剥離力で0.3〜10N/25mmである請求項13〜16のいずれか記載のダイシングフィルム。
- 請求項1〜10のいずれか記載の減圧固定用フィルムまたは請求項11または12記載のウエハ保護フィルムを半導体ウエハの回路加工面に貼り付ける工程、減圧固定下の該ウエハの裏面に研削加工を施す工程、研削加工終了後、常圧で前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムをウエハの回路加工面から剥離する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか記載の減圧固定用フィルムまたは請求項13〜17のいずれか記載のダイシングフィルムを半導体ウエハに貼り付ける工程、該半導体ウエハを減圧固定下で切断して半導体素子とする工程、半導体素子を常圧で前記フィルムからピックアップする工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 前記減圧固定用フィルムまたはウエハ保護フィルムまたはダイシングフィルムとウエハ固定台との間に多孔質支持体を介して減圧固定する請求項18または19記載の半導体装置の製造方法。
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