JP2004123630A - 抗う蝕、抗歯周病性組成物 - Google Patents
抗う蝕、抗歯周病性組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】(A)ε−ポリリジン及び/またはその塩と、(B)リゾチーム、キトサン、エゴノキ抽出物、ヒバ油、ヒノキチオール、ペクチン分解物、レンギョウ抽出物、カワラヨモギ抽出物、シソの葉エキス、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、孟宗竹抽出物、トウガラシ抽出物、タデ抽出物、ウド抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、イチジク抽出物、クワ抽出物、ブドウ種子抽出物、ペパー抽出物、マダケ抽出物、オレガノ抽出物、モミガラ抽出物、グローブ抽出物、ショウガ抽出物、セージ抽出物、ハチク抽出物、ブドウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、ユッカフォーム抽出物、及びローズマリー抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の天然物由来抗菌成分とを含む抗う蝕、抗歯周病性組成物及びこれを用いた食品、口腔用組成物。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抗う蝕、抗歯周病性組成物及び、これを用いた食品、口腔用組成物に関する。詳しくは、長期使用可能な安全性の高い、抗う蝕、抗歯周病性組成物及びこれを用いた食品、口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯周炎や歯槽膿漏等の歯周疾患やう蝕は、多くの人が罹患しており、特に成人における罹患率は上昇の一途をたどっている。う蝕の原因は、主としてストレプトコッカス・ミュタンス(Streptococcus mutans)の増殖が、また歯周病の原因は、主としてバクテロイデス・ジンジバリス(Bacteroides gingivalis)やアクチノバシラス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、アクチノマイセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)等の増殖によるものと考えられている。これらの疾患の予防及び治療には、原因となる病原菌の増殖を抑制することが最も有効な手段であると考えられる。従来、この目的として主に抗生物質あるいは、合成殺菌剤が用いられてきたが、これらはいずれも口腔内のみならず消化管内の微生物の生態を攪乱するため長期にわたっての使用は困難でまた副作用が懸念されたため広く使用されるには至っていない。同様の治療効果を目的とした受動免疫療法も提案されているが長期間の反復投与が必要とされていてまだ実用には至っていない。
【0003】
また日本薬局法収載のいわゆる漢方薬として知られる厚朴、黄連等と、これらに含まれる有効成分からなる医療分野のう蝕予防剤の提案があるが、これらは薬事法の適用範囲にある特定の植物部位の成分に関するものであって汎用性に欠けるきらいがあり、特に食品用素材としては実際的でない。
更に、う蝕及び歯周病の予防及び治療に有効である天然物由来のε−ポリリジンの効果を高めるため、他の天然物由来の成分との併用も提案されている(例えば、特許文献1〜3)が、やはり汎用性に欠けるきらいがある。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−298048
【特許文献2】
特開2001−321123
【特許文献】
特開2002−12536
【0005】
別のアプローチとして、ストレプトコッカス・ミュタンス菌による砂糖、ブドウ糖等の糖類からのグルカン生成を基本的に除くために食物成分からこれらの甘味剤としての糖類を除く方法がある。すなわち、キシリトール等の還元糖をもって甘味剤とする方法である、これらは菌叢を与えない点での貢献はあるが、積極的な除菌作用を持つものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、う蝕または歯周病の病原菌に対し抗菌作用を持ち、かつ、う蝕または歯周病の予防を目的として日常の食生活、食習慣を通じて長期使用可能な安全性の高い、抗う蝕、抗歯周病性組成物及びこれを用いた食品、口腔用組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、(A)ε−ポリリジン及び/またはその塩と、(B)リゾチーム、キトサン、エゴノキ抽出物、ヒバ油、ヒノキチオール、ペクチン分解物、レンギョウ抽出物、カワラヨモギ抽出物、シソの葉エキス、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、孟宗竹抽出物、トウガラシ抽出物、タデ抽出物、ウド抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、イチジク抽出物、クワ抽出物、ブドウ種子抽出物、ペパー抽出物、マダケ抽出物、オレガノ抽出物、モミガラ抽出物、グローブ抽出物、ショウガ抽出物、セージ抽出物、ハチク抽出物、ブドウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、ユッカフォーム抽出物、及びローズマリー抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種の天然物由来抗菌成分とを含む抗う蝕、抗歯周病性組成物及びこれを用いた食品、口腔用組成物によって課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
本発明は、以下によって構成される。
(1)(A)ε−ポリリジン及び/またはその塩と、(B)天然物由来抗菌成分を含む組成物であって、(B)天然物由来抗菌成分が、下記群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする抗う蝕、抗歯周病性組成物。
(B)天然物由来抗菌成分;リゾチーム、キトサン、エゴノキ抽出物、ヒバ油、ヒノキチオール、ペクチン分解物、レンギョウ抽出物、カワラヨモギ抽出物、シソの葉エキス、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、孟宗竹抽出物、トウガラシ抽出物、タデ抽出物、ウド抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、イチジク抽出物、クワ抽出物、ブドウ種子抽出物、ペパー抽出物、マダケ抽出物、オレガノ抽出物、モミガラ抽出物、グローブ抽出物、ショウガ抽出物、セージ抽出物、ハチク抽出物、ブドウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、ユッカフォーム抽出物、及びローズマリー抽出物。
【0009】
(2)前記(1)項記載の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む食品。
【0010】
(3)前記(1)項記載の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む口腔用組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる(A)ε−ポリリジン及びその塩(以下、(A)成分という)は、う蝕及び歯周病病原菌の増殖を抑制する効果があり、う蝕及び歯周病の予防及び治療に有効であることが知られている(特開平5−310544号公報)が、更に特定の天然物由来抗菌成分と併用されると、う蝕及び歯周病病原菌の増殖抑制において顕著な相乗効果を示す。また、該抗う蝕及び抗歯周病性組成物を含む食品、及び口腔用組成物は、う蝕または歯周病の予防を目的として日常の食生活、食習慣を通じて長期使用可能で安全性が高い。
【0012】
本発明において、(A)成分として使用されるε−ポリリジンは、何れの方法によって得られたものであってもよく、具体的には、特許第1245361号に記載のストレプトマイセス・アルブラス・サブスピーシーズ・リジノポリメラスを、グルコース5重量%、酵母エキス0.5重量%、硫酸アンモニウム1重量%、リン酸水素二カリウム0.08重量%、リン酸二水素カリウム0.136重量%、硫酸マグネシウム・7水和物0.05重量%、硫酸亜鉛・7水和物0.004重量%、硫酸鉄・7水和物0.03重量%、pH6.8に調整した培地にて培養し、得られた培養物からε−ポリリジンを分離・採取することによって得られるε−ポリリジンを挙げることができる。
【0013】
本発明においては、(A)成分として遊離のε−ポリリジンを用いてもよく、塩酸、硫酸、またはリン酸等の無機酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの無機酸塩、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、マレイン酸、アジピン酸、グルコン酸、または乳酸等の有機酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの有機酸塩、カプロン酸、ラウリン酸、またはステアリン酸等の中鎖または長鎖の飽和脂肪酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの飽和脂肪酸塩、オレイン酸、リノール酸、またはアラキドン酸等の中鎖または長鎖の不飽和脂肪酸とε−ポリリジンとで形成されるε−ポリリジンの不飽和脂肪酸塩等を用いてもよく、これらの混合物でも良い。
本発明に使用されるε−ポリリジンやその塩の毒性は非常に低く、例えばε−ポリリジン塩酸塩のマウス経口投与における急性毒性は、LD50 で5g/kg以上であり、人体等に使用しても安全性が高い。
【0014】
本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物における(A)成分の配合量は、抗う蝕、抗歯周病性組成物の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができるが、例えば食品や口腔用組成物に配合した場合、これらの重量基準で(A)成分が0.001〜1重量%、特に0.005〜0.5重量%になるように配合することが望ましい。配合量がこの範囲であれば、う蝕または歯周病の予防効果が高く、食品の食味への影響やコストアップも少ない。
【0015】
本発明において(A)成分と併用される(B)天然物由来抗菌成分(以下、(B)成分という)としては、リゾチーム、キトサン、エゴノキ抽出物、ヒバ油、ヒノキチオール、ペクチン分解物、レンギョウ抽出物、カワラヨモギ抽出物、シソの葉エキス、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、孟宗竹抽出物、トウガラシ抽出物、タデ抽出物、ウド抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、イチジク抽出物、クワ抽出物、ブドウ種子抽出物、ペパー抽出物、マダケ抽出物、オレガノ抽出物、モミガラ抽出物、グローブ抽出物、ショウガ抽出物、セージ抽出物、ハチク抽出物、ブドウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、ユッカフォーム抽出物、及びローズマリー抽出物の群から選ばれる少なくとも1種である。中でもε−ポリリジンの併用で大きな相乗効果が認められる、リゾチーム、キトサン、エゴノキ抽出物、ヒバ油、ヒノキチオール、ペクチン分解物、レンギョウ抽出物、カワラヨモギ抽出物、シソの葉エキス、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、孟宗竹抽出物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0016】
本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物は、(A)成分と(B)成分とを混合して調製される。(A)成分:(B)成分の混合比率(重量比)は、好ましくは1:0.5〜50、より好ましくは1:1〜10である。混合比率がこの範囲であれば、相乗作用による抗う蝕、抗歯周病性の向上が著しい。(A)成分と(B)成分との混合は、一般に両成分の溶液を混合して行われる。
【0017】
本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物においては、抗う蝕、抗歯周病性を向上させるため、酸を使用してもよい。
本発明に用いる酸としては、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、プロピオン酸、及びマレイン酸等を挙げることができ、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。
【0018】
また、本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む食品や口腔用組成物が、液体である場合、あるいは水や湯に溶解する等の方法で液状にして飲食または使用する場合には、抗う蝕、抗歯周病性を向上させるため、抗う蝕、抗歯周病性組成物にpH緩衝能を有する電解質を配合してもよい。pH緩衝能を有する電解質としては、リン酸−リン酸金属塩、酢酸−酢酸金属塩、乳酸−乳酸金属塩、コハク酸−コハク酸金属塩液、酒石酸−酒石酸金属塩、クエン酸−クエン酸金属塩、リンゴ酸−リンゴ酸金属塩等を挙げることができ、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。また金属塩の種類は特に限定されないが、ナトリウム塩やカリウム塩を挙げることができる。抗う蝕、抗歯周病性組成物におけるこれら電解質の含有率は、抗う蝕、抗歯周病性組成物の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができるが、例えば食品や口腔用組成物に配合した場合、本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む食品や口腔用組成物全量に対して、0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。含有率がこの範囲であれば十分なpH緩衝能が発揮され、かつ経済的である。
【0019】
また、本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物には、抗う蝕、抗歯周病性を向上させるため、アミノ酸を併用してもよい。本発明に使用するアミノ酸としては、中性アミノ酸(グリシン、アラニン、バリンあるいはロイシン等)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)、塩基性アミノ酸(リジン、アルギニン等)その他が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。中でも、成分(A)との併用で著しい相乗効果が認められるグリシン、アラニンの使用が最も好ましい。抗う蝕、抗歯周病性組成物におけるこれらのアミノ酸の含有率は、抗う蝕、抗歯周病性組成物の形態や適用部位、適用の方法や回数等により異なり、また症状の軽重等に依存して広範囲に変えることができるが、例えば食品や口腔用組成物に配合した場合、本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む食品や口腔用組成物全量に対して、0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜1重量%がより好ましい。
【0020】
また、(A)成分に対するアミノ酸の重量比率は、(A)成分:アミノ酸が1:1〜30であることが好ましい。含有率が上記の範囲であれば、抗う蝕、抗歯周病性において(A)成分とアミノ酸との著しい相乗効果が認められ、かつ経済的である。
【0021】
本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物において、(A)成分、pH緩衝能を有する電解質、及びアミノ酸を併用する場合は、(A)成分:pH緩衝能を有する電解質:アミノ酸の重量比率が1:1〜10:1〜30の割合で使用するのが好ましく、少ない使用量で顕著な抗う蝕、抗歯周病効果が期待できる。
【0022】
本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物は、(A)成分と(B)成分の併用によって、う蝕及び歯周病病原菌の増殖を顕著に抑制し、抗う蝕及び抗歯周病剤として有効である。また、該抗う蝕及び抗歯周病性組成物を含む食品、及び口腔用組成物は、う蝕及び抗歯周病の予防を目的として日常の食生活、食習慣を通じて長期使用可能で安全性が高い。
【0023】
本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含有させる対象となる食品としては、例えば、醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ふりかけ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉のたれ、カレールー、中華の素、シチューの素、スープの素、だしの素、複合調味料、みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガー等の調味料、せんべい、あられ、おこし、花林糖、求肥、餅、まんじゅう、ういろう、あん、羊羮、水羊羮、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉等の和菓子、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナッツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンデー、グミゼリー等の洋菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等の氷菓、氷蜜等のシロップ、
【0024】
バタークリーム、カスタードクリーム等のスプレッド及びペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト等のスプレッド及びペースト、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖菓等の加工果実及び加工野菜、パン、麺、米飯、人造肉等の穀類加工食品、サラダオイル、マーガリン等の油脂食品、福神漬、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬等の漬物、たくあん漬の素、白菜漬の素等の漬物の素、ハム、ソーセージ等の畜肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、ハンペン等の魚肉製品、ウニの塩辛、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、フグのみりん干し等の珍味、農産物、畜産物及び水産物から製造される煮物、焼物、炒め物、揚げ物、蒸し物、あえ物等の惣菜、えびフライ、コロッケ、シューマイ、ぎょうざ、春巻、ハンバーグステーキ、ミートボール、フィッシュハンバーグ、フィッシュボール等の冷凍調理食品、
【0025】
ハンバーグ、ミートボール、赤飯、牛めし、とり釜めし、玄米がゆ、カレー、ミートソース、ドミグラソース、ポタージュスープ、コンソメスープ、シチュー、おでん、八宝菜、煮豆、焼鳥、茶碗蒸し、ゆで栗、野菜の水煮等のレトルト食品、錦糸卵、乳飲料、バター、チーズ等の卵製品及び乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜等の瓶詰及び缶詰、合成酒、醸造酒、果実酒、洋酒等の酒類、コーヒー、ココア、ジュース、茶、紅茶、ウーロン茶、ミネラル飲料、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料等の清涼飲料、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席ジュース、即席しるこ、即席スープ等の即席食品等が挙げられる。尚、本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物は、ヒトが摂取する食品のみならず、家畜、家禽、蚕及び魚を含む飼育動物のための飼料及び餌料にも配合することができる。
【0026】
本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含有させる対象となる口腔用組成物としては、練歯磨等の歯磨類、洗口剤、マウスウォッシュ、粘膜・舌洗浄剤、義歯洗浄剤等の口腔清浄剤等を挙げることができる。これらの口腔用組成物には、他の成分として、口腔用組成物の種類に応じて、界面活性剤、研磨剤、粘結剤、粘稠剤、甘味料、防腐剤、香料、各種有効成分等が用いられる。
【0027】
以下に、本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む食品の配合例を示す。尚、配合例中の数字は重量部を示す。
食品配合例1(ケーシングかまぼこ)
スケソウダラ冷凍すり身 100重量部
食塩 3
澱粉 5
クエン酸 0.2
水 20
上記割合の混合物に対して表1の組成物例1〜10の抗う蝕、抗歯周病性組成物を表1記載の添加量添加。
【0028】
食品配合例2(厚焼き卵)
液卵 100重量部
調味液 12.5
砂糖 5
上記割合の混合物に対して表1の組成物例11〜20の抗う蝕、抗歯周病性組成物を表1記載の添加量添加。
【0029】
食品配合例3(ハンバーグ)
合挽き肉 200重量部
タマネギ 95
卵 12.5
パン粉 10
牛乳 30
塩 1.5
コショウ 少々
グリシン 0.2
上記割合の混合物に対して表1の組成物例21〜30の抗う蝕、抗歯周病性組成物を表1記載の添加量添加。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【表1】
抗う蝕、抗歯周病性組成物例及びその食品・口腔用組成物に対する添加量例
【0034】
【実施例】
以下、実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例において用いられた(A)成分のε−ポリリジンは、チッソ(株)製である。
各種(B)成分抽出物の製法、及び検定方法は文献(難波恒雄他、Proc.Symp.WAKAN−YAKU 15、179(1982))に記載の方法に準拠して行った。例えば粉砕した植物原体5gを含水メタノール100mlで3時間抽出、熱時ろ過、遠心分離後上澄液を冷凍乾燥して(B)成分抽出物を得た。
また、抗う蝕、抗歯周病性組成物は、(A)成分と(B)成分抽出物を混合して調製した。
【0035】
実施例1〜8、
組成物の抗う蝕、抗歯周病性試験及び結果
表2記載の組成の抗う蝕、抗歯周病性組成物で2倍希釈系列でBHI液体培地を調製し、これに前培養したストレプトコッカス・ミュタンス(Streptococcus mutans)及びバクテロイデス・ジンジバリス(Bacteroides gingivalis)を約106個/mlになるように加え、37℃で48時間培養、視認により菌の成育の有無を判定して最小増殖阻止濃度(MIC)を定めた。
相乗効果の有無は、下記の定義による併用効果指数が1未満の組み合わせの場合、相乗効果あり、1以上のとき相乗効果なしと判定した。
併用効果指数=MIC(M)/(a×MIC(A)+b×MIC(B))
ここで、
MIC(A):(A)成分のMIC
MIC(B):(B)成分のMIC
MIC(M):(A)成分及び(B)成分を併用した場合のMIC
a:(A)成分の混合割合(重量)
b:(B)成分の混合割合(重量)
かつ、a+b=1
である。表2に本発明の抗う蝕、抗歯周病性組成物の併用効果指数の測定結果を示した。成分の割合は、(A)成分/(B)成分=0.25/0.75(重量比)とした。
表2の結果から、(A)成分と(B)成分とを併用すると、ストレプトコッカス・ミュタンス(Streptococcus mutans)及びバクテロイデス・ジンジバリス(Bacteroides gingivalis)に対して、抗菌効果において相乗効果が認められることがわかった。
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明によればε−ポリリジン及び/またはその塩(A)と、天然物由来抗菌成分(B)を含む組成物は、う蝕原因菌とされるストレプトコッカス・ミュタンス(Streptococcus mutans)及び歯周病原因菌とされるバクテロイデス・ジンジバリス(Bacteroides gingivalis)に対して強い抗菌力を持つため、抗う蝕及び抗歯周病剤として好適である。
また、該抗う蝕及び抗歯周病性組成物を含む食品は、う蝕すなわち虫歯を起こし難く、歯周病になり難く、風味を損なうこともない。また、該抗う蝕及び抗歯周病性組成物を含む口腔用組成物は、う蝕及び歯周病の予防に有用である。
更に、本発明で使用するε−ポリリジンは、食品添加物である安全性の高い物質であり、また腸内フローラに及ぼす影響がなく、長期間にわたって使用可能な安全性の高いものである。
Claims (3)
- (A)ε−ポリリジン及び/またはその塩と、(B)天然物由来抗菌成分を含む組成物であって、(B)天然物由来抗菌成分が、下記群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする抗う蝕、抗歯周病性組成物。
(B)天然物由来抗菌成分;リゾチーム、キトサン、エゴノキ抽出物、ヒバ油、ヒノキチオール、ペクチン分解物、レンギョウ抽出物、カワラヨモギ抽出物、シソの葉エキス、カラシ抽出物、ワサビ抽出物、孟宗竹抽出物、トウガラシ抽出物、タデ抽出物、ウド抽出物、ニンニク抽出物、ピメンタ抽出物、イチジク抽出物、クワ抽出物、ブドウ種子抽出物、ペパー抽出物、マダケ抽出物、オレガノ抽出物、モミガラ抽出物、グローブ抽出物、ショウガ抽出物、セージ抽出物、ハチク抽出物、ブドウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、ユッカフォーム抽出物、及びローズマリー抽出物。 - 請求項1記載の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む食品。
- 請求項1記載の抗う蝕、抗歯周病性組成物を含む口腔用組成物。
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