JP2019210252A - 歯周病菌用口腔組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】含ポリフェノール天然物エキス及びリシンを有効成分として、歯周病菌(特にポルフィロモナス・ジンジバリス)に対して抗菌作用を示す、口腔用組成物を提供する。【解決手段】含ポリフェノール天然物エキス及びリシンを有効成分として含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、含ポリフェノール天然物エキス及びリシンを有効成分として含有し、主に歯周病の原因菌(例えばポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis))に対して抗菌効果を示す歯周病菌用口腔組成物に関する。
一般的にヒトの場合、う蝕(虫歯)や歯周病の原因の1つとして、プラーク(歯垢)の付着があり、従来から口腔衛生においてはその除去や予防、即ちプラークコントロールが重要であることが指摘されている。プラークの形成機序は、口腔内微生物、特にう蝕の原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)の菌体外酵素であるグルコシルトランスフェラーゼがスクロースを基質として、粘着性で且つ、不溶性のグルカンを合成し、このグルカンが歯面に付着して菌体の凝集塊であるプラークを形成することからなる。
このプラークコントロールの方法としては、歯ブラシ等による機械的なプラーク除去や、口腔用殺菌剤を使用した口腔内殺菌が主である。しかしながら、歯ブラシ等による機械的なプラーク除去の場合は、訓練を受けた上手な磨き方で長時間かけて行わなければ充分にプラークを除去することはできない。また、口腔用殺菌剤による方法であれば、プラークなどの菌体凝集塊に対しては殺菌剤成分が内部まで浸透しないため、その効果が充分に発揮されないという問題点がある。そのため、殺菌剤成分の濃度を上げたり、処置時間を長くする等の工夫が必要となる。また、殺菌剤によるプラーク除去については、口腔内の菌すべてに対し作用するため、口腔常在菌や人体に有用な菌も殺菌することになり、安全性、経済性、有効性の面から、必ずしも満足できるものではなかった。
また、ヒトの場合における歯周病は、歯ぎん炎、歯肉炎又は歯槽膿漏などの歯の歯周組織に炎症を引き起こす症状を有する疾患である。歯周病の原因菌としては、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、トレポネマ・デンティコラ(Treponema denticola)などの菌が知られている。歯周病は、プラーク由来の疾患が主であるので、う蝕予防と同様にその予防にはプラークコントロールが有用であるが、上記に述べた懸念と同様の懸念が生じてしまう。また、歯周病の中には、プラークに由来しないものや、更に重症化してしまうと、歯科若しくは口腔外科医院で、専門的な治療(主に抗生物質などによる化学的療法、抜歯等)を受けなくてはならず、例えば投与した薬剤によっては、副作用として種々の消化器系疾患を誘発するといった懸念があった。
上記に述べたようなヒトにおけるう蝕若しくは歯周病予防の懸念を解消すべく、少量の有効成分で効果を示し、その成分の取扱いが簡便且つ人体に多大な悪影響を及ぼさない材料(例えば天然物材料)で口腔用組成物の開発が種々成されている。その一例として、ポリフェノール物質を含有した天然物材料を使用した口腔用組成物が、特開2000−297022号公報(特許文献1)や特開2015−67586号公報(特許文献2)に開示されている。また、α‐アミノ酸の一種であるL−リシン(若しくはその塩酸塩)を使用した口腔用組成物(共凝集抑制剤)が特許第4409229号公報(特許文献3)や特開2006−176463号公報(特許文献4)に開示されている。
例えば特許文献1に開示されているシラカバエキスは、口腔用組成物として用いる場合、一般的に湿潤剤として使用されることが多く、湿潤剤としての用途の他に、特許文献1に記載されているようなう蝕予防剤や特許文献2に記載されているような収れん作用を示す薬剤(収れん剤)としての用途が知られている。また、特許文献3は、菌体凝集塊に対する共凝集抑制作用の有効成分としてL−リシン(若しくはその塩酸塩)を用いており、特許文献4では、口腔内病原性菌、即ちう蝕や歯周病菌などに対する抗菌効果を示すアシル化合物の出発物質(前駆体)として、L−リシン塩酸塩が用いられる旨が記載されている。
特開2000−297022号公報 特開2015−67586号公報 特許第4409229号公報 特開2006−176463号公報 特許第5654731号公報
ここで、う蝕や歯周病等の感染症疾患を口腔ケアにより治療若しくは予防するには、これらの原因菌を除去するのが簡便且つ合理的な方法である。しかしながら、特許文献1及び2におけるシラカバエキスをはじめとした含ポリフェノール天然物エキスにおいては、う蝕菌であるストレプトコッカス・ミュータンスには作用を示すが、歯周病菌、特にポルフィロモナス・ジンジバリスに作用するといった開示や示唆する記載は特許文献1及び2にはない。
また、特許文献3と、特許文献1及び2とを組み合わせたとしても、歯周病菌に実際作用するのかどうかが不明であることと、特許文献4と、特許文献1及び2とを組み合わせたとしても、L−リシンはあくまでアシル化合物の出発原料であるため、アシル化合物の分子設計及び合成をしなくてはならないという点でコストがかかってしまう。
近年では、シラカバエキスと同じような含ポリフェノール天然物である藍の抽出物を用いた口腔用組成物(練り歯磨き)が例えば特許第5654731号公報(特許文献5)に開示されている。特許文献5に記載されている藍抽出物は、種々の澱粉を粉末化剤として用いることによって粉末化され、その藍抽出物粉末を化粧料や石けん或いは先に述べた練り歯磨き、健康補助食品などに使用するというものである。そして該藍抽出物粉末は、う蝕菌であるストレプトコッカス・ミュータンス及び歯周病菌であるポルフィロモナス・ジンジバリスに作用することが開示されている(例えば特許文献5段落[0103]、[0104]等参照)。
しかしながら、特許文献5においては、藍抽出物を粉末、即ち澱粉分解物と混合しなくてはならないため、そのコストがかかるといったこと、また藍抽出物を単独で使用する際、歯周病菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)に対する抗菌効果を発現するにはかなりの量を使用することになる。また、特許文献3及び4に記載されているような技術と、特許文献5の技術を組み合わせる、即ちリシンと、藍抽出物とを組み合わせた場合にポルフィロモナス・ジンジバリスに対する有効性、即ち相乗効果があるか否かというのは開示や示唆がない。
本発明は、上記の事情を鑑み、含ポリフェノール天然物エキス及びリシンを有効成分として、歯周病菌(特にポルフィロモナス・ジンジバリス)に対して抗菌作用を示す口腔用組成物を提供することにある。
本発明に係る歯周病菌用口腔組成物の上記目的は、含ポリフェノール天然物エキス及びリシンを有効成分として含有することを特徴とすることによって達成される。
また、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物の上記目的は、前記含ポリフェノール天然物エキスは、藍抽出物、茶エキス、桜葉エキス、又はレモンエキスのいずれかから選択されることにより、或いは前記茶エキスは、緑茶、ウーロン茶、又は紅茶エキスのいずれかから選択されることにより、或いは前記含ポリフェノール天然物エキスの含有量は、歯周病菌用口腔組成物全量に対して0.01〜40%であることにより、或いは前記リシンは、L−リシン、L−リシン塩酸塩、又はε‐ポリ‐L‐リシンのいずれかから選択されることにより、或いは前記リシンの含有量は、歯周病菌用口腔組成物全量に対して0.005〜40%であることにより、或いは対象歯周病菌が、ポルフィロモナス・ジンジバリスであることにより、より効果的に達成される。
本発明に係る歯周病菌用口腔組成物は、天然物由来の含ポリフェノール物質並びにα‐アミノ酸の一種であるリシン若しくはその類縁体を使用することにより、副作用の懸念がなく且つコストがかからずに簡便に歯周病菌用口腔組成物の作製が可能になった。
以下、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物について、詳細を説明する。なお、「%」については、特段の記載が無い場合には、全て重量百分率とする。
先ず、リシンについて、説明する。本発明において使用するリシンは、本発明の歯周病菌用口腔組成物に対して0.005〜40%が望ましい。0.005%未満であると、歯周病菌(主にポルフィロモナス・ジンジバリス)に対する抗菌作用が十分に発揮できない。40%よりも多いと、口臭予防や抗菌作用といった効果がさほど出ないか、或いは粘性が強くなって口腔内に浸透しなかったり、或いはかえって細菌類の温床となる可能性がある。本発明に係る歯周病菌用口腔組成物にて使用するリシンは、α‐L−リシン、α‐L−リシン塩酸塩、又はε‐ポリ(L‐リシン)のいずれかから選択可能である。
次に、本発明で使用する含ポリフェノール天然物エキスは、藍抽出物エキス、茶(緑茶、ウーロン茶、紅茶)エキス、甜茶抽出物、抹茶粉末、桜葉(サクラバ)エキス、レモンエキス、シラカバエキス、ブドウ、リンゴ、ブルーベリー、キイチゴ、チョコレート、ココア、大豆、ビワ葉エキス、ワレモコウエキス、オトギリソウエキス、ハマメリス抽出液、オウゴンエキス、シラカバエキス、ノバラエキス、シソ種子抽出物、グアバ葉エキス、クワ葉エキス、ブドウ種子抽出物、ワインエキス、ブドウ葉抽出物、リンゴ抽出物、リンゴタンニンなどといった、フラボノイドやカテキン、タンニン系のポリフェノール類を含むものから選択され、特に抗菌作用が期待できるものとしては、藍抽出物エキス、茶(緑茶)エキス、桜葉(サクラバ)エキス、レモンエキスが望ましい。
ちなみに、本発明で使用する含ポリフェノール天然物エキスは、リシン同様に本発明の歯周病菌用口腔組成物に対して0.01〜40%が望ましい。0.01%未満であると、歯周病菌(主にポルフィロモナス・ジンジバリス)に対する抗菌作用が十分に発揮できない。40%よりも多いと、口臭予防や抗菌作用といった効果がさほど出ないか、或いは粘性が強くなって口腔内に浸透しなかったり、或いはかえって細菌類の温床となる可能性がある。なお、含ポリフェノール天然物エキスについては、一般的に当該エキスの抽出溶媒(例えばアルコール類や水)の溶液で市販化されている。その際、抽出溶媒たるアルコール類や水は、歯周病菌に対する抗菌効果を期待されるものではないため、濃度調整が必要な場合は、それらアルコール類や水を希釈に用いればよい。
また、本発明の歯周病菌用口腔組成物の剤型は、練り歯磨き剤、ジェル、液状歯磨き剤、粉末状歯磨き剤、洗口剤(洗口リンス剤)、フィルム剤、カプセル剤、タブレット剤又はパスタから選択され得る。
以上に述べた態様で、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物については実施可能であるが、種々の添加剤を含有させても良い。その添加剤について次に説明する。
その添加剤の一例として、更にパパイアエキス及び/又はキトサンを配合させることによって、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物が成る。
パパイアエキスは、天然パパイア果実由来のエキスであり、天然パパイアの果実を擦り潰し、エタノール等の溶媒に漬け込んで抽出したエキスであり、パパイアの果実については、熟したものであっても、まだ青い状態の未完熟のものであってもよい。このパパイアエキスは湿潤剤としての役割を果たしており、口腔内の潤いを保つことができるとともに、特に未完熟のパパイアはパパイン酵素が豊富に含まれている。このパパイン酵素が歯面上や歯と歯茎との間にある歯垢を取り除き易くする効果がある。このパパイアエキスの配合量は特に限定はないが、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物の全量に対し、0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になると本発明に係る歯周病菌用口腔組成物のポルフィロモナス・ジンジバリスへの効果が薄れてしまう可能性がある。
対してキトサンは、カニやエビ等の甲殻類の外骨格から得られるキチンを強アルカリ等の煮沸処理などで得られるものである。多糖類であるため、粘結剤として使用されることもあるが、抗菌剤や歯面のコーティング作用を示す効果もある。また、上述のパパイン酵素をより長時間歯面に留めることができる。これによりポルフィロモナス・ジンジバリスを死活させる効果がより発揮される。このキトサンの配合量は特に限定はないが、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物の全量に対し、0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になるとポルフィロモナス・ジンジバリスへの効果が薄れてしまう可能性がある。
さらに、キトサン及びパパイアエキスを同時に配合しても良い。これによりキトサンがパパイン酵素を歯面又は歯と歯茎との間に滞留させる時間を長くすることができ、キトサンによる殺菌効果も合わさり、ポルフィロモナス・ジンジバリスを死活させる効果がより発揮される。この場合の配合量も特に限定はないが、キトサン及びパパイアエキスそれぞれ0.005%〜10%が望ましい。0.005%未満であると上述の効果が発揮されず、10%より過剰になるとポルフィロモナス・ジンジバリスへの効果が薄れてしまう可能性がある。
研磨剤若しくは清掃剤としてシリカゲル、沈降性シリカ、加成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、リン酸水素カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂研磨剤などが挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を併用して用いることができる。これらの研磨剤の配合量は、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物全量に対して0〜60%が一般的である。
湿潤剤としてグリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、マルチトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、キシリトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、シアノコバラミン(ビタミンB12)、ローズマリーエキス、クマザサエキス、キク花エキス、カワラヨモギエキス、チョウジエキス、シコンエキス、グレープフルーツ種子エキス、ダイコン根エキス等の植物エキス、ソルビット液等の糖質類、乳由来のホエイ並びに植物由来の乳酸桿菌が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
粘結剤(増粘剤)として、カラギーナン類、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウムなどアルギン酸及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、プルランなどが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用して用いることができる。なお、増粘剤は、ゲル(ジェル)化剤としての役割も兼ねる。
発泡剤としてラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、N−アシルグルタメートなどのN−アシルアミノ酸塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
また、保存剤としてヒノキチオール、丁子油やハッカ油などの天然香油及び精油類などがあげられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
pH(水素イオン濃度)調整剤としてクエン酸、クエン酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、乳酸、乳酸(モノ若しくはジ)ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
本発明に係る歯周病菌用口腔組成物の有効成分を滞留(持続)させるための滞留剤として、流動パラフィン、流動パラフィン及びポリエチレンの混合物であるゲル化炭化水素、植物油、ミツロウなどが使用でき、これらを1種又は2種以上を併用することができる。なお、前記ゲル化炭化水素は、ゲル化剤としての役割も果たす。
甘味剤としてサッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、p−メトキシシンナムアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、キシリトール、エリスリトールなどがある。
防腐剤としてメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノールなどがある。
香料成分としてl−メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナムアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール、ハッカ油などの中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油などを用いてもよい。
ちなみに、上記に述べた湿潤剤、粘結剤、発泡剤、保存剤、滞留剤、甘味剤、防腐剤、香料成分など各成分の配合量は、特に限定はないが、歯周病菌用口腔組成物全量に対して0.001〜40%の範囲が一般的である。
また、上記香料成分に加えて、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素若しくはテルペン系アルコール、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトンなどの香料成分、精油、ステアリン酸アスコルビルや酢酸トコフェロールやビタミンEといった抗酸化剤を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。これらの成分の配合量は、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物全量に対して0.001〜40%の範囲が一般的である。
本発明の歯周病菌用口腔組成物には、上記のほか、更なる有効成分を配合してもよい。そのような有効成分として塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、硝酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒノキチオール、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、トコフェロール、酢酸トコフェロール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン、銅クロロフィリンナトリウムなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。該有効成分については、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物全量に対して0.001〜40%の範囲が一般的である。
本発明の歯周病菌用口腔組成物は、常法に準じて製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
また、本発明の歯周病菌用口腔組成物については、ポルフィロモナス・ジンジバリスを対象とした場合について、種々態様を述べたが、それ以外の歯周病菌、例えば、プレボテラ・インターメディア(Prevotella intermedia)、トレポネマ・デンティコラ(Treponema denticola)等にも効果を示すものと思われる。なお、これらの歯周病菌について、菌株は問わない。
以上に本発明に係る歯周病菌用口腔組成物についての実施態様を述べたが、上記の態様の限りではなく、特許請求の範囲及び本明細書の記載の事項を逸脱しない範囲であれば、種々の態様が採用可能であることは言うまでもない。
本発明に係る歯周病菌用口腔組成物についての実施態様について、具体的な製造例並びに効果試験等の実施例を挙げながら説明する。
[実施例1]ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)を対象とした抗菌試験
本発明に係る歯周病菌用口腔組成物の主成分(有効成分)であるリシン及び/又は含ポリフェノール天然物エキスについて、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingvalis)に対する抗菌試験を行った。
ちなみに、本実施例に係る当該抗菌試験においては、液体培地法にてポルフィロモナス・ジンジバリスに対する最小発育阻止濃度(MIC)を検討した。
(1)当該抗菌試験に係る試料溶液の調製
先ず、本発明に係る歯周病菌口腔組成物の主成分(有効成分)であるリシン試料並びに含ポリフェノール天然物エキス試料(藍抽出物、茶、桜葉、レモンの4種類)を調製した。ちなみに、リシン、藍抽出物、茶(緑茶)、桜葉及びレモンの各エキス試料については、次の表1に示すとおりである。
Figure 2019210252
表1に示した含ポリフェノール天然物エキス試料(藍抽出物、緑茶、桜葉、レモンの4種類)並びにリシン(ポリリシン)についてはそれぞれ、精製水で33%水溶液となるように希釈して、更にそれぞれ希釈された水溶液を3.3%(33000ppm)となるように10倍希釈をしてミュラーヒントンブロス(MHB)を用いて調製した。そして、各試料水溶液(含ポリフェノール天然物エキス試料4種並びにリシン)を更に、精製水で9段階(16500(約1.7%)、8250(約0.83%)、4125(約0.41%)、2063(約0.20%)、1032(約0.10%)、516(約0.05%)、258(約0.025%)、129(約0.013%)、65(約0.007%)ppm)に希釈をして、それぞれMHBを用いて調製した。
一方、ポルフィロモナス・ジンジバリス(菌株ATCC 33277より)については、ブレインハートインフュージョン寒天培地(BHIA)に接種し、37℃、24時間で嫌気培養後、生理食塩水を用いて、菌数が10個/mLになるように作製したものを歯周病菌試験液とした。
なお、コントロール(対照試験)としては、滅菌水を用いた。
(2)液体培地法による最小発育阻止濃度(MIC)判定
先ず、上記(1)で調製したリシン試料水溶液及びその希釈水溶液各試料水溶液及びその希釈水溶液に対して、歯周病菌試験液を接種し、37℃で培養した。実施検体としては、1)リシン試料水溶液及びその希釈液+藍抽出物エキス試料水溶液及びその希釈液(「実施検体1」とする。)、2)リシン試料水溶液及びその希釈液+緑茶エキス試料水溶液及びその希釈液(「実施検体2」とする。)、3)リシン試料水溶液及びその希釈液+桜葉エキス試料水溶液及びその希釈液(「実施検体3」とする。)、及び4)リシン試料水溶液及びその希釈液+レモンエキス試料水溶液及びその希釈液(「実施検体4」とする。)である。
培養後24〜48時間後に各試料溶液に係る歯周病菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)の発育有無を肉眼で観察し、最小発育阻止濃度(MIC)を判定した。各試料溶液の歯周病菌に対するMICの結果を次の表2に示す。
Figure 2019210252
上記表2においては、コントロールとは別に、比較検体として藍抽出物の試料溶液のみに歯周病菌試験液を接種したものを用意した。
比較検体(藍抽出物のみ)においては、4125ppm以下になると、歯周病菌の発育が見られた。即ちこのことは、藍抽出物或いは含ポリフェノール天然物エキス単独では、濃い濃度でないと、歯周病菌に対する抗菌効果が見られないということである。
一方、L−リシン並びに含ポリフェノール天然物エキスの混合試料(藍抽出物、茶、桜葉、レモンの4種類)においては、どの試料も129ppm(約0.013%)くらいの濃度で十分に歯周病菌に対する抗菌効果を発揮する結果となった。
[実施例2]歯周病菌用口腔組成物の作製
上記実施例1の知見を基に、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物について作製をした。ここで含ポリフェノール天然物エキスとしては、藍抽出物、茶(緑茶)、桜葉及びレモンを用いた。成分比については下記表3乃至6に記す。
Figure 2019210252
Figure 2019210252
Figure 2019210252
Figure 2019210252
ちなみに、各ポリフェノール天然物エキス(藍抽出物、茶(緑茶)、桜葉及びレモン)に係る歯周病菌用口腔組成物の作製については、便宜上成分番号順に混合した。なお、この作製については、常法に則って作成が可能であり、また、成分番号順で有効成分のポリフェノール天然物エキスやL−リシンの効果が薄れるということはない。
また、製品に近い状態の当該歯周病菌用口腔組成物について、上記実施例1を参考にして、歯周病原細菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)に対する抗菌(殺菌)活性を検討したところ、詳細条件や再現性等の検討の余地は未だにあるものの、製品に近い状態の前記組成物でもポルフィロモナス・ジンジバリスに対して何らかの活性があることが分かった。
また、本実施例2における歯周病菌用口腔組成物の作製においては、L−リシン並びに各ポリフェノール天然物エキス(藍抽出物、茶(緑茶)、桜葉及びレモン)の配合を損なわなければ、上記実施形態に記載されているようなその他の成分の配合を変化させることにより、液体歯磨き剤、液状歯磨き剤、粉末状歯磨き剤、洗口剤(洗口リンス剤)、フィルム剤、カプセル剤、タブレット剤又はパスタに剤型を変形することが可能である。
以上、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物についての実施例を述べたが、あくまで一例であり、本実施例で用いた試薬や培地、歯周病菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)の菌株については、上記のものに限定されるわけではない。
上述の実施形態及び実施例にて、本発明に係る歯周病菌用口腔組成物について言及したが、本発明の歯周病菌用口腔組成物においては、必須成分が含ポリフェノール天然物エキスと、α-アミノ酸たるリシンを用いているため、濃度調整によっては、抗菌効果を有する機能性食品等に応用することが可能である。

Claims (7)

  1. 含ポリフェノール天然物エキス及びリシンを有効成分として含有することを特徴とする歯周病菌用口腔組成物。
  2. 前記含ポリフェノール天然物エキスは、藍抽出物、茶エキス、桜葉エキス、又はレモンエキスのいずれかから選択される請求項1に記載の歯周病菌用口腔組成物。
  3. 前記茶エキスは、緑茶、ウーロン茶、又は紅茶エキスのいずれかから選択される請求項2に記載の歯周病菌用口腔組成物。
  4. 前記含ポリフェノール天然物エキスの含有量は、歯周病菌用口腔組成物全量に対して0.01〜40%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯周病菌用口腔組成物。
  5. 前記リシンは、L−リシン、L−リシン塩酸塩、又はε−ポリ−L−リシンのいずれかから選択される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯周病菌用口腔組成物。
  6. 前記リシンの含有量は、歯周病菌用口腔組成物全量に対して0.005〜40%である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の歯周病菌用口腔組成物。
  7. 対象歯周病菌が、ポルフィロモナス・ジンジバリスである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の歯周病菌用口腔組成物。
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