JP2000239136A - 口腔用抗菌剤 - Google Patents
口腔用抗菌剤Info
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Abstract
を有効利用することで、う蝕・歯周病の原因となる口腔
内細菌に対し優れた抗菌作用を有し、しかも、種々の飲
食品および口腔用製品に広く適用可能な天然物由来の口
腔用抗菌剤を提供する。 【解決手段】 本発明の口腔用抗菌剤は、シソまたはエ
ゴマの種子または葉ポリフェノールを有効成分とするこ
とを特徴とする。シソまたはエゴマの種子または葉のア
ルコール抽出物を酢酸エチルと水に分配し、この酢酸エ
チル層から得られる酢酸エチル分配物を有効成分とする
よい。前記シソ種子またはエゴマ種子には脱脂シソ種子
または脱脂エゴマ種子を用いるとよい。また、本発明の
口腔用抗菌剤は、ルテオリンまたはロスマリン酸、また
はこれらの誘導体を有効成分とすることを特徴とする。
さらに、本発明の飲食品または口腔用製品は、前記口腔
用抗菌剤を含有してなることを特徴とする。
Description
予防または治療に有効な口腔用抗菌剤に関し、例えば、
ガム、キャンディ、ジュース、グミ等の飲食品、または
練り歯磨、洗口剤、義歯洗浄剤等の口腔用製品に適用さ
れるものである。
ミュータンス連鎖球菌およびポルフィロモナス・ジンジ
バリスなどのグラム陰性桿菌が関与することが知られて
いる。う蝕は、ミュータンス連鎖球菌が歯面に歯垢を形
成し、種々の糖を分解して乳酸、クエン酸等の有機酸を
生成し、これら有機酸が歯垢中に持続的に滞留しエナメ
ル質を侵食することによって起こる。また、歯周病は、
細菌由来の慢性炎症性疾患であり、歯周病原性細菌の歯
周ポケットにおける増加、細菌の歯周組織内侵入および
細胞傷害、感染に対する宿主応答の異常といったものが
その要因になっている。
て、従来より、洗口剤等の口腔用製品には、クロロヘキ
シジン、セチルピリジウムクロライドなどの抗菌剤が用
いられている。これらの抗菌剤は、多量に使用すると、
人体に及ぼす影響が懸念されることから、その添加量が
制限されているのが現状である。一方、ガム、キャンデ
ィー等の食品には、う蝕・歯周病の予防および治療を目
的とする抗菌剤として、各種植物の抽出物が用いられて
いる。例えば、特公平7−25670号公報には、茶カ
テキン類の一つであるエピガロカテキンガレートを抗菌
剤の有効成分とすることが開示されている。
シソ属に属するシソおよびエゴマの抽出成分について種
々の試験を行った結果、これらの種子または葉ポリフェ
ノールにう蝕原性菌および歯周病原性菌に対する優れた
抗菌作用を見出した。また、シソまたはエゴマの種子ポ
リフェノールから精製したルテオリンおよびロスマリン
酸に優れた抗菌作用が存在することを知見するに至っ
た。
または葉の抽出成分を有効利用することで、う蝕および
歯周病の原因となる口腔内細菌に対し優れた抗菌作用を
有し、しかも、種々の飲食品および口腔用製品に広く適
用可能な天然物由来の口腔用抗菌剤を提供することにあ
る。
の本発明の口腔用抗菌剤は、シソまたはエゴマの種子ま
たは葉ポリフェノールを有効成分とすることを特徴とす
る。シソまたはエゴマの種子または葉のアルコール抽出
物を酢酸エチルと水に分配し、この酢酸エチル層から得
られる酢酸エチル分配物を有効成分とすることを特徴と
する。前記シソまたはエゴマ種子に脱脂シソ種子または
脱脂エゴマ種子を用いることを特徴とする。ルテオリン
またはルテオリン誘導体を有効成分とすることを特徴と
する。ロスマリン酸またはロスマリン酸誘導体を有効成
分とすることを特徴とする。また、本発明の飲食品は、
前記口腔用抗菌剤を含有してなることを特徴とする。ま
た、本発明の口腔用製品は、前記口腔用抗菌剤を含有し
てなることを特徴とする。
の植物で、互いに変種の関係にある。シソは、古くから
香辛野菜として栽培され、赤シソおよび青シソがある。
エゴマは、東南アジア原産の一年草で、油料作物であ
る。全体にシソに似ており、茎は方形で、卵円形の葉を
対生し、夏に白い小花をつける。種子はシソよりやや大
きく、秋に収穫される。エゴマ種子からとれる油は、エ
ゴマ油または荏の油として知られ、食用、ペイントの原
料に用いられる。また、油かすは肥料、飼料として利用
されている。
はエゴマ種子を破砕後、アルコール、アセトン、酢酸エ
チル等の有機溶剤で抽出することができる。シソおよび
エゴマの種子に含まれるポリフェノール成分はほぼ同一
であり、発明者らの高速液体クロマトグラフィーによる
調査では、両者の有効成分は同様の方法によって抽出で
きることが確認されている。一方、前記葉ポリフェノー
ルについても、アルコール、アセトン、酢酸エチル等の
有機溶剤で抽出することができる。シソおよびエゴマの
葉ポリフェノール成分は、高速液体クロマトグラフィー
でほとんど同一成分を含むことが確認されている。
法としては、シソ種子またはエゴマ種子を粉砕後、アル
コールで抽出し、さらに酢酸エチルと水で分配するとよ
い。このようにアルコール抽出と酢酸エチル/水分配を
順に行うことで、酢酸エチル分配物のポリフェノール濃
度を大幅に高めることができるからである。
るために用いるアルコールには、エタノールを用いるの
が望ましい。エタノールを用いると、有効成分が効率よ
く抽出されると同時に外用、食用のいずれの用途であっ
ても使用することができるためである。その他、用途に
よっては、メタノール、ブタノール等を用いることも可
能である。
アルコールの水溶液濃度については、70〜85%(v
/v)に調整するのが望ましい。70%(v/v)未満で
あると、有効成分の抽出量が不十分になり、また、85
%(v/v)を超えると、シソ種子またはエゴマ種子の油
分がアルコール中に溶け出しやすくなるからである。な
お、アルコール抽出は、有効成分の含有率を向上させる
ため、種々の濃度で繰り返すとよい。
分は、シソ種子またはエゴマ種子の脱脂物から抽出する
ことが望ましい。これは、油性の有機溶剤によってシソ
種子およびエゴマ種子から油分が除かれ、脱脂物中にル
テオリン、ロスマリン酸等のポリフェノール成分が濃縮
されるためである。
溶剤としては、ヘキサンを用いるとよい。抽出油分を食
用油として使用し得るとともに、脱脂物からの抽出物を
食品素材等に利用しやすいからである。また、脱脂物か
らの抽出物を食品以外の用途に用いる場合は、ヘキサン
に限ることなく、その他の非極性溶媒を用いることも可
能である。
る成分のうち、ルテオリンおよびロスマリン酸について
は、単体でも、抗菌剤の有効成分として使用することが
できる。
は、次に示すとおりである。
タリス等)中に配糖体として存在することが知られる。
ルテオリンの生理活性については、従来、抗酸化活性、
ヒアルロニダーゼ阻害活性、リポキシゲナーゼ阻害作用
(特開平10−298098号)等が知られている。本
発明においては、ルテオリンは、エゴマおよびシソの種
子の他、これらの葉からも抽出・精製することができ
る。ただし、エゴマおよびシソの葉に含まれるルテオリ
ンは微量であり、工業化に際しては、これらの種子を用
いるのが望ましい。その他の方法によってルテオリンを
得ることも可能である。例えば、マメ科の植物や、柑橘
系の果皮等から抽出・精製してもよい。
分であり、シソ科の広範な属において新鮮葉に1〜2%
の含有量を示すことが知られる(薬学雑誌vol.106,1108
-1111P,1986年)。ロスマリン酸の生理活性について
は、抗炎症、抗アレルギー作用等が報告されている。本
発明において、ロスマリン酸は、エゴマまたはシソの種
子および葉から抽出・精製する他、その他のシソ科植物
の含水アルコール抽出によって得ることが可能である。
は、これらの誘導体の形、つまり詳細にはナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウ
ム、アルミニウムといった金属類やアンモニウム等によ
って生じる塩類、アルコールや脂肪酸、アルキルハロゲ
ナイド類などとの反応によって得られるアルキルエステ
ルの如くのエステル類およびそれらの塩類、また、リン
酸基を導入したリン酸化化合物、硫酸基を導入した硫酸
化化合物、さらに、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコールのようなC2〜C4の程度
の炭素鎖を有するアルキレンオキサイド類との反応によ
ってられるアルキルエーテル誘導体、グリシジルトリア
ルキルアンモニウムハロゲナイドの如く第4級アミンを
分子内に有する基質との反応に生じる第4級アルキルア
ミン誘導体およびその塩類といった形で利用できる。
飲食品に添加して用いる場合、菓子類(ガム、キャンデ
ィー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナッ
ク、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラ
ーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグ
ルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料
(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ
飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、
カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)に配合
することができる。また、インスタント食品に添加して
もよい。例えば、口腔用抗菌剤を粉末セルロースととも
にスプレードライまたは凍結乾燥したものを、粉末、顆
粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品に含有さ
せることができる。
磨、粉歯磨き、液状歯磨、油性歯磨、洗口剤、義歯洗浄
剤、うがい薬、歯肉マッサージクリームなどの口腔用製
品に配合してもよい。これらの日常使用する口腔用製品
に口腔用抗菌剤を配合することで、抗菌効果が長期間持
続し、虫歯、歯周病等の予防に役立つ。
シソまたはエゴマの種子または葉の抽出成分を利用する
ことで、う蝕・歯周病の予防および治療に有効な口腔用
抗菌剤を得ることができる。また、本発明の口腔用抗菌
剤は、従来から食品原料として知られるシソまたはエゴ
マの種子または葉から有効成分を抽出するため、安全で
副作用等の心配がない。また、種々の飲食品または口腔
用製品に口腔用抗菌剤を広く適用することが可能で、簡
単かつ効果的にう蝕および歯周病の予防・治療を図るこ
とができる。
づいて説明する。 [口腔用抗菌剤の製造]図1に示すように、まず、シソ
種子を破砕したものをヘキサンで還流し、次いで、その
残渣(脱脂物)を80%(v/v)エタノールで還流し
た。次に、80%(v/v)エタノール還流により得られ
たエタノール抽出物をヘキサンと80%(v/v)メタノ
ールで分配し、このメタノール層の溶媒溜去後、さらに
酢酸エチルと水で分配した。酢酸エチル層と水層とを分
離後、酢酸エチル層の溶媒を溜去し、酢酸エチル分配物
を得た。
ルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノー
ル=10:1)に付し、ルテオリンを含むフラクション
1と、ロスマリン酸を含むフラクション2を得た。その
後、フラクション1を混合溶媒(クロロホルム:メタノ
ール=15:1)に懸濁してその不溶性画分よりルテオ
リンを単離した。また、フラクション2については、高
速液体クロマトグラフィーによってロスマリン酸を単離
した。
媒溜去したものを実施例1とし、このエタノール抽出物
を酢酸エチル/水分配し、酢酸エチル層から溶媒溜去し
て得られた酢酸エチル分配物を実施例2とした。また、
酢酸エチル分配物から単離されたルテオリンおよびロス
マリン酸の各精製物をそれぞれ実施例3および実施例4
とした。なお、実施例1〜実施例4は、シソ種子から得
られた抽出物を口腔用抗菌剤としたが、エゴマ種子から
も同様な方法により実施例1〜実施例4とほぼ同様な組
成の口腔用抗菌剤を得ることができる。
(BHI)液体培地に接種し、37℃で18−24時間
培養後、生理食塩水で106/mlとなるように調整
し、供試菌液とした。実施例1〜4の口腔用抗菌剤を所
定濃度含有するBHI寒天平板培地に供試菌液を一定量
塗抹し、37℃で24−36時間培養後に最小発育阻止
濃度(MIC)を判定した。なお、比較例として、茶葉
由来の抗菌剤として知られるエピガロカテキンガレート
についても同様な条件によって抗菌作用を調査した。結
果を表1に示す。
止濃度が判定不能であることを示す。
出物)、実施例2(酢酸エチル分配物)、実施例3(ル
テオリン精製物)および実施例4(ロスマリン酸精製
物)は、う蝕に深く関与していると言われるミュータン
スおよびソブリナス群に対して抗菌作用を示すことが判
る。特に、実施例2(酢酸エチル分配物)と実施例3
(ルテオリン精製物)については、ほとんどの菌種に対
して比較例(エピガロカテキンガレート)よりも優れた
抗菌作用を示すものであった。また、表1のうち、S.or
alis、S.mitiorおよびS.sanguisについては、プラーク
形成に関与することが報告されている。このため、実施
例2(酢酸エチル分配物)と実施例3(ルテオリン精製
物)については、プラークの形成に由来する疾患の抑制
にも効果的であることが確認された。
l)、メナジオン(1μg/ml)を含有するGAM培
地に接種し、37℃で48時間培養後、Porphyromonas
gingivalisは108/mlに、Prevotella intermediaと
Fusobacterium nucleatumは107/mlに調整したもの
を供試菌液とした。所定濃度に調整した実施例1〜4の
口腔用抗菌剤と、ヘミン(5μg/ml)およびメナジ
オン(1μg/ml)とを含むGAM寒天平板培地に供
試菌液を一定量塗抹し、37℃で96時間培養後にMI
C値を判定した。なお、比較例として、茶葉由来の抗菌
剤として知られるエピガロカテキンガレートについても
同様な条件によって抗菌作用を調査した。結果を表2に
示す。
止濃度が判定不能であることを示す。
出物)、実施例2(酢酸エチル分配物)、実施例3(ル
テオリン精製物)および実施例4(ロスマリン酸精製
物)は、歯周病の主な原因菌とされているポルフィロモ
ナス・ジンジバリスに対して抗菌作用を示した。特に、
実施例2(酢酸エチル分配物)と実施例3(ルテオリン
精製物)は、ほとんどの菌株に対してきわめて優れた抗
菌作用を示すものであった。
菌作用を比較すると、実施例2(酢酸エチル分配物)の
抗菌活性は、実施例1(エタノール抽出物)よりも強
い。これは実施例2には、実施例1に比べ活性中心であ
るポリフェノール含量が多いためと考えられる。また、
実施例2(酢酸エチル分配物)は、ルテオリン含有量が
低いにもかかわらず、実施例3(ルテオリン精製物)に
匹敵する優れた抗菌活性を示す。これは、実施例2に含
まれる各種のポリフェノール類が相互作用によって抗菌
活性を高めているものと考えられる。
る口腔用抗菌剤を用いて、次の処方によりチューインガ
ムおよびキャンディーを製造することができる。なお、
下記表中、「シソ種子エタノール抽出物」は、前記実施
例1と同様の抽出条件で得られたエタノール抽出物を乾
燥し、粉末にしたものである。また、「シソ種子酢酸エ
チル分配物」は、前記実施例2と同様の抽出条件で得ら
れた酢酸エチル分配物を乾燥し、粉末にしたものであ
る。
による口腔用抗菌剤を用いて、次の処方により練歯磨お
よび洗口剤を製造することができる。なお、下記表中、
「シソ種子エタノール抽出物」は、前記実施例1と同様
の抽出条件で得られたエタノール抽出物を乾燥し、粉末
にしたものである。また、「シソ種子酢酸エチル分配
物」は、前記実施例2と同様の抽出条件で得られた酢酸
エチル分配物を乾燥し、粉末にしたものである。
を説明するための工程図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 シソまたはエゴマの種子または葉ポリフ
ェノールを有効成分とする口腔用抗菌剤。 - 【請求項2】 シソまたはエゴマの種子または葉のアル
コール抽出物を酢酸エチルと水に分配し、この酢酸エチ
ル層から得られる酢酸エチル分配物を有効成分とする口
腔用抗菌剤。 - 【請求項3】 前記シソまたはエゴマ種子に脱脂シソ種
子または脱脂エゴマ種子を用いる請求項2記載の口腔用
抗菌剤。 - 【請求項4】 ルテオリンまたはルテオリン誘導体を有
効成分とする口腔用抗菌剤。 - 【請求項5】 ロスマリン酸またはロスマリン酸誘導体
を有効成分とする口腔用抗菌剤。 - 【請求項6】 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載
の口腔用抗菌剤を含有してなる飲食品。 - 【請求項7】 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載
の口腔用抗菌剤を含有してなる口腔用製品。
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JP4112730B2 (ja) | 2008-07-02 |
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