JP2004111766A - 窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のELOGやpendeo成長等の方法により得られる低転位密度GaNの領域は、幅10μm程度が限界である。この幅を広くするためには、SiO2マスクの幅を広くしたり、成長の起点となる凸部の間隔を広くする必要がある。これを完全に埋め込み平坦な面を得るためには、数十μm以上の膜厚が必要である。膜厚が厚くなるに従い、基板の反りも大きくなり、クラックも発生しやすくなる。
【解決手段】本発明では、基板100上に成長した窒化ガリウム102にトレンチ105a等を広い領域に形成し、熱処理を行い、マストランスポートにより窒化ガリウム層102中に空洞106a等を形成し、その上に窒化ガリウム系半導体の発光素子を形成する。これにより、トレンチを形成した全領域で低転位密度の窒化ガリウム層が得られる。また、空洞のサイズ、位置を制御可能であり、フォトニック結晶の作製も容易である。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明では、基板100上に成長した窒化ガリウム102にトレンチ105a等を広い領域に形成し、熱処理を行い、マストランスポートにより窒化ガリウム層102中に空洞106a等を形成し、その上に窒化ガリウム系半導体の発光素子を形成する。これにより、トレンチを形成した全領域で低転位密度の窒化ガリウム層が得られる。また、空洞のサイズ、位置を制御可能であり、フォトニック結晶の作製も容易である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法、窒化ガリウム系半導体基板及びその製造方法、窒化ガリウム系フォトニック結晶及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子、トランジスタ等の作製のための基板材料としては、成長させるエピタキシャル層と同じ物質のバルク結晶を用いることが一般的に望ましい。しかしながら、現在までに基板として使用できるGaNのバルク結晶は得られていなかった。このため、例えばサファイア(Al2O3 )、SiC、Si、GaAs基板等の格子定数や熱膨張係数などの物理的性質や、化学的性質が異なる基板が用いられてきた。
【0003】
しかし、このような異種基板上にエピタキシャル成長を行うと、ミスフィット転位が発生しやすく、基板と成長したGaN層との界面には108〜1010/cm2にも及ぶ高密度の転位が生成され、高品質のエピタキシャル成長層が得られない。この転位は成長方向に伝播し、活性層さらには表面まで貫通するため、素子の寿命や信頼性が低下するなどの重要な問題が生じる。
【0004】
最近では、異種基板とGaNの界面に生成される108〜1010/cm2にもおよぶ転位をレーザの活性層領域まで伝播させない方法として、ラテラル成長技術が用いられている(例えば、非特許文献1、2参照。)。これらの文献に述べられているように、異種基板上、あるいは異種基板上に成長させた窒化物半導体上に、ストライプ状のSiO2保護膜を形成し、その上にGaNを選択成長させる。この方法では、SiO2保護膜上でGaNを横方向に成長させることにより、転位も保護膜上に向かい横方向に曲げることができる。このため、SiO2保護膜上では縦方向への転位の伝播が抑制されるため、低転位密度の窒化ガリウム膜を成長することができる。保護膜の上部に成長したGaNの表面には転位はほとんどない。ただし、マスクを形成していない部分に成長したGaNの表面にはほぼ1×107/cm2の転位が存在する。このように、従来の技術は、転位の少ない領域を局部的に作製する技術である。
【0005】
また、別の方法として、例えば、異種基板上に成長させた窒化物半導体層に部分的に凹凸を形成し、凹部側面に窒化物半導体の横方向の成長が可能な面を露出させ、その後、窒化物半導体を再成長させることにより、凹部側面から窒化物半導体の横方向の成長を行って、転位の低減を図る方法も行われている(例えば、非特許文献3参照。)。この方法では、凹部上の領域に転位の少ない領域が形成され、凸部上には転位が存在する。
【0006】
したがって、従来のラテラル成長法を利用した半導体レーザの作製においては、非常に狭く局部的に形成された転位の少ない領域に発光領域が形成される。
【0007】
また、窒素、アンモニア雰囲気中での熱処理によりマストランスポートを生じさせて局所的にGaNの貫通転位密度の低減を図る報告もある(例えば、非特許文献4、5、6参照。)。
【0008】
【非特許文献1】
うすい(A. Usui )他,「シック・ガリウムナイトライド・エピタキシャル・グロース・ウィズ・ロー・ディスロケーション・デンシティ・バイ・ハイドライド・ベーパー・フェーズ・エピタキシ・(Thick GaN Epitaxial Growth with Low Dislocation Density by Hydride Vapor Phase Epitaxy)」,ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japanese Journal of Applied Physics),(日本),応用物理学会,1997年7月,第36巻,第7B号,p.L899−L902
【0009】
【非特許文献2】
なかむら(S. Nakamura)他,「インジウムガリウムナイトライド/ガリウムナイトライド/アルミニウムガリウムナイトライド−ベースト・レーザー・ダイオーヅ・ウィズ・モジュレーション−ドープト・ストレインド−レイヤ・スーパーラティシズ・グロウン・オン・アン・エピタキシャリ・ラテラリ・オーバーグロウン・ガリウムナイトライド・サブストレート(InGaN/GaN/AlGaN−based laser diodes with modulation−doped strained−layer superlattices grown on an epitaxially laterally overgrown GaN substrate)」,アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letter),(米国),ザ・アメリカン・インスティチュート・オブ・フィジックス(The American Institute of Physics), 1998年1月12日,第72巻, p.211−213
【0010】
【非特許文献3】
T・S・ゼレバ(T.S.Zheleva)他,「ペンデオ―エピタキシ・ア・ニュー・アプローチ・フォー・ラテラル・グロウス・オブ・ガリウムナイトライド・ストラクチャーズ(Pendeo−Epitaxy A New Approach for Lateral Growth of GaN Structures)」,エムアールエス・インターネット・ジャーナル・オブ・ナイトライド・セミコンダクタ・リサーチ(MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor Research),(米国),マテリアルズ・リサーチ・ソサイエティ(Materials Research Society), 2000年,4S1,G3.38
【0011】
【非特許文献4】
新田州吾他,マストランスポートによるGaNの貫通転位密度の低減,第60回応用物理学会学術講演会講演予稿集,(日本),応用物理学会,1999年9月,第282頁,2P−W−11
【0012】
【非特許文献5】
新田州吾他,III族窒化物のマストランスポート特性(2),第47回応用物理学会学術講演会講演予稿集,(日本),応用物理学会,2000年3月,第358頁,29a−YQ−3
【0013】
【非特許文献6】
新田州吾他,III族窒化物のマストランスポート特性(3),第61回応用物理学会学術講演会講演予稿集,(日本),応用物理学会,2000年9月,第279頁,3a−Y−9
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ラテラル成長法等による低転位化は、本質的に低転位密度の領域を局所的に作製する方法であり、低転位密度の領域の幅は10μm程度が限界である。先にも述べたように、半導体レーザの作製おいては低転位密度領域に共振器ストライプを形成する必要があり、低転位密度領域の幅は広い方が望ましい。しかし、従来のラテラル成長法等によれば、低転位密度領域を広くするためには、SiO2保護膜の幅を広くしたり、凹凸の凹部の幅を広くする等の必要がある。
【0015】
しかし、幅が広くなるほど、SiO2保護膜や凹部を完全に埋め込むためにはGaNを数十μm以上の厚さで成長する必要がある。さらに、完全に平坦な面を得るためには100μm近い膜厚が必要である。膜が厚くなると、クラックの発生や、エピタキシャル成長後の基板の反りが大きくなるなどの問題が発生する。また、ラテラル成長法は、成長時間が長く、消費原料が多いなど生産性の面で大きな問題がある。
【0016】
このように、ラテラル成長法等では、低転位密度の領域が得られる幅は10μm程度が実質的な限界であり、これ以上低転位密度の領域を広くすることができないという問題があり、さらに生産性の面でも大きな問題がある。
【0017】
そこで、本発明の目的は、エピタキシャル成長において広い領域で転位密度が低減され結晶性が良好な窒化物半導体を得て、高性能の窒化ガリウム系半導体素子、窒化ガリウム系半導体基板、窒化ガリウム系フォトニック結晶を高い歩留まりで提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上述した課題を解決するために、本発明の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法は、基板上に窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層の上に窒化ガリウム系半導体の素子を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0019】
この本発明の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法において以下の構成を備えることが好ましい。
(1)前記複数のトレンチのそれぞれは、上から見た形状がストライプ状、円状、若しくは多角形状の溝であること。
【0020】
(2)前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW≦2Tであり、前記トレンチのアスペクト比は2以上であること。
【0021】
(3)前記窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成すること。
【0022】
(4)前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であること。
【0023】
また、本発明の窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法は、基板上に窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのそれぞれを変形させ、変形させた当該トレンチの位置にそれぞれ対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に複数の空洞を形成し、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層をフォトニック結晶とする工程とを具備することを特徴とする。
【0024】
この本発明の窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法において以下の構成を備えることが好ましい。
【0025】
(1)前記複数のトレンチのそれぞれは、上から見た形状がストライプ状、円状、若しくは多角形状の溝であること。
【0026】
(2)前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW>2Tであり、前記トレンチのアスペクト比は2以上であること。
【0027】
(3)前記窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成すること。
【0028】
(4)前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であること。
【0029】
また、本発明の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法は、基板上に第1の窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該第1の窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記第1の窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記第1の窒化ガリウム系半導体層の上に第2の窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、前記第1の窒化ガリウム系半導体層の空洞の部分における剥離により、前記第2の窒化ガリウム系半導体層と前記基板とを分離して、前記第2の窒化ガリウム系半導体層を有する窒化ガリウム系半導体基板を作製することを特徴とする。
【0030】
この本発明の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法において以下の構成を備えることが好ましい。
【0031】
(1)前記複数のトレンチのそれぞれは、上から見た形状がストライプ状、円状、若しくは多角形状の溝であること。
【0032】
(2)前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW≦2Tであり、前記トレンチのアスペクト比は2以上であること。
【0033】
(3)前記第1の窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成すること。
【0034】
(4)前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であること。
【0035】
(5)第2の窒化ガリウム系半導体層は、厚さが150μm以上のGaN層であること。
【0036】
また、本発明の第1の窒化ガリウム系半導体素子は、基板と、この基板上に形成され、幅が20μm以上の連続した空洞を有する窒化ガリウム系半導体層と、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層の上に形成され当該空洞上に位置する窒化ガリウム系半導体の素子とを具備することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の第2の窒化ガリウム系半導体素子は、基板と、この基板上に形成されたGaN層とGaAlN層との多層膜と、この多層膜の上に形成された窒化ガリウム系半導体の素子とを具備し、前記多層膜のGaN層に選択的に空洞が形成されており、前記窒化ガリウム系半導体の素子は当該空洞上に位置することを特徴とする。
【0038】
本発明の第2の窒化ガリウム系半導体素子において、前記空洞は、幅が20μm以上の連続した空洞であることが好ましい。
【0039】
また、本発明の第1の窒化ガリウム系フォトニック結晶は、基板と、この基板上に形成された窒化ガリウム系半導体層とを具備し、前記窒化ガリウム系半導体層に空洞が所定の周期で形成されてなることを特徴とする。
【0040】
また、本発明の第2の窒化ガリウム系フォトニック結晶は、基板と、この基板上に形成されたGaN層とGaAlN層との多層膜とを具備し、前記多層膜のGaN層に選択的に空洞が所定の周期で形成されてなることを特徴とする。
【0041】
(作用)
本発明の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法によれば、基板上に形成した窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成し、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成する。この空洞を有する窒化ガリウム系半導体層は、同じ又は別の窒化ガリウム系半導体層と基板との界面で生成された貫通転位がその上の発光素子等の形成される素子領域まで伝播するのを抑制する効果がある。即ち、この空洞上の窒化ガリウム系半導体領域では転位密度が低く、上記複数のトレンチの熱処理により当該空洞の領域を広げることによって、低転位密度の窒化ガリウム系半導体領域を広く形成することが可能である。
【0042】
また、発光素子やトランジスタ等の素子を作製する上においては、転位密度の低い領域が広いほど、発光素子の発光領域やトランジスタのチャネル領域等と低転位密度の領域との位置合わせが容易になり、信頼性の向上を図ることができる。転位密度の低い領域の幅は少なくとも20μm以上が必要である。本発明によれば、従来のラテラル成長法等による低転位密度化では不可能な20μm以上の低転位密度領域を容易に作製でき、信頼性の高い発光素子やトランジスタ等の素子を提供することが可能である。
【0043】
上記した20μm以上の低転位密度領域を容易に作製するために好適な条件は、前記トレンチのそれぞれの幅Tを2μm以下とし、隣接するトレンチの中心の間隔WをW≦2Tとし、前記トレンチのアスペクト比は2以上とすることである。トレンチのそれぞれの幅が2μmを超えたり、トレンチのアスペクト比が2未満であると、空洞形成に支障が生じ、隣接するトレンチの間隔がトレンチ幅の2倍を超えると、隣接したトレンチの位置に対応して窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成することが困難となるからである。
【0044】
また、本発明の窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法によれば、基板上に形成した窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成し、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのそれぞれを変形させ、変形させた当該トレンチの位置にそれぞれ対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に複数の空洞を形成する。当該空洞の大きさ、位置は、例えばトレンチの幅、形成する間隔、深さなどにより制御でき、空洞の大きさ、位置をフォトニック結晶として機能するように設計することが可能である。
【0045】
特に、空洞の幅を2μm以下とすることにより、フォトニック結晶、特に二次元および三次元のフォトニック結晶を良好に提供することが可能である。空洞の幅を2μmより大きくすると、実質的に二次元、三次元のフォトニック結晶として機能する周期で空洞を形成することがより難しくなる。
【0046】
上記したフォトニック結晶、特に二次元および三次元のフォトニック結晶を良好に提供するために好適な条件は、前記トレンチのそれぞれの幅Tを2μm以下とし、隣接するトレンチの中心の間隔WをW>2Tとし、前記トレンチのアスペクト比は2以上とすることである。トレンチのそれぞれの幅が2μmを超えたり、トレンチのアスペクト比が2未満であると、空洞形成に支障が生じる。隣接するトレンチの間隔がトレンチ幅の2倍以下となると、隣接したトレンチの位置のそれぞれに対応して窒化ガリウム系半導体層の内部に孤立した空洞を形成することが困難となるからである。
【0047】
また、本発明の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法によれば、基板上に形成した第1の窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成し、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記第1の窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記第1の窒化ガリウム系半導体層の上に第2の窒化ガリウム系半導体層を形成し、前記第1の窒化ガリウム系半導体層の空洞の部分における剥離により、前記第2の窒化ガリウム系半導体層と前記基板とを分離して、前記第2の窒化ガリウム系半導体層を有する窒化ガリウム系半導体基板を作製する。この方法によれば、上記した剥離により、第2の窒化ガリウム系半導体層と基板間の分離をより確実かつ容易に行うことができ、基板作製の歩留まりが向上する。この方法は、格子定数や熱膨張係数などがGaNとは異なる基板上に対しても適用可能であり、良好な基板を作製することができる。
【0048】
かかる基板の製造方法において、良好な基板を作製するために、第2の窒化ガリウム系半導体層は厚さが150μm以上のGaN層であることが好ましい。また、当該GaN層は、ハイドライド気相成長(HVPE)法により成長することが好ましい。
【0049】
また、上記した本発明のそれぞれにおいて、窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に空洞を形成すれば、GaNとGaAlN間のマストランスポートの起こりやすさの違いを利用し、空洞ができる位置、大きさを制御することが可能となる。即ち、GaAlNのマストランスポートはGaNのそれに比べて起こりにくく、GaN層が形成された位置では優先してマストランスポートが起こるため、この部分に空洞が生じやすくなる。この現象を利用することにより、空洞の位置や大きさを制御することが可能である。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による空洞の作製方法に係る実施形態について、図1(a)乃至図1(e)の工程別断面図を用いて説明する。なお、図1(a)乃至図1(e)では、基板100としてサファイア基板の(0001)面を使用した場合について説明するが、本発明では、基板の材料にはよらず、SiC、Si、GaAs、GaN等の基板を用いることもできる。
【0051】
まず、サファイア基板100をMOCVD反応管内のサセプターへ設置し、還元雰囲気中で約1050℃まで加熱して、GaN層形成予定領域である基板主表面の酸化物を除去した。その後、サセプター温度を約550℃まで降温し、有機金属気相成長法( MOCVD法)によりTMG( トリメチルガリウム) ガス、アンモニアガスを流し、GaNバッファ層101を膜厚約0. 02μm成長させた。次に、温度を約1100℃まで上昇させGaN層102を膜厚約3μm成長させた。その後、一旦、基板を反応管より取り出し、図1(a)に示すようにGaN層102上にSiO2膜103を堆積し、さらにレジスト104を塗布した。
【0052】
次に、フォトリソグラフィでレジスト104に対してパターンを形成した。パターンは、直径2μmの円形状の穴が複数個開いており、隣接する穴の間隔は2.0μm及び4.0μmとなっている。後述するトレンチ105aの形成予定領域では穴の中心間隔が4.0μm、トレンチ105bの形成予定領域では穴の中心間隔が6.0μmとなっている。さらに、レジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜103をエッチングした。次に、レジストマスクを除去した後、SiO2膜103をマスクとして、GaN膜102をエッチングする。
【0053】
このような微細なエッチングには、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、電界イオンビーム(FIB)によるエッチング等のドライエッチング技術が有効であり、本実施形態ではCl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)によりGaN膜102をエッチングし、図1(b)に示すようにGaN膜102に直径2μm、深さ4μmの円形のトレンチを形成した。隣接するトレンチの中心間隔は、上記したようにトレンチ105aにおいて4.0μm、トレンチ105bにおいて6.0μmである。
【0054】
次に、図1(c)に示すようにSiO2マスク103を除去し、この後、雰囲気調整可能な加熱炉へウエハーをセットする。窒素ガスを4slm(standard liter per minutes)
流し、基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。この過程において、窒素雰囲気で加熱昇温することにより、基板に付着していた水分や不純物ガスが除去される。ただし、この過程でのGaNの分解蒸発によるエッチングは無視できる。
【0055】
次に、基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス4slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、GaN層102表面ではGaNの分解、物質輸送、GaN再付着という過程、いわゆるマストランスポート現象が生じる。トレンチ105a、105b内においては、図1(d)に示すように、マストランスポート現象により、表面エネルギーが小さくなるようにトレンチの形状が変化する。その結果、図1(e)に示すように、GaN層102中に空洞が形成される。このとき、隣接するトレンチの中心間隔が6.0μmと広い場合には、一個のトレンチ105bに対し、一個の空洞106bが形成された。一方、隣接するトレンチの中心間隔を4.0μmと狭くした場合には、空洞が形成される過程において、隣接するトレンチ部105a同士が合体して、結果として大きな空洞106aが形成された。
【0056】
このように、本実施形態によれば、空洞の大きさを、トレンチの幅、トレンチの間隔、トレンチの深さにより制御可能であり、また、マストランスポートを生じさせる温度、雰囲気によっても制御可能である。
【0057】
上記実施形態ではトレンチを形成した場合のマストランスポート現象を用いた場合について説明を行ったが、本質的には、トレンチのアスペクト比が2以上の凹状部を形成すればマストランスポートにより空洞を形成することが可能である。また、隣接するトレンチの中心間隔Wを、トレンチの直径Tに対し2T≧Wとなるように狭くすれば、空洞が形成される過程において、隣接する空洞同士が合体し、大きな空洞が形成できる。
【0058】
また、凹状部の形状は円形状に限られず、ストライプ状であってもよい。さらに、本実施形態は雰囲気調整可能な炉であれば実施可能であり、MOCVD装置やHVPE装置でもよい。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0060】
(第1の実施例)
次に、本発明による第1の実施例として、窒化ガリウム系半導体レーザについて説明する。本実施例における窒化ガリウム系半導体レーザは、図2に示す如く、マストランスポートにより形成された大きな空洞306を有するGaN層302を有しており、その上に半導体レーザ構造が形成されている。マストランスポートにより形成された空洞306の上部結晶は転位が少なく、その上に半導体レーザ構造を形成することにより、低閾値でかつ長寿命の半導体レーザを作製することができる。
【0061】
以下、図3乃至5によりさらに詳細に説明する。MOCVD装置により図1の説明で既に述べた手順により、サファイア基板300上にGaNバッファ層301、およびGaN層302を積層する(図3(a))。さらに、GaN層302上にSiO2膜を堆積し、さらにレジストを塗布した。次に、フォトリソグラフィでレジストパターンを形成した。さらにレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングし、SiO2マスクを形成した。
【0062】
次に、レジストマスクを除去した後、SiO2膜をマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)によりGaN膜302をエッチングしトレンチ305を形成した(図3(b))。本実施例で形成したトレンチは、直径2μmで、トレンチの中心間隔が4μm、深さ4μmである。トレンチを形成する領域は、図4に示すように幅100μm×長さ700μmを半導体レーザ素子一個に相当する単位領域として、一枚のウエハー上に形成する半導体素子の数と同じ数の単位領域にトレンチを形成した。
【0063】
次に、SiO2マスクを除去した後、再度MOCVD装置内へウエハーをセットする。窒素ガスを20slm流し、基板温度を1000℃まで昇温する。この過程において、窒素雰囲気で加熱昇温することにより、基板に付着していた水分や不純物ガスが除去される。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスの導入を開始し、窒素ガス20slmとNH3ガス10slmの混合ガスを流した。この雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、マストランスポート現象により、表面エネルギーが小さくなるようにトレンチの形状が変化し、空洞306が形成される。本実施例では、隣接するトレンチの中心の間隔は4.0μmで、隣接するトレンチが近接しているため、空洞が形成される段階で、隣接する空洞同士が合体し、結果として図3(c)に示すように、トレンチを形成した単位領域(幅100μm×長さ700μm。図4参照。)とほぼ同じ大きさの空洞306が形成される。
【0064】
以上のように形成した空洞306の直上部のGaN層307表面近傍を透過電子顕微鏡により観察したところ、転位密度が10−5/cm2程度で、転位密度が減少していることが分かった。これは、サファイア基板300とGaN層301との界面から成長方向に伸びる転位が、図5に示すように、マストランスポートによる空洞形成過程で転位が横方向に曲げられたために、空洞上部のGaN層307表面では転位密度が減少したものである。
【0065】
このように、本実施例によれば、トレンチ305を形成する領域の広さを変えることにより、空洞306の大きさを制御することが可能であり、空洞306直上には転位密度の低い窒化ガリウム層307の領域が得られる。すなわち、原理的には、トレンチ305を形成する領域を広くすることにより、いくらでも低転位領域を広くすることが可能である。
【0066】
従来のラテラル成長を用いて作製した半導体レーザでは、図6に示すように半導体レーザのストライプ部617aを形成する際に、低転位密度領域602bとの位置合せが必要である。しかし、ラテラル成長法による低転位化法では、低転位密度領域の幅は10μm程度が限界であり、この位置合せが困難であるという問題があった。しかし、本発明によれば、既に述べたように低転位密度領域を広くすることが可能であり、従来の方法と比較して、容易に低閾値で長寿命の半導体レーザを作製することができる。なお、図6において、600はサファイア基板、601はGaNバッファ層、602aはGaN層、608はn型GaNコンタクト層、609はSiドープのn型Ga0.9Al0.1n型クラッド層、610はSiドープのn型GaN光ガイド層、611はアンドープIn0.2Ga0.8N(3nm)及びSiドープIn0.05Ga0.95N(6nm)の2種類のInGaN層を4周期繰り返して構成されるMQW活性層、612はMgドープのp型Ga0.8Al0.2Nキャップ層、613はMgドープのp型GaN光ガイド層、614はMgドープのp型Ga0.9Al0.1Nクラッド層、615はp型GaNコンタクト層、616はSiO2膜絶縁膜、617はp側電極、618はn側電極である。
【0067】
一方、本発明では前記したように、低転位密度領域をいくらでも広くすることができるものの、幅が広すぎても空洞上部のGaN層307の強度が実質的に弱くなり、たわみや割れなどが発生する可能性がある。このため、本実施例ではこれらの問題のないように幅100μm以下とすることが望ましい。
【0068】
以上の工程により、GaN層302表面がマストランスポートにより平坦に埋め込まれた後、温度を1050℃まで昇温し、引き続き図3(d)に示すように窒化ガリウム系半導体レーザ構造を積層した。即ち、Siを添加したn型GaNコンタクト層308を厚さ約2μm、Siドープのn型Ga0.9Al0.1n型クラッド層309を約1.0μm、Siドープのn型GaN光ガイド層310を約0.1μm、さらにアンドープIn0.2Ga0.8N(3nm)及びSiドープIn0.05Ga0.95N(6nm)の2種類のInGaN層を4周期繰り返して構成されるMQW活性層311、Mgドープのp型Ga0.8Al0.2Nキャップ層312を0.2μm、Mgドープのp型GaN光ガイド層313を約0.1μm、Mgドープのp型Ga0.9Al0.1Nクラッド層314を約0.7μm、およびp型GaNコンタクト層315を約0.1μm順次成長した。これらの各層にわたる転位密度は、空洞306上のGaN層307の転位密度と同等であった。
【0069】
上記成長層を形成したサファイア基板を反応管より取り出し、フォトリソグラフィ及びエッチング工程により、p型GaNキャップ層312及びp型GaAlNクラッド層314よりなる幅約2μmのリッジ部を形成し、このリッジ部の上端を除いてリッジ側面とその周辺には、SiO2膜絶縁膜316を形成した。その後、p側電極317、n側電極318を形成し、図3(e)に示すような半導体レーザ構造が完成した。
【0070】
従来のラテラル成長法を用いた転位低減においては、SiO2マスク上のみ転位が低減されるが、SiO2マスクのない窓部の上部においては、転位密度低減の効果は僅かである。このため、転位密度の少ない領域と多い領域とが、約10μm間隔で存在する。半導体レーザの作製においては、ストライプの位置を転位密度の少ない領域に合せる必要がある。少しでもこの合せがずれると、転位密度の多い部分の上にストライプが形成されることになり、閾値の上昇、寿命の低下の原因となる。しかし、本発明によれば、低転位の領域を広くできるため、このような問題はなく、信頼性の高い半導体レーザを作製することができる。これにより、作製した半導体レーザ装置の発光強度の増大、閾値の低減、長寿命化が可能となった。 また、大きい空洞が存在する別の効果として、半導体レーザとサファイア基板との剥離が容易となる点も挙げられる。
【0071】
本実施例では、基板としてサファイア、SiC、Si、GaAs等のヘテロ基板を用いる場合について説明したが、GaN基板を用いた場合にも本発明は適用できる。この場合は、空洞により転位密度の低減が可能であることと、さらに、GaN基板側への光の漏れを抑制することができ、いっそうの発光強度の増大、閾値電流密度の低減などを図ることができる。
【0072】
(第2の実施例)
第1の実施例は、MOCVD装置による半導体レーザの作製に関する例であるが、本発明はこれに限るものではなく、ハイドライド気相成長(HVPE)装置によるGaN厚膜の作製にも適用できる。以下に第2の実施例としてHVPE法によるGaN基板作製について図7に従って詳細に説明する。
【0073】
本実施例では、MOCVD装置で2インチφのサファイア基板700上にGaNバッファ層701aを介して6μmのGaN膜701bを成長し、このGaN膜701bにトレンチ701e及び701fを形成したウエハーをテンプレートとして用いた。その手順の概略は第1の実施例と同様である。トレンチ701e及び701fはそれぞれ、直径2μm、トレンチの中心間隔4μm、深さ4μmである。後述する空洞上部のGaN層704を保持するために、図8に示すように1mm間隔でトレンチ群の間隔を5μm(トレンチ701eと701fとの間隔に相当。)とし、ウエハーのほぼ全面にトレンチ群(トレンチ701e、701fが該当。)を形成した。
【0074】
ハイドライド気相成長(HVPE)装置へこの基板をセットし、N2ガス雰囲気で1000℃まで昇温した。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスの導入を開始し、窒素ガス5slmとNH3ガス5slmの混合ガスを流した。この雰囲気において、1000℃で30分間保持することにより、マストランスポートにより、トレンチの形状を変化させ、空洞を形成した。本実施例においても、第1の実施例と同様に、隣接するトレンチの中心間の間隔は4.0μmで、空洞が形成される段階で、隣接する空洞同士が合体し、結果として図7(b)に示すように幅1mm×長さ1mm×2μmの空洞702a及び702bがそれぞれトレンチ701eと701fに対応する領域に幅5μmのGaN支持部703をはさんで形成された。
【0075】
さらに、図7(c)に示すように基板温度を1000℃に保持したまま、続けてGaN層705を成長させる。820℃に加熱したグラファイト製のGa溜へHClガスとN2ガスの供給を開始する。これにより、III族の原料としてのGaClが合成されGaN成長部へ供給されると同時に、GaNの成長が開始された。GaN層705を約200μm成長した後、試料を装置より取り出した。
【0076】
従来の方法でサファイア基板上に200μm以上の厚膜を直接成長させた場合、基板が大きく反るという問題があった。しかし、本実施例によれば下地のGaN層701b中に空洞702a及び702bがあるため、成長中はGaNの自立基板上への成長に近い状態での成長が可能である。このため、サファイア基板700とGaN層701a、701bとの格子定数差や熱膨張係数差に起因する応力の影響が小さいため、反りの小さいGaN厚膜705を形成することができた。さらに、図7(d)に示すように、例えばArFレーザをサファイア基板700側より、GaN支持部703部へ照射することにより、容易にサファイア基板700を剥離することができた。残存するGaN層702bは必要に応じて除去する。このようにして作製したGaN基板705の曲率半径は104mm以上であり、非常に反りの少ないGaN基板を作製することができた。
【0077】
また、転位密度にしても、第1の実施例において述べたように、空洞702a、702b直上のGaN層704の転位密度は105/cm2程度であり、その上に積層したGaN厚膜705においても、転位密度は105/cm2程度であった。従って、本実施例により、転位密度が105/cm2程度の良好なGaN基板705を作製することが可能であった。
【0078】
(第3の実施例)
次に、第3の実施例として、空洞のサイズおよび位置を制御することによりフォトニック結晶を作製する場合について図9を用いて説明する。
【0079】
まず、既に述べた方法と同様の手順により、MOCVD法によりサファイア基板900上にGaNバッファ層901を介してGaN層902を厚さ6μm堆積した。基板を反応管より取り出し、GaN層902上にSiO2膜を堆積した後、レジストを塗布した。その後、EB描画装置を用いて直径2μmの円形で、中心間隔が4μmのトレンチパターンをレジストに形成した。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。次に、レジストマスクを除去し、SiO2膜をエッチングマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、GaN層902をエッチングし、図9(a)に示すようにGaN層902に直径2μmの円形で、隣接するトレンチの中心間隔が4μmで、深さ4μmのトレンチ903aを形成した。
【0080】
次に、SiO2マスクを除去した後、MOCVD装置へ再び基板をセットし熱処理を行う。窒素ガスを20slm流しながら基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス10slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、トレンチ903aの表面を含むGaN層表面902ではGaNの分解、物質輸送、GaN再付着というマストランスポート現象が生じる。この処理により、トレンチ903aの形状が変化し、結果として図9(c)に示すように、GaN層902中に広い領域で空洞904が形成された。この構造を作製するためには、図9(a)に示すようなトレンチを形成することによってのみ可能なわけではなく、図9(b)に示すように幅2μm、深さ4μmの溝を中心間隔4μmで形成することによっても、図9(c)に示すように大きな空洞を形成することができる。
【0081】
既に述べたように、空洞904直上のGaN層905は転位密度が少なく高品質のGaN層である。さらに、このGaN層905は上下より空気により挟み込まれた構造である。すなわち空洞904上部のGaN層905は、屈折率3.5のGaNが屈折率1の空気により挟まれた構造であり、レーザ光を入射した場合GaN層905中に光を閉じ込めることができ、光導波路として応用できる。
【0082】
次に、二次元のフォトニック結晶を作製するために、この空洞904上部のGaN層905にウエハー表面側から空洞904まで達する貫通穴906を、周期的な位置に図9(d)のように形成した。この貫通穴906の形成は、SiO2膜をマスクとして反応性イオンビームエッチング(RIBE)により作製した。本実施例では貫通穴906は三角格子状に各格子点上に配置した。このとき、入射させる光の波長をλとすると、貫通穴906の直径r、隣接する貫通穴の中心間の距離aを調節することにより、ブリルアンゾーンのあらゆる方向にわたって光波のモードが生じないエネルギー領域、すなわち、フォトニックバンドギャップを形成することができる(例えば、特開平10−284806号公報等。)。図9(d)では、貫通穴906を三角格子状に配列すると共に、貫通穴を形成しない部分、すなわち格子点へ欠陥を導入することにより、Y分岐の光導波路907、908、909を形成した。光導波路907は光導波路908、909に分岐する。外部より集光したレーザ光を入射したところ、光は欠陥部分をほとんど損失することなく導波し、Y分岐により分岐された。
【0083】
GaNはバンドギャップエネルギーが3.39eVと広く、紫外光領域から可視光領域、さらには光通信で使用される1.55μm帯の近赤外領域まで、広い波長範囲で透明な材料であり、フォトニック結晶用として有望な材料である。本発明によれば、入射するレーザ光の波長に合わせて貫通穴のサイズ、位置を変えるだけで、容易に光導波路を形成することができる。
【0084】
(第4の実施例)
実施例3で説明したのと同様の方法で作製した別のGaNのフォトニック結晶を図10に示す。導波路構造およびその製造方法については図9(d)とほぼ同じである。図10に示すように、1000はサファイア基板、1001はGaNバッファ層、1002はGaN層、1004は空洞、1005は空洞上のGaN層、1006は貫通穴、1007は欠陥導波路である。本実施例では、欠陥導波路1007に沿って、導波路1007の近傍に大きい貫通穴1008、1009、1010を欠陥として導入した。これらの導入した貫通穴1008、1009、1010は共振器として機能し、それぞれの貫通穴1008、1009、1010は欠陥導波路1007からの距離および直径が異なっており、共振する波長が異なる。すなわち、複数の波長を含む光を入射すると、波長ごとに共振する貫通穴が異なるため、波長ごとに異なる欠陥部分より光を放射させることができる。この機能は、長分割多重方法(WDM)の通信用の光アド・ドロップ素子として使用することができる。本実施例では、波長λ1の光に対応する貫通穴として1008を、波長λ2の光に対応する貫通穴として1009を、波長λ3の光に対応する貫通穴として1010を形成する。貫通穴1008、1009、1010と欠陥導波路1007との距離は、貫通穴1006が三角格子状に配置し、隣接する貫通穴の距離がaである場合、(3√3/2)aで与えられる。貫通穴1008、1009、1010それぞれの直径は共振する波長により違えてあり、それぞれの貫通穴部より異なる波長の光が放射される。
【0085】
一方、既に述べたようにGaNは紫外および可視領域の光に対しても透明であり、損失のない光伝送が可能である。その波長範囲での応用例として、色調を変化させることのできる発光デバイスへの応用がある。本発明によるフォトニック結晶は、波長により光が出射される位置を変えることが可能である。例えば、光が放射される各欠陥部分に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体を設置しておく。さらに、紫外から青色領域の波長可変レーザを用い、入射させる波長を変化させることにより、R、G、Bそれぞれの発光が得られる。すなわち、色調の可変な発光デバイスを実現することができる。
【0086】
(第5の実施例)
次に、フォトニック結晶と発光デバイスを積層する場合について図11により説明する。まず、MOCVD法によりサファイア基板1100上にGaNバッファ層1101aを介してGaN層1101bを4μm堆積した。基板を反応管より取り出し、GaN層1101b上にSiO2膜を堆積した後、レジストを塗布した。その後、EB描画装置を用いて円形のパターンを三角格子の格子点上に転写した。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。次に、レジストマスクを除去し、SiO2膜をエッチングマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、GaN層1101bをエッチングし、図11(a)に示すようにGaN層1101bにトレンチ1102を三角格子状に作製した。
【0087】
さらにSiO2マスクを除去した後、MOCVD装置へ再び基板をセットし、熱処理した。窒素ガスを20slm流しながら基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス10slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で20分間保持した。この工程において、マストランスポートにより、トレンチの形状が変化し、結果として図11(b)に示すように、GaN層中に周期的に配列された微細な空洞1103が形成された。これは二次元のフォトニック結晶として機能する。
ここで、フォトニック結晶として機能させるには、空洞の直径rに比べ中心間の距離Wが近接している場合がある。この場合でも、トレンチの直径T(<r)を、空洞の中心距離Wとの関係が2T<Wとなるようにトレンチを形成し、さらに、本発明による空洞の形成過程で空洞の直径が拡大され、空洞の直径rがトレンチの直径Tよりも大きくなることにより解決することができる。より具体的には、本実施例では、トレンチを直径0.1μm、隣接するトレンチの中心間距離を0.4μmで形成した。その後、本発明による空洞の形成過程により、直径rが0.3μmで、隣接する空洞の中心間の距離Wが0.4μmとなるように空洞を形成することができた。
【0088】
本発明によれば、この空洞1103を有するフォトニック結晶層の上に、さらに発光素子を形成することが可能である。即ち、引き続きMOCVD装置により、まずn−GaNコンタクト層1104、n−GaAlNクラッド層1105、InGaN系のMQW活性層1106、p−GaAlNクラッド層1107、p−GaNコンタクト層1108を成長した。その後、Cl2ガスを用いドライエッチング法によりn−GaNコンタクト層1104が露出するまでエッチングし、さらにp側電極1109、n型電極1110を形成することにより面発光レーザを形成することができた。このように、本発明によれば、フォトニック結晶と発光素子との集積化が容易に行える。
【0089】
(第6の実施例)
三次元フォトニック結晶構造の作製への応用として、高反射ミラーを有するGaN系のRC−LED(Resonance Cavity LED)について図12を用いて説明する。三次元フォトニック結晶構造の作製方法はこれまでの実施例に説明した手順とほぼ同じである。
【0090】
MOCVD法によりサファイア基板1200上にGaNバッファ層1201を介してGaN膜1202を5μm堆積した。基板を反応管より取り出し、GaN層1202上にSiO2膜を堆積した後、レジストを塗布した。その後、EB描画装置を用いて直径0.15μmの円形のパターンを三角格子状にレジストに転写してレジストパターンを形成する。このとき、格子間隔は0.5μmとした。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。次に、レジストマスクを除去し、SiO2膜をエッチングマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、GaN層1202をエッチングし、図12(a)に示すように格子間隔が約0.5μmの三角格子状に直径約0.15μmの円形で深さ3μmのトレンチが形成された。
【0091】
さらにSiO2マスクを除去した後、MOCVD装置へ再び基板をセットし、熱処理した。窒素ガスを20slm流しながら基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス10slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で20分間保持した。この工程において、マストランスポートにより、トレンチの形状が変化し、結果として図12(b)に示すように、GaN層1202中に球状の空洞1202bが水平方向のみならず深さ方向にも並んだ構造が形成された。球状の空洞1202bそれぞれの直径は約0.2μm、水平方向の中心間の間隔は0.5μm、深さ方向の中心間の間隔は0.5μmであった。この層は三次元フォトニック結晶として機能し、反射ミラーとして使用する。
【0092】
引き続き、MOCVD装置により、n−GaNコンタクト層1203、n−GaAlNクラッド層1204、InGaN系のMQW活性層1205、p−GaAlN/GaNからなるDBR反射膜構造1206、p−GaNコンタクト層1207を順次成長した。その後、Cl2ガスを用いドライエッチング法によりn−GaNコンタクト層1203が露出するまでエッチングし、さらにp側電極1208、n側電極1209を形成した。このようにして作製したGaN系のRC−LEDは、活性層1205の裏面側に高反射率のフォトニック結晶を備えているため、高い光取り出し効率が実現できる。
【0093】
従来、高反射ミラーとしてGaN/AlGaNのDBRが用いられている。しかし、この材料系で高反射率を得るためには20周期以上の厚い結晶成長が必要であり、抵抗の上昇、クラックの導入などの問題があった。しかし、本発明のように、フォトニック結晶によれば、薄い層で高反射率が得られるため、容易に光取り出し効率の良好な発光デバイスを作製できる。
【0094】
(第7の実施例)
第6の実施例によればGaN層中に空洞を三次元的に配置することができる。本実施例では、深さ方向にも三角格子状に空洞を配置する方法を示す。まず、MOCVD法によりサファイア基板1300上にGaNバッファ層1301を介してGaN膜1302を5μm堆積し、さらにSiO2、レジストを形成した。第6の実施例と同様にして直径0.1μmの円形のパターンを三角格子状にレジストに転写してレジストパターンを形成する。このとき、格子間隔は0.4μmとした。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。
【0095】
次に、図13(a)に示すように、SiO2パターンをマスクとして、基板の主面に対し約60度の斜め方向より反応性イオンビームを照射した。この照射により斜めにトレンチ1303を形成することができた。このときのトレンチの深さは、アスペクト比が2以上になる必要があり、本実施例におけるトレンチの深さは1μmとした。アスペクト比を大きくすることにより、形成できる空洞の数が多くなる。さらに、トレンチ1303を第6の実施例と同様の条件で熱処理することにより、マストランスポートにより空洞1304が形成される。即ち、図13(b)に示すように、深さ方向にも三角格子状に空洞1304が配置されたフォトニック結晶を作製することができた。球状の空洞1202bそれぞれの直径は約0.3μm、隣接する空洞の間隔は0.4μmであった。この層は三次元フォトニック結晶として機能し、反射ミラーとして使用することも可能である。さらに、本実施例で作製した三次元フォトニック結晶上に、第6の実施例のように、発光素子を集積化させることもできる。
【0096】
(第8の実施例)
本発明者はAlGaNはGaNに比べマストランスポート現象が生じ難いことを見出した。本実施例では、この現象を利用し空洞の位置を制御するものである。
【0097】
第6及び第7の実施例によれば、深さ方向にも周期的な位置に空洞を形成できることを示した。しかし、空洞が形成される深さ方向の位置は、トレンチの形成精度、マストランスポートの条件等に大きく依存する。そこで、さらに深さ方向の位置精度を向上させるために、GaNとGaAlNの多層膜を用いることが可能である。この方法を、図14(a)乃至図14(e)の工程別断面図を用いて説明する。
【0098】
まず、図14(a)に示すようにサファイア基板1400をMOCVD反応管内のサセプターへ設置し、還元雰囲気中で約1050℃まで加熱して、GaN層形成予定領域である基板主表面((0001)面)の酸化物を除去した。その後、サセプター温度を約550℃まで降温し、有機金属気相成長法( MOCVD法)によりTMGガス、アンモニアガスを流し、GaNバッファ層1401を膜厚約0. 02μm成長させた。次に、温度を約1050℃とし、TMGガス、アンモニアガス、TMA(トリメチルアルミニウム)ガスを流し、MOCVD法によりGaAlN層1402aを0.2μm成長した。引き続き、TMGガス、アンモニアガスを流し、MOCVD法によりGaN層1402bを4μm成長した。さらに、GaAlN層1402cをGaAlN層1402aと同じ成長条件で0.2μm成長させた。その後、一旦、基板を反応管より取り出し、図14(a)に示すようにGaAlN層1402c上にSiO2膜1403を堆積し、さらにレジスト1404を塗布した。
【0099】
次に、フォトリソグラフィでレジスト1404に対してパターンを形成した。パターンは、円形状の穴が複数個開いており、本実施例では、直径2μmとした。穴の中心間隔は後述するトレンチ1405aの形成予定領域では、2μm、トレンチ1405bの形成予定領域では6μmとなっている。さらに、レジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜1403をエッチングした。次に、レジストマスクを除去した後、SiO2膜1403をマスクとして、GaAlN層1402c、GaN層1402b、GaAlN層1402aをそれぞれエッチングする。
【0100】
RIE、RIBE、FIB等のドライエッチング技術が有効であり、本実施形態ではCl2ガスを用いたRIBEによりGaAlN層1402c、GaN層1402bをそれぞれエッチングし、図14(b)に示すようにGaAlN層1402c、GaN層1402bに直径2μm、深さ4.5μmの円形のトレンチを形成した。隣接するトレンチの中心間隔は、上記したようにトレンチ1405aにおいて2μm、トレンチ1405bにおいて6μmである。
【0101】
次に、図14(c)に示すようにSiO2マスク1403を除去し、この後、雰囲気調整可能な加熱炉へウエハーをセットする。窒素ガスを4slm流し、基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。この過程において、窒素雰囲気で加熱昇温することにより、基板に付着していた水分や不純物ガスが除去される。ただし、この過程でのGaN、GaAlNの分解蒸発によるエッチングは無視できる。
【0102】
次に、基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス4slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、GaN層1402b表面ではGaNの分解、物質輸送、GaN再付着という過程、いわゆるマストランスポート現象が生じる。GaAlN層1402a及びGaAlN層1402cにおいてもマストランスポート現象が生じるが、GaNのマストランスポートされる速度よりもかなり遅い。このために、図14(d)に示すようにGaNはマストランスポートが進行して表面エネルギーが小さくなるようにトレンチの形状が変化するのに対し、GaAlNはほとんどマストランスポートが進行せずトレンチ形状はほとんど変化しない。即ち、GaN層1402b側からGaAlN層1402a、1402c側へ物質移動が生じ、GaN層1402bの部分に空洞が形成される。
【0103】
この結果、図14(e)に示すように、GaAlN膜1402aとGaAlN膜1402cとにより挟まれたGaN層1402b中に選択的に空洞が形成される。このとき、隣接するトレンチの中心間隔が6.0μmと広い場合には、一個のトレンチ1405bに対し、一個の空洞1406bが形成された。一方、隣接するトレンチの中心間隔を2μmと狭くした場合には、空洞を形成する過程において、隣接するトレンチ部1405a同士が合体して、結果として大きな空洞1406aが形成された。
【0104】
このように、本実施例ではGaNとGaAlN多層膜構造を採用することによって、GaN層1402bの部分に選択的に空洞を形成することができ、この結果、空洞の形成される深さ方向の位置を厳密に制御することができた。
【0105】
(第9の実施例)
GaNとGaAlN多層膜構造において積層回数を増加させることにより、深さ方向の異なる位置にそれぞれ空洞を制御性良く形成することが可能である。本実施例では、この方法及び構造について述べる。
【0106】
図15(a)に示すように、サファイア基板1500上にGaNバッファ層1501を形成し、さらにGaAlN層1502a、GaN層1502b、GaAlN層1502c、GaN層1502d、GaAlN層1502e、GaN層1502f、GaAlN層1502gを成長させた。各々のGaN層の膜厚は約0.3μm、各々のGaAlN層の膜厚は約0.3μmとした。さらに、この積層膜を上述した方法と同様の方法によりパターニングして図15(a)に示す構造を得た。トレンチ1503は円形の形状を有しており、それぞれの直径は0.1μm、深さは約1.8μmである。トレンチの中心間隔は0.6μmとなっている。
【0107】
次に、上記した熱処理条件と同様の条件で熱処理を行い、図15(b)に示すようにGaAlN膜1502a、1502c、1502e、1502gによりそれぞれ挟まれたGaN層1502b、1502d、及び1502f中に選択的に空洞1504が形成された。このとき、一個のトレンチ1503に対し、一個の空洞1504が形成された。空洞の直径は0.3μm、水平、垂直いずれの方向も隣接した空洞の中心間隔は0.6μmであった。このように、GaNとGaAlN多層膜構造の積層回数を増やすことによって、深さ方向の異なる位置(GaN層部分)にそれぞれ空洞を制御性良く形成することが可能であり、三次元フォトニック結晶等を歩留まり良く作製することが可能である。
【0108】
(第10の実施例)
第7の実施例では深さ方向にも三角格子状に空洞を配置する方法を示したが、この方法を第9の実施例に適用することにより深さ方向に制御性よく空洞を形成することが可能である。
【0109】
図16(a)に示すように、第9の実施例と同様にサファイア基板1600上にGaNバッファ層1601を形成し、さらにGaAlN層1602a、GaN層1602b、GaAlN層1602c、GaN層16502d、GaAlN層1602e、GaN層1602f、GaAlN層1602gを成長させた。GaAlN層1602g上にはSiO2膜1603を堆積した。各々のGaN層の膜厚は2μm、各々のGaAlN層の膜厚は0.16μmとした。さらに、第9の実施例と同様にSiO2膜1603をパターニングし、SiO2パターンをマスクとして上記積層膜を第7の実施例と同様の方法によりパターニングしてトレンチ1604を形成した(図16(b))。本実施例でのトレンチ形成用の円形パターンの直径は1μmで、隣接する円形パターンとの中心間距離は2.5μmとした。 次に、第9の実施例と同様の条件で熱処理を行い、図16(c)に示すようにGaAlN膜1602a、1602c、1602e、1602gによりそれぞれ挟まれたGaN層1602b、1602d、及び1602f中に選択的に空洞1604が形成された。このとき、一個のトレンチ1503に対し、一個の空洞1605が形成された。形成された空洞の直径は1.5μmであり、隣接する空洞との中心距離は2.5μmであった。1606はGaN層側からGaAlN層側へ物質移動が生じたことにより形成された層である。このように、GaNとGaAlN多層膜構造の積層回数を増やし、斜め方向の反応性イオンビーム照射を用いることにより、深さ方向の異なる位置(GaN層部分)に三角格子状にそれぞれ空洞を制御性良く形成することが可能である。各々のGaN層の膜厚、GaAlN層の膜厚および、形成するトレンチの直径、隣接するトレンチとの中心間の距離を本実施例で示した値よりも小さく設定することにより、三次元フォトニック結晶を容易に、かつ歩留まり良く作製することが可能である。
【0110】
なお、本発明は上記実施例に限定されることはない。例えば、本実施例では基板の材料としてサファイアを用いたが、その他、SiC、Si、GaAs、GaN等の基板を用いることもできる。
【0111】
また、空洞領域上に形成する素子は半導体レーザ等の発光素子に限られず、その他、GaN系材料を用いたトランジスタ(MESFETやMOSFET等)やダイオード等を空洞領域上に形成することが可能である。
【0112】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【0113】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、所望の広い範囲で低転位密度の窒化ガリウム系半導体領域を形成することができる。このため、高品質の結晶性を要求される半導体素子の作製が可能である。
【0114】
また、本発明によれば、作製する空洞のサイズ、位置を容易に制御できるため、フォトニクス結晶層を容易に形成できる。このため、高反射率の反射鏡、光導波路、フィルターなどを容易に作製でき、これらの機能素子と発光素子との集積化も容易となり、高機能発光素子を作製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【図2】本発明の第1の実施例による半導体レーザ装置の断面図。
【図3】本発明の第1の実施例による半導体レーザ装置の作製工程を説明するための工程断面図。
【図4】本発明の第1の実施例におけるトレンチ形成領域の概略図。
【図5】本発明の第1の実施例における空洞形成過程における転位密度の低減過程を説明するための工程断面図。
【図6】従来のEOLG上に形成された半導体レーザ装置の断面図。
【図7】本発明の第2の実施例におけるGaN基板の作製方法を説明するための工程断面図。
【図8】本発明の第2の実施例におけるトレンチ形成領域の概略図。
【図9】本発明の第3の実施例によるフォトニック結晶の作製方法を説明するための工程断面図。
【図10】本発明の第4の実施例によるフォトニック結晶を説明するための斜視図。
【図11】本発明の第5の実施例によるフォトニック結晶及びその上に積層した発光素子の斜視図。
【図12】本発明の第6の実施例によるフォトニック結晶及びその上に積層した発光素子の断面図。
【図13】本発明の第7の実施例による三次元フォトニック結晶作製方法を説明するための工程断面図。
【図14】本発明の第8の実施例による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【図15】本発明の第9の実施例による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【図16】本発明の第10の実施例による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【符号の説明】
100 サファイア基板
101 GaNバッファ層
102 GaN層
103 SiO2膜
104 レジスト
105a、105b トレンチ
106a、106b 空洞
300 サファイア基板
301 GaNバッファ層
302 GaN層
305 トレンチ
306 空洞
307 空洞306上部の低転位密度領域
308 n−GaNコンタクト層
309 n−AlGaNクラッド層
310 n−GaN光ガイド層
311 InGaN−MQW活性層
312 p−AlGaNキャップ層
313 p−GaN光ガイド層
314 p−AlGaNクラッド層
315 p−GaNコンタクト層
316 SiO2膜絶縁膜
317 p側電極
318 n側電極
401 トレンチ作製の単位領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法、窒化ガリウム系半導体基板及びその製造方法、窒化ガリウム系フォトニック結晶及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子、トランジスタ等の作製のための基板材料としては、成長させるエピタキシャル層と同じ物質のバルク結晶を用いることが一般的に望ましい。しかしながら、現在までに基板として使用できるGaNのバルク結晶は得られていなかった。このため、例えばサファイア(Al2O3 )、SiC、Si、GaAs基板等の格子定数や熱膨張係数などの物理的性質や、化学的性質が異なる基板が用いられてきた。
【0003】
しかし、このような異種基板上にエピタキシャル成長を行うと、ミスフィット転位が発生しやすく、基板と成長したGaN層との界面には108〜1010/cm2にも及ぶ高密度の転位が生成され、高品質のエピタキシャル成長層が得られない。この転位は成長方向に伝播し、活性層さらには表面まで貫通するため、素子の寿命や信頼性が低下するなどの重要な問題が生じる。
【0004】
最近では、異種基板とGaNの界面に生成される108〜1010/cm2にもおよぶ転位をレーザの活性層領域まで伝播させない方法として、ラテラル成長技術が用いられている(例えば、非特許文献1、2参照。)。これらの文献に述べられているように、異種基板上、あるいは異種基板上に成長させた窒化物半導体上に、ストライプ状のSiO2保護膜を形成し、その上にGaNを選択成長させる。この方法では、SiO2保護膜上でGaNを横方向に成長させることにより、転位も保護膜上に向かい横方向に曲げることができる。このため、SiO2保護膜上では縦方向への転位の伝播が抑制されるため、低転位密度の窒化ガリウム膜を成長することができる。保護膜の上部に成長したGaNの表面には転位はほとんどない。ただし、マスクを形成していない部分に成長したGaNの表面にはほぼ1×107/cm2の転位が存在する。このように、従来の技術は、転位の少ない領域を局部的に作製する技術である。
【0005】
また、別の方法として、例えば、異種基板上に成長させた窒化物半導体層に部分的に凹凸を形成し、凹部側面に窒化物半導体の横方向の成長が可能な面を露出させ、その後、窒化物半導体を再成長させることにより、凹部側面から窒化物半導体の横方向の成長を行って、転位の低減を図る方法も行われている(例えば、非特許文献3参照。)。この方法では、凹部上の領域に転位の少ない領域が形成され、凸部上には転位が存在する。
【0006】
したがって、従来のラテラル成長法を利用した半導体レーザの作製においては、非常に狭く局部的に形成された転位の少ない領域に発光領域が形成される。
【0007】
また、窒素、アンモニア雰囲気中での熱処理によりマストランスポートを生じさせて局所的にGaNの貫通転位密度の低減を図る報告もある(例えば、非特許文献4、5、6参照。)。
【0008】
【非特許文献1】
うすい(A. Usui )他,「シック・ガリウムナイトライド・エピタキシャル・グロース・ウィズ・ロー・ディスロケーション・デンシティ・バイ・ハイドライド・ベーパー・フェーズ・エピタキシ・(Thick GaN Epitaxial Growth with Low Dislocation Density by Hydride Vapor Phase Epitaxy)」,ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Japanese Journal of Applied Physics),(日本),応用物理学会,1997年7月,第36巻,第7B号,p.L899−L902
【0009】
【非特許文献2】
なかむら(S. Nakamura)他,「インジウムガリウムナイトライド/ガリウムナイトライド/アルミニウムガリウムナイトライド−ベースト・レーザー・ダイオーヅ・ウィズ・モジュレーション−ドープト・ストレインド−レイヤ・スーパーラティシズ・グロウン・オン・アン・エピタキシャリ・ラテラリ・オーバーグロウン・ガリウムナイトライド・サブストレート(InGaN/GaN/AlGaN−based laser diodes with modulation−doped strained−layer superlattices grown on an epitaxially laterally overgrown GaN substrate)」,アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letter),(米国),ザ・アメリカン・インスティチュート・オブ・フィジックス(The American Institute of Physics), 1998年1月12日,第72巻, p.211−213
【0010】
【非特許文献3】
T・S・ゼレバ(T.S.Zheleva)他,「ペンデオ―エピタキシ・ア・ニュー・アプローチ・フォー・ラテラル・グロウス・オブ・ガリウムナイトライド・ストラクチャーズ(Pendeo−Epitaxy A New Approach for Lateral Growth of GaN Structures)」,エムアールエス・インターネット・ジャーナル・オブ・ナイトライド・セミコンダクタ・リサーチ(MRS Internet Journal of Nitride Semiconductor Research),(米国),マテリアルズ・リサーチ・ソサイエティ(Materials Research Society), 2000年,4S1,G3.38
【0011】
【非特許文献4】
新田州吾他,マストランスポートによるGaNの貫通転位密度の低減,第60回応用物理学会学術講演会講演予稿集,(日本),応用物理学会,1999年9月,第282頁,2P−W−11
【0012】
【非特許文献5】
新田州吾他,III族窒化物のマストランスポート特性(2),第47回応用物理学会学術講演会講演予稿集,(日本),応用物理学会,2000年3月,第358頁,29a−YQ−3
【0013】
【非特許文献6】
新田州吾他,III族窒化物のマストランスポート特性(3),第61回応用物理学会学術講演会講演予稿集,(日本),応用物理学会,2000年9月,第279頁,3a−Y−9
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ラテラル成長法等による低転位化は、本質的に低転位密度の領域を局所的に作製する方法であり、低転位密度の領域の幅は10μm程度が限界である。先にも述べたように、半導体レーザの作製おいては低転位密度領域に共振器ストライプを形成する必要があり、低転位密度領域の幅は広い方が望ましい。しかし、従来のラテラル成長法等によれば、低転位密度領域を広くするためには、SiO2保護膜の幅を広くしたり、凹凸の凹部の幅を広くする等の必要がある。
【0015】
しかし、幅が広くなるほど、SiO2保護膜や凹部を完全に埋め込むためにはGaNを数十μm以上の厚さで成長する必要がある。さらに、完全に平坦な面を得るためには100μm近い膜厚が必要である。膜が厚くなると、クラックの発生や、エピタキシャル成長後の基板の反りが大きくなるなどの問題が発生する。また、ラテラル成長法は、成長時間が長く、消費原料が多いなど生産性の面で大きな問題がある。
【0016】
このように、ラテラル成長法等では、低転位密度の領域が得られる幅は10μm程度が実質的な限界であり、これ以上低転位密度の領域を広くすることができないという問題があり、さらに生産性の面でも大きな問題がある。
【0017】
そこで、本発明の目的は、エピタキシャル成長において広い領域で転位密度が低減され結晶性が良好な窒化物半導体を得て、高性能の窒化ガリウム系半導体素子、窒化ガリウム系半導体基板、窒化ガリウム系フォトニック結晶を高い歩留まりで提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
(構成)
上述した課題を解決するために、本発明の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法は、基板上に窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層の上に窒化ガリウム系半導体の素子を形成する工程とを具備することを特徴とする。
【0019】
この本発明の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法において以下の構成を備えることが好ましい。
(1)前記複数のトレンチのそれぞれは、上から見た形状がストライプ状、円状、若しくは多角形状の溝であること。
【0020】
(2)前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW≦2Tであり、前記トレンチのアスペクト比は2以上であること。
【0021】
(3)前記窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成すること。
【0022】
(4)前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であること。
【0023】
また、本発明の窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法は、基板上に窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのそれぞれを変形させ、変形させた当該トレンチの位置にそれぞれ対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に複数の空洞を形成し、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層をフォトニック結晶とする工程とを具備することを特徴とする。
【0024】
この本発明の窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法において以下の構成を備えることが好ましい。
【0025】
(1)前記複数のトレンチのそれぞれは、上から見た形状がストライプ状、円状、若しくは多角形状の溝であること。
【0026】
(2)前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW>2Tであり、前記トレンチのアスペクト比は2以上であること。
【0027】
(3)前記窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成すること。
【0028】
(4)前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であること。
【0029】
また、本発明の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法は、基板上に第1の窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該第1の窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記第1の窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記第1の窒化ガリウム系半導体層の上に第2の窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、前記第1の窒化ガリウム系半導体層の空洞の部分における剥離により、前記第2の窒化ガリウム系半導体層と前記基板とを分離して、前記第2の窒化ガリウム系半導体層を有する窒化ガリウム系半導体基板を作製することを特徴とする。
【0030】
この本発明の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法において以下の構成を備えることが好ましい。
【0031】
(1)前記複数のトレンチのそれぞれは、上から見た形状がストライプ状、円状、若しくは多角形状の溝であること。
【0032】
(2)前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW≦2Tであり、前記トレンチのアスペクト比は2以上であること。
【0033】
(3)前記第1の窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成すること。
【0034】
(4)前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であること。
【0035】
(5)第2の窒化ガリウム系半導体層は、厚さが150μm以上のGaN層であること。
【0036】
また、本発明の第1の窒化ガリウム系半導体素子は、基板と、この基板上に形成され、幅が20μm以上の連続した空洞を有する窒化ガリウム系半導体層と、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層の上に形成され当該空洞上に位置する窒化ガリウム系半導体の素子とを具備することを特徴とする。
【0037】
また、本発明の第2の窒化ガリウム系半導体素子は、基板と、この基板上に形成されたGaN層とGaAlN層との多層膜と、この多層膜の上に形成された窒化ガリウム系半導体の素子とを具備し、前記多層膜のGaN層に選択的に空洞が形成されており、前記窒化ガリウム系半導体の素子は当該空洞上に位置することを特徴とする。
【0038】
本発明の第2の窒化ガリウム系半導体素子において、前記空洞は、幅が20μm以上の連続した空洞であることが好ましい。
【0039】
また、本発明の第1の窒化ガリウム系フォトニック結晶は、基板と、この基板上に形成された窒化ガリウム系半導体層とを具備し、前記窒化ガリウム系半導体層に空洞が所定の周期で形成されてなることを特徴とする。
【0040】
また、本発明の第2の窒化ガリウム系フォトニック結晶は、基板と、この基板上に形成されたGaN層とGaAlN層との多層膜とを具備し、前記多層膜のGaN層に選択的に空洞が所定の周期で形成されてなることを特徴とする。
【0041】
(作用)
本発明の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法によれば、基板上に形成した窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成し、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成する。この空洞を有する窒化ガリウム系半導体層は、同じ又は別の窒化ガリウム系半導体層と基板との界面で生成された貫通転位がその上の発光素子等の形成される素子領域まで伝播するのを抑制する効果がある。即ち、この空洞上の窒化ガリウム系半導体領域では転位密度が低く、上記複数のトレンチの熱処理により当該空洞の領域を広げることによって、低転位密度の窒化ガリウム系半導体領域を広く形成することが可能である。
【0042】
また、発光素子やトランジスタ等の素子を作製する上においては、転位密度の低い領域が広いほど、発光素子の発光領域やトランジスタのチャネル領域等と低転位密度の領域との位置合わせが容易になり、信頼性の向上を図ることができる。転位密度の低い領域の幅は少なくとも20μm以上が必要である。本発明によれば、従来のラテラル成長法等による低転位密度化では不可能な20μm以上の低転位密度領域を容易に作製でき、信頼性の高い発光素子やトランジスタ等の素子を提供することが可能である。
【0043】
上記した20μm以上の低転位密度領域を容易に作製するために好適な条件は、前記トレンチのそれぞれの幅Tを2μm以下とし、隣接するトレンチの中心の間隔WをW≦2Tとし、前記トレンチのアスペクト比は2以上とすることである。トレンチのそれぞれの幅が2μmを超えたり、トレンチのアスペクト比が2未満であると、空洞形成に支障が生じ、隣接するトレンチの間隔がトレンチ幅の2倍を超えると、隣接したトレンチの位置に対応して窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成することが困難となるからである。
【0044】
また、本発明の窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法によれば、基板上に形成した窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成し、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのそれぞれを変形させ、変形させた当該トレンチの位置にそれぞれ対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に複数の空洞を形成する。当該空洞の大きさ、位置は、例えばトレンチの幅、形成する間隔、深さなどにより制御でき、空洞の大きさ、位置をフォトニック結晶として機能するように設計することが可能である。
【0045】
特に、空洞の幅を2μm以下とすることにより、フォトニック結晶、特に二次元および三次元のフォトニック結晶を良好に提供することが可能である。空洞の幅を2μmより大きくすると、実質的に二次元、三次元のフォトニック結晶として機能する周期で空洞を形成することがより難しくなる。
【0046】
上記したフォトニック結晶、特に二次元および三次元のフォトニック結晶を良好に提供するために好適な条件は、前記トレンチのそれぞれの幅Tを2μm以下とし、隣接するトレンチの中心の間隔WをW>2Tとし、前記トレンチのアスペクト比は2以上とすることである。トレンチのそれぞれの幅が2μmを超えたり、トレンチのアスペクト比が2未満であると、空洞形成に支障が生じる。隣接するトレンチの間隔がトレンチ幅の2倍以下となると、隣接したトレンチの位置のそれぞれに対応して窒化ガリウム系半導体層の内部に孤立した空洞を形成することが困難となるからである。
【0047】
また、本発明の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法によれば、基板上に形成した第1の窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成し、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記第1の窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記第1の窒化ガリウム系半導体層の上に第2の窒化ガリウム系半導体層を形成し、前記第1の窒化ガリウム系半導体層の空洞の部分における剥離により、前記第2の窒化ガリウム系半導体層と前記基板とを分離して、前記第2の窒化ガリウム系半導体層を有する窒化ガリウム系半導体基板を作製する。この方法によれば、上記した剥離により、第2の窒化ガリウム系半導体層と基板間の分離をより確実かつ容易に行うことができ、基板作製の歩留まりが向上する。この方法は、格子定数や熱膨張係数などがGaNとは異なる基板上に対しても適用可能であり、良好な基板を作製することができる。
【0048】
かかる基板の製造方法において、良好な基板を作製するために、第2の窒化ガリウム系半導体層は厚さが150μm以上のGaN層であることが好ましい。また、当該GaN層は、ハイドライド気相成長(HVPE)法により成長することが好ましい。
【0049】
また、上記した本発明のそれぞれにおいて、窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に空洞を形成すれば、GaNとGaAlN間のマストランスポートの起こりやすさの違いを利用し、空洞ができる位置、大きさを制御することが可能となる。即ち、GaAlNのマストランスポートはGaNのそれに比べて起こりにくく、GaN層が形成された位置では優先してマストランスポートが起こるため、この部分に空洞が生じやすくなる。この現象を利用することにより、空洞の位置や大きさを制御することが可能である。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による空洞の作製方法に係る実施形態について、図1(a)乃至図1(e)の工程別断面図を用いて説明する。なお、図1(a)乃至図1(e)では、基板100としてサファイア基板の(0001)面を使用した場合について説明するが、本発明では、基板の材料にはよらず、SiC、Si、GaAs、GaN等の基板を用いることもできる。
【0051】
まず、サファイア基板100をMOCVD反応管内のサセプターへ設置し、還元雰囲気中で約1050℃まで加熱して、GaN層形成予定領域である基板主表面の酸化物を除去した。その後、サセプター温度を約550℃まで降温し、有機金属気相成長法( MOCVD法)によりTMG( トリメチルガリウム) ガス、アンモニアガスを流し、GaNバッファ層101を膜厚約0. 02μm成長させた。次に、温度を約1100℃まで上昇させGaN層102を膜厚約3μm成長させた。その後、一旦、基板を反応管より取り出し、図1(a)に示すようにGaN層102上にSiO2膜103を堆積し、さらにレジスト104を塗布した。
【0052】
次に、フォトリソグラフィでレジスト104に対してパターンを形成した。パターンは、直径2μmの円形状の穴が複数個開いており、隣接する穴の間隔は2.0μm及び4.0μmとなっている。後述するトレンチ105aの形成予定領域では穴の中心間隔が4.0μm、トレンチ105bの形成予定領域では穴の中心間隔が6.0μmとなっている。さらに、レジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜103をエッチングした。次に、レジストマスクを除去した後、SiO2膜103をマスクとして、GaN膜102をエッチングする。
【0053】
このような微細なエッチングには、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、電界イオンビーム(FIB)によるエッチング等のドライエッチング技術が有効であり、本実施形態ではCl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)によりGaN膜102をエッチングし、図1(b)に示すようにGaN膜102に直径2μm、深さ4μmの円形のトレンチを形成した。隣接するトレンチの中心間隔は、上記したようにトレンチ105aにおいて4.0μm、トレンチ105bにおいて6.0μmである。
【0054】
次に、図1(c)に示すようにSiO2マスク103を除去し、この後、雰囲気調整可能な加熱炉へウエハーをセットする。窒素ガスを4slm(standard liter per minutes)
流し、基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。この過程において、窒素雰囲気で加熱昇温することにより、基板に付着していた水分や不純物ガスが除去される。ただし、この過程でのGaNの分解蒸発によるエッチングは無視できる。
【0055】
次に、基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス4slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、GaN層102表面ではGaNの分解、物質輸送、GaN再付着という過程、いわゆるマストランスポート現象が生じる。トレンチ105a、105b内においては、図1(d)に示すように、マストランスポート現象により、表面エネルギーが小さくなるようにトレンチの形状が変化する。その結果、図1(e)に示すように、GaN層102中に空洞が形成される。このとき、隣接するトレンチの中心間隔が6.0μmと広い場合には、一個のトレンチ105bに対し、一個の空洞106bが形成された。一方、隣接するトレンチの中心間隔を4.0μmと狭くした場合には、空洞が形成される過程において、隣接するトレンチ部105a同士が合体して、結果として大きな空洞106aが形成された。
【0056】
このように、本実施形態によれば、空洞の大きさを、トレンチの幅、トレンチの間隔、トレンチの深さにより制御可能であり、また、マストランスポートを生じさせる温度、雰囲気によっても制御可能である。
【0057】
上記実施形態ではトレンチを形成した場合のマストランスポート現象を用いた場合について説明を行ったが、本質的には、トレンチのアスペクト比が2以上の凹状部を形成すればマストランスポートにより空洞を形成することが可能である。また、隣接するトレンチの中心間隔Wを、トレンチの直径Tに対し2T≧Wとなるように狭くすれば、空洞が形成される過程において、隣接する空洞同士が合体し、大きな空洞が形成できる。
【0058】
また、凹状部の形状は円形状に限られず、ストライプ状であってもよい。さらに、本実施形態は雰囲気調整可能な炉であれば実施可能であり、MOCVD装置やHVPE装置でもよい。
【0059】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0060】
(第1の実施例)
次に、本発明による第1の実施例として、窒化ガリウム系半導体レーザについて説明する。本実施例における窒化ガリウム系半導体レーザは、図2に示す如く、マストランスポートにより形成された大きな空洞306を有するGaN層302を有しており、その上に半導体レーザ構造が形成されている。マストランスポートにより形成された空洞306の上部結晶は転位が少なく、その上に半導体レーザ構造を形成することにより、低閾値でかつ長寿命の半導体レーザを作製することができる。
【0061】
以下、図3乃至5によりさらに詳細に説明する。MOCVD装置により図1の説明で既に述べた手順により、サファイア基板300上にGaNバッファ層301、およびGaN層302を積層する(図3(a))。さらに、GaN層302上にSiO2膜を堆積し、さらにレジストを塗布した。次に、フォトリソグラフィでレジストパターンを形成した。さらにレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングし、SiO2マスクを形成した。
【0062】
次に、レジストマスクを除去した後、SiO2膜をマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)によりGaN膜302をエッチングしトレンチ305を形成した(図3(b))。本実施例で形成したトレンチは、直径2μmで、トレンチの中心間隔が4μm、深さ4μmである。トレンチを形成する領域は、図4に示すように幅100μm×長さ700μmを半導体レーザ素子一個に相当する単位領域として、一枚のウエハー上に形成する半導体素子の数と同じ数の単位領域にトレンチを形成した。
【0063】
次に、SiO2マスクを除去した後、再度MOCVD装置内へウエハーをセットする。窒素ガスを20slm流し、基板温度を1000℃まで昇温する。この過程において、窒素雰囲気で加熱昇温することにより、基板に付着していた水分や不純物ガスが除去される。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスの導入を開始し、窒素ガス20slmとNH3ガス10slmの混合ガスを流した。この雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、マストランスポート現象により、表面エネルギーが小さくなるようにトレンチの形状が変化し、空洞306が形成される。本実施例では、隣接するトレンチの中心の間隔は4.0μmで、隣接するトレンチが近接しているため、空洞が形成される段階で、隣接する空洞同士が合体し、結果として図3(c)に示すように、トレンチを形成した単位領域(幅100μm×長さ700μm。図4参照。)とほぼ同じ大きさの空洞306が形成される。
【0064】
以上のように形成した空洞306の直上部のGaN層307表面近傍を透過電子顕微鏡により観察したところ、転位密度が10−5/cm2程度で、転位密度が減少していることが分かった。これは、サファイア基板300とGaN層301との界面から成長方向に伸びる転位が、図5に示すように、マストランスポートによる空洞形成過程で転位が横方向に曲げられたために、空洞上部のGaN層307表面では転位密度が減少したものである。
【0065】
このように、本実施例によれば、トレンチ305を形成する領域の広さを変えることにより、空洞306の大きさを制御することが可能であり、空洞306直上には転位密度の低い窒化ガリウム層307の領域が得られる。すなわち、原理的には、トレンチ305を形成する領域を広くすることにより、いくらでも低転位領域を広くすることが可能である。
【0066】
従来のラテラル成長を用いて作製した半導体レーザでは、図6に示すように半導体レーザのストライプ部617aを形成する際に、低転位密度領域602bとの位置合せが必要である。しかし、ラテラル成長法による低転位化法では、低転位密度領域の幅は10μm程度が限界であり、この位置合せが困難であるという問題があった。しかし、本発明によれば、既に述べたように低転位密度領域を広くすることが可能であり、従来の方法と比較して、容易に低閾値で長寿命の半導体レーザを作製することができる。なお、図6において、600はサファイア基板、601はGaNバッファ層、602aはGaN層、608はn型GaNコンタクト層、609はSiドープのn型Ga0.9Al0.1n型クラッド層、610はSiドープのn型GaN光ガイド層、611はアンドープIn0.2Ga0.8N(3nm)及びSiドープIn0.05Ga0.95N(6nm)の2種類のInGaN層を4周期繰り返して構成されるMQW活性層、612はMgドープのp型Ga0.8Al0.2Nキャップ層、613はMgドープのp型GaN光ガイド層、614はMgドープのp型Ga0.9Al0.1Nクラッド層、615はp型GaNコンタクト層、616はSiO2膜絶縁膜、617はp側電極、618はn側電極である。
【0067】
一方、本発明では前記したように、低転位密度領域をいくらでも広くすることができるものの、幅が広すぎても空洞上部のGaN層307の強度が実質的に弱くなり、たわみや割れなどが発生する可能性がある。このため、本実施例ではこれらの問題のないように幅100μm以下とすることが望ましい。
【0068】
以上の工程により、GaN層302表面がマストランスポートにより平坦に埋め込まれた後、温度を1050℃まで昇温し、引き続き図3(d)に示すように窒化ガリウム系半導体レーザ構造を積層した。即ち、Siを添加したn型GaNコンタクト層308を厚さ約2μm、Siドープのn型Ga0.9Al0.1n型クラッド層309を約1.0μm、Siドープのn型GaN光ガイド層310を約0.1μm、さらにアンドープIn0.2Ga0.8N(3nm)及びSiドープIn0.05Ga0.95N(6nm)の2種類のInGaN層を4周期繰り返して構成されるMQW活性層311、Mgドープのp型Ga0.8Al0.2Nキャップ層312を0.2μm、Mgドープのp型GaN光ガイド層313を約0.1μm、Mgドープのp型Ga0.9Al0.1Nクラッド層314を約0.7μm、およびp型GaNコンタクト層315を約0.1μm順次成長した。これらの各層にわたる転位密度は、空洞306上のGaN層307の転位密度と同等であった。
【0069】
上記成長層を形成したサファイア基板を反応管より取り出し、フォトリソグラフィ及びエッチング工程により、p型GaNキャップ層312及びp型GaAlNクラッド層314よりなる幅約2μmのリッジ部を形成し、このリッジ部の上端を除いてリッジ側面とその周辺には、SiO2膜絶縁膜316を形成した。その後、p側電極317、n側電極318を形成し、図3(e)に示すような半導体レーザ構造が完成した。
【0070】
従来のラテラル成長法を用いた転位低減においては、SiO2マスク上のみ転位が低減されるが、SiO2マスクのない窓部の上部においては、転位密度低減の効果は僅かである。このため、転位密度の少ない領域と多い領域とが、約10μm間隔で存在する。半導体レーザの作製においては、ストライプの位置を転位密度の少ない領域に合せる必要がある。少しでもこの合せがずれると、転位密度の多い部分の上にストライプが形成されることになり、閾値の上昇、寿命の低下の原因となる。しかし、本発明によれば、低転位の領域を広くできるため、このような問題はなく、信頼性の高い半導体レーザを作製することができる。これにより、作製した半導体レーザ装置の発光強度の増大、閾値の低減、長寿命化が可能となった。 また、大きい空洞が存在する別の効果として、半導体レーザとサファイア基板との剥離が容易となる点も挙げられる。
【0071】
本実施例では、基板としてサファイア、SiC、Si、GaAs等のヘテロ基板を用いる場合について説明したが、GaN基板を用いた場合にも本発明は適用できる。この場合は、空洞により転位密度の低減が可能であることと、さらに、GaN基板側への光の漏れを抑制することができ、いっそうの発光強度の増大、閾値電流密度の低減などを図ることができる。
【0072】
(第2の実施例)
第1の実施例は、MOCVD装置による半導体レーザの作製に関する例であるが、本発明はこれに限るものではなく、ハイドライド気相成長(HVPE)装置によるGaN厚膜の作製にも適用できる。以下に第2の実施例としてHVPE法によるGaN基板作製について図7に従って詳細に説明する。
【0073】
本実施例では、MOCVD装置で2インチφのサファイア基板700上にGaNバッファ層701aを介して6μmのGaN膜701bを成長し、このGaN膜701bにトレンチ701e及び701fを形成したウエハーをテンプレートとして用いた。その手順の概略は第1の実施例と同様である。トレンチ701e及び701fはそれぞれ、直径2μm、トレンチの中心間隔4μm、深さ4μmである。後述する空洞上部のGaN層704を保持するために、図8に示すように1mm間隔でトレンチ群の間隔を5μm(トレンチ701eと701fとの間隔に相当。)とし、ウエハーのほぼ全面にトレンチ群(トレンチ701e、701fが該当。)を形成した。
【0074】
ハイドライド気相成長(HVPE)装置へこの基板をセットし、N2ガス雰囲気で1000℃まで昇温した。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスの導入を開始し、窒素ガス5slmとNH3ガス5slmの混合ガスを流した。この雰囲気において、1000℃で30分間保持することにより、マストランスポートにより、トレンチの形状を変化させ、空洞を形成した。本実施例においても、第1の実施例と同様に、隣接するトレンチの中心間の間隔は4.0μmで、空洞が形成される段階で、隣接する空洞同士が合体し、結果として図7(b)に示すように幅1mm×長さ1mm×2μmの空洞702a及び702bがそれぞれトレンチ701eと701fに対応する領域に幅5μmのGaN支持部703をはさんで形成された。
【0075】
さらに、図7(c)に示すように基板温度を1000℃に保持したまま、続けてGaN層705を成長させる。820℃に加熱したグラファイト製のGa溜へHClガスとN2ガスの供給を開始する。これにより、III族の原料としてのGaClが合成されGaN成長部へ供給されると同時に、GaNの成長が開始された。GaN層705を約200μm成長した後、試料を装置より取り出した。
【0076】
従来の方法でサファイア基板上に200μm以上の厚膜を直接成長させた場合、基板が大きく反るという問題があった。しかし、本実施例によれば下地のGaN層701b中に空洞702a及び702bがあるため、成長中はGaNの自立基板上への成長に近い状態での成長が可能である。このため、サファイア基板700とGaN層701a、701bとの格子定数差や熱膨張係数差に起因する応力の影響が小さいため、反りの小さいGaN厚膜705を形成することができた。さらに、図7(d)に示すように、例えばArFレーザをサファイア基板700側より、GaN支持部703部へ照射することにより、容易にサファイア基板700を剥離することができた。残存するGaN層702bは必要に応じて除去する。このようにして作製したGaN基板705の曲率半径は104mm以上であり、非常に反りの少ないGaN基板を作製することができた。
【0077】
また、転位密度にしても、第1の実施例において述べたように、空洞702a、702b直上のGaN層704の転位密度は105/cm2程度であり、その上に積層したGaN厚膜705においても、転位密度は105/cm2程度であった。従って、本実施例により、転位密度が105/cm2程度の良好なGaN基板705を作製することが可能であった。
【0078】
(第3の実施例)
次に、第3の実施例として、空洞のサイズおよび位置を制御することによりフォトニック結晶を作製する場合について図9を用いて説明する。
【0079】
まず、既に述べた方法と同様の手順により、MOCVD法によりサファイア基板900上にGaNバッファ層901を介してGaN層902を厚さ6μm堆積した。基板を反応管より取り出し、GaN層902上にSiO2膜を堆積した後、レジストを塗布した。その後、EB描画装置を用いて直径2μmの円形で、中心間隔が4μmのトレンチパターンをレジストに形成した。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。次に、レジストマスクを除去し、SiO2膜をエッチングマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、GaN層902をエッチングし、図9(a)に示すようにGaN層902に直径2μmの円形で、隣接するトレンチの中心間隔が4μmで、深さ4μmのトレンチ903aを形成した。
【0080】
次に、SiO2マスクを除去した後、MOCVD装置へ再び基板をセットし熱処理を行う。窒素ガスを20slm流しながら基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス10slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、トレンチ903aの表面を含むGaN層表面902ではGaNの分解、物質輸送、GaN再付着というマストランスポート現象が生じる。この処理により、トレンチ903aの形状が変化し、結果として図9(c)に示すように、GaN層902中に広い領域で空洞904が形成された。この構造を作製するためには、図9(a)に示すようなトレンチを形成することによってのみ可能なわけではなく、図9(b)に示すように幅2μm、深さ4μmの溝を中心間隔4μmで形成することによっても、図9(c)に示すように大きな空洞を形成することができる。
【0081】
既に述べたように、空洞904直上のGaN層905は転位密度が少なく高品質のGaN層である。さらに、このGaN層905は上下より空気により挟み込まれた構造である。すなわち空洞904上部のGaN層905は、屈折率3.5のGaNが屈折率1の空気により挟まれた構造であり、レーザ光を入射した場合GaN層905中に光を閉じ込めることができ、光導波路として応用できる。
【0082】
次に、二次元のフォトニック結晶を作製するために、この空洞904上部のGaN層905にウエハー表面側から空洞904まで達する貫通穴906を、周期的な位置に図9(d)のように形成した。この貫通穴906の形成は、SiO2膜をマスクとして反応性イオンビームエッチング(RIBE)により作製した。本実施例では貫通穴906は三角格子状に各格子点上に配置した。このとき、入射させる光の波長をλとすると、貫通穴906の直径r、隣接する貫通穴の中心間の距離aを調節することにより、ブリルアンゾーンのあらゆる方向にわたって光波のモードが生じないエネルギー領域、すなわち、フォトニックバンドギャップを形成することができる(例えば、特開平10−284806号公報等。)。図9(d)では、貫通穴906を三角格子状に配列すると共に、貫通穴を形成しない部分、すなわち格子点へ欠陥を導入することにより、Y分岐の光導波路907、908、909を形成した。光導波路907は光導波路908、909に分岐する。外部より集光したレーザ光を入射したところ、光は欠陥部分をほとんど損失することなく導波し、Y分岐により分岐された。
【0083】
GaNはバンドギャップエネルギーが3.39eVと広く、紫外光領域から可視光領域、さらには光通信で使用される1.55μm帯の近赤外領域まで、広い波長範囲で透明な材料であり、フォトニック結晶用として有望な材料である。本発明によれば、入射するレーザ光の波長に合わせて貫通穴のサイズ、位置を変えるだけで、容易に光導波路を形成することができる。
【0084】
(第4の実施例)
実施例3で説明したのと同様の方法で作製した別のGaNのフォトニック結晶を図10に示す。導波路構造およびその製造方法については図9(d)とほぼ同じである。図10に示すように、1000はサファイア基板、1001はGaNバッファ層、1002はGaN層、1004は空洞、1005は空洞上のGaN層、1006は貫通穴、1007は欠陥導波路である。本実施例では、欠陥導波路1007に沿って、導波路1007の近傍に大きい貫通穴1008、1009、1010を欠陥として導入した。これらの導入した貫通穴1008、1009、1010は共振器として機能し、それぞれの貫通穴1008、1009、1010は欠陥導波路1007からの距離および直径が異なっており、共振する波長が異なる。すなわち、複数の波長を含む光を入射すると、波長ごとに共振する貫通穴が異なるため、波長ごとに異なる欠陥部分より光を放射させることができる。この機能は、長分割多重方法(WDM)の通信用の光アド・ドロップ素子として使用することができる。本実施例では、波長λ1の光に対応する貫通穴として1008を、波長λ2の光に対応する貫通穴として1009を、波長λ3の光に対応する貫通穴として1010を形成する。貫通穴1008、1009、1010と欠陥導波路1007との距離は、貫通穴1006が三角格子状に配置し、隣接する貫通穴の距離がaである場合、(3√3/2)aで与えられる。貫通穴1008、1009、1010それぞれの直径は共振する波長により違えてあり、それぞれの貫通穴部より異なる波長の光が放射される。
【0085】
一方、既に述べたようにGaNは紫外および可視領域の光に対しても透明であり、損失のない光伝送が可能である。その波長範囲での応用例として、色調を変化させることのできる発光デバイスへの応用がある。本発明によるフォトニック結晶は、波長により光が出射される位置を変えることが可能である。例えば、光が放射される各欠陥部分に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体を設置しておく。さらに、紫外から青色領域の波長可変レーザを用い、入射させる波長を変化させることにより、R、G、Bそれぞれの発光が得られる。すなわち、色調の可変な発光デバイスを実現することができる。
【0086】
(第5の実施例)
次に、フォトニック結晶と発光デバイスを積層する場合について図11により説明する。まず、MOCVD法によりサファイア基板1100上にGaNバッファ層1101aを介してGaN層1101bを4μm堆積した。基板を反応管より取り出し、GaN層1101b上にSiO2膜を堆積した後、レジストを塗布した。その後、EB描画装置を用いて円形のパターンを三角格子の格子点上に転写した。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。次に、レジストマスクを除去し、SiO2膜をエッチングマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、GaN層1101bをエッチングし、図11(a)に示すようにGaN層1101bにトレンチ1102を三角格子状に作製した。
【0087】
さらにSiO2マスクを除去した後、MOCVD装置へ再び基板をセットし、熱処理した。窒素ガスを20slm流しながら基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス10slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で20分間保持した。この工程において、マストランスポートにより、トレンチの形状が変化し、結果として図11(b)に示すように、GaN層中に周期的に配列された微細な空洞1103が形成された。これは二次元のフォトニック結晶として機能する。
ここで、フォトニック結晶として機能させるには、空洞の直径rに比べ中心間の距離Wが近接している場合がある。この場合でも、トレンチの直径T(<r)を、空洞の中心距離Wとの関係が2T<Wとなるようにトレンチを形成し、さらに、本発明による空洞の形成過程で空洞の直径が拡大され、空洞の直径rがトレンチの直径Tよりも大きくなることにより解決することができる。より具体的には、本実施例では、トレンチを直径0.1μm、隣接するトレンチの中心間距離を0.4μmで形成した。その後、本発明による空洞の形成過程により、直径rが0.3μmで、隣接する空洞の中心間の距離Wが0.4μmとなるように空洞を形成することができた。
【0088】
本発明によれば、この空洞1103を有するフォトニック結晶層の上に、さらに発光素子を形成することが可能である。即ち、引き続きMOCVD装置により、まずn−GaNコンタクト層1104、n−GaAlNクラッド層1105、InGaN系のMQW活性層1106、p−GaAlNクラッド層1107、p−GaNコンタクト層1108を成長した。その後、Cl2ガスを用いドライエッチング法によりn−GaNコンタクト層1104が露出するまでエッチングし、さらにp側電極1109、n型電極1110を形成することにより面発光レーザを形成することができた。このように、本発明によれば、フォトニック結晶と発光素子との集積化が容易に行える。
【0089】
(第6の実施例)
三次元フォトニック結晶構造の作製への応用として、高反射ミラーを有するGaN系のRC−LED(Resonance Cavity LED)について図12を用いて説明する。三次元フォトニック結晶構造の作製方法はこれまでの実施例に説明した手順とほぼ同じである。
【0090】
MOCVD法によりサファイア基板1200上にGaNバッファ層1201を介してGaN膜1202を5μm堆積した。基板を反応管より取り出し、GaN層1202上にSiO2膜を堆積した後、レジストを塗布した。その後、EB描画装置を用いて直径0.15μmの円形のパターンを三角格子状にレジストに転写してレジストパターンを形成する。このとき、格子間隔は0.5μmとした。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。次に、レジストマスクを除去し、SiO2膜をエッチングマスクとして、Cl2ガスを用いた反応性イオンビームエッチング(RIBE)法により、GaN層1202をエッチングし、図12(a)に示すように格子間隔が約0.5μmの三角格子状に直径約0.15μmの円形で深さ3μmのトレンチが形成された。
【0091】
さらにSiO2マスクを除去した後、MOCVD装置へ再び基板をセットし、熱処理した。窒素ガスを20slm流しながら基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス10slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で20分間保持した。この工程において、マストランスポートにより、トレンチの形状が変化し、結果として図12(b)に示すように、GaN層1202中に球状の空洞1202bが水平方向のみならず深さ方向にも並んだ構造が形成された。球状の空洞1202bそれぞれの直径は約0.2μm、水平方向の中心間の間隔は0.5μm、深さ方向の中心間の間隔は0.5μmであった。この層は三次元フォトニック結晶として機能し、反射ミラーとして使用する。
【0092】
引き続き、MOCVD装置により、n−GaNコンタクト層1203、n−GaAlNクラッド層1204、InGaN系のMQW活性層1205、p−GaAlN/GaNからなるDBR反射膜構造1206、p−GaNコンタクト層1207を順次成長した。その後、Cl2ガスを用いドライエッチング法によりn−GaNコンタクト層1203が露出するまでエッチングし、さらにp側電極1208、n側電極1209を形成した。このようにして作製したGaN系のRC−LEDは、活性層1205の裏面側に高反射率のフォトニック結晶を備えているため、高い光取り出し効率が実現できる。
【0093】
従来、高反射ミラーとしてGaN/AlGaNのDBRが用いられている。しかし、この材料系で高反射率を得るためには20周期以上の厚い結晶成長が必要であり、抵抗の上昇、クラックの導入などの問題があった。しかし、本発明のように、フォトニック結晶によれば、薄い層で高反射率が得られるため、容易に光取り出し効率の良好な発光デバイスを作製できる。
【0094】
(第7の実施例)
第6の実施例によればGaN層中に空洞を三次元的に配置することができる。本実施例では、深さ方向にも三角格子状に空洞を配置する方法を示す。まず、MOCVD法によりサファイア基板1300上にGaNバッファ層1301を介してGaN膜1302を5μm堆積し、さらにSiO2、レジストを形成した。第6の実施例と同様にして直径0.1μmの円形のパターンを三角格子状にレジストに転写してレジストパターンを形成する。このとき、格子間隔は0.4μmとした。さらにこのレジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜をエッチングしパターンを転写した。
【0095】
次に、図13(a)に示すように、SiO2パターンをマスクとして、基板の主面に対し約60度の斜め方向より反応性イオンビームを照射した。この照射により斜めにトレンチ1303を形成することができた。このときのトレンチの深さは、アスペクト比が2以上になる必要があり、本実施例におけるトレンチの深さは1μmとした。アスペクト比を大きくすることにより、形成できる空洞の数が多くなる。さらに、トレンチ1303を第6の実施例と同様の条件で熱処理することにより、マストランスポートにより空洞1304が形成される。即ち、図13(b)に示すように、深さ方向にも三角格子状に空洞1304が配置されたフォトニック結晶を作製することができた。球状の空洞1202bそれぞれの直径は約0.3μm、隣接する空洞の間隔は0.4μmであった。この層は三次元フォトニック結晶として機能し、反射ミラーとして使用することも可能である。さらに、本実施例で作製した三次元フォトニック結晶上に、第6の実施例のように、発光素子を集積化させることもできる。
【0096】
(第8の実施例)
本発明者はAlGaNはGaNに比べマストランスポート現象が生じ難いことを見出した。本実施例では、この現象を利用し空洞の位置を制御するものである。
【0097】
第6及び第7の実施例によれば、深さ方向にも周期的な位置に空洞を形成できることを示した。しかし、空洞が形成される深さ方向の位置は、トレンチの形成精度、マストランスポートの条件等に大きく依存する。そこで、さらに深さ方向の位置精度を向上させるために、GaNとGaAlNの多層膜を用いることが可能である。この方法を、図14(a)乃至図14(e)の工程別断面図を用いて説明する。
【0098】
まず、図14(a)に示すようにサファイア基板1400をMOCVD反応管内のサセプターへ設置し、還元雰囲気中で約1050℃まで加熱して、GaN層形成予定領域である基板主表面((0001)面)の酸化物を除去した。その後、サセプター温度を約550℃まで降温し、有機金属気相成長法( MOCVD法)によりTMGガス、アンモニアガスを流し、GaNバッファ層1401を膜厚約0. 02μm成長させた。次に、温度を約1050℃とし、TMGガス、アンモニアガス、TMA(トリメチルアルミニウム)ガスを流し、MOCVD法によりGaAlN層1402aを0.2μm成長した。引き続き、TMGガス、アンモニアガスを流し、MOCVD法によりGaN層1402bを4μm成長した。さらに、GaAlN層1402cをGaAlN層1402aと同じ成長条件で0.2μm成長させた。その後、一旦、基板を反応管より取り出し、図14(a)に示すようにGaAlN層1402c上にSiO2膜1403を堆積し、さらにレジスト1404を塗布した。
【0099】
次に、フォトリソグラフィでレジスト1404に対してパターンを形成した。パターンは、円形状の穴が複数個開いており、本実施例では、直径2μmとした。穴の中心間隔は後述するトレンチ1405aの形成予定領域では、2μm、トレンチ1405bの形成予定領域では6μmとなっている。さらに、レジストパターンをマスクとして、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によりSiO2膜1403をエッチングした。次に、レジストマスクを除去した後、SiO2膜1403をマスクとして、GaAlN層1402c、GaN層1402b、GaAlN層1402aをそれぞれエッチングする。
【0100】
RIE、RIBE、FIB等のドライエッチング技術が有効であり、本実施形態ではCl2ガスを用いたRIBEによりGaAlN層1402c、GaN層1402bをそれぞれエッチングし、図14(b)に示すようにGaAlN層1402c、GaN層1402bに直径2μm、深さ4.5μmの円形のトレンチを形成した。隣接するトレンチの中心間隔は、上記したようにトレンチ1405aにおいて2μm、トレンチ1405bにおいて6μmである。
【0101】
次に、図14(c)に示すようにSiO2マスク1403を除去し、この後、雰囲気調整可能な加熱炉へウエハーをセットする。窒素ガスを4slm流し、基板温度を1000℃まで約4分で昇温する。この過程において、窒素雰囲気で加熱昇温することにより、基板に付着していた水分や不純物ガスが除去される。ただし、この過程でのGaN、GaAlNの分解蒸発によるエッチングは無視できる。
【0102】
次に、基板温度が1000℃に達したところで、NH3ガスを導入する。各ガスの流量は窒素ガス4slmとNH3ガス10slmである。このガス雰囲気において、1000℃で30分間保持した。この工程において、GaN層1402b表面ではGaNの分解、物質輸送、GaN再付着という過程、いわゆるマストランスポート現象が生じる。GaAlN層1402a及びGaAlN層1402cにおいてもマストランスポート現象が生じるが、GaNのマストランスポートされる速度よりもかなり遅い。このために、図14(d)に示すようにGaNはマストランスポートが進行して表面エネルギーが小さくなるようにトレンチの形状が変化するのに対し、GaAlNはほとんどマストランスポートが進行せずトレンチ形状はほとんど変化しない。即ち、GaN層1402b側からGaAlN層1402a、1402c側へ物質移動が生じ、GaN層1402bの部分に空洞が形成される。
【0103】
この結果、図14(e)に示すように、GaAlN膜1402aとGaAlN膜1402cとにより挟まれたGaN層1402b中に選択的に空洞が形成される。このとき、隣接するトレンチの中心間隔が6.0μmと広い場合には、一個のトレンチ1405bに対し、一個の空洞1406bが形成された。一方、隣接するトレンチの中心間隔を2μmと狭くした場合には、空洞を形成する過程において、隣接するトレンチ部1405a同士が合体して、結果として大きな空洞1406aが形成された。
【0104】
このように、本実施例ではGaNとGaAlN多層膜構造を採用することによって、GaN層1402bの部分に選択的に空洞を形成することができ、この結果、空洞の形成される深さ方向の位置を厳密に制御することができた。
【0105】
(第9の実施例)
GaNとGaAlN多層膜構造において積層回数を増加させることにより、深さ方向の異なる位置にそれぞれ空洞を制御性良く形成することが可能である。本実施例では、この方法及び構造について述べる。
【0106】
図15(a)に示すように、サファイア基板1500上にGaNバッファ層1501を形成し、さらにGaAlN層1502a、GaN層1502b、GaAlN層1502c、GaN層1502d、GaAlN層1502e、GaN層1502f、GaAlN層1502gを成長させた。各々のGaN層の膜厚は約0.3μm、各々のGaAlN層の膜厚は約0.3μmとした。さらに、この積層膜を上述した方法と同様の方法によりパターニングして図15(a)に示す構造を得た。トレンチ1503は円形の形状を有しており、それぞれの直径は0.1μm、深さは約1.8μmである。トレンチの中心間隔は0.6μmとなっている。
【0107】
次に、上記した熱処理条件と同様の条件で熱処理を行い、図15(b)に示すようにGaAlN膜1502a、1502c、1502e、1502gによりそれぞれ挟まれたGaN層1502b、1502d、及び1502f中に選択的に空洞1504が形成された。このとき、一個のトレンチ1503に対し、一個の空洞1504が形成された。空洞の直径は0.3μm、水平、垂直いずれの方向も隣接した空洞の中心間隔は0.6μmであった。このように、GaNとGaAlN多層膜構造の積層回数を増やすことによって、深さ方向の異なる位置(GaN層部分)にそれぞれ空洞を制御性良く形成することが可能であり、三次元フォトニック結晶等を歩留まり良く作製することが可能である。
【0108】
(第10の実施例)
第7の実施例では深さ方向にも三角格子状に空洞を配置する方法を示したが、この方法を第9の実施例に適用することにより深さ方向に制御性よく空洞を形成することが可能である。
【0109】
図16(a)に示すように、第9の実施例と同様にサファイア基板1600上にGaNバッファ層1601を形成し、さらにGaAlN層1602a、GaN層1602b、GaAlN層1602c、GaN層16502d、GaAlN層1602e、GaN層1602f、GaAlN層1602gを成長させた。GaAlN層1602g上にはSiO2膜1603を堆積した。各々のGaN層の膜厚は2μm、各々のGaAlN層の膜厚は0.16μmとした。さらに、第9の実施例と同様にSiO2膜1603をパターニングし、SiO2パターンをマスクとして上記積層膜を第7の実施例と同様の方法によりパターニングしてトレンチ1604を形成した(図16(b))。本実施例でのトレンチ形成用の円形パターンの直径は1μmで、隣接する円形パターンとの中心間距離は2.5μmとした。 次に、第9の実施例と同様の条件で熱処理を行い、図16(c)に示すようにGaAlN膜1602a、1602c、1602e、1602gによりそれぞれ挟まれたGaN層1602b、1602d、及び1602f中に選択的に空洞1604が形成された。このとき、一個のトレンチ1503に対し、一個の空洞1605が形成された。形成された空洞の直径は1.5μmであり、隣接する空洞との中心距離は2.5μmであった。1606はGaN層側からGaAlN層側へ物質移動が生じたことにより形成された層である。このように、GaNとGaAlN多層膜構造の積層回数を増やし、斜め方向の反応性イオンビーム照射を用いることにより、深さ方向の異なる位置(GaN層部分)に三角格子状にそれぞれ空洞を制御性良く形成することが可能である。各々のGaN層の膜厚、GaAlN層の膜厚および、形成するトレンチの直径、隣接するトレンチとの中心間の距離を本実施例で示した値よりも小さく設定することにより、三次元フォトニック結晶を容易に、かつ歩留まり良く作製することが可能である。
【0110】
なお、本発明は上記実施例に限定されることはない。例えば、本実施例では基板の材料としてサファイアを用いたが、その他、SiC、Si、GaAs、GaN等の基板を用いることもできる。
【0111】
また、空洞領域上に形成する素子は半導体レーザ等の発光素子に限られず、その他、GaN系材料を用いたトランジスタ(MESFETやMOSFET等)やダイオード等を空洞領域上に形成することが可能である。
【0112】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。
【0113】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、所望の広い範囲で低転位密度の窒化ガリウム系半導体領域を形成することができる。このため、高品質の結晶性を要求される半導体素子の作製が可能である。
【0114】
また、本発明によれば、作製する空洞のサイズ、位置を容易に制御できるため、フォトニクス結晶層を容易に形成できる。このため、高反射率の反射鏡、光導波路、フィルターなどを容易に作製でき、これらの機能素子と発光素子との集積化も容易となり、高機能発光素子を作製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【図2】本発明の第1の実施例による半導体レーザ装置の断面図。
【図3】本発明の第1の実施例による半導体レーザ装置の作製工程を説明するための工程断面図。
【図4】本発明の第1の実施例におけるトレンチ形成領域の概略図。
【図5】本発明の第1の実施例における空洞形成過程における転位密度の低減過程を説明するための工程断面図。
【図6】従来のEOLG上に形成された半導体レーザ装置の断面図。
【図7】本発明の第2の実施例におけるGaN基板の作製方法を説明するための工程断面図。
【図8】本発明の第2の実施例におけるトレンチ形成領域の概略図。
【図9】本発明の第3の実施例によるフォトニック結晶の作製方法を説明するための工程断面図。
【図10】本発明の第4の実施例によるフォトニック結晶を説明するための斜視図。
【図11】本発明の第5の実施例によるフォトニック結晶及びその上に積層した発光素子の斜視図。
【図12】本発明の第6の実施例によるフォトニック結晶及びその上に積層した発光素子の断面図。
【図13】本発明の第7の実施例による三次元フォトニック結晶作製方法を説明するための工程断面図。
【図14】本発明の第8の実施例による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【図15】本発明の第9の実施例による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【図16】本発明の第10の実施例による空洞の形成方法を説明するための工程断面図。
【符号の説明】
100 サファイア基板
101 GaNバッファ層
102 GaN層
103 SiO2膜
104 レジスト
105a、105b トレンチ
106a、106b 空洞
300 サファイア基板
301 GaNバッファ層
302 GaN層
305 トレンチ
306 空洞
307 空洞306上部の低転位密度領域
308 n−GaNコンタクト層
309 n−AlGaNクラッド層
310 n−GaN光ガイド層
311 InGaN−MQW活性層
312 p−AlGaNキャップ層
313 p−GaN光ガイド層
314 p−AlGaNクラッド層
315 p−GaNコンタクト層
316 SiO2膜絶縁膜
317 p側電極
318 n側電極
401 トレンチ作製の単位領域
Claims (15)
- 基板上に窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層の上に窒化ガリウム系半導体の素子を形成する工程とを具備することを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子の製造方法。
- 前記複数のトレンチのそれぞれは、上から見た形状がストライプ状、円状、若しくは多角形状の溝であることを特徴とする請求項1記載の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法。
- 前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW≦2Tであり、前記トレンチのアスペクト比(深さ/幅)は2以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法。
- 前記窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法。
- 前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の窒化ガリウム系半導体素子の製造方法。
- 基板上に窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのそれぞれを変形させ、変形させた当該トレンチの位置にそれぞれ対応して前記窒化ガリウム系半導体層の内部に複数の空洞を形成し、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層をフォトニック結晶とする工程とを具備することを特徴とする窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法。
- 前記窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成することを特徴とする請求項6記載の窒化ガリウム系フォトニック結晶の製造方法。
- 基板上に第1の窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、当該第1の窒化ガリウム系半導体層に複数のトレンチを配列して形成する工程と、窒素を含む雰囲気中で熱処理を行い、前記複数のトレンチのうち少なくとも2つ以上の互いに隣接するトレンチを変形させ、変形させた当該トレンチの位置に対応して前記第1の窒化ガリウム系半導体層の内部に連続した空洞を形成し、当該空洞を有する前記第1の窒化ガリウム系半導体層の上に第2の窒化ガリウム系半導体層を形成する工程と、前記第1の窒化ガリウム系半導体層の空洞の部分における剥離により、前記第2の窒化ガリウム系半導体層と前記基板とを分離して、前記第2の窒化ガリウム系半導体層を有する窒化ガリウム系半導体基板を作製することを特徴とする窒化ガリウム系半導体基板の製造方法。
- 前記トレンチのそれぞれの幅Tは2μm以下であり、隣接するトレンチの中心の間隔WはW≦2Tであり、前記トレンチのアスペクト比は2以上であることを特徴とする請求項8記載の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法。
- 前記第1の窒化ガリウム系半導体層を、GaN層とGaAlN層との多層膜構造として形成し、前記GaN層の部分に前記空洞を形成することを特徴とする請求項8又は9に記載の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法。
- 前記窒素を含む雰囲気はNH3とN2の混合ガス雰囲気であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の窒化ガリウム系半導体基板の製造方法。
- 基板と、この基板上に形成され、幅が20μm以上の連続した空洞を有する窒化ガリウム系半導体層と、当該空洞を有する前記窒化ガリウム系半導体層の上に形成され当該空洞上に位置する窒化ガリウム系半導体の素子とを具備することを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子。
- 基板と、この基板上に形成されたGaN層とGaAlN層との多層膜と、この多層膜の上に形成された窒化ガリウム系半導体の素子とを具備し、前記多層膜のGaN層に選択的に空洞が形成されており、前記窒化ガリウム系半導体の素子は当該空洞上に位置することを特徴とする窒化ガリウム系半導体素子。
- 基板と、この基板上に形成された窒化ガリウム系半導体層とを具備し、前記窒化ガリウム系半導体層に空洞が所定の周期で形成されてなることを特徴とする窒化ガリウム系フォトニック結晶。
- 基板と、この基板上に形成されたGaN層とGaAlN層との多層膜とを具備し、前記多層膜のGaN層に選択的に空洞が所定の周期で形成されてなることを特徴とする窒化ガリウム系フォトニック結晶。
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