JP2004100215A - 車両用取付部品取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】作業性が良く、部品数が少なく、構成が簡単な車両用取付部品取付構造にすること。
【解決手段】車両用取付部品取付構造は、車体を構成するパネル35の一方の面61にリテーナ50を備え、リテーナに雌ねじ部55,56を設け、雌ねじ部にパネルの他方の面31a側からねじ込むボルト73,74によって、パネルの他方の面にストライカ70を取付けるようにしたものである。リテーナは、その一端部をパネルの一方の面に嵌合構造にて取付けるとともに、他端部をパネルにスポット溶接等による固定部54にて取付ける部材である。嵌合構造は、パネルの一方の面からリテーナ側へ窪んだリテーナ受け凹部63と、リテーナ受け凹部から固定部へ向かって開放したリテーナ挿入用開口64と、リテーナ挿入用開口から挿入してリテーナ受け凹部に嵌合するべくリテーナの一端部に形成した嵌合凸部51と、からなる。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体にドアロック用ストライカ等の部品を取付ける車両用取付部品取付構造の改良技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車体に部品を取付ける構造には、ドアロック用ストライカのように組立途中で位置調整を行うようにした取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−152712公報(第3−4頁、図1−図3)
【0004】
特許文献1の図面の一部を再掲して上記従来の技術を説明する。
図8(a),(b)は従来の車両用取付部品取付構造の説明図であり、特開2001−152712公報の図1〜図3を再掲する。なお、符号は振り直した。(a)はドアロック用ストライカの取付部をリテーナ側から見た図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【0005】
従来のドアロック用ストライカ取付構造は、補強板101の裏面に第1ナット102付きリテーナ103の一部及び第2ナット104を取付け、補強板101をボデーパネル105の裏面に取付けたというものである。
リテーナ103は、第1ナット102を溶接したストライカ位置調整部106と、ストライカ位置調整部106から第2ナット104側へ延びた左右一対の塑性変形部107,107と、これらの塑性変形部107,107の先端間に橋絡部108,108を介して連絡した固着部109とからなる。固着部109を補強板101に溶接することで、リテーナ103の一端を補強板101に取付けることができる。
【0006】
ストライカ111の取付・調整作業は次のように行う。先ず、ボデーパネル105の外面にストライカ111を当て、ナット102,104にボルト112,112を緩くねじ込んで、仮止め状態にする。次に、ドアに取付けられたラッチ(図示せず)とストライカ111との係合状態を確認しながら、ストライカ111をハンマで叩くことで、塑性変形部107,107を変形させて、ストライカ111の位置を調整する。その後ボルト112,112を本締めして作業を完了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
リテーナ103は、固着部109をスイング基端として、ボデーパネル105の表裏方向にスイング変位可能である。このため、ナット102,104にボルト112,112をねじ込むときに、ねじ込む力によって、リテーナ103の一端部はボルト112,112から矢印X1方向へ逃げようとする。この逃げを防ぐためには、ボルト締め作業のときにリテーナ103を抑える必要があり、作業性が劣る。
さらには、ボデーパネル105にストライカ111を取付けるための部材は、補強板101、第1ナット102付きリテーナ103、第2ナット104、ボルト112,112と、部品数が多く構成も複雑である。
【0008】
そこで本発明の目的は、作業性が良く、部品数が少なく、構成が簡単な車両用取付部品取付構造にできる技術を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体を構成するパネルの一方の面にリテーナを備え、このリテーナに雌ねじ部を設け、この雌ねじ部にパネルの他方の面側からねじ込むボルトによって、パネルの他方の面にストライカ等の取付部品を取付けるようにした車両用取付部品取付構造において、
リテーナは、その一端部をパネルの一方の面に嵌合構造にて取付けるとともに、他端部をパネルにスポット溶接等による固定部にて取付ける部材であり、
嵌合構造は、パネルの一方の面からリテーナ側へ窪んだリテーナ受け凹部と、このリテーナ受け凹部から固定部へ向かって開放したリテーナ挿入用開口と、このリテーナ挿入用開口から挿入してリテーナ受け凹部に嵌合するべくリテーナの一端部に形成した嵌合凸部と、からなることを特徴とする。
【0010】
リテーナの一端部の嵌合凸部を、リテーナ挿入用開口から挿入してリテーナ受け凹部に嵌合することで、パネルに取付けるとともに、リテーナの他端部の固定部を、パネルの一方の面に当てて、スポット溶接等にて取付けるようにしたので、リテーナの一端部の移動範囲を、リテーナ受け凹部によって規制することができる。
すなわち、嵌合凸部とリテーナ受け凹部との嵌合構造によって、リテーナの一端部がボルトから逃げる方向に変位することを防止できる。このため、ボルト締め作業のときにリテーナを抑える必要がなく、作業性が良い。
さらには、パネルにストライカを取付けるための部材は、雌ねじ部を備えた1個のリテーナとボルトだけですみ、部品数が少なく構成も簡単である。
【0011】
請求項2は、リテーナは、固定部と雌ねじ部との間に、塑性変形が容易な変形脆弱部を有することを特徴とする。
リテーナの位置調整をするときに、変形脆弱部が容易に変形するので、調整作業が容易である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は運転者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側、CLは車幅中心(車体中心)を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0013】
図1は本発明に係る車両の斜視図であり、この車両10は、車体11にフロントピラー12、センタピラー13、リヤピラー14及びルーフ15を備えるとともに、左右のフロント側ドア16,16(この図では左のみ示す。以下同じ。)及び左右のリヤ側ドア17,17を備えた4ドア型式の自動車である。フロント側ドア16及びリヤ側ドア17は、それぞれドアロック装置18,19によってロックされるものである。
図中、21,22はドアノブ、23は前部のフード、24はフード用ロック装置、25は後部のトランク用リッド、26はリッドロック装置である。
【0014】
図2は図1の2−2線断面図であり、センタピラー13及びフロント側ドア16のドアロック装置18の関係を示す。センタピラー13は、車体の外側面のアウトサイドパネル31と車室側のインナサイドパネル32とからなる閉断面体である。33は閉断面体の中に設けた補強パネル(スチフナ)である。
ドアロック装置18は、センタピラー13に取付けたストライカ70と、ドア16に取付けたラッチ81とからなる。ストライカ70は、取付機構40によってセンタピラー13の開口側部に取付けられることになる。
【0015】
図3は本発明に係るセンタピラー及びドアロック装置の分解図であり、アウトサイドパネル31の外面にストライカ70を当てるとともに、補強パネル33の裏面に取付機構40のリテーナ50を当てるようにしたことを示す。
【0016】
図4(a)〜(c)は本発明に係るリテーナの構成図であり、(a)は正面から見たリテーナ50の構成を示し、(b)は(a)のb−b線断面構成を示し、(c)はリテーナ50の外観を示す。
【0017】
リテーナ50は、上下に細長い鋼板製平板のプレス成形品であり、長手方向の一端部に形成した嵌合凸部51と、嵌合凸部51から下方に延びた縦長の基板部52と、基板部52から下方に延びた変形脆弱部53と、変形脆弱部53から下方に延びた他端部の固定部54と、基板部52に設けた上下2個の雌ねじ部55,56と、からなる一体品である。
【0018】
嵌合凸部51と基板部52と固定部54とは、(b)に示すように互いに同一面上に整列している。嵌合凸部51は、基板部52よりも幅狭の細長い板片部分である。
変形脆弱部53は塑性変形が容易な部分であって、固定部54と雌ねじ部55,56との間に有する。このような変形脆弱部53は、例えば、幅中央で板厚方向に貫通した貫通孔57と、貫通孔57に対し幅方向両側で板厚方向に且つリテーナ50の裏面50a側に屈曲した屈曲部58,58とからなる。
【0019】
2個の雌ねじ部55,56は、基板部52にバーリング加工等によって形成した雌ねじ部分であって、リテーナ50の裏面50a側に突出している。雌ねじ部55,56をリテーナ50に一体に形成するので、部品数が少なくてすみ、構成も簡単である。
なお、これらの雌ねじ部55,56は、基板部52の裏面50aに別部材のナットを溶接等にて固定したものであってもよい。
【0020】
図5は本発明に係るパネル、ストライカ及び取付機構の分解図であり、車体を構成する補強パネル33の一方の面61(裏面61)にリテーナ50を備え、このリテーナ50に雌ねじ部55,56を設け、この雌ねじ部55,56に補強パネル33の他方の面62側からねじ込むボルト73,74によって、補強パネル33の他方の面62、すなわちアウトサイドパネル31の外側面31aにストライカ70を取付けるようにしたことを示す。このように、取付機構40は、補強パネル33のストライカ取付部とリテーナ50とボルト73,74とからなる。
【0021】
具体的には、補強パネル33は、その一方の面61からリテーナ50側へ窪んだリテーナ受け凹部63と、このリテーナ受け凹部63から固定部54へ向かって(補強パネル33のうち、固定部54を固定する部位67
に向かって)開放したリテーナ挿入用開口64とを形成したものである。
【0022】
ストライカ70は、2個のボルト孔71,71を有したベース72を一体的に備える。アウトサイドパネル31及び補強パネル33も各々2個のボルト孔31b,31b,65,65を有する。これらのボルト孔31b,31b,65,65は、ストライカ70のボルト孔71,71に比べて極めて大きい。
嵌合凸部51は、リテーナ挿入用開口64から挿入してリテーナ受け凹部63に嵌合するものである。
【0023】
補強パネル33にリテーナ50を取付ける手順は、次の通りである。先ず、リテーナ50の嵌合凸部51を、リテーナ挿入用開口64から挿入してリテーナ受け凹部63に嵌合する。次に、リテーナ50の固定部54を、補強パネル33の一方の面61(裏面61)に当てて、スポット溶接する。
【0024】
このようにして、リテーナ50の一端部の嵌合凸部51を補強パネル33の一方の面61に嵌合構造にて取付けるとともに、リテーナ50の他端部を補強パネル33の一方の面61にスポット溶接等による固定部54にて取付けることができる。
【0025】
その後、補強パネル33をアウトサイドパネル31及びインナサイドパネル32(図2参照)と組合わせることで、センタピラー13を形成することができる。
以下、単に「パネル35」と言うときには、アウトサイドパネル31に補強パネル33を重ね合わせた総称を言う。
【0026】
図6は図2の6−6線断面図であり、パネル35に取付機構40にてストライカ70を取付けた構成を示す。
詳しくは、アウトサイドパネル31に補強パネル33を重ね合わせて1つのパネル35とした状態、すなわちセンタピラー13を構成した状態において、アウトサイドパネル31の外側面31aにストライカ70を当て、外側面31a側からボルト73,74をボルト孔71,71,31b,31b,65,65に差し込んで、雌ねじ部55,56にねじ込む。これで、パネル35にストライカ70を取付けることができる。
【0027】
次に、上記構成のストライカ70の位置調整をする手順について、図2及び図6に基づき説明する。
先ず、アウトサイドパネル31にストライカ70を当て、雌ねじ部55,56にボルト73,74を緩くねじ込んで、仮止め状態にする。
次に、ドア16に取付けられたラッチ81(図2参照)とストライカ70との係合状態を確認しながら、ストライカ70をハンマで軽く叩く。この結果、ストライカ70は叩かれた方向に寄り、ボルト73,74を介してリテーナ50を同方向に傾けようとする。この傾ける力によって、変形脆弱部53は塑性変形する。このように、変形脆弱部53を変形させることで、ストライカ70の位置を調整することができる。その後、ボルト73,74を本締めして調整作業を完了する。
【0028】
以上の内容をまとめて説明する。リテーナ50は、固定部54をスイング基端として、パネル35の表裏方向にスイング変位可能である。このため、パネル35の一方の面61側の雌ねじ部55,56に、パネル35の他方の面31a側からボルト73,74をねじ込むときに、ねじ込む力によって、リテーナ50の一端部はボルト73,74から矢印X2方向へ逃げようとする。この逃げを防ぐためには、ボルト締め作業のときにリテーナ50を抑える必要があり、作業性が劣る。
【0029】
これに対して本発明は、リテーナ50の一端部の嵌合凸部51を、リテーナ挿入用開口64から挿入してリテーナ受け凹部63に嵌合することで、パネル35に取付けるとともに、リテーナ50の他端部の固定部54を、パネル35の一方の面61に当てて、スポット溶接等にて取付けるようにしたので、リテーナ50の一端部の移動範囲を、リテーナ受け凹部63によって規制することができる。
【0030】
すなわち、嵌合凸部51とリテーナ受け凹部63との嵌合構造(例えば、アウトサイドパネル31の一方の面61とリテーナ受け凹部63の底との間に嵌合凸部51を嵌合すること)によって、リテーナ50の一端部がボルト73,74から逃げる方向に変位することを防止できる。このため、ボルト締め作業のときにリテーナ50を抑える必要がなく、作業性が良い。
【0031】
さらには、雌ねじ部55,56と固定部54との間に、塑性変形が容易な変形脆弱部53を有するので、ストライカ70の位置調整をするときに、変形脆弱部53は容易に変形することができる。従って、調整作業は容易である。
【0032】
さらにまた、パネル35にストライカ70を取付けるための部材は、雌ねじ部55,56を備えた1個のリテーナ50と2個のボルト73,74だけですみ、部品数が少なく構成も簡単である。
【0033】
図7は本発明に係るリテーナの変形例図である。この変形例のリテーナ90は、上記図4に示す変形脆弱部53を、この図7の変形脆弱部93の構成に変更したことを特徴とする。変形脆弱部93は、幅中央で板厚方向に且つリテーナ90の裏面90a側に屈曲した屈曲部97と、屈曲部97の幅方向両側を切り欠いた切欠き部98,98とからなる。他の構成については、上記図4に示す変形脆弱部53と同様の構成であり、同一符号を付しその説明を省略する。
【0034】
なお、本発明の車両用取付部品取付構造は、車体11に各種部品を取付ける構成に適用できるものであり、フロント側ドア16のストライカ70を取付ける構成に限定されるものではない。例えば、図1に示されるリヤ側ドア17のドアロック装置19、フード用ロック装置24、リッドロック装置26にも適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、リテーナの一端部の嵌合凸部を、リテーナ挿入用開口から挿入してリテーナ受け凹部に嵌合することで、パネルに取付けるとともに、リテーナの他端部の固定部を、パネルの一方の面に当てて、スポット溶接等にて取付けるようにしたので、リテーナの一端部の移動範囲を、リテーナ受け凹部によって規制することができる。
すなわち、嵌合凸部とリテーナ受け凹部との嵌合構造によって、リテーナの一端部がボルトから逃げる方向に変位することを防止できる。このため、ボルト締め作業のときにリテーナを抑える必要がなく、作業性が良い。
さらにまた、パネルにストライカを取付けるための部材は、雌ねじ部を備えた1個のリテーナとボルトだけですみ、部品数が少なく構成も簡単である。
【0036】
請求項2は、リテーナにおける、固定部と雌ねじ部との間に、塑性変形が容易な変形脆弱部を有することにより、リテーナの位置調整をするときに、変形脆弱部が容易に変形するので、調整作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の斜視図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】本発明に係るセンタピラー及びドアロック装置の分解図
【図4】本発明に係るリテーナの構成図
【図5】本発明に係るパネル、ストライカ及び取付機構の分解図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】本発明に係るリテーナの変形例図
【図8】従来の車両用取付部品取付構造の説明図
【符号の説明】
10…車両、31アウタサドパネル、33…補強パネル、35…パネル、50,90…リテーナ、51…嵌合凸部、53,93…変形脆弱部、54…固定部、55,56…雌ねじ部、63…リテーナ受け凹部、64…リテーナ挿入用開口、70…取付部品(ストライカ)、73,74…ボルト。

Claims (2)

  1. 車体を構成するパネルの一方の面にリテーナを備え、このリテーナに雌ねじ部を設け、この雌ねじ部に前記パネルの他方の面側からねじ込むボルトによって、前記パネルの他方の面にストライカ等の取付部品を取付けるようにした車両用取付部品取付構造において、
    前記リテーナは、その一端部を前記パネルの一方の面に嵌合構造にて取付けるとともに、他端部を前記パネルにスポット溶接等による固定部にて取付ける部材であり、
    前記嵌合構造は、前記パネルの一方の面から前記リテーナ側へ窪んだリテーナ受け凹部と、このリテーナ受け凹部から前記固定部へ向かって開放したリテーナ挿入用開口と、このリテーナ挿入用開口から挿入してリテーナ受け凹部に嵌合するべく前記リテーナの一端部に形成した嵌合凸部と、からなることを特徴とした車両用取付部品取付構造。
  2. 前記リテーナは、前記固定部と前記雌ねじ部との間に、塑性変形が容易な変形脆弱部を有することを特徴とした請求項1記載の車両用取付部品取付構造。
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