JP2004049216A - 米飯の製造方法、成形米飯の製造方法及び成形米飯 - Google Patents

米飯の製造方法、成形米飯の製造方法及び成形米飯 Download PDF

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Abstract

【目的】本発明は、べたつきが抑制された米飯の製造方法を提供する。また、本発明は、べたつきが抑制された、手や容器への付着が起こりにくい成形米飯とその製造方法に関する。
【構成】原料米に炊飯に必要な量の水を吸水させた吸水米を、炊き水を用いることなく炊飯することを特徴とする米飯の製造方法。原料米に炊飯に必要な量の水を吸水させて吸水米を調製し、前記吸水米を、容器に充填密封した後の当該容器内の気体含有量が5容量%〜35容量%になるように充填し、その後当該容器内に炊き水を加えずに密封し、次いで吸水米を炊飯することを特徴とする成形米飯の製造方法。米飯粒の溶出固形分量が、1重量%〜5重量%であることを特徴とする成形米飯。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、米飯の製造方法に関する。より詳しくは、べたつきが抑制された米飯の製造方法に関する。また、本発明は、成形米飯の製造方法に関し、より詳しくは、べたつきが抑えられ、手や容器等に付着しにくい成形米飯と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、米飯の新しい喫食方法が知られている。例えば、ライスバーガーである。ライスバーガーは、常法により炊飯された米飯を型に入れて板状に成形した二枚の成形米飯で具材を挟み、このまま喫食者が手で持って喫食するものである。ところで、上記成形米飯は、米飯自体が持っている粘着性のために手にべたつきやすいという問題があった。また別の成形米飯として、手巻き寿司の要領で具を包むか、巻いて喫食するための米飯シートが提案されている(特開平11−285351号公報)。この米飯シートでは、手で具材を包む等する際に米飯シートが手にべたつかないようにその表面をオーブン等で加熱乾燥しているため、米飯本来の食感とは異なるものとなっている。
【0003】
一方、成形米飯の製造方法として、密封容器内で炊飯及び成形する方法が知られており、例えば耐レトルト性のプラスチック製の成形容器に、生米、具材と、水又は調味液とを、上記容器内に空間が生じないように満注充填し、密封シール後、レトルト処理することにより、容器内側の形状に従って米飯を成形し、白飯、すし飯、炊き込み御飯、リゾット等の成形米飯を製造する方法が提案されている(特開平7−99903号公報)。しかし、この方法によって得られた成形米飯は、容器内で米飯を圧縮成形するために米飯粒の崩れが生じ、この崩れた米飯粒から澱粉が溶出するため、べたつきが生じ易い。従って、上記方法により得られる成形米飯は、手で持って喫食する成形米飯としては不向きである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、べたつきが抑制された米飯の製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、べたつきが抑制されて手や容器等に付着しにくく、しかも米飯として良好な食感を有する成形米飯と、その製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、まず、成形米飯のべたつきの原因が、炊飯中に米飯粒が崩れて溶出する澱粉等の固形分(以下、溶出固形分)であり、この溶出固形分を抑制し得る炊飯方法によれば、べたつきが抑制された成形米飯を製造し得るという着想を得た。そこで、本発明者らが上記炊飯方法について検討を重ねた結果、炊飯に必要な量の水を原料米に吸水させて吸水米を調製し、この吸水米を炊き水を用いることなく炊飯するという方法によって、べたつきが抑制された米飯を製造し得ることを見出した。そして、この米飯を成形することにより、手や容器に付着しにくい成形米飯が得られるということも見出した。
【0006】
従って、本発明の要旨は、原料米に炊飯に必要な量の水を吸水させた吸水米を、炊き水を用いることなく炊飯することを特徴とする米飯の製造方法である。また、本発明の別の要旨は、原料米に炊飯に必要な量の水を吸水させて吸水米を調製し、前記吸水米を、容器に充填密封した後の当該容器内の気体含有量が5容量%〜35容量%になるように充填し、その後当該容器内に炊き水を加えずに密封し、次いで吸水米を炊飯することを特徴とする成形米飯の製造方法である。また、本発明の別の要旨は、米飯粒の溶出固形分量が、1重量%〜5重量%であることを特徴とする成形米飯である。
【0007】
【発明の実施の態様】
本発明では、まず、炊飯に必要な水を原料米に吸水させて吸水米を調製する。吸水米は、炊き水を用いることなく吸水米のみで炊飯可能な水分を含むものであればよく、その水分含量は25重量%〜80重量%、さらには40重量%〜75重量%、より好ましくは50重量%〜70重量%であることが望ましい。これによって、炊飯に必要な水を吸水可能な吸水米を得ることができる。上記吸水米を調製する方法は、炊飯に必要な水を原料米に吸水させることができればよく特に制限されないが、以下に吸水米の好適な調製方法を説明する。
【0008】
原料米は、その精米の程度又は発芽の有無等に制限なく使用することができ、常法により搗精した精白米の他、玄米、発芽玄米等を用いることができる。これらを2種以上混合してもよい。
【0009】
次に、原料米の水分調整を行う。水分調整した原料米を次工程で蒸煮することによって、炊飯に必要な量の水を吸水することができる原料米が得られる。水分調整は蒸煮前に行えばよい。上記原料米の水分含量は、20重量%以上、さらには26重量%以上とするのが好ましい。また、上限は特に制限されないが、例えばうるち種の原料米であれば、34重量%以下に調整すればよい。原料米の水分含量を調整するにあたっては、例えば原料米の洗米時に吸水させてもよいし、又は水浸漬工程を設けて吸水させてもよい。なお、原料米の水分含量を調整する際、クラスター水、脱気水又は軟水を使用して原料米の水分調整時間を短縮してもよい。
【0010】
次に、水分含量を調整した原料米を蒸煮する。これによって、炊飯に必要な量の水を原料米に吸水させることができる。原料米の蒸煮は、例えば飽和水蒸気を原料米に直接接触させて加熱することにより行えばよい。また、原料米の蒸煮に用いる水蒸気は、原料米が乾燥しない程度に乾燥した乾き蒸気を用いるのが好ましい。
【0011】
原料米を蒸煮するにあたっては、原料米の水分調整時等に当該原料米の表面に付着した余分な水分を除去するか、または原料米を昇温させるのがよい。さらには、原料米表面の水分を除去するとともに当該原料米を昇温させるのがよい。これによって、蒸煮時に原料米表面に付着する凝縮水の量が少なくなり、製造装置等への原料米の付着、及び原料米同士の付着が抑制される。また、原料米表面の水の除去は、熱風、冷風にさらすか又はマイクロ波、高周波等を照射するか、あるいは遠心分離等により行えばよいが、その際、原料米の水分含量が26重量%〜34重量%となるようにこれらの処理を施すのが好ましい。
【0012】
次いで、蒸煮後の原料米に加水し、蒸煮米に炊飯に必要な量まで吸水させる。これによって吸水米が得られる。蒸煮米に吸水させるにあたっては、当該原料米を水に接触させておけばよく、例えば、容器に蒸煮米及び炊飯に必要な量の水を充填し、そのまま加熱せずに前記蒸煮米に水を吸水させるという方法等により、蒸煮米に吸水させればよい。なお、水温は特に制限されず、例えば常温の水または温水を使用すればよい。
【0013】
次に、上記吸水米を炊飯する。本発明では、あらかじめ炊飯に必要な量の水を含む吸水米を炊飯するので、当該吸水米の炊飯に際して炊き水を用いる必要がない。そのため、炊き水とともに米を炊飯することにより発生する米飯粒の崩れ及び固形分の溶出が防止され、べたつきのない米飯が得られる。吸水米を炊飯するにあたっては、例えば、吸水米に炊き水を加えずに飽和水蒸気で直接蒸煮する方法、吸水米を容器に充填し、炊き水を加えずに密封し、容器ごと熱水で加熱する方法等が挙げられる。また、吸水米の加熱は加圧下で行ってもよい。なお、吸水米の炊飯と同時に加熱殺菌処理を施してもよく、その場合には、加熱条件を所定の殺菌価を達成するように適宜設定すればよい。
【0014】
上述した米飯の製造方法によれば、べたつきが少ない米飯を製造することができる。特に米飯粒の溶出固形分量が1重量%〜5重量%という非常にべたつきの少ない米飯も製造することができる。上記溶出固形分とは、米飯粒から溶出する澱粉を含む固形分のことをいう。この溶出固形分量は、次の方法で測定することにより求められる。すなわち、炊飯後に冷却された品温25℃の米飯粒をサンプリングして、ビーカー等の容器に入れる。次に、上記容器に25℃の水を入れ、スターラー等の攪拌手段で攪拌する。攪拌条件は、1000rpm、5分間である。攪拌後、容器内の米飯粒と水の混合物を1mmメッシュの篩を通過させて、米飯粒と水相部に分離する。これにより得られた水相部を、105℃で16時間乾燥し、得られた乾燥物の重量を測定する。この乾燥物の重量をサンプリングした米飯粒の総重量で除することにより、溶出固形分量を算出することができる。
【0015】
本発明により得られた米飯は、パラパラとした米飯粒が好まれる炒飯、ピラフ、ドライカレー等の調理米飯に適している。また、上記製造方法によって得られた米飯を成形することにより、手や包装容器等に付着を起こしにくい成形米飯を得ることができる。従って、上記米飯の製造方法は成形用米飯の製造方法として好適である。さらに、上記製造方法により得られる、米飯粒の溶出固形分量が1重量%〜5重量%、さらには2重量%〜4重量%の米飯を用いた成形米飯は、特に手や容器へのべたつき抑制効果が高いので、例えばライスバーガーに用いられている成形米飯のように、手で持って喫食する成形米飯用として好適である。なお、上記溶出固形分量が1重量%未満の米飯を用いた成形米飯は、米飯粒同士の結着が弱いために形崩れが生じやすく、反対に、溶出固形分量が5重量%よりも多い成形米飯は、手や容器にべたつきやすくなる傾向にある。上記米飯又は成形米飯は、そのまま調理して喫食してもよいし、または、容器に充填密封し、必要により加熱殺菌処理を施して容器入り保存性米飯として提供してもよいし、あるいは冷凍米飯として提供してもよく、従来の米飯製品と同様に取り扱うことができる。
【0016】
また、本発明によれば、米飯のべたつきの原因になりやすい割れ米を含む原料米を使用しても、べたつきの少ない米飯を得ることができる。本発明において、割れ米は、原料米の輸送、脱穀、精米、洗米等の炊飯前の任意の工程において、物理的作用を受けることにより、傷、ひび、欠け又は割れ等が発生した米のことをいう。通常、原料米に割れ米が含まれていると、炊飯時にひび割れや露出した断面から炊き水にでん粉が溶出し、べたつきが顕著な米飯となる。しかし、本発明によれば、原料米にあらかじめ炊飯に必要な量の水を吸水させ、炊飯時に炊き水を加えないので、割れ米からでん粉溶出が抑えられ、べたつきのない成形米飯が得られる。本発明では、割れ米の量は特に制限がなく、どのような量の割れ米を含む原料米を用いても、米飯のべたつきを抑制することができる。従って、例えば割れ米が10重量%以上、さらには40重量%以上、さらには70重量%以上という非常に多量の割れ米を含む原料米を使用した場合であっても、べたつきが抑制された米飯を得ることができる。なお、米飯の外観、食感を考慮すると、割れ米の含有量は10重量%〜40重量%とするのがよい。
【0017】
ここで、本発明で好適な成形米飯の製造方法について説明する。まず、吸水米を調製する。吸水米を調製するにあたっては、次の方法が好適である。すなわち、必要により洗米、浸漬した原料米を、蒸煮し、その後、原料米を必要によりほぐした後容器に充填し、これと同時に又は原料米充填後に、炊飯に必要な量の水を容器に加えて当該容器内で原料米に吸水させるという方法である。この方法では、容器内で原料米に水を均一に吸水させて容器内に水が残らないようにする。そのために、加水後に容器を密封し、反転、回転、揺動させるのがよい。また、容器内の水は、原料米に含まれている澱粉が炊飯時の加熱によりα化を開始する前に当該原料米に完全に吸水されているのが好ましい。また別の方法としては、あらかじめ上述した方法等により調製された吸水米を成形し、この成型された吸水米を容器に充填するという方法が挙げられる。この方法によれば、容器内で原料米の吸水を行わないので、炊飯時に容器内に完全に水がない状態で炊飯することができる。また、成形された吸水米を充填するので、充填時に吸水米がこぼれて容器のフランジ部等に付着することもなく、シール不良の発生を防止し得る。
【0018】
次いで、吸水米が充填された容器を密封する。容器を密封するにあたっては、密封後の容器内の気体含有量が、当該容器内容積の5容量%〜35容量%、より好ましくは7〜26容量%、最も好ましくは14容量%〜20.5容量%となるようにする。これによって、炊飯中に米飯粒が崩れを起こさない程度の圧力で米飯を圧縮することができるので、特に溶出固形分量が1重量%〜5重量%と少なく、米飯粒同士の結着性が弱い米飯であっても、米飯粒同士を適度な強度で結着させることができる。従って、べたつきが少なく、しかも形崩れを起こしにくい成形米飯が得られる。なお、密封容器内の気体含有量が5容量%未満の場合は、炊飯された米飯粒の間隙が密になって米飯粒が潰れやすいため、成形米飯がべたつきやすくなる。一方、気体含有量が容器内容積の35容量%を超える場合には、米飯粒の間隙が疎になるため、十分に米飯を圧縮できず、成形米飯が形崩れしやすくなる。
【0019】
また、容器内の気体含有量を上記範囲に特定することにより、最終的に5容量%〜30容量%、さらに好ましくは7容量%〜26容量%、最も好ましくは14容量%〜20.5容量%の空隙率を有し、形崩れを起こし難いという特徴を有する成形米飯が得られる。また、上記成形米飯は、米飯粒形状も良好に維持され、見栄えが良好である。ここで、空隙率とは、成形米飯を構成する米飯粒間に形成される空隙が、成形米飯の体積に占める割合をいう。成形米飯の空隙率は、次の方法により求められる。まず、成形米飯と同じ形状及び容積を有する容器に成形米飯を入れる。次に、菜種油、米油、サラダ油等の常温で液状の油脂を容器内に注入する。前記油脂を満注になった時点で、注入した油脂の重量を秤量する。次に、油脂の比重を考慮して、秤量した油脂の重量から油脂の体積を算出する。その後、油脂の体積が成形米飯の体積に占める割合、すなわち空隙率を求める。
【0020】
なお、密封容器内の気体については、空気を用いてもよいし、窒素及び/又は炭酸ガスで置換してもよいが、酸素を含むことが好ましい。これによって、加熱時に発生する硫黄臭の発生が抑制され、風味の良好な成形米飯が得られる。上記酸素量は、当該容器内に存在する気体容量の1容量%以上に調整することが好ましい。これによって、炊飯時の硫黄臭の発生及び米飯の黒変が抑制されるので、風味と色調の良好な成形米飯が得られる。
【0021】
次いで、飽和水蒸気、熱水等の熱媒体により容器ごと吸水米を加熱し、当該容器内で吸水米を炊飯する。これによって、容器内で吸水米を炊飯すると同時に成形することができ、べたつきがなく、形崩れを起こしにくい成形米飯を製造することができる。なお、容器内で吸水米を炊飯する場合には、当該容器の変形を防止するために圧力調整を行うことが望ましい。
【0022】
本発明における成形米飯の製造方法としては、上記以外にも例えば以下の(1)〜(5)の方法が挙げられる。
(1)吸水米を容器に充填した後、容器を密封せずに炊飯を行い、得られた米飯を押圧して容器内で成形する方法。
(2)上記(1)において、吸水米を成形した後容器に充填する方法。
(3)水分調整した原料米を容器に充填し、そのまま蒸煮し、次いで炊飯に必要な量の水を充填して原料米に吸水させ、容器内の気体含有量を上記範囲に調製した後容器を密封し、容器内の水が原料米に吸水された後に炊飯を開始し、この炊飯と同時に成形する方法。
(4)上記(3)の方法において、容器を密封せず炊飯し、炊飯後、容器内で米飯を押圧することにより成形を行う方法。
(5)吸水米を炊飯用容器に充填し、その後炊き水を用いずに炊飯し、得られた米飯を炊飯用容器から任意形状の型に移して米飯を成形する方法。
【0023】
本発明により得られた成形米飯は、必要により適宜包装して提供すればよい。例えばフィルム、袋、または剛性を有する成形容器等の包装材を用いて密封包装して提供すればよい。また、上記成形容器として、成形米飯との接触面のうち、少なくとも内底面、さらには内底面及び内側面にエンボス加工等の凹凸を設けた容器を用いてもよい。上記成形米飯は、それ自体べたつきの少ないものであるから、どのような容器であっても付着し難いものであるが、凹凸を有する容器に収納することにより、さらに成形米飯が容器内に付着し難く、成形米飯を崩さずに取り出しやすくなる。また、容器が剛性を有することにより、不意に容器外から力が加わっても、容器内の成形米飯が形崩れを起こしたり、米飯粒が崩れるのを防止することができる。
【0024】
上記成形米飯は、殺菌処理を施してチルド流通及び常温流通することもできるし、さらには冷凍流通してもよい。
【0025】
以下、本発明の成形米飯の具体的な態様を例示する。
(シート状成形米飯)
シート状成形米飯は、米飯がシート状成形されたものであればよく、この限りにおいて形状、大きさ及び厚さは任意である。形状としては、例えば、三角形、正方形、長方形等の多角形、円形、楕円形、扇形等が挙げられる。シート状成形米飯の大きさは、例えば、円形のシート状成形米飯の場合は、直径50mm〜200mmが好適である。また、正方形のシート状成形米飯の場合には、一辺75mm〜150mmが好適である。シート状成形米飯の厚さは、5mm〜15mmが好適である。
【0026】
このシート状成形米飯は、次の4つの構成要素、すなわち、▲1▼片手にのる程度の大きさ、▲2▼投影面積、▲3▼面積に対する適度な厚さ、▲4▼重量を満たすことにより、これらの要素が相互に関連して、消費者が自由な発想の下でさまざまな食べ方を楽しむことができるという効果を奏する。
【0027】
このようなシート状成形米飯は、その投影面積が、49cm〜144cm、厚さが5〜15mm、重量が18g〜180gであるが、投影面積の下限は56cmが好ましく、さらには70cmが好ましい。一方、投影面積の上限は、121cmが好ましく、さらには100cmが好ましい。厚さの下限は、7mmが好ましい。厚さの上限は12mmが好ましく、さらには10mmが好ましい。ここに厚さ15mmは、米飯粒を横にした状態で上下に6粒積み重ねたときの厚さ(6層の米粒の厚さ)に相当する。厚さ12mmは、同様に米飯粒を横にした状態で上下に5粒積み重ねたときの厚さ(5層の米粒の厚さ)に相当する。厚さ10mmは、米粒を横にした状態で上下に4粒積み重ねたときの厚さ(4層の米粒の厚さ)に相当する。厚さ7mmは、米粒を横にした状態で上下に3粒積み重ねたときの厚さ(3層の米粒の厚さ)に相当する。重量の下限は20gであり、好ましくは30gである。一方、重量の上限は、好ましくは90gであり、さらに好ましくは70gである。このような数値限定において、例えば、投影面積が約49cmであれば、重量も下限値又はその近傍の値であるのがよく、厚みも下限値又はその近傍であるのがよい。従って、このシート状米飯の態様として好ましいのは、投影面積40cm、厚さ5mm、重量18g〜投影面積144cm、厚さ15mm、重量180gのものであり、さらに好ましいのは、投影面積56cm、厚さ5mm、重量20g〜投影面積121cm、厚さ12mm、重量90gのものであり、最も好ましくは、投影面積70cm、厚さ7mm、重量30g〜投影面積100cm、厚さ10mm、重量70gのものである。
【0028】
このシート状成形米飯の好適な態様について、図1に基づいて説明する。図1は、レトルト食品に本発明を適用した白米からなるシート状成形米飯を示す。このシート状成形米飯1は、成形プラスチックからなるレトルト容器2に収容されており、米飯シート1を食べるときには、例えば蓋材の一部を開封して電子レンジに入れて加温し、その後レトルト容器2からシート状成形米飯1を取り出す。図1に記載のシート状米飯1は、縦(L1)×横(L2)×高さ(H)が、約90mm×約90mm×約7mmの寸法を有する、手の平に収まる程度の扁平な略正方形のシート形状を有するが、平面視したときに円形や楕円形であってもよい。厚さ約7mmというのは、米飯粒3を横にして、これを上下に3層にしたときの厚みに相当する(図2)。
【0029】
上述のシート状成形米飯は、次の形態で喫食するのに適しているが、これに限らず、その形状から想起されるさまざまな食べ方で食することができる。そのまま食べることも可能である。
(1)2枚又はそれ以上のシート状成形米飯で具材を挟んで喫食するライスバーガー、ライスサンドイッチ。シート状成形米飯をあらかじめ加温した後に具材を挟んでもよいし、具材を挟んだ後に加温し、喫食してもよい(図3)。
(2)具材、ソースをシート状成形米飯上に載せ、焼成して喫食するライスピザ。
(3)必要により電子レンジで加温して、具材を載せて焼成せずに喫食するライスタルト。具材とともに加温してから喫食してもよい。
(4)トーストと同様に焼成して喫食するライストースト。
(5)必要により、電子レンジで加温した一枚のシート状成形米飯を使って、別に用意される具材を巻く、包む、あるいは挟む等して喫食するための手巻きシート(図4)。
【0030】
また、上記シート状成形米飯として、さらに好ましい態様は、空隙率が5容量%〜30容量%のシート状成形米飯である。このシート状成形米飯は、具材等を挟むか又は挟まずに屈曲しても破断しにくい。そのため、例えば手巻き寿司の要領で具を巻いて食べる用途のシート状成形米飯として好適である。なお、本発明では、シート状成形米飯が破断せずに屈曲し得る性質(可撓性)を、破断した時点での角度(屈曲角度)を測定することにより、当該シート状成形米飯の可撓性を客観的に評価する。屈曲角度の測定は次の方法により行う。まず、水平に固定された固定水平面と、この固定水平面の端部を回転軸線とし水平から俯角90度まで傾斜可能に設けられた可動傾斜面を備えた屈曲角度測定装置を用意する。なお、屈曲角度を測定する際、シート状成形米飯は、一度α化させた後その品温が30℃に平衡したものを用いる。次に、シート状成形米飯を固定水平面と可動傾斜面に均等に載置する。シート状成形米飯を載置した後、可動傾斜面を水平から徐々に下方へ傾斜させる。傾斜角度が大きくなるに従ってシート状成形米飯は屈曲し、屈曲角度が大きくなる。そのまま、傾斜角を大きくするとシート状成形米飯は破断する。この破断直前の角度を屈曲角度とする。なお、屈曲角度が大きいほど可撓性の優れたシート状成形米飯であり、40度以上の屈曲角度を有することが望ましい。なお、このシート状成形米飯を喫食するにあたっては、合成樹脂製のフィルム又は海苔等の可食性シート等の撓み性を有するシートに載置してもよい。これによって、シート状成形米飯を補強することができ、シート状成形米飯で具材を包む、挟む等しやすくなる。
【0031】
本発明の成形米飯の形状は、上述のシート状に限定されるものではなく、例えば四面体、五面体、六面体等の多面体、球体、円筒形、円錐、リング状等、さまざまな立体形状としてもよい。このようなシート状以外の立体形状の例を以下に例示する。
【0032】
(ミニおにぎり)
ミニおにぎりは、従来のおにぎりよりもスナック感覚で手軽に喫食することができる成形米飯である。ミニおにぎりの形状は任意である。必要により、適宜具を入れてもよい。例えば、三角形、俵型、球状、半球状等とすればよい。ミニおにぎりの大きさは一口で喫食し得る大きさが好適である。例えば、三角形のミニおにぎりは、一辺20mm〜40mmとすればよい。球状の場合は、直径20mm〜30mmとすればよい。ミニおにぎりは、適宜包装して提供すればよい。例えば、成形容器に個包装にしてもよいし、個包装されたミニおにぎりを、カップ、袋等で包装してもよい。あるいは、複数の収容部を有するトレイ容器にひとつずつミニおにぎりを収納し、密封して提供してもよい。
【0033】
(にぎり寿司のシャリ)
にぎり寿司のシャリと同様の形状、大きさに成形された、にぎり寿司のシャリとして喫食する成形米飯である。この成形米飯は、寿司飯として好適な低pHに調整することが好ましい。製品として提供するにあたっては、ネタを包装して別添したにぎり寿司セットとしてもよい。
【0034】
(ライススティック)
ライススティックは、スティック状に成形された成形米飯である。ライススティックの形状は、スティック状であればよく、任意である。例えば、断面が三角形、四角形等の角棒状、円、楕円等とすればよい。長さも任意である。例えば100mm前後とすればよい。また、ライススティックの表面に付着性の高いペースト状物をコーティングした態様としてもよい。上記ペースト状物としては、味噌、梅じそ、ジャガバターなどが挙げられる。
【0035】
(ライスサプリメント)
有用栄養成分を配合し、栄養補助食品として提供される成形米飯である。公知の有用栄養成分を配合すればよく、例えば玄米、五穀、ひじき、納豆等の食品を配合するか、あるいはカルシウム、鉄分等をミネラル製剤で配合すればよい。ライスサプリメントの形状及び大きさは任意である。
【0036】
(容器型ライス)
容器型ライスは、お椀、器、ボール等の食器形状に成形された成形米飯である。この容器型ライスの喫食方法としては、例えば、必要により電子レンジ等の加熱手段で加温した後、ライス容器の内部に具材、ソース等を盛り付けて喫食する方法、ライス容器内に具材等を盛り付けた後、オーブンで焼成して喫食する方法等が挙げられる。容器型ライスの大きさ及び形状は任意である。
【0037】
【実施例1】
以下、上述の本発明を、実施例に基づいて説明する。原料米として、うるち米(「あきたこまち」)20.83重量部を洗米し、水(20℃)に1時間浸漬した後水切りして浸漬米32.7重量部を得た。この浸漬米の表面に付着している水分を遠心分離するとともに50℃の熱風をあてて除去した後、100℃、10分間の蒸煮処理を施し、得られた蒸煮米24.2重量部を水20.8重量部とともに90mm×90mm×8mmの大きさの収納スペースを有するポリプロピレン製の成形容器に充填した。次いで、ヘッドスペースを有するようにポリプロピレン製の蓋材をシールして密封した。容器内の空気の量は19.9容量%であった。次に、この包装容器内の水を完全に蒸煮米に吸水させ、吸水米を調製した。この吸水米調製中、均一に吸水させるために包装容器を一度反転させた。その後、熱水式レトルト殺菌機内に投入した(投入時の品温は25℃)。その後、90℃の熱水を殺菌機内に入れ、容器を静置したまま加圧及び昇温を開始して炊飯を行うと同時に加圧加熱殺菌処理を施した。その後、冷却及び減圧し、常温流通可能な容器入りシート状成形米飯を製造した。このシート状成形米飯は、容器内に付着せず取り出しが容易であった。また、シート状成形米飯を持った手にも付着しなかった。また、このシート状成形米飯を見たところ、全体的にふっくらとした外観を有し、個々の米飯粒の形状が良好に維持され、しかも全体的に均一な厚さを有していた。なお、このシート状成形米飯の溶出固形分量は3.33重量%で、水分含量は59重量%であった。
【0038】
その後、上述の方法により、シート状成形米飯の空隙率と可撓性を測定したところ、空隙率は16.4容量%であり、58.2°まで屈曲させても破断しなかった。また、全体的に炊飯直後の米飯に見られるふっくらとした外観を有し、個々の米飯粒の形状も良好に維持されていた。このシート状成形米飯の上に、予め調理した牛肉を載置し、巻いて食べたところ、このシート状成形米飯自体は手にべたつかず取扱いが容易であり、しかも全体としてふっくらとした均一な食感と、個々の米飯粒の好適な弾力性が感じられた。
【0039】
【実施例2】
実施例1において、原料米としてオーストラリア産のうるち米(割れ米含有率37重量%)20.8重量部を使用した点を除き、全て実施例1と同様にして、シート状成形米飯を製造した。このシート状成形米飯は、容器内に付着せず取り出しが容易であった。また、シート状成形米飯を手で持ってもべたべたせず、全体的にふっくらとした外観を有し、個々の米飯粒の形状が良好に維持され、全体的に厚さも均一であった。また、米飯粒の溶出固形分量は3.2重量%、水分含量は59重量%であった。
【0040】
このシート状成形米飯について、手や容器への「べたつき」の程度について官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0041】
【実施例3】
原料米として、オーストラリア産うるち米(割れ米含有率46重量%)を用いた点を除き、実施例2と同様にしてシート状成形米飯を製造した。このシート状成形米飯も、実施例2品と同様、官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0042】
【実施例4】
原料米として、オーストラリア産うるち米(割れ米含有率53重量%)を用いた点を除き、実施例2と同様にしてシート状成形米飯を製造した。このシート状成形米飯も、実施例2品と同様、官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 2004049216
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、べたつきが抑制された米飯を製造することができる。従って、この米飯は、べたつきが抑制されているので、炒飯、ピラフ、ドライカレー等の米飯粒が比較的パラパラとしたものが好まれる調理米飯用として好適である。また、本発明により得られた米飯は、油脂、食物繊維等を添加しなくてもべたつきを抑制することができる。さらに、上記米飯は、べたつきが抑制されているので、具材等を挟む等して手で持ってスナック感覚で喫食するライスバーガー、ライスピザ、おにぎり等の成形米飯用として好適である。この成形米飯を用いれば、従来はファーストフード店やコンビニエンスストア等で提供されていたものの、一般消費者が作って食べる機会がなかったライスバーガー等を一般消費者でも作って食べることができる。
【0045】
また、本発明によれば、米飯のべたつきの原因となりやすい割れ米を含む原料米を用いても、べたつきが抑制された米飯を製造することができる。この割れ米を含む原料米は、比較的低価格で流通していることから、割れ米を含まない原料米を炊飯した場合と同程度のべたつきに抑制された低価格の米飯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レトルト容器に収容したシート状成形米飯の外観図である。
【図2】図1に記載のシート状成形米飯の厚みを説明するための図である。
【図3】シート状成形米飯の食べ方の例として、二枚のシート状成形米飯を使用して具材を挟み、サンドイッチのようにして食べる食べ方を説明するための図である。
【図4】シート状成形米飯の食べ方の他の例として、シート状成形米飯を2つ折にして具材を包み込んで食べる食べ方を説明するための図である。
【符号の説明】
1   シート状成形米飯
2   レトルト容器
3   米飯粒
5   具材

Claims (8)

  1. 原料米に炊飯に必要な量の水を吸水させた吸水米を、炊き水を用いることなく炊飯することを特徴とする米飯の製造方法。
  2. 吸水米の水分含量が、25重量%〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載の米飯の製造方法。
  3. 吸水米が、原料米に一定量吸水させた後蒸煮し、次いで炊飯に必要な量まで吸水させたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の米飯の製造方法。
  4. 原料米が割れ米を含むものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の米飯の製造方法。
  5. 前記米飯が、成形米飯用であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の米飯の製造方法。
  6. 原料米に炊飯に必要な量の水を吸水させて吸水米を調製し、前記吸水米を、容器に充填密封した後の当該容器内の気体含有量が5容量%〜35容量%になるように充填し、その後当該容器内に炊き水を加えずに密封し、次いで吸水米を炊飯することを特徴とする成形米飯の製造方法。
  7. 米飯粒の溶出固形分量が、1重量%〜5重量%であることを特徴とする成形米飯。
  8. 成形米飯の空隙率が、5容量%〜30容量%であることを特徴とする請求項7記載の成形米飯。
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