JP2004321054A - 食品素材と食品素材の製造方法 - Google Patents

食品素材と食品素材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造工程に工夫をこらしたより食味のすぐれた食品を食前に供することのできる食品素材とその食品素材の製造方法を提供しようとする。
【解決手段】従来の食品素材にかわって、加熱処理された餡と、保冷温度で柔軟性を保つ食材である低温柔軟食材と、生の生地でできた皮と、を備え、前記皮が前記餡と前記低温柔軟食材との一体となったものを包んでおり、前記餡と前記低温柔軟食材とが重なって層となり、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接している、ものとした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生地でできた皮で餡を包んだものを蒸す、加熱する等の調理をして食する食品の食品素材とその食品素材の製造方法に係る。特に餡の加熱処理工程や餡を皮に包む工程の段取に特徴が有り、冷凍して流通させる場合に特に好適な食品素材とその食品素材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
小籠包、肉まん、ギョウザ、春巻等のごとく、肉、野菜、その他の具が混ぜられた餡を小麦粉等の皮で包んだ食品素材を熱加工してできた食品が好まれて食されている。餡は、具が混合されひとかたまりになったもので、例えばミンチにされた肉と細切れにされた野菜等が混ぜられたものである。皮は、例えば小麦粉を水で練ったものを発酵させシート状に延ばしたものである。
これらの食品は、厨房にて各種の具を混ぜてでできた餡を生の生地でできた皮で包んだ後で、蒸す、焼く、煮る等の加熱処理をし、その後で食前に供される。
ところで、プロの味を家庭で味わえる為、またレストランでの作業効率向上の為に、別の場所で半加工された食品になる直前の素材が流通している。これらを便宜上、食品素材と呼ぶ。これらの食品素材は、一般に冷凍処理された状態で流通され、家庭やレストランで、再度加熱されて食品として食前に供される。
流通過程に時間が要する為や、食品素材の生産国と消費国が異なる為に、特に肉が餡に混ぜられた場合、加熱処理をする必要がある。
【0003】
従来の、食品素材の製造方法を、例えば小籠包を例に、簡単に説明する。
(ゼラチンの仕込み工程)
豚皮等を煮詰めてゼラチンにする。
(具の原料の加工工程)
豚肉をミンチにし、野菜をカットする。
(調理工程)
加工した原材料を回転釜で炒めて味付けをする。
(冷却)
炒めた具材を冷却する。
(具材混合工程)
炒めた具材に味付けした生挽肉とゼラチンを混合する。
混合したものを適量に分けて餡にする。
(生地の仕込み工程)
生地(皮)を仕込み、ねかせる。
(生地分割)
生地を分割する。
(包餡成型工程)
生地の皮で餡を包み、成型する。
(加熱工程)
蒸し器で蒸し上げる。
(冷凍)
急速冷凍機で冷凍する。
【0004】
従来の食品素材の製造方法では、加熱工程において皮が餡に含まれるスープ成分を吸収する。食品素材は、その後で冷却される。保冷温度で保存される間に、水分が皮から抜ける。家庭またはレストランで、食品素材を再加熱した際に、皮が固くなり、食品の食味が損なわれる。
また、小籠包の特徴が多くのスープを含んでいることであるにもかかわらず、スープが皮に吸収されてしまい、家庭またはレストランで食品素材を再加熱した際に、スープの量が少なくなってしまう。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−233648号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の問題を解決するためには、上記の(加熱工程)を経ずに(冷凍工程)を施して、流通に乗せる方法が考えられる。
しかし、例えば、一の国で生産した食品素材を輸入し、他の国の流通過程に乗せる場合、畜産の病気である口蹄疫の病原体を他の国に上陸させないために、他の国に輸入する以前に、肉の混ざった餡を加熱処理する必要が有る。
また、食品素材を流通過程に長期に置くためには、肉の混ざった餡を加熱処理しておくほうが衛生上好ましい。
そこで、上記の衛生上の問題を解決しつつ、さらに家庭やレストランにおいて、より食味が優れた食品素材を提供して欲しいという要請があった。
【0007】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、従来の食品素材と食品素材の製造方法にかわって、製造工程に工夫をこらしたより食味のすぐれた食品を食前に供することのできる食品素材とその食品素材の製造方法を提供しようとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る食品素材を、加熱処理された餡と、生の生地でできた皮と、を備え、前記皮が前記餡を包んでいる、ものとした。
【0010】
上記本発明の構成により、餡が加熱処理され、皮が生の生地ででき、前記皮が前記餡を包んでいるので、前記餡の衛生状態を良好に維持でき、再加熱すると良好な食味を維持できる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る食品素材を、加熱処理された餡と、保冷温度で柔軟性を保つ食材である低温柔軟食材と、生の生地でできた皮と、を備え、前記皮が前記餡と前記低温柔軟食材との一体となったものを包んでいるものとした。
【0012】
上記本発明の構成により、餡が加熱処理され、低温柔軟食材が保冷温度で柔軟性を保ち、皮が生の生地ででき、前記皮が前記餡と前記低温柔軟食材との一体となったものを包んでいるので、前記餡の衛生状態を良好に維持でき、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、皮が痛むのを抑制でき、また良好な食味を維持できる。
【0013】
さらに、本発明に係る食品素材は、前記餡と前記低温柔軟食材とが境界を境に接している、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記餡と前記低温柔軟食材とが境界を境に接しているので、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、前記餡により皮が傷むのを抑制できる。
【0014】
さらに、本発明に係る食品素材は、前記皮の少なくとも一部分が前記低温柔軟食材に接している、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記皮の少なくとも一部分が前記低温柔軟食材に接しているので、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、前記低温柔軟食材に接する前記皮の前記一部分が傷むのを抑制できる。
【0015】
さらに、本発明に係る食品素材は、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接している、のが好ましい。
上記本発明の構成により、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接しているので、食品素材の通常の取り扱い姿勢で取り扱えば、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、下側となる前記皮の部分が傷むのを抑制できる。
【0016】
さらに、本発明に係る食品素材は、前記餡と前記低温柔軟食材とが重なって層となり、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接している、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記餡と前記低温柔軟食材とが重なって層となり、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接しているので、食品素材の通常の取り扱い姿勢で取り扱えば、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、下側となる前記皮の部分が傷むのを抑制できる。
【0017】
さらに、本発明にかかる食品素材は、前記低温柔軟性食材がゼラチンである、のが好ましい。
上記本発明の構成により、食品素材を再加熱すると、ゼラチンが溶けて皮で包まれた中に充満し、良好な食味を維持できる。
【0018】
さらに、本発明にかかる食品素材は、前記餡が型に入れられて加熱されたものである、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記型の形を適当に選択することで、餡を適当な形に成型にすることができる。
【0019】
さらに、本発明に係る食品素材は、皮が生のままの状態で冷凍されている、のが好ましい。
上記本発明の構成により、皮が生のままの状態で冷凍されているので、再加熱すると皮が水分を吸収し、良好な食味を得ることができる。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明に係る食品素材の製造方法を、餡と生の生地でできた皮とを準備する準備工程と、前記餡を加熱処理する加熱工程と、加熱処理された前記餡を前記皮で包み込む包餡工程と、を備える、ものとした。
【0021】
上記本発明の構成により、餡と生の生地でできた皮とを準備し、前記餡を加熱処理し、加熱処理された前記餡を前記皮で包み込むので、前記餡の衛生状態を良好に維持でき、再加熱すると良好な食味を維持できる。
【0022】
上記目的を達成するため、本発明に係る食品素材の製造方法を、保冷温度で柔軟性を保つ食材である低温柔軟食材と生の生地でできた皮と餡とを準備する準備工程と、前記餡を加熱処理する加熱工程と、加熱処理された前記餡と前記低温柔軟食材とを一体にする一体工程と、加熱処理された前記餡と前記低温柔軟食材との一体となったものを前記皮で包み込む包餡工程と、を備える、ものとした。
【0023】
上記本発明の構成により、保冷温度で柔軟性を保つ食材である低温柔軟食材と生の生地でできた皮と餡とを準備し、前記餡を加熱処理し、加熱処理された前記餡と前記低温柔軟食材とを一体とし、加熱処理された前記餡と前記低温柔軟食材との一体となったものを前記皮で包み込むので、前記餡の衛生状態を良好に維持でき、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、皮が痛むのを抑制でき、また良好な食味を維持できる。
【0024】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記一体工程が、前記餡と前記低温柔軟食材とが境界を境に接する様にする、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記餡と前記低温柔軟食材とが境界を境に接する様にするので、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、前記餡により皮が傷むのを抑制できる。
【0025】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記包み工程が、前記皮の少なくとも一部分が前記低温柔軟食材に接する様に前記皮で包み込む、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記皮の少なくとも一部分が前記低温柔軟食材に接する様に前記皮で包み込むので、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、前記皮の少なくとも一部分が傷むのを抑制できる。
【0026】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記包み工程が、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接する様に前記皮で包み込む、のが好ましい。
上記本発明の構成により、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接する様に前記皮で包み込むので、食品素材の通常の取り扱い姿勢で取り扱えば、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、下側となる前記皮の部分が傷むのを抑制できる。
【0027】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記一体工程が、前記餡と前記低温柔軟食材とを重ねて層とし、前記包み工程が、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接する様にする、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記餡と前記低温柔軟食材とを重ねて層とし、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接する様にするので、食品素材の通常の取り扱い姿勢で取り扱えば、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、下側となる前記皮の部分が傷むのを抑制できる。
【0028】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記低温柔軟食材がゼラチンである、のが好ましい。
上記本発明の構成により、食品素材を再加熱すると、ゼラチンが溶けて皮で包まれた中に充満し、良好な食味を維持できる。
【0029】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記皮が生のまま全体を冷凍する冷凍工程を、備える、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記皮が生のまま全体を冷凍するので、再加熱すると皮が水分を吸収し、良好な食味を得ることができる。
【0030】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記加熱工程が、前記餡を型に入れた状態で加熱処理をする、のが好ましい。
上記本発明の構成により、前記餡を型に入れた状態で加熱処理をするので、前記型の形を適当に選択することで、餡を適当な形に成型にすることができる。
【0031】
さらに、本発明に係る食品素材の製造方法は、前記加熱工程が、前記餡を型に入れた状態で加熱処理をし、前記一体工程が、前記型に入った餡を冷却した後で前記低温柔軟食材を該餡の上に流し込む、のが好ましい。
上記本発明の構成により、型に入った餡を冷却した後で前記低温柔軟食材を該餡の上に流し込むので、前記餡が前記低温柔軟食材から熱を奪い、前記低温柔軟食材と前記餡の層構造を簡単に造ることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0033】
本発明の実施形態に係る食品素材の構造を、図を基に、説明する。図1は、本発明の実施形態に係る食品素材の断面図である。
食品素材は、小籠包、肉まん、ギョウザ、春巻等の食品の素材である。食品素材は、通常冷凍されている。食品素材を所定の時間蒸すと、小籠包、肉まん、ギョウザ、春巻等の食品になる。
以下、食品素材が小籠包の素材であるとして説明する。
【0034】
実施形態に係る食品素材1は、生の生地でできた皮2と加熱処理された餡3と低温柔軟食材4とで構成され、皮2が餡3と低温柔軟食材4との一体となったものを包んでいるものである。
皮2は、シート状の生の食材であり、例えば小麦粉に水と塩とを加え、練って発酵させた後、シート状に延ばした生の生地である、
餡3は、味付けされた野菜、豚肉等の具が混合されて加熱処理されたものである。
餡3は、具として肉を含むもの(いわゆる、肉餡)であるのが好適である。肉は、家禽の肉であるのが好適である。
【0035】
低温柔軟食材4は、保冷温度で柔軟性を保つ食材であり、例えば、ゼリー原料、コンニャク、野菜(例えば、ニンジン、じゃがいも)のペースト、野菜(例えば、スライスしたニンジン)、他である。
保冷温度とは、食品素材を低温で保存する際のその温度の意味である。
ゼリー原料は、ゼラチン、カラギーナン、寒天、ペクチンのうちのひとつである。
特に、低温柔軟食材4として、ゼラチンが、常温では固まりにくく、10°C以下での保冷温度でゲル化する性質を持ち、好ましい。
ゼラチン4は、純粋なゼラチンの他に、スープ等を吸収したゼラチン溶液をも含む意味である。小籠包に使用されるゼラチンは、豚皮、鳥皮等から加熱抽出される。
【0036】
食品素材1は、冷凍された状態で、保存され、また流通される。
餡3と低温柔軟食材4とが境界を境に接しているのが好ましい。
また、餡3と低温柔軟食材4とが層をなしているのが好ましい。
またさらに、皮2の少なくとも一部分が低温柔軟食材4に接しているのが好ましい。
また特に、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる皮2の部分が低温柔軟食材4に接しているのが好ましい。
また特に、餡3と低温柔軟食材4とが重なって2層となり、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる皮2の部分が低温柔軟食材4に接しているのが好ましい。
また、食品素材1が、皮2が生のままの状態で冷凍されているのが好ましい。
以下では、低温柔軟食材4としてゼラチン4を用いた例で説明する。
【0037】
図1は、皮2が餡3とゼラチン4との2層構造を包み、ゼラチン4が餡3の下に有る、のを示している。
小籠包は、保存し、搬送し、蒸し、または皿に乗せて食前に供する等の通常の取り扱いの際に、皮2が閉じた箇所を上に向けて取り扱われる。
餡3がゼラチン4の上に乗っており、皮2の下側になる部分がゼラチン4に接触している。
【0038】
次に、実施形態に係る食品素材の製造方法を、図を基に、説明する。
図2は、実施形態に係る食品素材の製造手順図である。
図3は、実施形態に係る食品素材の製造方法の段取図である。
食品素材の製造方法は、準備工程S10、S20、S30と加熱工程S40と一体工程S50と包餡工程S60と冷凍工程S70と出荷工程S80とを備える。
【0039】
準備工程は、餡3とゼラチン4と生の生地でできた皮2とを準備する工程であり、ゼラチン仕込み工程S10と餡仕込み工程S20と皮仕込み工程S30とで構成される。
【0040】
ゼラチン仕込み工程S10は、ゼラチン4を仕込む工程であり、皮洗浄工程S11と皮煮詰工程S12と篩工程S13とゼラチン冷却工程S14とで構成される。
(皮洗浄工程)
皮洗浄工程S11は、豚皮を洗浄する工程である。
豚皮に熱湯をかけて、汚れを落とす。毛穴が広がり、細かい毛が抜ける。
洗浄し、毛等の異物を除去する。
(皮煮詰工程)
皮煮詰工程S12は豚皮を煮詰める工程である。
計量し、煮詰める。煮とけないものをつぶし、さらに煮詰める。
(篩工程)
篩工程S13は、篩にかける工程である。
溶けてゾル状のゼラチン4を篩にかける。溶けきれないものと異物を除去する。
(ゼラチン冷却工程)
ゼラチン冷却工程S14はゼラチン4を冷ます工程である。
ゼラチン4を冷ます。ゼラチン4がゾル状になる温度にしておく。
上記の工程により、ゼラチン4を準備できる。
【0041】
餡仕込み工程S20は、餡3を仕込む工程であり、原料加工工程S21と具材調理工程S22と具材冷却工程S23と具材混合工程S24とで構成される。
(原料加工工程)
原料加工工程S21は、具の原料を加工する工程である。
豚肉ミンチと野菜とをカットする。原料(以下、具と呼ぶ)が細かくなる。
(具材調理工程)
具材調理工程S22は、具を調理する工程である。
具を回転釜で炒めながら、味付けをする。
(具材冷却工程)
具材冷却工程S23は、具を冷却する工程である。
炒めた具が冷却される。
(具材混合工程)
具材混合工程S24は、具材と生挽肉とを混合する工程である。
炒めた具に味付けした生挽肉を混合する。
上記の工程により、餡3を準備できる。
【0042】
皮仕込み工程S30は、皮を仕込む工程であり、生地仕込工程S31と生地分割工程S32とで構成される。
(生地仕込工程)
生地仕込工程S31は、生地を仕込む工程である。
小麦粉に水と塩とを加え撹拌し、さらにラードを加えて撹拌し、所定の温度で保冷する。生地が発酵する。
(生地分割工程)
生地分割工程S32は、生地を分割する工程である。
生地をこねて、一個の小籠包当たりの分量に分割する。例えば、小籠包30gに対して生地9gである。生地をのばして、所定の直径の円形にする。
上記の工程により生の生地の皮2を準備できる。
【0043】
加熱工程S40は、餡3を加熱処理する工程であり、餡成型工程S41と餡加熱工程S42とで構成される。
(餡成型工程)
餡成型工程S41は、餡3を型5を用いて成型する工程である。
餡仕込み工程S20で準備した餡3を型5に入れる。
型5は、小籠包に包む餡3の形に凹んだ入れ物である。
餡3を型5の中に入れ、上部に所定の隙間を設ける。
図3Aは、空の状態の型5を示している。
(餡加熱工程)
餡加熱工程S42は、餡3を加熱する工程である。
餡3の入った型5を所定の温度で所定の時間だけ蒸す。
所定の温度と所定の温度は、餡3の殺菌に必要な値である。例えば、日本国政府は、輸入される偶蹄類の動物の肉及び臓器を原料とするソーセージ、ハム及びベーコが輸入される場合、当該物を煮沸又は摂氏100°C以上の蒸気に触れさせることにより、当該物の中心温度を一分間以上摂氏70°C以上に保つことを求めている。
餡3が型5の中で固化する。
図3Bは、型5の中に固化した餡3が入っている、のを示している。
【0044】
一体工程S50は、加熱処理された餡3とゼラチン4とを一体にする工程であり、餡冷凍工程S51とゼラチン付加工程S52と型抜き工程S53とで構成される。
餡3とゼラチン4とを層にして一体にするのが好ましい。
また、餡3とゼラチン4とを2層にして一体にするのが好ましい。
また特に、型5に入った餡3を冷却た後でゾル状のゼラチン4を餡3の上に流し込むのが好ましい。
(餡冷凍工程)
餡冷凍工程S51は、餡3を冷凍する工程である。
加熱工程S40で用いた型5に入ったままの餡3を急速冷凍する。餡3が凍る。
餡3の表面は、冷凍固化した具の縁が飛び出して、ぎざぎざになっている。
(ゼラチン付加工程)
ゼラチン付加工程S52は、餡3にゼラチン4を付加する工程である。
ゾル状のゼラチン4を型5の餡3の上に流し込む。
餡3がゼラチン4から熱を奪い、ゼラチン4がゲル化する。
ゼラチン4が、餡3の表面のぎざぎざに絡んで、餡3に付着する。
図3Cは、餡3とゼラチン4とが型5の中で2層構造になっている、のを示している。
(型抜き工程)
型抜き工程S53は、型5から餡3とゼラチン4とを取りだす工程である。
ゼラチン4と餡3とが一体となったものを取りだし、ゼラチン4が下になるように置く。
図3Dは、取りだしたゼラチン4と餡3との一体となったものが、ゼラチン4を下側にして、皮2の上に置かれた、のを示している。
【0045】
包餡工程S60は、皮2でゼラチン4と餡3との一体となったものを包む工程である。
生の生地を円形のシート状に延ばす。
ゼラチン4と餡3との一体となったものを円形の中央に、ゼラチン4を下にして、置く。
皮2の縁部を、適当な皺をつけながら、上部にたくしあげて、餡3の上部でまとめる。
小籠包の形が成型できる。皮2は生のままである。
図3Eは、小籠包でき上がった様子を示している。
【0046】
冷凍工程S70は、上述の小籠包を急速冷凍する工程である。
皮2が生の生地のままの小籠包を急速冷凍する。
食品素材1が完成する。
【0047】
出荷工程S80は、出来た食品素材1を流通に乗せる準備工程であり、検査工程S81と包装工程S82と保存工程S83とで構成される。
(検査工程)
検査工程S81は、食品素材を検査する工程である。
目視、その他の手段により、食品素材を検査し、検査基準に達しないものを除去する。
(包装工程)
包装工程S82は、食品素材を包装する工程である。
食品の天地に注意し、小籠包を通常の取り扱い姿勢(すなわち、ゼラチン4に接する皮2の部分が下になる姿勢)で、小籠包を包装し、容器に入れる。
(保存工程)
保存工程S83は、包装された食品資材を保存する工程である。
包装された食品素材1を冷凍庫で保存する。
その後、市場の需要に応じて、冷凍された食品素材1を流通に乗せる。
【0048】
次に、実施形態の食品素材の調理方法を説明する。
図4は、実施形態に係る食品素材を加熱した食品の説明図である。
小籠包の食品素材を蒸すと、皮2とゼラチン4と餡3が解凍され、さらに皮2と餡3が暖まり、ゼラチン4がゾル化して液体になり、皮2に包まれた空間を充満する。
皮2が水分を吸収し、、食味の良好な小籠包を食することができる。
また、ゼラチン4に含まれるスープが失われないので、スープの多い小籠包を食前に供することができる。
【0049】
上述の実施形態の食品素材と食品素材の製造方法とを用いれば、生の生地の皮2で加熱処理された餡3を包んでいるので、食事の直前に食品素材1を加熱処理して、食前に供することができ、皮の風味を損なわず、食味の良好な食品を提供することができる。
また、生の生地の皮2で餡3とゼラチン4を包んでいるので、食事の直前に食品素材1を加熱処理して、食前に供することができ、食味の良好な食品を提供することができる。
また、ゼラチン4と餡3とが境界を境にして接しているので、ゼラチン4が緩衝材になり、餡3生の生地の皮2を切ったり、孔をあけたりしない。
また、皮2の下側の部分がゼラチン4に接触しているので、保存・流通過程で食品素材の通常の取り扱い姿勢を維持すれば、皮2が破れたり、孔があることを防止でき、食前に供するために食品素材を蒸した際に、なかのスープが漏れることを防ぐことができる。
出願人の試験によれば、ゼラチン4と具とを混合してできた餡3を皮2で包んで保存すると、皮2が切れたり、孔が皮2にあいてしまうことがあり、そうなると食品素材を再加熱した際に、スープが漏れることが、分かっている。
また、食事の直前まで、皮2が生の生地のままにすることができるので、食品素材を蒸した時の皮の食味が優れる。
また、餡3を型5に入れて加熱処理し固化させるので、型5の形を選択して、各種の形の餡3を造ることができ、食品素材の成型が容易になる。
また、型5に入った餡3の上にゼラチン4を流し込んでゲル化させるので、餡3とゼラチン4とを境界を境にしたまま一体にできる。
皮2が生のまま冷却するので、皮2の鮮度が維持され、食味の良好な食品を食前に供することができる。
【0050】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
食品素材の食品が、小籠包であるとして説明したがこれに限定されず、例えば、肉まん、ギョウザ、春巻等でもよい。
皮が餡とゼラチン(低温柔軟食材)とを包んでいる食品素材を例に説明したが、皮が低温柔軟食材を包んでいなくとてもよい。例えば、食品素材がギョウザの素材であれば、皮が肉を含む餡を包んでおり、低温柔軟食材を含まない。
餡が豚肉の餡であるとして説明したがこれに限定されず、他の具材を用いた餡でもよい。
また、餡とゼラチンが層構造をしている例で説明したがこれに限定されず、例えば、ゼラチンが加熱処理された餡の周囲を包んで一体とし、その周囲を生の生地の皮で包んでもよい。この様な構造は、上下の姿勢が2通りある春巻等に好適である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の食品素材とその食品素材の製造方法は、その構成により、以下の効果を有する。
生の生地でできた皮が加熱処理された餡を包んでいるので、前記餡の衛生状態を良好に維持でき、再加熱すると良好な食味を維持できる。
生の生地でできた皮が加熱処理された餡と低温柔軟食材との一体となったものを包んでいるので、前記餡の衛生状態を良好に維持でき、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、皮が痛むのを抑制でき、また良好な食味を維持できる。
また、前記餡と前記低温柔軟食材とが境界を境に接しているので、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、前記餡により皮が傷むのを抑制できる。
また、前記皮の少なくとも一部分が前記低温柔軟食材に接しているので、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、前記低温柔軟食材に接する前記皮の前記一部分が傷むのを抑制できる。
また、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接しているので、食品素材の通常の取り扱い姿勢で取り扱えば、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、下側となる前記皮の部分が傷むのを抑制できる。
また、前記餡と前記低温柔軟食材とが重なって層となり、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接しているので、食品素材の通常の取り扱い姿勢で取り扱えば、前記低温柔軟食材が緩衝材となり、下側となる前記皮の部分が傷むのを抑制できる。
また、前記低温柔軟性食材がゼラチンであるので、食品素材を再加熱すると、ゼラチンが溶けて皮で包まれた中に充満し、良好な食味を維持できる。
また、前記皮が生のまま全体を冷凍されるので、再加熱すると皮が水分を吸収し、良好な食味を得ることができる。
また、餡を型に入れた状態で加熱処理をするので、型を適当に選択することで、餡を成型にすることができる。
また、型に入った餡を冷却した後で前記低温柔軟食材を該餡の上に流し込む、ので、前記餡が前記低温柔軟食材から熱を奪い、前記低温柔軟食材と前記餡の層構造を簡単に造ることができる。
従って、製造工程に工夫をこらしたより食味のすぐれた食品を食前に供することのできる食品素材とその食品素材の製造方法を提供できる。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る食品素材の断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る食品素材の製造手順図である。
【図3】本発明の実施形態に係る食品素材の製造方法の段取図である。
【図4】本発明の実施形態に係る食品素材の食品の概念図である。
【符号の説明】
1 食品素材
2 皮
3 餡
4 低温柔軟食材
5 型

Claims (19)

  1. 食品素材であって、
    加熱処理された餡と、
    生の生地でできた皮と、
    を備え、
    前記皮が前記餡を包んでいる、
    ことを特徴とする食品素材。
  2. 食品素材であって、
    加熱処理された餡と、
    保冷温度で柔軟性を保つ食材である低温柔軟食材と、
    生の生地でできた皮と、
    を備え、
    前記皮が前記餡と前記低温柔軟食材との一体となったものを包んでいる、
    ことを特徴とする食品素材。
  3. 前記餡と前記低温柔軟食材とが境界を境に接している、
    ことを特徴とする請求項2に記載の食品素材。
  4. 前記皮の少なくとも一部分が前記低温柔軟食材に接している、
    ことを特徴とする請求項2に記載の食品素材。
  5. 食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接している、
    ことを特徴とする請求項2に記載の食品素材。
  6. 前記餡と前記低温柔軟食材とが重なって層となり、
    食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接している、
    ことを特徴とする請求項2に記載の食品素材。
  7. 前記低温柔軟性食材がゼラチンである、
    ことを特徴とする請求項2に記載の食品素材。
  8. 前記餡が型に入れられて加熱されたものである、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2のうちのひとつに記載の食品素材。
  9. 皮が生のままの状態で冷凍されている、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2のうちのひとつに記載の食品素材。
  10. 食品素材の製造方法であって、
    餡と生の生地でできた皮とを準備する準備工程と、
    前記餡を加熱処理する加熱工程と、
    加熱処理された前記餡を前記皮で包み込む包餡工程と、
    を備える、
    ことを特徴とする食品素材の製造方法。
  11. 食品素材の製造方法であって、
    保冷温度で柔軟性を保つ食材である低温柔軟食材と生の生地でできた皮と餡とを準備する準備工程と、
    前記餡を加熱処理する加熱工程と、
    加熱処理された前記餡と前記低温柔軟食材とを一体にする一体工程と、
    加熱処理された前記餡と前記低温柔軟食材との一体となったものを前記皮で包み込む包餡工程と、
    を備える、
    ことを特徴とする食品素材の製造方法。
  12. 前記一体工程が、前記餡と前記低温柔軟食材とが境界を境に接する様にする、
    ことを特徴とする請求項11に記載の食品素材の製造方法。
  13. 前記包み工程が、前記皮の少なくとも一部分が前記低温柔軟食材に接する様に前記皮で包み込む、
    ことを特徴とする請求項11に記載の食品素材の製造方法。
  14. 前記包み工程が、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接する様に前記皮で包み込む、
    ことを特徴とする請求項11に記載の食品素材の製造方法。
  15. 前記一体工程が、前記餡と前記低温柔軟食材とを重ねて層とし、
    前記包み工程が、食品素材の通常の取り扱い姿勢において下側となる前記皮の部分が前記低温柔軟食材に接する様にする、
    ことを特徴とする請求項11に記載の食品素材の製造方法。
  16. 前記低温柔軟食材がゼラチンである、
    ことを特徴とする請求項11に記載の食品素材の製造方法。
  17. さらに、
    前記皮が生のまま全体を冷凍する冷凍工程を、
    備える、
    ことを特徴とする請求項10または請求項11のうちのひとつに記載の食品素材の製造方法。
  18. 前記加熱工程が、前記餡を型に入れた状態で加熱処理をする、
    ことを特徴とする請求項10または請求項11のうちのひとつに記載の食品素材の製造方法。
  19. 前記加熱工程が、前記餡を型に入れた状態で加熱処理をし、
    前記一体工程が、前記型に入った餡を冷却した後で前記低温柔軟食材を該餡の上に流し込む、
    ことを特徴とする請求項11に記載の食品素材の製造方法。
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