JP6960888B2 - 即席食品の調理方法 - Google Patents

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Description

本発明は即席食品の調理方法に関する。より詳しくは、調理後の段階において、丼飯のように具材が膨化乾燥米の上に来ているようにした即席食品の調理方法に関する。
近年、即時に提供できる即席食品の需要が高まっている。即席食品の一例としては、膨化乾燥米を用いた即席食品が挙げられる。
ここで、膨化乾燥米とは、澱粉をα化させた後、高温で乾燥して組織を膨化させたものである。膨化乾燥米を喫食するには、水を加えて加熱調理して復元させるか、熱湯を注加して復元させることが一般的である(例えば、特許文献1,2参照)。
市販されている即席食品は、膨化乾燥米と具材が容器に封入されているが、条件によって封入方法が異なっている。例えば、膨化乾燥米と具材との間で水分移行が問題となる場合には、膨化乾燥米や具材をそれぞれ個別に包装してから封入する方法が用いられている。一方、膨化乾燥米と具材との間で水分移行が問題とならない場合には、膨化乾燥米と具材を一緒にして封入する方法が用いられている。最近では乾燥技術の進歩もあり、膨化乾燥米と具材を一緒に封入する方法が主流である。
特開2014−158423号公報 特開昭51−32751号公報
ところで、喫食時における見た目は、食欲や購買意欲を増進させるのに重要な役割を果たす。即席食品がカレーやハヤシライスなどの場合には、喫食時にかき混ぜるため、復元前の段階において容器内で膨化乾燥米や具材が混ぜ合わさった状態であっても特に問題とならない。一方、丼飯等を想定した即席食品の場合、少なくとも調理後の段階で膨化乾燥米と具材が分離し、膨化乾燥米の上に具材が来ていることが望ましい。ここで、製造の段階においては、膨化乾燥米と具材を別工程で充填することにより膨化乾燥米と具材とを分離させている。しかし、製造時に分離していたとしても、その後の輸送や保管状況などによって、混ざりあってしまうことがある。
膨化乾燥米と乾燥具材が混ざり合った状態の即席食品に熱湯を注加すると、注加された湯の勢いで多少膨化乾燥米と具材が動くことがある。しかし、限られた容器内という空間の中で、それぞれが大きく位置を変えることはほとんどなく、膨化乾燥米と具材が混ざり合ったままの状態で復元されてしまう。また、大量に注湯するような場合には、比重の軽いものが浮くことで位置が変わることも考えられる。しかし、比重の重い物の下に比重の軽いものが隠れている場合には、比重の重いものが重しとなり、比重の軽いものが浮かび上がりにくい。さらに、少ない注湯量で復元するような場合においては、さらに膨化乾燥米と具材の位置が変わりにくい。
本発明者らは、膨化乾燥米と乾燥具材が混ざり合った状態の即席食品において、少なくとも調理後の段階において、具材が膨化乾燥米の上にくるような調理方法について鋭意検討を行った。そして、膨化乾燥米と具材が入った容器を水平方向に振盪させた後、容器の内壁面に沿って注湯することで、具材が膨化乾燥米の上に維持された状態で復元させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題解決のため、本発明は、容器と蓋によって容器内に封入された即席食品の調理方法であって、容器から蓋を剥がす開封ステップと、蓋を剥がした容器を、水平方向に振盪させる振盪ステップと、容器の内壁面に沿って注湯する注湯ステップと、を含む、即席食品の調理方法を提供する。また、振盪ステップにおいて、10〜15cm幅を5回/秒の速度で反復直線運動を10秒間行うことが好ましい。
上記課題解決のため、本発明は、膨化乾燥米と具材からなる即席食品の調理方法であって、平面視において、容器内で膨化乾燥米と具材がしめる面積の合計値に対して、具材がしめる面積値が30%以上となるように容器を水平方向に振盪させた後、容器の内壁面に沿って注湯する、即席食品の調理方法を提供する。
本発明により、例え膨化乾燥米と乾燥具材が混ざり合っていたとしても、具材を膨化乾燥米の上に移動させることができる。さらに、振盪によって乾燥具材を容器の中央に集中して集めることができるため、丼飯の再現性を高めることができる。また、本発明によれば、粉末スープや顆粒スープを膨化乾燥米及び乾燥具材と一緒に容器内に充填しておくことで、容器の底に粉末スープや顆粒スープが移動させることができる。これにより、復元したときに容器の底にたれが溜まった状態が再現できるため、より丼飯の再現性を高めることができる。上述のように、本発明によれば、視覚的な面からも丼飯を再現することができるため、食欲や購買意欲を増進させることができる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。
本発明で使用する原料米はジャポニカ系、インディカ系、長粒米、短粒米など特に制限されることなく、各種のものを使用することができる。さらに古米も有効に利用できる。
次に、原料米を用いた膨化乾燥米の製造工程について説明する。なお、ここでは短粒米を例に説明するが、これに限られるものではない。
まず、洗米工程について説明する。洗米工程では、搗精後の原料米を洗米する。このとき、洗米方法は特に限定されず、公知技術を用いることができる。
次に、浸漬工程について説明する。なお、浸漬工程は必須工程ではなく、適宜選択可能である。
浸漬工程では、洗米後の原料米を水に浸漬し、吸水させる。浸漬時間としては、時期、気温、米の種類や状態にもよるが、白米であれば30分以上浸漬させることが好ましい。洗米後の原料米を水に浸漬することで、米が吸水し、食感・食味の良い炊飯米ができる。
なお、本発明においては、副原料として油、乳化剤、重合リン酸塩、酸化防止剤、アミラーゼなどの酵素を添加してもよい。また味付けのために塩や醤油、砂糖などの調味料を使用してもよい。
次に、炊飯工程について説明する。本発明における米の炊飯方法は特に制限されないが、ガス式炊飯、電気式炊飯、IH式炊飯や蒸煮による炊飯など、通常の方法で炊飯すればよい。また、炊飯における加水量は、炊飯後に所望の粘りと硬さを有する食感の炊飯米が得られるよう適宜加水量を調整して炊飯すればよい。例えば、炊飯歩留が1.6〜2.6(炊き上がり水分で49〜68%に相当)となるように適宜加水量を調整して炊飯することができる。ここで炊飯歩留とは、炊飯前の米の重量に対する炊飯後の米の重量比である。
一般に、適度な粘りと硬さを有する炊飯米とするには、炊飯歩留が1.8〜2.4(炊き上がり水分で53〜63%に相当)程度とするのが良い。
最後に、加工工程について説明する。加工工程は、炊飯米を乾燥、圧扁、膨化乾燥により膨化乾燥米に加工する工程である。
具体的には、炊飯又は蒸煮した米飯をほぐした後、圧扁処理が可能な状態まで一次乾燥して水分を調整する。一次乾燥は100℃以下の通風で行うのがよく、水分20%〜30%(重量%:以下同)、特に好ましくは22%以上〜28%になるまで乾燥するのがよい。この範囲に乾燥させることで、圧扁によっても破砕しない状態となる。
一次乾燥で水分を調整後、圧扁処理を行う。圧扁処理としては狭いロール間に米粒を通す方法が最も簡単であるが、押圧機、擂潰機等によって押圧してもよい。ロールで圧扁する場合としては、ロール間隔を0.1〜1mm程度とすればよいが、特に0.10mm以上0.60mm以下のロール間隔で押圧するのが好ましい。また、複数回圧扁することもできる。圧扁することによって米粒内に組織破壊が起こり、この破壊によって膨化が起こり易くなる。なお、強く圧扁するほど膨化しやすくなる。本発明においては、よりよい食感とするために、0.15mm以上0.45mm以下とするのがよい。
圧扁した後、膨化乾燥する前に二次乾燥によって水分を調節する。二次乾燥するのは適切な膨化状態を得るためである。二次乾燥は、一次乾燥と同様に100℃以下の通風で行うのがよい。乾燥後、水分が10%〜25%、特に好ましくは12%以上18%未満になるまで乾燥すればよい。乾燥後、好ましくは篩別し、100℃を越える高温で膨化乾燥する。
膨化乾燥は、食品の乾燥用又は焼成用の高温熱風乾燥機で行うことができる。本発明においては、充分膨化させ、復元性を良くするために、庫内温度を100℃より高温、好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上とする。本発明においては、膨化乾燥米が水に浮くようにするために、嵩比重を0.43g/ml以上0.53g/ml以下に調整する。このような嵩比重に膨化させるには、温度、風速と時間等によって、膨化の度合いを調整すれば良い。
また、一気に高温の熱を与えてムラ無く膨化させるためには、例えば風速40m/s以上の高温高速の気流を米粒に吹き付けて膨化乾燥するのが好ましい。また、この時、高温気流乾燥機庫内に飽和蒸気を加えて、米に付与するエネルギー量を増やしても良い。さらに、高温高速の気流の他、過熱蒸気を吹き付けて膨化させることもできる。
膨化乾燥の時間としては、温度、風速、米の量によって全く異なり、適宜調整することとなるが、大まかに言えば、30秒〜2分程度が上げられる。これによって、最終的な水分が5%〜12%程度で嵩比重が0.43g/ml以上0.53g/ml以下になるように、膨化乾燥するのが良い。
本発明で用いられる具材としては、乾燥具材であればよく、乾燥方法は特に制限されない。乾燥方法の一例としては、油ちょう処理、凍結乾燥、真空乾燥などが挙げられる。また、乾燥処理される材料としては、畜肉、魚介類、膨化卵製品、野菜、植物タンパクまたはこれらの組み合わせなどが挙げられる。乾燥具材の大きさとしては、特に制限されないが、下限としては膨化乾燥米よりも大きいことが好ましい。一方、上限としては直径が20mmまたは20mmのダイスサイズ程度であることが好ましい。20mmを超えると、容器の大きさにもよるが、振盪しても乾燥具材が動かず、膨化乾燥米の上に移動しづらいためである。一方、乾燥具材の嵩比重としては膨化乾燥米と同程度かそれ以下の比重であれば特に制限されない。
本発明で用いられるシーズニングとしては、粉末スープ、顆粒スープまたは液体調味料を用いることができる。このうち、膨化乾燥米及び乾燥具材と一緒に容器内に封入できる粉末スープまたは顆粒スープを用いることが好ましい。粉末スープまたは顆粒スープの大きさとしては、膨化乾燥米の長径よりも小さければ特に制限されない。一例として、短粒種米を用いた膨化乾燥米と一緒に用いる場合には、JIS Z 8801−1に基づく試験用ふるいにおいて、目開きが4mm未満であることが好ましい。粉末スープまたは顆粒スープの大きさが4mm以上になると、容器を振盪させたときに粉末スープまたは顆粒スープが容器の底に集まりにくい。
本発明においては、膨化乾燥米を容器に直充填し、さらに、乾燥具材とシーズニングを直充填する。そして、容器を密封して容器入り即席米飯の商品とする。
本発明に用いられる容器は、カップ状や丼状などの剛性のある容器が好ましく、断熱性発泡紙製容器であることがより好ましい。また、スタンディングパウチのような軟包材タイプのものであってもよい。このうち、容器開口部に向かって、容器の水平面における断面積が漸次増大していることが好ましい。なお、容器内には、復元調理時に必要な水量を示す喫水線を付与することができ、容器が透明である場合には容器外に喫水線を付与しても良い。
続いて、本発明にかかる調理方法について説明する。ここでは、カップ状容器内に膨化乾燥米、乾燥具材および粉末スープを入れ、蓋材で封止した製品を例に説明する。
まず、容器から蓋材を剥がし、開口部を露出させる。この時、蓋はすべて取り除いてもよいが、注湯後に蓋をして静置する観点から、一部容器と接着していることが好ましい。
次に、容器を水平方向に振盪させる。この時、振盪速度としては、10〜15cm幅を5回/秒程度の速度で反復直線運動を行うことが好ましい。ここで、5回/秒とは、1秒当たり10〜15cm幅を往復2.5回反復直線運動するという意味である。また、振盪時間としては、10秒間行うことが好ましい。上記振盪を行うことで、容器内で膨化乾燥米と具材が振動し、膨化乾燥米よりも大きい具材が膨化乾燥米の上に析出する。また、膨化乾燥米の上に析出した具材は、容器の中央に集まる。一方、振盪速度が遅いと容器内の膨化乾燥米と乾燥具材がほとんど動かないため、具材が析出してこない。また、振盪速度が速すぎると、容器から膨化乾燥米や具材が飛び出してしまったり、膨化乾燥米や具材同士が互いに激しくぶつかって破損してしまったりする恐れがある。
容器を振盪させた後、注湯する。本発明においては、容器の内壁に沿って注湯することが好ましい。内壁に沿って注湯することで、注湯の勢いで具材が動いてしまうことを防ぐことができる。なお、膨化乾燥米と具材の中央(容器の中央)に注湯することも可能だが、注湯する勢いによっては膨化乾燥米の上に析出した具材が膨化乾燥米に沈み込んでしまう可能性があるため、内壁に沿って注湯することが好ましい。
最後に、注湯後蓋を閉じて所定時間静置することで、調理が完了となる。なお、必要に応じて液体調味料などを喫食直前に添加してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。また、本発明の各特性は、以下の方法により評価した。
(具材の析出割合)
振盪によって具材がどの程度膨化乾燥米の上に析出してくるかについて確認した。具体的には、容器に所定量の短粒種米からなる膨化乾燥米と所定量の具材を入れた後、容器底面から膨化乾燥米の上面までの高さを計測した。次に、開口部を紙で覆った状態で上下に30回降り、膨化乾燥米と具材とを混合した。この状態を基準とした。紙を取り除き、容器開口部から容器内を覗いた平面視の写真を撮影した。画像解析ソフト(ImageJ)を用いて、撮影した写真のコントラスト差から容器内で膨化乾燥米と具材がしめる面積の合計値および具材がしめる面積値を算出し、具材の析出割合を算出した。なお、容器の開口部の内径は100mm、底面の内径は75mm、容器の底面から開口部までの高さは95mmであった。また、膨化乾燥米の平均長径は7〜8mmであった。さらに、具材は10mmダイスの謎肉(登録商標)を用いた。
次に、容器を水平方向に振盪した。振盪速度としては、15センチ幅を5回/秒の速さで反復直線運動した。また、振盪時間は10秒間とした。振盪後、容器開口部から容器内を覗いた平面視の写真を撮影した。画像解析ソフトを用いて、撮影した写真から容器内で膨化乾燥米と具材がしめる面積の合計値および具材がしめる面積値を算出した。
(実施例1〜4)
各実施例は、下記表1に従って用意した。試験は5回行い、平均値を算出した。
(比較例1)
2回/秒の速度で反復直線運動を行ったこと以外、実施例1と同じである。
(比較例2)
反復直線運動の代わりに、ボルテックスミキサーを用いて振盪を行った以外、実施例1と同じである。なお、振盪方法としては、容器の底をボルテックスミキサーのゴム部に押し付けて振盪を行った。振盪速度は1200rpm/分で10秒間行った。
(比較例3)
実施例1において、反復直線運動を行わずに、容器中心に180gの熱湯(95度以上)を加え、5分間静置した。その後、10cm幅を5回/秒の速さで反復直線運動を行った以外は、実施例1と同じである。
Figure 0006960888
表1から明らかなように、すべての実施例において、本発明にかかる調理方法を行うことで具材の析出割合が増加していることがわかる。そして、具材の析出割合は、具材の量が増加するにつれて増加していることがわかる。析出割合の増加比率としては、最低でも2.94倍(実施例2)、最大で4.19倍(実施例3)であった。
一方、比較例1は具材の析出割合がほとんど変化していないことがわかる。これは、比較例1の振盪時において膨化乾燥米と具材は容器内でほとんど動いておらず、膨化乾燥米と具材との位置変化が起こらなかったことにより、具材の析出割合が増加しなかったためである。
次に、比較例2では具材の析出割合が増加しているものの、析出割合の増加比率は1.74倍に過ぎなかった。この理由として、次のように考えられる。比較例2において、ボルテックスミキサーを用いて振動を加えると、容器内で膨化乾燥米と具材は容器内で激しく攪拌されていた。特に容器中央において、容器の底から盛り上がるように乾燥具材が析出してきた。しかしながら、容器中央における具材の析出と同時に、容器側面においては乾燥具材が容器の底に向かって沈み込んでいた。そのため、具材の析出割合が思ったほど増加しなかった。
比較例3では、注湯前に比べて具材の析出割合が減少していることがわかる。これは、容器中央への注湯により、容器中央に集まっていた具材が注湯の勢いで膨化乾燥米の下に潜り込んでしまったためと考えられる。また、復元後においては、膨化乾燥米も具材も体積の増加や水分によって動きづらくなったため、振盪しても具材は析出してこなかった。
なお、比較例としては記載していないが、実施例1の反復直線運動に代えて、直径7cmの円を2周/秒で10秒間反復円周運動でも試験行なった。しかしながら、反復円周運動では表層の膨化乾燥米と具材が動くのみで、具材の析出増加は認められなかった。
以上説明したように、本発明にかかる調理方法では、所定の速度で反復直線運動を行うという単純な動作により、膨化乾燥米と具材が混ざり合った状態から具材を膨化乾燥米の上に移動させることができる。これにより、丼飯の再現性を高め、食欲や購買意欲を増進させることができる。

Claims (3)

  1. 容器と蓋によって容器内に封入された即席食品の調理方法であって、
    前記即席食品は膨化乾燥米と、膨化乾燥米の長径より大きく20mm以下の乾燥具材とを含み、
    容器から蓋を剥がす開封ステップと、
    蓋を剥がした容器を、水平方向に振盪させる振盪ステップと、
    容器の内壁面に沿って注湯する注湯ステップと、
    を含む、即席食品の調理方法。
  2. 前記振盪ステップが、10〜15cm幅を5回/秒の速度で反復直線運動を10秒間行う、請求項1記載の即席食品の調理方法
  3. 膨化乾燥米と具材からなる即席食品の調理方法であって、
    平面視において、容器内で膨化乾燥米と具材がしめる面積の合計値に対して、具材がしめる面積値が30%以上となるように容器を水平方向に振盪させた後、容器の内壁面に沿って注湯する、即席食品の調理方法。
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